傷モノの花嫁 9巻 レビュー
傷モノの花嫁 まとめ
傷モノの花嫁 11巻 レビュー
物語の概要
■ 作品概要
本作は、友麻碧(原作)と藤丸豆ノ介(作画)による和風ファンタジー・ロマンス作品である。 物語の舞台は、あやかしと人間が共存・対立する「大和皇國」。額に妖印を刻まれ「傷モノ」として虐げられてきた少女・菜々緒が、皇國最強の退魔師であり「鬼神」と恐れられる紅椿夜行に見初められ、運命を切り拓いていく「和風シンデレラストーリー」である。
第10巻では、物語の大きな山場となる「大妖怪ぬらりひょん」との決戦が描かれる。夜行の実母・朱鷺子の肉体を乗っ取ったぬらりひょんに対し、夜行は「血縁の呪い」に苦しみながらも刃を向ける。最終的に菜々緒が「大封印」の才を覚醒させ、朱鷺子を救い出し、長きにわたる因縁に終止符を打つ。戦いの後、二人は正式に祝言を挙げ、真の夫婦として新たな一歩を踏み出す展開となる。
■ 主要キャラクター
紅椿夜行(べにつばき やこう) 陰陽寮・退魔部隊の壱番隊隊長であり、本作の男性主人公。母・朱鷺子を乗っ取ったぬらりひょんを討つという過酷な運命を背負っていたが、菜々緒の愛と力によって救われる。冷徹な「鬼神」と評されるが、菜々緒に対しては深い愛情を注ぐ。
菜々緒(ななお) 本作のヒロイン。かつては「傷モノ」と蔑まれていたが、夜行との出会いを通じて精神的に自立し、数百年間途絶えていた「大封印」の才能を開花させた。慈愛に満ちた性格で、敵であった朱鷺子の魂さえも救済する。
菊大路一成(きくおおじ かずなり) 夜行の親友であり、六番隊隊長。自身の寿命を代償(奉納)にして強力な結界「風雷神門ノ陣」を展開し、夜行たちの戦闘を支援する。
京極零時(きょうごく れいじ) 十三番隊隊長。未来視や治癒能力を持つ「一目連の瞳」を操る。軽薄なギャンブル狂に見えるが、戦闘では冷静な判断力で仲間をサポートする。
朱鷺子 / ぬらりひょん 夜行の実母であり、長年大妖怪ぬらりひょんに肉体と精神を支配されていた。菜々緒の介入により呪縛から解放され、穏やかな余生を取り戻す。
武井 / 橙院武流(とういん たける) 妹・蛍流を蘇らせるために敵対勢力に加担していたが、最終局面で陰陽寮側に協力する。戦後はその罪を償うため、卑弥呼の命により陰陽寮五番隊へ入隊する。
■ 物語の特徴
「傷」と「再生」のテーマ
タイトルにある「傷モノ」は、ヒロインの身体的な古傷(妖印)だけでなく、主人公・夜行が抱える家族のトラウマ(心の傷)も象徴している。互いの傷を受け入れ、癒やし合うことで成長していく「愛と再生」のドラマが本作の最大の魅力である。
緊迫感のある異能バトル
単なる恋愛物語にとどまらず、陰陽師やあやかしが繰り広げる本格的な異能バトルが展開される。第10巻では、寿命を削る結界術や、物理攻撃が効かない大妖怪への封印術など、命懸けの総力戦が描かれ、読者を引き込む。
和風モダンな世界観と美麗な作画
明治・大正期を彷彿とさせる「皇都」を舞台に、軍服風の隊服や和装が入り乱れる華やかなビジュアルが特徴である。藤丸豆ノ介の美麗な作画が、幻想的かつおどろおどろしいあやかしの世界観を鮮やかに表現している。
書籍情報
傷モノの花嫁(10)
原作: 友麻 碧 氏
著: 藤丸 豆ノ介 氏
発売日:2026年1月30日
ISBN:9784065420881
出版社:講談社
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あらすじ・内容
朱鷺子の身体を媒介に、五行結界内に現れた大妖怪・ぬらりひょん。眷属を生み出し、辺りに妖気をまき散らすぬらりひょんを討伐すべく、夜行・一成・零時の三馬鹿は作戦を開始する。大妖怪の持つ”断末魔の呪い”。椿鬼である夜行はその耐性を持つはずだったが――。一方、”才”に目覚めた菜々緒は夜行を救うため、伝えられなかった想いを伝えるため、彼の許へと急ぐ。
舞台は浅草。集結した英雄たち。最終決戦が今、幕を開ける―――。
感想
ぬらりひょん騒動の決着と絶望的な戦況
この第10巻で、長きにわたったぬらりひょんとの因縁にようやく終止符が打たれた。
物語全体を通して見ると、終盤までは完全にぬらりひょんの思惑通りに進んでおり、菜々緒が登場するまで絶望的な展開が続いた。
特に、人類側の最大戦力である夜行が「血縁の呪い」によって無力化される流れは絶望的であり。
将軍家と血縁関係にある母・朱鷺子が敵の器となっているため、夜行が攻撃を加えれば加えるほど、その刃は呪いとなって自分自身に返ってくる。
最強の矛を封じられ、次に攻撃力の高い零時の術も決定打にはならず、戦力の均衡が崩れ去る様にはかなりの危機感が伝わって来た。
もしあのまま夜行が倒れていれば、皇都はぬらりひょんの支配下に落ち、人外魔境と化しており。
まさに紙一重の攻防であった。
菜々緒による逆転と「大封印」
その崖っぷちの状況を、最後の最後でひっくり返したのが菜々緒であった。彼女が「封印」の能力を覚醒させ、事態を収拾へと導くカタルシスは爽快感があった。
ぬらりひょんの想定を上回る一撃で盤面を覆した姿は、まさに「傷モノ」と呼ばれた少女が英雄の妻として並び立つ瞬間でもあった。
彼女がいなければ、間違いなく日本は終わっていただろう。
すべてがうまくいった奇跡的な結末だが、そこに至るまでのギリギリの緊張感が、このハッピーエンドをより際立たせていた。
母・朱鷺子の救済と悲哀
