物語の概要
本作は、異世界ファンタジーと転生要素を融合させたライトノベルである。騎士を目指す少女フィーアは、死の淵で前世の記憶を取り戻し、自身がかつて「大聖女」として崇められていた存在であることを思い出す。しかし、前世で「聖女として生まれ変わったら殺す」と魔王の側近に脅されたことから、彼女は聖女であることを隠し、騎士として静かに生きることを決意する。だが、持ち前の聖女の力が周囲に影響を与え、彼女の平穏な生活は次第に騒がしくなっていく。
主要キャラクター
• フィーア・ルード:本作の主人公。騎士家の娘であり、騎士を目指している。前世では大聖女セラフィーナであり、その記憶と力を持つ。身長150cm。趣味は裁縫。
• ザビリア:フィーアの従魔である黒竜。彼女に忠誠を誓い、共に行動する。
• サヴィス・ナーヴ:フィーアを支える騎士団の仲間。忠実で頼れる存在。
• シリル・サザランド:冷静沈着な騎士団の団長。フィーアの力に興味を持つ。
物語の特徴
本作の最大の特徴は、前世の記憶を持つ主人公が、自身の力を隠しながらも周囲に影響を与えていく点にある。フィーアの天然な言動と、それに振り回される騎士団の面々とのやり取りがコミカルに描かれ、読者に笑いと感動を提供する。また、前世の因縁や謎が物語に深みを加え、単なる異世界転生ものとは一線を画している。
書籍情報
転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す 1
著者:十夜 氏
イラスト:chibi 氏
出版社:アース・スター エンターテイメント
レーベル:アース・スターノベル
発売日 :2019年 6月15日
ISBN:978-4-8030-1360-3
メディア関連
コミカライズ版『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す A Tale of The Great Saint』が連載中。
スピンオフ小説『転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す ZERO』が刊行されている。
2025年にはTVアニメ化が決定しており、公式サイトが公開されている。
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あらすじ・内容
ぶふふわっ 何よこのでたらめな力は!!
騎士家の娘として騎士を目指していたフィーアは、死にかけた際に「大聖女」だった前世を思い出す。
え?聖女って、すごく弱体化しているのに、絶滅寸前なため、崇められている職業だよね?
私が使う聖女の力って、おとぎ話と化した「失われた魔法」ばっかりなんだけど。
そういえば、前世で、「聖女として生まれ変わったら殺す」って魔王の右腕に脅されたんだっけ。
こんな力使ったら、一発で聖女ってバレて、殺されるんじゃないかしら。
…ってことで、初志貫徹で騎士になります! 静かに生きます!
なーんて思ったけど、持っている力は使っちゃうよね。だって、色々便利だから…。
感想
かつて大聖女として生きた少女フィーアの前世は、あまりにも残酷な結末を迎えていた。仲間から裏切られ、魔族に捕らわれ、凌辱された末に処刑されるという壮絶な運命は、読者の心に深い衝撃を与えるものであった。そして、その痛ましい記憶が、竜の子どもに噛まれた衝撃で甦るという設定が、物語の導入に強い引力をもたらしていた。
今世のフィーアは、前世の記憶に怯えながらも、聖女であることを必死に隠して生きようとする。だが、騎士としての力量には限界があり、思わず聖女の力を使ってしまう場面が頻発する。この「隠しているのにバレる」構図は、彼女の言動と合わせて滑稽であり、読者に笑いを誘う展開となっていた。
特に、黒竜をうっかり従魔にしてしまう場面や、兄たちの嫉妬により全力で試験に挑まれるくだりは、シリアスとコメディの境界を巧みに行き来していた。力を隠すために努力しているのに、結果的に注目を集めてしまうという展開が、主人公の愛される理由のひとつである。
また、フィーアの「思考が現実についていかない」様子は終始一貫して描かれており、読者はその天然ぶりに振り回されながらも、どこか応援したくなる気持ちにさせられる。恋愛要素についてはまだ大きく展開していないが、これだけ周囲を巻き込む彼女であれば、いずれ恋が絡んだ時には大混乱を巻き起こすであろうという期待感がある。
終盤に登場した他国のキャラクターたちとの再会を含め、続巻への布石も巧みに敷かれていた。前世での死後、国がどう変化したのか、彼女自身の建国神話がどう作られたのかといった点にも注目が集まるが、当の本人がそこに全く興味を示さないのもまた彼女らしい。
全体として、悲劇的な前世を背負いながらも、天然かつ破天荒なフィーアが周囲を振り回しつつ、力を隠して“普通”に生きようとする姿は、愛らしくも愉快であった。今後、彼女の周囲にどれほどの波乱が巻き起こるのか、期待が膨らむばかりである。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
前世の大聖女
大聖女の正体と悲劇的生涯の全貌
ソースの情報に基づき、フィーアの前世である大聖女について、圧倒的な力を持った王女、裏切りと悲劇的な最期、現代に伝わる偽りの伝説と大聖女の赤、および今世のフィーアへの影響の各点から解説する。
圧倒的な力を持った王女としての生誕
前世の大聖女は、約300年前のナーヴ王国の王女であった。
・当時の世界では女性の半分以上が回復魔法を使える聖女であったが、彼女は王族の中でも精霊の力を最も濃く引き継いでいた。
・幼い頃から森や山で精霊と深く交流して魔法を学んだ。
・あらゆる傷や欠損を瞬時に治して病気を快癒させるだけでなく、状態異常の回復、身体強化、物理および魔法防御、装備への魔法効果付与など常識外れの力を持っていた。
・彼女が生きていた時代において唯一大聖女という尊称を与えられていた。
兄たちの裏切りと凄惨な最期
大聖女は兄である3人の王子たちと共に悲願の魔王討伐へ赴き、魔力を使い果たしてボロボロになりながらも魔王を封じることに成功した。
・魔力が尽きて一切の回復魔法が使えなくなった彼女に対し、兄たちは目障り、使い捨て、後ろの安全な場所から回復魔法をかけていただけと罵り、彼女を魔王の城に置き去りにした。
・魔王の右腕である美しい魔人に捕らえられた彼女は、お前が聖女だからこんな目にあうのだと憎悪をぶつけられた。
・凄惨な拷問と辱めを受けた末に残酷な方法で殺害された。
後世の偽りの伝承と国旗に残る赤
死後約300年が経過した現在、彼女の強大な力はおとぎ話や伝説と化している。
・後世の歴史では「大聖女は魔王討伐を行った勇者と結ばれ、その子孫が代々国を治めた」と語り継がれている。
・実際には彼女は恋も結婚もしないまま亡くなっており、この伝承は真っ赤な嘘である。
・当時の騎士団総長が大聖女の髪色に合わせて国旗の色を赤に変更していた。
・大聖女の赤と呼ばれる色は、限られた職人の門外不出の染色技術によって現在の国旗にも受け継がれている。
前世の記憶の覚醒と今世フィーアの決意
主人公のフィーアは、瀕死の重傷を負った際にこの大聖女の記憶を取り戻した。
・現在のフィーアの赤髪と金の瞳は前世の大聖女と全く同じであり、当時の強大な魔法の力もそのまま引き継いでいる。
・前世の最期に魔人から聖女として生まれ変わったら殺すと宣告された恐怖が深く刻まれている。
・彼女は自分が聖女であることをひた隠し、騎士として生きる道を選んでいる。
まとめ
大聖女の生涯と影響を巡る一連の全貌は、圧倒的な力を持った王女としての活躍から始まり、身内の裏切りによる悲劇的な死、後世における捏造された伝説、そして今世のフィーアへのトラウマと選択に至るまで、彼女の辿った過酷な運命を明瞭に示している。過去の凄惨な記憶や死の恐怖という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を聖女としての過去を隠し騎士として生きる意志によって完璧に確立するに至る、前世の解明と新たな選択の記録である。記憶の覚醒から、トラウマの自覚、偽史の認識、そして騎士としての決意へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
騎士団入団試験
騎士団入団試験と異例の配属の全貌
フィーアが受験した王国の「騎士団入団試験」について、試験の概要と背景、一次試験、二次試験、三次試験、および合格発表と異例の配属の各点から解説する。
試験の概要と倍率
騎士団入団試験には「騎士養成学校卒業枠」と「一般枠」の2種類があり、それぞれ別の日に行われる。
・フィーアが受験したのは王城内で行われた一般枠の試験である。
・約7,000名の応募者に対して合格者はわずか100名という非常に高い倍率であった。
・フィーアは成人の儀を終えてからの3か月間、自身の持つ大聖女の力の検証と魔力を節約した戦闘訓練を重ねてこの試験に臨んだ。
一次試験:次兄レオンとの打ち合い
一次試験は、若手騎士である試験官の打ち込みを10合受け止めれば合格という実技試験である。
・フィーアの列の試験官は、彼女を快く思っていない次兄のレオンであった。
・レオンは他の受験生を次々と1合で弾き飛ばして不合格にしていた。
・フィーアは同じ受験生のファビアンの助言で列の後方に逃げようとしたが、レオンに見つかり名指しされた。
・フィーアは聖女の身体強化魔法で自身の攻撃力と速度を1.5倍に引き上げてレオンと互角に打ち合い、10合目で逆にレオンの剣を弾き飛ばすことに成功した。
・周囲の注目を避けるため、試験官が手を抜いてくれたおかげと誤魔化して退室した。
・一次試験を通過して二次試験に進んだのは、全体の約2割であった。
二次試験:独特な筆記試験
二次試験は100分間の筆記試験であるが、合否の判定にはほぼ影響しない形式的なものであった。
・出題内容は「騎士団の制服を描け」「先輩騎士が騎士団長の悪口を言っていたらどうする?」といった変則的な問題ばかりであった。
・フィーアは最初戸惑ったものの、悪口を悪口と見なさない回答など独自の柔軟な発想で解答を書き上げた。
三次試験:長兄アルディオとの対決
合否の決定打となる三次試験は、試験官との3分間の模擬戦で、勝ち負けではなく「戦い方が騎士としてふさわしいか」で評価されるものであった。
・フィーアは、成人の儀で父親からもらった鉄剣(自身で魔法効果を付与し、さらに隠蔽魔法をかけたもの)を使用して試験に臨んだ。
・フィーアの試験官として立ち塞がったのは、凄腕の長兄「氷の騎士」アルディオであった。
・まともに戦っては勝ち目がないと判断したフィーアは、黒竜ザビリアから得たAランク魔石を剣にはめ込み麻痺の効果を付与して挑んだ。
・自ら名付けた必殺技で1合だけ打ち合い、アルディオを100%の確率で麻痺させて行動不能に追い込み、そのまま3分間経過させて合格をもぎ取った。
合格発表と異例の配属
10日後の合格発表で、フィーアは無事に合格を果たした。
・三次試験でフィーアが密かに回復魔法をかけて腕の痛みを和らげてあげた銀髪の青年ファビアンも合格していた。
・2人の配属先は「第一騎士団」と発表された。
・ここは王族の警護を担う超エリート部隊であり、通常は10年以上の経験を積んだ騎士しか配属されない部署である。
