おっさん剣聖2巻レビュー
おっさん剣聖まとめ
おっさん剣聖4巻レビュー
どんな本?
『片田舎のおっさん、剣聖になる』第3巻は、佐賀崎しげる氏の著作であり、2022年2月7日にスクウェア・エニックスより刊行された。
本作は、片田舎で剣術道場を営む中年男性ベリル・ガーデナントが、成長した元弟子たちとの再会や新たな任務を通じて、自身の実力を再認識し、剣聖としての道を歩む姿を描いている。
第3巻では、レベリス王国と隣国スフェンドヤードバニアの王族間の友好行事において、ベリルが王族護衛の任務に就くこととなる。
その際、スフェンドヤードバニアの副団長であり、かつての弟子であるロゼ・マーブルハートとの再会が描かれる。
物語は、王族を狙う陰謀や新たな敵との対峙を通じて、ベリルの活躍を中心に展開される。
また、シリーズ累計発行部数は650万部を突破し、2025年4月にはテレビアニメ化も予定されている。
読んだ本のタイトル
片田舎のおっさん、剣聖になる 3
著者:佐賀崎しげる 氏
イラスト:鍋島テツヒロ 氏
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あらすじ・内容
おっさんの次なる任務は――王族護衛!?
コミック1巻同月発売!!まもなく始まるレベリス王国と隣国スフェンドヤードバニアの王族の友好行事に向けて、両国の騎士団が警護に当たるらしい。そして当然騎士団長アリューシアからは、
「先生をご紹介する、良い機会かと」
そろそろ大役にも慣れ始めたおっさんだが、さすがに『王族』と聞いて悶々するなか、相手国の騎士団が到着したようで――
「うふふ。貴方の愛弟子、ロゼ・マーブルハートですよ~」
スフェンドヤードバニアの副団長もかつての弟子!?
再会に驚く間もなくアリューシア・ロゼと共に王族護衛の任に就くが、その背後では王族を狙う黒い影が徐々に動き始めていて――。
片田舎のおっさん、人生最大の超重要任務に挑む!!
感想
これまでの穏やかな日常に加え、王族や宗教、国家間の思惑まで絡む政治劇が本格的に描かれ始めた一冊だった。物語のスケールが大きく広がる一方で、ベリルらしい温かな人間関係もしっかり描かれており、シリーズの魅力を改めて感じられた。
まず印象に残ったのは、ミュイとの同居生活である。
前巻で家族となった二人だが、本巻では一緒に暮らす中で少しずつ距離が縮まっていく様子が丁寧に描かれている。
裏町で孤独に生きてきたミュイが、少しずつベリルに心を開いていく姿は微笑ましく、親子のような空気に自然と癒やされた。
また、偶然立ち寄った食事処でスレナと顔を合わせる場面など、何気ない日常のやり取りにも温かさがあり、本作ならではの穏やかな雰囲気を楽しむことができた。
一方で、本巻の中心となるのは王族護衛という新たな任務である。
その中で再会するのが、隣国スフェンドヤードバニアで教会騎士団副団長となった元弟子・ロゼ・マーブルハートだった。
また新たな弟子の存在が明らかになったことにも驚いたが、それ以上に彼女が敵側として立ちはだかる展開には意表を突かれた。
弟子と剣を交えるという展開は、これまでとは違う緊張感があり、物語に新鮮さを与えている。
本巻では、これまで以上に政治や宗教の要素が色濃く描かれている。
王族を狙う事件の裏では、国家同士の思惑や教会内部の事情が複雑に絡み合い、単純な勧善懲悪では終わらない物語になっていた。
特にロゼ自身も、自らの信念と立場の間で葛藤しており、敵でありながら感情移入できる人物として描かれていたのが印象的だった。
そして、本巻で最も心に残ったのは、ベリルとロゼの一騎打ちである。
ただ勝敗を決めるためではなく、師として弟子を正しい道へ導こうとする戦いになっていた点が素晴らしかった。
ロゼの成長を認めながらも、間違った道へ進もうとする彼女を剣で止めようとするベリルの姿には、戦闘以上の重みを感じる。
力でねじ伏せるのではなく、相手を理解し、諭そうとする姿勢こそが、ベリルという人物の最大の魅力なのだと改めて思った。
その一方で、今回はロゼが物語の中心だったこともあり、これまで活躍していた弟子たちの出番は少なめだった。
テンポもややゆっくり進む印象があり、人によっては少し物足りなさを感じるかもしれない。
しかし、その分だけロゼという新たなキャラクターや、ベリルの人間性が丁寧に描かれており、物語全体としては十分な読み応えがあった。
第一王子を巡る事件や、スフェン教の内紛、そしてロゼが背負っている本当の目的など、多くの謎はまだ残されたままである。
国家規模の問題へ少しずつ巻き込まれていく中で、それでも変わらず「ただの田舎のおっさん」であり続けようとするベリルが、この先どのような活躍を見せるのか。
政治劇としての面白さと、人と人との温かな交流が見事に両立した、続きがますます楽しみになる一冊だった。
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最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
ミュイの魔術師学院入学
『片田舎のおっさん、剣聖になる 3』における、ミュイ・フレイアの魔術師学院への入学に関する一連の経緯と学校生活のエピソードは以下の通りである。
魔法の才能を見出された少女が新たな一歩を踏み出す道中から、専門的な魔法体系の説明、寮生活の拒否と同居の継続、そして慣れない環境での葛藤と安心にいたる全容は以下の通りである。
新しい服装での登校と広大な魔術師学院への到着
ミュイが魔術師学院へ入学する日、ベリルは後見人として彼女を学院まで送り届けることになった。
・ミュイはいつものローブ姿ではなく、イブロイから贈られた白のカットソーとタイトな黒のパンツという服装を選んだ。
・少し緊張しながらも新しい生活への第一歩を踏み出した。
・北区にある魔術師学院は王宮と同程度ではないかと思わせるほど広大な敷地を持ち、中庭、巨大な学舎、運動場、寮などを備えた立派な施設であった。
キネラ先生との出会いと魔法の五体系
学院の入り口で、二人は入学と入寮の案内を担当する教師であるキネラ・ファインと出会う。
・キネラ先生は非常に柔和で親切な女性教師であった。
・彼女から、魔法には大きく分けて攻性、防性、回復、強化、生活の五体系があるという説明を受ける。
・炎の魔法を扱えるミュイは、攻性魔法への適性が高いと評価された。
・案内の途中で学院の卒業生であるフィッセルの剣魔法が非常に優秀だったという話題になり、ベリルが彼女の師匠だと知ったキネラ先生が驚いて畏まる一幕もあった。
入寮の拒否とベリルの家からの通学継続
職員室でカリキュラムや規則について説明を受けた後、併設されている寮に関する案内もあった。
・学院には遠方からの学生や保護者のために寮が用意されており、大半の学生が入寮を選択するが、強制ではなかった。
・魔法師団長のルーシーも当初は寮生活を想定していたが、ミュイは寮に入ることを拒否し、引き続きベリルの家から通学することを選んだ。
・ベリルは通学の手間や家事の分担などを考えつつも彼女の選択を尊重し、共に生活しながら彼女の自立を見守る決意を新たにした。
昼食時のスレナとの再会と厳しい激励
学院での手続きを終えた後、二人は昼食をとるために中央区のシャルキュトリ(腸詰専門店)へ立ち寄る。
・そこで偶然、最高位冒険者であるスレナと相席になった。
・スレナは、ベリルがミュイの後見人として一緒に住んでいることに驚きを見せる。
・同時に、ミュイに対して、魔術師学院は生え抜きたちが競い合う厳しい場所だ、とあえて厳しい言葉をかけた。
・ミュイはスレナの圧に少し萎縮してしまったが、裏社会で生きてきて表の知り合いがほぼいないミュイにとって、頼りになる高位冒険者の知り合いができたことは、今後の彼女の世界を広げる上で非常に有意義な出会いとなった。
入学直後の疲労困憊と担任決定による安心感
これまで孤独に裏社会で生きてきたミュイにとって、同年代の学生が多数いる明るい学校生活はまったく慣れない環境であった。
・入学してからの数日間は人の多さに戸惑い、色々と話しかけられたり連れ回されたりしたことで疲労困憊となった。
・家に帰るなり、もうやだ、と泣き言を漏らすほど苦労していた。
・しかし、入学時の案内役であり、彼女の事情もある程度把握しているキネラ先生が、そのままミュイのクラスの担任になった。
・このことにミュイは安心した様子で、夕食の席で少し恥ずかしそうに、しかし嬉しそうにベリルに報告している。
まとめ
