- 温泉掃除に餃子で町おこし! でも洗濯屋の買収交渉は即座に打ち切り……
- ポルコ・ファットマ伯爵が登場。リョウマの評判が領主にまで届いている
- 領主から温泉掃除を依頼される。冒険者の仕事なのか、これ(笑)
- アシッドスライムとスティッキースライムで温泉の汚れを除去。発想が完全に清掃のプロ
- ワイヤースライムが竹林伐採で活躍。今度はチェーンソー代わりか(笑)
- 先代領主が残した温泉小屋。領地を発展させようとした思いが伝わってくる
- 名物料理に餃子を提案。なぜ餃子なのかと思ったら、なるほど(笑)
- 街道沿いの小屋を休憩施設に。料理だけでなく売り方まで考えている
- アッシュスライムで魚の灰干し。村のゴミがまた役に立つ
- 毒魚や未利用魚まで料理に。美味しくても安全性は大丈夫なのか?
- 真珠の養殖技術を発見。でも領主には黙っておく判断が現実的
- ポルコからの忠告。リョウマの知識を狙う貴族が現れる?
- マッドスライムを600匹以上捕獲。そんなにいたのか(笑)
- ニキとの別れ。新しい秘密基地を作る約束が微笑ましい
- 神界でセーレリプタの裁判。竜馬の前世に何があったのか
- リョウマは殺人鬼にされる実験台だった? 地球の神がひどすぎる
- セーレリプタの言い分もわかるが、やはりやり方が間違っている
- エリアリアにも新しい友人ができた。リョウマとの関係も続いている
- ギムルへ帰還したら治安が悪化。街の様子が変わってしまった
- 真珠の価値がとんでもない。リョウマが新事業を考え始める
- 競合する洗濯屋の買収交渉。相手の反発にリョウマが即座に撤退
- 優しいだけではないリョウマ。危険を感じたら容赦なく距離を取る
- カルムが心配するリョウマの警戒心。前世の傷はまだ消えていない
- 地球側の特別書き下ろし。元課長の末路がひどすぎる
- 竜馬を苦しめた元課長の転落。これで終わりなのだろうか
- まとめ|スライムで地域を救うリョウマ。でも自分自身のことはまだ守れていない
物語の概要
■ 作品概要
転生者の少年リョウマ・タケバヤシは修行のため訪れたラトイン湖畔のシクム村でマッドサラマンダー討伐に参加していた。
村を訪問した領主ポルコ・ファットマ伯爵から、先代の遺した温泉小屋の清掃と領内の名物料理の考案という二つの依頼を受けたことを機に状況が動き出す。リョウマはスライムの能力や魔法を活用して温泉の沈着物を除去し、終漁祭の場で多様な調理が可能な餃子や未利用魚の活用法を提案して依頼を完遂する。
さらに村のゴミ処理を通じて新種スライムの進化を確認し、マッドスライムを捕獲した後にギムルの街へ帰還する。ギムルでは労働者過剰流入による治安悪化やモーガン商会への放火事件に直面し、真珠の資金力を背景に労働者を雇用するゴミ処理場などの新事業計画を立てる。一方、競合する洗濯屋の買収交渉では住民の激しい反発を受けて即座に撤退し、自身が抱える過剰な警戒心や危機管理意識を従業員のカルムに明かすところまで状況が進む。
■ 主要キャラクター
リョウマ・タケバヤシ
- 立場・所属:冒険者、洗濯屋「バンブーフォレスト」店長
- 主人公との関係:主人公
- この巻での主な役割:ポルコ伯爵からの依頼達成、新種スライムの研究、ギムルでの新事業構想と買収交渉
- この巻で起きた重要な変化や行動:酸性粘液を用いた温泉清掃を成功させ、終漁祭で餃子や毒魚の料理法を提案した。真珠層の確認からパールスライムの進化原因を突き止めたが、領地の軍事・政治的力関係を考慮して領主への報告は見送った。ギムル帰還後は治安悪化に対応して新事業の立ち上げを模索し、競合店買収の失敗を経て自らの危機意識を再確認した。
ポルコ・ファットマ
- 立場・所属:ファットマ領の領主、伯爵、豚人族
- 主人公との関係:依頼人、ラインハルトの学生時代の先輩
- この巻での主な役割:リョウマへの温泉清掃および名物料理の依頼、貴族社会に関する助言
- この巻で起きた重要な変化や行動:ラインハルトの紹介状を受けてリョウマの能力を認め、依頼を託した。終漁祭での料理提案を高く評価して古代遺跡の壺を贈り、ラインハルトの領地が荒れている情報と貴族社会への警戒を伝えた。後に王都でラインハルトと再会し、真珠や冷凍技術の利権を共有して協力関係を結んだ。
カルム・ノーラッド
- 立場・所属:洗濯屋「バンブーフォレスト」ギムル1号店の副店長(店長代理)
- 主人公との関係:リョウマの部下
- この巻での主な役割:ギムル本店の防犯管理、リョウマの新事業計画および買収交渉の補佐
- この巻で起きた重要な変化や行動:街の治安悪化を受けてユーダムを臨時警備員として雇用した。リョウマが提案した多業種展開や競合店の買収準備を進める一方、リョウマが自身の危険を軽視し、過剰に仕事を抱え込んで気を張り詰めている様子を観察して懸念を深めた。
セルジュ・モーガン
- 立場・所属:モーガン商会の会頭
- 主人公との関係:商業上の協力者・相談役
- この巻での主な役割:ファットマ領の特産品鑑定、新素材や真珠の取り扱い相談、新事業への助言
- この巻で起きた重要な変化や行動:店舗への放火被害に見舞われながらも傭兵を雇って警備を強化した。リョウマから持ち込まれた古代遺跡の壺、スライムレーヨン、真珠の価値を説明し、労働者の雇用を伴うゴミ処理場建設計画について商業ギルドへの相談を促した。
ユーダム
- 立場・所属:旅の格闘家、バンブーフォレストの臨時警備員
- 主人公との関係:新たに雇われた従業員・護衛
- この巻での主な役割:店舗の警備、競合店訪問時の同行警備
- この巻で起きた重要な変化や行動:シェルマを助けた縁で雇われ、リョウマの実力を見抜いて手合わせを提案した。リョウマが内面に抱える張り詰めた緊張感(ピリピリした気配)にいち早く気づき、カルムと共有した。
ニキ
- 立場・所属:シクム村の少年
- 主人公との関係:村での協力者、友人
- この巻での主な役割:終漁祭での料理提供の契機作り、マッドスライム捕獲の補佐
- この巻で起きた重要な変化や行動:リョウマが隠れて実験していた未利用魚の存在を終漁祭で明かし、料理提供のきっかけを作った。森でリョウマのマッドスライム捕獲を手伝い、記念として湿光石を贈った後、木の上に新しい秘密基地の土台を共に作成した。
セーレリプタ
- 立場・所属:水場と漁業を司る神
- 主人公との関係:前巻でリョウマの精神・魂に干渉した神
- この巻での主な役割:神々の裁判での弁明、リョウマの前世に関する事実の開示
- この巻で起きた重要な変化や行動:神々の法を犯してリョウマの魂を調べた件で裁判にかけられた。リョウマの魂に地球の神による犯罪や殺人の才能、不幸の仕掛けが施されていたこと、それに抗い続けたことで異常な精神耐性と自己評価の低さが形成されたことを他の神々に明かした。
書籍情報
神達に拾われた男 9
著者:Roy 氏
イラスト:りりんら 氏
出版社:HJノベルス
発売日:2020年8月22日
ISBN:9784798622705
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あらすじ・内容
ファットマ領主もご満悦な、竜馬提案の料理は可能性無限大!?
拠点であるギムルの街を一時離れ、遠征先であるファットマ領の漁村に逗留中な異世界転生者の少年・竜馬。漁場を荒らすマッドサラマンダー討伐も順調な中、ファットマの領主であるポルコ伯爵と面会した竜馬は、さらに二つの特殊な依頼を受けることに! 進化したスライムたちの新たな能力も存分に利用しつつ、現代知識や今までの経験を活かして作業を進める竜馬は、無事にポルコからの依頼を達成することができるのか――!? 漁村編最高潮&転生前の竜馬に隠された驚きの事実も明らかになる、異世界スローライフファンタジー第九幕!
