物語の概要
■ 作品概要
本作は、知性を持つ魔剣「師匠」と黒猫族の少女「フラン」の冒険を描く無機物転生ファンタジーの第13巻である。
自分たちの力不足を感じた一行は、始まりの街アレッサへと帰還した。 彼らは「魔狼の平原」で、さらなる力を得るための修行を開始する。 しかし、師匠が台座で一五〇日間の修復に入ってしまった。
フランとウルシは、師匠のサポートがない状態で自らを鍛え上げることとなる。
■ 主要キャラクター
- 師匠:元人間の魂が転生した意思を持つ魔剣である。彼は台座で一五〇日間の修復に入った。修復の間、彼の意識は休眠状態となる。
- フラン:黒猫族の少女である。彼女は「黒雷姫」の異名を持つ。師匠の休眠中、彼女はアマンダと厳しい修行を重ねた。その結果、彼女は自力で剣聖技を扱えるまでに成長した。
- ウルシ:フランの従魔である。彼は魔竜に敗れて右後脚と右目を失った。その挫折を乗り越えるため、彼は孤独を伴う進化を選んだ。彼は強力な新種「ラグナロク・ウルフ」へと進化を遂げる。
- アマンダ:アレッサに所属するランクA冒険者である。彼女は平原へ通い、フランの模擬戦の相手を務めた。彼女の指導により、フランの戦術や経験の差が埋まっていく。
- アリステア:世界唯一の神級鍛冶師である。彼女はフランのために重魔鋼の魔剣を製作した。さらに、ウルシのための新装備も作り上げている。
- フェンリル:師匠の中に魂を封じられていた元神獣である。彼は実体化しているわずかな期間、フランたちの指導を行った。彼は魔力制御などの基礎的な訓練を二人に授ける。
- アイスマン:レイドス王国の黒骸兵団第六席を務めるワイト・キングである。彼は魔狼の平原の調査のために侵入した。彼は試作進化薬を使い、強大な魔力を手に入れる。
■ 物語の特徴
本作では、フランとウルシの「師匠に頼らない自立と成長」が描かれる。 師匠が休眠する五ヶ月間、二人はアマンダの支援を受けながら修行に没頭した。
ウルシは魔竜に敗れて右後脚と右目を失うという挫折を経験する。 しかし、彼は孤独という代償と引き換えに「ラグナロク・ウルフ」への進化を遂げた。
また、師匠 of 記憶の封印が一部解除される。 地球での最期や、神々との転生契約の真実がここで明らかになった。 後半の決戦では、強敵アイスマンが立ちふさがる。
その戦いにおいて、フランたちは「三位一体」となって勝利を収めた。
書籍情報
転生したら剣でした 13
著者:棚架ユウ 氏
イラスト:るろお 氏
出版社:マイクロマガジン社(GCノベルズ)
発売日:2022年3月30日
ISBN:9784867162699
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あらすじ・内容
激しい戦闘を続けてきた師匠とフランは、自分たちの力不足を感じ始めていた。
師匠が始めて目覚めた魔狼の平原は魔力を吸い出すため、スキルや魔法に頼ることもできず、危険な魔物達が闊歩していることから、絶好の修行場だと考えた二人は始まりの街アレッサへと帰還する。
アマンダの協力もあり、更なる力を手に入れようと修行を行い始める師匠とフラン。そして――
感想
王都での激戦を終えたフランと師匠が向かったのは、すべての始まりとも言える《魔狼の平原》。
今回の目的は単なる修行ではない。
アシュトナー侯爵との戦い、ファナティクスの吸収など、短期間に無茶を重ねすぎた師匠自身をメンテナンスすること。
そして何より、
「師匠とは一体何なのか」
その答えを知ることである。
前巻までにも、師匠が廃棄された神剣《智慧剣ケルビム》を再利用した存在であることや、内部に複数の存在がいることは判明していた。
しかし今回は、そのバラバラだった謎が一気に繋がっていく。
そして最後には、これまでの「プロローグ」をひっくり返すような《真プロローグ》まで始まる。
シリーズの根幹に触れる一冊だった。
剣の中にいたイケメン、やっぱりフェンリルだった
魔狼の平原中央へ辿り着いたフランたち。
かつて師匠が刺さっていた台座は消えていたものの、白い空間で何度か話しかけてきた銀髪の男が再び現れ、神器である台座を復活させる。
そして、ついに男の正体が明かされる。
フェンリル。
師匠の中に封じられていた神獣そのものだった。
以前アリステアに解析してもらった時にも、
アナウンスさん。
高次元の魂。
さらに深部に封じられた巨大な存在。
と、師匠の内部がかなり混沌としていることは分かっていた。
今回、それぞれがどう繋がっているのかが見えてくる。
銀月の女神に仕えていたフェンリルは、邪神の欠片を喰らい、それを浄化する使命を持つ神獣だった。
しかし四つもの邪神の欠片を取り込んだ結果、浄化が追いつかなくなる。
そして邪神の妄執に侵食され、暴走。
完全に理性を失う前に魔狼の平原へ逃げ込み、最終的には神々の手によって、
正常な魂。
邪神に侵食された肉体。
この二つを分けて封印されることになった。
つまり、師匠の中で話しかけてきた銀髪の男がフェンリルの正常な魂。
そして師匠のさらに奥で蠢いていたドス黒い存在は、フェンリルに残された邪神の影響だったわけである。
師匠の中、思っていた以上にとんでもないことになっていた。
「全部喰らえ」と囁いていた存在の正体まで繋がった
王都でファナティクスを《共食い》した時、師匠の中から妙な声が聞こえていた。
すべてを喰らえ。
もっと力を求めろ。
しかも、その対象にはフランまで含まれていた。
当然、師匠は激怒して拒絶した。
今回、その声がどこから来ていたのかも判明する。
フェンリルの魂に残った邪神の影響だった。
そもそも邪神は、かつて《闘いの女神》だった存在でもある。
そして世界の創造にも関わっているため、この世界で生まれた存在には支配力が及ぶ。
だからフェンリル自身を師匠の主人格にはできない。
そこで神々が探したのが、
邪神の支配を受けない異世界人。
それが地球から来た師匠だった。
これまで師匠が妙に邪神の影響へ抵抗できていた理由まで、ここで意味を持ってくる。
神だから逆らえない。
そんな単純な話ではない。
師匠はそもそも邪神の支配が直接届かない場所から連れてこられた存在だった。
そして何より、フランまで喰えと言われたら師匠が従うはずがない。
どれだけ巨大な存在が中にいようと、
「フランに手を出すな」
という部分だけは絶対に曲げない。
師匠らしいなと思った。
神獣や邪神、神剣という大層な設定が並んでいるのに、最後に師匠を支えているのがフランへの感情なのがいい。
無茶を重ねた結果、ついに師匠が長期メンテナンスへ
ただし、真実を聞いたから終わりではない。
むしろ問題はここからだった。
師匠は短期間で強くなりすぎている。
大量のスキルを獲得。
潜在能力解放。
狂鬼化。
ファナティクスの吸収。
アリステアによる修復も受けたが、それも応急処置に近かった。
内部のシステム。
封じられている記憶。
邪神への封印。
いろいろな部分に負荷がかかっている。
そのため、かつて自分が刺さっていた台座へもう一度収納され、本格的な修復と再調整を行うことになる。
最初は、
一時間かもしれない。
一ヶ月以上かもしれない。
という曖昧な話だった。
ところが解析が終わって告げられた修復期間は、
約150日。
長い。
フランにとっては、ずっと一緒にいた師匠と五ヶ月近く会話できないことになる。
しかも修復中は主人格が休眠し、外部との接触もできない。
師匠がいなくなったら何もできない頃のフランではない。
ウルシもいる。
アマンダも助けに来る。
それでも、精神的な支柱だった師匠が完全に沈黙するのは大きい。
だからこそフランは、
師匠が戻ってきた時に驚くくらい強くなる。
という方向へ進んでいく。
別れを悲しむだけではなく、修行へ向かうところがフランらしい。
ここで始まる「真プロローグ」が一番驚いた
そして師匠の意識が眠りについたところで始まるのが、
《真プロローグ》
である。
ここで初めて、師匠が地球でどう死んだのかが描かれる。
師匠は事故に遭った。
ただ事故に巻き込まれたのではなく、
子供を助けた直後、自動車に轢かれて亡くなっていた。
死に瀕した師匠を呼び寄せたのが冥界の神。
さらに銀月の神、混沌の神たちが現れ、
異世界で剣へ転生してほしい。
フェンリルと、その中に残る邪神を救ってほしい。
と頼まれる。
しかも強制ではない。
断れば、そのまま地球の輪廻へ戻れる。
師匠は事情を聞いたうえで、自分の意思で引き受けていた。
ここがかなり意外だった。
よくある異世界転生ものなら、
「死んだので転生しました」
で始まる。
しかし『転剣』の場合、師匠が剣になったことそのものに明確な目的があった。
しかも神々からすれば、誰でもよかったわけではない。
邪神の影響を受けない異世界人であること。
魂の適性があること。
人格的にも問題がないこと。
異世界への柔軟性もあること。
様々な条件を満たした候補の中から、師匠が選ばれている。
師匠は偶然剣になったのではなかった。
フランを助け続けてきた師匠が、最初から「誰かを助けた人」だった
個人的に一番印象に残ったのはここだった。
師匠はフランと出会ってから、ずっと彼女を守っている。
奴隷だったフランを助ける。
戦い方を教える。
料理を作る。
危険なら自分が盾になる。
フランが強くなれば喜ぶ。
親というか、師匠というか、相棒というか。
そんな関係をずっと築いてきた。
そして今回、人間だった頃の最期まで知ると、
「ああ、この人は元からこういう人だったのか」
と思えてくる。
転生したから善人になったわけではない。
剣だからフランを守っているわけでもない。
見知らぬ子供が危なければ、とっさに自分の身を投げ出してしまう。
そういう人間だった。
だから異世界でも、フランを放っておけなかったのだろう。
もちろん師匠は完璧な聖人ではない。
カレーに異様な情熱を燃やすし、俗っぽいことも考える。
戦闘では無茶もする。
だからこそ、この過去が妙に納得できた。
読後の感想
『転生したら剣でした 13』は、これまで散りばめられてきた師匠の謎が一気に繋がる巻だった。
アナウンスさん。
フェンリル。
邪神。
智慧剣ケルビム。
魔狼の平原。
魔石を吸収して強くなる仕組み。
なぜ師匠だけが邪神へ抵抗できるのか。
そして、なぜ異世界から人間の魂が剣へ入れられたのか。
「そういうことだったのか」
と思うことが次々と出てくる。
特に《真プロローグ》という見せ方がよかった。
13巻まで読んできてから、本当の物語の始まりを見せられる。
師匠は偶然転生したわけではない。
自分で事情を聞き、自分で剣になることを選んでいる。
さらにその前には、見知らぬ子供を助けて命を落としている。
ここまで読んでから第1巻のフランとの出会いを思い返すと、少し見え方が変わる。
奴隷だった黒猫族の少女を助け、一緒に旅を始めた師匠。
あれは異世界へ来たから始まった行動ではなく、
元々この人が持っていたものが、そのままフランへ向いただけなのかもしれない。
そして約150日の修復を終えれば、師匠だけではなくフランとウルシも大きく変わる。
原点へ戻って、自分が何者なのかを知る。
そこから改めて強くなって旅立つ。
タイトル通り、ここからもう一度物語が始まるように感じた第13巻だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
アレッサへの帰還
アレッサへの帰還と魔狼の平原への旅立ちの全貌
『転生したら剣でした』において、クランゼル王国の王都での激戦を終えたフランと師匠が始まりの街アレッサへ帰還し、魔狼の平原へ旅立つまでのプロセスについて、アレッサへの帰還の背景と目的、始まりの街での再会、ギルドマスター・クリムトの複雑な親心、アレッサに忍び寄るレイドス工作員の陰謀、思い出の宿での安らぎと初心、および始まりの地枯渇の森と魔狼の平原への旅立ちの各点から解説する。
アレッサへの帰還:背景と目的
王都を揺るがしたアシュトナー侯爵のクーデターと、神剣ファナティクスを巡る激戦を終えたフランと師匠は、アースラースや神竜化したベルメリアといった超越者たちの天変地異のごとき死闘を目の当たりにし、己の力不足を痛感していた。
・ファナティクスを共食いした師匠は、精神世界の深部で謎の銀髪の男から「20日以内に魔狼の平原の祭壇へ来い」という警告を受けた。
・師匠の身体に蓄積された深刻なシステム負荷を修復し、そのシステムに潜む真実と男の正体を解き明かすため、フランたちは始まりの街アレッサへの帰還を決意した。
始まりの街での懐かしい再会
王都の人々から黒猫聖女として見送られ旅立ったフランは、強大に成長したウルシの脚力によってわずか数日でアレッサへ到着した。
・門番デルトとの再会:フランが冒険者になったばかりの頃に好意的に接してくれた門番のデルトが笑顔で出迎えた。彼は、フランのギルドカードに刻まれたランクBの文字を見て驚愕した。
