どんな本?
黄泉のツガイは、『鋼の錬金術師』の荒川弘氏が、約11年ぶりに「月刊少年ガンガン」で連載を開始した作品。
現代の日本、世俗から隔絶された山奥で生まれた、夜と昼を別つ男女の双子ユルとアサが主人公。
幼い頃に離れ離れになった二人を巡って繰り広げられる闘いを描いた伝奇バトル。
この作品では、幽霊や妖怪などの異形の存在を「ツガイ」と呼んでおり。
ツガイは一般人には見えないが、ツガイ側から干渉して特定の人間に姿を見せることが可能で、稀に勘所があって見える者もいる。
人間と契約する者もいて、ツガイを従える者は「ツガイ使い」と呼ばれている。
ユルとアサは400年ぶりに誕生した特別な双子で、それぞれ異なる能力を持っている。
ユルは封印する力”封”
アサは解放する力”開”
二人は東村という山深い村落で暮らしていましたが、ある日を境に別々の道を歩むことになる。
この作品は現在単行本第6巻まで発売されており、ガンガンONLINEで連載中。
魂を目覚めさせる荒川弘最新作として注目されている。
読んだ本のタイトル
黄泉のツガイ 6巻
著者:荒川弘 氏
出版社 スクウェア・エニックス(『月刊少年ガンガン』/ガンガンコミックス)
発売日:2024年1月12日
ISBN 978-4757588776
あらすじ・内容
予想通り、すべてが予想外。
東村に単身乗り込み、東村の子供と偽アサの二人を誘拐したイワンはユルに伝言を残した。
黄泉のツガイ 6
それは人質を盾にユルをおびき出す伝言だった。
ユルは二人を助けるため、指定された場所の近くで張り込むが
音もなく現れたツガイにさらわれてしまう!
一方、分断された左右様はイワンとの戦闘に突入し、
イワンの刀からユルの両親の血を嗅ぎ取り…!?
虎穴に入るは我か敵か。
勇往邁進ツガイバトル、第6巻!!
感想
祈祷師の体内に侵入して、東村に入り村人達を斬り殺しまくり、村の子供と偽アサ(ザシキワラシ)を攫ったイワン。
そのイワンから人質を受け取った新郷は、彼女達を人質にユルを誘き寄せ、影森アスマのツガイ、夜桜でユルを攫ってしまった。
イワンの刀から両親の血の匂いが、、
待ち伏せしていた山賊を殺しまくる、イワンの刀から匂うユル、アサの両親の血の匂いを感じた左右様達は。
イワンを取り調べるために彼を生捕りにしようと苦戦する。
ただ、イワンも石像の左右様に斬れ味勝負の刀で挑むとは、、
かなり不利じゃないかな?
さらに、イワンって左利きか?
蹴り足だけかな?
一方、デラは攫われたユルを探すために、イワンとの戦線から離脱。
その途中で山賊の生き残りと合流してユルを探す。
倉庫街は、新郷家の持ち物件が多く、何処にユルがいるのかわからない。
それで、山賊のツガイ、マメガラスのウチマタ、ガニマタでアスマのツガイを探してもらい。
新郷に拘束されているユルを探す。
攫われたユル
そのユルを誘拐して、自身の新郷家に勧誘する影森アスマの叔父。
長男の漫画を読んで尊いと転げ回る人なんだよな、、
東村も影森も信じられない、親切にしてくれるデラも信じられない。
だから新郷家に来いと、、
いや、アンタもかなり酷いだろ。
ユルの勧誘を手伝っている影森アスマは、実は新郷の叔父を心から憎んでおり、ヤル時を虎視眈々と狙っている。
何か企んでる人相に悩んでるらしいが、、
ツガイ達には凄く優しくても、叔父が憎くてヤル気満々なんでしょ?
人相がそうなる訳だ。
一瞬のスキを突いて新郷を拘束したユルだったが、新郷の風神雷神にユルは感電させられてノックアウトされてしまう。
動けなくなったユルを救援しようと、マメガラスにアスマのツガイを追跡して突入したデラと山賊だったが、、
肝心のユルは、アスマのツガイ、夜桜に移動されてしまい。
コッソリと帰ろうとしたしたのだが、、
風神雷神にアッサリ撃退されてしまう。
山賊の生き残りは、新郷に捕まったのか、それとも殺されたのかは不明。
デラは、夜桜を追いかけ。
後にユルと合流する。
実は、アスマはジンを経由して、デラと組んでいた。
いや、物凄く雑な感じで協力しようと約束していた。
行き当たりばったり!
柔軟な思考を基に、臨機応変に対応して行った。。。
一歩間違えたらお互いに、、
ナニソレコワイー!
そして両親の手掛かりを求めて、左右様とイワンの処に行こうとしたのだが、、
そのにザシシワラシのダンジからユルへ、救援要請の狼煙が上がった。
彼の処に人質のアサ(偽)が居る。
ユルは人質か、両親の手掛かりか。
どっちを選んだのだろうか?
影森ゴンゾウのカチコミ
さらに、新郷家の事務所に影森当主、ゴンゾウがカチコミを掛けて来た。
御老体単独で、、、
いや、ツガイを大量に連れて来てるから単独じゃないか?
むしろ、大軍を連れて来てる?