ミュイの魔術師学院への入学と初期の学校生活は、裏社会の孤独から脱却し、表の社会へと適応していくための試練と成長の過程として描かれている。キネラ先生による魔法の適性評価や、最高位冒険者スレナからの厳しい激励は、ミュイが自らの才能を開花させていくための重要な道標となった。周囲の勧める寮生活を断り、ベリルとの共同生活を維持しながら過酷な通学や環境の変化に立ち向かうミュイの姿は、彼女の不器用ながらも実直な歩みを示しており、後見人となったベリルとの絆をさらに深める象徴的なエピソードとなっている。
王族の護衛任務
『片田舎のおっさん、剣聖になる 3』における、隣国スフェンドヤードバニア使節団および教会騎士団の来訪と、それに伴う「王族の護衛任務」の経緯と詳細は以下の通りである。
アポなしの来訪と元弟子の再会から始まり、両国の友好の裏に潜む教皇派の陰謀、連続する暗殺未遂事件、そしてベリルによる獅子奮迅の活躍にいたる全容は以下の通りである。
教会騎士団の突如たる来訪と応接室での居心地の悪い再会
ベリルとアリューシアがレベリオ騎士団の修練場で模擬戦を終えた直後、隣国スフェンドヤードバニアの教会騎士団がアポなしで正門前に来訪した。
・挨拶を済ませるため、ベリルはアリューシアやヘンブリッツとともに応接室へと向かう。
・応接室で待っていたのは、2メートル近い長身の大男である教会騎士団長ガトガ・ラズオーンと、新副団長であり、かつてベリルの道場で1年半ほど剣を学んでいた元弟子のロゼ・マーブルハートであった。
・ロゼがベリルに気付き、満面の笑みで、貴方の愛弟子、お師匠様、と呼んで慕う様子を見せたため、ベリルを深く敬愛するアリューシアは露骨に不機嫌な表情を浮かべ、場には絶妙に居心地の悪い空気が漂った。
・ガトガによれば、真の目的は間もなく行われる使節団の来訪に伴う、第一王子グレンのバルトレーン御遊覧に備えた地理の下見であった。
使節団の来訪目的と王族護衛任務の布陣
スフェンドヤードバニア使節団は、レベリス王国の首都バルトレーンで祭りが開催される時期に合わせて、両国の友好の印として毎年やってくる。
・今回の来訪では第一王子のグレン王子が中心となり、教会騎士団(団長ガトガ、副団長ロゼら)が同行した。
・レベリス王国側からは第三王女のサラキア王女が同伴し、レベリオ騎士団と教会騎士団が合同で御遊覧の身辺警護を行うことになった。
・ベリルは特別指南役という立場からサラキア王女の護衛班に組み込まれたが、正式な騎士ではないため、最初は囮役も兼ねて一人で馬車に乗車して警戒に当たる配置となった。
連続する襲撃事件と裏に潜む教皇派の陰謀
御遊覧の行程は、両国の政権争いに起因する暗殺計画によって血に染まることとなる。
・初日の御遊覧:中央区や西区の商店を回る平和なものであったが、ベリルは民衆の中に混じる微かな殺気を感知していた。
・二日目の暗殺未遂:劇場での観劇に向かう道中、毒を塗ったダガーを持つ黒ずくめの暗殺者集団に屋根の上から強襲される。護衛陣の活躍で被害を出さずに撃退し、王宮へと緊急避難した。
・襲撃の背景:スフェンドヤードバニア国内での教皇派と王権派による政権争い(内戦状態)が原因であった。教皇派は王位継承権1位のグレン王子を暗殺して王権派を失脚させ、第二王子のファルクスを傀儡の王として擁立することを目論んでいた。
・悲痛な手引き:襲撃の手引きをして刺客を護衛網の中に通していたのは、教皇派に加担した教会騎士団の元副団長ヒンニスや現副団長のロゼであった。ロゼは自らの野心ではなく、教皇派に孤児院の子供たちを人質に取られ、子供たちを救うために無理やり作戦に従わされていた。
最終日の大規模襲撃とベリルの獅子奮迅の戦い
暗殺未遂があったにもかかわらず、グレン王子の強い希望により御遊覧は三日目も続行され、南区の農業地域を視察することになった。
・そこで再び暗殺者の大群と弓兵による大規模な襲撃を受ける。
・前回の襲撃者より練度は低いものの、その数は圧倒的で、遠距離攻撃が護衛陣を苦しめた。
・この絶体絶命の状況で、ベリルはアリューシアとヘンブリッツに王族を託して安全な場所へ逃がすよう指示し、自身は単身で戦場に残る。
・押し寄せる無数の刺客を次々と斬り伏せて時間を稼ぎ、王族を無事に脱出させることに成功した。
元弟子ロゼとの対峙と護衛任務の完遂
刺客を全滅させた後、ベリルは現場で傷一つ負わずに立っていたロゼを問い詰め、彼女がこの襲撃に加担し、刺客をわざと通していたことを看破する。
・彼女の凶行を止めるために一騎打ちを行い、ゼノ・グレイブルの素材で作られた強靭な新しい剣でロゼの盾と鎧ごと切り裂いて制圧した。
・事件後、暗殺の実行犯たちは捕らえられた直後に全員自害したため詳細は闇に葬られかけたが、責任は主犯であるスフェンドヤードバニア側が負うことになった。
・王族を無事に守り抜いたベリルの功績は極めて高く評価され、後日開かれた王宮での晩餐会において、グラディオ国王やサラキア王女から直接深い感謝の言葉を賜った。
・さらに国王からはサラキア王女専属の「ロイヤルガード」に推挙されるほどであったが、この推挙はアリューシアが即座に、かつ丁重に辞退している。
まとめ
スフェンドヤードバニア使節団の来訪に伴う護衛任務は、他国の凄惨な政治闘争に巻き込まれながらも、ベリル・ガーデナントの圧倒的な剣技と決断力が国難を救った最大級の転機である。アポなしで現れた元弟子ロゼとの不穏な再会は、孤児院を人質に取られた彼女の裏切りという悲劇へ繋がったが、ベリルは単身で大群を引き受ける獅子奮迅の立ち回りで王族を守り抜き、ロゼをもその剣で制圧して陰謀を阻止した。ロイヤルガードへの推挙を受けるほどの中央での絶対的な名声の確立と、グレン王子とサラキア王女の婚約関係を揺るがしたこの大事件は、片田舎の剣聖の存在がもはや一国の命運を左右する領域に達していることを決定づけている。
元弟子ロゼとの死闘
『片田舎のおっさん、剣聖になる 3』における、主人公ベリル・ガーデナントと元弟子ロゼ・マーブルハートとの死闘の経緯と結末は以下の通りである。
王族の御遊覧の裏で発生した大規模襲撃から、人質を盾に取られた元弟子の裏切り、師弟の決着、そして戦闘後の救済にいたる全容は以下の通りである。
戦場での異変とロゼとの対峙
スフェンドヤードバニアのグレン王子とレベリス王国のサラキア王女の御遊覧最終日、南区の農業地域で大量の刺客と弓兵による大規模な襲撃が発生した。
・ベリルは王子たちをアリューシアとヘンブリッツに託して逃がし、自身は単身で戦場に残って無数の敵を次々と斬り伏せる。
・戦場が静まり返った後、血潮と死体の真ん中で傷一つ負わずに立っていた重騎士が、教会騎士団の副団長であり、ベリルのかつての弟子であるロゼ・マーブルハートであった。
ロゼの裏切りと背負った悲痛な覚悟
使節団の下見として首都バルトレーンを訪れた際、ベリルを、お師匠様、と呼んで慕い、私服で思い出や近況を和やかに語り合っていたロゼであるが、彼女の置かれた状況は過酷であった。
・ロゼの鎧や盾に血や傷跡がまったくないことから、ベリルは彼女が意図的に刺客を通していたことを看破する。
・問い詰められたロゼは、国内の教皇派と王権派の争いにおいて、教皇派に孤児院の子供たちを人質に取られ、やむなくグレン王子暗殺のクーデターに加担させられていた悲痛な事情を明かした。
・自らの行いが間違っていると理解しつつも、子供たちの命が懸かっているため引き返すことができないロゼは、私を止めてください、不出来な弟子を叱ってください、とベリルに自らを斬るよう懇願した。
特注の剣による師弟の決着
ロゼの悲壮な覚悟を受け止めたベリルは、苦渋の決断とともに、君を斬る、と告げ、剣を構えた。
・ロゼは道場にいた頃から防御からの反撃(カウンター)を得意としており、ベリルは彼女が自らの攻撃を盾で受けてくると予測する。
・ベリルは、バルデルが打ったゼノ・グレイブル素材の特注ロングソードの規格外の切れ味を信じ、渾身の力で斜め上に斬り上げた。
・その一撃は、ロゼの絶対の防御である純白のカイトシールドと重厚なフルプレートアーマーを容易く打ち砕く。
・彼女の胸元を深く切り裂いて一撃で勝負を決めた。
生きて罪を償うことへの諭しとロゼの救済
敗北して地に倒れ、肺へのダメージで喀血するロゼは、ベリルに自分を殺してほしいと頼んだ。
・しかしベリルは、生きて罪を償い、向き合っていくべきだ、と諭し、トドメを刺すことを拒否した。
・その後、合流した教会騎士団長のガトガ(ロゼの義理の兄)が、スフェン教の奇跡(回復魔法)を行使したことで、ロゼは一命を取り留めることとなった。
まとめ
