小説「狼と香辛料 Ⅶ 7巻」短編集 感想・ネタバレ

小説「狼と香辛料 Ⅶ 7巻」短編集 感想・ネタバレ

どんな本?

狼と香辛料』は、支倉凍砂 氏による日本のライトノベル。
文倉十 氏がイラストを担当。

この作品は、中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、旅の行商人クラフト・ロレンスと狼の耳と尻尾を持つ少女の姿をした狼神ホロの物語を描いる。

物語は、ロレンスとホロが道中で起こる様々な事件を、ユーモア溢れる掛け合いを散りばめつつ描かれている。
特に、交易路での出来事や街での商取引における駆け引き等、経済活動を争いの主軸にした異色作となっている。

また、この作品は2005年に行われた第12回電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006年2月に第1巻が発売。その後もシリーズは続き、漫画化、アニメ化、ゲーム化もされている。
2024年3月には再TVアニメ化を記念して、原作1~17巻の文倉十 氏による描き下ろしイラストを含む新カバー版が発売。
この作品は、その独特な世界観とキャラクターの掛け合いから多くの読者に支持されている。

読んだ本のタイトル

狼と香辛料  VII Side Colors
著者:支倉凍砂
イラスト:文倉十

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あらすじ・内容

幸福というものに形があるとしたら、これが、そうなのかもしれない……。

 リュビンハイゲンでの騒動が丸く収まったことを祝し、ホロとロレンスはノーラと共に食事をしていた。
 しかし、体調を崩したホロは、不覚にも宴会の最中に倒れてしまう。 そんなホロを見て、ロレンスは看病をしようとするのだが……?
 シリーズ初のホロ視点で語られる書き下ろし 「狼と琥珀色の憂鬱」 ほか、ロレンスと出会う前のホロの旅を描いた 「少年と少女と白い花」、港町パッツィオでの二人の買い物風景 「林檎の赤、空の青」 など、「電撃hp」 に掲載され好評を博した2編を収録。
 絶好調の新感覚ファンタジー、“色” をテーマに綴られた珠玉の短編集が登場!

狼と香辛料VIISide Colors

感想

この本は、旅する狼の精霊ホロと彼女の旅のパートナーであるロレンスの物語と、ホロがかつて旅した二人の少年少女のエピソードを含む短編集であつた。

物語は、ホロとロレンスの日常と彼らの深まる絆を描いたもの、ホロの過去の旅の回想、そしてホロとロレンスの関係性に焦点を当てたものの三つのパートから構成されている。

最初の話は、ホロがかつて共に旅をした二人組の少年少女、クラスとアリエスのエピソードを描く。

二人は海を目指す旅の途中、美しい白い花畑で出会い、お互いにとって大切な存在となる。
彼らは自然や神への畏敬の念を共有し、困難な状況でも互いを支え合う。
クラスはアリエスを守ることを誓い、彼らは新たな約束を交わす。
しかし、旅の途中で狼に襲われるなどの危険に直面するも、精霊ホロに助けられ、三人での旅が始まる。

二つ目の話は、ホロとロレンスが港町パッツィオでの日常を過ごす様子を描く。
ホロは林檎に目がなく、大量に買い込むが、それが商売についての議論へと発展する。

ロレンスはホロとの関係を深めながらも、彼女のわがままや気まぐれに振り回されつつ、二人の絆を確かなものにしていく。
彼らは日常の中で小さな冒険を楽しみ、互いへの理解を深めていく。

三つ目の話では、ホロが病に倒れ、ロレンスが献身的に看病する様子が描かれる。
このエピソードはホロの視点から語られ、彼女がロレンスとの関係をどのように捉えているか、彼への感謝と愛情が深く表現されている。

また、羊飼いの娘ノーラとの関係を通じて、ホロが自身の立ち位置やロレンスとの絆について考える場面もある。
ホロはロレンスの世話を受けながら、彼への甘えや依存、そして対等なパートナーとしての意識を強めていく。

全体として、この短編集はホロとロレンスの関係の深さと、彼らが共に過ごす日々の大切さを浮き彫りにしている。
過去と現在を行き来しながら、二人の絆がいかにして築かれてきたかを描き出しており、読者に彼らの旅の中での小さな幸せや試練、そして成長の瞬間を伝えている。