ゴンゾウさんのツガイは「百鬼夜行」と呼ばれており。
複数のツガイが集うと相性が悪いツガイは諍いを起こすのだが、百鬼夜行はその諍いを無くしてしまうツガイだった。
そんな大量に集めたツガイを使って、新郷家の事務所で大暴れするゴンゾウさん。
それならと、ゴンゾウさんの護衛に来ているフユキのツガイ”閻魔帳”を奪うため新郷家のツガイ使いがツガイをけし掛けたら、、
実はそのフユキは、アサが変装しており。
アサの解でツガイとの契約を解除され、ゴンゾウさんが再契約して戦力を強奪(まるでムツゴロウ(畑正憲)さんみたいに)。
余計に手が付けられない状態になってしまう。
アサを暗殺しようとする者が現れる
そして、影森家本家では当主、ゴンゾウが家を開け(大暴れ中)、ガブちゃんが留守にしてる状況を利用して。
長男、ハグレの漫画のアシスタントをしながら「兄様に会いたい」と連呼するアサ(ジンのツガイ愛の擬似餌)を襲おうとする者が現れた。
それも側近の1人、アキオが、、
彼に投降してくれと義兄弟のハルオが言うが聞き耳を持たず。
反対に自身のツガイ、ヤマノカミを使って影森本家の屋敷を更地にしてしまおうとしたら、ヤマノカミと相性の悪いガブちゃんが現れて怪獣大決戦をしてしまう。
アサの居場所を壊そうとしたアキオにガチギレしてるガブちゃんは、周りの静止の声を無視してアキオを殺そうとするのだが、、
そこに、アサが変装していたフユキが彼女のツガイ”なもみはぎ”が介入してガブちゃんは止まるが、アキオは逃亡してしまう。
だが、、そんなアキオは最後にタヌキのアレか、、
アレは最悪だ。
どんな感じなんだろうか?
本物と偽物が邂逅
最後に、人質にされている偽アサ(ザシシワラシ)と東村の子供の処にアサがカチコミをかけて来た。
アサ曰く、狼煙を使う人なんて兄様かと思って来たら、、、
自身の偽物がいたせいで、銀河級舌打ちをして6巻は終わる。
え?
そんな美味しいシュチュエーションで終わるの?w
最後までお読み頂きありがとうございます。
展開まとめ
第21話 影森と新郷
アスマとの対面と異様な提案
ユルは影森家の次男であるアスマと対面し、彼の穏やかな口調から「一回死んでみませんか?」という異様な提案を受ける。ユルは「お前が俺を殺すのか」と警戒心を露わにするが、アスマは「自分で選んだ方が後腐れがない」と返し、あくまで決定権をユルに委ねる姿勢を見せた。
新郷家当主の登場と説得
続いて、新郷家の当主が言葉を発し、ユルに対し「君に東村はもう合わない」と断言する。両親は村を逃れ、妹も命を狙われたこと、ユル自身も複数回殺されかけた事実を挙げ、「村に味方はいない」と冷静に状況を整理し、離脱の正当性を説いた。
村との決別と新郷家への誘い
新郷家当主は、ユルに新郷家の庇護下に入るよう提案する。ユルは人質を取った過去や死を望んだ相手を信じられないと反発するが、当主は「悪いようにはしない」と重ねて強調し、安全な選択として提案を続けた。
ヤマの関与と田寺のつながり
当主は、ユルのもとに現れた祈祷師・ヤマについて、「そのヤマが山賊を送ったのだ」と告げる。また、現在ユルを保護している田寺もその祈祷師とつながっていたと明かし、ユルが意図せず彼らの影響下に置かれていた事実を突きつけた。
村の裏切りとアスマの思想
当主は、東村の大人たちが封に関する重要な知識をユルに与えず、命の危機にさらしてきたと語る。「そんな連中に義理を果たす必要はない」と断じたうえで、アスマは「この世に不要なものなどない」と語り、東村や影森家の存在も含めて、否定ではなく包含の思想を示した。
組織の多様性と力の扱い
ユルは新郷家の方針に疑問を抱き、「同じ一族なのに考えがバラバラなのか」と問う。アスマは「思想の統一こそ危うい」と述べ、新郷家には多様性が許容されていること、そして選ばれし力を持つ者にはその力を発揮できる場所があることを説明した。
ユルの願いと平穏な生活への希求
新郷家当主は、「望むものがあれば応える」とユルに提示した。ユルは「普通に生きていければそれでいい」と語り、狩猟や炭焼きをして穏やかに暮らすことが自らの願いであると明かした。
アサの解放と家族への思い
ユルは、妹・アサが「狭い世界」に囚われていると感じており、彼女をその状況から救い出したいと考えていた。さらに、両親の行方を早く突き止め、皆で平穏に暮らすという未来を思い描いていた。
左右様の追及とイワンの登場
場面は転じ、刀を構えるイワンと、それに対峙する左右様および田寺の姿が描かれる。左右様はイワンに対して「おぬし、ユルの両親を斬ったな?」と問いかけ、両親の失踪に関する真相に迫る展開が示唆される。一方でユルは、「俺はただ普通に皆で笑って暮らしたいだけなんだよ」と心の底からの本音を語った。
左右様の問いとイワンの態度
左右様は刀を持つ男・イワンに対し、ユルの両親を斬ったのかと問いただした。イワンは「斬ったかどうかは覚えていない」と曖昧に答える。左右様はユルの両親であるミネとナギサの血の匂いがすると応じた。田寺は銃を構えて警戒し、緊張が走る。
イワンへの包囲と捕獲命令
イワンは「斬りすぎて覚えていない」とふざけた返答をし、挑発的な態度を崩さない。左右様は「この男とそのツガイを生け捕りにする」と明言し、田寺に対してユルの捜索を命じた。イワンの捕獲はユルへの“土産”とされた。
暗闇への誘導と左右様の追跡
