簡単な感想
黒幕が出て来たと思ったら、、
小物臭が凄いww
読んだ本のタイトル
フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 2
著者:#埴輪星人 氏
イラスト:#ricci 氏
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あらすじ・内容
異世界に飛ばされて以来、厄介事続きの宏と春菜。ファーレーン王国の王太子から依頼を受け、王女エレーナの治療を請け負う。まさかそれが王国の一大事に発展するとは思いもよらず……!? まったりモノづくり系異世界ファンタジー、待望の第二弾! 至高のクラフト職人・宏の空気読まない異世界ライフは今日も続く!
フェアリーテイル・クロニクル ~空気読まない異世界ライフ~ 2
感想
ゲーム内では老婆のアバターで魔術師をしていた新婚の達也。
マッチョメンなアバターで宏の弟子となり生産スキルの修行をしていた病気で寝た切りで入院していた達也の妹の澪。
迷い人として王国に保護されていた真琴。
そんな彼等が宏と春菜と合流。
原因不明の病に悩むエアリスの上の姉、エレーナを三級のポーションで癒すが、後遺症が残ってしまい完治には程遠い状態。
そんな王国の姫達を苦しめる瘴気の原因を辿っていたら、、
別のエアリスの下の姉カタリーナが容疑者に浮かんで来た。
そのお付きの男が黒幕なのだが、、
小物臭漂う男でコレじゃない感が凄いw
そんな重い話を横に、爆発する野菜で温泉に浸かると増殖する不思議植物ポメ(表紙のカブみたいなヤツ)を赤カブのように漬物にしたり。
表情が壮絶、、
米を発見した勢いで、カレーライスを作ったり。
軍事物資として、カップラーメンを作ったり、狩りまくったワイバーンを美味しく調理して王族をドン引きさせたり、、、
飯テロの方が世界への影響力が凄いように見えるのが面白い。
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登場キャラクター
宏
女性恐怖症を抱えながらも多方面に才能を発揮し、王族からも信頼を寄せられる職人である。
・特定の組織には属さず、工房での制作活動を中心に生活している
・エレーナの診察と毒の発見、解毒装備の作成などを担い、王族の危機を救った
・ワイバーン解体や懐剣の製作、ラーメン・カレーなどの食文化の提供でも重要な役割を果たした
・防御力の高さと戦闘技能の向上により、騎士団からも一目置かれる存在となった
春菜
調理・看護・魔法・工芸に秀でた多才な女性であり、宏の支援者である。
・日本からの異世界転移者で、特定の組織に属していない
・屋台営業や食事の準備、等級外ポーションや瓶詰めポメの開発を担当した
・禁書庫にて魔道書と接触し、アルフェミナ神系の特殊魔法を習得した
・夜会ではドレス姿と歌で瘴気を浄化し、王族や来賓に強い印象を残した
達也
冷静な判断力と営業経験を持ち、調査や戦闘において実務的な役割を果たす人物である。
・異世界転移者の一人であり、宏たちと共に行動している
・素材採集、索敵、ワイバーン戦、書庫調査など多方面で実績を上げた
・書庫では春菜とともに禁書庫に関する調査を進め、異世界転移の構造に迫った
澪
潜入・索敵・戦闘を得意とする少女であり、行動力と冷静さを兼ね備えている。
・宏たちの仲間であり、潜入作戦や護衛任務で活躍している
・ワイバーン討伐では索敵と射撃により貢献し、加速魔法の実験にも参加した
・罠解除やステルスマントの素材加工など、実務面でも支援を担った
真琴
冷静沈着な女性戦士であり、仲間の警護や警戒を担当する場面が多い。
・素材採集・護衛任務に従事し、フィールドボス級モンスターとも対峙した
・加速魔法の実験にも自ら志願して参加し、耐久限界の把握に寄与した
・歴史や魔物の異常に関する分析でも一定の役割を果たしている
エレーナ
ファーレーン王国の王女であり、猛毒による衰弱から救出された要治療者である。
・王族として病に倒れていたが、宏の診察により毒の存在が判明した
・治療のために王宮を離れ、工房での療養生活を送った
・王政の腐敗と自らの無力に葛藤しながらも、政治改革への意思を抱くようになった
エアリス
姫巫女としての素質を持つ王女であり、清らかな精神性と明朗な性格を兼ね備える。
・宏たちと交流を深め、護身術や懐剣の訓練を受けるなど成長の兆しを見せた
・儀式の遂行によってアルフェミナ神と一体化し、神殿の浄化を成し遂げた
・日本文化、とりわけ料理に強い関心を抱き、温泉まんじゅうやカレーに喜びを示した
レイオット
王族の一人であり、政治・軍事・交渉など多方面で実務を担う有能な青年である。
・宏たちの実力と人柄を深く理解し、王家と彼らの仲介役を果たしている
・毒事件の対応やエレーナの治療手配など、重要な局面での調整に尽力した
・夜会・儀式・潜入作戦などにも関与し、王族内でも実行力を持つ存在とされる
ドーガ
戦闘能力と実務処理に長けた騎士であり、裏方としても活躍する存在である。
・宏たちの工房での調達役を務め、鉄鉱石などの調達を担当した
・潜入作戦では別働隊の撃退をレイナとともに行い、敵の死体を素材として回収した
・料理や宏の活動にも理解を示し、柔軟な姿勢で支援に回っている
レイナ
戦闘・偵察・情報処理に秀でた女性であり、仲間の支援と防衛を担う役割を果たす。
・潜入作戦中、ドーガと共に別働隊を迎撃し、敵を即時に制圧した
・爆発性を持つポメの試食で軽傷を負ったが、異文化の食材にも積極的に関心を寄せた
・料理の支援や毒物の検査にも理解を示し、柔軟な思考で行動している
カタリナ
ファーレーン王国の王女でありながら、執拗な陰謀を巡らせエアリスや冒険者達を排除しようとした存在である。
・王族に属し、かつてはエアリスの教育係や侍女を通じて圧迫・毒殺未遂を行っていた
・宏たちの夜会出席に強い敵意を抱き、瘴気に侵された者を用いた妨害を画策した
・春菜の歌による浄化作用によって劣勢となり、体調不良を理由に会場を後にした
・美貌や地位に対する自負が強く、自分が軽んじられることを極端に嫌う傾向がある
バルド
王族に仕える参謀的立場の男であり、カタリナの陰謀を補佐する実働部隊の指揮者である。
・過去の毒殺計画や魔物制御オーブの使用、瘴気による侵蝕といった数々の暗躍に関与していた
・ケルベロス召喚などの戦力投入や、夜会での瘴気展開など危険な手段を用いた
・瘴気の影響下にありながらも、王法の証拠主義を巧妙に回避して処罰を免れている
・失敗の連続により春菜を最大の脅威と見なすようになり、今後の対抗策を模索している
展開まとめ
ファーレーン編 九話
屋台での商売と交流
