漫画【シャンフロ】「シャングリラ・フロンティア(24)」感想・ネタバレ

漫画【シャンフロ】「シャングリラ・フロンティア(24)」感想・ネタバレ

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物語の概要

ジャンル
VRMMORPGを題材とした異世界冒険コミックである。本作は「クソゲーハンター」として名を馳せた主人公が、最高難度ゲーム『シャングリラ・フロンティア』に挑み、ゲーム内外で戦い成長していく物語である。
内容紹介
“クソゲーハンター”こと陽務楽郎(サンラク)は、3000万人以上のプレイヤーを抱えた神ゲー『シャングリラ・フロンティア』に挑戦を始める。第24巻では、新たな最強種「無尽のゴルドゥニーネ」との激突、封将・黒狼クランとの火種、そして“呪い”と“蛇の母”という深淵の謎が動き始める。ゲーム世界の限界へと迫る冒険譚の最新章である。

主要キャラクター

  • 陽務楽郎(サンラク):本作の主人公である。クソゲー攻略を得意とするゲーマー出身で、『シャングリラ・フロンティア』ではその経験を活かしつつ、最難関コンテンツに挑む。
  • 斎賀 玲(サイガ-0):サンラクのライバルかつ盟友的存在である。瞬間火力を誇るゲームプレイヤーであり、対人戦・PK戦において頭角を現す。
  • アーサー・ペンシルゴン(天音永遠):ゲーム内過激派クラン「阿修羅会」の元ナンバー2。建材は【旅狼】のクランリーダー。知略・情報戦を得意とし、サンラクと因縁がある強敵である。

物語の特徴

本巻の特徴は、ゲーム内コンテンツの攻略と同時に、「現実世界での影響・人間関係・プレイヤーの心理」が深く描かれている点である。クソゲー/神ゲーという概念をベースにしてきたシリーズだが、第24巻では、過去の栄光、承認欲求、ゲームスキルの転用など、“プレイヤーとしての生き方”がテーマとして浮上する。また、ユニークモンスターや最強種といった高難度要素の登場により、読者には「次のステージへ進むための準備」や「限界を超える覚悟」が提示される。さらに、アニメ化・ゲーム化の展開ともリンクしており、メディア展開が加速する中での「ゲーム作品としての完成形への挑戦」をも感じさせる一冊である。

書籍情報

シャングリラ・フロンティア(24) ~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~
著者:#不二涼介 氏
原作:#硬梨菜  氏
発売日:2025年10月17日
ISBN:9784065411094

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あらすじ・内容

第47回「講談社漫画賞」少年部門受賞!「小説家になろう」の超人気作が待望のコミカライズ!
“クソゲー”をこよなく愛する男・陽務楽郎。彼が次に挑んだのは、総プレイヤー数3000万人の“神ゲー”『シャングリラ・フロンティア』だった!
集う仲間、広がる世界。そして“宿敵”との出会いが、彼の、全てのプレイヤーの運命を変えていく!!
最強クソゲーマーによる最高のゲーム冒険譚、ここに開幕!!

憎悪の蛇に抗戦を! 呪いを求めるゲーム冒険譚!! ユニークシナリオの必要アイテムを揃えヴァイスアッシュの元を訪れたサンラク。兎月をさらに“真化”させ、さらにリュカオーンの刻傷を打ち消す術を知る! それは人を、兎を、世界を憎む呪い。全ての“蛇”の母。「七つの最強種」が一角“無尽のゴルドゥニーネ”の毒だった! 黒狼との火種が燻る中、サンラクは新たな最強種に抗する最前線へと進む!!

シャングリラ・フロンティア(24) ~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~

感想

第24巻は、サンラクたちが“無尽のゴルドゥニーネ”という新たな最強種に挑む物語の序章となる。
黒狼との談合では、サンラクが女性アバター姿で登場し、破天荒な登場シーンとコメディ要素で笑いを誘う。その後、仲間とのやり取りや黒狼との関係性など、人間関係がより深く描かれる。緊張感のある交渉の中にも軽妙なやり取りがあり、シリアスとユーモアの緩急が巧みに構成されている。

終盤では、京極のリアルパートが挿入され、現実世界の設定や斎賀家の血筋といった謎が提示される。これにより、ゲームと現実の境界がさらに曖昧になり、シリーズ全体のテーマに厚みを持たせている。

終盤では、サンラクが“富嶽”との連敗で別ゲームへ行くシーンで終わる。富嶽という圧倒的な敵を前に苦戦しながらも、仲間との連携で活路を見出していく。物語全体を通じて、バトル描写・世界観・キャラクターの掛け合いが高い密度で融合しており、読者を飽きさせない構成になっている 。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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登場キャラクター

サンラク(陽務)

状況判断と奇策を武器に立ち回るプレイヤーである。交渉と攪乱の双方で主導的に動いた。
・所属組織、地位や役職
 クラン「旅狼」所属。実働の中心。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヴァッシュの鍛冶で「兎月」の真化を受け、「勇魚兎月」を得た。黒狼館の会談に乱入して議題を動かした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 七つの最強種への橋頭保を築き、ラビッツ防衛線への参加を申し出た。

ペンシルゴン

旅狼の交渉担当である。舞台設計と情報戦で主導する策士である。
・所属組織、地位や役職
 クラン「旅狼」要職。交渉と企画の実務。
・物語内での具体的な行動や成果
 六クラン新同盟を布告し、黒狼強硬派を公然化させた。代表戦の枠組みを整えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 同盟網の中心に立ち、旅狼の影響圏を拡張した。

秋津茜

陽の思考と粘り強さを併せ持つ戦闘者である。仲間の示した条件に基づき「撃破」を最優先に行動した。
・所属組織、地位や役職
 旅狼の一員。
・物語内での具体的な行動や成果
 黒死の天霊に対し回復ポーションを投擲し、負の耐性を逆手に取って撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 討伐成功により評価を高め、戦利品の獲得と任務完了に貢献した。

京極

実戦志向の剣士である。AI範士との稽古で高成績を出すが満足しない求道者である。
・所属組織、地位や役職
 旅狼の一員。対黒狼代表戦の候補。
・物語内での具体的な行動や成果
 VR剣道教室「極」で評価Aを獲得し、より濃密な実戦を志向した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 代表戦へ向けた準備を進め、戦線の鍵となった。

エムル

行動を共にする相棒である。状況の抑制と助言に努める。
・所属組織、地位や役職
 ヴォーパルバニー国家「ラビッツ」所属。旅狼の随伴。
・物語内での具体的な行動や成果
 鍛冶場立入の制止や戦利品整理を担い、行動の安定を支えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新装備運用時の補助役として定着した。

ヴァッシュ

一線復帰した名鍛冶である。素材選定と設計思想に独自の哲学を持つ。
・所属組織、地位や役職
 ヴォーパルバニー国家「ラビッツ」の元国王。鍛冶師。
・物語内での具体的な行動や成果
 金晶独蠍と冥王鯱の素材で「勇魚兎月(金照/冥輝)」を鍛成し、BCビーコンを修復した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 「より強い呪いで上塗り」する理で刻傷対策を示し、次標的への示唆を与えた。

ビィラック

熟練鍛冶でありヴァッシュの近親者である。工房運営と補助に長ける。
・所属組織、地位や役職
 ヴォーパルバニー国家「ラビッツ」所属。鍛冶場の実務担当。
・物語内での具体的な行動や成果
 BCビーコンの修理を完了し、サンラクへ引き渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 父の決意を受け止め、作業体制を支えた。

エードワード

ラビッツの実務を統べる宰相格である。防衛線の統括者である。
・所属組織、地位や役職
 ヴォーパルバニー国家「ラビッツ」中枢。宰相的立場。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴルドゥニーネの分け身と毒の性質を説明し、一週間後の大規模作戦への参加を要請した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 旅狼との共闘関係を形成し、前線の意思決定を導いた。

サイガ-100

黒狼団長である。組織の再建を視野に穏健策を取る指揮者である。
・所属組織、地位や役職
 トップクラン「黒狼」団長。
・物語内での具体的な行動や成果
 談合の議題進行を担い、内部強硬派の切除へと舵を切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 旅狼と連携し、代表戦の受諾で体制刷新へ踏み出した。

リベリオス

黒狼の副団長である。強硬路線を牽引した急先鋒である。
・所属組織、地位や役職
 トップクラン「黒狼」副団長。強硬派の旗頭。
・物語内での具体的な行動や成果
 旅狼の吸収を主張し、同盟破棄の口実を与えた。代表戦を受諾して公開審判の舞台に立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 失言と拙速で孤立を深め、組織再編の引き金となった。

サイガ-0(斎賀玲)

