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フィクション(Novel)乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル春の日びより読書感想

小説【乙サバ】「乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 9」感想・ネタバレ

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乙女ゲームのヒロインで 最強サバイバル 9の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

乙サバ8レビュー
まとめ
乙サバ10レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
        1. アリア
        2. エレーナ・クレイデール
        3. アーリシア・メルシス(リシア)
        4. アモル・クレイデール
        5. カルラ・レスター
        6. エルヴァン・クレイデール
        7. クララ・ダンドール
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
      1. 本物のヒロインが偽聖女を断罪!カルラとの最後の戦いが切なすぎた
      2. ※以下、『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル』第9巻の重大なネタバレを含みます。
        1. エレーナは表舞台、アリアは裏社会。二人の戦い方が完全に分かれた
        2. 人身売買を行うハーマン商会。アリアが屋敷ごと燃やすのも納得してしまう
        3. 王弟アモルが不死兵を量産。意識があるまま蟲に操られる恐怖
        4. アリア、フェルド、ネロ、そしてカルラ。敵のはずなのに救援へ向かうのが面白い
        5. メルローズ家を守るアリア。母の形見を祖母へ渡す場面が印象的だった
        6. カルラ対アモル。怪物同士の戦いに巻き込まれる騎士たちが気の毒すぎる
        7. 巨大な蟲となったアモル。聖女リシアは民衆の恐怖まで利用する
        8. 卒業パーティーが始まる。偽聖女が勝利を確信しているのが面白い
        9. 王太子エルヴァンの婚約破棄宣言。まさかクララを選ぶとは
        10. 【完全鑑定】で偽聖女の正体が暴かれる。リシアの転落があまりにも早い
        11. 本物のアーリシア・メルローズ登場。偽聖女の計画が完全に崩壊する
        12. リシアの最期。悪魔に利用され、ようやく本当の自分を取り戻す
        13. 王都が炎上。悪魔コレットとの戦いは総力戦へ
        14. カルラが父レスター伯爵を殺害。長年の復讐がついに終わる
        15. 悪魔コレットを討伐。これで終わりかと思ったらカルラが動き出す
        16. カルラの最終決戦。王都を道連れにしてでもアリアに殺されたい
        17. アリア対カルラ。黄金の短剣が心臓を貫く最後の瞬間
        18. カルラの過去を知ると、最期の笑顔が違って見える
        19. 半年後、エレーナは王太女へ。アリアは「鉄の薔薇姫」として自由を選ぶ
        20. 第9巻を読んで感じたこと。アリアは本物のヒロインだったのか
        21. カルラの最期がすべてを持っていった第9巻
  5. 考察・解説
      1. ストーリー・プロット
        1. 第1幕:夜会の政治戦と公爵領の闇
        2. 第2幕:不死兵の胎動と二大貴族襲撃の報
        3. 第3幕:メルローズ邸とダンドール邸の防衛戦
        4. 第4幕:アモルの暴走と王都の惨禍
        5. 第5幕:少女たちの決断と式典の開演
        6. 第6幕:王太子の断罪と本物の名乗り
        7. 第7幕:大広間の死闘と前世の女の消滅
        8. 第8幕:最終決戦と新たな旅立ち
      2. 主要な転換点
        1. 転換点:アモルの不死兵部隊による二大貴族屋敷強襲
        2. 転換点:カルラによるアモルの魔石破壊と王都への暴走
        3. 転換点:エルヴァンの完全鑑定告発とアリアの名乗り
        4. 転換点:カルラとの最終決戦と死の成就
      3. アリアを中心とした人物関係の変化
        1. エレーナ・クレイデール
        2. カルラ・レスター
        3. メルローズ家(ベルト、セシリア、ミハイル)
        4. アーリシア(リシア)
      4. 主人公の認識と周囲の評価
        1. 主人公自身の認識
        2. 周囲からの評価
        3. 認識の差が現れた場面
  6. 登場キャラクター
    1. クレイデール王国
      1. アリア・レイトーン(アーリシア・メルシス)
      2. エレーナ・クレイデール
      3. ラインハルト・フォン・クレイデール
      4. エルヴァン・フォン・クレイデール
      5. クララ・ダンドール
      6. カルラ・レスター
      7. イグナス・レスター
      8. カルラの二番目の兄
      9. パトリシア・フーデール
      10. アモル・クレイデール
      11. ベルト・ファ・メルローズ
      12. セシリア・メルローズ
      13. ミハイル・メルローズ
      14. ダンドール辺境伯
      15. ロークウェル・ダンドール
      16. セラ・レイトーン
      17. セオ
      18. オズ
      19. クロエ
      20. ヒルダ
      21. ドリス
      22. ハイジ
      23. ビビ
      24. ヘールトン公爵
      25. スタンレイ伯爵
      26. スタンレイ男爵
      27. カークランド
      28. 第一騎士団
      29. 第二騎士団
      30. 第三騎士団
      31. 第五騎士団
      32. 近衛騎士団
      33. 宮廷魔術師団
    2. 聖教会
      1. アーリシア・メルシス(聖女リシア)
      2. ハイラム
      3. ナサニタル
      4. オストール(神殿長)
      5. 神殿騎士団
      6. 聖女リシア派閥
    3. 冒険者パーティー「虹色の剣」
      1. ドルトン
      2. フェルド・ルーイン(フェルド・タングス)
      3. ヴィーロ
      4. ミランダ
      5. ジェーシャ
      6. メアリー
      7. ヴィーロ・ドーン
      8. レオンハルト・ドーン
      9. ヴィーニャ・ドーン
      10. サマンサ
      11. ルーク
    4. ソルホース王国・ハーマン商会
      1. ヴォルフ
      2. ハーマン商会会頭
      3. ソルホース王国暗部組織
    5. 暗殺者ギルド
      1. キーラ(愉悦のキーラ)
    6. 防具店
      1. ゲルフ
    7. 悪魔・幻獣・魔物・その他
      1. コレット(夢魔コレット)
      2. 無貌の悪魔
      3. 下級悪魔
      4. 前世の女
      5. ネロ
      6. 地竜(アモル・蟲の悪魔)
      7. オークソルジャー
  7. 備忘録
    1. 第四章 銀の翼に恋をする・後編
      1. 浸食する悪意
      2. ソルホース王国
      3. 開演前
      4. 援軍
      5. 歪んだ聖戦『襲撃』
      6. 歪んだ聖戦『絆血』
      7. 歪んだ聖戦『悪意』
      8. 少女の決意
      9. 思惑
      10. 卒業イベント『開幕』
      11. 卒業イベント『断罪』
      12. 卒業イベント『妄執』
      13. 卒業イベント『業火』
      14. 卒業イベント『共闘』
      15. 最終決戦 死が二人を別つまで
      16. 私の物語
      17. 夜色の夢の中で
      18. 電子版特典 百年の冒険6『迂闊』
  8. 同シリーズ
    1. 乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル シリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

エレーナの周囲から身を隠し単身で敵対勢力の調査と排除に動くアリアは自身の死亡説を流して裏社会の潜伏活動に入り、ソルホース王国が絡む不当な人身売買拠点を急襲して証拠を掴んでいた。

一方、王都ではエレーナが夜会で各国大使らへ自身の器量を示し、リシアは信奉者たちの動揺を抑え込むためアモルを籠絡して反乱を促していた。 

状況が急変する契機は、アモルが悪魔の死蟲の力で第二騎士団を不死兵に変え、ダンドール家とメルローズ家の別邸を同時強襲したことである。 

アリアはメルローズ家、カルラやフェルドらはダンドール家の防衛に駆けつけ、暴走したアモルを王都で迎撃するが、リシアはその混乱と恐怖を利用して民衆を扇動し、手柄を自陣営へ回収する。

魔術学園の卒業パーティーにおいて、エルヴァンが完全鑑定の加護を明かしてリシアを告発し、アリアが本物のアーリシアとして名乗りを上げたことでリシアの欺瞞は崩壊する。

しかし、夢魔コレットがリシアに魔石を埋め込み、王都は巨大蟲と悪魔の暴動に包まれる。アリアとカルラらは悪魔勢力を壊滅させ、直後に王都道連れの大魔法を仕掛けたカルラをアリアが討ち果たす。

半年後、エレーナが王太女として国を導く中、アリアは自由な冒険者として新たな旅立ちを迎えるところまで状況が進む。

■ 主要キャラクター

アリア
  • 立場・所属:冒険者、クレイデール王国の男爵令嬢。裏社会では「灰かぶり姫」として知られる。真名はアーリシア・メルローズ。
  • 主人公との関係:主人公本人。
  • この巻での主な役割:敵対拠点の制圧、メルローズ邸の防衛指揮、前世の女(リシア)および悪魔の討伐、カルラとの最終決戦。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:メルローズ邸防衛戦で祖母セシリアに母の形見のお守り袋を託し、卒業パーティーで本物の指輪を示してアーリシア・メルローズとして名乗り出る。暴走したリシアや悪魔の軍勢を退けた後、街を道連れにしようとしたカルラとの誓いを果たして彼女を討伐し、エレーナから自由な身分を与えられて新生「虹色の剣」と共に旅立った。
エレーナ・クレイデール
  • 立場・所属:クレイデール王国第一王女、のちに王太女。
  • 主人公との関係:アリアの護衛対象であり、唯一無二の友人・同志。
  • この巻での主な役割:王家派の地盤強化、アモルの反乱への政治的対処、アリアへの全権委任。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:夜会を通じて国内外に政治的影響力を誇示し、アモルの反乱時には被害を最小限に抑えるよう指示を飛ばした。卒業パーティーではエルヴァンの退位とリシアの偽証を暴く下準備を完了させ、動乱終息後は王太女として国の再建を主導した。
アーリシア・メルシス(リシア)
  • 立場・所属:メルシス子爵家の養女、聖教会の「聖女」。
  • 主人公との関係:乙女ゲームの「ヒロイン」の座を騙り、アリアを狙う敵対者。
  • この巻での主な役割:加護【魅惑】による信徒扇動、アモルの反乱教唆。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:アモルを利用して二大貴族を襲撃させ、恐怖を煽って自らの権威を高めようとした。卒業パーティーでエルヴァンに告発され、アリアの名乗りによって民意を失い魅惑が暴走。夢魔コレットに魔石を埋め込まれて前世の女に肉体を乗っ取られ、アリアに切り離された後に衰弱死した。
アモル・クレイデール
  • 立場・所属:クレイデール王国の王弟。
  • 主人公との関係:敵対勢力の実行犯。
  • この巻での主な役割:第二騎士団の掌握、ダンドール・メルローズ両邸の強襲。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:ダンジョンの精霊から悪魔の死蟲を宿す加護を得て、自らと騎士たちを不死兵に変貌させた。自らが女王の王配となる野望を抱いて辺境伯二家を襲撃するも、カルラやフェルド、アリアの防衛によって破綻。魔石をカルラに焼かれて自ら砕き、巨大な蟲の怪物へ変貌して王都へ逃亡した後、カルラに氷漬けにされ、最後は進化して暴れるもネロたちに倒された。
カルラ・レスター
  • 立場・所属:筆頭宮廷魔術師レスター伯爵の令嬢、エルヴァンの第二婚約者。
  • 主人公との関係:アリアに執着し、彼女の手で殺されることを唯一の希望とする好敵手。
  • この巻での主な役割:ダンドール邸への救援介入、アモルの魔石破壊、レスター伯爵の処刑、最終決戦の仕掛け人。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:ダンドール邸前でアモルを迎撃して魔石を破壊し、王都へ追い立てて神殿ごと氷漬けにした。王都炎上の中、自分を道具として扱った父レスター伯爵を踏み砕いて復讐を完遂。魔族の秘宝を用いて王都道連れの大魔法を発動しようとし、アリアとの死闘の末に討ち取られて息を引き取った。
エルヴァン・クレイデール
  • 立場・所属:クレイデール王国王太子。
  • 主人公との関係:エレーナの異母兄。
  • この巻での主な役割:卒業パーティーにおけるリシアの断罪、王太子位の辞退。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:自室を訪れたクララと本音で対話し、弱さを認め合って復縁する。卒業パーティーの壇上で三人の婚約者との婚約解消を宣言し、完全鑑定の加護を明かしてリシアの詐称と罪状を白日の下に晒した。動乱後は王太子の座を退き、クララと共に地方へ退いた。
クララ・ダンドール
  • 立場・所属:ダンドール辺境伯令嬢、エルヴァンの筆頭婚約者。
  • 主人公との関係:加護【未来予見】を持つ協力者。
  • この巻での主な役割:エレーナへの情報共有、エルヴァンの精神的支え、死霊キーラの調伏。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:自らの予見で掴んだアモルとリシアの真の企みをエレーナに伝達した。エルヴァンと互いの想いを確かめ合い、大広間を襲撃したビビ(キーラ)に対し、エルヴァンと加護を合わせて支配の隙を突き、ビビの自我を取り戻させてキーラを消滅させた。