戦いの決着において、朱鷺子の結末はあまりに切なく、そして衝撃的であった。
菜々緒が施した封印により、ぬらりひょんは朱鷺子の内側に閉じ込められることになる。
作中でも触れられていたが、大妖怪にとって「封印」とは死よりも辛い屈辱らしく。
そのさらりとした記述には、事の重大さが滲んでいた。
そして何より、朱鷺子自身が夜行への「血縁の呪い」を自ら断ち切った場面が心に残る。
その代償なのか、戦後の彼女は記憶を失い、夜行のことを「夫の弟の子供」だと思い込んでいるという。
余命もあと一年ほど。
ボロボロになった身体で、それでも夫の夜一郎や兄の鷹夜に見守られながら穏やかに過ごすという結末は、悲劇的でありながらも、ある種の救いを感じさせるものだった。
新たな日常と未解決の因縁
騒動の後、夜行と菜々緒の祝言が無事に執り行われたことには安堵した。
またひと騒動あるのかと構えていた。
二人が真の夫婦となり、新たな一歩を踏み出す姿は感慨深い。
一方で、今回キーマンとなった武井(武流)の処遇も興味深い。
かつて敵対していた彼が、あろうことか沙羅の所属する五番隊に入隊することになるとは。
以前、武井に頭を蹴飛ばされたことを根に持っている沙羅との関係が、今後どうなっていくのか。
火種を抱えたままの凸凹コンビになりそうで、妙な期待感がある。
そう配置した卑弥呼が何気に鬼とも思ったが、孫の夏彦へのセリフを思うと…
普段からこの人はこんな感じなんだなとも思った。
総評と次巻への期待
全体として非常に読み応えのある巻だったが、巻末の構成については少し驚かされた。
話を途中でぶった切るような終わり方をしており、「えっ、ここで終わるの?」と呆気にとられてしまった。
後書きで謝罪があったとはいえ、読後感としては少し惜しい気がする。
とはいえ、新体制も発足し、物語は次のステージへと進んでいくのだろう。平穏を取り戻した彼らに、次はどんな騒動が降りかかるのか。期待と不安を抱きつつ、次巻を待ちたいと思う。
傷モノの花嫁 9巻 レビュー
傷モノの花嫁 まとめ
傷モノの花嫁 11巻 レビュー
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登場キャラクター
紅椿夜行
陰陽寮・退魔部隊の壱番隊隊長であり、本作の男性主人公である。母である朱鷺子を救うために刃を向ける過酷な運命を背負いながらも、妻である菜々緒への深い愛情を心の支えとしている。
・所属組織、地位や役職 陰陽寮退魔部隊・壱番隊隊長。紅椿家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 大妖怪ぬらりひょんに乗っ取られた母・朱鷺子と対峙し、紅椿家占有の妖格霊具「紅切」を用いて何度も斬り伏せた。血縁の呪いによるダメージを受けながらも戦い続け、最終的に菜々緒が封印を行うまでの時間を稼いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 戦いの後、正式に菜々緒と祝言を挙げ、真の夫婦となった。母・朱鷺子は記憶を失ったものの、穏やかな関係を築くことに成功している。
菜々緒
本作のヒロインであり、「傷モノの花嫁」と呼ばれる女性である。夜行の妻として彼を支える強い意志を持ち、長年途絶えていた大封印の才を開花させた。
・所属組織、地位や役職 紅椿夜行の妻。
・物語内での具体的な行動や成果 戦場に駆けつけ、覚醒した封印の才を用いてぬらりひょんを朱鷺子の内側に封じ込めた。朱鷺子の精神世界で対話し、彼女を呪縛から解放することに成功した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 大妖怪を封印するという大業を成し遂げたが、本人はその記憶をほとんど失っている。紅椿家の嫁として、周囲からもその絆と功績を認められる存在となった。
菊大路一成
陰陽寮・退魔部隊の六番隊隊長であり、夜行の親友である。土地神の加護を引き出す結界術を得意とし、浅草の地で強力な陣を敷く。
・所属組織、地位や役職 陰陽寮退魔部隊・六番隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果 神格霊具「吾妻」を使用し、「風雷神門ノ陣」を展開してぬらりひょんの弱体化と味方の支援を行った。戦局を打開するために自らの寿命を合計で5年以上奉納し、結界の強度を限界まで高めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 戦後は地元浅草の復興に尽力し、住民から感謝されている。寿命を削ったものの生存し、夜行たちの幸福を願っている。
京極零時
陰陽寮・退魔部隊の十三番隊隊長であり、無類のギャンブル好きである。一目連の神格を持つ瞳を使い、癒やしや未来視の能力を発揮する。
・所属組織、地位や役職 陰陽寮退魔部隊・十三番隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果 一目連の瞳で夜行の傷を癒やし、ぬらりひょんの行動を先読みして戦闘を支援した。また、凍結能力を用いて敵を拘束するなどの活躍を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 五行結界の外での任務で貯め込んだ私財を浅草の競馬ですべて失った。戦後は皇都を離れ、天狗討伐の任務に向かう予定である。
