物語の概要
ジャンル:
歴史ファンタジー漫画である。11世紀北欧を舞台とし、ヴァイキング文化、奴隷制、開拓、戦争、平和といった重厚なテーマを扱う大河叙事詩である。
内容紹介:
主人公トルフィンは父の仇討ち、奴隷としての過酷な日々を経て、「約束の地ヴィンランド」にて平和の国を築くことを目指す。順調に小麦畑を開拓し、先住民族ウーヌゥ人との友好的関係を形成しつつあったヴィンランドであったが、疫病の蔓延が引き起こした疑心と憎悪が、民族間の緊張を加速させる。戦争回避を試みたトルフィンであったが、戦争強硬派の動きにより交渉は決裂し、アルネイズ村に火蓋が切られる戦争が勃発する。長きにわたる物語は、この29巻にてその結末を迎える。
主要キャラクター
- トルフィン:本作の主人公である。幼少期の父の死から復讐を誓い、奴隷時代を経験しながらも、最終的には「暴力でなくても平和を築く」という夢を抱く戦士である。
物語の特徴
本巻(最終巻)は、長期連載の集大成として、テーマであった「暴力」「復讐」「平和」「運命」という要素がすべて収束する形を取っている点が際立っている。疫病という突発的な災厄が文化・信頼関係・倫理観を揺さぶるトリガーとなっており、登場人物たちが「仕方ない」状況にどう抗うかが試される。戦争回避の選択が提示されながらも、避け得ない運命と向き合う痛みや負担も同時に描かれており、読者に重い問いを投げかける。肉体的な戦闘だけでなく、価値観の衝突や相互理解の可能性と限界を描くことで、単なる戦闘漫画ではなく人間ドラマとしての厚みを持っている。
書籍情報
ヴィンランド・サガ 29巻
(英語版:Vinland Saga)
著者:幸村誠 氏
発売日:2025年09月22日
ISBN:9784065394137
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あらすじ・内容
ヴァイキング達が跋扈する11世紀北欧を舞台にトルフィンが本当の戦士を問う物語。父親の仇を討つために過ごした幼少期、奴隷として農場で過ごした青年期を経てトルフィンは約束の地・ヴィンランドにて平和の国の建国を目指す。小麦畑を作り順調にヴィンランド開拓を進めるトルフィン達一行。先住民族のウーヌゥ人との友好的な関係を築きつつある中、ヴィンランドに疫病が蔓延。ノルド人とウーヌゥ人との間に疑心と憎悪の感情が芽生え、互いに自分たち平和を守るため、戦争を計画する事態に発展する。ヴィンランドが「仕方ない」の魔力に飲み込まれていく中、トルフィンはウーヌゥ人の族長へヴィンランドからの撤退を宣言し、戦争回避の策を提示する。族長はこれを受け入れ、争いは一時収束するかに見えた。だが未曾有の事態を機に戦争強硬派が動き出し、交渉は決裂。ついに戦争が始まり、アルネイズ村に戦争の炎が降りかかる。ココジャナイドコカ、約束の地へ。トルフィンの夢の行方はーーー。本当の戦士を問う北欧叙事、ついに完結!
感想
ついに『ヴィンランド・サガ』が完結した。千年航路、その言葉の意味が、物語の終着点で見えてくる。トルフィンというひとりの戦士の物語が、終わりを迎えたのだ。
ヴィンランドでの開拓は、決して順風満帆ではなかった。先住民族との戦争、多くの犠牲、そして島からの撤退。その失敗を目の当たりにしたカルリが、トルフィンの跡を継ぐような言葉を口にする。さまざまな別れを経て、物語は幕を閉じる。
読み終えてまず感じたのは、面白かった、というシンプルな感情だ。しかし、それだけではない。深く考えさせられる作品だった。平和な国を築くという理想は、現実の壁に阻まれる。人間は、信仰や思想の相違によって、根本的に相容れない部分があるのかもしれない。ブーウォインが共通の信条を見た途端に転向した姿は、それを逆説的に示しているように思える。
物語は、決して甘い結末ではない。多くの犠牲を払い、理想は打ち砕かれる。しかし、そのビターな結末の中に、かすかな希望の芽を見出すことができる。トルフィンの旅は終わったけれど、その意志は、カルリのような若い世代に受け継がれていく。
『ヴィンランド・サガ』は、戦いの物語であり、日常の物語であり、人間関係の物語でもある。トルフィンは、復讐に燃える少年から、平和を願う戦士へと成長していく。その過程で、多くの人々と出会い、別れを経験する。彼らの生き様は、私たちに生きる意味を問いかける。
この作品に出会えて、本当に良かった。作者である幸村誠先生に、心から感謝を伝えたい。ありがとうございました。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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登場キャラクター