・新人が第一騎士団に配属されるのは史上初の異例な事態であった。
まとめ
騎士団入団試験を巡る一連の全貌は、高倍率の一般枠試験から始まり、兄レオンとの実技対決、独特な筆記試験、長兄アルディオとの模擬戦突破、そして史上初となる第一騎士団への配属に至るまで、フィーアが騎士としての第一歩を踏み出す過程を明瞭に示している。家族からの圧迫や過酷な選考という試練を、自らの機転と秘められた実力によって突破するに至る、入試突破と異例の抜擢の記録である。試練の開始から、身内の突破、奇策の実行、そして異例の配属へと繋がったプロセスは、どれほど複雑な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
大聖女の秘匿
大聖女の正体の秘匿と周囲の認識の全貌
フィーアが前世の大聖女であることを隠している理由や、その秘匿の状況について、聖女であることを隠す最大の理由、秘匿のための独自のルールと推測、力を使ってしまった際の誤魔化し方、および周囲の認識とのズレの各点から解説する。
聖女であることを隠す最大の理由
フィーアが聖女の力をひた隠しにする最大の理由は、前世で魔王の右腕である魔人に惨殺されたトラウマと恐怖によるものである。
・死の間際に「お前が聖女だからこんな目にあうのだ」「聖女として生まれ変わったら殺す」と宣告されていた。
・自分が大聖女の生まれ変わりだと判明したら再び殺されると確信している。
・誰かに守られる無力な聖女ではなく、自分の身を自分で守れる騎士になることを目指した。
・前世の兄レベルの強い剣士が3人仲間になるまでは、聖女の力は封印すると決意している。
秘匿のための独自のルールと推測
フィーアは検証の結果、今世でも前世同様に強大な魔法が使えることを確認した。
・前世の聖女たちは精霊と契約してその力を借りていたが、魔人たちが精霊の残滓から聖女を探し出すことを知っていた。
・今世の彼女は精霊と契約しておらず自身の魔力のみで魔法を行使する。
・精霊の力を使わなければ残滓も残らず、魔人に見つかることはないと推測した。
・バレない範囲でこっそりと力を使用している。
力を使ってしまった際の誤魔化し方
どうしても力を使わざるを得ない場面や、うっかり使ってしまった場面では、彼女なりの方法で誤魔化している。
・ファビアンの治療では、入団試験でファビアンの折れた腕を治した際、魔法発動の言葉を唱えずに触れただけで痛みを消した。ファビアンは自分が事前に飲んだ回復薬と、後で教会の聖女に治療してもらったおかげと思い込み、フィーアの仕業だとは気づかなかった。
・冒険者への魔法行使では、訳ありの冒険者パーティと同行し回復魔法や補助魔法を使った際、冒険者について行き聖女の役目を全うしなければ行き遅れるという呪いにかけられ、一時的に聖女の力を授かっているという荒唐無稽な嘘をつき通した。
・付与魔法をかけた武器については、自身の剣にロストテクノロジー級の魔法を付与しているが、成人の儀のお祝いに父からもらったと主張し、父親のドルフも巻き込んで誤魔化している。
周囲の認識とのズレと秘匿の継続
フィーアの規格外な戦闘指揮能力や観察眼について、シリル第一騎士団長やデズモンド第二騎士団長は非常に高く評価し警戒しているが、彼女が聖女であるとは全く疑っていない。
・サヴィス総長はフィーアの赤髪と金の瞳が、300年前の大聖女と全く同じ色であることに気づいた。
・総長はお前に聖女の力がないのは幸いだなと述べており、微小でも力があれば偶像として祭り上げられていただろうと考えている。
・まさかフィーア本人が伝説の大聖女の生まれ変わりだとは夢にも思っていない。
・フィーアの独特な言い訳と周囲の思い込みが重なり、現在のところ大聖女としての正体は最初の眷属となった黒竜ザビリア以外には完璧に秘匿されている。
まとめ
フィーアによる大聖女の正体の秘匿を巡る一連の全貌は、前世のトラウマに起因する隠蔽の決意から始まり、精霊の残滓を残さない魔法行使の工夫、奇抜な言い訳による追及の回避、そして周囲の勘違いによる秘匿の継続に至るまで、彼女が正体を隠しながら騎士として生きる試行錯誤を明瞭に示している。死の恐怖や運命の呪縛という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの機転と強い意志によって完璧に確立するに至る、正体隠蔽と自己防衛の記録である。トラウマの自覚から、魔力行使の工夫、奇策の展開、そして完璧な秘匿の成立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
黒竜ザビリア
黒竜ザビリアの正体と能力の全貌
ソースの情報に基づき、フィーアの従魔である黒竜ザビリアについて、伝説の黒竜王、フィーアとの出会いと従魔契約、能力と特徴、およびブルーダブへの変装と周囲の反応の各点から解説する。
最上級危険度を誇る伝説の黒竜王
ザビリアは、最上級危険度であるSSランクの伝説級の魔物「黒竜王」である。
・複数の騎士団長と精鋭騎士300名がかりでも討伐できるかどうかわからないほどの圧倒的な強さを誇る古代竜種である。
・竜族の年齢としてはまだ0歳(人間換算で12〜13歳)であり、これからの成長期にある。
命の救済と従魔契約の締結
フィーアが成人の儀の魔石を求めて森を訪れた際、大怪我をして幼体化(黒い鳥の雛の姿)していたザビリアを発見した。
・フィーアが姉からもらった回復薬を飲ませたところ、回復に伴う激痛で暴れたザビリアに噛みつかれ、フィーアは致命傷を負った。
・その死の淵で前世の大聖女の記憶を取り戻したフィーアが無意識に「完全回復」の上級魔法を使用し、自身の傷とともにザビリアの命を救った。
・竜族には「命を救われたらその人に命を捧げる」という掟があり、ザビリアはフィーアに隷属の契約を申し出た。
・フィーアの左手首には契約完了の証として幅1ミリの黒い輪が刻まれ、ザビリアは彼女の初めての魔物の友達にして従魔となった。
規格外の能力と多彩な特徴
ザビリアは圧倒的な戦闘力をはじめとする多彩な能力を持っている。
・圧倒的な戦闘力:Aランクの魔物を含め、一晩で50〜60匹の強そうな魔物を単独で退治したり、咆哮一つで木から複数の魔物を狩り落としたりする規格外の強さを持つ。
・魔力の共有:契約主であるフィーアと魔力を共有でき、フィーアが魔法の使いすぎで魔力切れを起こした際には、自身の魔力を分け与えて助けた。
・縮小化と威嚇:成長した本来の姿は体長10メートルにも及ぶ巨体であるが、自らの意思でフィーアの手のひらに乗るサイズまで縮小化することができる。特殊な威嚇音を出すことで、他の魔物を大人しくさせることも可能である。
・人語の理解と会話:フィーアと普通に会話ができるほか、第四魔物騎士団のギディオン副団長に対しては、鳥のさえずりを装って悪口を言うなど、知能が高く人間くさい一面も見せる。
最弱魔物への偽装と真実を知る者の戦慄
フィーアが第四魔物騎士団に出入りする際、目立たないようにするため偽装施策が取られている。
・フィーア手作りの青い鳥型の魔物「ブルーダブ」の羽を縫い付けた防寒着兼パペットを着せられ、最弱魔物に偽装させている。
・ギディオン副団長らはこの偽装に完全に騙されて最弱の魔物と見くびっている。
・相手のエネルギーを視覚化できる第四魔物騎士団長クェンティンは、フィーアの肩に乗るザビリアを一目見てSSランクの黒竜であると見抜いた。
・クェンティンはザビリアをペットのように扱うフィーアのことを「天災級の化け物」と認識して恐怖している。
・普段はフィーアの服の中に入って眠ったり甘えたりしており、フィーアの聖女としての正体を知りながら彼女を全力で守ると誓う良き相棒となっている。
まとめ
黒竜ザビリアを巡る一連の全貌は、SSランクの黒竜王としての圧倒的な存在感から始まり、死の淵でのフィーアとの出会いと従魔契約、多彩な超常能力の発揮、そしてブルーダブへの偽装と真相を知る者への戦慄に至るまで、二人の強固な絆を明瞭に示している。種族の宿命や外敵の脅威という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を互いを慈しむ強い意志と契約の絆によって完璧に確立するに至る、従魔契約と相棒獲得の記録である。運命の出会いから、契約の締結、能力の開露、変装の実行、そして絶対的な信頼の確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
第一騎士団配属
第一騎士団配属の経緯と新人生活の全貌
ソースの情報に基づき、フィーアの「第一騎士団配属」について、史上初の異例な新人配属、警護対象の王族と作為的な男女比、第一騎士団特有の教養訓練、および上層部からの並々ならぬ注目と保護の各点から解説する。
史上初の異例な新人配属
騎士団入団試験から10日後の合格発表にて、フィーアと銀髪の青年ファビアンは、揃って「第一騎士団」に配属されることが判明した。
・騎士団は全部で20あるが、第一騎士団は王族警護を担うスーパーエリート集団であり、通常は10年以上の経験を積んだ騎士しか配属されない。
・新人が配属されるのは記録に残っている限り初めての事態であった。
・同期の配属者もフィーアたち2人を含めてわずか20名のみという特例中の特例であった。
警護対象の王族と作為的な男女比
第一騎士団の警護対象となる王族は、現在「国王陛下」と王弟である「サヴィス騎士団総長」の2名のみである。
・国王は女性を愛することができないと公言しており、世継ぎは王弟である総長だとされている。
・今回第一騎士団に新たに配属された新人20名のうち、半数の10名が女性であった。
・これは通常の騎士団の男女比から考えても明らかに多すぎるため、フィーアは王家側の作為的な意図があるのではないかと推測した。
・実際、サヴィス総長の内心では「近々、若い女性騎士が必要になるための配置」であることが示唆されている。
第一騎士団特有の教養訓練
第一騎士団に配属された新人は、最初の数ヶ月間は警護のシフトから外され、特殊な訓練を受けることとなった。
・王族の警護という任務柄、剣術や乗馬といった通常の訓練に加えて、礼儀作法、ダンス、大陸共通語、音楽、詩歌など、教養の時間が多く設けられている。
・侯爵家嫡男のファビアンは詩歌でも優秀な成績を収めた。
・前世が300年前の王女であるフィーアにとっては古い知識が役に立たず、この教養の時間をあまり楽しく思っていなかった。
上層部からの並々ならぬ注目と保護
新人が第一騎士団に配属されたというだけでも目立つが、フィーアは入団式でのサヴィス総長との模範試合などを通じて、さらなる注目を集めた。
・サヴィス総長は、熱狂する新人たちの中で唯一冷静に戦局を分析していたフィーアの「支配者の目」に強い興味を抱いた。
・直属の上司となるシリル第一騎士団長も、フィーアの規格外な能力や素直な性格を理解した上で彼女を好意的に捉えた。
・他団の団長(デズモンド第二騎士団長など)からの執拗な干渉を牽制して手厚く保護する姿勢を見せた。
まとめ