イワンとの交戦を避けるため、田寺は照明を撃って場内を暗闇に包んだ。左右様は匂いを追う能力を持ち、暗闇でもイワンを追跡できる。イワンはそれを把握しつつも、「面倒くさい」と反応し、迎撃体勢に入る。
ユル捜索と山賊との接触
ユル捜索を命じられた田寺は、広大な倉庫街の中で困惑しながら行動していた。そこへ山賊の残党が現れ、奇襲を仕掛ける。銃とナイフを用いた格闘の末、山賊は拘束される。
山賊の過去と田寺の弁明
山賊は、自分の任務は知らされていなかったと釈明するが、田寺はその言い訳を信用せず「嘘八百」と断じる。山賊は偽アサや村の子を助けようとしていたが、アスマのカラスのようなツガイに連れ去られたと説明する。
ユルに対する立場の再確認
田寺は、「ユルを暗殺しようとした山賊の仲間」が東村側にいると認識されていることに焦りつつ、自分は今やユルの味方であると主張する。田寺は「仕事の都合でかつて東村側にいたが、今は方針を転換した」とし、ユルにこれ以上手を出さないよう釘を刺した。
信念と決意の表明
田寺は「ユルは信じたいものを探して必死なんだ」と語り、「子どもを犠牲にして得た権力で偉そうにしている大人にはなりたくない」と自らの信念を強く主張する。彼はユルに対して戦う意志はなく、守る立場にあることを明言した。
倉庫の調査と新郷家との関係
田寺は、事前に倉庫街の持ち主を調査していたと明かし、ここが「TT物流」の所有であり、その親会社は新郷貿易であることを示す。さらに、影森家の親族に「新郷」という一族が存在し、アスマは新郷家は母方の親戚と説明された。
ユルの捜索とツガイ「マメガラス」の召喚
田寺(デラ)と山賊は倉庫街でユルの行方を追っていた。山賊はTT物流やキブシ興産など、新郷家に関わる企業名をリストアップしている。ユルがツガイに連れ去られた可能性を踏まえ、ツガイを用いての捜索を決断する。負傷して出血していた山賊は、自身のツガイ「マメガラス」(ウチマタとガニマタ)を召喚し、協力を依頼した。
契約についての問いと田寺の対応
マメガラスたちは田寺に対し、「ツガイが見えるということは、かつて使ったことがあるはずだ」と問いかけ、「契約はしないのか」と尋ねる。田寺は「そのうち良い縁があれば」と曖昧に応じ、契約はしていないことを明かした。
倉庫内戦闘の激化とイワンの応戦
一方、倉庫内ではイワンと左右様の戦闘が続いていた。イワンは暗闇に慣れ始め、動きに余裕を見せながら「向こうに殺す気がない」と推察していた。左右様は本気で殺す意図はなく、連携を取りながらイワンを追い詰める構えを見せる。
一対一の否定とイワンの反発
イワンは「左さんだけを指名したのに、右さんまで参戦してくるのは卑怯だ」と訴えるが、左右様は「ひとではない」「一対一などではない」と一蹴する。イワンは場を外に移すことを決意し、突破行動に出た。
戦場の変更と屋外への逃走
イワンは倉庫内の出入り口が封じられていると察し、死体を蹴って注意を逸らし、その隙に屋外へ脱出する。右様と左様はそれを追い、戦場は屋根上へと移った。
屋根上での再会と皮肉な挨拶
イワンは屋根の上で左右様と再び対峙し、「月がきれいですね」と皮肉を込めて口にする。左様は「これがおぬしの人生で最後の満月かもしれんぞ」と返し、決戦への意思を示す。
戦闘の再開と一騎打ちの様相
左様は「味わえ」と言い放って攻撃に転じ、イワンも「左さんも味わってくれ」と応じる。右様の突撃を回避したイワンは即座に反撃に転じ、右様に斬りかかる。右様は「左を倒したければ、まずわしを倒してからにせい!」と宣言し、戦いはさらに激化していった。
右様との激突と応戦の開始
イワンは右様との戦闘で連続攻撃を仕掛け、右様はそれを脇腹で受け止めた。イワンの斬撃は力強いが、右様の耐久力が上回っており右様は刀を折ることに成功する。反撃を受けたイワンは一瞬たじろぐが、すぐに再び立ち向かう構えを見せた。
肉体の強度と左右様の連携攻撃
右様は「肉を斬らせて骨を断つ」という覚悟で戦っており、防御を顧みずに肉体で斬撃を受ける姿勢を貫いた。そこに左様も加わり、左右様による連携攻撃がイワンを包囲する。イワンは次第に押され始め、危機的状況に陥る。
攻撃の読み合いとリーチ差の駆け引き
イワンは左様のパンチに対して「左フック」と見抜いた上で反撃を試みるが、その間合いを完全に読んでおり紙一重で避けようとしたら、顔面へ打撃を受ける。左右様はイワンの攻撃の間合いを見抜いた連携で戦い、イワンの行動をことごとく封じていく。
再反撃と精神的揺さぶり
イワンは「斬られた腕でリーチを伸ばすとか有りかよ」とこぼしながらも態勢を立て直す。それに対してイワンのツガイ小凶が発破をかける。イワンは小凶に刺された傷について愚痴を言うが、小凶は「刺し傷くらい一瞬で治せ」と平然と返す。イワンはその返しにうんざりしていた。
新たな敵の気配と警戒
イワンのもう一つのツガイ大凶は「何か来た」「やばいのが来た」と空気の変化を察知する。場面は一転し、倉庫街の一角にいた作業員たちのもとへと移る。
作業員と不審な人物の接触
作業員たちは屋外で談笑していたが、和服姿の男が突然近づいてきて「ここは新郷貨物か?」と問いかけた。作業員は「ここはキブシ興産」と訂正するが、男の態度に違和感を覚え、警戒を強める。
敵勢力の突入と新たなツガイ
男は「影森のゴンゾウが来た」と語りながら突入を命じ、作業員たちの制止を無視して倉庫内へと侵入した。さらに、その男は腕に巨大なムカデのようなツガイを這わせ、異様な風貌で「相手してやるから仲間全員呼び出しな」と宣言した。
第22話 刺客とコーヒー
