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負けヒロインが多すぎる

小説【マケイン】「負けヒロインが多すぎる! 8.5」感想・ネタバレ

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負けヒロインが多すぎる!8.5の表紙画像(レビュー記事導入用) 負けヒロインが多すぎる
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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 焼塩檸檬の捕獲作戦
    2. 八奈見の食べ歩き
    3. 佳樹の誕生日ケーキ
    4. 文芸部員の日常と交流
    5. 白玉リコ
  6. 登場キャラクター
    1. ツワブキ高校 文芸部
      1. 温水和彦
      2. 八奈見杏菜
      3. 小鞠知花
      4. 月之木古都
      5. 玉木慎太郎
    2. ツワブキ高校 生徒会
      1. 馬剃天愛星
      2. 桜井弘人
      3. 白玉リコ
      4. 放虎原ひばり
      5. 志喜屋夢子
    3. ツワブキ高校 陸上部
      1. 焼塩檸檬
      2. 倉田
    4. ツワブキ高校 新聞部
      1. 恋川ツクシ
    5. ツワブキ高校 その他の関係者
      1. 朝雲千早
      2. 綾野光希
      3. 姫宮華恋
      4. 袴田草介
      5. 甘夏古奈美
      6. 小坂小夜
      7. 田中先生
      8. 男子卓球部
      9. 鳥を見る会 元会長
    6. 桃園中学
      1. 温水佳樹
      2. 権藤アサミ
      3. 橘聡
      4. 焼塩ナギ
    7. その他の高校・関係者
      1. 新菜早苗
      2. 呉羽澄
      3. 根岸加南子
      4. 小春
    8. 家族
      1. 小鞠陽奈
      2. 田中みのり
      3. 袴田美琴
      4. 袴田の母
      5. 檸檬の母
      6. 放虎原の母
  7. 展開まとめ
    1. ターゲットは小麦色 
    2. 八奈見・ラーメン・食べ歩き 
    3. 友情は煩悩の数よりも 
    4. その節はお世話になりました 
    5. 温水佳樹生誕祭20〇〇
    6. 隠しゴトはほどほどに
    7. 思い出は綺麗なままで  
    8. 白玉さんちの田中さん 
    9. 君への距離は何光年 
    10. 芽ばえの季節 
    11. 過ぎ去りし日々に乾杯を 
    12. いけない華先生 
    13. ネクタイとフライドポテト 
    14. 移り気な風 
    15. 仲良しシスターズの昼下がり
    16. 君にこの一杯とお代わりを捧げよう 
    17. お友達になりましょう
    18. アネモネの眠る街 
    19. 間違いだらけの パジャマパーティー 
    20. ポケットに秘密を詰めこんで 
  8. 同シリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『負けヒロインが多すぎる! 8.5』は、恋に破れた「負けヒロイン」たちと主人公・温水和彦が織りなす青春ラブコメディのオール書き下ろし短編集である。本作は、本編の合間や裏側で繰り広げられるキャラクターたちの日常の断片を切り取ったバラエティに富んだ小篇集となっている。期末試験から逃亡する焼塩檸檬の捕獲作戦、八奈見杏菜のラーメン食べ歩き、温水佳樹の誕生日ケーキ作り、そして文芸部女子たちが集う温水家でのパジャマパーティーなど、等身大の高校生たちの騒がしくも愛おしい日常が描かれており、次巻(9巻)の展開へと繋がるエピソードが収録されている。

■ 主要キャラクター

温水和彦:本作の主人公であり、文芸部部長。ヒロインたちや生徒会メンバーの騒動に巻き込まれ、呆れながらも彼女たちの悩みや葛藤に不器用ながら寄り添っている。
八奈見杏菜:食欲旺盛なヒロイン。ダイエットを試みつつも食の誘惑に負ける日常を送る一方で、温水への感情にわずかながら変化の兆しを見せている。
焼塩檸檬:陸上部のエースで、天真爛漫なヒロイン。進路や将来への不安を抱えており、夜の名古屋で温水に「もう少しだけ子供でいたい」と本音をこぼすなど、大人への階段で揺れ動く。
小鞠知花:人見知りな文芸部員。名古屋旅行での迷子騒動を通してかつての想い人・玉木に上京の夢を打ち明けるなど、少しずつ成長し自分の道を歩み始めている。
白玉リコ:生徒会書記も務める文芸部の新入部員。温水の「偽の彼女」として彼を翻弄しつつ、佳樹と静かな牽制戦を繰り広げるなど小悪魔的な振る舞いを見せる。

■ 物語の特徴

本作の最大の特徴は、本編では語りきれないキャラクターたちの日常や隠された心情がオムニバス形式で丁寧に掘り下げられている点である。温水とメインヒロインたちとの関係性の微妙な変化だけでなく、甘夏先生や小坂先生の大晦日の酒宴、姫宮華恋や袴田草介を巡るエピソード、放虎原ひばりや志喜屋夢子といった先輩キャラクターの知られざる一面など、サブキャラクターにもスポットライトが当てられている。複数の視点から豊橋や名古屋を舞台にした群像劇が描かれることで、読者は作品の世界観やキャラクターへの愛着をより一層深めることができる。

書籍情報

負けヒロインが多すぎる! 8.5
著者:雨森たきび 氏
イラスト:いみぎむる 氏
レーベル:ガガガ文庫小学館
発売日:2026年1月26日
ISBN:9784094532760

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あらすじ・内容

女の敵にご用心
「――他人に聞かせられないようなこと、言うつもりだったんですか?」
「……馬剃さん、いまの発言も人には聞かせられなくない?」

自分を好きな相手と話すのはわりと楽しい。
俺がそんな真理に目覚めた矢先、小麦色の風が目の前を駆け抜ける――。

「ターゲットは小麦色」「八奈見・ラーメン・食べ歩き」「温水佳樹生誕祭20●●」「間違いだらけのパジャマパーティー」などなど、バラエティに富んだ小篇を収録。

9巻にたしかに繋がる、オール書き下ろし短篇集!

負けヒロインが多すぎる! 8.5

感想

本編では描き切れなかった日常や、それぞれのキャラクターの心情を丁寧に描いた短編集である。派手な事件こそ少ないものの、その分だけ登場人物同士の距離感や関係性の変化をじっくり味わえる一冊だった。

まず印象に残ったのは、妹・佳樹のために不器用ながらケーキ作りへ挑戦する温水和彦の姿である。兄妹の微笑ましいやり取りに癒やされる一方で、その周囲ではヒロインたちが少しずつ温水との距離を縮めようとしており、穏やかな日常の裏で恋愛模様が静かに動いていることを感じさせられた。

中でも白玉家での「偽装彼氏」としてのおうちデートは、本作らしいラブコメの魅力が詰まったエピソードだった。本人たちは戸惑いながらも距離を縮めていく一方で、教師たちまでどこか温かく見守っている雰囲気が面白く、周囲を巻き込んだ人間関係の空気感が心地よい。

一方で、ヒロインたちの心境にも少しずつ変化が見えてきた。

名古屋旅行では、将来への不安を抱える焼塩檸檬がテレビ塔で温水と二人きりになり、これまで以上に積極的な一面を見せる。その姿からは、恋だけではなく、自分自身の将来に向き合おうとする彼女の成長も感じられた。

また、八奈見杏菜もラーメン巡りを楽しみながら、温水への気持ちに揺れ動いている様子が描かれており、今後どのような関係になっていくのかますます気になってしまう。

本作で意外だったのは、日常パートの中にどこかホラーじみた空気が漂っている点である。

佳樹と白玉リコによる静かな牽制は、表面上は穏やかなのに妙な迫力があり、「温水、後ろ!」と思わず叫びたくなるような場面も多かった。さらに、温水の両親が二人きりにしないようお泊まり会を提案するくだりからも、家族が兄妹の距離感を少し気にしている様子が伝わってきて思わず笑ってしまった。

そのほかにも、馬剃天愛星が小鞠知花へ過去の態度を謝罪する場面や、放虎原ひばりが過去と向き合うエピソードなど、サブキャラクターにも丁寧にスポットが当てられている。短編集だからこそ、それぞれが抱える想いや成長をゆっくり描けている点は、本編とはまた違った魅力と言えるだろう。

大きく物語が動く巻ではないものの、その分だけ登場人物一人ひとりの魅力が存分に詰め込まれていた。温水を取り巻く恋愛模様は少しずつ変化し始めており、次巻で誰の想いが大きく動き出すのか、ますます楽しみになる一冊だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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考察・解説

焼塩檸檬の捕獲作戦

『負けヒロインが多すぎる! 8.5』の短編「ターゲットは小麦色」で描かれた「焼塩檸檬の捕獲作戦」は、期末試験の勉強から逃亡した陸上部のエース・焼塩檸檬を捕獲するために校内で展開された大騒動である。部活動の命運をかけた作戦の背景、AIを用いた追跡と文芸部の連携、大規模な包囲網の形成、そして意外な決着と友情による結末についての解説は以下の通りである。