感想
温泉掃除に餃子で町おこし! でも洗濯屋の買収交渉は即座に打ち切り……
『神達に拾われた男9』は、前巻から続くシクム村での生活が一区切りとなり、ギムルへ戻ったリョウマが新しい事業へ動き始める一冊である。
前巻では、マッドサラマンダーの討伐に参加しながら、村の食材を楽しみ、新しいスライムを次々と発見していた。
今回は、そこへ領主のポルコ・ファットマ伯爵が登場する。
そして、リョウマに二つの依頼を持ちかける。
一つは、先代領主が愛用していた温泉小屋の清掃。
もう一つは、ファットマ領の名物料理を考えること。
いや、魔獣討伐に来た冒険者へ温泉掃除と料理開発を頼むのか(笑)。
もっとも、相手がリョウマなら話は別である。
スライムの能力と前世の知識を組み合わせ、普通なら難しい問題を次々と解決してしまう。
温泉掃除では、アシッドスライムの酸とスティッキースライムの粘着液を利用。
名物料理では、餃子を提案する。
しかも、ただ餃子を作るだけではない。
領内の各地域で異なる味を作り、街道沿いの休憩施設で販売するという、地域振興まで考えている。
いつの間にか、冒険者というより地域活性化の相談役になっているじゃないか(笑)。
さらに、アッシュスライムを利用した魚の灰干しや、これまで食べられていなかった魚の調理法まで披露する。
一方、ギムルへ戻ると状況は一変。
大量の労働者が流入し、仕事に就けない人々が増え、治安が悪化していた。
モーガン商会まで放火被害に遭っている。
そんな街の問題を見たリョウマは、豊富な資金を利用して新事業を立ち上げようとする。
しかし、競合する洗濯屋の買収交渉では、相手から敵意を向けられた途端、あっさり交渉を打ち切ってしまう。
普段は人当たりがよいのに、危険を感じると切り替えが早すぎる。
この判断が、前世の経験と無関係ではないところが気になった。
そして、神界ではセーレリプタの裁判が行われ、リョウマの前世に隠された衝撃的な事実が明らかになる。
スライム研究や料理の楽しさだけでなく、リョウマの内面についても考えさせられる9巻だった。
ポルコ・ファットマ伯爵が登場。リョウマの評判が領主にまで届いている
シクム村でマッドサラマンダーの討伐を続けていたリョウマ。
そこへ、領主のポルコ・ファットマ伯爵が訪れる。
ポルコは豚人族の貴族で、ジャミール公爵家のラインハルトとは学生時代からの友人だった。
リョウマがラインハルトから預かっていた紹介状を見せると、ポルコはその内容に驚く。
リョウマの能力を高く評価する一方、他家へ引き抜かないよう釘を刺す内容まで書かれていたのである。
ラインハルト、リョウマをよほど手放したくないらしい(笑)。
もっとも、その気持ちはわかる。
これまでリョウマは、ジャミール公爵家に何度も助けられてきた。
しかし、助けられるだけではない。
スライムを利用した洗濯屋を開業し、新しい技術や商品を生み出し、公爵家の依頼にも応えている。
前巻では結婚式場まで建設してしまった。
そんな人物を、ほかの貴族が放っておくとは思えない。
さらに、ポルコは旅芸人セムロイド一座の歌から、リョウマが「麦茶の賢者」であることまで知っていた。
麦茶を広めたことが、こんな形で評判になっているのか(笑)。
本人は普通に飲み物を作ったつもりなのだろう。
しかし、周囲から見れば、次々と新しいものを生み出す不思議な少年である。
こうして過去の行動が少しずつ評判になり、知らない場所でも名前が広まっている。
リョウマ自身は目立つことを望んでいないのに、どんどん有名になっているところが面白い。
領主から温泉掃除を依頼される。冒険者の仕事なのか、これ(笑)
ポルコがリョウマに持ちかけた依頼の一つが、温泉小屋の清掃だった。
先代領主が愛用していた山頂の温泉小屋には、長年の汚れがこびりついていた。
普通の清掃では落とせず、放置された状態になっていたのである。
しかし、ポルコにとっては亡き父の思い出が残る大切な場所だった。
そのため、何とか元の姿に戻したいと考えていた。
そこで白羽の矢が立ったのがリョウマである。
いや、冒険者へ温泉掃除を依頼するのか(笑)。
もっとも、リョウマは洗濯屋を経営している。
しかも、スライムを利用した清掃技術については、かなりの知識を持っている。
そう考えると、案外適任なのかもしれない。
実際、温泉小屋へ到着したリョウマは、汚れの状態を確認し、すぐに清掃方法を考え始める。
ここで面白かったのが、力任せに削り取ろうとしなかったことだ。
まず、汚れの性質を調べる。
そして、その汚れに適した薬剤を作る。
何だか、冒険者というより専門の清掃業者を見ている気分になってきた。
しかし、こういうところが『神達に拾われた男』の面白さだと思う。
強い魔法で何でも解決するのではない。
知識と工夫を使い、現場に合った方法を考えていく。
今回も、その姿勢がしっかり描かれていた。
アシッドスライムとスティッキースライムで温泉の汚れを除去。発想が完全に清掃のプロ
温泉小屋にこびりついていたのは、主に炭酸カルシウムを含む沈着物だった。
長い年月をかけて固まり、簡単には取り除けない状態になっている。
そこでリョウマが利用したのが、アシッドスライムとスティッキースライムだった。
アシッドスライムの酸で沈着物を溶かす。
しかし、酸をそのままかけても流れ落ちてしまう。
そこで、スティッキースライムの粘着液を混ぜ、汚れに長時間付着する薬剤を作るのである。
なるほど。酸で溶かすだけでなく、汚れに貼り付けるわけか。
しかも、酸の強さや粘度を調整し、複数の薬剤を用意する。
これなら汚れの状態に合わせて使い分けられる。
スカベンジャースライムには排水溝の清掃を任せ、高圧洗浄魔法も利用する。
さらに、同行した冒険者たちにも作業を手伝ってもらう。
こうして温泉小屋の頑固な汚れを除去していく。
スライム、魔法、人力を組み合わせた本格的な清掃作業じゃないか。
ここで思い出したのが、リョウマが洗濯屋を始めた頃のことだった。
最初はクリーナースライムを使って衣類を洗っていた。
それが今では、温泉の沈着物まで落としてしまう。
スライムの利用方法が、どんどん広がっている。
しかも、清掃に使った薬剤は、その後のスライム研究にもつながっていく。
本当に無駄がない。
ワイヤースライムが竹林伐採で活躍。今度はチェーンソー代わりか(笑)
温泉小屋の清掃を終えたリョウマは、周囲の竹林にも目を向ける。
竹が伸び放題になり、露天風呂からの眺めを遮っていたのである。
そこで登場するのが、前巻で進化したワイヤースライムだった。
ワイヤースライムは、金属製の細い糸を伸ばせる。
リョウマはその能力を利用し、竹を伐採するための道具として使う。
前巻では金属の糸を作れるようになったと思ったら、今度はチェーンソー代わりか(笑)。
本当に便利なスライムである。
それにしても、こういう場面は面白い。
普通なら、新しいスライムが進化したら戦闘での活躍を期待するところだろう。
しかし、リョウマはまず生活や仕事での利用方法を考える。
洗濯。
清掃。
加工。
そして、今回は竹林の伐採である。
戦闘にも使える能力を、日常の作業に利用してしまう。
何ともリョウマらしい使い方だ。
しかも、竹林を整備したことで露天風呂からの眺めがよくなり、先代領主が残したものについて考えるきっかけにもなる。
単なる伐採作業で終わらないところが興味深かった。
先代領主が残した温泉小屋。領地を発展させようとした思いが伝わってくる
今回の温泉清掃で印象に残ったのは、先代領主の話だった。
ポルコの父は、領地を発展させるために私財を投じて道路を整備していた。
しかも、ただ命令するだけではない。
自ら現場へ出て働いていたという。
温泉小屋には手書きの地図も残されており、領内の泥湯を利用した温泉地開発を考えていた可能性も示される。
先代領主は、道路を作るだけでなく、その先の地域振興まで考えていたのか。
ここは興味深かった。
道路を整備すれば、人や物が移動しやすくなる。
しかし、道路を作っただけで地域が豊かになるわけではない。
人が立ち寄る理由が必要になる。
温泉や名物料理があれば、旅人が訪れるきっかけになるだろう。
先代領主は、そんな将来まで考えていたのかもしれない。
そして、ポルコも父の思いを受け継ぎ、領地を発展させようとしている。
今回の依頼は、単なる温泉掃除ではなかった。
父が残したものを守り、領地の未来へつなげたいという思いがあったのだろう。
だからこそ、リョウマが温泉をきれいにしたとき、ポルコが喜んだ場面が印象に残った。
名物料理に餃子を提案。なぜ餃子なのかと思ったら、なるほど(笑)
もう一つの依頼が、ファットマ領の名物料理を考えることだった。
ここでリョウマが提案したのが、餃子である。
いや、異世界の地域振興で餃子か(笑)。
最初は少し意外だった。
しかし、説明を読んで納得した。
餃子は、皮の材料を変えられる。
具材も肉や野菜、魚など、さまざまな食材を利用できる。
さらに、焼く、茹でる、蒸す、揚げるといった調理方法もある。
タレを変えれば、味の幅も広がる。
つまり、地域ごとの特色を出しやすい料理なのである。
なるほど。餃子なら、その土地の食材を使って独自の名物を作れるわけか。
しかも、リョウマは料理を提案するだけでは終わらない。
領内の各地域で異なる餃子を作り、それぞれの味を競わせることまで考えている。
旅行者にとっては、地域ごとの餃子を食べ比べる楽しみが生まれる。
地元の人々にとっては、自分たちの食材を使った料理を売る機会になる。
これは面白い。
単なる料理の提案ではなく、地域全体を盛り上げる仕組みになっている。
ポルコが高く評価したのも理解できる。
街道沿いの小屋を休憩施設に。料理だけでなく売り方まで考えている
さらにリョウマは、街道沿いに残っている作業員用の小屋を活用することまで提案する。
道路整備のために使われていた小屋を、旅人が休憩できる施設にする。
そこで地域ごとの餃子を販売するのである。
これは、道の駅やパーキングエリアのような発想だな。
旅人は休憩できる。
食事も取れる。
地域の特産品も購入できる。
しかも、人が集まる場所になれば、周囲の商売にもよい影響があるだろう。
ここで感心したのは、リョウマが料理だけでなく、販売する場所まで考えていたことだ。
名物料理を作っても、食べてもらう機会がなければ広まらない。
だから、旅人が立ち寄る場所を用意する。
料理を作るだけでなく、どうやって売るのかまで考えるところが面白い。
前巻までのリョウマは、洗濯屋の経営や商品開発を通じて商売の経験を積んできた。
今回の提案には、その経験が活かされているように感じた。
もはや単なる異世界知識の披露ではない。
現地の事情に合わせて、使える方法を考えている。
リョウマも、ずいぶん商売に慣れてきたものだ。
アッシュスライムで魚の灰干し。村のゴミがまた役に立つ
今回も、新しいスライムが登場する。
その一つがアッシュスライムだった。
村で出る灰を大量に食べたスライムが進化したのである。
今度は灰を食べて進化するのか。
本当に、スライムは何を食べるかによって変化するらしい。
しかも、リョウマはその能力を魚の加工に利用する。
灰を使って魚の水分を調整する、灰干しである。
魚を保存しやすくし、食材としての価値を高める方法だ。
前巻では、村の廃棄物をスライムに食べさせて、新しい進化を確認していた。
今回は、その研究が料理にまでつながっている。
ゴミ処理のために使っていたスライムが、今度は食品加工にも役立つのか。
本当に応用範囲が広い。
しかも、村ではこれまで利用されていなかった魚にも目を向ける。
食べられるものを増やせば、漁師たちの収入にもつながる可能性がある。
リョウマは、そうした食材の活用方法まで考えていた。
毒魚や未利用魚まで料理に。美味しくても安全性は大丈夫なのか?
