漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ

漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ

物語の概要

ジャンル:和風奇幻・恋愛ファンタジーである。本作は妖怪と人間が共存するような架空の国を舞台に、傷付き孤立していた少女と強大な陰陽師との婚約から始まる切なくも力強い物語である。

内容紹介
過去に妖怪に攫われて顔に「妖印」を刻まれ、“傷モノ”として家族や里から迫害されてきた少女・白蓮寺菜々緒。霊力の高さと素顔を見た紅椿家當主・紅椿夜行は、彼女を花嫁として迎え入れた。その後、陰陽寮での霊力測定にて歴代最高値を叩き出すなど、菜々緒の呪術的才覚が開花。修行の過程で自らの運命と向き合い、夜行との絆を深めつつ、皇都を脅かす謎の存在・武井との対峙へと物語は展開する。

主要キャラクター

  • 白蓮寺菜々緒:主人公。妖印により“傷モノ”とされていたが、実は大妖怪にも匹敵する霊力を秘める。修行を経て己の力と自信を取り戻していく。
  • 紅椿夜行:陰陽寮の当主で“皇國最強の鬼神”と称される人物。冷徹だが、菜々緒には慈しみ深く、彼女を守り支えようとする。
  • 黒条卑弥子:陰陽寮参番隊隊長。菜々緒の霊力を見出し、呪術修行を促す導き手として登場する。
  • 武井:謎の存在。皇都を混乱へ導く黒幕的存在として、物語後半で重大な障害となる。

物語の特徴

本作は、“虐げられ令嬢”という典型的モチーフを和風・妖怪要素で再構築している点が最大の魅力である。菜々緒と夜行は共に心に深い傷を抱えながら互いを癒し合い、強い絆を築いていく。その過程で描かれる呪術修行や妖印の謎解き、さらに陰陽寮や大江戸花火大会を舞台とした大規模な展開は、他作品にはないスケール感と緊迫感をもたらす。絵柄の精緻さとキャラクター表情の豊かさにより、感情の機微が読者に深く刺さる。

書籍情報

傷モノの花嫁(7)
原作: 友麻 碧
著: 藤丸 豆ノ介 氏
発売日:2025年04月30日
ISBN:9784065390856
出版社:講談社

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレブックライブで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

隊長会議にて行われた霊力値の測定で、菜々緒は歴代最高数値を叩き出し、隊長たちは大妖怪の気配をも纏う彼女の霊力に驚愕する。「彼女は何かしらの才を備えている可能性がある」と議論がなされる中、菜々緒を会議から連れ出したのはかつてこの国に五行結界を張った参番隊隊長・黒条卑弥子だった。
卑弥子の勧めで、才を知るため呪術の修行を始めた菜々緒。一方の夜行も、何があっても菜々緒を守るとの誓いを新たにする。お互いを想い合う夫婦の傍ら、皇都を混乱に陥れた謎の存在・武井の捜索を急ぐ陰陽寮。そして皇都は、「大江戸花火大会」を迎える――

傷モノの花嫁(7)

感想

読み終えて、まず感じたのは、菜々緒を巡る謎が深まると同時に、彼女を守ろうとする夜行の決意がより一層強固になったことである。今回の物語では、菜々緒の持つ霊力が歴代最高レベルであることが判明し、彼女が大妖怪の気配すら纏っているという事実に、周囲は驚愕を隠せない。武井が菜々緒を狙う理由が、彼女の持つ莫大な魔力量にあると推測できたのは、物語の大きな進展だと言えるだろう。しかし、それを夜行自身ではなく、他の隊の隊長が菜々緒を連れて調べて判明させたという展開には、少しばかり複雑な気持ちになった。夜行には、もっと早く菜々緒の異変に気づいて欲しかった、というのが正直なところである。

その後、菜々緒の特性検査が行われ、夜行の妹である小夜子が彼女に助言を与える場面は、新たな人間関係の広がりを感じさせて興味深い。夜行が四人兄妹であったという事実も、彼の背景を知る上で重要な情報だ。

物語終盤では、菜々緒を囮にして武井を誘き寄せる作戦が実行される。武井が罠にまんまとハマる様子は、むしろ怪しいと感じている。同時に、菜々緒を危険な目に遭わせる作戦に、夜行はどれほどの葛藤を抱えていたのだろうかと想像してしまう。

『傷モノの花嫁』シリーズは、単なる戦闘シーンの描写に留まらず、登場人物たちの心情や人間関係を丁寧に描き出している点が魅力である。今回の物語では、特に菜々緒と夜行の夫婦としての絆が深まる様子が印象的だった。互いを想い合う二人の姿は、読者の心を温かくしてくれる。

次巻では、武井との戦いがどのように展開していくのか、そして、菜々緒の持つ特別な力がどのように物語に影響を与えていくのか、期待せずにはいられない。皇都を舞台に繰り広げられる、彼らの戦いと日常を、これからも見守っていきたい。

最後までお読み頂きありがとうございます。

gifbanner?sid=3589474&pid=889458714 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレブックライブで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=890540720 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

展開まとめ

第25話 菜々緒の霊力

菜々緒の霊力に対する驚愕

霊力測定の場で、菜々緒の霊力が測定されると、その数値は歴代最高とされる黒榊卑弥子の記録「三二五万」を上回る「五五七万」を記録した。この数値は、一般の隊長たちの霊力値が一〇〇万から二〇〇万、夜行ですら二九〇万であることを考慮すると異常であった。測定結果を目の当たりにした関係者たちは一様に衝撃を受けた。