マメガラスの異変と迫る気配
山賊のツガイであるマメガラスが異様に震え始める。山賊自身も負傷している中で不安を覚えていた。田寺(デラ)もその様子を察し、「なんかやべーの来てねぇか、これ……」と呟く。倉庫周辺には不穏な気配が広がりつつあった。
影森家のゴンゾウの襲来
突如として影森家の当主・ゴンゾウが登場し、巨大なムカデのツガイで敵を一蹴。圧倒的な膂力で作業員を吹き飛ばしながら、堂々と倉庫街へ乱入した。彼の両腕にはムカデのツガイがまとわりついており、周囲に強烈な威圧感を放っていた。
ツガイの激突と骨のツガイ登場
他のツガイ使いたちが応戦に出ようとするが、ゴンゾウの力は別格であった。「ツガイにはツガイをぶつけんだよ!」と叫ぶ辺墓田が、自身の泥のようなツガイを繰り出すも、ゴンゾウの放つ骸骨の巨大な手のツガイによって瞬時に撃退される。周囲からは「辺墓田(へぼた)さんだ!ツガイ使いの辺墓田さん!がやられた」と悲鳴が上がった。
見えない者には見えぬ戦い
ゴンゾウのムカデなどや骸骨のツガイ、辺墓田が召喚した泥のツガイたちは常人の目には見えず、「見えない人にはどうなってるか分からない」と混乱が広がる。ゴンゾウの背後には数多くの禍々しいツガイの群れが控えており、その異様な数に周囲は戦慄する。
警備室の混乱と被害拡大
ゴンゾウの動きによる破壊が広がり、フォークリフトや設備が爆発。警備室では守衛が異音に気づき、「何の音だ?」と外を覗くも、直後に建物ごと破壊される衝撃を受ける。
ムカデパンチでの破壊行動
ゴンゾウはシャドーボクシングのように拳を振るいながら、警備員室の壁や地面を次々と破壊していく。守衛は「見えない人」にとって何が起きているのか理解できず、「どこぞのじいさんがシャドーボクシングやってて…」と状況を呆然と見つめていた。
影森の当主に対する混乱
その様子を見た田寺らは、「影森の当主、ゴンゾウが来てる!?」と驚愕し、「これユル捜すの無理っぽくね?」と発言。マメガラスも混乱しており、場の気配が制御不能となる。
左右様との戦闘継続とツガイの激突
一方で、イワンと左右様の戦いも続いていた。左右様は「まるで影森屋敷がまるごと移動しておるような気配じゃのう」と述べるほど、ツガイの気配が倉庫街に充満していた。
一方、影森の屋敷では
場面はアサが漫画のアシスタントとして波久礼先生のもとで働いていたが、「兄様に会いたい」とつぶやき、何らかの心情の揺れが見て取れる。もう1人いたアシストは電話に出て、母の入院費用も落ち着き、しばし仕事場から離れる様子が示された。
アサとアキオのやり取り
アサが作業場で一人で仕事をしているところに、アキオが訪れる。アキオはアサに対し、「最近は侵入者がいたし、俺も一緒にいようか?」と護衛を申し出る。一方でアサは「大丈夫」と繰り返し拒否し、近づかないよう制止する。アキオは大きなバールを背負ったまま歩み寄るが、アサは警戒を強めていた。
影森ゴンゾウの暴れっぷりと警戒の広がり
場面は新郷側に移り、配下たちが「影森家の当主・ゴンゾウが一人で新郷の事務所を破壊して回っている」と騒ぎ立てる。しかし「ゴンゾウが一人でいるはずがない」「いつもナツキとフユキが一緒だ」と不安が走り、影森家全体の襲撃を警戒する。
新郷配下たちの思惑とフユキへの執着
新郷家の配下たちは、フユキのツガイ「ブラックリスト(閻魔帳)」についての情報を語る。捕まえれば膨大な情報を手に入れることができ、自分たちのツガイとして使えば無双できるという妄想を抱いていた。また、新郷家からの懸賞金もフユキとブラックリストのセットで一億円とされ、彼らの士気は大きく上がっていく。
フユキ捕獲作戦の発動
配下たちはフユキとナツキが近くのビルの屋上にいると見張りから報告を受け、全ツガイ使いを出撃させて包囲。「まずはフユキを捕え、ブラックリストを奪え!」との号令のもと、大量のツガイが解き放たれる。
ナツキの「解」による契約解除と変装の種明かし
戦闘態勢に入った敵たちの前で、ナツキが「解(ほどき)」の術を発動。突如としてツガイたちはその場で止まり、新郷家のツガイ使い達は動揺してしまう。ナツキはメガネを外し代わりに眼帯を出して装着。ナツキと思った人物が変装したアサだったことが明らかになる。
アキオの悲劇と真の姿
一方、アサの姿をした者に接近したアキオは、突如現れたジンのツガイ、アイに右腕を食いちぎられる。反撃もできぬまま、アキオは吹き飛ばされる。影森の屋敷にいたアサは疑似餌であり、アキオは罠に嵌められていたと判明する。
アキオの拘束と影森家の監視
アキオは右腕をジンのツガイ「愛」に食いちぎられた後、影森家の屋敷で取り囲まれていた。この場では、ジンが「情報を吐かせないと」と冷静に尋問の意図を示すが、アキオは血を流しながらも沈黙を守る。愛がさらに攻撃しようとするのをジンが制止し、抑制された緊張感が漂っていた。
アキオの過去とユルとの初遭遇
ジンは、かつてアキオがユルと交戦した際の様子を回想する。ツガイを出していなかったアキオに対し、ユルは脳天を狙った殺意のある投擲を行った。アキオが殺気を放ったことで、ユルがそれに反応したのだとジンは推察する。そしてジンは、アキオが本心ではユルの死を望んでいたと断じた。
ハルオの告白と兄弟の絆の崩壊
その後、義兄弟であるハルオが登場し、「アサは屋敷にいない」とアキオに告げる。アキオは驚きの表情を見せるが、ハルオは「血は繋がっていないが兄弟だから信じていた」と真意を語り、「おとなしく捕まってくれ」と説得する。しかしアキオは「命だけでも無理だな」と拒絶し、自分が生き延びる見込みはないと語った。
