漫画「黄泉のツガイ 11巻」最新刊 感想・ネタバレ

漫画「黄泉のツガイ 11巻」最新刊 感想・ネタバレ

物語の概要

本作は異能力バトルを軸とするダークファンタジー作品である。舞台は山奥の閉鎖された村「東村」と現代の下界が交錯する世界であり、夜と昼が等しい日に生まれた双子の兄妹が“ツガイ”と呼ばれる契約存在をめぐる争いに巻き込まれていく。兄のユルと妹のアサは、村を抜け出したのち各勢力からその特殊な資質を狙われ、次第に世界規模の謀略へと発展していった。11巻では、東村と影森家の協定が進む一方で、兄妹が西ノ村の謎を追い、東村の“真実の顔”が明らかになる展開が描かれている。

主要キャラクター

  • ユル:夜と昼を別つ双子の兄である。山奥で狩猟をしながら育ち、契約ツガイ「左右様(さゆうさま)」を従える。封の力を巡る争いの中心人物である。
  • アサ:ユルの妹である。かつて刺客に殺され黄泉の国の手前で「解の力」を得た存在。兄妹の関係性・能力の対比が物語の核となっている。

物語の特徴

本作の魅力は、まず「夜と昼が等しい日に生まれた双子」という異能の背景設定にある。ユル・アサという双子を巡る運命/能力論が複数の勢力を巻き込んだ争いの起点となっており、読者に強い引きがある。
また「ツガイ」という、契約存在+人間の主という構造を用い、物語&バトルの構造を「意の力」「封」「解」といった概念で語る点が他作品と差別化されている。
さらに、山奥の村/現代世界という二重の舞台を持ち、日常と異世界の境界を曖昧にすることで、ホラー的とも言える不穏さや謎の深まりが随所に演出されている点も特徴である。

書籍情報

黄泉のツガイ 11
著者:荒川弘 氏
出版社:スクウェア・エニックス
レーベル:月刊少年ガンガン
発売日:2025年11月12日
ISBN:9784301001621

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あらすじ・内容

天に落つ、地から溢れる意の力。
会談を経て手を組むこととなった東村と影森家。
謎多き西ノ村の情報を得るため
ヤマハおばあを訪ねにユル、ハルオ、ロウエイが東村へ。
明かされるは東村の真実の顔、その長き歴史…。
村民たちの純然たる悪意に直面したユルは
今の東村を見て回り、東村との決別を叫ぶ。
そこにイワンの行方を突き止めた知らせが届き――!?

天に落つ、地から溢れる意の力。
強肉強食ツガイバトル、第11巻!!

黄泉のツガイ 11

スクウェア・エニックス

感想

序盤では、ジンがハナに「庭師」の埋葬を依頼し、その過程でアキオの手首を手掛かりに潜伏先を割り出していく展開が印象的だった。ツガイの嗅覚を使って臭跡を追い、雑居ビルの中華料理店「西家」に辿り着く流れは、地道な追跡劇としての面白さがありつつ、裏社会の匂いが濃く漂っていて不穏さも強かった。また、その裏で、ユルが東村からの「絶縁」に等しい手紙を受け取り、アザミやザシキワラシたちと向き合う場面には胸が痛んだ。村を捨てられたわけではないのに、結果として「もう戻るな」と言われてしまう重さが、ユルの孤立と責任の大きさを改めて感じさせた。

アキオ狙撃パートからは、一気にバトル色が濃くなる。ユルの矢がアキオの肩を射抜き、痺れ薬で自由を奪いにかかる展開は、狩人としての冷静さと容赦のなさがよく出ていた。追い詰められたアキオが、その場しのぎで手元の本尊すべてと契約し、「何が出るかな」と半ばヤケクソでツガイを乱発していくくだりは、滑稽さと同時に異様さが強い。ツガイ同士が相性の悪さから勝手に喧嘩を始め、右様が「最後まで残った一番強いやつとやる」と割り切るあたりは、シリアスな状況の中に独特の笑いが挟まれていて、作者らしさを感じた。

しかし、そのツガイたちが「履歴ゼロ」の“生まれたて”であり、しかも匂いから「元・山賊の成れの果て」だと判明することで、笑いは一気に不気味さへと転じる。人間だった者たちが、意志も歴史も持たないツガイへ加工され、ユルを殺すためだけの兵器にされている構図は、単なるバトルの消耗品では済まされない重さがあった。イワンの暗躍、ハルオがウサギとカメを守りながら必死に踏みとどまり、右様・左様・ユルが順に合流していく流れは、「仲間を捨てない」というハルオの信念も含めて、とても熱い。

一方で、影森邸への奇襲は、この巻の中で最も衝撃的なパートだった。御陵のツガイ「天と地」が、空からの狙撃と地中からの拘束を完璧に連携させ、影森家の結界も要石も、百鬼夜行すらも破壊していく様は、理不尽なまでの強さとして描かれている。ゴンゾウが、ツガイの指揮系統を破壊されてもなお、自ら飛び込んで御陵に食らいつき、最後の一撃を頭上から受けて身体ごと吹き飛ばされる場面は、何度思い出しても苦しい。

それでも、そこからが本当の「父親としてのゴンゾウ」の見せ場だった。瓦礫の下から這い出し、息も絶え絶えになりながら御陵の足を掴み、「俺の息子を殺らせはしねぇよ」とジンを逃がすために最後の力を振り絞る姿は、言葉通り命を賭した親の愛情に満ちていて、読んでいて涙が止まらなかった。その裏で、ツガイのアイが気絶したジンを必死に運び出し、御陵が「天晴、影森ゴンゾウ」と一応の敬意を示しながら、残されたツガイを淡々と狩っていくコントラストも、残酷さと美しさが同居している。

続く回想パートで、ジンが「アカネの子」として影森家を初めて訪れた日の出来事が描かれる構成も巧みだった。家を追い出され、全てを失ったジンが「ここに置いてほしい、何でもするから」と訴え、最初はゴンゾウに部屋を出られてしまうものの、その後ヒカルとアスマが明るく迎え入れ、「DNA鑑定なんていらない」と笑い飛ばす。ゴンゾウが「父さんと呼べ」と迫り、結局「おやっさん」で折り合いがつくくだりは、今となっては二度と戻らない日常として胸に刺さる。ツガイの朝霧が血縁を保証し、「ゴンゾウとアカネの子だ」と告げる場面も含め、あのとき確かに「家族が生まれた」のだと再認識させられた。

だからこそ、現在に戻って、雪と血にまみれた瓦礫の中で、ゴンゾウの足とジンの倒れた姿、そして新たな主としてヒカルのもとに現れたツガイたちの描写が、より重く響く。ヒカルが、父の死と御陵の正体を知って表情を一変させるシーンは、メガネを外した彼の顔がジンと瓜二つであることも相まって、“影森ゴンゾウの息子たち”がこれからどう立ち上がるのかという期待と不安を強く掻き立てた。ここで初めて、ヒカルに対して「ゴンゾウの仇を討ってほしい」とはっきり願うようになった。

ユルの側もまた、東村との決別を受けて覚悟を固めた表情が印象に残った。村からの手紙による事実上の絶縁、アザミやザシキワラシを下界で生きさせるという決断、そして両親の死の真相へと手を伸ばしていく覚悟。表紙のユルの姿を見返すと、彼が背負っているものの重さが、以前とはまったく違って見えてくる。

