小説「狼と香辛料 Ⅱ 2巻」金の密輸? 感想・ネタバレ

小説「狼と香辛料 Ⅱ 2巻」金の密輸? 感想・ネタバレ

どんな本?

狼と香辛料』は、支倉凍砂 氏による日本のライトノベル。
文倉十 氏がイラストを担当。

この作品は、中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、旅の行商人クラフト・ロレンスと狼の耳と尻尾を持つ少女の姿をした狼神ホロの物語を描いる。

物語は、ロレンスとホロが道中で起こる様々な事件を、ユーモア溢れる掛け合いを散りばめつつ描かれている。
特に、交易路での出来事や街での商取引における駆け引き等、経済活動を争いの主軸にした異色作となっている。

また、この作品は2005年に行われた第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006年2月に第1巻が発売。その後もシリーズは続き、漫画化、アニメ化、ゲーム化もされている。
2024年3月には再TVアニメ化を記念して、原作1~17巻の文倉十 氏による描き下ろしイラストを含む新カバー版が発売。
この作品は、その独特な世界観とキャラクターの掛け合いから多くの読者に支持されている。

読んだ本のタイトル

狼と香辛料2巻
著者:支倉凍砂
イラスト:文倉十

gifbanner?sid=3589474&pid=889059394 小説「狼と香辛料 Ⅱ 2巻」金の密輸? 感想・ネタバレBOOK☆WALKERで購入 gifbanner?sid=3589474&pid=890458543 小説「狼と香辛料 Ⅱ 2巻」金の密輸? 感想・ネタバレ

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あらすじ・内容

行商人・ロレンスと、狼神・ホロに訪れた過酷な試練とは?

 狼神・ホロを連れて、旅を続けている行商人・ロレンス。
 2人は北の教会都市・リュビンハイゲンで商売を仕掛けるが、思いもかけない謀略にはまってしまう。
 自称賢狼のホロでも解決策は見つからず、時と運に見放されたロレンスは窮地に追い込まれ……。

狼と香辛料II

感想

行商人クラフト・ロレンスと賢狼ホロの冒険が続く。

ポロソンの町を経て、リュビンハイゲンに向かう二人だが、途中で大量の武具を購入してしまう。その武具の価値が暴落し、ロレンスは大きな借金を背負ってしまう。

絶望的な状況の中、ロレンスはホロや羊飼いのノーラと共に、借金を返済するために金密輸の計画を立てる。
計画の成功には、敵対する商会との駆け引きや、様々な困難が待ち受けていた。

ロレンスは、レメリオ商会との交渉で、自身の借金を背負う形で金密輸の計画を進めることになる。

その過程で、リュビンハイゲンの商人たちとの間で緊張感あるやり取りが続く。
ノーラの協力を得て、彼らは金密輸を成功させようと試みるが、道中は予期せぬ障害が多く、特にホロの狼としての能力が重要な役割を果たすことになる。

物語の終盤では、レメリオ商会に裏切られたロレンスたちは、絶体絶命のピンチに陥る。

しかし、ホロが巨大な狼の姿に変身して敵を退け、最終的には密輸計画は成功。

ロレンスはホロやノーラと共に、危険を乗り越えて困難を克服し、商人としての自尊心を取り戻す。

ロレンスとホロの関係がさらに深まり、二人の絆が強くなり。

ロレンスが絶望的な状況から脱出する過程で、ホロの知恵と力、そしてノーラの勇気が大きな力となり、最後にはみんなが幸せになる方法を見つけ出して終わる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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同シリーズ

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狼と香辛料Ⅲ
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狼と香辛料Ⅳ
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狼と香辛料Ⅴ
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狼と香辛料Ⅵ
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狼と香辛料Ⅶ