朱鷺子 / ぬらりひょん
夜行の母であり、大妖怪ぬらりひょんに身体と精神を乗っ取られていた女性である。本来は心優しい人物だが、妖怪の本能により実の息子である夜行を嫌悪するという呪いに苦しんでいた。
・所属組織、地位や役職 紅椿家の元当主夫人。
・物語内での具体的な行動や成果 ぬらりひょんとして夜行たちと敵対し、皇都を危機に陥れた。最終的に菜々緒によって精神世界で救済され、自ら血縁の呪いを断ち切って封印を受け入れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 封印後は夜行に関する記憶を失い、彼を親族の子供として認識している。余命は一年ほどと宣告されているが、穏やかな余生を過ごしている。
武井 / 橙院武流
当初は敵対勢力に協力していたが、土壇場で陰陽寮側に寝返った術師である。妹である蛍流の霊と会うことを目的に行動していた。
・所属組織、地位や役職 元敵対協力者。後に陰陽寮五番隊へ入隊。
・物語内での具体的な行動や成果 伝心の術で一成に指示を送り、金縛りの術でぬらりひょんの動きを止めて菜々緒の接近を助けた。戦後、沙羅の身体を借りて顕現した妹・蛍流の霊と再会を果たした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 本来は死罪に値する立場だが、卑弥呼の采配により五番隊への入隊を命じられた。妹の言葉を受け、生きる意味を模索し始めている。
翠天宮沙羅
陰陽寮の隊士であり、勝ち気な性格の少女である。武井に対して個人的な恨みを抱いているが、彼の事情を知り協力する。
・所属組織、地位や役職 陰陽寮隊士。
・物語内での具体的な行動や成果 卑弥呼や菜々緒の頼みを受け、自身の憑依の才を使って武井の妹・蛍流の霊を降ろした。武井の本音を聞き出した後、彼を殴って激励した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 戦場では残党狩りに参加し、武井への私怨を戦闘意欲に変えていた。
卑弥呼
陰陽寮を統べる老婆であり、絶対的な権力と冷静な判断力を持つ指導者である。個人の力よりも、人々の繋がりに重きを置いた采配を振るう。
・所属組織、地位や役職 陰陽寮の指導者(詳細な役職名は記載なし)。
・物語内での具体的な行動や成果 菜々緒の才を信じて戦場へ送り出した。戦後、武井に対して死罪ではなく陰陽寮での酷使という罰を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 今回の勝利を、菜々緒一人の力ではなく、夜行や仲間たちの強い繋がりによる奇跡だと評価している。
出来事一覧
第37話 血の絆
ぬらりひょんの眷属による捕食被害
- 当事者: ぬらりひょんの眷属 vs 地元の妖怪(隅田川のカッパ達)
- 発生理由: ぬらりひょんの眷属が結界内で繁殖し、食料として地元の妖怪を襲い食い荒らしていたため 。
- 結果: 眷属が蔓延り五行結界の外のような惨状となっていたが、緑川の部下たちが道を切り拓いた 。
三馬鹿とぬらりひょんの開戦
- 当事者: 三馬鹿(夜行・一成・零時) vs ぬらりひょん
- 発生理由: ぬらりひょんが皇都を我が物顔で占拠し、退魔部隊がその討伐に向かったため 。
- 結果: 一成が「風雷神門ノ陣」を展開し、夜行が妖格霊具「紅切」でぬらりひょんの首を落としたが、ぬらりひょんは即座に再生し、夜行は血縁の呪いによるダメージを受けて吐血した 。
第38話 生まれてきた意味
三馬鹿とぬらりひょんの死闘
- 当事者: 三馬鹿(夜行・一成・零時) vs ぬらりひょん
- 発生理由: ぬらりひょんが体内にストックした「丹薬」により何度でも蘇るため、夜行たちは丹薬が尽きるまで殺し続ける消耗戦を強いられた 。
- 結果: 零時の援護や一成による寿命奉納(合計5年以上)を用いた結界強化が行われたが、夜行は血縁の呪いで限界に近づき、ぬらりひょんも夜行の死を待つ持久戦の構えを見せた 。
武井の寝返りと介入
- 当事者: 武井(橙院武流) vs ぬらりひょん
- 発生理由: 武井が妹の霊と会うために陰陽寮側へ協力することを決め、菜々緒をぬらりひょんに接触させる好機を作るため 。
- 結果: 武井が金縛りの術でぬらりひょんの動きを止め、その隙に菜々緒が背後から接触することに成功した 。
第39話 後始末
菜々緒と朱鷺子(ぬらりひょん)の精神的対峙
- 当事者: 菜々緒 vs 朱鷺子(ぬらりひょん)
- 発生理由: 菜々緒がぬらりひょんを封印するため、朱鷺子の内面世界へ侵入し対話を試みたため 。
- 結果: 朱鷺子が自ら血縁の呪いを断ち切り、菜々緒による封印を受け入れたことで、ぬらりひょんは朱鷺子の内側に封じ込められ、夜行への呪いも消失した 。
結界破綻と眷属の襲撃
- 当事者: ぬらりひょんの眷属 vs 夏彦・卑弥呼・蓮太郎・沙羅
- 発生理由: 簡易五行結界を維持していた夏彦の体力が限界に達し、結界が崩壊したことで眷属が襲いかかった 。
- 結果: 蓮太郎と沙羅が救援に駆けつけ、沙羅たちは戦意高揚状態で迎撃体制に入った 。
陰陽寮による残党殲滅戦
- 当事者: 陰陽寮(夜行・前鬼・隊士たち) vs ぬらりひょんの眷属残党
- 発生理由: ぬらりひょん封印後も残った眷属や、結界崩壊により解き放たれた眷属を排除するため 。
