漫画「陰の実力者になりたくて 16」【最新刊】感想・ネタバレ

漫画「陰の実力者になりたくて 16」【最新刊】感想・ネタバレ

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物語の概要

本作は異世界転生×中二病ノリ×シリアスファンタジー漫画である。自称“陰の実力者”、すなわち影ながら世界を動かす男シドこと影山シド・カゲノーは、学園内で謎の首輪を使った“デスゲーム”事件に遭遇する。ラウンズ第五席フェンリルが「ディアボロスの右腕」解放を企む中、シドは学園生の命を守るべく、クラスメイトに扮した“スズーキ作戦”を発動し、アレクシアやクレアたちと共闘しながら大きく動き出す第16巻である。

主要キャラクター

  • シド(影の実力者/影山シド・カゲノー):主人公。平凡な顔で影から実力を示すことを美学とし、学園を巻き込むブラックユーモアと策略で謎多き戦いに介入する。
  • フェンリル(ラウンズ第五席):強力な敵幹部の一人。謎の首輪を用い、「ディアボロスの右腕」の解放を目論む緊迫の立役者として姿を見せる。
  • スズーキ・ホープ:目立たない学生だが、パリピ男を夢見る影薄タイプ。暴走する首輪事件から学園生を守るため、シドの策略により“替え玉スズーキ”として前線に出る。

物語の特徴

第16巻の見どころは、学園という日常舞台で繰り広げられる非日常の“デスゲーム”と策略合戦である。怪しい首輪というトリック装置を用いた緊張感ある展開、そしてシドの“替え玉”戦術や七陰メンバーとの連携プレイは、シリーズ独特の中二病ノリとシリアス構造の緻密なバランスを示す。また、「影の実力者」を体現する立場・環境での大規模決戦は、シリーズ屈指の読みごたえと驚きを読者にもたらす。

書籍情報

陰の実力者になりたくて! 16
漫画 坂野 杏梨 氏
原作 逢沢 大介 氏
キャラクター原案 東西 氏
発売日:2025年07月25日
ISBN:9784041162095

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あらすじ・内容

もし頂が見えてしまったら、人はその時歩みを止める。
異世界に転生し、あらゆる物事に陰から介入し
実力を示す「陰の実力者」設定をエンジョイしているシド。
ラウンズ第五席のフェンリルは、
「ディアボロスの右腕」の解放のために、
謎の首輪を使い、学園の生徒達の命を脅かす…!
この騒動の解決のために立ち上がったのは、
パリピ男を夢見る影が薄い男、スズーキ・ホープで…!?
アレクシア、クレア達と共に「スズーキ作戦」が始まる…!!
強大な敵に迫る、頂上決戦の第16巻!

陰の実力者になりたくて 16

感想

今回もまた、シドのぶっ飛んだ行動に、笑いが止まらなかった。あらすじにもあるように、教団のテロによって学園の生徒たちが首輪を付けられ、魔力を消費し尽くすと爆発するという、とんでもない状況に陥る。
シドよ姉のせいにするはどうかと思うよ( ^ω^)・・・
そこでシドがとった行動が、なんと亡くなったクラスメイト、スズーキくんに変装して陰の実力者ムーブをすることだったのだ。

いやいや、ちょっと待ってほしい。シドがメガネをかけただけで、本当に別人に見えると思っているのだろうか。周囲の人たちが全く気が付かないのは、もはやお約束なのだろうけれど、さすがに無理があるのではないかと、突っ込みを入れずにはいられなかった。まるで、仮面ライダーの黄色いマフラーを付けただけで別人に見える、あの現象と同じではないか。

しかし、そんな突っ込みどころ満載な展開こそが、『陰の実力者になりたくて!』の魅力なのだと改めて感じた。シドの勘違いと、それを見事に演出してしまう彼の能力。そして、周囲の人々のズレた認識が織りなす、独特の笑いの世界観は、他の作品では味わえないものだ。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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展開まとめ

episode.62

装置前の異変とフェンリルの疑念

フェンリルは白い霧の中、血溜まりと足跡を発見し、封印された扉まで侵入されたことに困惑していた。装置が破壊されず無傷で残っていることに違和感を覚え、侵入者の意図を測りかねていた。また、防衛装置が発動していた痕跡から、リリが侵入者を撃退した可能性を推察した。