その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

アニメ

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ED

備忘録

第一幕

小高い丘が続く道を行く荷馬車を駆るクラフト・ロレンスは、行商人として7年目の経験を持つ25歳である。

寒さが深まる季節に合わせ、革の外套に身を包みながら旅を続けている。

荷台には今回、貴重な胡椒が積まれており、その総額はおよそ千枚のトレニー銀貨に相当する。

しかし、その胡椒の袋は、賢狼と称される少女、ホロの枕代わりになっている。

ホロは、少女の姿をしているが、賢狼であり、ロレンスにとっては貸し借りの相手であり、友人でもある。

二週間前、ロレンスは村でホロと出会い、共に旅をすることになった。

ホロは人語を解し、神とも呼べる存在であることをロレンスは確信している。

しかし、ホロの振る舞いにはロレンスも時に手を焼くことがあり、見た目以上に古い賢狼である彼女の抜け目なさは商人も顔負けである。

それでも、ホロはロレンスの注意を聞き、行商人としての旅は今も続いている。

ポロソンという町は、かつて異世界への玄関口と呼ばれ、異教の聖地であった。

この地は教会によって異教徒が改宗され、聖地が清められた場所である。

教会の戦いにより正教徒たちがこの地を町として築き、以後は宣教師や騎士たちの拠点として栄えてきた。

しかし、今は異教徒との戦いが遠のき、商人たちが行き交う地となっている。

ポロソンの住民は熱心な正教徒であり、稼いだ金のほとんどを教会に寄付し、町は質素な様相を呈している。

住民は豊かさよりも慎ましやかな生活を望んでおり、町の経済は教会都市リュビンハイゲンに依存している状態である。

ロレンスと賢狼ホロは、この町を通過する途中、周りの状況に合わせてお祈りを捧げる。

ホロはロレンスに旅の安全を祈って欲しいと甘えるが、ロレンスはホロの望む羊の干し肉を供え物として要求される。

ホロの真の姿が巨大な狼であることを踏まえ、ロレンスはホロの能力に期待を寄せつつ、彼女の食欲に頭を悩ませる。

結局、ロレンスはホロに食べ物を買ってやるとは言わず、彼女をからかうが、ホロはそれに激しく反応する。

ポロソンは質素で静かな町であり、露店が少なく、商業に関しては非常に控えめな様子がある。

しかし、この町は遠方の国々との貿易の中継点として、重要な役割を果たしている。

住民は旅の説教師の辻説教に群がるほど信仰心が厚く、生活に必要なもの以外への関心は低い。

ポロソンに入る金はほとんどが教会都市リュビンハイゲンに流れており、その結果、町は質素なままである。

ロレンスとホロは、この町の雰囲気について会話し、リュビンハイゲンの歴史やその富裕さについて触れる。

ホロはリュビンハイゲンに名前が残る聖人に嚙みついた過去があると語る。

リュビンハイゲンに向かうことを決めた二人は、途中で蜂蜜漬けの果物について話し合い、ホロの食べ物への関心が高まる。

特に桃の蜂蜜漬けに興味を示すホロに対して、ロレンスはそれを買ってやると約束する。

二人の会話は、旅の安全や食べ物への関心を中心に展開し、二人の関係性や個性が垣間見える。

ロレンスはラトペアロン商会で胡椒を売るために訪れる。

商会の主人は非常に熱心な正教徒であり、訪れたロレンスに対し、教会の新しい司祭の説教を聞くことを勧める。
商談が始まると、主人はホロを修道女と誤解し、ロレンスに対して厳しく振る舞うよう促す。

ホロはこれを楽しんでロレンスを批判し、笑っていた。商談では、主人が商人の顔に戻り、胡椒の価値を見抜く。
ロレンスは胡椒を正確に計量し、取引を進めようとするが、ホロが突然眩暈を訴える。