・冒険者ギルドとネル:ギルドでは、子供であるフランが魔狼の平原(A級魔境)の立ち入り申請をしたため、事情を知らない新人の受付嬢が門前払いしようとした。しかし、先輩受付嬢のネルが仲裁に入り、フランを黒雷姫として歓迎するとともに新人の非礼を叱責した。
・商人ランデルとの取引:かつて街道でゴブリンから救った商人ランデルの店を訪れ、王都の救護所で消費した大量の鍋や食器を補充するため、ルシール商会なども巻き込んだ大規模な買い出しを行った。
ギルドマスター・クリムトの複雑な親心
ギルドマスターのクリムトとの再会は、彼のフランに対する複雑な親心を浮き彫りにした。
・クリムトは、わずか半年に満たない期間でランクBにまで駆け上がったフランの規格外の才能に驚きつつも、子供を危険な目に遭わせないという教育方針から、フランが無理をさせられているのではないかと複雑な面持ちで迎えた。
・しかし、フランが「自分はまだ弱い、もっと強くなりたい」と謙虚かつ真摯に語る姿に押され、ランクBの権利として魔狼の平原への立ち入りを正式に許可した。
・その一方で、王都の反乱で失脚したオルメス伯爵の残党がフランを逆恨みして潜伏しているため、不必要な諍いを避けるべく「貴族街へは近づくな」と強く忠告した。
アレッサに忍び寄る「レイドス工作員」の陰謀
クリムトの忠告も虚しく、アレッサの街では再びレイドス王国とオルメス派の残党が絡む不穏な陰謀がフランたちを待ち受けていた。
・オルメス派の襲撃と精神汚染:買い出しを終えたフランの前に、オルメス伯爵に連なる下級貴族5人が現れ、武器を渡すよう要求した。彼らのうち数人は不自然な憤激状態にあり、体内に異質な魔力が混じっていた。フランが魔力を流し込んでその異常を解くと、何者かが彼らの怒りを人為的に煽っていたことが露呈した。
・隠密アンデッドの撃退と元冒険者の死体:路地裏で襲いかかってきた隠密アンデッドを、フランとウルシが返り討ちにする事件が発生した。クリムトとネルがその死体を検分した結果、それらは以前に街で問題を起こして処刑されたはずの元冒険者たちの遺体であると判明した。
・地下通路と休眠の棺の発見:クリムトからアンデッドの捜索を依頼されたフランは、レストランの裏庭から隠された地下通路を発見し、アンデッドを休眠させて気配や魔力消費を抑える休眠の棺を回収した。
・これにより、オルメス派を裏で操っていた死霊術師(レイドスの工作員)がアンデッドを仕込んでいたことが特定され、フランがこの陰謀の芽を事前に摘んだことでアレッサの街は未曾有のテロから守られた。
「思い出の宿」での安らぎと初心
捜索の夜、フランが宿泊先に選んだのは、かつて奴隷から解放された直後に師匠と初めて泊まった「アレッサの思い出の安宿」であった。
・今や巨万の富と黒猫聖女としての名声を得たフランであったが、あえてこの質素で清潔な安宿を自ら望んだ。
・ベッドにダイブし、枕の匂いを嗅いで「師匠と初めて泊まった宿の匂い」とはにかむフランの姿は、どれほど強くなろうとも、その純真な初心と師匠・ウルシとの確固たる絆を少しも失っていないことを示していた。
・「今はウルシも一緒」と笑い、お互いの存在に感謝しながら眠りについた時間は、過酷な戦いの連続であったフランたちにとって、温かい休息となった。
始まりの地「枯渇の森」と「魔狼の平原」への旅立ち
翌朝、フランは地下通路の調査結果と休眠の棺をギルドへ提出し、クリムトから依頼完了の特別報酬を受け取った。
・見送るデルトやクリムトに別れを告げ、かつて二人が初めて出会い、命を紡ぎ始めた枯渇の森、その先にある魔狼の平原へと再び足を踏み入れていった。
・かつては魔力吸収の異常環境に怯え、逃げ出すことしかできなかったその森も、幾多の試練をプロフェッショナルとして乗り越え「剣身一体」となった二人にとっては、もはや恐れる対象ではなく、さらなる高みへ昇るための挑戦の地であった。
まとめ
アレッサへの帰還と魔狼の平原への旅立ちを巡る一連の全貌は、王都の激戦を経た自己の力不足の痛感と師匠のシステム負荷修復を目的とした帰還決定から始まり、門番デルトや受付嬢ネル、商人ランデルとの再会、クリムトによるランクB立ち入り許可と警鐘、レイドス工作員による隠密アンデッドテロの事前摘出、思い出の安宿での束の間の安らぎ、そして始まりの地である枯渇の森・魔狼の平原への勇躍たる旅立ちに至るまで、その歩みを明瞭に示している。
陰謀の潜伏や過酷な試練の連続という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、原点回帰と更なる高みを目指す自立の記録である。
修復の決意から、懐かしの再会、陰謀の粉砕、初心の確認、そして挑戦の地への踏み込みへと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
魔狼の平原
魔狼の平原の全貌と神々の結界の真実
『転生したら剣でした』において、主人公である「師匠」が目覚め、フランと出会うこととなったすべての始まりの地、そして第13巻において自らを鍛え直すために再訪した魔狼の平原について、周囲を遮断する枯渇の森の特殊環境、平原内の過酷な生態系、台座と邪神封印の真実、始まりの地としての意味と師匠の生存、および第13巻での修行と自立の各点から解説する。
周囲を遮断する「枯渇の森」の特殊環境
魔狼の平原は、外部から完全に隔絶されたA級魔境である。その境界を形作っているのが、周囲をぐるりと囲む枯渇の森という魔力を吸収する特殊な森林地帯である。
・魔力放出の完全な無効化:この森の中では、大気中の魔力が極めて希薄であり、かつ地面が接した物体から魔力を強力に吸収する特性を持っている。そのため、外部に魔力を放出するタイプのスキル(攻撃魔術、念話、形態変形、振動牙など)や、飛行のための念動が発動と同時に強制終了され、使用できなくなる。
・高位魔獣の足止め(天然の防波堤):高位の魔獣であればあるほど、その生命活動や身体維持に多大な魔力を必要とする。そのため、強力な魔獣がこの森に入ると身動きが取れなくなってしまい、外の世界へ出ていくことができない。この強力な魔力吸収現象のおかげで、平原内の危険な魔獣たちが人間の住む街道や都市へ進出するのを防ぐ防波堤として機能している。
・例外的な存在:森の中には魔力に依存しない下級のゴブリンや、普通の動物、そして結界に情報が事前登録されている師匠やウルシだけが、魔力吸収の影響を免れて活動することができる。
平原内の過酷な生態系と「真逆のルール」
平原の内部は、常に凄絶な生存競争が繰り広げられる過酷な環境に置かれている。
・中心(台座)に向かうほど魔獣が弱くなる特性:一般的な魔境やダンジョンは深部に行くほど敵が強くなるのが常識であるが、魔狼の平原はその真逆であり、中心部(遺跡・台座)に近づくほど出現する魔獣のランクが下がるという極めて珍しい特性を持っている。
・魔力回復の遅さと激しい入れ替わり:枯渇の森の影響により、平原内では魔獣の魔力が自然回復する速度が非常に遅い。魔獣たちは体内の魔力を維持するために、常に他の魔獣と闘争してその身を喰らい続けなければ弱ってしまうため、エリアボス級の強力な個体であっても頻繁に入れ替わる過酷な生存競争が続いている。
・生まれる魔獣の不規則性:平原では魔力溜まりから魔獣が生まれるサイクルが他所の数倍と非常に早い一方で、誕生する魔獣の種類や生態系には一切の規則性がない。そのため、侵入者が対策を練ることを著しく難しくさせている。
中心部の「台座(祭壇)」と邪神封印の真実
平原のちょうど中心には、人々から忘れ去られた古びた遺跡があり、その中心に師匠が突き刺さっていた台座(祭壇)が設置されている。第13巻において、この平原そのものが神々による巨大な封印施設であることが明かされた。
・邪神の欠片の封印地:かつて世界を滅ぼしかけた大魔獣(神獣)フェンリルは、邪神の欠片を喰らって自らに取り込んだが、その邪気の浄化が追いつかずに暴走してしまった。神々は神級鍛冶師エルメラと協力し、フェンリルの肉体に邪神の魂を封じ込める形で、この平原の地下深くに四つの欠片が融合した、特に強力な邪神の欠片を完全に封印した。
・結界の浄化システム:枯渇の森や、平原の中心ほど魔獣が弱くなる現象は、すべて神の結界の作用である。結界が平原で生まれた魔獣の魔石から魔力を吸い上げ、その魔力を地下の邪神の浄化・弱体化のための術に常に利用している。魔獣たちが自らの力を吸い上げる中心部を嫌って近づかないため、中心には結界の影響をほぼ受けない極めて弱い魔獣しか出現しない。
始まりの地としての意味と「師匠の生存」
主人公である師匠が、この地に魔剣として転生し、破壊されずに生き延びることができたことには、神々のシステムが大きく関与していた。
・フェンリルの魂の器:邪神の魂からフェンリルの魂を隔離し、魔石を喰らうことで徐々に回復させるため、神剣ケルビムの器を再利用して「自己進化・スキル共有システム」を宿した魔剣(師匠)が作られた。さらに、邪神の精神支配を無効化するためのフィルター(主人格)として、この世界の生まれではない地球の元人間の魂が呼び出され、融合させられた。
・転生時の魔獣の弱体化:師匠の魂を召喚し、魔剣へ定着させる処理には莫大な魔力が必要であった。そのため、神々は一時的に平原の魔力吸収結界を最大出力で稼働させ、平原全体の魔力を著しく低下させた。その結果、師匠が転生した直後の平原は一時的に魔獣が極めて弱体化していたため、初期の師匠は破壊されずに魔石を吸収して力を蓄えることに成功した。
・本来の強さへの回帰:第13巻において、フランたちが再訪した際に平原の魔獣が劇的に強くなっていたのは、師匠の転生処理が完全に終了したことで、結界の魔力吸収量が本来の通常出力に戻ったためである。
第13巻:過酷な「修行の地」と、主たちの精神的自立
第13巻では、アースラースや神竜化ベルメリアとの激戦を終え、己の未熟さと不具合を感じた一行が、師匠のシステム修復(休眠)と修行のためにこの平原へ戻ってきた。
・師匠の150日間の休眠:過剰なスキルの処理負荷によりアナウンスさんが機能停止に陥っていたため、師匠は始まりの台座に突き刺さり、ベースシステムの修復と再調整のために150日間に及ぶ長い休眠(機能停止)に入った。
・フランとウルシの孤独な自立と成長:師匠が全く使えない極限状態の中、フランとウルシはアマンダの支援を受けながら、自らの肉体と技術を頼りに過酷な修行へ身を投じた。フランは自力で「剣聖術・剣聖技」を扱えるほど剣技と魔力制御を飛躍的に向上させ、戦闘技術を洗練させていった。
・ウルシの敗北と「ラグナロク・ウルフ」への進化:フランたちと肩を並べる力を強く求めていたウルシは、焦りから平原の強敵である脅威度Bの「魔竜」に単独で挑むも、回復阻害を伴う攻撃の前に右後脚と右目を失う凄惨な敗北を喫した。しかし、その挫折ののち、通常のダークナイト・ウルフへの進化を拒み、フェンリルから提示された「種という枠組みから逸脱し、同族を持たない、孤独な新種となる」覚覚悟を承諾。フェンリルの力を直接体内に循環させて受け継ぐことで、失った四肢と眼を完全修復し、巨大な肉体と強大な魔力を備えたこの世にただ一体の新種「ラグナロク・ウルフ」への特殊進化を遂げた。
まとめ
魔狼の平原の全貌と神々の結界の真実を巡る一連の全貌は、枯渇の森による魔力吸収現象と防波堤機能から始まり、中心ほど弱くなる不規則な生態系、地下深くに封印された邪神の欠片と魔石浄化システム、地球の魂を用いた師匠の生存メカニズム、そして150日間の休眠とウルシのラグナロク・ウルフへの特殊進化に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
邪神の脅威や厳酷な環境という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、神々の周到な封印構造の証明と不屈の精神的自立の記録である。
特殊環境の成立から、生態系の解明、台座の真実、転生処理の完了、そして過酷な修行を経ての種族進化へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
師匠とフェンリル
師匠の内部に潜む「謎の魂」とフェンリルの全貌
『転生したら剣でした』において、主人公である「師匠」の内部には長らく「謎の魂」が封印されていることが神級鍛冶師アリステアの解析によって明らかとなった。師匠が魔獣の魔石を吸収した際、その魔力や力は直接師匠に入るのではなく、まずはこの謎の魂へと流れ込み、回復したその魂から師匠へと力が分け与えられる仕組みになっていた。師匠は、自身の鍔にある狼のエンブレムや、自身が突き刺さっていた「魔狼の平原」の名、さらにウルシが持つ「神狼の眷属」という称号などから、この魂が伝説の魔獣フェンリルではないかと推測していた。
