どんなラノベ?
とある島国が作成した核兵器が直撃しても耐えてしまう超大型兵器オブジェクト。
戦闘機を確実に撃墜し、ミサイルも迎撃してしまう。
おかげで今は、戦争の全てがオブジェクトで決めるようになった。
そんな戦場に派遣留学した学生クウェンサーと貴族だけど下っ端軍人のヘイヴィアの2人が出会う。
詳しくは特設サイトへ
読んだ本のタイトル
#ヘヴィーオブジェクト
著者:#鎌池和馬 氏
イラスト:#凪良 氏
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あらすじ・内容
結局、戦争はなくならなかった。でも、変化はあった。くだらない殺し合いが淡々と続く中にも、変化はあった。 超大型兵器オブジェクト。それが、戦争の全てを変えた。 戦場に派遣留学した学生・クウェンサーは、整備基地で、奇妙な雰囲気を持つ少女と出会う。その少女は『エリート』と呼ばれていた───『オブジェクト』のパイロットとして。 近い将来。このちっぽけな少年は、少女のために、最強の兵器『オブジェクト』に、生身で立ち向かうことになる───。 これは、そのきっかけとなる出会いだった。
ヘヴィーオブジェクト
感想
核兵器よりも強い兵器ヘヴィーオブジェクト。
普通なら兵士はオブジェクトを戦場に誘導するための誘導員程度の扱いだった。
そんなオブジェクトの足元でチマチマと動くだけの兵士達に戦争をしている緊張感は皆無。
そんなユルい戦場で安全国からの留学生でヘヴィオブジェクトの設計士になりたいと夢見るクウェンサー。
もう1人は正統王国の貴族の跡取りで武勲を立てるために軍隊に志願入隊したレーダー分析官のヘイヴィア。
そんな2人はアラスカの雪原でスコップを持って滑走路の地ならしをしていた。
途中から飽きて最新鋭の銃と弾丸を使って鹿狩りをしてしまう不真面目な兵士だった。
だがオブジェクトが負けたら、、
普通は白旗を上げて戦場から撤退すれば良かったのだが、、
対戦相手が宗教国で異教徒との約束は守る必要がないと思っていたらしく。
白旗を揚げても敵のオブジェクトが基地に攻撃して来た。
暢気だった連中は混乱して逃亡するが、オブジェクトは最強の兵器。
逃げ切る事なんか不可能。
それで、オブジェクトのパイロットはわざと救難信号を出して自身に敵が注目するように仕向けた。
その間に部隊は撤退したが、囮になったパイロットのエリート、通称お姫様は敵に捕まってしまう。
そんなお姫様を見捨てられなかった不良兵士2人はお姫様の救出に向かう。
正規な訓練を受けてるのはヘイヴィアだけで、クウェンサーは戦闘は素人だが、、
拘束しようとしていた敵兵士を射殺してお姫様を奪還。
でも、敵オブジェクトが追いかけて来て洞窟に逃げ込んだら見失ってくれたらしく何とか逃亡に成功する。
逃げる処が無いので敵基地に行き敵オブジェクトの交換パーツに細工をして、オブジェクトのAIを勘違いさせて自爆させる。
そして何とか生き残り、生身でオブジェクトを撃破した功績でめでたしめでたしと思ったら、、
今度はジブラルタルの海上で暴れているオブジェクトを何とかして来いと命令されて現地に飛ばされる。
それも何とか撃破して、、
撃破しちゃったよ。
そしたら評議会議員に目を付けられて殺されそうになるがそれすらも運良く回避する。
そんな彼等はまた、、
戦場に送られてしまう。
クウェンサーは正規の軍人じゃ無いのに、、
彼、留学生だよ?