ホロはテーブルが傾いていることを示唆し、ロレンスは天秤の細工を見抜く。

これを機にロレンスは主人に対し、信用買いを提案し、自分に有利な条件を引き出す。

主人はこの状況を受け入れ、武具の販売を提案する。

最終的にロレンスはホロの助けを借りて、利益を最大化する。

ホロの賢さと機転が、詐欺に近い商法を見破り、大きな利益を得ることに貢献した。

春の病とは、冬の間に偏った食生活を送ることで春頃に全身に発疹が出る病気であり、不摂生の結果とされている。

ロレンスはホロの食欲に呆れつつ、ラトペアロン商会から肉とぶどう酒、さらに大量の武具を格安で仕入れた後、ポロソンの町を出発する。

ホロは豪華な食事を楽しみ、その後は尻尾の手入れに没頭する。

ロレンスはホロの油代くらいは稼げると認めるが、ホロはロレンスの商売の利益に興味を示す。

しかし、リュビンハイゲンへの商売では、高い関税のため金や宝石を扱ってもあまり利益が出ないと語る。

二人は夜に一緒にぶどう酒と干し肉を飲み食いする約束をする。

ロレンスはホロの存在を改めて肯定的に受け止めながら、馬車を操続ける。

第二幕

緩やかに下る坂を抜け、平坦で進みやすい道をロレンスとホロは進んでいた。

昨晩の酒の余韻を楽しむロレンスと、荷台で熟睡していたホロは、静かな時間を過ごしていたが、昼過ぎにホロが起きて水を飲んでいた。

二人は道沿いで様々な国の旗を掲げる商人たちを見かけ、ホロは故郷に思いを馳せるが、ロレンスは適切な言葉が見つからず、そのまま静かな時間が流れていった。

しかし、突然ホロが前方に人が多くいることに気づき、ロレンスは馬を止めて確認する。

人だかりの原因や性質について話し合ったが、血なまぐさい匂いはしないというホロの判断で、二人はその方向に進むことに決めた。

リュビンハイゲンへの荷物を運ぶ約束があるため、迂回するよりは直接向かうことにし、ホロは自身がいることで安全だとロレンスを安心させた。

ロレンスとホロが人だかりに到着した際、多様な商人や遍歴職人たちがいることがわかった。

彼らは言葉の壁を乗り越えて交流を試みていた。

ロレンスは近くの商人に声をかけ、リュビンハイゲンへの道が傭兵団によって塞がれているという情報を得た。

傭兵団はハインツベルグ傭兵団であり、彼らがいる道を使うことは極めて危険であるとされる。

ロレンスは迂回路を考えたが、新しくできたという道が物騒であることを聞かされる。

この新しい道は、狼がうろつく草原を通るため、特に危険とされていた。

しかし、ロレンスとホロはこの道を選ぶことに決め、人だかりの中の商人たちを避けて進み始めた。

彼らは、この草原の道を行くことでリュビンハイゲンの市場に影響を与え、そこで利益を得る可能性があると考えた。

行商には予想外の出来事が付きものであり、それが楽しいと感じていた。

ロレンスとホロは、新しい商業路として整備中の道に到着した。

この道は狼が頻繁に出没するとされ、安全と時間を考えれば利用しない方がよい状況だった。

しかし、ロレンスはこの道を進むことを決意し、途中で羊飼いの娘、ノーラ・アレントと出会う。

ノーラは狼から旅人を守るために彼らを雇って欲しいと申し出た。ロレンスはこの提案に興味を持ち、ホロに意見を求めた。

ホロはノーラの腕前を「上の中」と評価し、彼女を雇うことに賛成したが、ホロ自身が狼であるため、他の旅人との共旅が問題ないか懸念を示した。

ロレンスはノーラの雇用を決め、リュビンハイゲンまでの旅の安全を彼女に託すことになった。

契約は四十トリエで合意され、実際に狼に襲われて無事だった場合は追加料金を支払うことになる。

ロレンスたちは、羊飼いノーラとその牧羊犬エネクと共に旅を続けていた。羊の群れは意外と早足で、ロレンスの荷馬車を引き離すほどだった。

ノーラはエネクとの連携で羊を巧みに操り、その腕前を見せつけた。彼女は羊飼いとしてはまだ四年程度の経験しかなく、エネクは彼女が拾ったという。