第一騎士団配属を巡る一連の全貌は、史上初となる新人配属の決定から始まり、王家の思惑が透ける男女比の不自然さ、特有の教養訓練の実施、そしてサヴィス総長やシリル団長からの特別な注目と保護に至るまで、フィーアが騎士として歩み出す環境の特異性を明瞭に示している。異例の抜擢や周囲からの警戒という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの優れた観察眼と上層部との良好な関係性によって完璧に確立するに至る、第一騎士団配属と環境適応の記録である。異例の配属決定から、組織内の背景察知、教養訓練の消化、そして上層部による保護の確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
聖女の在り方
作中における聖女の在り方の変遷と影響の全貌
ソースの情報に基づき、作中における「聖女の在り方」の変遷と、それに対するフィーアの考えや影響について、前世における騎士の盾としての聖女、現代の聖女の弱体化と特権階級化、フィーアの涙と現代の在り方への否定、および真の聖女の姿の継承の各点から解説する。
前世における騎士の盾としての聖女の矜持
300年前の世界では、女性の半分以上が精霊と契約して回復魔法を使える聖女であった。
・当時の聖女は回復役に特化しており、攻撃役の騎士と組み合わせて戦うのが当たり前であった。
・前世で大聖女だったフィーアは、聖女は騎士の盾であるという強い矜持を持っていた。
・戦場がどれほど陰惨であろうとも決して逃げることなく戦いの中心に身を置き、剣や斧を振るう騎士たちを癒すことだけに全力で注力するのが本来の聖女の正しい在り方であった。
現代の聖女の弱体化と特権階級化の実体
現在では精霊との契約が失われ、過去の契約者の血を引くごくわずかな女性だけが聖女として認定されている。
・絶対数が激減したため聖女は国家によって手厚く保護され、幼い頃に教会に引き取られて大切に育てられている。
・貴族からの求婚が殺到し、どこへ行っても聖女様と崇め奉られるため、現在の聖女たちは自分が選ばれた者だとうぬぼれ、ひどく傲慢な存在に成り果てていた。
・第六騎士団の魔物討伐に同行した聖女たちは、森を歩く際に騎士に枝葉を刈り払わせ、戦闘が始まると安全な岩場に避難して談笑し、戦闘終了後にごく軽度の傷を3人がかりで時間をかけて治すといった有様であった。
フィーアの慟哭と歪んだ偶像化への拒絶
かつて命懸けで騎士を癒やしていたフィーアは、第六騎士団の討伐で現代の聖女の体たらくを目の当たりにし、いつから聖女がゆがんでしまったのかと前世の誇りを思い出して大泣きした。
・サヴィス総長やシリル第一騎士団長との酒席で聖女について問われたフィーアは、現代の聖女の姿を厳しく批判した。
・あなた方は聖女をどうしたいのか、祀り上げて女神にでもするつもりかと問いかけ、王族たちが作り上げた偶像としての聖女の在り方を真っ向から否定した。
・聖女は騎士の盾であると断言した。
・最前線で戦いながら現代の聖女の在り方に強い違和感と葛藤を抱き続けていたシリル団長にとって、フィーアの言葉は神の啓示を受けたような強烈な衝撃を与えるものであった。
慈愛の心と本来の技術の継承
現代の聖女の在り方に苦しんでいたのは、騎士たちだけではなかった。
・フィーアが出会った7〜8歳の幼い聖女シャーロットは、聖女の力が弱く回復薬も作れない自分を出来損ないと卑下し、名前すら呼んでもらえない孤独に泣いていた。
・フィーアは彼女を外に連れ出し、泉の水と摘みたての薬草を使って回復薬を作る練習をさせた。
・ケガをした魔物がいて痛がっているから魔力を流すようにと導き、ただの作業ではなく傷ついた者を思いやる心と自然の力を使う本来の回復魔法の在り方を教えた。
・フィーアの補助によって見事な回復薬を作り出したシャーロットに対し、いい聖女になると優しく自信を与えた。
まとめ
聖女の在り方の変遷とフィーアの影響を巡る一連の全貌は、前世における騎士の盾としての誇りから始まり、現代における特権階級化と弱体化の現実、歪んだ構造に対するフィーアの糾弾、そして幼い聖女への真の心の継承に至るまで、聖女の本質を取り戻していく過程を明瞭に示している。特権意識や形骸化した偶像化という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を他者を慈しむ本来の心と強い決意によって完璧に確立するに至る、概念の正当化と志の継承の記録である。矜持の確認から、現行体制への否定、真実の提示、そして次世代への伝承へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
ルード騎士家
フィーア・ルード
ルード騎士家の末子である。前世は「大聖女」である。前世で殺害された記憶から聖女であることを隠している。現在は騎士を目指している。ザビリアと従魔契約を結んだ。
・所属組織、地位や役職
第一騎士団・新人騎士。ルード騎士家次女。
・物語内での具体的な行動や成果
黒竜ザビリアを回復魔法で救って従魔とした。騎士団入団試験に合格し、第一騎士団に配属。魔物討伐で指揮を執り、味方を無傷で生還させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新人で第一騎士団配属という特例を受けた。サヴィス総長やシリル団長らから観察眼や戦術能力を評価されている。
オリア・ルード
ルード騎士家の第2子で長女である。焦げ茶色の髪と大きな瞳を持つ。フィーアを心配し、思いやる心を持っている。
・所属組織、地位や役職
ルード騎士家・長女。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアの「成人の儀」の前に回復薬を渡した。フィーアが黒竜と帰還した際、従魔の討伐は本人の成果と見なして合格を宣言。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
父ドルフに対して提案を行った。フィーアの黒竜従魔の件で王族との婚姻を利用して騎士団長に昇進できると伝えた。
レオン・ルード
ルード騎士家の次男である。茶色の髪と細い目を持つ。フィーアの剣の腕を見下している。
・所属組織、地位や役職
ルード騎士家・次男。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
騎士団試験の一次試験で試験官を務め、フィーアと対峙。10合目でフィーアに剣を弾き飛ばされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィーアの実力を認めていなかった。しかし、総長との模範試合の際にはフィーアを鼓舞する姿勢を見せた。
アルディオ・ルード
ルード騎士家の長男である。アイスブルーの髪と冴え冴えとした容姿を持つ。12歳で入団した実力者である。「氷の騎士」の二つ名を持つ。
・所属組織、地位や役職
ルード騎士家・長男。騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアが黒竜と帰還した際、事実関係を問い質した。騎士団試験の三次試験でフィーアと対峙し、麻痺の魔法を付与された剣で行動不能にされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィーアの総長との模範試合の直前には妹を激励した。高い理想論を語って勇気づけた。
ドルフ
ルード騎士家当主である。フィーアたちの父親である。名誉を重んじる性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
ルード騎士家・当主。第十四騎士団・副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアの黒竜従魔の件を騎士団に報告しないことを決定。入団式でフィーアの魔剣の出所が自身であるとされ、総長に対して釈明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オリアから王家との縁談を利用した昇進を提案された。しかし、実力主義を掲げて拒否した。
ナーヴ王国黒竜騎士団(王族)
サヴィス・ナーヴ
ナーヴ王国黒竜騎士団の総長である。国王の弟である。隻眼と黒髪黒瞳を持つ。実力と存在感で騎士団を掌握している。フィーアの観察眼に強い関心を持つ。
・所属組織、地位や役職
ナーヴ王国黒竜騎士団・総長。王弟。
・物語内での具体的な行動や成果
騎士団入団式でフィーアを模範試合の相手に指名し、剣を交えた。フィーアの剣が魔剣であることを見抜き、シリル団長の剣を折って性能を証明。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
次期国王として広く認知されている。フィーアの赤い髪が国旗の「大聖女の赤」と同じであると認識した。
第一騎士団
シリル・サザランド
第一騎士団長である。サザランド公爵である。総長サヴィスの右目を自認し、彼に忠義を尽くす。常に穏やかな笑みを浮かべる。部下や敵に対しては冷徹な一面も見せる。
・所属組織、地位や役職
第一騎士団・団長。サザランド公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアの魔剣の威力を確認するため、総長の一撃を受けて自身の剣を折られた。魔物討伐で指揮を執ったフィーアの分析力に驚愕し、のちに聴取を実施。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
総長に次ぐ王位継承権第2位を持つ。「王国の竜」と称される実力者である。
ファビアン・ワイナー
ワイナー侯爵家嫡男である。銀髪の青年である。礼儀正しく親切な性格を持つ。フィーアと同期で第一騎士団に配属された。ともに行動することが多い。
・所属組織、地位や役職
第一騎士団・新人騎士。ワイナー侯爵家嫡男。
・物語内での具体的な行動や成果
騎士団入団試験の一次試験でフィーアに助言を与えた。三次試験で腕を負傷していたが、フィーアの魔法によって痛みが引き合格。魔物討伐任務に同行し、副作用で苦しむフィーアを介助した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騎士団入団式で新人騎士代表として挨拶を務めた。
オルガ
象牙色の肌と黄色の髪を持つ長身の女性騎士である。さばさばとした性格を持つ。同室のフィーアに対等に接する。
・所属組織、地位や役職
第一騎士団・騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
騎士寮でフィーアと同室になり、入団式の朝に言葉を交わした。二日酔いのフィーアに水を渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騎士団に入団して12年目の経験を持つ。
第二騎士団
デズモンド・ローナン
第二騎士団長である。ローナン伯爵家当主である。濃紺の髪を持つ。過去の婚約破棄から女性に対して不信感を抱いている。フィーアに対して興味を持ち、チェスの相手を務める。
・所属組織、地位や役職
第二騎士団・団長。憲兵司令官。ローナン伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
娯楽室でフィーアとチェスをさし、彼女の能力を探った。シリル団長とともに夜の娯楽室で酒を飲み交わし、フィーアの影響力を分析。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