トルフィン
和平を重視し、武力よりも和解を選ぶ姿勢を貫いた人物である。戦場で幾度も負傷し、亡者の幻影に苦悩しつつも、最後まで「敵はいない」と宣言した。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の指導者。
・物語内での具体的な行動や成果
矢傷を負いながらも生還し、ブーウォインやプルムクと対話して和解を模索した。最終的にウーヌゥとの停戦を成立させ、ヴィンランド開拓を続ける決意を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
開拓団の中心的存在として信頼を集め、和平を選ぶ姿勢が仲間と敵双方に影響を与えた。
エイナル
トルフィンと共に開拓を支えた人物である。戦争を嫌いながらも村を守るために武器を取り、最期は人を殺した罪悪感に苦しみながら命を落とした。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の農夫。
・物語内での具体的な行動や成果
撤退に反発し、村を守るため戦った。初めて敵を殺した後、停戦を受け入れたが、ストルクの暴走を止めようとして命を落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
停戦成立の象徴的存在となり、その死は和解の転機となった。
ヒルド
狙撃に長けた人物である。敵を殺さずに退けることを信条とし、トルフィンを背負って救い出した。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の狙撃手。
・物語内での具体的な行動や成果
脚を狙った狙撃で追撃を防ぎ、トルフィンを救出した。砦の攻防戦でも冷静に指示を出し、彼を支えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
トルフィンの生存に大きな意義を見出し、彼の思想を支える存在となった。
ニスカ
ウーヌゥ側に属するが、ギョロと心を通わせた人物である。
・所属組織、地位や役職
ウーヌゥの一員。
・物語内での具体的な行動や成果
ギョロと別れを惜しみ、最終的には共に生きる道を選んだ。戦場ではブーウォインと共にトルフィンの回復を支えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ギョロと共に「ココジャナイ、ドコカ」で暮らす決意を示し、民族の垣根を超える存在となった。
ギョロ
勇敢で仲間思いの人物である。ニスカとの関係を通じて立場を超えた絆を結んだ。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
砦で奮戦しつつ、ニスカを守るために別行動を決意した。最後は彼女と共に独自の道を歩むことを選んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
民族の壁を越える象徴として描かれた。
プルムク
ウーヌゥの若き戦士である。トルフィンに理解を示し、共存の道を模索した。
・所属組織、地位や役職
ウーヌゥの戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
トルフィンを匿い、食糧を調達して彼の命を救った。別れ際に小麦を託され、農耕を試みて発芽に成功した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴィンランドで農業を始め、先住民による平和の象徴となった。
ブーウォイン
呪術師として一族を導いてきた人物である。
・所属組織、地位や役職
ウーヌゥの呪術師。
・物語内での具体的な行動や成果
病の拡大を危惧し、ノルド人との共存を否定した。しかしトルフィンの言葉に触れて認識を改め、自らの誤りを認めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
悲観から転じて和解の一助となり、戦争観に変化を示した。
ガーハホチ
強欲で支配欲の強い人物である。食糧や武器を奪い、権力を誇示した。
・所属組織、地位や役職
ウーヌゥの一族の戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
イーヴァルの剣を奪い、ムインを殺害して支配を誇示した。トルフィンを人質に取りつつも停戦交渉に利用した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冷酷さと野心を象徴する存在であり、トルフィンが「痛みを知らない者」として認識する相手となった。
