【結論】
評価:★★★★★(5/5) シリーズ内での立ち位置:大人気作『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(ダンまち)』の正統外伝。本編のヒロイン・アイズが所属する「ロキ・ファミリア」の視点から、本編の裏で起きていた「もう一つの世界の危機」を描く、実質的なもう一つの本編です。 最大の見どころ:世界最強クラスの眷族「ロキ・ファミリア」の総力を挙げたド迫力の集団戦闘と、本編主人公ベルの活躍がアイズ側の視点から描かれる熱い「表裏一体のクロスオーバー(リンク)」。 注意点:本編の進行(特に1巻〜15巻付近まで)と時間軸が密接に重なっているため、本編の知識がゼロのまま本作だけを読むと、人間関係やタイムラインの理解が追いつかなくなる可能性があります。
【読むべき人】
・本編『ダンまち』のファンで、ベルの活躍をアイズたちがどう見ていたのか(裏側の真実)を知りたい人 ・駆け出し冒険者の成長譚(本編)とは一味違う、最初から高レベルな強者たちが限界を超えて戦う「極限のレイドバトル・総力戦」を楽しみたい人 ・アイズやレフィーヤなど、本編では深く描かれなかったロキ・ファミリアのキャラクターたちの深い過去や葛藤、成長に惹かれる人
【合わない人】
・本編『ダンまち』を一度も読んだ(観た)ことがなく、単体の作品として完全に独立した外伝ストーリーを求めている人 ・主人公の地道な「最弱からの成り上がり」や、アットホームな弱小ファミリアの日常ストーリーを中心に楽しみたい人
【この記事の価値】
この記事を読むことで、『ソード・オラトリア』全巻のあらすじ、見どころ、そして本編との連動タイミングがひと目で分かります。本編のどのタイミングで外伝を読み進めれば最もカタルシスを得られるかという、最適な「ダンまちワールド完全攻略マップ」として役立ちます。
- ダンジジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア
- 全体的なあらすじ
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア1
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア2
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア3
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア4
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア5
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア6
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア7
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア8
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア11
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア12
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア13
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア14
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア15
- ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア16
- その他フィクション
- 考察・解説
ダンジジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9』は、大人気ライトノベル『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のスピンオフ作品であり、ジャンルは異世界ファンタジーである。 本作は、広大な地下迷宮(ダンジョン)を有する迷宮都市オラリオを舞台に、神々とその恩恵を受けた冒険者たちの活躍を描く世界観を共有している。
著者:大森藤ノ 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
キャラクター原案: ヤスダスズヒト 氏
出版社:SBクリエイティブ(GA文庫)
本ページでは、各巻ごとのあらすじ・感想・物語の見どころを巻数別に整理している。
初めて読む人も、続巻の内容を振り返りたい人も参考にできる構成となっている。
全体的なあらすじ
ソード・オラトリアにおける、未知の脅威との遭遇から人造迷宮クノッソスでの最終決戦に至るまでの主要な流れを解説する。
未知の脅威と闇派閥の暗躍
ロキ・ファミリアはダンジョン遠征や都市の調査を通じて、以下の存在と遭遇する。
・食人花
・極彩色の魔石を持つ怪人であるレヴィス
彼らが闇派閥の残党と結託し、都市の破壊者エニュオの主導のもとで迷宮都市オラリオの壊滅を企んでいることが判明したのである。
人造迷宮クノッソスの発見と撤退
ダイダロス通りの地下に広がる人造迷宮クノッソスを発見し、ロキ・ファミリアは攻略に乗り出す。しかし、以下の罠によって部隊は完全に分断され、多大な犠牲を出して敗走を余儀なくされたのである。
・複雑な迷路
・最硬金属の扉
・穢れた精霊の分身
・不治の呪いをもたらす呪道具
異端児との結託と総力戦の開始
クノッソスを攻略するため、フィンは方針を転換し、以下の者たちとの共闘を決断する。
・知性を持つモンスターである異端児たち
・他派閥
エニュオが企む以下の脅威による都市消滅を防ぐため、オラリオの全戦力を結集した総力戦が開始されたのである。
・極大殲滅術式である大秘術の精霊の六円環
・第七の精霊ニーズホッグ
エニュオの打倒と狂乱の終結
激戦の末、アイズが因縁の怪人レヴィスを撃破し、参戦したベル・クラネルの一撃が第七の精霊を消滅させる。そして、以下の者たちをレフィーヤたちが討ち果たしたことで、迷宮都市を巡る狂乱の戦いは幕を閉じたのである。
・黒幕エニュオの正体であるディオニュソス
・怪人と化していたフィルヴィス
まとめ
これら一連の戦いは、神々の情報操作により表舞台で語り継がれることのない物語として隠蔽されたのである。しかし、オラリオの危機を救うために命を懸けた名もなき英雄たちの激闘は、生き残った冒険者たちの心に深く刻まれたのである。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア1