アキオの挑発とヤマノカミの召喚
ターゲットとしていたアサや影森ゴンゾウが屋敷にいないと知ったアキオは、せめて隠れ家を潰すべく、自身のツガイ「ヤマノカミ」を召喚する。そして「ヤマノカミ」は愛では飲み込めず、ハルオの亀でも抑えられないと語り、「ウサギの速さがあっても象にたかるハエみたいなものだ」と自分の優位を主張した。そしてジンとハルオを前に「ガチでやってみますか? お二方」と挑発する。
ガブの出現と包囲状態の確定
その時、不意にガブがアキオの背後から現れる。アキオは最初こそ、立川マコトのツガイがガブに変身しているハッタリだと見抜いたかのような反応を示す。しかし、ガブの足元には明確な影が差しており、それが本物の証であると気づく。ガブは「安心しな、こっちは本物だよクソアキオ」と言い放ち、圧倒的な殺気を放ちながら迫る。
三方向からの挟撃と戦闘の開始
ジン、ハルオ、そして本物のガブという三方向から包囲されたアキオは、完全に追い詰められる。退路のない状況下で、アキオは生き延びるため、あるいは打開のため、ツガイによる戦闘を開始する。場面は、緊迫の戦闘へと突入していった。
アサの「解」による契約解除とゴンゾウの「百鬼夜行」
アサが「解」を用いてツガイとの契約を解除したことで、無数の野良ツガイが発生した。それらを影森ゴンゾウが自身のツガイ「百鬼夜行」によって次々と再契約し、傘下に取り込んでいった。従わされたツガイたちは躊躇なく主を変え、ゴンゾウに懐き始める姿が描かれた。
相性の問題と「百鬼夜行」の特異性
ツガイは複数契約を結ぶと「相性」による不和が生じ、場合によっては主や他のツガイに悪影響を与える。しかし「百鬼夜行」はそれを一切受け付けず、異なる性質を持つツガイたちとの契約を可能にする特異な存在であった。加えて、契約後のツガイからは情報が吸い取られており、それはフユキの「閻魔帳」によるものであると示唆される。
最悪の組み合わせとしての評価
ツガイを奪われた旧主たちは、契約を解除させてから再契約し、情報を搾取するという連携技に対して「最悪の組み合わせだ」と叫ぶ。無慈悲かつ徹底的な制圧手法に、彼らは絶望と恐怖をにじませた。
新郷当主とアスマの動揺
一方、現場の報告を受けていた新郷家当主とアスマは、そこにアサが関わっていたという情報に強く動揺する。アサの関与をまったく聞かされていなかった当主は混乱し、アスマに確認をとるが、アスマも知らなかったと答える。
ユルの急襲と人質戦術
当主とアスマが報告に気を取られた一瞬の隙を突き、ユルが背後から新郷当主に接近。紐を用いてその首を絞め、完全に拘束した。
制圧下の静寂とユルの圧力
ユルは冷静にアスマとそのツガイ・夜桜を牽制しながら「余計な動きをしたら、こいつをシメるぞ」と明確な警告を発する。アスマも手出しができないまま、現場はユルの制圧下に置かれた。
第23話 泣く子と悪い子
立川マコトの離脱と変身系ツガイのトリック
アサとともに仕事部屋にいた立川マコトは、ジンからの電話を「身内からの連絡」と偽って部屋を離脱していた。実は、新郷への襲撃現場に出向いた“ガブ”は、立川マコトの変身系ツガイが化けた偽物だったと判明する。アキオはアサが1人になったと信じて接近するも、それが罠であったことに気づき、「嘘の上手い女は嫌いだ」と悔しがる。
現場に残ったアキオと迎え撃つ者たち
屋敷の庭にて、アキオとそのツガイ「ヤマノカミ」、そしてアキオに仕掛けられた罠によって出現した本物のガブとそのツガイ「ガブリエル」、さらにはジンと彼のツガイ「愛」、義兄ハルオが対峙する状況となる。アキオとガブのツガイ同士は過去に因縁があり、ガブは挑発を込めて「あんたのツガイの角、誰にやられたのか覚えてないのかなあ、アキオく〜ん」と語る。
ガブリエルの猛攻とジンのツガイ「愛」の追撃
ガブリエルはヤマノカミの足に食らいつき、上下関係を思い知らせるように攻撃を続ける。足を食いちぎられたヤマノカミの一部を、ジンのツガイ「愛」がさらに平然と食べてしまう場面も描かれる。それを見たガブは「さくさくちぎってこーか、ガブリエル」と軽口を叩きつつ、ジンには「ジンちゃ〜くん、掃除よろしくね〜」と軽い調子で指示を出す。
戦闘の抑制要請とガブの拒絶
ジンは「掃除は承ります」と受けつつも、「アキオとヤマノカミは殺さないでください」と釘を刺す。しかしガブは「殺さない自信が無い」と即座に否定し、戦闘の過激さを暗に示す。
影森の屋敷での混乱と立川の警告
舞台は影森の屋敷に移る。屋敷の人々が地震のような揺れに驚く中、立川マコトが走り込み、「ジンさんから伝言!波久礼先生の離れに近付いちゃだめだって。屋敷の皆に知らせてください!」と警告する。住人たちは混乱し、「また敵が外から入ったのか?」と口にするが、立川は「中にいたらしいです。ずっと前から」と明かす。
ヤマノカミとガブリエルの交戦と新たな指令
外では、巨大なツガイ同士であるヤマノカミとガブリエルの激しい衝突が続く。激突のたびに大地が揺れ、周囲に大きな衝撃が広がる中、アキオはガブリエルとヤマノカミの相性が悪いと判断し、ヤマノカミに向けて「山風、先にガブちゃんさんをやれ」と指示を出す。ターゲットをガブ本人に変えさせることで、一気に形勢逆転を図ろうとする。ガブはこの指令によって危機に陥る。
兎の介入とガブリエルへの叱責