尋問や拷問の第一人者である。「王国の虎」と呼ばれる実力者である。
第三魔道騎士団
イーノック
第三魔道騎士団長である。藤色の長い髪を持つ。魔法術式に特化した頭脳を持つと言われている。
・所属組織、地位や役職
第三魔道騎士団・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアの魔剣を調査した。300年前の「超黄金時代」に作製された効果変動型の剣であると判定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
他の騎士団長との秘密会議に参加し、剣に関する情報を提供した。
第四魔物騎士団
クェンティン・アガター
第四魔物騎士団長である。浅黒い肌に濡羽色の髪を持つ大柄な騎士として知られる。相手のエネルギーを視覚化できる特異体質を持つ。
・所属組織、地位や役職
第四魔物騎士団・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
「黒き王」の捕獲という特命を受け、霊峰黒嶽や各地の洞窟を探索。自室でザビリアとフィーアのエネルギーを見て戦慄した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ザビリアをSSランクの黒竜と認識した。フィーアをそれ以上の存在であると判断した。
ギディオン・オークス
第四魔物騎士団の副団長である。赤銅色の髪を持つ大柄な体格を持つ。直情的で魔物騎士団の地位向上に執着している。フィーアに対して敵対的な態度を取る。
・所属組織、地位や役職
第四魔物騎士団・副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアに従魔への回復薬投与を命令した。フィーアの従魔の証を見て弱い魔物だと嘲笑し、シリル団長から職務怠慢について追及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
団長不在時の実質的な責任者として団を指揮していた。
パティ・コナハン
第四魔物騎士団の副団長補佐である。若草色の髪を持つ。穏やかで理知的な性格である。横暴なギディオンをたしなめる役割を担う。
・所属組織、地位や役職
第四魔物騎士団・副団長補佐。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアに魔物騎士団の仕組みを説明した。ギディオンがフィーアを嘲笑した際、彼の過去の言動を指摘して庇った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ギディオンの補佐として団の業務を管理している。
第六騎士団
ガイ
第六騎士団の副団長である。
・所属組織、地位や役職
第六騎士団・副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
星降の森に到着した聖女たちを出迎えた。そして挨拶を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
討伐に参加した騎士の現場責任者として行動した。
ヘクター
第六騎士団第三小隊の小隊長である。
・所属組織、地位や役職
第六騎士団・第三小隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
聖女たちに同行の意向を伺った。帰路でフラワーホーンディアの不意打ちを受け、吹き飛ばされて前後不覚に陥った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦闘後にシリル団長からの追及を受けた。自身が気絶していたことを理由に謝罪した。
ザカリー
第六騎士団長である。錆色の髪を持つ。酒に酔うと自らの腹筋について泣きながら語る癖がある。
・所属組織、地位や役職
第六騎士団・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
部下たちにフラワーホーンディアに関するレポート提出を命じた。肉祭りでフィーアに腹筋の悩みを吐露。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィーアがお腹を見せて反論したことで考えを改めた。以降は腹筋の話題を口にしなくなった。
教会
シャーロット
オレンジ色の髪を持つ幼い聖女である。回復魔力が弱く、周囲から名前で呼ばれない孤独を抱えている。フィーアに助けられ、彼女を慕うようになる。
・所属組織、地位や役職
教会・聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアと一緒に従魔への回復薬投与を手伝った。泉でフィーアの指導を受け、魔力を流して回復薬を作製した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身の能力に自信を持てなかったが、フィーアの支援で回復魔法の感覚を掴んだ。
アルテアガ帝国
レッド
赤髪の大男の剣士である。直情的だが面倒見が良い性格を持つ。流血の呪いを受けている。アルテアガ帝国の皇族に名を連ねる。
・所属組織、地位や役職
アルテアガ帝国・皇族。冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアの同行を許可し、双頭亀との戦闘では右腕を失いながらも奮闘。フィーアに呪いを解除され、額からの流血が止まった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帰還後にアルテアガ帝国の新皇帝として即位した。
グリーン
緑髪の大男の斧使いである。人当たりが良く、明るく振舞う。流血の呪いを受けている。アルテアガ帝国の皇族に名を連ねる。
・所属組織、地位や役職
アルテアガ帝国・皇族。冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアをパーティに受け入れ、双頭亀との戦闘では肩と耳を失いながらも立ち向かった。フィーアに呪いを解除された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新皇帝の弟として国を導く立場となった。
ブルー
青髪の整った顔立ちの剣士である。寡黙で慎重な性格を持つ。呪いを受けずに生まれたことに負い目を感じている。アルテアガ帝国の皇族に名を連ねる。
・所属組織、地位や役職
アルテアガ帝国・皇族。冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
フィーアに男ばかりのパーティに同行する危険性を説いた。双頭亀の戦闘を見守っていたが、フィーアの叱咤を受けて参戦し、双頭亀の左手を切り落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新皇帝の弟として国を導く立場となった。
従魔・魔物
ザビリア
SSランクの伝説級魔物「黒竜王」の幼生体である。誇り高いがフィーアには従順で甘えん坊な一面を見せる。フィーアと従魔契約を結んだ。
・所属組織、地位や役職
フィーアの従魔。
・物語内での具体的な行動や成果
死の淵にあったところをフィーアに救われ、彼女の魔力切れを助けた。威嚇音で魔物をおとなしくさせ、回復薬の投与をサポート。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フィーアの服に隠れるため縮小化し、ブルーダブの偽装を施された。
R
ギディオン・オークスに隷属している魔物である。
・所属組織、地位や役職
ギディオン・オークスの従魔。
・物語内での具体的な行動や成果
ギディオン副団長を呼んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
従魔はアルファベットで呼ばれるという規定に従い、Rと呼ばれている。
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展開まとめ
プロローグ
死の淵で甦る前世の記憶
少女フィーアは、魔物との戦いで致命傷を負い、死の間際に前世の記憶を取り戻した。彼女はかつて「大聖女」として崇められ、圧倒的な治癒力と支援魔法、さらには物理・魔法のすべてを無効化する力を持っていた。その力は伝説として語られるほど強大であり、フィーア自身も前世の己の異常な能力に呆れ返っていた。
家族会議と「成人の儀」への決意
現在のフィーアは騎士の家に生まれ育ち、騎士になることを夢見ていた。しかし、その夢を実現するためには危険な「成人の儀」を乗り越えねばならず、家族内で賛否を巡る激しい議論が巻き起こった。姉は彼女の死を強く懸念し、騎士を目指す必要はないと説得するが、フィーアは強い意志で「騎士になりたい」と明言した。幼い頃からの夢を捨てきれなかったのである。
覚悟と旅立ち
家族の中で唯一冷静だった父は、最終的にフィーア自身の意思を尊重する姿勢を示した。そして姉もまた、フィーアの覚悟を認め、条件付きで成人の儀を許可した。こうしてフィーアは、自身の夢と前世の力の秘密を胸に秘めたまま、騎士としての第一歩を踏み出すことになったのである。
1 騎士を目指す
フィーア・ルードはルード騎士家の末子であり、幼少期から騎士に憧れて剣の鍛錬を続けていた。しかし、努力に反して剣の才能はなく、模擬戦では一度も勝てなかった。それでも諦めず、日々の訓練によって最低限の実力を身につけたと自負していた。兄姉たちは皆才能に恵まれ、先に騎士となって家を出ていたが、フィーアは家族からの期待も薄く、孤独に訓練を続けていた。騎士を志す者には「成人の儀」として魔物を倒し魔石を持ち帰る試練が課せられる。姉は彼女の安全を案じて反対し、弟は誇りを重視して賛成した。最終的にフィーアは、自らの意志で成人の儀に臨む決意を固めた。
2 成人の儀
翌朝、成人の儀に向かうフィーアを玄関で待っていたのは姉オリアであった。姉は高価な聖女製の回復薬を手渡し、万一に備えて使用するよう厳しく言い聞かせた。フィーアはその想いに感謝し、森の中へと進む。魔物の出現率が低い中で、弱い「一つ目ねずみ」を目標に洞窟を探す途中、血まみれの黒い雛鳥を発見する。その雛は深手を負い瀕死の状態であり、フィーアは迷いつつも回復薬を与えて助けようとした。しかし、雛は伝説の魔物「黒竜」の幼体であり、回復時の激痛を攻撃と誤認し、フィーアを襲撃した。肩と脇腹を噛まれ、致命的な出血を負ったフィーアは死を覚悟し、朦朧とする中で前世の記憶を思い出した。
3 聖女
ナーヴ王国の歴史は「大聖女」の伝承とともに語られ、聖女の力は国防において不可欠とされてきた。癒しの力を持つ聖女は貴族に重用され、国家から保護される存在であった。回復薬に代わる即時治癒能力を持つ聖女は数を減らし、希少性が高まるにつれ、幼児期に能力判定を受け、教会に引き取られて育てられるようになった。その社会的地位の高さはしばしば傲慢さを生み、聖女たちは「選ばれし者」として振る舞うようになっていた。
4 大聖女