ペトスの登場と対立する立場

その場にペトスが姿を現し、フェンリルに協力を申し出たが、フェンリルは敵意を隠さず剣を向けた。ペトスは教団に忠実であると主張し、円卓会議においてフェンリル派の失態が問題視されていることを伝えた。フェンリルは進捗を六割と述べ、アウロラの拒絶により解放が難航していると語った。ペトスは雫の数の減少と新たなラウンズ任命の可能性を示唆し、今年の供給がフェンリルに回らない可能性を告げた。

過去の失策と円卓の方針転換

フェンリルは、教団がシャドウガーデンを軽視したことが失態の原因であると批判し、かつての事件やラウンズの損失に言及した。ペトスは自らがラウンズに昇格できたのはシャドウガーデンのおかげと述べ、皮肉を交えて語った。円卓がようやく重い腰を上げたこと、そして新たな作戦「陰を狩る顎」が進行中であることが語られた。

シャドウの正体とフェンリルの分析

フェンリルはシャドウの力が本物であるならば、その存在は人外であり、アーティファクトや魔界の関係者か、教団と同等の技術を持つ者である可能性を示唆した。もし普通の人間ならば、それは武の頂点に立つ存在であると評価し、数百年ぶりに円卓が協力することの意味を語った。

計画への参加と新たな疑念

ペトスは計画の一翼を担っていると述べ、アーティファクトをフェンリルに提供した。それは魔力収集を助けるための道具であり、教団の研究室で開発されたものであった。フェンリルはその提供に疑念を抱きつつも受け取り、ペトスの真意を探ろうとした。

金色の獣人に関する探索

話題が金色の獣人に移ると、フェンリルは警戒を強めた。ペトスがその情報を探っていることに気づきながら、明確な回答を避けた。ペトスは礼を述べて立ち去り、フェンリルは彼の狙いが金豹族の生き残りにあると察した。

フェンリルの決意と野心

フェンリルは魔力の集積が進む装置を見つめ、ディアボロスの右腕の解放に向けて決意を新たにした。教団への不信とシャドウガーデンへの警戒を抱えながらも、目的達成のためにはいかなる手段も辞さない姿勢を示し、不敵な笑みを浮かべていた。

ローズの覚悟とアルファの説得

シャドウガーデンの支援により復興が進むオリアナ王国を見下ろしながら、アルファはローズに王としての覚悟を問うた。民からの反発を自覚していたローズは自信を持てずにいたが、アルファは情勢の悪化と教団の圧力を示し、王国が存亡の危機にあることを説明した。ディアボロス教団は永遠の命を守るために陰に潜み、表に出ることを恐れていたが、オリアナ王国との敵対によりその均衡が崩れ始めていた。

教団と宗教の構造的問題

アルファは、教団を滅ぼすためには単に戦うだけでは足りず、宗教的影響力を断つ必要があると語った。聖教とディアボロス教団の関係を切り離すには、オリアナ王国が戦争に勝利し、教団が世界共通の敵であると示さねばならなかった。そのためにローズは表舞台で民に恨まれても強く在る王であるべきだと説かれた。ローズは自身の弱さを認めつつ、覚悟を決めて髪を切り、強き王になる決意を示した。

ローズへの支援とシャドウガーデンの連携

アルファはローズに二人のメイド、664番と665番を護衛兼連絡役として任命し、シャドウガーデンとの関係を隠しながら支援を進める体制を整えた。そこへ七陰の第三席であるガンマが現れ、ローズの覚悟を確認したうえで、今後の報告を始めた。

異世界技術とアカネの調査

ガンマに引きずられていたイータは、異世界の技術について報告を行った。持ち帰ったノートパソコンやタブレットなどの電気機器は破損しており、ゲートを越える際の電磁波が原因と考察された。修理は困難だが、技術的には有用と評価された。また、異世界人アカネが目覚めており、言葉が通じないためベータが対応していると報告された。人体実験の許可を求めたイータに対し、アルファは厳しく制止し、研究費の削減を通告した。