ベリル・ガーデナントとロゼ・マーブルハートの決闘は、他国の過酷な政争の犠牲となり裏切りを強制された弟子と、その悲痛な覚悟を正面から受け止めた師匠による、今作において最も劇的で切ない師弟対決である。ベリルは、ロゼの絶対の防御をバルデルの手による特注の剣で盾ごと切り裂き、圧倒的な実力差で彼女の凶行を阻止した。命を奪うことで終わらせるのではなく、生きて罪と向き合うよう諭したベリルの言葉と対応は、かつて剣を教えた弟子への深い慈愛と親心に満ちており、剣聖としての強さだけでなく指導者としての偉大な器を象徴する幕引きとなっている。
ベリルの王宮晩餐会
『片田舎のおっさん、剣聖になる 3』における、スフェンドヤードバニア王族暗殺未遂事件の解決後に開かれた「王宮晩餐会」の経緯と詳細は以下の通りである。
事件における功績への感謝から始まった王宮への招待、王族たちからの熱烈な称賛、そして専属護衛への推挙を巡る攻防とベリルの困惑にいたる全容は以下の通りである。
王宮からの招待状とベリルの抱く極度の緊張
事件が一段落した後、ベリルとアリューシアのもとにレベリス王宮から封書が届く。
・内容は、事件における功績への感謝と晩餐会への招待であった。
・アリューシアだけでなく自身の名前もあったことに驚きつつも、ベリルは新調した黒地のジャケットを着て王宮へ向かった。
・しかし、豪華に磨き上げられた王宮の建物や雰囲気に圧倒され、彼自身はひたすら場違い感と極度の緊張に包まれていた。
王族からの称賛とサラキア王女の熱烈な支持
晩餐会には、グラディオ国王、ファスマティオ第一王子、サラキア第三王女が同席した。
・王族たちは事件でのベリルと騎士団の働きに深い感謝を示す。
・特にサラキア王女は、波のように押し寄せる敵兵を次々と斬り倒した、とベリルの勇姿を具体的に挙げ、熱烈に称賛した。
・ファスマティオ王子からも褒め言葉を賜るが、ベリルは終始恐縮しきりであった。
ロイヤルガードへの推挙とアリューシアによる即座の辞退
豪華な料理やワインが振る舞われる中、グラディオ国王から、サラキア王女がスフェンドヤードバニアのグレン王子の下へ嫁ぐ予定である、という事実が明かされる。
・国王は、内戦状態の他国へ嫁ぐ娘の不安を払拭するため、王女専属の特別親衛隊「ロイヤルガード」の編成を進めていた。
・その一員としてベリルを推挙したいと直接提案する。
・ベリルが頭を真っ白にさせて硬直する中、隣にいたアリューシアが、レベリス王国の繁栄にはベリルの継続的な助力が不可欠である、と必死の形相で即座に辞退を申し入れた。
・国王も騎士団長のその言葉に納得して引き下がったため、ベリルのロイヤルガード就任は回避された。
天上の人たちからの注目とベリルの困惑
その後もサラキア王女からは好意的に質問攻めにされ、国王も機嫌良く笑っていた。
・しかし、ベリル自身は天上の人たちからの過剰な注目に戸惑いを隠せなかった。
・高級な料理や美味しいワインも緊張のあまり味がよくわからず、ベリルは内心で、早く行きつけの安酒場で一杯やり直したい、と考えながら、なんとかこの豪華な晩餐会をやり過ごした。
まとめ
王宮晩餐会での一幕は、ベリル・ガーデナントの獅子奮迅の活躍が、国の最高権力者たちにまで届くほどの多大なものであったことを証明している。サラキア王女からの熱烈な称賛やロイヤルガードへの推挙は、ベリルの実力が国家レベルで認められた証拠にほかならない。アリューシアの必死の辞退によって他国への異動という事態は免れたものの、ベリル本人のしがないおっさんという自己評価とは裏腹に、彼を巡る周囲の環境は名実ともに王国の中心へと巻き込まれ、その名声はさらに揺るぎないものとなっている。
おっさん剣聖2巻レビュー
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登場キャラクター
ガーデナント道場関係
ベリル・ガーデナント
片田舎のビデン村で剣術道場の師範を務める男性である。自らを過小評価する傾向を持つ。ミュイの後見人を引き受ける。
・所属組織、地位や役職
ガーデナント道場・師範。レベリオ騎士団・特別指南役。
・物語内での具体的な行動や成果
ミュイを魔術師学院へ送り届けた。サラキア王女の護衛任務に就き、暗殺者たちを撃退する。教皇派の作戦に加担したロゼを制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王グラディオからロイヤルガードに推挙されたが、アリューシアが辞退したため就任には至らなかった。
モルデア
ベリルの父親である。かつては剣術道場の師範を務めていた。
・所属組織、地位や役職
ガーデナント道場・前師範。
・物語内での具体的な行動や成果
ベリルに孫の顔を見せるよう求めた。ランドリドに道場の運営を引き継がせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ベリルを実家から追い出し、首都へ向かわせた。
ベリルの母
ベリルの母親であり、モルデアの妻である。
・所属組織、地位や役職
所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
夫のモルデアと同調し、ベリルに孫の顔を見せるよう求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ランドリド
ベリルの道場出身の元弟子である。かつて首都バルトレーンで冒険者として活動していた。
・所属組織、地位や役職
元冒険者。プラチナムランク。ガーデナント道場の運営引き継ぎ者。
・物語内での具体的な行動や成果
息子の誕生を機に冒険者を引退し、ビデン村へ戻った。モルデアの説得に応じて道場の運営を引き受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
レベリオ騎士団
アリューシア・シトラス
ベリルのかつての弟子である。ベリルを深く尊敬している。
・所属組織、地位や役職
レベリオ騎士団・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
ベリルの服選びに同行した。サラキア王女の身辺警護を行い、襲撃犯を生け捕りにする。ベリルのロイヤルガード就任を断った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王や他国の騎士団長とも対等に渡り合う。
ヘンブリッツ・ドラウト
レベリオ騎士団の副団長を務める青年である。武に対して実直な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
レベリオ騎士団・副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
サラキア王女の身辺警護に参加した。襲撃してきた暗殺者を討ち取る。襲撃事件の現場指揮を任された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ベリルを目標として慕っている。
クルニ・クルーシエル
ベリルのかつての弟子である。元気で活発な気質を持つ。
・所属組織、地位や役職
レベリオ騎士団・所属騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ツヴァイヘンダーの扱いに悩み、修練場で素振りを繰り返していた。フィッセルに模擬戦を申し込む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
武器をショートソードからツヴァイヘンダーへ変更した。
エヴァンス・ジーン
レベリオ騎士団の若手騎士である。活発な青年として描かれる。
・所属組織、地位や役職
レベリオ騎士団・所属騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
教会騎士団の来訪をアリューシアへ報告した。王宮からの書簡をアリューシアへ届ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
レベリオ騎士団の騎士たち
レベリス王国直轄の騎士団に所属する団員たちである。
・所属組織、地位や役職
レベリオ騎士団・所属騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
街頭警備に割り振られ、王族の御遊覧を護衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
魔法師団・魔術師学院
ルーシー・ダイアモンド
幼い少女の外見を持つ女性である。魔法の研究に日々取り組んでいる。
・所属組織、地位や役職
魔法師団・団長。魔術師学院・学院長。