最終的に、ホロとロレンスは互いに支え合い、共に成長していくことの価値を再認識する。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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狼と香辛料Ⅴ
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狼と香辛料Ⅵ
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狼と香辛料Ⅶ

その他フィクション

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フィクション(novel)あいうえお順

アニメ

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ED

備忘録

少年と少女と白い花

クラスとアリエスは、目的地である海に向かって旅をしている。
この日、彼らは平坦な岩に座って休憩をとり、周囲の風景を眺めながら水分補給をしていた。

海への道中、彼らは同じような風景が広がる中、一面に咲いている白い花に出会う。

特にアリエスは、花に興味津々であり、クラスは彼の行動に苛立ちを感じていた。クラスはアリエスに対し、約束した通りに進むよう促し、アリエスはそれに従うが、花に夢中になり、その場を離れがたい様子を見せる。

アリエスは、花が枯れない理由について疑問を抱くが、クラスは彼の汚れた手を拭こうとするも、アリエスに拒否される。

アリエスは、汚れは心に生まれるものであり、嘘をつくべきではないとクラスに説く。
クラスはその言葉に一時的な納得を見せ、旅は続く。

クラスとアリエスは約束した四つの丘を越えられず、昼食をとることになった。
彼らが持っている食料は限られており、アリエスは驚くほど少ない食事しかとらない。

アリエスは食べる前後に神様への感謝の祈りを捧げ、クラスはアリエスが食料よりも神様に感謝することに複雑な気持ちを抱く。

一方、アリエスは外の世界についてほとんど知らない。
ある日、彼らは領主の弟によって屋敷から追い出され、海に向かって旅を始めることになった。

この旅の中で、クラスはアリエスに基本的な知識を教え、アリエスは新しい発見に感動する毎日を送っている。
最終的に、彼らは海に着くまでに六つの丘を越えることを新たな約束とする。

屋敷での過酷な日々から解放されたクラスは、アリエスとの旅を楽しんでいた。
しかし、彼にとって夜は緊張する時間だった。

アリエスは神が常に見守っていると言って夜を恐れないが、クラスは夜の静寂と二人きりの状況に心を乱される。
アリエスは、二人でいれば孤独も寒さも和らぐと信じていた。

実際、アリエスはクラスを温めようと抱きしめ、神からの試練として野宿を受け入れていた。
クラスは徐々にこの状況に慣れてきていたが、アリエスがクラスを女の子だと思い込んでいることに罪悪感を感じていた。

実際には誰も彼を女の子だと思うことはなく、クラス自身もその誤解を訂正することなく、アリエスとの関係を深めていった。
夜、アリエスが眠ると、クラスはアリエスの柔らかさと安心感にほっとし、おやすみをつぶやきながら眠りについた。

夜中に目を覚ましたクラスは、寒さの中でアリエスとの静かな夜を過ごしていた。

しかし、狼の音に気づき、二人は危険を感じる。
突如、狼たちは何かに驚いて逃げ出した。

翌朝、水の心配とアリエスの体調不良に直面したクラスだったが、ホロと名乗る精霊様に出会う。
ホロはアリエスを助け、クラスたちの旅を少し支えることを申し出る。

アリエスは精霊に礼を言い、ホロは旅の同行を願い出る。
クラスはその提案に戸惑うが、アリエスは快く受け入れる。

ホロの導きで、三人は新たな旅を始める。
ホロはクラスに雄としての成長を促し、これからの三人の旅が始まることを示唆する。

クラスは久しぶりに一人で丘の上で眠った朝を迎える。
これまではアリエスと一緒に寝ていたが、ホロの提案により昨夜は別々に寝ることになった。

ホロはクラスとアリエスが旅している途中に現れた、二百歳以上の精霊である。

獣の耳や尻尾、鋭い牙を持ち、クラスはホロのからかいに一人で眠ることを選ぶ。
しかし、ホロとアリエスが寄り添って眠っていることを想像して、少し後悔する。

翌朝、ホロはクラスに干しパンを分け与え、アリエスも食事に加わる。

ホロはクラスたちの旅に同行し、次の目的地である町に向かって出発することを提案する。

クラスはホロの荷物も背負うことになり、アリエスは手伝いを申し出るが、クラスは軽い荷物を持たせることにする。

昼休憩の前、アリエスは狼から守ってくれたことに対する感謝の言葉をクラスに伝える。
ホロは遠くから様子を見ていたが、その行動にはアリエスに礼を言わせる意図があったようだ。