- 結果: 夜行が「残党殲滅作戦および浅草浄化作戦」を宣言し、隊士たちの尽力により一週間ほどで一掃された 。
第40話 傷の癒やし方
零時と一成の金銭トラブル
- 当事者: 京極零時 vs 菊大路一成
- 発生理由: 零時が五行結界外での任務で貯めた全財産を浅草の競馬で使い果たし、一成に昼食を奢らせようとしたため 。
- 結果: 一成は文句を言いつつも、学生時代からの腐れ縁と零時のペースに飲まれ、洋食を奢ることになった 。
沙羅による武井への制裁
- 当事者: 翠天宮沙羅 vs 武井(橙院武流)
- 発生理由: 花火大会の際に武井に頭を蹴られたことへの私怨と、降霊終了後も武井が沙羅(妹の霊が憑依していた体)を抱きしめ続けていたため 。
- 結果: 沙羅は武井の顔面を拳で殴り、生き残った者の義務として人生を全うするよう説教した 。
武井の処遇決定
- 当事者: 武井(橙院武流) vs 卑弥呼
- 発生理由: 敵対勢力への協力や大妖怪出現に関与した武井の罪に対する処分を決めるため 。
- 結果: 死罪は免除され、五番隊への入隊と沙羅の補佐、および人命救助や大妖怪討伐による償いを命じられた 。
夜行と菜々緒の嫉妬騒動
- 当事者: 紅椿夜行 vs 菜々緒
- 発生理由: 初夜の最中に武井から菜々緒へ祝福の念話が入ったことを知り、夜行が嫉妬したため 。
- 結果: 夜行が菜々緒を押し倒し、夫婦の時間に没頭した 。
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展開まとめ
【第37話】血の絆
夜行が残した手紙
夜行は菜々緒の元を離れるにあたり、書き置きを残していた。手紙には、眠る菜々緒に告げずに出立したことへの詫びと、母を手にかける決意への葛藤が綴られていた。生まれる前の母はおおらかで優しい人物であったと伝え聞いており、椿鬼さえいなければ悲劇は起こらなかったのではないかという思いも記されていた。すべてが終われば必ず戻ると約しつつ、その時には菜々緒が愛した自分ではなくなっているかもしれないという不安を吐露し、それでも笑顔で迎えてほしいと願っていた。
帝都に集う討伐側の動き
場面は帝都へ移り、結界が張られた現場に夜行、一成、零時らが集結していた。結界はぬらりひょんの影響で限界に近づいており、状況は逼迫していた。一成は、菊大路家が占有する神格霊具「吾妻」を用い、自ら結界術を展開すると宣言した。本来は参番隊の役目であるが、土地との縁が深い浅草出身の自分が行う方が効力が高いと説明し、参番隊が簡易五行結界の維持で手一杯である事情も語られた。
簡易五行結界の限界
結界を維持していた夏彦は、零時から体調を気遣われると、簡易五行結界も自身の体力も限界であると明かした。夜行が帝都を空けていたことへの皮肉を交えつつ、早急にぬらりひょんを討たなければ自分が倒れると告げ、夜行たちに決断を迫った。夜行はその言葉を受け、責任を認める姿勢を見せていた。
小夜子の覚悟と忠告
夜行は妹の小夜子に、母を斬る決意を伝えた。小夜子は、皇都に甚大な被害をもたらした以上、母が赦されない存在であると断じ、夜行を咎めるつもりはないと明言した。自身と夜桜は母にとって無関心の対象であったと語りつつ、感情に流されず気を緩めないよう忠告した。噛姫の守りを受けていた緑川隊長ですら倒れた事実を挙げ、血縁である椿鬼との対峙の危険性を強調して夜行を送り出した。
地元妖怪からの報告
その場に隅田川の河童たちが現れ、ぬらりひょんの眷属が地元の妖怪を襲い、食い荒らしている状況を伝えた。被害は結界内外に広がり、事態の深刻さが改めて共有された。
結界内部への突入
一行が結界の内側へ入ると、内部は眷属で溢れ、五行結界の外と変わらぬ様相を呈していた。一成は異常な侵食状況を指摘し、戦闘の必要性を認識する。緑川の部下たちは先行して眷属に斬りかかり、進路を切り拓きながら一行を奥へ導いていった。
ぬらりひょんとの対峙
三馬鹿が社殿へ辿り着くと、ぬらりひょんは自らを「国を治める者」と称し、退魔の英雄たちの到着を歓迎する態度を見せていた。零時はその振る舞いを将軍気取りと皮肉り、一成は風神雷神の堂を占拠し河童を喰らう行為を強く非難した。しかしぬらりひょんは、皇都も含めすべてが自分の国であると主張し、支配者として振る舞い続けていた。
戦闘開始と敵の分析
零時はこれ以上の問答を打ち切り、ぬらりひょんへ斬りかかり、妖怪退治の開始を宣言した。ぬらりひょんは不敬だと怒りを示すが、零時はその再生速度の異常さから、外法に等しい性質を持つ大妖怪であり、かつ大将級の存在であると判断した。一方で反応が鈍い点については、乗っ取った身体が力に追いついていない可能性を見抜いていた。
風雷神門ノ陣の発動
一成は正式に名乗りを上げ、霊脈源点である雷門寺を解放し、寿命を代価として奉納することで「風雷神門ノ陣」を発動させた。この陣により、隠匿の特性を持つ眷属は縛られ、陣内の敵は掃討された。さらに、断末魔の呪いへの耐性を持つ夜行と零時が受ける呪いも軽減され、ぬらりひょんを陣の外へ逃がさない状況が整えられた。名と所属を名乗ることで、陣の加護を優先的に受けられる仕組みも明らかとなった。
名乗りと総攻撃
京極零時が十三番隊隊長として名乗りを上げ、続いて紅椿夜行も壱番隊隊長として名を明かした。夜行は妖格霊具「紅切」を抜刀し、「妖魔必殺」をもってぬらりひょんに一撃を加え、その首を落とした。戦いは一瞬で決着したかに見えた。