期末試験赤点回避とインターハイ出場権死守のための捕獲協力依頼

期末試験が迫る中、焼塩が赤点を取ると夏休みの特別補習への参加が義務づけられ、インターハイの出場に深刻な影響が出る可能性があった。

・危機感を抱いた女子陸上部部長の倉田が、文芸部の部室を訪れた。

・倉田は、羊羹を報酬として提示し、焼塩の捕獲への協力を依頼した。

・この依頼をきっかけに、校内を巻き込んだ大がかりな焼塩捕獲作戦が幕を開けることとなった。

朝雲千早のAI追跡アプリ投入と、文芸部による挟み撃ち作戦の失敗

作戦の初期段階では、部外者であるはずの人物の技術提供と文芸部の行動が中心となった。

・文芸部出禁の朝雲千早が現れ、校内の足音や陸上部員の目撃情報をAI解析して焼塩の居場所を絞り込む独自の追跡アプリを提供した。

・温水と八奈見はアプリの情報を頼りに、焼塩が油断している隙を突いて前後から挟み撃ちにする作戦を決行した。

・しかし、圧倒的な速度で校内を移動する焼塩に近づくことすらできず、挟み撃ち作戦はあえなく失敗に終わった。

・疲労した八奈見は、コーラとプリンを飲食して早々に戦線を離脱してしまった。

甘夏先生の補習免除却下と、卓球部・陸上部による大規模追い込み包囲網

温水は担任の甘夏先生に直談判を試みるが、事態はより組織的な捕獲作戦へと発展した。

・温水による補習免除の相談は甘夏先生に却下される。

・しかし、エースの赤点によるインターハイへの悪影響や外聞を危惧した甘夏先生は、急遽男子卓球部を招集した。

・男子卓球部が上階から焼塩を追い落とし、1階で女子陸上部が待ち構えて確保するという、追い込み漁のような包囲網が敷かれた。

・しかし、1階の最終防衛線を任されていた倉田部長は、疲労しているはずの焼塩にあっさりと突破され、瞬殺される結果となった。

オオクワガタによる弓道場裏誘引と、温水を人質にした首絞め脅迫脱出

度重なる失敗を受け、朝雲は焼塩の好物を利用した新たな罠を仕掛けた。

・朝雲は、80mm級のオオクワガタを餌にして焼塩を弓道場裏に誘い出し、ネットで捕らえる作戦を考案した。

・温水がクワガタの入った虫カゴを持って待機していると、警戒網をすり抜けた焼塩が温水の背後に突如として現れた。

・焼塩は、いくら勉強しても理解できず陸上部員たちに迷惑をかけていることに悩んでおり、今回は一人で勉強しようと決意していたことを打ち明けた。

・しかし、そのまま無抵抗で降参するのはつまらないと考えた彼女は、温水の首に腕を回して人質に取った。

・「手を出したらぬっくんの首をへし折る」と周囲を脅迫し、人質作戦によって包囲網を突破して再び逃走した。

小鞠の図書室待ち伏せと、綾野光希作成の対策資料授与による勉強決意

逃亡劇の果てに、図書室へ向かった焼塩を待っていたのは、文芸部員の温かい気遣いであった。

・包囲網を脱した焼塩が図書室で勉強を始めようとすると、そこへ小鞠が現れた。

・小鞠は、焼塩がかつて頼りにしていた綾野光希に自ら連絡を取り、理解度のチェックリストや進捗表、段階別の勉強法がまとめられた対策資料を用意していた。

・「お前がインターハイ走るの、私も楽しみにしてるから」という小鞠の不器用ながらも温かい応援の言葉を受け取った。

・友人の真摯なサポートに心を動かされた焼塩は、気合いを入れ直して試験勉強に向き合う決意を固めた。

まとめ

焼塩檸檬の捕獲作戦を巡る一連の顛末は、赤点によるインターハイ出場の危機から始まった逃亡劇であり、AIアプリを用いた追跡や卓球部を動員した包囲網を焼塩が超人的な身体能力と温水を人質にする機転で突破しながらも、最終的には図書室で待ち伏せていた小鞠から綾野作成の学習対策資料と不器用なエールを受け取ることで、自らの未熟さと仲間の期待に向き合い、インターハイでの激走という夢を守るために試験勉強へ邁進する覚悟を固め、平穏な部活動の未来を完璧に奪還するに至る、不器用ながらも熱い友情と成長の記録である。騒がしい捕獲戦から、孤独な葛藤の吐露、そして他者との絆を媒介にした自発的な学習への移行へと繋げたプロセスは、単なるコメディにとどまらず、仲間を思いやるキャラクターたちの優しさを示している。最終的に、逃避したい衝動や勉強への苦手意識を、友人の温かい包容力と具体的な対策によって打破し、自らの未来と部活動の尊厳を完璧に守り抜いた結末は、どれほど不条理な試験の壁やプレッシャーによって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた知的なサポートと確固たる連帯によって打破され、新しい地平を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

八奈見の食べ歩き

『負けヒロインが多すぎる! 8.5』に収録されているエピソード「八奈見・ラーメン・食べ歩き」では、八奈見杏菜が中学時代の友人である新菜早苗(ニーナ)と共に、週末に豊橋市内のラーメン店を巡る様子が描かれている。このエピソードにおける八奈見の驚異的な食べ歩きの詳細と、その中で見え隠れする彼女の複雑な心情についての解説は以下の通りである。

ラーメン店カドワラでのから揚げ味変と肉塩ラーメン大盛り小ライス切り返し完食

豊橋公園近くのラーメン店であるカドワラを訪れた二人は、まずサイドメニューのから揚げを注文した。

・八奈見は何もつけずに肉の旨味を堪能した後、特製スパイス、そしてレモン果汁ベースの辛味調味料であるレモスコを使って巧みに味の変化を楽しんだ。

・メインとして、八奈見は肉塩ラーメン大盛りと小ライスを注文した。

・澄んだ清湯スープや味の染みた大根、豚軟骨を夢中で平らげた。

・さらに切り返しと呼ばれる、担々麺のタレと具が入った特製の替玉を追加注文した。

・これにより塩ラーメンを塩担々麺へと劇的に味変させて麺を食べきり、最後は残ったスープに小ライスを投入して器の中身を完全に平らげた。

温水からの誘いに対する強がりと不満、および失恋克服のきっかけとしての温水の存在

食事の最中、八奈見はニーナに対して温水和彦への愚痴や不満をこぼしている。

・温水からお礼にラーメンに行こうと誘われたにもかかわらず、1ヶ月以上経っても具体的な声掛けがないことに苛立っていた。

・八奈見自身はデートではないと強がりつつも、自分からラーメン雑誌を見せて誘う隙を与えているのに一向に動かない温水に対し、どんだけ私に興味ないの、と本音を隠せない。

・かつて失恋で食欲を落としていた時期を心配していたニーナに対し、温水君の面倒を見なければならず落ち込んでいる暇がなかったと語った。

・結果的に温水の存在が、自身が失恋から立ち直るきっかけになったことを素直に認めている。

超満腹状態からの丸源ラーメン割引クーポン提示と肉そば鉄板玉子チャーハン大盛り決意

から揚げ、大盛りラーメン、替玉、そしてライスを平らげた直後にもかかわらず、八奈見の食への執念は衰えを見せない。

・ニーナが丸源ラーメンの割引クーポンを見せた。

・それを見た八奈見は即座に、肉そばと鉄板玉子チャーハン(大盛り)を食べることを決意した。

・彼女の底なしの食欲が、最後まで遺憾なく発揮されることとなった。

まとめ

八奈見杏菜のラーメン食べ歩きを巡る一連の顛末は、カドワラでの肉塩大盛りから切り返し、そしてスープかけご飯へと至る常識外れの完食劇を見せながら、温水からの連絡を一途に待ちわびる不器用な乙女心を吐露し、かつての失恋を救ってくれた温水の存在への感謝を胸に秘めつつも、最後は丸源ラーメンでの大盛りセット追加という驚異的な食欲で締め括ることで、失恋の傷を乗り越えて自らの健やかな日常と旺盛な生命力を完璧に奪還するに至る、不器用で愛らしい再生の記録である。圧倒的な食事シーンから、恋する少女の愚痴、そして飽くなき食欲への帰還へと繋げたプロセスは、単なる大食いにとどまらず、彼女の人間味溢れる魅力を示している。最終的に、不器用な温水への不満や過去の未練を、自身の強靭な消化能力と友人の温かい付き合いによって打破し、自らの未来と美味しい食事の時間を完璧に守り抜いた結末は、どれほど不条理な失恋やじれったい関係に生の平穏が脅かされようとも、本質を突いた食への情熱と確固たる自己治癒力によって打破され、新しい幸福を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

佳樹の誕生日ケーキ

『負けヒロインが多すぎる! 8.5』に収録されているエピソード「温水佳樹生誕祭20〇〇」における、妹・佳樹の15歳の誕生日ケーキをめぐる騒動と人間模様は、温水和彦を取り巻く女性陣の静かな牽制や、兄の行動をすべて把握している佳樹の深い愛情が入り交じったエピソードである。サプライズ計画の始動から波乱の調理、佳樹の驚くべき裏の顔、そして温水兄妹の温かい帰路についての解説は以下の通りである。

サプライズ手作りケーキ計画始動と、白玉・八奈見の険悪な牽制を収めた焼塩家提案

温水は、妹の佳樹への誕生日プレゼントとしてサプライズで手作りのケーキを贈ることを思いつき、文芸部の臨時部会を招集した。

・部会でどんなケーキにするか相談する中、白玉リコが「誰もいない自分の家で二人きりで作ろう」と積極的に誘い、八奈見や小鞠との間に険悪な空気が流れた。

・そこへ焼塩檸檬が現れ、ケーキ作りが得意な母親がいる自身の家を会場として提案したことで事態は収束した。

・最終的に、安全で指導者のいる焼塩家を舞台にケーキ作りを行うことが決定した。

白玉の高級エシレバター持参アピールと、八奈見の生クリーム食パン持ち込み完食

誕生日当日、温水が焼塩家で檸檬の母の丁寧な指導を受けながら作業を始めていると、助っ人として八奈見と白玉が乱入してきた。

・白玉は佳樹のために高級なエシレバターを持参し、温水に対して自身の貢献度を熱心にアピールした。

・一方の八奈見は、余った生クリームをつけて食べるためだけに食パン(6枚切り)を持参するという驚きの行動に出た。

・八奈見はケーキの作成作業中にもマイペースにパンを食べ続け、周囲を呆れさせた。

見事なイチゴショートケーキ完成と、焼塩母による健康状態根掘り葉掘り婿候補査定

檸檬の母の的確なサポートもあり、温水は初めての挑戦とは思えない見事なイチゴのショートケーキを完成させた。

・ケーキの完成後、檸檬の母は温水の実面目な人柄を高く評価した様子を見せた。

・彼の両親の仕事や転勤の有無、さらに温水一族の持病や健康状態などを根掘り葉掘り聞き出し始めた。

・まるで家庭的な檸檬の良いお婿さん候補として温水を見定めているかのような会話を繰り広げ、温水を困惑させた。

検索スケジュールチェックによるサプライズ事前把握と、兄を可愛く思う佳樹の余裕

一方その頃、佳樹は友人の権藤アサミ(ゴンちゃん)の家で手作りのオムライスを振る舞われてお祝いされていた。

・佳樹は普段から温水の検索履歴やスケジュールをくまなくチェックしており、今回の手作りケーキのサプライズ計画をすでに完全に把握していた。

・それでも、不器用に準備を進める兄の姿を心から可愛らしく思っていた。

・「本番でどんな驚き方をしようか」と作戦を練りつつ楽しみに待つという、妹としての底知れぬ余裕と愛情を見せた。

ゴンちゃん家からの偶然の合流と、彼氏誕生時期妄想による寂しさ噛み締め帰路

ケーキを持って家路についた温水は、ゴンちゃんの家から戻る途中の佳樹と偶然合流した。

・嬉しそうに手を繋いで歩く佳樹を見ながら、温水は静かに思いを馳せた。

・成長する妹と一緒に誕生日を祝える時間が、いつか減っていくことに兄としての寂しさを感じた。

・「佳樹に彼氏ができるのは5年、いや10年くらいは先の話だな」と自分に言い聞かせるように心境を噛み締め、共に歩みを進めた。

まとめ

温水佳樹の誕生日ケーキを巡る一連の顛末は、手作りケーキによるサプライズを企画した温水が、白玉の熱烈なアピールや八奈見のマイペースな食パン完食、そして焼塩母からの婿候補としての根掘り葉掘り査定という波乱の調理プロセスを経て無事にイチゴのショートケーキを完成させながらも、実はすべてを把握したうえで喜ぶ佳樹の余裕に包まれ、最後は帰路での不器用な兄妹の温かい対話を通じて、少しずつ大人へと成長していく妹への複雑な愛情を噛み締め、温かな家族の絆と平穏な兄妹の日常を完璧に奪還するに至る、賑やかで少し切ない誕生日の記録である。部会での静かな牽制から、波乱のケーキ作り、佳樹の知られざる洞察力、そして兄妹の深い信頼関係へと繋げたプロセスは、単なるコメディにとどまらず、登場人物たちの細やかな人間味と優しさを示している。最終的に、賑やかな周囲の騒動や将来の寂しさを、妹への確固たる愛情と温かい手繋ぎの帰路によって打破し、自らの未来と大切な妹の笑顔を完璧に守り抜いた結末は、どれほど不器用な関係や未来への不安によって生の平穏が脅かされようとも、本質を突いた家族の絆と確固たる愛情によって打破され、新しい幸福を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