ゼータの動向とアルファの信頼

続いて、ガンマはフェンリル派の活動とゼータの動向について報告した。ミドガル王国ではフェンリル派が再び動き出しており、学園の生徒を標的にしている可能性があるにもかかわらず、ゼータからの報告がない状況であった。デルタとの協力も難しいため他の支援が検討されたが、アルファはゼータへの信頼を明かし、必要ないと断じた。ゼータの過去と変化を思い返しながら、家族としての絆を信じるアルファは、彼女が必ず乗り越えると確信していた。

決意するアレクシアと出現するクレア

アレクシアは夕暮れのミドガル学園を見上げながら、教団によるディアボロスの右腕の復活を阻止する決意を固めていた。姉のアイリスは変わってしまい協力を得られず、騎士団も信用できない状況において、自ら動くしかないと考えていた。そのとき、クレアが現れ、突如としてアレクシアを引っ張り教会へ向かうと宣言した。クレアは自身を「選ばれし存在」と称し、右手の魔法陣の疼きを真実への導きと信じていた。

謎の魔法陣と世界の崩壊現象

クレアは右手の包帯を解き、刻まれた魔法陣をアレクシアに見せた。その魔法陣は徐々に輝きを増し、突如として強く発光した直後、世界が砕けるような異常な現象が発生した。アレクシアはこの光景を以前にも目撃しており、司書長に捕らえられた時と同じものだと気づいた。

学園を包む白い霧の侵食

魔法陣の発動とともに、白い霧が発生し、学園全体を包み込んでいった。帰宅途中の生徒たちも巻き込まれ、学園は完全に霧に覆われた。この突然の異変に、アレクシアとクレアは混乱しながらも、状況を受け止めるしかなかった。

episode.63

屋上での演出と霧の発生

シャドウとしてのセリフとポーズの演出に没頭していたシドは、夕焼けの学園屋上で自らの中二的想像に浸っていた。だがその瞬間、突然世界が崩れるように砕け、白い霧が学園を包み込んだ。霧は校内の光を遮断し、生徒たちを孤立させる形で広がっていった。

スズーキの死と首輪爆弾の判明

異変を探る中、シドは自習室で首輪を装着されたクラスメート、スズーキと遭遇する。首輪のタイマーがゼロになった瞬間、スズーキの首が爆発し死亡した。首輪は魔力を吸い取り、魔力が尽きると爆発する仕組みであることが判明する。シドは自身にも同じ首輪が装着されていることに気づき、自らの魔力量をスズーキに合わせて擬態。スズーキになりすまし、事件に潜入することを決意した。

講堂での情報共有と恐怖の拡大

講堂ではアレクシア、クレア、ニーナ、アイザックらが生徒を集め、首輪の性質を確認していた。魔力残量がタイマーとして表示され、減少により死に至ることが分かる。外界との連絡は絶たれ、脱出も困難であると報告された。シャドウガーデンへの疑惑も浮上し、生徒たちの不安が広がる中、講堂を飛び出した生徒たちが亡霊に襲われ、殺害される事件が発生した。

スズーキの提案と疑念の声

スズーキに扮したシドは、戦力不足と魔力枯渇のリスクを分析し、生徒を「防衛隊」と「特攻隊」に分ける作戦を提案した。首輪が吸収した魔力の流れを辿れば、事件の源に到達できると説明したが、彼の能力を疑うアイザックやクリスティーナは反発する。クレアは右手の疼きを根拠に魔力の流れを感じられると主張し、スズーキの案に賛同。アレクシアはクレアの意見を支持し、計画の採用を決定した。