次巻では、東村と影森家が協力してアキオの潜伏先を突き止め、西ノ村の生き残りに本格的な逆襲を仕掛けていくことになる。御陵と「天と地」、イワン、“山賊”由来のツガイたちという強敵に、ユルと左右様、アサ、そしてヒカルたち影森兄弟がどう立ち向かうのか。強肉強食のツガイバトルがさらに苛烈さを増すのは間違いないが、それ以上に、「家族」「村」「仲間」という関係性がどう変質していくのかを見届けたいと感じた。

『黄泉のツガイ』は、単なるバトル漫画ではない。ツガイ同士の派手な戦闘の裏に、家族のドラマや共同体の歪み、人間同士の信頼や裏切りが重層的に織り込まれている点が、この作品の最大の魅力だと思う。日常のささやかなやり取りから、命を賭けた戦いまで、そのどれもがキャラクターの生き方に直結している。

だからこそ、今回のゴンゾウの退場と、ヒカル・ジン・アスマの今後、そして東村を離れたユルがどこへ向かうのかが、これまで以上に気になって仕方がない。次の巻が出るのを、心底楽しみに待っている。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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登場キャラクター

ユル

黒谷家の子であり、弓とツガイを使って戦う若者である。村を追われた立場でありながら、仲間を守るため前線に立ち続けている。
・所属組織、地位や役職
 黒谷四姉弟の一人である。左右様など複数のツガイを従う主である。
・物語内での具体的な行動や成果
 中華料理店「西家」の二階に潜伏していたアキオを狙撃し、肩を射抜いて行動を封じた。矢にはしびれ薬を塗っており、アキオの判断力を奪った。山賊由来のツガイとの戦闘では、斧と技巧を使い一体ずつ制圧した。イワンとの決戦では、黒く塗った矢で牽制し、右様と左様との連携攻撃の一翼を担った。アザミやザシキワラシに対しては、村の真相を言えず葛藤する姿も見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 キョウカから託された手紙をザシキワラシに渡し、村からの絶縁を伝える役目を負った。父母の死や村の裏側について真実を知る立場にあり、今後の対御陵戦の中心人物となっていく構図が示されている。

アサ

ユルの姉であり、《解》の力を使ってツガイ契約を解除できる存在である。冷静で仕事ぶりが安定している人物である。(ユル除く)
・所属組織、地位や役職
 黒谷四姉弟の一人である。東村出身で、現在は影森家側と協力関係にある。
・物語内での具体的な行動や成果
 アキオが無茶な一括契約で呼び出したツガイたちを、次々と《解》で処理した。左様からまとめて投げられてきたツガイの群れにも対応し、契約解除を進めて被害拡大を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 御陵の発言により、「すでに《解》を持つ存在」として明確に狙われる立場になった。双子の片割れとして、物語上の価値と危険度がさらに高まっている。

左様

ユルのツガイであり、巨大な石像から生じた存在である。冷静な分析力と高い戦闘能力を持つ。
・所属組織、地位や役職
 ユルに従うツガイである。東村の守り神としての由来を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
 アキオが契約した未熟なツガイ群を「若すぎる」「自認ができていない」と分析し、その異常さを指摘した。喧嘩を始めたツガイたちをまとめて殴り飛ばし、アサの方向へ投げて処理を委ねた。山賊由来のツガイに対しては、匂いから出自を言い当て、戦闘でも圧倒的な力を見せた。イワンとの戦いでは、再生した腕で攻撃し、ユルの矢との連携で追い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 山賊の血とツガイ化の関係を嗅ぎ分けるなど、敵勢力の異常な実験を見抜く役割を担っている。情報面と戦闘面の両方でユルの主力となっている。

右様

ユルのツガイであり、豪放な性格で近接戦闘を得意とする存在である。力任せの戦法が多いが、状況判断も行う。
・所属組織、地位や役職
 ユルに従うツガイである。左様と対になる存在である。
・物語内での具体的な行動や成果
 アキオの潜伏先の部屋に突入し、多数のツガイを腕力でねじ伏せた。アキオが契約したツガイ群に対し、「最後まで残った一体を相手にする」という簡略な戦い方に切り替えて応戦した。逃げるアキオを牽制するため、ねじ切った腕を投げつけるなど実力を見せた。後にウサギの報告を受け、ハルオ救援とイワン迎撃のために前線へ向かった。イワン戦では刀を折り、ハルオをかばう形で乱入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ユルや左様とともに、対イワン戦の主力として位置づけられた。今回の活躍で、黒谷側の「武力の柱」としての印象がさらに強まっている。

ザシキワラシ(兄妹)

アザミとともに村から下界へ送られたツガイの兄妹である。母キョウカの子であり、状況をよく理解して行動している。
・所属組織、地位や役職
 ユルたちと同居するツガイである。元の村ではキョウカの子として暮らしていた。
・物語内での具体的な行動や成果
 影森家の張り込み写真の中から、村を襲撃して自分たちを下界へ連れてきた男を「イワン」として指さし、特定した。キョウカの手紙を読み、「村に戻るな」「下界で元気に暮らせ」と書かれていることを理解し、涙を流しながらも受け入れた。母が下界行きを命じた時点で覚悟していたことを明かし、村の大人たちがユルをどう扱っていたかも知っていたと語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村との絶縁を言葉として受け取った存在であり、ユルとアザミに現実を突きつける役割を担っている。イワンの人物特定でも重要な証言者となっている。

デラ

ユルたちの身近な大人であり、情報収集やネット確認を担当する人物である。軽い口調だが、状況把握は丁寧である。
・所属組織、地位や役職
 ユルたちと行動をともにする大人である。デラパパの息子である。
・物語内での具体的な行動や成果
 ハナが寿司を持ち帰った際、その金の出どころを「臨時収入」と聞き出し、状況を探った。ジンからハルオ宛のメールについてユルに確認し、イワンがいた情報を共有した。中華料理店「西家」のレビューを調べ、「星3.3で店主が怖い」という評判を把握し、店の雰囲気と危険度を推測した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 現代の情報環境に慣れた存在として、ネット評価やメール情報を整理し、戦闘寄りのメンバーをサポートしている。前線には出ないが、判断材料を提供する役割が大きい。

ハナ

山の埋葬地を管理している葬送担当であり、影森家とも関わりを持つ立場である。冷静な判断をするが、仲間の生活もきちんと気にかける人物である。
・所属組織、地位や役職
 山の埋葬地を受け継いだ家系の一員である。影森家やユルたちと協力関係にある。
・物語内での具体的な行動や成果
 影森ジンから「庭師」の遺体の埋葬をひそかに頼まれ、場所を秘匿したまま引き受けた。次郎の臭い追跡を使い、アキオの潜伏先である中華料理店「西家」を突き止める起点を作った。影森家の張り込み写真を受け取り、ユルたちに情報を共有した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 影森家から秘密の依頼を受けるなど、地下社会側からの信頼も高めている。生活面では寿司を買って帰るほどの臨時収入を得ており、その裏にある仕事が物語の動きと重なっている。

ロウエイ(デラパパ)