昼食後、ホロはぶどう酒を飲んだあとで横になって眠ってしまい、クラスとアリエスに先に行かせる。
クラスはホロのわがままを許すが、アリエスと二人だけの旅に戻る。

アリエスは礼を言いたかったためにクラスのそばを離れずに歩いていたが、途中で困った顔をして立ち止まり、茶色の野兎を指差す。
兎の耳の長さに驚いていたアリエスに、クラスは兎の耳が長い理由を説明する。

クラスが兎がおいしそうだと言ったことにアリエスが動揺するが、クラスはそれを草を食べている様子がおいしそうだと言い直す。

その後、アリエスは世の中には知らないことがたくさんあると感慨深く言い、クラスは遠くに行って色々なことを見ることを提案する。

アリエスは同意し、二人は再び旅を続ける。ホロとは日が暮れかけてから再び合流する。

クラスとアリエスは旅を続ける中、ぶどう酒を飲む場面や、宝石についての話が出るなど、彼らの関係性や個々の過去に触れる場面が描かれる。
ホロはクラスとアリエスに対してさまざまな助言をし、また彼らを試すような行動をとる。

特に注目すべきは、アリエスが宝石を持っており、これが非常に高価なものであること、そしてそれが彼女の父親からの贈り物であることが明らかになる場面である。

これにより、アリエスが貴族の娘であることが示唆される。

しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、彼女の父、領主様の弟による脅威である。

彼らは森を抜けて逃げることを選ぶが、その過程でクラスはアリエスを守る決意を新たにする。

クラスとアリエス、そしてホロは、森を激しく駆け抜けていた。

森は生命力に溢れ、彼らが進む杣道は植物で覆われているが、石や根が取り除かれており、ホロの先導でなんとか進むことができていた。
しかし、アリエスは次第に疲れを見せ、ついには躓いてしまう。

クラスは彼女を支え、ホロも戻って来て、彼らがまだ逃げ切れていないことを伝える。
追手から逃れるため、そして町にたどり着くためには、引き続き走り続ける必要があった。

クラスはアリエスの手を強く握り、彼女を励まし続ける。アリエスは神の見守りを信じ、微笑むことでクラスを安心させる。

彼らは町にたどり着くことができれば一時的に安全になれると信じ、森を抜け出すことに全力を尽くすのであった。

森で奇妙な叫び声を聞いたクラスとアリエスは、ホロの指示で休憩中、アリエスが疲労のため一時的に意識を失う。
クラスは彼女に水を与え、少しの間、安心させる。

その後、ホロが探索から戻り、追手が近くにいないことを確認する。
ホロの言葉で安心したクラスは、ホロの膝枕で眠りにつく。

クラスは自分の脆さに苛まれながらも、ホロの優しさに安堵し、眠りに落ちる。

ホロとアリエスが何か話しているように感じたクラスは、ホロの約束を信じて、アリエスが驚くほど早く目を覚ます瞬間を目撃する。
しかし、彼らは再び歩き始め、アリエスがクラスの手を握る。

不安ながらも、アリエスはホロの指示に従ってクラスの手を離さない。
歩き続ける中で、森の静けさと鹿の姿に気づく。

突然、追手が来ていることが明かされ、クラスとアリエスは恐怖と不安に包まれる。
巨大な鹿との遭遇、ホロの失踪、そして二人だけで森を抜ける試みが続く。

アリエスの足の負傷と、迫りくる巨大な鹿の脅威に直面し、クラスは必死にアリエスを守ろうとする。
アリエスを抱えて逃げるクラスだが、二人は雨と森の住人たちに追い詰められる。