特攻隊の結成とスズーキの参加

アレクシア、クレア、アイザック、クリスティーナに加え、魔力量が少ないながらもニーナが特攻隊に志願した。ニーナの魔力量に一貫性が見られないという疑問も浮かんだが、本人の言葉でその場は収められた。スズーキも特攻隊への参加を申し出るが、魔力残量の少なさから反対される。しかし、彼の冷静な分析力と意志を評価したクリスティーナが責任を持つと述べ、最終的に参加が許可された。こうして六人の特攻隊が結成され、事件の核心に迫る行動が始まった。

スズーキへの疑念と異常な冷静さ

アレクシアが中心となり、作戦の概要が講堂の生徒たちに説明された。一部からの抗議はあったが、説得する余裕もなく、特攻隊の六人は裏口から外へと出発した。霧に包まれた校内を進む中、クリスティーナはスズーキを密かに観察していた。彼は襲撃の危険がある中でも落ち着いており、従来のスズーキとは思えない異常な態度を見せていた。

戦闘中の異変とスズーキの行動

突如現れた亡霊をクリスティーナが討伐したが、その直前にスズーキが危機を察知して彼女を引いたことで致命傷を避けられた。彼は無表情に去り、何の感情も見せなかった。クレアの魔力感知能力を頼りに校内を進む一行だったが、突如悲鳴が響き、逃げ遅れた生徒の存在が判明する。

生徒救出とスズーキの傍観

クレアの赤い触手が亡霊を排除し、生徒を救出。その隙に特攻隊は突入し、激戦の末に亡霊を殲滅した。だが、スズーキは戦闘に一切参加せず壁にもたれかかったまま。戦闘後、クリスティーナは彼の行動を非難したが、スズーキは魔力節約を理由に挙げて涼しい顔で受け流した。

副会長エライザの登場と不穏な空気

救出された女生徒の案内で教室に入ると、そこには生徒会副会長エライザがいた。彼女は穏やかに振る舞いながらも、生徒たちをまとめていたが、部屋の内外には血痕と死体が残されていた。アレクシアは彼女の魔力量の多さと平然とした態度に注意を向けた。

教室からの移動と不安

講堂への合流が提案されるも、残された生徒の魔力量が極端に少なく、移動には不安が伴った。アレクシアたちは道中の護衛を申し出て、その準備が整った後、教室を後にした。女生徒の震えは最後まで止まらず、隊列の先頭にはアレクシア、クレア、アイザックが立ち、緊張感を保ったまま進行を続けた。

episode.64

魔力の枯渇と絶望の中の進軍

アレクシアたちは、魔力残量が少ない生徒の消耗を防ぐため慎重に進んでいたが、アレクシア自身の魔力も1000を切り、死が近づく不安を感じ始めていた。クレアとアイザックは若干余裕があったものの、精神的には追い詰められていた。中でも、先に助けた女生徒は魔力残量が60を下回り、泣き出してしまう。

霧から生まれる亡霊と戦闘の激化

突如として霧から亡霊が生成され、大量に現れたことで戦闘が勃発。アレクシアたちに加え、クリスティーナやニーナ、後方の生徒たちも応戦する。だが、その中でエライザは戦わず、スズーキから問われても自分が戦う時ではないと冷笑で応じた。

スズーキの介入と救済行動

瀕死状態の女生徒にスズーキが接近し、魔力を込めた学底で亡霊を打ち砕いた後、彼女の首輪に魔力を流し込んで魔力残量を回復させた。首輪には魔力の受け渡し機能があると明かし、犠牲者を減らすことができる可能性が示された。

女生徒の告白とエライザの罪

スズーキは教室で得た情報から、生徒たちが拘束された状態で首輪の爆発によって死亡していた事実を指摘する。さらに、助けた女生徒からの告白により、エライザが生徒たちの魔力を集めていた事実が暴露された。彼女は大貴族としての地位を背景に、生徒に魔力を提供させ、自身は温存していた。

スズーキの反撃とエライザの屈服

エライザが魔力提供を条件に罪の免除を取引しようとするが、スズーキは彼女の首輪に手をかけて静かに脅迫し、立場の無力さを突きつけた。生徒たちが誰一人としてエライザに味方しない状況を見た彼女は、ついに謝罪し、魔力を分け与えることに同意した。