霊力値の異常性と妖印との関連性

高すぎる霊力値について、測定機器の誤作動の可能性が疑われたが、正確であると仮定した上で、菜々緒に何らかの特異な素質がある可能性が示唆された。また、先日感じられた大妖怪の気配が菜々緒のものである可能性があると考えられたが、隊長・桃ノ井はその気配は猩猩のものとは明らかに異なると否定した。これにより、菜々緒に妖印を付けた存在は猩猩ではない可能性が高いと結論づけられた。

菜々緒の中に秘められた謎

調査を続ける中で、菜々緒にはまだ大きな秘密が隠されている可能性があると指摘された。夜行はこの事態を受けて動揺しつつも、まずは本人の意思を確認したいと訴えた。一方、菜々緒自身も突然の展開に混乱し、過去の出来事を思い出すことで精神的に不安定な様子を見せた。夜行は彼女を無理に巻き込みたくないと考えつつ、避けられない問題であることも理解していた。

黒榊卑弥子の登場と状況の転換

突如として現れたのは、かつて五行結界を張ったという伝説の陰陽寮重鎮・黒榊卑弥子であった。年老いた外見ながら、今も第三部隊の隊長を務めており、周囲の者たちはその威厳に驚きを隠せなかった。卑弥子は場を和ませつつ、菜々緒を少しの間預かりたいと申し出た。夜行は戸惑いながらもその提案を受け入れる構えを見せた。

卑弥子による霊力と宿命の説明

夜行は、菜々緒にまだ知らない一面があることを痛感し、卑弥子に託す決意を固めた。菜々緒は単独で卑弥子と対面し、丁寧な言葉で迎えられる。卑弥子は菜々緒の異常な霊力を評価し、霊力に優れた女性が稀に現れる存在であることを説明した。そして、そのような者は五大呪術(結界・封印・治癒・星読・憑依)において特別な才を示す可能性があると述べた。

宿命を背負う者たち

卑弥子は自身が「結界」の才を持っていたこと、夜行が椿鬼としての宿命を持っていることに触れ、菜々緒もまた何らかの宿命を背負っている可能性を指摘した。菜々緒の霊力は非常に高く、今後大きな役割を果たす可能性があると諭された。

菜々緒の意志と決意

菜々緒は、陰陽寮で活躍する女性の存在を以前から気にしていたことを明かし、戦う術が女性にもあることを知り関心を持っていたと語った。その気持ちは、急な展開にもかかわらず前向きに反応する態度として現れ、卑弥子の問いに対し力強く興味を示した。

妖印の確認と霊力の分析

卑弥子は菜々緒の背に刻まれた妖印を確認し、そこに複雑な霊力とともに大妖怪の気配、さらには猩猩の痕跡があることを指摘した。ただし、それがどのような存在かは断定できず、菜々緒自身の素性を明らかにする必要があるとの見解を示した。

調査の開始と協力の要請

卑弥子は菜々緒に対し、少しずつ調査を進めていく方針を伝え、菜々緒もそれに同意した。面会を終えようとする菜々緒に対し、卑弥子は改めて、特別な才を持つことが必ずしも楽ではないことを告げつつも、もし菜々緒にその素質があるのなら、どうか力を貸してほしいと真摯に頼んだ。

小夜子との再会と師弟関係の示唆

卑弥子は菜々緒を小夜子に託し、その場を離れた。菜々緒は小夜子の顔に見覚えがあり、かつて出会ったことのある人物であることを思い出しかけていた。卑弥子は去り際、菜々緒に対する責任感と将来への期待を語りながら、己の病状が深刻であることも滲ませた。

菜々緒への期待と夜行の支え

卑弥子は、菜々緒が自身と夜行にとって希望となる存在であることを確信し、後継の育成を急がねばならないと語った。その後、夜行と菜々緒は再び二人きりとなり、菜々緒が感じている不安や、自身の正体に対する疑念を共有した。夜行は菜々緒を気遣い、武井を追うことが真相解明につながる可能性があると告げた。

夜行の誓いとふたりの絆

夜行は、菜々緒の力や正体について自分も分からないままであることを認めたうえで、何があっても彼女を守ると誓った。その言葉に菜々緒は安心し、二人は唇を重ねた。最後のコマでは、月明かりの下、静かに寄り添うふたりの姿が描かれ、物語は穏やかな余韻を残して締めくくられた。

苦みの余韻と夜行の困惑

菜々緒は夜行と口づけを交わした直後、何かを感じ取ったように「少し苦い」と漏らした。その様子に夜行は戸惑い、酒や煙草の味が移ったのではないかと弁解したが、菜々緒の様子はどこか思いつめたものだった。

謎めいた一言と夜行の動揺

菜々緒は静かに「血はよろしいのでしょうか?」と問いかけ、それを聞いた夜行は動揺を隠せなかった。菜々緒の言葉が何を意味するのか定かではないが、その問いに夜行は即座に制止を促し、彼女に休むよう促した。

夜行の独白と菜々緒への想い

夜行は、菜々緒の霊力や妖印についての疑念を反芻しながら、改めて彼女がただの少女ではなく、未知の存在であることを自覚した。そして、自身が彼女を花嫁として迎えたことが、もしかするととんでもないことだったのではないかという考えに至るが、それでも彼女を受け入れ、見守る覚悟を新たにした。