デラの父であり、情報確認や車の運用など大人としての支えを担う人物である。
・所属組織、地位や役職
 ユルたちと協力する大人である。家族としてデラを支えている。
・物語内での具体的な行動や成果
 中華料理店「西家」のレビューを確認し、店主が怖いという評判が多いことを把握した。店の評価点数や口コミ内容から、御陵の外見と世間の認識を周囲に伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 表立って戦う立場ではないが、現代社会側からの目線を持つ大人として存在感を出している。

次郎

ハナのツガイであり、嗅覚を用いた追跡を得意とする犬型の存在である。忠実で仕事に熱心である。
・所属組織、地位や役職
 ハナに従うツガイである。追跡専門の役割を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
 アキオの手首や玉袋などの匂いを確認し、その臭跡を追って影森家正門から市街地まで走った。最終的に中華料理店「西家」にアキオの匂いがあることを突き止め、潜伏先を特定する決定打となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 追跡能力の高さが改めて示され、ハナや影森家の作戦に不可欠な戦力であることが強調されている。

アザミ

ユルたちと暮らす少女であり、ザシキワラシとともに村から下界へ送られた存在である。純粋な視点で現状を見つめている。
・所属組織、地位や役職
 ユルたちと同居している少女である。村の子どもであった。
・物語内での具体的な行動や成果
 ユルの帰宅を迎え、「村に帰れるのか」と不安を口にした。寿司を見て「生魚を食べると病気になる」と強く拒絶し、下界の食文化への恐怖を示した。村で何があったのかをユルに問いかけたが、はっきりした答えは得られなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 村からの絶縁がキョウカの手紙で明かされる中、ユルが「将来のアザミが村と同じように自分を拒絶する未来」を恐れていることが語られた。アザミの成長と選択が、ユルの心情と物語のテーマに直結している。

影森ゴンゾウ

影森家の当主であり、多数のツガイを従える大物である。家の仁義を重んじ、客人や家族を守ろうとする姿勢が強い人物である。
・所属組織、地位や役職
 影森家当主である。裏社会でも大きな影響力を持つ存在である。
・物語内での具体的な行動や成果
 東村から来たアサを客人として受け入れ、最後まで面倒を見ると宣言した。ユルとアサの両親を探す動きも進めていた。御陵の襲撃時には結界と多数のツガイを使い、百鬼夜行による迎撃を試みた。最終的に御陵のツガイ「天と地」の連携により身体を失うが、最後の力で御陵の足をつかみ、ジンの救出時間を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘の末に死亡し、その足だけが残る形になった。死の直前にツガイ「百手」と「うやむや」が長男ヒカルへ継承されたことで、家の血筋と力が次代へ渡ったことが示されている。

影森ジン

影森ゴンゾウの三男であり、ツガイを駆使して裏社会の案件を処理する実務担当である。冷静な頭脳と家族への情を併せ持つ。
・所属組織、地位や役職
 影森家の三男である。影森家の実働部隊を指揮し、ツガイ運用の中心にいる。
・物語内での具体的な行動や成果
 逃亡中のアキオに巻き込まれて死んだ「庭師」の遺体について、ハナにひそかな埋葬を依頼した。アキオ追跡ではハナと協力し、影森家の監視網や写真記録を整理して情報を提供した。御陵の襲撃時にはゴンゾウとともに正面から防衛に当たり、拳銃や潜伏型ツガイ「アイ」を使って応戦した。瀕死になりながらも御陵に傷を負わせ、アイに救出されるきっかけを作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去回想で、母アカネの子として影森家に迎え入れられた経緯が描かれた。ゴンゾウから「おやっさん」と呼ぶよう求められ、それを受け入れたことが父子の絆の証になっている。現在は重傷を負いながらも生存しており、その存在が影森家の今後に大きな意味を持っている。

ヒカル

影森家の長男であり、冷静さと責任感を持つ人物である。医師としての顔もあり、家の中核を支える立場である。
・所属組織、地位や役職
 影森家長男である。医師としても活動している。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去回想では、アカネの子として現れたジンを明るく迎え入れ、兄として受け止めた。現在の時間軸では仮眠室で休んでいるところを桜沢からの電話で起こされ、その直後に父のツガイ「百手」と「うやむや」と対面した。うやむやからゴンゾウ死亡の事実と「新しい主になった」と告げられ、家長の力を継承したことを自覚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ゴンゾウの死により、ツガイの主権を受け継ぐ新たな中心人物となった。御陵と対峙する場面へつながる流れが描かれており、今後の影森家の行方を左右する立場になっている。

ナツキ

アスマの側近であり、監視班や車両部隊を指揮する現場指揮官である。冷静で慎重な判断を行う。
・所属組織、地位や役職
 影森家側の実働部隊の指揮役である。アスマの従者として動いている。
・物語内での具体的な行動や成果
 監視班「夕顔」「若紫」「空蝉」を運用し、御陵やイワンの動きを追跡していた。夕顔から御陵が会合を離れた報告を受け、若紫への引き継ぎを指示したが、その直後に夕顔と空蝉が壊滅したことを確認した。ハルオ救援を命じようとするアスマに対し、「有事の際は息子を最優先で守れ」という御館様の指示を理由に強く制止し、アスマの安全確保を優先した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 現場で最終決定を下す立場として描かれ、アスマの命を守る盾としての役割が強調されている。監視班壊滅に直面しつつも、態勢の立て直しを図っている。

フユキ

ツガイ「閻魔帳」の主であり、情報照合を担当する人物である。冷静で記録に基づく判断を行う。
・所属組織、地位や役職
 閻魔帳を扱うツガイ使いである。ユルたちと協力関係にある。
・物語内での具体的な行動や成果
 アキオが契約したツガイを閻魔帳で照合し、「全員アキオが初めての主である」と判定した。さらに経歴が完全に白紙であることを「歴史ゼロ」として示し、生成されたばかりの不自然なツガイ群であると告げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ツガイ生成の異常さを数値と記録で裏づける役割を担っている。今後、山賊の血や西ノ村の実験の全貌を明らかにする鍵になる立場である。

ハルオ

西ノ村出身の青年であり、ウサギとカメのツガイを従える人物である。仲間思いで、アキオに対しても情を捨てきれない。
・所属組織、地位や役職
 西ノ村の一員である。ツガイ使いとして活動している。
・物語内での具体的な行動や成果
 逃亡中のアキオの前に現れ、「一緒に御館様に命乞いしよう」と説得した。暴走するアキオに対し、ウサギとカメと連携して武器を落とさせ、重力で地面へ押さえつけた。イワンの出現後もウサギとカメを守ろうとし、ウサギを遠くへ投げて右様たちへの救援要請を託した。イワンの猛攻の前に追い詰められるが、右様の乱入まで時間を稼いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「仲間は裏切らない」という価値観を貫き、ツガイを見捨てない姿勢を見せた。西ノ村側でありながら、黒谷側に近い倫理観を持つ存在として描かれている。

