物語の概要
■ 作品概要
リンチギハム王国の王太子妃であり真の聖女であるエリアーヌは平和を取り戻したリンチギハムで平穏に暮らしつつ、かつて自身を追放した元婚約者クロード王子と、和解したレティシアの結婚式が数日後に迫っていることを心待ちにしていた。
しかし、ベルカイム王国の地下に眠っていた魔王封印の跡地から何者かが物品を持ち去ったという報告を契機に、一行は祝いと真相究明を兼ねてベルカイム王都へ向かうことになる。
王都では呪いによって操られた暗殺者の急襲や、式典中の参列者の凶暴化など不穏な事件が連続し、その背後でレティシアのかつての呪術の師であるディートヘルムが、大昔に封印された未完成の「禁術」を完全発動させようと暗躍していたことが判明する。
最終的に、エリアーヌたちの救援とクロードの決死の奮戦によりディートヘルムの野望は阻止され、未完成のまま禁術は消滅し、傷つきながらも周囲に祝福されたレティシアとクロードが純白のドレスで愛を誓い合うところまで状況が進む。
■ 主要キャラクター
エリアーヌ
- 立場・所属:リンチギハム王国王太子妃、真の聖女。
- 主人公との関係:主人公本人。
- この巻での主な役割:結婚式への参列、呪いの解呪、負傷者・被災者の救護、首謀者の特定。
- この巻で起きた重要な変化や行動:ベルカイム城地下の盗難事件を警戒し、式当日に発生した大規模な呪いの暴発に対して広範囲の解呪魔法を行使した。破壊されたウェディングケーキの修復を支援し、屋上でディートヘルムを解呪して事件を終息させた。
ナイジェル
- 立場・所属:リンチギハム王国の第一王子(王太子)、エリアーヌの夫。
- 主人公との関係:エリアーヌの夫、伴侶。
- この巻での主な役割:エリアーヌの護衛、暴走した参列者や呪いの怪物の迎撃、ディートヘルムの討伐。
- この巻で起きた重要な変化や行動:前巻の謹慎処分が明けた後、多忙な公務をこなしながらエリアーヌに同行した。渡り廊下で操られた男を取り押さえ、屋上での決戦ではクロードの奇襲に呼応してディートヘルムへ決定打となる一撃を叩き込んだ。
レティシア
- 立場・所属:ベルカイム王国伯爵令嬢、呪術士、クロード王子の婚約者。
- 主人公との関係:かつての因縁の相手、現在は親しい友人。
- この巻での主な役割:新婦、呪いの感知および相殺、過去の罪との対峙。
- この巻で起きた重要な変化や行動:自らの出自が呪術士であることを隠さず式典に臨んだが、元家庭教師ディートヘルムから罪を責め立てられて動揺した。屋上から落下しかけたところをクロードに救われ、彼の肉体に呪いを付与してディートヘルム撃破の突破口を作った。
クロード
- 立場・所属:ベルカイム王国第一王子、新郎。
- 主人公との関係:エリアーヌの元婚約者。
- この巻での主な役割:不正出店の取り締まり、レティシアの擁護、ディートヘルムへの奇襲。
- この巻で起きた重要な変化や行動:過去の過ちを悔い改め、真面目に政務や治安維持に励む立派な後継者へと成長していた。式典でレティシアを公然と肯定し、屋上から身を投げた彼女を追って飛び降りた後、先代聖女の血筋による呪い耐性を活かしてディートヘルムの背中を剣で刺し貫いた。
ドグラス
- 立場・所属:人間の姿をとるドラゴン、リンチギハムの居候。
- 主人公との関係:エリアーヌの友人、元念話仲間。
- この巻での主な役割:王都での食べ歩き、暴走者の制圧、ドラゴン形態によるクロードとレティシアの救出。
- この巻で起きた重要な変化や行動:式典の護衛として同行し、屋上から落下するクロードとレティシアをドラゴンとなって背中で受け止めた。敵として現れたファーヴの正体が黄金竜ファフニールであることを見抜いた。
ディートヘルム
- 立場・所属:アポロン音楽団の団長兼指揮者、正体はレティシアの元家庭教師である一流の呪術士。
- 主人公との関係:一連の事件の首謀者、敵対者。
- この巻での主な役割:魔王封印跡からの横笛の盗掘、参列者への呪いの散布、禁術の完全発動の試み。
- この巻で起きた重要な変化や行動:人々の絶望の旋律を愛し、魔王封印の跡地から持ち出した横笛を用いて城内に禁術を発動させた。クロードの奇襲とナイジェルの攻撃によって敗北し、未完成だった禁術が解呪された反動により一切の聴覚を失った。
ファーヴ
- 立場・所属:双剣を操る謎の男、正体は黄金竜ファフニール。
- 主人公との関係:情報提供者、敵対者候補。
- この巻での主な役割:暗殺者からのエリアーヌ救出、禁術の危機に関する警告、中庭の魔物迎撃。
- この巻で起きた重要な変化や行動:呪いで強化された暗殺者や呪いのベヒモスを一刀両断してエリアーヌたちを助けつつ、魔王消滅に伴う世界の歪みと禁術の脅威を警告した。
書籍情報
真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです 5
著者:鬱沢色素 氏
イラスト:ぷきゅのすけ 氏
出版社:講談社
発売日:2023年5月2日
ISBN:9784065318119
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あらすじ・内容
真の聖女エリアーヌに婚約破棄を言い渡して国外追放した、
ベルカイム第一王子クロード。
そして、自らを真の聖女と騙り、
エリアーヌを偽の聖女として弾劾した、呪術士レティシア。
そんな二人が、結婚式を挙げることになった。
魔王復活を阻止した過程で、二人と和解したエリアーヌは、
夫のナイジェルとともに、二人の結婚式に参加することになる。
二人の幸せを心から願うエリアーヌ。
だが――運命はそれをたやすくは許さない。
呪術士たるレティシアの過去を知るものが、彼女に迫り……!?