リョウマが終漁祭で披露した料理には、これまで村で食べられていなかった魚も含まれていた。
ウナギやカサゴ、フグなどである。
現地では危険な魚として避けられていたが、リョウマは適切な処理方法を調べ、料理に利用する。
そして、村人たちやポルコへ振る舞う。
いや、今まで食べていなかった魚まで料理にするのか。
確かに、食べられる魚が増えれば、漁師たちにとって大きな利益になるだろう。
今まで捨てていた魚を売れるようになるのだから。
しかし、ここは少し心配にもなった。
特に毒を持つ魚は、処理方法を間違えれば命に関わる。
リョウマ自身は知識を持っていても、それを村人たちが安全に再現できるとは限らない。
美味しい料理ができたからといって、すぐに広めてよいわけではないだろう。
もちろん、リョウマもその危険性は理解している。
だからこそ、調理方法や実験の記録をポルコへ渡していた。
この慎重さは大切だと思う。
新しい食材を見つけることと、それを安全に利用できるようにすることは別の問題である。
今回の料理開発では、そんなことも考えさせられた。
真珠の養殖技術を発見。でも領主には黙っておく判断が現実的
今回、もう一つ印象に残ったのが、真珠に関する研究だった。
前巻では、アシッドスライムが貝殻を食べたことでパールスライムへ進化していた。
今回は、その進化の原因が少しずつ明らかになる。
リョウマは酸性粘液を利用して貝殻の表面を溶かし、美しい真珠層を確認する。
これによって、パールスライムの進化と貝殻の関係を突き止める。
スライム研究から真珠の製造方法まで見つかるとは。
しかし、リョウマはその情報をポルコへすぐに伝えようとはしなかった。
理由は、ファットマ領の政治的な立場である。
ポルコは領民に慕われる領主だが、周辺の貴族から嫌がらせを受けている。
ゴブリンを領内へ送り込まれるなど、かなり悪質な妨害まで起きていた。
そんな領地で高価な真珠を大量生産できるようになれば、どうなるだろう。
当然、その利益を狙う者が現れる可能性がある。
せっかく新しい産業を作っても、それが原因で領地を狙われたら意味がない。
リョウマが慎重になるのも理解できる。
ここは、単純に新しい技術を広めればよいという話ではないところが面白かった。
利益が大きいほど、それを守る力も必要になる。
ポルコが領民を守ろうとしているからこそ、リョウマも簡単には情報を明かせなかったのだろう。
ポルコからの忠告。リョウマの知識を狙う貴族が現れる?
依頼を終えたリョウマに、ポルコは貴族社会について忠告する。
リョウマの知識や能力は非常に価値が高い。
しかし、それを利用しようとする貴族もいるだろうという。
まあ、これだけ新しい技術を次々と生み出していれば、目をつけられるだろうな。
洗濯屋。
新素材。
スライムを利用した清掃技術。
食品加工。
そして真珠。
どれも商売として大きな可能性がある。
リョウマ自身は、自分の興味に従って研究しているだけなのだろう。
しかし、周囲の人々にとっては、莫大な利益を生み出す技術である。
そのため、悪意を持った人物に利用される危険もある。
さらにポルコは、ラインハルトの領地で問題が起きていることも伝える。
ラインハルトは優秀だが、一人で悩みを抱え込みやすい。
だからこそ、リョウマにも力になってほしいという。
ここは、ポルコとラインハルトの友情が感じられてよかった。
学生時代からの友人だからこそ、相手の性格をよく理解しているのだろう。
貴族同士の付き合いにも、損得だけではない友情があるのだな。
リョウマも、その思いを受け取ったように感じた。
マッドスライムを600匹以上捕獲。そんなにいたのか(笑)
シクム村を離れる前、リョウマはもう一つの目的を果たす。
マッドスライムの捕獲である。
前巻でセーレリプタから教わった方法を利用し、泥魔法で周囲の泥を動かす。
すると、泥に同化して隠れていたマッドスライムが姿を現す。
そして、次々と捕獲していく。
その数、なんと600匹以上。
いや、そんなにいたのか(笑)。
前巻では、探してもなかなか見つからなかったスライムである。
それが方法を変えただけで、これほど大量に捕獲できるとは。
本当に、知識があるかどうかで結果が変わるものだ。
それにしても、リョウマのスライムはますます増えていく。
クリーナースライムから始まり、さまざまな種類へ進化。
今度はマッドスライムが大量に仲間入りした。
いったい何匹のスライムを管理しているのだろうか。
本人は楽しそうだが、普通の従魔術師なら管理するだけでも大変そうである。
今後、マッドスライムがどのような能力を見せるのか楽しみだ。
ニキとの別れ。新しい秘密基地を作る約束が微笑ましい
シクム村での生活も、いよいよ終わりを迎える。
ここで印象に残ったのが、ニキとの別れだった。
前巻では、ニキが親切心でオクタを投げ渡したことがイタズラと誤解され、森へ逃げ出してしまった。
その後、リョウマが秘密基地で話を聞き、村へ連れ戻している。
今回もニキは、リョウマのスライム研究を手伝っていた。
そして、マッドスライムの捕獲にも同行する。
すっかりリョウマの研究助手みたいになっているじゃないか(笑)。
そんなニキは、以前の家出騒動を反省し、秘密基地を村の近くへ作り直そうとしていた。
リョウマもその相談に乗り、木を利用した新しい基地の土台を作る。
さらに、ニキからは記念として湿光石を贈られる。
ここがよかった。
最初はイタズラ好きの子供として登場したニキ。
しかし、リョウマと交流するうちに、少しずつ成長している。
大人の仕事を手伝い、スライム研究に興味を持ち、自分の行動についても考えるようになった。
ニキにとって、リョウマとの出会いは大きな経験になったのだろう。
そして、村を離れるリョウマを大勢の人々が見送る。
食料を渡し、再会を約束する村人たち。
リョウマがシクム村でどれほど受け入れられていたのかが伝わってくる。
最初は修行のために訪れた村だった。
しかし、帰る頃には新しい居場所が一つ増えていた。
そんな気がした。
神界でセーレリプタの裁判。竜馬の前世に何があったのか
一方、神界では前巻の事件について裁判が行われていた。
水場と漁業の神セーレリプタが、リョウマの魂へ勝手に干渉した問題である。
前巻では、セーレリプタが興味本位でリョウマの心を探り、激しい苦痛を与えていた。
その行動が神々の規則に違反していたため、裁判にかけられたのである。
まあ、あれだけ好き勝手にやったのだから当然だろう。
しかし、ここで明らかになった事実には驚いた。
リョウマの前世には、地球の神による干渉があったという。
しかも、その内容がひどい。
リョウマには犯罪や殺人に関わる才能が与えられ、不幸な環境に置かれていた。
そして、殺人鬼へ育つかどうかを試されていたのである。
いや、何だそれ。地球の神は何をやっているんだ?