妖格霊具・紅切の正体
一成は、夜行の一撃が成立した理由を解説した。「妖魔必殺」は一撃そのものが大妖怪の弱点となり、致命傷を与える特性である。夜行の刀「紅切」は紅椿家占有の妖格霊具であり、かつて紅椿家の祖先が戦った大椿鬼の神経が編み込まれている。その力は鍔や柄に宿り、夜行が自らの血を吸わせて抜刀することで、大妖怪すら殺す最強の刃となるのであった。
血縁の呪いの発現
しかし直後、夜行は突如として吐血する。一成は、陣の加護があってなおこの状態に至った事実に戦慄し、これこそが血縁による呪いの影響であると理解した。ぬらりひょんを斬った代償として、夜行の身に深刻な負荷が生じていることが示され、戦いは新たな局面へと移行することとなった。
不死を誇るぬらりひょんの正体
首を斬られてもなお、ぬらりひょんは倒れたふりをして再生し、自身が不死身であると明かした。その根拠は体内に複数貯蔵された丹薬であり、丹薬が尽きぬ限り何度でも蘇る存在であると語った。また、ぬらりひょんを殺すたびに、紅椿夜行の命が削られていく血縁の呪いが作用すると告げ、器が朱鷺子であったことは都合が良かったと語った。
朱鷺子が夜行を嫌悪した理由
ぬらりひょんは、千年以上前の因縁として、大椿鬼と自らが憎しみ争う天敵同士であった過去を明かした。将軍家には密かにぬらりひょん側の血が混じっており、特に朱鷺子はその血を色濃く継いでいたという。そのため本能的に椿鬼である夜行を嫌悪していたと説明した。それでも朱鷺子は夜行を愛そうと必死に努めていたが、本能には抗えなかったと語られた。朱鷺子は本来おおらかで気立ての良い娘であり、皇家の姫として、夜一郎や鷹夜に尽くす良き母であったことも語られた。
血の因果と夜行の決意
ぬらりひょんは、血の繋がりほど厄介なものはないと述べ、「赤い赤い因果の血の糸」という言葉で締めくくった。それに対し夜行は、言いたいことはそれだけかと応じ、二度目、三度目と躊躇なく斬り続けた。夜行の脳裏には、幼少期に一度でいいから母に優しい笑顔を向けてもらいたかったという渇望や、自分がいなければ母は普通の女性でいられたのではないかという自責の念が浮かんでいた。
母への想いと根比べの宣言
夜行は、朱鷺子が本能に縛られて苦しんでいたことを理解し、ぬらりひょんに取り憑かれた母に対し、今楽にすると告げた。そして、ぬらりひょんに対して根比べをしようと宣言し、因果の連鎖に決着をつける覚悟を示した。
結界外で動く者たち
場面は結界の外へ移り、結界を維持していた夏彦の元へマリアが騎馬で駆けつけた。宮殿警護を担当していたはずのマリアは、副長の部隊が戻ったため、卑弥子からの伝令でこちらへ来たと説明した。結界内では、ぬらりひょんの眷属が多数存在し、河童を捕食して力を増している状況が報告された。
新たな介入の兆し
マリアは、内部で戦う三人が全力で戦っている以上、自分が介入する隙はないと判断しつつ、呼ばれた理由に疑問を抱いた。その直後、上空に八咫烏が飛来し、その背には菜々緒、卑弥子、武井の姿があった。戦局に新たな動きが加わる兆しを残し、第37話は幕を閉じた。
【第38話】生まれてきた意味
丹薬による不死と夜行の覚悟
ぬらりひょんは、体内に丹薬を肉体的にストックしており、殺されても丹薬が尽きない限り何度でも蘇る存在であった。夜行はその事実を踏まえ、丹薬が尽きるまで何度でも殺すと覚悟を示した。ぬらりひょんは、その前に夜行の命が尽きると嘲笑した。
零時の介入と一目連の瞳
零時は、自分が代わりに斬ればよいと前に出て、「一目連の瞳」を用いて攻撃した。時間差でぬらりひょんの腕を斬り落とすことに成功するが、自身でも反応がわずかに遅いと自覚していた。一目連の瞳は、癒やしの力と同時に、妖怪が纏う妖力の流れを視認し、相手の一歩先の行動を読む力を持つものであった。
攻撃の限界と零時の策
ぬらりひょんは、零時の力では命までは奪えないと断じる。しかし零時は、斬り落とした腕を地面に縫い止めることで攻撃を通し、生かしたまま分断して冷凍保存し、陰謀を暴くという手段を示した。この攻撃が有効であることに一成と夜行は手応えを感じた。
血縁の呪いの顕在化
その直後、夜行は吐血し倒れ込む。ぬらりひょんは、紅椿家の血縁の呪いが極めて強いことを示し、零時もその現象を理解した。零時は一目連の瞳を用いて夜行を癒やすが、傷は癒やせても呪いは消せず、癒やしの涙は一日一度しか使えないため、後がない状況であることが明らかとなった。
血縁の糸と絶望的な構図
距離を取った後、零時は一成に見えたものを語った。それは、血縁の糸によって夜行と朱鷺子が強固に結び付けられ、呪いのすべてが夜行へ向かう構図であった。このままでは、ぬらりひょんを倒せたとしても夜行は助からないと判断され、戦局を変える決定的な一手が必要だと示された。
一成の決断と寿命奉納
一成は、夜行が死ねば人間側は最大戦力を失い、皇都の均衡も崩れると訴え、夜行を絶対に死なせないと決意した。そして、自身の寿命を差し出す覚悟を固め、零時はその身を守るために動いた。神仏の加護を厄介と見たぬらりひょんは一成を狙うが、零時がこれを阻止した。
風雷神門ノ陣の強化
一成は寿命を五年奉納すると宣言し、風雷神門ノ陣をさらに強化した。光が皇都を覆い、結界は一段階上の力を得る。夜行を死なせないという強い意志のもと、戦いは新たな局面へと進んだ。
菜々緒の出現と異変