読んだ本のタイトル

乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル 9
著者:春の日びより 氏
イラスト:ひたきゆう  氏
出版情報
• 出版社:TOブックス
• 発売日:2025年1月15日
•ISBS:9784867944318
• コミカライズ:わかさこばとによる漫画版が「コロナEX」にて連載中。
• アニメ化企画:進行中。

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

「さあ、決着を着けよう――!」
壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第9巻!
書き下ろし番外編を巻末収録!
骸骨の悪魔討伐後から数か月。
再び表舞台から姿を消したはずのアリアは、夜空の如きドレスを纏い王城に姿を見せた。
――ついにラストイベント『卒業パーティー』の幕が上がるのだ。
悪魔を使役して王弟の反乱まで仕掛けた偽ヒロインの思惑が不気味だが、運命の日を迎えたアリアの瞳に迷いはない。
かつて己が忌避していた貴族との関係も、ヒロインとしての宿命シナリオも、今はすべて些事。
幼き日の友エレーナとの誓いを果たすため。
そして……宿敵カルラとの因縁に終止符を打つために。
これまで鍛えてきたあらゆる力を手に、いざ決戦の舞台へ!
「さあ、決着をつけよう――!」
最強主人公ヒロインの壮絶&爽快な異世界バトルファンタジー第9巻!

乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル9

感想

本物のヒロインが偽聖女を断罪!カルラとの最後の戦いが切なすぎた

ついにここまで来たのかと思った。

前巻でアリアは自分の死を偽装し、エレーナ王女を守るために再び裏社会へ潜った。

今回も、隣国の工作員や人身売買に関わる商会を容赦なく潰していく。

その一方で、王都では聖女リシアと王弟アモルが不穏な動きを続けていた。

そして、ついにアモルが不死兵を率いて反乱を起こす。

いや、王国の内部がもう無茶苦茶である。

王弟が自国の有力貴族を襲撃し、聖女は民衆を操り、王太子は政治的な混乱の中心にいる。

しかも、そこへカルラまで加わるのだから、まともに収拾できる気がしない。

しかし、今回の本当の山場はその先にあった。

魔術学園の卒業パーティーで、ついに本物のアーリシアが姿を現す。

偽りの聖女リシアが積み上げてきたものは、そこで一気に崩れ去る。

そして、悪魔との戦いが終わった直後、アリアはカルラとの最後の約束を果たすことになる。

第9巻で最も印象に残ったのは、カルラの最期だった。

これまで散々人を殺し、周囲を破壊してきたカルラ。

普通なら、倒されて当然の敵である。

それなのに、彼女が何を望んでいたのかを知ると、簡単には割り切れなくなってしまった。

今回は乙女ゲームの物語に決着がつく巻であると同時に、アリアが自分自身の人生を取り戻す物語でもあったと感じた。

※以下、『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル』第9巻の重大なネタバレを含みます。

エレーナは表舞台、アリアは裏社会。二人の戦い方が完全に分かれた

物語の序盤、エレーナは王都の迎賓館で夜会を開催する。

王家派の貴族や各国の大使を招き、自分が王国を率いるにふさわしい人物であることを示そうとしていた。

以前のエレーナを思い出すと、大きく変わったものだ。

かつては命を狙われ、アリアに守られながら逃げていた王女である。

しかし、今では自ら外交の場に立ち、国内外の有力者と渡り合っている。

一方、アリアは表舞台から姿を消していた。

死亡したという噂を流し、敵対勢力の調査と排除を続けている。

この二人の役割分担が興味深かった。

エレーナは王女として、人々を味方につける。

アリアはその裏で、王女の命を狙う者たちを排除する。

やっていることは正反対だが、目指す未来は同じなのだ。

しかも、アリアが姿を消したこと自体が、敵にとって大きな脅威になっている。

桃色髪の少女がどこにいるのか分からない。

次に誰が狙われるのかも分からない。

その恐怖から、聖女派の支持者たちは疑心暗鬼に陥っていく。

アリアが何もしなくても、敵が勝手に怯えているのである。

いや、これまでの実績を考えれば当然かもしれない。

敵対した組織が次々と壊滅しているのだから、姿の見えないアリアほど恐ろしい存在もないだろう。

人身売買を行うハーマン商会。アリアが屋敷ごと燃やすのも納得してしまう

アリアが調査していたのは、隣国ソルホース王国とつながる不正な商取引だった。

ヘールトン公爵領では、隣国から安い麦が大量に輸入され、地元の農業が打撃を受けている。

農民たちは収入を失い、生活が苦しくなっていた。

そこへ現れるのが、ハーマン商会である。

商会は困窮した村人に高利で金を貸し、返済できなくなると奴隷として売り払っていた。

しかも、売られる先は隣国の炭鉱や娼館である。

読んでいて、かなり腹が立つ話だった。

表向きは合法的な商売をしているように見せかけながら、実際には人々の生活を破壊している。

安い麦を輸入して農業を衰退させ、困った農民に金を貸し、最後には人間そのものを商品にする。

これでは、村人たちに逃げ道がない。

そんな商会から逃げようとしていた若い夫婦を、アリアとネロが救出する。

そして、アリアは商会の屋敷へ潜入した。

地下の隠し部屋で人身売買に関する報告書を発見し、証拠を確保する。

そこまでは、普通の潜入捜査である。

しかし、アリアはそこで終わらない。

襲ってきた冒険者たちを返り討ちにしたうえで、屋敷に火を放ってしまう。

いや、容赦がない(笑)。

ただ、今回ばかりは商会がやっていたことを考えると、同情する気にはなれなかった。

金儲けのために農民を追い詰め、人身売買まで行っていたのだから、相応の恨みを買っても仕方がない。

もちろん、アリアの行動が法的に正しいかといえば、そうではない。

しかし、法律を利用して人々を苦しめる者がいる以上、普通の方法では止められないこともある。

アリアは、その汚れ役を引き受けているのだと感じた。

王弟アモルが不死兵を量産。意識があるまま蟲に操られる恐怖

今回、最も気味が悪かった敵が、王弟アモルの不死兵である。

アリアが遭遇した神殿騎士たちは、致命傷を与えても倒れなかった。

斬られた傷が塞がり、何事もなかったように立ち上がる。

普通の人間なら、確実に死んでいるはずなのに。

そこでアリアが首を刎ねると、傷口から奇妙な線虫が現れる。

騎士たちは悪魔の蟲に寄生され、不死兵へ変えられていたのだ。

この設定が恐ろしかった。

単純に死体を操る魔法なら、まだ理解できる。

しかし、彼らは意識を残したまま操られている。

自分の身体が勝手に動き、仲間や無関係な人間を襲う。

それを止めることができない。

想像するだけで嫌な状態である。

しかも、アモルは第二騎士団の一部、約五百人をこうした兵士に変えていた。

自国の騎士を使い捨ての兵器にしてしまう王弟。

もう、この時点で王族として完全に終わっている。

そして、アモルはダンドール家とメルローズ家を同時に襲撃する計画を進めていた。

王国を支える二大貴族を一度に潰そうというのである。

政治的な争いというより、もはや国家に対する反乱だった。

アリア、フェルド、ネロ、そしてカルラ。敵のはずなのに救援へ向かうのが面白い

アモルの計画を知ったアリアは、急いで対応を始める。

途中で合流したフェルドは、闇竜の角から作られた新しい大剣を携えていた。

前巻の闇竜討伐が、こういう形で戦力強化につながっているのが面白い。

そして、アリアは戦力を分けることにする。

自分はメルローズ家へ。

フェルドとネロはダンドール家へ。

そこへ現れたのがカルラだった。

カルラは、自分もダンドール家の救援に向かうと言い出す。

この展開には思わず笑ってしまった。

カルラは、アリアを殺そうとしている相手である。

それなのに、アリアが無駄に消耗するのを嫌がって、敵を倒しに行く。

理由が普通ではない。

アリアには万全の状態で自分と戦ってほしい。

だから、邪魔になる連中は自分が始末する。

そんな考え方なのだろう。

敵なのか味方なのか、ますます分からなくなってきた。

ただし、戦力としては頼もしすぎる。

カルラが相手なら、五百人の不死兵がいようと、普通の騎士団とは比較にならない戦いになるはずだ。

そして実際、ダンドール家の戦場はカルラの登場によって一変する。

ただ、彼女が味方側にいるから安全かというと、それはまた別の話なのだが。

メルローズ家を守るアリア。母の形見を祖母へ渡す場面が印象的だった

アリアが向かったのは、メルローズ家の屋敷である。

途中、宰相ベルトとミハイルが不死兵に襲われているところへ駆けつけ、敵の指揮官を瞬時に討ち取る。

ここは相変わらずの強さだった。

普通なら苦戦する不死兵も、アリアにとっては対処方法さえ分かれば倒せる相手なのだろう。

しかし、今回のメルローズ家で印象に残ったのは戦闘だけではない。

屋敷で、アリアはベルトの妻セシリアと対面する。

セシリアは、アリアの姿に亡き娘シェリルの面影を見出す。

そして、アリアは母の形見であるお守り袋を彼女に託すのだ。

この場面がよかった。

アリアはこれまで、自分の出自や血縁にあまり執着してこなかった。

生き残るためには、家柄など役に立たない。

むしろ、貴族社会のしがらみに巻き込まれる危険さえある。

だからこそ、自分が何者なのかを公にすることを避けてきた。

しかし、今回のアリアは違う。

自分の母が生まれた家を守り、その家族と向き合おうとしている。

お守り袋を渡すという行為は、小さなことかもしれない。

しかし、これまで血縁から距離を置いてきたアリアにとっては、大きな一歩だったように感じた。

そして、アリアは屋敷の防衛を指揮する。

泥水と生活魔法【硬化】を組み合わせた罠や投網を使い、不死兵を足止めしていく。

ここも興味深かった。

アリアは自分一人で敵を倒せるほど強い。

しかし、今回は屋敷の兵士たちを活用し、集団で防衛する方法を選んでいる。

単なる一騎当千の戦士ではなく、状況を見て戦い方を組み立てられる。

これまで積み重ねてきた経験が生きているのだろう。

カルラ対アモル。怪物同士の戦いに巻き込まれる騎士たちが気の毒すぎる

一方、ダンドール家では、アモル本人が姿を現していた。

しかも、身体の半分を蟲の集合体へ変えている。

もう人間の姿を保っているとは言い難い。

そんなアモルに対し、カルラは爆炎や稲妻を容赦なく叩き込む。

アモルも異常な再生能力と膂力で応戦する。

いや、怪物同士の戦いである。

しかも、カルラは攻撃を受けても苦痛を喜んでいる。

普通なら苦戦する場面なのに、本人は楽しそうなのだ。

本当に恐ろしい。

フェルドとネロも加勢するが、カルラの攻撃は味方への配慮がほとんどない。

ダンドール家の騎士たちは、敵のアモルだけでなく、カルラの魔術からも逃げなければならない。

味方のはずなのに、下手をすると敵以上に危険である(笑)。

そして、追い詰められたアモルは、カルラに魔石を焼かれて暴走する。

自分で魔石を砕き、理性を失ったまま王都へ向かってしまうのだ。

ここから、さらに被害が拡大する。

アモルを倒そうとしていたはずなのに、結果的に王都へ怪物を送り込むことになってしまった。

カルラらしいといえば、あまりにもカルラらしい。

巨大な蟲となったアモル。聖女リシアは民衆の恐怖まで利用する

王都へ向かったアモルは、巨大な蟲の怪物となって暴れ始める。

騎士たちを薙ぎ払い、王都の神殿にまで到達する。

しかも、分かれていた身体が合体し、さらに巨大化してしまう。

もはや王弟の面影などない。

自分の野望のために悪魔の力を利用し、最後には人間であることさえ失ってしまった。

何とも救いのない結末に向かっている。

そして、この混乱を利用したのが聖女リシアだった。

彼女は恐怖に怯える民衆へ祈りを呼びかけ、自分への信仰を集めようとする。

ここが本当に嫌らしかった。

王都が危機に陥っている。

人々が命の危険を感じている。

そんな状況を、自分の権力を強める機会として利用しているのだ。

しかも、アモルを凍結させたのはカルラである。

しかし、民衆の目には、聖女の祈りによって危機が収まったように映る。

いや、また手柄を持っていくのか。

前巻でも似たようなことがあったが、リシアはこうした状況を利用するのがうまい。

ただし、その力は人々の信頼を積み重ねたものではない。

【魅惑】と恐怖によって作り上げた支持である。

だからこそ、最後にはあれほど脆く崩れてしまうのだろう。

卒業パーティーが始まる。偽聖女が勝利を確信しているのが面白い

そして、いよいよ魔術学園の卒業パーティーが始まる。

乙女ゲームの物語であれば、大きな転換点となるイベントである。

聖女リシアは、自分が王太子妃になる瞬間を待ち望んでいた。

【魅惑】の加護を使い、周囲の貴族たちを魅了しながら会場へ入場する。

本人としては、すべてが計画どおりに進んでいるつもりなのだろう。

しかし、読んでいる側からすると、すでに嫌な予感しかしない。

なぜなら、アリアが動いているからである。

しかも、今回はただの暗殺ではない。

アリアは自分の本当の出自を明かし、リシアが築いてきた立場そのものを崩そうとしていた。

そのために用意されたのが、闇竜の飛膜から作られた夜空のドレスである。

このドレスがまた格好いい。

あれほど危険な闇竜との戦いが、今度は華やかな衣装につながっている。

ただし、中身はアリアである。

見た目は美しい令嬢でも、下手に手を出せば一瞬で殺されかねない。

そんな少女が卒業パーティーに現れるのだから、何も起きないわけがない。

王太子エルヴァンの婚約破棄宣言。まさかクララを選ぶとは

卒業パーティーで、王太子エルヴァンは三人の婚約者との婚約解消を宣言する。

これを聞いたリシアは、自分が選ばれると確信する。

乙女ゲームの展開を信じている彼女にとって、待ち望んだ瞬間だったのだろう。

しかし、エルヴァンが向かったのはリシアの前ではなかった。

彼はクララの前に膝をつき、共に歩んでほしいと願い出る。

この展開には驚いた。

あれほどリシアに依存していたエルヴァンが、自分の意思でクララを選んだのである。

前巻では、彼の弱さや情けなさが目立っていた。

しかし、今回は違う。

自分の弱さを認め、クララと向き合い、ようやく一歩を踏み出した。

もちろん、これまでの失態が消えるわけではない。

王太子としての責任を放り出し、多くの人々を巻き込んできたことは事実である。

それでも、最後に自分の意思で選択できたことは大きかった。

そして、クララもその手を取る。

未来予見の力を持ちながら、破滅へ向かうエルヴァンを見捨てられなかった少女。

そんな彼女にとっても、ようやく報われる瞬間だったのかもしれない。

【完全鑑定】で偽聖女の正体が暴かれる。リシアの転落があまりにも早い

当然、リシアは納得しない。

自分が王太子妃になるはずだった。

ゲームのヒロインとして、すべてが思いどおりになるはずだった。

そんな思いから、クララを激しく非難し始める。

しかし、エルヴァンはここで【完全鑑定】の加護を明かす。

そして、リシアの正体を暴露するのだ。

彼女は高貴な血筋の令嬢ではない。

平民の孤児であり、【魅惑】によって周囲の人間を操っていた。

この事実が明らかになった瞬間、リシアの立場は一気に崩れ始める。

それまで彼女を支持していた人々も、疑念を抱くようになる。

これが面白かった。

リシアは人々から愛されていると思っていたのだろう。

しかし、その多くは加護によって作り上げた好意だった。

そして、周囲の疑念が強まるほど、【魅惑】を維持するための負担も増えていく。

自分の力で築いたはずの立場が、自分自身を追い詰めていく。

何とも皮肉な展開である。

ただ、リシアはそれでも諦めない。

偽りの指輪を掲げ、自分こそがメルローズ家の血筋だと主張する。

しかし、そこで現れたのがアリアだった。

本物のアーリシア・メルローズ登場。偽聖女の計画が完全に崩壊する

今回、最も痛快だった場面の一つが、アリアの登場である。

夜空のドレスをまとったアリアが、大広間へ進み出る。

そして、本物の指輪を示して名乗る。

自分こそがアーリシア・メルローズであると。

いや、これは気持ちがよかった。

リシアはこれまで、乙女ゲームのヒロインという立場にこだわり続けてきた。

自分が特別な存在であることを信じ、周囲の人間を攻略対象のように扱っている。

そして、本来のヒロインであるアリアを排除しようとしてきた。

しかし、そのアリアが堂々と現れたのである。

しかも、アリアは貴族としての立場を欲しがっているわけではない。

王太子妃になりたいわけでもない。

誰かから愛されるために行動しているわけでもない。

ただ、エレーナを守るために必要だから、自分の出自を明かした。

この違いが印象的だった。

リシアが必死に欲しがっていたものを、アリアはそれほど重要だと思っていない。

それでも、本物であるという事実だけで、リシアの嘘を打ち砕いてしまう。

ここまで積み重ねてきた陰謀が、一気に崩れる瞬間だった。

リシアの最期。悪魔に利用され、ようやく本当の自分を取り戻す

しかし、リシアの転落はそれだけでは終わらない。

周囲の支持を失い、【魅惑】の加護が暴走する。

激しく吐血し、身体まで限界を迎えてしまう。

そこへ現れたのが、夢魔コレットだった。

コレットはリシアの胸を貫き、魔石を埋め込む。

そして、その魔石に込められていた前世の女の妄執が、リシアの身体を乗っ取ってしまう。

この展開が恐ろしかった。

リシアは自分がヒロインになろうとしていた。

しかし、最後には別の誰かに身体を奪われてしまう。

他人の人生を奪おうとしていた少女が、今度は自分の人生を奪われる。

何とも皮肉な結末である。

そして、アリアは前世の女と戦う。

激しい戦闘の末、リシアの身体から前世の女を切り離すことに成功する。

しかし、リシア自身はすでに瀕死だった。

最期に彼女は幼少期の記憶を取り戻し、アリアに看取られながら息を引き取る。

この場面は、思っていた以上に後味が重かった。

リシアがしてきたことは許されない。

多くの人間を操り、エレーナを追い詰め、王国の混乱を引き起こした。

しかし、彼女自身もまた、誰かの思惑に利用されていた。

自分の人生を生きているつもりで、最後には他人の妄執に飲み込まれてしまった。

そう考えると、単純に悪役が倒されてすっきりしたとは言い切れなかった。

王都が炎上。悪魔コレットとの戦いは総力戦へ

リシアとの決着がついても、戦いは終わらない。

夢魔コレットが王都の人々を操り、街は大混乱に陥る。