第26話 ぬらりひょんの打掛

呪術適性の検査開始

黒条小夜子は菜々緒に、陰の霊力を用いる「五大呪術」の適性を調べる訓練を始めた。最初に行われたのは「結界術」であり、菜々緒は魔法陣の中で儀式を試みたが、失敗に終わった。

治癒術・封印術の挑戦と失敗

続いて行われた「治癒術」では、小動物を相手に施術を試みたものの、効果は見られなかった。「封印術」についても、霊具を前に力を込めたが何も起こらず、適性は確認されなかった。

僅かな反応と失敗

四つ目の「憑依術」にも成果はなく、最後の「星読」では一瞬の霊力反応が見られたが、すぐに対象の霊盤を粉砕してしまい、結局すべての術において成功しなかった。菜々緒は自身に何の才もないのではないかと不安を口にした。

黒条小夜子の評価と励まし

黒条小夜子は、これはあくまで適性を測る試験であり、菜々緒の霊力は特殊なため一般的な試験では判断できないと説明した。その上で、五大呪術に適性がなくとも人の役に立てる可能性はあると述べ、菜々緒に学び続けることを勧めた。

他者との比較と霊力の特性

例として、五番隊隊長の翠天宮沙羅が憑依術の才を持つこと、八番隊隊長の蔦堂マリアが五大呪術の才を持たない代わりに高い霊力と統率力を有していることが語られた。また、菜々緒の霊力はその両者よりも高く、必ず使い道があると断言された。

感謝の表明と動機の明かし

黒条は菜々緒が兄・夜行の許嫁であることに感謝しており、術の修行までしてくれることに礼を述べた。菜々緒も、自身の動機が不純かもしれないとしつつ、夜行の役に立てるよう努力する意志を示した。

鷹夜との再会と贈り物

その後、鷹夜が登場し、菜々緒にぼた餅のお礼としてお菓子の詰め合わせを手渡した。中には研究室の皆が好きなお菓子が詰められており、再びぼた餅を作ってほしいという希望も伝えられた。

鷹夜への労いと夜行の登場

鷹夜は研究室に菜々緒の作ったぼた餅を届けた礼を述べたが、無理をしている様子が周囲に心配される。夜行が現れ、菜々緒を気にかけて様子を見に来たことを明かすと、皆が驚きとともに迎えた。紅椿兄妹も夜行に同行していた。

夜行の私生活に関する噂

小夜子と鷹夜は夜行が愛妻家であることに驚きつつ、過去の醜態(酔って池に飛び込んだなど)をからかった。菜々緒は夜行の知られざる一面を知り、感動した様子を見せた。

夜行と菜々緒の絆への言及

遠くから陰陽寮の隊員達が紅椿兄妹が菜々緒と夜行たちの様子を見守り、菜々緒が周囲の緩衝材となっていることや、夜行が良い嫁を得たという言葉を交わした。その直後、一人の隊員が何かに気付き、振り返るも、見間違いだったと納得する。

鷹夜と母との再会

鷹夜は偶然外で母・朱鷺子と再会する。朱鷺子は以前の出来事について「気にしていない」と微笑みながら語ったが、鷹夜はその態度に何も響いていないことを感じ取り、やりきれなさを抱いた。

鷹夜の決意と母への抵抗

鷹夜はこれ以上母・朱鷺子に振り回されたくないという思いを強くし、感情を爆発させた。母が寂しさを口にしながら歩み寄ろうとするのに対し、鷹夜は涙ながらに「もういい加減にしてくれ」と叫んだ。

鷹夜と母の断絶

鷹夜は母・朱鷺子に対し、彼女が自分の意思を無視し、理想を一方的に押し付けてきたことへの怒りをぶつけた。朱鷺子は息子を想っての行動だったと主張するが、鷹夜はそれを望んでいなかったと明言した。

意思の表明と限界の自覚

鷹夜は、自らの気持ちを押し殺し「防波堤」として耐えてきたが、もはや限界であると認めた。そして現在の自分は朱鷺子に対して嫌悪感を抱いていると語り、これまで言えなかった本音を告白した。

絶縁の宣言と決別

鷹夜は「もう会わない」と断言し、「僕は一生この人の所有物だ」といった過去の呪縛から決別する決意を示した。そして朱鷺子に対して「もう来ないでください」と明確に拒絶の意志を伝えた。

朱鷺子と武井の接触

朱鷺子は鷹夜に拒絶されたにもかかわらず、裏で行動を続けていた。彼女は、殺し屋である武井と接触し、鷹夜の縁談候補資料を受け取った。朱鷺子は菜々緒と夜行を排除する意図を隠さず語った。

打掛の使用依頼と異能の片鱗

朱鷺子は「ぬらりひょんの打掛」を武井に貸与するよう求めた。ぬらりひょんの贈り物は、所有者の意志を得なければ使えないため、正式な手続きを経る必要があるという。武井は、自身の耳飾りが陰陽寮の追手すら振り切ったことを語り、ただ者でない能力の一端を見せた。

朱鷺子と武井の取引と準備の完了

朱鷺子は、将軍家が秘蔵してきたとされる耳飾りを手にした武井と接触した。武井はその耳飾りによって陰陽寮の追跡を退けたことを語り、朱鷺子はその効力に感嘆した。両者は、計画の準備が整っていることを確認し、実行に向けて歩調を合わせた。

浅草への外出と花火大会の意義

一方、夜行と菜々緒は浅草を訪れていた。間近に迫る「大江戸花火大会」は、五行結界を強化するための重要な儀式であり、町は大いに賑わっていた。菜々緒は初めて目にする光景に感動しながら、人々の活気に目を輝かせた。