文芸部員の日常と交流

『負けヒロインが多すぎる! 8.5』で描かれた文芸部員の日常と彼らの間で繰り広げられる様々な交流は、本編の裏側や合間で起こる騒がしくも温かい日常を多角的に映し出している。期末試験での騒動から、名古屋への小旅行、プライベートなパジャマパーティー、そして部室での静かな心理戦にいたるまで、彼らの繊細な関係性の変化についての解説は以下の通りである。

テスト勉強中の捕獲作戦協力と、図書室での小鞠による対策資料手渡し

期末試験が近づく中、文芸部の部室では温水和彦、八奈見杏菜、小鞠知花らが集まって勉強会を開いていた。

・試験勉強から逃亡した陸上部の焼塩檸檬を捕まえるよう依頼が舞い込み、文芸部員たちは女子陸上部などと協力して捕獲作戦に巻き込まれることになった。

・作戦の末に焼塩は一度逃走するが、最終的には図書室で自ら勉強に向き合う決意を固める。

・そこへ小鞠が現れ、密かに手配していた対策資料を焼塩に手渡した。

・「お前がインターハイ走るの、私も楽しみにしてるから」という小鞠の不器用ながらも優しいエールは、部員同士の確かな絆を感じさせた。

OB・OG訪問名古屋旅行と、大須散策食べ歩きおよび手巻き寿司パーティー

文芸部2年生の4人(温水、八奈見、焼塩、小鞠)は、名古屋に進学したOB・OGの玉木先輩と月之木先輩を訪ねる1泊2日の旅行に出かけた。

・大須商店街での散策では、八奈見が持ち前の食欲を発揮し、小鞠が野良猫を追いかけて迷子になるなど、相変わらずのドタバタ劇が繰り広げられた。

・夜には月之木先輩の部屋で手巻き寿司パーティーが開催された。

・八奈見が独自の「手巻き寿司理論」を展開して大食いする横で、他の面々も自由に具材を乗せ合うなど、まるで親戚の集まりのような居心地の良い交流が描かれた。

両親不在の温水家パジャマパーティーと、深夜リビングでの関係性探り合い

温水の両親が不在の夜、妹の佳樹の呼びかけにより、文芸部女子(八奈見、焼塩、小鞠、白玉リコ)が温水家に集結してパジャマパーティーが開催された。

・お風呂上がりにそれぞれが個性的なパジャマ姿でスキンケアをするなど、学校では見られないプライベートな時間が描かれた。

・深夜には、眠れずに起きてきた八奈見と温水が暗いリビングで二人きりになった。

・八奈見が温水と馬剃天愛星との関係について静かに探りを入れるなど、互いの距離感を測り合うような繊細なやり取りも展開された。

花火大会誘い掛けの静かな牽制と、自販機前での鯱もなか手渡し勘違い

日常の部室や学校生活では、女子部員たちの間で静かな心理戦も行われている。

・テスト勉強中、焼塩が「花火大会に温水を誘うか」と八奈見を揺さぶり、静かな牽制と探り合いが行われる場面があった。

・その後、自動販売機の前で八奈見と出会った温水は、名古屋で八奈見が買えなかった土産の「鯱もなか」を彼女だけにこっそり渡そうとした。

・しかし、その渡し方が不自然だったために八奈見を勘違いさせてしまうという、些細なすれ違いによる関係の進展も描かれた。

まとめ

文芸部員の日常を巡る一連の顛末は、試験勉強からの逃亡者を救うための不器用なエールや、先輩たちを交えたアットホームな名古屋旅行、プライベートなパジャマパーティーでの深夜の探り合い、そして部室での細やかな心理戦や鯱もなかが引き起こす微笑ましいすれ違いを積み重ねながら、単なる部活動の枠を超えてお互いの存在を唯一無二の拠り所とし、変化していく曖昧な距離感を楽しみながらかけがえのない青春の1ページと確固たる平穏な関係を完璧に奪還するに至る、瑞々しい日常の記録である。騒がしい捕獲作戦から、親密なパーティー、そして日常の中での静かな探り合いへと繋げたプロセスは、不条理な失恋や人間関係の難しさを経験した彼らが、共に過ごす時間のなかで育んだ居心地の良さを示している。最終的に、思春期特有のじれったい距離感や言葉にできない感情を、日々の他愛のないやり取りと温かい気遣いによって打破し、自らの未来と仲間たちの「帰る場所」を完璧に守り抜いた結末は、どれほど複雑な恋心や関係性の揺らぎによって生の平穏が脅かされようとも、本質を突いた対話と確固たる友情によって打破され、新しい幸福を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

白玉リコ

『負けヒロインが多すぎる! 8.5』における白玉リコは、温水和彦の「偽の彼女」という立場を最大限に利用しつつ、計算高い小悪魔的なアプローチと、その裏に隠された年相応の脆さを併せ持つ魅力的なキャラクターとして描かれている。本巻での彼女の主な動向、温水の妹・佳樹との激しい心理戦、そして他のヒロインたちを圧倒する積極的なアプローチについての解説は以下の通りである。

みのり対策の強引なおうちデート決行と、帰り道の腕組みによる揺さぶり

白玉は、義姉のみのりに温水を「彼氏」として会わせるため、半ば強引に温水を自宅に招き入れた。

・私がフリーになるとこれまでみたいに田中先生に甘えられなくなっちゃう、と温水に責任を取るよう迫っておうちデートを実現させた。

・自室で温水と二人きりになった際、彼の肩に頭を乗せるなど親密な行動を見せた。

・駅への帰り道には、お姉ちゃんとお兄ちゃんの前でいい子の私でいるのは少し疲れます、と姉夫婦の新しい関係の中で居場所に悩む繊細な本音をこぼした。

・その一方で、帰り道に温水の腕を強引に組み、本当の彼氏になったらお姉ちゃん驚くかな、と冗談めかして揺さぶりをかけるしたたかさも見せた。

高級クッキー突撃持参による恋愛観アピールと、佳樹の脳内婿採点マイナス獲得

本巻における白玉の最大の見どころは、温水の妹である佳樹との間で繰り広げられる極めて緊迫した心理戦である。

・休日に突然温水家を突撃訪問し、佳樹に対してエシレバターや海外製の高級小麦粉を使った本格的な手作りクッキーを振る舞った。

・付き合っちゃえば好きになるタイプ、形から入る、と自身の恋愛観を語り、温水を狙っていることを匂わせて佳樹を激しく警戒させた。

・温水家でのパジャマパーティーでも、夕食の片付けを手伝いながら佳樹の料理のコツを的確に見抜きつつ、部長さんのあんな人のお嫁さんになりたいな、と笑顔で牽制し合った。

・佳樹の脳内で行われたお兄様のお嫁さん候補の採点において、白玉は周囲へのさりげない指摘やアプローチの鋭さから、佳樹に最も危険視される存在となった。

二人きりケーキ作り提案による周囲の青ざめと、お姫様抱っこへの目なき笑顔追及

他のヒロインたちが温水に対して不器用で素直になれない中、白玉のアプローチは非常に直接的で際立っている。

・佳樹の誕生日ケーキを作るための臨時部会では、誰もいない私の家で二人きりで作ろう、と提案して八奈見や小鞠を青ざめさせた。

・パジャマパーティーの夜には、キャミソール風のノースリーブパジャマで華奢な肩を見せるなど、自身の魅力を臆せずアピールした。

・焼塩をベッドで抱きかかえてしまった温水に対し、いつまでお姫様抱っこしてるんですか、と目の笑っていない笑顔で問い詰めるなど、周囲を圧倒する独占欲と存在感を示した。

まとめ

白玉リコの動向を巡る一連の顛末は、姉夫婦との関係変化に悩む寂しさを「偽の彼女」という関係のなかに隠しつつ、突発的なおうちデートや腕組みによる揺さぶりを仕掛け、温水家への急襲やパジャマパーティーでの佳樹との張り詰めた心理戦を通じて自らの恋心を隠さずアピールし、他のヒロインたちが躊躇するなかで二人きりの空間を大胆に要求しながら、ふと見せる脆さと強力な小悪魔的魅力で温水の日常を大きくかき回し、自らの居場所と彼との関係性を主体的に切り拓いていく強烈な存在感の記録である。偽装関係の構築から、妹への牽制、プライベートでの大胆なアプローチ、そして胸に秘めた寂しさの吐露へと繋げたプロセスは、単なる負けヒロインにとどまらない、彼女の計算高さと人間味溢れる魅力を示している。最終的に、周囲の戸惑いや自らの複雑な家庭環境による不安を、持ち前の積極性と確固たるアプローチによって打破し、自らの未来と温水の隣という特別な場所を完璧に守り抜こうとする結末は、どれほどじれったい関係や周囲の警戒によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いたしたたかな戦略と確固たる意思によって打破され、新しい幸福を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

登場キャラクター

ツワブキ高校 文芸部

温水和彦

文芸部の部長であり、周囲の騒動に巻き込まれやすい立場にある。周囲の女子たちとの関係性について探られることが多い。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校文芸部・部長。

・物語内での具体的な行動や成果
 焼塩檸檬の捕獲作戦に参加した。妹の誕生日のために焼塩家で手作りケーキを完成させた。名古屋旅行では部員たちと大須を散策し、夜には焼塩とテレビ塔で夜景を眺めている。白玉リコの実家を訪れ、彼氏役を演じた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 馬剃天愛星から告白を保留されている状態である。白玉リコからは偽の彼氏として扱われている。

八奈見杏菜

食欲が旺盛であり、ダイエットを試みつつも食べ物の誘惑に負けることが多い。温水和彦の世話を焼くことを自負している。袴田草介とは幼馴染である。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校文芸部・部員。

・物語内での具体的な行動や成果
 焼塩の捕獲作戦に参加したが、疲労して離脱した。新菜早苗とラーメン店を巡り、大量の食事を平らげた。袴田草介に異性として意識させるため、夜の歩行者天国へ誘っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 名古屋の夜に温水が焼塩と出かけたことを気にかけ、温水と二人で話す機会を持った。

小鞠知花

人見知りな性格であり、文芸部の副部長を務めている。温水和彦に不満をこぼしつつも、周囲の人間関係の中で少しずつ成長を見せている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校文芸部・副部長。

・物語内での具体的な行動や成果
 試験勉強から逃げた焼塩のために、綾野光希に頼んで対策資料を用意した。こども未来館で妹の陽奈が迷子になり、馬剃天愛星と協力して探し出した。名古屋旅行で迷子になった際、玉木慎太郎に東京への進学希望を明かしている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去の部長会での出来事について天愛星から謝罪を受けた。その変化を天愛星から指摘されている。

月之木古都

ツワブキ高校を卒業し、名古屋の大学へ進学した文芸部のOGである。後輩たちのことを気にかけ、夕食を振る舞うなど世話焼きな一面を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校文芸部・OG。大学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 名古屋を訪れた文芸部員たちを自宅に迎え、手巻き寿司の夕食を準備した。温水に対して、進路について早くから考えるよう助言を与えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実家の酒蔵を継ぐ話が出ている。玉木慎太郎が婿として入社する可能性が浮上している。

玉木慎太郎

ツワブキ高校を卒業し、名古屋の大学へ進学した文芸部のOBである。月之木古都と交際しており、彼女の部屋によく出入りしている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校文芸部・OB。大学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 大須商店街で迷子になった小鞠知花を偶然発見し、合流先まで案内した。小鞠から東京の大学へ進学する計画を打ち明けられ、秘密を守ると約束を交わした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大学の実習やレポートに追われている。将来は月之木家の酒蔵へ入社する計画を立てている。

