小説「お気楽領主の楽しい領地防衛 2」感想・ネタバレ

小説「お気楽領主の楽しい領地防衛 2」感想・ネタバレ

どんな本?

前世の記憶を持つ侯爵家四男ヴァンが、生産系魔術という“ハズレ適性”を武器に辺境の村を発展させる物語である。本巻では、発展を続ける村に周辺国からの干渉や脅威が迫り、ヴァンが防衛と外交の両面で奮闘する姿が描かれる。村を守るため、新たな施設や兵器を建設しつつ、国家間の思惑が交錯する緊迫感ある展開へと進んでいく。

主要キャラクター

  • ヴァン・カルディナ:侯爵家四男にして転生者。生産魔術の才能を駆使して辺境の村を城塞都市へと育てる少年領主である。
  • ティル:ヴァンに仕える年上の専属メイド。献身的な支えを続け、ヴァンの成長を見守る存在である。
  • ムルシア:ヴァンの兄であり、時に複雑な思いを抱えつつも協力を惜しまない。
  • パナメラ:ヴァンに忠誠を誓う護衛役で、実力者としてたびたび戦場で活躍する。

物語の特徴
本作は、一般的な戦闘中心のファンタジーとは異なり、「生産」と「防衛」をテーマに据えている点が大きな特徴である。タワーディフェンス的な要素を物語に巧みに組み込み、拠点開発や兵站管理の面白さを描き出している。また、ヴァンの人柄に惹かれて集まった仲間たちの絆や、地道な努力の積み重ねによる村の成長が読者に温かな感動を与える。単なる無双劇に終始せず、困難を乗り越えるプロセスに重きを置いている点も魅力である。

出版情報

  • 出版社:オーバーラップ
  • 発売日:2022年2月25日
  • ISBN:978-4-8240-0111-5
  •  関連メディア展開:
  •  漫画版:作画・青色まろ、ガルドコミックスより2022年2月25日発売中 
  • アニメ化:2025年4月20日にテレビアニメ化が発表された 

読んだ本のタイトル

お気楽領主の楽しい領地防衛 2 ~生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に~
著者:赤池宗 氏
イラスト:  氏

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あらすじ・内容

ハズレ適性の生産魔術で最弱の村に最強の兵器を!?

“役立たず”とされる生産系の魔術適性によって侯爵家を追放され、辺境の村の領主となった少年・ヴァン。
前世の知識とハズレ適性の生産系魔術で村の発展を目指すヴァンは、強力なバリスタを生み出し、緑森竜の討伐に成功した。
わずか8歳にもかかわらず、短期間で寂れた村を大きく発展させ、さらにはドラゴンの討伐をも成す。
そんな前代未聞の功績を、ヴァンと同盟関係にあるパナメラ子爵が国王へ報告し、叙爵を進言したことで事態は動き出す。
ヴァンへ大いに興味を示した国王が、予告もなく来村し――!?
さらに、村の近くで未踏のダンジョンが発見されたことによって多くの冒険者が訪れ、村は活気に溢れていた!
一方、ヴァンは大忙しに!?
そんな中、ヴァンの元へ不穏な知らせがもたらされる。
それは、隣国・イェリネッタ王国が戦争を仕掛けてくるというもので――!?
追放された幼い転生貴族による、お気楽領地運営ファンタジー、第2幕!

お気楽領主の楽しい領地防衛 2 ~生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に~

感想

ヴァンがドラゴンを討伐し、国王へ報告したことで男爵に叙された展開は、序盤から非常に胸がすくものであった。
さらに、国王自らが興味を抱き、予告なしに村へ赴く流れは、ヴァンの常識外れな活躍ぶりを際立たせ、読者に爽快感をもたらした。
お忍びの国王を前にしても、物おじしないヴァンの態度が非常に印象的であった。