『1巻』では未知の新種モンスターや白兎の少年との邂逅が描かれ、物語は巨大な陰謀へと進んでいく。 この巻では特に、圧倒的な力を持つ剣姫アイズが抱える葛藤や不器用さが重要な見どころとなる。 展開の詳細や感想については、1巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア2

『2巻』ではリヴィラの街での殺人事件や謎の宝玉の攻防が描かれ、物語は迷宮の深淵へと進んでいく。 この巻では特に、赤髪の女との因縁と、階層主ウダイオスへの単独挑戦が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、2巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア3

『3巻』ではモンスター大量発生の調査や未知の敵との激戦が描かれ、物語は次なる階位へと進んでいく。 この巻では特に、Lv.6に昇格したアイズが己のルーツと向き合う姿が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、3巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア4

『4巻』では未到達領域である59階層への遠征準備が描かれ、物語は深層の脅威へと進んでいく。 この巻では特に、アイズとベルの特訓を通じた交流や、未知の領域へ挑む決意が重要な見どころとなる。 展開の詳細や感想については、4巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア5

『5巻』では過酷な深層遠征を終えた後の18階層での野営が描かれ、物語は束の間の休息へと進んでいく。 この巻では特に、レフィーヤとベルの共闘や、派閥間で育まれる信頼関係が重要な見どころとなる。 展開の詳細や感想については、5巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア6

『6巻』では遠征帰還後の港街メレンでの慰安が描かれ、物語はアマゾネス姉妹の過去へと進んでいく。 この巻では特に、ティオネとティオナが忌まわしき因縁と対峙し乗り越える姿が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、6巻レビューにて整理している。
- プロローグ 真春の夜のユメ
- 一章 Quest Result & Next Quest
- 二章 港街メレン
- 三章 女戦士の国
- 四章 姉と妹 夜と朝闇と光
- 五章 太陽と月のデュオ
- 六章 闘争の果て
- エピローグ Disturbing Elements
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア7

『7巻』では人造迷宮クノッソスへの初進攻が描かれ、物語はかつてない敗北と絶望へと進んでいく。 この巻では特に、悪意の罠で分断された幹部陣が極限状態で生還を目指す姿が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、7巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア8

『8巻』では迷宮での敗戦で孤立したベートの単独行動が描かれ、物語は彼の凄絶な過去へと進んでいく。 この巻では特に、アマゾネスの少女との交流を経て、凶狼が弱さを乗り越え覚醒する姿が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、8巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア9

『9巻』では他国からの侵略迎撃や村での遭難が描かれ、物語はアイズの幼少期の記憶へと進んでいく。 この巻では特に、彼女の精神的成長と、周囲の大人たちによる家族的な愛情が重要な見どころとなる。 展開の詳細や感想については、9巻レビューにて整理している。
- プロローグ◆妖精の追憶
- 一章◆陣営での一幕
- 追憶一章◆少女の始まり
- 二章◆束の間の静穏
- 追憶二章◆汝は剣なりや?
- 三章◆北の山から
- 追憶三章◆在りし日の神々と人々
- 四章◆遺るもの、残されるもの
- 追憶四章◆風が望む永遠
- エピローグ◆風が望んだ今
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10