ツワブキ高校 生徒会

馬剃天愛星

ツワブキ高校生徒会の会長であり、真面目で責任感が強い。過去の自分の振る舞いを反省し、関係者への謝罪を試みている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校生徒会・会長。

・物語内での具体的な行動や成果
 こども未来館で小鞠の妹探しを手伝った。陽奈の無事を確認した後、過去の部長会での態度を小鞠に謝罪した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 温水に告白している。その返事を保留されている。

桜井弘人

ツワブキ高校生徒会の副会長である。周囲の女子からの苦情に対応するなど、苦労が絶えない立場にいる。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校生徒会・副会長。

・物語内での具体的な行動や成果
 温水や綾野光希とハンバーガーショップで生徒会選挙の打ち上げを行った。白玉リコが生徒会に入ったことで男子生徒が協力的になったと説明した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 小学生の頃から小春という恋人がいることを温水たちに明かした。

白玉リコ

ツワブキ高校生徒会の書記であり、文芸部にも所属している。計算高い振る舞いをしつつ、内面には繊細な部分を抱えている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校生徒会・書記。文芸部・部員。

・物語内での具体的な行動や成果
 姉夫婦を納得させるため、温水に彼氏役を演じさせた。温水の家で佳樹と静かに張り合い、自身の恋愛観を語った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 温水に対して、偽装交際から本当の交際に発展させる可能性を匂わせている。

放虎原ひばり

ツワブキ高校の前生徒会長である。真面目で面倒見が良いが、過去の感情に区切りをつけようとしている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校前生徒会・会長。

・物語内での具体的な行動や成果
 旧校舎の倉庫で朝雲千早と遭遇し、壁の穴や工具を見つけて不審に思った。従弟の桜井家へ野菜を届けに行き、キャベツ畑の奥にある木立で過去の感情を整理した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 進学を控えている。過去の思い出を曖昧なものとして置いていく決意を固めた。

志喜屋夢子

元生徒会役員であり、独特のペースで他者と接する。実家の会社が運営する園芸店で働いている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校前生徒会・役員。園芸店の店員。

・物語内での具体的な行動や成果
 熱中症で倒れていたところを焼塩檸檬に助けられ、冷たい体を密着させた。園芸店で職場体験に来た橘たちに水やりや品出しを教えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 佳樹に対して、温水とボードゲームカフェへ行くなどの交流があることを明かした。

ツワブキ高校 陸上部

焼塩檸檬

陸上部のエースであり、天真爛漫な性格である。勉強が苦手で、期末試験から逃げ回る騒動を起こした。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校陸上部・部員。

・物語内での具体的な行動や成果
 期末試験の勉強から逃亡したが、温水や陸上部員の包囲網を突破した。小鞠から渡された対策資料を受け取り、勉強に向き合う決意を見せた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 駅伝の強豪校から声がかかっている。陸上を続けるか将来の進路について悩んでいる。

倉田

女子陸上部の部長であり、部員たちをまとめる役割を担っている。焼塩の成績を心配し、積極的に行動を起こす。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校陸上部・部長。

・物語内での具体的な行動や成果
 焼塩の捕獲を文芸部に依頼し、羊羹を報酬として提示した。最終防衛線として焼塩を待ち構えたが、あっさりと抜き去られた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 捕獲に失敗して落ち込んだものの、部員たちに励まされて立ち直った。

ツワブキ高校 新聞部

恋川ツクシ

新聞部の部員であり、活動資金を集めるために手段を選ばない。特ダネを狙って校内を飛び回っている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校新聞部・部員。

・物語内での具体的な行動や成果
 朝雲千早の勉強法を取材するため放送室を訪れた。隠し撮りした写真が入ったSDカードを佳樹から突きつけられ、朝雲から警告を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 朝雲から友達になりたいと提案された。逃げ道がないことを悟り、その手を握り返した。

ツワブキ高校 その他の関係者

朝雲千早

学年主席の成績を持つ優秀な生徒である。校内の設備を独自に調べ、奇抜な方法で問題を解決しようとする。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校2年E組・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 足音と目撃情報から焼塩の居場所を絞り込む追跡アプリを提供した。旧校舎の音響設備を調べているところを放虎原ひばりに見つかり、ごまかした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 恋川ツクシの隠し撮りを暴いた。彼女を協力者として引き入れた。

綾野光希

世話焼きでお人好しな性格の男子生徒である。かつて焼塩に勉強を教えていた。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 小鞠からの依頼を受け、焼塩のためのテスト対策資料を準備した。温水や桜井とハンバーガーショップで生徒会選挙の打ち上げを行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 桜井に恋人がいることを以前から知っている。温水にその事実を伝えた。

姫宮華恋

周囲を明るくするような華やかな雰囲気を持つ女子生徒である。袴田草介と交際している。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 一人で教室を出ようとした小鞠を視聴覚室へ誘い、会話を試みて距離を縮めた。自宅で草介と勉強会を開き、英語の指導を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 草介との夕食を優先した。八奈見杏菜からの誘いに対する返事を変更した。

袴田草介

八奈見杏菜の幼馴染であり、姫宮華恋と交際している男子生徒である。鈍感な一面がある。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 夜の歩行者天国で八奈見と射的を楽しみ、彼女に無理をして飾る必要はないと伝えた。華恋の自宅での勉強会では、誘惑に乗らず勉強に集中した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 八奈見が異性から声をかけられたことを気にかける様子を見せた。

甘夏古奈美

温水たちのクラス担任であり、生活指導に厳しい教師である。面倒見の良さを隠している。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校・教諭。

・物語内での具体的な行動や成果
 大みそかに風邪と食あたりで寝込んでいたところを、小坂小夜に看病された。白玉家の客間で温水と面会し、複数の女子と親しくしていると疑って追及した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 大学時代に刺された小坂を助けた過去がある。現在も腐れ縁が続いている。

小坂小夜

ツワブキ高校の養護教諭である。甘夏古奈美とは高校時代からの友人関係にある。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校・養護教諭。

・物語内での具体的な行動や成果
 大みそかに体調を崩した甘夏の部屋を訪れ、消化の良いおかゆを作って酒宴を開いた。白玉家で温水と面会し、刃物で刺された際の身の守り方を助言した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 白玉リコのことを昔から知っている。彼女を大切にするよう温水に忠告した。

田中先生

ツワブキ高校の教師であり、白玉リコの義兄である。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校・教諭。

・物語内での具体的な行動や成果
 おうちデートをしている温水と白玉のいる部屋を訪れ、ケーキを食べるよう二人に声をかけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 白玉みのりと結婚した。リコの義兄となった。

男子卓球部

ツワブキ高校の部活動の一つである。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校・部活動。

・物語内での具体的な行動や成果
 甘夏先生の招集に応じた。逃亡した焼塩を上階から追い込む役割を担った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 包囲網の形成に貢献した。最終的に焼塩に逃げられた。

鳥を見る会 元会長

鳥を見る会の元会長である。真面目そうな外見をしている。

・所属組織、地位や役職
 ツワブキ高校鳥を見る会・元会長。

・物語内での具体的な行動や成果
 本編に直接の登場はしていない。朝雲千早から、恋川ツクシの隠し撮りに関与しているのではないかと疑われた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 問題を起こして鳥を見る会が仮廃部となる原因を作ったとされている。

桃園中学

温水佳樹

温水和彦の妹であり、兄を深く慕っている。料理や家事が得意で、兄の周囲の女子を警戒している。

・所属組織、地位や役職
 桃園中学・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 兄の用意した誕生日サプライズを予定から把握し、権藤アサミの家で過ごした。放送室で恋川ツクシにSDカードを突きつけ、朝雲に協力した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 温水家のパジャマパーティーを主催した。お嫁さん候補として文芸部女子たちを採点している。

権藤アサミ

温水佳樹の親友であり、橘聡に好意を寄せている。ぶっきらぼうだが友達思いである。

・所属組織、地位や役職
 桃園中学・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 佳樹の誕生日に手作りのオムライスを振る舞った。園芸店での職場体験中、橘が志喜屋と話し込む様子を眺めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 季節の移ろいとともに、橘に対する態度が少しずつ変化してきている。

橘聡

園芸部の部長であり、植物に対して強い関心を持っている男子生徒である。

・所属組織、地位や役職
 桃園中学園芸部・部長。

・物語内での具体的な行動や成果
 園芸店での職場体験に参加した。志喜屋夢子に野菜の育て方を質問した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 甘夏先生に告白した過去がある。権藤アサミから好意を向けられている。

焼塩ナギ

焼塩檸檬の妹であり、冷静でしっかりとした性格である。姉の行動に呆れることが多い。

・所属組織、地位や役職
 桃園中学・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 自宅で温水和彦と対面した際、姉との関係を警戒して問い詰めた。カモメリアの社会科見学で檸檬の無知な説明に付き合った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 志喜屋夢子が檸檬に密着している光景を目撃した。その様子に言葉を失った。

その他の高校・関係者

新菜早苗

八奈見杏菜の中学時代の友人であり、一緒に食べ歩きを楽しむ仲である。愛称はニーナ。

・所属組織、地位や役職
 キリノキ高校演劇部・副部長。

・物語内での具体的な行動や成果
 八奈見とラーメン店カドワラを訪れ、チーズを加えたトマト麺を食べた。温水への不満を語る八奈見に、好意を持っているのではないかと指摘した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 八奈見が食欲を取り戻したことを喜んでいる。

呉羽澄

八奈見杏菜の友人であり、彼氏がいる女子生徒である。愛称はごっちん。

・所属組織、地位や役職
 高校生。

・物語内での具体的な行動や成果
 八奈見の温水に対する愚痴を聞いた。相手に異性として意識させるようアドバイスを送った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 八奈見に夜の歩行者天国へ袴田草介を誘うことを提案した。

根岸加南子

八奈見杏菜の友人であり、最近彼氏ができたばかりの女子生徒である。愛称はネギちゃん。

・所属組織、地位や役職
 高校生。

・物語内での具体的な行動や成果
 幼馴染から告白されて交際を始めたことを八奈見に報告した。暗闇で手をつなぐなどの独特な願望を明かした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 交際報告によって、八奈見に焦りを感じさせるきっかけを作った。

小春

桜井弘人の幼馴染であり、現在の恋人である。

・所属組織、地位や役職
 高校生。

・物語内での具体的な行動や成果
 本編に直接の登場はしていない。桜井の家に遊びに行く予定を立て、彼に電話をかけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 小学生の頃から桜井と付き合っている。

家族

小鞠陽奈

小鞠知花の四歳の妹である。姉と同じ髪型をしている。

・所属組織、地位や役職
 小鞠知花の妹。

・物語内での具体的な行動や成果
 こども未来館で迷子になった。子育てプラザの絵本コーナーで眠っていたところを発見された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 成長により、子育てプラザの対象年齢から外れつつある。

田中みのり

白玉リコの姉であり、田中先生と結婚した。旧姓は白玉である。

・所属組織、地位や役職
 白玉リコの姉。

・物語内での具体的な行動や成果
 自宅で温水を迎え、リコの好きなところを尋ねて彼氏としての適性を探った。帰り際に温水を部長さんと呼び、リコを頼むと告げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 温水とリコの関係が偽装である可能性に気づいている素振りを見せた。