さらに、凍結されていたアモルの怪物まで復活する。

いや、まだ動くのか。

あれだけ暴れ回り、カルラに凍らされたというのに、今度は巨大な蟲として街を破壊し始める。

本当にしぶとい。

しかも、王都では信徒たちが暴徒化し、火の手が広がっていく。

王国の中心が、文字どおり戦場になってしまった。

そんな中で、ネロが巨大蟲に立ち向かう。

さらにドルトン、ジェーシャ、ミラ、ヴィーロたちも駆けつける。

この場面がよかった。

これまでアリアが出会い、共に戦ってきた仲間たちが集まってくる。

アリア一人が強くなっただけではない。

彼女の周囲にも、信頼できる人々が増えている。

そして、ネロも仲間とのつながりを感じ、自らの闇の力を完全に覚醒させる。

かつては単独で行動することも多かったアリア。

しかし、今では彼女のために戦う仲間がいる。

その変化が、総力戦の中でよく伝わってきた。

カルラが父レスター伯爵を殺害。長年の復讐がついに終わる

王都の混乱の中で、カルラもまた自分の目的を果たしていた。

彼女は宮廷魔術師団を壊滅させ、兄を殺し、最後には父レスター伯爵と対峙する。

そして、命乞いをする父親の頭を踏み砕いてしまう。

この場面は、あまりにも容赦がなかった。

ただし、カルラの過去を考えると、彼女が父親を許せなかった理由も分かる。

カルラは幼い頃から家族に虐げられ、道具のように扱われてきた。

彼女の異常な魔力も、本人の幸福につながるものではなかった。

むしろ、その力があるからこそ、周囲から利用され続けた。

そんなカルラにとって、父親は憎しみの対象だったのだろう。

そして、ついに復讐を果たす。

しかし、これでカルラが救われるわけではない。

彼女が本当に望んでいたものは、復讐の先にあった。

それが、アリアとの最後の戦いである。

悪魔コレットを討伐。これで終わりかと思ったらカルラが動き出す

王都の神殿では、アリアたちが夢魔コレットと対峙する。

コレットはアリアの姿を模した黒いアーリシアを生み出し、暗黒魔法で攻撃してくる。

さらに、王都に渦巻く負の感情を利用して、魔界への門まで開こうとしていた。

ここまで来ると、王国そのものが消滅しかねない危機である。

しかし、アリアたちは力を合わせて対抗する。

フェルドの大剣。

ネロの闇の力。

そして、アリアの戦技。

そこへカルラまで加わり、悪魔の計画を破壊していく。

この共闘が面白かった。

カルラはアリアの敵である。

しかし、悪魔にアリアを殺されては困る。

だから、邪魔な悪魔を先に倒す。

本当に最後まで考え方がぶれていない。

そして、コレットはカルラの聖炎によって消滅する。

これで、長く続いた聖女と悪魔の陰謀も終わった。

王都には大きな被害が出たが、ようやく戦いが終わったのだと思った。

しかし、そこでカルラが動き出す。

いや、まだ終わらないのか。

むしろ、カルラにとってはここからが本番だった。

カルラの最終決戦。王都を道連れにしてでもアリアに殺されたい

悪魔が消滅した直後、カルラは王都の五方向に聖炎の火柱を立ち上げる。

そして、魔族の秘宝を使い、レベル8の禁忌魔法を発動しようとする。

その魔法が完成すれば、王都そのものが壊滅する。

ここまで来て、まだそんなことをするのかと思った。

しかし、カルラの目的は王都の破壊ではない。

アリアに、自分を殺させることだった。

カルラは、自分の命が長くないことを知っている。

だからこそ、最後に自分が望む相手と戦いたかった。

そして、その相手はアリアしかいない。

普通なら、好きな相手には生きていてほしいと思うものだろう。

しかし、カルラは違う。

自分を殺してほしい。

自分の死を、アリアの心に刻みつけてほしい。

そんな願いを抱いていたのだ。

この考え方は、簡単には理解できない。

しかし、カルラの人生を振り返ると、彼女にとってはそれが唯一の希望だったのかもしれない。

家族から愛されず、道具として扱われ、死ぬことばかり考えてきた少女。

そんな彼女にとって、自分を真正面から見てくれたのがアリアだった。

アリアはカルラの力を恐れながらも、逃げずに向き合ってきた。

そして、いつか自分が殺すと約束した。

カルラは、その約束だけを支えに生きてきたのだろう。

だからこそ、最後の戦いを誰にも邪魔されたくなかった。

アリア対カルラ。黄金の短剣が心臓を貫く最後の瞬間

ついに、アリアとカルラの最後の戦いが始まる。

アリアは虚実魔法を展開し、【鉄の薔薇】を使ってカルラへ挑む。

カルラもまた、持てる力をすべてぶつけてくる。

これまで何度も戦ってきた二人。

しかし、今回は違う。

もう次はない。

どちらかが倒れるまで終わらない戦いである。

そして、アリアは魔族の精霊から授かった黄金の短剣を使う。

その刃がカルラの心臓を貫き、彼女の火属性そのものを消滅させる。

これによって、王都を巻き込む大魔法の発動は阻止された。

しかし、カルラはまだ生きている。

アリアは力尽きた彼女を組み伏せ、ペンデュラムの糸を首に巻き付ける。

そして、ついにカルラの命を終わらせる。

この場面が、今回最もつらかった。

カルラは最後まで、自分の望みを貫いた。

アリアの手によって殺される。

そして、アリアの心に消えない傷跡を残す。

その願いが叶ったことを、カルラは喜んでいる。

しかし、アリアにとってはどうだったのだろう。

約束を果たした。

王都も救った。

それでも、目の前で死んでいくカルラを見て、何も感じないはずがない。

アリアはカルラの遺体を抱き、ネロと共に夜の闇へ消えていく。

この結末が、何とも切なかった。

カルラは望んだ死を手に入れた。しかし、アリアにはその死を背負って生きる未来が残された。

勝ったはずなのに、簡単には喜べない。

そんな最後の戦いだった。

カルラの過去を知ると、最期の笑顔が違って見える

巻末では、カルラの過去が改めて描かれる。

父や兄たちから虐げられ、道具のように扱われてきた少女。

彼女は幼い頃から、生きることに希望を持てなかった。

そして、いつしか死ぬことそのものを望むようになる。

そんなカルラにとって、アリアとの出会いは特別だった。

アリアはカルラを恐れながらも、彼女を無視しなかった。

そして、いつか自分が殺すと約束した。

普通なら、殺すと宣言されれば恐怖を感じる。

しかし、カルラにとっては、それが初めて与えられた希望だった。

自分を道具として扱わず、一人の敵として認めてくれる。

自分の命を終わらせる相手として、真正面から向き合ってくれる。

それが、彼女にとっての救いだったのだろう。

もちろん、だからといってカルラの行動が許されるわけではない。

彼女は多くの人を殺し、王都まで巻き込もうとした。

その罪は消えない。

しかし、彼女がなぜそこまでアリアに執着したのかは、少し理解できた気がする。

そして、最期に微笑んだ理由も。

カルラは、自分が望んだ形で人生を終えた。

それが幸福だったのかどうか、簡単には言えない。

ただ、彼女にとっては、ようやく自分自身で選んだ結末だったのだと思う。

半年後、エレーナは王太女へ。アリアは「鉄の薔薇姫」として自由を選ぶ

激しい戦いから半年が経過する。

王都では復興が進み、エレーナは正式に王太女となっていた。

聖教会や諸外国との関係を立て直し、国を再建するために働いている。

ここまで来たのかと、感慨深かった。

かつては命を狙われ、逃げることしかできなかった王女。

しかし、今では国の未来を背負う立場になっている。

一方、エルヴァンとクララは王都を離れ、地方で暮らす道を選ぶ。

王太子という立場を手放し、二人で生きていく。

エルヴァンにとっては、ようやく自分の人生を取り戻す選択だったのかもしれない。

そして、アリアにも新たな道が用意されていた。

彼女は聖女や英雄として祭り上げられることを望まなかった。

貴族として権力を握ることにも興味がない。

ただ、自分の意思で生きていきたい。

その願いを貫き、アリアは「鉄の薔薇姫」という二つ名と、五年間の自由を手に入れる。

この結末がよかった。

アリアは、乙女ゲームのヒロインとして生きることを拒んできた。

誰かに決められた運命ではなく、自分で選んだ道を歩こうとしてきた。

そして、ついにその自由を勝ち取ったのである。

もちろん、これから先も危険な戦いはあるだろう。

隣国の暗部も暗躍しており、エレーナを狙う敵が完全に消えたわけではない。

しかし、今のアリアには仲間がいる。

新生「虹色の剣」と共に、新たな冒険へ旅立つ。

その姿を見て、ようやく彼女が自分の人生を歩き始めたように感じた。

第9巻を読んで感じたこと。アリアは本物のヒロインだったのか

今回の物語を読み終えて、改めて考えたのが「ヒロイン」とは何なのかということだった。

リシアは、自分が乙女ゲームのヒロインになることに執着していた。

王太子から愛され、周囲の人々から称賛され、特別な存在として扱われる。

そんな未来を手に入れようとしていた。

しかし、そのために人々の心を操り、邪魔者を排除しようとした。

結果として、彼女は自分自身の人生さえ失ってしまう。

一方、アリアは違う。

自分がヒロインであることなど、どうでもよかった。

王太子から愛されたいわけでもない。

貴族社会で成功したいわけでもない。

ただ、生き残りたい。

そして、大切な人たちを守りたい。

そのために戦い続けてきた。

だからこそ、卒業パーティーで本物のアーリシアとして名乗り出た場面が印象的だった。

リシアが必死に欲しがっていた立場を、アリアは必要な手段として使っただけなのである。

そして、最後にはその立場に縛られることなく、自由な冒険者として旅立っていく。

本物のヒロインとは、物語に選ばれた人間のことなのだろうか。

それとも、自分の人生を自分で選んだ人間のことなのだろうか。

今回のアリアを見ていると、後者なのではないかと感じた。

カルラの最期がすべてを持っていった第9巻

『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル』第9巻は、これまで積み重ねてきた因縁が一気に決着する一冊だった。

王弟アモルの反乱。

偽聖女リシアの断罪。

悪魔コレットとの総力戦。

そして、カルラとの最後の戦い。

どれも大きな山場だった。

特に卒業パーティーで、アリアが本物のアーリシア・メルローズとして現れた場面は痛快だった。

これまでリシアが積み上げてきた嘘が、一気に崩れていく。

乙女ゲームのヒロインになろうとした少女が、本物のヒロインによって否定される。

この展開は、物語の大きな決着だったと思う。

しかし、読み終わって最も心に残ったのは、やはりカルラだった。

彼女は最後まで常識が通用しない少女だった。

敵も味方も巻き込み、父親を殺し、王都さえ道連れにしようとした。

それでも、彼女がアリアに求めていたものを知ると、単なる悪役として片づけられなくなる。

カルラにとって、アリアに殺されることは絶望ではなかった。

むしろ、生きるための唯一の希望だった。

そして、アリアはその願いを叶えた。

しかし、アリアにはカルラの死を背負って生きていく未来が残された。

この関係が、何とも切なかった。

そして、もう一つ印象に残ったのが、アリアがメルローズ家と向き合ったことだった。

これまで自分の出自を避けてきた少女が、母の家族を守り、祖母に形見を渡し、最後には本当の名前を名乗る。

しかし、その名前に縛られることはない。

家族を受け入れながらも、自分の生き方は自分で決める。

この姿にも、アリアの成長を感じた。

最後には、エレーナが王太女となり、アリアは「鉄の薔薇姫」として旅立つ。

二人は別々の道を歩むことになった。

しかし、互いへの信頼は変わっていない。

むしろ、それぞれが自分の人生を歩めるようになったことこそ、二人の成長なのだろう。

あとがきでは、乙女ゲームに関わる本編の物語が一区切りを迎えながらも、次巻が予定されていることが示されている。

正直、ここまで大きな決着がついたので、物語が終わってもおかしくないと思っていた。

しかし、アリアの人生はまだ続いていく。

今度は乙女ゲームの運命から離れ、自分自身の意思で新しい世界へ向かう。

それがどんな冒険になるのか、楽しみである。

第9巻は、偽りのヒロインの物語が終わり、本物のアリアの人生が始まる一冊だった。

そして、カルラの最期は、しばらく忘れられそうにない。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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乙サバ8レビュー
まとめ
乙サバ10レビュー

考察・解説

ストーリー・プロット

第1幕:夜会の政治戦と公爵領の闇

エレーナは王都の迎賓館で主催した夜会において各国大使や王家派貴族を歓待し、次期王位継承者としての器量を示す一方で、アリアを再び裏の活動へ戻してしまった事態を悔やんでいた。
一方、聖女リシアはアリアの潜伏により支持勢力が疑心暗鬼に陥り、外国からの資金供給が途絶え始めたことに焦りを募らせ、加護により傲慢に変貌した王弟アモルを籠絡して新たな強硬策へと誘導した。その裏でアリアは、ヘールトン公爵領においてソルホース王国の安価な麦の輸入に伴う人身売買を行っていたハーマン商会の拠点を単身急襲し、隣国宛ての人身売買報告書を押収して屋敷を焼き払った。

第2幕:不死兵の胎動と二大貴族襲撃の報

他国の間諜拠点を潰して回るアリアの元へ暗部のセオが現れ、第二騎士団の四個中隊(約五百名)が武装を強化している不審な動きを報告した。
スタンレイ伯爵領へ潜入したアリアは夜道で神殿騎士たちと交戦し、致命傷を与えても即座に傷を繋ぎ合わせる「不死兵」と遭遇する。首を刎ねた傷口から這い出た線虫を目撃したアリアは、アモルの加護が悪魔の死蟲による擬似的な不死であることを突き止めた。
街道を進む輜重部隊を急襲したアリアは、闇竜の角から作られた大剣を携えて駆けつけたフェルドと合流し、アモルの狙いが王都郊外にあるダンドール家とメルローズ家の別邸の同時強襲であることを知る。そこへ現れたカルラがダンドール邸の迎撃へ向かうと告げたため、アリアはネロ、フェルド、カルラにダンドールを託し、自身は遠方にあるメルローズ邸へと急行した。

第3幕:メルローズ邸とダンドール邸の防衛戦

アリアからの連絡を受けたエレーナは、正規軍を動かせない法的な制約の中、ダンドール総騎士団長を手勢と共に私邸へ急行させた。
街道で第二騎士団の中隊長カークランド率いる不死兵の奇襲を受けていた宰相ベルトとミハイルの元へアリアが跳躍して突入し、カークランドの頭部と心臓を両断して包囲を突破、屋敷への帰着を成功させた。
屋敷でベルトの妻セシリアと対面したアリアは、亡き母シェリルの肖像画の前でお守り袋を託し、メルローズ全軍の指揮を執る。
城門では泥水と生活魔法【硬化】を組み合わせたトラップや投網を駆使して不死兵を無力化し、強襲してきたアモルの複製体を撃退した。一方のダンドール邸前では、半身を蟲に変貌させたアモルに対し、カルラが爆炎と稲妻で圧倒し、フェルドの大剣とネロの連携によってアモルの魔石が露出した。

第4幕:アモルの暴走と王都の惨禍

ダンドール邸前で追い詰められたアモルは、背後からカルラに魔石を掴まれて炎で焼かれる。
狂気の中で魔石を砕き割ったアモルは理性を失い、王都のリシアの元へと逃走を開始した。
出撃してきた第一騎士団を薙ぎ払い、カルラの無差別な雷撃に追われて王都へ侵入したアモルは、メルローズ邸から追撃してきたアモルの半身と合体し、巨大な蟲の怪物となって神殿の上で咆哮をあげた。
集まった民衆をリシアが祈りへと扇動する中、上空へ達したカルラがアモルを周囲ごと【凍結】させて吹き飛ばした。カルラは姿を消し、リシアは民衆の支持を確固たるものとしてその場を収めた。

第5幕:少女たちの決断と式典の開演

夜明けに王女宮へ戻ったアリアはエレーナと合流し、リシアが民衆の恐怖を利用して権力を掌握しようとしている意図を整理した。
アリアは自らの出自を明かして王都の世論を揺るがす囮役を引き受け、ゲルフの店で闇竜の飛膜を用いた夜空のドレスを受け取った。
その頃、自室を訪れたクララと対話したエルヴァンは、互いの弱さを認め合って絆を取り戻し、ベルトからアリアが本物のアリシアであると知らされたミハイルは己の想いを胸に秘めてアリアを支える決意を固めた。
迎えた卒業パーティーの大広間にて、聖女リシアは加護【魅惑】を振りまきながら入場し、自らが王太子妃として君臨する瞬間を待ち望んでいた。

第6幕:王太子の断罪と本物の名乗り

エルヴァンは三人の婚約者を伴って登壇し、彼女たちとの婚約解消を宣言した。リシアが歓喜する中、エルヴァンはリシアではなくクララの前に跪いて共に歩むことを請い、クララはその手を取った。
逆上したリシアがクララを罪人として糾弾し、偽りの指輪を掲げてメルローズの血統を主張するが、エルヴァンは加護【完全鑑定】によってリシアが平民の孤児であり魅惑で人心を操っていた事実を暴露した。
さらにベルトに促されたアリアが進み出て、本物の指輪を示して「アーリシア・メルローズ」と名乗りを上げ、リシアの嘘を完全に打ち砕いた。
人心を失って魅惑が暴走し吐血するリシアに対し、背後に控えていた夢魔コレットが胸を貫いて魔石を埋め込み、前世の女の妄執がリシアの肉体を乗っ取った。