最終的に、巨鹿の前でクラスは立ち向かう決意を固め、アリエスを守るために全力を尽くす。

クラスの果敢な行動によって一時的に巨鹿を退けるが、疲労と絶望の中で、彼はアリエスに逃げるよう告げ、自分は力尽きる。

クラスが甘い匂いに包まれる中、目覚めた場所は真っ暗で、体は動かない。不安を感じつつも、その匂いに心奪われる。

しかし、突然の状況変化に驚き、自分の状態を確認すると、自分もアリエスもかなり傷ついていた。アリエスとの再会と共に、二人の安堵の瞬間が訪れる。

ホロの安否が気になる中、彼らは巨鹿との対峙とその後の展開を振り返る。巨鹿とは思わぬ形で和解し、ホロも無事だったことが明らかになる。

この一連の出来事は、ホロの仕組んだ試練の一部だった。

森の聖域での経験を胸に、クラスとアリエスは今後も一緒に旅を続けることを誓い合う。

クラスは、ホロの尻尾で再び眠ることを望むほど、その寝心地の良さを覚えている。

ホロの笑い声の中、物語は幕を閉じる。

林檎の赤、空の青

ロレンスが不意に静寂を感じ、その原因を探ると、ベッドで食事をしていたホロが見つかった。
彼女は多くの林檎を食べており、残りもかなりあることが明らかになる。

ロレンスは羊皮紙の束を整理していたが、左腕の怪我を思い出す。
彼らは以前の騒動で困難を乗り越え、絆を深めた。

ロレンスは、ホロが勝手に大量の林檎を購入したことに対し、怒っていない。
彼は行商人であり、ホロの無駄遣いも旅の一部と考えている。

ホロは林檎を全部食べると強く言い張り、ロレンスは様々な食べ方を提案する。
しかし、ホロは他の人が自分の林檎を食べるのを好まない。

ロレンスはホロが林檎によって身を滅ぼすかもしれないと冗談を言い、彼女は林檎のパイについて学ぶ。
後に、彼らは晩餐の準備のために出かけることになる。

ロレンスはホロの無邪気な笑顔に心を動かされ、彼女の後を追う。
ホロはロレンスをからかいながら、二人は外に出ていった。

スラウド川の中流に位置する港町パッツィオは、人で溢れかえっている。

人々が忙しく行き交う中、人ならざる者、ホロが存在することに誰も気づかない。ホロは修道女のように見えるが、その実態は賢狼である。
彼女はロレンスと共に、人間界を旅している。

ホロは食欲旺盛で、ロレンスは彼女の食費が心配だ。
二人は町を歩きながら、修道女が酒を飲むことの不都合や、旅の途中での服装の変更について話し合う。

ホロは干し葡萄を買うことをねだり、ロレンスは彼女の要求を受け入れる。
二人は服を買うために町へ出かけるが、ロレンスは金がないことに気づく。

実際は細かい金がないだけで、金貨は持っているが、両替に関する問題を抱えている。
ロレンスのなじみの両替商はホロに惚れており、ロレンスはホロを連れて行くことをためらう。

しかし、ホロは両替に行くことを楽しみにしており、ロレンスを手引きして賑やかな大通りを進む。
ロレンスはホロの底意地の悪さを呪いながらも、彼女と共に歩を進める。

ロレンスがリュミオーネ金貨を両替しようとした際、両替商ワイズはホロの手を包んで銀貨を落とさないようにするふりをしながら、彼女と演技をしている。

ワイズはホロに対して、彼女の手から銀貨がこぼれ落ちるならば、彼が喜んで手を使い、ホロが彼の熱い想いを受け取ってくれるだろうと甘ったるい言葉を投げかける。

ロレンスはこのやり取りに辟易しており、彼らの演技を打ち切るような冷静な言葉をかける。

ワイズはロレンスに対して、共有すべきものを独占していると非難するが、ロレンスは借金も一緒に引き受けるかと冗談を言い返す。

その後、ロレンスはワイズに仕事が終わったら酒場に来るよう誘う。
ワイズはホロへの興味を隠さず、彼女に再会を楽しみにしている。

ロレンスとホロは、両替商や金細工師たちがいる場所を離れ、服を買いに行くことにする。
この間、ホロはロレンスとのやり取りを楽しみ、彼女自身の過去や人との関わり方について複雑な感情を抱えている。

