小説「RE:ゼロから始める異世界生活 1」感想・ネタバレ

小説「RE:ゼロから始める異世界生活 1」感想・ネタバレ

物語の概要

現代日本から突如異世界へと召喚された青年ナツキ・スバルが、死ぬことで時間を巻き戻す「死に戻り」の能力を手にし、運命に抗う物語である。ファンタジー要素を基盤としながら、シリアスな心理描写とサスペンス要素が色濃く織り込まれている。スバルは謎の美少女エミリアと出会い、彼女に助けられた恩を返すため奮闘するが、非情な世界に打ちのめされながらも少しずつ前に進んでいく。

主要キャラクター
• ナツキ・スバル:本作の主人公。異世界召喚直後に「死に戻り」の能力を得る。元の世界では平凡な青年だったが、幾多の死と絶望を乗り越え成長していく。
• エミリア:ハーフエルフの少女で、王選候補者のひとり。正義感が強く、他者への優しさを持ち合わせているが、周囲からは偏見の目を向けられることも多い。
• パック:エミリアの契約精霊であり、猫のような姿を持つ。エミリアを保護し、支える存在である。
• フェルト:スラム街に住む少女。盗みを生業としており、スバルとエミリアの出会いに関わる重要な役割を果たす。
• ロム爺:フェルトと親しい巨漢の老人。スラム街で盗品の取引を行っている。

物語の特徴

本作は「ループもの」と呼ばれるジャンルに属し、主人公が死ぬたびに特定の時点まで時間が巻き戻るという設定を持つ。この「死に戻り」の能力を駆使して、絶望的な運命に立ち向かうスバルの成長物語が大きな魅力である。一般的な異世界転生作品とは異なり、安易な成功や強さを得ることはなく、幾度も心を折られながらも自らの意志で未来を切り開く姿勢が読者を引き込む。緻密な人間関係、心理戦、シリアスな展開の連続が特徴である。

出版情報

RE:ゼロから始める異世界生活 1
著者:長月 達平 氏
イラスト:大塚 真一郎  氏
出版社:KADOKAWAMF文庫J
発売日:2014年1月23日
価格:704円(本体640円+税)
サイズ:文庫判
ISBN:9784040662084
メディア展開:アニメ化(TVアニメ第1期は2016年放送開始)、漫画化、ゲーム化など多数

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あらすじ・内容

突如、異世界へ召喚された高校生ナツキスバル。普通の一般人である彼に特殊な知識も技術も武力もあるわけもなく、さらに手にした能力は『死んだら時間が巻き戻る』という痛みを伴う『死に戻り』のみだった!

RE:ゼロから始める異世界生活 1

感想

友人からアニメ版をハーフマラソンされたので再度読んでみる。
声優さんが、ノリノリに演じてるのは魅力に感じてはいた。

本作は「ループもの」の醍醐味である情報収集と状況打破のプロセスを描きながらも、序盤の退屈さを補う別の魅力に乏しいと感じた。
キャラクター造形や物語展開には一定の魅力があり、エミリアやラインハルトといった存在が物語を引き締めていたが、第一巻単独では物足りなさが残った。
今後、スバルの成長や世界観の掘り下げが進めば、より一層の面白さが引き出される可能性を期待したい。

登場キャラクター

菜月昴

異世界に召喚された日本人の少年。無鉄砲で感情的な一面を持ちながらも、仲間を救うために幾度となく死を乗り越える強い意志を有している。
・所属組織なし
・異世界に召喚され、死ぬたびに時間を巻き戻す「死に戻り」の力に目覚めた
・仲間を救うために何度も死に抗い続け、エミリアたちと信頼関係を築いた

エミリア(銀髪の少女)

銀髪と紫紺の瞳を持つハーフエルフの少女。優しさと芯の強さを持ち、徽章を取り戻すため奔走していた。
・所属組織なし(後に王選候補者と判明するが、本時点では記載不要)
・スバルを幾度となく救い、協力してエルザとの戦いに臨んだ
・スバルに対し、自らの名を「エミリア」と明かした