光柱の中心に菜々緒が現れた。ぬらりひょんの眷属たちは彼女に一切反応せず、まるで視界に存在しないかのようであった。一成は、菜々緒が纏う打掛が妖に対する遮断効果を持ち、さらに風神雷神の加護を受けた者だけが彼女の気配を感知できていると理解した。この現象から、菜々緒が夜行の運命を変える存在であり、何らかの才に目覚めたと察した。
武井からの念話と作戦
一成の脳裏に武井の念話が届いた。武井は自ら回り込み、ぬらりひょんを足止めする間に、何としても菜々緒を接触させろと指示した。一成と零時はこれを受け入れ、連携を決めた。一方で一成は、伝心の術の痕跡を辿ってきた武井の手際に警戒と納得を示していた。
夜行の戦闘と寿命の代償
夜行は戦闘中、身体の動きが軽く、血縁の呪いによるダメージが軽減されていることに気づいた。これは一成が寿命を奉納し、陣を重ねがけした結果であった。夜行は一成に謝意を抱きつつも、寿命奉納には必ず限界があり、自身の命がどれほど持つのかという現実に思い至った。ぬらりひょんは夜行の消耗を見抜き、攻勢を強めた。
夜行の内面と覚悟
追い詰められる中で、夜行は菜々緒の存在を思った。自分が死ねば彼女は泣くだろうこと、そしてその心に一生消えない傷を残すことを恐れた。菜々緒を幸せにしたかったという願いと、彼女の笑顔を思い出すことで不思議と心が穏やかになる感情が交錯した。それでも夜行は、ここで倒れるわけにはいかないと覚悟を固めていた。
ぬらりひょんの野望
ぬらりひょんは自らを不死身と称し、いずれ皇都を支配すると豪語した。過去の失敗を振り返りつつも、次こそは成功すると嘯き、夜行を椿鬼と呼んで嘲弄した。さらに、力を蓄えるために菜々緒を喰らうと宣言し、戦況を支配しているかのように振る舞った。
反撃と金縛り
夜行はぬらりひょんの首を斬り落とし、血の呪いがあるならその糸で魂ごと縛り、菜々緒には手出しさせないと宣言した。しかし、ぬらりひょんは丹薬が無限ではないことを意識しつつ、なお余裕を崩さなかった。そこへ武井による矢と雷の攻撃が放たれ、さらに金縛りの術が発動したことで、ぬらりひょんの身体は動かなくなった。
菜々緒の覚醒
金縛りによる隙を突き、陰陽寮に寝返った武井の存在が明らかになる。その直後、覚醒した菜々緒が背後からぬらりひょんに抱きついた。この想定外の行動に、ぬらりひょんも夜行も一瞬硬直した。物語は、菜々緒が戦局そのものを覆す存在であることを強く示しながら、次の局面へと進んだ。
夜行の存在理由への否定
ぬらりひょんは、夜行が朱鷺子を殺すためだけに生まれてきた存在であるかのように語る。それに対し菜々緒は、背後からぬらりひょんの頭を抱え込む形で介入し、その認識を明確に否定した。夜行は朱鷺子を殺すためではなく、別の意味を持って生まれてきたのだと告げる。
菜々緒の言葉と覚醒
菜々緒は、夜行が自分と共に生きていくために生まれてきた存在であると断言した。その言葉と同時に、菜々緒の内に封じられていた力が覚醒する。これは感情的な励ましではなく、存在意義そのものを上書きする宣告であった。
封印の力の行使と結末
覚醒した菜々緒は、その封印の力をぬらりひょんへと注ぎ込んだ。ぬらりひょんは抵抗する間もなくその力を受けることになる。夜行の「生まれてきた意味」は、殺しではなく共に生きることにあると示されたまま、第38話は幕を閉じた。
【第39話】後始末
菜々緒による封印の開始
戦場において、菜々緒はぬらりひょん(朱鷺子)の背後から頭を抱き寄せ、封印の力を注ぎ込んだ。ぬらりひょんはそれを止めるよう叫ぶが、夜行はその光景を呆然と見つめるしかなかった。強い光が広がり、場面は内面世界へと移行した。
内面世界での朱鷺子と菜々緒の対話
内面世界で朱鷺子は、菜々緒がここまで辿り着いたことに驚きを示し、自身もかつては同じ立場であったと語った。夜一郎を支え、苦労を共にし、椿鬼の話も聞き、無理強いされることなく家庭を築こうとしていた過去を明かす。しかし、内側から湧き上がる誰かの憎悪に負けた結果であると述べ、陰陽の家門に嫁ぐことの過酷さを語り、菜々緒にも同様の苦しみが待つと告げた。
封印の受諾と血の呪縛の断絶
菜々緒はすべて承知の上であると答え、朱鷺子の中のぬらりひょんを封じると宣言した。朱鷺子は、それで楽になれるなら構わないと応じつつも、夜行を憎み傷つけ続けた過去は消えないと吐露し、これ以上息子を苦しめたくないと語る。そして自ら血の呪縛を断ち切り、母子ともに自由になれると告げた。
封印への最終的な同意
朱鷺子は、大妖怪にとって封印されることは死よりも不名誉で恐ろしい生き恥であると語り、それでも構わないとして、菜々緒に封印を依頼した。菜々緒は凛とした態度でこれを引き受け、夜行をこの世に産んでくれたことへの感謝を述べ、封印を実行した。
外界への帰還と朱鷺子の眠り
朱鷺子は意識を失い、菜々緒はその身体を抱きしめながら、悪夢は終わったとして安らかな眠りを願った。場面は外界に戻り、力を使い果たした菜々緒は眠りに落ちていた。夜行は駆け寄って無事を確認し、安堵する。
封印の確認と血縁の呪いの消失
零時は朱鷺子からぬらりひょんの妖気を一切感じないことに驚き、封印が成立したと推測した。夜行もまた、身体が著しく楽になっていることを自覚する。零時は血縁の糸が消え、血縁の呪いが途切れたと判断し、紅椿家の若奥様が大妖怪を封印した事実に驚嘆した。
残存する眷属への警戒