以前は修道院併設の貧民救済院で暮らしており、そこから羊飼いになった経緯を話した。

ロレンスは、ノーラが教会から羊を預かって羊飼いとして働いていることを知り、彼女の雇用条件について慎重に話を進めた。

ロレンスはノーラが服の仕立て職人になりたいという夢を持っていることを知り、リュビンハイゲンで羊の護衛を求める商人がいないか尋ねることを約束した。

二人は旅の食事について話し合いながら、見通しの良い道を進んでいった。

羊飼いの生活は非常に厳しく、夜はほとんど眠ることなく羊を見守り続ける。

この夜の仕事は、夜明けと共に終わり、少しの睡眠時間で済ませる必要がある。

ロレンスはこの過酷な職業について考えながら、休憩しているところ、ホロが尻尾の手入れをしていた。
二人の間で軽いやり取りがあり、ホロはロレンスの干し肉を奪ってしまう。

ロレンスはノーラの名前を出してホロをからかうが、結局はホロに笑われてしまう。

夜が更けると、ホロは羊飼いのノーラが寒くないか気にかけ、ロレンスに火を起こすように促す。

ロレンスはホロとの軽いいたずらを交わした後、夕暮れ時に火を起こし始める。

ホロからのちょっとした悪ふざけにも対応しながら、二人は夜の寒さを和らげるために準備を進めた。

第三幕

リュビンハイゲンの町に入るためには、二つの検問を通過しなければならない。

一つは市壁の外側に、もう一つは市壁の内側に設置されている。

ロレンスとノーラは、比較的簡素な外側の検問を通過し、その後、より厳重な市壁の検問を経てリュビンハイゲンに入った。

市壁は石造りで、見張り塔が設けられており、町は農地に囲まれ、豊かな生活が営まれている様子が見える。

ロレンスはノーラに対し、事前の約束通り銀貨二枚を支払い、さらに将来的な投資としての意味も込めていた。

ノーラはロレンスたちが滞在する商業組合の商館に来るようにと言い、自身はリュビンハイゲンの専用出入り口を利用して町に入る。

リュビンハイゲンの町への入り口では、武具を含む荷物の検査が行われ、ロレンスは検査官から関税の支払いを求められる。

ロレンスは関税として武具二組を提供し、検査官から許可を得て町に入る。

検査官の反応に若干の疑問を感じつつも、ロレンスは無事に検問を通過し、ホロと共にリュビンハイゲンの賑やかな町中へと向かった。

町内での検査も問題なく通過し、ロレンスはホロの空腹を聞きながら、次の行動を考える。

リュビンハイゲンの町には、どこにいても見える巨大な大聖堂がある。

町は大聖堂を中心に、古い市壁で囲まれた旧市街と一般市街区に分かれており、南門からは広大な広場と大きな噴水が見られる。

ロレンスとホロは、町の南東にある入り口から入り、広場で過去の英雄たちの像を見ながら露店で食事を楽しんだ。

しかし、ホロの修道女風の格好は市内を歩くには不向きであるため、町娘風に変装していた。

二人は食事とビールを楽しんだ後、商館に向かうが、途中でホロがヤコブ館長にからかわれる。

ロレンスは、自分が商人として成長したことを証明するため、商館に寄付を行い、ヤコブと交渉する。

ロレンスは、ホロへの誠実さを示すため、超高級品の桃の蜂蜜漬けを贈ることを決めるが、ホロはロレンスの気持ちを試すために小細工を使っていた。

結果的に、ロレンスの誠意を疑ったホロは、ロレンスが真剣な気持ちを伝えたことに感動し、二人の絆は深まる。

しかし、ホロの策略が露呈し、ロレンスはやや困惑するものの、最終的にはホロと手をつないで町を歩き、新たな戦いに向けて桃の蜂蜜漬けを探すことになる。

レメリオ商会はリュビンハイゲンにある卸売り商である。

ロレンスは、ポロソンのラトペアロン商会から借金をして武具を購入し、その返済をレメリオ商会への売却で行う計画だった。

レメリオ商会に到着したロレンスは、商会の状況がおかしいことに気づき、不安を感じ始める。荷揚げ場に人の気配はあるものの、商会は閑散としており、通常の営業が行われていない様子だ。