現実と仮想を繋ぐ最上位プレイヤーである。素性を明かし人間関係に変化をもたらした。
・所属組織、地位や役職
 黒狼の最大戦力から旅狼加入を希望する立場。
・物語内での具体的な行動や成果
 移籍意思を表明し、交渉の焦点を動かした。現実では陽務に身分を告白した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 移籍条件の提示で手続きが進み、勢力図の再編に直結した。

無尽のゴルドゥニーネ

七つの最強種の一角である。分け身と眷属で地下浸食を進める存在である。
・所属組織、地位や役職
 最強種。敵対勢力。
・物語内での具体的な行動や成果
 毒と呪いを拡散し、防衛線を後退させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サンラクの刻傷上書き対象として指名され、次局面の焦点となった。

展開まとめ

第226話黄金の月よ、青く冷たく

黒死の天霊との死闘

秋津茜は「黒死の天霊(トゥルー・クワイエット)」との戦闘を続けていた。
攻撃の軌道は見切れるようになっていたが、どの一撃も効果を与えることができなかった。黒死の天霊は「死」「苦痛」「病」といった負の概念が凝縮して生まれた存在であり、物理・魔法の双方を無効化する完全耐性を持っていた。通常の攻撃が通用しないため、秋津茜は一撃ごとに体力を削られながらも、なおも戦場に踏みとどまっていた。

討伐条件と作戦の確認

三十分前、秋津茜は仲間たちと対策を練っていた。
ヴァッシュの提示した討伐条件は「撃破」であり、時間稼ぎや逃走では任務達成にならなかった。過去に「クターニッド」戦で回復効果の反転が有効だった経験から、秋津茜は同様の理屈が通用する可能性を考慮した。そこで街で大量の回復ポーションを買い込み、敵の“負の耐性”を利用した攻略法に賭けることを決断したのである。

回復ポーションを用いた反転攻撃

戦場に戻った秋津茜は、黒死の天霊に向かって次々と回復ポーションを投げつけた。
一見すると瓶が砕けるだけで何の効果もないように見えたが、仲間の獣人は「敵のHPが負数設定であるなら、回復行為が実質的な“攻撃”として作用する」と分析した。敵の反応が乏しい中、秋津茜は信念をもって投擲を続け、全てのポーションを使い切るまで攻撃を止めなかった。

黒死の天霊の崩壊と勝利

秋津茜の最後の一投が命中した後、黒死の天霊の体が光に包まれ、ゆっくりと崩壊を始めた。
ヴァッシュは「黒死の天霊は死と苦痛の塊であり、回復行為によってその存在を上書きされた」と説明した。仲間たちは歓声を上げ、秋津茜の執念を称えた。獣人は「最後まで信じ切った勇気」と彼女を讃え、ヴァッシュも「ヴォーパル魂」と評価した。
こうして秋津茜は、理不尽な強敵を理論と根性で打ち破り、黄金の月の下で勝利を掴んだ。

黒死の天霊討伐の余韻

秋津茜は黒死の天霊を撃破し、サンラクたち仲間と共に勝利を喜んでいた。
ギリギリでポーションの数が足り、戦闘をやり遂げたことに安堵が広がる。さらに、戦利品として黒死の天霊の鎌がドロップし、ヴァッシュが設定した討伐報酬が正しく機能していたことが確認された。茜は歓喜に沸き、仲間たちもその成果を称賛した。

ヴァッシュの離脱と次なる指示

ヴァッシュは茜の戦いを見届けると、次の指示を出した。
秋津茜に「次の敵は自分の力で倒してみろ」と伝え、自身は「鍛冶場に向かう」と宣言する。
彼は長年放置されていた装備の修理と、新たな作業のためにその場を離れ、シークルゥに現場の指揮を任せた。サンラクはヴァッシュに同行し、彼の真意を確かめるため共に鍛冶場へ向かうことになる。

ヴァッシュとビィラックの再会

鍛冶場では、ヴァッシュが古くからの関係者である鍛冶師ビィラックと再会した。
ビィラックはヴァッシュを「親父」と呼び驚愕するが、ヴァッシュは再び自ら鍛冶に臨む意思を見せる。
サンラクに対しては「お前が強敵と認めたモンスターの素材を出せ」と命じ、使用素材の選定は自分が行うと告げた。サンラクが提示したのは、「金晶独蠍(ゴールディー・スコーピオン)」と「冥王鯱(アトランティクス・レプノルカ)」の素材であり、ヴァッシュはそれらを手に取り「面白ぇもんを持ってやがる」と笑みを見せた。

兎月の真化の準備

ヴァッシュは修理装置を起動しながら、サンラクに「兎月を出せ」と指示した。
それは、サンラクの愛用武器「兎月」をさらに強化するための工程であった。
ヴァッシュはサンラクの成長を認め、「今のお前なら使いこなせる」と断言する。そして兎月は「上弦」「下弦」の二振りの形で現れ、ヴァッシュはその刃を見据えながら「こいつ等を更に真化させる」と宣言した。

鍛冶師の覚悟

ヴァッシュは久方ぶりに本気を出す鍛冶師としての姿を見せ、サンラクたちに作業の一部始終を見届けるよう告げた。
かつての遺産である兎月が、秋津茜たちの戦いの成果と強敵の素材を得て、新たな段階へ進化しようとしていた。
ヴァッシュの眼差しには、鍛冶師としての誇りと後継に託す意思が宿っていた。

第227話男なら黒に染まれ、その身滅びども

鍛冶場での待機と焦燥
ヴァッシュが兎月の真化作業に没頭している間、サンラクたちは鍛冶場の外で完成を待っていた。
作業音が響く中、サンラクは「進行具合が気になる」と落ち着かず、こっそり覗こうとする。
しかし同行していたエムルに止められ、「ビィラックちゃんから鍛冶場に入るなと言われたですわ」と注意される。
鍛冶場内ではヴァッシュとビィラックが集中して作業しており、外部の立ち入りは禁止されていた。

真化素材と期待の高まり
鍛冶場の中では、ヴァッシュがサンラクの武器「兎月」をさらに強化するため、強敵から得た素材を用いていた。
その素材は「金晶独蠍(ゴールディー・スコーピオン)」と「冥王鯱(アトランティクス・レプノルカ)」という二体の強敵のものであり、サンラクとエムルはその豪華さに胸を高鳴らせる。
サンラクは我慢できずにドアを押し開けてしまい、勢い余って転倒。ビィラックに怒られる羽目となった。

新たな装置「BCビーコン」
その後、ビィラックが鍛冶場から出てきて、完成品のひとつ「BCビーコン」をサンラクに手渡す。
それはワリャが持ち込んだ三つの装置を組み合わせて修理したもので、兎月とは別に依頼していた品であった。
見た目は銃のような形状をしており、ヴァッシュはこれを「バハムートを呼ぶ笛」として設計したと説明する。
サンラクとエムルはその名に驚愕し、「バハムートだと!?」と声を上げた。

神代のワードと“座標”の条件
ヴァッシュは「バハムート」という名が神代に関わる重要なワードであることを示唆する。
しかし呼び出すには“座標”が必要であり、それがなければ作動しないと語る。
サンラクが座標の意味を尋ねると、ヴァッシュは「自分の足で探せ」とだけ告げ、詳細を明かさなかった。
この言葉にサンラクは疑念と興奮を抱きつつ、ワードや古代存在の関連性を考察する。

完成した新たな刃「勇魚兎月」
やがて鍛冶場の扉が開かれ、ヴァッシュは完成した武器を掲げた。
それは金晶独蠍と冥王鯱の力を継ぎ、光と闇を象徴する対刃剣――「勇魚兎月(イサナトゲツ)」であった。
二振りの名は「金照(コンジョウ)」と「冥輝(メイキ)」と名付けられ、兎月はさらなる真化を遂げて新たな姿を現した。
サンラクはその輝きに息を呑み、鍛冶師ヴァッシュの技と物語の新たな幕開けを実感するのであった。

新武器「勇魚兎月」の完成
ヴァッシュが仕上げた対刃剣は、金晶独蠍と冥王鯱の素材を継いだ「勇魚兎月(イサナトゲツ)」。大ぶりの刃が「金照(コンショウ)」、短い刃が「冥輝(メイキ)」で、どちらも水晶の刃を持つ。

金照の仕様
自身より高レベルの敵にクリティカル成功で“結晶化”を付与。使用者のHP消費または月光で耐久を高速回復。クリティカルを一定回数当てると合体ゲージが溜まる。必要値はSTR80/DEX100/TEC80/ヴォーパル魂200。

冥輝の仕様
自身より高レベルの敵にクリティカル成功で“冥気”を自分に付与。HPまたはMP消費で形状変化が可能。こちらもクリティカルで合体ゲージが蓄積。必要値はSTR100/DEX80/TEC80/ヴォーパル魂200。