・物語内での具体的な行動や成果
ミュイを魔術師学院へ入学させる手続きを進めた。ベリルに襲撃事件の背景について情報を提供する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔法によって現在の外見を長年維持している。
フィッセル・ハーベラー
ベリルのかつての弟子である。独特のテンポで話す特徴を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔法師団・所属。
・物語内での具体的な行動や成果
修練場でクルニに剣を振る際の意識について助言した。クルニの模擬戦の相手を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
キネラ・ファイン
魔術師学院の教師を務める女性である。柔和で人当たりの良い雰囲気を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔術師学院・教師。
・物語内での具体的な行動や成果
魔術師学院を訪れたベリルとミュイを案内した。ミュイに入校と入寮の説明を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
魔法師団の魔術師たち
レベリス王国の魔法師団に所属する者たちである。
・所属組織、地位や役職
魔法師団・所属。
・物語内での具体的な行動や成果
襲撃事件後、南区の戦場跡で死体処理や防疫対策に奔走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
魔術師学院の教師たち
魔術師学院で教鞭をとる者たちである。
・所属組織、地位や役職
魔術師学院・教師。
・物語内での具体的な行動や成果
南区の戦場跡の処理に人員を派遣する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
魔術師学院の学生たち
魔術師学院に通う生徒たちである。
・所属組織、地位や役職
魔術師学院・学生。
・物語内での具体的な行動や成果
廊下ですれ違うキネラやベリルに挨拶を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
冒険者ギルド・冒険者
スレナ・リサンデラ
ベリルのかつての弟子である。勝気な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
冒険者。ブラックランク。
・物語内での具体的な行動や成果
食事処でベリルやミュイと偶然再会した。スフェンドヤードバニア使節団の来訪に伴い、治安向上のため活動していると語る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
「竜双剣」の異名を持つ。
レベリス王国 王宮関係・王国守備隊
グラディオ
レベリス王国の国王である。壮年から老年に差し掛かった年齢の男性である。
・所属組織、地位や役職
レベリス王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
晩餐会でベリルやアリューシアの働きを称賛した。サラキア王女のロイヤルガードにベリルを推挙する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ファスマティオ・アスフォード・エル・レベリス
レベリス王国の第一王子である。凜々しい眉を持つ青年である。
・所属組織、地位や役職
レベリス王国・第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
晩餐会でベリルやアリューシアへ感謝の言葉を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
サラキア・アスフォード・エル・レベリス
レベリス王国の第三王女である。落ち着いた雰囲気を持つ。
・所属組織、地位や役職
レベリス王国・第三王女。
・物語内での具体的な行動や成果
グレン王子とともに街を御遊覧した。晩餐会でベリルの働きを称賛する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グレン王子の下へ嫁ぐ予定となっている。
スフェンドヤードバニア(王権派・スフェン教・教会騎士団)
グレン王子
スフェンドヤードバニアの第一王子である。爽やかな気品を纏う青年である。
・所属組織、地位や役職
スフェンドヤードバニア・第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
レベリス王国を訪れ、サラキア王女とともに街を御遊覧した。装飾品店でサラキア王女に髪飾りを贈る。襲撃事件後も御遊覧の続行を希望した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王位継承権を持つ。
ファルクス王子
スフェンドヤードバニアの第二王子である。熱心なスフェン教の信徒である。
・所属組織、地位や役職
スフェンドヤードバニア・第二王子。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
教皇派が彼を王位に据えようと画策していると推測される。
ガトガ・ラズオーン
スフェンドヤードバニア教会騎士団の団長である。大柄で威圧感のある男性である。
・所属組織、地位や役職
教会騎士団・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
レベリオ騎士団庁舎を訪れ、アリューシアやベリルと挨拶を交わした。グレン王子の護衛を務める。襲撃してきた弓兵を排除するため前線へ突撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロゼの義理の兄である。
ロゼ・マーブルハート
ベリルのかつての弟子である。柔和な雰囲気を持つ女性である。
・所属組織、地位や役職
教会騎士団・副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
グレン王子の護衛を務める。教皇派の作戦に加担し、刺客を突破させた。ベリルと交戦して敗北する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
負傷を理由に帰国する扱いとなり、ガトガの手引きで亡命することとなった。
イブロイ
スフェン教の司祭である。物腰の柔らかな男性である。
・所属組織、地位や役職
スフェン教・司祭。
・物語内での具体的な行動や成果
ベリルの新しい家へ衣類と金銭を贈った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
レビオス・サルレオネ
スフェン教の司教を務めていた男性である。死者蘇生の研究を行っていた。
・所属組織、地位や役職
スフェン教・元司教。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不正な人身売買などの罪で裁かれ、司教の座を剥奪されたと推測されている。
ヒンニス
教会騎士団の元副団長である。剣と弓の扱いに長けている。
・所属組織、地位や役職
教会騎士団・元副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
教皇派に加担し、グレン王子暗殺を指揮したと推測されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
教皇
スフェン教の最高指導者である。
・所属組織、地位や役職
スフェン教・教皇。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王権派の失権を狙い、グレン王子の暗殺を企てたと推測される。
エリネ
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
サンドラ
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
ハーヴィス
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
ギル
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
ケネシー