動物園でのひととき

夜行と菜々緒は動物園でペンギンや象、虎を見学した。特に雷門寺に祀られる神の化身とされる虎は異国から贈られた特別な存在で、菜々緒はその威厳に圧倒された様子を見せた。五つ子の虎の赤ちゃんにも興奮し、無邪気な笑顔を浮かべた。

茶屋での休息と心の交流

見学の後、二人は茶屋で一息ついた。夜行が「疲れたか」と気遣うと、菜々緒は「興奮しすぎただけ」と笑顔で答えた。夜行と出かけるのが久しぶりだった菜々緒は、嬉しさを素直に言葉にし、夜行も穏やかにその言葉を受け止めた。

菊大路一成の登場と不満の訴え

その場に現れたのは六番隊隊長・菊大路一成であった。一成は朝から夜行が自宅に来るのを忠犬のように待ち続けていたが、夜行が妻との浅草観光を優先したため、それに文句を言うべく現れた。声を張り上げて不満をぶつける一成に対し、周囲の人々はやや呆れた反応を見せた。

菜々緒との正式な紹介

夜行は菜々緒に一成を紹介し、菜々緒は緊張しながらも丁寧に挨拶をした。一成は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに穏やかに応じた。夜行と一成は陰陽学校の同期であり、かつて同じ部隊に所属していた間柄であることが明かされた。

紅椿家の若奥様への謝罪

菊大路一成は、以前に菜々緒へ不躾な物言いをした非礼を謝罪し、改めて紅椿家の若奥様として丁重に接した。夜行や菜々緒が照れながらも一成に応じる様子に、一成は「なんで二人して照れてんだ」と呆れる。

大妖怪への対応と心構え

一成は、以前の一件で菜々緒に刀を向けてしまったことについても謝罪した。彼は考えるより先に身体が動いてしまう性分であり、大妖怪の前では一瞬の判断が命取りになると釈明した。夜行はその気持ちを理解し、菜々緒も「許さなくていい」としつつも気にしていないと応じた。

一成と夜行の軽妙なやり取り

夜行が「特に一成は一発殴っていい」と発言し、一成は「六区や吉わ……」と言いかけたところで、夜行に口を押えられる。夜行は「それ以上言ったら殺すぞ一成」と牽制し、一成は焦る様子を見せつつも、懐かしむように笑った。

第27話 英雄たちの前夜祭

手合わせの決定と観衆の興奮

周囲の町人たちの歓声を背に、一成は「手合わせしようじゃねぇか」と挑戦を表明。夜行も「面白ぇ、どうせウチに来るんだろ」と応じ、浅草の人々は「喧嘩か!?」「やれやれ!」と大騒ぎとなる。

菊大路一成の自己紹介と過去

一成は、自らが陰陽寮退魔部隊六番隊隊長であり、浅草生まれ浅草育ちで、雷神・風神の守護を受けて育ったことを語った。地元では「浅草の鳴神」と呼ばれ、将来を嘱望される存在として注目されていた。

陰陽学校時代の回想

一成は過去を回想する。自らを「約束された未来の英雄」と信じて疑わなかった彼は、最年少で隊長になることを目標に掲げて陰陽学校に入学するが、そこで現実を思い知ることになる。

初日の衝撃と挫折

剣術の授業で夜行に完敗した一成は、期待されていた自分が全く通用しないという事実に打ちのめされる。さらに同学年のもう一人「予言の子」=京極零時の存在も圧倒的であり、「夜行と零時の二人が主役」と評されるなか、一成は完全に脇役扱いされた。

悔しさと決意

他人の口から自分の名前が出ることもなく、失意のどん底にいた一成は、心の中で「ぜってー見返してやる」と誓う。「剣術だけじゃねぇ、身長だっていつか抜いてやる!!」と決意し、夜行への強烈なライバル心を燃やした。

一成の宣言と過去の決意

一成は神前で「どうしようもない才能の差は努力で埋める」と誓い、夜行と零時に何度も挫折させられてきた悔しさを振り返った。そして「いつか絶対に勝つ」と叫び、剣を手に夜行との手合わせに臨んだ。

手合わせ開始と菜々緒の声援

試合は一本勝負で開始された。菜々緒は「夜行様、頑張ってください」と声援を送り、観客たちの熱気が高まる中、二人の剣が激しく交錯した。

観客たちの関心と偶然の再会

観客の中にいた藤堂マリアと翠天宮沙羅は、菜々緒に気づいて挨拶を交わした。沙羅は先日の隊長会議での非礼を謝罪し、菜々緒はその場の空気に戸惑いながらも応じた。

両者の剣術の型と違い

観戦者たちは、夜行と一成の戦いぶりの違いに注目した。夜行は一対一を想定した攻撃の型であり、一成は複数の敵に囲まれることを想定した防御の型であると解説された。

隊長格でも頭一つ抜けた存在

マリアは二人を「隊長格の中でも飛び抜けて強い」と称し、その上で「零時」を含めた三人が別格であることを語った。これを聞いた菜々緒は「三馬鹿?」と困惑し、三人の関係性に戸惑いを覚える。

夜行・一成・零時の戦友関係

三人はかつて十番隊に所属し、互いに命を預けながら任務をこなしてきた戦友であった。京極零時は夜行と一成の同期であり、三人で特別な絆を築いていた。

菜々緒の困惑と観客の疑問

菜々緒は三人の関係性が「仲が良いのか悪いのかわからない」とつぶやき、観客の一人も「一成先輩は夜行先輩が嫌いで好きなのかも」と混乱する。一成は「奥さん全然見てねえな」と夜行をからかい、「お前ほんとに愛されてんのかあ?」と挑発するが、夜行は「うるさい」と返すのみであった。