春菜は工房にこもっている宏とチームは組んだまま、一人で屋台を営んでいた。カレーパンやアメリカンドッグ、新作の串カツなどを販売し、冒険者たちや近隣の屋台主、住民と会話を交えながら賑やかに営業を行っていた。特に揚げ物はこの地では珍しく、トロール鳥の唐揚げやフライドポテトを披露すると、大変好評を博した。
揚げ物文化の未成熟とその背景
揚げ物が屋台で珍しい理由として、魔力コンロの火力不足や業務用鍋の不足、そして調理技術の未普及が挙げられた。加えて、料理に関するノウハウの秘匿や調味料・技法の共有不足が、地域全体の料理水準の底上げを妨げていた。春菜もその一因であり、揚げ油や切り方などを積極的に教えていないことが影響していた。
人気商品の急増と仕込みの見誤り
串カツやアメリカンドッグとのセット販売が好評で、大量注文を受けるようになった春菜は、在庫の減少に直面した。仕込み量を絞っていたため、開店から半日も経たぬうちに在庫が危うくなっていた。宏との通信で在庫ボックスの共有機能が拡張され、工房から補充可能となったことにより、一部の供給は可能となった。
屋台への強盗未遂と春菜の対処
営業中、歴戦の戦士風の男が屋台を襲撃し金を要求したが、春菜は動じることなく瞬時にレイピアでナイフを切断し、威圧によって男を退けた。この対応により群衆から喝采を受け、その後、商品は全て売り切れとなった。
王女治療のための材料調達任務
一方、澪・達也・真琴は、王女エレーナの治療薬の材料を集めるため、街道近くの森で採集を行っていた。春菜は屋台の在庫処分を優先するため同行していなかった。調達対象には植物に加えモンスターの臓物も含まれており、索敵を慎重に進めながら任務を遂行していた。
空からの脅威と迅速な討伐
澪が遠方の空に大型トカゲ型の飛行生物を発見し、それがワイバーンであると判明した。接近してくるワイバーンに対し、澪が矢で翼を破壊、達也が酸素操作魔法で動きを封じ、真琴が大剣で頭部を斬り落として撃破した。戦利品はブロック単位で鞄に収められ、宏による解体を依頼することとなった。
素材管理と宏の支援体制
澪は皮や毒針の加工処理を考慮し、宏に解体を任せる判断を下した。宏はすでに屋台の支援としてカレーパンの仕込みを終えており、解体作業への移行も可能な体制を整えていた。こうした共有化と準備により、ワイバーンの素材の大半が無駄なく回収される見込みとなった。
採集作業の継続と任務の完了
その後、達也は澪とともに植物や素材の採集に移り、真琴が警戒を担当した。二時間後、一行は多数のモンスター素材と薬剤材料を確保し、無事帰還する運びとなった。
レイオットの訪問と隔離結界の発動
病床に伏すエレーナの元に、レイオットがユリウスを伴って訪れた。彼は話の重要性を示し、人払いを要求した上で強力な隔離結界を展開した。その魔道具は、ニホン人の職人によってわずか三十分で作成されたものであり、ドラゴンと渡り合えるほどの力を持っていた。
治療者の条件と四級ポーションの提示
レイオットは、その職人がエレーナの治療を可能にする人物であると説明した。彼は治療の妨害を懸念し、治療場所として王宮を拒んでいた。エレーナには治療者の態度や環境に文句を言わないことなどが求められ、了承すればすぐに治療を受けられる手筈となっていた。証拠として提示された小瓶は、伝説級に近い四級ヒーリングポーションであり、その効果は確かなものであった。
治療者の人柄と信頼性の補足説明
職人に対して疑念を抱くエレーナに対し、レイオットはエアリスやエルンストからの信頼、また趣味で奇妙な調理器具や調味料を作る傾向があることを説明した。エレーナは不安を抱きつつも、他に選択肢がないことを悟り、治療を受け入れる決意を固めた。
出発準備と侍女との別れ
エレーナは侍女に身の回りの物の準備を命じたが、同行を願う侍女の訴えは却下された。王と王太子の決定として侍女の同行は認められず、エレーナは感情の軋轢を残しながらも治療のために旅立った。
工房での出迎えとエレーナの第一印象
工房に到着したレイオットとエレーナを迎えた宏は、黒いワイバーンの解体作業中であった。宏はエレーナを見て明らかに動揺し距離を取ったが、王族に対しても平然と振る舞うその態度に、エレーナは複雑な印象を受けた。
宏による診察の開始と毒の発見
宏は女性に対して強い恐怖心を抱いており、澪の帰還後に本格的な診察を行う方針を示した。宏はレイオットに採血を依頼し、問診と毒の調査を進めた。その結果、検出された毒は「エミルラッド」という極めて特殊な猛毒であり、通常の方法では中毒を引き起こさず、検出も困難であった。
毒の侵入経路と関与者の推測
宏は、この毒が日用品や化粧品、香水などに微量ずつ混入された可能性を示唆した。これにより、複数の協力者の関与が必要であると断定された。エレーナとレイオットは重く受け止め、沈黙するしかなかった。
治療可能性と解毒剤の難点
治療は可能であるものの、症状の進行により後遺症として虚弱体質が残る可能性が高いとされた。解毒に必要な「ソルマイセン」は非常に傷みが早く、入手と処理が困難な果実であり、希少性が高いため市中では流通していなかった。
対策の実行とエレーナの補助具の準備
レイオットは即座に手配に動き、宏は治療のための装備品として、スタミナ増強指輪や生命力強化イヤリングなどを準備していた。これによりエレーナは日常生活が可能となる程度まで回復できる見込みであった。
エアリスとの再会と姉妹の情
エアリスは、エレーナの変わり果てた姿に衝撃を受け、涙を流した。エレーナはエアリスに謝罪を否定し、優しく頭を撫でて励ました。二人の間には深い信頼と情愛が通っていた。
宏の見解と今後の課題
宏は、今後の課題として、まずはエレーナの体を回復させること、その後にエアリスを責任を追及されない形で安全に帰還させることを挙げた。これには王やレイオットの判断が必要とされた。
夕食と療養の始まり
宏は夕食の準備に入り、エレーナには優しいダシの効いた具なしスープが提供された。その滋養ある味は、彼女の弱った胃と心を静かに癒していった。
ファーレーン編 十話
行動方針の決定と作業の割り振り
宏はエレーナの治療を優先しつつ、チームメンバーにそれぞれの任務を指示した。達也、澪、真琴には素材採集を任せ、春菜には看護と等級外ポーションの製造を担当させた。さらに、空き時間にエアリスの護身術訓練と懐剣製作も依頼された。ドーガには鉄鉱石の調達を依頼し、宏はエレーナとエアリス用の護身用武器の作成を進めることを決意した。戦闘訓練についても課題とされ、宏の壁役としての役割を強化する必要性が指摘されたが、当面は治療を最優先とする方針となった。
採集班の準備と長距離移動の確認
採集先としてソルマイセンの所在が確認され、移動には往復で四日以上を要することが判明した。食料については春菜が共有化された鞄を通じて補給可能とし、携行品は装備のみに絞られることとなった。また、昼食の献立をそばに決定し、各自の好みに応じた具材が用意された。
ワイバーン肉の調理と宏の作業
