小説「創約 とある魔術の禁書目録(13)」感想・ネタバレ

小説「創約 とある魔術の禁書目録(13)」感想・ネタバレ

物語の概要

ジャンルおよび内容
本作は、超能力(科学)と魔術(オカルト)が共存・対立する「学園都市」を舞台としたライトノベル。無能力とされる高校生が、右手に宿す“幻想殺し”という異能を契機に、魔術結社および科学組織の陰謀に巻き込まれていく物語の最新章である。第13巻では、学園都市に降り続く赤い雪が“終末”の序曲であることが明らかとなり、主人公たちが大悪魔の破滅魔術を止めるため、全面衝突へと突入した。

主要キャラクター

  • 上条当麻:本作の主人公。学園都市に住む高校生で、「無能力者」と評価されながらも右手に“幻想殺し(イマジンブレイカー)”という他者の能力・魔術を打ち消す力を秘めている。第13巻では“破滅の連鎖”を止めるべく立ち上がった。
  • インデックス:一万三千五百冊以上の魔道書を記憶・所蔵するシスター。魔術結社から追われる身であり、上条当麻と出会ったことで物語の重要な鍵となる存在である。
  • 御坂美琴:学園都市におけるレベル5超能力者「電撃使(エレクトロ・マスター)」。科学サイドの代表格であり、本巻では科学・魔術双方の衝突の中で重要な役割を果たす。

物語の特徴
本作の魅力は、「科学」と「魔術」という相反する力の交錯を物語の核に据え、能力者・魔術師・組織・都市の闇という多層的構造を描いている点である。特に第13巻においては、これまでの巻で積み上げられた謎と伏線が「世界の終末」「破滅の連鎖」といった壮大なテーマへと収束し、主人公らが“異能者”・“魔術師”を越えた戦いに挑む展開が鮮烈である。他のライトノベル作品と比して、「学園×超能力×魔術結社」という三重構造の設定が明確であり、さらに「主人公が万能ではなくむしろ弱点を抱えながら戦う」という構図も読者に共感と緊張を同時に与える。また、アニメ化・コミカライズなどのメディア展開が広範囲である点も、世界観の広がりとともに本作の魅力を高めている。

書籍情報

創約 とある魔術の禁書目録13
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA電撃文庫
発売日:2025年8月8日
ISBN:9784049165333

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あらすじ・内容

大悪魔による世界の終焉――。上条は、『白い少女』の居場所を守れるのか。
 学園都市に降り続く赤い雪。それは、終末への序曲だった。
 アレイスターを打ち破った大悪魔コロンゾンは究極の破壊魔術『アディカリカ』を起動し、世界を破滅へ導こうとしていた。
 事態を察知したイギリス清教の神裂火織、五和たちは一斉に学園都市へ侵攻、魔術サイドと科学サイドが全面衝突する最悪のシナリオが進んでしまう。
 破滅の連鎖を止めるため、上条が一方通行や木原脳幹、アリスや『超絶者』たちと作戦会議を行う中、さらなる援軍――浜面に滝壺、ダイアン・フォーチュンまで助太刀に来てくれる。
 上条当麻は立ち上がる。『白い少女』の居場所を守るために!

創約 とある魔術の禁書目録(13)

感想

序盤:大悪魔コロンゾンの復活と世界の終焉の予兆
アレイスター=クロウリーの死を契機に、封印されていた大悪魔コロンゾンが表舞台へ復帰。学園都市には赤い雪が降り、上条当麻はアリス=アナザーバイブルと気絶したヴィダートリを守りながら撤退を余儀なくされる。ここで「科学サイドと魔術サイドの力は拮抗している」という従来の印象が、実はアレイスターの設計による“均衡”だったと分かり、彼の異常な統治能力を再確認させられる。

地下鉄脱出〜領事館合流:再起の準備
魔神ネフテュスと娘々の介入で一瞬の逃げ道が開き、上条は列車屋根から離脱。第一二学区の旧「橋架結社」領事館に辿り着き、ボロニイサキュバスやブロダイウェズら“超絶者”と合流して体勢を立て直す。「アリスを堂々と“世界を救う力”として投入する」方針が示され、学園都市(=科学側)に一時預ける構想まで語られる。

コロンゾンの大術式『アディカリカ』と世界規模の危機
ダイアン=フォーチュンの分析で、コロンゾンが大術式『アディカリカ』を準備中と判明。標的はイタリア半島(ローマ正教圏)と推測され、発動は「本日24時」見込み。これが現実化すれば、科学対魔術の全面戦争に発展しかねない。上条たちは“囮となるミサイル一斉発射→空爆に紛れて第七学区中枢へ強行降下”という賭けに出る。

英清教の学園都市“暫定管理”:その狙いについて
ここで抱いた「なぜイギリス清教が学園都市を制圧するのか?」という疑問は、作中描写を時系列で追うと、表向きの目的は対コロンゾン戦の足場確保とインフラの安定運用にある(治安・ライフラインの維持を“責任”として引き受ける)ことに整理される。もっとも、旧協定の崩壊・内部不一致・強硬派の台頭が並行しており、善意だけではない“現実的都合”も透ける。感想として「意図が分かりづらい」と感じたのは自然で、作中でもそこは緊張と不信として描かれている。

市街戦の緊迫と“ゴー姉ちゃん”の見せ場
学園都市は金髪由来の蟲が徘徊し、避難・護送と戦闘が錯綜。木原合計(“ゴー姉ちゃん”)は少年を庇って致命傷級の被弾を受けながらも自己再起動で立ち上がり、死霊術師イザベラを圧して少年を救う。ここは本巻随一の熱量で、あなたが言う通り彼女の存在が物語の“芯”の一つになっていた。

第二三学区〜降下作戦:コロンゾン中枢へ
一方通行の指揮で輸送機が用意され、上条・アリス・浜面・滝壺・フォーチュンらが第七学区へパラシュート降下。地上ではフォーチュンが宿敵モイナと交戦し、上条は旧「窓のないビル」跡地の光柱—アディカリカ中枢—へ単騎で突入する。

上条 vs コロンゾン:詰め将棋と“時間”の攻防
コロンゾンは「髪の斥候群→大顎→FLAMING_SWORD」の反復で上条の行動を拘束。援護の白雷(一方通行)も逆手に取られて途絶し、発動時刻が迫る。浜面は「お前が本当に新時代を成せるならやれ」と挑発的容認で知性に楔を打ち、コロンゾンは逆に焚きつけられて起動を決断する。ここで**“最悪のスイッチをあえて押させる”**浜面の賭けが、後の介入の余地を生む。

“呼び声”と二界からの介入、そして衝撃の引き
瀕死の上条の“祈り”に応答する形で、アディカリカの着弾は“地名なき海域”へ強制リダイレクトされ実質不発。コロンゾンは動揺し、そこへインデックス(魔術側)と御坂美琴(科学側)が到達する。まさに「同窓会」らしく懐かしい面々が要所で顔を見せ、“二世界同時の正面介入”へ。ラストは、インデックスが“本気を見せる”前段としての気配で幕を閉じ、次巻への期待を最高値で積み上げた。