フィーアの前世は、聖女の中でも異例の力を持つ「大聖女」であった。彼女は精霊との深い絆によって、通常の聖女の能力を遥かに凌駕する力を持ち、回復、補助、防御、付与など多岐にわたる魔法を行使できた。その力によって魔王討伐に従軍し、魔王の封印に成功するが、力を使い果たした彼女は王子たちに裏切られ、魔族の手に引き渡される。そこで彼女は、聖女であるがゆえに激しい拷問と侮辱を受け、最終的には残虐な手段で殺害された。聖女であることそのものが、彼女の死の原因であった。
5 目覚め
瀕死の状態から目覚めたフィーアの前に現れたのは、先ほどの黒竜であった。彼は彼女の回復魔法によって命を救われたと感謝し、自らを「ザビリア」と名乗って隷属の契約を申し出た。フィーアは自らの魔力が蘇ったことに戸惑いながらも、ザビリアの言葉から前世の記憶と現在の自分が聖女であるという現実を受け入れ始めた。フィーアは聖女であることを秘密にするよう懇願し、ザビリアはそれを誓った。翌朝、彼女は周囲に転がる多数の魔物の死体を見て驚愕する。ザビリアが一晩中、聖女の匂いに引き寄せられた魔物から彼女を守っていたのである。フィーアは魔石を手に入れ、「成人の儀」のため急ぎ家路についた。
SIDE 次男レオン
ルード騎士家の次男レオンは、妹フィーアの実力と存在を見下していた。騎士でなければ人間未満という価値観のもと、彼女の成人の儀の失敗と死を当然視していた。しかし、捜索隊の一員として森へ向かう中、空から黒竜が飛来し、その背にはフィーアが乗っていた。伝説の黒竜王と見られるその魔物の出現に動揺したが、信じがたい光景に直面し、自身が幻覚を見ているのではないかと錯覚した。
6 成人の儀 結果
フィーアは黒竜の背に乗って帰還し、姉や兄たちを驚愕させた。特に長兄アルディオは、冷静かつ理知的に彼女と黒竜の関係を問い質した。フィーアはとっさに「友達」と答え、従魔契約の事実を隠そうとしたが、ザビリアという名前の使用から契約の可能性を指摘される。追及を避けきれず、彼女は事の経緯を告白した。黒竜を癒した結果、従魔契約を結び、その夜魔物を退治してもらったと語った。
アルディオは、従魔の強さと魔石の規模から、フィーアが単独でAランク以上の魔物を討伐できるはずがないと指摘したが、姉のオリアが介入し、従魔による討伐も本人の成果と見做して「成人の儀」の達成を宣言した。フィーアは騒動のなかでもザビリアとの信頼関係を感じ取り、再会を誓って別れた。
【挿話】ルード家家族会議
フィーアの帰還後、ルード家では彼女の黒竜従魔についての家族会議が開かれた。父ドルフは、従魔契約の報告義務はないが、相手が黒竜である以上、騎士団への報告は不可避と述べた。長女オリアは、報告によって王家との縁談が舞い込む可能性があり、父が騎士団長に昇進できると示唆したが、ドルフは名誉を重んじ、そのような方法を拒否した。最終的にフィーアの従魔は「黒っぽい竜っぽい何か」とする家族の建前が決まり、報告の回避を選択した。だが、オリアはフィーア本人への口止めを失念していたことに気付き、狼狽する。
7 聖女の力 お試し
フィーアは成人の儀から三日間、自室に籠もり記憶と状況を整理した。自身が前世の「大聖女」であり、今世でもその力を有していること、そしてその力が精霊との契約によるものであったことを改めて理解した。前世と異なり、現代では精霊との契約が断絶され、聖女はその血統の残滓を受け継ぐ存在に過ぎないと推察した。
フィーアは、自身の力が露見すれば再び命を狙われると危惧し、当面は聖女としての力を封印することを決意した。しかし力の検証は必要と考え、館の裏で魔力操作を試み、《身体強化》によって剣で木を両断することに成功した。精霊の力を使わず、魔力のみで行使すれば痕跡を残さずに済むと踏んだ彼女は、騎士団入団試験までの三ヶ月間で力を調整し、身を守る手段を模索することを誓った。
8 騎士団試験
騎士団試験の開始と力の検証
フィーアは王都の王城において騎士団の一般枠試験に臨んだ。彼女はこの3か月間、自身の力を検証し、回復魔法などは前世と同等に使用できると確認していた。精霊契約のない今世では魔素の恩恵がなく、魔力の消費効率が低下していたため、より慎重な運用が求められる状況であった。そのため彼女は、魔力の節約方法と戦闘での応用に向けた訓練を重ね、自信を持って試験に臨んだ。
一次試験と兄レオンとの対峙
一次試験は騎士の打ち込みを10合受け止めるという形式であった。列に並ぶフィーアは試験官が兄レオンであることに驚愕した。彼は個性的な態度で多数の受験者を弾き飛ばし、合格者を出さない様子であった。フィーアは助言を受けて列の後方へ下がろうとしたが、レオンに名指しされ、試験を受けることとなった。彼女は《身体強化》を駆使し、レオンと激しく打ち合い、10合目に剣を弾き飛ばして勝利した。あくまで加減による合格という形を取り、場の注目を避けるため愛想笑いで場を締めくくった。
二次試験の筆記と独自の解答
筆記試験は形式的なものであり、制服の描写や場面対応など、変則的な設問が多く出題された。フィーアは一部の問題に戸惑いながらも、「悪口を悪口と見做さない回答」など、柔軟な発想で解答を展開し、徐々に調子を上げていった。筆記試験そのものは合否に大きな影響を与えないとされていた。
三次試験と銀髪の青年
三次試験は模擬戦で構成され、試験官との3分間の戦闘を通じて評価されるものであった。フィーアは自作の鉄剣を選び、一般受験者の中にあっても特異な装備を携えて試験に臨んだ。彼女は試験前、かつて親切に助言してくれた銀髪の青年が重傷を抱えながらも試験を受けていることに気づいた。彼女は回復魔法を密かに用いて痛みを軽減させ、青年はその後、実力を発揮して試験官と互角に戦った。
再び兄との対決と勝利
フィーアの三次試験担当には兄アルディオが任命され、彼女にとって再び身内との対決となった。アルディオは「氷の騎士」と称される実力者であり、前の受験者2名を瞬時に倒していた。フィーアは兄との正面対決では勝てぬと判断し、ザビリアから贈られた魔石を用いた「麻痺」効果付きの剣を使用した。試験開始直後に兄を麻痺させ、3分間動けなくさせたことで合格を勝ち取った。周囲の者は氷の騎士が膝を突いた事実に茫然とし、フィーアはまたしても大きな注目を集めてしまった。
9 合格発表
フィーアは騎士団入団試験の合格発表当日、掲示板の前で自身の番号を見つけて安堵の息をついた。三次試験は勝敗でなく戦い方で評価されると後から思い出し、自身の戦法が卑怯と捉えられることへの懸念を抱いていたが、結果的に合格を果たした。剣に付与した魔法の力で勝利したことを振り返り、自身の実力でないことを認識していた。
掲示板の周囲が混雑していたため配属先の確認を断念した彼女に、かつての試験仲間である銀髪の青年が声をかけた。彼は自らを「ファビアン・ワイナー」と名乗り、侯爵家の嫡男であることを明かした。驚くフィーアに対し、ファビアンは試験中に腕を痛めていたことや、フィーアが拾ってくれた剣によって痛みが和らいだことに感謝の意を伝えた。
さらにファビアンは、二人が同じ第一騎士団に配属されたと告げた。第一騎士団は王族警護を任される超エリート部隊であり、新人が配属されるのは史上初であった。王城関連の各騎士団には通常、長年の経験を積んだ者が配属されるが、今回はフィーアとファビアンのみが例外的に選ばれていた。
動揺するフィーアに、ファビアンは王族の構成についても説明した。現在の王族は国王と王弟のみであり、王弟が全騎士団を統括する騎士団総長であると明かされた。その情報により、フィーアは自身が王族の護衛に就く可能性が現実味を帯びてきたことに衝撃を受けた。
最後にファビアンは、翌日の騎士入団式で王弟殿下の挨拶があること、制服配布の際に襟章に注意する必要があることを伝えた。フィーアは引きずられるように配布所へ向かったが、掲示板を直接確認していなかったことに気づき、不安に襲われながらも準備を進めることとなった。
10 騎士団入団式
入団式当日の準備と寮での交流
フィーアは支給された騎士服に身を包み、第一騎士団の襟章をつけて入団式に備えた。鏡の前で自らの姿を確認し、制服の効果に満足しつつも、同室の女性騎士オルガに見とがめられた。オルガは12年目の騎士であり、年下のフィーアにも対等に接する気さくな人物であった。入団式には新人が早めに集合するよう指示があり、フィーアは早めに寮を出発した。
ファビアンとの再会と配属団の確認
寮の外では、同じく第一騎士団に配属されたファビアンが待っていた。彼の王子然とした姿に圧倒されながらも、フィーアはともに入団式会場へと向かった。式は王城内で行われ、王都に配属される第一から第六騎士団の全員、団長・副団長、そして新人騎士200名が出席する大規模なものであった。会場には騎士が整列し、荘厳な雰囲気が漂っていた。
騎士団総長の登場と圧倒的存在感
会場が整った頃、副団長以上が着用する白い騎士服の騎士団幹部たちが入場し、続いて騎士団総長サヴィス・ナーヴが登場した。その圧倒的な威圧感と支配的な雰囲気により、騎士たちは頭を垂れ、会場は静寂に包まれた。総長は美貌と強靭な肉体を併せ持ち、隻眼の特徴もまた彼の威容に重みを加えていた。
騎士としての誓いと模範演説
サヴィス総長は壇上で、清貧・貞潔・忠節を誓う騎士の十戒を高らかに宣言し、会場の騎士たちもそれに呼応して唱和した。その様子にフィーアは感銘を受け、王族としての前世の経験からも彼の演説力と統率力に深く感心した。
新人挨拶と模範試合の指名
続いて、新人代表としてファビアンが選出され、侯爵家嫡子として見事な挨拶をこなした。だが、模範試合の相手としてフィーアが指名され、さらにその対戦相手がサヴィス総長であると発表されると、会場は騒然となった。歴代初の事態に団長たちも混乱し、フィーアには騎士たちから同情と激励の声が飛び交った。
覚悟と兄たちの助言
困惑するフィーアの元に兄アルディオとレオンが駆け寄り、彼女を鼓舞した。二人は理想論や精神論を語りつつも、フィーアにとって心の支えとなり、冷静さを取り戻すきっかけとなった。フィーアは騎士としての誇りを胸に、全力で試合に挑む決意を固めた。
総長との模範試合と魔剣の使用
フィーアは《身体強化》の魔法を自身に施し、全力で攻撃を仕掛けた。一切攻撃をしないと宣言した総長は受け止めに徹したが、フィーアの剣には複数の付与魔法がかけられており、その重量と破壊力は並のものではなかった。試合の末、総長が一度だけ剣を押し返して勝負が決した。
剣の検分と付与魔法の発覚
フィーアの剣を確認したサヴィス総長は、その剣が速度と攻撃力の複数付与に加え、発光隠しの魔法まで施された特殊な代物であると見抜いた。フィーアはそれを父から「成人の儀」の祝いとして受け取ったと説明し、会場は再び騒然となった。父ドルフは平謝りし、王国への献上を申し出た。
剣の付与効果と秘匿の限界
フィーアは剣の効果が数値上昇ではなく「倍化」であることを秘匿していたが、総長の問いにより、剣に施された異常な性能が明るみに出た。団長たちを相手にした総長の一撃で、ミスリル製の剣が鉄製の剣で真っ二つに折られたことで、その性能の異常さが証明された。
総長との問答と評価
試合後、総長はフィーアに模擬戦で左側にばかり攻撃した理由を問うた。フィーアは最初に騎士道精神を主張したが、最終的には左足の負傷に気づいたためであると正直に答えた。その観察眼と判断力は団長たちを驚かせ、総長自身からも高く評価された。サヴィス総長は最後にフィーアの名を記憶に刻むと告げ、入団式は静かに閉会した。