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
チルコット
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
マーレイ
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
ホロゾン
ロゼと同じ志を持っていたと思われる人物である。
・所属組織、地位や役職
所属不明。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに死亡している。
教会騎士団の騎士たち
スフェンドヤードバニアの国教であるスフェン教の直下にある戦力である。
・所属組織、地位や役職
教会騎士団・所属騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
王族の御遊覧の護衛に加わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一部の者が教皇派に加担し、襲撃に関与した可能性がある。
黒ずくめの集団
王族の暗殺を企てた刺客たちである。
・所属組織、地位や役職
暗殺者。教皇派の手勢と推測される。
・物語内での具体的な行動や成果
武器に毒を仕込み、屋根から飛び降りてグレン王子たちを襲撃した。農業地域でも大挙して押し寄せる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
捕らえられた者は全員自害した。
街の人々・その他
ミュイ・フレイア
くすんだ青髪を持つ少女である。ベリルの保護下で新しい生活を始める。
・所属組織、地位や役職
魔術師学院・学生。
・物語内での具体的な行動や成果
ベリルとともに魔術師学院へ向かい、入学の手続きを行った。夕食にポトフを作る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔術師学院への入学を果たし、寮には入らずベリルの家から通うことになった。
アイダ
バルトレーン中央区の裏道にある酒場の娘である。快活な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
酒場の従業員。
・物語内での具体的な行動や成果
久しぶりに来店したベリルに新メニューのチーズリゾットを薦めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
ハルウィ
ルーシーの家で働く使用人である。気品と落ち着きを備えている。
・所属組織、地位や役職
ルーシーの家・使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
ミュイに言葉遣いや家事の指導を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
リッテル
バルトレーンの街中で迷子になっていた少年である。
・所属組織、地位や役職
所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
母親とはぐれて不安がっていたが、ロゼに話しかけられて落ち着きを取り戻す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロゼやアリューシアの協力で母親と再会した。
リッテルの母親
リッテルの母親である。純朴な顔立ちの女性である。
・所属組織、地位や役職
所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
はぐれたリッテルを必死に探し回り、無事に再会を果たした。ロゼに何度も感謝の言葉を述べる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項は記載されていない。
宵闇
盗賊団「宵闇の魔手」の頭目を務めていた男性である。
・所属組織、地位や役職
盗賊団「宵闇の魔手」・頭目。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騎士団庁舎の地下に勾留され、聴取を受けている。
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展開まとめ
一 片田舎のおっさん、服を買う
ミュイの新生活の始まり
朝早く、ベリルはミュイとともに新しい家を出発した。彼らは魔術師学院への転入手続きを済ませるため、学院へ向かう準備を整えていた。同居生活は始まったばかりだったが、思ったよりも互いの距離感を保ちながら、平穏に過ごしている様子であった。ベリルは後見人としての責務を果たしながらも、ミュイの新しい環境を見届けたいという想いで同行していた。
魔術師学院への道中
ベリルはルーシーから受け取った地図を頼りに北区にある魔術師学院を目指した。ミュイは少し控えめに「一人でも行ける」と主張していたが、ベリルは後見人としての責任を口実に、彼女を伴った。途中で乗合馬車を利用したが、混雑する車内にミュイは少し困惑していた。ベリルは過保護になりすぎる自覚を持ちながらも、彼女の不安を和らげるよう努めた。
壮大な魔術師学院との出会い
北区に到着した二人は、巨大な敷地を持つ魔術師学院の門前に立った。学院の広さに驚きつつも、ベリルは新たな環境に足を踏み入れるミュイを温かく見守っていた。学院の建物や中庭、運動場などを眺めながら、二人は職員室を目指して進んだ。
教師キネラとの出会い
道中で、学院の教師キネラと名乗る女性に声を掛けられた。彼女は柔和な雰囲気を持つ人物で、二人を温かく迎え入れた。ミュイは緊張しながらも挨拶を交わし、ベリルもまた彼女の案内を受け入れた。キネラの説明によると、魔術師学院では攻性、防性、回復、強化、生活といった魔法の体系を学ぶとのことだった。ミュイは炎の魔法を得意とすることから、攻性魔法への適性を示していると判断された。
フィッセルの話題と剣魔法の存在
案内の中で、キネラがフィッセルの名前を口にした。彼女は学院の卒業生であり、剣魔法の優秀な使い手として知られていた。ベリルが彼女の師であることを知ったキネラは驚き、敬意を表した。ベリルはフィッセルの評価の高さに少し照れつつも、剣魔法という分野の可能性について興味を示した。
職員室での手続き
職員室に到着すると、キネラは入学と入寮の説明を開始した。ベリルはルーシーを通じて手続きを進めていたため、必要書類はすでに学院側に渡っているとのことだった。ベリルはミュイの新生活が円滑に始まるよう、説明を丁寧に聞き入れる姿勢を見せていた。
新たな一歩への期待
学院の中で見た光景や教師たちの丁寧な対応に、ベリルはミュイがここで良い学生生活を送れることを確信しつつあった。緊張しながらも前を向こうとするミュイの姿に、ベリルは父親のような誇りと期待を抱いていた。学院での生活が彼女にとって明るい未来への第一歩になることを願いながら、ベリルはこれからの成長を静かに見守る決意を新たにした。
魔術師学院での説明と入寮拒否
ミュイは魔術師学院で基本的な説明を受けた後、入寮を拒否して自宅から通うことを選んでいた。学院寮は通学が難しい学生を主な対象としていたが、強制ではなかった。ミュイの選択に対し、ベリルは多少の疑問を抱きつつも、彼女が納得しているならそれで良いと考えていた。共同生活には課題もあるが、二人で工夫しながら日々を過ごしていこうという結論に至った。
昼食とスレナとの偶然の再会
昼食を取るために立ち寄った食事処で、二人は冒険者スレナ・リサンデラと偶然再会した。スレナはベリルとミュイに相席を提案し、ベリルはそれを受け入れた。スレナはミュイに興味を示し、後見人として彼女と一緒に暮らしていることを知ると驚きを隠せなかった。食事の間、スレナは魔術師学院での厳しい環境について助言を与えつつ、ミュイに対して少し厳しい態度を見せたが、最終的には和やかな雰囲気の中で食事を終えた。
スフェンドヤードバニア使節団の話題
スレナとの会話の中で、スフェンドヤードバニア使節団の来訪について話が及んだ。彼女は治安維持のため冒険者ギルドが動いていることを明かした。ベリルは、この話題をきっかけに使節団の訪問がもたらす影響について関心を抱いたが、自身が深く関わることには気が進まない様子を見せた。
騎士団庁舎での再会と特別指南役としての責務
昼食後、ベリルは騎士団庁舎に足を運び、剣を振ることで気分転換を図ろうとした。そこで副団長ヘンブリッツや団長アリューシアと再会し、使節団の来訪に関連する話題が持ち上がった。アリューシアからは特別指南役として使節団に挨拶をする場が設けられることを告げられた。ベリルは気乗りしないながらも、国王御璽付きの任命書を持つ身として、これを断ることが難しいと悟った。