物語の後半では、隣国イェリネッタ王国が突然侵攻してくる緊迫した展開が描かれた。
ワイバーンを新型バリスタで撃破するシーンは、ラノベらしいカタルシスを存分に味わえる場面となっており、非常に盛り上がった。
また、父侯爵の領地である要塞都市が、隣国の新型兵器である爆弾によって陥落する描写は衝撃的であり、ただの無双物語では終わらない重みを与えていた。

退却戦では、ヴァンが一般市民の脱出を助けるため、速度に優れるワイバーンを次々と討ち取っていく姿が描かれた。
彼の迅速な判断と行動が、ただ強いだけではない英雄性を感じさせ、物語にさらなる深みを与えていた。
最後に無事自領へと退却するまでの一連の流れは、読者を手に汗握らせるものがあった。

本作は、相変わらず物語のテンポが非常に良く、テンポ感を損なうことなく進行していった。
その中でヴァンは常に謙虚さを失わず、いわゆる「俺TUEEEE」要素がありながらも、鼻につくことがないバランスが心地よかった。
このため、読後感も非常に良好であり、ストレスなく読み進めることができた。

一方で、ここまでで物語の主要な要素がかなり出尽くしてしまった印象もあり、今後どのように新たな展開を生み出していくのかに期待が高まった。
ヴァンの成長と彼を取り巻く世界の変化が、次巻でどのように描かれるのか楽しみである。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

序章  ドラゴン討伐とその余韻

ドラゴン討伐と村人たちの自信

ヴァンは、自作の最強大型バリスタ、フェルティオ侯爵家副騎士団長ディー、最恐の執事エスパーダらの力を結集し、辺境の村で緑森竜討伐を達成した。加勢に来たパナメラ子爵とその騎士団の尽力も大きく、討伐の成功は村人たちに大きな自信をもたらす出来事となった。

続く祝祭と村の疲弊

しかし、討伐の勝利に沸く村は、三日三晩続く無秩序な祝宴によって疲弊していた。燃え残った火が村を照らし、村人たちは地面に倒れたり壁にもたれたりと、死屍累々の様相を呈していた。

ティルとカムシンの苦言と笑い

メイドのティルは、村人たちが騒ぎ続けたことに苦笑しつつ、そろそろ日常に戻るべきだと助言した。執事見習いのカムシンも、ヴァンの優しさに甘えすぎた村人たちを嘆いたが、自ら口元に肉の欠片を付けていたことを指摘され、慌てる場面があった。

明日への決意と日常への回帰

ヴァンは、今は大いに騒いだ村人たちも、明日からまた頑張ればよいと笑い、ドラゴンの素材剥ぎ取りという重労働を労った。ティルとカムシンもその言葉に苦笑と呆れ顔を見せ、村は徐々に通常の生活へ戻ろうとしていた。

第一章  ドラゴン討伐を終えて

ドラゴン討伐後の混乱と商会設立

ドラゴン討伐後の村の発展


ドラゴンの素材剥ぎ取りを終えたヴァンは、地下倉庫を新設し、大量の素材を保管可能とした。また、城壁の整備も進め、バリスタや跳ね橋の設置を残すのみとなった。弟ランゴが商隊を引き連れて村に戻ると、驚愕の表情を見せた。ランゴのキャラバンは大規模なもので、これを見た村人や商人たちも騒然とした。

ドラゴン素材と商人たちの思惑

新たな倉庫を見学した商人たちは、ドラゴン素材の価値に驚愕した。ベルはドラゴン素材の競売価格を白金貨百五十枚と見積もったが、商人たちは白金貨八十枚で買い叩こうと画策した。ベルとランゴは誠実な商談を選び、利益よりも信用を重視する道を選んだため、商人たちは憤慨しつつ去った。

商会設立への道

商会設立には大金貨一枚のギルド入会金、実店舗、そして爵位保持者の推薦が必要であった。ヴァンは自らの家系を頼らず、盟友であるパナメラ子爵に推薦を頼むことを決意した。パナメラは快くこれを承諾し、自身の評判向上にも繋げる意図を持って行動した。