最後までお読み頂きありがとうございます。
次巻↓
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展開まとめ
序章
変わらぬ人間性と変化する戦争の形
地球の隅々まで開発が進み、月に別荘を持つことさえ可能となった時代においても、人間同士の争いは終わることがなかった。人々の心の隙間は技術では埋められず、精神の根底にある争いの衝動は残り続けていた。デジタル化された癒しや精神安定をうたう商品が市場にあふれても、本質的には争いを手放せないままであった。
超大型兵器オブジェクトの登場
戦争の様式を一変させたのは「オブジェクト」と呼ばれる新兵器であった。本体のみで全長五〇メートルを超えるこの兵器は、従来の戦車や戦闘機を旧世代兵器として一蹴する戦闘力を持っていた。その登場により、兵士たちの主な任務は直接戦闘ではなく、オブジェクトを完全な状態で戦場に投入する準備へと変わった。もはや通常兵器による攻撃は豆鉄砲程度とされ、軍事の主役は完全に置き換わった。
島国の先制開発と世界への衝撃
このオブジェクトを最初に提示した島国は、十四ヵ国からなる連合軍の奇襲総攻撃を受けながらも、それらを退けて圧倒的な力を示した。終盤には太平洋上で核攻撃を受けたが、兵器の一部を失いながらも連合艦隊を撃沈し続けた。その戦闘は歴史に刻まれ、現在に至ってもその島国はオブジェクト開発における最先端の地位を維持している。これにより、オブジェクトの力がいかに異質かつ圧倒的であるかが明白となった。
第一章 ガリバーを縛る雑兵達 アラスカ極寒環境雪上戦
オブジェクト戦争の現実と基地の崩壊
戦争はオブジェクト同士の戦闘に集約され、生身の兵士は脇役として扱われていた。アラスカの整備基地では、兵たちが自軍オブジェクトの存在に安住し、戦争を他人事のように眺めていたが、敵のオブジェクトによる奇襲で味方機が爆発すると、状況は一変した。雪原に響く炎と煙に、兵士たちは恐慌状態に陥り、虐殺とも呼べる状況が始まった。
クウェンサーとヘイヴィアの怠慢と狩猟行動
前日、派遣留学生クウェンサーと、元レーダー分析官ヘイヴィアは、雪かき任務を放棄して鹿と鮭を求めて基地外に出た。軍のレーションに飽きた二人は、針葉樹の森をさまよい、銃を手にして狩猟に向かった。オブジェクトが戦争を肩代わりするという現実に甘え、自らの行動に危機感を持つ様子はなかった。
エリート少女との邂逅と技術的会話
川辺で釣りをしていたクウェンサーは、エリートの少女と遭遇した。彼女は自身のオブジェクトが総合型であることに不安を抱き、時代遅れになりつつあることを率直に語った。対してクウェンサーは、学習効率の観点からスタンダード機の整備を選んだと述べた。少女はその言葉に応じつつも、戦場に立つ者としての孤独を滲ませた。
将校フローレイティアの叱責と処分
任務放棄と不法狩猟が発覚し、二人は銀髪の女性将校フローレイティアに呼び出された。彼女は遠隔指揮による作戦を進めながら、軽率な行動に激怒した。結果として、夕食に提供された獲物を受け取りつつ、罰としてヘイヴィアに雪かき継続、クウェンサーには整備場での作業を命じた。
整備場での技術訓練と設計者の夢
クウェンサーは整備主任の老女から、装甲構造やプリント基板式送電装置といった技術知識を学んだ。整備現場では高圧レーザーによる装甲の加工が行われ、彼は設計士としての将来を見据えつつ作業に取り組んでいた。一方、老整備士は、基礎研究としてのレプリカント工学の重要性と、設計思想における教育の偏りについて語った。
エリートの存在と育成の背景
作業中、クウェンサーは操縦士のエリートと再会し、彼女の来歴やオブジェクトとの適合性について知った。エリートは、化学的・電気的手法で選別され、オブジェクト専用に調整された存在であり、その適合条件「エレメント」は人権を犠牲にして成立する制度であった。少女は、自らのオブジェクトが時代遅れとなりつつある現実にも抗えず、それでも操縦を続けていた。
緊急脱出装置の事故と対応