準備の開始と決意
アリューシアの提案により、使節団との会見に向けた服装の準備が進められることになった。ベリルはその状況を受け入れ、少しずつ心の準備を整えていこうと決意した。ヘンブリッツの励ましを受けながら剣を振るい、心身を整えることに集中することで、目の前の課題に向き合おうとしていた。
新しい生活への適応と夕食の支度
騎士団庁舎での運動を終え、ベリルは新しい家に帰宅した。家に入ると、ミュイが作ったポトフの香りが漂い、彼女が夕食を用意して待っていたことを知った。煮物初心者らしい粗削りな仕上がりながら、味はしっかりしており、ベリルは感謝の気持ちを込めて「美味しい」と伝えた。ミュイの表情はわずかにほころび、二人で穏やかな食卓を囲んだ。
届いた謎の荷物
食後、ミュイから「オッサン宛ての箱が届いていた」と告げられたベリルは、その箱を確認した。木箱を開けると、中にはミュイ用と思われる衣類とまとまった金額のダルクが入っていた。差出人がイブロイであることを察したベリルは、ミュイとの生活を応援してくれる意図を感じ取った。
使節団訪問と服装の準備
夕食中、ベリルはミュイに近々訪れるスフェンドヤードバニア使節団について伝え、自身がその対応に駆り出される可能性があることを説明した。また、その場にふさわしい服装を整える必要があるため、アリューシアの案内で服を買いに行く予定を話したが、ミュイは関心を示さず参加を拒否した。彼女の態度に困惑しつつも、ベリルは彼女の新しい環境での成長を見守る決意を新たにした。
生活を支える準備と感謝
ミュイの食事や生活態度にまだ粗さが見られるものの、ベリルは彼女の努力を認め、少しずつ家庭の中での協力関係を築こうとしていた。また、荷物の中の衣類や金銭を活用して、ミュイとの生活をより良いものにしようと考え、差出人への感謝を抱いた。
待ち合わせと出発
スフェンドヤードバニア使節団への準備のため、ベリルはアリューシアと早朝に待ち合わせをした。普段の鎧姿ではなく白地のカットソーと青のロングスカートを纏った彼女は、普段とは違う女性らしい姿で現れた。ベリルは彼女の服装を褒めたが、自身との不釣り合いにやや気後れを感じつつ、街へと向かった。
服選びの始まり
二人は中央区の服飾店へ足を運んだ。アリューシアの案内で入った店には、高級感溢れる服が並んでいた。アリューシアが選んだ派手なプールポワンはベリルの好みには合わず、彼は地味で動きやすい服を求めて別の選択を希望した。彼女の提案を断るたびに少し申し訳なさを感じつつも、落ち着いた黒のジャケットに目を留めた。
複数の店巡りと最終決定
最初の店でジャケットを候補として押さえた後、アリューシアの提案で他の店を巡ることになった。二人は昼食を挟みつつ六軒の店を訪れ、計十六種の服を試したが、結局最初の店で見た黒のジャケットを選んだ。アリューシアの協力に感謝しつつも、最終的には自分の直感に従った形となった。
充実した一日
最終的に決定したジャケットは、派手すぎず落ち着きがあり、ベリルの好みに合致したものであった。アリューシアも満足そうな表情を見せ、二人の買い物は和やかな雰囲気のまま終わりを迎えた。ベリルは彼女の助力に改めて感謝しつつ、街を後にした。
二 片田舎のおっさん、王族と会う
ミュイの入学と準備
ミュイの魔術師学院入学の日、ベリルは彼女とともに学院へ向かった。ミュイはイブロイから贈られた服を着用し、少し窮屈そうにしながらも整った姿を見せていた。道中、魔術師学院の情報や入学費用の話題が挙がり、学院の規模や費用の良心的な点にベリルは感心していた。入学時の案内役としてキネラが登場し、親しみやすい雰囲気の中でミュイの新たな一歩が始まった。
アリューシアとの模擬戦
魔術師学院から戻ったベリルは、騎士団庁舎でアリューシアと出会う。彼女はスフェンドヤードバニア使節団の来訪に備え、ベリルに模擬戦を申し込んだ。アリューシアの剣技は「神速」の名に違わぬもので、ベリルを圧倒した。しかし、ベリルは独自の戦法で一本を取り、模擬戦を制した。彼はアリューシアに、剣技以外の戦い方も学ぶべきだと助言し、彼女もこれを素直に受け入れた。
スフェンドヤードバニア教会騎士団の来訪
訓練の最中、スフェンドヤードバニア教会騎士団のガトガ団長と新副団長ロゼが突然訪れた。ガトガは快活な人物で、ロゼは柔和な雰囲気を纏いながらもかつてベリルの弟子だったと明かした。アリューシアはこの事実に驚きを隠せず、場の空気は微妙な緊張感に包まれた。訪問の目的は、使節団来訪時の地理確認のための下見であり、彼らは短期間滞在する予定だという。
ロゼとの再会と弟子への想い
ロゼがベリルを「愛弟子の師」と表現したことにより、アリューシアの表情には複雑な感情が浮かんだ。ベリルはロゼとの過去を簡単に説明し、彼女も他の弟子たちと同様、大切な存在であると伝えた。この言葉にアリューシアは笑顔を取り戻し、二人は訓練に戻るため修練場へ向かった。ベリルは、全ての弟子が等しく愛すべき存在であるという信念を再確認していた。
ロゼとの再会と街歩き
指南を終えたベリルは帰路につく途中、ロゼと再会した。彼女は私服姿で現れ、久しぶりの会話と街の案内を求めた。ベリルは渋々付き合い、バルトレーンの街をぶらつきながら互いの近況を語り合った。ロゼは教会騎士団に入る経緯を明かし、ベリルの道場での思い出に感謝を述べた。二人の会話は穏やかで、ロゼの天性の人懐っこさが場を和ませていた。
新調した服の試着
アリューシアと選んだ服が仕立て上がり、ベリルはそれを試着した。黒のジャケットに白い刺繍が映えるその服は、使節団来訪時のための正式な装いであった。しかし、普段の服装と異なる締め付け感に違和感を覚えつつも、鏡に映る姿を確認しつつ妥協するしかなかった。高価な出費に内心悩むベリルだったが、重要な場面に備えた準備として自分を納得させた。
ミュイとの食卓
家に戻ったベリルは新しい服を見たミュイから微妙な反応を受けた。彼女は「悪くない」と言いつつも、どこか不満げで、最終的にはいつもの服装が一番だと小声で呟いた。その後、ベリルは普段の服に着替え、ミュイと共に夕食をとった。ミュイの料理の腕前は少しずつ上達しており、二人の食卓には穏やかな時間が流れていた。
使節団来訪前の静かな一日
スフェンドヤードバニア使節団の来訪を控え、ベリルは準備を整えつつ日々を過ごしていた。騒がしい祭りの中での警備に備える気持ちと、重要な役割に対する重圧が混ざりつつも、彼の日常は静かで平穏であった。
任務前の隊列確認
レベリオ騎士団の面々が騎士団庁舎の中央広場に集まり、アリューシア団長が本日の配置を通達した。スフェンドヤードバニア使節団の来訪に伴い、第三王女殿下と第一王子殿下の護衛を行うことが決定された。アリューシア、ヘンブリッツ、そしてベリルは王女殿下の身辺警護に従事することとなり、他の分隊は街頭警備に割り振られた。騎士たちは任務の重要性を十分理解し、熱意を持って指令に従った。
王宮での挨拶と馬車での移動
王宮の正門前で、アリューシアたちはサラキア王女とグレン王子に挨拶を行った。王女は可憐ながらも落ち着いた雰囲気を持ち、王子も爽やかな気品を纏っていた。二人の邂逅は和やかで、周囲の護衛陣もその空気感に感銘を受けていた。王族は立派な馬車に乗り込み、街中を御遊覧する形で出発した。護衛陣は馬車の内外で警戒を続けた。
祭りの喧騒と突発的な立ち寄り
御遊覧の最中、王子が突如アクセサリー店に立ち寄ることを提案し、予定外の行動に護衛陣が対応を迫られた。店では王子が王女へ髪飾りを贈り、二人の親密な様子が伺えた。周囲の民衆が騒ぎ始める中、アリューシアを中心に護衛陣は適切に対処したが、不穏な視線を感じ取ったベリルは内心で警戒を強めた。
護衛任務の続行と無事な完了
昼食や西区での魔装具見学を経て、御遊覧は滞りなく進行した。不穏な気配は以後現れず、初日の予定は順調に消化された。王宮に戻る際、王子と王女は護衛陣へ礼を述べ、それぞれの宿泊地へ向かった。護衛陣も解散し、次の日の準備を整える時間を確保した。
不穏な気配の共有と翌日の計画
ベリルはアリューシアとヘンブリッツに、不穏な視線を感じたことを共有した。二人はその情報を重く受け止め、翌日の警戒をさらに強化することを決定した。次の日の予定では、王族が観劇を楽しむ時間が含まれており、その間も護衛が続くことになった。
一日の終わりと平穏な余韻
任務を終えたベリルは庁舎を後にし、祭りの雰囲気を味わいながら一杯のエールで気を引き締めることを考えた。疲労感を残さずに次の日へ備えつつ、王族の護衛という重責を改めて実感する一日であった。