総括:均衡の正体と“選択”の物語
本巻の肝は、①均衡の正体(アレイスターによる設計)を見せ、②コロンゾンの“拡散”思想に、人間側が“選択”で対抗する点。特に浜面の言葉と、木原合計の“救い方”が対照的に効いている。世界滅亡級の局面でも上条は「当たり前の生活」を守る選択を取り続け、最後にインデックスが前へ出るという衝撃の引きで締まる。懐かしいキャラクターが多数登場しつつ、まだ上条と再会していない面々の反応は“次”の大きな楽しみとして残った。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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登場キャラクター

上条当麻

現状維持を目標に据え、学園都市と世界を守るために行動した。恐怖を自覚しつつも前進し、仲間と連携して決戦地点へ到達した。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。右手に「幻想殺し」を有する。
・物語内での具体的な行動や成果
 大悪魔の包囲から離脱し、負傷者を抱えて退避した。領事館で方針を定め、輸送機で第七学区へ降下した。アディカリカの中枢に単独で突入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 科学側と魔術側の接点として判断を下し、複数勢力の行動を束ねる軸となった。

大悪魔コロンゾン

封印から解かれて再出現し、世界規模の破壊を目的に行動した。学園都市の魔術的設計を逆用し、混乱を拡大させた。

・所属組織、地位や役職
 大悪魔。ローラ=スチュアートの外見を用いる設定がある。
・物語内での具体的な行動や成果
 位相干渉による致死圏域を展開し、アディカリカの起動準備を進めた。インフラ統制を奪い、外部指揮を分断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 封印解除後に主導権を握るが、目標地点の再指定により一時的に計画を挫かれた。

アリス=アナザーバイブル

大出力の術式運用が可能な少女であり、裏方で到達経路を開いた。自らは拘束環境に留まりながら戦力を送り込んだ。

・所属組織、地位や役職
 魔術側に属する資質を持つ個体。
・物語内での具体的な行動や成果
 インデックスと御坂美琴を中枢に到達させる下準備を完了した。大量出力後に消耗し、再突入は不能となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「世界を救う力」として公的投入を受ける計画の中心に置かれた。

アレイスター=クロウリー

学園都市の根幹設計に関与した存在であり、封印の経緯に直結している。死亡後も残滓が事態に影響を与えた。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の創設者格。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去の設計が学園都市の魔術最適化として残存し、コロンゾンに利用された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 死亡により直接行動は消えるが、遺した構造が各陣営の攻防を規定した。

アンナ=シュプレンゲル

高次の術者として状況を分析し、機動で味方を救援した。敵の補充手段を推定し、量産化の危険を示した。

・所属組織、地位や役職
 魔術側の上位術者。
・物語内での具体的な行動や成果
 除雪車で突入し、追撃を一時遮断した。斥候の補充ロジックを説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 到達経路の設計でも暗躍した可能性が示唆された。

ネフテュス

魔神として戦線に立ち、味方の底上げを担った。敵の人間要素の有無を確認し、排除の意思を示した。

・所属組織、地位や役職
 魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 伝播の涙で娘々の力を増幅した。コロンゾンと対峙し、撤退の機会を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全力運用に踏み込み、戦局の均衡点を一時作成した。

娘々

魔神として前線に立ち、強化を受けて交戦した。過去の敗北に一定の区切りをつけ、現在の脅威へ集中した。

・所属組織、地位や役職
 魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 伝播の涙による強化で大悪魔へ圧を加えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 強化後も決定打は得られず、後続へ機会を渡した。

一方通行

学園都市の統括理事長として全域指揮を担った。外部からの支援と都市機能の維持を試みた。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・統括理事長。第一位。
・物語内での具体的な行動や成果
 灯火制御や降下支援を実施した。遠隔雷撃で支援するも、射線返しで負傷し指揮回線を断たれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 マスターキーが無効化され、統制権の限界が露呈した。

浜面仕上

非能力者として現場で介入し、言葉で敵の意思決定を揺さぶった。仲間の自己犠牲を止める判断を下した。

・所属組織、地位や役職
 学園都市市民。行動隊の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリファの自壊起動を制止した。大悪魔に対話を仕掛け、起動判断を引き出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 弱者の立場から局面を動かし、鍵となる選択を誘発した。

滝壺理后

能力で戦術支援を行い、味方の暴走を止めた。作戦継続の精神的支柱となった。

・所属組織、地位や役職
 学園都市能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリファの術式起動を浜面と共に抑止した。移動と合流の段取りを支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 要所で判断を補強し、隊の結束を保った。

クリファパズル545

学園都市側の特異個体として、逆位の理論で大悪魔に干渉した。自己崩壊を伴う切り札を持つ。

・所属組織、地位や役職
 学園都市側の戦力。
・物語内での具体的な行動や成果
 コロンゾンの性質へ理論干渉を実施した。自壊覚悟の起動を試みるが、仲間により停止された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 理論面の鍵として護りの対象となり、前進の通路を確保した。

インデックス

魔道書の知識を持つ少女であり、情報と詠唱で戦線を支えた。拘束から救出され、前線へ復帰した。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教・必要悪の教会。
・物語内での具体的な行動や成果
 出立計画の変更に巻き込まれるが、救出後に合流を決断した。強制詠唱の系譜と到達経路に関与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 二世界連携の一角として決戦域に到達した。

御坂美琴

レベル5として戦闘面の要を担い、遠近の殲滅で退路を作った。終盤で正面対決を選択した。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・第三位。
・物語内での具体的な行動や成果
 群体を長距離で除去し、避難を援護した。インデックスを保護しつつ中枢へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 二世界の同時介入の代表として敵前に立った。

ダイアン=フォーチュン

英清教の有力者であり、術式の特定と対策を主導した。黒い箱の使用可否を評価した。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教の上位聖職者。
・物語内での具体的な行動や成果
 アディカリカを特定し、標的候補を推定した。自霊装の副作用を説明し、最終手段として位置付けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 組織内の権威低下を自覚しつつも、作戦判断に関与し続けた。

イザベラ=テイズム

死霊術師として英清教の実働を主導し、強硬策を推進した。倫理より効率を優先した。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教・死霊術師。
・物語内での具体的な行動や成果
 学園都市の掌握を進め、インデックスの軟禁を提案した。第七学区で召喚体を顕現し、木原合計と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 内部対立を招きつつも現場主導権を一時掌握した。

木原合計

禁忌技術を自己適用した改造人間であり、救助と戦闘を並行した。市民の避難を優先した。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・木原系統。
・物語内での具体的な行動や成果
 斥候個体から子どもを庇い、自己再起動で戦線復帰した。イザベラを無力化寸前まで追い込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「ゴー姉ちゃん」として観測された事実を動機に変え、最前線で耐えた。

木原脳幹

犬の姿で同行し、調理や小規模整備を指示して体勢を整えた。現場判断を後押しした。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・木原系統。
・物語内での具体的な行動や成果
 領事館での応急体勢づくりを主導した。移動中の細部を調整した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接戦闘よりも環境整備で貢献した。

神裂火織

英清教の剣士として独自判断で救出に動いた。組織方針よりも目の前の人命を取った。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教・聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
 インデックスを拘束空間から救出した。市内管理と住民保護を宣言した部隊とも調整した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 内部の不一致を踏まえ、個人の信念で行動した。

ステイル=マグヌス

英清教の術者として現場に介入した。強硬派に対し抗議を示した。

・所属組織、地位や役職
 イギリス清教・必要悪の教会。
・物語内での具体的な行動や成果
 炎剣で汚染物を焼却したが、不意打ちで戦闘不能に陥った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 行動は制限されたが、方針転換の口火を切った。