装備条件の確認
サンラクは“隠しパラメータ”であるヴォーパル魂を辛くも200到達。数値は行動で変動し得るため、肝心な時に装備不能になる懸念も示される。

BCビーコンの受領
ビィラックが修理した新装置「BCビーコン」を受け取る。用途は“バハムートを呼ぶ笛”。ただし使用には“座標”が必要で、場所は自分の足で探せとだけ告げられる。

刻傷対策と冥輝の真意
サンラクの“刻傷”はバフを弾くため冥輝の自己強化が無意味に見えるが、ヴァッシュは「一時的に刻傷を無効化する方法がある」と説明。犬(リュカオーン)が与えた最初の“呪い”が“刻傷”へ変化した経緯を示し、「より強い呪いで上塗りすれば軽くできる」と語る。

より強い呪い=次なる標的の示唆
その“上塗り”に相当するのは、人と兎、そして世界すべてを憎む存在――「蛇の母」。七つの最強種の一角「無尽のゴルドゥニーネ」の名がここで明かされ、次章への布石となる。

第228話やり込み要素は狂気の沙汰ほど面・・・

七つの最強種の情報整理
ライブラリの定期報告会にて、情報担当のキョウジユはプレイヤー間で知られる「七つの最強種」の現状を整理した。
既知の五体は「夜襲のリュカオーン」「墓守のウェザモン」「天翔のジークヴルム」「深淵のクターニッド」「哀し響のオルケストラ」であり、残る二体の存在は未確認であった。
しかしライブラリは独自調査により、新たな最強種候補として「荒ぶる蛇神(じゃしん)」の情報を掴んだと報告する。

ヴォーパルバニーとの関係性
蛇神はヴォーパルバニー種と敵対していると考えられており、ヴォーパルバニーの街「ラビッツ」に関連するユニークシナリオ「兎食の大蛇討伐」が重要な手がかりとされた。
ただし、そのシナリオは討伐成功後に強制送還される仕様であり、ワールド的な位置情報も不明な点が多い。
キョウジユは「兎食の大蛇」が蛇神と同系統である可能性を指摘するが、情報は断片的で謎が残る。
また、サンラクが異なる経路でラビッツに招かれたことが判明し、通常ルートとは異なる“ユニークシナリオEX”への関与が示唆された。

ユニークシナリオEXの存在
話題はヴォーパルバニーのユニークシナリオEX「致命兎叙事詩(エピック・オブ・ヴォーパルバニー)」へと及ぶ。
キョウジユはこのシナリオが蛇神と何らかの関係を持つと推測し、その鍵を握る人物としてサンラクを名指しした。
ライブラリのメンバー達は彼の進行状況を注視しつつ、彼の発見が今後の七つの最強種の調査に影響を与える可能性を認めた。

くらんの独白と決意
会議後、キョウジユの副官であるくらんは窓辺に立ち、夜空を見上げながら思索に耽った。
彼女はキョウジユの発表した情報に興奮を隠せず、「荒ぶる蛇神」を加えたことで確認済みの最強種は六体に到達したと独白する。
そして最後の一体、未だ未知の存在を追うべく決意を新たにした。
流れ星の瞬く空の下で、彼女は静かに呟く――
「サンラク君……君はもう、見つけているのか?」

ヴァッシュとビィラックの語らい
鍛冶場での作業を終えたヴァッシュは、静かに煙管をくゆらせながら椅子にもたれ、思索に耽っていた。
そこへ娘のビィラックが姿を見せ、父に「親父……」と声をかける。
ヴァッシュは「邪魔したな、ビィラック」と穏やかに応じ、サンラクがすでに“蛇神”へと向かったことを伝えた。
さらに、自身もそろそろ秋津茜の様子を見に行くつもりだと語る。

覚悟を問う娘と、笑う父
ビィラックは、ヴァッシュが語っていた“ゴルドゥニーネ”討伐の話が本気なのかを問う。
ヴァッシュは口元に笑みを浮かべ、「狙いはあくまで挨拶。ちょいと顔を出す程度の呪いさ」と軽く答えた。
しかしその声音には、かつて“七つの最強種”の一角として知られる「無尽のゴルドゥニーネ」と相まみえる覚悟が滲んでいた。

去りゆく父と見送る娘
ヴァッシュは席を立ち、「あとはアイツ次第だがな」とサンラクに思いを馳せながら歩き出した。
ビィラックはその背を見送りつつ、父の言葉の裏に隠された決意を悟り、不安と誇りの入り混じった眼差しを向けた。
場面の終盤では、屋敷の奥から幼い兎の娘が顔を覗かせ、穏やかな空気の中に次なる動きの兆しが漂っていた。

執務室への訪問
サンラクとエムルは、ヴァッシュの助言を受けてラビッツの中枢を担う長男エードワードのもとを訪れた。
同じ兎御殿でもヴァッシュの部屋とは異なる知的な雰囲気の中、サンラクは礼儀正しく挨拶を交わす。
エードワードはヴァッシュの紹介を受けていたが、状況は逼迫しており、長時間の応対が難しいことを明かす。

ヴァッシュの真意とエードワードの立場
ラビッツ国の実質的統治者であるエードワードは、サンラクに対し「無尽のゴルドゥニーネ」との戦いへの協力を求めた。
ゴルドゥニーネは地下を掘り進め、無数の大蛇を送り込み、国土を侵蝕する存在である。
その脅威は防衛線を三割まで押し返すほどであり、ヴォーパルバニーたちは日夜その進行を食い止めていた。

分け身と眷属の脅威
エードワードは、ゴルドゥニーネが「分け身」と呼ばれる自己の断片と、その支配下にある「眷属」を差し向けてくることを説明する。
戦いはかつて大規模に行われたが、分け身の侵攻は止まらず、防衛線の維持が困難になっていた。
しかも、ゴルドゥニーネの力は毒や呪いのように残留し、倒してもなお悪影響を残す性質を持っていた。

呪いの本質と伝染
サンラクが問いを重ねると、エードワードは「ゴルドゥニーネの分け身」が放つ毒こそが問題の核心だと告げた。
それは毒でありながら呪いでもあり、触れた者へと伝染する。
感染したヴォーパルバニーはラビッツへ戻ることができず、トンネルの中で衰弱し死に至るしかない。
防衛線を維持する者たちは、死を覚悟して最前線に立ち続けているのが現状であった。

ラビッツ防衛線の実態とヴァッシュの言葉
この“防衛線”こそがラビッツの生命線であり、サンラクが立ち向かうべき戦場であるとエードワードは語った。
ヴァッシュの言っていた「タチの悪い呪い」とは、まさにこの分け身の毒に由来するものであり、通常の解毒では消せない。
「濃い色を消すにはより濃い色で塗り潰す他にない」との言葉通り、サンラクが挑む戦いは、より強大な呪いによる上書きを意味していた。

次なる段階への導き
説明を終えたエードワードは、サンラクの実力を見定めるように「ゴルドゥニーネを理解した上で改めて聞こう」と言葉を締めた。
サンラクはその意図を察し、自身の「呪い」を消すため、そして“七つの最強種”の一角に挑む覚悟を固めたのである。

サンラクの決意
サンラクは、ゴルドゥニーネの“分け身”や“脱皮殻”と呼ばれる存在にどうしても会う必要があると感じていた。
彼は「できなくてもやる」「できるまでやる」と言い切り、それこそが自分たち“開拓者”の在り方だと宣言した。
そして、命を賭けた覚悟を込めて「ラビッツ防衛線への参加」を正式に申し出た。

エードワードの反応と提案
その熱意を受け取った宰相エードワードは、静かにサンラクを見据え、「なるほど、これも父上――ヴァッシュの意図通りですか」と呟く。
彼はサンラクの豪胆な姿勢を高く評価しつつ、手元の資料を閉じて応じた。
「実は一週間後の夜、大規模な防衛作戦を予定しています」と告げ、彼にとっての“試練”を提示したのである。

共闘の誘い
エードワードは、サンラクが“最強種”を討ち取った実績を持つことを評価し、ヴォーパルバニー達との共闘を強く希望した。
彼は右手を差し出し、「ぜひとも我々ヴォーパルバニーと共に戦っていただきたい」と正式に要請。
サンラクはその申し出を受け入れ、次なる戦場――“七体目のユニークモンスター”無尽のゴルドゥニーネとの決戦へ向け、歩みを進めることを決意したのである。