クウェンサーは少女の座席装置の整備中に誤作動を起こし、脱出ベルトが少女の身体を締め付ける事態を招いた。彼は逡巡しながらも救出を試みるが、少女自身が非常脱出ボタンを作動させたことで座席ごと吹き飛ばされ、命をつないだ。クウェンサーは衝撃で倒れ込みながら、脱出装置の機能とその現実の重さを痛感した。
バーベキューと兵士の退屈
クウェンサーは雪がちらつく屋外で、上官フローレイティアや同僚ヘイヴィアと共に鹿肉を使ったバーベキューを楽しんでいた。オブジェクトという超大型兵器が戦争を支配する現代では、兵士たちは暇を持て余していた。フローレイティアも例外ではなく、冗談を交えつつ戦争の実情や航空部隊の役割が希薄であること、さらには軍隊生活の平穏さを語っていた。
オブジェクトによる戦争の実態
フローレイティアは、現在の戦争では敵のオブジェクトを破壊すると即座に勝敗が決まり、白旗を掲げればそれ以上攻撃されることはないと説明した。オブジェクトによる戦争は兵士の犠牲を最小限に抑える効率的で安全なものであり、実際には戦闘による死傷者より男女関係のトラブルで兵士が離脱することが多いほどだった。ただし、ゲリラやテロリストに対する鎮圧作戦においてはこのようなルールは通用しないことも語られた。
突如訪れた敗北とパニック
翌日、自軍のオブジェクトが敵軍のオブジェクトに破壊されるという予想外の事態が発生した。敗北したにもかかわらず敵軍は攻撃を止めず、自軍の基地構成車両や整備施設が次々と破壊され、兵士たちはパニックに陥った。白旗を掲げるというセオリーが通じず、無力な兵士たちは必死に逃げ惑った。
敵オブジェクトの圧倒的破壊力
敵のオブジェクトは、下位安定式プラズマ砲をはじめレーザーやレールガンなど、多数の兵器を装備していた。その火力は圧倒的であり、逃げる基地構成車両群を簡単に破壊し、多くの兵士が犠牲となった。クウェンサーとヘイヴィアも間一髪で死を免れたが、オブジェクトが自軍のメンテナンス設備を意図的に狙って破壊していることに気付いた。
エリート少女の危機と救助信号
クウェンサーは地面に転がっていた通信端末で、味方オブジェクトの操縦士であるエリートの少女が救助信号を発信していることを知る。しかしフローレイティアは、この信号は敵軍の注意を引きつけるためのものであり、少女は自ら犠牲になる覚悟であると説明した。兵士たちはそれを聞いて逃げることを優先し、少女の救助には動かなかった。
クウェンサーの決断
ヘイヴィアは敵の圧倒的な兵器に恐怖し、少女を見捨てて逃げるべきだと主張したが、クウェンサーは反論した。エリートの少女は自分たちを守るために単独で戦っていたという事実を思い出し、クウェンサーは少女を見捨てることができなかった。彼は覚悟を決め、ヘイヴィアからライフルを奪い取り、少女を救出するため敵オブジェクトへ立ち向かう決意を固めたのであった。
吹雪の中の捜索と遭遇
クウェンサーは凍える吹雪の中、エリートの少女を救出するため単独で戦場を奔走していた。未使用のライフルとイヤホン付きのマイクを頼りに、周囲の音を拾いながら索敵を行い、やがて敵兵に拘束された少女の姿を確認した。巨大オブジェクトの姿はなく、彼女を捕らえた兵士達の行為に憤ったクウェンサーは、強い動揺を抱えつつも銃撃を開始し、敵兵を一掃することに成功した。
負傷と救援
戦闘の最中、敵兵の持つライフルに装着されたグレネードが暴発し、クウェンサーは爆風に巻き込まれ重傷を負った。意識が朦朧とする中でヘイヴィアに救助され、自らが致命傷を免れていたことを知る。エリートの少女は無事であり、クウェンサーの行動に心を大きく揺さぶられていた。彼の言葉を通じて孤独な戦いから解放される思いを抱いた少女は、初めて他者に心を開いた。
迫り来るオブジェクトからの逃走
しかし安堵の時間も束の間、敵のオブジェクトが再接近し始める。クウェンサー、ヘイヴィア、少女の三人は、近くの洞窟へ退避し、追撃を逃れるための策としてC4を用いた入り口の封鎖を実行した。偶然にも洞窟には別の出口があり、彼らはそこから脱出して追跡を撒くことに成功した。
反撃への決意と作戦立案
