物語の概要
本作は、異世界×SF×ハーレム要素を融合させたスペースオペラ系ライトノベルである。前巻までに整った傭兵団を率いて自由気ままに生きていた主人公・ヒロが、第15巻では皇帝の命を受け、帝国と連邦の境界宙域へ赴く。そこで因縁ある伯爵領に踏み入った一行は、宙賊討伐を完遂したものの、伯爵の策略によってセレナ大佐が毒薬を盛られ囚われてしまう。覚醒したヒロは、その圧倒的な「サイオニックパワー」を以て怒涛の反撃に転じる。
主要キャラクター
- ヒロ(佐藤孝弘):本作の主人公。宇宙船を駆り、サイオニックパワーと最強装備で戦う傭兵団長である。
- セレナ大佐:帝国軍サイオニック使いであり、ヒロの戦友。第15巻では毒薬によって囚われの身となる重要な役割を果たす。
物語の特徴
本作の特徴は「異世界(宇宙)×最強主人公×地に足のついた傭兵生活」という希少な組み合わせにある。圧倒的な力を持ちながらも、「家を買う」という現実的な目標のもとで行動するヒロの等身大の姿が魅力である。第15巻では、セレナの救出という緊迫したドラマと、サイオニックパワーが炸裂する戦闘が読者の興奮をかき立てる。他の異世界作品にありがちなファンタジー色を排し、SFとしてのリアルな宇宙戦が描かれる点も差別化されている。
書籍情報
目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 15
著者:リュート 氏
イラスト:鍋島テツヒロ 氏
出版社:KADOKAWA(カドカワBOOKS)
発売日:2025年7月10日
ISBN:9784040759845
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あらすじ・内容
まさかのセレナ大佐が悪徳貴族の囚われの身に!?
皇帝直々の勅命により、帝国と連邦の紛争宙域星系へと向かうことになったヒロ一行。そこはヒロと因縁のあるイクサーマル伯爵家の管轄下の場所だった。セレナと共に共同作戦にあたり、謎に装備の良い宙賊の討伐をサクサク展開していたものの、伯爵に招かれた晩餐会で薬を盛られ、セレナまでもが囚われの身になってしまった!
目覚めたヒロは、覚醒したサイオニックパワーで、人間離れした怒りの反撃を開始する!!
感想
今巻では、ファ⚫︎⚫️ンエンペラーの意図で前線に送り込まれたヒロたち。
帝国軍の補給線を攻撃する宇宙海賊を狩り、襲撃分布を分析してさらに狩りまくる展開は、読んでいて爽快感があった。
しかし、そんな彼らを前線基地の司令官である悪徳貴族が呼び出したことから、物語は急展開を迎える。
まさか前線基地の貴族が裏切っているとは、本当に終わっている。
しかも、その貴族がなかなかゲスな趣味の持ち主だったらしく、セレナ大佐があれな薬に侵されてしまうとは……。
まるでエロ漫画のような展開に驚きを隠せない。
何て不幸なセレナ大佐。
またそれが似合う。
宇宙海賊と繋がりがあると噂されてる悪徳貴族が食事に睡眠薬を盛ってヒロを拘束するも、彼は「サイオニックパワー」で拘束具を引きちぎり大暴れ。
同席していたセレナ大佐は謎の薬を盛られてしまい、その後はショーコ先生によるアレコレな説明が……。
あぁ、遂に大佐が……という展開に、、
良かったねセレナ大佐!