これまでリョウマの前世は、理不尽な職場で苦労し続けた人生として描かれてきた。
しかし、今回の話によって、その苦しみには神の干渉まで関わっていたことがわかる。
これは衝撃的だった。
リョウマは殺人鬼にされる実験台だった? 地球の神がひどすぎる
セーレリプタの説明によれば、地球の神はリョウマを不幸な環境に置き、犯罪や殺人に向かうかどうかを試していたらしい。
しかし、リョウマはその状況に抗い続けた。
どれほど理不尽な扱いを受けても、自分の感情を抑え、他人を傷つけないようにしてきたのである。
その結果、異常なほど強い精神耐性を身につけた。
一方で、自分自身の価値を極端に低く見積もるようになってしまったという。
ここは考えさせられた。
リョウマが我慢強いのは、単に性格がよいからではなかったのか。
前世で何度も理不尽な扱いを受け、それでも耐え続けてきた。
その積み重ねが、今のリョウマの性格に影響している。
そう考えると、これまでの行動の見え方が変わってくる。
リョウマは他人のためには積極的に動く。
しかし、自分自身のことになると、どこか無頓着なところがある。
困っている人を見れば助けようとするのに、自分の負担についてはあまり考えない。
他人を大切にすることと、自分を大切にできないことは、同じではないはずだ。
今回の神界の話を読んで、その違いが気になった。
もちろん、セーレリプタが勝手に心を探ったことは許されない。
しかし、その行動によってリョウマの過去に隠された問題が明らかになった。
何とも複雑な気持ちになる場面だった。
セーレリプタの言い分もわかるが、やはりやり方が間違っている
セーレリプタは、リョウマの精神状態に危険を感じていたと説明する。
異常な精神耐性。
極端に低い自己評価。
そして、自分の危険を軽視する傾向。
こうした状態が、将来大きな問題につながる可能性があると考えたらしい。
確かに、言っていることには理解できる部分がある。
リョウマは何かと無理をしがちである。
他人のために動きすぎるところもある。
しかし、だからといって、本人の意思を無視して心を探ってよいわけではない。
心配しているから何をしても許される、という話ではないだろう。
しかも、セーレリプタ自身には、極限状態に置かれた生命への興味もあった。
純粋にリョウマを助けたいだけではなかったのである。
ここが何とも厄介だ。
善意と好奇心が混ざっている。
だからこそ、自分の行動を正当化してしまうのだろう。
結局、セーレリプタはウィリエリスから長時間の説教を受けることになる。
まあ、しっかり反省してもらいたいところである。
ただ、今回明らかになったリョウマの精神状態については、今後も重要な問題になりそうだ。
エリアリアにも新しい友人ができた。リョウマとの関係も続いている
今回の閑話では、エリアリアの学園生活も描かれる。
エリアリアは学園で親しくなった友人たちを、ジャミール公爵家へ紹介する。
カナン、ミシェル、リエラ、ミヤビの四人である。
公爵家を訪れることに緊張していた彼女たちだったが、ラインハルトやエリーゼたちは温かく迎える。
そして、話題はリョウマにも及ぶ。
エリアリアが使役しているスライムや、リョウマの知識について話が盛り上がる。
離れていても、リョウマの話題が出てくるのか。
思えば、エリアリアとリョウマは最初の頃から親しくしていた。
公爵家の人々に受け入れられ、エリアリアとも交流するようになったことが、リョウマの異世界生活を大きく変えた。
そのエリアリアも、学園で新しい友人を作っている。
二人とも、それぞれの場所で人間関係を広げているわけだ。
ここがよかった。
離れて暮らしていても、互いの存在が大切なままである。
そんな関係が続いているように感じた。
ギムルへ帰還したら治安が悪化。街の様子が変わってしまった
シクム村での生活を終えたリョウマは、約一か月ぶりにギムルへ戻る。
しかし、街の様子は以前と変わっていた。
鉱山開発に伴い、大量の労働者が流入していたのである。
ところが、全員に仕事があるわけではない。
仕事に就けない人々が増え、治安が悪化していた。
犯罪や争いが起こり、警備隊も対応に追われている。
街が発展するのはよいことだが、人が増えれば問題も増えるのか。
ここは現実的な展開だと感じた。
大きな事業が始まれば、人が集まってくる。
しかし、仕事の数や住む場所が足りなければ、生活に困る人も出てくる。
その結果、街の治安まで悪化してしまう。
リョウマは負傷した警備隊員を治療し、街の状況を知ることになる。
さらに、モーガン商会が放火被害に遭っていたことまで知らされる。
いや、セルジュの店まで被害に遭っているのか。
ギムルは、リョウマが洗濯屋を開業し、多くの人々と出会った大切な街である。
その街が荒れている様子を見るのは、何とも残念だった。
真珠の価値がとんでもない。リョウマが新事業を考え始める
リョウマはモーガン商会を訪れ、セルジュの無事を確認する。
そして、シクム村で手に入れた品々を見せる。
古代遺跡の壺。
新素材のスライムレーヨン。
そして、パールスライムが作った真珠である。
ここで明らかになったのが、真珠の価値だった。
どうやら、かなり高額で取引できるらしい。
スライムが作った真珠で、そこまで大きな資金が手に入るのか。
しかも、リョウマはその資金を使って、新しい事業を始めようとする。
考えたのは、街のゴミ処理場などの建設だった。
スカベンジャースライムを利用してゴミを処理する。
さらに、ゴミの収集や分別などの仕事を人間に任せる。
そうすれば、新しい雇用が生まれる。
なるほど。街のゴミ問題と失業者の問題を、まとめて解決しようというわけか。
ここは感心した。
リョウマは単に利益を増やしたいわけではない。
街に仕事を求める人があふれているなら、その人々が働ける場所を作ろうとしている。
もちろん、事業として成立させる必要はある。
しかし、利益と地域の問題解決を両立させようとする発想が面白かった。
ただ、少し気になることもあった。
リョウマ、また仕事を増やしていないか?
洗濯屋だけでも複数店舗を運営している。
スライム研究も続けたい。
冒険者としての修行もしたい。
そこへ新事業まで始めるのだから、どこまで忙しくなるのだろう。
本人は仕事を人に任せるつもりらしいが、少し心配になった。
競合する洗濯屋の買収交渉。相手の反発にリョウマが即座に撤退
今回、特に印象に残ったのが洗濯屋の買収交渉だった。
リョウマは、ギムルで営業を続けている競合店の買収を検討する。
カルムと準備を進め、護衛のユーダムも同行して交渉へ向かう。
ところが、店の前には屈強な職人たちが集まっていた。
しかも、角材や金槌を持っている。
どうやら、リョウマたちを地上げ屋だと思い込んでいたらしい。
いや、商談に来ただけなのに、何でそんな物騒なことになっているんだ。
リョウマは自分たちの立場を説明する。
しかし、相手は聞く耳を持たない。
罵声を浴びせ、敵意を向けてくる。
そこでリョウマは、あっさり交渉を打ち切ってしまう。
えっ、もう終わり?