ストルク
冷静な戦闘指揮を担った人物であるが、停戦に強く反発した。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の戦闘指揮役。
・物語内での具体的な行動や成果
砦で防衛戦を指揮し、火攻めや海側の襲撃にも対処した。停戦交渉では最後まで拒否し、ガーハホチに挑んで討たれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
和解を拒む立場の象徴となり、その最期は停戦成立の契機となった。
イーヴァル
戦いに身を投じた戦士である。兄弟と仲間を守るために出陣し、壮絶な最期を遂げた。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
負傷と右手の欠損に苦しみながらも戦場に立ち、斧を振るい続けた。最後は多数の槍に貫かれて戦死した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
仲間を鼓舞し続けた姿は、開拓団の士気を支える象徴となった。
親方ヴァルガル
歴戦の戦士であり、ヨーム戦士団の経験を持つ人物である。
・所属組織、地位や役職
元ヨーム戦士団。ノルド人船団の親方。
・物語内での具体的な行動や成果
海側から襲撃するウーヌゥの小舟軍団を圧倒し、恐怖を与えて退却させた。砦内では仲間を鼓舞し、トルフィンの交渉を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦場で圧倒的な存在感を示し、開拓団の戦力の柱となった。
グズリーズ
トルフィンの妻であり、カルリと新生児の母である。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団。
・物語内での具体的な行動や成果
避難の際に夫の帰還を望み、仲間に説得された。避難先ではカルリを励まし、開拓を続ける決意を支えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
母として家族を支え、次の世代への希望を示す役割を担った。
カルリ
トルフィンとグズリーズの子であり、若くして父を擁護した。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の子供。
・物語内での具体的な行動や成果
父を非難する者に反発し、父の信念を支持した。避難先で次の挑戦を誓い、再びヴィンランドに挑む意志を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
父の理念を継ぐ象徴として描かれ、未来への希望を託される存在となった。
コーデリア
冷静な判断力を持つ女性である。戦闘でも役割を担った。
・所属組織、地位や役職
ヴィンランド開拓団の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
砦の防壁で敵兵を撃退し、火攻めに対しても消火を指示した。避難を嫌がるグズリーズを説得し、カルリを守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦闘と避難双方で重要な役割を果たし、実務的な支えとなった。
ムイン
ウーヌゥの族長であるが、病に侵され弱体化した。
・所属組織、地位や役職
ウーヌゥ族長。
・物語内での具体的な行動や成果
砦を攻撃し「逃がすな」と命じたが、病で衰弱し、ガーハホチに剣で殺害された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦場を統率する立場を失い、族長の座は事実上崩壊した。
展開まとめ
第210話
千年航路19
ヒルドの狙撃
ウーヌゥの戦士達はヒルドの矢により脚を射抜かれ、動けず苦しんでいた。矢の短さに疑念を抱いた者もいたが、全員が脚を狙撃されており、殺意は感じられないと語った。ヒルドは追っ手を退けたが、さらに大勢の影が迫りつつあることを察した。
トルフィンの苦境
トルフィンは胸の矢傷のため呼吸が困難となり、逃走中に追っ手に発見された。動きを止めれば的になると自覚しつつも、次第に体力を奪われ、遂に複数の矢を受け倒れた。ウーヌゥの戦士達は彼を仕留めたと歓喜した。
内面の幻影
意識を失いかけたトルフィンは、燃える麦畑の幻影の中でトルケルやイーヴァル、エイナルと対峙した。彼らは「ヴィンランドでも戦争は起きる」「実験は失敗した」と非難し、アルネイズ村を守りたいと訴えた。トルフィンは撤退すれば戦争を避けられると主張したが、反論に苦しんだ。