最後までお読み頂きありがとうございます。
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展開まとめ
プロローグ
起床と朝の支度
主人公ヒロは情報端末のアラームで目覚め、同じベッドのミミと共にシャワールームへ向かったである。目覚めの内省では、ミミを傭兵生活へ巻き込んだ罪悪感が一瞬よぎったが、行動には移さず日課を優先したである。
食堂でのクルーとの交流
シャワー後に食堂へ向かったヒロとミミは、銀髪エルフのエルマが肉料理を頬張る姿を目撃したである。さらにドワーフ姉妹ティーナとウィスカも登場し、激戦に備えた物資補充や嗜好品の仕入れ状況を報告したである。ヒロは必要物資のリスト作成を命じ、朝食を取りながら結束を固めたである。
船内ルーティンと医務室の検診
ヒロは規則正しい生活を重視し、トレーニングと船内巡回をこなしたである。医務室では船医ショーコがヒロの健康状態を確認し、狐人クギの遺伝子研究に没頭していたである。ヒロはクギに修練後の面会を約し、巡回を続けたである。
メイとの操舵確認
コックピットではメイドロイドのメイが航行を管理していたである。目的地まで五十二時間と報告を受けたヒロは感謝を伝え、メイの要望で抱擁を交わしたである。メイは多岐にわたる業務を担い、ヒロはその献身に頭を下げたである。
クリーオン星系への航行背景
一行はパンデミック騒動を経て、グラッカン帝国とベレベレム連邦の係争宙域に位置するクリーオン星系へ向かったである。同星系は資源こそ平凡ながらも紛争の火種となり、傭兵にとっては収入源であり危険地帯であると説明されたである。本来は宙賊討伐が主眼だが、今回は皇帝直々の勅令により帝国航宙軍へ協力を余儀なくされたである。
物資集積基地でのセレナ大佐との再会
クリーオン星系の物資集積基地に到着したヒロは、皇帝の勅令を携えるセレナ大佐と再会したである。大佐は表向き笑顔を保ちながらも厄介事を匂わせ、ヒロは皇帝への不満を抱きつつ任務への従事を余儀なくされたである。
#1 : 帝国航宙軍クリーオン星系物資集積基地
前線拠点への到着と物資調達の調整
帝国航宙軍クリーオン星系物資集積基地に到着したヒロ一行は、セレナ大佐の出迎えを受け、戦艦レスタリアスに向かった。基地は軍事要塞として強固に武装されており、民間人の出入りは厳しく制限されていた。ミミがブラックロータスに積み込んだ嗜好品は、セレナ大佐の艦隊によって正規予算で引き取られることになり、後方兵站を潤す形で調整が進められた。
イクサーマル伯爵家の存在と政争の火種
ヒロはこの基地の治安に関してセレナ大佐に問いかけ、不穏な雰囲気がただよう現状を聞かされる。防衛を担っているのはかつての因縁相手・イクサーマル伯爵家であり、彼らは実質的に前線で磨り潰される懲罰的任務を与えられていた。セレナ大佐は過去にイクサーマル家と関わった経緯を説明し、現在の不安定な状況との関連を暗示した。
皇帝の意図と裏切りの可能性
ヒロは皇帝による勅命の裏にある意図を探り、伯爵家の連邦側への寝返りを危惧した。セレナ大佐とエルマはそれを否定したが、ヒロは過去の経験を踏まえ、最悪の事態を想定する重要性を説いた。実利的な面からも、貴族にとって帝国の裏切りは大損失であると分析されたが、現状では完全な否定は難しいとされた。
宙賊の活動と作戦の提案
ヒロは、宙賊の装備や行動が組織的である点に着目し、スポンサーの存在を疑った。セレナ大佐は戦艦を含む艦隊の足が遅いために有効な対策を講じられていないことを明かし、ヒロは艦隊を小分けにして各星系のハイパーレーン突入口に展開する「網を張る」戦術を提案した。この柔軟な戦術にセレナ大佐は理解を示し、戦力を分割しての対応を検討することとなった。
兵站破壊の実態と帝国の対応
宙賊の主な標的は軍の主力兵站ではなく、嗜好品を運ぶ民間船であることが明かされた。ハイパーレーンの安定化装置が機能していないため宙域の把握が困難であり、帝国側も十分な警戒網を展開できていなかった。後方撹乱は損害としては小さいが、継続すれば戦意に影響を及ぼすため、早期の対応が求められていた。