フェンリルの正体と使命
のちに師匠の精神世界(白い空間)で現れた銀髪の男は、自らを元神獣のフェンリルであると名乗った。
・本来の姿は体長100メートルを超える巨大な狼であり、十大神の一柱である銀月の女神に仕えていた。
・彼には「邪神の欠片を喰らい、その力を浄化する」という神から与えられた使命があり、喰らった相手の力を取り込んで自らのものとする能力を持って生み出された。
・これが、師匠の持つ魔石吸収能力のルーツである。
邪神の侵食と封印の歴史
フェンリルは4つの邪神の欠片を倒して喰らったが、取り込んだ邪気を浄化しきれず、逆に精神を侵食されて暴走してしまった。
・完全に理性を失う前に彼が逃げ延びたのが現在の平原であり、そこで出会った神級鍛冶師エルメラと神々が協力し、フェンリルの魂と邪神の魂を分ける措置が取られた。
・邪神の魂が残された肉体は平原の地下深くに封印され、フェンリルの正常な魂の器として、廃棄神剣「智慧剣ケルビム」が選ばれた。
師匠の召喚と盾(フィルター)としての役割
しかし、ケルビムに封じられたフェンリルの魂からも邪神の侵食を完全には取り除けず、彼の魂は危機に瀕していた。
・そこで神々は、魔石を吸収してフェンリルの魂を回復させるシステム(師匠の自己進化システムの基礎)を構築した。
・さらに、この世界で生まれた存在は邪神の絶対的な支配を受けてしまうため、邪神の支配を受けない異世界(地球)の魂である「師匠」を召喚し、剣の主人格(フィルター)に据えることで、邪神の精神干渉からフェンリルとシステムを守る計画が実行された。
二人の絆:「一心同体」の関係性
フェンリルは自らを師匠の中の「間借り人」や「師匠の一部」と表現しており、二人は実質的に一心同体の存在である。
・師匠が台座で長期のシステム修復に入った際には、フェンリルが一時的に外の空間に実体化し、師匠の代わりにフランとウルシに魔力制御や戦闘の基礎修行を施すなど、二人の成長を強く支える頼もしい相棒でもあった。
まとめ
師匠の内部に潜む「謎の魂」とフェンリルの全貌を巡る一連の全貌は、銀月の女神に仕え邪神の欠片を浄化する神獣本来の使命から始まり、邪気の侵食による暴走と地下深層への肉体封印、地球の魂である師匠の召喚と精神的フィルターの設置、そして外空間への実体化指導を通じた「一心同体」の固い絆に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
邪神の絶対的支配や運命の呪縛という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、異世界の魂の融合と神話級の共闘の記録である。
能力のルーツから、封印の経緯、召喚の目的、修行の実施、そして真のパートナーシップの証明へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ウルシの特殊進化
ウルシの「ラグナロク・ウルフ」への特殊進化の全貌
『転生したら剣でした』第13巻において描かれる、フランの頼れる相棒・ウルシの「ラグナロク・ウルフ」への特殊進化について、進化への焦りと魔竜への無謀な挑戦、通常の進化ルートの拒絶、フェンリルの提示した孤独の道への覚悟、唯一無二の新生ラグナロク・ウルフの驚異的な能力、および三位一体の絆の結晶の各点から解説する。
進化への焦りと「魔竜」への無謀な挑戦
師匠が150日間の長期システム修復(休眠)に入ってしまった間、フランとウルシはアマンダの支援を受けながら魔狼の平原で過酷な修行に励んでいた。
・しかし、ウルシの心には強い焦りが芽生えていた。フランが凄まじい速度で成長していく中、このままでは自分が足手ま制作になり、彼女の隣で共に戦うことができなくなるのではないかと危惧した。
・少しでも強い力を得るため、ウルシは捕食吸収スキルによる変異・進化を狙い、自らより遥かに格上である脅威度Bの強敵「魔竜(地竜)」に単独で挑むという無茶を犯してしまった。
・結果は凄惨な敗北であった。
・魔竜の放った強力な物理攻撃と、回復を阻害する「生命魔術」の呪いにより、ウルシは内臓を零し、骨を折られる瀕死の重傷を負った。
・フランの懸命な治療やポーションでも呪いを完全に癒やすことはできず、ウルシは右後脚と右目を失うという取り返しのつかない傷を負ってしまった。
通常の進化ルートの拒絶
片目片足になってもなお、ウルシは強さを求める意志を失わず、さらに激しい戦闘に身を投じてレベルを上げ、進化可能ラインに到達した。
・通常、ウルシ(ダークネスウルフ)が進化する場合、その先にあるのは「ゲヘナ・ウルフ」または「ダークナイト・ウルフ」というロード(群れの長)級の魔獣であった。
・しかし、これらの種族は配下を支配し、率いる能力が大きく伸びる一方、個(単体)としてのステータスや戦闘力の劇的な向上は望めないという特性があった。
・群れを率いるボスではなく、個として強くなり、フランを後ろから援護するのではなく隣で一緒に戦いたい、と願うウルシは、始まってしまった通常の進化を、自らの魔力を堰き止めて暴走の危険を冒してまで全身全霊で拒絶しようとした。
フェンリルの提示した「孤独の道」への覚悟
その自滅をも辞さない愚かで気高い姿を見かねて、師匠の中に封印されていた元神獣フェンリルが魂の領域でウルシに語りかけた。
・フェンリルは、自らの神獣としての力をウルシに分け与えることで、通常の枠組みから外れた新たな道(進化)を選び取らせる選択肢を提示した。
・しかし、それには極めて重い代償が伴うものであった。
・孤独の道:種という枠組みから完全に逸脱し、この世にただ独りの存在(新種)となること。二度と同族と毛繕いをし合うことも、つがい(番)を成して種を残すこともできない、生命として異常な孤高の存在になることを意味していた。
・フェンリルの、本当にいいのか?主たちのためならば、孤独程度は構わないと?という問いに対し、ウルシは、主たちのためなら、そんな代償は全く構わない、という一切の揺るぎない覚悟を示した。
・ウルシの覚悟を受け取ったフェンリルは、師匠のシステムから魔力を借りてウルシに力を授け、新種への特殊進化を敢行した。
唯一無二の新生「ラグナロク・ウルフ」の驚異的な能力
凄まじい進化の苦痛を耐え抜き、平原に生誕の産声をあげたウルシの種族は、世界の理にさえ情報が存在しない完全な新種「ラグナロク・ウルフ(魔狼魔獣・脅威度B相当)」となった。
・進化に伴い、失われていた右目と右後脚は完全に修復・再生され、以下のような凄まじいスペックとスキルを獲得した。
・異形にして美しい外見:体高は一気に10メートルを超える巨大な山のごとき姿となり、毛並みは黒地に赤みが強くなり、背中には銀のたてがみのような美しい2本の線が走るようになった。
・身体大変化と利便性:最大10メートル超の巨体から、お座りしやすい通常の牛や大型犬サイズ、さらには最小で30センチの小型犬サイズまで、魔力消費なく瞬時に体の大きさを変えられるようになった。
・凶悪な戦闘スキル・異能:「次元牙(固有スキル)」は次元を透過し、敵の防御を完全に無視してダメージを与える恐るべき牙である。「影転移」は従来の影潜り・影渡りの上位スキルで、影のある場所へ前兆なく瞬時に転移する。「捕食同化(エクストラスキル)」は捕食吸収の上位互換で、喰らった者の血肉を確実に己の力とする。「再生阻害」は噛みついた傷口の再生能力を強制的に阻害する。
・孤独の証明(固有ペナルティ):特殊進化の代償として、同族や近縁種を無条件で威圧し、逆に彼らから激しく嫌悪される「同族威圧」「同族嫌悪」という固有スキルを背負い、称号にも「孤高の獣」「唯一無二」が刻まれた。
「三位一体」:師匠・フラン・ウルシの絆の結晶
目覚めた師匠は、孤独な新種となったウルシを決して憐れむことはせず、強くなったな!頼もしいぞ!と最大級の賛辞でその新たな姿と覚悟を称えた。
・その後、魔狼の平原を調査しに侵入してきたレイドス王国のアンデッド部隊「黒骸兵団第六席アイスマン」との最終決戦において、この進化は最高の結実を迎えた。
・互いの信頼と魔力の結びつきが極限まで高まった瞬間、フランと師匠の契約(剣身一体)は、ウルシをも完全に巻き込んだ「契約(三位一体)」へと進化を遂げた。
・ウルシの巨大化した前足を足場にしてフランが空中で完璧に両足キックを叩き込み、その推進力で流星のごとき速度で急降下する合体天空抜刀術を成功させ、見事に強敵アイスマンを真っ二つに討ち果たした。
まとめ
ウルシのラグナロク・ウルフへの特殊進化を巡る一連の全貌は、フランへの足手まといの恐れと魔竜戦での凄惨な敗北から始まり、配下支配の通常進化拒絶、フェンリルから提示された種族からの逸脱という孤独の道の受容、右目・右脚の再生と次元牙・影転移を伴う「ラグナロク・ウルフ」への生誕、そしてアイスマン戦での「契約(三位一体)」と合体天空抜刀術の完遂に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
種族の枠組みや身体の損壊という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、覚悟の進化と三位一体の絆の記録である。
焦りの敗北から、通常の拒絶、フェンリルの契約、新種への覚醒、そして決戦での連携結実へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
学院への旅立ち
魔術学院への旅立ちとベリオス王国への道程の全貌
『転生したら剣でした』第13巻の結末において描かれる「ベリオス王国の魔術学院」への旅立ちについて、旅立ちのきっかけと魔術学院への興味、学長ウィーナレーンとアリステアの紹介状、正規の国境越えへの備え、アマンダおよびアリステアとの確固たる絆と別れ、そして新たな冒険の始まりの各点から解説する。
旅立ちのきっかけと「魔術学院」への興味
魔狼の平原でのすべての修行を完了し、因縁の強敵アイスマン(ワイト・キング)との死闘を制したフランたちは、アマンダや神級鍛冶師アリステアと合流し、今後の旅の予定について話し合った。その際、次の目的地として選ばれたのがベリオス王国の魔術学院である。
・模擬戦教官への興味:師匠は、以前にアリステアから頼まれていた「魔術学院の生徒たちの模擬戦相手(教官)」を務めるという依頼に興味を抱いていた。それは、この世界の学校という組織に対する純粋な関心や、同年代と触れ合う機会をフランに与えたいという親心からであった。
・最強種族ハイエルフとの邂逅:フラン自身も、魔術学院の学長を務めるハイエルフの「ウィーナレーン」に会うことに強い興味を示した。世界最強の種族と称されるハイエルフの実力をその目で確かめたいという、強さを求めるフランらしい前向きな決意が、この旅立ちを後押しした。
学長ウィーナレーンとアリステアの紹介状
ベリオス王国の魔術学院は独自の自治が認められた特別地域であり、学長のウィーナレーンは実質的に領主のような権力と地位を持っている。そのため、普通に面会を求めても何日間も待たされるほどの大物であるが、アリステアがフランたちのために特別な紹介状を用意した。
・基本的には穏やかな善人であるが、思いつきや突飛な行動で周囲を激しく振り回す「変わり者(トラブルメーカー)」でもある。
・かつてアリステアを臨時鍛冶講師として魔術学院に引き止める際、難題を押し付けた図太さも持ち合わせている。
・フランはこの変わり者という警告を聞いても少しも怯むことなく、ハイエルフに会うという意思を変えなかった。
正規の国境越えへの備え
クランゼル王国からベリオス王国へと移動するにあたり、国境を越えるための手続きが必要となる。
・ランクB冒険者カードの恩恵:フランの持つ「ランクB」の冒険者カードがあれば、他国への入国や国境通過の身分証明としては何ら問題はなかった。
・厳しい国境警備への対策:ベリオス王国は宿敵レイドス王国と接する地域であるため、国境付近の警備体制は極めて厳しい。入国記録が正しく残されていないと、後に不法侵入などの面倒なトラブルに発展する危険性があるため、師匠たちは近道をせず、正規の関所をきっちりと通って入国記録を残すルートで向かうことを決めた。
アマンダ、アリステアとの確固たる絆と別れ
この新たな旅路に、長年フランたちを支え続けたアマンダとアリステアは同行しない。
・二人の残留理由:アリステアは、クランゼル王国の元アシュトナー侯爵領に残る「狂信剣ファナティクス」に関する危険な資料や武具を、名誉鍛冶師ガルスたちと共同で調べる重大な調査が残っていた。この狂信剣の再発防止調査はクランゼル王国にとっても最優先事項であり、国も神級鍛冶師であるアリステアを丁重にもてなし、全面的な協力を約束していた。