感想
レティシアの結婚式と、まだ終わらない魔王の後始末
第5巻では、クロードとレティシアの結婚式が描かれる。
第1巻でエリアーヌを追放した二人が、ついに結婚するのである。
あの頃のクロードを思い出すと、よくここまで変わったものだと思う。レティシアも同じだ。かつては自分の立場を守るためにエリアーヌを陥れた彼女が、今では周囲から祝福される花嫁になろうとしている。
ただし、結婚式が無事に終わるはずもない。
ベルカイム王国の地下にある魔王の封印跡から、何者かが一本の横笛を持ち去っていた。
その横笛をきっかけに、王都では呪いによる事件が相次ぐ。
また魔王の関係か。
第3巻で倒したはずなのに、第4巻でも魔王の力が問題になり、今回も封印跡から厄介なものが出てくる。
魔王本人が復活したわけではないが、残したものがいつまでも災いの種になっている。
本当に、魔王って何なのだろう。
倒しても倒しても、後始末が終わらない存在である。
※以下、第5巻の結末まで触れるネタバレ感想。
レティシアが白いドレスに憧れていたとは
今回、最初に気になったのはレティシアの過去だった。
呪術士の家系に生まれた彼女は、幼い頃から周囲に迫害されていた。
石を投げられ、呪術士を愛する男などいないと言われる。
そんな少女が教会で見かけたのは、純白のウェディングドレスを着た幸せそうな花嫁だった。
一度だけでいいから、自分もあんなドレスを着てみたい。
そう願っていたという。
第1巻のレティシアを知っているだけに、少し意外だった。
当時の彼女は、自分の望みをかなえるためなら他人を傷つけることもいとわない人物に見えた。
しかし、その奥には普通の幸せを諦めかけた少女がいた。
もちろん、つらい過去があれば何をしても許されるわけではない。
それでも、なぜ彼女が聖女という立場に執着したのか、少し分かる気がした。
そして、そのレティシアが今度は本当に結婚する。
過去を知ったうえで結婚式を迎えると、純白のドレスが持つ意味も変わってくる。
クロードがまともな王子になっている
エリアーヌとナイジェル、ドグラスは、結婚式への出席と地下の盗難事件の調査を兼ねてベルカイム王都へ向かう。
そこで目にしたのが、悪質な露店商を取り締まるクロードの姿だった。
店員は客の少年に不当な高額請求をしたうえ、暴力まで振るっていた。
クロードは毅然と対応し、営業許可を取り消す。
これを読んで、思わず第1巻のクロードを思い出した。
あの頃はエリアーヌの話をろくに聞かず、聖女を追放して国を危機に陥れた人物である。
それが今では、街の治安を守るためにきちんと仕事をしている。
人間、変わるものだ。
むしろ、最初からこういう判断ができていれば、エリアーヌを追放する騒動も起こらなかったのではないか。
そんなことまで考えてしまう。
ただ、失敗した人物がその後どう生きるかという点では、今回のクロードは興味深かった。
過去をなかったことにはできない。
だからこそ、今できることを積み重ねている姿に意味があるのだろう。
結婚式を中止しない二人。危険だと分かっているのに
ベルカイム王城の地下から何かが盗まれたという事件は、やはり穏やかではなかった。
エリアーヌとナイジェルが調査を進めると、大昔に封印された未完成の禁術が関係している可能性が浮かぶ。
さらに、呪いで身体を強化された暗殺者たちまで襲ってくる。
これだけ危険な状況なら、結婚式を延期した方がいいのではないか。
ドグラスも中止を提案する。
ところが、クロードとレティシアは式を予定どおり行うと決める。
首謀者を誘い出すためだという。
いや、結婚式をおとりにするのか。
なかなか思い切った判断である。
しかも、参列者まで危険にさらされる可能性がある。
読んでいて少し心配になった。
それでも、二人にとっては簡単に諦められない式なのだろう。
特にレティシアにとって、結婚式は幼い頃から願い続けてきたものだ。
そんな事情を考えると、中止したくない気持ちも分からなくはない。
黒いウェディングドレスと、クロードの宣言
結婚式でレティシアが身にまとっていたのは、純白ではなく漆黒のウェディングドレスだった。
幼い頃に白いドレスへ憧れていた彼女が、黒いドレスで式に臨む。
ここが気になった。
式では、レティシアが呪術士の家系に生まれたことも公表される。
会場が騒然とするなか、クロードは彼女の過去も含めて愛すると宣言した。
この場面はよかった。
呪術士の血筋を隠して結婚するのではない。
周囲がどう思おうと、自分はレティシアを選ぶと公言するのである。
第1巻のクロードなら、世間体や自分の立場を優先していたかもしれない。
しかし今回は違う。
レティシアが幼い頃に言われた「呪術士を愛する男などいない」という言葉を、クロードが正面から否定したように感じた。
かつてエリアーヌを追放した男が、今度は誰かを守るために人前に立っている。
ずいぶん変わったものだ。
ウェディングケーキまで破壊される。呪いの嫌がらせがひどい
せっかく結婚式が始まったというのに、会場では次々と事件が起こる。
厨房ではコック長が呪いによって暴れ出し、巨大なウェディングケーキを壊してしまう。
エリアーヌが駆けつけて解呪し、ケーキの修復まで手伝うことになる。
世界を救ってきた聖女が、今度はウェディングケーキの修復である。
相変わらず仕事の幅が広い。
ただ、結婚式のために準備してきた料理人たちを思うと、笑ってばかりもいられない。
何日も前から準備していたかもしれないケーキが、突然壊されてしまうのだ。
しかも、壊した本人も呪いで操られている。
誰を責めればいいのか分からない。
今回の敵は、こうした人々の努力や幸せな時間を壊すことまで平気でやってくる。
魔王のように巨大な敵が暴れるのとは、また違った嫌らしさがあった。
レティシアの元家庭教師が黒幕。呪いを音楽に乗せる恐ろしさ
事件の首謀者は、アポロン音楽団の団長ディートヘルムだった。
彼はレティシアのかつての家庭教師でもある。
幼いレティシアに呪術を教え、世界を呪いで塗り替えようと語っていた人物だ。