ヒルドの救出
トルフィンはヒルドに背負われて意識を取り戻した。ヒルドは追っ手を殺さず退け、時間を稼いだと告げた。トルフィンは常に助けられてきたと語り、ヒルドは「お前は間違っていない」と励ました。ヒルドはトルフィンの生存に強い意義を見出していた。
プルムクの登場
さらに追っ手の影が迫り、ヒルドは矢が尽きたことに焦った。そこへ現れたのはウーヌゥの戦士プルムクであり、敵か味方か判然としないまま、緊張を残して場面は終わった。
第211話
千年航路20
導入 — 帰還と緊張
トルフィンとヒルドが殿を務め、エイナルとギョロ、そして共に逃れてきたニスカがノルド領に戻って来た。長い夜行の疲労をぼやく者や、すぐに村に知らせに走る者など、それぞれが緊張と慌ただしさを抱えていた。
ニスカとギョロの別れ
ギョロはニスカを自分の家に誘うが、ニスカはノウドの国へは入れないと拒絶した。別れ際、ニスカは涙ながらにギョロに「死なないで」と約束を求め、ギョロも彼女の無事を願って見送った。二人の別れは、ノルドとウーヌゥの関係が決定的に変わったことを示した。
偽装と発覚の危機
隠れているニスカの存在を気づかれかけ、枝が折れる音で一瞬危機が訪れたが、ギョロが巧みに話をそらしてその場を切り抜けた。ニスカはギョロの見送りを受けつつ、胸に悲しみを抱えていた。
砦への避難と情勢説明
村人たちは丸太の城壁に貴重品や家畜を押し込み、砦に集められた。ギョロは自分たちが見た敵の規模を伝え、ウーヌゥの戦士が約300人いると報告した。人数の差に村人たちは戦慄し、絶望や混乱が広がった。
撤退案と避難計画
親方ら有力者は撤退を提案し、まずは女子供と食料を無人島へ運ぶこと、複数回の往復で物資を移す計画を示した。トルフィンの指示に基づく撤退決定が伝えられ、村の多くは避難準備へ動いた。
不満と責任追及
撤退の決定に対して、一部の村人はトルフィンを非難した。被害の大きさと無駄になった努力を根拠に、責任追及や損害賠償を求める声が上がった。感情的な反発と分断の兆候が明確になった。
エイナルとイーヴァルの主戦論
主戦派のイーヴァルが砦の意義を問い、少人数でも守れるはずだと訴えた。エイナルはそれに続き、トルフィンの判断に反して村を守ると宣言し、たとえ一人でも戦う意志を示した。彼の決意は周囲の士気を刺激し、一時的に「守る」方向へ人々を動かした。
民衆の煽動と挙兵の兆し
エイナルの叫びを受けて、村人達の多くが戦う意志を示し、刀や斧を掲げて士気を高めた。かねてからの不安と被害の怒りが結びつき、撤退と避難の方針に対する反発が一気に臨戦態勢の様相を帯びていった。
戦端の開幕
見張りから「ウーヌゥの軍団が来た」との報告が入ると、外で家屋が燃やされる光景が確認された。外の者を中に入れるよう命じ、門を閉じる準備が進められる中、エイナルは「戦うぞ」と村全体を鼓舞して話を終えた。物語は村の抵抗と衝突へ向かう緊迫状態で締めくくられた。
第212話
千年航路21
家屋の焼き討ちと掠奪
ノルドの家屋を襲ったウーヌゥの戦士たちは火を放ちつつ内部の物資を奪っていた。家屋に火をつけた者は命令に従っただけだと主張したが、掠奪していた者はまだ有用な物資が残っていると不満を示した。
ブーウォインの制止と若者の反発
ブーウォインは現場に現れ、ノルド人の持ち物は病の原因になるためすべて焼却せねばならないと命じた。しかし若い戦士は彼を古い存在として軽視し、呪術師の役割は終わったと告げ、以後は戦争が支配すると言い放った。
砦を見たウーヌゥの反応
砦に立てこもるノルド人の姿を見たウーヌゥの戦士たちは、その戦法を理解できず困惑した。彼らは「逃げ切るまでの時間稼ぎなのかもしれない」と推測し、財産や道具も砦の中にあるだろうと語った。族長ムインは「逃がしてたまるか」と強い意志を示した。
ガーハホチの出現と食糧論
昨晩の斥候で剣を奪ったガーハホチが現れ、狩猟をしていたと弁明した。ムインは戦争に食糧は不要と一蹴したが、ガーハホチは不満を隠せなかった。ムインはさらに指示を出し、カヌー部隊に海からの攻撃を命じた。
避難の開始と葛藤
砦内では親方が非戦闘員の避難を指揮し、女や子供たちを船に乗せた。しかしグズリは夫トルフィンを待ちたいと抵抗し、コーデリアが必死に説得した。カルリは戦いに向かうコーデリアを見て不安を募らせ、「仕方ないのかな」と自問した。
船団とウーヌゥの小舟
避難船団が出航すると、ウーヌゥのカヌー部隊が現れて進路を妨害した。親方は突破を指示し、矢を警戒しつつオールで敵を打ち払った。
砦への攻撃と混乱