訓練が終了し、手持ち無沙汰となった春菜は、保存食や夕食のためにワイバーン肉の調理を開始した。生食の危険性から火を通す料理を選び、唐揚げを基本としたアレンジ料理を考案した。エアリスの依頼でサフナジュースも提供され、宏は鎧の表面処理用薬剤の調合を開始し、食後の作業を同時進行で進めた。
晩餐の準備と供膳
春菜は唐揚げ用のタルタルソース、プリン、スープ、サラダ、パンなどを手際よく準備し、採集班の分も保温容器に収めて保存した。ダイニングにはエレーナを抱えたレイナが最初に現れ、次いで他の面々も集合した。メインディッシュとして供されたワイバーンの竜田揚げは予想外に美味で、参加者を驚かせた。
王族との食卓と会話
レイオットの来訪により、食卓はさらに賑やかさを増した。宏や春菜の料理に対して王族たちも感嘆し、特にエアリスは満面の笑みで食事を楽しんでいた。その様子に、兄と姉は喜びつつも複雑な感情を抱いた。宏の素朴な言葉によってエアリスは自信を取り戻し、再び自然な笑顔を浮かべるようになった。
兄妹の和解と今後の訪問の約束
エアリスの様子に安堵したレイオットは、今後も訪問を継続する意向を示し、兄やマークを伴っての再訪を約束した。春菜はワイバーン料理が続く可能性を述べたが、味の良さに免じて了承された。持ち帰り用の料理も用意され、レイオットはエアリスの頭を撫でて転移で帰還した。
食後の後片付けと次の準備
夕食後、春菜らは入浴のために一時解散し、宏は台所の後片付けを引き受けた。風呂上がりのフルーツ牛乳まで用意する宏に、ドーガが呆れながらも感心を示した。宏は鎧の最終仕上げや薬の処方を控えつつも、日々の生活と仲間たちの世話に抜かりなく取り組み続けていた。
魔物の異常発生と瘴気の増加
達也・真琴・澪の三人は、街道沿いに出現した多数の魔物を討伐し、素材価値の高いものだけを選別して解体した。これほどの数の魔物がこの地域に出現するのは異常であり、以前と比較して瘴気の濃度が増していることが確認された。ワイバーンが山麓まで降りてきた件についても、通常ではあり得ない状況であった。
盗賊団と魔獣制御のオーブに関する疑念
過去に達也たちを襲った盗賊団が、魔獣制御のオーブを使用して魔物を操っていた事実を踏まえ、彼らのような力量でそれを入手できたのかに疑問が呈された。真琴も達也も、その背後に何らかの存在や資金源があると推察したが、現時点では情報不足で断定はできなかった。
野営地での夕食と食材の評価
戦闘を終えた三人は、春菜が用意したワイバーンの腿肉を使った竜田揚げの夕食を堪能した。温かい状態が維持された料理は高く評価され、タルタルソースとの相性も良好であった。腐敗防止のエンチャントの仕様により、食材の状態が保たれていることも明かされた。
ソルマイセン採集に向けた準備と警戒
翌日の山登りに備え、三人は行程と危険度について情報を共有した。目的地であるソルマイセンの自生地は遠く、移動中にフィールドボスや高ランク魔物との遭遇の可能性が示唆された。認識阻害魔法による対策も検討されたが、効果には限界があるため、最終的には敵を排除しながら進む方針に決定された。
王族の夜会とエアリスの変化
王城では、レイオットが兄と父にエアリスの様子を報告していた。エアリスが明るく楽しげに振る舞っていたことや、以前と比べて明らかに健康状態が良くなっていたことが強調された。レイオットが持ち帰ったワイバーンの竜田揚げを通じて、宏と春菜の料理技術の高さにも驚嘆が集まった。
カタリナの問題と処遇の決定
国王と王子たちは、カタリナが侍女や教育係を通じてエアリスを害していたことを改めて認識し、表向きは病死としつつも、実質的には反逆罪で処断する方針を確認した。彼女の影響力の大きさと悪意の根深さから、もはや矯正は不可能と判断されていた。
バルドの存在と司法の限界
カタリナに関与していたバルドという男は、法の隙間を突いて罪を免れ続けており、王家としても決定的な手を打てずにいた。彼の巧妙な手口と、王法の証拠主義の厳格さが足かせとなり、正義の実現が困難な状況が続いていた。
今後の動向と神殿への一時帰還の検討
ワイバーンが王都近くに出現した事実は、エアリスの身に再び危機が迫る可能性を示していた。このため、王族たちはエアリスを一時的にでも神殿へ戻す必要性を認め、宏たちのグループに王族を紹介する準備を急ぐことになった。会話の終わりとともに、残された食事の味わいも失われていった。
ファーレーン編 十一話
ソルマイセンの発見と異常な魔物分布
大霊峰中腹にて、澪が目的の果実ソルマイセンを発見した。その場所には奇形を伴う瘴気を帯びた魔物が多数出現しており、過去の記憶と照らし合わせても異常な環境であった。特に、闇属性を持つフィールドボスクラスの魔物が出現したことは、霊峰の名を冠するこの地では極めて不自然であり、現地の王族に報告すべき事態と判断された。
ソルマイセンの性質と収穫作業
ソルマイセンは非常に腐敗が早く、僅かに触れただけで変質する特性を持つ果実であった。味はほとんどなく、虫や鳥も寄り付かないが、薬の材料としては優れているため、澪は慎重に収穫を進めた。真琴と達也は周囲の警戒にあたり、収穫終了を見届けた直後、澪の報告により三体のワイバーンが接近していることが判明したため、速やかに帰還魔法で撤退した。
王都での鍛冶作業と素材の調達
一方、王都では宏が新たな懐剣を製作するため、王城から提供された魔鉄鉱石とミスリル鉱石の加工に着手していた。まずは自らのハンマーと金床を合金で作成し、古いハンマーを使っての過酷な作業により、工具の破損が確認された。準備が整ったのち、懐剣本体の鍛造へと工程が進められた。
懐剣の鍛造と試用の確認
宏は大量の魔力を投入しながら二本の懐剣を鍛造し、熱処理とバランス調整を経て、姉妹に渡した。二人は基本動作を再現して使用感を確かめ、手に馴染む優れた仕上がりであると確認された。実戦用途としての戦闘能力は想定されておらず、あくまで護身用としての懐剣であった。
懐剣の魔道具化と不安の表出
宏は完成した懐剣をさらに魔道具として仕上げることを宣言し、豊富に蓄えられたモンスター素材を持ち出して多機能化の工程に入った。周囲は彼の手法に困惑しつつも止める術がなく、春菜も内心で不安を抱えながら黙認した。結果として完成した懐剣は、常識外れの機能を備えた逸品となり、エアリスは無邪気に喜んだが、他の者はその威容に若干の後悔を覚えることとなった。
ヘルハウンドとイビルタイガーの出現報告
真琴が大霊峰で異常なモンスターを目撃したとの報告を持ち帰り、一同が緊張する事態となった。ヘルハウンドとイビルタイガーに加え、奇形で闇属性や瘴気を撒き散らす個体の出現頻度が高く、ただならぬ異変が示唆された。真琴らの言葉を受けたレイオットは、状況の深刻さを即座に理解し、猶予がないことを示唆した。
ファーレーン王家の兄弟との接触と人柄の確認