『10巻』では異端児騒動の裏側や人造迷宮の鍵の奪取が描かれ、物語は怪物との共存という問いへ進んでいく。 この巻では特に、ベルとの対立でアイズの価値観が根底から揺らぐ瞬間が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、10巻レビューにて整理している。
- プロローグ◆ある少女の独白
- 一章◆前表
- 二章◆その名は愚者
- 間章◆妖精憤怒
- 三章◆勇者の憂鬱剣姫の懊悩
- 間章 神々の密談
- 四章 ダイダロス前哨戦・裏
- 間章 それぞれの戦い
- 五章 ブレイブソウル!
- 間章 たばかりの行方
- 六章 勇者克己
- エピローグ 小少女の結末
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア11

『11巻』では人造迷宮への第一進攻が描かれ、物語は黒幕による凄惨な罠と迷宮の魔城化へと進んでいく。 この巻では特に、かつてない犠牲を前にしたフィンの苦悩と真の勇者となる覚悟が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、11巻レビューにて整理している。
- プロローグ◆苦悩の夜、おぞましき闇
- 一章◆だから私も走り出す
- 二章◆決戦インターミッション
- 三章◆神の素顔
- 四章◆アベンジャーズ~Knossos War~
- 五章◆迷執顕現
- 六章◆そして、神は笑った
- エピローグ◆Whodunit
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア12

『12巻』では都市の命運を懸けた人造迷宮での最終決戦が描かれ、物語は精霊の六円環との死闘へ進んでいく。 この巻では特に、各戦場での総力戦と盤外から現れたベルの英雄的な一撃が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、12巻レビューにて整理している。
- プロローグ◆少女が最後に見た景色
- 一章◆敗戦の代償
- 二章◆闇の兆し
- 三章◆Rabbit Oracle
- 四章◆名前のない英雄達
- 五章◆Final War
- 六章◆暗黒神意
- 七章◆Final War II
- 八章◆英雄斉歌
- エピローグ◆光の雨
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア13

『13巻』では決戦後の迷宮都市の戦後処理と学区への出向が描かれ、物語は喪失からの再生へと進んでいく。 この巻では特に、親友を失ったレフィーヤが後輩の教導を通じて本来の自分を取り戻す姿が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、13巻レビューにて整理している。
- プロローグ◆喪失と覚悟のSEQUEL
- 一章◆少女革命
- 二章◆懐かしき学び舎
- 二章◆妖精追奏一
- 三章◆教導開始
- 三章◆妖精追奏 二
- 四章◆教わる者、教える者
- 五章◆鏡の声
- エピローグ◆貴方にもらった私のありふれた答え
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア14

『14巻』では三首領のLv.7昇格とそれを祝う追憶が描かれ、物語は派閥結成時の過去へと進んでいく。 この巻では特に、フィン、リヴェリア、ガレスがいかに出会い、絆を深めて誓いを立てたかが重要な見どころとなる。 展開の詳細や感想については、14巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア15

『15巻』では派閥連合による未踏の60階層への遠征が描かれ、物語は穢れた精霊との新たな死闘へ進んでいく。 この巻では特に、魔界と化した環境下での絶望的な戦闘と未知の領域への挑戦が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、15巻レビューにて整理している。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア16

『16巻』では60階層の氷園で孤立した部隊の絶望が描かれ、物語は地上からの決死の救出劇へと進んでいく。 この巻では特に、ベル達の疑似立坑作戦と極限状態で生き抜く冒険者達の絆が重要な転換点となる。 展開の詳細や感想については、16巻レビューにて整理している。
- プロローグ 私が最後に見る景色
- 一章 敗北者達 ~迷宮リベンジャーズ~
- 二章 IRREGULAR FESTIVAL
- 三章 舞い戻る者達
- 四章 氷獄かの問い
- 五章 絶なる望み
- 六章 約束の場所へ
- エピローグ 凍れる時の秘法
その他フィクション