ロレンスは、自分が商売以外のことで噓をつくことがあると認めるが、ホロは彼の噓を見抜いている。
二人は次に何を買うかを話し合いながら、これからの行動を計画する。

ホロが以前に高価な新品の服を購入したこととは異なり、一般の町の人々が新品の服を着ることは珍しい。

服は長く着用され、修理されながら次々と異なる人々へと受け継がれていく。
この流れの中で、ホロは不満そうな顔をして安価な古着を扱う露店の前で立ち止まる。

ロレンスは北に向かうために、自分とホロのために安くて厚手の服を要求する。
店主は、ロレンスが今後も何度も町を訪れると聞いて、より良い条件を提供する。

ロレンスはホロにもっと気に入る女性用の服を探し、店主は貴族の古い服を提案するが、ホロはその服が気に入らない。

代わりにシンプルで着替えやすい服を求め、ロレンスと店主は再び商品を選ぶ。
ロレンスが目にした革のケープがホロの興味を引き、価格交渉が始まる。

ホロ自身が交渉に参加し、彼女の魅力を武器にして最終的にトレニー銀貨七枚でケープと三角巾を購入する。

この取引では、ホロの外見と人柄がロレンスの長年の行商生活で培った交渉術よりも効果的であることが示された。

ホロが新しく購入した服を着用した際、その様子はまるで町の美しい娘のようだった。
着替えの様子はロレンスにとって魔法のように見え、店主もホロの変身に満足していた。

その後、ホロは服の価格について疑問を呈するが、ロレンスはその質にしては銀貨七枚という価格が適正だと答える。
ホロの値切り方をロレンスは「汚い」と評しながらも、商人としての彼女の能力を称賛する。

そして、ロレンスはホロに対して、彼が担いでいる服の束を別の店に売るという計画を明かす。

この計画は、ホロが高級品を身に着けていることを利用して他の店主に良い印象を与え、値下げを引き出すというものだ。

ロレンスのこの策略によって、彼らは全体的に見て得をすることになる。
ホロはこの策略を「姑息」と評するが、ロレンスはそれが商売の知恵であると説明する。

最終的に、ホロはロレンスの策略を認めつつも、自分の方が上手だったと主張する。

ロレンスはホロの自覚のある美しさに対して、彼女がいかに「ずるい」かを指摘するが、それでもホロの魅力には勝てないと認めざるを得ない。

彼らの会話は親密な雰囲気で終わり、互いに相手の価値を認め合っている。

狼と琥珀色の憂鬱

賢狼として知られるホロが、一杯目の酒で既に酔い始め、二杯目で顔が火照るほど酒が回った。

体調が悪くなりつつも、旅の連れとその間に巻き込まれた騒動の解決を祝う席で、自身が不調を訴えることに躊躇する。
特に、羊飼いの娘、ノーラが同席しており、ホロは彼女の前で無様を晒したくないと感じていた。

食欲もわかず、ロレンスとノーラの会話もホロを苛立たせる。
ホロはロレンスがノーラに対して気を使い、自分を気遣わないことに憤りを感じる。

羊に関する会話もホロの気分を害し、体調の悪化とともに怒りが募る。

しかし、ホロは宴を台無しにすることなく、自分の体調不良を抑え込もうとする。

彼女は状況を悪化させないように自制し、ロレンスの反応や周囲の雰囲気に敏感であった。

最終的に、ホロは自分の体調が限界に達し、ロレンスに顔色の悪さを指摘された瞬間、意識が途切れた。

ホロは、重い布団の下で目を覚ますが、どうやってそこにたどり着いたのか記憶が曖昧である。

背負われてきたかのような感覚を持ちつつも、それを夢だった可能性として片隅に追いやる。

自身の行動の原則として、怒り、笑い、隙を見せる時はいずれも戦略的でなければならないと考えている。
しかし、祝いの席で体調が悪くなり、恥を感じる一方で、その状況がある種心地良いとも感じている。