現れた二人の青年は、ファーレーン王国の王子アヴィンと弟のマークであった。落ち着いた兄と感情的な弟という対比が際立ち、宏は王家の人々が冗談をどこまで許容するかを確認する意図で、軽口を交えながらやり取りを行った。これにより、王族との信頼構築を進めた一方、マークはその幼さゆえに周囲から修行不足と評された。
神殿訪問の必要性と地脈の異変の予兆
エアリスの霊感的反応を見たレイオットは、アルフェミナ神殿に彼女を連れて行く必要性を感じた。神官では対応しきれない可能性があるという予測から、地脈の浄化の問題が懸念された。一行は翌日の準備に時間を割くことを決めたが、宏はその依頼が本格的な作業を必要とする点で難色を示した。
懐剣と武器製作の規格外ぶり
宏が製作した懐剣は、ワイバーンに通じるかどうか微妙とされながらも、一般的な職人からはかけ離れた技術力を誇示していた。その技術の高さにマークやアヴィンは驚愕し、周囲も宏の常識外れな言動と製作能力に改めて呆れながらも納得することとなった。
バウムクーヘンと会話の脱線
宏が作ったバウムクーヘンを中心に、食事中の話題は一時的に和やかなものへと移り変わった。王族や仲間たちが集まる場でも、こうした脱線は日常であり、エレーナやエアリスもそれに巻き込まれていた。
下着製作の押し問答と精神的疲弊
エアリス用の下着製作という難題が宏に課せられ、本人は強いストレスに晒された。澪の強引な進行に対してエレーナが宥めに入り、宏は最終的に観念して作業に着手することとなった。作業後には極度の疲弊により、部屋の隅で痙攣する事態に至った。
万能薬製作とその異常性
宏はソルマイセンを材料に万能薬の製作に取りかかり、三級相当の薬を短時間で完成させた。常識を逸脱した材料と手法、そして薬効の高さに周囲は驚きを隠せなかった。特に、その味が無味に近い点には、達也ら常識派が強い疑念を抱いた。
エレーナの回復と後遺症の注意
完成した万能薬により、エレーナの頭痛や倦怠感は一気に解消された。宏は後遺症と体力低下への注意を促し、エレーナもそれに同意した。日常生活に支障はないが、無理を避けるよう念を押された。
モンスター素材を使った食事とチームの特異性
食卓には、マナイーターを素材とした菓子が登場し、その異常さに一同は改めてこのチームの常識のズレを実感した。こうした行動も含め、宏たちの周囲では、一般的な価値観が通用しないことが改めて浮き彫りとなった。
ファーレーン編 十二話
潜入準備と宏の不安
潜入当日、宏・春菜・澪・エアリスの四人はマントと仮面で変装し、森からウルス城の背後に潜伏していた。警備の厳重さから正面突破は不可能と判断し、予め教えられていた裏道を使う方針へと切り替えた。澪が記憶を頼りに地形を照合し、隠された通路を発見。内部は狭いが通行可能であり、慎重に進行を開始した。宏は任務の不向きさに疑念を抱きつつも、無理やり気分を高めて行動に移った。
潜入作戦立案の経緯
前日、エアリスを神殿に送る方法を協議する場で、レイオットは潜入案を提示した。正面からの同行では不都合が生じ、また姫巫女であるエアリスの素性も広く知られていなかった。政治的立場や姫巫女の権威を利用しようとする派閥により、正規の同行では処罰や妨害の危険性すらあることが説明された。王家と神殿の間でも意見が割れており、合法的な入殿手続きすら困難な状況であったため、裏口からの潜入が最適策とされた。
隠密部隊の人選と宏の葛藤
作戦条件により魔法使用が制限されたため、達也と真琴は潜入要員から外れた。澪と春菜の参加は即決されたが、宏は自らの不向きさから同行を拒もうとした。しかし、エアリスの強い希望と、過去の責任感に根ざした深い自問の末、最終的には参加を決意した。彼の論理的反論は一同を一度沈黙させたが、エアリスの成熟した覚悟と訴えが彼を動かした。
準備作業と作戦の確定
宏は潜入に備えた装備の工夫に着手した。ワイバーンレザーアーマーの持ち込みが困難であるため、魔力探知を無効化できるステルスマントの製作を決断し、澪に素材処理を依頼した。また、エアリスの服や必要物資を隠して運ぶための道具の製作も開始した。潜入は翌日の昼以降に決行されることとなり、昼食を済ませた後の長丁場に備えて準備が進められた。工房内は宏を中心に慌ただしくなり、各自が役割を果たすべく動き出した。
地下通路での罠解除と潜入行動
宏達一行は、隠し通路を通って教会の地下に向かう最中、複雑な罠が仕掛けられた道を進んでいた。澪は罠の位置を把握したうえで、宏にわざと踏ませる「漢解除」を行わせ、罠の解除を図った。この方法に対して宏は不満を漏らしたが、澪は宏の魔法抵抗の高さから安全だと判断していた。春菜とエアリスはその強引さに引きつつも、進行を優先した。罠を解除したことで警戒度が上がると判断し、一行は急ぎ足で通路を抜けた。
大神官との再会と儀式の目的確認
通路を抜けた先で、エアリスの信頼を置く大神官と再会し、短い挨拶ののち状況確認が行われた。宏達の同行について、大神官は神託により問題なしと認めた。儀式の意義については、カタリナが拒絶された浄化の間でエアリスが儀式を遂行することで、姫巫女としての正当性と名誉回復を証明できるとされた。
神殿での戦闘と魔法の無効化
儀式の間の前で宏達が待機していたところ、瘴気を纏った男が出現し挑発的な言動を始めた。男は大規模魔法の詠唱を開始したが、宏の強力な魔法抵抗により術は不発となった。宏は連続攻撃を仕掛けて男を圧倒し、春菜と澪もそれぞれ遠距離攻撃や支援で応戦した。男は反撃を試みたものの、効果的なダメージを与えるには至らなかった。
エアリスの覚醒と女神の顕現
戦闘中、儀式を終えたエアリスが神々しい姿で姿を現し、その存在が女神アルフェミナであることが明かされた。女神は瘴気に侵された貴族たちに浄化を施し、宏に後事を託して消え去った。神殿内の瘴気は浄化されたが、戦いはまだ終わらなかった。
男の逆襲とエアリスの拉致未遂
女神が去った直後、再び現れた男がエアリスを拉致し、瘴気によって変質させようとした。しかし、三重の防御措置により失敗し、エアリスは最大出力の浄化を発動。男は致命的なダメージを受けたが、それでも人の姿を放棄して攻撃を続けた。
撤退と特殊アイテムによる脱出
宏はエアリスを保護し、大神官とレイオットに目配せした後、探知を完全に無効化する「ハイパージャマー」を用いて姿を消した。それにより敵の追跡を完全に逃れ、一行は神殿からの離脱に成功した。
貴族との対峙と証拠の提示
一連の混乱後、神殿には僧兵と貴族が現れたが、大神官が彼らを押しとどめ、宏達が正当な存在であることを証明した。瘴気に侵されたバルドという貴族が糾弾されたが、言い逃れを続けていた。
ドーガとレイナの裏工作と撃退