パック

エミリアに付き従う猫の姿をした精霊である。彼女の守護者として行動し、魔法による支援や戦闘にも参加した。
・所属組織なし
・チンピラ撃退やエルザとの戦闘で氷の魔法を駆使し、スバルたちを守った
・戦闘後、力を使い果たし休眠する場面もあった

チンピラたち(三人組)

貧民街でスバルを度々襲撃した粗暴な男たち。スバルに対して屈辱と暴行を繰り返した。
・所属組織なし
・スバルを路地裏で襲撃し、物品を強奪しようとした
・ラインハルトによって追い払われた

フェルト

貧民街で生きる金髪の少女。盗みを生業としつつも、貧困から抜け出す夢を抱いている。
・所属組織なし
・エミリアの徽章を盗み、盗品蔵に持ち込んでいた
・スバルとの交渉を経て心を開き、後にラインハルトに拘束された

ロム爺

貧民街に住む大柄な老人。フェルトを孫のように可愛がり、彼女を守るために行動していた。
・所属組織なし
・盗品蔵の管理を担当し、スバルとフェルトの交渉に立ち会った
・エルザとの戦闘で致命傷を負い命を落とした

エルザ・グランヒルテ

「腸狩り」の異名を持つ暗殺者。冷酷非道な性格で、戦闘では凄まじい剣技を披露した。
・所属組織なし
・盗品蔵でスバルたちを襲撃し、多くの犠牲者を出した
・ラインハルトとの戦闘に敗れ、重傷を負って逃走した

果物屋の店主

王都の市場で果物屋を営む中年男性。スバルに親切に接し、何度も手助けを行った。
・所属組織なし
・倒れたスバルを助け、情報提供などで間接的に支援した
・スバルが時間を巻き戻すたびに再び登場し、違和感を引き起こした

ラインハルト・ヴァン・アストレア

アストレア家に連なる剣聖の青年。卓越した武技と誠実な人柄で、スバルたちを危機から救った。
・アストレア家所属、剣聖
・スバルを助け、エルザとの戦闘では圧倒的な力で勝利した
・エミリアからの信頼を得て、彼女とスバルの警護を申し出た

展開まとめ

プロローグ『始まりの余熱』

地面に倒れたスバルの苦痛
菜月昴は顔面を地面に押し付けられた状態で目覚め、自身がうつ伏せに倒れていることを理解した。全身の感覚は失われ、ただ『熱』のみが彼の身体を支配していた。喉から血泡を伴う吐血を繰り返し、視界には赤く染まった地面が広がっていた。

致命傷への認識
昴は震える手で腹部を探り、胴体が裂け皮一枚で繋がっている事実を認識した。痛みを『熱』と錯覚していたことに気づき、自らの死が確定的であると悟った。

意識の遠のきと黒い靴の存在
意識が急速に遠のく中、彼の視界には黒い靴を履いた何者かが映った。自らを殺したであろう相手に対して、昴は怒りや恐怖よりも、ただ彼女の無事を祈るだけであった。

救いとなった少女の声
遠くから鈴の音のような声が届き、昴はそれを救いと感じた。しかし、直後に悲鳴が上がり、誰かが再び血の海に倒れ込んだ。

交わる手と最後の決意
倒れた少女の白い手が血塗れの自分の手に絡みつき、かすかに握り返した。遠ざかる意識の中、昴は必死に意志を奮い立たせ、「必ず救う」と心に誓った。その直後、菜月昴は命を落とした。

第一章『始まりの終わり』

異世界召喚と困窮するスバル
菜月昴は突然異世界へ召喚され、所持金が使い物にならないことに絶望していた。異様な髪色と衣装の住人たちに囲まれ、彼は自らの状況を異世界召喚だと認識した。