ここは少し驚いた。
普段のリョウマなら、相手の事情を聞いたり、誤解を解こうとしたりする印象がある。
しかし、今回は違った。
相手がまともに話し合う気を見せないと判断すると、無理に交渉を続けようとはしなかった。
必要のない争いに付き合うつもりはない、ということなのだろう。
この判断は、ある意味で合理的だと思う。
買収は相手の同意があって成立するものだ。
最初から敵意を向けてくる相手と、無理に商談を進めてもよい結果になるとは限らない。
ただ、その切り替えの早さには、リョウマの別の一面が見えた気がした。
優しいだけではないリョウマ。危険を感じたら容赦なく距離を取る
これまでのリョウマは、困っている人を見れば積極的に助けてきた。
洗濯屋の従業員たち。
冒険者仲間。
シクム村の人々。
そして、今回の失業者たち。
自分にできることがあれば、何とかしようと考える。
しかし、今回の買収交渉では違った。
相手が敵意を向けてくると、あっさり距離を取ってしまう。
人助けには積極的なのに、自分へ危害を加えそうな相手には厳しいのか。
ここが興味深かった。
リョウマは、誰にでも無条件で優しいわけではない。
相手がまともに話し合う気を持っているなら、誠実に対応する。
しかし、危険だと判断すれば、無理に関係を続けようとはしない。
それ自体は悪いことではないだろう。
むしろ、相手の敵意を無視して交渉を続ける方が危険かもしれない。
ただ、リョウマの場合は、その判断に前世の経験が影響しているようにも感じた。
理不尽な相手と無理に関わっても、ろくなことにならない。
そんな考えが、心のどこかに残っているのかもしれない。
カルムが心配するリョウマの警戒心。前世の傷はまだ消えていない
買収交渉の前後で、カルムとユーダムはリョウマの様子を気にしていた。
ユーダムは、リョウマが常に張り詰めた雰囲気を持っていると感じていたのである。
普段は穏やかに見える。
しかし、どこか緊張している。
危険を想定し、いつでも対応できるようにしている。
そんな様子が気になったらしい。
リョウマは、いつも何かに備えているのか。
ここで前巻のセーレリプタの話を思い出した。
リョウマは前世で理不尽な扱いを受け続けていた。
しかも、今回の神界の裁判では、その背景に地球の神の干渉まであったことが明らかになっている。
そんな経験をしていれば、他人への警戒心が強くなっても不思議ではない。
危険を感じたら、すぐに距離を取る。
問題が起きる前に備える。
自分が傷つくことを前提に行動する。
それが、リョウマにとって当たり前になっているのかもしれない。
ただ、気になったのは、リョウマが自分自身の危険を軽視していることだった。
従業員や店を守るためには、かなり慎重に準備する。
しかし、自分自身については、あまり大切にしていないように見える。
ここが何とも複雑である。
他人を守ろうとする気持ちは強い。
それなのに、自分を守ることには無頓着。
他人の安全を考えられるのなら、自分のことも同じように大切にしてほしい。
カルムが心配するのも理解できる。
地球側の特別書き下ろし。元課長の末路がひどすぎる
今回の特別書き下ろしでは、地球に残された元課長のその後が描かれる。
前巻では、馬場が二代目社長を説得し、会社がようやく責任を認めるところまで進んでいた。
しかし、今回の元課長の話は、さらにひどい。
竹林の死後、元課長は葬儀の準備に関わることになる。
そこで竹林の遺品を調べていた際、美しい刀を見つける。
そして、その刀を持ち出してしまう。
いや、故人の遺品を勝手に持ち出すなよ。
しかも、その後は刀への執着が強まり、ついには葬儀場で人を斬りつける事件まで起こしてしまう。
逃走中には交通事故まで起こし、最終的には逮捕される立場となる。
ここまで来ると、もう言葉が出ない。
元課長は、自分の人生がうまくいかなくなった原因を竹林に押しつけていた。
仕事の失敗。
家庭の崩壊。
そして、自分の立場の悪化。
すべて竹林のせいだと考えていたのである。
いや、自分の行動を振り返ることはないのか。
竹林が死ねば、以前の幸運な生活に戻れると思っていたらしい。
しかし、現実には犯罪を重ね、さらに追い詰められていく。
何とも救いようのない話だった。
竜馬を苦しめた元課長の転落。これで終わりなのだろうか
今回の元課長の話を読んで、改めて前世の竜馬の苦しさを感じた。
竜馬は、こんな人物の下で働いていたのである。
しかも、会社そのものも問題を抱えていた。
二代目社長は取引先との関係を優先し、まともに働く社員たちへ負担を押しつけていた。
元課長も、自分の立場を守るために竜馬へ理不尽な扱いを続けていた。
そんな職場で、竜馬は長年働いていたのだ。
そりゃ、人間関係に慎重にもなるだろう。
もちろん、元課長が犯罪を重ねたことは、本人の責任である。
しかし、ここまで自分の行動を正当化し続ける姿を見ると、竜馬がどれほど理不尽な環境にいたのかが伝わってくる。
一方、異世界の竜馬は違う。
自分の能力を認めてくれる人々がいる。
困ったときに助けてくれる仲間がいる。
自分の好きな研究を続けられる。
そして、商売を通じて人々の生活にも関わっている。
前世では苦しめられるばかりだった竜馬が、異世界では自分の力で生活を築いている。
その違いが、今回の地球側の話によって、よりはっきりしたように感じた。
まとめ|スライムで地域を救うリョウマ。でも自分自身のことはまだ守れていない
『神達に拾われた男9』は、シクム村での生活が一区切りとなり、ギムルへ戻ったリョウマが新しい事業へ動き始める一冊だった。
今回も、スライムの活躍が面白かった。
アシッドスライムとスティッキースライムを利用した温泉清掃。
ワイヤースライムを使った竹林の伐採。
アッシュスライムによる魚の灰干し。
そして、600匹以上のマッドスライムの捕獲。
スライムの利用方法が、どこまで広がるのか本当にわからない(笑)。
さらに、ポルコ伯爵から依頼された名物料理の開発では、餃子を提案する。
最初は、なぜ餃子なのかと思った。
しかし、地域ごとに具材や調理方法を変えられるという説明を読んで納得した。
しかも、街道沿いの休憩施設で販売する方法まで考えている。
料理を作るだけでなく、地域全体を盛り上げる仕組みまで考えるとは。
これまで洗濯屋を経営し、商品開発を続けてきた経験が、こうした場面でも活かされているのだろう。
一方、真珠の価値を知ったリョウマが、その情報を簡単には公表しなかった判断も印象的だった。
高価な商品を生み出せるようになれば、当然それを狙う者も現れる。
利益が大きいからといって、何でもすぐに商売にすればよいわけではない。
そんな現実的な判断ができるところも、リョウマの魅力だと思う。
そして、ギムルへ戻ると、今度は街の治安悪化という問題が待っていた。
大量の労働者が流入し、仕事に就けない人々が増えている。
モーガン商会まで放火被害に遭っていた。
そこでリョウマは、新しい事業を立ち上げて雇用を生み出そうとする。
本当に、困っている人を見ると放っておけない少年である。
しかし、競合する洗濯屋の買収交渉では、相手から敵意を向けられた途端に交渉を打ち切ってしまった。
ここは少し驚いた。
普段は人当たりがよいリョウマだが、危険を感じたときの判断はかなり早い。
無理に相手を説得しようとはしない。
必要のない争いに付き合うつもりもない。
その判断自体は理解できる。
ただ、カルムやユーダムが心配するように、リョウマは常に危険を警戒しているらしい。
そして、神界の裁判では、リョウマの前世に地球の神が干渉していたという衝撃的な事実が明らかになる。
殺人鬼に仕立て上げるため、不幸な環境へ置かれていたというのだから、あまりにもひどい。
いや、地球の神は何をやっているんだ……。
それでもリョウマは、他人を傷つけることなく耐え続けてきた。
しかし、その結果として、自分自身の価値を低く見積もるようになってしまった。
ここが何ともつらい。
前世では理不尽な扱いを受け続け、異世界へ来てからも、その影響が残っている。
それでも、今のリョウマには大切な人々がいる。
ジャミール公爵家の人々。
洗濯屋の従業員たち。
冒険者仲間。
そして、今回のシクム村の人々。
前世では居場所を失っていたリョウマが、異世界では少しずつ居場所を増やしている。
その姿が印象的だった。
ただ、他人のために働きすぎるところは、少し心配である。
新しい事業を始めるのもよい。
困っている人を助けるのもよい。
しかし、自分自身のことも大切にしてほしい。
他人を助けることができるのなら、自分自身も同じように守ってほしい。
今回の買収交渉で見せた警戒心や、神界で明らかになった前世の事情を読むと、そんな気持ちになった。
そして、地球側では元課長がついに犯罪を重ね、逮捕される立場となる。