木陰に潜みながら、三人は今後の方針を検討した。敵オブジェクトであるウォーターストライダーは強大すぎて正面からの破壊は不可能であると判断したクウェンサーは、オブジェクトの動作に不可欠な整備機能に着目した。少女の知識を頼りに、ウォーターストライダーのメンテナンスを阻害することで無力化する作戦が提案された。
敵基地への潜入と目標の特定
三人は敵ベースゾーンの裏手から侵入し、脚部のスペアパーツが保管された倉庫を目指して進入した。倉庫内には巨大なタービンが並び、これらが静電気を生み出すことでオブジェクトの浮上を支えていることが判明した。タービンは過剰な発電を避けるための緻密なセンサーで保護されていたが、爆破されれば動力炉のエネルギー制御が破綻し、装置全体が損傷する恐れがあると推定された。
設計思想の違いと戦術的優位
クウェンサーとヘイヴィアは、ウォーターストライダーが雪原特化型の設計であり、移動力を優先するためにタービン性能を極端に高めた結果、定期的な整備が必須であるという弱点を突く決意を固めた。対して、少女が操縦していたオブジェクトは多用途型であり、設計思想が根本的に異なるものであると再確認された。
爆破準備と決戦への布石
クウェンサーはC4を手に、タービンの破壊を準備し始めた。もし整備が不可能になれば、ウォーターストライダーは次第に動作不能となる。基地内のセキュリティが甘いことも彼らにとって幸運であり、作戦の成功可能性は高まりつつあった。やがて、彼らは決戦に向けて最後の行動を開始する。
見張り塔での決断
エリートの少女はベースゾーンへ帰還するウォーターストライダーを察知し、無線使用が敵レーダーに感知される危険を避けて自ら囮となる道を選んだ。彼女は救援を断念させぬため、単身で敵兵に捕縛される覚悟を固めた。
予備パーツ倉庫の混乱
倉庫へ潜入したクウェンサーとヘイヴィアは、脚部用タービンが膨大に備蓄されている現状を前に、手持ちのC4での完全破壊が不可能と判断した。クウェンサーは整備マニュアルを解析し、次回交換予定のタービン内部へ爆薬を仕込み、起爆に必要な信管を組み込んだ。
姫の拘束と衛星経由の救援要請
ウォーターストライダーの帰還に合わせ敵兵が集結し、囚われた少女は公開処刑の場へ連行された。二人は即時救援を求めるため、携行型対戦車ミサイルの赤外線シーカーを衛星信号の反射板として利用し、雪山を下るフローレイティア部隊と短時間の通信を確立して増援を要請した。
オブジェクト爆破作戦
処刑直前、クウェンサーは奪取した無線機で仕込んだC4を遠隔起爆し、タービン内部から脚部を爆破した。安全装置のセンサーを失ったウォーターストライダーは機密保護装置が暴走し、下位安定式プラズマ砲用ガスが動力炉を巻き込む自己破壊を引き起こした。衝撃波と閃光で敵陣は壊滅的打撃を受けた。
援軍到着と基地陥落
爆発で無力化された敵オブジェクトに続き、フローレイティア指揮下の旧式戦車と航空戦力が到着し、オブジェクト依存の敵基地を制圧した。クウェンサー、ヘイヴィア、少女の三名はC4の追加起爆と味方の援護射撃の中、ベースゾーンを突破し撤退に成功した。
帰還と特別表彰
アラスカ戦線の終結後、三名は本国へ帰還し「生身でオブジェクトを撃破した英雄」として国を挙げた特別表彰を受けた。クウェンサーは軍の技術データベースへのアクセス権を獲得し、ヘイヴィアは家名の威光を背景に出世が確定した。少女は改良型オブジェクトへの乗り換え準備を命じられ、次の戦場を待機する事となった。
新たな戦場への配属
式典の壇上で、二人は軍高官から再び最前線への配属を宣告された。爆破の戦果を理由に自軍オブジェクトとの共同作戦要員とされ、三人は否応なく次なる大規模戦闘に投入される運命を悟った。
第二章 親指トムは油田を走る) >ジブラルタル通行阻止戦
オブジェクト整備中の描写と通信のひととき
整備基地ベースゾーンで、エリート少女は自身のオブジェクト「ベイビーマグナム」の整備を受けていた。球形コックピットにて高度なセンサーと入力機器に囲まれた彼女は、多数の操縦システムに精通していた。作戦開始前、彼女はかつて命を救ってくれた友人からのメールを見て喜びのあまり不注意で機体を動かしかけ、整備兵を危うく巻き込む事故を起こしかけた。