荷揚げ夫に話を聞くと、ラトペアロン商会からの債権譲渡があったことを知らされ、ロレンスはレメリオ商会に対して借金をしていることが明らかになる。

武具の価値が大暴落していたため、ロレンスは不良在庫を押し付けられ、詐欺に遭ったことを悟る。

第四幕

ロレンスは、ポロソンのラトペアロン商会から武具を大量に購入し、その返済のためにリュビンハイゲンのレメリオ商会に売りつける計画だった。

しかし、武具の市場価値が暴落し、ロレンスは大きな借金を背負ってしまう。

レメリオ商会との交渉では、ロレンスが二日以内に47リュミオーネと四分の三を返済することが求められるが、その金額を用意するのは事実上不可能であった。

ロレンスは商人としての自尊心を持ちつつも、自らの過ちを認め、状況を改善しようと試みる。

彼の隣には、賢狼ホロがおり、彼女もロレンスの窮地を助けようとするが、状況は絶望的である。

ローエン商業組合の館長であるヤコブは、ロレンスに対し、組合としては金銭的な支援はできないが、ロレンスが自力で解決することを支持し、彼が自由に行動できるようにする。

ロレンスは、賢狼ホロと共に、限られた時間の中で状況を打開する方法を模索する。

二人の関係は、単なる商人と助手以上のものがあり、ロレンスがホロを北の森まで安全に送り届けるという約束を果たすことが、彼にとって大きな動機となる。

結局、ロレンスは「借金には借金を」という考えのもと、返済のための新たな計画を練ることになる。

二人の絆とロレンスの商人としての決意が、絶望的な状況の中で試されることになる。

ロレンスは、ポロソンでの取引失敗により大きな借金を背負い、その返済のために47リュミオーネを複数の商人から借りようとするが、どの商会も彼の借金の申し出を拒絶する。