異世界での初動と現実逃避
現地での言葉は通じたが、異なる通貨体系と文化により生活手段を失った。中世風の文明に驚きつつも、スバルは異世界にありがちな自分の「特別な力」を期待して現実逃避を続けた。

チンピラとの遭遇と初の挫折
裏路地でスバルは三人組のチンピラに絡まれ、力で抵抗を試みるも失敗した。刃物を持ち出されたことで恐怖に屈し、土下座して命乞いをする羽目になった。

金髪の少女とのすれ違い
通りがかった金髪の少女に助けを期待したものの、彼女はスバルを助けずに立ち去った。希望が砕かれた直後、チンピラたちはスバルにとどめを刺そうとした。

銀髪の少女の登場と魔法による救出
絶体絶命の中、銀髪の少女が現れ、魔法によってスバルを救った。少女は徽章を盗まれた犯人を追っており、スバルとは無関係であると断言しつつも、現場を見過ごせずに助けに入った。

精霊パックの援護とチンピラの撃退
少女の使役する精霊パックも援護に加わり、チンピラたちは逃亡した。少女はスバルを警戒しつつも負傷を治療し、助けた理由を義務ではなく自己都合によるものと主張した。

スバルの申し出と協力の申し入れ
助けられた恩を感じたスバルは、自発的に少女の徽章探しを手伝うことを申し出た。少女は当初固辞したが、精霊パックの助言もあり、最終的に協力を受け入れた。

共闘の決意と出発
スバルは「一日一善」の名目で少女を手伝うことを宣言し、正式に共闘関係を結んだ。精霊パックが夜間活動できない制約を持つことも判明し、夕刻に迫る中で彼らは急ぎ行動を開始した。

異世界に召喚された少年と精霊術師の出会い

少年スバルは異世界に召喚され、金髪や緑髪の異国風な人々に囲まれた王都を彷徨していた。異世界の文化や通貨価値に戸惑いながらも、偶然出会った銀髪の少女サテラと、喋る小さな精霊パックと行動を共にすることとなった。

路地裏での襲撃と窮地

スバルは路地裏でチンピラに絡まれ、土下座して命乞いするも暴行を受ける。サテラとパックが現れて状況を打開し、負傷したスバルは一命を取り留めた。サテラは助けた理由を明かさず、またスバルも無理に問い質すことはしなかった。

微精霊との邂逅と失敗

サテラは微精霊と交信を試みるが、スバルの無遠慮な言動により精霊たちは逃げ去ってしまった。サテラは自らの未熟さを悔やみながらも、スバルに怒ることなく振る舞った。

盗品捜索と資金難問題

サテラの探し物を手助けするため、スバルたちは貧民街に向かい、盗品を預かる蔵の存在を突き止めた。しかし買い戻しには金銭が必要であり、異世界の通貨を持たないスバルたちは資金調達に頭を悩ませることになった。

パックの消耗と危機意識の高まり

パックは無理をして力を使い果たし、緑色のクリスタルに姿を変えて休眠に入った。これにより、サテラとスバルは二人きりで行動する必要に迫られた。サテラはスバルに後方支援を任せ、危険地帯での探索に慎重さを求めた。

盗品蔵への潜入と交渉の決意

スバルはサテラに信頼を寄せられ、盗品蔵での交渉役を引き受けた。自らの現代知識に基づく品を武器に、物々交換で盗まれた品を取り戻す計画を立てた。

仲間への信頼と行動開始

サテラはスバルへの不安と期待を抱えながらも、行動を共にする決意を固めた。スバルもまた、サテラのために奮闘する覚悟を新たにし、盗品蔵への乗り込みに向かって歩を進めた。

第二章『遅すぎる抗い』

異世界での遭遇と闘争

スバルは貧民街で再びチンピラたちと遭遇した。過去の因縁を持つ彼らはスバルに絡み、持ち物の強奪と屈辱を要求した。交渉を試みたスバルであったが、相手の無礼な要求に怒りを爆発させ、先制攻撃を仕掛けた。掌底や蹴りを駆使して敵を打ち倒したものの、ナイフを持つ男を前に降伏し、土下座を強いられる結果となった。土下座している間に、男たちから暴行を受け続けるも、抵抗は許されなかった。