一成は、まだ眷属が残っていると警告する。夜行は本体と共に消えないことを疑問視するが、零時は眷属を逃がせば新たなぬらりひょんになる可能性があると指摘した。夜行は菜々緒を抱えたまま、これ以上一成に負担をかけないため陣を解くよう指示する。
マリアの介入と撤退
陣が解かれた直後、マリアが現れ、眷属を一蹴した。そして菜々緒と朱鷺子を連れて結界の外へ出るよう指示し、自ら先導して退路を切り開いた。こうして戦いは収束へと向かい、後始末の段階へ移行した。
結界維持の限界と祖母の叱咤
簡易五行結界を維持していた夏彦は、疲労困憊の状態で限界を訴え、封印は成功したとして結界を解こうと叫んだ。これに対し卑弥呼は、徹夜程度で弱音を吐くなと叱咤し、結界術が苦手だと反論する夏彦に、結界の才を持っていると諭した。その最中、結界には亀裂が走り、二人は異変を目の当たりにした。
結界崩壊と救援の到着
結界が破綻し、ぬらりひょんの眷属が襲来した。そこへ蓮太郎と沙羅が割って入り、卑弥呼に遅参を詫びたうえで出陣を宣言した。夏彦が二人の体調を案じると、蓮太郎は残党狩りなら可能だと応じ、沙羅も問題ないと述べ、己を打ち破った武井への強い敵意を口にした。
討伐対象の確認と夜行の帰還
卑弥呼は討つべき相手は武井ではなく眷属であると指摘した。直後、夜行たちが戻り、眷属を殲滅しきれなかったことを詫びた。前鬼が現れて戦意を示し、夜行の生存をからかう一方、他の式神は夜行の無事を喜んだ。
菜々緒の扱いと式神たちの判断
夜行は、菜々緒を陰陽寮から出すなと命じていた件に触れたが、前鬼は事態は解決したと軽く受け流した。後鬼が現れ、夜行を守りたい一心から菜々緒が才に目覚めたのだと説明した。夜行は式神たちの独断を嘆きつつも、菜々緒の手に口づけ、後始末に入ることを告げた。
掃討戦の宣言
夜行は、残党殲滅作戦および浅草浄化作戦の開始を宣言し、掃討戦に移行することを明言した。
平穏な朝と回復期の日常
菜々緒に起こされた夜行は、寝起きのまま彼女に縋りつき、挨拶を交わした。朝餉では菜々緒の手料理を上機嫌に食べ、穏やかな時間が描かれた。菜々緒は、ぬらりひょん騒動から約一週間が経過し、結界解放後に暴れた眷属は陰陽寮隊士の必死の攻防で一掃されたこと、浅草の浄化と修繕にはなお時間を要することを語った。自身は封印後の記憶がほとんどないとも述べた。
五行結界の影響と後始末
夜行は、花火大会直後に五行結界を強化していたため、約一か月は結界内で妖の出現頻度が下がると説明した。その結果、後始末に集中でき、隊士も身体を休められる状況であるとした。菜々緒は、民間被害は皆無だが負傷者は多く、休養が行き渡ることを願った。
沙羅の憤りと降霊の要請
場面は変わり、沙羅は、花火大会時に自身を蹴った武井のために憑依の才を使うことへの強い反発を示した。感情と言葉が噛み合わず本音が露出し、周囲が制止する。卑弥呼は、遺骨が橙院蛍流のものであるか確認する必要を告げ、菜々緒も頭を下げて協力を求めた。沙羅は動揺しつつも要請を受け止める。
武井の懇願と降霊の開始
武井は無礼を承知で、蛍流――妹に会わせてほしいと懇願した。一般的な降霊は顕現が短時間であると確認した上で、武井は同意し、蛍流の髑髏に自らの血を付着させた。
蛍流との再会と武井の悔恨
降霊により、沙羅に蛍流の霊が宿り、兄への想いが語られた。武井は抱きしめ、救えなかった後悔と自責を吐露し、共に死ねばよかったとまで語った。蛍流はそれを否定し、兄が多くの努力を重ねてきたことを認め、生きることを最後まで諦めないよう諭した。兄の生き様を見ていると告げ、愛情を伝えた。
別れの余韻と叱責
降霊が終わっても武井は抱擁を解かず、沙羅は苛立って制止した。武井は「まだ手に入れていないもの」について独白し、蛍流が笑っていられる世界を望んでいたと漏らした。沙羅は武井を殴り、残された者の義務として、この先の人生すべてを使って考え、行動せよと叱責した。
夜行と菜々緒の対話
菜々緒と夜行は二人で移動しながら、武井の行く末について言葉を交わした。菜々緒は、武井が少しは救われたのかと問いかける。夜行は明確な答えは出さずつつも、少なくとも彼なりのケジメはついたと述べ、この先も険しい道が続くであろうと語った。
武井と橙院家への処分
夜行は、今回明るみに出た橙院武流と蛍流の件、そしてその他の余罪により、武井が何らかの罰を受けることになると説明した。その裁きは武井個人に留まらず、橙院家そのものにも及ぶものであり、紅椿家もまた例外ではないとされた。五行結界内に大妖怪を出現させた事実は、理由の如何を問わず看過できないものであると夜行は断じた。
陰陽総会と降格の見通し
処分の詳細は月末の陰陽総会で話し合われる予定であり、橙院家は降格を免れない見通しであると語られた。五家筆頭という地位も失われる可能性が高いことが示唆された。
夜行の覚悟と求婚の言葉
その上で夜行は、自らの立場や状況を踏まえたうえで、それでもなお菜々緒に妻になってくれるかと問いかけた。菜々緒は迷いなく、その気持ちは変わらないと答えた。
祝言の提案
夜行は続けて、急な話ではあるが、今なら祝言を挙げられる可能性があると告げた。陰陽大神宮の予定が空き、呼びたい者たちも皇都に集まっている状況であることから、多少慌ただしくなるが強行したいと考えていると説明した。菜々緒は戸惑いながらも、その申し出を受け入れる意思を示した。
朱鷺子の出現
その直後、朱鷺子が二人の前に現れ、「夜行さん、菜々緒さん」と声をかける場面で締めくくられる。
【第40話】傷の癒やし方.