最後まで自分の責任を認めず、竹林を恨み続ける姿には、何とも言えない気持ちになった。
前世の会社は本当にひどかったな……。
それでも、今のリョウマは違う。
スライムを研究し、商売を続け、村の人々と交流している。
自分の好きなことを見つけ、少しずつ生活を築いている。
その姿を見ると、異世界へ転生できたことは、リョウマにとって大きな救いだったのだと思う。
ただ、ギムルの治安悪化や貴族社会の問題など、今後も簡単には解決できないことが増えそうである。
そして、リョウマ自身の心の問題も、まだ終わっていない。
スライムの研究は絶好調。でも、リョウマ自身が本当に安心して暮らせるようになるには、もう少し時間が必要なのかもしれない。
次巻では、ギムルで始めようとしている新事業がどうなるのか。
そして、リョウマが自分自身のことを、少しでも大切にできるようになるのか。
続きが気になるところである。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
ストーリー・プロット
第1幕:領主ポルコとの面会と二つの依頼
シクム村に滞在中のリョウマは、予定を繰り上げて村を訪れた領主ポルコ・ファットマ伯爵と昼食を共にする。ポルコはマッドサラマンダー防衛に貢献した冒険者らをねぎらい、リョウマが差し出したラインハルトの紹介状を確認する。紹介状にはリョウマの能力の高さと引き抜きを牽制する文面が記されており、ポルコは旧友であるラインハルトとの学生時代の思い出を語る。
さらに旅芸人セムロイド一座の歌からリョウマが「麦茶の賢者」であると確信したポルコは、領内の道路整備に伴う経済活性化のための「名物料理の考案」と、亡き父が愛用していた「山頂の温泉小屋の頑固な汚れの清掃」という二つの依頼を持ちかける。
リョウマは成功報酬小金貨10枚の温泉清掃を引き受け、翌日の休漁日に現地へ向かうことを決める。
第2幕:温泉小屋の清掃と先代領主の痕跡
翌朝、リョウマは冒険者パーティー「シクムの桟橋」の案内で湖を渡り、案内人ピグーと共に急斜面を登って山頂の温泉小屋へ到達する。放置されていた露天風呂には落ち葉が溜まり、炭酸カルシウムを主成分とする温泉沈着物が分厚く固着していた。リョウマはスカベンジャースライムに排水溝の清掃と排水を行わせ、アシッドスライムの酸とスティッキースライムの粘着液を配合して3種類の酸性粘液を調合し、布に浸して壁や床に貼り付ける。
途中で訪れたポルコや護衛のドラゴニュートらと言葉を交わし、先代領主が私財を投じて泥だらけの土地に道を切り開いた歴史を知る。また、小屋に飾られた手書き地図について、案内人ピグーは、先代領主が領内の泥湯を生かした温泉地開発を構想していたのではないかと推測した。
浸透後、高圧洗浄魔法とシクムの桟橋による削り作業を併用し、沈着物の完全除去に成功する。
第3幕:竹林伐採による着想と真珠層の実験
清掃完了後、視界を遮っていた竹藪を整備するため、リョウマはワイヤースライムを鋸状にして気を纏わせ、チェーンソーのように竹を一気に伐採する。露天風呂からの景色が開けた際、浴槽が湖ではなく泥地に向いて作られていることや、先代領主の墓が領地を一望できる頂上にあることを確認し、地域全体を活かす名物料理の着想を得る。村に戻ったリョウマは報酬の小金貨10枚を受け取った。
シクムの桟橋の仲間たちは、掃除に使った知識や薬剤、道具がリョウマのものであるとして辞退しようとしたが、協力への謝礼を望むリョウマとの話し合いにより、最終的に双方で5枚ずつ分けた。その夜、残った酸性粘液に村で廃棄されていた巻貝スナガクレを浸す実験を行い、表面を溶かして美しい真珠層を露出させる。これによりパールスライムへの進化原因を特定するが、ファットマ領が他領からの嫌がらせ(ゴブリン投棄等)に対処しきれていない力関係を考慮し、真珠の存在を領主や村人に開示することは領地に危険を招くと判断して秘匿を決める。
第4幕:終漁祭と餃子・未利用魚の提案
ヤドネズミの移動によってマッドサラマンダーの遡上が収まり、シクム村で終漁祭が開催される。リョウマの招待に応じたポルコ一行に対し、リョウマは特注の大型調理用魔法道具を用いて様々な料理を振る舞った後、本題である「餃子」を提案する。皮、具材、調理法(焼・水・揚・蒸)、タレの組み合わせが多様である特性を示し、村人たちが地元食材で作った餃子を実食させる。
さらに街道沿いに残る作業員用小屋を休憩・販売拠点(パーキングエリアや交番の機能)として活用し、地域ごとの味を競わせる振興策を提示してポルコから絶賛される。続いてニキの証言を機に、アッシュスライムの体質を応用した「魚の灰干し」や、毒魚として忌避されていたウナギ、カサゴ、フグを適切に処理した料理を提供し、村人や領主から大好評を博す。
第5幕:祭りの後の忠告とシクム村からの出立
祭りの終了後、浜辺で二人きりになったポルコは、リョウマから毒魚の実験記録や調理法を受け取る。リョウマが対価として竹の株や食器用の焼き物を希望したため、ポルコは屋敷にある古代遺跡出土品の壺を進呈し、懇意の陶器店を紹介する。その上でポルコは、ラインハルトの領地が荒れている噂を伝え、友人の力になってほしいと頼むとともに、リョウマ自身の知識や噂(麦茶の賢者)に目をつけた悪意ある貴族への警戒を忠告する。
翌々日、リョウマはニキと共に森へ向かい、泥魔法マッドウェーブで泥に同化していたマッドスライム600匹以上を捕獲する。ニキから記念の湿光石を譲り受けた礼として、大木の枝を魔法で曲げて新しいツリーハウス基地の土台を整える。村へ戻ったリョウマは、集まった大勢の村人たちから食料や温かい見送りを受け、再訪を約束してシクム村を出立する。
第6幕:神界の裁判と王都での会談(閑話)
神界では、リョウマの魂に無断で干渉したセーレリプタの裁判が開かれる。セーレリプタは、リョウマが地球の神によって殺戮や犯罪の才能を与えられ、不幸な環境下で殺人鬼に仕立て上げられる実験台にされていた事実を明かす。リョウマが強靭な自制心でそれに抗い続けた結果、異常な精神耐性と極端に低い自己評価(他人に尽くし自分を省みない歪み)が形成されたと説明する。一方、王都の公爵邸ではエリアリアが友人を両親に紹介し、リョウマの話題で盛り上がる。
その後、ラインハルトはポルコの屋敷を訪ねて旧交を温めつつ、領地荒らしに対抗するため貴族の食事会への参加を要請する。ラインハルトはリョウマから託された真珠のネックレス、スナガクレの貝殻、白酒を利用した急速冷凍技術を提示し、両者は強固な協力関係を結ぶ。
第7幕:ギムルの異変と新事業構想
約1か月ぶりにギムルへ帰還したリョウマは、過剰流入した求職者による治安悪化を目撃し、負傷した警備兵を治療する。店舗ではシェルマを暴漢から救った旅の格闘家ユーダムが臨時警備員として雇われており、モーガン商会が放火された事実を知らされる。急ぎモーガン商会を訪ねたリョウマはセルジュの無事を確認し、ファットマ領の陶器、古代遺跡の壺、新繊維スライムレーヨン、そしてパールスライムが生成した真珠を提示する。真珠の莫大な資産価値を知ったリョウマは、街に溢れる失業労働者を雇用し、街のゴミ収集・分別を行わせるゴミ処理場建設などの新事業を着想する。セルジュの助言を受け、商業ギルドのギルドマスターを交えて夜遅くまで計画の根回しを進める。
第8幕:買収交渉の決裂と過剰な自衛意識
翌日、カルムはリョウマの多業種計画が労働者救済を兼ねていると察しつつ、ユーダムからリョウマが常にピリピリと張り詰めているとの指摘を受ける。昼食後、リョウマ、カルム、ユーダムの3名は、職人街で営業を続ける競合洗濯屋の買収交渉へ向かう。
しかし店の前には角材や金槌を持った屈強な職人たちが立ち塞がり、地上げ屋と誤認して罵声を浴びせてくる。リョウマが店舗名を明かしても興奮した男たちは聞く耳を持たず、リョウマは「ゴロツキと変わらない」と冷徹に言い放つ。隙間から怯えて様子を窺う女店主を見たリョウマは、即座に交渉を打ち切って撤退を決断する。
帰途、カルムから気を張りすぎている点を尋ねられたリョウマは、一瞬の油断で大切なものを失う理不尽への強い警戒心と、念には念を入れる自身の性格を吐露する。
主要な転換点
転換点:ポルコ伯爵からの温泉掃除・名物料理の依頼
- それ以前の状況:リョウマはシクム村でマッドサラマンダー討伐と自身の鍛錬に専念していた。
- 出来事:村を訪れたポルコ伯爵にラインハルトの紹介状を渡し、温泉小屋の清掃と領地の名物料理考案を依頼された。
- 変化:討伐任務に加え、スライムの薬剤調合や料理の試作・研究を行う立場となった。
- 次への影響:温泉清掃を通じて先代領主の思想を知り、終漁祭での餃子や未利用魚の提案、ポルコからの古代遺跡の壺の譲渡や貴族社会に関する助言へとつながった。