戦況が激化する中、ガブがアキオのツガイ・ヤマノカミに追い詰められていたところへ、ハルオのツガイである兎が現れ、主への注意を怠ったガブリエルを叱責した。「主をちゃんと守りなさいよ!」と叫ぶ兎は、ガブリエルの性格が主に似て血の気が多いことを皮肉った。
ハルオの本格参戦とカメの失敗
兎の出現を見て、アキオはハルオの参戦を察知した。続けてハルオは、もう一体のツガイであるカメを召喚してアキオの動きを封じようとしたが、アキオのツガイ・ヤマノカミの一体「谷風」によって吹き飛ばされてしまう。カメは巨木に激突し、兎は「足止めにすらならない」と苛立ちをあらわにした。
ガブの報復宣言とヤマノカミへの攻撃
その様子を見たガブは、ガブリエルにヤマノカミの一体「山風」を襲わせ、「こいつをかじり終わったら次はあんただアキオ」と激しく怒りを露わにした。ガブリエルはその命を受けてヤマノカミを攻撃し続けた。
ジンの制止と風呂場の波久礼
ジンは戦局を懸念し、ガブに対して「アキオとそのツガイを殺してはだめです」と静止する。しかし、ガブはまったく耳を貸さず、「どうせ館様に殺されるんでしょうが!」と怒りをぶちまけた。ジンは、風呂で熟睡中の波久礼が目覚めてしまう前に事態が収まることを祈りながらも、焦りを滲ませていた。
ガブの怒りとアキオへの糾弾
ガブはアキオがかつて語った「ここを更地にしてアサが逃げ隠れできる場所を無くす」という発言を思い出し、激昂した。そして、アサのこれまでの境遇を怒りと共に吐露した。生まれながらにして大人に死を望まれ、座敷牢に閉じ込められ、自由に暮らせる下界と切り離されていたアサ。ようやく結界を抜けて両親と共に下界で暮らし始めた矢先、命を狙われ、両親を奪われ、頼れる祖母にも頼れなくなった。そんなアサが唯一安息できたのが影森屋敷だったと訴えた。
影森屋敷の意味とアキオへの怒りの爆発
ガブは、影森屋敷は小さな自由と安らぎを得られる場所であり、ようやく見つけた居場所であったと語る。そこすらも奪おうとするアキオたちの行為に対し、「許せる訳無いでしょーが!!」と絶叫した。
アキオの撤退と契約解除
不利を悟ったアキオは、ツガイ・ヤマノカミに「もういい」と告げて戦闘を中断し、「契約解除だ、ふるさとに帰りな」と別れを告げた。ヤマノカミは静かに姿を消して屋敷の外に飛んで行った。
ジンの警告
「影森屋敷には結界が張ってある」と呟き、ヤマノカミの逃走が困難であることを示唆した。
ヤマノカミの消滅とアキオの無防備化
アキオのツガイである「ヤマノカミ」は、アキオとの契約を解除され、本尊の姿で屋敷の外に出ようとするが、影森屋敷に張られた結界に弾き返され、地に伏してしまう。それを見たジンは冷静に「あとで回収する」と言い放つ。一方、契約を失い無防備となったアキオに、ガブリエルが怒りのままに襲いかかろうとする。
ガブの暴走と兎の出遅れ
ジンとハルオは「殺すな」と制止の声を上げるが、怒りに支配されたガブはまったく耳を貸さない。状況を見た兎はアキオを守るべく駆け出すが、タイミングがわずかに遅れ、間に合わないかと思われた。
なもみはぎの乱入とガブの制止
その瞬間、突如として二体のツガイ「なもみはぎ」が出現し、ガブリエルの攻撃を圧倒的な力で跳ね返す。さらにナツキが歩み寄り、激情に呑まれるガブの頭に手を添え、「勝手にアサの気持ち代弁して先走っちゃダメ」と諭し、ガブを沈静化させる。
戦力投入への皮肉とジンの真意
戦闘が収まり、アキオは皮肉めきながら、「ジンさんに、ハルオに、ガブちゃんさんに、ナツキまで……俺ひとりにどんだけ戦力投入してるんですか」と語る。それに対してジンは真剣な面持ちで「おまえの力を過小評価していないからだ。殺さず、確実に生かして捕らえるのが目的だ。半端な戦力では余裕がなくてどちらかに死人が出る」と返す。
アキオの離脱と静かな許容
ジンの言葉を聞いたアキオは、「俺のこと高く買っていただけて光栄ですよ」と言い残し、隙を突いて一気にその場から離脱する。驚く周囲に対し、「なもみはぎ」が「追わなくていいのかい?」とナツキに尋ねるが、ナツキは「いいよ」と静かに答え、その逃走を黙認した。
立川マコトの待ち伏せとアキオの捕縛
屋敷から逃走したアキオは、途中で立川マコトの姿を見かけるが、自身を追ってくる様子がないことに油断する。しかしその直後、マコトのツガイである狸が現れ、玉袋を膨張させてアキオを包み込む。突如包囲され遠い目をしたアキオは、「最悪だ」と呟いた。
人質作戦とユルの通話
場面は変わり、ユルは新郷を人質に取って拘束し、そのスマホを奪って通話を試みる。しかしスマホの使い方が分からず、アスマに操作を尋ねながらも警戒を緩めず、「動くな、こいつをシメ殺すぞ」と警告を発する。アスマは「そのままシメ殺してくれてもいいんだけどね」と軽く返答する。
通話が可能になるとユルは、相手に向けて「おっさんは人質に取らせてもらった。生かすも殺すも俺次第だ」「おっさんの命が惜しかったら、人質の子供たちを解放しろ」と要求し、証拠として新郷の首を締めて苦しむ声を電話越しに伝える。アスマはその様子に内心で「悪人のようなセリフ…」と内心で呟く。
風神の一撃とユルの吹き飛ばし
相手からは激昂した罵声が返るが、ユルは「おう、いいぞ。俺を殺したい奴はこっち来い」と挑発的に返答。それを聞いた新郷は「血の気の多いガキだな」と呟き、自らのツガイ「風神」を召喚する。