第7幕:大広間の死闘と前世の女の消滅

カルラが放った火炎槍によって大広間は炎に包まれ、コレットは神殿の氷漬けのアモルを再起動させて街へ解き放った。
アリアは中庭へ戦場を移し、蟲の上半身を生やして襲いかかる前世の女と対峙する。王太子妃宮では死霊キーラに取り憑かれたビビが下級悪魔と共にクララたちを襲撃するが、エルヴァンとクララが加護を重ね合わせて看破し、ビビが自らを刺してキーラを滅ぼした。
中庭のアリアは【兇刃の舞】を繰り出して前世の女を切り離し、正気を取り戻したリシアはアリアに看取られて息を引き取った。
王都ではカルラが父レスター伯爵を処刑し、神殿の上でコレットが生み出した黒いアーリシアを、アリア、フェルド、ネロ、カルラの連携によって完全に粉砕、夢魔コレットも消滅した。

第8幕:最終決戦と新たな旅立ち

悪魔の消滅直後、カルラは魔族の秘宝を用いて王都を道連れにするレベル8の大魔法を発動し、アリアとの命を懸けた決闘を求めた。
アリアは虚実魔法と鉄の薔薇を限界まで引き上げ、黄金の短剣でカルラの心臓を貫いて火属性を消滅させ、首へペンデュラムを巻き付けて彼女を看取った。
半年後、エレーナは王太女として国の再建を進め、エルヴァンとクララは地方へ隠棲した。アリアは「鉄の薔薇姫」の称号と自由を勝ち取り、新たな仲間を加えた「虹色の剣」と共に未知の世界へと旅立った。

主要な転換点

転換点:アモルの不死兵部隊による二大貴族屋敷強襲
  • それ以前の状況:王弟アモルは第二騎士団の一部を取り込んで不穏な装備調達を行っていたが、具体的な蜂起の標的や規模は掴めていなかった。
  • 出来事:アモルが悪魔の死蟲を用いた不死兵五百を率い、王都郊外にあるダンドール家とメルローズ家の別邸を同時に急襲した。
  • 変化:事態が水面下の暗闘から国家反乱へと激化し、アリアがメルローズ邸、フェルド・ネロ・カルラがダンドール邸の救援へと戦力を分散せざるを得なくなった。
  • 次への影響:アリアがメルローズ家と直接向き合って母の血縁と和解し、カルラによるアモルの魔石破壊と暴走、神殿での惨劇へと直結した。
転換点:カルラによるアモルの魔石破壊と王都への暴走
  • それ以前の状況:アモルはダンドール邸前で蟲の巨人と化してフェルドやネロと交戦し、驚異的な再生力で戦況を維持していた。
  • 出来事:カルラが背後からアモルの魔石を掴んで炎で焼き、激痛に狂ったアモルが自ら魔石を砕き割って王都へ逃亡した。
  • 変化:アモルが完全に理性を失った巨大な蟲の怪物へ成り果て、戦場が郊外から王都中心部(神殿)へと移った。
  • 次への影響:リシアがアモルの襲来を利用して民衆を祈りへと扇動し、手柄を自陣営のものとして回収することで、卒業パーティー直前の政治的立場を強固にした。
転換点:エルヴァンの完全鑑定告発とアリアの名乗り
  • それ以前の状況:リシアは加護【魅惑】と悪魔の偽装工作により聖女としての地位を確立し、卒業パーティーの場で王太子妃の座を要求していた。
  • 出来事:エルヴァンが【完全鑑定】によってリシアの素性と企みを公表し、アリアが本物の指輪を示して「アーリシア・メルローズ」と名乗り出た。
  • 変化:リシアの血統詐称と人心誘導が白日の下に晒され、周囲の不快感と疑念によって魅惑の対価が跳ね上がり、リシアの社会的・肉体的破滅が決定的となった。
  • 次への影響:追い詰められた夢魔コレットがリシアに魔石を押し込み、前世の女の妄執と王都全体の悪魔暴動を誘発する最終決戦へと突入した。
転換点:カルラとの最終決戦と死の成就
  • それ以前の状況:悪魔と前世の女の軍勢が鎮圧され、王都の動乱は収束に向かいかけていた。
  • 出来事:カルラが魔族の秘宝を用いて王都を包むレベル8の大魔法を発動し、アリアとの命を懸けた一騎討ちを仕掛けた。
  • 変化:アリアが黄金の短剣でカルラの火属性を消滅させ、カルラの首を絞めてその命を終わらせた。
  • 次への影響:アリアを執拗に縛り続けていたカルラの因縁が清算され、アリアは誰かの影や道具ではない、自らの意思による自由な冒険者の道を選択した。

アリアを中心とした人物関係の変化

エレーナ・クレイデール
  • 開始時:主従を超えた唯一無二の友人であり、互いの政治的・物理的立場を支え合う関係。
  • 主な出来事:アリアはエレーナの政敵を排除するため死亡を装って単身潜伏し、エレーナはアリアの帰る場所を整えるため政治工作を完遂した。卒業パーティーでアリアの正体が明かされた後も、二人は変わらぬ信頼を保ち続けた。
  • 巻末時:エレーナは王太女として国家を背負い、アリアは自由な冒険者として旅立つ道を選び、互いに背中を預け合いながら別の道を歩む無二の同志となった。
カルラ・レスター
  • 開始時:互いの命を奪い合う約束を交わし、その瞬間を待ち望む歪んだ好敵手。
  • 主な出来事:カルラはアリアの消耗を避けるためダンドール邸の防衛を引き受け、王都の戦場でもアリアの障害となる者を容赦なく焼き尽くした。悪魔の滅亡後、王都を道連れにした大魔法の儀式を通じてアリアと全力の死闘を繰り広げた。
  • 巻末時:アリアの手によって心臓を貫かれ、首を絞められて絶命したことで、カルラは生涯の望みを叶えてアリアの心に消えない傷跡を残して世を去った。
メルローズ家(ベルト、セシリア、ミハイル)
  • 開始時:自らを縛る運命として関わりを避けていた旧王家の大貴族。
  • 主な出来事:アリアは別邸の防衛戦で命を懸けてメルローズを守り、セシリアに母の形見を渡して受け入れられた。卒業パーティーでは正式に「アーリシア・メルローズ」と名乗り、家の名誉を回復させた。
  • 巻末時:血縁としての絆を取り戻しながらも、アリアは家督や貴族社会に縛られることなく冒険者として生きる道を選び、ベルトやミハイルもその意思を尊重して陰から支える関係となった。
アーリシア(リシア)
  • 開始時:直接の面識はなく、ヒロインを騙ってエレーナを脅かす敵対者。
  • 主な出来事:神殿での対峙を経て、卒業パーティーで本物の名乗りを上げたことでリシアの虚飾を完全に粉砕した。前世の女に肉体を奪われたリシアをアリアが救い出し、最期を看取った。
  • 巻末時:リシアはアリアの腕の中で幼少期の心を取り戻して息絶え、偽りのヒロインと本物のヒロインを巡る因縁は完全に終結した。

主人公の認識と周囲の評価

主人公自身の認識

アリアは自分を「誰かの正義のために動く英雄ではなく、ただエレーナを守り、自分の心に従って生きるための刃」と捉えている。メルローズの血統やヒロインとしての運命を背負うことには一貫して消極的であり、貴族の権力闘争から逃れるために力を求めてきた自覚がある。しかし、母の家族や仲間が傷つくことを看過できず、最終的には自ら泥を被り、汚れ役を引き受けてでも大切な者たちの未来を切り拓く覚悟を固めている。

周囲からの評価
  • エレーナ:自分を孤独から救い出し、何があっても必ず生き残って戻ってきてくれる、最も信頼する唯一の友。
  • カルラ:自分を殺してくれる唯一の存在であり、あらゆる妥協や情念を超えて高みで命を散らすにふさわしい、最高の美しき理解者。
  • メルローズ家(ベルト、セシリア):理不尽な境遇を自力で生き抜き、驚異的な力を持って戻ってきた、亡き愛娘の魂を宿す誇り高き本物の孫娘。
  • リシア:どんな手段を用いても攻略できず、自らが積み上げた幸せの舞台を力と出自の真実で粉砕しに現れる、最も恐ろしく忌まわしい本物のヒロイン。
  • フェルド:仲間でありながら父親のような庇護欲を抱かせる不器用な少女であり、同時に自分たちを遥かに超える強さを身につけた孤高の最強の戦士。
認識の差が現れた場面
  • 卒業パーティーでの名乗り:リシアはアリアを「裏社会で暗殺を重ねる野蛮な平民の護衛」と侮り、貴族の令嬢であるはずがないと決めつけていたが、アリア本人は母から受け継いだ本物の指輪と立ち居振る舞いだけで一国の重鎮たちを納得させ、貴族社会の価値観そのものによってリシアを圧倒した。
  • カルラとの決闘前:周囲やアリア自身は、カルラを「理不尽に暴虐を撒き散らす危険な狂人」として警戒し、その真意を測りかねていたが、カルラにとっての行動はすべて「アリアに自分を殺させ、心に永遠の傷を残すための純粋な求愛」であり、アリアも最期の瞬間にその痛みを共有して彼女を抱きしめた。

乙サバ8レビュー
まとめ
乙サバ10レビュー

登場キャラクター

クレイデール王国

アリア・レイトーン(アーリシア・メルシス)

王女エレーナの専属護衛を務める男爵令嬢として行動する。暗部や冒険者の技術を駆使して陰から王国を支える。自らの信念に従って戦いに身を投じる姿勢を見せる。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・男爵令嬢。エレーナ王女専属護衛。ランク5冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果  ハーマン商会の本拠地へ忍び込み人身売買の証拠を回収した。メルローズ邸へ急行してアモル配下の不死兵部隊を倒した。決戦においてカルラと死闘を繰り広げて勝利を収めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  本物のアーリシア・メルローズとして名乗りを上げた。五年間の猶予を得て冒険者として活動を開始した。

エレーナ・クレイデール

クレイデール王国の第一王女であり、後に王太女へと就任する。国や民を守るために強い政治的決断を下す。アリアに対して絶対的な友情と信頼を抱く。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・第一王女。王太女。

・物語内での具体的な行動や成果  夜会を催して国内派閥や外国大使との交渉を進めた。アモルの反乱に際して王都での防御と情報収集を指揮した。聖教会との交渉を取りまとめて協力体制を構築した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  国の実権を掌握して正式に王太女への就任を果たした。

ラインハルト・フォン・クレイデール

クレイデール王国の国王として君臨する。王国の安定を第一に考えて政務を執り行う。娘エレーナの決意と政治的手腕を認める。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・国王。

・物語内での具体的な行動や成果  卒業パーティーの式典で祝辞を述べた。エルヴァンの婚約辞退の発言を認めて場の進行を促した。王城襲撃時に近衛騎士と共に留まり指揮を執った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王国の最高権力者として君臨し続ける。

エルヴァン・フォン・クレイデール

クレイデール王国の王太子として位置づけられる。自らの弱さに悩みながらも最後は自らの意志で決断を下す。クララに対して深い絆と想いを寄せる。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・王太子。

・物語内での具体的な行動や成果  卒業パーティーの場で三人の婚約者との婚約解消を宣言した。クララへの想いを告白して彼女の手を取った。自らの加護【完全鑑定】を用いてリシアの正体を暴いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王太子の座を辞退して王族籍から離脱した。

クララ・ダンドール

ダンドール辺境伯家の令嬢であり王太子の筆頭婚約者を務める。【加護】(未来予見)を用いて真実を探る。エルヴァンを支える覚悟を固めている。

・所属組織、地位や役職  ダンドール辺境伯家・令嬢。王太子筆頭婚約者。

・物語内での具体的な行動や成果  加護を行使して聖女の裏工作や悪魔の企みを看破した。卒業パーティーでエルヴァンの宣言を受け入れて彼の手を取った。光魔術を発動してビビの身体を支配するキーラを退けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  正妃への縛りから解放されエルヴァンと共に地方領地へ退く道を選択した。