そのディートヘルムが、魔王の封印跡から持ち去った横笛を使い、禁術を完全に発動させようとしていた。
厄介なのは、呪いが音楽を通じて広がっていくことである。
式に参列した人々が突然凶暴化し、神父まで襲いかかってくる。
音楽を聴いただけで操られてしまうのなら、警戒するのも難しい。
しかも、結婚式には音楽が欠かせない。
祝福のために流れるはずの演奏が、人々を傷つける道具に変わってしまう。
この使い方は悪趣味だと思った。
ディートヘルムは音楽と絶望を結びつけているが、本人にとっては美しいものなのだろう。
他人の幸せを壊すことに喜びを見いだす人物だからこそ、レティシアの結婚式を狙ったのかもしれない。
レティシアを追って飛び降りるクロード。ここまでやる男だったのか
ディートヘルムとの戦いで、レティシアは屋上から落下する。
クロードを巻き込まないよう、自分から手を離したのだ。
ところがクロードは、迷わず彼女を追って飛び降りる。
空中でレティシアを抱きしめ、二人で落ちていく。
いや、待て。
気持ちは分かるが、どうやって助かるつもりだったのか。
幸い、ドラゴンの姿になったドグラスが二人を受け止めてくれる。
本当にドグラスがいてよかった。
それにしても、クロードの行動には驚いた。
第1巻ではエリアーヌを簡単に切り捨てた男である。
その彼が、今度はレティシアを見捨てず、自分の命まで懸けている。
無謀ではある。
しかし、レティシアにとっては、何よりもうれしい行動だったのではないだろうか。
自分の血筋を理由に愛されることを諦めていた少女が、ここまで大切にされるようになった。
二人の関係の変化がよく分かる場面だった。
クロードとレティシアが協力して禁術を止める
最後の戦いでは、レティシアがクロードに呪いの力を与える。
その力を受けたクロードがディートヘルムの胸を貫き、ナイジェルの追撃とエリアーヌの解呪によって禁術は阻止される。
ここも興味深かった。
かつては人々から恐れられたレティシアの呪術が、今度は大切な人を守るために使われている。
呪いの力そのものが悪いのではなく、それをどう使うかが問題なのだろう。
前巻では魔王の闇の力を使って邪神を作り替えていた。
今回も、呪術の力が事件を終わらせる一助になっている。
聖なる力だけが正義というわけではないらしい。
この世界では、力の性質よりも使う人間の意思が重要なのかもしれない。
最後に純白のドレスを着られたレティシア
事件が収まった後、レティシアのもとへ純白のウェディングドレスが届けられる。
そして、クロードとレティシアは改めて誓いの口づけを交わす。
この結末には、素直によかったと思った。
物語の冒頭で、幼いレティシアは白いドレスに憧れていた。
しかし、自分は呪術士だから普通の幸せなど手に入らないと考えていた。
そんな彼女が、最後には白いドレスを着て、大勢の人に祝福される。
長い時間をかけて、ようやく願いがかなったのである。
第1巻での行動を考えると、レティシアを簡単に好きになれるわけではない。
それでも、過去の過ちを認めて変わろうとしてきた彼女が幸せになることまで否定したいとは思わなかった。
むしろ、エリアーヌと和解した後のレティシアを見ていると、こういう結末も悪くないと感じる。
ディートヘルムの末路は皮肉だった
事件後、ディートヘルムは地下牢へ収監される。
しかし、未完成の禁術を使った反動によって、彼は聴覚を失ってしまう。
音楽を愛し、他人の絶望を美しいものとして扱っていた男が、何も聞こえない世界に閉じ込められる。
何とも皮肉な結末である。
本人にとっては、牢獄に入れられること以上につらい罰なのだろう。
ただ、少し考えてしまった。
人々を呪いで操り、結婚式を台無しにしようとした人物が、最後には自分の行いによって大切なものを失う。
前巻では「大切なもの」が消える怪異が起こったが、今回は敵自身が大切なものを失ったことになる。
偶然かもしれないが、少し似たものを感じた。
ファーヴの正体は黄金竜ファフニール。次の問題まで出てきた
今回、エリアーヌたちを助ける謎の男ファーヴも登場する。
双剣を使い、呪いの魔物を一刀両断するほどの実力者だ。
しかし、ドグラスは彼の正体に気づくと激怒する。
その正体は、全ドラゴンの敵とされる黄金竜ファフニールだった。
また厄介そうな人物が出てきた。
魔王の後始末が終わらないうえに、今度はドラゴン同士の因縁まであるらしい。
ドグラスはこれまでも、エリアーヌたちの危機を何度も救ってきた。
今回もクロードとレティシアを落下から助けている。
そんなドグラスが敵視する相手となれば、ただ事ではないのだろう。
結婚式の事件は解決したものの、まだまだ平穏にはならなさそうだ。
魔王は倒したはずなのに、いつまで影響が残るのか
第5巻を読んで、まず感じたのはクロードとレティシアの変化だった。
第1巻でエリアーヌを追放した二人が、今では互いを守り、周囲から祝福される夫婦になっている。
特にレティシアが純白のウェディングドレスを着られた場面は、幼い頃の願いを知っているだけに印象深い。
そして、クロードも変わった。
かつては自分の判断を疑わず、エリアーヌを切り捨てた男が、今度はレティシアを救うために屋上から飛び降りる。
少々無謀だが、それだけ大切な相手ができたということなのだろう。
ただ、もう一つ気になったのは、やはり魔王の存在である。
第3巻で討伐されたはずなのに、第4巻では神剣に残った力が問題になり、第5巻では封印跡に眠っていた横笛が禁術の発動につながる。
魔王本人が何かをしているわけではない。
それでも、魔王に関係するものが残っているだけで、次々と大事件が起こってしまう。
いったい、どれだけ危険なものを残していたのか。
魔王というのは、一体の強大な魔物なのだろうか。
それとも、倒した後も世界に影響を残し続ける、もっと別の存在なのだろうか。
前巻でも同じようなことを考えたが、今回も答えは出なかった。
むしろ、疑問が増えた気がする。
結婚式という幸せな行事の裏で、またしても魔王の影がちらつく。
魔王がまだ祟るのか。
ホントに魔王って何?