ボロニイサキュバス

かつての結社の一員として合流し、医療と機動で支援した。館内の処置に関与した。

・所属組織、地位や役職
 橋架結社の元構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 応急処置を実施し、空中からの陽動を担った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 結社崩壊後も個人として連携を維持した。

花束のブロダイウェズ

結社側の術者として医療処置と装備改修を担当した。愛の定義を軸に評価を述べた。

・所属組織、地位や役職
 橋架結社の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 救急箱で処置を行い、降下装備の改造を施した。金属コートで防護を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 価値観の提示で上条当麻の内省に影響を与えた。

モイナ=メイザース

絵画的霊装を操る魔女であり、決戦域手前で立ちはだかった。因縁の清算を迫られた。

・所属組織、地位や役職
 魔術側の術者。
・物語内での具体的な行動や成果
 第七学区への進路上で出現し、フォーチュンの迎撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 護りの札として温存され、陽動の的となった。

月詠小萌

教師として生徒を守り、脱出の決断を下した。資機材に乏しい中で運転を担った。

・所属組織、地位や役職
 学園都市・教師。
・物語内での具体的な行動や成果
 火葬場からの一斉脱出を提案し、バスで移動を主導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 避難行動の核となり、被害拡大を抑えた。

嬉川欧助

救助対象の少年として登場し、現場の倫理を映す役割を担った。叫びが木原合計の再起を支えた。

・所属組織、地位や役職
 一般市民。学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 走行中の車両から降りて救助を叫んだ。観測者として木原の動機形成に関与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 個人の行為が戦力の再起動に影響した。

オティヌス

高次の知見で助言を与え、計画の不自然さを指摘した。判断の補助線を示した。

・所属組織、地位や役職
 魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 移送計画の反転を警告し、心理的な支えとなった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 直接戦闘よりも分析で貢献した。

風斬氷華

出立前に別れを交わし、移動の節目を作った。感情面での支点となった。

・所属組織、地位や役職
 学園都市関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 インデックスとのやり取りで送別の場を形成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 行動は限定的だが、士気に影響した。

吹寄制理

避難行動の一員として登場し、発言の誤りを悔いた。空気の立て直しに関わった。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 車内での発言を修正し、周囲の心情を整えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 小規模ながら場の維持に寄与した。

青髪ピアス

避難中の生徒側として現場を目撃し、声を上げた。群衆の視点を示した。

・所属組織、地位や役職
 学園都市の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 上条当麻の奮戦を目にして反応した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 描写は短いが、世論の端面を象徴した。

展開まとめ

序章 絶対悪と相対悪 CHORONZON.

封印された大悪魔の視点
大悪魔コロンゾンはアレイスター=クロウリーにより肉体を奪われ、意識を封印されていた。自らは外界に干渉できず、牢獄のような意識の中で人間たちの動きを観察し続けていた。クロウリーが支配する外の世界は苦痛に満ちていたが、コロンゾンにとっては滑稽な見世物であった。

アレイスターの悲劇と世界の愚行
クロウリーは師アンナ=キングスフォードや上条当麻のために行動したが、結果は悲惨だった。上条は殺され、キングスフォードも機能を停止し、クロウリーは新統括理事長から嘲笑された。さらに、地獄から戻ったのは上条一人であり、キングスフォードは戻らなかった。その顛末にコロンゾンは世界の愚かさを嘲笑した。

人間への嘲笑と再誕
クロウリーが封じた大悪魔を、世界は無自覚に解放してしまった。禁忌を犯してまで悪を封印した人間の努力を踏みにじり、正義を語る者たちこそが破滅の原因となったのである。コロンゾンは人間の愚かさに嘲笑を禁じ得ず、ついに限界を迎えたクロウリーの死とともに再び表の世界へと出現した。

大悪魔の宣告
肉体の崩壊と同時に現れたコロンゾンは、ついに宣言した。己を封じた人間の心が弱った瞬間を待っていたと。こうして彼は、無知なる人間にその罪の結末を味わわせるべく行動を開始したのである。

第一章一変 Magician, Witch, Wizard,and…

赤い雪と無音の到来
冷たい雨の音が忽ち消え、氷点下を超えた空から不思議な赤い雪が降り注いだ。上条当麻は隙を見せられぬ状況に置かれており、彼の周囲にはアリス=アナザーバイブルと大悪魔コロンゾン、力尽きて気絶しているヴィダートリが存在していた。地下鉄の列車の軋む音だけが無音の世界で際立って聞こえていた。

コロンゾンの嘲弄と致命的な火花
コロンゾンは当麻に対して嘲弄の言葉を吐き、金色の髪を翼や指先に絡ませながら、位相衝突が生む火花や接触すれば死を確定させる仕掛けについて語った。彼はかつてアレイスター=クロウリーを悲劇へ導いた力を誇示し、見えぬ領域に敷いた破滅の装置を自在に動かすと示唆した。

三六〇度の罠と上条の局面判断
周囲を覆う見えない致命的な作用により状況はほぼ詰んでいたが、上条は歯噛みして退路と手段を探した。幻想殺しの右手があるだけでは勝ち目がないと判断しつつも、死を厭わぬ覚悟を固め、倒れるわけにはいかないと強く念じた。

魔神たちの介入と撤退の機会
そのときネフテュスや娘々と称する存在たちが上条側に立ち、コロンゾンに対峙した。彼女らは上条に逃がすべき者への責任を促し、結果としてアリスと上条は倒れたヴィダートリを抱えて地下鉄の走行する屋根へ飛び降りる決断をした。ゴールデンレトリバーの指示もあり、真下のトンネルへ潜る行動が取られた。

電車上の避難と再起の決意
屋根上の衝撃と横滑りのなか、上条はヴィダートリを抱えて命を繋いだ。三六〇度の脅威は地上部分に展開していたため致命的な被害を免れ、列車は走り去った。上条は逃げるだけで終わるもどかしさを噛みしめつつも、この小さな綻びを起点に再出発する決意を固めた。

魔神と大悪魔の対峙
上条当麻とアリス=アナザーバイブルが撤退した後、赤い雪の街にネフテュスと娘々、そして大悪魔コロンゾンが対峙として残った。ネフテュスはコロンゾン内部に残る人間要素の存否を確認し、殺す意志を明言した。娘々も、かつての敗北で区切りは付いており命を蒸し返すのは蛇足だと断じた。

伝播の涙による増幅
ネフテュスは右目から大粒の涙をこぼし、娘々に力を与える伝播の涙を発動した。これは「魔神」の力を別の「魔神」へ底上げする性質であり、過去の軽い実演とは比較にならない本気の強化であった。

大悪魔の反応と罠の再提示
コロンゾンは一瞬無表情となり、やがて能動的に会話を打ち切って攻勢へ移った。周囲には位相衝突の火花が三六〇度で展開し、地雷原ではなく無数の牙を備えた開いた大顎であると再度示した。状況は、わずかな動きでも死が確定する極めて危険な圏域であった。

屋根からの離脱と目的地の設定
一方、上条当麻たちは地下鉄の屋根上から停車を機に地上へ降り、意識のないヴィダートリを背負って移動を開始した。同行するゴールデンレトリバーの案内で、第一二学区の旧「橋架結社」領事館を目的地に定めた。学園都市の被害状況を考慮し、大規模戦闘の再現は避ける必要があるとの判断であった。

