(ネタバレ)小説上下巻のあらすじ「国宝」【映画化作品】

(ネタバレ)小説上下巻のあらすじ「国宝」【映画化作品】

国宝 上 青春編

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国宝 上 青春編

新年会と権五郎の死
昭和三十九年、大雪の日に料亭花丸で立花組の新年会が開かれ、親分衆や家族が集った。芸者の余興や歌舞伎役者・花井半二郎の来訪で華やかな場となったが、宮地組が襲撃し混乱に陥った。権五郎は裏切りを受け、辻村に銃撃されて重傷を負い、その後死亡した。

喜久雄の迷走と復讐未遂
権五郎の死後、喜久雄は父の後を追う覚悟を固めつつも葛藤を抱え、徳次との関係もすれ違った。徳次は復讐を主張するが、喜久雄は応じず、逆に密告した。喜久雄自身は宮地組元親分を襲撃しようとしたが失敗に終わった。

大阪での修行と芸能との出会い
喜久雄は父に連れられて大阪を訪れ、半二郎と再会して舞台芸能の迫力に触れた。その後も春江や徳次を介し、半二郎邸で修行を積み、市駒との出会いや小野川万菊の舞台を経験して芸能の道を意識していった。徳次は北海道へ渡り、過酷な労働を経て大阪に戻り、映画出演を果たすこととなった。

舞台での成功と挫折
喜久雄と俊介は「二人道成寺」で成功を収め、人気を博した。半二郎の負傷により喜久雄が代役に抜擢され、大阪中座での公演を務めたが、俊介は失踪し、春江も姿を消した。以後、喜久雄は人気と不遇を繰り返し、映画や舞台に挑戦しながら成長と挫折を重ねた。

襲名問題と白虎の死
三友幹部の提案で喜久雄に「花井半二郎」襲名の話が持ち上がるが、幸子の反対で辞退した。その後、半二郎改め白虎が病没し、喜久雄は一億円を超える借金を引き受ける決意を固めた。徳次はその覚悟を支えた。

映画出演と精神的崩壊
喜久雄は清田誠監督の映画に出演し、過酷な撮影に耐えたが、現場で暴行を受け精神的に追い詰められた。作品はカンヌで評価されたものの、本人は拒絶し、端役生活と放縦な日々に堕していった。最終的に入院し、市駒のもとでの生活を望むに至った。

俊介の再登場と再会
竹野が地方芝居で俊介を発見し、万菊の協力で舞台復帰が決まった。喜久雄は十年ぶりに俊介と再会し、春江や息子とも短い対話を交わした。俊介が万菊に師事して舞台に立つ姿を見て、喜久雄は自身との扱いの差に悔しさを覚え、這い上がる決意を新たにした。

国宝 下 花道篇

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国宝 下 花道篇

幸子と春江の決断
花井家では幸子が西方信数に心酔し信者と籠ったが、春江が介入して状況を収めた。幸子は東京進出を決意し、春江も同意して新生丹波屋が始動した。俊介は復帰の稽古に専念し、春江と幸子が後処理を担った。

竹野の策略と世間の構図
竹野は俊介を善人、喜久雄を悪人に仕立てる構図を作り上げ、世間の同情を俊介に集めた。俊介の舞台は成功し、喜久雄は動揺の中で報道に追われ、丹波屋分裂が話題となった。

俊介と喜久雄の競演構想
俊介と喜久雄は同じ役を別舞台で演じる企画に巻き込まれた。喜久雄は新派に移籍して評価を得て、双方の比較が世間で注目された。万菊が双方に稽古を付け、俊介は未熟を指摘されつつ精進した。過去の放浪や豊生の死は俊介の芸に影響を残した。

宿敵関係の確立
俊介と喜久雄は八重垣姫で芸術選奨を同時受賞し、宿敵としての関係を明確にした。俊介は「鷺娘」で古典的演技を示し、喜久雄はオペラ歌手との共演による斬新な「鷺娘」で国際的評価を得た。だが辻村興産の祝賀会での上演を機に暴力団との関係が露呈し、喜久雄は謹慎に追い込まれた。

再起と兄弟共演
喜久雄は絶縁宣言を条件に復帰し、『源氏物語』で俊介と共演した。両者は全国巡業を成功させ、バブル期の華やかな歌舞伎界で活躍した。『春興鏡獅子』では二人舞の演出で観客を熱狂させた。

徳次の旅立ちと俊介の襲名準備
俊介は新作『土蜘蛛』に挑み、一豊との二代同時襲名を視野に入れた。源吉の倒れ込みを経て、俊介は襲名での昇進を決意した。喜久雄は京之助らと新たな企画に関わり、徳次は大陸行きを決意して姿を消した。

俊介の転落と再起
俊介は事故で右足を失いながら復帰舞台を果たし、さらに左足壊死の告知にも直面した。喜久雄は役者の意地を促し、俊介は『隅田川』で復帰したが体力は限界に近づいた。やがて俊介は芸術院賞を受賞し、舞台を勤め上げたのちに病没した。

喜久雄の孤独な舞台
俊介の訃報を受けながらも喜久雄は舞台を全うし、俊介との記憶を胸に女形の至芸を示した。以後、一豊の追悼公演や不祥事を経て、喜久雄は『藤娘』や『女殺油地獄』で異様な集中状態に入り、舞台上で現実を超えた世界を見ていると評された。

人間国宝と終幕の歩み
家族の波乱の中、喜久雄は人間国宝に認定された。最後の『阿古屋』で圧倒的な演技を見せたのち、舞台を降りて銀座の街へ歩み出した。観客の視線を背に、不器用ながらも役者としての道を全うする覚悟を抱き、日本一の女形として立ち続けた。

その他フィクション

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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