ホロは自己反省し、旅の連れであるロレンスとの日々が独りで過ごしていた時代とは異なり、新鮮で刺激的な毎日であることに気づく。

旅の途中での失態や、ロレンスとの交流を通じて、彼女は人間としての生活に新たな楽しみを見出している。

宿で目を覚まし、狼の姿であるにもかかわらず、人間としての振る舞いについて考える。
ロレンスが心配してくれる中、ホロは体調の悪さを隠していたことで彼に叱責される。

この叱責は、ホロにとって意外で新鮮な体験であり、ロレンスの真剣な心配に対して罪悪感を感じる。

最終的にホロはロレンスの心配と配慮に感謝し、二人の関係はさらに深まる。

ホロはロレンスに対して、彼女の体調を気遣う彼の優しさに感謝し、ロレンスの指が頬に触れた瞬間、熱が出てきたかもしれないと感じながら目を閉じる。

翌朝、ホロは毛布の下で目を覚まし、連れであるロレンスが部屋にいないことを確認する。

体調は回復しているようだが、まだ完全ではないことに気付き、昨晩は病人食を食べられなかったことを少し残念に思う。

しかし、体調を崩したことでロレンスの世話を受けることに内心では満足している。

ロレンスはホロのために薄めたりんご酒を用意し、疲れからくる体調不良を治すための食事を準備する。

ホロはロレンスの説明する医術について興味を示すが、同時にその知識の差異に驚きを隠せない。

ホロが病気になった理由として、人間の世界の知識に基づく治療方法があることを知り、その方法について詳しく聞く。

ホロはロレンスに食べ物をせがみ、彼の説明に興味津々で耳を傾ける。

ロレンスはホロが倒れた原因として四つの液体のバランスの乱れを挙げ、治療としての食事の重要性を説明する。
ホロは提案された食事に食欲をそそられ、疲れが溜まって体調を崩したことについて考える。

最終的に、ロレンスはホロのために特別に麦と羊の乳で煮込んだ粥を準備し、ホロはその食事を楽しみに待つ。

ホロは病気であることを少し演じてロレンスの気を引き、彼の世話を引き出すことに成功する。

ロレンスの世話に感謝しつつも、ホロは自分の立場を利用して食事を要求するなど、彼女なりの方法で状況を楽しんでいる。

ホロはロレンスが用意した食事の匂いで目を覚ますが、郷愁と嫌悪を伴う夢を見たことで気分がすぐれない。故郷ヨイツでの責務を思い出し、その重荷を感じる。

しかし、ロレンスの看病を受けることで、過去の重荷から解放された感覚に満ちている。

ロレンスはホロのために食事を準備し、ホロは体調が回復しつつあることを実感する。
ホロは自分の弱さを演じ、ロレンスに甘えることを楽しんでいる。

ロレンスはホロに病人食を与え、ホロはその食事を楽しみにする。二人の間には深い絆があり、お互いを思いやる様子が描かれる。
ホロはロレンスの鈍感さをからかいつつ、彼が自分の体調を気遣う様子に安心感を覚える。

最終的に、ロレンスはホロのわがままを聞き入れ、食事を手伝うことになり、ホロはその状況を充分に楽しんでいる。

ホロはロレンスが用意した食事を楽しんでおり、特に林檎を多く使った料理を好む。

食後、二人は食事の量や質について会話し、ホロはロレンスの世話を受けながらも自立を望む気持ちを示す。
ロレンスはホロの体調回復を気遣い、穏やかな時間を共に過ごしている。

その後、ホロはロレンスと羊飼いの娘ノーラの関係について嫉妬心を抱くが、同時にノーラの存在を受け入れ始める。

ノーラの訪問により、ホロは彼女との交流を通じて自身の立ち位置やロレンスとの関係を再評価し、ノーラから羊飼いとしての心構えを学ぶ。

結局、ホロは自分が羊、ロレンスが羊飼いの役割を持つことを認め、その間の微妙な感情を探る。

ロレンスの単純さや優しさを再確認しつつ、彼との関係を深めることで得られる幸福を感じている。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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