ウサギ

ハルオのツガイの一体であり、素早い蹴り技を得意とする存在である。軽口を叩きつつも主を守る。
・所属組織、地位や役職
 ハルオに従うツガイである。近接戦闘と機動力を担当する。
・物語内での具体的な行動や成果
 暴れるアキオの手からバールを蹴り飛ばし、武装解除に成功した。イワンの奇襲を察知してハルオをかばい、斬撃を受けて瓦礫に吹き飛ばされた。その後、カメの重力で遠くまで飛ばされ、右様のいる西家へ到達し、ハルオ救援を必死に依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハルオを守ろうとする行動と、右様への必死の訴えにより、単なる戦力ではなく「仲間」として扱われていることが強く描かれた。

カメ

ハルオのツガイの一体であり、重力操作による拘束と移動を担当する存在である。口数は少ないが、要所で力を発揮する。
・所属組織、地位や役職
 ハルオに従うツガイである。重力操作を得意とする。
・物語内での具体的な行動や成果
 アキオを地面へ押しつけて動きを止め、ハルオの説得の時間を作った。ウサギを遠くまで飛ばすため、重力を利用して長距離移動させ、右様への救援要請を可能にした。イワンに対しても体当たりで吹き飛ばす場面があり、ハルオを守るために奮闘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 攻撃よりも支援と拘束に向いた力を持ち、戦況を調整する役目を担っている。ウサギとの連携により、ハルオたちが生き延びる道をつないだ。

イワン

西ノ村側につく殺し屋であり、ツガイ使いを斬って回る危険人物である。冷静で残忍な戦闘スタイルを持つ。
・所属組織、地位や役職
 西ノ村に属する戦闘員である。御陵と連携する立場にある。
・物語内での具体的な行動や成果
 監視班「空蝉」を一方的に斬り倒し、その場で御陵と通話しながら状況を共有した。アキオが一人になったタイミングを正確に読み、回収役として動いた。ハルオとそのツガイに対しては、ウサギを斬り飛ばし、カメの重力をかわしながら攻め続けた。転移能力を使い、アキオを別の場所へ強制移動させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ザシキワラシの証言により、村を襲撃し彼女たちを下界へ連れてきた実行犯であることが確定した。黒谷四姉弟の次男を斬る報酬を意識する発言から、金と仕事で動く職業的な殺し屋であることが強く示されている。

御陵

中華料理店「西家」の店主であり、実際には強力なツガイ使いである。外面は丁寧な商売人だが、戦場では冷酷な戦略家として動く。
・所属組織、地位や役職
 中華料理店「西家」の店主である。裏社会ではツガイ使いとして活動している。
・物語内での具体的な行動や成果
 商店街の役員会では「かわいいバイトを入れろ」と絡まれても丁寧に受け流し、周囲から感心される態度を見せた。影森家への襲撃では、まず結界の要石を空からの一撃で破壊し、正門を力で突破した。ツガイ「天と地」を使い、地中と上空からの挟み撃ちで影森家のツガイを次々と無力化した。ゴンゾウを重撃で葬り、百鬼夜行の要を狙撃で破壊し、影森家の屋敷そのものを崩壊させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ユルとアサを「確保して殺す」明確な標的として宣言し、黒谷家とも完全な敵対を明らかにした。影森家の拠点を落としたことで、物語世界の勢力図に大きな変化をもたらしている。

アキオ

影森家に敵対する側についた若者であり、多数の本尊と契約してツガイを乱立させた人物である。判断力に欠ける面があり、逃亡を続けている。
・所属組織、地位や役職
 西ノ村側と関係を持つ人物である。御陵やイワンたちに利用される立場にある。
・物語内での具体的な行動や成果
 影森屋敷からの逃亡後、中華料理店「西家」の一室に潜伏していた。ユルの矢を受け、しびれ薬で身体が動かなくなりながらも、その隙を利用して手元の本尊すべてと契約した。ツガイ同士が喧嘩を始めるほど相性を無視した契約だったが、一部は命令に従い、ユルのもとへ殺到した。ハルオの説得を拒み、バールで襲いかかろうとしたところでイワンに拾われ、転移で別の場所へ連れ去られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 山賊由来の血やツガイ生成の材料として関わっている可能性が示唆されている。イワンからも「黒谷四姉弟の次男」として値踏みされており、今後の駒として狙われる立場になっている。

展開まとめ

第41話 秘密と沈黙

来訪と店員の対応
ハナが影森ジンに呼び出され、指定されたビル内の店「L&S」を訪れた。掃除中だった店員は、最初ハナを新しく来た応募者と勘違いしたが、ツガイを連れていることに気づき、ジンの客だと判断して案内した。

ジンとの面会と依頼内容
事務所で対面したジンは、アキオが逃亡した際に巻き込まれて死亡した「庭師」の遺体について相談した。遺体を「静かで陽当たりのよい場所に埋葬してやりたい」という依頼であり、費用はハナの“言い値”でよいと申し出た。ただし、勝手に動けば父・ゴンゾウに叱られるため、この依頼は秘密扱いであると念押しした。

埋葬地と墓参りの話
ハナは、先祖代々受け継がれている埋葬用の山があり、外部に場所を知られるわけにはいかないため具体的な場所は教えられないと説明した。ジンは墓参りができなくなることを残念がったが、事情を理解した。

庭師の遺体の保管状況
遺体の所在を尋ねると、ジンは自身のツガイの腹の中に遺体を保管していると説明した。ハナが腐敗を心配したが、ジンは温度管理が完全で腐敗していないと断言した。

アキオ追跡の可能性と証拠の提示
ハナは「庭師の遺体にアキオの匂いが残っていれば、追跡に使える」と提案した。それを聞いたジンは、遺体から取り出した“アキオ臭のついた物品”として、アキオの手首を提示した。ハナはそのままの形で残っていたことに驚き、「ご本人」と小さく反応した。

影森邸での追跡準備
ハナは影森邸へ向かい、アキオの行方を追うためツガイによる臭跡追跡を開始した。庭師が殺害された現場から正門へ出るまでの動きは監視カメラで確認されており、追跡は正門前から始められた。アキオを長時間拘束していたタヌキのツガイが「玉袋の匂いを嗅いでみるか」と差し出したため、ハナ・ジン・犬のツガイは揃って微妙な表情を見せた。

次郎による臭跡追跡の開始
ハナのツガイ・次郎は臭いを確認するとそのまま走り出し、影森家の者たちとジン、ハナがそれを見送った。ジンは「アキオが車で移動していたら臭跡が途切れるのでは」と懸念したが、ハナは「乗った車が分かれば、その車の匂いを追える」と説明した。片腕のアキオは自力で車を運転できず、電車やバスでは目立つため、「徒歩で逃げるか、西ノ村関係者の車に拾われた可能性」を推測した。また裏社会の車には“ヤバい匂い”が強く付着しているため、追跡可能だと判断した。

アキオの潜伏先の発見
次郎は市街地まで走り、中華料理店「西家」に潜伏していたアキオの臭いを突き止めた。

ユルたちの帰還と安否確認
場面は夜へ移り、ユルたちが帰宅。留守を守っていたアザミとザシキワラシの二人が出迎えた。アザミは「村に帰れるのか」と尋ねたが、ユルと左右様は言葉を濁し、村の状況が厳しいことを示した。

ハナの帰宅と寿司への驚き
その後、ハナが夕食を持って戻り、皆に寿司を差し出した。デラは驚き、ハナは「臨時収入があった」と説明した。寿司を知らないユルとアザミは恐怖して隅へ逃げ、「生魚を食べるのか」「病気になる」と拒絶した。