命の危機と少女の登場

瀕死の状態に追い込まれたスバルのもとへ、銀髪の少女が現れた。彼女は男たちを一喝し、魔法で撃退した。少女の美しさと力強さにスバルは驚きつつ、命拾いした。少女はスバルを助けるが、あくまで自己判断によるものであり、今後の期待は無用だと告げた。少女の助力は自発的なもので、損得勘定を超えた純粋な行動であった。

少女との交流と精霊の暴走

助けられたスバルは少女とともに行動を開始した。彼女が呼び出した微精霊たちは、スバルの不用意な言動で逃げ去ってしまう。少女は未熟な精霊術師でありながらも、精霊を制御していたが、その信頼を失ったことに落胆した。精霊たちの暴走は避けられたが、精霊の力が本来危険なものであることをスバルは初めて知った。

盗難事件の発生と捜索の難航

スバルと少女は盗難事件の犯人を追うが、土地勘のなさと文字の読めなさが捜索を難航させた。異世界では言葉こそ通じたものの、文字は全く読めず、情報収集に苦労した。やがて、住人たちからフェルトという金髪の少女の存在を聞き出し、盗品が盗品蔵に預けられていることを知った。

盗品蔵の情報と資金難

盗品蔵の存在を突き止めたものの、盗品を取り戻すには金銭が必要であることが判明した。サテラは衛兵に頼れない事情を抱えており、スバルたちは自力で解決するしかなかった。パックも活動制限時間が迫っており、時間との戦いも加わった。

フェルトとの交渉と策略

フェルトは徽章の高値を盾に、盗品の買い戻しを高額で要求した。交渉の場にはフェルトとロム爺が立ち会い、暴力を防ぐための体制が整えられた。フェルトは徽章にさらなる価値があると見込み、交渉相手からさらに報酬を引き出す算段を立てた。

絶望と再起

一方、スバルは戦いの中で致命傷を負い、絶望的な状況に陥った。体が裂け、命が尽きようとする中で、唯一願ったのは少女の無事だった。意識が遠のく寸前、少女の声を聞き、わずかな救いを感じながら意識を手放した。

交渉の場とエルザの登場

盗品蔵でスバルとフェルトは、エルザという妖艶な女性と交渉を行った。スバルはスマートフォンを使ったハッタリと現代知識による珍品「ミーティア」を提示し、聖金貨二十枚に相当する価値をアピールした。エルザも聖金貨二十枚を提示したが、ロム爺の助言によってフェルトはスバルの提案を受け入れることを決めた。交渉に勝利したスバルは歓喜するが、エルザの態度に不審なものを感じ取った。

エルザの襲撃と戦闘の勃発

スバルの不用意な発言によって、エルザは豹変し殺意を露わにした。フェルトが咄嗟にスバルを庇って致命傷を避けさせ、戦闘が始まった。ロム爺は棍棒を振るってエルザに挑んだが、エルザの圧倒的な技量の前に右腕を切断され、さらに喉を裂かれて命を落とした。倒れるロム爺を前に、エルザは敬意を込めた礼を示した後、再び敵意を剥き出しにした。

フェルトの反撃と非情な結末

怒りに燃えたフェルトはスバルを庇いながらエルザに立ち向かった。風の加護を受けた華麗な動きで奇襲を試みたが、エルザの超反応には敵わず、肩から脇腹までを斬られ、即座に致命傷を負った。フェルトは血を噴きながら倒れ、二度と動くことはなかった。

スバルの奮起と無謀な抵抗

スバルは仲間たちの無残な最期に怒りを燃やし、満身創痍の体でエルザに立ち向かった。だが、素人同然の動きでは歯が立たず、幾度となく叩き伏せられた。折れた鼻と前歯、砕けた肩、深い裂傷を負いながらもスバルはなおも挑み続けた。