護衛任務の開始と警戒強化
朝早く、レベリオ騎士団が再び広場に集結し、アリューシア団長から本日の予定と注意点が伝えられた。昨日の不穏な気配を踏まえ、警戒を一層強化することが命じられた。王子と王女は再び護衛に守られながら馬車へと誘導され、二日目の御遊覧が始まった。
装飾品店での不穏な気配
馬車が最初の訪問先である装飾品店に到着すると、街は相変わらずの賑わいを見せていた。しかし、店内で王子と王女を見守る中、昨日以上に鋭い殺気を感じ取ったベリルは警戒を強めた。不穏な気配が複数存在することに気づいたが、特定するには至らなかった。護衛陣は注意深く行動を続けた。
観劇前の襲撃
昼食を済ませた後、劇場へ向かう途中で複数の黒ずくめの人物が突如襲撃を仕掛けてきた。騎士たちは迅速に迎撃態勢を取り、王子と王女を守り抜いた。アリューシアとベリルは刺客の一部を生け捕りに成功し、ロゼやヘンブリッツも暗殺者を撃退した。しかし、刺客の中には逃走した者もおり、状況は完全には収束しなかった。
護衛体制の再編と緊急撤退
襲撃を受けたことで、予定していた観劇は中止され、王子と王女は速やかに王宮へ戻ることとなった。アリューシアはヘンブリッツに現場の指揮を任せ、残る護衛陣とともに王族を護衛しながら北区へ向かった。道中、襲撃の動機や背景についての議論が行われたが、結論には至らなかった。
任務の終了と帰還
王宮に到着後、王族たちはそれぞれの護衛に付き添われて会議に向かった。アリューシアの指示でベリルやロゼは帰還を命じられ、護衛任務はひとまず終了となった。ベリルは思わぬ早い帰宅に安堵しつつも、今回の襲撃の余波を感じながら帰路に就いた。
幕間
街の散策と二人の出会い
バルトレーンの街を歩くアリューシアとロゼは、互いに親睦を深めつつ街並みを眺めていた。アリューシアは地元民としてロゼを案内し、ロゼは他国の副団長として新たな土地を知ることに意欲を見せていた。その中で、ロゼが「ベリルの愛弟子」と名乗ったことがアリューシアの心に複雑な感情を抱かせていた。
ベリルとの過去の回想
散策の途中、アリューシアはロゼからベリルに関する過去の話を聞いた。ロゼはかつてベリルの剣技に一目惚れし、短期間ではあったが彼の下で学んでいたと語った。その話を聞きながら、アリューシアは自分が師事していた頃の思い出を懐かしく振り返った。ベリルへの深い敬愛の念を共有することで、二人は次第に距離を縮めていった。
迷子の発見と救出
道中、ロゼが迷子の子供を見つけた。アリューシアが詰所に案内する案を出す一方、ロゼは近くに母親がいると判断し、その場で捜索を始めた。ロゼの穏やかな対応と柔らかな語り口により、子供は警戒を解き協力的になった。二人で声を上げて母親を探した結果、無事に再会を果たし、子供と母親を安心させることができた。
子供への思いと騎士の役割
迷子の救出を終えた後、ロゼは自身の子供への思いを語った。彼女は子供を「国の宝」と捉え、大人が守るべき存在だと力強く主張した。その言葉にアリューシアも共感し、互いに騎士としての使命感を再確認した。ロゼの背景には、孤児院に触れて育った経験があり、それが彼女の行動に大きな影響を与えていると明かされた。
師匠自慢の語らい
散策の終わりに向かい、アリューシアはロゼに再びベリルの話を求めた。ロゼは快く応じ、自身の経験やエピソードを楽しそうに語り始めた。師匠への思いを語り合う二人の時間は、街の景色とともに穏やかに過ぎていった。互いにベリルへの尊敬を共有しつつ、二人の関係はさらに深まっていった。
三 片田舎のおっさん、魔の手を穿つ
街の喧騒と事件の余波
バルトレーンの街は、祭りと王族暗殺未遂事件の余波で騒然としていた。歩く中で耳に入る噂話の中には、レベリオ騎士団の活躍を称える声も多く聞かれた。アリューシア団長への評価が高いことにベリルは納得しつつも、気が重くなる話題を抱えながら帰路についた。
予期せぬ訪問者と事件の話題
家に戻ると、魔法師団長ルーシー・ダイアモンドが訪問していた。彼女は昼間の事件に関連する情報を共有するために来ていた。ルーシーは、魔術師が護衛任務に不向きであることや、スフェンドヤードバニアとの複雑な宗教的関係を理由に、魔法師団が任務に参加しなかった事情を説明した。
襲撃事件の背景と政治的動向
ルーシーは、スフェンドヤードバニア国内で教皇派と王権派が政権争いを繰り広げていることを語った。今回の襲撃は、教皇派による第一王子暗殺を狙ったものと推測され、その背景には教皇派の勢力拡大を目的とした策略があると考えられた。ベリルは、事件が続発する可能性を懸念し、使節団の今後に不安を抱いた。
情報共有と再びの日常
話が一段落した頃、外出していたミュイが串焼きを手に帰宅した。ミュイはベリルとルーシーの分も気を利かせて用意しており、彼女の成長をベリルは内心で評価していた。重い話題を終えた後、三人は静かに軽食を楽しむひとときを過ごした。
騎士団長の報告と動揺
翌日、騎士団庁舎にてアリューシア団長が騎士たちに対し、グレン王子の御遊覧が予定通り続行する旨を伝えた。襲撃事件を受けて中止が濃厚と見られていただけに、騎士たちはざわめいた。アリューシアの声には責任感が滲むものの、昨日とは異なる緊張感が感じられた。騎士たちの士気は高かったが、内心には疑念も浮かんでいた。
続行決定の背景
ベリルがアリューシアに理由を尋ねると、グレン王子自身の強い希望によるものだと知らされた。王子の命を狙う状況での続行に違和感を覚えつつも、国政や王位継承に関わる理由があるのではないかとベリルは推測した。遊覧中の安全確保が騎士団の責務であり、彼は任務を全うする覚悟を固めた。
ガトガからの情報と決意
警備の開始直前、ガトガから昨日の襲撃者が教会騎士団の元副団長ヒンニスである可能性を聞かされた。ガトガは、もしヒンニスが再び現れた場合、自らの手で責任を取ると宣言した。この情報は既にアリューシアにも共有されており、ベリルはその決意を尊重することにした。
出発と警戒
王子と王女が馬車に乗り込み、警備が再開された。ベリルはガトガの話に耳を傾けつつも、どのような事態が発生するか分からない状況に気を引き締めていた。警備の役割を果たすべく、彼は新たな一日を迎えた。
護衛任務の静けさと疑念
アリューシアとベリルは、御遊覧の護衛を終え、静かに一日を振り返った。この数日間、襲撃事件の再発がなく、不気味な静けさが続いていた。不審者の気配さえもなく、警戒していた騎士団にとって肩透かしの状況であった。一方、捕えた襲撃犯たちは全員自害し、事件の背景や目的を探る術が絶たれていた。この異常な事態に、ベリルは疑問を抱きつつ、警戒を解かないよう意識を引き締めた。
最終日への準備
翌日が最後の護衛任務となる中、アリューシアとベリルは次の行動を確認した。最終日は御遊覧の予定がないため、王宮への帰還が護衛任務の締めくくりとなる。襲撃が一度きりで終わるとは考えにくいことから、二人は特に警戒を強めていた。ベリルは、再び事件が起きれば即座に対応する準備を整えた。
襲撃者の出現と戦闘の開始
護衛最終日、バルトレーン南区での農業地域の視察中、静寂を破るように刺客たちが現れた。前回の襲撃者たちより練度が劣るものの、その数は圧倒的であった。さらに弓兵が加わり、遠距離からの攻撃が王子と王女の安全を脅かした。ベリルは素早く状況を把握し、アリューシアやヘンブリッツと連携して戦闘態勢に入った。
ガトガの突撃とベリルの決断
弓兵の存在が護衛の大きな脅威となる中、ガトガがその排除を引き受けた。一方、ベリルは王族を守るため、アリューシアとヘンブリッツに王子と王女を連れて安全な場所へ向かうよう指示を出した。自身は刺客の動きを食い止めるため、単身で敵を迎え撃つ覚悟を決めた。
戦場の混乱とベリルの奮闘
刺客たちの物量攻撃により戦場は混乱を極めたが、ベリルは剣技を駆使して次々と敵を斬り伏せた。敵の数が多い上に、遠距離攻撃の矢が飛び交う中での戦闘は困難を極めたが、彼の熟練した戦術により敵の侵攻を抑えた。農業地域の広大な景観は、血と肉片で荒廃し、戦場と化してしまった。
戦いの終焉とさらなる不安
ベリルの奮闘により敵の攻撃は次第に沈静化したものの、襲撃者の背景や目的は依然として謎のままだった。教会騎士団内に潜む反逆者の存在や、教皇派と王権派の対立がこの事件にどう関わっているのか、ベリルの胸中には多くの疑念が渦巻いていた。彼は、最後まで王族を守る決意を新たにしつつ、さらなる事態に備えて気を緩めることなく戦場を見つめていた。
刺客との死闘の後