ウーヌゥの戦士たちは枯草を束ねた火攻めで城壁を焼こうとした。村人たちは海水で消火を試みたが、矢の一撃で死者が出て動揺が広がった。エイナルは矢の節約を指示し、ストルクは火だけを防ぐよう強調した。ウッゲは海側からの襲撃を報告し、守りを急がせた。
持久戦の決意
戦えないイーヴァルは「ねばるしかない」と語り、ウーヌゥの病への弱さを利用すべきだと説いた。ストルクも同意し、数日の持久戦こそ勝機とした。イーヴァルは「勝つまでだ」と執念を見せ、死者の無念を晴らすと誓った。
ウーヌゥ側の議論とニスカの疑問
砦を見つめるブーウォインは、トルフィンとの休戦が反故になったことを悔やみ、戦争の長期化を予見した。ニスカは「未来は変えられるのか」と問いかけ、戦争による解決を疑問視した。だがブーウォインは「共存は不可能で、戦うしかない」と答えた。ニスカは「仕方のないことなのか」と疑念を抱き始めた。
プルムクの反論と提案
そこにプルムクが現れ、ブーウォインの悲観的な予見を批判した。そして重傷を負ったトルフィンを匿っていることを明かし、ブーウォインに治療を求めた。
第213話
千年航路22
北端からの侵入試み
丸太防壁の北側末端から侵入を図ったウーヌゥ戦士達は「ここから囲いの内側に入れる」と突入した。しかし、壁の端に立って待ち構えていたコーデリアが丸太を突き出し、先頭の戦士を海へ叩き落とした。
火攻めと村人の混乱
正面では火攻めが激しく続き、村人達は海水で必死に消火を行ったが、疲労したギョロが水をこぼして叱責される。弓矢戦も熾烈を極め、エイナルは矢に掠られて負傷しながらも戦闘を続けた。
夜営の不和と病の影
夜、ウーヌゥ陣営では族長ムインが若者達を叱責するが、彼らは反発し、病の危険を軽視して砦近くで休もうとした。その頭上にはペストの原因となるネズミが徘徊していた。後方のガーハホチは食料確保に専念し、静観していた。
捕虜処遇の対立
砦内に忍び込んだウーヌゥの戦士が捕らえられるも、村人が即座に槍で刺殺してしまう。ギョロは捕虜交換に利用できたはずだと非難するが、他の村人達は「仲間の仇」と報復を叫び、感情的に暴走していった。
戦術を巡る思索
ギョロの疑問に、エイナルは「戦争以外で村を守る方法があるなら教えてくれ」と答え、戦局の限界を認めるしかなかった。翌朝も火攻めは続いたが、防御側は体制を整え、前日より効率的に対応できるようになっていた。
異変の兆候
ストルクは「これなら凌げる」と判断する一方、イーヴァルは「ウーヌゥの数が減っている」と不審を抱く。やがて見張りから「入り江の外が怪しい」と報告があり、確認すると小舟による大艦隊が迫っていた。
第214話
千年航路23
カヌー部隊の襲来
裏手の海から小舟の大艦隊が接近し、ギョロは驚愕する。ムインは待ち望んだ好機とばかりに攻撃命令を下し、砦を挟撃する構えを見せた。村人達は混乱し、指示を求めるがストルクは兵力不足に苦悩する。
エイナルとイーヴァルの決断
エイナルは自ら海側の迎撃を買って出て、ストルクに持ち場の補充を任せた。ストルクは止めようとするが、エイナルは「手遅れになる」と押し切る。その直後、熱と右手の欠損に苦しむイーヴァルも出撃を宣言し、ストルクの制止を振り切った。彼は「進んで危険を引き受けるのがリーダーだ」と語り、弟に指揮を託して戦場へ向かった。
イーヴァルの奮戦と最期
イーヴァルは負傷しながらも左手で斧を振るい、敵兵を斬り伏せる。「仲間のために、国のために戦う」と叫び、戦士として生きている喜びを噛み締めるが、やがて多くの槍に貫かれ倒れる。彼の斧は戦利品として奪い合われ、ウーヌゥ戦士達は鉄製の武器に熱狂した。
新たな脅威の到来
海側の戦況が混乱する中、寄せ集めの軍団は内部で小競り合いを始めていた。そこへ非戦闘員を送り届けたノルドの船団が戻り、ウーヌゥ兵達は迎撃態勢を取る。砦に迫る船団の先頭には、かつてヨーム戦士団に属した歴戦の戦士の姿があった。
第215話
千年航路24
エイナルを巡る混乱
砦内で劣勢に立たされたエイナルは複数のウーヌゥ戦士に取り囲まれる。彼らは鉄製の槍を奪おうと互いに牽制し合い、ついには順番をくじで決め、一人ずつ挑む形を取ることになった。言葉を理解できないエイナルはその状況を「案外紳士的だ」と誤解するが、敵兵は「目が怯えている、殺すことも殺されることも怖がっている」と評した。
殺意と葛藤
エイナルは「殺らなければ守れない」と己に言い聞かせ、恐怖と葛藤の中で「敵を殺せ」と内心で繰り返した。アルネイズ村を守るため、自分が生き残るために、戦う決意を固めた。
ヨーム戦士団の蹂躙
一方、海側では親方率いる元ヨーム戦士団が圧倒的な力でウーヌゥ戦士を蹂躙していた。親方は「蹴散らせ、手加減無用だ」と命じ、ウーヌゥ兵達は恐怖してカヌーで退却していく。追撃を望む部下に対し、親方は「逃げる者は討たなくていい、砦内に集中しろ」と命じた。