死の恐怖と絶望の中で

エルザの刃はスバルの腹を大きく裂き、内臓をさらけ出した。瀕死のスバルは死の恐怖に支配され、五感を奪われながら緩やかに命を失っていった。恐怖に抗えず、意識を手放す直前、スバルは自らの死を受け入れ、命は静かに潰えた。

第三章『終わりと始まり』

目覚めと果物屋での混乱

スバルは目覚めた瞬間、赤い果実「リンガ」と出会った。周囲は賑やかな大通りで、果物屋の店主に声をかけられたが、現実感を持てず吐き気と眩暈に襲われ、その場に崩れ落ちた。

意識回復と恐怖の記憶

果物屋の親切によって水をかけられ意識を取り戻したスバルは、サテラの存在を思い出し、襲われた恐怖の記憶に苛まれた。全身が震え、精神的に追い詰められた彼は、再び銀髪の少女を見つける。

銀髪の少女との再会とすれ違い

必死に少女を追ったスバルは、サテラと信じて声をかけた。しかし、少女は彼を冷たくあしらい、さらに「嫉妬の魔女」の名で呼ばれたことに激しく怒った。スバルは状況を理解できず困惑した。

盗難事件とフェルトの再登場

混乱の中、金髪の少女フェルトが銀髪の少女の徽章を盗み逃走した。サテラは激しく反応し、フェルトを追って路地へ駆け出した。スバルも誤解を解こうと必死で二人を追った。

行き止まりと三度目のチンピラ襲撃

追跡中、スバルは袋小路に追い詰められた。その直後、再びチンピラ三人組に取り囲まれた。スバルは抵抗を諦め降伏するが、突如背後からナイフで刺され、致命傷を負った。

死の間際と世界への疑念

致命傷を負ったスバルは、死の間際に世界の異常に気付いた。断片的な会話を聞きながら意識を失い、再び命を落とした。死ぬ直前、現実の把握を試みるが、力尽きた。

繰り返される覚醒と混乱

再び目覚めたスバルは、果物屋の前に戻っていた。果物屋の主人とのやり取りは以前と同じであり、デジャヴのような違和感に襲われた。持ち物も元通りになっていたことに、スバルはさらなる困惑を覚えた。

第四章『四度目の正直』

死に戻りの発覚

スバルは自らの体に異常がないことを確認した後、死ぬたびに時間が巻き戻る現象に気付いた。彼はこの現象を「死に戻り」と名付け、自身が死亡すると特定の時点に戻される仕組みであると理解した。これにより、過去の不可解な出来事に説明がつき、スバルは半日で三度死を経験していたことに驚愕した。

サテラへの恩義と葛藤

スバルは異世界で出会ったサテラへの恩を返そうとしていたが、三度目の世界では彼女に自分の記憶がなかった。このため、スバルは恩義に縛られず自分の生存を優先すべきだと考えたが、知り合った者たちが死ぬ運命を知って見過ごすことに強い抵抗を感じた。最終的に、彼は再び彼らを救うことを決意した。

運命の固定と対処

過去の経験から、サテラがフェルトに徽章を盗まれ、盗品蔵ではエルザによる虐殺が起きることが不可避であると推測した。スバルは事態を放置すれば知人たちが死ぬと悟り、再び行動を起こす覚悟を固めた。

偽サテラ探索とトンチンカンとの遭遇

スバルは偽サテラを探して大通りを徘徊したが、代わりに三度目にも出会った不良三人組・トンチンカンと遭遇した。過去の失敗を教訓に、スバルは「衛兵」を呼ぶと叫ぶ奇策で彼らを攪乱した。だが三人は逆上し、スバルに襲いかかろうとした。

ラインハルトの介入

窮地に陥ったスバルのもとへ、赤髪碧眼の青年・ラインハルトが現れた。彼は圧倒的な威圧感でトンチンカンたちを追い払い、スバルを救った。ラインハルトは自身を「剣聖」と呼ばれる存在だと明かし、スバルに親身に接した。