刺客たちとの戦闘を終えたベリルは、無数の敵を斬り倒した疲労とともに息を吐いた。彼が信頼するアリューシアとヘンブリッツは、無事にグレン王子とサラキア王女を逃したはずであった。周囲には多くの刺客の屍が散乱していたが、その中でただ一人、重騎士の姿を見つけた。それは教会騎士団の副団長であり、かつての弟子ロゼであった。
ロゼへの疑念と対話
ベリルはロゼに対し、刺客を通した理由を尋ねたが、彼女は笑顔を浮かべながら否定した。彼女の鎧には傷や血の跡がなく、それが戦いに積極的に関与していない証拠であった。しかしロゼは、「戦っていた」と主張し、明確な答えを避け続けた。ベリルは彼女の言動に矛盾を感じつつも、真意を探ろうとした。
教皇派の意図とロゼの苦悩
ベリルがグレン王子の暗殺が教皇派の計画である可能性に言及すると、ロゼはついにその笑顔を消した。彼女は国の現状を憂い、教皇派の理念に基づいて行動していることを示唆した。さらに、ロゼは子供たちが飢えと寒さで亡くなっていく現状を憂い、彼らを救うためにこの道を選んだと語った。その背後には、スフェンドヤードバニアの国政の混乱があった。
戦いの火蓋が切られる
ロゼの覚悟を感じたベリルは、説得が無駄であると悟った。彼女の構えは堅牢で、攻撃にも隙がなかった。弟子としての成長を感じながらも、ベリルは自ら剣を振るう決意を固めた。ロゼの剣技は確かで、防御からの反撃を得意とするそのスタイルは、かつてベリルが教えたものであった。
ロゼの告白と最終決断
戦いの中、ロゼは自身が教皇派に従う理由を明かした。それは、彼女の信念だけでなく、教皇派に囚われた子供たちの命が掛かっているという脅迫に基づくものだった。ロゼは、ベリルに「私を止めてください」と訴え、彼に自分を斬る覚悟を求めた。
弟子を斬る覚悟
ロゼの悲壮な訴えを受け、ベリルは彼女を止めるための剣を構えた。これ以上の言葉は無駄だと悟り、彼は全力で戦う決意を固めた。彼の剣先には、悲しみと覚悟が宿っていた。ロゼは最後まで微笑みを崩さなかったが、その裏には深い苦悩が見え隠れしていた。戦いは、ベリルの弟子としての誇りと悲しみを背負いながら始まった。
ロゼとの再会と決意
ベリルは、かつての弟子ロゼとの戦いの中で、彼女が教会騎士団副団長として歩んできた道に疑問を抱いていた。自身の成長が限界に達したと感じながらも、特別な剣「ゼノ・グレイブル」の切れ味に頼り、ロゼの防御を突破した。盾を貫き鎧を砕いた一撃は、ロゼに深手を負わせ、戦いの幕を下ろした。
戦いの余韻とロゼの告白
傷ついたロゼは、自身の行動について語り始めた。彼女が教皇派に従った理由は、囚われた子供たちを救うためであった。教皇派の計画に巻き込まれたロゼは、己の信念と他者への強制の狭間で苦しんでいた。ベリルは、彼女の覚悟とその重みを受け止めながらも、罪の償いを生きて果たすべきだと諭した。
教会騎士団団長ガトガの登場
戦いの後、教会騎士団団長ガトガが現れ、ロゼの傷を癒した。ガトガはロゼを庇おうとし、その背景にロゼが義妹であるという事実が明らかになった。彼はロゼの行為を厳しく責めつつも、その根底にある愛国心と迷いを理解していた。
過去の罪と教皇派の策略
ロゼの口から、王権派と教皇派の対立の影響が語られた。ベリルが捕らえたレビオス司教にまつわる情報は、教皇派の操作によって歪められていたことが示唆された。ロゼはその歪められた情報を信じたが、真実を知った彼女は深い動揺を見せた。
ロゼの未来と新たな旅立ち
ガトガはロゼを守るために彼女を亡命させる決断を下した。ロゼは国内での居場所を失いながらも、「本当の正義」を見つけるために新たな道を歩む決意をした。ベリルは、師匠として最後に彼女へ言葉を送り、再び剣の意義を説いた。ロゼは感謝を述べつつ、二人はそれぞれの道を進むこととなった。
バルトレーンの復興と街の様子
バルトレーンの街は祭りと事件が終わり、普段の落ち着きを取り戻しつつあった。騎士団や魔法師団の尽力により、南区の戦場跡も徐々に復興が進んでいたが、完全な復旧にはまだ時間を要していた。街では魔術師たちが死体処理や防疫対策に奔走しており、魔術師学院からも人員が派遣されている様子が見られた。
スフェンドヤードバニアとの問題
今回の事件の主犯がスフェンドヤードバニアの教皇派とされる中、隣国との外交問題が浮上していた。責任は教皇派にあるものの、形式上の実権を持つ王権派が矢面に立たされる可能性が高かった。レベリス王国側はサラキア王女を危険に晒された責任を問う姿勢を見せるが、その追及の落としどころは未定であった。
元弟子ロゼへの想い
事件の主犯格であるロゼは、ガトガの計らいにより負傷を理由に帰国していた。アリューシアはロゼの安否を気に掛けていたが、ベリルは真相を語ることなく、彼女の無事を願うにとどめていた。ロゼの犯した罪の重さを考えると、状況は予断を許さなかったが、彼女が再び正道を歩むことを願っていた。
王宮からの書簡
街を巡回した後、ベリルとアリューシアは騎士団庁舎に戻った。そこで、若手騎士エヴァンスが王宮からの封書を届けた。内容は、先の事件における功績への感謝と晩餐会への招待であった。手紙にはアリューシアだけでなく、ベリルの名前も記されており、突然の招待に彼は驚きを隠せなかった。
王宮への到着と緊張感
アリューシアとベリルは、レベリス王宮に招かれ案内人に迎えられた。王宮内の美しい装飾や広々とした空間に、ベリルは場違いな感覚と緊張を隠せなかった。服装にも気を遣ったものの、豪奢な建物に圧倒されていた。二人は案内に従い、広々とした会食室に通され、それぞれ指定された席に腰を下ろした。
王族との対面と感謝の言葉
やがてグラディオ国王、ファスマティオ王子、サラキア王女が入場した。王族たちは今回の事件での活躍に対して深い感謝の意を示し、とりわけベリルの貢献について高く評価した。特にサラキア王女は護衛中のベリルの勇姿を具体的に述べ、その功績を称賛した。これにはベリルも恐縮しきりで、終始緊張した様子であった。
晩餐会と新たな提案
会食が始まり、グラディオ国王はサラキア王女のスフェンドヤードバニアへの嫁入り計画を明かした。その不安を払拭するため、サラキア専属のロイヤルガードの編成を進めていると述べ、ベリルにその一員として加わるよう提案した。これに対し、アリューシアがレベリス王国の繁栄にはベリルの助力が不可欠であるとし、丁重に辞退した。国王はその言葉を納得しつつ、今後もベリルの活躍に期待を寄せた。
サラキア王女の関心とベリルの困惑
晩餐会の間、サラキア王女はベリルに多くの質問を投げかけ、親しげな態度を見せた。その様子を見た国王も満足げであったが、ベリル自身は過剰な注目に戸惑いを隠せなかった。緊張と気まずさの中、彼は王族たちとの交流を無事に終え、晩餐会をやり過ごした。
末 片田舎のおっさん、飲みなおす
馴染みの酒場への訪問
ベリルは久しぶりにバルトレーンの中央区にある馴染みの酒場を訪れた。この店は家族経営で、居心地の良い雰囲気と美味しい料理が魅力的である。彼は常連時代にお気に入りだった左端のカウンター席に腰を下ろし、エールを注文した。王宮での緊張感を引きずりつつも、この酒場でリラックスする時間を楽しんでいた。
エールと新メニューの楽しみ
エールを楽しみながら、ベリルは食事を何にするか迷っていたところ、店主の娘アイダが声を掛けてきた。彼女は新メニューを勧め、ベリルはその提案を快く受け入れた。運ばれてきたのは香り高いチーズリゾットで、濃厚な味わいと絶妙な煮込み加減にベリルは満足した。この料理はエールとの相性も抜群で、久しぶりに訪れた店で新しい発見ができたことに喜びを感じていた。
店主との会話と思い出
食事を終えたベリルは、店主から懐かしい声を掛けられた。以前は頻繁に通っていたが、引っ越し後は足が遠のいていたことを改めて実感した。店主やアイダとの軽い会話を楽しみながら、再訪を誓った。そして、今後ミュイをこの店に連れてくるのも良いかもしれないと考えた。
跡継ぎと未来への思索
店主の家族経営を見ているうちに、ベリルは自身の道場の跡継ぎについて思いを巡らせた。ランドリドに継がせるべきか、自身の子供を考えるべきか悩みつつも、具体的な答えは出せなかった。最近の出会いや将来の伴侶についても考えるようになったが、焦りは感じておらず、自然の流れに身を任せようとしていた。
帰路と小さな幸せ
酒場を後にし、ベリルは家へ向かった。宿ではなく、帰りを待つミュイがいる家があることに一抹の温かさを感じていた。一方で、いずれミュイが独り立ちする未来を思うと、少しの寂しさも抱えていた。それでも、今を大切にしながら足取り軽く家路についた。
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