価値観の衝突と混乱
現代の食文化に対する強烈な拒絶反応に周囲は引き気味になり、アザミは「殺す気だ」と言い、ユルが「野生動物じゃないんだから」と窘めた。ザシキワラシたちは「下界は文明が遅れている」と皮肉り、ケンは「蛮族扱いされた」と不満を述べ、ハナも悔しさを滲ませた。

イワンの件と今後の動き
食後、デラが「ジンからハルオに来たメールを見たか」と確認し、ユルは既に把握済みと答えた。デラは「イワンがいた」と告げ、ユルと左右様はすぐ動こうとしたが、ハナは「影森家が店周辺を監視しているため、今は大人しくすべき」と指示し、二人は戦意を抑えた。

西家の調査とツガイの気配
デラパパは中華料理店・西家のレビューを確認し、星3.3で店主が怖いという評判が多いことを掴んだ。そこへ次郎が「ツガイの気配がいっぱい」と警告し、デラは「イワン一人でも手に余ったのにツガイの巣とは」と焦った。

ユルと左右様の戦闘方針
ユルは「今回はアサがいる」と落ち着いて答え、出現する敵ツガイは“解”で順次無力化すると説明。右様は「今回は本気で戦うべきか」と確認し、ユルは「イワン相手なら殺るか殺られるか」と応じた。さらに「父様母様の件は刀のツガイに聞けばいい。最初から全力でいく」と決意し、左右様も戦意を高めた。オシラサマは「アザミの前で物騒な話をするな」と注意した。

アザミの問いとユルの葛藤
アザミは「村に帰れるのか」「村で何があったのか」と尋ねたが、ユルは答えられず、奥へ行くよう促した。ザシキワラシが続けて同じ質問をすると、ユルはキョウカから預かった手紙を取り出し渡した。

キョウカの手紙とザシキワラシの涙
手紙には「村に戻るな」「ユルと相談し生前引き継ぎをしなさい」「下界で元気に暮らしなさい」「今までありがとう」と書かれており、事実上の絶縁宣告であった。ザシキワラシたちは涙を流し、母の決断を受け止めた。二人は「母が下界に行けと言った時点で覚悟していた」と語り、村の大人たちがユルをどう扱っていたかを知っていたと明かした。

ユルの想いとアザミへの配慮
ユルはアザミを大切に思うゆえ、「村へ戻したい」という気持ちと「大人になったアザミが村と同じく自分を拒絶し、死を望むようになる未来」を思い描き、真実を告げられなかったと語った。

影森家からの報告到着
翌朝、ハナが影森家の調査報告書を持って帰宅し情報を共有した。

影森家の写真照合
ハナが影森家の張り込み写真をテーブルに広げ、出入りした人物の確認を始めた。ザシキワラシはその中の一人を指して「この人!村を襲って私とアザミを下界に連れて来た人」と証言し、ユルは「イワンだ。両親のことを知っている」と答えた。
別の髭の男は“だいご”と呼ばれ、デラパパが「サドマゾの主」と説明。
さらに車で乗りつけていた別の男は名前不明で、ユルは「弱そうだ」と評した。
店長の写真を見たデラは「なるほどイカつい」と述べ、影森の報告ではアキオが“二階の決まった部屋”にほぼ留まっていると判明した。
そこへ左右様が写真を見て「知った顔がおるな」と反応した。

アキオ側の描写
場面は西家へ移り、アキオが室内で腕立て伏せをしていた。
その時、窓に「カンッ」と小石が当たり、アキオが外を警戒する。
窓から身を乗り出した瞬間、アキオの肩に“矢”が突き刺さる。
向かいの建物で弓を構えるユルの姿があり、ユルはこう告げた。

「俺が本気を出してたら今ので死んでたぞ。
ハルオさんに感謝しろよ。
お前を生かして連れて帰ろうとしてくれてるんだからな。」

アキオは状況を理解できず、ただ驚愕するしかなかった。

第42話 襲撃と逆襲

ユルの狙撃とアキオの退避
アキオはユルの矢を受けた直後、即座に身を隠し、追撃の気配を察して警戒を強めた。御陵やイワン、母の姿がない状況から、自分が一人になるタイミングを狙われたと判断し、部屋の照明を切って体勢を低くする。バールを手に取り、刺さった矢を抜きながら、ユル以外の誰かが事前に下調べをしていた可能性を疑っていた。

痺れ薬の効果とアキオの錯乱
矢を抜いた瞬間からアキオの身体には異変が出始め、スマホで助けを呼ぼうとしたものの、痺れで指が動かず取り落としてしまう。毒矢と誤解して焦るアキオに対し、外のユルは弓を構えたまま「痺れ薬だ」と淡々と告げた。夜桜は「毒と大差ない」と冷静に指摘し、アキオの動揺をさらに深めた。

痺れ薬への対処とツガイ契約の開始
痺れ薬で意識が遠のくのを感じながら、アキオは痛覚が鈍っている今のうちにツガイのご本尊へ自分の血を付け、片っ端から契約を始める。「何が出るかな」と半ば賭けのような覚悟で箱のなかの本尊たちを起動させていった。

右様の来訪と増える気配
その最中、右様が窓から姿を現し、「邪魔するぞ」と声をかけた。アキオが「右さんか。一人?」と確認すると、右様は「左のはユルの下じゃ」と返す。しかしアキオの背後には複数の影が膨らみ、右様は「おぬし、一人じゃないな」と状況を察した。

全本尊契約の無茶とツガイ同士の喧嘩
右様に「全部お前のツガイか?」と問われたアキオは、「取り急ぎ手元の本尊全部と契約してみた」と平然と答える。右様は「無茶苦茶だ。相性ってものがある」と呆れたが、案の定ツガイ達は一斉に喧嘩を始めた。

アキオの指示とツガイの分裂行動
アキオは混乱するツガイたちに向けて、「半分は俺を守れ! 残り半分はユル──俺の肩を撃ったやつを捕まえろ!」と指示を飛ばす。ツガイたちは命令通り動き、半数が外へ飛び出していった。

右様の判断と“最後の一体”方式
ツガイが一応命令を聞いている様子を見て、右様は「なら残り半分を相手にすればいいか」とつぶやく。しかし残ったツガイ同士が延々と喧嘩を続け、収拾がつかない。そこで右様は「最後まで残った一番強いやつを相手にすればいい」と戦い方を切り替えた。

ツガイ同士の乱闘と左様の介入
ユルのもとへ到達したツガイたちは、肝心の目的を忘れたようにその場で喧嘩を開始。ユルが「勝手に喧嘩し始めたぞ!」と困惑する一方、左様は「相性が悪いんだろう。同じ主なのに」と分析していた。しかし次の瞬間、無言でキレた左様がツガイたちへ殴りかかり、圧倒的な力で吹き飛ばしていく。ユルは「まあいいけど…」と引きつりながら見守るしかなかった。

ツガイの大群をアサへ送る左様
左様は暴れたツガイたちをまとめてアサがいる方向へ放り投げ、ユルは「アサ、そっち行った」と連絡を入れる。アサは飛んできたツガイたちに「はい、お疲れ様」と告げ、“解”を発動して次々と契約を解除した。