王都での陳情と爵位授与

王都に赴いたパナメラは、国王ディーノに対してヴァンの功績を報告した。ヴァンがドラゴンを討伐し、さらにアーマードリザード四十体を撃破したことを伝えた結果、王は驚愕し、ヴァンに男爵位を授けることを決定した。王都ではこの話題が大きな噂となり、ヴァンは英雄として名を馳せた。

ベルランゴ商会の設立

ヴァンの男爵叙爵と同時に、ベルとランゴは「ベルランゴ商会」を正式に設立した。商会は王都でも大きな注目を集め、彼らの活動は順調にスタートを切った。村に残った商人たちは自らの失策を悔やみつつも、ランゴたちの成功を遠巻きに見守るしかなかった。

パナメラとヴァンの今後

パナメラはヴァンに対して、自立のためには爵位を得るべきと助言した。ヴァンは自らの成長と新たな領地運営に向け、独自の道を歩み始めた。王都での噂や騎士団からの注目も集まる中、ヴァンとその仲間たちはさらなる飛躍を目指して新たな挑戦に臨むこととなった。

第二章  村の状況第

塔の完成と村の発展

ヴァンは急ピッチで工事を進め、城壁とバリスタを完成させた。百人しかいない村に対して、各方角に百台のバリスタを備えるという大規模な設備であった。食事のために塔へ登ったヴァン一行は、広がる村の景色を見渡し、その規模に感嘆した。また、村の名称をどうするか議論となり、ヴァンタウン案など冗談交じりに話題に上った。

訪問者の来訪と新たな問題

塔から街道を眺めたカムシンが、遠くから訪問者らしき一団を発見した。彼らを迎えるため、ヴァンは領主の館に戻り、会談に備えた。到着したのは、隣村の住民であった。彼らは領主の圧政と徴兵によって生活基盤を失い、この地に救いを求めて来たのである。ヴァンは彼らを受け入れることを決意し、村への移住を提案した。

歓迎会と村の拡張計画

移住者たちの歓迎会として、村ではバーベキュー大会が催された。初めて豊かな食事にありついた移住者たちは涙を流して喜び、村の住民たちも心から受け入れた。ヴァンは牛の存在に注目し、今後の畜産による村の発展計画も視野に入れた。

ダンジョン発見と王都への報告

歓迎会の最中、オルトたちが村近くでダンジョンを発見したとの報告を持ち帰った。ヴァンは速やかに王都へ報告する必要性を理解し、クサラに伝令役を任せた。クサラは新たに授けられたミスリルの短剣を携え、王都へ向けて旅立った。

クサラの冒険と新たな出会い

道中、クサラはオークに襲われた馬車を発見し、戦闘の末に救出した女性、フラミリア・ストラトスと出会った。彼女は没落した貴族の令嬢であり、クサラと共に王都を目指すこととなった。王都では冒険者ギルドにダンジョン発見を報告し、大きな話題を呼んだ。

隣村の民の移住と新たな生活

一方、オルトたちは隣村からの移住者たちを護衛し、無事にヴァンの村へと到着させた。村人たちはその立派な城壁に驚愕しつつも、歓迎を受け、豊かな食事に涙した。ヴァンの村は確実に新たな段階へと進みつつあり、未来への希望が育まれていた。

三章  設備拡充

村の発展と町づくりの開始

ヴァンは新たな住人と家畜を迎える準備を進め、村に大量の住宅と施設を建設した。さらに離れた場所に冒険者用の小さな町を作る計画を立て、騎士団の設立も検討した。町の治安維持を考慮し、代官にはエスパーダを任命し、騎士団設立の方針も決定した。

隣村住民との交流と労働力確保

隣村から移住してきた住民たちを温かく迎え、バーベキュー大会を開催して親睦を深めた。住民たちには商業や農業の担い手として活躍するよう依頼し、働き口を用意して安心させた。同時に、騎士団員の勧誘も積極的に進めた。