転換点:スナガクレの真珠層露出による進化原因の特定
- それ以前の状況:パールスライムの誕生理由は、酸と卵の組み合わせ(マヨネーズ真珠)という推測にとどまっていた。
- 出来事:温泉掃除で余った酸性粘液に食用巻貝スナガクレを浸し、貝殻に隠れていた真珠層が露出することを確認した。
- 変化:パールスライムが真珠層を摂取して進化した事実を突き止めると同時に、防衛力の乏しいファットマ領の現状を鑑みて真珠に関する情報を領主に伏せる判断を下した。
- 次への影響:真珠と原料貝の情報がラインハルト経由でポルコに伝えられることになり、王都における公爵家とファットマ伯爵家の政治的・経済的提携の重要な材料となった。
転換点:終漁祭における未利用魚(毒魚)の調理提供
- それ以前の状況:村ではウナギ、カサゴ、フグは毒や泥臭さのために食用とされず、網にかかっても廃棄されていた。
- 出来事:ニキの暴露を契機に、リョウマがポイズンスライムや鑑定を駆使して安全に調理した蒲焼、天ぷら、てっちり等を振る舞った。
- 変化:領主や村人たちが毒魚の美味さを認識し、新たな食料資源としての価値が見出された。
- 次への影響:リョウマがまとめた詳細な実験・調理記録がポルコに渡り、領主としての適切な管理規則の策定や、リョウマへの謝礼(竹の譲渡、壺の進呈)へと結びついた。
転換点:神界でのセーレリプタによるリョウマの魂の秘密開示
- それ以前の状況:神々はリョウマの精神耐性の高さや献身的な行動を認識していたが、その根底にある原因までは把握していなかった。
- 出来事:裁判の場でセーレリプタが、地球の神がリョウマに殺戮の才能と過酷な境遇を与えて殺人鬼に仕立て上げようとしていた事実を暴露した。
- 変化:リョウマの過剰な自制心、異常な精神耐性、自分を危険視する傾向や極端な自己評価の低さが、前世の神の干渉によるものであると全神に共有された。
- 次への影響:神々がリョウマの精神的負荷や今後の環境悪化に対して強い懸念を抱く契機となった。
転換点:真珠の資産価値把握と失業労働者雇用構想の着想
- それ以前の状況:ギムルでは労働者が過剰流入して治安が悪化し、リョウマ自身も大樹海行きの準備や研究に忙殺されて人手不足を感じていた。
- 出来事:セルジュから真珠1粒が小白金貨以上の価値を持つと知らされ、頭の中の事柄がつながって閃きを得た。
- 変化:真珠の売却資金を元手に、街にあふれる労働者を雇ってゴミ収集・分別を行わせるゴミ処理場建設などの新事業立ち上げを決意した。
- 次への影響:商業ギルドを巻き込んだ大規模な根回しが始まり、リョウマの活動が単なる冒険者や一商店の枠を超えて街の雇用問題へと波及していった。
転換点:競合洗濯屋買収交渉の即座の打ち切り
- それ以前の状況:西側の職人街に支店を展開するため、人望ある故人の家族が営む競合洗濯屋の買収を前向きに進めていた。
- 出来事:地上げ屋と誤認した職人たちが威圧的に立ち塞がり、奥から様子を窺う女店主の優柔不断な態度を確認した。
- 変化:対話を拒む男たちを「ゴロツキと変わらない」と切り捨て、自力で店を維持・判断できない女店主に失望して買収計画を完全に断念した。
- 次への影響:リョウマが自身の根底にある「一瞬の油断で大切なものを失うことへの過剰な警戒心」を自覚し、カルムに対してその胸中を語る契機となった。
主人公を中心とした人物関係の変化
リョウマ ⇔ ポルコ・ファットマ
- 開始時:互いに面識はなく、リョウマは領主の噂を耳にしていた程度であった。
- 主な出来事:ラインハルトの紹介状を介して対面し、温泉清掃と名物料理の考案を引き受け、終漁祭で餃子や毒魚料理を提案した。
- 巻末時:リョウマの多角的な能力と人柄をポルコが深く信頼・評価し、個人的に旧友ラインハルトの支援を託すとともに、貴族社会の危険から守るべく助言を与える親密な間柄となった。
リョウマ ⇔ カルム・ノーラッド
- 開始時:店舗経営の実務を任せる優秀な副店長と店長という信頼関係にあった。
- 主な出来事:ギムルの治安悪化に伴う新事業計画を共有し、競合店買収交渉の現場に同行した。
- 巻末時:カルムがリョウマの仕事抱え込み癖や内面の過剰な張り詰め状態(ピリピリ感)を明確に認識し、リョウマも自身の危うい性格や警戒心を打ち明け、互いを補い合う絆を再確認した。
リョウマ ⇔ ユーダム
- 開始時:面識がなかった。
- 主な出来事:ギムル帰還時に店舗の臨時警備員として対面し、互いの実力を認め合って買収交渉の護衛を依頼した。
- 巻末時:気さくに武術や素材について語り合える間柄となり、ユーダムはリョウマの子供離れした実力と張り詰めた気配を鋭く察知する理解者となった。
リョウマ ⇔ ニキ
- 開始時:スライムの世話を手伝う仲の良い村の少年と兄貴分の関係であった。
- 主な出来事:終漁祭で未利用魚の料理を後押しし、森でマッドスライム捕獲を手伝った後、秘密基地の記念として湿光石を譲り受け、ツリーハウス作りを共に行った。
- 巻末時:単なる悪戯小僧と保護者の枠を超え、互いに贈り物や協力を交わし、将来の再会を固く約束し合う友人関係となった。
主人公の認識と周囲の評価
主人公自身の認識
リョウマ自身は、自分の行動を「大樹海へ向かうための準備であり、研究時間の確保や生活向上のための純粋な自己投資・趣味」と捉えている。また、名物料理の提案や新事業の立ち上げについても、依頼に応えたことや余剰資金の有効活用に過ぎず、街の雇用問題や領民救済といった大義名分は行政や貴族が考えるべきことであり、自分のような個人が口を出す領域ではないと考えている。さらに、自身の警戒心の強さや護衛の帯同についても、服が動きづらいから念のため備えているだけ、または人間として当然の危機管理であると認識している。
周囲からの評価
周囲の人物(カルム、セルジュ、ポルコなど)は、リョウマを「卓越した知識と技術を持ち、依頼に対して販売戦略や地域振興まで見据えた解決策を提示できる極めて優秀な人材」と高く評価している。その一方で、「利益や自己の安全を二の次にして他人の待遇や環境改善に奔走し、過剰なまでに仕事を抱え込んでしまうお人好し」「常に最悪の事態を想定して極限まで気を張り詰めている危うい人物」として強い心配を抱いている。
認識の差が現れた場面
- セルジュやカルムに対し、真珠を元手にしたゴミ処理場建設計画を説明した場面。リョウマ自身は「自分の研究時間捻出とスライムの餌集めのためであり、労働者の仕事が増えるのは単なる副産物」と主張したが、セルジュやカルムからは「困窮する労働者に仕事を与えるための口実にすぎず、自己犠牲的に他人の世話を焼いている」と受け止められた。
- 終漁祭の後にポルコから依頼の報酬を問われた場面。リョウマは竹の株や食器用の焼き物といった質素な物品だけで満足しようとしたが、ポルコからは「新たな産業になり得る莫大な利益をもたらしておきながら、過分なまでに欲がなく無頓着すぎる」と呆れられ、古代遺跡の貴重な壺を押し出されることになった。
- 競合洗濯屋の買収に向かう際、ユーダムに護衛を依頼した場面。リョウマ自身は「礼服で動きづらいことと、街が物騒なことへの当たり前の備え」と考えていたが、カルムからは「普段どれほど勧められても護衛を頑なに拒否してきたリョウマが自ら護衛を求めたこと自体、街の不穏な気配に対して極度に神経を張り詰めている証拠」と捉えられた。
温泉の清掃と再開発
竹林竜馬が手がけたファットマ領の山頂温泉の清掃と、そこから明らかになった領地再開発構想の全容。
依頼の背景と温泉の状態
- 依頼主はファットマ領の領主ポルコ・ファットマ伯爵。
- 先代伯爵が生前に愛用し、唯一の贅沢として自ら山頂付近に建てたこだわりの露天風呂と小さな小屋。
- 先代の死後は管理が行き届かず、吹き込んだ落ち葉や枝で排水溝が詰まって悪臭が漂う状況。
- 浴槽や床全体に炭酸カルシウムを含むぶ厚い温泉沈殿物が岩のようにこびりつき、通常のこすり洗いでは一切落ちない荒廃ぶり。
スライムと魔法を活用した清掃工程
- 詰まりと汚水の除去として、スカベンジャースライムを投入し、浴槽に溜まった落ち葉や枝、汚水をすべて飲み込ませて処理。
- 沈着物の主成分が酸に弱い炭酸カルシウムである点を見抜き、アシッドスライムの酸とスティッキースライムの粘着液を配合した特製の酸性粘液洗剤を開発。
- 壁面用や厚い層用など、強度と粘度を調整した三種類の清掃用酸性粘液を作成して塗布および浸透を促進。
- 薬液で脆くなった沈着物を高圧洗浄魔法で吹き飛ばし、残った大きな塊は工具やスライムの力を用いて削り落として仕上げを完了。