彼が借金を申し込む行為自体、商売の世界では信用のない行為とみなされ、商人たちはロレンスに冷たく接する。

商会を訪れるたびに、ロレンスの精神状態は悪化し、最終的には心配して付き添ってくれていた賢狼ホロまでをも追い詰めてしまう。

ロレンスが金を借りようとした最後の商会でも、主人は彼を非難し、女性を連れて金を借りに来る行為を嘲笑う。

結果、ロレンスはどこからも借金をすることができず、絶望的な状況に陥る。

この過程で、ロレンスは自身の行動によりホロとの関係まで悪化させてしまい、孤立無援の状態に追い込まれる。

ロレンスは、大きな借金の返済のために四人から合計三リュミオーネを借りることに成功するが、必要な金額には遠く及ばない。

失敗によって失った人間関係と自己の尊厳を思いながらも、残された時間で資金を増やすために苦悩する。

宿に帰ると、ホロに対する罪悪感と彼女の怒りに直面するが、二人は誤解を解き、お互いの絆を再確認する。

ホロはロレンスに、密輸を通じて借金を返済する案を提案し、その成功に自信を持つ。

ロレンスは、その計画の実行にあたり、金の密輸に必要な資金調達と協力者の確保の難しさに直面する。

二人は、互いに支え合いながら困難に立ち向かうことを決意する。

早朝、荷馬車の音と共に町が目覚め、ロレンスとホロは一晩考えた金密輸の計画を実行に移す準備を始める。

ホロは不機嫌に目覚め、朝食を求め、二人はレメリオ商会へ向かう。

ロレンスは、金の密輸に必要な資金提供者としてレメリオ商会を説得する計画を持ち、その商会が自らの負債を全額返済できる可能性を提示する。

彼はレメリオ商会を密輸計画に巻き込むことで、自分の債務問題を解決し、レメリオ商会にも逆転のチャンスを提供しようとする。

この計画は大きなリスクを伴うが、成功すれば双方にとって大きな利益をもたらす可能性がある。

ホロの支持を受けながら、ロレンスはレメリオ商会の協力を確保しようと、その第一歩を踏み出す。

第五幕

ロレンスはレメリオ商会を訪れ、金密輸の計画を説明する。

当初はその提案を疑われるが、ロレンスは密輸に成功させるための「凄腕でありながら不満を持つ人材」がいると主張し、教会への復讐を動機としてこの人物が協力する可能性を示唆する。