第二波・追加ツガイの落下
直後、さらに大量のツガイが空から降り注ぎ、ユルは「追加いったぞアサ、そいつらも頼む」と続報を送った。大量のツガイを見たガブは思わず「大漁じゃん」と漏らす。

左様が覚えた違和感──“若いツガイ”
左様はツガイたちの状態を見て、「形が整っていない。自認ができていない。ツガイとして若すぎる」と分析した。不安定な姿で暴れるツガイたちに、異様な生成の理由を感じ取った。

新手のツガイと“山賊”の匂い
次の瞬間、新たなツガイが姿を現す。ユルが弓を構えて迎え撃つなか、左様は匂いを嗅ぎ、「最近嗅いだ匂いだな」と呟いた。ユルが「知り合いか?」と問うと、「いや。イワンと戦った倉庫に充満していた、“山賊”の血の匂いだ」と断言した。

フユキの調査──全員“初めての主”
フユキが閻魔帳を照合すると、「こいつら全員、アキオが初めての主だ」と驚愕。閻魔帳も「真っさら。歴史も経歴もゼロ」と告げ、アキオが契約したツガイたちが生成されたばかりの“未成熟な存在”であることが判明した。

商店街役員会と御陵への“バイト入れろ”攻撃
その頃、商店街のスナックでは役員会が開かれていた。会長は酒に酔い、中華料理店「西家」の店長・御陵へ「見た目が怖くて損してる」「かわいいバイト入れろ」と絡んでいた。御陵は「バイト代を出せるほど儲かっていない」と穏やかに断りつつ、「貴重なご意見ありがとうございます」と丁寧に返し、周囲を感心させていた。

店の扉の異変と御陵の離脱
会合の最中、店の扉がひとりでに開き、ママが確認に向かうが外には誰もいなかった。実際にはツガイが出入りしており、御陵は店側の異常を察知する。「用事を思い出した」と会議を切り上げて店へ戻るが、会長は勝手に「女か?」と騒いでいた。

監視班“夕顔”の沈黙とナツキの判断
通りで酔客を装っていた監視班「夕顔」は、「御陵が会合を離れ店へ戻る」と無線で報告。車中のナツキは「追跡は“若紫”に引き継ぎ、“夕顔”は通り過ぎろ」と指示。だが直後、「夕顔?」と呼びかけても応答がなく、現場では夕顔の隊員が倒れているのが確認される。ナツキはアスマへ「夕顔に何かあったようです」と報告し、状況確認を急いだ。

イワン担当“空蝉”の壊滅とイワンの通話内容
続いてナツキは「空蝉! 空蝉!」と無線で呼ぶが返答がない。場面はゴミ置き場へ切り替わり、そこには斬られて倒れた空蝉の隊員と、その傍らに立つイワンの姿があった。
イワンは御陵と通話し、「え、今、店に誰もいないんですか?」と確認。「アキオだけ? 完全に一人のときを狙ってきてるじゃないですか」と状況を読み取った。

ツガイとの乱戦とアキオの逃走
右様は残ったツガイを膂力でねじ伏せ、引きちぎった腕をアキオめがけて投げつけるなどして牽制し、アキオは必死に逃走する。その途中、右様の足元に転がっていた壺に目が留まり、右様はツガイ処理を中断して壺の分析に意識を取られた。

アキオとハルオの再会──説得
外へ逃げたアキオの前にハルオが立ち塞がる。アキオは「東村の連中と仲良くなったのかよ」と皮肉るが、ハルオは「帰ろう。俺も一緒に御館様に命乞いする」と真剣に訴える。
だがアキオは拒絶し、バールを振り上げて襲いかかる。そこへウサギのツガイが飛び込み、蹴りでバールを弾き落とした。

追い詰められるアキオとハルオの提案
続けて亀が重力をかけ、アキオは地面に押しつけられて動けなくなる。ハルオは腹ばいになったアキオに、「西ノ村の情報で御館様と取引しよう。それしか生き残る道はない」と説得したが、アキオは涙をにじませながら抵抗した。

イワンの奇襲とウサギの負傷
その背後からイワンが現れ、「そうか?」と冷笑して斬撃を放つ。ハルオを庇ったウサギが斬られ、瓦礫の中へ吹き飛ばされる。ウサギは「ごめん、ハルオ……抜かった。この辺、ツガイの気配が多すぎて、こいつの接近に気づかなかった」と苦しげに漏らした。
亀が再び重力をかけようとしたが、イワンはひらりとかわし、転移でアキオを別の場所へ強制転送した。

イワンの標的宣言
残されたイワンは転移先を見送るように空を見上げ、「黒谷四姉弟の次男か……斬ったらいくらもらえるんだったっけ」と呟き、アキオが明確に“狙われている存在”であることを示した。

影森家の警戒と御陵の来訪
場面は影森家に移り、警備室から「正門前に不審者」と報告が入り、ジンはその情報を持ってゴンゾウのもとへ走る。ゴンゾウは警備からの連絡を受け、正門前に御陵が現れたと告げた。御陵が自分の店を離れて来たことから、アキオを見捨てた可能性を推測し、ジンも同意した。

結界への自信と警戒
ゴンゾウは「こちらが手薄だと思われているのだろう」と不快感を示しつつ、結界がツガイを弾くため仲間がいても侵入できないと断言。ジンは“別動隊の存在”を警戒したが、ゴンゾウは「結界を越えたところで全員捕まえられる」と強気の姿勢を見せた。

御陵による結界確認と突破行動
御陵の視点では、ツガイが結界侵入を試みて弾かれ、御陵は「まず結界を壊す」と判断。屋敷内に双子がいないなら容赦なく行くと独り言を漏らした。

結界を越える“何か”の落下
御陵が指を上へ掲げ、下へと振り下ろした瞬間、結界の防御を無視して“何か”が屋敷内へ高速で落下した。影森家の防壁をすり抜ける新たな脅威の到来で、場面は一気に緊迫した。

第43話 天と地

御陵の奇襲と要石破壊
突如、屋敷の内部に“何か”が落下し、影森の屋敷全体が激しく揺れた。調べると、それは結界の要石を直撃して破壊したもので、その瞬間に屋敷を守っていた結界は完全に消滅。外部からのツガイ攻撃を防ぐ手段がなくなり、警備隊は「アキオから情報が漏れた可能性」を疑い始めた。

御陵の突入と破壊された門
結界が消えたのを確認した御陵は、正門を力づくで破壊して侵入。警備隊が応戦するも、御陵の圧倒的な力の前に次々となぎ倒され、道を切り開かれてしまう。ジンとゴンゾウは正面で対応することになった。

双子を巡る御陵の要求
ゴンゾウは御陵の狙いを見抜き、「双子を手に入れても従うとは思えん」と牽制。しかし御陵は「従わなくていい」と即答し、冷たく本心を明かした。

アサはすでに《解》を持っているため“首を奪う”。
ユルは《封》を会得させ、その後に“首を奪う”。

つまり御陵の目的は「双子を確保すること」ではなく、“双子を殺すこと”だった。

双子不在の屋敷と御陵の真意
ゴンゾウは「今、屋敷にユルもアサもいない」と告げたが、御陵は最初から織り込み済みだった。今回の目的は「双子が逃げ込める場所を潰すこと」だと明言し、屋敷の破壊をちらつかせながらアサの引き渡しか、ユルの居場所の提供を迫った。