すると、ユルが新郷の首を縛っていたヒモが突風で断ち切られ、ユルは吹き飛ばされる。体勢を崩した状態ながらユルは隠し持っていたナイフを新郷に投擲するが、新郷は次のツガイ「雷神」を召喚し、ナイフの軌道を逸らしつつユルに雷撃を浴びせ、彼を痺れさせて動けなくしてしまう。
新郷の優勢と皮肉な平和主義の主張
身動きが取れなくなったユルを見下ろしながら、新郷は「野蛮とは聞いてたが予想以上だな。人質取られてても暴れるのかよ」と呟き、自身の優位を自覚する。そして続けて「なぁオイ、ユル君よ。下界はおまえらと違って皆文明人なんだよ。落ち着いて話し合おうや。話せばわかるって。俺はこう見えても平和主義者なんだぜ?」と、ツガイ「風神」「雷神」を肩に止まらせ嘲笑混じりに語り、ユルを威圧した。
第24話 風神と雷神
風神雷神の顕現とユルへの挑発
雷神の攻撃によりユルを感電させた新郷は、動けないユルを前に余裕を見せ、「風神」と「雷神」が自身のツガイであると明かす。そして「よろしくな ユルく~ん」と挑発的に笑い、圧倒的優位を誇示する。
新郷との連絡途絶に動揺する影森屋敷側
直前まで人質として捉えられていたはずの新郷からの通信が途絶えたことで、手下は緊迫する。咳き込むような音を最後に通話が切れたことから、新郷に異変が起きたと判断され、「新郷さんのところに何人か行け!」「人質の場所にも連絡入れろ」と現場対応が開始される。
偶然現場近くにいた手下と、山賊・田寺の行動開始
ちょうど近くのコンビニに出ていた新郷の手下が電話に出ると、状況確認のためそのまま現場に向かうよう指示される。その様子を物陰から山賊と田寺が監視しており、「しめた!あいつユルのところに行くみたいだぞ」と反応する。
マメガラスの能力で手下を操る
山賊はツガイ「マメガラス」を使い、新郷の手下に襲いかかり、電撃と操作で彼をコントロール下に置く。意識はあるが逆らえなくなった手下を通じて、山賊は新郷と人質の現在地を電話で聞き出すことに成功する。
田寺と山賊の狙いと分断行動
マメガラスの強力な制御能力を目の当たりにした田寺は、「かわいい顔しておっかねーことするな」「双子もコントロールできるな」とその応用に着目するが、山賊は「余計な心配だ。今はユルを助けることだけ考えろ」と返す。2人は操った手下をカモフラージュに、ユルが囚われている部屋へと向かう。
偽装接近と突入の準備
手下はドアの前で「こんばんはーっス。新郷さんと連絡取れなくなったから見てこいって言われて」と偽りの目的を述べ、自然な形で部屋へ接触。直後、手下がその場から離れ、田寺と山賊が突入の動きを見せる。
ユルを巡る突入と応戦
田寺と山賊は突入後、部屋にユルの姿を確認した。さらに、影森アスマおよびそのツガイ「夜桜」、新郷の姿も確認され、加えて未知のツガイの存在が確認された。ユルから「このおっさんのツガイは雷と風を使う」と警告を受けた田寺は、足元にいた新郷の部下を新郷に向かって投げ、直後に「風神」の風による攻撃を受けさせられる。その様子を見た田寺は「風を使ったカマイタチ的なやつか」と叫んだ。
雷神による迎撃とアスマの判断
続けて山賊が投げナイフを放つが、新郷のツガイ「雷神」が迎撃し、軌道を逸らすとともに、田寺と山賊に電撃による威圧を加えた。緊張が走る中、アスマはツガイ「夜桜」を用いてユルを屋外へと緊急避難させた。新郷は「おいアスマ、何しやがる!」と詰問するが、アスマは「せっかく捕まえたユル君を敵の手に渡したくない」と応じ、ユルを別の場所へ移動させたことを告げた。
襲撃者の退却と新郷の反撃
ユルがいなくなったことを知った田寺と山賊は「ユルがいないならここに用は無い」「どーもお邪魔しました」と言い残して退却しようとしたが、新郷はツガイ「風神」に命じて2人を強風で吹き飛ばした。その結果、山賊は新郷に補足され、田寺は建物の外へ逃走した。
夜桜によるユルの保護と田寺の追跡
田寺は夜桜の後を追い、「さっきと違ってゆっくり飛んでいる」と感じつつ、追跡のしやすさに安堵していた。すると夜桜が合図を送り、「付いて来いという意味か」と田寺は察した。夜桜は屋上に着地し、ユルを解放した。
ユルと夜桜の関係の説明
屋上に追いついた田寺は「ユル、無事か!」と声をかけつつ銃を構えるが、ユルはそれを制し「待て待て、銃は下ろしてくれ」「こいつはアスマのツガイで名は夜桜」「味方……?つーか味方寄り?だ」と説明を始めた。さらに、ユルは「最初にさらわれた時、こいつの腹の中で話を聞いた」と当時の状況を語り始めた。
夜桜の正体と語られるアスマの想い
夜桜に攫われた際、周囲を蛾に囲まれ動揺したユルだったが、夜桜から「手荒な真似をしてすまない、ユル君」と声をかけられた。喋ったことに驚くユルに対して、夜桜は「喋ることで知能を悟られぬよう、あえて無知を装っていた」「新郷ハヤトを油断させるため」とその理由を語った。
夜桜はさらに、新郷がアスマの伯父であることを明かし、「私の主アスマは君の敵ではない」と断言。アスマが新郷ハヤトに対して「ぶち殺したいほど憎んでいる」と、彼の強い敵意をユルに伝えていた。
夜桜による真相の説明とアスマの事情
夜桜は、今回の事件の背景として「影森ゴンゾウが新郷を含む裏切り者の一掃を企て、その機にアスマが“新郷を倒したい”という思惑を重ねて乗った」とユルに説明した。
ユルが「アスマは自分の伯父なのになぜそこまで?」と疑問を呈すると、夜桜は以下のように語った。
アスマの母イオリは、幼少期から新郷一族に「お荷物」「不要な女」として蔑まれ続けていた。しかし、後に影森家の当主に見初められたことで地位を得た。新郷はその縁故を最大限に利用して財を築いたが、イオリへの感謝も労いも一切なかった。