情報収集と作戦実行に向けた準備
ヒロは宙賊の行動範囲を制限し、情報を収集することで敵の拠点を突き止める作戦を提示した。セレナ大佐もこれに同意し、艦隊の配置と情報分析を開始した。ヒロは戦力や艦種ごとの特性を考慮し、現場での即時撃破や索敵の手順を具体化させた。
傭兵団への共有と今後の展望
ブラックロータスに帰還したヒロは、全クルーに現状と今後の任務を共有した。敵の装備が高性能であるため注意が必要とされつつも、任務の基本は従来通りであると確認された。クギは捕虜の尋問におけるサイオニック支援を申し出ており、ヒロは状況に応じて活用する意向を示した。最後に、セレナ大佐の作戦準備が整うまで一時待機とし、次なる出撃に備えて鋭気を養うこととした。
#2:宙賊(自称)狩り
哨戒任務とセレナ大佐からの命令
セレナ大佐との会談後、ヒロたちはクリーオン星系近隣のボークス星系にて宙賊掃討任務を開始した。これは再編成中の帝国艦隊に代わり、レスタリアスが拠点とする予定の星系の露払いを命じられたためである。報酬は日数単位で支払われ、補給費用は軍側が負担し、撃破艦の鹵獲も自由であった。
救難信号と宙賊艦隊との交戦
哨戒中、亜空間センサーに救難信号を受信し、現場に急行すると、護衛艦2隻と輸送艦が宙賊9隻に襲撃されていた。ヒロたちは宙賊の装備が高品質であることを確認しながら、迅速に攻撃を開始。散弾砲や重レーザー、ブラックロータスの火力によって敵艦を次々と撃破し、最終的には逃走を試みた宙賊もグラビティジャマーによって足止めされ、全艦を撃退・殲滅した。
サルベージとコロニーへの帰還
戦闘終了後、サルベージを行い、中型宙賊艦を鹵獲。コロニーに帰還し、護衛艦の船長から感謝を受けた。鹵獲艦内部の安全はボットで確保され、私物や情報端末からのデータ回収も進められた。セレナ大佐にはその報告と共に、データの分析を依頼する旨を伝えた。
傭兵ギルドでの情報収集
ボークス星系の傭兵ギルドにて、ヒロは職員たちと情報交換を行い、宙賊襲撃に関する座標や行方不明船の航路情報を入手。データから襲撃パターンを独自に分析し、宙賊のねぐらがザイラム星系にある可能性を示唆した。彼の分析はギルド職員たちを驚嘆させ、再度の解説を求められるほどであった。
エリート宙賊の存在と軍の無策
ヒロの分析により、宙賊の中には綿密な作戦を立てて行動する「エリート宙賊」が存在することが示された。セレナ大佐はその存在を初耳とし、これまでの軍の分析や教育にはこの概念が欠けていたことに愕然とした。捕虜となった宙賊の多くは10歳以前の記憶を持たず、出自や本拠地についての情報は一切得られていないことも共有された。
宙賊掃討作戦の準備と連携
その後、宙賊の殲滅を目的としたローラー作戦の打ち合わせが行われ、ヒロたちは勢子(猟犬)として行動することとなった。帝国の高火力主義によって余剰となった駆逐艦などの小型艦が投入され、掃討部隊が編成された。ヒロの戦術は軍の定石とは異なるが、実績により受け入れられつつあった。
宙賊捕獲と慎重な対応
戦闘中、破壊を免れた宙賊艦を発見し、生存者がいる可能性があることから非殺傷での制圧を指示。捕虜として拘束し、情報収集に利用することとした。ミミやクギはこの対応にも慣れ、戦闘後の対応を手際よく進めた。
急変する戦況と新たな命令
作戦の進行中、帝国がベレベレム連邦との戦端に直面し、セレナ大佐から任務中断とクリーオン星系への集結が命じられた。ヒロたちは集めた情報の分析に集中することとなったが、状況の急変により新たな戦いが迫っていることを予感させた。
#3:後末、あるいは束の間の平隠
捕虜調査と鹵獲艦の解析