今後の処分と魔力分配の完了

アレクシアはスズーキの行動を咎めつつも、法廷での処理を優先し、クリスティーナも証言の提供を約束した。エライザは1500の魔力を生徒たちに配り、残りは400となった。再び魔力を奪うことを禁じられ、彼女は講堂へ向かい、アレクシアたちは魔力の流れを辿るルートへ進んだ。

去り際の対立と無言の決着

エライザはスズーキに対し憎悪をあらわにして睨みつけたが、彼は無言のまま彼女を見下ろし通り過ぎた。白い霧に包まれた学園で、力関係は完全に覆されていた。

スズーキへの疑念と教会の出現

アレクシアたちは首輪に流れる魔力の痕跡を辿り、校舎を出て進んでいた。亡霊の襲撃は沈静化しており、小規模な戦闘が散発的に発生する程度であった。アレクシアはクリスティーナにスズーキの正体を問い、彼の態度と実力に不審を抱いた。クリスティーナも、彼はただ者ではないと認めつつ、今後は本家で管理すべき存在と判断していた。

アイザックもまたスズーキを疑っていた。首輪の特性に対する理解があまりにも深く、白い霧が発生してからの変化も大きすぎたことから、彼はスズーキが教団側の内通者ではないかと推測する。証拠はないが、今後の監視が必要だとアレクシアに警告した。

謎の教会と封印された地下への入口

やがて一行は、学園の端に忽然と現れた古びた教会にたどり着いた。かつて存在しなかったその教会に、ニーナは驚かずに応じ、中に案内する。教会内部は埃にまみれ静まり返っていた。最奥の台座の下から魔力の流れが感じられ、そこが地下への入口であるとクレアは直感した。

クレアが台座を破壊しようと試みるも、魔力障壁によって阻まれ、ニーナは解放には鍵が必要だと推測した。皆で周囲を捜索したが手がかりは得られず、空気は次第に重くなっていった。

クレアの覚醒と地下への扉の開放

手詰まりの中、クレアは右手の包帯を解き、自身に宿るアウロラに語りかけた。そして、願いに応えるように魔法陣が輝き、台座を赤く染めながら古代文字を刻み出す。圧倒的な魔力により台座は崩壊し、その下から地下へと続く階段が現れた。代償としてクレアは疲弊しながらも、先頭に立って階段を下りていく。

地下牢と罠の発動

階段を降りた先は、牢が並ぶ薄暗い空間だった。警戒しつつも進んでいく一行の背後で、重々しい音が鳴り響いた。直感的に危険を察知したアレクシアは引き返そうとするが、扉はすでに閉じられ、天井から甘い香りのガスが噴出。生徒たちは次々と倒れていき、最後まで耐えたアレクシアも意識を失いかけた。

内通者の正体と裏切りの告白

アレクシアの視界に映ったのは、ガスマスクを装着したアイザックの姿だった。彼は、予想外の侵入に驚きつつも、自らが教団の内通者であることを明かした。アレクシアが剣に手を伸ばそうとした瞬間、彼女の意識は完全に闇に沈んだ。 

拘束されたクリスティーナとアイザックの正体

クリスティーナは地下牢で目を覚ました。四肢を拘束され、魔力も封じられた状態であった。目の前にはアイザックが立っており、自らが彼女を拘束したと語る。アレクシアとクレアは「我が主」のもとへ連れて行かれたことが告げられ、スズーキも同じく拘束されて眠っていた。アイザックは、彼女の肉体が組織の目的に適していると語り、チルドレン化するための薬物を注射しようとする。

スズーキの覚醒と逆転

アイザックが注射を打とうとしたその時、スズーキが目を覚まし声を発した。驚くアイザックに対し、スズーキは拘束を人為的に外し、掌底一撃で彼の腹を打ち抜いた。さらに万年筆を武器として使用し、アイザックの剣を粉砕し、その首を貫いた。スズーキの魔力量は異常に高く、アイザックは敗北を悟りながら血を吐いて倒れ、命を落とした。