その裏で、ドーガとレイナは敵勢力の別働隊を隠し通路で迎撃していた。敵はケルベロスを召喚していたが、ドーガとレイナによって瞬時に撃破された。敵は口封じのために焼却され、証拠隠滅が図られたが、ドーガとレイナはその死体の一部を素材として持ち帰る判断を下した。
ファーレーン王国の危機脱却と宏の代償
神殿の浄化と敵勢力の排除によって、ファーレーン王国は一時的な危機を乗り越えることに成功した。ただし、ステルス状態での脱出時にエアリスを抱えて逃げ回った宏は、精神的負荷により、工房に戻った時点で嘔吐と痙攣を引き起こし、深刻な疲労を見せていた。
ファーレーン編 十三話
温泉街での到着と食談義
宏達一行は、レイオットの転移魔法により温泉地アドネへと移動し、現地の湯治宿に到着した。宏と春菜は温泉の用途に着目し、温泉卵や温泉まんじゅう、さらには白餡を用いた菓子の製造に意欲を見せた。温泉の飲用可否を判定するため、宏は水質チェッカーを使用し、泉質調査に着手した。エアリスは温泉卵や和菓子に強い関心を示し、春菜の説明に瞳を輝かせた。周囲の大人たちはその様子を苦笑まじりに見守りつつ、澪の一言でようやく宿に向かう流れとなった。
唐突な湯治の理由と前日の整理
宿に落ち着いた後、真琴と達也は湯治の経緯と前日の詳細を確認した。実際には、宏達が任務から帰還した翌朝にレイオットが突然現れ、宿の手配済みとして強制的に同行を命じたものであった。レイオットはアドネに到着後すぐに姿を消したため、事情説明も受けられないままとなっていた。前日の出来事について、宏と春菜は地脈の浄化は成功したが黒幕と思しき人物は取り逃がしたと簡潔に報告した。その人物については、使い捨ての下級ボスのような存在であると全員が一致した見解を示した。
ケルベロス討伐と敵の背後関係
ドーガとレイナが討伐したケルベロスについては、宏達の任務と関係しているとされた。召喚師たちは全滅し、証拠も残っていなかったため背後関係の確証は得られなかった。また、湯治の目的についてドーガは、女神により名前を晒されたことで、一部勢力が報復を画策している可能性に言及した。現在はレイオットが対応中であるとされたため、一行は温泉街での休暇を享受する方針をとった。
再現和菓子と温泉まんじゅうの完成
春菜は温泉まんじゅうの生地を仕込み、宏は温泉の温度を確認した後、温泉卵の調理を開始した。春菜は白餡を用いたまんじゅうを蒸し、出来上がった一品はエアリスをはじめ、仲間たちにも好評を博した。エアリスは特にその味に感動し、上品に完食した。宿での調理が進行する一方で、宏と達也は探索に出かけたままなかなか戻らず、全員の関心がその行方に向けられていった。
日本米の発見と歓喜の声
ついに戻ってきた宏は、日本人女性陣にとって衝撃的な報告をもたらした。それは、現地でジャポニカ種の稲を発見し、収穫してきたというものであった。これにより、長らく実現不可能だったカレーライスや寿司、牛丼などの日本食が再現可能となる見通しが立った。一同は歓喜し、春菜は昼食としてカレーライスを作ることを宣言した。宏と達也は宿の作業場で脱穀と精米に向かい、女性陣は不足分の買い出しに出発した。
ファーレーン陣営の反応とエアリスの関心
日本人の熱狂ぶりを理解できないファーレーン人たちは戸惑いを見せたが、宏の説明により日本食の価値を多少理解するに至った。エアリスは料理の味に強い関心を示し、宏の言葉に期待を膨らませた。その後、宏と達也はカレーライスの準備に向かい、春菜は材料の整理に着手した。エアリスも好奇心から宏の後を追い、日本食の再現に向けた準備が進行していった。
日本料理の再現と厨房での試作
春菜はアドネの高級宿ラグーナの厨房を借り、カレーライスの調理を開始した。持ち込んだ白米を丁寧に炊きながら、スパイスを効かせたカレールーを別の鍋で煮込んだ。宿の料理長らは彼女の作業を見守りつつ、見慣れない料理と香りに興味を抱いた。完成後、春菜は自国の家庭的なスタイルで盛り付けを行い、試食を勧めた。料理長たちはその味と調和の取れた構成に感嘆し、特に米の甘味とルーとの相性を高く評価した。
部屋での提供と一同の熱狂
完成した料理をロイヤルスイートに運び入れると、空腹で待ちかねていた一同が一斉に歓喜の声を上げた。春菜は急いで準備を整え、カレーライスを提供した。日本人組は久々の米とカレーの味に感動し、ファーレーンのメンバーもその完成度に舌鼓を打った。レイナやドーガもお代わりを求め、料理は大好評を博した。春菜は参加者一人につき二杯分を想定して用意しており、予想以上の反響に満足げな様子を見せた。
米の供給と栽培の可能性
宏は今回の米が近隣の沼地に自生していたものであると説明し、現在確保できる量は一俵(約60kg)程度で、全員で日常的に食べるには到底足りないと述べた。ただし、沼地の自然環境が稲作に適しており、今後栽培が可能である可能性が示唆された。これに対しエレーナとエアリスは強い関心を示し、王家の権限を使って栽培計画を進める意思を見せた。
温泉地の野菜「ポメ」とその異質な生態
春菜らは入浴前、館内で奇妙な姿の野菜「ポメ」と遭遇した。その姿はカブに手足と顔、葉をつけたもので、温泉に入ると繁殖するという特異な性質を持っていた。従業員の説明により、繁殖行動や食用の処理手順、そして不適切な扱いをすると爆発するという性質が明らかにされた。葉を切らないまま手足を落とす、あるいは縦割りにするだけで爆発するため、処理には細心の注意が必要とされた。
子ポメの活用と瓶詰め実験
春菜は間引き対象となった子ポメに注目し、食材としての利用を思いついた。厨房に戻った彼女は山ブドウで着色した子ポメの瓶詰めを試作し、ロイヤルスイートに持ち帰った。試食役となったエアリスとレイナが同時に食したところ、レイナのポメは爆発し、口内に軽いダメージを与えた。エアリスは美味と評し、エレーナは余興向けの料理としての可能性を示唆した。こうしてポメは、危険と紙一重ながらも新たな食材として認識されることとなった。
ファーレーン編 十四話
エレーナの診察と王宮への帰還準備
宏と澪は、湯治を終えて戻るとすぐにエレーナの診察を行い、彼女の状態が治療の限界に達していると判断した。エレーナは王宮への帰還を決意し、それに伴い宏達も同行する可能性が高まった。王政の腐敗や貴族の横暴に対する不信が語られ、宏達が犯罪者扱いされる可能性についても危惧が示された。エレーナは政治的な無力を自覚しつつも、巻き込んだことへの葛藤を抱えていた。
宏の外交的適性と女性恐怖症への懸念
宏の対人能力の乏しさと女性恐怖症により、王族との公式行事への参加には不安が残った。春菜と達也が外交交渉を担うことで一致し、春菜の見た目と性格、達也の営業経験が頼りとされた。澪は年齢や印象から戦力外と見なされ、宏は裏方に徹する方針となった。
夜会に向けた衣装合わせと女性陣の苦闘
春菜と真琴は、翌日の夜会に備えたドレスの仮縫いに苦しめられた。コルセットによる締め付けや胸元の装飾に翻弄され、澪のみが子供用のコルセットで難を逃れた。衣装係達は、露出を控えた春菜の意向に共感し、隠すことによる色気を追求する意欲を燃やした。