掃討戦で捕えた宙賊の一団はブラックロータス船内で尋問と診察を受け、セレナ配下の調査班が艦内部のデータストレージを徹底的に解析していた。鹵獲した中型艦は二十年以上前に倒産したベレベレム連邦製シップメーカーの古い護衛艦と判明し、拡張性の低さゆえ市場評価は低かったが、護衛任務には最低限耐え得る性能を保持していた。整備士姉妹は安全処理後、蓄えていた部品でレストアを開始したである。
物資集積基地での待機と独立艦隊の拘束
前線の増援に備えるべく帝国軍はクリーオン星系物資集積基地を要衝に指定し、対宙賊独立艦隊を警備に充てた。ヒロの部隊は実質的に“待機任務”となり、固定報酬に日当が加算される状況であったが、イクサーマル伯爵家からの要請で晩餐会への出席が打診されたことから、ヒロは罠の可能性を懸念して船番の配置と非常対応を手配したである。
シミュレーター訓練と艦内賭博騒動
暇を持て余した帝国パイロットたちはヒロを相手に模擬戦を挑み、小額エネル賭博を行った。ヒロは連勝してチップを山積みにしたが、セレナ大佐は規律乱れを危惧して以後の賭博を禁止し、勝ち取ったチップのみお仕置きとして黙認したである。
剣戟稽古と真意の告白
セレナ大佐は模擬戦で発散できなかった鬱憤を晴らすべくヒロに剣術勝負を挑み、数度の試合で圧倒された。ヒロは第二法力による予知めいた感覚を活かして大佐の動きを封じ、稽古後に自身の来歴を明かした。彼は上位世界からの落ち人であり、ターメーン星系で目覚めた経緯とサイオニック能力、そしてミミと既に婚姻関係にある事実を語ったである。
セレナ大佐の求愛とヒロの拒絶
来歴を聞いたセレナ大佐は改めてヒロを配下に迎えようとし、侯爵家の後援や領地相続の利を示したが、ヒロは気ままな傭兵生活と多妻的な現状を理由に即座に断った。大佐は涙目で抗議しつつも引き下がり、互いに譲れない立場を再確認して稽古を終えたである。
晩餐会決定と警戒態勢
翌日開催と通知された伯爵家主催の晩餐会に備え、ヒロはメイを船に残して全自動防衛体制を敷き、クルーたちと警戒方針を共有した。好機と罠が交錯する中、彼らは緊張を孕みながらも次なる波乱を待ち構えたである。
#4 : 修羅と化す
旗艦マジェスティックへの招待
ヒロはミミ・エルマ・クギを伴い、イクサーマル伯爵家主催の晩餐会に出席するため旧式戦艦マジェスティックへ乗艦したである。外観は角張った年代物の巨艦であったが、内部は華美な応接空間に改装され、私兵たちは最新装備で警備に当たっていた。案内役に導かれた一行は、当主デイビット伯爵と息子ヴィンセント、そして既に到着していたセレナ大佐らと対面し、新たな出会いを祝う乾杯に応じたである。
晩餐会での裏切りと監禁
提供された食事には睡眠薬が混入されており、ヒロとセレナ側の参加者全員が昏倒したである。目覚めるとヒロは椅子に拘束され、セレナ大佐は別室で吊り下げられていた。ヴィンセントは女たちを人質にヒロを従わせようと脅迫したが、ヒロは秘められたサイオニック能力を解放し、念動力で拘束を破壊してヴィンセントの首を刎ねたである。残る私兵二名からミミたちの所在を聞き出したのち、艦内の制圧に乗り出した。
ヒロの暴走と艦内制圧
ヒロは両手の剣と念動力で私兵らを次々に殲滅し、壁さえ切り開いて最短経路を突破した。戦闘の最中、時空と運命を捻じ曲げる新たな能力が覚醒し、敵の攻撃は彼に当たらず、剣の一振りで複数の首を落とす理不尽な必殺が可能となったである。メイドロイド部隊と対宙賊独立艦隊の海兵も突入し、艦内は惨禍と化した。ヒロは途中で趣味の悪い“プレイルーム”を発見し、凍結保存された女性囚人と薬物器具を目にして激昂したである。
クギの救出行動と伯爵の尋問
一方、クギは目覚めと同時に見張りをテレパシーで無力化し、ミミ・エルマ・副官エマを解放して情報端末を掌握したである。合流後、ヒロは反逆当主デイビットを捕縛し、クギは強力な精神操作で伯爵から計画を吐かせた。反逆の内容は、ゲートウェイ工作とセレナ大佐・ヒロを戦利品にしてベレベレム連邦へ寝返り、前線星系を引き渡すという大規模叛逆であったである。
反逆者の企図と収拾への動き