さらに新郷は「解」や「封」の情報を影森経由で知るや否や、それをも手に入れようと動き出し、貪欲さには限りがないと夜桜は糾弾した。
これに対しユルは「いつも近くにいるなら自分たちで新郷の首を取れば?」と問うが、夜桜は「金烏玉兎」は「風神雷神」との相性が最悪であり、「雷で焼かれ、風で吹き飛ばされる」と説明。「勝てない」と明言したうえで、アスマが従っているふりをしているのはその現実を踏まえたものだと述べた。
また夜桜は、アスマを「やさしい子」と評し、「自分と朝霧のためにずっと我慢して生きてきた」と語った。
それに対してユルは「あの笑みが胡散臭い」と突っ込むと、夜桜は「顔で損してる」とアスマを庇った。
人質側の動きと座敷童の通信
場面は変わり、監禁された人質の片割れ(偽アサ)と村の子供達の場面へ。新郷との連絡が途絶えたという報を受け、現場では混乱が広がっていた。その隙を突き、片割れの座敷童は影を伸ばして外部の片割れ(ダンジ)と通信することに成功する。
ダンジは「俺の相方いた!」と喜び、偽アサと村の子が監禁されており、見張りもツガイ使いばかりで脱出は困難だという現状を知る。
その場にいた宇宙人風のツガイは「道理でここで待ってても出てこないわけですね」と理解し、人質の近くに来ていることが明示される。
またダンジは「双子が両方近くにいる」との情報も共有し、ツガイは「ユルさんと本物のアサさんが?それは強力!左右様に助けてもらおう」と提案。ツガイたちは左右様と友人関係であることを根拠に救出を企てる。
しかしダンジは「アサちゃんは俺の相方を嫌ってるし、ユルも…俺あんなことしちゃったから助けてなんて言えない」と後悔をにじませる。
それでもツガイは「ユルさんはあなたに会って言いたいことがたくさんあると言っていた」と励まし、「頼ってみましょう」と背中を押した。
夜桜の謝罪と作戦共有
再び場面はユルと田寺のもとへ。夜桜は「説明不足で振り回した」と謝罪し、ユルは「事前に説明してくれれば協力もできた」と応じる。
夜桜は「アスマを守るため、綿密に連絡を取ると新郷に勘付かれる。だから最低限の情報しか渡せなかった」と釈明した。
これに対し田寺は「影森ジンも同じだった」と述べ、ジンとの会話の回想が始まる。
影森ジンの協力表明(回想シーン)
影森ジンは、ユルが下界にいることを敵が把握していることを受け、今回の状況を理解。「アサの偽物と子供を人質にとって連れ出す力を持った奴がいる。ツガイ使いを大量に抱える強欲な男」と敵を分析。
ジンは「ちょうど良い。我々もそいつらを一網打尽にしたい」と言い、協力を申し出た。アイコンタクトを受けたハルオも「いるっスね」と同意し、協力体制が成立する。
田寺とジンの打ち合わせ(回想)
ジンは田寺に対し、今回の敵を「新郷」としつつも、詳細な作戦を事前に詰めず「現場の流れで」と指示した。密な作戦立案を避けた理由は、敵側に感づかれるのを防ぐためであった。加えて、田寺には「おそらく現場にアスマがいるが、彼は敵ではない。会っても攻撃するな」と命じると同時に、アサからの伝言と写真を手渡した。
この時点で、アスマの動向や関係性を含め、ジンはすでに一定の予測を立てていたと示唆される。
現在の展開とイワンの情報
ジンとの回想が終わると、田寺は「てな感じだった」と軽く語り、雑な印象にユルが反応する。
ここで夜桜が口を挟み、「新郷の元に最近加わった手練れのツガイ使い」がおり、警戒して連絡や動きを絞っていたことが語られる。そのツガイ使いとは「大小の刀を使う」与謝野イワンであり、田寺らは「夜道のチカン」として認識していた。
田寺はイワンとの接触経験を踏まえ、「両親のことを知っているようだ」とユルに告げる。はぐらかされた印象を残しつつも、イワンは敵対者の中でも特に要注意人物であると明示された。
左右様の戦闘と進路の選択
イワンの捕縛を目的として、左右様が戦っていることが伝えられると、ユルは「左右様の加勢に行こう」と決断。田寺も同行の意志を見せるが、夜桜はアスマの命令以外には従わないと断る。
その直後、ユルは夜空に上がった「狼煙」に気付く。それはダンジからのSOSであり、「乞う」「助け」のメッセージが組み込まれていた。ダンジが「下界で相方を捜す」と語っていたことと照らし合わせ、ユルは「助けを求めている」と理解し、進路選択を迫られる。
田寺は「人質か両親の手掛かりか」と、どちらを優先するか問う形となった。
ダンジと偽アサのやり取り・アザミへの励まし
一方、偽アサとダンジはユルに狼煙で助けを求めたことを語り合う。「自分たちはユルを騙していた」との負い目を抱えつつも、「助けに来てくれるか」と願う。
その後、村の子アザミに対し、偽アサは「大丈夫、助けはきっと来る」と励ます。だが、内心では「この人たちはツガイ使いだ」と警戒し、ユルの安全を憂う。
本物アサの襲撃と誤認
狼煙に反応して現れたのは本物のアサであり、アザミと偽アサはユルと思いっていたが。来たのが目つきの悪いアサだと混乱する。
来たアサは「兄様かと思った」「狼煙を使うのは下界で限られている」と述べたうえで、激しい怒りを表し「銀河級舌打ち」を放つ。
一方、狼煙を上げた張本人であるダンジは、「ごめん…こわい方が来た」と発言し、状況の急変を悔やんだ。
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