簡易エンチャントによる防御策の検討
女性陣は夜会での不測の事態に備え、澪による簡易エンチャントで即死や状態異常の防止を図ることにした。ドレスの構造的制限により戦闘行動が困難な可能性も指摘され、今後は宏が機動性に優れたドレスを自作する方針も固まった。
宏の服装と雰囲気に関する問題
宏は高級な服が似合わず、強い劣等感を抱いていた。春菜達は原因が容姿ではなく、服装を着こなす雰囲気や自信にあると分析した。彼がオーダーメイドのスーツを自然に着こなすには、時間と経験が必要であると結論づけた。
王家による夜会の注意事項と警戒体制の構築
国王レグナスとレイオットが姿を隠して宏達の部屋を訪れ、夜会での警戒事項を伝達した。特に女性貴族の強引な手段への警戒が強調され、達也と宏には女性との接触を極力避けるよう指示された。レグナスとレイオットは、宏を途中退席させることで危険回避を図る方針を示した。
トカゲのしっぽと陰謀の残滓
神殿に侵入した実行犯の確保には失敗し、黒幕の特定にも至らなかった。多くの関係者は毒物の取り扱いすら知らぬまま利用されており、再発防止策の難しさが指摘された。食事と茶葉への対策によりある程度の安全は確保されたが、恒久的な解決には至っていなかった。
夜会に向けた防衛準備とドレスの改良計画
宏はエンチャントや自作ドレスによる行動阻害の軽減策を提案し、王族達も協力を約束した。また、宏の提案により明日の夜会ではダンスは中止となったが、以後の催しに備えた装備の準備は継続された。
インスタントラーメンの試食と文化交流
宏が再現したインスタントラーメンが王族達の間で高評価を得た。日本の庶民的な食品が、ファーレーン王家の舌をも満足させた事実は、文化の壁を超えた驚きの一幕であった。宏は今後も補充と共有を行うことを約束し、ラーメンの需要の高さを再確認した。
薬物の持ち込みと女性陣の戦闘対応策
宏は昼食会と夜会に向けて、毒物予防のための万能薬の持ち込みを国王に提案し、許可を得た。さらに、女性陣のドレスによる戦闘行動制限を踏まえ、下着やドレスの改良も進められることとなった。ドレスの外見と機能性を両立させるため、エンチャントとの併用も視野に入れていた。
夜会に向けた心構えと対応方針
王家との最終的な打ち合わせで、宏・春菜・澪の三人が常に行動を共にする方針が確認された。また、予想される女性貴族からの接近に対しては、春菜と澪がフォロー役に回ることとし、夜会での最短撤退ルートも想定された。さらに、レイオット達が夜会中の宏の行動をサポートすることで合意し、具体的な対応計画が整えられた。
食文化と日常の備え
インスタントラーメンの試食が王族にとって文化的な驚きとなった一方で、宏は夜会での食事に毒が含まれている可能性を踏まえ、携帯用の食品の準備も検討していた。王族達はこれを革命的と評価し、非常時の備えとして採用する方向で一致した。
ファーレーン王家と日本人一行の間に生じた信頼と協力の絆が、次第に政治的陰謀と対決する準備へと変わりつつあった。夜会を目前に、彼らは己の立場と責任を見つめ直しながら、次の一歩に向けて心を整えていった。
ファーレーン編 十五話
謁見の間における功績の承認と願いの表明
宏たちは国王の前で謁見に臨み、礼を尽くして功績を認められた。達也が代表して返答し、彼らの願いとして書庫の閲覧許可を求めた。王はこれを快諾し、禁書庫も含めた書物の閲覧を許可したが、禁書には導師長と司書の同席が条件とされた。
宏の実力証明と薬の即興制作
重鎮の一人が功績の真偽に異議を唱えたことから、宏がその場で薬を調合して実力を示すこととなった。持ち込まれた薬草と自身の道具を用い、宏は三級ポーションの制作に取り掛かった。訛りある口調ながらも丁寧な説明と手際で、素材の錬金・濃縮・熟成といった高度な工程を経て、最終的に五十本の三級ポーションを完成させた。
ポーションの効力と重鎮の評価
完成品は医師と薬師によって鑑定され、明確な三級の効力を持つと断定はされなかったが、その効力の高さは認められた。王はこの薬が宏の実力を示すに十分と判断し、功績の正当性を明確にした。重鎮たちもこれに同意し、謁見は正式に終了した。
控室での再確認と王の本音
控室では国王が自ら現れ、礼を述べつつ宏たちと情報を共有した。重傷を負った見習いに三級ポーションが使われ、片目の再生が確認されたことが話題となり、その反響が騒ぎの原因と判明した。この出来事によって、重鎮たちも宏の力を改めて認識せざるを得ない状況となった。
政治的体制の限界と王の無力感
王は、自身が娘であるエアリスを守りきれなかったことへの無力感と、現行の制度下での限界を吐露した。先代の改革によって法体系が硬直化し、貴族の横暴を止めるにも法改正が必須であるため、実効性のある対応が困難となっていた。この国の制度疲労と、王家の抑止力の限界が示された。
万能薬と装備の準備、次なる戦いへの決意
宏たちは今後に備え、エンチャントを施した衣装と、毒対策のための万能薬を用意した。その薬は全員で服用され、備えが整えられた。王は次の舞台となる昼食会と夜会に向けて、注意を促した。特にカタリナによる無礼が予想され、達也はその対処に強い覚悟を見せた。王は控室を後にし、次なる対決の幕開けが近づいていることを一同は強く意識するのであった。
カタリナの怒りと誤解の拡大
カタリナ王女は冒険者達の態度を無礼と感じて憤慨し、レイオットやエアリスに親しげに話しかける彼らの様子に苛立ちを募らせていた。彼女は自らが軽んじられたと感じていたが、実際には自ら会話を避け、問いかけにも無反応であった。彼女の不満は事実から乖離したものであり、冷静な視点では言いがかりに近かった。
バルドの諫言と計画の先延ばし
暴発しかけたカタリナを、存在感の薄い男バルドが制止した。エアリス襲撃事件の余波で彼らが警戒対象となっていることを理由に、バルドは直接行動を避け、冒険者達の失策を待つ方が得策であると進言した。カタリナはそれに従い、詳細をバルドに一任した。
カタリナの資質と現実との乖離
カタリナは表面的には教養を備え、容姿にも恵まれていたが、現実と理論の矛盾を認めず、自らの評価を誤認する傾向が強かった。彼女は責任を回避し、非力な相手には陰湿な手段を用いるものの、自力で対抗する者には無力であり、実際の有能さに欠けていた。
地脈汚染計画の破綻と焦り
エアリス排除のために行った地脈汚染や転移による抹殺計画は、冒険者達の迅速な対応により潰えた。以前の毒によるエレーナ暗殺未遂も阻止され、今夜の宴では新たな毒の混入が計画されていたが、成功の見込みは薄かった。
巻き返しの模索と無力感
バルドは再びエアリスやエレーナを失脚させることで、姫巫女の断絶を狙っていたが、冒険者達の介入がことごとく計画を破綻させており、軽率な行動は避けざるを得なかった。結果として、夜会での様子見を選択した。