第229話狼争開幕、最初にガラスをぶち破れ

斎賀零は自室で静かに意識を集中させ、ゲームへとログインする準備を整えていた。
緊張と高揚が入り混じる中、深呼吸をして心を落ち着かせる。
覚悟を決めた彼女はヘッドギア型のデバイスを手に取り、頭部へと装着する。
次の瞬間、デジタルの光が身体を包み、現実世界から仮想世界へと意識が転送されていく。
零は小さく「行こう」と呟き、これから始まる新たな戦い——“狼争”の舞台へと踏み出した。

黒狼館への到着
旅狼のメンバーであるアーサー・ペンシルゴン、オイカッツォ、京極は、クラン「黒狼」の拠点・黒狼館に到着した。
その巨大な建造物は圧倒的な存在感を放ち、彼らにとってはまさに「敵の総本山」であった。
京極はその規模に感嘆しつつも余裕の表情を見せ、ペンシルゴンは「今回は同盟確認のための会談」と説明して一行を落ち着かせた。

黒狼との再会と空気の緊張
館の内部は重苦しい空気に包まれていた。旅狼を案内する黒狼メンバーの視線には露骨な敵意があり、とりわけ京極に対しては殺気を隠さない。
それでも彼女は「PKをやっててよかったと思う」と笑い、ペンシルゴンも呆れながら相槌を打った。
会議室では黒狼団長・サイガ-100が待ち構えており、ペンシルゴンらを迎えて会談が始まる。

京極事件の清算交渉
サイガ-100は冒頭で「京極による襲撃事件」の補償を議題に挙げ、被害総額を約1400万マーニと提示した。
ペンシルゴンは即座に「2000万マーニ支払えば装備をすべて返還する」と返答し、サイガ-100は「最大譲歩しても1980万だ」と譲らなかった。
双方の応酬に周囲は騒然となるが、ペンシルゴンは飄々と「プレイスタイルの違い」と受け流した。
京極は挑発的に「俺は悪いことしてない」と言い放ち、黒狼のメンバーをさらに苛立たせた。

サイガ-100の冷静な対応
黒狼団長サイガ-100は挑発にも動じず、冷静に事態を見極めていた。
ペンシルゴンの奔放な交渉術と、京極の無邪気な挑発を見ながらも、彼女は「今日の会談の目的はそれだけではない」と話を進める。
次なる議題――両クランの同盟確認に関する重要協議に入る直前、サイガ-100は「重要参考人であるサイガ-0も同席するはずだが……遅れているようだ」と告げた。
一方、旅狼側も四人目のメンバー――つまりサンラク――が未だ現れず、両陣営にひとりずつ欠員が出た状態での会談となった。

結末
ペンシルゴンは軽口を叩きつつも内心で警戒を強め、サイガ-100もまた、異なる思惑を抱えながら談合の幕を開ける。
黒狼館の会議室には、穏健派と強硬派が交錯する緊張と火種が充満していたのである。

サンラクの逃走劇
サンラクは街中で追跡を受けていた。プレイヤーたちに「鳥頭プレイヤー・サンラク」と認識され、正体がバレたため逃走を余儀なくされる。装備変更で外見を変えていたが、かえって特徴が増して逆効果となり、追跡者たちは執拗に迫ってきた。
サンラクは焦りながらも「ラビッツ防衛線」への参加を思案しており、興奮したエムルを落ち着かせつつ、密集地帯を抜けるため決断を下す。

奇策と混乱
サンラクは「封雷」の奇襲を避けるため路地へ逃げ込み、エムルを物陰へ避難させたうえで「アレを使うしかねぇ」と呟く。追跡者たちは裏路地へ誘導され、包囲を完成させたつもりでいたが、次の瞬間、サンラクは女性型アバターの姿に変化して現れた。
驚愕する追跡者たちは「女のアバター!?」と混乱し、サンラクは「性別反転の選択が正解だった」と内心で笑う。外見が変わったことで完全に撹乱に成功したのである。

突入と惨事
そのまま屋根上を跳びながら目的地――「黒狼館」へと突入を試みるサンラクは、屋根を滑り、勢いのまま会議中の部屋の窓ガラスを粉砕して乱入した。
ちょうどその場では旅狼と黒狼による談合が行われており、ペンシルゴンやサイガ-100らが揃っていた。
サンラクの乱入によって会議は混乱に陥り、彼はサイガ-100の上に落ちてしまい、周囲は騒然となった。

混乱の収束
ペンシルゴンは頭を抱え、「これで完全に最悪の幕開けだ」と嘆息。
一方のサイガ-100は冷静に「……銃弾に縄を括り付けてどうする」と皮肉を述べた。
旅狼の仲間たちは呆れながらも、「さすが鉄砲玉」とサンラクの無茶を半ば諦めたように受け止める。
こうして、両クランの緊張を極限まで高める“狼争”の幕が、ガラスの破壊音とともに切って落とされたのである。

第230話狼争佳境・キレッキレのイニシア・・・

乱入の余波と混乱の収拾
黒狼館の会議室に突入したサンラクは、窓ガラスを粉砕して登場したことで、その場の全員を驚愕させた。サイガ-100をはじめとする黒狼の面々は憤慨し、ペンシルゴンら旅狼側も場の空気に苦笑するほかなかった。サンラクは女性アバターの姿のまま平然と応じ、サイガ-100から「君がサンラクで間違いないな」と問われると、軽薄な態度で返答した。混乱を見かねた黒狼団員たちは、怒りを抑えきれずに掴み合いを始め、ペンシルゴンが制止しようとするも、サンラクがあざとい笑顔で謝罪したため、かえって怒りを買う結果となった。

性別変更の理由とユニーク報酬の推測
混乱ののち、話題はサンラクのアバターが女性化している理由へと移る。黒狼の面々は「性別変更機能など存在しないはず」と訝しむが、サンラクは曖昧に笑い、直接的な説明を避けた。サイガ-100は冷静に「それはクターニッド討伐の報酬ではないか」と推測し、会話は自然と過去のユニーク戦へと移行した。サンラクは肯定も否定もせず、クターニッド討伐に至る経緯を整理するように語り出した。

リュカオーン事件の再検証
サイガ-100はさらに、クターニッド以前に発生したリュカオーン事件の真相を問う。旅狼が同盟を結んでいたにもかかわらず、独断で動いた理由を探るためであった。サンラクは「リュカオーンもクターニッドも事故のようなもの」と語り、偶発的に遭遇した経緯を説明する。彼によれば、リュカオーン戦では協力者として「レイ氏」や「イ氏」が関わり、彼らがエリン攻略を支援していた最中に、突如ユニークモンスターが出現したという。サイガ-100は「ST-ZOO」との遭遇、そしてその消滅に至る過程を回想しながら聞き取りを進めた。

討伐の正当性を巡る論争
黒狼側の一部は、リュカオーン討伐が「不正によるものではないか」と疑念を示した。装備の乏しいサンラクが勝利した事実を受け入れがたかったためである。サンラクは「影だったが倒した」とあっさり答え、反発を招いた。論争が激化する中、彼は逆に問い返す。「同じ状況でお前たちは退くのか」と挑発的に迫り、黒狼の面々は言葉を詰まらせた。議論は白熱し、結論を見出せないまま、旅狼と黒狼の間に再び緊張が走った。

ペンシルゴンの介入と冷却
口論を制したのはペンシルゴンであった。彼女は「勝てるわけがない」と騒ぐ黒狼を諫め、「攻略法を教えてやろうか」と皮肉を飛ばした。攻撃し、相手が倒れるまで戦うという単純な理屈を述べ、場を皮肉と笑いで包み込んだのである。サイガ-100は深いため息をつきつつも、会談の体裁を整えるべく話を戻した。

リュカオーン戦の詳細と旅狼の立場
サンラクは改めて当時の経緯を語る。リュカオーン討伐は彼とレイ氏だけでなく、途中乱入した別プレイヤーやNPCを含む複数人の連携による成果であったと説明した。その結果、黒狼側の一部は不正の疑いを撤回し、事情の複雑さを理解し始めた。サンラクはさらに「その乱入プレイヤーも今は旅狼の一員だ」と述べ、無断の引き抜きを牽制した。

クターニッド戦と新たな展開
会談の終盤、サンラクはクターニッド戦にも言及した。彼とレイ氏は別のユニークシナリオを進行中に、クターニッドのEXシナリオ発生に巻き込まれたという。準備不足のまま突発的に始まった戦いであったが、協力者の助けもあって見事攻略を果たしたことを明かした。彼の言葉に黒狼側は沈黙し、ただ事実の重さを受け止めるしかなかった。

レイ氏の関与と黒狼の反応
最後にサンラクは、リュカオーン戦およびクターニッド戦の双方でレイ氏に助けられたと語った。特に「アルマゲドン」の使用を彼に許されたことを強調し、黒狼団員たちはその名に反応した。サイガ-100は一瞬動揺を見せたが、冷静さを取り戻して「レイ氏はまだ正式には旅狼の一員ではなかったな」と確認し、会談は次の局面へと進む気配を見せた。