【SIDE】騎士団総長サヴィス
サヴィス・ナーヴはナーヴ王国黒竜騎士団の総長であり、17歳でその地位に就いた人物である。彼はその重責を理解し、戦場でも冷静に判断を下すことを自らに課していた。入団式当日、彼は壇上から新人たちを見渡し、その中で一人だけ異質な視線を投げかけてくる者に気づいた。それが赤髪の少女、フィーア・ルードであった。
彼女の配属先が第一騎士団と知ったサヴィスは、模範試合の相手に彼女を指名し、自ら剣を交えることを決めた。建前としては、将来的に王族護衛を任される可能性のあるフィーアの力量を確認するためであったが、実際には彼女が持つ「支配者の目」に強い関心を抱いたがゆえの行動であった。
模範試合では、フィーアの剣の速度と威力に驚かされ、彼女の戦い方からは総長自身の負傷箇所――左足の古傷――を見抜く鋭い観察眼も示された。彼女が使用していた剣は複数の魔法が付与された「魔剣」であり、その性能は現存する国宝級の武器に匹敵するものであった。サヴィスはその事実とともに、フィーアの洞察力と計算された戦術に深い印象を受けた。
11 第一騎士団
フィーアは第一騎士団に配属されてから一週間が経過し、日々の訓練と教養課程に取り組んでいた。騎士団では王族警護が任務となるため、礼儀作法や詩歌、大陸共通語などの特殊な訓練が課せられていたが、フィーアはあまり興味を持てずにいた。
その中でも、ファビアン・ワイナーとの関係は良好であり、彼の鋭い観察眼によってフィーアの力の一端が再び明かされかける場面もあった。ファビアンは彼女の剣の軽さや訓練中の手加減を見抜き、模擬戦での活躍が単なる魔剣の力ではないことに気づいていた。
フィーアはまた、第二騎士団長のデズモンドとも親しくなり、チェスの時間には毎回彼と対局するようになっていた。デズモンドは王城警備と憲兵司令官を兼ねる要職でありながら、フィーアに対して特別な関心を示し、対話を通じてその人物像を観察していた。
【挿話】第一回騎士団長秘密会議
その夜、王城内の上級娯楽室にて、第一・第二・第三騎士団長による非公式の会合が開かれた。議題はフィーアについてであり、各団長が彼女の言動と能力について意見を交わした。デズモンドは、彼女が相手の強さに応じて勝ち方を調整している可能性を指摘し、無意識のうちに実力差を見極めていると推察した。
また、サヴィスの左足の古傷をフィーアが見抜いた件についても分析が行われ、通常では察知不可能な情報を観察から導き出したことに、団長たちは驚嘆していた。一方で、彼女の日常的な観察力には欠ける部分もあり、極端な鋭さと鈍さの両面を持ち合わせていると評価された。
さらに、第三魔道騎士団長イーノックの調査により、フィーアの使用していた剣が「効果変動型」の宝剣であると判明した。この剣は使用者の実力に応じて性能が上昇する極めて希少な代物であり、その出所には不明点が多く、ルード家の武器庫に眠っていた理由も不自然であった。
会議の終盤では、今後のフィーアへの対応が議論され、シリル第一騎士団長は彼女を自団の所属として保護し、他団の干渉を控えるよう要請した。最終的に、フィーアは単に「素直な少女」であるという結論に落ち着き、団長たちは静かに会合を終えた。
12 魔物討伐
魔物討伐任務への同行
フィーアとファビアンは、新人騎士として第六騎士団の魔物討伐任務に同行することとなった。討伐地は王都北部の「星降の森」であり、二人は哨戒担当として第三小隊に配属された。訓練を積んでいるとはいえ、彼らは実戦未経験の新人であり、この任務では戦闘への参加は基本的に控え、観察が主な目的とされていた。
聖女たちとの初対面
出発の直前になって到着したのは、白いローブをまとった15名の聖女たちであった。騎士たちは彼女たちに敬礼し、最大限の敬意を表したが、聖女たちは無言でそれを受け流した。各小隊には3名ずつが割り当てられ、フィーアたちの第三小隊にも年齢層の異なる3名が加わった。聖女たちは一切言葉を発せず、持参していた魔杖すら騎士に押し付ける態度で、騎士団内での地位の高さと距離感を明確に示した。
聖女の振る舞いと実力の疑念
森に入ってからも、聖女たちは枝葉を排除されながら歩み、騎士たちの手厚い介助を当然のように受けていた。戦闘が始まると、彼女たちは戦場から離れ、安全な岩場に腰掛け、会話や笑いを交わしていた。戦闘終了後にようやく負傷者の治療にあたったが、その行為は形式的で、軽傷の治癒に30秒もかけるほどであり、かつての聖女と比較して著しく劣化していた。前世で「大聖女」と呼ばれたフィーアにとって、その姿は信じ難く、かつて聖女が担っていた使命との乖離に深い落胆を覚えた。
感情の爆発と仲間の支え
昼食時、フィーアは混乱と悲しみにより涙をこぼした。前世で己の誇りと責務として戦場で癒しを施した記憶が、現在の聖女たちの現状との乖離により抉られたのである。ファビアンはその感情を静かに受け止め、そっと寄り添い続けた。フィーアは彼の優しさに感謝し、気持ちを少しずつ整理していった。
突然の強敵と指揮の決断
午後の討伐任務では、当初予定されていた魔物の討伐を繰り返し、順調に進行していた。しかし帰路の途中、Bランク魔物「フラワーホーンディア」と遭遇したことで状況は一変した。小隊長が初撃で吹き飛ばされ、指揮系統が混乱する中、フィーアは過去の経験を活かして即座に戦術指示を下した。彼女は《身体強化》を行い、魔物の突進を受け止めるとともに、目の色の変化に応じて炎攻撃が発動する特性を騎士たちに共有し、被害を最小限に抑えた。
戦術指示と応援要請
魔物の性質を熟知するフィーアは、囲み陣形の構築や攻撃部位の指示、救助笛による援軍要請を迅速に指示した。Bランク魔物に対しては戦力が不足しており、フィーアの冷静な判断と正確な指示が状況を支えていた。攻撃部位として腹部の柔らかい部分を狙うよう伝え、囲みの隙間からの脱出を阻止する体制を築いた。
不意の来援と次章への布石
激しい戦闘の最中、突然場違いなほど穏やかな声が響き、フィーアが振り返ると、そこには「王国の竜」と称される騎士が現れた。騎士団でも随一の実力を持つとされる存在の登場は、混乱の渦中にある小隊に大きな希望をもたらす予兆であり、物語は新たな局面へと移行しようとしていた。
【SIDE】第一騎士団長シリル
忠義を貫く“右目”としての矜持
シリル・サザランドは第一騎士団長にして、王位継承権第2位を有する公爵である。彼は10年前、総長サヴィスが右目と感情を喪った日を契機に、自らを“右目”として彼に仕えることを誓い、忠義と実力で第一騎士団を率いてきた。
救助笛を追って戦場へ急行
訓練中の森に響いた救助笛の音に対し、シリルは第六騎士団の緊急事態と即座に判断した。総長と共に救援に向かうと、そこではBランク魔物・フラワーホーンディアと交戦する小隊が確認され、現場指揮を執っていたのは新人フィーアであった。
異常な戦術能力を見せるフィーア
フィーアは魔物の生命力を数値で示し、攻撃タイミングを秒単位で予告するなど、常軌を逸した分析力を発揮していた。魔物の性質、行動傾向、戦況全体を完全に把握して指示を出す姿に、シリルは困惑しつつも、その異質さを認めざるを得なかった。
総長の一刀と、少女の鈍感さ
戦況を観察していたサヴィス総長は、魔物の突進に応じて一太刀を放ち、あっけなく討伐を完了させた。直後、フィーアは礼を述べたが、総長と団長の役職を誤認するなど、鋭さと鈍さを併せ持つ特異な存在であることが浮き彫りになった。
13 回復薬
聖女不在の状況と薬の強制投与
戦闘後、フィーアの腕に深い傷が確認され、聖女による治癒が望めない中、シリルは回復薬の服用を命じた。フィーアは激痛と苦味を恐れて拒否するが、最終的に口へ強制的に流し込まれた。
苦味の打ち消しと精霊の加護の示唆
苦味に耐えかねたフィーアは甘味を求め、森の果実を頬張った。通常は激烈に苦いはずの果実を「甘い」と評する彼女の反応に、総長とシリルも口にして驚愕する。総長は彼女が「精霊に愛されし者」である可能性に言及し、森そのものが彼女を祝福していると推察した。
副作用の発現と“肉祭り”への執念
その直後、フィーアは回復薬の副作用によって激痛に襲われ、地面を転げ回る。薬の成分が体質に適合していないことが明白であり、帰還は困難と判断された。だがフィーアは「肉祭り」に出たいという一心で帰還を強行しようとした。
ファビアンの介助と仲間との再会
ファビアンは彼女の意志を汲んで搬送役を申し出た。帰還中には仲間の騎士たちと合流し、フィーアの功績が称賛された。戦術眼と判断力が命を救ったと評価された彼女は、仲間との絆を深めた。
横抱きと羞恥、そして秘密の治癒魔法
再度激痛に襲われたフィーアはファビアンに横抱きされ、動揺しながらも鎧の重さを理由に誤魔化そうとした。その後、人目を避けてこっそり回復魔法を使用し、痛みと傷を治癒した。魔法薬に翻弄された一連の騒動を振り返りながらも、彼女は笑顔で肉祭りへと歩を進めたのである。
14 肉祭り
宴の始まりと初めての酔い
その夜、騎士たちによる盛大な肉祭りが開かれた。功労者である第六騎士団のみならず、他の騎士団からも多くが参加し、庭には肉と酒が溢れていた。フィーアは成人の儀を終えたばかりであったが、堂々と酒に挑戦し、大人の一員としての自負に満ちていた。彼女は酔いを自覚しながらも気分を高揚させ、ファビアンとの会話を楽しんでいた。
思わぬ召集と団長の呼び出し
楽しい雰囲気の中、フィーアはシリル団長に呼び出され、個室へと案内された。そこには共に任務に就いた第三小隊の騎士たちが集められていた。シリル団長は当初、皆を称賛したが、突如として態度を一変させ、なぜ第一騎士団の新人が指揮を執っていたのか問い詰めた。第三小隊の面々は沈黙を守り、フィーアは次第に問い詰められる立場となった。
前世の知識と即興の弁明
フィーアは、魔物フラワーホーンディアについての知識を図鑑で得たと主張し、討伐経験は夢の中で得たものであると弁明した。第三小隊の騎士たちは驚愕しつつも、フィーアの指揮が有効であったことは認めざるを得なかった。フィーアの分析力や感覚による指揮は、偶然を超えた成果をもたらしたと評価された。
宴の場に戻るも追及は続く
説教を受け続ける中、フィーアは肉祭りの席を奪われた怒りを爆発させ、団長に対し「手は肉をつかむためにある」と訴えた。その言葉にシリル団長も呆れ、総長サヴィスは後で旨い酒を与えると告げた。その後、第三小隊の面々は魔物の特性についてレポート30枚を課され、騒然となった。
宴の再開と絆の形成
ようやく祭りへ戻ったフィーアは、フラワーホーンディアの最初の一口を進呈され、皆とともにその美味を堪能した。第三小隊の仲間たちはフィーアの功績に敬意を表し、敬語を使わないよう提案するなど、仲間意識が強まった。宴はさらに盛り上がり、酒に酔った団員のひとりがザカリー団長の腹筋に話題を移した。
腹筋論争と“ぽっこり救世主”の誕生
ザカリーは自身のフォーパックの腹筋を嘆き、酒に酔って泣き崩れた。フィーアはそれに対抗して、自身の“ワンパック”をさらけ出し、堂々と自己肯定を叫んだ。この予想外の展開により、ザカリーは腹筋自慢をやめると誓い、その場の全員から称賛を受けた。以後、フィーアは「ぽっこり救世主」と呼ばれることとなった。
15 騎士団トップ3による面談