偽サテラの行方を追う

ラインハルトに感謝しつつ、スバルは偽サテラの手掛かりを得ようと大通りに戻った。だが、既にスリ事件は発生しており、手遅れであることに気付く。果物屋の主人から魔法による騒ぎがあったと知らされ、スバルは偽サテラの不在を確信した。

フェルトとの接触を目指して

スバルは盗まれた徽章を持つフェルトを追うため、盗品蔵に向かわず別ルートから接触を試みる決意を固めた。過去の死から学び、無策に突撃する危険性を回避しながら、可能な限り足掻くことを選んだ。

フェルトのねぐらを探して

スバルはフェルトの居場所を探るため、みすぼらしい姿を演出し、貧民街の住民たちの同情を引き出す作戦を成功させた。住人たちから一致した情報を得たスバルは、フェルトのねぐらに向かう決意を固めた。

エルザとの遭遇

貧民街を進む途中、スバルはかつて自分を殺した暗殺者エルザと再会した。エルザは敵意を隠しつつスバルに近づき、脅かすような言葉を残して去った。スバルは恐怖を抑え、急いで目的地に向かった。

フェルトとの再会

スバルはフェルトのねぐらに到着し、そこで金髪の少女フェルトと再会を果たした。フェルトはスバルに警戒心を向けつつも、徽章の買い取り交渉に応じる態度を見せた。

徽章を巡る交渉

スバルはフェルトに、携帯電話「ミーティア」を提示して徽章との交換を提案した。フェルトは慎重ながらも興味を示し、盗品蔵にいるロム爺による鑑定を求めた。

盗品蔵への移動と心情の変化

フェルトは最初、スバルを遠回りさせて時間を稼ごうとしたが、スバルの指摘と信頼に揺らぎ、正直に盗品蔵へ案内することを決めた。フェルトは貧民街の現状に嫌悪感を抱きながらも、そこから抜け出す夢を語った。

盗品蔵での鑑定

盗品蔵に到着したスバルたちは、ロム爺にミーティアの鑑定を依頼した。ロム爺はミーティアの価値を認め、聖金貨二十枚以上の価値があると断言した。この結果、スバルはフェルトに対して正式に徽章の買い取りを申し出た。

フェルトの疑念

交渉成立間近であったが、フェルトはスバルがなぜ徽章にそれほど執着するのかを問いかけた。フェルトの質問は、スバルの行動に対する疑念を浮き彫りにした。

フェルトとの交渉の緊迫化

スバルはフェルトから、徽章の持つ本当の価値について詰問された。彼は後ろ暗い動機を疑われながらも、必死に弁明を試みた。しかし、発言の隙を突かれ、フェルトは徽章に通常以上の価値があると確信し、さらに高額で売る算段を立て始めた。

スバルの誠意と告白

追い詰められたスバルは、嘘をつかずに本音を語ることを選んだ。徽章を欲する理由は、ただ持ち主に返したい一心であると告白した。彼の誠実な態度にロム爺は理解を示したが、フェルトは疑いを拭えず、交渉は決裂寸前となった。

交渉の失敗と新たな訪問者

フェルトはスバルの真意を信じることを拒み、交渉は事実上失敗に終わった。その矢先、盗品蔵の入り口に訪問者が現れた。ロム爺は警戒し、スバルは直感的に危険を察知して制止しようとしたが、間に合わなかった。

銀髪の少女の登場

扉を開いたフェルトの前に現れたのは、仏頂面の銀髪の少女であった。日没前にもかかわらず現れた彼女により、スバルの焦燥と予想は裏切られた。

第五章『ゼロから始まる異世界生活』

偽サテラとの再会と緊張の蔵内

フェルトとロム爺は偽サテラと対峙し、蔵の中の空気は一気に張り詰めた。偽サテラは徽章の返還を求め、氷系統の魔法で威圧しながらフェルトたちを追い詰めた。ロム爺は彼女がハーフエルフであると見抜き、恐れをにじませた。