赤い雪の性状観察
上条当麻は赤い雪を指先で確認し、溶ければ透明な水滴になることから着色は結晶形成時の不純物混入と推測した。大規模戦闘の粉塵やガスの影響を想起し、衛生面から摂取を戒めた。

目立たぬ経路選択と警戒
「動く死体」扱いの身であること、気絶者を背負い幼女と大型犬を伴う特異な一行であることから、人目を避けて細道を選んで進んだ。アンチスキルや警備が十分に機能していない可能性を念頭に、第一二学区へ長距離の迂回を続けた。

領事館到着と作戦の再考
領事館は尖塔が折れ建物の大半が崩壊していたが、屋根のある空間を確保できた。上条当麻は当初の生存証明計画を思い返したが、コロンゾン出現により前提が崩壊したと認識した。学園都市全体が危機に晒される恐れがあるため、寄り道の可否と優先順位の再設定が必要となった。

不意の接触と新たな局面
内部でヴィダートリの処置と今後の方針を思案中、頭上から物音がして警戒した。庶民的な調味料の匂いを感じ取った直後、二階から翼を広げた下着姿の美女が現れた。登場者は「超絶者」の一人ボロニイサキュバスであり、上条当麻は領事館内で新たな接触を受ける局面に至ったのである。

領事館での再会と「超絶者」の現状
上条当麻は半壊した『橋架結社』領事館でボロニイサキュバスと合流した。領事館は「外国に造った仮初めの宿」として機能しており、『CRC復活による世界の救済』が頓挫したことで結社は分散し、魔術結社としての機能を失っていた。ヴィダートリはアレイスター取り押さえ時に倒れた一人であり、他の「超絶者」も散り散りであると示された。

アレイスター異常強化の推測
ボロニイサキュバスは、アレイスターが人間の域を超え「大悪魔コロンゾンとしての力」まで振るっていた可能性を示唆した。契機として上条当麻の死とアンナ=キングスフォードの確定条件が挙げられ、その力の逸脱が「超絶者」を束で薙ぎ倒した要因と推測された。

応急処置と新顔の登場
領事館内ではボロニイサキュバスと「花束のブロダイウェズ」が救急箱でヴィダートリの応急処置を行い、手順を巡って口論しつつも処置を完了させた。ブロダイウェズはかつてアリス制御のため上条当麻の殺害に加担した陣営であると明かされ、上条は警戒を強めた。館内にはゴールデンレトリバー姿の木原脳幹も同行し、上条は彼の要望で調理を行って体勢を整えた。

作戦方針の策定とアリスの位置付け
上条は方針を明示し、第一に大悪魔コロンゾンの対処を優先、第二にアリス=アナザーバイブルを堂々と「世界を救う力」として実戦投入し、その功績をもってアリスを善玉として世界に認知させる計画を示した。中途半端な脅威ではなくコロンゾン級の危機ゆえに、アリスの介入価値が公的に証明されるとの狙いであった。

後ろ盾の選定と学園都市への預託案
後ろ盾についてはイギリス清教など魔術側の独占や自作自演疑惑を避けるため、科学側である学園都市を想定した。インデックスを科学側に隔離した前例を引き合いに、アリスの「正しい使い方」を知らない側に一時的に預けることで利害対立を抑制する策であった。これに対し学園都市統括理事長の一方通行が通信で介入し、上条は「優先はコロンゾン。アリスを万全で戦わせる体制整備が統括の職責である」と釘を刺した。

警戒事案と避難段取り
領事館のドアベルが鳴り、上条はコロンゾンがアレイスターとしての情報を共有している点から居場所露見の危険を認識した。正面対応は上条・アリス・木原脳幹が受け持ち、ボロニイサキュバスとブロダイウェズには危険時のヴィダートリ避難を指示した。

来訪者の正体と新たな局面
玄関外壁の破損部から来訪者が姿を見せ、ダイアン=フォーチュンを筆頭に浜面仕上と滝壺理后らが現れた。彼らは自らを「イギリス清教最大主教と楽しいお友達」と名乗り、領事館に新たな交渉と展開の火種をもたらしたのである。

コロンゾンの移動と決意
大悪魔コロンゾンは、破壊に特化する性質ゆえ「必要な場所を押さえる」ための移動を強いられた。最大関門であった“解放”は既に突破済みであり、以後は失敗なき消化試合と断じ、長時間を要する大術式の起動を開始すると宣言したのである。

アディカリカの正体
ダイアン=フォーチュンは、コロンゾンの準備する大術式を「アディカリカ」と特定した。これはカーリー神の再解釈に基づくクロウリー系の術であり、四腕の黒い女神がもたらす極大破壊を“任意の地名で区切られた領域”へ転写し、その内部の全生命を血塊同然にまで破砕する性質を有すると説明された。

標的の推定と戦略的含意
学園都市からの直撃は自己巻き添えとなるため可能性は低いと分析された。一方、イギリスはクロウリー術式への高耐性を蓄積しており前回も無事だったことから、最終標的はローマ正教の総本山、ひいてはイタリア半島全域である可能性が高いと推測された。これが実行されれば魔術サイド対科学サイドの全面戦争に発展し、学園都市は“止められなかった責任”を口実に二十億規模を擁する勢力から攻撃を受ける危険が示された。

発動までの猶予と準備条件
発動見積りは「本日24時」。残余時間は七時間未満であった。学園都市にはクロウリー由来の資産が豊富で、コロンゾンは封印期間中にシミュレーションを完了していたと見られ、下拵えは最小で済むと結論づけられた。逆に言えば、準備は「学園都市内部」でしか成立しない制約も判明した。

切り札の検討(黒い箱とリスク)
浜面はフォーチュンの霊装「自己情報無限循環霊装(黒い箱)」の投入を提案したが、同霊装は術式を“予測不能な別物”へ変換するだけで、蓄積魔力は残存するため暴発形態が読めず、学園都市壊滅級の副作用を招く恐れが強いと判明した。よって安易な使用は不可とされた。

方針確認と最後の手段
上条当麻は第一にコロンゾン阻止、第二にアリス=アナザーバイブルの“公的善性”の証明を掲げ、最後の手段としてのみフォーチュンの霊装を許容する方針を示した。統括理事長・一方通行の支援を前提に、学園都市を切り捨てない線で全手段を試行し、それでも失敗した場合に限って霊装を用いると合意した。

次の動きの予兆
議論の終盤、フォーチュンは「そろそろ動き出す」と警鐘を鳴らし、アディカリカ起動へ向けたコロンゾン側の最終段階突入を示唆した。

学園都市インフラ障害の発生と性質
一方通行は統括理事長権限の「マスターキー」を保持していたが、学園都市全域のシステムは未知の命令系統に割り込まれ、権限を受け付けない状態に陥った。衛星通信、電気・ガス・水道、食料供給ラインまで同時多発的に不具合が拡大し、誤報が治安機関を麻痺させる副次効果も生じた。計算上、静穏時でも72時間以内に死者が十万人規模に達し得る危機であった。原因は単なるサイバー攻撃ではなく、学園都市インフラ自体がクロウリー由来の“魔術的記号”で設計され、科学系統からは介入不能な構造である点にあった。

コロンゾンの介入宣言と戦略的狙い
コロンゾンは学園都市の基盤が魔術に最適化された設計である事実を明言し、科学側の統制を無効化した。目的はインフラ破壊そのものではなく、大規模混乱を“副作用”として発生させつつ、学園都市が魔術的塊であると露見させることで、世界の魔術勢力に科学側への攻勢口実を与える点にあった。これにより、学園都市は対魔術サイドからの多面圧力に晒されるリスクが増大した。