夜会の開幕とエアリスの登場
国王は夜会の開幕を宣言し、招待客に対してエレーナの快気祝いとエアリスの無事の帰還を公表した。エアリスの出席は予想外であり、場の空気を二分した。彼女の挨拶と態度は噂と正反対であり、招待客は困惑しつつも、その清楚な美しさと誠実な姿に心を動かされた。
カタリナの焦燥と春菜の登場
会場に現れた春菜の圧倒的な存在感により、カタリナは最後のよりどころであった美貌すらも打ち砕かれた。春菜は露出を抑えた青いドレスで登場し、その理知的かつ気高い姿は会場の注目を一身に集め、他の女性達を圧倒した。
春菜の歌と瘴気の浄化
国王の依頼で春菜が独唱した歌は、会場にいた人々の心を打った。一方、バルドが操る瘴気に侵された者達には苦痛を与え、使用人の中には失神する者まで現れた。この現象により、春菜が女神の力を帯びていることがほのめかされた。
二曲目の歌とカタリナ陣営の撤退
続けてエアリスの依頼で春菜が童謡のような歌を披露することとなり、バルドとカタリナはこれ以上の被害を避けるため、体調不良を装って会場を後にした。すでに多数の配下がダメージを受けており、第二の歌による浄化から逃れる必要があった。
春菜への敵意と決意の強化
春菜の存在はカタリナ陣営にとって脅威となり、バルドとカタリナは彼女の排除を最優先事項と認識するようになった。敗北によって精神的に追い詰められた両者は、目的達成よりも自身の生存のために動く覚悟を固め、結束を深める結果となった。
ファーレーン編 十六話
宏の戦闘訓練と騎士団の評価
宏はユリウスやドーガの指導のもと、騎士団の訓練に参加させられたが、二十人連続で引き分けという結果に終わった。攻撃面では未熟なものの、防御力の異常な高さに騎士団は困惑し、宏自身も自らの能力に無自覚であった。ユリウスらは防御面でドーガを上回るとも指摘し、彼の戦闘能力の認識を改めさせようとしていた。
戦闘スタイルの改善と武器の選定
宏の攻撃技術は乏しく、武器の選定においても適性が限られていた。ユリウスとドーガは彼に重量武器、特にポールアックスやヘビーモールを提案し、軽装でも致命傷を受けない彼の特性に合った武器を試させることにした。また、攻撃に対して無謀に突っ込む癖があることを指摘し、これが経験則によるものであることを宏自身が説明した。
戦闘技術習得への抵抗と精神的要因
宏は過去の恐怖体験から戦闘への抵抗感が強く、積極的に戦闘技術を学ぼうとはしなかった。しかし必要性を理解しているため、仕方なく訓練に参加し、防御系スキルの一つである「アウトフェース」の習得に取り組む。初めての発動では過剰な威圧感を放ち、周囲を驚愕させた。
達也と春菜の書庫調査
達也と春菜は、ウルス城の書庫で歴史や異世界からの来訪者に関する資料の調査を行った。膨大な蔵書に圧倒されつつ、春菜は異世界からの来訪者が必ずしも日本人やゲームプレイヤーでない可能性に気づき、達也は建国王の伝承の信憑性に疑問を抱いた。
調査方針の整理と禁書庫の存在
春菜は、異世界から来た人物の情報整理を担当し、達也は歴史的事件の背景調査を進めることとなった。調査を進めるうちに、敵対勢力が宗教的背景を持つ可能性や、過去の事件との類似性が指摘され、より深い情報は禁書庫にあると判断された。
禁書庫からの干渉と春菜の異変
調査中、春菜は禁書庫の方角から強い干渉を感じ、それが敵意ではないものの自然な状況ではないことを自覚した。彼女の異変に達也と司書が対応し、モルト卿の呼び出しが行われた。春菜は頭痛とともに抑えきれない呼びかけに困惑しつつも、事態の重大性を受け入れざるを得なかった。
禁書庫の魔道書との接触
禁書庫の封印越しに何者かから強烈な自己主張を受けていた春菜は、モルト卿の立ち合いのもと禁書庫に入り、呼びかけに応じる魔道書と対面した。その魔道書は封印中でありながらも魔力を発し続けており、春菜に対して「歌うこと」を要求した。春菜が頭に浮かんだ歌詞を旋律に乗せて歌うと、魔道書は強い光を放ち、最終的に自らの意思で書棚へと戻っていった。春菜は膨大な魔力の行使により体力を消耗し、スタミナポーションの助けを借りて回復した。結果として、春菜はアルフェミナ神関連の特殊魔法を中心に、多数の魔法を習得することになった。
禁書庫の構造と魔道書の性質
禁書庫にある魔道書の多くは背表紙にも表紙にも記載がなく、魔力を持ちながらも中身は白紙であり、内容の特定が不可能に近かった。危険度の高い魔道書は隔離されていたが、春菜が接触した魔道書がそれに該当するかは不明であった。モルト卿は、今回の件を王と関係者のみに報告する旨を伝えた。
王宮重鎮からの圧力
宏は道中、昨日の謁見に臨席していた重鎮の一人に呼び止められ、王族の命により一時的に書庫の利用を許されている立場であるにもかかわらず、宮廷から早急に出ていくよう一方的に告げられた。この重鎮は瘴気の影響は受けていないものの、極端な忠誠心と保守的な姿勢から、宏達の存在を混乱の種とみなしていた。
昼食時の情報交換と訓練報告
日本人一行は昼食を取りながら、各自の訓練成果と調査内容を報告し合った。宏は新たに「アウトフェース」を習得したものの、攻撃力の低さは依然として課題であり、ポールアックスの使用で当面を凌ぐ方針が示された。食事は騎士団用の厨房で準備されたが、万一に備えて宏が毒の確認を行っていた。
訓練の進捗と城内の対人関係
真琴と澪はエアリスの護衛と訓練を継続しており、エアリスは飛び道具を防ぐ防御壁の展開が可能になりつつあった。エレーナの侍女たちからの敵意や警戒も依然として強く、澪と宏はその対応に苦慮していた。また、春菜の提案で、厨房に柔らかいパンの発酵技術を伝える案も検討された。
知られざる大陸からの客人に関する調査結果
春菜と達也の調査によって、「フェアリーテイル・クロニクル」と異世界転移との間に直接的な因果関係は見出されなかったことが明らかになった。異世界から来た者にはゲームのプレイヤーもいたが、多くは非プレイヤーであり、時代や地域もばらばらであった。そのため転移には複数のルートが存在する可能性が浮上した。また、料理や生産分野に関しては、宏のようにスキルを応用して社会的インパクトを与えた人物は過去には存在しなかった。
邪神教団の存在とその影響
達也は、ファーレーン国内で暗躍している組織が邪神教団である可能性が高いと報告した。過去にグランドクエストにおいて真琴が戦った勢力と似た特徴を持つが、現時点ではその存在や詳細は明確にされていなかった。この報告により、春菜が夜会で歌った際にカタリナ王女とその側近が苦しんでいた理由も、神聖属性を持つ春菜の歌による瘴気への影響であったと推測された。
禁書庫で得た新たな魔法の正体