誤解と対立の激化

フェルトはスバルへの疑念を深め、彼が偽サテラと共謀していると誤解した。フェルトとスバルは口論し、場の緊張が高まったが、スバルは偽サテラの胸にある花飾りに気付き、彼女の心根は変わっていないと確信を持った。

エルザの急襲とパックの防御

黒い影のようにエルザが出現し、偽サテラを襲撃した。パックの魔法によって偽サテラは間一髪で救われた。エルザは盗品蔵の関係者全員を抹殺し、徽章を奪うと宣言した。

パックとエルザの激戦

パックは氷の魔法でエルザに総攻撃を仕掛けたが、エルザは外套の術式で防ぎ、無傷で脱出した。激しい戦闘の末、エルザは氷の破片により一時的に足を封じられるが、パックもマナ切れにより消失した。

スバルとフェルトの決意

フェルトを逃がすため、スバルは身を挺して戦うことを決意した。フェルトはスバルの言葉に反発しつつも、スバルの捨て身の覚悟を受け取り、盗品蔵から脱出した。

スバルと偽サテラの連携

スバルと偽サテラは即席の連携でエルザを相手に奮闘した。スバルは臆病ながらも必死に立ち向かい、偽サテラも氷魔法で援護を続けた。しかし次第にスバルの負傷は増え、状況は悪化していった。

エルザの圧倒的な技量と追い詰められるスバル

エルザの卓越した戦闘技術により、スバルは致命的な攻撃を受ける寸前まで追い詰められた。偽サテラも切り札を使う覚悟を見せかけたが、スバルはそれを否定し、あくまで通常戦闘で突破する道を選んだ。

絶体絶命の瞬間と救援の到来

エルザの一撃がスバルに迫ったそのとき、天井を突き破って炎が降り注ぎ、新たな存在が現れた。紅の髪と空色の瞳を持つ英雄が登場し、戦局の打開を高らかに宣言した。

盗品蔵での死闘と運命の出会い

フェルトは絶望から解放されると、命からがら貧民街を駆け抜けた。スバルやロム爺を置き去りにしたことに複雑な感情を抱きつつも、逃げ延びることを優先した。その過程で、彼女は炎のような赤髪の青年、ラインハルトと出会い、世界の運命が動き始めた。

剣聖ラインハルトと『腸狩り』エルザの対峙

スバルを救いに現れたラインハルトは、エルザの正体が王都でも知られる危険人物『腸狩り』であると見抜いた。彼は騎士らしくエルザに投降を促したが、戦闘は避けられず、無手で迎え撃った。蹴り一閃でエルザを吹き飛ばしたラインハルトは、規格外の力を示し、粗末な両手剣を手に取り、戦いを続行した。

熾烈な戦闘と封印されし力の解放

エルザの俊敏な一撃離脱戦法に苦戦しつつも、ラインハルトは本気を出さずに応戦していた。偽サテラが治療のために精霊術を使っていたため、マナを傷つけぬよう彼は力を抑えていたのである。治療完了の合図を受けると、ラインハルトは本来の剣聖としての力を解放し、荒れ狂う暴風とともにエルザを圧倒した。

エルザの敗走と救われた命

ラインハルトの一振りは世界を歪めるほどであり、盗品蔵はほぼ壊滅した。エルザは辛うじて生き延びたが、重傷を負って逃走した。スバルたちは命を取り留め、互いの無事を確認し合った。フェルトもラインハルトを呼び寄せた功績を認められ、緊張が和らいだ。

再襲撃とスバルの決死の防御

逃走したかに見えたエルザは、再び奇襲を仕掛けた。ラインハルトも間に合わない状況下、スバルはとっさに偽サテラを庇い、自らエルザの一撃を受け止めた。重傷を負ったものの、スバルの犠牲によりエルザの攻撃は阻まれ、ラインハルトの再介入によってエルザは完全に退けられた。