・アマンダは、国がアリステアに対して無理な要求や身柄の強制拘束を強いないよう、自らのランクA冒険者としての繋がりや影響力をそれとなく仄めかすことで、彼女の安全を後方から保証するために残留を選んだ。
・真摯な感謝と笑顔の別れ:出発の際、フランは長い間自分たちの過酷な修行に付き合ってくれた二人に対し、深く頭を下げて真摯な感謝の言葉を伝えた。アマンダとアリステアも、フランとの時間が自分たちにとっても素晴らしい刺激と学びになったと微笑み返した。
・別れの場に湿っぽさはなく、非常にドライであった。それは、これまでに何度も別れと再会を繰り返してきた経験から、「この二人とは、また必ずどこかで再会できる」という揺るぎない確信と信頼が、フランの心に根付いていたからである。
新たな冒険の始まり
別れの挨拶を終えたフランは、馬ほどの大きさに変化したラグナロク・ウルフのウルシの背にひらりと飛び乗った。
・アリステアから「調査が終わったら魔術学院に顔を出す」という嬉しい約束を受け取り、フランはアマンダたちに向けて手を振りながら、新たな冒険の舞台であるベリオス王国へ向けて全速力で駆け出した。
まとめ
魔術学院への旅立ちとベリオス王国への道程を巡る一連の全貌は、ベリオス王国魔術学院の教官依頼とハイエルフ学長ウィーナレーンへの興味に端を発する目的地決定から始まり、アリステアによる特別紹介状の受領、ランクB冒険者カードを用いた正規国境通過の手続き整備、狂信剣調査と護衛のため残留するアリステアおよびアマンダとの揺るぎない信頼に基づく別れ、そしてラグナロク・ウルフとなったウルシに騎乗しての全速力の旅立ちに至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過酷な試練の連続や別離の寂しさという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、精神的自立と新展開への第一歩の記録である。
修業の完了から、目的地の決定、紹介状の獲得、後方の安全確認、そして関所経由の疾走へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
主人公一行
師匠
知性を持つ魔剣である。元は地球人の魂だ。彼は剣に転生した。相棒のフランを深く愛している。
・所属組織、地位や役職
知性を持つ魔剣である。
・物語内での具体的な行動や成果
魔狼の平原にある台座に刺さる。
そこで自身の修復を行った。
修復の間に過去の記憶を一部取り戻している。
復活後にフランたちと協力した。
強敵アイスマンを倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
修復を終えた。
能力と魔力運用を向上させている。
フラン
黒猫族の少女である。強くなって種族の進化を目指している。師匠を強く信頼する。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルドに所属する。
ランクB冒険者である。
・物語内での具体的な行動や成果
始まりの街アレッサに帰還した。
師匠が修復で休眠する。
その間アマンダと修行を重ねている。
自力で剣聖技を使えるまでに成長を遂げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王都での活躍がある。
「黒猫聖女」や「黒雷姫」と呼ばれている。
最年少でランクB冒険者となった。
ウルシ
フランの従魔である。影を操る能力を持つ。彼女を命がけでサポートする。
・所属組織、地位や役職
フランの従魔である。
・物語内での具体的な行動や成果
格上の魔竜に挑んだ。
その際に右後脚と右目を失う。
フェンリルから力を受け取った。
孤独な新種への進化を決意する。
修行を経て強敵アイスマンを倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界の理に存在しない新種に進化した。
「ラグナロク・ウルフ」と呼ばれる。
「孤高の獣」の称号を持つ。
アレッサ・ギルド・街の関係者
デルト
アレッサの門番である。親しみやすい性格だ。フランと仲が良い。
・所属組織、地位や役職
アレッサの門番である。
・物語内での具体的な行動や成果
アレッサに戻ってきたフランを笑顔で迎えた。
彼女のギルドカードを確認する。
ランクBへの昇格に驚愕した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ネル
アレッサの冒険者ギルドのベテラン受付嬢である。しっかりとした指導力を持つ。新人の教育役を務める。
・所属組織、地位や役職
アレッサの冒険者ギルドの受付嬢である。
・物語内での具体的な行動や成果
アレッサに戻ってきたフランを「黒雷姫」として歓迎した。
情報を漏らした新人の受付嬢を叱る。
彼女に厳しいお仕置きを与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
クリムト
ウッドエルフの男性である。冷静な実力者だ。子供が危険に晒されるのを好まない。
・所属組織、地位や役職
アレッサ冒険者ギルドの長だ。
ギルドマスターを務める。
・物語内での具体的な行動や成果
フランの魔狼の平原での修行を許可した。
街でのアンデッド出現が起きる。
フランに捜索を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
「災厄のクリムト」の異名を持つ。
クラッド
人間の槍使いである。自信家だが根は素直だ。フランの実力を認めている。
・所属組織、地位や役職
冒険者パーティ「竜の咆哮」に所属する。
そこのリーダーである。
・物語内での具体的な行動や成果
ギルドの資料室でフランに話しかけた。
自分を忘れられている。
その事実に大きなショックを受けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
以前よりレベルを7上げた。
ランクD冒険者として一人前になった。
ランデル
アレッサの商人である。人当たりの良い性格をしている。フランに好意的だ。
・所属組織、地位や役職
アレッサの雑貨屋の店主である。
・物語内での具体的な行動や成果
アレッサに戻ってきたフランを歓迎した。
横のつながりを利用する。
大量の鍋や食器を揃えてくれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
新人受付嬢
若い人間の女性である。気が弱い。仕事の経験が浅い。
・所属組織、地位や役職
アレッサ冒険者ギルドの受付嬢である。
・物語内での具体的な行動や成果
子供のフランを駆け出しだと思う。
魔狼の平原への立ち入りを断ろうとした。
彼女のギルドカードを見る。
そのランクに驚愕している。
情報を周囲に漏らしてしまった。
ネルからお仕置きを受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ネルからのお仕置きがあった。
ほっぺたが真っ赤に腫れ上がっている。
資料室の管理人
お爺さんである。本を大切にしている。うるさい者を嫌う。
・所属組織、地位や役職
アレッサ冒険者ギルドの職員だ。
資料室の管理人を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
クラッドが資料室で大声を上げた。
その際に注意している。
平原中央の台座について尋ねられた。
それについて知らないと答えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
巡回の若い兵士
若い男性兵士である。仕事熱心だがややお調子者だ。手柄を立てたいと考えている。
・所属組織、地位や役職
アレッサの巡回兵である。
・物語内での具体的な行動や成果
オルメス邸を覗くフランに声をかけた。
彼女のギルドカードを見る。
その正体に驚いて態度を急変させた。
鍵を勝手に持ち出している。
フランの屋敷潜入に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランからゾンビの死体を証拠として渡された。
雑貨屋の店員
人間の女性である。明るい性格を持つ。フランを有名人として認識する。
・所属組織、地位や役職
アレッサの雑貨屋の店員である。
・物語内での具体的な行動や成果
ランデルから声をかけられた。
自身の店から余っている食器を持参する。
黒雷姫であるフランとの取引を喜んだ。
商品を値引きして売っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レストランの女性店員
若い女性である。丁寧な接客を心がけている。客層に気を使う。
・所属組織、地位や役職
アレッサのレストランに勤める。
そこの店員である。
・物語内での具体的な行動や成果
ディナーの時間に来店したフランを心配した。
フランが五人前の料理を注文する。
そのため食い逃げを疑っている。
フランから金貨を提示された。
自身の非礼を素直に謝罪する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レイドス王国・オルメス派関係者
下級貴族たち
オルメス伯爵に連なる五人の男性である。傲慢な性格だ。冒険者を見下している。
・所属組織、地位や役職
オルメス伯爵の配下である。
・物語内での具体的な行動や成果
買い出し後のフランを待ち伏せした。
彼女に武器を渡すよう要求する。
彼らのうち三人が不自然な憤慨状態であった。
フランの攻撃によって撃退されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
術式が解けた。
その後に騎士団によって捕縛された。
隠密アンデッド
ミイラ状 of 動く死体である。感情はほぼない。冷徹な工作員だ。
・所属組織、地位や役職
レイドス王国の工作員である。
・物語内での具体的な行動や成果
下級貴族たちの怒りを扇動した。
街を混乱させようとする。
ウルシによって発見された。
そのまま踏みつけられている。
口を滑らせて情報を明かした。
その直後に術式で自滅している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
三顔ゾンビ
顔が三つある異様なゾンビである。それぞれに独立した意思はない。素早く強力だ。
・所属組織、地位や役職
オルメス派の地下室にいる。
そこの防衛用アンデッドである。
・物語内での具体的な行動や成果
侵入してきたフランを感知した。
その瞬間に起動している。
肩と脇腹の顔で火と水の魔術を放った。
腹部の薬品が砕ける。
それにより強力に進化を遂げた。
フランの猛攻を受ける。
バラバラに切り刻まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
元の死体が判明した。
かつてフランに絡んで除名された元冒険者たちであった。
オーギュスト・アルサンド
アレッサ騎士団の元副団長である。貪欲な小悪党だ。フランを激しく恨んでいる。
・所属組織、地位や役職
アレッサ騎士団の元副団長である。
・物語内での具体的な行動や成果
本編ではすでに処刑されている。
その死体がアイスマンの素材となった。
彼の鳩尾に埋め込まれている。
アイスマンを介して恨みの声を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アイスマンの自爆に巻き込まれた。
魂ごと完全に消滅している。
アイスマン
ワイト・キングである。狡猾な性格をしている。知性あるアンデッドだ。
・所属組織、地位や役職
レイドス王国に所属する。
黒骸兵団第六席である。
・物語内での具体的な行動や成果
魔狼の平原の調査のために侵入した。
魔獣たちと戦うフランを狙う。
隙を見て奇襲を仕掛けた。
試作進化薬を使用する。
能力を限界まで高めて戦った。
三位一体となったフランたちと激突する。
彼女らの剣神化の一撃で討ち取られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
最後は魔力を暴走させた。
自爆して完全に消滅している。
協力者・冒険者
アリステア
ハーフエルフの女性である。職人気質な性格だ。師匠の秘密を知っている。
・所属組織、地位や役職
世界で唯一の神級鍛冶師である。
・物語内での具体的な行動や成果
神剣同士の戦いを感じ取った。
アレッサ近くにやってきている。
フランのために頑丈な重魔鋼の剣を製作した。
フランに紹介状を渡す。
ベリオス王国魔術学院への面会を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アマンダ