夜行の勝利と一成の敗北

夜行と一成の手合わせは、夜行の一撃が決まり、勝者は紅椿隊長に決定された。観衆は大歓声を上げ、一成は悔しさに顔を覆って叫んだ。「また負けた」と嘆きながらも、彼は勝者である夜行を讃えた。

菜々緒とのやり取りと刀傷

夜行は菜々緒に「見ていたか」と微笑みかけ、菜々緒は「さすがです」と応じる。だが、夜行は一成の太刀が鋭いためにわずかに血がにじんでいた。

一成への言及と沙羅たちの登場

菜々緒は一成の体を心配するが、夜行は「あいつは心配されるのが嫌な奴」と断言し、問題ないと返した。その時、藤堂マリアと翠天宮沙羅が再登場し、夜行に「奥様の前だからって気合い入りすぎ」と茶化す。

理由の察しと合流の意図

夜行は「お前らなんでここにいる」と問いかけるが、マリアは「理由は分かるだろ」と含みを持った言い方で返す。それを聞いた菜々緒は不思議そうな表情を浮かべた。

菊大路家でのもてなし

その後、一同は菊大路家で牛鍋を囲み、浅草らしいもてなしを受ける。菜々緒は美味しそうな料理に目を輝かせ、夜行は満ち足りた表情を浮かべた。

仲間との再会と賑やかな宴席

宴席ではかつての陰陽寮の仲間たちが次々と現れ、夜行と菜々緒の結婚を祝福した。一成は離れた位置からその様子をじっと見ており、「菜々緒が反応したら負けだ」と心中で葛藤していた。

菜々緒への賞賛と困惑

仲間たちは菜々緒に対し「紅椿家の若奥様はお美しい」と次々に声をかける。突然の褒め言葉に菜々緒は戸惑い、「こういう時なんて返せばいいの?」と内心動揺する。

女性陣との交流と逃げ場の喪失

マリアと沙羅は菜々緒に対し「女同士で話しましょう」と声をかけ、さらに酔った男性陣が「俺たちと飲もう」と迫ってくる。夜行はその状況を見て「酔っ払い共、菜々緒に絡むな」と顔をしかめ、「やっぱりそっちに連れていってくれ」と観念するように女性陣へ菜々緒を任せた。

褒められ続けて困惑する菜々緒

沙羅とマリアは、菜々緒が周囲から見つめられることで食事が進まないことを心配しつつ、「霊力が高く、料理も上手」と絶賛し、「五家の花嫁として完璧」と称えた。菜々緒は「なでなで」されて戸惑いながらも受け入れる様子を見せた。

雑談と蓮太郎の話題

話題は沙羅の結婚に移り、沙羅は冗談めかして「噛姫を調伏すればワンチャン蓮太郎」と言い、周囲を困惑させた。さらに「蓮太郎さんは女性隊士に人気」と明かすが、本人は無自覚であるという。

白蓮寺での暮らしと琴美の名

菜々緒は白蓮寺で育ったことに関して質問され、「琴美のことかい?」と問われた際に反応を示す。また、「夜行から聞いている」「あんたが体を張って守ったって」と言われ、感極まり涙を浮かべた。

菊大路家に宿泊決定

夜行と菜々緒はその夜、菊大路家に泊まることになった。仲間たちは「いろいろ話を聞けてよかった」と満足げであったが、夜行は「飲み過ぎた」と漏らした。

用意された寝室に衝撃

案内された部屋には、明らかに「夫婦用」と思われるラブラブ仕様の布団が用意されていた。菜々緒は慌てて「もう一つ布団を借りてきます!」と逃げるように部屋を出た。

夜行の異変と突然の接触

菜々緒は布団を借りに行こうと走り出すが、夜行がふらつきながら倒れ込み、菜々緒に寄りかかってキスしてしまう。菜々緒は戸惑いつつもその熱を感じ、「肌が熱い」と呟く。

夜行の体調と温泉の影響

夜行は酔っていた上に温泉にしっかり浸かっていたこともあり、体が火照っていた。菜々緒は「大丈夫です」と応じるが、動揺を隠せずにいた。

意識が曖昧な中の夜行の言葉

ラストで菜々緒は「大丈夫……ですから」と微笑みながら、「どうぞ、お好きになさってください」と優しく語りかけ、静かに場面は幕を閉じた。

布団の距離と戸惑い

一つの布団に並んで眠る夜行と菜々緒。しかし夜行は布団の端に寝そべり、菜々緒はその遠さに寂しさを感じた。夜行の様子を気にかけつつ、彼に話しかける。

寂しさと求める言葉

菜々緒は「寂しい」と小声で漏らし、夜行に寄り添って語りかけた。「夜行様、明日は……」と口にしながら、彼にそっと身を預ける。

吸血を促す菜々緒の優しさ

菜々緒は夜行に対して「少しだけでも血を吸われませんか?」と問いかけ、自ら進んで彼に吸血を促した。夜行は「これは吸血の話だ」と動揺しつつも、必死に自制心を保とうとした。

真意の吐露と照れ隠し

菜々緒は「寂しくて」「自分でもよくわからない」と赤面しながら語り、「すみません、もう寝ます」と布団にもぐった。夜行はその様子に翻弄されながらも、「あまり煽るな」と釘を刺した。