新たな脅威と騎士団設立の遅れ

村の外から多数の冒険者が流入し、町は賑わいを見せたが、エスパーダが先手を打って騎士団員を確保していたため、ヴァンは人材争奪戦で後れを取った。それでもディーを団長とする小規模な騎士団を設立し、体制を整えた。

冒険者たちとの出会いと信頼構築

押し寄せた冒険者たちに対し、ヴァンは仮設の防壁を建設して対応した。ディーは剣の腕を見せつけ、冒険者たちに強い印象を与えた。ヴァン自身も子供領主として親しまれ、冒険者たちとの良好な関係を築いた。

ダンジョン拠点の建設

村の近隣に発見されたダンジョンに対応するため、ヴァンは拠点施設の建設に着手した。険しい森や崖を越え、橋を建設しながらダンジョンへの道を開拓した。到着後は、宿泊施設や食堂、倉庫、トイレを備えた拠点を急造し、冒険者たちに安全な活動拠点を提供した。

ダンジョン探索と安全確保の取り組み

ダンジョン周辺は危険な地形であったため、橋を増設し、帰路の安全確保にも尽力した。拠点では厳格な規則を設け、門の開閉管理や水源確保にまで配慮した。冒険者たちは新たな拠点に驚きつつも喜び、ヴァンの能力に敬意を示した。

村への帰還とエスパーダの叱責

拠点建設を終えて村へ帰還したヴァンであったが、夜遅くまで活動したため、エスパーダから厳しい叱責を受けた。ヴァンは仲間たちの助けを得ようとしたが、結局一人で説教を受けることになった。

第四章  いろいろ来た

町の防壁完成とキャラバンの帰還

ヴァンは防壁の完成に伴い、次はバリスタを作ろうと考えていた。そんな折、キャラバンを率いたランゴが大量の若い奴隷と共に帰還した。奴隷たちは健康で若く、白金貨百三十枚という大金と共に帰還し、ヴァンに献上品として連射式機械弓を持ち帰った。

奴隷市での奴隷獲得と買い付け交渉

ランゴは奴隷市で大量の奴隷を安価で買い付けることに成功した。初めは高額な価格を提示されたが、巧みな交渉術とメアリ商会の後押しにより、百五十人もの奴隷を大金貨二枚で購入することに至った。奴隷たちは辺境の村に向かうことになったが、彼らは未知の未来に不安を抱いていた。

城塞都市の到着と村での歓迎

奴隷たちはセアト村とエスパ町に到着し、予想外の大規模な城塞都市を目の当たりにして驚いた。到着直後、ヴァンの主導で歓迎のバーベキュー大会が開かれ、奴隷たちは温かく迎え入れられた。美味な肉料理に涙を流しながら、彼らは次第に心を開いていった。

男爵への叙爵と領地の拡張計画

ヴァンは正式に男爵位を叙爵されたことが発表された。これにより領地支配の正統性が強固になった。また、パナメラ子爵も隣接する領地の獲得を目指し、ヴァンと協力体制を築く意向を示した。ヴァンは兄ムルシアとの協力を控えつつ、慎重な立場を取ることにした。

奴隷たちの面接と新たな配属

奴隷たちはベルとランゴの監督の下、各々の適性に応じて配属先が決定された。魔術適性者はエスパーダへ、戦闘経験者は騎士団へ、商才のある者は商会へと割り振られた。特に、吟遊詩人や踊り子は村の文化振興に役立てられることになった。

機械弓部隊の設立と試験運用

ヴァンは連射式機械弓を活用する弓兵部隊の設立を進めた。ポルテという小柄な少女でも扱えることを確認し、これにより身体的に不利な者たちにも戦闘の機会を与える方針を示した。部隊の訓練はカムシンに任され、村の防衛力強化が本格化した。

連射式バリスタの開発と研究

ヴァンは連射式機械弓の構造解析に取り組み、バリスタへの応用を目指した。ミスリル素材を使った試作品も作成したが、初回は失敗に終わった。しかし、試行錯誤を続ける意欲を失うことはなかった。