カルラ・レスター

筆頭宮廷魔術師の令嬢であり強烈な魔術を操る。自らの存在と死の記憶を世界に刻む思想を抱く。アリアとの真剣勝負を熱望し続ける。

・所属組織、地位や役職  レスター伯爵家・令嬢。王太子婚約者候補。

・物語内での具体的な行動や成果  ダンドール邸でアモルの不死兵部隊へ爆炎を放った。実父であるレスター伯爵や宮廷魔術師たちを討伐した。王都上空でアリアと死闘を繰り広げて満足のうちに命を落とした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  魔族国の秘宝や禁忌魔術を行使して圧倒的な破壊力を誇った。

イグナス・レスター

筆頭宮廷魔術師でありレスター伯爵の立場にある。冷酷な性格で家族さえも道具として扱う。

・所属組織、地位や役職  筆頭宮廷魔術師。レスター伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果  宮廷魔術師団を率いてカルラ討伐を命じた。仲間へ攻撃が及ぶ状況でも攻撃魔術を放たせた。カルラの氷のヒールにより頭部を踏み砕かれて死に至った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  カルラによって殺害されレスター本家の血筋が途絶えた。

カルラの二番目の兄

レスター伯爵家の二男であり宮廷魔術師を務める。妹カルラへの恐怖と憎悪を抱く。

・所属組織、地位や役職  レスター伯爵家・二男。宮廷魔術師。

・物語内での具体的な行動や成果  背後からカルラへの奇襲を試みた。カルラの炎によって腕を焼き切られた。カルラの盾として利用された末に命を落とした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  父イグナスと同様にカルラの犠牲となった。

パトリシア・フーデール

フーデール公爵家の令嬢でありエルヴァンの婚約者候補の一人である。

・所属組織、地位や役職  フーデール公爵家・令嬢。王太子婚約者候補。

・物語内での具体的な行動や成果  卒業パーティーでエルヴァンから婚約解消を告げられた。静かにその宣言を受け入れた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  婚約解消により王太子妃候補から外れた。

アモル・クレイデール

クレイデール王国の王弟であり第二騎士団を掌握する。自己評価の低さから聖女リシアへ過度に傾倒する。加護と悪魔の蟲を取り込んで異形へ変貌する。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・王弟。第二騎士団実質的指揮官。

・物語内での具体的な行動や成果  不死兵部隊を率いてダンドール邸とメルローズ邸へ同時侵攻を仕掛けた。蟲の巨人へと変貌して王都で暴れ回った。カルラやネロとの戦いを経て魔石を砕かれ討伐された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  反乱を起こした末に王家系図から抹消された。

ベルト・ファ・メルローズ

クレイデール王国の宰相でありメルローズ辺境伯を務める。王国の治安と政務を冷徹に統括する。アリアが亡き娘の遺児であると確信する。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・宰相。メルローズ辺境伯。

・物語内での具体的な行動や成果  馬車での移動中にカークランド率いる不死兵の襲撃を受けた。アリアに頼んで自邸の救援と防衛を指示した。事件後に王太女エレーナを支えて政務を主導した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  国家の最高責任者として暗部や行政を率いる。

セシリア・メルローズ

メルローズ辺境伯の妻でありミハイルの祖母にあたる。穏やかで気品ある雰囲気を纏う。

・所属組織、地位や役職  メルローズ辺境伯夫人。

・物語内での具体的な行動や成果  メルローズ邸でアリアを迎え入れた。アリアに亡き娘シェリルの面影を見出して抱きしめた。アリアにお守り袋を託された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アリアを本当の孫娘として温かく見守る立場をとる。

ミハイル・メルローズ

メルローズ辺境伯家の次男でありエレーナの側近を務める。高い政治的思考と行動力を備える。アリアに対して切ない好意を抱く。

・所属組織、地位や役職  メルローズ辺境伯家・次男。エレーナ王女側近。

・物語内での具体的な行動や成果  祖父ベルトと共にメルローズ邸へ帰還した。泥水と生活魔法を用いた罠で城門防衛を指揮した。卒業パーティーの場で裏方として警戒にあたった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  将来の宰相および暗部室長へ向けた準備を開始した。

ダンドール辺境伯

ダンドール辺境伯家の当主であり総騎士団長を務める。武門の家系として高い統率力を誇る。

・所属組織、地位や役職  ダンドール辺境伯。総騎士団長。

・物語内での具体的な行動や成果  私兵を率いて自邸へ移動する最中にアモルの奇襲を受けた。自邸へ籠城してアモルの不死兵部隊を迎え撃った。第一騎士団の本隊と合流して敵を退けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  総騎士団長として軍事の最高責任者を担う。

ロークウェル・ダンドール

ダンドール辺境伯家の長男であり騎士としての鍛錬を重ねる。妹クララの幸せを第一に気遣う。

・所属組織、地位や役職  ダンドール辺境伯家・長男。エレーナ王女護衛騎士。

・物語内での具体的な行動や成果  クララを王城まで送り届けて彼女の意思を尊重した。卒業パーティーの場で護衛として警戒を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ダンドール家の跡取りとして成長を続ける。

セラ・レイトーン

アリアの養母であり暗部騎士の頭領格として活動する。冷徹な判断力で王宮の警備を取り仕切る。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・暗部騎士。王女宮筆頭侍女。レイトーン男爵夫人。

・物語内での具体的な行動や成果  エレーナの側で暗部からの情報を集約した。息子のセオに対して冷静な助言を与えた。王城内での悪魔退治や治安維持を指揮した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  暗部責任者として絶大な影響力を保持する。

セオ

アリアの義弟でありメルシス家の護衛執事見習いを務める。暗部騎士としての訓練を積んでいる。

・所属組織、地位や役職  メルシス家・護衛執事見習い。暗部騎士。

・物語内での具体的な行動や成果  アリアへ第二騎士団の不穏な動きを報告した。王城内で裏方の警戒任務を担当した。アリアの本当の出自を知って驚愕した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  暗部の上級騎士へ向けた精進を重ねる。

オズ

ベルト・ファ・メルローズの専属執事であり暗部の騎士を務める。

・所属組織、地位や役職  メルローズ辺境伯家・専属執事。暗部騎士。

・物語内での具体的な行動や成果  馬車での襲撃時にベルトを庇って戦闘に参加した。後処理の事務作業を迅速に処理した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ベルトの腹心として実務を担当する。

クロエ

王女宮に仕える護衛侍女でありエレーナの身の回りを世話する。

・所属組織、地位や役職  王女宮・護衛侍女。

・物語内での具体的な行動や成果  王女宮を訪れたクララを室内へ案内した。帰還したアリアを温かく迎えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  エレーナから深い信頼を寄せられている。

ヒルダ

クララに仕える侍女であり元暗殺者である。クララへ絶対的な忠誠を誓う。

・所属組織、地位や役職  ダンドール辺境伯家・侍女。

・物語内での具体的な行動や成果  クララを護るため大広間でビビ(キーラ)と交戦した。ビビの名を呼びかけて彼女の意識を揺さぶった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  クララの側近として行動を共にする。

ドリス

クララに仕える侍女であり元暗殺者である。

・所属組織、地位や役職  ダンドール辺境伯家・侍女。

・物語内での具体的な行動や成果  ビビ(キーラ)の襲撃を受けて腕を負傷しながらも戦った。仲間と共にビビへ止めを刺した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  クララの護衛として機能する。

ハイジ

クララに仕える侍女であり元暗殺者である。

・所属組織、地位や役職  ダンドール辺境伯家・侍女。

・物語内での具体的な行動や成果  ビビ(キーラ)の攻撃を受けて倒れたがすぐさま体制を整えた。ビビへ声をかけて意識を取り戻させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  クララを死守する役割を果たす。

ビビ

元暗殺者の侍女でありキーラに身体を乗っ取られていた。最後に自らの意思を取り戻す。

・所属組織、地位や役職  ダンドール辺境伯家・侍女。

・物語内での具体的な行動や成果  キーラに精神を支配されてクララたちへ襲いかかった。クララたちの呼びかけで意識を取り戻して自らをナイフで突き刺した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  キーラの支配を破り悲壮な最期を迎えた。

ヘールトン公爵

クレイデール王国の上級貴族であり領地の内需悪化を招く。

・所属組織、地位や役職  ヘールトン公爵。

・物語内での具体的な行動や成果  ハーマン商会を引き入れて安価な麦を大量輸入させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王家と反目する動きを見せた。

スタンレイ伯爵

アモル派閥に属する貴族である。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果  弟のスタンレイ男爵へ資金を提供して第二騎士団の装備を更新させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アモルの反乱の資金源として利用された。

スタンレイ男爵

第二騎士団の大隊長を務める。

・所属組織、地位や役職  第二騎士団・大隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  兄からの寄付を受けて部隊の装備を調達した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アモルに協力する立場をとった。

カークランド

第二騎士団の中隊長を務める。アモルや聖女リシアへ狂信的に傾倒する。

・所属組織、地位や役職  第二騎士団・中隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  街道でベルト一行を襲撃した。不死兵の力を誇示したがアリアの奇襲により頭部を斬り裂かれて戦死した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アモルの信奉者として行動して討ち取られた。

第一騎士団

王城の警護を担当する精鋭騎士団である。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・第一騎士団。

・物語内での具体的な行動や成果  ダンドール邸への救援のため急行した。途中でアモルの強襲を受けて防戦を展開した。王都内で悪魔の鎮圧にあたった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王家の直属戦力として活躍した。

第二騎士団

王都の警護や衛士を担当する騎士団である。一部がアモルに煽動されて不死兵と化した。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・第二騎士団。

・物語内での具体的な行動や成果  アモルの命を受けてダンドール邸やメルローズ邸へ侵攻した。アリアや「虹色の剣」の攻撃を受けて壊滅した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  反乱軍として処分を受けた。

第三騎士団

有事の際の地方遠征を担当する騎士団である。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・第三騎士団。

・物語内での具体的な行動や成果  哨戒小隊がアモル配下の部隊と遭遇して撃破された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王都周辺の警備を担当する。

第五騎士団

女性騎士によって構成される騎士団である。要人警護を専門とする。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・第五騎士団。

・物語内での具体的な行動や成果  卒業パーティーでクララや王族の周囲を固めて警護した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  確かな実力を発揮して王宮を守護した。

近衛騎士団

国王や重要王族の身辺を警護する最精鋭の騎士団である。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・近衛騎士団。

・物語内での具体的な行動や成果  大広間で国王ラインハルトの周囲を厳重に警戒した。聖女リシアの拘束を担当した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王家の盾として機能する。

宮廷魔術師団

レスター伯爵が率いる魔術師たちの組織である。

・所属組織、地位や役職  クレイデール王国・宮廷魔術師団。

・物語内での具体的な行動や成果  レスター伯爵の指示でカルラや悪魔へ斉射を行った。カルラの返り討ちに遭い壊滅状態へ陥った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  生存した魔術師がレスター家を継承した。

聖教会

アーリシア・メルシス(聖女リシア)

子爵家の養女であり「聖女リシア」として民から崇められる。加護【魅惑】を用いて人心を操る。他者からの愛に固執して身勝手な行動を重ねる。

・所属組織、地位や役職  メルシス子爵家・養女。聖教会・聖女。

・物語内での具体的な行動や成果  加護を用いて信徒や神官たちを魅惑した。エルヴァンに婚約辞退を告げられて孤立した。前世の女の魔石を挿入されて肉体を奪われた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アリアに看取られながら絶命した。

ハイラム

ファンドーラ法国より派遣された司祭である。

・所属組織、地位や役職  ファンドーラ法国・司祭。

・物語内での具体的な行動や成果  聖女リシアの真偽を見極めるため滞在した。エレーナとの交渉に応じて卒業パーティーの場でリシアの不正を証言した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  聖教会の代表としてエレーナと協力体制を築いた。

ナサニタル

神殿長の孫であり聖教会の神官を務める。

・所属組織、地位や役職  聖教会・神官。

・物語内での具体的な行動や成果  リシアに好意を寄せて魂と生命力を吸い尽くされた。ベッドの上で衰弱した末に命を落とした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  悪魔の契約者として利用され犠牲となった。

オストール(神殿長)