考察・解説
レフィーヤの成長
『ソード・オラトリア』シリーズを通して、レフィーヤ・ウィリディスは「臆病で泣き虫な後輩魔導士」から、数々の死闘や耐え難い喪失を経て「都市最強魔導士の後継者」へと著しい成長を遂げる。
以下に、彼女の能力と精神面における成長の軌跡を4つの段階に分けて論じる。
臆病な少女からの脱却と「並行詠唱」の会得
物語序盤のレフィーヤは、高い魔力と素質を持ちながらも、臆病で無力感に囚われがちな少女であった。
- 怪物祭で食人花にアイズが捕らわれた際、自らの恐怖を振り払って立ち上がり、二重発動によってリヴェリアの広範囲氷結魔法を完全再現して窮地を救うという覚醒を見せる。
- その後、急成長する白髪の少年(ベル・クラネル)への嫉妬と対抗心から、アイズに直接特訓を志願する。
- さらに親友となるフィルヴィスから、実戦での「並行詠唱」の運用法(攻撃・防御を捨てて回避と詠唱に専念すること)と、超短文の障壁魔法『ディオ・グレイル』を継承し、魔導士としての生存能力と支援性能を飛躍的に向上させた。
妖精部隊の「矛」としての覚醒
実戦経験を積んだレフィーヤは、ファミリアの中核として前線で目覚ましい活躍を見せるようになる。
- 人造迷宮クノッソスでの奇襲進攻では、リヴェリア率いる「妖精部隊」の主砲として『アルクス・レイ』を連発し、敵の群れを一掃して部隊の進路を切り開いた。
- 迷宮での撤退戦ではフィルヴィスと共に殿を務めて敵の追撃を食い止め、孤立した状況下でも仲間を見捨てずに迷宮へ舞い戻る決断を下すなど、冒険者としての強い意志と精神力を身につけていった。
親友との死闘と「千の妖精」の真髄
彼女に訪れた最大の試練は、怪人へと堕ち、敵として立ちはだかった親友フィルヴィスとの決戦である。
- 惨劇を前に一度は絶望に沈むも、友の誇りをこれ以上穢させないために「倒す」という悲壮な決断を下す。
- この戦いを前にLv.4へ昇格した彼女は、レアスキル『二重追奏(ダブル・カノン)』を発現させる。
- 先行詠唱した魔法を待機させたまま、別の魔法を並行詠唱できるという既存の魔導士にはありえない二重制御を可能にし、「大木の心」による精神調律で第一級冒険者たちをも指揮する圧倒的な戦場支配力を発揮した。
- 最後は自らの手で親友の魔石を貫き、引導を渡すという精神的な成熟を見せた。
喪失からの再生と「自分らしさ」の回復
決戦後、耐え難い喪失を抱えたレフィーヤは、自慢の長い髪を切り落とし、フィルヴィスの遺した短剣と短杖を用いて「魔法剣士」へと転向する。
- それは自らの弱さを憎み、亡き友の面影を自身に投影して「別の誰か」になろうとする、過酷な自己否定であった。
- しかし、母校である教育機関『学区』で第七小隊の教導任務に就き、教え子たちという「鏡」を通して自身の矛盾に気付かされる。
- 階層主ゴライアスとの死闘の最中、自己犠牲に走ろうとする彼女に対し、生徒たちは「守られるだけは嫌だ」「私達を見て」と真っ直ぐな想いをぶつけた。
- これにより偽りの仮面は砕け散り、彼女は生徒たちに「私を守ってください」と告げ、本来の「魔導士」としての戦い方に立ち返る。
まとめ
弱さや悲しみも含めたありのままの自分を受け入れ、レフィーヤは他者の幻影を追うことをやめ、真の自立を果たしたのである。
アイズの過去と成長
『ソード・オラトリア』シリーズにおけるアイズ・ヴァレンシュタインの物語は、凄惨な過去による「復讐の炎」と「孤独」から始まり、仲間との絆やベル・クラネルとの出会いを経て、精神的にも戦士としても真の成長を遂げていく軌跡が描かれている。
以下に、彼女の過去と成長の過程を4つの段階に分けて解説する。