そんなことを考えながらも、最後に白いドレスを着たレティシアを見て、少し安心した。
いろいろあった二人だが、今度こそ穏やかに暮らしてほしい。
もっとも、黄金竜ファフニールまで登場した以上、そう簡単にはいかないのかもしれない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
ストーリー・プロット
第1幕:王都の祝祭と持ち去られた物品の謎
ベルカイム王国の地下深く、かつて魔王が封印されていた瓦礫の跡地へ侵入した一人の男が、目的の品である一本の横笛を掘り出し、禁術の扉を開く旋律を奏でる。その頃、リンチギハム王宮ではエリアーヌとナイジェルが、間近に迫ったクロードとレティシアの結婚式について語り合っていた。
前回の茶会でレティシアから城の地下跡地で盗難事件が起きたと聞かされていたエリアーヌは懸念をナイジェルへ伝え、同行を希望したドグラスと共に三人でベルカイム王国へ向かう。
祝祭ムードの王都に到着後、買い食いに出たドグラスと別れた二人は、出店で不当な高額請求をして客の少年を殴っていた店員をクロードが取り締まる現場に遭遇する。
立派な統治者へと成長したクロードに案内されて王城へ向かった一行は、玉座の間で国王や騎士団長カーティスから歓迎を受けた後、レティシアの私室で式の予定と地下の盗難事件について情報を共有し、警戒を強める。
第2幕:アポロン音楽団の旋律とファーヴの警告
エリアーヌとナイジェルは王都の散策中、アポロン音楽団の団長ディートヘルムによる見事な演奏を目にする。演奏後、ディートヘルムが放った一本の赤い薔薇が偶然エリアーヌの手元へ届き、正体に気付いた周囲が騒ぎ出したため二人はその場を離れる。
続いて街外れの学校を訪ね、教師を務める元歴史学者ジークハルトに地下の盗難事件について意見を求めると、ジークハルトは大昔に世界を滅亡の危機に陥れた未完成の禁術と呪術士集団の歴史を語り、持ち去られた物がその禁術に関連している可能性を示唆する。
学校からの帰り道、二人は呪いで身体を強化された六人の暗殺者に包囲されるが、エリアーヌの結界とナイジェルの剣技で制圧する。
背後から立ち上がった残党の刃を突如現れた双剣の男ファーヴが切り捨て、ファーヴは禁術の完全発動を狙う者がいると警告を残して去っていく。
第3幕:結婚式の決行と厨房・渡り廊下の異変
王城の会議室に集まった一行は、ファーヴの情報と禁術の脅威について協議する。危険を考慮して式の中止を提案するドグラスに対し、クロードとレティシアは式を決行して首謀者を誘き出す策を主張し、エリアーヌたちも賛同して予定通りの挙行が決定する。結婚式当日、アポロン音楽団の重厚な演奏とともに漆黒のウェディングドレスを纏ったレティシアが入場し、司会が彼女の呪術士の出自を公表して場内が騒然となる中、クロードは壇上に立って彼女の過去ごと愛し抜くと堂々と宣言する。
歓談の最中、厨房でコック長が呪いにかかって暴れ、目玉であった巨大なウェディングケーキを破壊したとの急報が届く。
厨房へ急行したエリアーヌがコック長を解呪し、料理人たちとケーキの修復作業を開始する一方、渡り廊下で参列者の男が呪いで暴れているとの知らせを受け、ナイジェルとカーティスが急行して制圧する。
意識を取り戻した男が、正気を失う直前に音楽団の横笛の音を聞いたと証言したことで、首謀者の疑いがディートヘルムへ向けられる。
第4幕:神父の豹変と家庭教師の正体
壇上で誓いの儀を行おうとしていたクロードとレティシアの前に、突如として呪いで目を赤く染めた神父が襲いかかる。レティシアが呪いを相殺して防ぐものの、操られた参列者たちが二人を取り囲み、過去の罪を責め立てる。その混乱の中、横笛を手にしたディートヘルムが現れ、自らがかつての家庭教師であり、禁術を発動した首謀者であると明かす。罪の重さに苛まれ呪術の精彩を欠くレティシアを連れ、クロードは救援を信じて屋上へと逃走する。一方、城内の至る所で呪いが爆発して操られた人々が押し寄せる中、エリアーヌは広範囲の解呪魔法を放って人々の瘴気を浄化し、中庭へ向かう。
第5幕:中庭の激闘と屋上からの落下
中庭に出現した巨大な呪いのベヒモスを相手にエリアーヌたちが連戦を強いられる中、ファーヴが駆けつけて魔物を一刀両断する。ドグラスがファーヴの口元の布を剥ぎ取ると、その素顔を見たドグラスは激しい憎悪を露わにするが、ファーヴは屋上を見上げてレティシアたちの危機を告げる。屋上へ追い詰められたレティシアは、ディートヘルムに首を掴まれて宙吊りにされ、自分を救おうとするクロードを巻き込まないために自ら彼の手を振り払って落下する。クロードも迷わず後を追って飛び降り、空中で彼女の身体を強く抱きしめる。激突寸前の二人を、人間の姿を解いてドラゴンとなったドグラスが背中で受け止め、屋上へと舞い戻る。
第6幕:クロードの決死の一撃とディートヘルムの討伐
屋上でディートヘルムは無数の闇の触手を出現させてナイジェルとドグラスを阻み、再生する触手によって防戦を強いられる。隙を突いた九本目の触手がナイジェルを狙った瞬間、レティシアから身に宿す呪いを付与されたクロードが、死角からディートヘルムの胸を剣で刺し貫く。先代聖女の血筋により呪い耐性を持つクロードは正気を保ったまま敵の虚を突き、怯んだディートヘルムをナイジェルが一閃して切り伏せる。エリアーヌが即座に解呪を施したことで触手と闇のオーラは霧散し、禁術は未完成のまま阻止される。屋上に駆けつけた大臣やメイドたちから純白のウェディングドレスが手渡され、周囲の祝福に包まれながら、レティシアとクロードは改めて誓いの口づけを交わす。
第7幕:エピローグ(無音の牢獄と黄金竜の正体)
地下牢に収監されたディートヘルムは、未完成のまま解呪された禁術の反動により、自慢の音楽が一切聞こえない無音の世界に閉ざされて絶望する。リンチギハムへ帰還したナイジェルは、クロードが呪いに耐えられた理由を尋ね、エリアーヌから「先代聖女の子供であったため」という推測を聞かされ、安心したようにエリアーヌの膝枕で眠りに就く。その夜、王城のバルコニーに佇むドグラスにエリアーヌが問いかけた結果、ファーヴの真の正体が全ドラゴンの敵である黄金竜ファフニールであることが明かされる。ベルカイムの街では、迷子の子犬を保護して飼い主へ送り届けたレティシアが、再び王城へ迷い込んできたその子犬を温かく迎え入れていた。
主要な転換点
転換点:魔王封印跡地からの横笛持ち去り
- それ以前の状況:ベルカイム城地下の魔王封印跡地は魔王消滅後に放置されており、街の復興が優先されていた。
- 出来事:アポロン音楽団の団長ディートヘルムが隠し通路から侵入し、瓦礫の下から禁術の鍵となる横笛を掘り出して旋律を奏でた。
- 変化:大昔に葬られた禁術が未完成ながら起動し、王都内に呪いの波及が始まった。
- 次への影響:エリアーヌたちが結婚式出席と並行して事件の真相を調査する動機となり、式典中の参列者暴走事件へと発展した。
転換点:結婚式中止の拒否と首謀者炙り出しの決断
- それ以前の状況:暗殺者急襲とファーヴからの警告を受け、ドグラスは大規模な被害を防ぐため結婚式の中止を主張していた。
- 出来事:クロードとレティシアが式を予定通り決行して首謀者を誘き出す策を主張し、エリアーヌやナイジェルもこれに同意した。
- 変化:受動的な防衛ではなく、敵の罠を利用して決戦に持ち込む方針が確定した。