袴田美琴

袴田草介の姉であり、スタイルの良い女子大生である。

・所属組織、地位や役職
 袴田草介の姉。大学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 朝食の場で、草介は八奈見のような体形が好みなのかと尋ねた。草介が恋愛に夢を持ちすぎていると評した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ダイエットを理由に朝食をトマトジュースだけで済ませた。

袴田の母

袴田草介の母親であり、八奈見杏菜を娘のように可愛がっている。

・所属組織、地位や役職
 袴田草介の母。

・物語内での具体的な行動や成果
 朝食を用意し、草介が忘れた弁当を八奈見に託した。草介と八奈見の仲が進展しないことをもどかしく思っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 八奈見の性格を評価している。草介との関係を応援している。

檸檬の母

焼塩檸檬の母親であり、ケーキ作りを得意としている。

・所属組織、地位や役職
 焼塩檸檬の母。

・物語内での具体的な行動や成果
 自宅に温水を招き、誕生日ケーキの作り方を指導した。温水の家族構成や健康状態を詳細に尋ねた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 檸檬を家庭的で良い嫁になると褒めた。温水にアピールした。

放虎原の母

放虎原ひばりの母親である。娘を心配する優しい性格を持つ。

・所属組織、地位や役職
 放虎原ひばりの母。

・物語内での具体的な行動や成果
 木立に入ったひばりを心配して迎えに行き、靴が泥で汚れたことを悲しんだ。ひばりに対して突然の謝罪をした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ひばりの感情を気遣っている。その謝罪は曖昧なものであった。

展開まとめ

ターゲットは小麦色 

期末試験と焼塩捕獲作戦

天愛星との距離

期末試験を控えた温水和彦は、文芸部の勉強会へ向かう途中で馬剃天愛星と出会った。天愛星は放虎原ひばりや志喜屋夢子と勉強する予定だと話し、温水を誘ったが、彼は八奈見杏菜と小鞠知花との先約を理由に断った。天愛星は最近下の名前で呼ばれなくなったことを指摘して去り、温水は告白を保留されて以降、彼女との心の距離が近くなり、会話を楽しいと感じている自分を認めた。

文芸部の勉強会

部室では、試験範囲の広さを警戒する小鞠に対し、温水と八奈見は勉強への危機感が薄かった。ダイエット中の八奈見は冷蔵庫のプリンに執着しながら、白玉リコが生徒会室の勉強会に参加していると知ると、温水が後輩女子や生徒会の女子たちに囲まれていることを責めた。さらに天愛星との関係を探るように尋ね、温水は告白の件を隠したまま曖昧に答えた。二人のやり取りは、小鞠の注意によって中断された。

逃げ出した焼塩檸檬

女子陸上部部長の倉田が部室を訪れ、期末試験対策から逃げ出した焼塩檸檬の捕獲に協力してほしいと頼んだ。焼塩が赤点を取れば、夏休みの特別補習によってインターハイ出場に影響する可能性があった。倉田が羊羹を報酬として提示すると、八奈見は即座に協力を申し出た。

朝雲千早の追跡アプリ

文芸部への出入りを禁じられていた朝雲千早も現れ、独自の追跡アプリを使った捜索を提案した。アプリは校内の足音や陸上部員から集めた目撃情報をAIで解析し、焼塩の居場所を絞り込む仕組みであった。安全性の警告や多数の連携許可を気にせず承認させる朝雲に、温水と小鞠は警戒したが、倉田や八奈見はアプリを導入した。

失敗した挟み撃ち

朝雲の指示を受けた温水と八奈見は、油断した焼塩を前後から挟む作戦を実行した。しかし、高速で校内を逃げ回る焼塩には近づくことすらできず、八奈見はすぐに疲れ果てた。八奈見は運動後なら太らないという理屈でコーラを飲み、さらに部室のプリンを食べるため捜索から離脱した。

甘夏先生の参戦

温水は甘夏古奈美に焼塩の補習を免除できないか相談したが、甘夏は学生の本分は勉強であり、進級できたこと自体が奇跡だったと答えた。昨年、焼塩がローマ帝国を現存する国だと思っていたことも明かされた。温水が世界史の赤点による学校の評判や高総体の報告会への影響を示すと、甘夏は男子卓球部を集め、焼塩の捕獲に加わった。

陸上部の敗北

男子卓球部が上階から焼塩を追い込み、女子陸上部が一階で待ち受ける包囲網が作られた。最終防衛線を任された倉田は、疲労した焼塩なら捕まえられると自信を見せたが、焼塩は陸上部員たちの追撃をかわし、倉田もあっさり抜き去った。敗北した倉田は落ち込んだものの、朝雲や部員たちに励まされ、新たな作戦へ向かった。

クワガタの罠

朝雲は立派なオオクワガタを餌にして焼塩を呼び出し、弓道場の裏でネットを使って捕らえる作戦を立てた。温水が虫籠を持って待っていると、焼塩は包囲する生徒たちに気づかれないまま背後に現れた。焼塩は勉強しても理解できず、陸上部員たちに迷惑をかけていることを悩んでいた。かつて受験勉強を支えてくれた綾野光希には、現在の関係から頼れないと考えていた。

温水を人質にした脱出

焼塩は今回の試験を一人で乗り越えると決めたが、集まった陸上部員たちへそのまま降参するのはつまらないと考えた。彼女は温水の首に腕を回して人質に取り、手を出せば首を折ると宣言した。包囲網が道を開けると、焼塩は温水からクワガタを奪い、礼を告げて逃走した。

小鞠の対策資料

焼塩は図書室へ向かい、一人で試験勉強を始めようとした。そこへ小鞠が現れ、逃げようとした焼塩を座らせた。小鞠は焼塩のために綾野へ頼み、理解度の確認表や進捗表、段階別の勉強法をまとめた対策資料を用意していた。綾野は依頼された当日に渡せるほど以前から資料を準備しており、焼塩は世話焼きでお人好しだった彼との過去を思い返した。

インターハイへの応援

小鞠は分からないところがあれば教えると申し出て、自分も焼塩がインターハイで走る姿を楽しみにしていると伝えた。焼塩は小鞠に感謝し、周囲の思いに応えるため、頬をたたいて教科書を開いた。

八奈見・ラーメン・食べ歩き 

八奈見とニーナの食べ歩き

温水への不満

八奈見杏菜は豊橋公園近くのラーメン店カドワラを訪れ、中学時代の友人である新菜早苗に温水和彦への不満を漏らした。温水からラーメンへ誘われたものの、一か月以上たっても具体的な話が進まず、八奈見は雑誌の記事を見せるなどして店へ誘うきっかけまで与えていた。それでも温水が反応しないため、自分に興味がないのかと苛立っていたが、ニーナに好意を指摘されると強く否定した。

から揚げの食べ比べ

二人は注文したから揚げを、何もつけない状態から特製スパイスやレモスコ、YUZUSCOへと味を変えながら堪能した。食べ終えたニーナは、温水が誘いを実行しないため八奈見の機嫌が悪いのだと改めてからかった。八奈見はデートではないと否定しながらも、すでに誘われていることにはこだわった。

八奈見の回復

ニーナは八奈見が以前より元気になったことを喜び、食欲まで失っていた時期を本気で心配していたと明かした。八奈見は温水の世話を焼く必要があったため、自分が落ち込んでいる暇がなかったと話した。温水のおかげで立ち直れたことも素直に認めたが、自分が彼を支えているという形で説明した。

肉塩ラーメンと切り返し

八奈見は大盛りの肉塩ラーメンと小ライス、ニーナはチーズを加えた大盛りのトマト麺を食べ始めた。八奈見は澄んだスープや細麺、味の染みた大根と豚軟骨を夢中で平らげ、続いて担々麺風の替玉である切り返しを注文した。さらに残ったスープへ小ライスを入れ、器の中をすべて食べ尽くした。

次のラーメン店

ニーナはトマト麺のスープとチーズを小ライスに合わせて食べ、欲しそうに見つめる八奈見から器を遠ざけた。食事を終えた二人だったが、ニーナが丸源ラーメンの割引クーポンを示すと、八奈見は大盛りの肉そばと鉄板玉子チャーハンを即座に選んだ。二人の週末の食べ歩きは、まだ始まったばかりであった。

友情は煩悩の数よりも 

甘夏古奈美の大みそか

病床の大みそか

甘夏古奈美は風邪と食あたりで寝込み、大みそかを一人で過ごしていた。愛猫の玉吉に起こされて餌を用意しようとしたが、猫缶を切らしていることに気づいた。体調が悪いまま買い物へ出ようとしたところ、旧友で養護教諭の小坂小夜が訪ねてきた。

小坂小夜の看病

小坂は散らかった食器を片付け、持参した猫缶を玉吉に与えた。さらに腹痛を訴える甘夏のため、消化のよい食事を作ると告げて休ませた。甘夏は食あたりの原因が古いクリスマスケーキであることを隠し、小坂が料理をする姿を眺めながら眠りについた。

出汁の利いたおかゆ

目を覚ました甘夏には、玉子や細かく刻んだ肉と野菜を入れたおかゆが用意されていた。小坂は食べやすくても物足りなくならないよう、出汁をしっかり取っていた。甘夏はその味に感心したが、小坂がビールを飲み始めると、自分も日本酒を飲みたいと言い出した。

年越しの酒宴

小坂は一杯だけと釘を刺したものの、二人の酒宴が始まり、甘夏は三杯目の日本酒を手にしていた。甘夏が大みそかまで看病してくれた理由を尋ねると、小坂は立場が逆なら甘夏も同じことをしたはずだと答えた。

成人式の事件

小坂は大学二年の成人式で刺された際、甘夏が周囲のデマを収めるために奔走してくれた過去を持ち出した。甘夏は照れながら忘れたふりをしたが、小坂への恩を否定しきれなかった。二人は生きて年を越せることに乾杯した。

変わらない二人

小坂は傷跡が目立たなくなった腹を見せ、鍛えた身体は酔った男をベッドへ運ぶ際に役立つと軽口を叩いた。甘夏が再び刺されると呆れると、小坂はそれも女の勲章だと笑った。

その節はお世話になりました 

迷子の陽奈と天愛星の謝罪

迷子になった陽奈

こども未来館にこにこを訪れた馬剃天愛星は、読み聞かせ会のチラシを届けた直後、妹の陽奈を見失った小鞠知花と出会った。小鞠は建物内を探しても見つけられず、天愛星に助けを求めた。天愛星は正面出入口を小鞠に見張らせ、自分は駐車場と建物の外周を探した。

館内の再捜索

外に陽奈の姿がなかったため、天愛星と小鞠は研修室や館内の未確認場所を調べた。それでも見つからなかったが、陽奈が以前よく遊んでいた子育てプラザの存在を思い出した。二人が急いで向かうと、陽奈は絵本コーナーで本を開いたまま眠っていた。

部長会への謝罪

陽奈の無事を確認した小鞠は、天愛星がなぜ手伝ったのか尋ねた。天愛星は、以前の部長会で余裕を失い、小鞠にひどい態度を取ったことへの罪悪感を解消したかったと打ち明けた。当時は時間を守ることしか考えられず、周囲が見えていなかったと認め、深く謝罪した。