酒宴後の回収と面談への招集
肉祭りの後、フィーアは第一騎士団長シリルに連れ戻され、重厚な造りの部屋へ案内された。そこには総長サヴィスと第二騎士団長デズモンドが待っており、フィーアは団長たちとの面談に臨むこととなった。
酔いのまま暴走する無礼な情報提供
フィーアは酩酊状態のまま、総長の腹筋が6つに割れているという「極秘情報」を披露した。だが、それは騎士団内では既知の事実であり、場の空気は困惑に包まれた。シリルは彼女の状態を「完全な酩酊」と断じたが、フィーアはあくまで「ほろ酔い」と主張した。
貴腐ワインでの乾杯と功労者への敬意
総長はフィーアに貴腐ワインを勧め、討伐の功績を称えて乾杯の音頭を取った。フィーアはその芳醇な味に感動しつつ、改めて感謝を伝えた。肉を確保し忘れたことを思い出したフィーアは立ち上がろうとするが、総長に制されて座るよう促された。
異能の観察眼と“目”の特異性への言及
総長はフィーアの魔物への対応力を高く評価し、「その目は特別である」と述べた。デズモンドも彼女の成果を認めつつ、自分の常識では理解不能であることに苦悩した。シリルはフィーアに口を慎むよう注意し、フィーアはそれに従った。
沈黙の酒席と突然の瞑想(熟睡)事件
静かな雰囲気の中で酒が進むうち、フィーアは膝枕状態でシリルに寄りかかり熟睡してしまった。目覚めた彼女は慌てて体を起こすが、シリルは怒ることなく穏やかに微笑んだ。彼女が眠った場所が「総長の私室」だと知ったとき、驚きと恥じらいが交錯した。
最強発言による場の凍結と弁明の連鎖
フィーアが「この部屋最強の騎士はシリル団長」と発言したことで場が凍り付き、彼女は慌てて弁明を重ねた。シリルはそれを受け入れ、彼女の観察眼と戦場での判断力を改めて認めた。さらに「総長より強いことは黙っていてほしい」と穏やかに頼み、フィーアは即座に同意した。
第四魔物騎士団への打診
その後、サヴィス総長はフィーアに「第四魔物騎士団」への一時的な派遣を提案した。突然の話に彼女は驚くが、何か大切な記憶が呼び起こされる感覚を覚え、動揺したまま面談を終えた。
16 聖女の形
第四魔物騎士団派遣の背景と配慮
シリル団長は、正式な転属ではなく一時的な派遣として、フィーアを第四魔物騎士団に向かわせる方針を説明した。魔物の生命力を数値化できる彼女の能力が、魔物使役の効率向上に役立つと判断されたためである。また、フィーアが不当な扱いを受ける懸念がある場合はすぐに報告するよう伝えた。
月夜の帰路と静寂の中の問いかけ
その夜、四人で騎士寮へ戻る途中、サヴィス総長はフィーアに聖女との戦闘をどう思ったか尋ねた。フィーアは「くそったれ」と率直に表現し、続けて「それは聖女自身ではなく、ゆがめた誰かに対しての言葉である」と補足した。
“聖女のあるべき姿”に対する信念
フィーアは、現代の聖女の在り方に疑問を呈し、祀り上げる偶像としての存在ではなく、戦場に立つ騎士の盾こそが本来の姿であると語った。その言葉は三人の団長に強い印象を与えたが、誰も反論せず、静かに夜の帰路が続いた。
二日酔いと異常な回復力
翌朝、フィーアは激しい頭痛と吐き気に襲われたが、水を飲むと即座に回復した。その異常な回復力にオルガは呆れつつも水を差し出し、フィーアは「これが若さ」と自嘲的に振る舞った。
第四魔物騎士団配属の再確認と記憶の欠如
訓練場でファビアンに「今日から第四魔物騎士団へ行く」と告げられたフィーアは、その記憶がないことに気づいた。団長室でシリルに確認すると、転属ではなく“手伝い”であると再確認され、彼女は前夜の記憶の欠如を自覚する。
従魔の証の発覚と正体の一端
シリルはフィーアの手首に“従魔の証”があることに気づき、使役する魔物の有無を問うた。フィーアは心中で、自身が伝説級の黒竜と契約している事実を認めつつ、それを口にすべきか迷ったまま面談は終わった。
17 第四魔物騎士団 1
団長との会話と従魔の取り扱い
フィーアは従魔である黒竜ザビリアの存在を団長に明かすべきか迷っていた。団長は従魔の種類は申告不要であると語り、強力な魔物を従えることで起きる騒動を防ぐため、名を伏せるべきと助言した。従魔の契約証は細いほど契約に要した時間が短いとされ、フィーアの1ミリ幅の証は例外的であった。団長はこれをブラフとして活用すべきと説き、フィーアは理解を示した。
ザビリアへの再接触と予想外の成長
第四魔物騎士団へ向かう途中、フィーアは従魔ザビリアの様子を見に行く決意を固めた。森で彼を呼び出すと、現れたザビリアは以前より遥かに巨大で、美しく成長していた。彼は依然としてフィーアを慕っており、縮小化能力を用いて掌サイズとなって彼女に同行することを申し出た。
帰還と副団長との衝突
フィーアはザビリアを連れて王城へ戻ったが、体内に隠していたため腹部が膨れて見え、騎士たちに誤解された。魔物騎士団の副団長ギディオンは彼女の従魔の契約証を確認し、その細さから「死に損ないの魔物」だと断定し侮蔑の言葉を浴びせた。フィーアは団長から教えられた思わせぶりな態度で応戦するが、ギディオンは嘲笑を強め、逆効果となった。
魔物騎士団の現状と魔物との関係
副団長補佐パティとの交流を通じ、フィーアは魔物騎士団の文化や魔物との関係性、従魔の扱いについて理解を深めた。従魔との関係には定期的な接触とケアが重要とされ、長期間放置していたフィーアはザビリアが拗ねていないかと心配し始めた。
ザビリアの実力と副団長の誤解
フィーアはザビリアの力を確かめるため森へ向かい、彼の咆哮によって複数の魔物を一掃する様子を目の当たりにした。その圧倒的な力にフィーアは驚愕し、周囲への影響の大きさを再認識した。ザビリアはフィーアに従順であり、再び縮小化して彼女と共に城へ戻った。
魔物騎士団での波紋と緊急事態
ギディオン副団長はフィーアを従魔ともども嘲笑し、第一騎士団のコネ採用であると決めつけて非難した。フィーアは団長の教えを思い出して反論したが、その対応は空回りに終わった。そこへ副団長補佐パティが駆け込み、魔物「黒き王」が星降の森に現れたとの報告がもたらされ、事態は一転して緊急モードへと切り替わった。
聖女との出会いと名前のやりとり
フィーアは魔物の治療中に、幼い聖女シャーロットと出会った。シャーロットは「聖女様」としか呼ばれたことがなく、自身の名前で呼んでもらえることに感動し涙を流した。彼女は3歳で聖女と認定され、母と引き離された経緯を語り、今も聖女の力を十分に発揮できないことに悩んでいた。
回復薬投与の様子とシャーロットの共感
フィーアとシャーロットは魔物への回復薬の投与を行い、シャーロットは苦しむ魔物に対して強く共感を示した。フィーアはその優しさを見て、シャーロットが聖女に向いているのではないかと感じた。
回復魔法の練習と泉での実験
フィーアはシャーロットを誘い、城内の泉で回復魔法の練習を提案した。薬草を泉に投入し、魔力を流し込むという即興的な手法で、回復薬の生成を試みた。フィーアは魔力の流れを整えながら補助し、シャーロットは自分の魔力が流れるのを初めて実感した。
回復薬完成とフィーアの魔力枯渇
シャーロットの魔力とフィーアの導きにより、泉の水は緑色に変化し、フィーアはそれを本物の回復薬と宣言した。だがシャーロットはそれを疑い、ザビリアも黙認する構えを見せた。フィーアは魔力を使い果たし、体力も消耗したため、食堂へ向かうことにした。
食堂での再会とファビアンの指摘
昼食時、ファビアンと再会したフィーアは、シャーロットと共に食事を楽しんだ。ファビアンはフィーアが従魔を抱えていることや、シャーロットと親しくなっていることに驚きを見せた。さらに、第四魔物騎士団での活動やシリル団長の疲労について話題が及んだ。
魔力の回復と魔物たちの変化
従魔舎へ戻ったフィーアは、ザビリアから魔力を分けられていたことに気づいた。そこでは魔物たちが甘えるような態度を見せ、回復薬を自発的に飲みだした。その理由は、フィーアの体から溢れる聖女の血の匂いが魔物にとって心地よく作用したためであるとザビリアが説明した。
回復薬の効能と聖女の自信
投薬後、魔物たちは以前のような痛みを訴えることなく落ち着いていた。シャーロットは回復薬の効果を疑いつつも、フィーアは彼女を励まし、翌朝の経過観察を約束した。フィーアはその夜、ザビリアのために裁縫品を作り、満ち足りた気持ちのまま就寝した。
団長への思いと眠りへの導入
眠る直前、フィーアはファビアンの言葉を思い出し、シリル団長の疲労を気にかけた。その思いを胸に抱きながら、静かに眠りについた。
【SIDE】第二騎士団長デズモンド
過去の裏切りと女性不信の原点
第二騎士団長デズモンド・ローナンは、伯爵家の嫡男として将来を嘱望されていた。しかし幼き日の婚約者が弟を選び、婚約を破棄された経験から、彼は女性に対する信頼を喪失した。この出来事は、他人と心を通わせることに慎重な彼の性格形成に強く影響していた。
唯一隣に立てる存在としてのシリル
騎士として彼が唯一「並び立てる」と認めたのが、第一騎士団長シリル・サザランドである。シリルの剣は極限まで洗練され、無駄がなく、結果として最短で敵を斬るため、仲間からは「死神の微笑」と呼ばれていた。
報告された異変と夜の面談
最近になって、シリルに活力が見られず、執務にも精彩を欠いているという報告が部下たちから相次いでいた。デズモンドはその原因に心当たりを持ち、夜の娯楽室に彼を呼び出し、酒席で静かに様子を探ることとした。
探り合いと沈黙のすれ違い
グラスを傾けながら交わされた会話の中で、シリルは心の内を語ることなく、皮肉を織り交ぜて話題を逸らし続けた。デズモンドもまた、自らの苦労を軽く語るにとどめ、核心に踏み込むことはなかった。
聖女という概念への内なる動揺
デズモンドは、シリルの異変の原因がフィーアの言葉にあると理解していた。フィーアは、聖女とは騎士の盾であるべき存在で、祀り上げられる偶像ではないと明言した。その言葉が、長年にわたり聖女を特別視してきたシリルの価値観を打ち砕いたのである。
揺れる信仰と言葉にならない混乱
フィーアの主張はシリルの信念の根幹に触れたものであり、彼はその衝撃を沈黙で覆い隠していた。あえて語らず、皮肉で塗り固める彼の態度に、デズモンドは言葉にできぬ重さを感じ取っていた。
聖女を変えた少女への防衛本能
フィーアの影響力は無自覚ながら強烈であり、言葉ひとつで人の内面を変えてしまう力を持っていた。デズモンドは、彼女のような存在に感化されぬよう、女性への不信という自己防衛の正しさを再確認していた。
語られなかった名と総長への沈黙
話題はやがてサヴィス総長に及びそうになったが、シリルはその名を口にしかけて言葉を飲み込んだ。デズモンドは、総長こそが最も聖女に執着する人物であることを認識しており、沈黙の重みを痛感していた。
夜明けと騎士としての落差
夜が明けるまで飲み交わした末、デズモンドは酒に酔いつぶれ、シリルはいつもと変わらぬ顔で立ち上がった。その姿に、デズモンドは自身の限界を認め、彼との距離と敬意を新たにしたのである。
18 第四魔物騎士団 2
ザビリアとの朝のやりとりと防寒着披露
フィーアは従魔ザビリアに防寒着を仕立て、朝のふれあいの中でその完成を披露した。羽毛を仕込んだ暖房機能とパペットのギミックを兼ね備えた装備は、ザビリアの心をくすぐるものであった。
ギディオン副団長への業務報告と応酬