作戦の概要と矛盾した命令
クウェンサーとヘイヴィアはフローレイティアから作戦内容を知らされた。ジブラルタル海峡を突破しようとする敵オブジェクトを行動不能にせよという命令だったが、その意図には盗まれた原油の奪還も含まれていた。現場の判断で原油ごと破壊する選択も許されていたが、実質的には敵の海峡突破を阻止することが唯一の目的であった。
油田型ベースゾーンへの展開
クウェンサーらはジブラルタル海峡中央にある急造の海上基地へ輸送され、そこが作戦の拠点であると知らされた。彼らは大型オブジェクトに対応できるよう構築された複数の施設に驚きつつ、パワードスーツの支給があると聞き、わずかな安心感を得ていた。しかし、敵オブジェクトによる砲撃が始まり、隣接するベースゾーンが瞬時に破壊されたことで戦場の過酷さを思い知らされる。
トライコアの襲撃とお姫様の遅延
敵オブジェクト「トライコア」は三基の動力炉を持つ海戦特化型であり、その圧倒的な火力で次々とベースゾーンを破壊した。クウェンサー達はお姫様のオブジェクトによる反撃を期待したが、彼女は陸上でフロート整備中で海上戦に参加できる状態ではなかった。上層部の命令により、彼らはオブジェクトなしで敵に損害を与えるよう求められていた。
海中への退避と奇跡的な生存
トライコアの進撃により海へ投げ出されたクウェンサー達は、重い装備に苦戦しながらも酸素ボンベを使って海中へ潜り、接近する敵オブジェクトから逃れた。しかし、機雷付きネットに絡まれたり、巨大なフロート下で押し潰されそうになったりと、数々の危機に見舞われた。最終的に、海中からトライコアへ乗り込むことに成功した。
敵フロート上での戦闘と調査
トライコアのフロート上に到達した二人は、敵兵と交戦しながらも爆薬の設置を試みた。構造からトライコアが整備施設を内蔵していることを察知し、その弱点を突こうとしたが、有効な攻撃箇所を見つけられずにいた。敵兵の反撃にさらされ、武器も限られる中で時間が刻一刻と迫っていた。
想定外の砲撃とお姫様の参戦
撤退を決意した矢先、遠方からの砲撃がトライコアを直撃し、二人は衝撃で倒れた。現れたのはお姫様のオブジェクトであり、彼女の参戦によりオブジェクト同士の砲撃戦が開始された。トライコアは高出力レールガンを連射し、対するお姫様はコイルガンによる連続射撃で応戦した。装甲の剥離が飛び交う中、クウェンサー達はその激戦に巻き込まれながらも、生存をかけた行動を続けていた。
レーザー砲への要請と脱出計画
戦場の中心にいる危険を自覚したクウェンサーは、流れ弾による被害を避けるため、お姫様に兵装をレーザー系に一時変更するよう要請した。その間に海へ脱出しようという計画を立て、通信状況の悪い中でメッセージを送信する。戦況がますます激化する中、彼らの生存をかけた脱出は始まろうとしていた。
お姫様の誤射とレーザー兵装の暴走
お姫様の操縦するベイビーマグナムは、通信の不調によりクウェンサー達の要請した兵装を誤認し、対人用レーザー兵装WL3B2「キラースコール」を使用した。結果として、トライコアの表面と敵兵に甚大な被害を与えたが、クウェンサー達も巻き込まれかけ、海に飛び込んで退避した。
フロート爆破と成果の乏しさ
クウェンサーはトライコアのフロートに仕掛けていた爆薬を起爆し、石油タンクを爆破した。戦略的には一定の成果があったが、トライコア本体にはほとんど損傷がなかった。二人は救助用ヘリに接近するフローレイティアと合流し、任務の終了を知らされる。
オブジェクト戦の緊迫とトライコアの戦術転換
ベイビーマグナムとトライコアの交戦は続いており、トライコアはお姫様の主砲を狙って破壊する戦術に移行していた。主砲の大半が破損し、お姫様のオブジェクトは劣勢に立たされていた。クウェンサーはそれを見て再び行動を決意し、爆薬を携えて単独で海へ飛び込んだ。
トライコアの弱点発見と潜入