英側戦力の侵入と施設制圧
神裂火織・五和らイギリス清教は一万人超の戦力で学園都市外縁から侵入し、第一・第二学区をはじめ司令部、無人兵器データセンター、放送局、通信拠点を短時間で掌握した。読心・残留思念読み取り等の魔術運用により、生体認証や機密位置情報も突破され、統括理事の一部拘束に成功した。神裂は学園都市の“暫定管理”を宣言し、電気・ガス・水道の維持と治安・除雪・誘導まで責任を負う方針を示した。

協定崩壊と管理宣言の含意
ローラ=スチュアート(コロンゾン)とアレイスター(クロウリー)による旧来の“協定”は実質無効と判断され、英清教は対コロンゾン戦の足場確保を名目に運用主導権を掌握した。神裂は「管理=住民の生命財産への全面責任」を明言しつつ、制圧は本質的に時間稼ぎであり、根源であるコロンゾンを無力化しない限り危機は収束しないと総括した。

当面の状況評価
学園都市のシステムは魔術的設計ゆえ科学側からの復旧が困難であり、英清教の介入で一時的な安定化は可能となったが、アディカリカ準備の阻止に直結する保証はない。三つ巴(英清教・ローマ正教・学園都市)による大規模衝突を回避するには、コロンゾンの術式起動前に主導権を奪還し、発動核への直接介入が不可欠である。

英清教の学園都市介入と統制崩れ
学園都市制圧と治安代行に乗り出した英清教の大部隊により、人間同士の対立が先鋭化しかねない状況となった。フォーチュンは自身の権威が機能しにくい事情を認め、旧最大主教がコロンゾンであった経緯から組織内の信頼が揺らいでいる実情を示した。上条が描いた「コロンゾン打倒を梃子にアリスの受容を得る」構想は、学園都市の“魔術漬け”露見により瓦解しつつあった。さらにフォーチュンは並行作戦の不穏を示唆し、部下が統制に従っていない可能性を示した。

インデックス護送計画の反転と警戒
インデックスは伝書鳩経由で英清教と連絡を取り、出立前に風斬氷華と別れを交わした。外壁付近で元アニェーゼ部隊らと合流したが、当初の「学外で保護」計画は「市中経由で第二学区へ搬送」に変更された。オティヌスは計画変更の不自然さを指摘し警戒を促した。英清教側は学園都市内の対コロンゾン対応を優先すると説明しつつインデックスを街中へ誘導し、神裂との面会を名目に行動を継続した。

イザベラ=テイズムの介入と内部衝突
第二学区データセンターには死臭が漂い、英清教所属の死霊術師イザベラ=テイズムが現れた。彼女は“死霊術”の実相を降霊・情報抽出と説明し、学園都市の多重マップ構造と未掌握領域の存在を指摘したうえで、最優先対処対象として「魔道書図書館」インデックスの軟禁を提案した。これに対しステイルが乱入し強く反発、炎剣で汚染と囮死体群を焼却したが、本体を見失い、至近からの術式で急襲され失倒した。神裂隊は即応したものの、現場主導権はイザベラ側に傾き、英清教内の指揮系統不一致と強硬措置の危険が顕在化した。

第二章 死滅と殺戮 VS_NECROMANCER.

イザベラの統制宣言と価値観の露呈
学園都市が日没と赤い雪に覆われる中、イザベラ=テイズムは英清教の制圧達成を前提に行動方針を固定したのである。彼女は統括理事長と通信で応酬し、前任者との口約束を無効と断じ、アディカリカ阻止のため必要な一切を死霊術師として遂行すると宣言した。死体は原則として代用品で足りるとしつつ、本物の死も「最大効率で活用」する姿勢を示し、命を燃料として捉える価値観を露呈した。統括理事長は過去に知る死霊術師と決定的に異なると評し、倫理と実務の齟齬が深刻化した。イザベラは学園都市の戦力枯渇を指摘し、なお切り札の有無を試すかのように挑発して情勢を不安定化させた。

木原合計の蘇起と逸脱技術の告白
第七学区病院では、死亡確認済みの女性急患が突如覚醒し、自らを木原合計と名乗った。彼女は「離別部隊」に集積した違法不死関連の技術を自己適用したと明かし、肉体を禁忌技術の集合体へ改変した経緯を述べた。命の尊さを認めつつも「冒涜そのものを愉しむ」という木原一族特有の価値反転を示し、医師の倫理が拘束する手を逸脱して悠然と立ち去った。これにより、学園都市内での死生境界と医療倫理が破綻寸前である事実が具体化した。

排熱管理室の密談と不信の噴出
第二学区の無人兵器データセンターにて、ルチアはアニェーゼとアンジェレネを排熱管理室へ退避させ、イザベラへの追従可否を協議したのである。居候の立場ゆえ反旗は不利であるが、ルチアは「フェアな条件が崩れている」と指摘し、英清教が本気を出していない疑念を提示した。騎士派不在や王族不在がその根拠であり、イタリア半島が緩衝材化される懸念を明文化した。

分断工作の警戒と“託す相手”の再選定
アニェーゼはロンドンでの前例を踏まえ、諍いがコロンゾンの利益に直結する危険を認識した。政変やクーデターは否定しつつ、ルチアは「託す人間を誤るな」と結論づけ、同じ建物に眠る“宝の持ち腐れ”の女性を中心に再編すべきと主張したのである(神裂ではなく、学内にいる別の「彼女」を指す示唆であった)。

第一二学区の逡巡とコロンゾン観
領事館側では、浜面仕上がダイアン=フォーチュンと対話し、過去の関与を踏まえてコロンゾン像の単純化に疑義を呈した。フォーチュンは学説上も「絶対悪/相対悪」で見解が割れている事実を確認し、確定的評価は不能と整理した。

イザベラの作戦仮説:なぜ狙いはローマなのか
アディカリカの基礎威力を把握したイザベラは、「因縁の中心が英側にあるにもかかわらず、なぜ第一打がローマなのか」を疑問視した。代替標的ではなく、イタリア半島の“中心核”に壊すべき何かがあると推理し、第七学区でコロンゾンの観測点を自ら偵察する判断に至った。

第七学区の金髪の駒と行動規則の看破
街路には金髪を束ねた蟹・蛇・蝙蝠・蠅・蛸・蝸牛・蠍などの“悪魔的モチーフ”の駒が巡回していた。イザベラは死臭の擬態で接近し、連中が「建物外に出た対象のみ攻撃」「巣穴までは踏みこまない」機能特化型であると看破した。これは雑魚処理でリソースを浪費せず、アディカリカ準備を妨害させないための配備であると結論づけた。

木原合計の庇護介入と退避導線の提示
幼児の飛び出しに対し、木原合計が身を挺して被弾しつつも、駒を一刀で縦断し無力化した。彼女はバス車内が安全領域である規則を利用し、少年に「自動発車前に乗り込め」と具体的避難手順を指示した。自己改造由来の“自主止血”で致命傷を即時封止し、非戦闘員の離脱を優先した。

イザベラとの対面と制圧開始
救出後、木原はイザベラに対し「子を見捨てるお前からも守る」と価値観を突きつけ、麻酔銃の注入弾を右大腿に着弾させたうえで、拷問具群を展開して制圧フェーズへ移行した。イザベラの“効率至上の死生観”と、木原の“冒涜を愉しむ逸脱技術者”という相克が、学区内で正面衝突に入った。