デイビットが用いた薬剤によりセレナ大佐の異物除去インプラントは限界に達しており、彼女は医療チェックを要したが指揮権移譲のため艦橋制圧を決意したである。ヒロはメイが届けた装備で再武装し、クギに人員制圧を一任した。独立艦隊の海兵とメイドロイドが制圧を続行する中、ヒロとセレナ大佐は反逆の残滓を掃討し、司令所掌握と前線状況の把握に動く準備を整えたである。
#5 :一難去りて
反逆者拘束と基地掌握
セレナ大佐は旗艦マジェスティックの艦橋から演説し、反逆を企てたデイビット・イクサーマル伯爵を拘束した事実と証拠を提示して私兵を含む基地兵力を降伏させたである。後継者たるヴィンセントをヒロが討っていたため求心力は失われ、抵抗勢力は海兵隊が制圧に移行したである。
大佐の体調悪化と医療手配
デイビットから投与された不明薬剤の影響でセレナ大佐は発熱・震えに苛まれ、戦艦レスタリアスの医療体制では対処困難と判明したである。ヒロはブラックロータスのショーコ医師に受け入れを要請し、薬剤サンプル付きで大佐を搬送する準備を整えた。
デイビット尋問と叛逆計画判明
クギは催眠尋問でデイビットから全計画を聴取したである。内容はゲートウェイ妨害により帝国増援を遮断し、前線星系とセレナ大佐・ヒロを“戦利品”としてベレベレム連邦へ献上する大規模寝返りであった。証言は録取され、帝国への報告体制が組まれた。
戦闘後の疲弊と精神制御
ヒロは白兵戦で大量殺害と新たな時空・運命操作能力の覚醒により精神が暴走しかけたが、クギが事前に用意した精神経路を介して鎮静させたである。クギは危急時には第二法力を行使し、最悪の場合に恒星系崩壊を招く暴走を防ぐ役割を自認したである。
今後への懸念と小休止
ヒロは貴族殺害の法的影響を懸念したが、エルマは情状酌量とコネの活用を助言したである。ミミ・エルマ・クギとともに船内で消毒と休息を取り、クギの尻尾ブラッシングで和んだ後、ショーコ医師からの緊急呼び出しを受け、ヒロは大佐の治療支援へ向かったである。
#6: そんなエロ漫画みたいなことある?
医務室での診断と選択の提示
ショーコ医師は、セレナ大佐の症状の原因がナノマシン製剤によるものであると説明し、それが自己複製機能を持つ極めて悪質な品であることを明かした。すでにナノマシン自体は無力化され、代謝と異物除去インプラントによって残留物の処理が進められていたが、効果的なカウンター薬剤の完成には丸一日を要する見込みであった。その間、鎮静剤では耐えきれず、対応しなければセレナは死に至るという状況であった。
苦渋の決断と感情の告白
薬剤の効果により、セレナは肉体的かつ精神的に極限状態にあり、医師の説明では「男性との性行為」によってのみ衝動を一時的に抑えられるように改造されていた。傭兵としての立場やこれまでの関係を考慮しつつも、彼は最終的にセレナを救う道を選び、自ら行動する決意を固めた。
行為の余波と二人の変化
行為の後、正気を取り戻したセレナは強い羞恥と後悔を表明しつつも、彼に対する好意を自覚し始めた。一方で彼もまたセレナへの好意を認め、関係の変化を受け入れていた。セレナは自らを「面倒な女」と称しながらも、彼との関係を深化させることを選んだ。
日常への一時的な回帰と武器の再検討
セレナは周囲の仲間たちに囲まれながら一時の休息を過ごし、彼は武器のメンテナンスに取り組んだ。彼は自身の装備を見直し、戦況や敵に応じた剣の使い分けを検討した。鹵獲したヴィンセントの剣や名もなき貴族兵の剣を手に取り、その性能を冷静に比較しながら、戦術に応じた選択肢として整理した。
前線への出撃と作戦の準備
セレナの通信により、物資基地の掌握が完了し、ベレベレム連邦の攻勢が迫る中、前線への迅速な増援が必要と判断された。彼は傭兵としての報酬と危険を秤にかけつつ、実戦への投入に備えた。正規軍との戦闘が主に砲撃戦であるため、中・小型艦の出番が限られることにも留意していた。
未来への約束と個人的関係の深化