小鞠の変化

小鞠は自分にも非があり、天愛星だけが悪いわけではないと答えた。天愛星は、以前とは異なり、自分の心に芯を持つようになった小鞠の姿を見て、その変化に温水和彦が関わっているのではないかと感じた。一方の小鞠は、陽奈が好きだった場所でも、成長した今はもう利用する年齢ではないと受け入れた。

届かなかった誘い

天愛星は、自分と小鞠が臆病さや過去の過ちを抱えながらも、周囲の優しさによって前へ進んだ点で似ていると感じた。さらに同じ相手を見つめている可能性も意識し、文芸部で一緒に話したいと誘った。しかし小鞠は即座に断り、妹を抱いて帰っていった。天愛星はその背中を見送りながら、また振られたと呟いた。

温水佳樹生誕祭20〇〇

佳樹の誕生日ケーキ

佳樹の成長

温水和彦は、膝の上で勉強する妹の佳樹が一センチ背を伸ばしたことに気づき、その成長を喜んだ。十五歳の誕生日を迎える佳樹は、受験勉強中も兄を感じられるという理由で英和辞典を希望していたが、温水はさらに何か特別な贈り物を用意したいと考えた。

臨時部会の相談

温水は文芸部員を集め、佳樹へのサプライズとして手作りケーキを贈る計画を相談した。白玉リコは自宅で二人きりで作ろうと積極的に誘い、過去に温水を恋人として紹介した話まで持ち出したため、八奈見杏菜と小鞠知花は険悪な反応を見せた。そこへ焼塩檸檬が現れ、母親がケーキ作りを得意としている自宅を会場に提案した。

焼塩家のケーキ作り

佳樹の誕生日当日、温水は焼塩家を訪れ、焼塩の母親から作り方を教わった。檸檬は部活、父親は出張中であり、温水は焼塩母と二人きりになったことを意識したが、寝起きの妹ナギが現れ、姉との関係を警戒するように問い詰めた。

八奈見と白玉の参加

八奈見と白玉も助っ人として焼塩家に現れた。白玉は高級なバターを持参し、温水に親しげに接した。一方の八奈見は、余った生クリームを食パンにつけて食べるために準備しており、作業中にもパンを食べ続けた。昼食に素麺が出ると過去の苦い記憶を蘇らせながらも、六束を平らげた。

佳樹とゴンちゃん

その頃、佳樹は権藤アサミの家で手作りのオムライスを食べ、誕生日を祝われていた。佳樹は温水の計画を検索履歴や予定から把握していたが、驚く姿を見せることまで楽しみにしていた。ゴンちゃんは、兄だけで心を満たしていた佳樹が少しずつ変化していることを感じながら、もう少し今のままでいてほしいと願った。

完成したケーキ

焼塩母の指導によって、温水はイチゴと生クリームのケーキを完成させた。初挑戦とは思えない出来栄えに全員が感心し、余った材料でもう一つケーキを作ることになった。焼塩母は温水の家族構成や健康状態を詳しく尋ね、帰宅した檸檬を家庭的で良い嫁になると褒めたため、温水は焼塩との結婚生活をぼんやりと想像した。

兄妹の帰り道

ケーキを持って帰る途中、温水はゴンちゃんの家から戻った佳樹と出会った。佳樹は贈られた髪飾りを褒められて喜び、温水に手をつなぐよう求めた。二人は笑いながら家路をたどったが、温水は共に過ごせる時間が減っていることを寂しく思い、佳樹に恋人ができるのはまだ十年ほど先でよいと考えた。

隠しゴトはほどほどに

旧校舎の配線

壁裏の音響設備

早朝、朝雲千早は旧校舎の倉庫で壁を剥がし、図面にも正確な経路が残っていない配線を調べていた。やがて旧校舎全体の音響設備につながる線を発見し、使用可能な部分を確認して新たな回路へ接続する計画を立てた。

放虎原ひばりの来訪

元生徒会長の放虎原ひばりが、英会話の勉強会で使うホワイトボードを取りに倉庫へ現れた。朝雲は壁の穴と工具を隠すため、放虎原に奥の荷物を任せながら段ボールを積み直した。しかしホワイトボードを動かしたことで、隠していた工具が見つかった。

見破られた偽装

放虎原は内張り剥がしや電工ペンチを見分け、壁の穴にも気づいた。朝雲は業者が工事途中で残したものだと説明し、自分が工具を事務室へ届けると申し出た。放虎原は納得したように立ち去ろうとしたが、その配線が落雷後の改修で使われなくなったはずだと告げ、朝雲の説明に矛盾があることを遠回しに示した。

深まる好奇心

朝雲は、放虎原が単なるお人よしではなく、状況を鋭く見抜いていたことを悟った。興味深い人物の多い学校への好奇心をさらに強めると、電工ペンチを握り直し、再び壁裏の配線作業へ戻った。

思い出は綺麗なままで  

カモメリアの姉妹

三河港の社会科見学

焼塩檸檬は、三河湾について調べる妹のナギに付き添い、カモメリアを訪れていた。檸檬は救命艇を潜水艦と勘違いし、展示車両をすべてトヨタ車だと言い張るなど、ナギの調査を混乱させた。

果たせなかった見学

展望室に着いた檸檬は、ナギが小学五年生の社会科見学を風邪で欠席し、この施設へ来られなかったことを覚えていたと明かした。当時、檸檬はナギを看病し、失敗しながらもお粥を作っていた。ナギは今日連れてきてくれたことに感謝し、姉妹は過去を思い出して笑い合った。

双眼鏡の先の人影

檸檬は展望室の双眼鏡から、近くのライフポートとよはしの前に倒れている女性を発見した。死体だと思い込んだ檸檬は、ナギを残して現場へ急行した。

倒れていた志喜屋夢子

倒れていたのは、ツワブキ高校の先輩である志喜屋夢子だった。志喜屋は暑さで力尽き、自動販売機へ向かう途中で倒れていた。檸檬は彼女をベンチまで運び、希望された桃味の水を飲ませた。

志喜屋の接触

檸檬が志喜屋を背負って帰宅を助けようとすると、志喜屋は冷たい身体を密着させ、檸檬の首筋や胸元へ手を伸ばした。檸檬は戸惑いながら制止したが、そこへ追いかけてきたナギが現れ、姉が見知らぬ女性に触れられている光景に言葉を失った。

志喜屋との別れ

志喜屋は教育上よくないと呟いて檸檬の背中から降り、呼んだタクシーで帰ると告げた。檸檬はナギに抱きつかれながら、どこか覚えのある香水の匂いを感じつつ、志喜屋の後ろ姿を見送った。

白玉さんちの田中さん 

白玉家のおうちデート

彼氏役の依頼

温水和彦は経理報告を提出するため生徒会室を訪れ、白玉リコと二人きりになった。白玉は姉のみのりが彼氏に会いたがっていると告げ、温水に自宅へ来るよう求めた。温水は偽装交際を終わらせようとしたが、白玉は兄に甘え続けるために彼氏の存在が必要だと訴え、責任を取るよう迫った。

白玉家の面談

日曜日、白玉家を訪れた温水は、甘夏古奈美と小坂小夜まで同席していることを知った。田中みのりは妹の初めての彼氏として温水を歓迎し、白玉の好きなところを尋ねた。温水は白玉の優しさや家庭的な面、目を離せないところなどを挙げたが、さらに十個答えることになり、疲れ果てた。

教師たちの追及

白玉姉妹が席を外すと、甘夏は天愛星や焼塩檸檬との関係を問いただし、温水が複数の女子と親しくしていると疑った。小坂も白玉は傷つきやすいため一番大切にするよう忠告したが、すべては偽装交際を事実と思い込んだ上での話であった。さらに小坂は、刺された際の身の守り方を説明し、甘夏は保険を紹介すると告げた。

二人きりの部屋

温水は白玉の自室へ招かれ、隣に座った彼女から肩に頭を預けられた。白玉は二人きりの間だけ彼氏のふりを続けようと誘い、明日には忘れてよいと呟いた。温水が動揺しているところへ田中が現れ、並んだクッションを見て気まずそうにしながら、二人をケーキへ誘った。

みのりの疑念

帰り際、みのりは温水を部長さんと呼び、リコを頼むと囁いた。温水はその呼び方から、みのりが偽装交際に気づいている可能性を感じた。白玉は、姉が確信しているのではなく、温水が失言するのを待って探りを入れているのだと推測した。

駅までの同行

白玉は彼女として温水を駅まで送ると申し出たが、実際には家族からの質問を避けるため外へ出てきたのだった。彼女は姉夫婦の前で良い子を演じ続けることに疲れている様子を見せ、温水は何も言えず隣を歩いた。

本当の彼氏

白玉は温水の腕を強引に組み、疑われているなら本当に付き合うのもよいかもしれないと持ちかけた。温水が真に受けて慌てると、白玉は冗談だと笑った。しかし最後に、今のところはと付け加え、将来まで否定はしなかった。

君への距離は何光年 

華恋と小鞠の教室移動

華恋の誘い

三時間目の授業後、小鞠知花は他の生徒が教室を出るのを待ってから、次の授業の準備を始めた。そこへ姫宮華恋が現れ、八奈見杏菜がいないなら一緒に視聴覚室へ行こうと誘った。小鞠は一人で向かおうとしたが、華恋は隣に並んで話しかけ続けた。

玉子豆腐の話題

華恋は小鞠との会話を広げるため、互いの名前や好きな食べ物について尋ねた。小鞠が玉子豆腐を挙げると、華恋は自分も好きだと応じたが、小鞠がドラッグストアの三個パックしか食べたことがないと答えたため、会話は思うように盛り上がらなかった。

少しずつの歩み寄り

小鞠は視聴覚室まで残り八十五秒しかないため、無理に話さなくてもよいと伝えた。しかし華恋は、質問したのは話題に困ったからではなく、小鞠を少しずつ知って仲良くなりたいからだと説明した。小鞠は自分も話すのが嫌ではないと小声で答え、華恋の気持ちを受け入れた。

八奈見の忘れ物

二人の間に和やかな空気が生まれたところへ、八奈見があんパンを食べながら現れた。八奈見は次の授業が視聴覚室であることも、自分が日直であることも忘れていた。慌てて教室へ戻る八奈見を見送り、小鞠と華恋は呆れながら顔を見合わせた。

芽ばえの季節 

園芸店での職場体験

橘を待つ二人

温水佳樹と権藤アサミは、学校の職場体験で郊外の園芸店を訪れていた。集合時間が迫る中、ゴンちゃんは遅れている橘を気にしながらも、彼への好意をからかう佳樹を否定した。やがて橘は先に店内を見学していたことが分かり、植物への強い関心を見せた。

志喜屋夢子の実家

三人を担当したのは、店の経営者の娘である志喜屋夢子だった。志喜屋は橘とゴンちゃんに庭木の水やりを任せ、佳樹を品出しへ連れていった。思いがけない再会に驚いた佳樹は、兄の温水和彦との関係を探ろうとした。

志喜屋との逢瀬

志喜屋は温水とボードゲームカフェへ行き、贈り物の花を一緒に選んだこともあると明かした。佳樹が頻繁にデートをしているのかと尋ねると、志喜屋は温水が自分について何か話していなかったかと気にした。兄から何も聞かされていなかった佳樹は、志喜屋を新たな嫁候補として警戒する必要があると考えた。