海中からトライコアの動きを観察したクウェンサーは、シャークアンカーに機雷ネットが絡まり、左回転ができないという構造的弱点を発見した。さらにもう一本のアンカーにもネットを絡ませれば、自壊を誘えると判断し、アクアスクーターで急接近して爆薬を設置した。
爆破とオブジェクトの自壊
爆破によってネットがアンカーに巻き付き、二本のシャークアンカーが可動不能となったことで、トライコアはバランスを失った。自重に耐えられなくなった巨体は、中心部から折れ、深海へと沈没した。直後、敵エリートの脱出装置が作動し、戦闘の終結が確定した。
高波による危機と救出
トライコアの沈没により二〇メートル級の高波が発生し、クウェンサーを直撃したが、お姫様のオブジェクトが主砲のアームで彼を救出した。その後、クウェンサー達は大型輸送機へと回収され、安堵の時を迎えた。
任務終了後の休息と次なる命令
輸送機内で三人は簡易シャワーと食事を楽しみつつ、戦いの余韻に浸った。だが、フローレイティアが受け取った無線により、新たな任務が命じられる。オセアニアでの異変に対応すべく、帰還命令は取り消され、三人は再び戦場へ向かうこととなった。
第三章 蟻とキリギリスの戦争 > オセアニア軍事国攻略戦
オセアニアの環境改良と内紛の発端
かつて不毛の地とされたオセアニアは、人工土壌や遺伝子改良植物の技術革新により、環境改良と都市開発が進んでいた。これにより国力を高めようとする政府に対し、伝統的自然観を重んじる「部族」は反発し、軍事国は彼らに対してオブジェクトを用いた武力行使に出た。多国籍軍は部族を守るため介入し、長期にわたる武力対立が始まっていた。
前線基地での準備と日常の一幕
多国籍軍の前線基地には、様々な勢力のオブジェクトが集まり、兵士たちは暑さと緊張の中で作戦準備を進めていた。現地の少女とのささやかな交流や報道関係者への注意喚起、そして任務への不満が交錯する中、エリート操縦士である「お姫様」は、フルート演奏による調整プログラムに取り組んでいた。
予想外の調整妨害と作戦前の混乱
お姫様はフルートによる繊細な演奏を通じて調整を行っていたが、クウェンサーの不用意な行動により演奏が妨げられ、体調に影響が生じた。その後、作戦準備が進み、現場の兵士たちはブリーフィングに臨み、オセアニア軍事国の秘密基地を攻撃する任務が伝えられた。
出撃と同盟軍との連携
作戦が開始され、正統王国と情報同盟の二機のオブジェクトが共に進軍した。エアクッションやキャタピラを駆使しながらの行軍の中で、各国の技術的特徴や連携の難しさが浮き彫りになった。オブジェクトの操縦士同士の意地と牽制も入り混じる中、現場は緊張感に包まれていた。
オブジェクトの圧倒的な攻撃と敵基地の制圧
戦闘は情報同盟のオブジェクトによる連速ビーム砲、お姫様の多機能主砲の連携により、オセアニア軍の施設を圧倒した。敵のオブジェクトは出現せず、基地は徹底的に破壊され、人的被害もなかった。戦闘後、地上部隊が現場を確認し、施設はダミーであることが判明した。
休息と内面の揺らぎ
戦闘終了後、エリート達は戦闘による負荷を軽減するため休息に入った。クウェンサーはスーツの構造やエリートの姿に思いを巡らせ、お姫様の怒りを買ってしまう。また、情報同盟のエリートとの軽妙なやり取りが続きつつも、任務は再び動き出した。
焼却任務と森林破壊
部族の要請により、遺伝子改良された森を焼却する任務が開始された。火炎放射器を装備した部隊とともに、クウェンサーとヘイヴィアは村落がないかの確認を命じられ、地図と照らし合わせながら進行していた。
偶発的な敵兵との遭遇と戦闘の始まり
発見された村には、オセアニア軍の兵士達が駐留しており、村人との金銭のやり取りが行われていた。しかし突然、一人の兵士が何者かに狙撃され、緊張が高まる。スナイパーの存在により村からの退避が難しくなり、クウェンサーとヘイヴィアは自らの判断で小規模な爆破と狙撃による撹乱を実行した。
村の惨状とスナイパーの正体
突入部隊によって村は制圧されたが、オセアニア軍兵士だけでなく村人にも死傷者が出てしまう。地面に散らばる玩具や絵本が戦闘の無惨さを象徴し、ヘイヴィアは怒りを顕にした。最終的に、発端となったスナイパーは報道カメラマンであり、個人的な目的で戦闘を誘発していたことが判明した。彼を見つけたクウェンサーとヘイヴィアは、制裁を加えるべく行動を開始した。
