どんな本?
『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』は、田崎健太 氏著の書籍で、2024年4月9日にカンゼンから出版された。
この書籍は、Jリーグの歴史上最大の「事件」とも言われる、横浜フリューゲルスの消滅について詳細に語られている。
関係者の初証言を元に、日本サッカー界の「汚点」である「全日空SCボイコット事件」の真相や、日本で最初に本物のクラブチームとなる可能性があった「フリューゲルス」を潰したのは誰だったのかについて迫っている。
本書は以下の章立てで構成されている。
- プロローグ
- 第1章 最初の「汚点」――全日空SCボイコット事件 1964-1986
- 第2章 日本リーグの・アウトサイダー・から「オリジナル10」へ 1987-1992
- 第3章 ブラジル人トリオ獲得の「裏側」 1993-1994
- 第4章 「家族的」なクラブの限界 1995-1997
- 第5章 緩みの象徴「タクシーチケット」 1997-1998
- 第6章 「ボイコットだけは阻止しなければならない」 1998
- 第7章 怒りと悲しみを心の底に埋めた男たち 1999
- あとがき
この書籍は、サッカーファンだけでなく、スポーツ経営や地域社会とスポーツの関わりに興味がある人にもおすすめ。
4年間お待ちしておりました!
お待ち居ておりました。
横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか
著者:田崎健太 氏
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あらすじ・内容
「いつまで選手たちに黙っている気ですか?」
横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか
「このままでは危ない。チームが潰れるぞ」
関係者が初証言、Jリーグ31年目にして明かされる”真実”
日本サッカー界の「汚点」――
クラブ消滅の伏線だった「全日空SCボイコット事件」の真相。
日本で最初に本物のクラブチームとなる可能性があった「フリューゲルス」を潰したのは誰だったのか。
感想
かつて存在したサッカークラブ「横浜フリューゲルス」の歴史と消滅までの経緯を詳細に描いた長編ノンフィクション。
本書は、クラブがどのようにして生まれ、成長し、そしてなぜ解散に至ったのかを赤裸々に語ってあった。
全日空がクラブの主要なスポンサーでありながら、最終的には経済的な理由と内部の対立により、他のチームとの合併が決定される。
はじめは、クラブの前身である「全日空横浜サッカークラブ」がどのようにして始まり、地域社会とのつながりを深めていったかから始まる。初期の苦労や成功、地元のサポーターとの関係構築などが丁寧に綴られていた。
柏レイソルにいた李忠成の父親もこの辺りで出て来たのが印象的だった。
地元で愛されるクラブへと成長する過程でのエピソードは、多くのサッカーファンは共感できるかもしれない。
しかし、クラブが日本リーグ一部への昇格を果たすと、全日空との間での利害の対立が正面化。
全日空側はクラブの更なる商業化を進めようとし、それが地元密着型のクラブ運営とは異なる方向性を示し始める。
このころから、クラブ内部では意見の不一致が生じ、選手やスタッフ間での緊張が高まる。
特に、全日空から出向してきた者達の緩みには目があまった。
終盤に向かって、全日空は経営難を理由にクラブからの撤退を決定。
これにより、フリューゲルスは存続が困難になり、最終的に横浜マリノスとの合併が決定。
合併の過程で、サポーターや地元コミュニティからは大きな反対があり、クラブの歴史に幕を下ろすことに対して悲しみや怒りの声が上がるが、、
今さら感も。。
合併が正式に発表された後も、フリューゲルスの選手たちはプロフェッショナルとしての誇りを持ち続け、最後の試合で見せた力強いパフォーマンスは多くの人々に記憶されることになる。
漫画、俺たちのフィールドを思い出した。
(漫画はJリーグ参入となったので結果が全く違う。)
しかし、その活躍も虚しく、チームは消滅し、選手たちは新たな道を探さざるを得なくなる。
読後感として、この本はフリューゲルスのファンだけでなく、サッカーを愛するすべての人々に、チームと地域社会との深い絆の大切さと、経済的な理由だけで動く企業の冷たさを教えてくれる。
また、自身の中で消化しきれない部分も多く、クラブに関わった人々のリアルな声が心に残る作品であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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