- 次への影響:式典中にディートヘルムが姿を現して自ら正体を明かすことになり、屋上での直接対決の舞台が整った。
転換点:ドグラスによる落下中の二人救出
- それ以前の状況:屋上へ追い詰められたレティシアが宙吊りにされ、クロードの負担を避けるため自ら手を離して落下し、クロードも後を追って飛び降りていた。
- 出来事:ファーヴの指摘を受けたドグラスが人間化を解き、光の速度で飛翔して空中で二人を背中に乗せて屋上へ帰還させた。
- 変化:二人の即死が防がれ、主戦力であるナイジェル、ドグラス、エリアーヌが屋上のディートヘルムと対峙する状況が作られた。
- 次への影響:屋上での最終決戦へと突入し、クロードによる背後からの奇襲攻撃へと繋がった。
転換点:クロードによるディートヘルムへの刺突
- それ以前の状況:ディートヘルムが無数の闇の触手を再生させ続け、ナイジェルとドグラスの攻撃を阻んで押し返していた。
- 出来事:レティシアから呪いを付与されたクロードが、意識の外に置かれていた隙を突いて背後からディートヘルムの胸を剣で刺し貫いた。
- 変化:強固な呪いの守りが破られ、ディートヘルムの集中が途切れて触手の動きが停止した。
- 次への影響:ナイジェルの追撃とエリアーヌの解呪が決まり、未完成の禁術が完全に崩壊して事件が決着した。
エリアーヌを中心とした人物関係の変化
レティシア
- 開始時:過去の因縁を越えて和解し、定期的にお茶会を開く親しい友人同士。
- 主な出来事:結婚式の予定を共有し、式典中の呪いの混乱の中で互いを信じて行動し、純白のドレス姿を見届けたこと。
- 巻末時:互いのパートナーとの惚気や家庭の悩みを笑い合える、確固たる信頼で結ばれた無二の親友。
クロード
- 開始時:過去の過ちを悔いて勉強に励む元婚約者であり、良好な外交関係を築きつつある間柄。
- 主な出来事:街での不正出店を毅然と裁く姿を目撃し、式典での堂々たる宣言や、命懸けでレティシアを守り敵を討つ勇姿を見届けたこと。
- 巻末時:立派な国王の後継者として、またレティシアを真に幸せにできる男として完全に認め、心から信頼を寄せる友人。
ナイジェル
- 開始時:多忙な公務によるすれ違いに少し寂しさを感じながらも、深く愛し合っている新婚夫婦。
- 主な出来事:ベルカイムへの同行、街中での手繋ぎ散策、呪いの怪物たちとの共闘、膝枕での休息。
- 巻末時:過酷な事態を乗り越えてさらに絆を深め、お互いに素直な甘えや愛情を表現し合える盤石な夫婦関係。
ドグラス
- 開始時:実の兄のように親しく、遠慮のない悪戯を仕掛けてくるドラゴンの友人。
- 主な出来事:王都での食べ歩き、式典での警護、ドラゴン形態によるレティシアたちの救出、夜のバルコニーでの対話。
- 巻末時:変わらぬ厚い信頼を保ちつつ、ファーヴ(黄金竜)というドラゴンの宿敵の存在を共有する重要な仲間。
主人公の認識と周囲の評価
主人公自身の認識
エリアーヌ自身は、自らを「料理や他愛のないお茶会が好きで、少し世間知らずなところがある普通の女の子」と認識している。王太子妃や聖女という立場については「民や大切な友人を守るための義務であり、特別に威張るようなものではない」と考えており、周囲から過剰に崇められたり美人だと褒められたりすることに対しては、強い気恥ずかしさと居心地の悪さを覚えている。また、事件の解決についても自分一人の手柄ではなく、ナイジェルやドグラス、仲間たちの協力があってこそ成し遂げられたものと捉えている。
周囲からの評価
- ナイジェル:何ものにも代えがたい最愛の妻であり、その笑顔を見るだけで無限の活力を与えてくれる、生涯をかけて愛し守るべき絶対的な存在。
- レティシア:どれほど酷い仕打ちをされても損得なしで手を差し伸べてくれたお人好しであり、敵わないと認めざるを得ない眩しい本物の聖女。
- クロード:過去の愚かな自分を目覚めさせ、国を救ってくれた最大の恩人であり、頭が上がらない存在。
- ドグラス:ドラゴンである自分を一人の男として対等に接してくれた唯一の存在であり、何があってもその幸せを守るべき大切な女性。
- ベルカイムの騎士・大臣・国民:かつて追放した過去を恥じ入り、国を滅亡の危機から救い、今なお慈悲深く人々を癒してくれる「最大の救済者」「奇跡をもたらす本物の聖女」として崇敬している。
認識の差が現れた場面
- 王城玉座の間での出迎え時:エリアーヌは「レティシアと定期的にお茶会をしているただの友人」という感覚で訪れたが、国王や騎士団長カーティス、大臣たちは整列して一糸乱れぬ敬礼を捧げ、国家の救済者に対する最高礼で出迎えたため、エリアーヌは激しく動揺した。
- 厨房でのケーキ作り直し時:エリアーヌは「主役の二人が悲しまないよう、料理好きとして当たり前のお手伝いをしただけ」と考えていたが、現場のコックたちは「王太子妃でありながら厨房に立って作業を牽引し、希望を与えてくれた偉大な聖女」として深い感銘と忠誠を抱いた。
- アポロン音楽団の演奏後:エリアーヌは「素敵な演奏に拍手を送り、偶然飛んできた薔薇を受け取っただけの一観客」として振る舞ったが、周囲の観衆やディートヘルムからは「世界の光を象徴する本物の聖女が降臨した瞬間」として畏敬の視線を向けられることとなった。
登場キャラクター
ベルカイム王国
レティシア
呪術士の家系に生まれた伯爵令嬢を務める。幼少期に周囲から迫害された過去を持つ。過去の過ちを深く反省しクロードとの結婚式を迎える。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・伯爵令嬢(王太子妃)。呪術士。
・物語内での具体的な行動や成果 黒いドレスで式に臨み自らの過去と向き合った。落ちる際にクロードの手に救われる。クロードへ呪いを付与してディートヘルムの隙を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 クロードから変わらぬ愛を受けた。純白のドレスで再び誓いの口づけを交わす。
エリアーヌ
元ベルカイム王国の聖女を務めていた人物に該当する。強い聖魔法と高い解呪能力を保有する。周囲の人々の幸せを願う強い意志を示す。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・聖女(元)。リンチギハム王国・王太子妃。
・物語内での具体的な行動や成果 王城や街中に広がった呪いを解呪した。コックたちを支援してウェディングケーキを作り直す。ドラゴン化したドグラスの背に乗り二人を救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 高い解呪能力により禁術の被害を最小限に抑えた。クロードが先代聖女の子供であることを突き止める。
クロード
ベルカイム王国の第一王子を務める。レティシアの婚約者に該当する。レティシアに対して深い愛情を注ぐ。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果 不正を行った出店を取り締まった。式場でレティシアへの変わらぬ愛を宣言する。屋上から落ちたレティシアを追って跳び降りた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 先代聖女の血を引くため呪いへの耐性を保持していた。レティシアの呪いを身に宿してディートヘルムを突き刺す。
カーティス