スズーキの冷徹な一面とクリスティーナの動揺

スズーキはクリスティーナの拘束を解き、彼女は感謝の言葉を口にする。だが、スズーキは冷ややかに距離を保ち、「関わらない方がいい」と突き放す。彼は「血まみれの道を歩む者」として自らを語り、彼女が傷つくことを避けようとする。その瞳は無機質ながらも、奥底には黒き炎のような情念が宿っていた。

首輪の解除と決別の背中

スズーキはクリスティーナの首輪を無言で破壊し、彼女を解放した。自らの首輪もいつの間にか外れており、その方法について語ることなく立ち去ろうとする。クリスティーナは彼を追いかけるが、スズーキの背中は孤独であり、そこに宿る覚悟と重責を物語っていた。彼の中に秘められた使命と闇が、やがて物語の核心へと導いていくことを予感させた。

episode.65

目覚めとフェンリルの出現

クレアは頭の中に響いたアウロラの声で目を覚ました。そこは白い霧の中、診察台のような装置に拘束された部屋であり、隣にはアレクシアも同じく拘束されていた。二人が見たのは、赤い液体の満たされたカプセルに収められた行方不明の生徒たちだった。魔力を吸い取るための装置と判じた彼女たちは、脱出を試みるが拘束と魔力封印に阻まれる。

そこに現れたのは、少年の姿をしたフェンリルであった。ラウンズ第五席であると名乗り、アレクシアたちをカプセルに入れディアボロスの右腕を復活させる準備を進めていた。シャドウガーデンの名を聞いた彼は、冷笑と共にその存在を否定し、裏世界の力の均衡について語る。

アウロラの覚醒と戦闘開始

フェンリルがクレアに注射を打とうとした瞬間、アウロラの魔力が爆発的に解放され、拘束が破られる。クレアはアレクシアを解放し、フェンリルとの戦闘が始まった。クレアの赤い触手や剣技により一時は優位に立つも、フェンリルは圧倒的な力で対応し、逆に彼女を追い詰めていく。アレクシアの援護によって一撃を与えるが、フェンリルの反撃により状況は再び悪化する。

フェンリルの真の姿と圧倒的な力

フェンリルは少年の姿を脱ぎ捨て、老齢の本来の姿へと変貌した。姿は衰えても魔力の圧力は増し、彼は「ミドガルの悪鬼」と呼ばれた過去の人斬りであることが明かされる。その真の力でクレアを撃退し、アレクシアの剣を砕き、両者を戦闘不能に追い込んだ。

スズーキの登場と正体の告白

その時、スズーキが姿を現し、クリスティーナを救出する。フェンリルとの戦闘に入ったスズーキは、万年筆を武器に応戦。赤き剣と金の光が交錯する激戦の中、スズーキは囮として万年筆を投擲し、背後からフェンリルに一撃を加える。だがフェンリルは致命傷を受けず、反撃でクリスティーナに襲いかかる。

再びスズーキが彼女を庇い、致命傷を負ったかに見えたが、直後に自身が「スズーキではない」と告白。肉体は黒いスライムに包まれ、その正体はシャドウであることが明かされた。

シャドウとフェンリルの死闘

正体を現したシャドウと、真の姿となったフェンリルが対峙する。フェンリルの奥義「空蝉」による剣速をシャドウは見切り、霧の魔力の流れからその本質を突き止めた。互いの修練と技をぶつけ合う一進一退の攻防の末、フェンリルは自身の奥義「空蝉の血牙」により九本の剣でシャドウを襲う。

シャドウはこれを受けたかに見せかけ、全てが残像だったと見破らせた直後、九人のシャドウが出現。彼らは「空蝉の亜斗美呂苦」として九匹の龍となりフェンリルを圧倒。身体を分断し、首を砕いてとどめを刺した。

終焉と武の真理

死の間際、フェンリルは「武の頂」を見たことに満足を示すが、シャドウはそれを否定する。頂は常に先にあるものであり、それに到達したと信じたとき人は止まるのだと告げる。フェンリルは後悔の念を残しながら消滅し、シャドウは静かにその戦いを終えた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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