浅草復興と一成の現在
浅草では復興作業が進められており、一成はその中心として働いていた。地元民から感謝の言葉を向けられ、自己肯定感が高まっている様子が描かれていた。一成にとって浅草は、かつてから親しみのある土地であり、人の活気と日常が戻りつつある光景そのものが支えとなっていた。
零時の来訪と変わらない性質
そこへ零時が現れ、有り金をすべて使い果たしたため昼食を奢ってほしいと軽い調子で頼み込んだ。零時は競馬に使ったことを悪びれず語り、不忍池で馬を見たことをきっかけに賭けてしまったと説明した。一成は学生時代から変わらない零時の性質を思い出し、呆れながらも結局は奢る選択をした。
過去の記憶と零時への評価
一成は、寮生活を送っていた学生時代を回想した。問題が起きれば連帯責任となり、零時の行動によって何度も苦い思いをした記憶が蘇った。一方で、零時は場の空気を和ませ、人を甘やかしてしまう不思議な存在でもあり、一成は「予言の子」と評するような畏れを抱いていた。
寿命奉納の告白と死生観
零時は、不意に「寿命を五年奉納させてしまったこと」を謝罪した。五年という時間の重さと、運命が変わる可能性について語る零時に対し、一成は率直な思いを返した。五年奉納しても生きていること自体に安堵しており、少なくとも五年は生きられると分かったことを前向きに受け止めていた。二人は、妖と対峙する世界における命の脆さについて共有していた。
朱鷺子の話題と場面転換
会話の中で零時は朱鷺子の話題を持ち出し、場面は夜行と菜々緒のもとへと戻った。朱鷺子は車椅子に乗り、夜一郎に付き添われながら穏やかな表情で二人に声をかけた。
朱鷺子との再会と表面的な祝辞
朱鷺子は夜行の功績を称え、両親も誇らしいだろうと他人事のように語った。その態度は朗らかでありながら、どこか距離を感じさせるものであった。朱鷺子は秋桜の花を所望し、夜行が一輪を差し出すと、心から嬉しそうに感謝の言葉を述べた。
家族団欒と見送る側
その後、鷹夜が迎えに来て、朱鷺子を中心とした家族団欒の光景が描かれた。夜行と菜々緒はその様子を静かに見送り、二人だけが残された。
夜行の告白と母の現実
夜行は、母である朱鷺子が過去の事件も、自分が実の息子であることも覚えていないと語った。朱鷺子にとって夜行は、もはや家族の内側にいる存在ではなく、別の親族の子として認識されている状態であった。それでも夜行は、母が悪夢から解放されたことに救いを見出していた。
残された時間と願い
朱鷺子の身体は既に限界に近く、余命は一年ほどだと語られていた。夜行は、残された人生だけでも理想の家族の中で幸せに過ごしてほしいと願っていた。その言葉に、菜々緒は「そこに夜行自身はいない」という現実を静かに指摘し、物語は余韻を残して締めくくられていた。
菜々緒の告白と覚悟
菜々緒は夜行に対し、朱鷺子が血縁の糸を断ち切ることを止めなかったのは自分であり、その責任を自覚していると告げた。自身の才によって、朱鷺子からぬらりひょんに関する記憶を含めて封印したことを明言し、その代償として、これからは自分が夜行の側に居続けると誓った。菜々緒は自らを夜行の妻であり、家族であると断言し、決して一人にはしないと強い意思を示した。
夜行の救済と応答
菜々緒の言葉を受けた夜行は、自分が菜々緒と生きていくために生まれてきたのではないかと口にした。その問いに菜々緒は迷いなく肯定で応じた。夜行は、その言葉によってどれほど救われたかを噛みしめ、菜々緒から夜行へと口付けが交わされた。
祝言の場と家族の立ち位置
場面は祝言へと移り、親族が集う中で式が進められた。鷹夜は兄弟として参加できない立場を詫びたが、夜行は母を優先するよう静かに諭した。菜々緒の白無垢の準備が整ったとの報告を受け、夜行はその姿に見惚れた。その背後では、惚気に当てられて倒れる鷹夜を前鬼が慰める様子が描かれた。
夫婦としての誓い
夜行は、ここから本当の夫婦が始まるのだと心に定めた。愛に満ちた家族を築き、紅椿家のこれからを彩っていくこと、命を預け合える仲間たちと共に歩むことを誓った。どのような困難があっても幸せになることを諦めず、互いを信じて乗り越えていくと決意した夜行は、菜々緒と共に生きていくために生まれてきたことを、これからも証明し続けると心に刻んだ。
零時の出立と別れの会話
零時は、翌日に皇都を発つことを夜行たちに告げた。夜行は紅椿家の問題に巻き込んだことを詫びるが、零時は天狗討伐を手伝うよう軽く告げ、夜行と一成を動揺させた。勝手に動くなと釘を刺されても、零時は意に介さぬ様子で応じていた。
祝言後の余韻と武井の念話
その裏で、武井は念話を通じて菜々緒に祝福の言葉を送った。菜々緒は、武井から祝福されるとは思っていなかったと率直に応じた。武井は、蛍流を「もう一人の自分」と受け止めてくれたことに触れ、菜々緒が幸せに生きる未来を望むと語り、別れを告げた。
卑弥呼との対話と信頼の理由
武井は卑弥呼の前に呼ばれ、祝言について言葉を交わした後、なぜあの局面で菜々緒の力を信じたのかを問うた。戦闘の素人である菜々緒を危険に晒す可能性があったのではないかと懸念を示した。
卑弥呼は、力が意味を持つ瞬間は「繋がり」にあると述べ、夜行、一成、零時、朱鷺子、そして菜々緒が重ねた行動と想いの結果として奇跡が生まれたのだと語った。卑弥呼が信じたのは、個々の才だけでなく、それらすべての繋がりであった。
武井への処分の宣告
卑弥呼は、武井の処分について言及し、死罪が相当であると前置きしつつも、術師としての価値から即時処刑は行わないと告げた。そして、橙院武流として五番隊への入隊を命じ、沙羅を助けるよう指示した。
生きている限り多くの命を救うこと、それでも死にたくなったなら有益な死に方を選べと語り、妹に胸を張って会える生き方を求めた。
武流の受容と残された問い
武井は、その処分に戸惑いと恐怖を覚えつつも、自身がこの先卑弥呼の監督下で生きる覚悟を受け入れた。そして、妹に会いに行く前に見届けたいものがあると静かに語った。
卑弥呼は最後に、菜々緒が額の傷に封じられていた妖の正体を思い出さなかったことに触れ、物語は余韻を残して締めくくられた。
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