ハーフエルフの女性である。子供が大好きだ。フランの修行を親身に手伝う。
・所属組織、地位や役職
アレッサ所属の冒険者である。
ランクAの地位を持つ。
・物語内での具体的な行動や成果
戻らないフランを心配した。
魔狼の平原へ探しに来ている。
平原に通いながらフランの模擬戦の相手を務めた。
ウルシのための新装備の素材を提供する。
それをアリステアに渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
「狂い睡蓮」などの多彩な武技を持つ。
神々・神獣
フェンリル
巨大な狼の神獣である。銀月の女神を崇拝している。誇り高い。
・所属組織、地位や役職
銀月の女神の眷属である。
・物語内での具体的な行動や成果
師匠の精神世界に現れた。
幽霊 of 姿をしている。
フランとウルシに基礎修行を施した。
ウルシの覚悟を認める。
自身の力を譲渡して進化を助けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
現在は師匠の深部に戻った。
力を蓄えるために眠っている。
冥界 of 神
美しい和風の女神である。冷静な立場だ。地球と異世界を繋ぐ力を持つ。
・所属組織、地位や役職
冥府と輪廻を司る神である。
・物語内での具体的な行動や成果
事故で亡くなった師匠の魂を呼び寄せた。
異世界へ転生するよう求める。
フェンリルを救う使命を依頼した。
師匠が助けた少女を救う。
彼女から事故の記憶を消去した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
師匠のパソコンデータを消した。
秘蔵本の処分も行っている。
銀月の神
美しい白銀の髪を持つ女神である。母性と慈愛に満ちている。フェンリルの主人だ。
・所属組織、地位や役職
異世界の神である。
十大神の一柱を務める。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿で師匠の魂を迎えた。
フェンリルを救おうとする。
他の神々と協力してシステムを構築した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
混沌の神
褐色の肌を持つ悪戯好きな女神である。自由奔放な気質だ。師匠の進化システムを開発した。
・所属組織、地位や役職
異世界の女神である。
・物語内での具体的な行動や成果
師匠の覚醒直前に現れた。
記憶の封印の一部を解放している。
異世界を楽しむことも重要だと伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
「良い混沌を」という言葉を好む。
知恵の神
中性的な姿をした神である。丸メガネをかけている。知性を司る。
・所属組織、地位や役職
異世界の神である。
・物語内での具体的な行動や成果
師匠の転生契約に協力した。
師匠に加護を与える。
思考の分割や同時起動を補助している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
剣の神フツヌシ
黒い影のような姿をした神である。神格の一部を召喚して戦った。自身の姿を自由に変えられない。
・所属組織、地位や役職
異世界の剣の神である。
・物語内での具体的な行動や成果
神剣ケルビムの制作に協力した。
人の魂が神の姿を直視するのを防ぐ。
そのために自身の姿を隠している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
地球に残した名前である「フツヌシ」に縛られている。
剣の神格に固定された。
集団
順番待ちの商人たち
アレッサの門の前に並んでいる商人たちである。臆病だ。ウルシの姿を恐れている。
・所属組織、地位や役職
商人たちの集まりである。
・物語内での具体的な行動や成果
フランがウルシと歩いてくる。
その姿をギョッとした顔で見つめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
順番待ちの冒険者たち
アレッサの門の前に並んでいる冒険者たちである。警戒心が強い。周囲をよく観察している。
・所属組織、地位や役職
冒険者たちの集まりである。
・物語内での具体的な行動や成果
門をくぐろうとするフランを凝視した。
巨大なウルシにも驚いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
冒険者ギルドの冒険者たち
アレッサのギルドに集う冒険者たちである。噂話が好きだ。フランのランク昇格に騒然としている。
・所属組織、地位や役職
アレッサ所属の冒険者たちである。
・物語内での具体的な行動や成果
フランが魔狼の平原に入ろうとする。
それを聞いて当初は失笑した。
彼女がランクBであると知る。
その事実に驚愕している。
武闘大会での彼女の活躍を聞いた。
一部の者が慌てて引き下がっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
フランに追い抜かれた。
その圧倒的な成長に愕然としている。
肉屋の店先の人々
アレッサの市場にいる人々である。活気がある。肉の品揃えを喜んでいる。
・所属組織、地位や役職
一般の買い物客たちである。
・物語内での具体的な行動や成果
アマンダが仕入れた肉を求める。
多種多様な魔獣肉を求めて店先に並んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ランデルの店の近隣の雑貨屋の店主たち
アレッサの個人商店の主たちである。仲間意識が強い。黒雷姫に憧れを抱いている。
・所属組織、地位や役職
アレッサの雑貨屋の店主たちである。
・物語内での具体的な行動や成果
ランデルに声をかけられた。
自身の店から食器を運んでくる。
フランとの取引を喜んだ。
商品を値引きして売っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルシール商会の商人たち
大商会に所属する商人たちである。商魂がたくましい。アレッサに支店を構える。
・所属組織、地位や役職
ルシール商会の構成員である。
・物語内での具体的な行動や成果
ランデルの要請を受けた。
必要な食器や鍋をフランに納品した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レストランの身なりの良い客たち
レストランでディナーを楽しむ人々である。裕福だ。フランの注文量に驚いている。
・所属組織、地位や役職
レストランの客たちである。
・物語内での具体的な行動や成果
食事を楽しんでいた。
フランたちの登場に視線を向けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
レストランの野次馬たち
食事中の他の客や通行人たちである。好奇心が強い。フランの大食いを見守る。
・所属組織、地位や役職
一般の観客たちである。
・物語内での具体的な行動や成果
大量の料理を平らげるフランたちを見た。
その姿に歓声を上げている。
食後に驚愕した。
大きな拍手を送っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ゴブリンの群れ
魔狼の平原や枯渇の森に生息する魔獣たちである。凶暴だ。数が非常に多い。
・所属組織、地位や役職
下級の魔獣たちである。
・物語内での具体的な行動や成果
枯渇の森でウルシたちを襲撃した。
フランたちのストーキング修行の標的となる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
個体識別が行われた。
「鼻曲り」などのあだ名を付けられている。
コボルトの群れ
枯渇の森に現れる魔獣たちである。知性は低い。フランたちに襲いかかる。
・所属組織、地位や役職
下級の魔獣たちである。
・物語内での具体的な行動や成果
森を進むフランたちの前に現れた。
彼女らによって簡単に一掃されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ワイト・ハイウィザードたち
アンデッドの魔術師たちである。冷静だ。高位の魔術を行使する。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの配下である。
・物語内での具体的な行動や成果
アイスマンの指示を受けた。
フランたちに強力な氷雪魔術を放っている。
進化したウルシの影転移を受ける。
その奇襲によって倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
脅威度Cの魔獣である。
ワイト・インペリアルガードたち
重武装のアンデッド騎士たちである。守りが堅い。アイスマンを護衛する。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの配下である。
・物語内での具体的な行動や成果
アイスマンを敵から守ろうとした。
彼の前に立ちふさがっている。
ウルシの爪闘技などの攻撃を受けた。
それによって撃退されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
脅威度Cの魔獣である。
飛行系のアンデッドたち
空中を飛ぶアンデッドたちである。凶暴だ。上空から攻撃を仕掛ける。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの召喚獣である。
・物語内での具体的な行動や成果
空へ逃れようとしたフランたちへ殺到した。
師匠の範囲魔術で迎撃されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
バードスケルトンたち
鳥の骨のアンデッドたちである。動きが速い。集団で襲いかかる。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの配下である。
・物語内での具体的な行動や成果
アイスマンによって無数に召喚された。
フランの機動力についていけない。
次々と一掃されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
脅威度EやFの雑魚魔獣である。
パッドゾンビたち
動きの鈍いゾンビたちである。耐久力が高い。数が非常に多い。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの召喚したアンデッドである。
・物語内での具体的な行動や成果
平原を覆いつくす軍勢となった。
地上を埋め尽くしている。
フランの範囲攻撃や斬撃を受けた。
それによって倒されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
脅威度EやFの雑魚魔獣である。
レッサーゴーストたち
気体状の弱いアンデッドたちである。物理攻撃が通用しない。魔術を放って襲撃する。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの召喚した魔獣である。
・物語内での具体的な行動や成果
空中からフランの魔力を吸い上げようとした。
師匠の魔術によって消滅させられている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
脅威度EやFの雑魚魔獣である。
地上のゾンビたち
武装した死体たちである。動きはギクシャクしている。弓矢などを扱う。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの配下である。
・物語内での具体的な行動や成果
三百体以上の群れとなった。
フランたちを包囲している。
遠距離から矢を放った。
フランの動きを止めようとしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハイゾンビたち
鎧を身にまとった強力なゾンビたちである。統率が取れている。フランを包囲する。
・所属組織、地位や役職
アイスマンの召喚した親衛隊である。
・物語内での具体的な行動や成果
鋼の盾と魔鉄の剣を持った。
フランを取り囲んでいる。
彼女の鋭い斬撃を受けた。
一分も持たずに撃退されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アレッサ騎士団の鎧を身につけていた。
元の身元が推測される。
処刑された悪徳騎士たちである可能性が高い。
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展開まとめ