互いの想いと接近

菜々緒の表情と言葉に心を動かされた夜行は、彼女に近づき、口づけを交わした。菜々緒は驚きながらも受け入れ、互いの距離は物理的にも精神的にも一気に縮まっていった。

隊長格たちの密談と決意

夜行は仲間たちと合流し、翌日に陰陽寮が武井を拘束することを宣言した。これまで秘密裏に動いていた武井が、盛大な事件を引き起こしたことを重く見ており、五行結界への干渉や天狗との関係も明らかになりつつあることから、今が行動の好機と判断された。

武井の狙いと花火大会の関連性

作戦上、五行結界にダメージを与えるには花火大会のタイミングが最も効果的であると結論付けられた。菜々緒を狙った件も、武井の標的が「五行結界」そのものにある可能性を示していた。

菜々緒を作戦に加える是非

菜々緒を囮として作戦に組み込むことに対し、夜行は苦渋の表情を見せた。彼は菜々緒の安全を最優先に考えつつも、彼女にすでに説明を済ませていることを告げた。仲間たちは菜々緒の胆力と状況理解に驚きながらも、彼女の覚悟を信頼する。

武井の正体と脅威

過去、武井は斎園寺在籍時には霊力に特別な兆候はなかったが、現在では異常なまでの霊具や術の使用が確認されており、極めて強力な敵と化している。陰陽寮内でも、彼の霊力の急激な増加と、暗躍する目的を危険視する声が高まっていた。

夜行の決意と守るべきもの

夜行は「明日は菜々緒の側を離れない」と断言し、彼女にとっての初めての花火大会を守り抜くと誓った。花火大会はいずれ何度でも見せられるが、彼女が心から楽しめる「初めて」を失わせたくないという想いがにじんでいた。

作戦の発令と武井への包囲網

仲間たちはそれぞれの拠点で準備を進め、武井捕縛作戦が発令された。菜々緒は眠っている様子で描かれており、彼女が戦いの中心にいることを暗示する構図が重ねられた。

武井の暗躍と次回への布石

ラストシーンでは、屋根の上に佇む武井が「明日、なんとしてでも武井を生け捕りにし、その全貌を明らかにする」と語る。武井の表情には余裕すら浮かべており、次話での直接対決を強く示唆して幕を閉じた。

第28話 大江戸花火大会

朱鷺子の受け継いだ使命

朱鷺子は将軍家の血を引く家柄の最後の娘として、亡き母から将軍家の秘宝「ぬらりひょんの耳飾り・打掛・丹薬」の三つを託された。この血筋を最良の形で継ぐよう命じられており、自身がそれを持って嫁いだことを紅椿家は知らないままであった。

朱鷺子の心の葛藤

朱鷺子は紅椿家に嫁ぎ、鷹夜を産んだ頃は幸福だったと回想する。しかし、夜行の誕生以降、心の中に芽生えた嫌悪感に悩まされていた。母として無条件に可愛がれるはずの我が子に対し、なぜか本能的な拒絶を覚え、それを受け入れられない自分に戸惑っていた。

長沢との対話と孤独

朱鷺子は長沢に「自分はどこで間違ったのか」と問いかけ、己の変化に戸惑いを吐露する。最終的に彼女は「自分にはもう鷹夜しかいない」と語り、誰に嫌われても鷹夜だけは守ると誓う。部屋を出ていく長沢を見送りつつ、朱鷺子は過去の母の遺言を思い返し、この血筋を最良の形で残すことに固執していた。

朝の準備と一成の来訪

夜が明け、屋敷では朝餉の支度が整い、夜行を呼びに来た使用人たちが騒がしく動き回る。一成は夜行が菜々緒と一緒に寝ていたことに対し、嫉妬と不満をぶつけながら部屋に現れ、彼らの関係をからかう。

菊大路康成の登場

場面は切り替わり、菊大路家の当主・康成が朝食の席で夜行たちを迎える。康成は息子・一成に対し厳しい態度を取りつつも、夜行に対しては特別な扱いを示し、「今夜は非常の務めがある」と意味深な発言をする。これに動揺した一成が妙な反応を見せ、場がやや混乱する。

じゃれ合いと整列命令

やがて夜行と一成は言い合いを始め、周囲の者たちに止められるまで騒ぎを続けるが、最終的には蓮太郎から「整列」の号令がかかり、2人は静かになった。

朝の整列と着席指示

蓮太郎の号令で全員が一斉に正座し、厳粛な雰囲気で朝の集会が始まった。十番隊時代の癖が抜けず、反射的に体が動いた者もいた。一成の行動につられた宗佑は「蓮太郎さんに叱られるのは一成のせいだ」と愚痴をこぼした。

蓮太郎の挨拶と隊員たちの反応

蓮太郎は活気のある隊員たちの様子に満足し、「朝から元気で大変よろしい」と笑顔で語った。花火大会に備えて朝食をしっかり摂るようにと促され、一同は食事に向かった。

朝餉の驚きと懐かしさ

鶏汁が供され、その味に一成は驚きの声を上げた。菜々緒が調理を担当したことが明かされ、彼女は鷹夜の依頼で腕を振るったと説明した。かつて白蓮寺で暮らしていた隊員たちは懐かしさに涙し、宗佑は「白蓮寺の里の味」に思わず感涙した。