収容施設での再会と神裂の決断
インデックスは第二学区のデータセンター予備室に閉じ込められていた。科学設備を理解できず困惑していたが、オティヌスの分析により、そこが将来の拡張スペースで人を閉じ込めるには最適な空間であると判明した。
インデックスは上条当麻の「死」を利用した周囲の行動を思い出し、奪われた者としての痛みを受け入れていた。そこへ神裂火織が現れ、二重の鍵を突破して救出に来た。ステイルが犠牲を覚悟していたことを理由に、彼女は自ら動くことを選んだ。

神裂の立場表明と託された使命
オティヌスは神裂の行動を「組織への反逆」と指摘したが、神裂は「やるべきことは変わらない」と言い切った。天草式と元アニェーゼ部隊も同様に、後ろめたさではなく信念で戦うと断言した。
インデックスは迷わず応じ、上条当麻と合流する意思を示した。神裂は彼女を建物の出口まで導き、以後の行動を一任した。インデックスには、イギリス清教の“正義と意地”が託されたのであった。

木原合計とイザベラの交戦
第七学区では、木原合計がイザベラ=テイズムと激突した。木原は多腕化と拷問器具を駆使して死のギロチンを迎撃し、甲殻化で防御を成立させたが、イザベラは「死霊術師」としての本領を発揮した。
彼女は死体の衣や骨を媒体に操る“死の占い”を応用し、木原の千切れた腕骨を再利用して胸部を貫通させた。さらに「一度でも死んだ肉はすべて私の領分」と宣言し、周囲の血肉を逆流させて木原を圧倒した。

領事館の動きと科学サイドの介入
その頃、上条当麻たちは領事館で会議を続けていた。そこへ新たな来訪者が現れる。現れたのはクリファパズル545、一方通行の使者だった。
上条はコロンゾン対策に加え、イギリス清教との衝突が迫る現状に頭を抱えた。クリファは統括理事長の意向を伝え、科学と魔術の協力体制を模索する立場を示した。こうして上条側と一方通行側の接点が生まれ、学園都市と英清教の衝突は新たな局面を迎えようとしていた。

コロンゾンの通信と分断工作
イザベラは交戦直後、耳内通信を経由して大悪魔コロンゾンの声を受信した。コロンゾンは学園都市のインフラを非電気的手段で掌握可能と示し、アディカリカ発動を巡り「英清教・羅正教・露成教・学園都市」を相互不信で潰し合わせる青写真を提示した。焦点は「学園都市そのものを地図から消す」極端解であり、民間人の犠牲を厭わぬ分断の論理であった。イザベラは挑発を警戒しつつも、情報の悪質さと即効性を認めた。

木原合計の臨終と少年の叫び
木原合計はイザベラの死霊術により致命傷を負い倒れた。救出バスに保護された少年・嬉川欧助は恩人の最期を目撃し、走行中の車両から飛び降りて「起きて」と叫んだ。現場は赤い雪が降り積もり、絶望的な空気が支配していた。

強制再起動と反撃の初撃
木原は体内ネットワークの最終手順を起動し、寿命影響を無視した深度解放で強制再起動した。立ち上がるや砕ける拳を代償にイザベラの胸郭へ一撃を通し、肋骨と胸骨を破砕した。以後も自壊覚悟で修復と攻撃を繰り返し、戦意を明確化した。

木原の動機と「ゴー姉ちゃん」
木原は「木原だから許される」を否定し、自身の在り方を“子どもに怖がられても正しく治療する歯科医”に喩えた。少年が自分を「ゴー姉ちゃん」と信じて呼んだ事実を“観測結果”と捉え、科学者として引き受ける動機を得たと述べた。イギリス側の運用杜撰さ(通信防護の甘さ)も指摘し、最前線の及び腰が責任者に負荷集中を招くと批評した。

イザベラの本気と上位存在の招来
イザベラは私情を排し“任務遂行”を再確認した。死霊術の可塑性を示しつつ、ブードゥー的受容性と他神話取り込みの理屈を説明し、象徴と記号を束ねる形で巨大な蠅の悪魔性を帯びた位相越境体を顕現させた。詠唱は「邪悪を統治する六魔の一角」「汚染・腐敗・背教の女王」を要点とし、名を「ドゥルジナス」として召喚を完了した。木原は“桁が違う”脅威と判断しつつも後退せず、対峙姿勢を維持した。

第一二学区の領事館での会議と接触
上条当麻は作戦立案の輪から外れ、暇を持て余していた。そこへ「花束のブロダイウェズ」が接近し、愛の救済対象に関する持論を述べた。彼女はアレイスターが「愛されない者」ではなく、賛否両論の中で自ら受容を拒んだ存在だと評した。上条はその評価に戸惑いを見せた。

上条の内省
上条は地獄脱出の局面での選択を悔い、より大胆な救済の主張ができなかったのではないかと自問した。ブロダイウェズは、儀式環境では精神誘導が起こり得るため、上条のみを責めるのは筋違いだと指摘した。

一方通行からの作戦通達
一方通行が通信で指示を出し、部隊は第二三学区へ移動することになった。第二学区に残存するミサイルを一斉発射して囮とし、その空爆に紛れて上条らがパラシュートで第七学区の奥へ強行侵入する計画であった。

作戦の狙い
アディカリカは学園都市の地理条件を利用するため、都市景観の破壊はコロンゾン自身の計画を損なう。ゆえにコロンゾンは空爆迎撃を優先せざるを得ず、その間に本隊が浸透できるという読みであった。強みへの執着が弱点へ転化するという発想であった。

第七学区での最終調整
同時刻、コロンゾンは第七学区でアディカリカの微調整を終えつつあった。地形とランドマークの組み上げは完了段階にあり、発動の時を待つのみと認識していた。コロンゾンはアレイスターの世界の終焉を嘲る発言を残し、最初の号砲を見据えた。

第三章 今日生きる世界を守るために Dance_With_ADIKALIKA.

火葬場の隔離と脱出決断(第一〇学区)
生徒一同が火葬場で隔離。補給は乏しく、窓や出入口は外側から防弾樹脂で封鎖。警備の駆動鎧部隊が不自然に沈黙し、窓越しに“金色の多脚の何か”が徘徊。頭部装甲が窓を打ち抜かれる事態を受け、月詠小萌がバスでの一斉脱出を提案し、正面ロータリーの車両へ走る決断に至る。

御坂美琴・食蜂操祈の交戦対応
美琴が路上の金色の蟲型群体を遠距離から排除。誤射疑惑が出るも実害なし。現場近くで白い修道女と小型の人形体を発見し保護へ動く。

木原合計 vs イザベラ:一時決着と少年救出
木原合計が巨大ハエ(召喚体)を撃破。自身は致命傷多数ながら再起動で復帰し、失われた器官を応急再構成。気絶したイザベラを無力化した状態で、嬉川欧助の要請に応え退避を優先。残存リソースは低下しており、コロンゾン迎撃への余力は限定的。

作戦方針と出発
残存ミサイルを一斉発射し弾幕に紛れて落下傘降下で第七学区のコロンゾン中枢へ肉薄する計画に決定。出撃メンバーは上条当麻、アリス、木原脳幹、ボロニイサキュバス、花束のブロダイウェズ、クリファパズル545、ダイアン=フォーチュン、滝壺理后、浜面仕上。第二三学区の輸送機へ向けて第一二学区を出発。