影森側の理屈と御陵の圧力
ジンは「双子は家族として普通に暮らしたいだけだ」と訴えるが、御陵は影森を“違法と無法の象徴”と決めつけ、双子の保護を甘さと断じた。

ゴンゾウは真っ向から反論し、

・敵対する東村から逃げてきたアサを“客人”として迎えている
・客として迎えた以上、最後まで面倒を見るのが影森の仁義
・双子の両親探しも進めている

と、影森家の正当性を主張した。

“情報”を餌に揺さぶる御陵
ジンが「双子の両親・ミネさんとナギサさんの所在を知っているのか」と尋ねると、御陵は不敵に笑い、「アサを差し出し、ユルの隠れ家を吐けば教えてやる」と取引を提案。力と情報を盾に、影森家へ圧力をかけた。

御陵の反撃と“天と地”の正体
ジンはツガイに御陵を丸呑みさせようとしたが、御陵が指を軽く払っただけでツガイは地中から血まみれで弾き出された。石畳が膨れ上がり、地下で巨大な存在が動く気配が露わになる。ジンはツガイに首根っこを咥えられ、その場を離脱。だが地中の追撃はそれを上回る速度で迫り、ゴンゾウが身を投げ出してその進行を止めた。

ジンが拳銃で御陵を撃つが、地中のツガイが石畳を跳ね上げて弾丸を弾く。ゴンゾウのツガイが突撃しても、御陵が指を下ろした瞬間、上空から巨大な物体が落下して貫いた。複数のツガイが同時に進行しても、地面を爆発させて封じ込められる。

御陵はそこでツガイの名を明かす。

「俺のツガイ──『天と地』だ」

これを聞いたジンは、自分の潜伏型ツガイ「愛ちゃん」と最悪の相性であることを理解した。

左様への情報伝達
場面はユル側へ。ユルは、フユキの閻魔帳から得た情報――「ツガイとしての経歴が完全なゼロ」――を左様に伝える。左様はその異常さに納得していた。

ユルと左様、変異した元山賊ツガイとの戦闘
左様は襲ってくる異形のツガイが「つい最近まで人間だった者」で、しかもユルを狙っていた“元・山賊”だと見抜く。ユルは驚くが、ツガイたちは執念深くユルを殺そうと迫り、殺気を撒き散らして襲いかかる。

ユルは斧で応戦し、腕を切断しながら反撃。夜桜も加勢していたが、ユルが「狩場がざわついて嫌な感じだ。アスマのところへ戻れ」と命じ、夜桜は主のもとへ戻った。ユルはツガイたちを一体ずつ圧倒していく。

アスマ一行の判断を巡る対立
場面はアスマとナツキへ。ナツキは「ハルオから返信がない」と報告し、緊迫を伝える。アスマは「弟を助けに行け。『なもみはぎ』も連れて」と命じたが、ナツキは強く拒否。

影森屋敷が襲撃されている可能性が高く、屋敷にいる者に何かあれば、アスマが“次の家長”として責任を負う立場になるため、軽率な行動はできないという。さらに「有事の際は息子を最優先で守れ」という御館様の指示を明かし、「お守りします、アスマさん」と従者としての覚悟を示した。

戦況分析と上空からの脅威
ジンがツガイに“上空の敵”を探らせるが、高度が高すぎて感知できない。ジンは、先代田寺を襲った狙撃と要石の中心を正確に撃ち抜いた攻撃が同一であると気づき、敵の正体を“空中からの狙撃手”と断定。ゴンゾウも頭上からの脳天狙いを警戒し、ジンとともに上空と地上の連携攻撃に備えた。

御陵の指示による狙撃とゴンゾウの防御失敗
ゴンゾウがどのツガイで応戦するか選ぼうとした瞬間、御陵が指を下に向け、次の狙撃が発動。ゴンゾウは構えて受けるも、小手の装甲をまとったツガイ、頭上のツガイが撃ち落とされる。ゴンゾウは「装甲でも防げない威力」に驚愕した。

百鬼夜行の崩壊とツガイ同士の混乱
ゴンゾウは大量のツガイを召集し百鬼夜行を展開しようとしたが、要となるツガイ「百鬼夜行」がすでに狙撃で倒れており、統率を失ったツガイたちは互いに殴り合いを始めて隊列は崩壊。御陵は「ツガイを集めて権力を集中させた結果、仲介役がいなければこのざま」と指摘した。

地の拘束と致命的狙撃
怒ったゴンゾウはツガイ無しで飛び込み、御陵へ肉薄。しかし足元から“地”の触手が伸び、身体を拘束された次の瞬間、上空からの狙撃が直撃。ジンは衝撃に吹き飛ばされ「おやっさん!」と叫ぶが、煙が晴れると残されていたのはゴンゾウの“片足”だけだった。

決意するジンと終局の情景
ゴンゾウの死を悟ったジンは拳銃を構え、御陵と向き合う。御陵は指をゆっくり上から下へ動かし、次の合図を送った。血だまりのそばにはジンのメガネが落ち、破壊された要石と崩れた屋敷の光景が広がっていた。周囲の観測者たちの描写を残し、場面は幕を閉じる。

第44話 雪と血

アカネの子として現れたジン
雪の中、影森家では見慣れない少年が訪れたことで人々が騒いでいた。彼らは「アカネさんの子が来ている」と噂し、最近使用人になった者たちはアカネの存在を知らず困惑していた。長男ヒカルは、アカネが父の三番目の妻であり、自分の実母は出産時に亡くなり、次男アスマの母も別の事情で失ったことを説明した。またアカネは家のやり方になじめず、妊娠したまま家を出たと語った。人々は、現在来ている少年が影森家の三男に当たると確認した。

ジンと影森ゴンゾウの初対面
ジンは影森ゴンゾウに挨拶し、突然訪れたことを謝罪した。ゴンゾウはジンの名前を知っており、アカネが出ていった後、ジンが無事に生まれたか一度だけ調べさせたことを打ち明けた。アカネが家を嫌って出ていったため、ジンがここへ来た事情を気にしていたが、ジンは「母は他の男と去り、自分を置いて出ていった」と説明し、「影森家に行け」という母の言葉を伝えたうえで、「ここに置いてほしい、働く、何でもする」と懇願した。

家を失ったジンの訴えとゴンゾウの反応
ゴンゾウはジンがまだ学生であり、養育費も母に渡してあるため働く必要はないと述べたが、ジンは「何もかも母が持って出ていった」と告げた。これを聞いたゴンゾウは言葉を失い、部屋を無言で立ち去った。ひとり残されたジンは、自分が詐欺師と思われたのだろうと落ち込み、「帰る場所もない」と内心で呟いた。

兄たちとの対面
その後、ゴンゾウは長男ヒカルと次男アスマを連れて戻り、ジンに紹介した。ヒカルとアスマは明るくジンに挨拶し、兄弟として受け入れる姿勢を示した。ジンは突然の歓迎に困惑し、「DNA鑑定をした方がいい」と主張したが、ゴンゾウは「めんどい」と軽く返し、ジンは思わず「雑」と突っ込んだ。ヒカルはメガネを外し、ジンと自分の目付きの似ている点を示し、アスマも「完全に兄弟だ」と言った。