セレナは、今後の行動として帝都への同行と実家への挨拶を彼に求め、責任を明確にした。彼は渋々ながらもこれを受け入れ、皇帝への報告や戦果の正当性確保のためにも同行を決意した。やり取りの中でセレナは羞恥と怒りを入り混ぜた感情を見せたが、最終的には互いの絆を確認する形で収束し、彼らの関係がより強固なものとなったことが示唆された。
#7 : 缶詰少女
前線の膠着と遅滞戦術
帝国航宙軍はゲートウェイ破壊による増援遅延の中、対FTLトラップ艦と長距離砲撃で連邦軍を牽制し、星系内を後退しながら縦深防御を実施したである。この状況下で傭兵ヒロらは突撃艦隊へ編入され、小惑星帯での伏撃準備を命じられたである。
小惑星帯での奇襲作戦
連邦軍は指揮系統の混乱から密集陣形のまま小惑星帯へ進入し、帝国側の一斉奇襲を受けたである。ヒロのクリシュナは対艦反応魚雷と散弾砲で戦艦級四隻を行動不能にし、同調した突撃艦隊が混乱を拡大させたである。敵の統制射撃は封じられ、局地的乱戦に持ち込まれて壊滅的損害を被ったである。
敵艦隊壊滅と掃討・戦利品確保
戦闘は帝国側の大勝に終わり、損害比は一〇倍以上となったである。ヒロ隊は生存者探索と並行して兵器・物資を鹵獲し、多数の光学兵器やエネルギーパックを回収したである。その後、遅滞戦で奪還した領域を確保しつつ増援艦隊を迎え、クリーオン星系に後退して修理と補給に入ったである。
缶詰少女の発見
戦場残骸の探索中、生命反応を示す大型円筒容器を回収したである。容器を開封すると、全身にチューブと端子を挿入された白褐色の小柄な少女が封入されていたである。メイは接続ポートを通じて電子戦を制圧し、少女を医療ポッドへ移送したである。
少女の医学的評価と政治的波紋
ショーコ医師は少女を連邦製生体指揮ユニットと断定し、臓器・筋骨の発育を阻害された状態で余命一年未満と診断したである。救命には高性能医療ポッドと五百万エネル相当の改修ナノマシンが必要と提示されたである。セレナ大佐は証拠として帝国へ引き渡す意向を示したが、連邦が存在を否認する可能性が指摘され、最終的にヒロが暫定保護者として治療を負担する方針となったである。
戦果集計と今後の展望
クリシュナは戦艦級四隻撃破を含む多数の戦果で八千万エネル近い報酬を得たである。イクサーマル伯爵は反逆罪で帝都へ送致され、物資基地の指揮はセレナが継続したである。ヒロは獲得資金の使途として母艦増強や居住拠点購入を検討しつつ、缶詰少女の治療と連邦の非人道行為の追及に備えることを決意したである。
エピローグ
戦後の休息とセレナの通い詰め
任務完了後、ヒロは補給のためブラックロータスをクリーオン星系へ帰港させ、セレナは暇を見つけては艦に通い酒宴や甘えを繰り返したである。クルーに負傷はなく艦も無事であったため、ヒロは今回の仕事を無事と評価したである。
帝都同行の確約
イクサーマル伯爵家に斬撃を振るった件と大戦果の勲章授与に伴い、ヒロはセレナの後任着任後に帝都へ同伴する約束を受諾したである。セレナは婚姻を視野に実家への挨拶まで求め、公私混同に戸惑うヒロに執着を見せたである。
生体指揮ユニットの治療と保護
ショーコ医師とメイは捕獲した少女型生体指揮ユニットの治療に専念し、延命には高額のナノマシン処置が必要と判断したである。連邦が存在を否認した場合、ヒロに保護義務が発生する可能性が提示され、ヒロは医療費負担と彼女の庇護を決意したである。
補給業務と勲章準備
セレナは物資集積基地で後方補給の責任者となり多忙を極め、ヒロは契約外として補給作業を断りパトロールに徹したである。大勝の戦果によりクリシュナ隊は約八千万エネルの報酬と新たな勲章授与が確定したである。
後任着任と帝都への転進
帝都から新任指揮官が到着し、セレナは任を引き継いで帝都帰還の途に就いたである。ヒロはクルーとともに随行し、セレナ・クリス両家の板挟みを予感しつつも新たな外交と裁定に臨む覚悟を固めたである。
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