フローレイティアの尋問とシーワックスの主張
戦闘後、フローレイティアは報道カメラマンのシーワックスを軍の尋問室で追及した。彼は自らの行動を人権と報道の自由による正当化で主張し、軍の対応を非難した。フローレイティアは彼が引き起こした犠牲の重さを突きつけ、彼の振る舞いが無関係な村人四人の死を招いたことを非難し、怒りのままに肉体的制裁を加えた。シーワックスは己の行為が結果的に戦争犯罪を誘発したと理解し、涙をこぼした。
上層部の命令と行動の制約
尋問後、クウェンサーとヘイヴィアはフローレイティアから上層部の命令により独自行動が禁じられていると聞かされた。グレートサンディー砂漠で発見されたオブジェクトらしき反応に衛星観測を集中させるため、下手な行動でそれを妨害することが厳禁とされていた。フローレイティアは命令の重さと規律の維持を理由に、二人の提案を退けた。
独自捜索と地図による調査
二人は軍のデータベースに頼らず、紙の地図と現地の地形情報を元にオブジェクトの潜伏場所を独自に探すことを決意した。タナミ砂漠北部の候補地三か所に目星をつけ、うち一か所が急速に植林され隠蔽された疑惑の強い場所であると推定した。
整備基地の出撃命令と違和感
突如、基地に緊急出撃命令が発令された。上層部はグレートサンディー砂漠の反応に基づいて本命と判断し、多国籍軍のオブジェクトを派遣した。だがクウェンサーは、技術力の劣るオセアニアが明確なエネルギー反応をわざわざ出す不自然さに疑問を持ち、試作実験炉による偽装の可能性を考察した。
再検証と尋問室からの情報
クウェンサーとヘイヴィアは施設の資料を探すも上官の監視下で断念する。すると尋問室のシーワックスが反応の候補地が二か所あったことを漏らし、一方がタナミ砂漠だったと語った。グレートサンディーの反応が強すぎたため切り捨てられたと知った二人は、自らタナミ砂漠へ向かう決意を固めた。
出撃と覚悟
シーワックスは罪を償いたいと同行を申し出るが、二人は彼を置いて出撃する。オフロードカーで移動しながら、無線で味方にタナミ砂漠の方が本命である可能性を伝え、グレートサンディーの施設はトラップであると警告した。フローレイティアの制止にも応じず、決意のまま進行した。
タナミ砂漠での接近と〇・五世代の出現
到着したタナミ砂漠は熱帯雨林化されており、二人は車両を隠し歩いて移動した。やがて整備用施設を発見し、そこから〇・五世代のオブジェクトが現れた。粗雑な構造と強引な動力炉の起動により、出現時に爆発を伴っていた。彼らはこっそり接近し、整備中の爆発で損傷した電力供給部を弱点として確認した。
初期攻撃とカメラの撹乱
オブジェクトのカメラに泥を塗り付けて視界を封じ、ミサイルによる間接攻撃を仕掛けた。クウェンサー達は爆風に巻き込まれながらも生き延び、建物の陰に隠れて敵の視界から逃れた。オブジェクトは混乱し、照準を探って無差別に探査行動を続けた。
接近準備と勝機の模索
オブジェクトの技術的未熟さに救われたクウェンサーとヘイヴィアは、再び冷静に弱点の攻略方法を模索した。無線機で仲間に支援を求めようとするも、物理的距離と時間の制約があったため、自分たちの手でなんとかする他なかった。
グレートサンディー砂漠での誤爆と真実の証明
一方、グレートサンディー砂漠ではお姫様の主砲による攻撃で、施設内の試作実験炉が爆発した。爆発の規模は小さく、オセアニア軍の技術力の低さと、そこに本命のオブジェクトがいなかったことを示す結果となった。タナミ砂漠こそが真の脅威の所在であると証明された。
クウェンサーの通信とフライド評議員の命令
クウェンサーはタナミ砂漠でオセアニア軍の〇・五世代オブジェクトを発見し、増援を要請した。だが、正統王国のフライド評議員はそれを罠と断じ、増援を禁止する命令を出した。彼は通信上で、クウェンサーとヘイヴィアが混乱し虚偽の報告をしていると主張し、タナミ砂漠の脅威を否定した。お姫様はその命令に疑念を抱きつつも、情報同盟のオブジェクトからの武力的圧力により進軍を止められた。