エイナルの初殺し
戦場でエイナルはついに一人の敵兵を槍で突き倒した。親方は「ご無事ですか」と声をかけ、手当てを勧めたが、エイナルは錯乱しながら何度も敵兵を突き刺し、槍の柄が折れるまで止まらなかった。親方が必死に引き離し「もう死んでいる」と諭すと、エイナルは「しかたなかった」と繰り返し呟いた。
仕方なかったという言葉
親方も「仕方のねぇことです」と同意を示したが、エイナルの心には重い苦悩が残った。最後に彼は血塗れのまま「しかたなかったんだ」と呟き続け、戦士として初めて人を殺した重みを抱えることとなった。
第216話
千年航路25
亡者との邂逅
意識を失ったトルフィンは、過去に自らが殺めた者たちの幻影と再会した。彼は「皆を平和なヴィンランドで眠らせてあげたかったが、私は失敗した」と嘆き、自らをヴァルハラへ連れて行けと願った。しかし亡者たちは「碑を立て直せ。お前は確かに船出を果たした」と告げ、「千年の航路」が始まったのだと励ました。その言葉により、トルフィンは目を覚ます。
目覚めと仲間の支え
トルフィンの意識回復をニスカが仲間へ知らせ、彼は生きていることを確認する。テントから飛び出したトルフィンは「何日経った!?」と慌てるが、ブーウォインに「6本の矢を受けて生還するとは」と驚かれ、ヒルドから「ここで倒れてから6日半が経過した」と説明を受ける。さらに矢の一本には毒が塗られており、解毒と看病を続けたミスグエゲブージュやニスカ、食糧を調達したプルムクの尽力で一命を取り留めたと知らされる。
撤退しないウーヌゥ
ヒルドは「ウーヌゥの軍団は6日間砦を包囲したままで、撤退の気配はない」と報告。トルフィンは焦り「人が死ねば和解は遠のく」と立ち上がろうとするが、体が弱りふらつく。ヒルドは休養を勧めるが、トルフィンは和解の重要性を強調した。
和解の可能性を問う
ブーウォインは「この期に和解を考えるのか」と問い質す。トルフィンは「争いは和解で終わらなければならない」と応じ、「ペストの治療法を探しに世界を巡り、いずれ戻る」と約束した。しかしブーウォインは「共存はあり得ない」と否定する。そこにプルムクが「トルフィンは殺されかけてもなお我々と仲良くしようとしている」と説き、友達になるべきだと進言した。
敵ではない宣言
トルフィンは「友達になりましょう、今からでも遅くない」と述べ、さらに「私に敵はいません」と断言する。この言葉にブーウォインは驚愕しつつ「大いなる精霊の在り方だ」と感じ入り、ノウド人に対する認識を改めた。最後に「私は秘術のみに頼りすぎ、ノウド人を知ったつもりでいた」と己の誤りを認めたのであった。
第217話
千年航路26
雪原に現れた三人の兵
戦場から離脱した三人の兵がソリを引いてガーハホチの一族の元へ現れた。彼らは食料を求めつつ撤退の意思を示したが、ガーハホチは病の疑いを理由に接近を禁じ、伏せていた弓兵に命じて射殺させた。
ムインの捕縛と病の発覚
兵の荷に隠れていたムインが発見され、重病で苦しむ姿を晒した。部下達は殺害を主張したが、ガーハホチは彼を利用しつつ「この地から病人を逃さない」と語り、自分達が戦場を封鎖していることを明かした。
権力の誇示と剣の奪取
ガーハホチは自らが島で最強であると豪語し、病で衰弱したムインを侮辱した。そしてイーヴァルの剣を掲げ、新たな支配者を自称した後、その剣でムインを刺し殺し、自らの権力を誇示した。
トルフィン達の接近
その直後、トルフィン一行が接近し、周囲の兵達が警戒した。ブーウォインは仲裁に入り、トルフィンの目的が「石」であると説明した。トルフィンは焚き火を蹴り飛ばして石碑を確認し、それを「触れずに残してほしい」と告げて立ち去ろうとした。
ガーハホチの提案
ガーハホチはトルフィンを引き止め、病の蔓延した戦場で戦うことを避けたいと吐露した。そして「お前を人質にして撤退を説得させる」と露骨に要求したが、トルフィンは冷静に「すでにそのつもりだ」と答え同行を許した。
ヒルドの警告とトルフィンの自覚
ヒルドはガーハホチが仲間殺しであり、イーヴァルの剣を持つ危険人物だと警告した。トルフィンはそれを理解しつつ、「痛みを知らない男」「他人の苦しみに無頓着な者」と定義し、戦場で幾度も遭遇してきた存在であると語った。そして「彼らとどう接するかは生涯の課題」と自覚を深めた。
戦場跡の惨状
砦の前に到着したトルフィン一行は、包囲していたウーヌゥ戦士達がペストに倒れ、もはや陣形を保てない惨状を目にする。ブーウォインは、自らがこの状況を招いたと後悔する。プルムクは「ギトプイー族の生き残りなら一度病を克服している」として応援を呼びに走り、残されたブーウォインは多くを救えない現実に苦悩する。