アルテの魔術適性の発覚と新たな可能性

アルテは自らの魔術適性が「傀儡」であることを告白した。当初は卑しい魔術とされることを恐れていたが、ヴァンはこの才能を高く評価した。アルテの操る人形は精密な動きを見せ、今後の戦術や村の行事で活用されることが期待された。

第五章  アルテの力と戦争

ミスリル製人形の製作とアルテの成長

ヴァンはミスリル製の人形を試作した。ドレス姿に剣と盾を持たせたその姿に、ティルは呆れたが、アルテは無邪気に笑った。アルテは人形を操作して舞を披露し、初めて心から笑顔を見せた。しかし、魔力を大量に消耗したため、ヴァンはアルテの魔術を研究する提案を行い、アルテもそれを受け入れた。

新兵器の開発と披露

ヴァンはミスリルと魔獣素材で改良型機械弓を製作した。重さから男性用と女性用に分け、使いやすさを追求した。また、アルテが操る木製人形の舞を村人たちに披露し、最初は不安視されていた傀儡魔術への偏見を、見事な演舞で払拭することに成功した。

バーベキュー大会と王都からの使者到着

舞の成功を祝しバーベキュー大会が開催され、村は活気に満ちた。翌朝、王都からの使者が到着し、ヴァンの男爵叙爵が伝えられる。到着した使者の中にはかつての知人パナメラもおり、彼女を通じて国王ディーノ・エン・ツォーラ・ベルリネート本人が直々に視察に来たことが明かされた。

国王一行による村と要塞の視察

国王ディーノと宰相アペルタ、王子ピスタは、想像を超える規模と防御力を誇る星型城塞都市に驚愕した。バリスタの威力や、三方向からの防衛機能を持つ城壁設計、急速な都市整備に圧倒され、ヴァンへの興味を深めた。

村の住民構成とアプカルル族の登場

湖に生息するアプカルル族が、ヴァンの許可を得て定住を始めたことが判明した。幻の種族と称されるアプカルルとの交流も、国王一行にとっては驚愕の連続であった。ヴァンは彼らを自然に受け入れ、村のさらなる拡張計画に意欲を見せた。

さらなる要塞建設とヴァンの目標

ヴァンは現在の星型要塞をさらに発展させる構想を語り、最終目標は「自らでも攻略不可能な城塞都市」を築くことであると宣言した。その壮大な構想に、国王と宰相は感嘆し、彼の将来性に強い期待を寄せた。

ディーノ王の心境と今後への期待

ディーノ王はヴァンの天才的な才能に触れ、スクーデリア王国の未来に希望を抱いた。王都の設計士たちをセアト村に送り込み、ヴァンから学ばせることを検討するほどに評価を改め、国王自らヴァンに対して信頼と期待を言葉にした。

第六章  びっくり村

国王との対話と覚悟の決意

ヴァンは王命に対し民を見捨てることを拒否し、国王ディーノも渋々これを認めた。領地持ちとなったヴァンは、他貴族からの反感を覚悟しながらも、村を守るために心を新たにした。

灰色のドラゴン襲来への備え

突如現れた灰色のドラゴンに対し、ヴァンは即座に防衛体制を敷いた。ディーノ王らもこれに協力し、正門上に集結。空を飛ぶ敵への対応として試作品の対空兵器を投入する準備に入った。