黒狼との交渉再開と火種の再燃
黒狼の一部メンバーが「リュカオーン討伐は不正ではないか」と非難したことで、会議の空気は再び緊張を帯びた。サンラクはその挑発を受けて冷笑を浮かべ、圧倒的な口調で反撃した。彼は回避特化の戦闘構成を語り、自身の努力と理屈をもって正当性を主張し、軽率に「チート」と口にする者を「ゲームそのものを侮辱している」と切り捨てた。その威圧的な態度により場は静まり返り、黒狼の面々は発言を控えた。

アルマゲドン級の虚勢と牽制
沈黙の中、サンラクはあえて笑みを浮かべ、「自分は単体でアルマゲドンに匹敵する火力を持つ」と宣言した。明らかに誇張であったが、彼の放つ自信と挑発が黒狼側の追及を封じた。その後、彼は討伐時に関与した五人の存在を明かし、そのうち二人がNPCであること、さらに一人が現在旅狼に加入している秋津茜であると説明した。この発言により黒狼の疑念は幾分か鎮まり、会談はようやく本題に移行した。

黒狼の要求と旅狼の拒絶
サイガ-100は旅狼の説明を一通り聞き終えた後、冷静に本題を切り出した。黒狼は同盟契約に基づき、旅狼が保持する全ユニークモンスター情報の提出を要求したのである。しかし、ペンシルゴンは即座に笑顔で拒否した。彼女は「私たちは黒狼の下僕ではない」と断じ、報酬や交換条件もなしに情報を渡す義務はないと主張した。これにより両陣営の間に再び火花が散った。

同盟の価値を巡る皮肉と論戦
黒狼の一部は「便宜を図ってやっている」と声を荒げたが、ペンシルゴンは冷笑し、「あの程度の支援で恩着せがましい」と切り捨てた。彼女はライブラリやSF-Zooの実績を例に挙げ、黒狼が持つ優位性は金銭力に過ぎないと痛烈に皮肉った。この発言は黒狼の一部を激昂させたが、サイガ-100は沈黙を保ち、状況を見極めていた。旅狼側は一方的に優勢な口調で交渉を進め、黒狼の士気は揺らぎ始めた。

強硬派リベリオスの登場
議論が膠着する中、黒狼のサブリーダーであり強硬派の頭・リベリオスが前に出た。彼は「ここは僕に任せてください」と進言し、サイガ-100の無言の頷きを受けて交渉の主導権を引き継いだ。旅狼側の面々はその動きを予期しており、表には出さぬままも一様に戦略的な笑みを浮かべた。彼らは、この瞬間こそ黒狼内部の分裂を誘う好機であると悟っていたのである。

数日前の作戦立案
時間は黒狼との会談より数日前に遡る。ペンシルゴンは録映の魔珠を手にし、クラン・ライブラリを巻き込む計画を立てていた。彼女は黒狼との交渉を自ら担当する意向を示しつつ、万一の備えとして別の策も同時に進める決意を固めていた。彼女の仲間たちがその真意を問うと、京ティメットによる黒狼襲撃の件を持ち出し、それがペンシルゴン自身の指示であったことが明かされた。

黒狼襲撃の真意と「茶番」宣言
仲間たちはペンシルゴンの策に困惑するが、彼女は冷静に「全ては茶番」と言い切った。黒狼側のPK行為に対して過剰反撃を行った京ティメットの行動も、ペンシルゴンの計算のうちであった。彼女は「もっと良いタイミングで驚かせたかった」と語り、全てが予定された演出であることを示唆した。つまり、黒狼との衝突も「予め想定された駒の動き」であり、談合そのものが劇的効果を狙った舞台に過ぎなかった。

黒狼内部の分裂と裏の同盟
ペンシルゴンは、黒狼が「ゲーマー層」と「シャンフロ専属勢」に割れているだけでなく、実際には「サイガ-100派」と「リベリオス派」の二つに明確に分裂していると語った。そして驚くべきことに、彼女はサイガ-100と裏で手を結び、黒狼内部の強硬派リベリオスを切り捨てるために行動していたことを明かした。この談合は、そのための茶番劇であり、ペンシルゴンとサイガ-100が共謀して黒狼の膿を排除する計画だった。

第231話狼争増援・服従か、追放か

リベリオスの登場と黒狼の構造的分裂
黒狼副団長リベリオスが自己紹介を行い、会議の場に立った。彼は黒狼内の強硬派の筆頭であり、組織運営においても若手層から厚い支持を得ていた。しかしその一方で、サイガ-100率いる穏健派との間に深刻な対立を抱えていた。黒狼はもともとリュカオーン討伐を目的として設立されたが、トップクランとしての地位を維持するうちに「目的」と「手段」が逆転し、強硬派は権勢拡大を志向するようになっていた。

黒狼の二派構成と内部腐敗
サイガ-100派は当初の理念である「ユニークモンスター討伐」を重視し、穏健的かつ協調路線を取っていた。一方で、リベリオス派はトップクランとしての優位性を保つことを目的とし、他クランを従属させる体制を築こうとしていた。彼らは黒狼を頂点に据えた階層構造を理想とし、他クランの吸収を正当化していた。その傲慢な姿勢がクラン全体に伝播し、サイガ-100はそれを「感染」と称して危険視していた。

ペンシルゴンとサイガ-100の密約
こうした内情を踏まえ、サイガ-100はリベリオス派を排除するため、ペンシルゴンと極秘裏に手を組んでいた。両者は談合という名の舞台を共同で設計し、リベリオスを公然と晒すことで黒狼の膿を出し切る計画を進めていた。表向きは「旅狼」と「黒狼」の衝突に見えたが、実際は黒狼内部の粛清劇であった。ペンシルゴンにとっても、この分裂を誘発させることは計算済みの茶番であり、彼女は不敵な笑みを浮かべてそれを見守っていた。

強硬派の野望とサイガ-100の覚悟
リベリオスは旅狼を「組織ごと吸収すべき」と豪語し、小規模クランがユニークモンスターを扱うのは荷が重いと侮蔑した。さらに彼は強力な装備やNPCとの繋がりを誇示し、旅狼との差を見せつけた。しかしサイガ-100は冷静に応じ、黒狼を蝕む病巣を自らの身を削ってでも切除する覚悟を示した。彼女は「悪魔との契約すら厭わない」とまで言い切り、組織を立て直すための決意を固める。

黒狼崩壊への序章
会談の終盤、ペンシルゴンは「ギスギスの不協和音が聞こえてくる」と皮肉を述べ、計画の進行を確信した。サイガ-100が内側から強硬派を切除し、旅狼が外側から揺さぶる――その構図こそが彼女たちの狙いであった。黒狼の分裂はもはや避けられず、会議の場は次なる衝突の前触れとして不穏な空気に包まれたのである。

リベリオスの提案と侮辱的発言
黒狼副団長リベリオスは、旅狼を格下と見下しながら交渉を持ちかけた。彼は「実力の足りないクラン」と断じ、情報提供を条件に「黒狼との合併」を提案した。ペンシルゴンら旅狼側はその高慢な態度に苦笑しつつ沈黙を保っていたが、場の空気は次第に険悪なものへと変わっていった。サンラクは堪えきれず立ち上がり、嘲り混じりの口調で名を何度も間違えながら挑発を開始する。

サンラクの反撃と挑発の開始
サンラクは鮭頭を装着し、異様な姿でリベリオスの目前に立つ。彼は「実力とは何か」と問い詰め、黒狼が三度リュカオーンに挑んで敗北している事実を突きつけた。さらに、「自分はリュカオーンを含め三体のユニークモンスターを討伐している」と宣言し、圧倒的な実績を見せつける。動揺するリベリオスを前に、サンラクは滑稽な仕草を交えつつも徹底的に論破し、会場を支配した。

ユニーク討伐実績を巡る皮肉と罵倒
リベリオスは「それはまぐれだ」と必死に反論するが、サンラクは冷笑しつつ「なら黒狼は何をしてきたのか」と畳みかけた。ユニークシナリオEXの存在すら最近まで知らなかった黒狼を皮肉り、彼らの怠慢を晒すように「何をしていたのか、是非とも聞きたいねぇ」と迫る。周囲の旅狼メンバーは堪えきれず失笑し、リベリオスの威厳は完全に崩壊した。