聖教会の神殿長でありナサニタルの祖父にあたる。

・所属組織、地位や役職  聖教会・神殿長。オストール法衣男爵。

・物語内での具体的な行動や成果  孫のナサニタルの死後、悪魔に騙されたことを悔いて神殿長の座を降りた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  事件後に権勢を失った。

神殿騎士団

聖教会の護衛を担う騎士たちである。リシアの魅惑により操られた。

・所属組織、地位や役職  聖教会・神殿騎士団。

・物語内での具体的な行動や成果  アモルの意を受けて不死兵へと変貌した。アリアや「虹色の剣」と交戦して討伐された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  反乱の主力として利用された。

聖女リシア派閥

聖女リシアを擁立して政治的影響力を狙う神官や貴族たちの集団である。

・所属組織、地位や役職  聖教会内派閥。

・物語内での具体的な行動や成果  裏でアモルの反乱を支援しようと画策した。リシアの失脚に伴い解体された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  事件の終息とともに消滅した。

冒険者パーティー「虹色の剣」

ドルトン

「虹色の剣」のリーダーを務める山ドワーフの重戦士である。

・所属組織、地位や役職  冒険者パーティー「虹色の剣」・リーダー。

・物語内での具体的な行動や成果  ダンドール邸へ急行してアモルの不死兵部隊を迎撃した。王都内で巨大蟲との戦闘を指揮した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ランク5冒険者として仲間を統合する。

フェルド・ルーイン(フェルド・タングス)

「虹色の剣」の剣士であり貴族籍を保持する。アリアを一人で戦わせない強い意志を持つ。

・所属組織、地位や役職  冒険者パーティー「虹色の剣」・剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  属性竜の大角から作成された大剣を携えて参戦した。ダンドール邸でアモルを相手に大剣技を放った。神殿でアリアと共に悪魔へ立ち向かった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ランク5冒険者として卓越した剣技を発揮する。

ヴィーロ

「虹色の剣」の斥候でありアリアに冒険者の技術を授けた師匠である。

・所属組織、地位や役職  冒険者パーティー「虹色の剣」・斥候。暗部騎士。

・物語内での具体的な行動や成果  王都内で爆裂矢を放ち暴徒の鎮圧にあたった。事件後に冒険者を引退して暗部騎士へ就任した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  正式に暗部騎士として活動を開始した。

ミランダ

「虹色の剣」の弓手を務める森エルフである。「ミラ」と呼ばれる。

・所属組織、地位や役職  冒険者パーティー「虹色の剣」・弓手。

・物語内での具体的な行動や成果  精霊魔法を放ってダンドール邸の不死兵を粉砕した。巨大蟲との戦闘で遠距離支援を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ランク5冒険者として後衛を支える。

ジェーシャ

「虹色の剣」の重戦士でありドルトンの養女である。

・所属組織、地位や役職  冒険者パーティー「虹色の剣」・重戦士。

・物語内での具体的な行動や成果  両手斧を振るってダンドール邸の戦列に加わった。宝珠を投擲して巨大蟲を攻撃した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ランク4の重戦士として活動する。

メアリー

ヴィーロの婚約者であり元冒険者ギルドの受付嬢である。

・所属組織、地位や役職  元冒険者ギルド受付嬢。

・物語内での具体的な行動や成果  ヴィーロへ暗部への就任と引退を促した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴィーロの生活面を管理する。

ヴィーロ・ドーン

レオンハルトとヴィーニャの息子であり16歳の新米斥候である。

・所属組織、地位や役職  冒険者パーティー「虹色の剣」・斥候。

・物語内での具体的な行動や成果  電子版特典に登場した。サマンサとミランダの修行に連れ出されてオークソルジャーと意気投合した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  戦うことなくランク3へ昇格した。

レオンハルト・ドーン

「虹色の剣」の元剣士である。

・所属組織、地位や役職  元「虹色の剣」・剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  書き置きを残して妻と共に旅立った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  息子を残して旅に出た。

ヴィーニャ・ドーン

「虹色の剣」の元斥候である。

・所属組織、地位や役職  元「虹色の剣」・斥候。

・物語内での具体的な行動や成果  夫のレオンハルトと共に旅立った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  夫婦で遠出をした。

サマンサ

「虹色の剣」の魔術師であり老婆の姿へ変化した。

・所属組織、地位や役職  冒険者パーティー「虹色の剣」・魔術師。

・物語内での具体的な行動や成果  電子版特典に登場した。ヴィーロ・ドーンを引きずり回して特訓を施した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ランク5のベテラン魔術師。

ルーク

サマンサの夫であり冒険者を引退している。

・所属組織、地位や役職  元「虹色の剣」・剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  騎士団の指南役を引退して自宅で過ごす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  曾孫に囲まれて余生を送る。

ソルホース王国・ハーマン商会

ヴォルフ

ソルホース王国の暗部に所属する刺客である。高い身体能力と自負を持つ。

・所属組織、地位や役職  ソルホース王国暗部・刺客。

・物語内での具体的な行動や成果  エレーナ暗殺のため王都の隠れ家に潜伏した。突如現れたアリアへ襲いかかったが顎を蹴り上げられて首を切り裂かれて即死した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  戦闘力2000を誇ったがアリアに返り討ちとされた。

ハーマン商会会頭

ヘールトン公爵領で活動する商会の主である。裏で人身売買を行う。

・所属組織、地位や役職  ハーマン商会・会頭。

・物語内での具体的な行動や成果  人身売買に関する活動報告書を作成した。アリアに屋敷を壊滅させられて証拠を奪われた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  本拠地を放火されて消滅した。

ソルホース王国暗部組織

クレイデール王国の国力を削ぐために活動する工作員たちである。

・所属組織、地位や役職  ソルホース王国・暗部組織。

・物語内での具体的な行動や成果  商会を隠れ蓑にして王都へ潜入した。アリアによって拠点を襲撃されて全滅した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アリアによって排除された。

暗殺者ギルド

キーラ(愉悦のキーラ)

暗殺者ギルド北辺境地区支部の暗殺者である。死霊となってビビの身体を支配する。

・所属組織、地位や役職  暗殺者ギルド・暗殺者。悪霊。

・物語内での具体的な行動や成果  悪魔の手によりビビの身体へ乗り移った。クララたちを急襲したがビビが自らを刺した隙を突かれて消滅した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  悪魔の道具として利用されて倒された。

防具店

ゲルフ

王都で女性用防具店を営むドワーフである。確かな防具作成の腕前を誇る。

・所属組織、地位や役職  防具店店主。

・物語内での具体的な行動や成果  闇竜の飛膜から「夜空のドレス」を作成してアリアへ手渡した。ミスリルから「魔銀のドレス」を完成させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アリアの専属職人として衣装を提供する。

悪魔・幻獣・魔物・その他

コレット(夢魔コレット)

上級悪魔でありコレットの姿を借りて活動する。人々の負の感情や悪夢を集める。

・所属組織、地位や役職  上級悪魔・ランク6。

・物語内での具体的な行動や成果  リシアと契約を結んで暗躍した。王都の負の感情を集めて魔界への門を開こうとした。カルラとアリアの攻撃を受けて消滅した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  総合戦闘力5293を誇った。

無貌の悪魔

魔界から召喚された上級悪魔である。

・所属組織、地位や役職  上級悪魔・ランク6。

・物語内での具体的な行動や成果  コレットが開こうとした門から出現しかけた。アリアとネロの連携攻撃により消滅した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  複数体が召喚されかけた。

下級悪魔

コレットに従う下級悪魔たちである。

・所属組織、地位や役職  下級悪魔。

・物語内での具体的な行動や成果  ビビ(キーラ)と共に大広間へ出現して王族を襲った。騎士団や魔術師たちの防戦により退治された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  戦闘力1000程度の個体として機能した。

前世の女

現代日本から転生した少女の魂の残滓である。強い妄執を抱く。

・所属組織、地位や役職  魔石の思念。

・物語内での具体的な行動や成果  魔石を通じてリシアの精神を支配した。リシアの肉体を奪ってアリアへ襲いかかった。アリアの八連撃により魔石を粉砕された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  アリアによって完全に消滅させられた。

ネロ

アリアの相棒である漆黒の巨大な幻獣クァールである。戦闘を通じてランク6へ進化する。

・所属組織、地位や役職  幻獣クァール・ランク6。

・物語内での具体的な行動や成果  ダンドール邸でアモルや不死兵と交戦した。王都で巨大蟲を相手に死闘を展開した。アリアとの絆により闇の力を覚醒させて巨大蟲を撃破した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  成体となり総合戦闘力4747へ上昇した。

地竜(アモル・蟲の悪魔)

アモルが悪魔の蟲と融合して誕生した巨大な魔物である。

・所属組織、地位や役職  蟲の悪魔。

・物語内での具体的な行動や成果  王都を破壊しながら暴れ回った。ネロや「虹色の剣」の連携攻撃を受けて魔石を砕かれて討伐された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  総合戦闘力4325に達した。

オークソルジャー

炭鉱に潜伏していたランク4のオーク上位種である。

・所属組織、地位や役職  魔物・ランク4。

・物語内での具体的な行動や成果  電子版特典に登場した。サマンサとミランダの魔術からヴィーロ・ドーンと共に逃げ延びた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴィーロ・ドーンと友情を結んで去っていった。

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まとめ
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備忘録

第四章 銀の翼に恋をする・後編

浸食する悪意

王女主催の夜会と深まる対立

第一王女エレーナは王都の迎賓館で夜会を主催し、国内の王家派貴族や各国の大使を招いて自らの器量を示した。エレーナはアリアを再び闇の活動へ戻してしまった事態を悔やみつつ、王太子エルヴァンが学園を卒業するまでの間に王太子派閥と聖女の罪状を固める決意を抱き、ファンドーラ法国のハイラム司祭に接触した。

一方、聖女リシアは自身の能力の制約から王女陣営を政治的に排除できず、姿を消したアリアの暗殺を恐れる支持者たちの疑心暗鬼と、海外からの資金遮断に焦りを募らせていた。リシアは所持する魔石を通じて得た知識を頼り、加護を得て傲慢に変貌した王弟アモルを籠絡して新たな行動を促した。その頃、王太子妃宮に身を寄せるカルラは、アリアとの決戦という自らの目的を果たすため、舞台装置に過ぎない者たちの不穏な動きを制裁すべく活動を開始した。

ソルホース王国

不当な人身売買の阻止

クレイデール西部を治めるヘールトン公爵は、王家の意向に反して隣国ソルホース王国から安価な麦を大量に輸入し、自領の産業衰退と農村の窮困を招いていた。麦の買い付けを行っていたハーマン商会は農村へ高利の貸し付けを行い、返済不能となった村人たちを隣国の炭鉱や娼館へ奴隷として売り払っていた。夜逃げを図った若い夫婦を追撃してきた商会の冒険者たちを、アリアと幻獣ネロが急襲して瞬殺した。

ハーマン商会拠点の壊滅

アリアは公爵領の郊外にあるハーマン商会の本拠屋敷へ単身で潜入した。厳重な警戒を掻い潜って地下の隠し部屋を捜索したアリアは、会頭が作成したソルホース王国宛ての人身売買に関する活動報告書を発見して回収した。警報により駆けつけたランク4の冒険者たちを返り討ちにしたアリアは、証拠を得たことで容赦なく屋敷に火を放ち、ネロと共に闇へと姿を消した。

開演前

暗部の接触と不穏な兆候

ソルホース王国の間諜拠点を次々と制圧していたアリアの元へ、セオが暗部の連絡員として現れた。セオはアリアの活動によりエレーナ側へ付く貴族が増加している状況を伝えるとともに、第二騎士団の一部が大規模な戦闘に備えて装備を調達している異変を報告した。アリアは王弟アモルと聖女が背後にいると察知し、調査のためスタンレイ伯爵領へと向かった。

不死兵の遭遇戦と異形の真相

街外れで不審な動きを探っていたアリアは、巡回していた神殿騎士たちと交戦した。斬り倒しても即座に傷を塞いで立ち上がる騎士たちに対し、アリアは戦技を用いて彼らを解体した。拘束された神殿騎士の首を刎ねた際、傷口から奇怪な線虫が這い出て消滅するのを目撃したアリアは、アモルの加護によって騎士たちが蟲に寄生された不死兵と化している実態を把握した。その頃、アモルは第二騎士団の不死兵たちを率い、ダンドール家とメルローズ家の屋敷を同時に強襲する命を下していた。