無人化した学園都市と進路
街は赤い雪と暗闇。イギリス清教の巡回は薄く、監視も疎。コロンゾンの防衛密度から中枢位置は旧「窓のないビル」跡地と特定。

第二三学区への侵入
高フェンスを越えて空港域へ。目標はD-25滑走路の輸送機。魔術反応を避けるため飛行は航空機を使用。

金色の徘徊体の配置変動
コロンゾンが警戒線をランダム化し攪乱。斥候級の「金髪由来の蟲」多数を確認。作戦条件自体は維持。

火葬場組のバス乱入
月詠小萌が運転するクラスメイトのバスが第二三学区に迷い込み、蟲群に追われる事態に発展。上条が接敵して個体を破砕し、第一位が国際空港ターミナルへの退避経路を遠隔開放。SNSで生徒に誘導を一斉送信。

交戦と被害回避
サソリ型の尾撃が上条に迫るも、花束のブロダイウェズが金属コートで弾き、ボロニイサキュバスが援護。第一位の雷撃で大型個体を沈黙。上条は蟲の注意を引きつけつつバス退避の盾役を継続。

現状の到達点と課題
輸送機への合流が最優先。滑走路や機体が破壊されれば作戦は崩壊。バスの空港ターミナル到達まで敵の引き受けが必要。コロンゾンはアディカリカ優先で学区破壊を嫌うため、空爆囮は依然有効。

バス撤退と教室の空気回復
クラスのバスは第二三学区から離脱した。青髪ピアスは上条当麻の奮戦を目撃し叫んだが、上条は応じず金髪由来の蟲を右手で殴り消滅させ続けた。吹寄制理は火葬場での「ゾンビ」発言を悔い、月詠小萌は涙を堪えつつ粗雑な補助具で大型バスを操縦した。車内には日常の空気がわずかに戻りつつあり、残る欠落は上条の不在であると皆が自覚した。

第二三学区での増援と合流準備
上条は釣られ集まる蟲群に追われる中、アンナ=シュプレンゲルの除雪車突入で局面を一時打開した。アンナはコロンゾン側が金髪を切り出して無尽蔵に斥候を補充可能と分析し、量産に傾けば脅威が増すと警告した。浜面仕上はアンナに警戒を示し、彼女はR&C絡みの嫌悪は冤罪だと弁明した。一方通行は雪かき職員の退避を指示しつつ、輸送機のあるD-25滑走路への合流を最優先とした。上条は雪山状の集積と轍を辿り、暗闇の中で巨大輸送機を視認した。

美琴・インデックス側の移動
御坂美琴は気絶気味のインデックスを保護し、無人超小型車を捕まえて移動を開始した。食蜂操祈は乗り遅れ、口論のみで同行は叶わなかった。オティヌスは金髪の徘徊体が跋扈する区域での単独行動の危険を示唆したが、美琴は上条の生存力を根拠に強行した。

降下準備と作戦条件
輸送機内で上条らはパラシュート装備を確認。犬用含む各種ハーネスが用意され、花束はコート対応の改造を施す。一方通行は「在庫の少ない一斉飽和攻撃は一度きり」と通達。午後22時ちょうどに後部ランプが開き、降下地点は第七学区・旧「窓のないビル」跡地と確定した。

降下開始と自律“遊泳ドローン”
上条は高度2000m超から降下。群泳する自爆型ドローン(迎撃回避能力を持つ)と同調する形で、味方側への誤爆リスクは低減された。パラシュートは自動展開。新統括理事長の制御で交差点の街灯が点灯し、着地距離を可視化。上条は植栽帯に突っ込みつつも無事着地した。

戦力の分散と即応前進
各員は風に流され降下点が散在。浜面・滝壺の接敵が早い可能性が示唆される中、サキュバスは花束を掴んで陽動飛行。切り札クラス(アリス/アンナ/クリファ/木原脳幹)の所在が一時不明となるが、現有戦力で前進する方針に切り替え。

黒猫の魔女との遭遇
進路上に金髪由来の蟲群と、絵画的霊装を操る「黒猫の魔女」モイナ=メイザース(コロンゾンの温存札)が出現。上条は未知戦力として脅威を認識。ダイアン=フォーチュンが一歩前に出て因縁の清算を宣言し、交戦を開始。上条は本命のアディカリカ阻止へ単独で走り、旧「窓のないビル」へ急行した。

旧「窓のないビル」跡地と標的選別
大悪魔コロンゾンは、跡地中央の淡い光柱を用いて大規模砲撃術式アディカリカを進行中であった。残り時間は約一時間と見積もられた。学園都市の飽和ミサイルは掌で弾け飛ぶに等しく、攪乱効果は限定的であった。コロンゾンは星座占い的配置で接近勢力を探知し、優先撃破対象を「幻想殺し」へと定めた。ダイアン=フォーチュンやボロニイサキュバス、「花束のブロダイウェズ」は下位評価とした。致死の“火花”を遠隔で浴びせる直前、クリファパズル545が正面に急降下して割り込んだ。

クリファパズル545の対抗理論と賭け
コロンゾンはクリファを「自作の劣化品」と嘲笑したが、クリファは“アビスに潜む叡智の簒奪者”としてのコロンゾンの本質に対し、逆位の「邪悪の樹(クリフォト)」由来の性質で干渉可能と論証した。両者の意志衝突は位相を歪める火花を生み、コロンゾンは過剰威力術式の自己破壊リスクにより一瞬の逡巡を見せた。コロンゾンは「実行すればお前がほどける」と自己崩壊を脅しつつ翻意を誘導したが、クリファは犠牲を承知で数価展開(7・10・8・11・666)を宣言。上条と仲間の到達を護るため、最終的に「我が心身ここに変幻せよ、レヴィアタン」と吼え、自己の存続を賭した反撃を開始した。

浜面と滝壺の介入
クリファパズル545が自己崩壊覚悟で「レヴィアタン」を起動しかけた瞬間、浜面仕上と滝壺理后が背後から押さえ込み、術式を中断させたのである。浜面は「死を押し付けるな」と叱咤し、滝壺は「新統括理事長が守りたいものを託した」と指摘して、彼女の自己犠牲を拒否した。浜面は世界とコロンゾンに対し、創られた存在をここまで追い詰めた理不尽へ怒りを向け、正面から対峙する姿勢を示したのである。

上条当麻の到着と状況認識
上条当麻は第七学区・旧「窓のないビル」跡地に到達した。コロンゾンはアディカリカの進行を続けつつ嘲笑し、足元には浜面と滝壺が倒れていた。上条は味方の突出の危険を悟りつつも、間に合った事実を確認した。コロンゾンは到着を「遅い」と受け流し、引き続き世界の破滅を既定路線として見下したのである。

魔神二人の行方と上条の決意
コロンゾンはネフテュスと娘々の行方を嘲る材料として用い、上条が彼女らの敗北を前提に生存を選んだと揶揄した。上条は自身の恐怖と未練を認めつつも、「連鎖を止め、自分の足で立つ」意思を強め、コロンゾンの嘲弄を遮って対決の構えを固めたのである。

第四章 その名を呼べ Shout_the_Summon.