第一章 久々のアレッサ
アレッサへの帰還
フランとウルシは久しぶりにアレッサへ戻った。町にはレイドス王国との戦いによる目立った混乱はなく、以前と変わらない様子であった。門番のデルトはフランを喜んで迎え、ギルドカードを見て短期間でランクBへ昇格したことに驚いた。王都の被害について尋ねられたフランは、多くの人が死んだことを静かに伝えた。
ランクBとなった黒雷姫
冒険者ギルドでもフランを覚えている者は多かったが、ランクBへの昇格は知られていなかった。新人受付嬢は子供のフランが魔狼の平原への立ち入りを求めたため断ろうとしたが、ギルドカードを確認して驚愕した。ネルはフランを黒雷姫として迎え、情報を漏らした新人を叱った。
クリムトとの再会
ギルドマスターのクリムトは、わずかな期間で大きく成長したフランに驚きながらも、子供を危険な仕事に関わらせることへの複雑な思いを見せた。フランが魔狼の平原で修行すると告げると、クリムトはランクBである以上止められないと許可した。フランは自分を強いとは考えておらず、獣王やアースラースにも勝てないため、さらに強くなる必要があると答えた。
レイドス王国との小競り合い
クリムトは北部でレイドス王国との戦いが続いていると説明した。最初の侵攻は死霊術師ジャン・ドゥービーが撃退したものの、その後もアンデッド部隊による散発的な侵攻が続き、ジャンへの対抗策を試している可能性があった。ドナドロンドも対応に駆り出されていたが、クリムトは大精霊の被害が大きすぎるため自ら出陣していなかった。
オルメス伯爵派の失脚
クリムトはフランに貴族街へ近づかないよう忠告した。王都の反乱に関わったオルメス伯爵の一派には、フランを逆恨みする者が残っていたからである。一方で騎士団は彼らを監視し、レイドス王国の工作員との接触を探るため、一部をあえて泳がせていた。アレッサの領主は別の王族傍系であり、オルメス伯爵の失脚によって町の統治自体が崩れることはなかった。
魔狼の平原の資料
フランたちは資料室で魔狼の平原について調べた。平原では生まれる魔獣に規則性がなく、生存競争も激しいため、強力な魔獣さえ頻繁に入れ替わっていた。また、内部では魔力回復が非常に遅く、強くなるほど生存に大量の魔力を必要とするため、魔獣同士が絶えず争っていた。中央の台座については資料がなく、枯渇の森では地下へ進むほど魔力吸収が強くなるという考察だけが残されていた。
クラッドとの再会
資料室でフランは、以前一緒にダンジョンへ潜ったクラッドと再会した。しかしフランは彼をほとんど忘れており、アマンダにアイアンクローされていた男としてようやく思い出した。クラッドは以前より成長していたものの、期待していた再会にならず落胆して去っていった。
アレッサでの買い出し
翌日、フランたちは王都で配った料理や食器を補充するため市場を回った。市場にはアマンダが周辺で狩った魔獣の肉が多く流通しており、以前より品揃えが豊富になっていた。オルメス伯爵やアルサンド子爵らが失脚したことで、商人への不当な要求も減り、町は以前より商売しやすくなっていた。
ランデルとの取引
フランは以前世話になった商人ランデルを訪ね、大量の鍋と食器を求めた。ランデルは周囲の商人にも声をかけ、ルシール商会を含む多くの店から品物を集めた。黒雷姫の名は商人たちにも広まっており、フランは必要な食器と調理器具をまとめて確保した。
オルメス派の襲撃
買い出し後、フランは五人の下級貴族に囲まれ、武器を渡すよう要求された。彼らはオルメス伯爵に連なる者たちで、フランを侮っていた。しかし三人だけが不自然な憤慨状態にあり、体内には異質な魔力が混じっていた。フランが魔力を流し込むと異常は消え、何者かが彼らの怒りを煽っていたことが判明した。
隠密アンデッド
フランとウルシは近くに潜んでいた存在を察知し、ウルシが捕らえた。それは高度な隠密技能と精神扇動・怒りを持つミイラ状のアンデッドであった。アンデッドはレイドス王国の手の者であり、オルメス派の貴族たちを利用して最後の騒ぎを起こそうとしていたと口を滑らせたが、さらに情報を話す前に内部の術式によって自滅した。
アレッサの捜索依頼
騎士団が貴族たちとアンデッドの残骸を回収し、フランはクリムトへ報告した。クリムトは他にも工作員が潜んでいる可能性を警戒し、フランとウルシに一日だけ町を捜索するよう依頼した。フランは魔狼の平原へ急ぎたかったが、師匠の勧めもあり依頼を引き受けた。
オルメス伯爵邸の地下室
貴族街を捜索していたウルシは、無人となったオルメス伯爵の屋敷から微かなアンデッドの臭いを感じ取った。巡回兵の立ち会いで屋敷へ入り、隠し扉の奥に地下室を発見した。そこには複数のゾンビと、三つの顔を持つ異様なゾンビが待ち構えていた。
三顔ゾンビの進化
三顔ゾンビはかつてフランに絡んだ元冒険者たちの死体を組み合わせた存在であり、複数の魔術を同時に操った。さらに腹部で何かが砕けると急激に進化し、身体能力やスキルが大幅に上昇した。しかしフランには及ばず、他のゾンビごと撃破された。残骸からは砕けた瓶が見つかり、進化に薬品が関係していた可能性が残った。
犯罪者たちの死体
クリムトとネルはゾンビの顔を確認し、問題を起こして除名・逮捕された元冒険者たちだと認めた。オルメス派が犯罪者の死体をアンデッドの素材として利用していた可能性が浮上し、さらに高度な死霊術師が関与していた疑いが強まった。クリムトはフランに町の探索継続を依頼した。
地下通路の発見
一日町を探しても新たな工作員は見つからなかったが、夕食に入った店でウルシが微かな異臭を察知した。店の裏庭を調べると地下に隠された通路があり、フランたちは転移で内部へ入った。通路には血のような染みと使用された痕跡が残されており、秘密の移動経路として使われていた可能性が高かった。
休眠の棺
地下通路の先では、アンデッドを休眠させて気配と魔力消費を抑える魔道具、休眠の棺が発見された。そこには先ほど倒した隠密アンデッドの臭いが残っていた。術者が近くにいれば直接魔力を補給できるため、フランたちは工作員を操っていた死霊術師本人はすでにアレッサを離れている可能性が高いと考えた。
隠された脱出路
地下通路には複数の出口があり、オルメス派の屋敷や、四つの貴族邸に囲まれた隠し出口へ繋がっていた。ウルシが臭いを追跡すると、隠密アンデッドが利用した経路は以前捕らえた裏路地まで続いていた。それ以外の新しい痕跡はなく、工作員は長期間棺で待機し、騒乱を起こすためだけに残されていたと考えられた。
思い出の宿
夜になり、フランはアレッサで初めて泊まった宿を選んだ。奴隷から解放された後、師匠と初めて一緒に泊まった思い出の場所であり、今では高級宿にも泊まれるフランにとっても特別な宿であった。フランは懐かしい部屋と匂いを喜び、今はウルシも一緒だと笑った後、二人とともに眠りについた。
第二章 レイドスの残り香
アレッサでの依頼完了
フランは前日に発見した地下道を再確認し、休眠の棺などの証拠をクリムトへ提出した。術者本人はすでにアレッサを離れている可能性が高いと判断され、クリムトはフランとウルシの探索結果を信頼して依頼を完了扱いとした。フランは魔狼の平原へ向かうと告げ、危険を心配するクリムトに見送られてアレッサを出発した。
枯渇の森を前にした料理
フランたちは枯渇の森の手前まで移動し、王都で減った料理を補充するため、大地魔術で作った小屋を厨房にして大量の料理を作った。フランも調理を手伝い、魔狼の平原へ向かう準備を進めた。
アリステアとの再会
料理中、神級鍛冶師アリステアが突然訪れた。彼女は遠方で神剣同士の戦いを感知し、王都へ向かう途中で師匠の存在にも気づいたのであった。師匠は王都で起きたファナティクスとの戦いや疑似狂信剣について説明し、アリステアは完全には滅びていなかったファナティクスに驚いた。
ファナティクスの残滓
師匠はファナティクスを共食いで吸収した影響をアリステアに尋ねたが、その場で詳しく解析することはできなかった。また、破壊した疑似狂信剣を見せると、アリステアはファナティクス消滅後も分身のような存在が残っている可能性を否定できないと考えた。師匠は疑似狂信剣製造に関わらされたガルスを紹介し、アリステアは王都で彼に会うことにした。
魔術学院の依頼
アリステアはランクB以上で信頼できる冒険者を探しており、フランがランクBになったと知ると依頼を持ちかけた。内容は魔術学院の生徒たちの模擬戦相手であり、期限は五年以内と余裕があった。フランは魔狼の平原での修行を優先するため即答せず、修行後に考えることにした。
カレーと別れ
フランはアリステアに作りたてのカレーを振る舞った。アリステアは喜んで食事を楽しみ、最後に師匠の刀身を軽く整備した後、王都へ向かった。フランたちも小屋を消し、枯渇の森へ向けて出発した。
枯渇の森への再訪
フランたちは師匠とフランが出会った枯渇の森へ入った。森では魔力回復や感知系スキルが阻害され、特にウルシは身体維持に使っていた魔力まで失い続けたため、巨体を扱うことにも苦労した。高位の魔獣ほどこの環境では活動しにくい理由が明確になった。
ツインヘッド・ベアとの再会
森では、かつてフランが師匠を使って初めて倒したツインヘッド・ベアが現れた。しかし今では脅威にならず、ウルシが前足の一撃で倒してしまった。自分で倒したかったフランは不満を見せたが、ウルシを許し、三人は魔狼の平原へ進んだ。
グレーター・ヴェノム・ガスト
魔狼の平原へ入ると、地下から大量の白煙が現れた。その正体は脅威度Bのグレーター・ヴェノム・ガストであり、猛毒に加えて生命と魔力を吸収し、煙を消しても魔石を破壊しない限り再生する魔獣であった。フランたちは魔石を探せず、広範囲の大地魔術や爆撃でも倒せなかった。
水晶鱗の狙撃
ガストへの対処中、遠距離から透明な水晶鱗が撃ち込まれた。攻撃は一キロ以上離れた場所から高精度で放たれ、魔力探知も困難であった。ガストとの同時戦闘は危険と判断したフランたちは一度枯渇の森へ退避し、狙撃者を優先して探すことにした。
インビジブル・デス
ウルシの嗅覚を頼りに狙撃者を追うと、光を屈折させて姿を隠す巨大な魔獣が発見された。脅威度Bのインビジブル・デスであり、魔力を反射する水晶鱗、光学迷彩、高精度狙撃に加えて強力な尻尾や突進まで備えていた。遠距離戦だけでなく接近戦にも優れ、フランたちは苦戦した。
水晶の防御形態
師匠とフランが魔術で攻めると、インビジブル・デスは全身を丸め、水晶鱗を肥大化させて防御形態となった。通常の高位魔術では十分な損傷を与えられず、相手は防御しながら光魔術や水晶鱗で反撃した。師匠は最大級のカンナカムイを放ち、水晶の鎧を大きく破壊して体勢を崩した。
ウルシの体内攻撃
フランが水晶の剥がれた背中へ大技を突き込み、傷口を作ると、ウルシは小型化してその穴からインビジブル・デスの体内へ飛び込んだ。内部から肉や骨を食い破られた巨獣は激しく苦しみ、自身も巻き込む大規模な光の爆発を起こしてウルシを排除した。ウルシは全身に重傷を負った。
ワイト・キングの参戦
弱ったフランたちを狙い、脅威度Bのワイト・キングが四体のワイト・ハイウィザードと二体のワイト・インペリアルガードを連れて現れた。さらにグレーター・ヴェノム・ガストまで追いつき、フランたちは三体の脅威度B魔獣に囲まれた。フランは上空へ逃れ、ワイトたちとガストが互いを警戒する状況を利用した。
インビジブル・デスへの決着
ウルシは体内に侵入した際、インビジブル・デスの魔石位置を把握していた。フランたちは剣神化を使わず倒す方法を選び、ウルシが敵を引きつける間に作戦を実行した。師匠が大地魔術で四肢を拘束し、フランがカンナカムイで水晶を剥がした後、上空から全力の念動カタパルトで師匠を撃ち込んだ。
黒雷の追撃
師匠は磁力操作などを組み合わせて念動カタパルトを強化したが、一撃では巨獣を貫けなかった。そこへ閃華迅雷を纏ったフランが全速力で降下し、師匠の柄を蹴り込んでさらに深く押し込んだ。フランの足や師匠自身にも大きな損傷が出たものの、伸ばした刀身が魔石を破壊し、インビジブル・デスを討ち取った。
上空の魔力吸収
フランたちは負傷を治しながら上空へ逃れ、ガストもある高度で追跡を止めた。しかしさらに上昇すると、今度は枯渇の森と同じ魔力吸収現象が発生し、念動や空中跳躍が使えなくなった。ガストが止まったのは行動距離ではなく、この魔力吸収領域のためであった。
魔力吸収境界の突破
フランたちは魔力を使える限界高度を探り、ガストが届かず自分たちは飛行を維持できる境界を進んだ。転移は制御が乱れやすいため使わず、空中跳躍を中心に移動した。やがてガストは追跡を諦め、平原中央へ近づくにつれて他の強敵との遭遇も避けられるようになった。
インビジブル・デスのスキル
師匠はインビジブル・デスから、周囲の魔力を乱す魔力撹乱、遠距離攻撃を補助する射撃補正、光を反射する光撹乱膜、水晶を変形させる水晶変形を獲得した。特に敵の狙撃方法から磁力を利用した念動カタパルト強化の着想を得たことが、大きな収穫となった。