春菜は禁書庫での出来事について、アルフェミナ神に関係するエクストラスキル系魔法を押し付けられたと明かした。その厄介さと正体不明の性質に、周囲の者は一様に困惑したが、詳細は後日改めて確認することとなった。春菜自身はそれを一種の出来事として受け入れ、深刻には捉えていなかった。
ファーレーン編 十七話
王城での報告と特殊魔法の検証依頼
昼食後、日本人一行は国王とレイオットに呼び出され、春菜が禁書庫で得た特殊魔法について報告することとなった。場は強力な防御結界が張られた王城の一室であり、王族か姫巫女がいなければ出入りできない場所であった。春菜は新たに習得した魔法の大半が既存の回復・補助・移動・障害魔法であることを説明し、特筆すべきは未知の四種の魔法の存在であった。
実用性の乏しい加速魔法の検証
未知の魔法のうち、一つは使用可能であったが、自身にかけると即座に自滅するほどの危険性があり、その正体は思考と肉体を百倍に加速する補助魔法であった。春菜はこの「オーバー・アクセラレート」の実験を自らの体で実施し、破片を弾いた際に壁に亀裂が生じるほどの威力を示したが、肉体への反動により倒れた。回復には三級ポーションと新たな回復魔法「リターン・ヒール」を使用し、事なきを得た。
回復系魔法の詳細とその限界
春菜が得た他の二つの魔法は、「傷や毒、病の進行時間を加速させて治癒する魔法」と、「それらを受ける前の状態に時間を巻き戻す魔法」であった。これらは死者の蘇生には用いられないが、魂が抜けていない限り、大抵の傷や障害は治癒可能と推定された。国王はその力に関心を示し、加速魔法で受けたダメージに対して回復が可能か実験を求め、春菜は自ら試す決意を固めた。
宏による加速魔法の使用と耐久試験
春菜の実験後、次に宏が同魔法の実験台となり、ポールアックスを用いて人形の的を攻撃した。結果として約五秒の連続攻撃を加えた末に的を粉砕し、自身もそれなりの負荷を感じながらも戦闘不能には至らなかった。この魔法による運動エネルギーの激増は攻撃の威力を劇的に上昇させたが、使用者の肉体と武器に著しい負荷をもたらすという欠点も明らかとなった。
春菜と宏による実用性評価と補足分析
宏は使用者の慣れによっては反動の軽減が期待できる可能性に言及し、継続的な使用による適応が将来的な課題となった。また、魔法の発展によりノックバックが軽減されるかも検証事項とされ、春菜の魔力量と魔法精度が鍵となるとされた。その一方で、宏の使用により一級品の武器が破損したことから、耐久性のある武器の必要性も再認識された。
真琴による実験と女性陣の覚悟
宏の実験後、真琴もまた自らの意志で加速魔法の実験に挑んだ。これは澪の安全を優先した判断であり、春菜と同様の負荷に備える決意の現れであった。彼女は百秒ほど魔法に耐えた後に倒れ、加速魔法の実用限界と訓練の必要性が再度認識された。一方、宏はこの魔法に関して反応速度や持久力が優れていたが、それゆえに今後の検証にも積極的に関与することとなった。
総括と次なる課題の提示
一連の実験を通して、「オーバー・アクセラレート」は極めて強力である一方で、肉体的・技術的制約が大きく、扱うには相応の準備と訓練が不可欠であることが確認された。春菜の魔法成長とともに副作用の軽減が期待されるが、現時点では限定的な使用にとどまるのが現実であった。
カタリナ陣営の密談と春菜への敵意
夕暮れ時、盗聴対策が施された部屋において、カタリナを中心とした貴族らが集い、春菜に対する敵意を露わにしていた。春菜が秘術を授かったという情報に対し、信憑性を疑いつつも、彼女を危険視して排除すべき存在と見なしていた。暗殺をほのめかす発言も出たが、実行の難しさと王の監視を警戒して誰も積極的に動けずにいた。また、秘術に関する情報が彼らに漏れていたのは、国王側の意図的なリークによるものであり、その事実に気づいた一部の者は罠を警戒して動けなかった。
春菜の戦果と暗殺の困難さ
春菜が成し遂げてきた戦果が議論の対象となり、その実力を軽視できないと判断されていた。バーサークベアやピアラノークといった強敵との戦闘経験に加え、賞金首である盗賊団の用心棒を一対一で倒した実績は、彼女の力量の証左とされた。それゆえに暗殺を試みるには、国でも指折りの戦士が必要とされ、容易には実行できないとの結論に至った。
毒殺と宏の妨害による失敗
過去に宏が毒殺を阻止した経験があるため、再度毒を盛る案は現実的でないとされた。宏はマイナーな毒物の成分まで特定して解毒できる技能を持ち、彼が存在する限り毒殺の成功率は著しく低下すると認識されていた。したがって、宏自身を先に排除する案も検討されたが、彼の女性恐怖症を含め、周囲の警戒が厳しく、手出しは困難とされた。
孤立化工作と暗殺者の起用計画
日本人一行を排除するために、まずは宮廷内での孤立化を図り、その上で暗殺者を送り込むという戦略が立案された。一人の侯爵が暗殺者の手配を請け負うと表明し、他の者たちは日本人達を誘導的に孤立させることを了承した。こうして、大国ファーレーンの闇の勢力が、具体的な行動に向けて蠢動を開始した。
エクストラスキルの実用性に関する会話
場面は変わり、宏たちは王族との面会後、弛緩した空気の中でエクストラスキルの話題を交わしていた。真琴は人間の限界を超えるスキルは基本的に使い勝手が悪く、神の領域に踏み込むものである以上、当然の結果であると述べた。宏もまた、自身の生産スキルの非実用性を実感しており、春菜の得た「オーバー・アクセラレート」なども使用の難しさを含め、慎重に扱うべきものであると理解していた。
レイオットの危機意識と戦略的評価
レイオットは、春菜が得た魔法を敵の暴発に備える切り札と位置付けており、神殿での戦闘を通じて敵の脅威を痛感していた。彼は相手が自滅するように仕向ける形で対応すべきとし、日本人達の持つ超常的な力に期待を寄せていた。宏はそうした状況を快く思っていなかったが、既に巻き込まれた自覚を持ち、成り行きを受け入れる姿勢を示していた。
カタリナ排除の困難と今後の対応方針
カタリナを処分することは解決策とはならず、彼女に従う側近たちの存在や政治的影響力も問題視されていた。日本人達は、今後の自衛手段として宮廷内での立ち回りを見直し、敵対勢力の干渉を最小限に抑える努力をする方針を確認した。レイオットもまた、機密に関わらない範囲で行動を制限しないと明言し、協力体制の維持が図られた。
歴史的転換点とその痕跡
会話を終えた一行は、それぞれの行動に移り、ドーガの案内により城内を移動した。ファーレーン王国の未来を左右する歴史的な出来事の痕跡は、ただ一つ、実験で生じた壁のひび割れとして残されることとなった。
同シリーズ
フェアリーテイル・クロニクルシリーズ




























その他フィクション

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