1. 両親の喪失と「人形姫」と呼ばれた少女時代
幼い頃のアイズは、英雄である「父の剣」と、優しく抱きしめてくれる「母の風」に包まれた幸福な日々を送っていた。
- 世界の厄災である「黒竜」に関わる出来事で両親を喪い、「自分を助けてくれる英雄はいない」という残酷な現実に直面する。
- 絶望の中、心を永遠の氷壁で閉ざした彼女は「力が欲しい」と願い、自ら剣を握った。
- 7歳で【ロキ・ファミリア】に入団した彼女は、自身の危険を顧みず無表情でモンスターを殺戮し続ける姿から、周囲に「人形姫」や「戦姫」と呼ばれるようになる。
- しかし、フィンからは「技術と知識」を、ガレスからは「武器と自身を労わること」を、リヴェリアからは「精神の制御」を教わり、大人たちの深い愛情を受けて次第に人間らしさを取り戻していった。
2. 成長の停滞と「母の風」の覚醒
入団から1年が経った頃、アイズの能力成長が停滞し始める。
- 強くなることだけが全てだった彼女は焦燥に駆られ、単独で深層のモンスターを討伐するなどの無茶を犯した。
- それを止めようとするリヴェリアに対し、アイズは「貴方は私のお母さんじゃない!」と拒絶し、孤独な闇へ逃げ込んでしまう。
- 感情のままに迷宮に逃げ込んだアイズは、邪神タナトスの誘惑を受けるが、「独りになっても、あの人達を裏切るのは間違っている」とこれを拒絶する。
- 直後、タナトスが召喚した翼竜(ワイヴァーン)との死闘で炎に焼かれ絶体絶命となるが、駆けつけたリヴェリアの叫びに導かれて魔法【エアリエル】を開放する。
- その風は、幼い頃に彼女を包んでいた「母の優しい風」であった。両親の愛が自分の中に生き続けていること、そして自分は独りではないと悟ったアイズは、リヴェリアの腕の中で号泣し、二人は真の家族としての絆を結んだ。
3. 白兎(ベル)との出会いと「誓い」の崩壊
第一級冒険者として「剣姫」と呼ばれるようになった後、彼女はダンジョンで白髪の少年、ベル・クラネルの命を救う。
- 異常な速度で成長する彼に興味を持ち、アイズは自身の強さへの渇望も相まって彼に戦い方を教える「師匠」となる。
- しかし、「異端児(ゼノス)」を巡る騒動で、アイズの「怪物は絶対に殺す」という根底の価値観が揺るがされる。
- 人を傷つけるはずのモンスター(竜女ウィーネ)を庇って立ちはだかるベルと対立するが、ウィーネが自らの爪や翼を折りながら「誰も傷つけたくない」と涙を流す姿に、かつて全てを奪われて泣いていた幼い自分の姿を重ねてしまう。
- これにより「怪物を殺す」というアイズの誓いは完全に崩壊してしまった。
4. 黒い炎の克服と「白き風」への昇華
誓いが砕け、深い迷いに囚われたアイズであったが、リヴェリアから「迷え、考えろ」と肯定されたことで再び立ち上がる。
- 都市最強の武人オッタルとの特訓を通じて、自分の剣が「怪物を殺す剣」であるにもかかわらず、宿敵である怪人レヴィスを「人」として捉え無意識に迷っていたことを突きつけられる。
- 人造迷宮クノッソスでの最終決戦では、アイズはレヴィスを「怪物」と認識し、レアスキル【復讐姫(アヴェンジャー)】を解放する。
- 戦いの中で、憎しみに満ちた「黒い炎」に呑まれかけ、かつての「戦の悪姫」に堕ちそうになるが、その時、ベルが放った英雄の一撃の証である「大鐘楼の音」が響き渡る。
- その音に導かれてアイズは黒い衝動から解き放たれ、本来の清らかな「白き風」へと転換を果たす。
- 復讐心だけでなく、仲間を守るための剣を取り戻したアイズは、渾身の白閃でレヴィスを討ち果たした。
まとめ