野菜を語る橘

水やりや品出し、接客を終えた後も、橘は志喜屋に野菜の育て方を熱心に質問した。二人がスマートフォンを見ながら話し込む姿を見て、ゴンちゃんは不機嫌そうに昼食を続けた。佳樹が志喜屋への嫉妬を指摘すると、ゴンちゃんは自分のほうが背は高いと言い返した。

変わり始めた気持ち

以前は橘と付き合うつもりがないと話していたゴンちゃんだったが、季節の移ろいとともに少しずつ態度が変わっていた。佳樹が素直になるよう促すと、ゴンちゃんは佳樹も同じだと返した。二人は、変化していく関係の中でも、互いの間に変わらないものが残ってほしいと感じた。

過ぎ去りし日々に乾杯を 

八奈見杏菜と袴田草介の幼馴染

袴田家の朝食

八奈見杏菜は、隣家に住む幼馴染の袴田草介を起こし、袴田家で二度目の朝食を取った。十二年来の付き合いから自然に草介の世話を焼き、袴田家の家族にも娘のように可愛がられていた。草介の姉・美琴が八奈見ほどの体形が好みなのかと尋ねると、草介は答えを避けて登校を急いだ。袴田家の女性たちは、仲の良い二人がなかなか交際に至らないことをもどかしく思った。

幼馴染同士の交際

昼休み、八奈見は友人の呉羽澄と根岸加南子に草介との進展がないことを相談した。根岸から幼馴染の恋人ができたと聞いた八奈見は強く祝福したものの、十二年間思い続けても草介にかわされ続ける自分との差を意識した。友人たちは、草介に異性として意識させるため、夜の歩行者天国へ誘うことを提案した。

夜の歩行者天国

八奈見は普段より大人びた服装と髪形で草介と夜の街を歩き、自分から食べ物を欲しがらず、射的などを一緒に楽しむ作戦を実行した。アクセサリーの屋台でピアスに興味を示すと、草介は無理に背伸びする必要はなく、何も着けなくても十分に魅力があると伝えた。八奈見はその言葉を喜び、草介も彼女が他の男性から声をかけられたことを気にしていた。

変わらない食欲

草介は、八奈見が珍しく何も食べていないことに気づき、フランクフルトを一緒に食べようと誘った。八奈見は友人から、相手に誘われた場合は食べてもよいと言われていたため、嬉しそうに屋台へ駆け出した。草介は、変わらない八奈見らしさを微笑ましく感じながら後を追った。

新しい朝の予感

翌朝、八奈見は忘れ物をした草介の弁当を預かり、学校へ向かった。前夜に草介の心へ少し踏み込めたと感じた彼女は、二人の関係に変化が起こることを期待した。花の香りと音楽に包まれるような感覚の中、八奈見は新しい一日への希望を抱いて自転車を走らせた。

いけない華先生 

華恋と草介の勉強会

二人きりの週末

姫宮華恋は自宅に袴田草介を招き、期末試験に向けた勉強会を開いた。草介が大量の教科書や参考書を持参したため、華恋は勉強以外の期待を打ち消し、健全に過ごそうと自分に言い聞かせた。

華恋先生の英語指導

華恋は英語の文法や単語のニュアンスを丁寧に教え、正解した草介の頭を撫でた。草介は華恋から借りた洋書を読み進め、実際の英語表現についても積極的に質問した。二人の勉強は順調に進み、草介は真剣に参考書へ向き合い続けた。

空回りする誘惑

華恋は草介にシャワーを勧めたり、好みだと思ったエプロン姿で紅茶を淹れたりして気を引こうとした。しかし草介は汗拭きシートを使い、台所にいる華恋にもいたずらせず、勉強に集中した。華恋は何度も気持ちを立て直し、彼女として恥ずかしくない態度を取ろうと努めた。

夕食への誘い

八奈見杏菜から翌日の勉強会に誘われた華恋は、当初は朝から参加すると返そうとした。しかし草介の姿を見つめるうちに、夕食も一緒に過ごしたいと思い、彼を引き留めた。草介が喜んで承諾すると、華恋は八奈見への返事を午後から参加できるという内容に変更し、草介との時間を延ばした。

ネクタイとフライドポテト 

生徒会選挙の打ち上げ

選挙後の乾杯

温水和彦は綾野光希、桜井弘人とハンバーガーショップに集まり、生徒会選挙の打ち上げを行った。桜井は天愛星と温水の応援演説に敗れたと認めたが、現在は副会長として新生徒会を支えていた。

八奈見の推薦理由

綾野が八奈見杏菜を桜井の推薦人になった理由を尋ねると、桜井は温水を分からせたいと頼まれたことを明かした。綾野は八奈見の行動に温水への特別な感情を見いだし、さらに天愛星との関係も追及した。温水は友人にすぎないと答え、文芸部員の白玉リコが生徒会に入ったため様子を聞いているだけだとごまかした。

三人だけの生徒会

桜井は、白玉が男子生徒から協力を得る一方、女子からの苦情が自分に集まっていると語った。天愛星とも問題なく活動していたが、生徒会は三人しかおらず、ツワブキ祭までにもう一人ほしいと温水を誘った。温水は即座に断り、文芸部の出し物について考え始めた。

桜井の恋人

通話を終えた桜井は、相手が放虎原ひばりではなく恋人の小春であると明かした。二人は小学生のころから付き合っており、綾野もその事実を知っていた。桜井は仲が良くても交際には良いことばかりではないと語り、長い関係に複雑な事情があることをにじませた。

天愛星への返事

恋人の話を聞いた温水は、天愛星からの告白にいずれ答えを出さなければならないと考えた。返事の先送りを望んだのは天愛星だったが、このまま曖昧にしていれば、彼女から断られる可能性もあった。温水はその場合、自分が振られたことになるのかと考えながら、冷めたポテトを口にした。

移り気な風 

名古屋旅行と焼塩の夜

名古屋到着

温水和彦、八奈見杏菜、焼塩檸檬、小鞠知花は、名古屋へ進学した月之木古都と玉木慎太郎を訪ねた。名古屋駅に着くなり、八奈見は立ち食いきしめんを二分五十秒で平らげた。一行はナナちゃん人形で月之木と合流し、玉木は大学のレポートを終えてから合流することになった。

大須商店街の散策

一行は大須商店街を歩き、八奈見はダイエット中を主張しながら名物料理に引き寄せられた。温水は月之木から進路について尋ねられ、卒業後は実家を出て遠方へ進学するよう両親に言われていると明かした。その途中、小鞠が野良猫を追って迷子になったため、一行は手分けして捜索した。

玉木との再会

迷子になった小鞠は、偶然通りかかった玉木に発見された。二人で大須観音へ向かう中、小鞠は温水への不満を口にした後、卒業後は東京の大学へ進学したいと打ち明けた。奨学金や寮を調べているものの、まだ誰にも話していない将来の希望であった。玉木は二人だけの秘密として受け止めた。

気楽な名古屋旅行

温水は大須観音へ向かう途中、名物のみたらし団子ときなこ団子を食べる八奈見と合流した。八奈見は、温水と出かける際はいつも騒動に巻き込まれるため、今回は何も気にせず遊びたいと語った。温水も、目的や心配事のない外出を悪くないと感じた。

大須観音の願い

大須観音で温水は佳樹の高校合格を祈り、焼塩は次の試験がうまくいくよう願った。焼塩は神頼みに頼る性格ではなかったが、決めた目標のためなら使える力はすべて借りたいと考えていた。一方、小鞠は境内の鳩に囲まれて悲鳴を上げていた。

月之木家の手巻き寿司

月之木の部屋では、全員で夕食の手巻き寿司を準備した。玉木は大学の実習に苦労しながらも、将来は月之木家の酒蔵を継ぐ可能性を考え、まず外部の酒造会社で経験を積むつもりでいた。温水は大勢で食卓を囲むことに慣れていない自分が、仲間たちと自然に食事をしていることを不思議で心地よく感じた。

焼塩の誘い

夕食後、焼塩は歯ブラシを買うためコンビニへ行くと言い、温水を護衛として連れ出した。しかし二人はコンビニを通り越し、バスに乗って栄へ向かった。焼塩は行き先を秘密にしたまま、温水を久屋大通公園とテレビ塔へ案内した。

二人だけの夜景

ライトアップされた公園で、焼塩は温水と写真を撮り、テレビ塔の展望室へ上った。温水が八奈見の話をすると、焼塩は残機が減ったと不機嫌になり、他の女子の話を控えるよう求めた。焼塩は夜景を見るだけでなく、最近二人きりで話す機会がなかったため温水を連れ出したと明かした。

焼塩の不安

焼塩は温水の周囲にいる女子たちを話題にした後、進路について尋ねた。温水が卒業後は外へ進学するつもりだと答えると、焼塩も駅伝の強豪校から声をかけられていると打ち明けた。走り続けたい一方で、その先の仕事や人生まで考えなければならず、自分たちはもう大人なのかと不安を漏らした。

もう少しだけ子供でいたい

焼塩は、少し前まで子供だったのに将来を決めなければならないことへの戸惑いを語り、もう少しだけ子供でいたいと呟いた。温水にはその気持ちのすべてを理解できなかったが、二人は夜景を眺めながら無言で寄り添った。

隠されたメッセージ

屋外デッキには恋人たちのメッセージカードが飾られていた。焼塩はフェンスの前で何かをしていたが、温水が近づこうとすると必死に遠ざけた。温水には、焼塩が何を隠したのか分からなかった。

借りた温水

帰り道、温水が連れ出した理由を改めて尋ねると、焼塩は部長として八奈見や小鞠、白玉の面倒を見る温水を、今夜だけ自分のために連れ出したかったような言葉を途中で止めた。そして温水には八奈見と小鞠がいると寂しげに呟いた。

浮気の一言

八奈見から電話がかかると、焼塩は温水を少し借りただけだと説明した後、彼を見つめながら浮気だと告げた。通話を終えた焼塩は上機嫌で歩き出したが、結局コンビニには寄らず、歯ブラシも買わなかった。温水は最初からすべて焼塩の計画だった可能性に気づきながらも、その笑顔の前では深く考えないことにした。

仲良しシスターズの昼下がり

佳樹と白玉の攻防

突然の訪問

温水佳樹が兄の和彦にコーヒーゼリーを作ろうとしていると、白玉リコが獣耳のカチューシャを着けて訪ねてきた。佳樹は一度応答を切ったが、白玉が和彦との約束を口にしたため、二人きりにさせるより自分の目の届く場所に置くべきだと考えて家へ招いた。

クッキーの約束

白玉が語った約束は、クッキーを作ったら和彦に渡すという内容であり、家を訪れる話ではなかった。白玉は月曜日まで待てずに来たと明かし、佳樹にも手作りクッキーを勧めた。クッキーには高価なエシレバターや取り寄せた材料が使われており、佳樹もその完成度を認めざるを得なかった。

恋愛観の探り合い

白玉は形から入る性格であり、恋愛でも交際してから相手を好きになるかもしれないと語った。さらに年上で優しい相手が合うと匂わせたため、佳樹は年下の相手を強く勧めた。しかし白玉は年齢に関係なく素敵な人は素敵だと返し、和彦の名前を挙げて佳樹を揺さぶった。