怒りの爆発と同盟破棄宣言
ついにリベリオスは逆上し、「お前たちなどいつでも切り捨てられる」と発言。これを待っていたペンシルゴンが冷徹に応じ、「なら同盟を破棄しよう」と告げた。場の主導権は完全に旅狼側へと移り、リベリオスは追い詰められていく。彼の軽率な言葉が、黒狼の強硬派に決定的な亀裂を生じさせた瞬間であった。

新同盟の布告とリベリオスの敗北
ペンシルゴンは「四クラン同盟」を解消し、「聖盾輝士団」や「午後十時軍」などを加えた「六クラン新同盟」を発表した。会場には各クランの代表者が現れ、黒狼を取り囲む形となる。リベリオスは完全に言葉を失い、サイガ-100も無言のままその光景を見届けた。ペンシルゴンは勝利の笑みを浮かべ、「混ぜてほしいなら土下座くらいしてもらわないと」と冷笑を浴びせる。

黒狼粛清計画の完成
この一連の流れは、ペンシルゴンとサイガ-100が仕組んだ罠であった。リベリオスの傲慢を引き出し、公然と黒狼の内乱を表面化させるための計画が、ここに完成したのである。リベリオスは怒りと屈辱の中で崩れ落ち、旅狼側の面々はそれぞれ内心で確かな手応えを感じていた。
会議は終幕を迎え、黒狼の時代の終わりが静かに始まった。

第232話狼争決着・結局最後は肉体言語

新同盟の発表とリベリオスの動揺
ペンシルゴンは「四クラン同盟」を解消し、新たに「ライブラリ」「SF-Zoo」「午後十時軍」「聖盾輝士団」を加えた「六クラン新同盟」を発表した。会議室には各クランの代表が姿を現し、カローシスUQ、ヴェット、ジョゼット、そしてキョージュが次々と名乗りを上げる。彼らはいずれもトップクランの指導者であり、その存在感にリベリオスは圧倒される。旅狼が盟主となる新体制が明言されると、黒狼側の動揺は隠せなかった。

黒狼の立場を巡る内部対立
ペンシルゴンが「お願いの仕方によっては黒狼も交ぜてあげられるかも」と挑発的に笑うと、リベリオスは激昂し、即座に拒絶を叫ぶ。しかしサイガ-100は冷静に「状況が変わっている。意地を張るべきではない」と発言し、団内の空気を一変させた。リベリオスは「格が下がる」「孤立する」と反論するが、現実として新同盟に属する六クランは既に協調関係を築いており、黒狼の孤立は明白であった。

条件提示とリベリオスの錯乱
ペンシルゴンは「もし黒狼も参加したいなら、この条件を呑んでもらう」と同盟条項の文書を提示する。そこには旅狼に著しく有利な内容が並び、リベリオスは「ふざけるな! これでは黒狼に利がない!」と憤慨する。しかし、ペンシルゴンはあくまで冷静に「他のクランは皆、快く呑んでくれたよ?」と告げ、黒狼だけが孤立する状況を際立たせた。

「旅狼」主導の六クラン条項の実態
条項の内容は以下の通りであった。

  1. 旅狼の持つ情報はライブラリを通じて公開される。
  2. 他クランは旅狼を可能な限り支援する。
  3. 鉄砲玉が得た情報はオークション形式で購入可能。
  4. 旅狼が一部情報を秘匿することを認める。
  5. 旅狼がユニークシナリオEXを自クランで攻略することを認める。
    表面的には旅狼に極端に有利だが、実際はすべて任意協力であり拘束力を持たない「形だけの条件」であった。ペンシルゴンはそれを利用して黒狼を欺き、彼らを心理的に追い詰めていった。

サイガ-100の介入と議題の転換
議論が行き詰まる中、サイガ-100が沈黙を破り、「同盟の返答は保留する」と一言述べた後、第三の議題として「サイガ-0の移籍希望」について言及した。黒狼にとって最大戦力であるサイガ-0が旅狼への移籍を望んでいる事実は、リベリオスにとって致命的な衝撃だった。彼は即座に狼狽し、「それは交渉材料になる」と過剰な要求を提案しようとするが、サイガ-100の冷たい視線に言葉を詰まらせた。

旅狼による支配構造の確立
この一連の展開により、旅狼は新同盟の盟主としての地位を確固たるものとし、黒狼は内外から追い詰められていった。ペンシルゴンとサイガ-100の策略は完璧に機能し、リベリオスは自らの発言と行動で立場を失墜させる。談合の場はもはや交渉の場ではなく、黒狼の没落を公然と示す裁定の舞台と化していた。

サイガ-0の移籍と黒狼の動揺
リベリオスが苛立ちの中で「旅狼のユニーク情報をすべて渡せ」と強弁する一方、ペンシルゴンは冷笑を浮かべ、次の展開を促す。そこでサイガ-100がサイガ-0を呼び出し、「黒狼を脱退し、旅狼に加入したい」という本人の意志を再確認した。レイ(サイガ-0)は静かに頷き、黒狼脱退を正式に表明する。

移籍の条件提示とペンシルゴンの即答
サイガ-100は「クターニッド戦での魔術媒体の消耗と、黒狼が育成に投じた資金を支払うこと」を移籍条件として提示した。ペンシルゴンは即座に了承し、あっさりと手を打つ。この即断に場は凍り付き、リベリオスは「金を払うだけで脱退を許すのか!」と激昂するが、他のクラン代表は冷ややかに受け流した。

黒狼内部の亀裂とリーダーの孤立
リベリオスは「サイガ-0は最高クラスのプレイヤーだ」と叫び、黒狼の損失を訴えるが、サイガ-100は「個々のプレイスタイルに強制力はない」と断じ、彼の反論を一蹴する。さらにサイガ-100は「先程の同盟条件を受け入れた上で、新同盟への加入を支持する」と表明。団内の意見は分裂し、リベリオスは完全に孤立した。

リベリオスの反発と崩壊の兆候
「奴等を我々の傘下に入れるつもりか!」とリベリオスは叫び、同意を求めるも、他の団員たちは沈黙。すでにサイガ-100の判断が組織の総意と化していた。ペンシルゴンたちは静観しながら、黒狼の自壊が始まるのを見届けていた。

滑稽な終幕
ペンシルゴンは全てを掌の上で操り、黒狼を「外道の見本市」に変えた。リベリオスの三下ムーブは頂点に達し、オイカッツォの出番を示唆する描写で場面は締めくくられる。黒狼は内部崩壊の寸前、旅狼とペンシルゴンの策略が完全に実を結びつつあった。

リベリオスの暴走と「代表戦」の提案
黒狼内部の混乱が続く中、リベリオスは「今こそ黒狼の威光を見せつける」と叫び、無理に場を掌握しようとする。しかし緊張感の欠けたやり取りの中で、オイカッツォが突如「代表戦で決着をつけよう」と発言。これが、ペンシルゴン達が仕組んだ罠の導火線となった。

茶番から決闘へと転換する談合の場
オイカッツォの提案に場が一瞬凍りつくが、京ティメットが「少なくともPKよりは平和的」と評し、他のクラン代表も次第に賛同。ペンシルゴンは冷静に「勝者が条件を提示する形でいいのでは」と補足し、形式上の公正さを演出する。こうして「旅狼」と「黒狼」による代表戦が正式に決定された。

リベリオスの思考停止と対戦受諾
冷静さを失ったリベリオスは、サイガ-100の静止も聞かず、「黒狼の名にかけて受けて立つ!」と宣言。サイガ-100は内心でこれを“公開処刑”と見なし、ペンシルゴン達の狙い通りに事が進んでいく。談合の全体はリベリオスを孤立させ、黒狼内部の強硬派を切り離すための計画的な舞台装置だったのである。

サイガ-100と旅狼の策略
この代表戦の目的は、黒狼のサブリーダーであるリベリオスを名目上の「敗北者」として晒し、彼とその追随者をクランから排除することにあった。サイガ-100はこの決戦を、黒狼の秩序再構築と旅狼との新同盟締結のきっかけとする意図を持っており、ペンシルゴンや京ティメットと裏で連携していた。

決戦への布石
最後にサイガ-100は、冷静さを欠いたリベリオスへ「これは黒狼の権威を示す好機だ」と促す。リベリオスはその言葉を自分への支持と誤解し、勝負を承諾。こうして「クラン代表戦」という名の公開処刑劇が成立し、旅狼と黒狼の対立は決戦という形で最終局面を迎えることとなった。

第233話スリップ・スラッシュ・スクラン・・・

代表戦の決定と旅狼の動き
黒狼との代表戦は一週間後の夜に開催され、双方が五名の代表者を選出することとなった。ペンシルゴンたちは談合後の緊張を解きながら、リベリオスの慌てぶりを笑いの種にしていた。京ティメットやサンラクは、これからの準備に追われることを察し、各自の課題整理に入る。