ベルカイム王国の騎士団長を務める。職務に対して真面目な姿勢を維持する。エリアーヌへ深い敬意を払う。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果 王城に到着したエリアーヌたちを出迎えた。渡り廊下で呪われた参列者と交戦する。ナイジェルと協力して相手を取り押さえた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 騎士団長として城内の警備と避難誘導を指揮した。
ベルカイム国王
ベルカイム王国の最高統治者を務める。クロードの父親に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果 玉座の間でエリアーヌたちの来訪を迎えた。敬意を表して頭を垂れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 エリアーヌたちへ最大の感謝を示した。
ベルカイムの大臣たち
ベルカイム王国の政務を担当する重臣たちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・大臣。
・物語内での具体的な行動や成果 玉座の間でエリアーヌたちを敬礼で迎えた。式の途中でレティシアの過去に対して疑問を抱く。屋上へ駆けつけて二人への祝福を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 クロードとレティシアの強い絆を認めた。
ベルカイム王国騎士団
ベルカイム王国の防衛と治安維持を担う騎士たちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果 玉座の間で整列して礼を表した。厨房での事件発生をクロードへ報告する。渡り廊下で暴れる人物の対応にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 城内の警備と収容活動に従事した。
ベルカイムの民たち
ベルカイム王国の首都で暮らす住民たちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・住民。
・物語内での具体的な行動や成果 結婚式を祝うため街の出店を巡った。花火の打ち上げを鑑賞する。アポロン音楽団の演奏へ歓声を送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 王国の祝祭空間を楽しんだ。
店員
祭りの中で出店を営む男性に該当する。
・所属組織、地位や役職 出店・店員。
・物語内での具体的な行動や成果 男の子へ不当な高額請求を行った。支払い拒否に対して男の子を殴りつける。クロードから営業許可を取り消された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 不正行為を追求され裁判を受けることとなった。
男の子
街の出店で買い物をしようとした少年に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム・住民。
・物語内での具体的な行動や成果 出店の店員から殴られて負傷した。エリアーヌの治癒魔法を受けて傷を治される。ナイジェルやクロードに助けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 不正な請求から無事に保護された。
ジークハルト
学校の教師を務める元歴史学者に該当する。魔王や呪いの歴史に関する知識を保有する。
・所属組織、地位や役職 元歴史学者。学校教師。
・物語内での具体的な行動や成果 訪問したエリアーヌやナイジェルを歓迎した。大昔に存在した未完成の禁術について解説する。呪術士の歴史や社会的位置づけを語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 子どもたちから慕われながら教師生活を送る。
コック長
王宮の厨房を統括する人物に該当する。温厚な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王宮・コック長。
・物語内での具体的な行動や成果 式で出す巨大なウェディングケーキを準備していた。禁術の呪いにかかって激しく暴れ回る。エリアーヌの解呪魔法を受けて正気を取り戻した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 失神前の綺麗な音の記憶をエリアーヌへ伝えた。
コックたち
王宮の厨房で調理を行うスタッフたちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王宮・コック。
・物語内での具体的な行動や成果 暴れたコック長を取り押さえようとした。壊れたウェディングケーキを見て落胆する。エリアーヌとともにケーキの再作成を完遂させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 エリアーヌの協力を得て役割を果たした。
司会
結婚式の進行を担当する人物に該当する。
・所属組織、地位や役職 結婚式・司会進行役。
・物語内での具体的な行動や成果 クロードやレティシアの経歴を朗読した。レティシアが呪術士であることを公表する。呪いにかかり二人へ殺意を向けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 禁術の影響を受けて暴走状態へ陥った。
神父
誓いの儀を担当する教会の神父長を務める。
・所属組織、地位や役職 教会・神父長。
・物語内での具体的な行動や成果 壇上で二人の誓いの儀を進行した。禁術の呪いにかかりレティシアへ襲いかかる。レティシアの放つ呪いによって防がれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 呪いの侵食を受けて自我を失った。
参列者たち
各国や国内から結婚式へ招かれたゲストたちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 結婚式・参列者。
・物語内での具体的な行動や成果 黒いドレスのレティシアを見て歓声をあげた。レティシアの過去に対して不満や噂話を口にする。禁術により正気を失い二人へ襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 エリアーヌの解呪により正気を引き戻した。
メイドたち
王城で給仕や雑務を担当するスタッフたちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王宮・侍女(メイド)。
・物語内での具体的な行動や成果 レティシアのために純白のドレスを大切に保護した。避難指示を無視して屋上へドレスを運搬する。レティシアへ祝福の言葉を贈った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 二人の結婚を心から後押しした。
リンチギハム王国
ナイジェル・リンチギハム
リンチギハム王国の第一王子を務める。エリアーヌの夫であり高い戦闘能力を示す。
・所属組織、地位や役職 リンチギハム王国・第一王子(王太子)。