菜々緒の料理と霊力の評価

隊員たちは味だけでなく、料理に込められた霊力の強さに感嘆した。奥様(菜々緒)の朝餉に憧れていた者もおり、満足げな表情で食事を楽しんだ。鷹夜も「白蓮寺の食事も美味しかったがこれは別格」と評した。

花火大会への備えと士気の高まり

食事が終わると、菜々緒は「賑やかで明るい雰囲気に元気をもらえる」と語り、一成も「今日は特に気合を入れねばならない」と意気込んだ。一方で、宗佑は感動のあまり泣いており、周囲の者たちに笑われていた。

籠目玉の確認と一成の忠告

一成は菜々緒に対して、「籠目玉を肌身離さず持っていろ」と命じた。花火大会中は一緒にいると伝えたが、万が一の事態を想定した注意も添えた。菜々緒はやや緊張した面持ちでそれを了承した。

祭り当日の朝と移動準備

花火大会に向けた準備が進む中、弁当を持った隊員たちは町中を移動していた。弁当の完成に歓喜する隊員に対し、別の者は「やっぱり温かい方が美味い」と呟いた。

研究を優先する者たち

花火大会が始まったが、研究を優先する日向と鷹夜は祭りには加わらず、研究の方が楽しいと語り合った。気遣う仲間の言葉に対しても「室長こそ休息が必要では」と返されたが、鷹夜は笑って受け流した。

離脱する鷹夜と仲間の気遣い

鷹夜は「忘れ物をした」と一人その場を離れ、戻るよう促した。仲間は「コロッケを食べながら待っている」と言い、鷹夜は「何かあったら言ってください」と柔らかく応じた。

鷹夜の決意と独り言

去り際、鷹夜は「頼りにならないかもしれないけど、研究室の皆もいる」と心中で呟き、穏やかな微笑を浮かべながらその場を後にした。

研究室の仲間としての信頼

鷹夜が一時的に場を離れようとする際、栗宮日向は「何かあったら言ってくださいね」と声をかけた。自分たちが大した力にはならないかもしれないが、研究室の皆もいると伝え、鷹夜はそれに感謝の微笑みを返した。

祭りのひとときと朱鷺子との遭遇

栗宮は祭りの夜、鷹夜が飼っている動物・一二三とともに花火を眺めていた。そこへ紅椿の奥様、朱鷺子が現れ、栗宮が鷹夜の研究室に所属していることを確認した。

朱鷺子の敵意と暗示

朱鷺子は、鷹夜が戻ってこないのは栗宮のせいではないかと疑念を示した。そして、汚れた存在である栗宮を「摘み取る」必要があると語り、自らその役目を果たすと宣言した。

鷹夜の庇護と負傷

朱鷺子が刃物を振るおうとした瞬間、鷹夜が飛び出して栗宮を庇い、刺されてしまった。栗宮は動揺しながらも鷹夜の名を叫び、彼の安否を案じた。

緊急対応と動揺

栗宮は止血ができず、霊力の高い朱鷺子が関係している以上、早急に「陰陽寮病院」への搬送が必要であると叫んだ。周囲の人々に助けを求める中、栗宮は鷹夜の名を繰り返し呼び続けた。

糾弾と告発

栗宮は朱鷺子に対し、鷹夜を苦しめてまで何を望むのかと問い詰めた。そして、母親であっても子供を自分の思い通りにする権利はなく、子供の自由を奪う権利もないと強く主張し、「あなたなんて母親じゃない」と断言した。

動揺と余韻

栗宮の言葉を受けた朱鷺子は目を見開き、激しく動揺した様子を見せた。栗宮は負傷した鷹夜を抱きかかえ、彼の命をつなぎ止めようと必死に呼びかけた。

動揺と崩壊

朱鷺子は、栗宮の糾弾の言葉を受けて精神的に大きく動揺し、手から力が抜けたまま、その場に崩れ落ちた。意識を保てず、放心した表情で「…あ…あああ」とうめくように繰り返した。

取り乱す朱鷺子と鷹夜の意識

朱鷺子は錯乱したまま泣き叫び、現実を受け止められずに崩れた姿で地面に伏した。一方、鷹夜は重傷を負ったまま意識を失いかけており、「母上を逃がしてはいけない」「父上に伝えなければならない」と心中で繰り返していた。

朱鷺子の退場

花火が打ち上がる中、朱鷺子は崩れた体を起こしてふらつきながらその場を後にした。彼女は誰にも言葉を発さず、まるで追われるように足早に去っていった。

浅草の花火大会と結界の力

一方、観覧席では人々が華やかな花火を楽しんでいた。ある男は「浅草の花火はすごいだろう」と語りつつ、打ち上がる花火と祭りの活気が皇都を守る五行結界に力を与えると説明した。

警備状況と平穏な観察

観客の一部は警備体制の厳重さに驚いていたが、「昨日の見回りでも怪しいものは見つからなかった」との報告もあった。現場には一見平穏な空気が漂っていた。

不穏の兆し

観客の中にいた夜行は、花火の音と熱気の中で、何か異様な気配に気付き始めていた。隣には菜々緒がいた。菜々緒は大きな音に驚きながらも、それを楽しんでいる様子を見せた。

武井の襲撃

突如として周囲の空気が張り詰め、武井とみられる男が襲撃を仕掛けた。夜行は即座に反応し、菜々緒の前に立ちはだかり刀を抜いて応戦態勢を取った。

夜行の応戦

夜行は相手の出現を「まさか堂々と現れるとはな」と内心で驚きながらも冷静に構え、武井に対して斬撃を放った。祭りの華やかさとは対照的に、現場には緊迫した空気が広がっていた。