始まりの遺跡
限界高度を維持しながら中央へ進み続けたフランたちの前に、ついに懐かしい遺跡が見えてきた。それは師匠がこの世界で始まった場所であり、今回の旅で目指していた魔狼の平原中央の地であった。
第三章 再びの台座
消えた台座
魔狼の平原中央に到着したフランたちは、師匠が目覚めた遺跡を発見した。しかし、かつて師匠が刺さっていた台座は消えており、跡だけが残っていた。そこで師匠は再び白い空間へ導かれ、謎の男から台座は役目を終えた神器であり、今回必要になったため再び出現させると告げられた。フランたちが離れると台座が実体化し、師匠は懐かしい姿を確認した。
銀髪の男
銀髪の男はフランの前にも姿を現し、師匠を台座へ刺すよう求めた。師匠は男との間に強い繋がりを感じ、信用できると判断してフランを促した。台座に刺された師匠は心地よい熱に包まれ、男から記憶の封印や内部システムを再調整する準備が整ったと告げられた。
フェンリルの正体
男は自らをフェンリルと名乗り、かつて銀月の女神に仕えた神獣であり、現在は師匠の中に魂を封じられている存在だと明かした。フェンリルは邪神の欠片を喰らい、その力を浄化する使命を持って生み出され、四つの欠片を倒して取り込んだ。しかし浄化が追いつかず、邪神の妄執に侵食されて暴走し、ジルバード大陸に甚大な被害を与えた。
邪神の封印
フェンリルは完全に理性を失う前に人の少ない平原へ逃れ、そこで神級鍛冶師エルメラと出会った。当初エルメラは廃棄予定の神剣ケルビムを使ってフェンリルを倒そうとしたが、銀月の女神たちの要請を受けて救済に協力した。神々はフェンリルの正常な魂を肉体から分離し、邪神と融合した肉体を平原地下へ封印した。魂の器にはケルビムが使われた。
魔狼の平原の仕組み
枯渇の森と平原上空の魔力吸収現象は、封印された邪神を外へ出さず、集めた魔力で浄化を続けるために神々が設けた結界であった。平原中央ほど魔獣が弱くなるのも結界の作用であり、生まれた魔獣の魔石から力を吸い上げて浄化へ回していた。師匠やウルシは結界に登録されているため、平原内部では影響を受けなかった。
剣とフェンリルの融合
ケルビムに封じられたフェンリルの魂にも邪神の侵食が残っていたため、神々はフェンリルの捕食能力を利用して魂を回復させる方法を考えた。ケルビムとフェンリルを融合させ、斬った魔石から力を吸収して成長する剣の基礎システムが作られた。しかし邪神の支配力が残る限り、この世界で生まれた存在を主人格にすることはできなかった。
異世界人の主人格
邪神は戦神だった頃に世界創造全体へ関わったため、この世界で生まれた存在すべてに支配を及ぼせた。そこで神々は、邪神の支配を受けない異世界人を剣の主人格に据えることにした。地球生まれの師匠は、魂の適性、性格、宗教観、異世界への柔軟性など複数の条件を満たした五人目の候補であり、先の四人が断った後に転生を承諾していた。
封じられた人間の記憶
冥界の女神によって召喚された師匠は、剣として生きる精神を守るため、人間としての欲望や感情を強く刺激する記憶を封じられていた。本来はケルビムの補助で徐々に剣へ適応した後、フェンリルの正体を明かし、記憶も段階的に戻す予定であった。しかしリッチ戦でアナウンスさんが大きく損傷し、計画は狂い始めた。
封印の綻び
師匠の急激な成長、大量のスキル取得、潜在能力解放、狂鬼化、ファナティクスの吸収が短期間に重なり、内部システムと記憶、邪神の封印にまで負荷がかかっていた。アリステアの修復で持ち直したものの応急処置に過ぎず、ファナティクス吸収後に聞こえた全てを喰らえという声も、フェンリルの魂に残る邪神の欠片から漏れた意識であった。
再修復の開始
師匠が台座へ呼ばれた目的は、記憶と邪神の封印の再強化、内部システム全体の補修であった。師匠は台座に刺さったまま解析と修復を受けることになり、その期間は一時間から一ヶ月以上になる可能性もあった。フランはその間も平原に残り、師匠に頼らずウルシと修行すると決めた。
フェンリルの基礎修行
フェンリルはフランとウルシの指導を引き受けた。まず魔力を体内で正確に巡らせる基礎訓練を行わせ、フランには高度なスキルの制御不足と、強大な力による肉体への反動を改善させようとした。ウルシには、多彩なスキルを使いこなすことが今後の強さに直結すると教えた。
ウルシの進化先
フェンリルはウルシの進化先がゲヘナ・ウルフかダークナイト・ウルフであり、どちらも群れを率いる能力が伸びる一方、単独戦闘力の上昇は他の狼種ほど大きくないと明かした。落ち込むウルシに対し、フェンリルは個として強くなるにはスキルの扱いを磨く必要があると諭した。
ゴブリンの追跡訓練
フランとウルシは魔力制御の修行に続き、スキルを使わずゴブリンを追跡する訓練を始めた。気配を消す技術を身体で覚えることが目的であり、二人は次第にゴブリンを見分け、あだ名を付けて追跡そのものを楽しむようになった。
師匠の魔術修行
台座から動けず暇を持て余した師匠も、フェンリルから初級魔術を余分な魔力なしで変形させる訓練を教わった。師匠は魔術の制御力を高め、一ヶ月後には氷や炎、雷の魔術を狼や竜など複雑な形へ自在に変形させられるまで成長した。
剣技の再訓練
フランの修行は剣技を戦闘の流れへ自然に組み込む段階へ進んだ。高レベルの剣術を最初から得ていたフランは、通常の剣士が経験する剣技中心の修練を飛ばしており、その扱いに未熟さが残っていた。フェンリルは剣技だけで戦わせ、攻防の中で使う感覚を身につけさせた。
フェンリルの休眠
一ヶ月近く外に出続けたことでフェンリルの力は限界へ近づき、近く師匠の中で再び眠らなければならなくなった。今後の実戦訓練を心配する師匠に対し、フェンリルは時にはフランを見守ることも必要だと諭した。
アマンダの来訪
そこへ強大な魔力を放ちながらアマンダが平原へ駆けつけた。フランが一ヶ月もアレッサへ戻らず、ネルたちが心配したため様子を確認しに来たのであった。途中でフランたちが追跡訓練の相手にしていた鼻曲りというゴブリンを倒してしまい、事情を知らないアマンダはフランに怒られて困惑した。
師匠の修復と王都の報告
アマンダは台座に刺さった師匠を見て心配したが、フランたちは神級鍛冶師に関わる設備で修復中だと説明した。王都や獣人国での戦いについても語り、キアラを失った経緯を聞いたアマンダはフランの身を案じ、無茶を控えるよう求めた。しかしフランは強くなるためには無茶も必要だとして譲らなかった。
レイドスとの停戦
アマンダによれば、レイドス王国の侵攻部隊は撤退し、同国は一部強硬派の独断だったとして謝罪していた。実際の首謀者とは無関係な下級貴族の首も差し出されたが、国内復興を優先したいクランゼル王国もその説明を受け入れるしかなかった。ジャンが国境を警戒し、他の冒険者たちは潜伏工作員を捜索していた。
アマンダとの模擬戦
アマンダはフランの修行を手伝うことを申し出、数日おきに平原へ通って模擬戦や探索に付き合うことにした。フランは剣技主体で挑んだが、アマンダは多彩な鞭技を自然に戦術へ組み込み、フランを翻弄した。フランは一度も勝てなかったものの、後半には鞭へ対応し始め、アマンダから武術そのものはすでに高水準だと評価された。
フェンリルとの別れ
アマンダがアレッサへ戻った夜、フェンリルは力の限界を迎えた。フランとウルシはこれまでの指導に礼を述べ、フェンリルも師匠の相棒であるフランを自分にとっても大切な存在だと告げた。再会を約束して二人の頭へ手を伸ばした後、フェンリルは師匠の中へ戻り、眠りについた。
強さを求めるウルシ
フェンリルが眠った後も、フランとウルシは修行を続けた。魔狼の平原では以前より強い魔獣が出現しており、それは師匠の転生時に最大稼働していた魔力吸収結界が通常状態へ戻ったためであった。ウルシは進化後の単独戦闘力への不安から近接戦を積極的に行い、捕食吸収による強化にも望みを託して無茶を重ねた。
ウルシの焦り
ウルシは硬い蜥蜴型魔獣を自ら仕留めようとして捕まり、危うく握り潰されかけた。師匠は本来なら遠距離から戦うべきだったと感じたが、フランはウルシが自分の力で強くなりたい気持ちを理解し、もう少し見守るよう求めた。師匠も共に戦えない今の自分とウルシを重ね、無茶だけはしないよう言い聞かせた。
一五〇日の休眠
その直後、台座から無機質な声が響き、解析終了と修復開始が告げられた。修復中は師匠の主人格が休眠し、外部との接触も遮断されるうえ、完了予定は約一五〇日後であった。突然の長い別れに驚いた師匠は、フランへ修行を続けながら無茶をせず、ウルシやアマンダと協力するよう急いで伝え、そのまま意識を失った。
真プロローグ
事故の最期
師匠は地球で子供を助けた直後に車に轢かれ、全身を激痛に襲われながら死を迎えようとしていた。痛みが消え、意識が遠のき始めたところで女性の声を聞き、救われる道があると告げられた。
冥界の神との出会い
師匠は白い空間にある神殿へ移され、冥府と輪廻を司る神と対面した。女性の姿は師匠が抱く神のイメージを反映した仮の姿であり、彼女は死に瀕した師匠を救うために呼び寄せたと説明した。
三柱の女神
神殿では銀月の神と混沌の神も待っていた。三柱は地球とは異なる世界を創造し管理する神々であり、冥界の神の力によって師匠の魂をその世界へ移すことが可能だと明かした。
剣への転生依頼
神々は師匠に、異世界で剣へ転生し、神獣フェンリルとその中に残る邪神を救ってほしいと頼んだ。地球生まれの魂なら邪神の支配を受けないため、フェンリルを救う仕組みの主人格として必要だった。使命を果たすか異世界で破壊された場合には、再び地球の輪廻へ戻れるとも説明された。
記憶封印の条件
人間の精神のまま剣になれば狂う危険があるため、事故や友人知人、強い喜怒哀楽、恋愛や性的体験など、人格に強く影響する記憶を一時的に封印する必要があった。その影響で人格も多少変化するが、剣に適応した後に記憶を戻せば元へ近づくと説明された。
転生の決意
転生を断っても罰はなく、そのまま地球の輪廻へ戻れると聞いた師匠は、不安を抱きながらも異世界を見たいという気持ちと、使命を果たせば再び地球へ転生できることから依頼を受け入れた。神々は師匠が助けた少女の悲惨な記憶を消し、自宅の私物も処分すると約束した。
知恵の神とフツヌシ
新たに知恵の神と剣の神フツヌシが現れた。フツヌシは邪神との戦いで地球に残していた神格を使ったため、その名と剣神としての存在に固定されていた。師匠が宿る予定の神剣が剣の神と知恵の神の眷属であるため、二柱も転生に協力していた。
封じられる記憶
神々は師匠とともに封印対象の記憶を確認した。事故の苦痛だけでなく、好きな作品、初デート、恋愛、愛犬との死別、性的な思い出なども対象となり、師匠は自身の私的な記憶を神々に次々と見られて疲弊した。
異世界の文明
師匠は地球の知識を持ち込む危険性を尋ねたが、混沌の神は師匠の知識程度では大きな問題にならないと答えた。異世界は地球と似ていても物理法則や物質が異なり、魔力が自然法則へ深く関わっていた。また、言語や貨幣などは神々が与えたものを長く維持しており、地球とは異なる形で魔術や魔道具が発展していた。
神剣ケルビムとの融合
準備を終えた師匠は神殿奥で神剣ケルビムに触れ、自身と剣が溶け合っていく感覚に包まれた。神々は次に会うのは使命を果たした時の予定だが、不測の事態が起きる可能性もあると告げた。
神々との再会への備え
混沌の神は、異世界で神々と再会しても記憶の封印を守るため初対面として振る舞うと説明した。そしてフェンリルだけでなく、かつて闘いの女神だった邪神も自分たちの妹であり、可能なら救ってほしいと師匠へ託した。
良い混沌
混沌の神は、自ら作ったシステムなら師匠が努力すれば多くのことが可能だと励まし、使命だけでなく異世界そのものを楽しむことも大切だと告げた。最後に良い混沌をと言い残し、師匠の転生は始まった。
第四章 新生
インビジブル・デスへの完勝
修復から復帰して一ヶ月ほど経ち、フラン、師匠、ウルシは再びインビジブル・デスと戦った。巨大化したウルシが正面から隙を作り、フランは修行で磨いた空中跳躍と剣技で水晶鱗の弾幕を突破した。師匠も精密さを増した念動や魔術で援護し、最後は魔石を露出させて短時間で仕留めた。以前は大怪我を負わされた相手への完勝により、三者の成長がはっきり表れた。
戻ったアナウンスさん
インビジブル・デスの魔石を吸収すると、力を一部取り戻したアナウンスさんが反応した。自由な会話まではできなかったが、以前に近い機能を回復し、師匠のシステム制御や魔術、念動の補助を担うようになっていた。また、その声はフランにも届くようになっていた。
混沌の女神との再会