上条の開戦姿勢と多重予兆の警戒
上条当麻はアディカリカ発動が迫る中、単独でコロンゾンに対峙した。相手の唇・腕・翼・髪など一挙一動を“攻撃の予兆”として全周監視し、右手で初撃の髪槍を打ち消したが、術式は分裂して蟹・蠅・大蛇に再生成された。幻想殺しは一度に一術式しか相殺できず、消去が脅威の多重化に直結する構図であった。

見えない「大顎」と位置取りの強制
コロンゾンは位相干渉の火花を全方位に展開し、「大顎」による包囲を形成した。上条は一角へ突入して右手で破砕しつつ脱出したが、これは牽制連鎖の一部であり、以後も髪の斥候群と顎の再配置で間合いと足運びを拘束される状況となった。

FLAMING_SWORDの再演と致傷回避
コロンゾンは右手=ヌイト、左手=ハディトの比喩で力を収斂・解放する儀式構えから「Magick: FLAMING_SWORD」を発動した。上条は掌で受けて外へ流す判断で骨折を回避したが、二撃三撃と畳み掛けられて吹き飛ばされ、赤い雪上を転がる不利を負った。

第一位の遠隔支援と即時無力化
上空からの白雷=一方通行の介入は、コロンゾンに即時看破され、刑務所独房の大型モニタを逆利用した“射線返し”で新統括理事長を負傷させた。ベクトル反射の壁を抜く“向こう側”の力で通信は断たれ、学園都市側の指揮・援護は途絶した。

戦局の「詰め将棋」化と時間制圧
コロンゾンは同一手順の反復で必勝を宣言し、髪の槍→斥候群→大顎→FLAMING_SWORDの手順で上条の行動を牢獄化した。援軍は意図的誘導で迷宮化されて遅延させられており、アディカリカ発動まで残り三十分未満と時間優位を確立した。

“333=拡散”の自己定義と反逆理論
コロンゾンは自らをセフィロトの深淵に潜む“叡智の簒奪者”かつ“拡散(333)”として定義し、創造主の計画に内包された「道具」としての役割から逸脱するため、やり過ぎ=脱線で計画そのものを破綻させると宣言した。善悪の次元を越え、世界の連帯と秩序を“分解”すること自体を目的化している点が露呈した。

ドーム状の閃光爆発と上条の限界
コロンゾンは三六〇度の光爆発で自らの正当化を力で上書きし、上条は連続的な衝撃で視界と意識の縁へ追い込まれた。恐怖やパニックすら融解する“無慈悲な感覚”が再来し、上条は臨界の一歩手前に到達したのである。

静寂と断絶
上条当麻は意識を喪失し、通信も遮断され、一方通行も沈黙した。コロンゾンはクリファパズル545の捨て身手段への対策完了を示し、発動待ちのアディカリカが世界終焉を刻む状況となった。

浜面の再起
瀕死の浜面仕上が立ち上がり、遮蔽物も取らず正面から対峙した。コロンゾンは「人間に何ができる」と嘲笑したが、浜面は自分は敵対者ではないと明言し、コロンゾンの「知性」を前提に対話へ持ち込んだ。

世界認識の反転提案
浜面は、上条や一方通行が守ろうとする「今の世界」自体が腐敗していると指摘し、もしコロンゾンの新時代が本当に人を救うなら「好きにやれ」と容認する極端な第三の選択を提示した。これは善悪でなく、現状の破綻を是認した“賭け”であった。

責務の問いと挑発
浜面は、世界規模の破壊を掲げながら何も完成できないならコロンゾンは「最弱の小物」だと挑発し、知性ある破壊者として結果を示せと迫った。

コロンゾンの動揺と決断
コロンゾンは唇を噛み、最終的に浜面の言葉を“焚きつけ”と断じてアディカリカの起動を宣言した。旧「窓のないビル」跡地の芯が段階的に発光し、発動不可逆段階へ移行した。

浜面の別れと“大悪魔の初めての敗北”
浜面は滝壺の手を握りつつ「お前が納得する世の中を用意できなくて悪い」と別れの言葉を述べた。コロンゾンは苦痛と苦悩を露わにし、言葉を詰まらせた直後、光が爆発した。

上条の重篤化と内的判断
上条当麻は全身の感覚障害で起き上がれず、視聴覚も崩壊寸前であった。コロンゾンの論理には一定の理解を示しつつも、「当たり前の生活」を守る意志を失わず、世界破壊の流れを本能的に拒絶したのである。

祈りの発声と応答
上条は瀕死のまま救援を懇願し、「分かった」との応答を得た。これは外部介入の起点となり、以後の戦況を転換した。

アディカリカの軌道修正
可憐な少女の声による「強制詠唱」により、アディカリカの着弾目標は「地名を持たぬ海域」へ再指定された。術式は発射されたが効果条件を満たせず無効化され、人的被害は発生しなかった。

コロンゾンの反応と孤立
コロンゾンは発動成功にも関わらず不発となった事実に動揺し、怨嗟を重ねて反撃を試みた。浜面は雷撃で行動不能にされ、コロンゾンは形式上は孤軍となった。だが「見えざる迷宮」を抜けた第三勢力の介入を察知し、当初の想定が破綻した。

介入者の示威
音速超過のコイン迎撃を力業で受け止める存在が示され、コロンゾンは一時後退した。続けてインデックス(魔術側)と御坂美琴(科学側)が上条の呼応を受けて正面に立ち、二世界からの同時介入が成立した。

到達経路の推測
アンナ=キングスフォードに類する前例と「もう一人のアンナ」の関与をコロンゾン自身が逆算し、アリス=アナザーバイブルやアンナ=シュプレンゲルが“わざと到達を遅延しつつ中心への通路を開いた”可能性を示唆した。

終章 もう一人 4th_HERO.

状況整理
アリス=アナザーバイブルは大量出力後で消耗しており、インデックスと御坂美琴を「気づかれない形」で中枢へ送り込んだのである。代償として彼女とアンナ=シュプレンゲルは見えざる迷宮に拘束され、即時再突入は不可となった。

見えざる迷宮の性質
コロンゾンは都市空間を“吹雪の山岳遭難”に相当する知覚破綻環境へ変換した。遠近・方位の自己認知を撹乱し、外空からの接近や地上経路の直進を無効化する構造である。

陽動組の位置づけ
ボロニイサキュバスと「花束のブロダイウェズ」は上空から介入するも、迷宮効果のため決定打を持たず、主戦は美琴とインデックスに委ねられた。

コロンゾンの態度転換
アディカリカは「手段の一つ」に過ぎず放棄可と明言。明日にも別手段で世界滅亡を再開できると嘲笑し、ここからは“全力”で介入者の殲滅を優先すると宣言した。

インデックスと美琴の応答
美琴はレベル5の応用性で正面対決を選択した。インデックスは“個人の散発戦は不適切”と直観しつつも、オティヌスの助言(コロンゾンは計画破綻のリカバリー中で主導権回復を狙う、気圧されるな/叡智では同格)により追撃継続の判断を下した。

脅威評価
・コロンゾンは多数の滅亡手段を保有し、敗北耐性も高い。
・ただし直前のアディカリカ無効化で心理的動揺は残存し、対処優先度を「介入者の早期破壊」に切り替えている。これは隙でもある。

終端イベント
インデックスの問いとオティヌスの言葉が重なる中、コロンゾンの胸部内部で亀裂音が発生した。外乱か内的破綻かは未確定だが、“全力化”直前に生じた構造的不安定の兆候であった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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