停戦使者の到着と動揺
健常な戦士が「ノウド人!」と騒ぎ立てるが、ガーハホチは「停戦の使者だ」と制止し、トルフィン達を砦前に導く。砦内からも村人が「トルフィン!?」と驚き、ヒルドや仲間の無事を喜ぶ声が上がる。親方ヴァルガルも姿を現し、救出に動こうとするが、トルフィンは「無駄です。私を助けようとすれば即座に殺される」と制止し、交渉以外に活路はないと説く。
再会と混乱
壁上からギョロが叫び、ニスカとの再会に言葉を失う。ニスカは「ギョロの嫁になる」と言い出し、場を混乱させるが、周囲は呆れながらも事態を見守る。親方はトルフィンに指示を求め、トルフィンは「停戦」を選択、条件は「ノルド人の完全撤退」と告げる。ストルクは反発し「病に罹ったウーヌゥが勝手に死ぬ」と強弁するが、トルフィンは「犠牲の上に国を作るのか」と厳しく問いただす。
虚勢と真実
ストルクは「戦力は十分」と強がるが、トルフィンは「嘘だ」と見抜き、村人達の疲弊と兵力不足を指摘する。さらに親方が密かに奪還作戦を準備するが、トルフィンは「終わりなき戦いになる」と停戦の必要を説き、「本当の勝利は敵を倒すことではなく、仲良くなることだ」と宣言する。
エイナルの登場
ストルクは「勝利を放棄するな」と迫るが、トルフィンは「他のみんなはどう思う」と村人達に問いかける。答えを濁す彼らに苛立ちながらも、トルフィンは「エイナル!生きているなら出てきてくれ!」と叫ぶ。やがて姿を現したエイナルは険しい表情を見せ、トルフィンは言葉を失う。ストルクは交渉の続きを持ちかけ、次なる局面が訪れる。
第218話
千年航路27
エイナルの告白と苦悩
トルフィンはエイナルを見て、人を殺したことを察した。エイナルはそれを認め、自分にはその重荷に耐え続けることができないと吐露した。彼は人を殺してしまった罪悪感に押し潰されそうになり、頭を抱えて苦しんだ。
ストルクの正当化
ストルクは戦場においては殺らなければ殺られるのが常であり、エイナルはすべきことをしただけだと擁護した。彼は戦い以外に選択肢はなかったと主張し、エイナルに揺らぐなと促した。
トルフィンの寄り添い
エイナルは戦うと決意した自分と、撤退を決めたトルフィンを比較し、自身の選択を正しかったと認めてほしいと迫った。トルフィンは、今自分が「正しい」と言っても苦しみは消えないと述べ、死者を共に背負うことを約束した。
和解への転機
エイナルはトルフィンの姿勢を理解し、彼こそが本当の戦士であると認めた。そして停戦を受け入れ、「お前が正しかった」と言葉を残した。
村人たちの動揺
その場にいた村人たちは、停戦がヴィンランドからの撤退を意味することに動揺した。築き上げた努力を無駄にするのかと憤る声も上がったが、一方で戦いを続けることへの疲労と迷いが表れていた。
ストルクへの停戦要請
トルフィンはエイナルの決断に感謝し、ストルクへも停戦の同意を求めた。しかしストルクはガーハホチを見据え、不満を募らせていた。ガーハホチはノルド人の安全を保障すると告げるが、ストルクは内心で「仲間の死を無駄にできない」と憤り、停戦を拒絶していた。
ストルクの暴走とエイナルの決断
突如、ストルクはガーハホチへ襲い掛かる。重傷のトルフィンは動けず、エイナルが必死に止めようとするが、逆に首を刺されてしまう。大量の血が噴き出し、周囲が騒然とする中、ストルクは再度攻撃を試みる。しかしガーハホチが剣を振るい、ストルクの首を切り落とした。
停戦を巡る葛藤
砦の上から様子を見ていたノルド人達は弓を放とうとするが、親方が「エイナルさんが体を張った意味を考えろ」と制止した。戦いを続けるのか、それとも停戦に進むのか、皆に決断を委ねた。
エイナルの最期
トルフィンは出血するエイナルを抱き、「この程度で死ぬものか」と励ました。しかしエイナルは「オレは人を殺してしまった…アルネイズさんにどんな顔をして会えば」と言い残し、息絶えた。
トルフィンはその亡骸を抱きしめ、「エイナル」と名を呼ぶしかなかった。
停戦の成立
この衝撃的な出来事の後、ノルド人もウーヌゥ人も矢を放つことはなく、戦いは止んだ。停戦はエイナルの犠牲によって実現したのであった。
第219話
何度でも
エイナルの言葉と埋葬
過去のエイナルは「最後の手段を取らざるを得なくなっても自分はお前の気持ちを知っている」とトルフィンへ語りかけていた。そのエイナルはアイネイズの石像と共に石碑の前に土葬された。トルフィンは墓前で「お前の気持ちを知っている」と繰り返し、追い詰められて戦わざるを得なかった彼の思いを受け止めた。
避難民の不安と親方の対応