国王の評価とヴァンの能力

ディーノ王はヴァンの類稀な才覚に驚嘆し、彼を敵に回す愚を避けるべきと結論付けた。四元素魔術以外を軽視してきた王国の方針を見直すべきとの意識改革にも繋がった。

イェリネッタ軍の侵攻と誤算

イェリネッタ王国のウニモグ王子率いる軍が村へ進軍。城壁を見くびって強行突破を試みるが、ヴァンたちの用意した強力な対空兵器と周到な防衛策によって返り討ちに遭った。

ワイバーン撃墜と四方手裏剣爆弾の威力

ヴァンの指示で放たれた四方手裏剣爆弾により、ワイバーンは撃墜され、さらに地上の敵軍にも甚大な被害を与えた。この圧倒的な防衛力に、敵軍は混乱と壊滅状態に陥った。

敵軍の動揺とヴァンの対処

壊滅したイェリネッタ軍に対し、ヴァンは冷静に対応。橋を下ろし、門を開き、事情聴取に向かった。優秀な部下達に守られながら、戦後処理へと乗り出した。

第七章  イェリネッタの接近

敵軍の正体と侵攻作戦の概要

ヴァンは国王、アペルタ、パナメラと共に、敵軍の正体がイェリネッタ王国王子ウニモグ率いる騎士団であったことを確認した。ワイバーンを操っていた魔術師は戦死し、侵攻作戦の全貌は拷問により明かされた。侵攻の主な狙いはフェルティオ侯爵家であり、領地拡張による人材不足を突かれたものであった。

戦局と国王の指示

国王はスクデット城塞都市が最初に狙われると推測し、速やかに防衛のための行動を指示した。アペルタと国王は王都に戻り援軍を編成し、パナメラは補給部隊を編成する手はずとなった。ヴァンにも防衛戦への参加要請がなされたが、彼は自領を守る責務を理由に最小限の出兵を希望した。

村の防衛体制と出征準備

ヴァンは村の防衛をエスパーダに託し、自身はディー率いる騎士団、ティル、カムシン、さらにアルテと共に遠征することを決めた。アルテの同行は心強い戦力強化となった。加えて、オルト率いる冒険者たちも護衛依頼を受け、百五十人超が戦列に加わることになった。

物資調達と商会の奮闘

戦争準備に伴い、ベルランゴ商会では武器・防具の需要が急増した。ヴァンは店主ランゴとメディチを支援し、自ら武具を大量生産して供給した。冒険者達も熱心に装備を買い求め、村の経済活動は一時的に活況を呈した。

セアト騎士団の士気と新装備の導入

セアト騎士団は百人規模に達し、初の遠征に向け士気を高めた。ヴァンは新たに開発した軽量かつ高耐久の大盾を支給し、防御力を大幅に強化した。また、国王からは後方配置が期待され、最前線での犠牲を避ける方針が共有された。

遠征への決意

ヴァンは新たな馬車の製作を試みるなど、準備に余念がなかった。自らの責任を胸に、全員無事に帰還することを目指して出陣の時を迎えようとしていた。

第八章  出陣

出発準備と行軍開始

ヴァンは馬車と馬を準備し、騎士団の行軍体制を整え、目的地であるスクデットに向けて出発した。馬車には防衛用の秘密兵器も搭載され、ヴァンは領主特権で馬車に乗り続けた。道中、スクデットでは魔術師による攻城が長引く常識が語られ、父フェルティオ侯爵の奮闘が期待された。

スクデット陥落の現場到着

しかし到着した現場では、スクデットが既に陥落し、城壁が破壊され、ワイバーンの群れが城壁に群がっていた。撤退する兵と市民たちの姿にヴァンたちは衝撃を受けた。侯爵家の騎士団が殿を務めて市民の撤退を援護していたが、混乱が続いていた。

秘密兵器による援護作戦

ヴァンは急遽、馬車を変形させた即席の防壁を設置し、バリスタと自動人形部隊による援護作戦を開始した。アルテが操る自動人形はワイバーンを次々と討ち取り、混乱の中で敵軍に打撃を与えた。これにより、市民や撤退する兵たちの逃亡を支援することに成功した。

フェルティオ侯爵の奮闘と新たな脅威

一方、フェルティオ侯爵もスクデット奪還のために出陣していたが、敵国イェリネッタ王国の黒色玉による奇襲とワイバーンの空襲により苦戦を強いられた。侯爵は火の魔術で一時的に敵兵を押し返したものの、ワイバーンによる上空からの爆撃に対応しきれず、戦局は悪化していった。