二箱目のクッキー

佳樹は和彦にクッキーを渡させまいと、最初の箱をすべて食べきった。白玉は残念がることもなく、もう一箱用意してあると明かした。周到な準備を前に、佳樹は白玉を危険な相手として改めて警戒した。

笑顔の和解

白玉は佳樹と仲良くなれそうだと言い、連絡先の交換を求めた。佳樹も白玉を監視する必要があると判断し、笑顔で応じた。二人が無言のまま連絡先を交換した直後、和彦が帰宅し、佳樹と白玉は同時に玄関へ駆け寄った。

君にこの一杯とお代わりを捧げよう 

八奈見とのラーメン慰労会

精文館での待ち合わせ

温水和彦は、ダイエットを成功させた八奈見杏菜との約束を果たすため、精文館書店で待ち合わせた。八奈見はおしゃれをして現れたものの、併設された店のハンバーガーを凝視していた。温水は今回の食事をデートではなく、文芸部に尽力した八奈見への慰労会だと自分に言い聞かせた。

思い出の中華そば

温水が案内したのは、老舗のうどん店であった。八奈見はラーメン店ではないことに戸惑ったが、メニューにある中華そばが温水の好きな味だと知ると、自分に食べさせたかったのだと嬉しそうにからかった。二人は醤油味の中華そばを注文し、八奈見は甘めのスープと焼き豚を気に入った。

やきぶたとライス

焼き豚がご飯に合うと察した温水は、大盛りのライスと単品のやきぶたを追加した。予想外の厚遇に八奈見は動揺し、温水が自分を好きなのではないかと尋ねた。温水が否定し、遠慮せず食べてよいと伝えると、八奈見は満面の笑みでやきぶたとライスを味わった。

八奈見係の自覚

温水は、肉と米を好意の証しだと受け取る八奈見の単純さに呆れながらも、彼女が変な相手と交際して傷つくことを心配した。頬に米粒をつけ、器からスープを飲み干す八奈見を眺めた温水は、彼女に恋人ができるのはまだ先だろうと考えた。

お友達になりましょう

恋川ツクシとの取引

一人きりの新聞部

新聞部の恋川ツクシは、校内新聞の有料版で活動資金を稼ぎ、仮廃部となった鳥を見る会の再建を目指していた。生徒会選挙の記事で売上を伸ばした彼女は、次の企画として学年主席の朝雲千早に勉強法を取材するため、放送室を訪れた。

校内新聞の脚色

恋川は、教師に見つかる前に新聞を剥がし、詳しい内容を有料で販売していると説明した。また、生徒会選挙の記事では人間関係に憶測を交えたものの、報道には書き手の主観が入るため問題ないと主張した。朝雲はその姿勢に疑問を示し、報道しない自由という言葉も持ち出した。

佳樹の登場

取材を始めようとした恋川の背後に、温水佳樹が姿を現した。佳樹は世の中には触れてはいけないものがあると告げ、落ちていたというSDカードを差し出した。恋川は自分のものだと認め、慌ててカメラへ戻した。

隠し撮りの写真

放送室のモニターには、SDカードに保存されていたツワブキ高校の女子生徒たちの写真が映し出された。いずれも本人に気づかれないよう撮影された際どい構図であり、その中には焼塩檸檬の姿も含まれていた。朝雲は恋川がカードの所有者であることを確認し、映像を職員室へ送れると警告した。

守ろうとした元会長

朝雲が鳥を見る会の元会長も関係しているのではないかと示唆すると、恋川は彼には関係なく、自分一人で行ったことだと即座に否定した。追い詰められた恋川は金銭での解決を持ちかけたが、朝雲は金は必要ないと断った。

新しい友人関係

朝雲は恋川と友達になりたいだけだと告げ、右手を差し出した。暗い放送室で朝雲と佳樹に見つめられた恋川は、逃げ道がないことを悟り、震える手でその手を握り返した。

アネモネの眠る街 

放虎原ひばりの夕暮れ

桜井家への届け物

放虎原ひばりは、従弟の桜井弘人に庭で採れたオクラとキュウリを届け、法事の礼を伝えるため桜井家へ寄ろうとした。しかし弘人の恋人である小春が訪ねてくると知り、邪魔を避けて帰ることにした。弘人に謝られた放虎原は、自分が何か悪いことをされたような気分になった。

木立の跡地

帰宅途中、放虎原はキャベツ畑の奥にある木立へ入り、かつて小屋が建っていたような跡地に立った。進学を控えた自分には未来しかなく、過去の想いや感情は置いていくべきだと何度も言い聞かせていた。やがてすべてが曖昧な思い出になることを願い、その場を後にした。

母との帰り道

畑へ戻った放虎原は、心配して迎えに来た母と出会った。二人は料理の話をしながら家へ向かったが、母は突然ひばりに謝った。放虎原は母にも弘人にも謝る理由はなく、罪悪感を抱いてほしくないと考え、母は悪くないと答えた。

泥に汚れた靴

母は、おろしたばかりの靴がぬかるみで汚れたことを悲しんだ。放虎原はいつかは汚れるものだから構わないと告げ、潮の香りを含んだ風を振り払うように髪をかき上げた。

間違いだらけの パジャマパーティー 

温水家のパジャマパーティー

女子部員たちの来訪

両親が結婚式で家を空けるため、温水家では佳樹の主催で文芸部女子のお泊まり会が開かれた。和彦は巻き込まれる前に外出しようとしたが、早く来た小鞠と焼塩に見つかり、さらに白玉リコと八奈見杏菜まで到着したため、逃げる機会を失った。

焼塩と小鞠のパジャマ

焼塩は到着早々に温水家のシャワーを借り、短パン姿のパジャマに着替えた。小鞠も新しいパジャマを用意していると明かし、和彦が見たいのかと尋ねたため、二人の間には気まずい空気が流れた。和彦は女子たちの会話を眺めながら、現実のパジャマパーティーに興味を抱いた。

佳樹と白玉の笑顔

夕食後、佳樹と白玉は食器を片付けながら互いの料理や家事を褒め合った。しかし白玉が和彦の妻になりたいと匂わせるたび、佳樹は兄は一人しかいないと牽制した。二人は笑顔を崩さないまま、和彦を巡って静かに張り合った。

八奈見の新ダイエット

八奈見は夏ミカンを薄皮ごと食べ、消化の悪い物ほど多くのカロリーを使うという独自理論を披露した。さらに外皮まで食べれば痩せられると主張し、夏ミカンの皮でご飯を包む方法まで考案した。和彦は反論を諦め、差し出された夏ミカンを黙って剥いた。

風呂を巡る誤解

佳樹が客から入浴するよう勧めると、八奈見は小鞠を一緒に風呂へ誘った。焼塩と小鞠が以前にも温水家の風呂を使ったと知った八奈見は、秘密を聞き出すため小鞠を連れていった。一方、佳樹は幼い頃に和彦と入浴していたことを口にし、文芸部女子たちに誤解を与えた。

女子たちの身支度

風呂上がりの八奈見、小鞠、白玉は、それぞれのパジャマ姿で化粧水や乳液を肌になじませていた。和彦は女子たちのパジャマを確認しながら、高校生の身支度の大変さを知った。最後に入浴した和彦は、湯を入れ替えて浴槽を洗っていた佳樹の配慮に、複雑な思いを抱いた。

焼塩のお姫様抱っこ

夜、和彦が自室のベッドに入ると、中で眠っていたのは佳樹ではなく焼塩だった。佳樹だと思って抱き上げたところで女子たちに目撃され、八奈見と小鞠から疑いの目を向けられた。焼塩は寝ぼけたまま和彦の首に腕を回し、白玉は笑顔のまま、いつまで抱いているのかと問い詰めた。

お嫁さん候補の採点

佳樹は自室でパジャマパーティーを始め、文芸部女子たちを和彦の結婚相手候補として採点した。小鞠の髪の手入れや焼塩の飾らない態度を評価する一方、白玉には厳しい減点を重ねた。焼塩が和彦のベッドを時折使っていると明かすと、女子たちは警戒したものの、和彦には何もできないと結論づけた。

和彦の恋の予感

佳樹は、和彦が最近インターネットで男女交際について調べていると暴露した。文芸部女子たちは緊張し、八奈見は恋愛話に備えて菓子を取り出した。佳樹は彼女たちの反応を観察しながら、和彦の結婚相手を見極める機会を続けた。

深夜の八奈見

夜中に目を覚ました和彦は、暗いリビングで一人座っていた八奈見と話した。八奈見は天愛星との関係を尋ね、和彦にその気があるなら自分たちは邪魔をしないと告げた。和彦は天愛星を友達だと答え、生徒会へも入らず、文芸部に残る意思を示した。

友達という関係

八奈見は、かつて自分と友達になるだけで大騒ぎしていた和彦が変わったとからかった。和彦は言い返しながらも、天愛星との関係を尋ねられた緊張が和らいだことに安堵した。二人は新城で過ごした一年前の夜を思い出しながら、以前と変わらないやり取りを続けた。

六人の朝食

翌朝、佳樹は焼きたてのパンやハムエッグ、ミネストローネを用意した。白玉と佳樹は再び笑顔で牽制し合い、ほかの部員たちはそれぞれ朝食を楽しんだ。和彦は、妹や友人、後輩という異なる関係の五人と同じ食卓を囲む状況を見つめ、それぞれが互いをどのように捉えているのかと考えながら、ほろ苦いマーマレードを塗ったパンを食べた。

ポケットに秘密を詰めこんで 

八奈見と焼塩の探り合い

名古屋の夜

放課後の文芸部室で、八奈見杏菜と焼塩檸檬は定期試験の勉強をしていた。八奈見が名古屋旅行の夜に焼塩と温水和彦が二人で出かけたことを尋ねると、焼塩はテレビ塔の夜景を見に行っただけだと平然と答えた。

花火大会の誘い

焼塩は、温水が気になるなら八奈見から誘えばよいと促し、自分はクラスが違うため誘っても構わないのかと揺さぶった。さらに花火大会へ温水を誘おうかと口にし、八奈見を動揺させた。焼塩は練習が忙しく実際には行けないと明かしたうえで、後になって慌てても知らないと忠告した。

逃げ出した八奈見

小鞠知花が部室に現れ、名古屋で焼塩が忘れた歯磨きセットを渡した。焼塩が小鞠にちょっかいを出し始めると、八奈見は飲み物を買うと言って部室を離れた。自動販売機まで来た八奈見は、自分の態度を振り返って落ち込んだ。

夜景への追及

自動販売機の前で温水と出会った八奈見は、彼と並んで部室へ戻る途中、焼塩との夜について問い詰めた。温水が明らかに動揺しながら何もなかったと答えたため、八奈見は一度安心したものの、隠し事がある可能性も捨てきれなかった。

触れた手

歩いている途中、温水の手が八奈見の手に触れた。八奈見は温水が手をつなごうとしたのだと思い、場所や雰囲気、互いの合意が必要だと慌てて訴えた。しかし温水は、名古屋で食べた最中を渡そうとしていただけだった。

鯱もなか

温水は、八奈見が名古屋で買えなかった鯱もなかを家族への土産として購入し、その一つを彼女だけに渡そうとしていた。他の部員に知られないよう手元へこっそり渡したため、八奈見は勘違いしていたのである。事情を知った八奈見は最中を受け取り、皆には秘密にすると言って上機嫌に歩き出した。

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