場面は北東約100kmの避難先の島に移り、女性や子供たちが帰還しない家族を案じて親方に詰め寄った。親方は遺体がここに運ばれていなければ生存していると説明し、戦場には戻れないと説いた。また、数日のうちに男衆が撤退して来ること、避難所を拡充することを告げた。
ウッゲの不満とカルリの反発
負傷者ウッゲは「勝てたのにトルフィンが勝手に撤退を決めた」と叫び、責任をトルフィンに押し付けた。これにカルリが「父は間違っていない」と反発し、ウーヌゥ人にも優しかった父の行動を肯定した。ウッゲは開拓の責任を理由に批判を続けたが、カルリは駆け去り、周囲の人々は「子供相手に大人気ない」とウッゲを非難した。彼らは「成功も失敗も全てをトルフィンの責任にするのはおかしい」と指摘し、グズリーズにはカルリを褒め励ました。
エイナルの墓前での回想
トルフィンはエイナルの墓の前に立ち、戦争で人を殺すことの意味を考えていた。コーデリアはカルリやグズリーズ、赤子を守るためであれば殺すことも仕方ないと考えていたが、人を殺すことがどういうことか理解していなかったと述懐した。ヒルドも同様に自分も理解していなかったと語り、理解していたのはトルフィンだけだと認めた。
コーデリアの慟哭
コーデリアは、トルフィンが自分たちをもっと憎み、怒鳴りつけてくれれば苦しまずに済んだのにと涙を流した。ヒルドはその姿に寄り添い、トルフィンはただ墓前に佇み続けた。
カルリの決意
母グズリーズはカルリに、父をかばってくれたことへの感謝を伝えた。彼は次の開拓について語り、病気や言葉の壁が失敗の原因であり、次はうまくやれると力強く主張した。そして平和な国ができるまで何度でも挑戦し、父トルフィンのことを理解してもらえるようにすると誓った。グズリーズはその意気込みに驚きつつも受け入れ、再びヴィンランドで挑戦することを肯定した。
トルフィンの別れ
トルフィンはエイナルの墓に向かい、戦争の魔力の強大さに言及し、エイナルほど戦争を嫌う者でさえ武器を取らせてしまったことを悔いた。そして彼から多くを学んだこと、最後に自分を理解してくれたことへの感謝を述べ、「ゆっくり休め」と別れを告げた。
第220話
ココジャナイドコカ
出航前の贈り物
トルフィンはプルムクに小麦の種と農具を渡し、耕して秋に蒔くよう伝えた。プルムクは収穫を試みると応じ、二人は友好を示す握手を交わした。さらにトルフィンはブーウォインや他の仲間とも別れの挨拶を交わし、船団は出航した。
ガーハホチへの忠告
見送りに現れたガーハホチに対し、トルフィンは剣を捨て暴力の誘惑に屈しないよう強く訴えた。しかしガーハホチは剣を掲げて笑うのみであり、ギョロは彼が剣を捨てることはないだろうと語った。
ギョロとニスカの決断
航海の途中、ギョロは小舟を引き寄せて乗り込み、そこにいたニスカと共に暮らす決意を皆に告げた。彼は自分が島に残れば命の危険があり、かといってニスカをノルド人社会へ連れて行くことも難しいと説明した。そのため二人で独自に生きていくことを選んだのである。
仲間たちの祝福
トルフィンはギョロとニスカに祝福の言葉を贈り、ニスカにはギョロを託した。仲間たちも声を合わせて二人を励まし、笑顔で別れを見送った。ニスカは「ココジャナイ、ドコカ」と口にし、二人の未来を象徴する言葉となった。
歴史的背景とトルフィンの選択
作中の解説では、13世紀の記録にヴィンランドへの北欧人の渡航が六度あったと記され、トルフィン・カルルセヴニの入植事業はその五度目で最大規模であったと述べられた。彼は富や名声を追うのではなく、新大陸の開拓を選んだのである。
家族との再会
帰還後、トルフィンはグズリーズとカルリに迎えられ、生まれたばかりのわが子を初めて抱きしめた。彼の選んだ道は家族と共に生きる未来につながっていた。
プルムクの農作業
ヴィンランドに残ったプルムクは畑を耕し、トルフィンから託された麦の種を撒いた。彼は鍬を振るい、土地を整えながら慣れない作業を根気よく続けた。
試練と忍耐
畑に通い続けたプルムクは、雨の日でも様子を見に来て、芽を狙う鳥たちを追い払った。農業の経験がない中での挑戦であったが、失敗を恐れず粘り強く努力した。
麦の発芽
やがて土の中から緑の芽が顔を出した。ヴィンランドの地で先住民ウーヌゥのプルムクが初めて麦を芽吹かせることに成功した瞬間であった。
物語の結末
新たな生命の兆しは、トルフィンたちが目指した平和と開拓の象徴となり、物語はここで幕を閉じた。
同シリーズ
ヴィンランド・サガ





















その他フィクション

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