・物語内での具体的な行動や成果 暗殺者たちを剣技で無力化した。渡り廊下にてカーティスと共闘し参列者を制圧する。屋上で光の粒子を放ち触手を撃ち払った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ディートヘルムへ追撃を加えて倒した。帰還後にエリアーヌの膝枕で休息を取る。
セシリー
リンチギハム王国の第一王女を務める。光の聖女としての力を秘める。
・所属組織、地位や役職 リンチギハム王国・第一王女。光の聖女。
・物語内での具体的な行動や成果 王城の中庭で聖女の特訓に取り組んだ。ラルフに向かって鰹節を投げる練習を行う。ラルフの声を一度だけ聴き取ることに成功した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 聖女の力を高める訓練を継続した。
ラルフ
リンチギハム王宮で飼育される神獣フェンリルに該当する。人間の言葉を理解する。
・所属組織、地位や役職 リンチギハム王室・ペット(神獣フェンリル)。
・物語内での具体的な行動や成果 セシリーの特訓相手を担当した。投げられた鰹節を空中でお口で受け止める。セシリーへ厳しいアドバイスをかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 神獣としてセシリーの成長を見守った。
アビー
リンチギハム王宮に仕える侍女を務める。眼鏡を着用している。
・所属組織、地位や役職 リンチギハム王国・侍女。
・物語内での具体的な行動や成果 セシリーとラルフの特訓を見守った。特訓の成功に対して歓声をあげる。特訓後に美味しいクッキーを準備した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 セシリーの身の回りの世話を担当した。
アポロン音楽団
ディートヘルム
アポロン音楽団の団長兼指揮者を務める。正体はレティシアの元家庭教師である呪術士に該当する。絶望の音楽を追求する。
・所属組織、地位や役職 アポロン音楽団・団長。呪術士(元家庭教師)。
・物語内での具体的な行動や成果 地下から横笛を掘り起こして禁術を解放した。横笛の演奏を用いて城内の人々を暴走させる。クロードの突刺とナイジェルの攻撃を受けて倒れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 地下牢へ収監された。禁術の反動により聴覚を完全に喪失する。
アポロン音楽団の楽団員たち
アポロン音楽団に所属して演奏を行うメンバーたちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 アポロン音楽団・楽団員。
・物語内での具体的な行動や成果 街頭でディートヘルムの指揮のもと演奏を披露した。結婚式のオープニングにて演奏を奏でる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 聖女エリアーヌに演奏を聴かれたことを喜んだ。
ドラゴン
ドグラス
人間に擬態して暮らすドラゴンでありエリアーヌの友人。高い格闘能力と直感を示す。
・所属組織、地位や役職 ドラゴン。
・物語内での具体的な行動や成果 王都の出店でチョコバナナを楽しんだ。ドラゴン化して落下するクロードとレティシアを背中で受け止める。屋上にて触手攻撃を破砕した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ファーヴの正体が黄金竜ファフニールであることをエリアーヌへ明かした。
ファーヴ(黄金竜ファフニール)
漆黒の髪と冷酷な瞳を持つ双剣の剣士。正体は全ドラゴンの敵とされる黄金竜ファフニールに該当する。
・所属組織、地位や役職 黄金竜(ファフニール)。
・物語内での具体的な行動や成果 暗殺者の残党を一撃で斬り捨てた。エリアーヌたちへ禁術の存在を警告する。中庭に現れた巨大ベヒモスを圧倒的な剣技で一滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ドグラスによって顔の布を剥ぎ取られ正体を暴露された。
その他(集団・街の人物等)
イジメっ子たち
幼少期のレティシアに対して暴言や暴力を振るっていた子供たちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム・子供。
・物語内での具体的な行動や成果 レティシアに対して石を投げつけた。呪術士の娘であることを理由に嘲笑する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 幼少期のレティシアに深い傷を与えた。
暗殺者たち
呪いによって身体を強化された者たちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 暗殺者(操られた人々)。
・物語内での具体的な行動や成果 夜道でエリアーヌとナイジェルを包囲した。結界に対して短刀で襲いかかる。ナイジェルによって制圧された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 解呪された後に事件の尋問を受けた。
警備兵たち
ベルカイム王都の治安維持を担当する兵士たちの集団に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム王国・警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果 暗殺者との騒ぎを聞きつけて現場へ駆けつけた。エリアーヌとナイジェルから事情聴取を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 二人を安全のため宿屋へ送り届けた。
少女
王都で子犬を紛失して探していた少女に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム・住民。
・物語内での具体的な行動や成果 逃げ出した子犬のリリーを探し回った。レティシアのおかげで子犬と再会を果たしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 レティシアへ感謝の言葉をかけた。
少女の母親
子犬を探す少女に同行していた母親に該当する。
・所属組織、地位や役職 ベルカイム・住民。
・物語内での具体的な行動や成果 娘とともに街中で子犬の捜索を行った。無事に子犬が見つかり安心する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 娘とともに子犬を引き取って帰宅した。
リリー
少女に飼われている小型の子犬に該当する。
・所属組織、地位や役職 ペット(子犬)。
・物語内での具体的な行動や成果 街中で飼い主とはぐれて困惑していた。レティシアからお肉を与えられる。王城の中へ逃げ込みレティシアの胸に飛び込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 レティシアに対して非常になついた。
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展開まとめ
プロローグ
幼少期の迫害と純白のドレスへの憧れ