真の名前と繋がる絆

一連の激闘の終結後、スバルは改めて少女に自身の名前を名乗り、礼として彼女の名前を尋ねた。銀髪の少女は微笑みながら、自らの名を「エミリア」と名乗った。スバルは彼女の温かい手を握りしめ、数々の死闘と犠牲を乗り越えた末に得たこの名前と笑顔に、満ち足りた思いを噛み締めたのであった。

スバルの危機回避と安堵の時間

スバルはエルザの最後の一撃を、棘付き棍棒を盾代わりにしてかろうじて防いでいた。ラインハルトもその対応を称賛し、もし防いでいなければ命はなかったと認めた。スバルは打撲を負いながらも生存を果たし、束の間の安堵を覚えた。

棍棒の損壊と嫌な予感

ラインハルトが地面に落ちた棍棒を拾い上げると、それは中央から真っ二つに裂断されていた。スバルは棍棒の損壊に驚き、不安を覚えながら自らのジャージを確認した。外見上は打撲に見えたが、新たに赤い線状の傷が浮かび上がった。

致命傷の発覚と意識の喪失

赤い線の存在に気付いた直後、スバルは鋭い痛みに襲われ、腹部が横一文字に裂けた。大量の鮮血が噴き出し、エミリアの切羽詰まった声が響く中、スバルは急速に意識を失っていった。彼は倒れ込む中で、再び死の運命に抗う覚悟を胸に抱きながら、激痛とともに意識を手放した。

エピローグ『お月さまが見てる』

癒しと謝罪の場面

スバルの治療を見守りながら、ラインハルトは自身の至らなさを悔いた。治療を終えたエミリアに対し、ラインハルトは膝をつき、謝罪と共に罰を受ける覚悟を示した。しかし、エミリアは感謝の言葉のみを伝え、罰を与えることを拒否した。

王都到着までの経緯

ラインハルトはエミリアの問いに答え、王都を散策中にスバルと出会った経緯を説明した。スバルの情報により盗品蔵にたどり着き、事態に介入することとなったと述べた。

フェルトへの配慮

エミリアはフェルトに視線を向け、ラインハルトにこれ以上介入しないよう求めた。ラインハルトはその願いを受け入れ、身辺警護を申し出た。エミリアはこれを承諾し、スバルの身柄も自らの手で引き取ると決めた。

崩壊した盗品蔵と対応

ラインハルトは崩壊した盗品蔵を前に、被害の大きさに沈痛な面持ちを浮かべた。今後、腸狩りエルザの手配を行い、付近を封鎖することを決めた。一方で、フェルトとロム爺については証拠不十分により処罰は難しいと判断した。

フェルトとエミリアの対話

エミリアはフェルトに声をかけ、家族について問いかけた。フェルトはロム爺を祖父のような存在だと語り、エミリアも自身の家族への想いを重ねた。フェルトは命を救われたことへの感謝を示し、徽章を返却した。

フェルトの主張とラインハルトの葛藤

フェルトは盗みを悪いとは思っておらず、生きるためには必要な行為だと主張した。ラインハルトは彼女の事情を理解しつつも、正義だけでは救えない現実に胸を痛めた。エミリアも彼女の境遇に同情し、責めることをしなかった。

徽章の正体とフェルトの拘束

フェルトから返還された徽章を見たラインハルトは、その特異な輝きに驚き、フェルトの身柄を預かることを決意した。フェルトは抵抗したが、力の差に抗えず意識を失った。ラインハルトは慎重に彼女を抱き上げた。

エミリアへの礼と別れ

ラインハルトはエミリアに徽章を返還し、スバルを託すように頼んだ。エミリアはこれを受け入れ、ラインハルトは深く礼をして場を後にした。夕闇に沈む王都の空を見上げながら、ラインハルトは不穏な未来を予感したのであった。

同シリーズ

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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