フライド評議員の真意と戦争の演出
フライド評議員はクウェンサー達に個別の通信を行い、彼らがもはや政治的に有害であることを告げた。彼は、オブジェクトを破壊する生身の兵士の存在が、テロリストやゲリラに希望を与え、戦争を長期化させる原因になったと述べた。そして彼らが〇・五世代のオブジェクトに敗北することで、無謀な抵抗への幻想を打ち砕き、戦争の秩序を取り戻そうとした。
整備施設への潜入と設計図の解析
建物の陰に隠れていたクウェンサー達は整備施設へと潜入し、〇・五世代の設計図を探し始めた。施設内には爆発の跡と多数の死体が残されていた。彼らは使用可能なコンピュータを発見し、装甲や車輪構造の分析を進める中で、外部電力による動力炉の急速起動と電力排出の仕組みが存在することに気づいた。
弱点発見と反撃計画
〇・五世代は膨大な車輪で重量を分散する構造であり、通常攻撃では破壊困難であった。だが、クウェンサーは外部から大量の電力を流し込むことで動力炉を暴走させる策を思いついた。砲撃を避けつつ、彼らは倉庫の屋根へと移動し、使用可能なコンデンサーを発見する。
水流の利用と高圧電流の流入
動力炉への電力注入には水の導電性を利用する必要があった。貯水タンクへの爆破で水を引き出そうとするも、最初のタンクは空であった。しかし、タンクの落下により地下の工業用水管が破損し、大量の水が地面を覆った。その水はオブジェクトから垂れ下がる送電ケーブルとコンデンサーとを結びつけた。
動力炉の暴走とオブジェクトの破壊
クウェンサーは大量の電力を地面経由で送り込み、オブジェクトの動力炉に過負荷を与えた。その結果、〇・五世代の本体は内側から爆発し、砲塔もろとも吹き飛んだ。爆風と閃光の衝撃でクウェンサー達は負傷したが、命を取り留めた。
勝利の実感と次なる目標
破壊された〇・五世代の残骸を前に、クウェンサー達はオセアニア軍事国の戦争が終結したことを確信した。そして二人は、オブジェクト破壊によって犠牲を強いた政治的黒幕、フライド評議員に報いを与えることを誓い、再び立ち上がった。
終章
フライド評議員の失脚とフローレイティアの追及
正統王国の重鎮であるフライド評議員は、オセアニアでの作戦においてクウェンサーとヘイヴィアを抹殺するため、虚偽の情報を多国籍軍全体に送信し、部隊の混乱を招いた。その行為は反逆罪に相当するとして、軍人フローレイティアによって追及された。評議員は正当性を主張したが、多国籍軍からの反発と上層部の判断によって立場を追われる危機に陥った。
エリート養成部門の切り札と市街戦の勃発
追い詰められたフライド評議員は、秘密裏に育成していた幼いエリートを搭乗させたオブジェクトを市街地の地下施設から出撃させた。この行動によって、都市の中心部に突如超大型兵器が現れ、市街戦が開始された。フローレイティアは無線でクウェンサーとヘイヴィアに緊急出動を命じ、彼らは即座に行動を開始した。
オブジェクトへの突入と新たな任務
二人は再び正規の支援なしに行動を開始し、幼いエリートを殺さずにオブジェクトを止めるという困難な任務を負うこととなった。市街地の被害を最小限に抑えつつ、フライド評議員の排除とエリートの保護という相反する目標を達成すべく、彼らは戦場へと突入した。
戦場を駆ける決意と戦争の皮肉
功績を否定され、軍法裁判の可能性すらあった二人は、それでも民間人を守るために戦い続けた。功績の喪失や戦争への幻滅を口にしながらも、オブジェクトという怪物に立ち向かう覚悟を変えることはなかった。チャチな爆薬とライフルのみを武器に、五〇メートル級の兵器へと挑む姿は、日常として染みついた彼らの現実であった。
このようにして、クウェンサーとヘイヴィアは、再び正体不明の戦場へと飛び込んでいった。
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ヘヴィーオブジェクトシリーズ










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