フィーアは第四魔物騎士団の団長室を訪れ、これまでの活動を報告した。補佐官パティは彼女の仕事ぶりを称賛したが、ギディオン副団長は皮肉と敵意を込めた発言を返した。フィーアが従魔への愛情を語ると、副団長はそれを揶揄したが、かつて自らも似た言動をしていたことをパティに暴露された。
シリル団長の来訪と任務の食い違い
第一騎士団長シリルが現れ、フィーアの業務が本来の「魔物の生命力の数値化」に至っていないことを指摘した。副団長の不適切な業務指示により、任務の本質が履行されていない事実が露見した。
団長権限の行使と激昂する叱責
シリルはギディオンに対し、責任の所在を明らかにするよう厳しく追及した。ギディオンが言葉を濁し続けたため、シリルはローテーブルを破壊し、団長権限を行使して彼の胸倉をつかみ、沈黙を圧で打ち砕こうとした。
副団長への同情と小物評価
フィーアはその一部始終を見て、ギディオンの器の小ささに呆れながらも、悪意からくる敵意ではなく不器用さゆえの態度であると判断した。前世での兄たちのような恐怖はなく、彼を「小物」と位置づけた。
【SIDE】第四魔物騎士団長クェンティン
団長の帰還と異常存在への直感
そのとき扉が開き、第四魔物騎士団長クェンティンが帰還した。団長室に揃う面々を見て、彼は即座に「天災級の災厄が二体いる」と直感した。クェンティンは魔力や存在圧を視覚化する特異体質を有しており、その感覚でザビリアのランクがSSに達していること、さらにフィーアがそれを遥かに凌ぐと判断した。
黒竜の正体と震える予感
ザビリアが長年行方不明となっていた「黒竜の幼生体」である可能性に、クェンティンは思い至った。同時に、それを自在に使役している少女の正体が常識外れであることにも気づき、言動ひとつで自らの命運が定まる場面に立たされていると認識した。
命懸けの振る舞い選択と精神的限界
クェンティンは、目の前にいる「笑顔でパペットを掲げるフィーア」に対し、軽率な態度をとれば災厄を招くと確信し、極度の緊張状態に陥った。その様子は、誰にも理解されぬまま、孤独にして過酷な判断を彼に迫るものであった。
フィーア、訳あり冒険者と回復魔法を検証する
森での被験者探しとパーティ加入
実験協力者を探すため中級者向けの森へ
騎士団入団試験を控えたフィーアは、大聖女の力の検証に限界を感じ、第三者の協力を求めることにした。治癒や状態異常回復の実証には対象者が必要なため、怪我人が出そうな森で訳ありの冒険者を物色していた。
絶好のパーティとの遭遇と接触成功
怪我をしている3人組の騎士風パーティを発見したフィーアは、村娘風の服装で接触を図った。捨て身の芝居と演技により同行の許可を得ると、流血の大男たちは容易に受け入れ、彼女は「フィーア」として仲間入りを果たした。
命名騒動と偽名の失敗
冒険者たちは髪色にちなんだ仮名を使っており、フィーアもこれに倣い「白昼のぴかりん」と名乗ったが、本名をうっかり漏らしたことで偽名は否定され、そのまま本名で通されることとなった。
森での冒険と流血の謎
流血の異常と呪いの正体
森を進む中で、仲間たちの流血が止まらない異常に気づいたフィーアは、布で応急処置を施した。その際、出血の原因が古い呪いによるものであると判断したが、彼らはその話題に触れたがらず、彼女も気づかぬふりを決めた。
呪い設定の利用と聖女の力の仮装
聖女の力を使うための設定として、フィーアは自分が呪いにかかっていると説明した。内容は荒唐無稽であったが、冒険者たちは冗談として受け止めつつ、彼女の言動を黙認した。
食事、戦闘、役立たずの焦燥
強すぎる仲間と出番のなさ
魔物との戦闘ではレッドとグリーンが一方的に勝利し、ブルーは戦わずとも何も問題が起きなかった。フィーアは自身の力を発揮する機会が得られず、焦燥感を抱いた。
役立たずという自覚と仲間の励まし
食事中、役に立てていないことに落ち込むフィーアを、レッドとグリーンは優しく励ました。ブルーもまた、彼女が無謀なパーティ加入をしたことへの忠告を与え、思いやりを見せた。
怪しさと仲間意識の芽生え
選ばれた理由と逆選択の理由
なぜ危険な3人組に同行を申し出たのか問われたフィーアは、最も怪しい集団を選んだと率直に答えた。その理由を聞いた3人は驚きつつも、彼女の屈託のなさを受け入れ始めた。
双頭亀討伐の目的と前向きな参加表明
冒険者たちの目的が双頭亀の討伐であると聞いたフィーアは、逆にやる気を見せ、協力を申し出た。彼女の前向きな姿勢に対し、仲間たちは呆れつつも次第に信頼を深めていった。
心の距離の縮まりと正体の示唆
素直な賞賛と過剰反応する仲間たち
戦闘中の称賛を素直に口にしたフィーアに、仲間たちは異様な反応を示し、照れや動揺を隠せなかった。フィーアの屈託ない言動は、彼らの心に強い影響を与えていた。
貴族との関係とフィーアの推理
会話の中でアルテアガ帝国の名前が出たことで、冒険者たちの出自が明かされることとなった。フィーアは彼らの出身国や鎧の紋章、言語の訛りからその正体を正確に推理し、黙っていることを約束した。
兄弟関係の暴露と親近感の共有
3人は実の兄弟であることを打ち明け、フィーアもまた4兄妹であると明かしたことで、互いに親近感を深めた。
双頭亀討伐と兄弟の呪いの真実
水汲みを通じたブルーの心の吐露
昼食の準備のため、水汲みに同行したフィーアは、ブルーの口から彼の家系にまつわる「呪い」の存在を聞かされた。彼の兄たちは流血の呪いに、妹は眠りの呪いにかかっており、生まれながらにして咎人とされた存在であるという信仰が、彼らの一族には根付いていた。
呪いに対する絶望と兄弟の衝突
ブルーは善行を重ねても呪いが解けないことに絶望し、「女神は存在しない」と言い放った。これに激昂したレッドは、神への冒涜を咎めて彼を殴打し、二人の間に激しい感情の衝突が生まれた。
家督争いと命の危機
ブルーは、家督争いにおいて呪われた者が排除される現実を語り、自分たちがいずれ命を狙われると予見していた。その中で、妹を守り兄たちと共に生き延びる決意を語るも、希望は見い出せず、苦悩を抱えていた。
占い師の予言と討伐の目的
グリーンは、国一番の占い師が「双頭亀を倒せば呪いが解ける」と語ったことを話し、討伐行の意義を強調した。双頭亀の左手が妹の呪いを解く鍵となるとされており、戦いには生死を賭ける理由があった。
双頭亀との遭遇と戦闘の開始
翌朝、森の奥で双頭亀の存在を察知したブルーにより、ついに魔物との遭遇が確定した。レッドとグリーンは戦いの覚悟を新たにし、フィーアへの感謝と別れを告げて前線に立った。
苛烈な戦闘と流血の激闘
巨大な双頭亀は凶悪な牙と俊敏な動きで兄たちに猛攻を仕掛けた。グリーンは肩を噛み千切られ、レッドも腕を失うなど、状況は絶望的であったが、彼らは退かず、必死に応戦し続けた。
ブルーの葛藤とフィーアの叱咤
参戦せずに見守るブルーに対し、フィーアは「死んだ人間は戻らない」と叱咤し、「救えるのは人間だけである」と説いた。兄たちを救うための力が自分にあることを自覚したブルーは、ようやく戦場へと踏み出した。
フィーアの聖女の力と戦局の逆転
フィーアは聖女の力で回復魔法を行使し、兄たちの失った四肢を瞬時に再生させた。さらに、三人に身体強化を、双頭亀には弱化魔法を施すことで戦局は一変し、三兄弟は圧倒的な連携で魔物を追い詰めた。
双頭亀討伐と沈黙の余韻
連携の末、双頭亀の両頭を斬り落とし、ブルーが目的の左手を切り取った。勝利の瞬間、三人は放心し、言葉を失ったままその場を離れようとしなかった。フィーアは薬草を採取しつつ、兄たちの気持ちに寄り添った。
妹の目覚めと呪いの解呪
フィーアは双頭亀の素材から薬を調合し、妹の目覚めを促す薬として渡した。続けて、レッドとグリーンの状態異常も解除し、彼らの長年の呪いを完全に解いた。兄弟は深く感謝しつつも言葉を失い、行動だけでその想いを伝えた。
別れと信仰の転化
帰還の道中、三人は言葉少なにフィーアの世話を焼き続けた。森の出口に到達したとき、三兄弟はフィーアに跪き、「創生の女神」として深い崇敬を捧げた。彼女の言葉を「神託」として仰ぎ、未来を導く指針とした。
数か月後の帝国と新たな皇帝の即位
その後、アルテアガ帝国では呪いを克服した正妃の子が新皇帝として即位した。彼は「創生の女神」との邂逅と加護によって呪いを解かれたと宣言し、国民は熱狂をもってこれを歓迎した。かつてフィーアと共に森を歩んだ三兄弟は、帝国の新たな支配者として国を導く存在となったのである。
特別書き下ろし【 SIDE】騎士団総長サヴィス ~始まりの風とともに
バルコニーでの邂逅と“赤”の奇跡
フィーアとの偶然の出会いと衝動的な誘い
ある日、サヴィス総長は廊下で偶然フィーアとすれ違い、その赤い髪に目を奪われた。通常であれば軽く頷くだけで通り過ぎるはずが、その時はなぜか衝動的に声をかけ、「付き合え」と命じて彼女を同行させた。
王都を望むバルコニーと為政者の視点
連れて行った先は、城の最上階にある広大なバルコニーであった。そこから望む王都の景色を前に、サヴィスは国を守る者としての責務を口にした。フィーアもまた、その光景に心を動かされ、自らが守るべき景色だと共鳴する発言をした。総長はその言葉に、彼女の資質の片鱗を見出した。
髪と国旗の“赤”の一致
風が吹き抜ける中、フィーアの赤髪が風になびき、背後の国旗と重なった瞬間、サヴィスはふと「同じ色だ」と感じた。ナーヴ王国の国旗に使われる「大聖女の赤」は、かつての大聖女の髪色を模して染められた、唯一無二の赤とされていた。長らく再現不可能とされたその色を、目の前の少女が無自覚に持っているという事実に、彼は強い衝撃を受けた。
大聖女の伝説と再現困難な赤
かつて、王国の国旗は青と白で構成されていたが、三百年前に騎士団総長が大聖女の髪色を模して赤に変更した歴史があった。その赤は「大聖女の赤」として知られ、当時の染色職人たちの努力と偶然により、ようやく一人だけが再現に成功したと伝わっている。その染色技術は一子相伝であり、今日でも門外不出である。
無自覚な一致と価値の理解不足
サヴィスが同じ色に見えることを告げると、フィーアは軽く否定し、「よくある色かもしれない」と答えた。その無邪気な反応に、彼は呆れとともに、彼女の無知が滑稽にすら思えた。だが、同時に聖女の力を持たぬ彼女がこの色を有することに、奇跡的な偶然を感じていた。
偶像の危機と未然の安堵
金の瞳と「大聖女の赤」を併せ持つフィーアが、もし聖女の力を備えていたなら、民衆に偶像として祭り上げられていたであろうとサヴィスは推測した。彼は冗談めかしつつも、そこに確かな危機を見出していた。
髪色の価値と少女の無自覚
サヴィスは「染めるな」と忠告したが、フィーアは「この色が好きだから染めない」と屈託なく答えた。幼い頃からこの色だったという話にも、サヴィスは不思議な納得を覚えた。彼女がどこか特別な存在であることは否定できないと感じていた。
元気な別れと国の未来
最後に、フィーアは礼を述べて元気よく去っていった。彼女の前向きさと素直な性格を目にしたサヴィスは、こうした人間が増えていくことが王国の隆盛につながると実感し、静かに次の任務へと向かった。
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敵国に嫁いで孤立無援ですが、どうやら私は最強種の魔女らしいですよ?

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