武井の登場と挑発

武井は泥田坊の上に座りながら姿を現し、夜行と菜々緒に向けて挑発的な言葉を放った。夜行の過去に触れながら、「今はずいぶん歪んだ霊力を纏っている」と指摘した。

武井の意図と夜行の怒り

夜行は武井の出現目的を問いただしたが、武井は「斎園寺家をダシに皇都を混乱させた」と嘲笑し、斎園寺家を監獄送りにしたのは正当だと主張した。さらに、しのぶを「つまらない女」と切り捨て、菜々緒にも「君もそう思っただろう」と言い放ち、挑発を強めた。

夜行と菜々緒の反応

武井の言葉に菜々緒は怒りと動揺を見せ、夜行は「我が妻に話しかけるな」と制しながら強く睨みつけた。武井の本名が「橙院武流」であり、橙院家の前当主の五男であることもこの場で判明した。

武井と夜行の対峙

夜行は、菜々緒を狙った行為を決して許さないと明言し、「お前の相手は俺じゃない」と返し一成と沙羅が武井と対峙した。夜行は「祭りを存分に楽しめ」と言い放ち、戦闘が始まる構図が描かれて物語は締めくくられた。

同シリーズ

85750560f49a7c99f1a621aae2f2b8fb 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
傷モノの花嫁
9d25e23dbeca9b9aa97d593906cf5bbd 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
傷モノの花嫁 2
02f25769f917f9082f18b118f3e63068 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
傷モノの花嫁 6
450434a528763418b3a69c9cd78c869c 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
傷モノの花嫁 7
3834b151e5f33a7858a312b0364d1a70 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
傷モノの花嫁 8

類似作品

結界師の一輪華

お薦め度:★★★★★

『結界師の一輪華』はクレハ 氏によって書かれた日本の小説で、契約結婚から始まる異能と和風の要素が組み合わさったファンタジー。

和風恋愛ファンタジーのジャンルに分類される。

この作品は、落ちこぼれの術者である18歳の一瀬華(いちせ・はな)が主人公。

彼女は、柱石を護る術者の分家に生まれ、幼い頃から優秀な双子の姉・葉月(はづき)と比べられ、虐げられてきた。

ある日、彼女は突然強大な力に目覚めるが、静かな生活を望んで力を隠し、自らが作り出した式神たちと平和な高校生活を送っていた。

この物語は、日本が遥か昔から5つの柱石により外敵から護られているという設定の中で展開。

傲岸不遜な若き当主との間で契約結婚が行われ、大逆転の展開が描かれている。

9d772ec1cc992eae8553222ed2e1e061 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
結界師の一輪華

後宮の烏

お薦め度:★★★★★

『後宮の烏』は、白川紺子 氏による日本のライト文芸作品。

この小説は2018年4月から2022年4月まで集英社オレンジ文庫より出版され、全7巻で完結している。

このファンタジー小説は、中華風の世界観を背景にしており、後宮の奥深くに住む「烏妃」と呼ばれる特別な妃と、彼女の元を訪れた皇帝の物語を中心に描いている。

烏妃は不思議な術を使い、呪殺から失せ物探しまで、様々な依頼を引き受けるという設定。

時の皇帝・高峻がある依頼のために烏妃の元を訪れ、この出会いが歴史を覆す禁忌になるとは知らずに進行するという物語。

また、この小説はメディアミックスとして、2022年10月から12月までテレビアニメが放送されていた。

3f2dbdcfa71477001cc771df27b4b7e7 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
後宮の烏

花菱夫妻の退魔帖

お薦め度:★★★★★

『花菱夫妻の退魔帖』は、白川紺子 氏による大正九年の東京を舞台にしたファンタジー小説。

物語の主人公は、侯爵令嬢でありながら下町の浅草出身の瀧川鈴子。

彼女の趣味は怪談蒐集で、ある日、花菱男爵家の当主・花菱孝冬と出会う。

孝冬は鈴子の目の前で、十二単の謎の霊を使い、悪霊を退治する特異な能力を持っている。

鈴子は孝冬から求婚され、二人は結ばれることになる。

この物語は、逃れられない過去とさだめを背負った二人の未来が描かれている。

5f88f6ffeb89590d1ab031b88cbc1f7c 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
花菱夫妻の退魔帖

わたしの幸せな結婚

お薦め度:★★★★★

『わたしの幸せな結婚』は顎木あくみ 氏による日本の小説。

この作品はもともと小説投稿サイト「小説家になろう」で公開されたオンライン小説で、KADOKAWAの富士見L文庫より2019年1月から書籍化された。

書籍版のイラストは月岡月穂 氏が担当。

この小説の物語は、超常的な力を持つ異能者の家系が存在し、長女の美世は異能を持たない家系に生まれてしまう。

美世は幼い時に母を亡くし、異母妹の香耶が生まれたことから居場所を失い、使用人以下の扱いを受けながら成長。

2023年3月時点で、シリーズ累計発行部数は700万部を突破しており、高坂りと 氏によるコミカライズも連載中。

さらに、朗読劇、映画、テレビアニメといったメディアミックス展開も行われている。

135f42b604ebd15e29254ff79eaae5fe 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
わたしの幸せな結婚 1

その他フィクション

e9ca32232aa7c4eb96b8bd1ff309e79e 漫画「傷モノの花嫁 7巻 25話~28話」感想・ネタバレ
フィクション あいうえお順

Share this content:

こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

コメントを残す

CAPTCHA