新同盟クランの紹介とその実態
新たに旅狼と協力するクランとして、「午後十時軍」と「聖盾輝士団」の詳細が語られる。午後十時軍は社会人中心の組織で、統率力と綿密な戦略で知られる攻略クラン。聖盾輝士団は聖女イリステラの守護を目的とする宗教的組織で、リーダーのジョゼットは「最大防御」を誇る女聖騎士として絶対的な信仰を受けていた。彼女の力は呪いの解除も可能で、レイの「刻傷」も本来は治せたはずだったが、既に解除不能に進化していた。

アクセサリーの秘密と無限インベントリ
ジョゼットがサンラクの手首にあるアクセサリーに気づき、詳細を尋ねる。サンラクが説明したところ、それはウェザエモン戦の報酬であり、重量や容量に制限のない“無限インベントリ”機能を持つ特異なアイテムだった。これに対し午後十時軍のカローシスUQは強い興味を示し、他クランにも衝撃が走る。アイテムは外せず、トレードも不可のユニーク装備であると判明し、ペンシルゴンたちはその実用性に改めて感嘆した。

ユニークモンスターとワールドストーリーの進行
午後十時軍のカローシスは、ワールドストーリーの進行段階について語る。ユニークモンスターの撃破によって世界が変化し、現在は第三段階。次の第四段階では「クターニッド」に関する出来事が発生すると予測されていた。さらに、新大陸では“喋る黒いドラゴン”が確認され、ジークヴルムを強く敵視しているという報告が入っていた。この情報から、複数の竜が存在し、世界規模の動乱が近いことが推測される。

同盟の情報共有と拡大する世界の兆候
午後十時軍と旅狼は、ワールドクエストとユニークモンスター討伐情報を共有する協定を確認し合う。ライブラリがもたらす知識、聖盾輝士団の治癒力、午後十時軍の戦略性が組み合わさり、同盟全体の結束は強化されていく。一方でサンラクは、黒いドラゴンの存在や新大陸の異種族の発見に強い興味を抱き、情報戦の渦中にいることを自覚する。

終幕:新大陸とユニークモンスターへの布石
会話の最後で、カローシスが「旅狼が新大陸でユニークに挑む際は必ず知らせてほしい」と要請。サンラクは「時と場による」と笑ってかわすが、周囲はすでに次の戦乱を予感していた。喋る竜の存在、ワールドストーリーの第四段階、そして代表戦。すべてが次の大事件の前触れとして静かに動き出していた。

聖女親衛隊との遭遇
サンラク一行は黒狼館から出た後、聖盾輝士団の分派である「聖女ちゃん親衛隊」と接触した。彼らは聖女イリステラの信奉者であり、聖女を守るために組織された熱狂的な集団であった。親衛隊のメンバーは厳重な警備体制を敷き、一般プレイヤーを立ち入り禁止にしていることを誇らしげに語った。

クラン構造と聖女崇拝の実態
ジョゼットは、自分たちのクランがNPC主導で設立された聖盾輝士団から派生した組織であり、プレイヤー主導のクランとは性質が異なることを説明した。聖女の信仰を中心に形成されたこの集団は、ロールプレイを重視し、実際の騎士団のような行動を取っている。サンラクはその過剰な熱意に呆れつつも、彼女たちの真剣さを否定できずにいた。

聖女イリステラの関心
ジョゼットは、聖女イリステラ本人がサンラクに興味を持っており、「ぜひ会いたい」と望んでいることを告げた。聖盾輝士団はその命を受け、ゲーム内でサンラクの居場所を捜索していたと説明する。突然の指名にサンラクは困惑するが、ジョゼットはそれを“聖女の神託”として受け止め、会見を強く求めた。

強制的な接触と混乱
親衛隊は聖女の命令を絶対視し、サンラクを連行しようとする。サンラクは抵抗し、周囲も止めようとするが、騎士たちは聞く耳を持たない。ジョゼットは部下の乱れた隊列に激昂し、まるで本物の軍隊のように叱責を飛ばす。その異様な熱量に場の空気は一気に張り詰めた。

混乱と逃走
聖女親衛隊が包囲を完成させる中、サンラクは冷静に状況を分析し、脱出を決断する。「転送・格納空間」を発動させ、光に包まれて姿を消した。ジョゼットはその光景に驚き、「瞬間転移とは違う」と混乱する。彼女たちは周囲を探すが、サンラクの姿はどこにも見当たらなかった。

邪悪な笑み
一方その頃、遠く離れた場所でペンシルゴンとオイカッツォが状況を見守っていた。二人はサンラクの突飛な逃走劇に呆れながらも、「イベントリアに避難しているだけと教えてやろうか」と、邪悪な笑みを浮かべていた。

第234話 今明かされる衝撃のクソザコスト・・・

VR剣道場の挑戦と敗北
サンラクはログアウト後、現実のVR剣道教室「極」にて、AIトレースによって再現された伝説的剣士・龍宮院富嶽との稽古に挑戦していた。しかし、攻撃の全てを読まれ、どの角度から打ち込んでも通用しなかった。彼の剣筋は最短・最速・最適の連撃で構成されており、まるで次の動きを事前に理解しているかのようであった。

異次元の剣技と身体操作
富嶽の剣技はまさに異次元であり、体の使い方そのものが人間離れしていた。サンラクは反撃の糸口を見いだせず、何度も叩き伏せられる。どんな攻防を仕掛けても相手に隙が生まれず、まるで剣の神と相対しているような錯覚を覚えた。彼の全ての動作は、常人より体感で一・五倍速く感じられ、まるで生身の限界を超越した存在であった。

現実に存在する“リアル剣聖”の脅威
稽古後、サンラクは富嶽の実績を検索する。すると、現実世界での生涯戦績は八千二百三十八勝六敗という驚異的な記録であり、彼が現実の剣聖と呼ばれる理由を理解する。龍宮院道場には勝ち取ったトロフィーが並びすぎて床が抜けた箇所があるという逸話まで残っていた。

AIトレースと恐るべき再現度
富嶽の剣技は、実際の人物を完全トレースしたAIによって再現されていた。つまり、ゲーム内での「剣聖AI」は創作ではなく、現実の達人を基にした存在であった。サンラクはその再現度に戦慄しつつも、突破口を見出すために彼が敗北したわずか六試合を探し出して分析することを決意した。

朝の挨拶と緊張する斎賀
登校中の陽務は、元気よく挨拶する斎賀に声をかけられた。彼女は緊張のあまり声の大きさを誤り、深々と謝罪した。陽務は彼女がいつもと違う方向から登校していることに気づき、話しかけやすい雰囲気を感じ取った。

武術談義と「努力」の問い
陽務は斎賀が武術を学んでいると聞き、強い相手に勝つためにはどんな努力をするかを尋ねた。斎賀は「相手の動きを真似てみる」と答え、実際に体験することで理解が深まると説明した。陽務はその発想をAI戦闘攻略に応用できると考え、感謝の言葉を述べた。

龍宮院富嶽の話題と家系の繋がり
陽務が「富嶽」という名のAIを話題に出すと、斎賀はその人物が自分の家と関わりがあると気づき、驚愕した。斎賀家は龍宮院家と遠縁の親戚関係にあり、彼女の二番目の姉は龍宮院流を修めているという。さらに従姉妹にも全国レベルの剣士がいると語り、陽務を驚かせた。

身内の話に動揺する斎賀
会話の流れで家族の話をしすぎたことに気づいた斎賀は、慌てて謝罪した。陽務が気にせず受け止めると、彼女は顔を真っ赤にして混乱したが、勇気を出して放課後に「大事な話がある」と告げ、陽務をロックロールへ誘った。

黒狼の名に反応する斎賀
会話の終盤、陽務が何気なく「黒狼」という言葉を口にすると、斎賀は動揺を隠せず狼狽した。自分の中で何かが噛み合い始めた彼女は焦燥を見せ、陽務はその異変に気づきながらも首をかしげるのみであった。

感情の混線と告白の予兆
斎賀は自分の素性を隠し続けることに迷い、心の中で葛藤していた。玲からの助言を思い出し、覚悟を決めた彼女は「大事な話があります」と口にする。陽務はその真剣な表情に圧され、事態を理解できぬまま耳を傾けた。

衝撃の告白――サイガ・ゼロの名
ついに斎賀は「私……サイガ・ゼロなんです」と打ち明けた。陽務の脳裏にゲーム内での鎧の姿が重なり、目の前の少女と最強プレイヤーの名が結びつく。現実と仮想の境界が崩壊した瞬間、陽務は絶叫した。