呪術士の家系に生まれたレティシアは、幼少期に近所の子どもたちから石を投げられ、呪術士を愛する男などいないと罵倒されていた。教会で見かけた花嫁の幸せそうな姿に憧れを抱きながらも、自らの血筋ゆえに普通の幸せを諦めかけていたレティシアは、一度だけでいいから白いウェディングドレスを着させてほしいと神に祈った。
第一話
地下深くの横笛と禁術の解放
魔王が封印されていたベルカイム王国の地下深くへ足を踏み入れた男は、瓦礫の山の中から目的の品である一本の横笛を掘り起こした。男がその横笛に口を寄せて美しい旋律を奏でると、世界を揺るがす禁術の扉が開かれた。
結婚式の報せと王都への出発決定
リンチギハムの王城で暮らすエリアーヌとナイジェルは、数日後に迫ったクロードとレティシアの結婚式について語り合っていた。その最中、エリアーヌは前回の茶会でレティシアから聞いた、ベルカイム城地下の魔王封印跡に何者かが侵入して物を持ち去ったという異変をナイジェルに伝えた。部屋に現れたドグラスも同行を申し出たため、三人で結婚式へ出席しつつ事態の真相を究明することとなった。
王都の祝祭とクロードの出迎え
祝祭ムードに包まれたベルカイム王都に到着した一行は、買い食いに出たドグラスと別れ、出店で不当な高額請求をして客の少年を殴っていた店員をクロードが取り締まる現場に遭遇した。治安維持のために毅然と営業許可を取り消したクロードは、出迎えるために王城へ同行するようエリアーヌたちを促した。
王城での再会と地下の侵入事件
王城の玉座の間で国王や騎士団長カーティスから歓迎を受けた後、エリアーヌたちはレティシアの部屋へ移動した。式当日の華やかな予定を聞かされるとともに、城の地下から何者かが持ち去った物品について改めて情報共有を行い、一行は警戒を強めた。
レティシアの回想と家庭教師の記憶
エリアーヌたちが辞去した後、クロードから手編みセーターの思い出を語られたレティシアは、幼少期に自分を指導した家庭教師の先生のことを回想した。世界を呪いで塗り替えようと語っていた先生の狂気的な笑顔を思い出し、レティシアは不穏な予感を覚えた。
アポロン音楽団の演奏と一本の薔薇
王都を散策していたエリアーヌとナイジェルは、アポロン音楽団の団長ディートヘルムによる見事な演奏を耳にした。演奏後、ディートヘルムが空高く投げた一本の赤い薔薇がエリアーヌの手元に届き、聖女の正体に気付いた周囲が騒ぎ出したため、二人はその場を離れた。
ジークハルトの証言と禁術の歴史
街外れの学校を訪ねたエリアーヌとナイジェルは、教師を務める元歴史学者のジークハルトに地下の盗難事件について意見を求めた。ジークハルトは、かつて世界を滅亡の危機に陥れ、闇に葬られた未完成の禁術と呪術士集団の歴史を語り、持ち去られた物がその禁術に関連している可能性を示唆した。
暗殺者の急襲とファーヴの警告
学校からの帰り道、エリアーヌとナイジェルは呪いで身体を強化された六人の暗殺者に包囲された。エリアーヌの結界とナイジェルの剣技で制圧したものの、背後から立ち上がった残党の刃を突如現れた双剣の男ファーヴが切り捨てた。ファーヴは禁術の完全発動を狙う者がいると告げ、企みを阻止しろと警告して姿を消した。
第二話
結婚式での首謀者捜索計画
王城の会議室に集まった一行は、ファーヴの情報と禁術の脅威について議論を交わした。危険を考慮して式の中止を提案するドグラスに対し、クロードとレティシアは式を決行して首謀者を誘き出す策を主張し、エリアーヌたちも賛同して予定通りの挙行を決定した。
黒いドレスの花嫁とクロードの決意表明
結婚式が開幕し、アポロン音楽団の演奏とともに漆黒のウェディングドレスを纏ったレティシアが登場した。司会によってレティシアが呪術士の出自であることが公表され、場内が騒然とする中、クロードは壇上に立って彼女の過去ごと愛し抜くと堂々と宣言した。
厨房の異変とケーキの作り直し
式の歓談中、厨房でコック長が呪いにかかって暴れ、目玉であった巨大なウェディングケーキを破壊したとの急報が入った。厨房へ駆けつけたエリアーヌがコック長を解呪し、悲嘆に暮れる料理人たちを励ましながら即座にケーキの修復作業を開始した。
渡り廊下の戦闘と横笛の証言
渡り廊下で参列者の男が呪いで暴れているとの知らせを受け、ナイジェルとカーティスが現場へ急行した。呪いで強化された男の暴走をナイジェルとドグラスが制圧し、駆けつけたエリアーヌが解呪した。意識を取り戻した男は、正気を失う直前に音楽団が奏でていた横笛の音を聞いたと証言した。
神父の豹変とディートヘルムの正体
壇上で誓いの儀を行おうとしていたクロードとレティシアの前に、呪いで目を赤く染めた神父が襲いかかった。レティシアが呪いを相殺して防いだものの、操られた参列者たちが二人を取り囲んだ。その混乱の中、横笛を手にしたディートヘルムが現れ、自らがかつての家庭教師であり、禁術を発動した首謀者であると明かした。
第三話
城内の呪いの蔓延とエリアーヌの解呪
城内の至る所で呪いが爆発し、操られた人々が窓から飛び降りて襲いかかってきた。エリアーヌが解呪魔法を放って人々の瘴気を浄化し、元凶を断つため中庭へ向かった。
中庭の交戦とファーヴの素顔
中庭に出現した巨大な呪いのベヒモスを相手にエリアーヌたちが連戦を強いられる中、ファーヴが駆けつけて魔物を一刀両断した。ドグラスがファーヴの口元の布を剥ぎ取ると、その正体がドラゴンの敵であることを見抜いて激怒した。
屋上への逃走とクロードの跳躍
屋上へ追い詰められたレティシアは、ディートヘルムに首を掴まれて宙吊りにされ、自分を救おうとするクロードを巻き込まないために自ら手を離して落下した。クロードも迷わず後を追って飛び降り、空中で彼女の身体を強く抱きしめた。
ドグラスによる救出と屋上の激闘
ドラゴンの姿に戻ったドグラスが落下する二人を受け止めて屋上へ戻り、ディートヘルムが繰り出す無数の闇の触手と激戦を繰り広げた。
クロードの刺突とディートヘルムの討伐
九本目の触手がナイジェルを狙った瞬間、レティシアから身に宿す呪いを付与されたクロードが背後からディートヘルムの胸を貫いた。隙を突いたナイジェルの追撃とエリアーヌの解呪により、禁術は未完成のまま阻止された。
純白のドレスと屋上の誓い
屋上に駆けつけた大臣やメイドたちから純白のウェディングドレスが手渡され、周囲の祝福に包まれながら、レティシアとクロードは改めて誓いの口づけを交わした。
エピローグ 世界で一番幸せな花嫁
無音の牢獄とディートヘルムの末路
地下牢に収監されたディートヘルムは、未完成だった禁術の反動により突如として聴覚を失った。至上の音楽として絶望を愛していた男は、自慢の音が一切聞こえない無音の世界に絶望した。
クロードの耐性の理由とナイジェルの甘え
リンチギハムへ帰還したナイジェルは、クロードが呪いに耐えられた理由を尋ねた。エリアーヌは、クロードが先代聖女の子供であったために呪いへの耐性を備えていたと推測を明かした。激務から解放されたナイジェルはエリアーヌの膝枕で安らかに眠りに就いた。
黄金竜ファフニールの正体
夜のバルコニーで一人佇むドグラスに対し、エリアーヌが問いかけた結果、ファーヴの真の正体が全ドラゴンの敵である黄金竜ファフニールであることが明かされた。
迷子の子犬とレティシアの温もり
ベルカイムの街でロマンス小説を買いに出かけたレティシアは、見捨てられずに保護した迷子の子犬を飼い主へ無事に送り届けた後、再び王城へ迷い込んできたその子犬を受け入れた。
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