イェリネッタ王国側の優勢

イェリネッタ王国は黒色玉とワイバーンを駆使し、スクデット陥落に成功した。敵兵は市民と撤退兵に対して無差別な追撃を開始し、戦場は混乱に満ちた。しかし、突如現れたヴァンたちの自動人形部隊によりワイバーンの多くが撃墜され、敵軍の追撃は失速した。

撤退戦と村への帰還

ヴァンは無理な戦闘を避ける方針を貫き、迅速な撤退を指示した。馬車部隊は整然と撤退し、アルテの人形による後衛支援と街道封鎖で敵の追撃を防いだ。退却中もバリスタと機械弓による反撃を続けながら、無事にセアト村へと帰還を果たした。

村での再会と今後への展望

村に帰還したヴァンたちは、留守中に増えた人口や新たな移住者たちを歓迎し、バーベキューパーティーで再会を祝った。ヴァンは戦局の悪化を認めながらも、死者を出さずに帰還できたことを誇りに感じ、今後の発展に向けて前向きな決意を新たにした。

第九章  敗戦の影響

城塞都市スクデット陥落と撤退戦

フェルティオ侯爵は、城塞都市スクデットの陥落後、撤退を強いられた兵士たちを再編成するため、急ぎ近隣の町に移動していた。補給拠点を失ったことで窮地に陥った彼は、王都騎士団や近隣貴族の支援を求めるべく指示を飛ばし、物資調達と兵力再建を進めた。しかし、未知の武器による被害と、それによって低下した士気の回復は容易ではなかった。

援軍の到着と王の介入

ムルシアが兵を率いて到着したものの、その到着の遅れにフェルティオ侯爵は怒りを露わにした。そこに国王が現れ、事態の詳細報告を要求する。フェルティオ侯爵は、敵の新兵器とワイバーンによる攻撃でスクデットが陥落したこと、自軍が撤退時に不明な援護を受けたことを報告した。その援護がヴァンによるものであると国王は断言し、ヴァンの功績を認めて男爵に叙爵したことを告げた。

ムルシアの独立と侯爵家の動揺

ヴァンの活躍に誇りを覚えるムルシアだったが、国王から自らの独立を示唆され、戸惑いを隠せなかった。フェルティオ侯爵もまた、兄弟間の争いを避けるためムルシアを侯爵家から切り離す選択を受け入れた。最終的に、ムルシアはヴァンの村に隣接する土地へ赴任させられることとなった。

スクデット奪還に向けた王国軍の動向

パナメラ子爵は、スクデット奪還のための会議に参加し、ヴァンの助力が敗走軍の壊滅を防いだことを明言した。国王は再奪還作戦におけるヴァンの新たな兵器開発にも期待を寄せ、パナメラと共に次の戦いに備える方針を示した。

ヴァンの領地での兵器開発

一方ヴァンは、自領に帰還し、安堵のひと時を過ごしていた。だが、セアト村周辺の防衛強化の必要性を感じ、新たな兵器の開発に着手する。高高度対応型の錘式投石機(トレビュシェット)を設計・製作し、スクデット奪還後の拠点防衛用として量産を開始した。

再びスクデットへ向かう決意

ヴァンは村民たちに別れを告げ、スクデット奪還支援のため再び戦場へ赴いた。バリスタや新開発の投石機を武器に、周囲の町を守るための戦いに備えた。さらに、矢や手裏剣を販売することで領地収入の安定化も図り、戦場支援と経済活動の両立を目指したのである。

番外編  発展途上

新たなダンジョン発見とセアト村への冒険者たちの訪問

新たに発見されたダンジョンの報告を受け、冒険者たちは辺境の村セアト村を目指した。資源にも乏しい辺境の地にダンジョンが存在していたことに冒険者たちは納得し、さらにこの村が大型ドラゴン討伐の噂で名を馳せた場所であると知り、驚きつつ興味を抱いた。