混乱と気絶
現実の斎賀=レイ氏という衝撃に陽務は取り乱し、頭を抱えて叫んだ。二人のやり取りを偶然目撃した福雑ピが誤解して介入し、陽務は過剰な混乱の末にその場で倒れた。周囲は騒然となり、場は完全な混沌に包まれた。

放課後の岩巻とのやり取り
放課後、陽務はゲームショップ「ロックロール」で岩巻と会い、ようやく気持ちを落ち着けていた。彼は愚痴をこぼしながら「岩巻さん、知ってたんすね」と不満をぶつける。岩巻は「当然だろう」と笑い飛ばし、二人のすれ違いを面白がる様子を見せた。

笑いと脱力の結末
全てを知った陽務は脱力し、もはや言葉も出なかった。最強プレイヤー「サイガ・レイ氏」が身近な同級生だったという現実に、彼はただ呆然としながら笑うしかなかった。物語は、仮想と現実が交錯する新たな関係の幕開けを示して終わった。

放課後の再会と玲の動揺
陽務はゲームショップ「ロックロール」で岩巻と談笑していた。サイガ・レイ氏=斎賀玲であることを思い出し、その完璧な隠し通し方に頭を抱える。岩巻は事情を知らないため、玲の放つ独特な緊張感に首を傾げていた。一方の玲は書棚の陰で震えており、岩巻に促されて陽務のもとへ向かう決心を固めた。

勇気を振り絞ったお願い
玲は顔を真っ赤にしながら「もしよければ……」と口を開き、ついに「一緒に“シャンフロ”をプレイしたい」と告げた。陽務はすでに彼女がプレイヤーであることを知っていたため戸惑うが、玲は「改めて」という形で誘った。陽務は快く了承し、「今夜でも構わない」と即答するが、玲は慌てて「明日でお願いします!」と叫び、その場の空気は微笑ましい緊張感に包まれた。

富嶽の話題と玲の喜び
会話の途中で陽務は改めて「龍宮院富嶽」について尋ね、攻略のヒントを探ろうとした。玲は即座に「もちろんです!」と笑顔で応じ、その明るい表情に岩巻も頬を緩める。玲にとっては、陽務と再びゲームで関われること自体が何よりの喜びであり、その幸福感を隠しきれなかった。

岩巻の茶化しと陽務の困惑
玲の高揚した様子を見た岩巻は、「彼女にとって快挙である事には変わりないね」と皮肉をこめて呟き、陽務を軽くからかう。陽務は状況を理解しきれず苦笑するが、岩巻は上機嫌で「今日はドンペリでも開けるか」と冗談を言い、場を締めくくった。

第235話芯に捉える事による運動量の完全

VR稽古と京極の実力
京極は自室でVR教材『VR剣道教室・極』を起動していた。これは名門・龍宮院富嶽が全面監修した剣道訓練プログラムであり、京極の部屋には過去のトロフィーや防具が整然と並んでいた。かつて関西女子学生剣道選手権で優勝した実績を持つ彼女は、仮想空間で「AI範士」との稽古に臨み、鋭い気迫で面を打ち込んだ。

AIとの対戦と評価
AI範士の動きは驚異的で、京極の打突にも即応して防御と反撃を繰り返す。彼女は冷静に対応し、技を交わす中でAIの再現精度を確かめていく。結果は評価「A」。ラストステージの最高難度でこの成績を収めたものの、京極は納得していなかった。

教材の限界と祖父の影
稽古を終えた京極は、教材としての完成度を認めながらも「祖父には到底及ばない」と呟いた。AI範士でさえも、かつての龍宮院富嶽の強さを完全には再現できない――そう実感していたのである。

祖父の遺言と託された意味
京極はかつて祖母からこの教材を受け取った時の記憶を思い出す。祖父の遺品整理の際に誕生日プレゼントとして用意されていたもので、「これを通して私の真意を知れ」という祖母の言葉が添えられていた。幼少期の京極に対し、富嶽は「いいか京極、儂のようにはなるな」と語っていた。その意味を知るため、彼女は何度も『極』をプレイしてきたのである。

剣士としての宿命と葛藤
名の由来である「京極」は、“京の西から東まで敵なし”と称された祖父の偉業を象徴していた。だが、AI範士との戦いを終えた今も、祖父がなぜ自分にこの教材を残したのか理解できずにいた。京極は深く息をつきながら、次の戦い――VRゲーム『シャンフロ』での「対黒狼」代表戦が今週末に迫っていることを確認する。

更なる闘志の燃焼
AIとの稽古では満足できない京極は、より熾烈で濃密な実戦を求める決意を固めた。「AI範士じゃ足りない。僕にはもっと、香り立つ濃密な戦いが必要だ」と独白し、その瞳には再び炎のような闘志が宿っていた。

再挑戦する陽務の奮闘
陽務は再び龍宮院富嶽AIとの模擬戦に挑んでいたが、圧倒的な実力差の前に全く勝てず、激しく悔しがっていた。以前の対戦と大差ない敗北に苛立ち、VRの中で叫びながら床を転げ回る。クリア後に出現する隠し要素であるこのAI範士は、通常のボスを遥かに上回る難易度を誇り、陽務は改めて富嶽の異次元の強さを痛感した。

敗北からの分析と気づき
現実世界に戻った陽務は、斎賀との会話を思い出す。彼女の助言――「相手の動きを真似てみる」という言葉にヒントを見出し、AIの動きを再現して理解を深めようと考えた。富嶽の剣術は「最適な立ち回り」と「最短の竹刀さばき」を極限まで突き詰めたものであり、まさに怪物じみた動体視力と経験値に裏打ちされたものだった。陽務はその完璧な戦闘理論に圧倒されつつも、「ここで負けたままでは終われない」と歯を食いしばる。

焦燥と決意
連敗による焦りで集中を乱しながらも、陽務は「流石にここまで負けが込んでくると気晴らしにもなる」と自嘲し、再び挑戦する覚悟を固めた。彼の中では、敗北そのものが訓練であり、思考と技を磨くための糧に変わりつつあった。

狂気の結晶との遭遇
VR世界の鉱山地帯「水晶巣崖」にて、プレイヤーのサンラク(陽務)は無数の結晶生命体と交戦していた。彼は「狂気の結晶」と呼ばれる暴走鉱獣の群れを前に、これを“避ける練習”として戦闘を継続していた。結晶の嵐をすり抜けながら、「ギリギリ避ける練習にもってこいだ!」と豪快に笑い飛ばし、戦場全体を縦横無尽に駆け回る。

戦況の変化と分析
数の多さに圧倒されながらも、サンラクはAI範士・龍宮院富嶽の動きを思い出し、立ち回りを冷静に分析する。「相手の動きを読み、最適な位置で最短の攻撃を叩き込む」――富嶽の極致に近づくため、避けと攻撃を重ねながら動作制御の精度を上げていった。やがて特殊状態「古雷・災(レヴィサンド)」を発動し、視界を極限まで集中させる「瞬刻視界(モーメントサイト)」で敵群の動きを捉え始める。

加速採掘の覚醒
戦闘の中でサンラクは突如、周囲の結晶構造が“採掘ポイント”であることに気づく。試しにツルハシを振るうと、雷光のような動作で鉱石を次々と叩き出し、レア鉱石を拾いながら“必殺・加速採掘”を編み出した。狂気の結晶を相手に避けと採掘を同時進行させるという前代未聞の戦闘スタイルで、次々と宝石を手に入れていく。しかし調子に乗った瞬間、背後から金色の尾が迫る。

金晶独蠍との死闘
突如出現したのは巨大な「金晶独蠍(ゴールディ・スコーピオン)」――水晶群蠍の頂点個体であった。サンラクはその動きを完全に見切るも、「空中じゃあ何もできねぇ!」と叫びながら空中で無防備に撃ち落とされ、崖下へ墜落。即座にリスポーンするが、戦利品として大量の鉱石を持ち帰ることには成功していた。

成果と課題の整理
エムルと共に戦果を確認したサンラクは、「ざっと二十個は拾った!」と誇らしげに笑う。しかしエムルからは「目的が採掘になっている」と鋭い指摘を受ける。サンラクも「避けているだけじゃ勝てない」と反省し、龍宮院富嶽の剣技を再現するには“攻撃の最短最速を叩き込む力”が必要だと悟る。

再挑戦への決意
現実へ戻った陽務は、剣道VRの訓練とゲーム内実践を重ねることで、龍宮院富嶽の極意に近づこうと決意する。残り五日で迎える「ラビッツ防衛線代表戦」に向け、より深く再現するための舞台として次に選んだゲームタイトルは――
『辻斬・妄想曲 Online』。
陽務は「必ず攻略して見せるからな、龍宮院富嶽……!」と笑みを浮かべ、新たな挑戦に乗り出した。

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シャングリラ・フロンティア 

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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