援軍

フェルドとの合流と戦況分析

第二騎士団の演習場がもぬけの殻であることを確認したアリアとネロは、街道を進む輜重部隊を捕捉して交戦した。そこへ闇竜の角から鍛造された新たな大剣を携えたフェルドが加勢し、不死兵たちを両断して部隊を殲滅した。アモルによる二大貴族屋敷への同時襲撃計画を知ったアリアは、フェルドとネロをダンドール家へ向かわせ、自らはより遠方にあるメルローズ家の屋敷を単独で救援する方針を定めた。

カルラの介入と戦力の再編

森の暗がりから姿を現したカルラは、アリアが疲弊することを嫌い、自らがダンドール家の救援に向かうと告げた。カルラの思惑を測りかねつつも戦力配置の合理性を受け入れたアリアは、ダンドールの守りをフェルド、ネロ、カルラに委ね、自身は虚実魔法を展開してメルローズ家へと疾走した。

歪んだ聖戦『襲撃』

エレーナの決断と王宮の緊迫

アリアたちからの急報を受けたエレーナは、アモルが二大貴族を潰して国家を混乱に陥れようとしている意図を正確に読み解いた。確たる証拠がないため正規の騎士団を動かせない中、エレーナはダンドール辺境伯を私兵と共に自邸へ急行させ、自らは王都で事態の収拾と援軍派遣の根回しに奔走した。

メルローズ邸の危機と救援

馬車で自邸へ向かっていた宰相ベルトとミハイルは、街道で第二騎士団の中隊長カークランド率いる不死兵の奇襲を受けた。防戦一方となり危機に陥ったベルトの前に虚実魔法で跳躍したアリアが突入し、カークランドの頭部と心臓を瞬時に両断して討ち取った。アリアの先導により、一行は包囲網を突破してメルローズ邸への帰着を果たした。

ダンドール邸の激突

自邸へ戻ろうとしていたダンドール総騎士団長の一団は、第二騎士団の包囲に阻まれて交戦に突入した。その場にいたアモルは自らが女王の王配となる野望を叫び、第一騎士団の騎士たちを追い詰めた。そこへ上空からカルラが飛来し、広範囲の爆炎を放って戦場を焼き払った。

歪んだ聖戦『絆血』

ダンドール邸の死闘

半身を蠢く蟲の集合体へと変貌させたアモルは、異常な膂力でカルラに襲いかかった。カルラは身に受ける苦痛を歓喜しながら稲妻や酸の雲で迎え撃ち、フェルドとネロも戦線に突入した。フェルドの戦技が大剣を唸らせ、ネロが炎の余波を阻む中、アモルは炎の壁で阻まれ、ダンドール辺境伯らは自邸の砦へと後退した。

メルローズ邸の防衛戦

メルローズ邸に到着したアリアは、屋敷でベルトの妻セシリアと対面した。セシリアはアリアの姿に亡き娘シェリルの面影を見出し、アリアはお守り袋を彼女の手へ託して戦場へ戻った。アリアの指揮の下、メルローズの兵士たちは泥水と生活魔法の硬化を組み合わせた罠や投網を駆使して城門を死守し、突入してきたアモルの複製体をアリアが腐食と虚実魔法で撃退した。

アモルの暴走と王都への逃走

ダンドール邸前でフェルドの大剣により半身を断ち割られたアモルは、心臓の欠けた魔石を露出させながら蟲を肥大化させた。影渡りを習得したネロの猛攻と虹色の剣の合流により追い詰められたアモルは、背後からカルラに魔石を掴まれて炎で焼かれた。激痛と狂気の中で魔石を砕き割ったアモルは、理性を失って王都の聖女の元へと逃走を開始し、カルラとアリアもそれぞれアモルを追って王都へ急行した。

歪んだ聖戦『悪意』

第一騎士団との遭遇とカルラの暴威

王都を目指して暴走するアモルは、出撃してきた第一騎士団の部隊と激突して騎士たちを薙ぎ払った。追いついたカルラは第一騎士団の頭上から無差別に稲妻を撃ち込み、アモルを追い立てて王都外壁へと侵入させた。

神殿の惨禍と聖女の扇動

アモルを追って王都へ到達したアリアの前に、ダンドール邸側から逃亡してきたもう一体のアモルの半身が現れ、二つの巨体が融合して神殿の上で咆哮をあげた。聖女リシアは集まった民衆を扇動して自らへの祈りを捧げさせ、その隙にカルラが神殿ごとアモルを氷漬けにして吹き飛ばした。カルラはアリアを嘲笑いながら姿を消し、アリアは聖女の底知れぬ悪意を痛感した。

少女の決意

クララの覚悟と真実の共有

アリアとカルラの激突の前、クララは王女宮のエレーナを訪ね、たとえ王妃になれずともエルヴァンに寄り添い続ける覚悟を伝えた。夜明けに帰着したアリアからアモルの反乱と聖女の策動を聞いたエレーナは、民衆の恐怖を利用して権力を握ろうとする聖女の狙いを看破した。アリアは自らの出自を明かして王都の世論を揺るがす囮役を引き受け、エレーナに全てを利用するよう促した。

思惑

夜空のドレスと決戦の準備

エレーナとの協議を終えたアリアはゲルフの店を訪れ、闇竜の飛膜から仕立てられた頑強な夜空のドレスを受け取った。店には全身が純粋なミスリル繊維で編まれた魔銀のドレスも置かれており、アリアはそれがカルラの物であると直感した。

王太子の葛藤と和解

エルヴァンは自室を訪れたクララと対話し、互いの弱さを認め合って絆を取り戻した。一方、ベルトからアリアが本物のアリシアである事実を告げられたセシリアとミハイルは衝撃を受け、ミハイルは自らの感情を押し殺してアリアを支える決意を固めた。

卒業イベント『開幕』

式典の開始と聖女の入場

魔術学園の卒業パーティーが王城の大広間で催され、聖教会の代表として聖女リシアが入場した。リシアは加護の魅惑を用いて参列者たちを魅了し、自らが王太子妃として君臨する瞬間を待ち望んでいた。

王太子の婚約破棄宣言

エルヴァンは三人の婚約者を伴って入場し、壇上で彼女たちとの婚約解消を宣言した。リシアが歓喜に満ちた笑みを浮かべる中、エルヴァンはリシアの前ではなく、クララの前に膝をついて共に歩むことを請い、クララはその手を取った。

卒業イベント『断罪』

本物の名乗りと欺瞞の暴発

逆上したリシアがクララの罪状を並べ立てて自らの正当性を叫ぶ中、エルヴァンは自らの加護が完全鑑定であることを明かし、リシアが平民の孤児であり魅惑で人心を操っていた事実を暴露した。リシアはなおも偽りの指輪を掲げてメルローズの血統を主張したが、ベルトに促されたアリアが進み出て、自らの指に嵌めた本物の指輪を示して名乗りを上げ、その企みを粉砕した。

魔石の真実と悪魔の裏切り

孤立したリシアは激しい吐血と共に加護の暴走を起こし、すべての人心を失った。そこへ白髪のメイド姿となった夢魔コレットが現れ、リシアの胸を貫いて魔石を埋め込んだ。魔石に込められていた前世の女の妄執がリシアの肉体を奪い、異形の怪物へと変貌させた。

卒業イベント『妄執』

大広間の混乱と神殿の異変

リシアの肉体を乗っ取った前世の女の執念は、アリアへの怨嗟を叫びながら暴れ始めた。カルラが火炎槍を放ってコレットを攻撃したことで会場は炎に包まれ、コレットは神殿の氷漬けになっていたアモルを再起動させて街へ解き放った。

前世の女との決着

アリアは中庭へ戦場を移し、蟲の上半身を生やして襲いかかる前世の女と交戦した。駆けつけたネロがアモルを追撃するため離脱する中、アリアは変則の八連撃を繰り出してリシアの肉体から前世の女を切り離した。瀕死となったリシアは幼少期の記憶を取り戻し、アリアに看取られながら息を引き取った。

卒業イベント『業火』

王都の炎上と巨大蟲の進撃

夢魔の歌声によって王都の信徒たちが暴徒化し、街中に火の手が広がった。アモルの残骸から進化した巨大蟲が街を破壊する中、ネロが立ち向かい、駆けつけたドルトン、ジェーシャ、ミラ、ヴィーロが連携してネロを援護した。仲間の絆に触れたネロは自らの闇の力を完全に覚醒させ、巨大蟲を神殿へと吹き飛ばした。

死霊の討伐と悪魔の退散

王太子妃宮では、死霊キーラに取り憑かれたビビが下級悪魔を率いてクララたちを襲撃した。エルヴァンとクララが加護を重ね合わせて看破し、ビビの残された意識を呼び覚ましたことで、ビビは自らを刺してキーラを滅ぼした。王都の上空ではカルラが宮廷魔術師団と二番目の兄を殲滅し、命乞いをする父レスター伯爵の頭部を踏み砕いて長年の復讐を果たした。

卒業イベント『共闘』

暗黒魔法の脅威

アリアとフェルドは神殿の上で、前世の女を取り込んだコレットと対峙した。コレットは魔力を注ぎ込んでアリアの姿を模した黒いアーリシアを生み出し、効果を反転させた暗黒魔法でアリアたちを苦しめた。

悪魔の門の崩壊と浄化

コレットが王都の負の感情を集めて魔界への門を開こうとした瞬間、カルラが背後から奇襲して魔力球に亀裂を入れた。そこへネロが巨大蟲を叩き落として球体を炸裂させ、フェルドの大剣とアリアの戦技が黒いアーリシアの魔石を粉砕した。弱体化した夢魔コレットをカルラの聖炎が焼き尽くし、悪魔の軍勢は消滅した。

最終決戦 死が二人を別つまで

五芒星の術式とカルラの告白

コレットが消滅した直後、カルラは王都の五方向へ聖炎の火柱を立ち上がらせ、伝説の秘宝を用いたレベル8の禁忌魔法を発動しようとした。カルラはアリアの手によって殺されることこそが自らの唯一の生きた証であると告げ、王都を道連れにする儀式を開始した。

激突の果てと最期の瞬間

アリアは虚実魔法と鉄の薔薇を展開し、カルラと激しい肉弾戦を繰り広げた。アリアは魔族の精霊から授かった黄金の短剣でカルラの心臓を貫いて火属性そのものを消滅させ、大魔法の発動を阻止した。力尽きたカルラを組み伏せたアリアは、首へペンデュラムの糸を巻き付け、カルラはアリアの心に傷跡を残せたことに微笑みながら絶命した。アリアはカルラの遺体を抱かことかかえ、ネロと共に夜の闇へと消え去った。

私の物語

王太女の治世と新たな旅立ち

半年後、エレーナは正式に王太女となり、聖教会や諸外国との外交関係を再建して王都の復興を主導した。エルヴァンとクララは爵位を返上して地方の領地へ退き、ミハイルとセオは暗部と国政を支える役目に就いた。アリアは聖女や英雄の座を辞退し、鉄の薔薇姫の二つ名を得て五年間の猶予を勝ち取った。アリアは新米魔術師を加えた新生虹色の剣の仲間たちと共に、自らの意思で歩む自由な冒険へと旅立った。

夜色の夢の中で

茨の魔女の追憶

カルラは父や兄たちに虐げられ、自ら狂気に染まって復讐を誓った幼少期を回想した。ただ死ぬことだけを求めていたカルラにとって、自らを殺すと約束してくれたアリアこそが唯一の希望であり、彼女の手にかかってその心に消えない傷跡を残すことこそが生涯の幸福であったと噛み締めながら、その意識を安らかに消滅させた。

電子版特典 百年の冒険6『迂闊』

新米斥候ヴィーロの災難

両親が書き置きを残して旅立ったため、十六歳となったヴィーロ・ドーンは虹色の剣に身を寄せることになった。しかし口の軽さからゲルフの怒りを買い、サマンサとミランダによって強制的にオーク討伐の特訓へ連れ出された。サマンサとミランダの規格外の魔術喧嘩に巻き込まれたヴィーロは、同じく被害者となったオークソルジャーと共謀して逃げ延び、戦うことなくランク3への昇格を果たした。

同シリーズ

乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル シリーズ

その他フィクション

フィクション(novel)あいうえお順
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