城塞都市へと変貌したセアト村との出会い

セアト村に到着した冒険者たちは、想像を遥かに超える城壁と設備に驚愕した。水堀や跳ね橋を備えた要塞のような村は、王都の城壁にも劣らない威容を誇っていた。村の騎士団員に迎えられた彼らは、領主であるヴァンの手腕により村が急速に発展したことを知らされる。

冒険者たちとオルトの交流

先行していたオルトと出会った冒険者たちは、村の案内を依頼した。オルトは村の食事環境が行商人ベルとランゴにより向上していること、さらにヴァンが開発した武器の性能を説明した。半信半疑の冒険者たちに、オルトは自らの武器でナイフを両断して見せ、村の技術力を証明した。

ヴァンとの対面と武器の実演

湖畔でヴァンと対面した冒険者たちは、彼が村の領主でありながら親しみやすい少年であることに驚いた。ヴァンはバリスタの試し射ちを提案し、巨大な矢が木々を貫通する威力を披露した。さらにヴァンが作成した特製の「カタナ」により、盾を容易に切断する様子を見せたことで、冒険者たちは彼の技術に完全に魅了された。

即席の武器注文と村の発展

冒険者たちは我先にと武器の注文を行い、ヴァンはその場で素早く剣やナイフを作成して販売した。作られた武器は鉄よりも硬いアーマードリザードの皮をも容易に切断できる性能を持ち、冒険者たちを満足させた。ベルランゴ商会による防具の販売も好評を博し、セアト村は「王国内最高の武器が手に入る村」として評判を高めていった。

ヴァンの日常と村の未来

ヴァンは冒険者たちの注文に応じて武器作りに追われる日々を送りながらも、小銭稼ぎを楽しんでいた。この後、セアト村は王国内でますます名を馳せ、ヴァンの存在はさらに多くの者たちの注目を集めることとなった。

番外編  九歳になった

ヴァンの誕生日とティルの特製ケーキ

セアト村で恒例となった大バーベキュー大会において、ヴァンの九歳の誕生日が盛大に祝われた。今回の目玉は、ティルが一か月かけて完成させた特製の巨大スポンジケーキであり、村人や冒険者たちも一緒にその味を堪能した。スポンジのふわふわとした食感と生クリームの甘さは、村の住人たちに大きな驚きと喜びを与えた。

ティルの苦労と笑い話

ティルはケーキ完成のため、試作を繰り返した結果、甘いものの食べ過ぎで胸焼けと体重増加に悩まされていた。周囲はティルの努力に感謝しつつも、彼女の苦労話に笑みを漏らした。ヴァンはティルの負担を労い、ティルもまたヴァンへの忠誠を新たにしていた。

ヴァンへの新たな教育方針

エスパーダはヴァンに対し、今後さらに学問に力を入れるべきだと提案した。それに対してディーは、学問と並行して剣術の鍛錬も必要であると主張し、両者の意見が対立した。ヴァンはこれ以上の負担に不満を示したが、教育係たちは国王たる者は知識と武力の両方が不可欠であると譲らなかった。

仲間たちの支援とティルの決意

アルテやカムシンはヴァンを擁護しようと試みたが、エスパーダとディーによる理詰めの説得に押されてしまった。そんな中、ティルはヴァンが知識や武力に欠けていたとしても、絶対に支え続けると宣言し、その忠誠心に皆が心を打たれた。

ヴァンの決意と教育係たちのさらなる要求

ティルの言葉に背中を押されたヴァンは、情けない領主にはなりたくないと決意を新たにし、努力を続けることを誓った。しかし、その決意を受けてエスパーダは勉強時間の増加を、ディーは剣術の鍛錬時間の増加を提案し、ヴァンをさらに追い込む結果となった。ヴァンは苦笑しつつも、これまでの努力が自身を成長させたことを思い返し、仲間たちと共に穏やかなひとときを過ごしたのであった。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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