師匠が修復から目覚める直前、混沌の女神が現れ、人間だった頃や事故、神々との転生契約に関する記憶の一部を解放した。思い出しかけた記憶を放置すれば、他の封印まで不安定になる恐れがあったためである。師匠は自分がなぜ剣になったのかを改めて理解し、使命を果たしながら今まで通り生きてよいと告げられた。
アナウンスさんの感謝
完全覚醒直前、師匠は一時的に会話能力を取り戻したアナウンスさんとも話した。アナウンスさんはファナティクスの残滓を吸収したことで演算領域の一部を確保し、フェンリルとともに今後さらに回復する可能性があると説明した。師匠はフェンリルの力を取り戻し、アナウンスさんも復活させると約束した。
五ヶ月ぶりの再会
覚醒した師匠の前にはフランが待っていた。フランは台座に刺さった師匠へ駆け寄って強く抱きつき、涙を浮かべながら再会を喜んだ。しかし直後に空腹を訴えてカレーを要求し、ウルシも加わったため、師匠は大量のカレーを振る舞った。師匠の休眠中もスキル共有は残っていたが、二人は最初の二ヶ月で保存していたカレーを食べ尽くしていた。
Side アマンダ
師匠不在の修行
師匠が眠った後、フランはしばらく沈んでいたが、やがて師匠を驚かせるほど強くなることを目標に修行へ没頭した。アマンダが戻るたびに防具や剣が壊れ、負傷しているほど格上との戦闘を繰り返していた。アマンダは無茶を止め切れないと理解しつつ、訪れる頻度を増やしてフランを鍛えた。
カレーの枯渇
修行開始から一ヶ月ほどで、フランとウルシは明らかに元気を失い始めた。原因の一つは保存していたカレーの減少であり、ついには完全に食べ尽くしてしまった。アマンダは香辛料を調達し、肉に振りかけることで二人を慰めた。
剣技の成長
アマンダとの模擬戦や魔獣との制限付き戦闘を重ねたことで、フランは剣技の硬直を減らし、剣術との連携や状況判断を急速に磨いた。やがてアマンダの予測を上回る動きで懐へ入り、模擬戦で初めて完璧な一撃を入れるまでに成長した。
アリステアの魔剣
フランの力に既存の剣が耐えられなくなった頃、アリステアが魔狼の平原を訪れた。最初はアマンダと互いに警戒したものの、フランの仲介で関係を築き、アリステアは重魔鋼を使った頑丈な魔剣をフランのために作った。さらにアマンダの依頼も受け、別の装備製作にも動いた。
一五〇日目の朝
修復開始から一五〇日目、フランは夜明け前から台座の前で師匠の帰還を待った。アナウンスさんから正確な時刻は分からないと聞いても、その場を動くつもりはなかった。アマンダもそんなフランとともに待つことにした。
Side フェンリル
ウルシの焦り
ウルシはフランたちと肩を並べて戦う力を求め、捕食吸収による特殊進化を狙って格上へ挑み続けていた。しかし脅威度C程度では望む進化には足りず、さらに強い敵を求めて無茶を重ねていた。
魔竜との敗北
ウルシは脅威度Bの魔竜へ挑み、圧倒的な一撃を受けて瀕死となった。フランは必死に回復させながら逃走したが、魔竜の攻撃には回復阻害が込められており、治療し切れなかった。その結果、ウルシは右後脚と右目を失った。
孤独を選ぶ覚悟
傷を負ってもウルシは強さを求める意志を失わず、さらに激しい戦闘へ身を投じた。フェンリルはその姿を見続け、やがて通常のダークナイト・ウルフへの進化が始まった際、別の道を提示した。それはフェンリルの力を受け取り、同族を持たない孤独な新種になる選択だった。
ラグナロク・ウルフ
ウルシは孤独という代償を受け入れ、フェンリルの力を得て進化した。失っていた右目と後脚は再生し、巨大な肉体と強大な魔力を持つ新種ラグナロク・ウルフとなった。フェンリルは、主たちと並び立ちたいというウルシ自身の願いが生んだ姿だと告げた。
三者の新たな力
師匠の復帰後、フランは剣聖術と剣聖技を自力で扱えるほど成長し、魔力制御も大きく向上していた。ウルシも身体大変化や影転移、捕食同化、次元牙など多数の強力な能力を得て、脅威度B相当の存在へ進化していた。師匠は孤独な存在となったウルシを憐れむのではなく、強く頼もしくなったと称えた。
連携の再構築
三者とも大きく成長したため、復帰直後は以前の感覚のままでは連携が噛み合わなかった。師匠の魔術出力やフランの加速、ウルシの身体能力が予想以上に上がっていたためである。そこで個々の能力を改めて確かめながら、一ヶ月かけて新しい連携を作り直した。
フェンリルへの補填
フランが蓄えていた大量の魔石を師匠が吸収するとランクアップしたが、得られる魔石値や自己進化ポイントは少なかった。ウルシを特殊進化させるためにフェンリルが力を使ったため、その回復が優先されていたのである。師匠はウルシの進化の代償なら問題ないと受け入れ、今ある力を使いこなすことを優先した。
修行の終わり
復帰から約一ヶ月後、師匠は翌日で魔狼の平原での修行を終えると決めた。フランが強くなるには魔境に籠もるだけではなく、人々と関わりながら外の世界を進む必要があると考えたためである。長く協力したアマンダとアリステアへ感謝し、以前頼まれていた魔術学院の依頼にも応じることになった。
出会って一年
日付が変わり、師匠はフランと出会ってちょうど一年が経ったことを告げた。奴隷だった頃から数々の死線を越えて成長したフランを振り返り、師匠は深い感慨を覚えた。
十三歳の誕生日
鑑定すると、フランの年齢が十二歳から十三歳へ変わっていた。フラン自身は誕生日を覚えていなかったため、師匠は二人が出会い、フランという名前を取り戻した日が新たな誕生日として認識された可能性を考えた。そこで出会いの記念日と十三歳の誕生日を同時に祝うことにした。
スペシャルパンケーキ
師匠は密かに準備していた十段重ねのパンケーキと多数のトッピングを用意した。フランは師匠の調理技術にも歓声を上げ、満面の笑みで食べ進めた。アマンダにカレーとパンケーキのどちらが好きか聞かれると、フランはカレーは元気が出て、パンケーキは幸せになるため、どちらも違う美味しさだと答えた。師匠は特別な日として、さらにカレーも用意した。
第五章 新たな始まり
修行最後の戦い
フランたちは魔狼の平原での修行を締めくくるため、何度も撤退を強いられてきたグレーター・ヴェノム・ガストとワイト・キングに再挑戦した。進化したウルシは配下のワイトたちを単独で引き受け、影転移や次元牙を駆使して以前とは比べものにならない安定した戦いを見せた。
ワイト・キングへの追撃
フランはワイト・キングの氷雪魔術を突破し、師匠の新たな光魔術ソーラ・レイによる援護を受けて背後へ回り、首を斬り落とした。しかしワイト・キングは倒れず、長距離転移で逃走したため、フランは追撃を阻むガストへの対処を迫られた。
ガストの魔石
師匠たちが発見できなかったガストの魔石を、進化によって嗅覚を高めたウルシが捉えた。ウルシは煙の中の空間へ次元牙を放ち、隠されていた魔石を破壊した。魔石そのものは得られなかったが、長く苦しめられてきたグレーター・ヴェノム・ガストをついに討伐した。
黒骸兵団のワイト・キング
戻ってきたワイト・キングは三百体を超えるアンデッドを召喚し、その中にはアレッサ騎士団の装備を身に着けたハイゾンビもいた。さらに配下の怨念を吸収して肉体を肥大化させ、複数の顔を持つ異形へ変貌した。その鳩尾には、かつてアレッサ騎士団副団長だったオーギュスト・アルサンドの顔も現れた。
黒骸兵団第六席アイスマン
ワイト・キングは自らをレイドス王国の黒骸兵団第六席アイスマンと名乗った。黒骸兵団は知性あるアンデッドで構成された軍勢であり、アイスマンはフェンリルの伝説が残る魔狼の平原を調査するために送り込まれていた。枯渇の森を越える際には、棺に入って氷の山から滑空し、連続転移を使って平原へ侵入していた。
合体天空抜刀術の失敗
フランとウルシは修行中に考案した合体天空抜刀術を実戦で試した。ウルシの前足を蹴って加速する技だったが、タイミングを誤ったフランはまともに攻撃を受け、足を折って吐血した。それでも攻撃を続行したものの、アイスマンは冷気に魔力を混ぜて周囲を探知しており、天空抜刀術を回避して反撃した。フランは左腕を凍らされ、技の欠点を突かれた。
アイスマンとの接近戦
アイスマンは強化された肉体と複数の顔による氷雪魔術を併用し、フランへ猛攻を仕掛けた。フランは修行を続けたまま接近戦に挑んだが、無尽蔵の体力を持つアイスマンに徐々に押され、腹部へ氷柱を受けた。そこで師匠は修行の終了を宣言し、フランも本来の力で戦うことを決めた。
加重修行の解除
フランはそれまで師匠の大地魔術で自らの体重を増やした状態で戦っていた。加重を解除すると速度が一気に上がり、アイスマンの拳をかわして右腕を斬り落とした。その後の接近戦でも緩急を使って相手を翻弄し、今度はフランが優位に立った。
魔術戦の勝利
接近戦で勝てないと悟ったアイスマンは距離を取り、氷雪魔術による遠距離戦へ切り替えた。フランの雷鳴魔術、ウルシの闇魔術、師匠の火炎魔術が連携して迎撃し、複数の顔を持つアイスマンの魔術を押し切った。近距離、遠距離ともに敗れたアイスマンは追い詰められた。
試作進化薬
アイスマンはアレッサの三顔ゾンビが持っていたものと同系統の試作進化薬を使用した。安全量を超えていたものの、その力によって魔力と身体能力はさらに上昇し、浮遊島のリッチを思わせるほどの威圧感を放った。フランと師匠も神々の加護や修復で高まった制御力を生かし、強化されたアイスマンと互角に戦った。
三位一体
膠着状態の中、フランはアイスマンの大技によって冷気と火炎がぶつかり、探知能力が乱れた瞬間を狙った。再び上空へ転移し、ウルシの前足を利用した合体天空抜刀術を仕掛けると、今度は完璧に成功した。その瞬間、フラン、師匠、ウルシの契約は剣身一体から三位一体へ変化し、三者の意識と力がより強く繋がった。
黒雷転動
三位一体となったフランは高速落下からアイスマンの右腕を斬り飛ばし、その直後に黒雷転動を自力で発動して背後へ回った。修行以前は潜在能力解放中しか使えなかった技を、自分の意思で扱えるようになっていた。さらにウルシも影から奇襲し、アイスマンに連続転移を使わせて追い詰めた。
剣神化の一閃
転移先を三位一体の感覚で読み取った師匠は、無意識に短距離転移を発動してフランを先回りさせた。そこでフランは剣神化を発動し、神属性を纏った一撃を放った。再度の転移が間に合わなかったアイスマンは左肩から右脇まで真っ二つに斬られ、神属性によって再生も封じられた。
アイスマンの最期
致命傷を負ったアイスマンは魔力を高めて自爆を試みたが、フランと師匠は転移で十分な距離を取った。大爆発は二人にほとんど届かず、アイスマンはそのまま消滅した。鳩尾に取り込まれていたオーギュストもともに滅び、長く続いた因縁に終止符が打たれた。
修行の完了
フランとウルシは強敵を倒したことを喜び合い、師匠も予定とは違ったものの、これをもって魔狼の平原での修行は完了したと宣言した。
エピローグ
ベリオス王国への旅立ち
魔術学院への興味
魔狼の平原での修行を終えたフランたちは、アマンダとアリステアを交えて今後の予定を話し合った。師匠はアリステアから頼まれていた魔術学院での模擬戦の教官に興味を示し、フランも世界最強の種族とされるハイエルフに会いたがったため、次の目的地をベリオス王国の魔術学院に決めた。
学院長ウィーナレーン
アリステアは魔術学院の学長ウィーナレーンへの紹介状を用意した。学院には自治が認められており、ウィーナレーンは領主に近い立場にあるため、紹介状なしではすぐに面会できない人物であった。アリステアによれば、基本的には穏やかな善人だが、思いつきで周囲を振り回す変わり者でもあった。フランはその話にも興味を示し、会う意思を変えなかった。
国境越えの準備
ベリオス王国へ入るには、フランのランクB冒険者カードがあれば問題なかった。ただしレイドス王国と接する地域では国境警備が厳しく、正式な関所を通って入国記録を残す必要があった。師匠たちは正規の手続きを踏んで向かうことにした。
アリステアの残留
アリステアは同行できず、元アシュトナー侯爵領に残る狂信剣関連の資料をガルスたちと調べる予定であった。すでに国王とも話をつけており、狂信剣の再発を防ぐため、国も調査を最優先事項として扱っていた。アマンダも神級鍛冶師であるアリステアに国が無理を強いる可能性は低いと説明し、自身との繋がりも示して安全を補強するとした。
二人への感謝
フランは長期間修行に付き合ったアマンダとアリステアに深く頭を下げ、感謝を伝えた。二人もフランとの時間が自身の刺激や学びになったと返した。別れを惜しみながらも、再会できるという確信があったため、フランは以前ほど悲しみを見せなかった。
魔狼の平原からの出発
フランは馬ほどの大きさになったウルシへ乗り、師匠とともに出発した。アマンダとは再会を約束し、アリステアも調査を終えれば魔術学院を訪れると告げた。フランたちは二人に別れを告げ、次の目的地であるベリオス王国へ向かった。
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