アイズ・ヴァレンシュタインの成長は、復讐心に囚われた「人形」から始まり、仲間との絆を知り、自身の価値観の崩壊という挫折を経て、最終的に「憎しみの黒い炎」を「守るための白き風」へと昇華させる過程であった。
- ベルや【ロキ・ファミリア】の家族たちとの関わりを通じて、彼女は本当の意味で自分の心と剣を取り戻したのである。
タナトス・ファミリアとの因果と決着
『ソード・オラトリア』における、タナトス・ファミリアとの因果と、人造迷宮クノッソスでの決着の経緯について解説する。
タナトスの思想と「死兵」と化した眷族たち
タナトスは「死」を司る神であり、かつてオラリオを混乱に陥れた闇派閥(イヴィルス)の残党を率いる主神である。
- ダンジョンが封じられた現在の下界は「生」が溢れすぎていると考え、モンスターが地上で暴れ回っていた「古代」に戻す(死を増やす)ことで、世界の均衡を取り戻そうとしていた。
- 彼は眷族たちに対し、「計画が成功した暁には、死後に大切な者と共に転生させる」という契約を結んでいた。
- 人々が抱える喪失の悲しみを利用したこの「来世」の保証により、眷族たちはタナトスを狂信し、自らの命を犠牲にして自爆攻撃を行う「死兵」として使役されていたのである。
人造迷宮での激戦と追い詰められる死神
タナトスは都市の破壊者「エニュオ」や怪人たちと同盟を結び、人造迷宮クノッソスを拠点としてオラリオの破壊を企てていた。
- ロキ・ファミリアを中心とした派閥連合が人造迷宮への「第一進攻」を開始すると、タナトス・ファミリアの使徒たちは捕虜になることを防ぐため、次々と自爆戦術を決行して激しく抵抗した。
- しかし、フィンが立案した怒涛の奇襲や、ヘルメス・ファミリアの暗躍による迷宮の設計図(ダイダロスの手記)の奪取などにより、タナトス側の防衛線は次々と突破されていったのである。
エニュオの裏切りとタナトスの最期
戦局が完全に傾き敗北を悟ったタナトスは、同盟相手であるエニュオの使者(仮面の人物エイン)に対し、「精霊の分身」を解放して戦局を覆すよう求めた。
- しかし、エインはその提案を拒否し、精霊たちは規定の役割から動かせないこと、そして迷宮都市崩壊の計画は「主」が引き継ぎ、タナトス自身も「贄(生贄)」であると無情に告げた。
- 実はエニュオの計画において、神が送還されることは、迷宮全体を緑肉で覆い尽くし侵入者を全滅させる「祭壇」の起動合図(トリガー)として設定されていたのである。
- 完全に利用され、使い捨てられたことを悟ったタナトスは、怒りと屈辱を超えた狂気じみた哄笑を上げた。
因果の決着とロキ・ファミリアの脱出
エニュオの企みにより起動した「祭壇」から溢れ出した「緑肉」は迷宮を埋め尽くし、冒険者たちを絶望的な状況に追い込んだ。
- ロキやフィンたちも緑肉に追い詰められ全滅の危機に瀕するが、ここでタナトスは「都市の破壊者」に利用されたまま終わることを拒んだ。
- 彼は眷族たちの悲願を踏みにじられたことへの意地と仕返しとして、「死神からのプレゼントだ」とロキに言い残し、自らの胸を短剣で刺して「神の送還」を発動させた。
- タナトスの送還によって生じた2度目の光柱は、迷宮を貫いて地上への「大穴」を作り出し、緑肉の侵攻を一時的に弱めた。
- この光の通り道を利用して、ロキやフィンたちは間一髪で地上への脱出を果たしたのである。
まとめ
こうして、タナトス自身が送還されたことによりタナトス・ファミリアおよび闇派閥の残党は壊滅し、彼らとの長く過酷な因果は、皮肉にも死神自身の意地による「脱出口の形成」という形で決着を迎えることとなったのである。
Share this content:


コメント