レメリオは懐疑的であるが、ロレンスが示した虎の子の三リュミオーネを見て、話に耳を傾ける。

ホロがレメリオの迷いを利用して圧力をかけると、レメリオは計画への参加を決意する。

最終的に、ロレンスとレメリオは手を取り合い、金密輸の計画を進めることで合意する。

この計画が成功すれば、両者にとって絶望的な状況を好転させるチャンスとなる。

ロレンスとホロは、羊飼いのノーラに金密輸の計画を持ちかける。

彼らが目指すのは、ラムトラへの安全な金の輸入であり、そのためにノーラの力が必要だった。

ノーラにとっては、教会の監視下で辛い羊飼いの仕事をしている現状から抜け出し、服の仕立て職人としての夢を実現させる機会となる。

ロレンスは二十リュミオーネという大金を報酬として提示するが、この仕事には大きな危険が伴うことを明かにする。

しかし、ノーラは自らの立場と教会への不満を考慮し、提案を受け入れる。

その後、ロレンスはノーラが羊を預かる詳細を確認し、彼女が仕事を承諾する。

三人は密輸計画について話し合い、ノーラの参加により計画は具体的な形を取り始める。

ロレンスは商人としての責任と罪悪感に苦しむが、ホロの励ましにより、全員が笑える結果を目指す決意を新たにする。

ロレンスとホロは、質素で静かな貿易の町ポロソンを訪れていた。

町は生活必需品以外を扱う露店が少なく、驚くほどの静けさに包まれていた。

ポロソンは、遠方の国々との貿易で目もくらむような収益を上げているが、その事実は町の外観からは想像もつかないものだった。

彼らは、質素倹約を説く旅の説教師の辻説教に人々が集まる様子を見て、この町の特異性について語り合う。

ホロは、ロレンスが言及した教会都市リュビンハイゲンについて語り、数百年前、赤い髪を持つ聖人リュビンハイゲンに嚙みついた過去を明かす。

リュビンハイゲンは、金儲けに熱心な教会関係者が多く住む金満都市として知られている。

ロレンスは、リュビンハイゲンに向かう途中、ホロの食べ物に対する関心を引くために、高級品である蜂蜜漬けの果物について語る。

特に桃の蜂蜜漬けの話に興奮したホロは、それを絶対に買うようロレンスに約束させる。

北に向かう途中のロレンスたちは、ノーラ、リーベルト、そして羊たちと共に森の近くを進んでいた。

冷たい風と不気味な静けさの中、狼の存在を警戒していたが、実際に遭遇したのは羊を追い立てる犬、エネクだけだった。

ホロはエネクが自分に警戒していることを感じ取り、不快感を示すが、その犬の勇敢さを認めざるを得ない状況だった。

夜が深まると、森の静寂が続き、いつもなら聞こえるはずの狼の遠吠えも聞こえなかった。

この異常な静けさに、ノーラは角笛を吹いて周囲に羊飼いの存在を知らせ、狼たちを遠ざけようとする。

しかし、リーベルトはホロの不気味な予感に怯え、ホロ自身も何か悪い予感を感じていた。

夜が更けて薪が尽きかけると、ノーラが薪集めを提案し、ロレンスとリーベルトもそれに同行することになる。

森での薪集めは、獣の臭いを感じながらも無事に終わり、一行は何事もなく夜を過ごした。

ラムトラの町への道中、ロレンスたちは不気味な視線を感じるが、無事に町に到着する。

リーベルトは金の買い付けに向かい、ロレンスは金密輸の計画に心配を抱えつつも、ノーラが事態を理解し覚悟していることに安堵する。

一方、ホロはノーラとの会話で彼女の覚悟を引き出し、ロレンスに彼女の理解と覚悟を確認させる。

ロレンスはホロの洞察力と対応に感心しつつ、自分の無知を認める。

翌朝、寒さと雨を予感させる空模様に、ロレンスとホロは焚き火を囲んで温もうとする。

ホロが昔、豊作の神であったことを思い出し、今もその影響が残っているのではないかとロレンスは考える。

二人は雨の前に早く宿に着きたいと願いつつ、互いの寒さを和らげるために毛布を共有する。

第六幕

天候が良い日に、ノーラ、リーベルト、ロレンス、ホロ、および七匹の羊が北に向かって進んでいた。

途中で森に近づくことになり、ロレンスはホロに狼の危険について尋ねるが、ホロはすでに囲まれていると冗談を言う。

しかし、その後の会話で、犬であるエネクがホロの存在を認識していることが明かされる。

ホロはエネクの挑発に乗らないと言いつつも、狼としてのプライドを示す。

その夜、彼らは森を背にしてキャンプを張り、森からの何かの気配に緊張する。

ノーラは角笛を吹いて何かを退けようとするが、遠吠えは聞こえず、狼が実際にいたのかは不明のままである。

リーベルトは怖がりながらも、ホロは何か嫌な予感がすると本気で心配する。

夜は何事もなく静かに更けていったが、薪を拾うため森に入った時はどことなく獣の臭いがした。

ロレンスはノーラとリーベルトから遅れて、一人でリュビンハイゲンに向かっていた。

荒れた丘と深い森の間の草原を進む彼は、途中でホロから距離を取り、ノーラたちを追いかけるが見失ってしまう。

ロレンスは馬を進めながらも、ホロが狼に変身した場合に備えて代わりの服を持っていく合理的な考えを実行する。

彼は雨の中で立ち止まり、森のほうに避難して火を起こし、ホロの服を乾かそうと試みるが、静寂の中で不安を感じていた。

その後、レメリオ商会の者たちが突然現れ、ロレンスがホロを失ったと勘違いする。

しかし、彼らはロレンスを裏切り、縛り上げて放置し、ホロの服を渡す。

彼らはノーラのことも危険視しており、彼女を殺す算段をしているところをロレンスに聞かれてしまう。

ロレンスは自身の無力さを痛感しながらも、レメリオ商会の者たちによる裏切りを乗り越えてホロと再会し、復讐を誓う。

彼は縛られた手を解放するために、自らの手首に炭を押し当てて縄を焼き切り、自由を取り戻す。

その後、ロレンスはホロの再会を待ちながら、レメリオ商会に対する怒りとノーラの安全を心配する葛藤に苛まれる。

ロレンスがホロと再会した際、ホロは人の姿をしており、怪我一つなく、ただ転んだのかズボンの両膝が汚れているだけであった。

ロレンスはレメリオ商会に裏切られたことを伝え、ホロはそれを驚きもせず受け止める。

ホロは事を穏便に済ませようとしていたが、ロレンスの手首のやけどを見て心配する。

ロレンスはホロの服を濡れないように折りたたんで持っていたことに、ホロは笑いながらも感謝する。

ホロは自分が人を殺すかもしれないと告げ、ロレンスはホロにリーベルトたちを先に攻撃することを提案する。

しかし、ホロはリーベルトたちを先に攻撃する計画を受け入れる条件として、自分が引き起こす可能性のある死に対する責任を取らないことを条件に出す。ロレンスはそれを承諾し、ホロはノーラを助けに行くことに同意する。