影森家への受け入れ
ヒカルとアスマは快活にジンを歓迎し、ゴンゾウも「仲良くしてやってくれ」と促した。ジンは戸惑いと不信感を口にしたが、兄たちと父の自然な態度により、影森家が自分を本気で受け入れようとしていることを感じつつあった。

ツガイによる血縁の確認
影森家が自分をあまりにも簡単に受け入れることを不審がるジンに対し、ゴンゾウは「おまえの誕生を一度だけ調べさせた」と改めて説明した。さらに当時調査に行ったツガイが今まさに背後におり、ジンが自分の子で間違いないと断言していると告げた。ジンが振り返ると、ツガイの朝霧が姿を見せ、「この子はゴンゾウとアカネの子だ」と明言した。ジンがツガイを認識できるとわかると、周囲のツガイたちも嬉しそうに挨拶をした。

呼び方を巡る押し問答
廊下を歩きながら、ジンはゴンゾウを「御館様」と呼ぼうとしたが、ゴンゾウは「父さん」と呼ぶよう求め、ジンは強く困惑した。やり取りの末、ジンが提案した折衷案として「おやっさん」と呼ぶ形で妥協が成立した。

ジンの照れと受け入れの証
ジンが「おやっさん」と呼ぶと、ゴンゾウは満面の笑みで「及第点!」と喜んだ。ジンは気恥ずかしさを抑えながらも、その呼び名を受け入れた。場面は現在へ戻り、破壊された影森家の表札が雪と血の中に埋もれている情景が示されて回想は終わる。

ジンの生存が示す状況の変化
瓦礫の中で倒れているジンと、切断されたゴンゾウの足、そして消えかける百鬼夜行の姿が描かれる。一方で御陵だけが立っており、頬にはジンの放った弾丸が掠めた傷が残っていた。わずかな隙を突き、ジンのツガイであるアイが御陵へ襲いかかり、御陵は「アイが動く=ジンはまだ生きている」と即座に判断した。

ゴンゾウの反撃と父の意地
続いて瓦礫の中からゴンゾウのツガイも這い出し、御陵は驚愕する。さらに地中から現れたゴンゾウ本人が御陵の足を掴み、「俺の息子を殺らせはしねぇよ」と吠える。御陵は天の一撃でゴンゾウを完全に沈めるが、その隙にアイは気絶したジンを救出し、現場から離脱する。

御陵の敬意と冷酷さ
ジンの姿が消えたのを確認した御陵は、倒れたゴンゾウに向け「最期の力で子を助けたか。天晴、影森ゴンゾウ」と敬意を示す。そして周囲に散らばるゴンゾウのツガイが全て主を失い野良化したと判断し、順次狩り始める。

独自行動に出るツガイと屋敷の崩壊
しかし、一部のツガイ「百手」と「うやむや」は御陵の掌中を離れ、独自にヒカルのもとへ向かっていた。やがて妨害する者が全ていなくなったことで、御陵は影森家の屋敷を破壊し始め、建物は轟音とともに崩れ落ちていった。

桜沢の危機とヒカルへの連絡
御陵の破壊が屋敷に及び、家人たちは医師の桜沢に「逃げて!」と叫ぶ。しかし桜沢も「アンタたちこそ逃げな!」と言い返しながら、ヒカルへ必死に電話をかけていた。「起きててちょうだいよ…波久礼先生…」と祈るように呟きつつ走る。

仮眠中のヒカル、強制起床
一方、仮眠室で熟睡していたヒカルのスマホが鳴り続け、部屋の前には「仮眠中 起こすな!!」の札が掛かっていた。電話で叩き起こされたヒカルは不機嫌にスマホを見て起き上がり、「誰だよ俺の睡眠を邪魔するの…」と苛立ちながら廊下へ出る。

そこで震えながら待つ「百手」と「うやむや」を目の当たりにし、「父さんのツガイ…百手とうやむやか」と状況を察する。

うやむやの告げる“継承”とゴンゾウ死の報せ
うやむやが震えながら告げる。

「ゴンゾウ、しんだ
せいぜん ひきつぎ
あたしたちの あたらしい あるじ…ヒカル」

さらに廊下の向こうで屋敷が崩れ、家人の一人が瀕死の状態でヒカルに「ヒカル…にげて…」と伝えて倒れる。その直後、煙の向こうから御陵がゆっくり姿を現す。

「うやむや」が震えながら告げた。

「あいつっ… にしのむら みささぎ… ゴンゾウ ころした」

ヒカルの表情が一変し、怒りと殺気がにじみ出る。

場面転換:イワン vs ハルオ
一方その頃、ハルオはイワンの攻撃でツガイのウサギが斬られてしまう。ハルオは負傷したウサギを庇いながら後退し、イワンから距離を取ろうとしていた。

ハルオの仲間を守る覚悟
イワンに追い詰められたハルオは、抱えていたウサギに「足手まといだから置いて逃げて」と言われるが、「仲間は裏切らない」と強く否定し、ウサギもカメも絶対に守ると宣言する。
その言葉を聞いたカメが奮起し、イワンへ体当たりして吹き飛ばす。

ウサギを救援に飛ばすハルオ
ハルオはウサギに「ごめん」と声をかけて放り投げ、カメの重力で遠くまで飛ばして「助けを呼んで来てくれ」と頼む。
ハルオは「このチカン(イワン)が表に出ると一般人が巻き込まれる」として、カメとともにイワンをここで食い止める覚悟を決める。

ウサギ、右様のもとへ到達する
吹き飛ばされたウサギは右様のいる西家へ到着。
右様は最初バカにしたり嫌味を言うが、ウサギが「ハルオとカメがイワンに殺される」と必死に頼むと反応。
右様はツボを渡し、中のフンコロガシのようなツガイを「逃がすなよ」と言い残して外へ向かう。

右様がユル・左様を招集
外へ出た右様は「ユル! 左の! 来い! イワンだ!!」と叫び、二人を戦場へ招集する。

イワンに追い詰められるハルオ
ハルオはイワンの猛攻を必死に受け止めていたが力の差は大きく、ついに首を刎ねられそうになった。

右様の乱入と救援
その瞬間、右様が割って入りイワンの刀を折った。右様は「頑張ったのうハルオ。あとはわしらに任せておけ」と告げ、ハルオを背後に下げるのであった。

左様の参戦とイワンの動揺
イワンは“わしら”という言葉に反応した直後、背後から左様の膝蹴りが迫るのを察知し、辛くも回避した。イワンは左様の再生した腕を見て「俺が斬ってやった腕復活したのかよ」と軽口を叩くが、左様は「万全だ」と言い放つのである。

ユルの矢撃とイワンの警戒
直後に飛来した矢がイワンの肩をかすめ、イワンは初め何が起きたかわからなかったが、右様が矢だと気づいたことでユルの存在を悟る。飛来した矢が「黒く塗ってやがる」とイワンは驚愕し、左様は「今日は月夜ではないぞ。夜の名を冠するわが主の攻撃、躱し切れるかな」と告げるのである。

同シリーズ

黄泉のツガイ

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黄泉のツガイ 1巻
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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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