ホロはロレンスに裸体を見せびらかすように服を脱ぎ、狼の姿に変わる。

変身する際、ロレンスに目を閉じるように指示するが、その変身が完了すると、ロレンスはホロの巨大な狼の姿に怖気づくが、ホロを信じていることを伝える。

ホロはロレンスを背中に乗せ、リーベルトたちのもとへと急ぐ。

この再会と計画は、二人の信頼関係の深さと、共に目的を達成するための固い結束を示している。

ホロとロレンスはリュビンハイゲンへの道を進む中で、夜が訪れ、雨が降り続く中、ホロは驚異的な速度で移動した。

リーベルトたちを追い詰めるシーンでは、ホロがその力を存分に発揮し、レメリオ商会の者たちを圧倒する。

リーベルトはノーラに報酬を提示しようとするが、ノーラはそれに応じず、最終的にはホロとロレンスの計画に協力することを選ぶ。

ホロはリーベルトに対して容赦なく攻撃を加え、リーベルトは絶望的な状況に陥る。

一方、ロレンスはリーベルトたちとの決着をつけ、ノーラに金の密輸の決断を委ねる。

ノーラは最終的に自身の選択により、リュビンハイゲンへの金の持ち込みを決めることになり、その選択がレメリオ商会にとっても最善の道となる。

ロレンスはホロに背中を貸してもらうつもりでいたが、ホロから先に声をかけられる。

ホロはロレンスに本音を聞き出そうとし、ロレンスは自分の計画が金額的に不足していることを認める。

レメリオ商会が実際には財政的に困窮しており、密輸に必要な資金をかき集めるのがやっとだったことが明らかになる。

ロレンスはホロの賢さを認めつつ、自分たちのさらなる利益を追求することもあると語る。

ロレンスとホロはレメリオ商会に向かい、レメリオと直接対峙する。

ホロの圧倒的な存在感を前に、レメリオは恐怖し、ロレンスの言葉に従うしかない状況に置かれる。

ロレンスはレメリオに対し、密輸が成功した場合、その金を五百リュミオーネで買い取るよう提案する。

この提案はレメリオにとっては絶望的なものであるが、ロレンスは商談として、そして将来的にレメリオ商会が再び立ち上がる機会を与える形を取る。

最終的に、ロレンスはレメリオに対して借用証書を作成させる。

この借用証書は、ローエン商業組合に割安で売却し、ロレンスとレメリオ商会との間の債務問題を解決し、同時に即時の現金を確保する手段となる。

これにより、レメリオ商会は未来にわたって借金返済の義務を負うことになるが、完全な破産を避けることができる。

終幕

ロレンスはレメリオ商会で汚れた服を洗い、その間にローエン商業組合に借用証書を持って行くなど、密輸成功後の忙しい時間を過ごす。 

ホロは食事をとるために別行動を取る。

ローエン商業組合でのロレンスの受け入れは温かく、借用証書に関する話をした後、組合はレメリオ商会の資産を背景にして、ロレンスから借用証書を購入する。

その金額は密輸が成功した場合に追加で百リュミオーネを受け取る約束であったが、当面は三十リュミオーネで取引される。

ロレンスは受け取った現金の一部を組合に対する謝罪として渡し、残りを密輸関連の費用にあてる計画を立てる。

ロレンスとホロはその後、羊を解体する肉屋と手配をするなど、さらなる準備を進める。

すべての準備が整った後、ロレンスは冷え切った早朝に酒場でホロと再会し、二人は食事を共にする。

ホロはロレンスに二つの質問をする。

一つ目はノーラをどこまで信用しているかに関するもので、ロレンスは慎重に答える。

二つ目の質問は、以前ホロとノーラとの間で起こった事態に関連し、ロレンスがどちらの名を呼んだかについてであった。

ロレンスは巧妙にこの質問を避け、ホロとの間に緊張感を生じさせるが、最終的には互いに笑顔を交わす。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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