- 放置されて露天風呂からの視界を遮っていた竹薮に対し、新種ワイヤースライムの体を糸鋸状に変形させて一気に伐採し、見事な景観を再生。
温泉小屋の地図から推測された先代領主の再開発構想
- 脱衣所に飾られていた手書き地図から、ファットマ領内に点在する熱い泥が湧く源泉に向けて道が集まるよう設計されていた構想を把握。
- 先代領主が私財を投じて道造りに打ち込んでいた背景には、移動の利便性向上に加え、領地全体を温泉地として発展させる構想があったのではないかとピグーは推測した。
- 温泉清掃と地図の発見から着想を得て、領主からの別依頼である名物料理の開発に対し、街道沿いの休憩所で各地特有の具材を用いた餃子を提供する地域活性化策へと発展。
スライムの特性と科学的知見を組み合わせた清掃作業を端緒として、埋もれていた先代領主の壮大な地域振興計画が掘り起こされ、新たな名物開発と領地全体の活性化構想へと繋がる展開。
餃子による地域活性化
『神達に拾われた男9』においてリョウマがポルコ・ファットマ伯爵に提案した餃子による地域活性化策は、単なる新レシピの提供にとどまらず、地域の食材特性や調理の容易さ、流動人口に向けた販売システムまで見据えた包括的な経済振興プランとして描かれた。
提案の背景と領内の課題
- 領主からの依頼:先代領主による道路整備で人流が増加して経済が活発化する中、領主ポルコ伯爵は魚以外で領内の名物となる料理を広く公募していたものの、決定打となる一品が見つからずにいた。
- 地域ごとの食文化の違い:ファットマ領は広大であり、湖の魚介が豊富なシクム村のような地域もあれば、他領に接して肉や小麦が手に入りやすい地域もあり、食材の偏りや食文化の差異が生じていた。
餃子を選んだ理由と地域活性化の仕組み シクム村の終漁祭の場で各種の餃子を自ら調理して披露し、地域振興に繋がる強みを解説した。
- 地域ごとのご当地餃子による競い合い:ひとつの味に統一せず、各村や地域で採れるヌマエビ、ハスの根、湖の魚、豚肉、野菜などの特産品を用いたオリジナル餃子を競わせる発想を提示した。各地の味の違いを楽しめる名物として旅人や商人の関心を引き、地域全体の活性化を図る狙いを持たせた。
- 調理の容易さと導入のしやすさ:普段あまり料理をしない地元の漁師でも短時間の指導で形にできるため、領内の他の村々へ迅速に普及させられる利点を備えていた。
- 見た目に難がある食材の活用:カニやタコ、見た目が独特な魚介類など、外見が原因で敬遠されがちな食材であっても、細かく刻んで皮で包んで一口サイズに加工することで抵抗なく食べてもらえる工夫を盛り込んだ。
販売手法と街道沿いの施設活用 料理の提供にとどまらず、流通や販売方法に関するマーケティング戦略も同時に提示した。
- 街道沿いの空き施設の有効活用:先代領主が道路建設時に建てたものの現在は使われていない街道沿いの無人宿泊施設を利用し、前世のドライブスルーやパーキングエリアのように、馬車や馬上の旅人へ手軽に焼きたてや揚げたての餃子を販売する仕組みを提案した。
- 治安維持との両立:空き施設に警備隊やスタッフを常駐させることで、野盗による不法占拠を防ぎ、旅人がトラブル時に相談できる交番のような詰め所としても機能させられる利点を付加した。
領主ポルコの反応と物語への影響
- 麦茶と餃子の賢者としての絶賛:多数の応募があった中で料理の売り方や経済効果まで計算して答えた者は初めてであり、ポルコ伯爵は深く感服して麦茶と餃子の賢者と称賛し、政策としての導入を前向きに検討することを約した。
- 領主同士の連携への発展:この提案を通じて深まったリョウマとポルコ伯爵の信頼関係は、後にラインハルト公爵とポルコ伯爵が旧交を温め、真珠層を持つ貝の活用や食品の急速冷凍技術などの経済提携を結ぶ大きな契機となった。
リョウマによる餃子の提案は、単なる食の提案にとどまらず、領内の食材循環や街道インフラの再利用、治安維持まで包括した画期的な地域振興策となった。領主との強固な信頼関係を築き上げ、領地間の新たな経済連携へと発展する重要な足掛かりを形成した。
ギムルの治安悪化
ファットマ領から約一ヶ月ぶりに帰還したリョウマが直面したギムルの街における治安悪化の状況について、その原因や具体的な被害、各組織による対応の観点から整理を行う。
治安悪化の背景と主な原因
- 労働者の過剰流入:南側で進行する新しい街の建造や鉱山開発に伴い、職を求めて他所から流入する労働者の数が行政やギルドの想定を大きく超過。
- 悪質な斡旋業者の暗躍:ギムルでの仕事を斡旋すると偽って紹介料を詐取し、到着直前で路上に放り出すような悪徳業者が横行。
- 貴族勢力による裏工作の疑い:セルジュによれば、労働者の過剰流入には複数の貴族が裏で関与している可能性があった。セルジュは、ジャミール公爵家への嫌がらせが目的ではないかと推測していたが、工作の全容は明らかになっていなかった。
街で発生した具体的問題と被害
- 街頭犯罪の急増と路地の荒廃:職を得られない人々が路地裏に溢れて残飯を漁る姿が日常化し、喧嘩や窃盗、ひったくりなどの街頭犯罪が急増。追いつめられた犯人が刃物を振り回して警備隊員が負傷するなど、治安組織の対応力も限界に直面。
- モーガン商会本店への放火事件:著名な商店であるモーガン商会に対し、油の入った壺を投擲した上で火魔法を放つ計画的な放火事件が発生。迅速な消火活動により人的被害は防いだものの、街全体に深刻な動揺が拡大。
- 住民の不信感と過剰な警戒心:詐欺や強引な地上げ行為が頻発した結果、住民や個人商店の警戒心が極度に高まり、正規の取引に対しても過剰に攻撃的になるなど地域コミュニティ全体の雰囲気が悪化。
各関係者の対応とリョウマによる雇用創出の構想
- 公爵家や警備隊の動き:警備隊やギルドが人員を増員して取り締まりを強化する一方、当主ラインハルト公爵自身も騒動の元凶となった首謀者貴族への対処を水面下で推進。
- 各店舗による防衛強化:モーガン商会は王都から一流の傭兵団を呼び寄せて護衛を固め、バンブーフォレスト側も格闘家ユーダムを臨時警備員として新規雇用し防犯体制を拡充。
- リョウマによる新事業計画:街にあふれる求職者の存在に着目し、スカベンジャースライムを用いたゴミ処理施設やスライム製品の生産工場を新設する構想を発案。研究時間を確保しつつ失業者へ就労機会を提供し、治安改善へ寄与する方針を策定。
ギムルの治安悪化は外部勢力の意図的な工作と過剰な人口流入が重なった深刻な事態であったが、各関係者による防犯体制の強化とリョウマの新たな雇用創出構想により、事態の収拾と地域再生に向けた具体的な道筋が示される形となった。
新事業と買収計画
ファットマ領から帰還したリョウマは、労働者の過剰流入によって治安が悪化していたギムルの街において、都市問題の解決と自己の目標達成を両立させる複数の新事業を着想した。また、既存事業であるバンブーフォレストの基盤強化を図るため競合店舗の買収を試みたものの、予期せぬトラブルから方針転換を余儀なくされた。
新事業構想と雇用創出の取り組み
リョウマは街の治安悪化を単なる危機にとどめず、研究環境の整備と街の困窮者支援を結びつける契機と捉え、以下の施策に着手した。
- ゴミ処理場事業の立ち上げ
- 街の家庭や店舗から排出される廃棄物を一括回収し、スカベンジャースライムに処理させる施設を計画した。スライムへの継続的な餌供給や新たな進化系統の発見を図ると同時に、仕事のない労働者へ大量の雇用機会を提供する形をとった。
- スライムレーヨンの生産と共同工場の設立
- ファイバースライムが生成する絹に類似した再生繊維スライムレーヨンの量産化を進めた。モーガン商会と提携を結び、一般層向けの衣料製品として供給する共同工場の設立へ向けて動いた。
- 真珠の換金による資金調達
- パールスライムから生み出される高価な真珠を資金源として活用し、新規設備の導入費用や人件費を円滑に賄う体制を整えた。
- 保存食および装備開発の外部委託
- 将来のシュルス大樹海進出を見据えた保存食や装備品の研究において、自力で行っていた作業を信頼できる人員へ分散させた。自身の時間を戦闘訓練やスライム研究へ集中投下できる環境の構築を目指した。
競合洗濯屋の買収交渉と計画の断念
店舗網の拡大と職人層への利便性向上を目的として、ギムル西側の個人店舗に対する友好的な買収を検討した。
- 買収対象の選定理由
- 模倣店舗の多くが脱落する中、地域で信頼を集めていた亡き店主の店舗に目を向けた。西側の職人街に拠点を設けることで、大口顧客の利便性を高めつつ既存の顧客基盤を引き継ぐ狙いを持っていた。
- 提示した買収条件
- 工房や店舗設備を適正価格で買い取る一方、店主家族の居住地をそのまま保証し、買収後も同店舗での雇用を継続するという配慮に満ちた条件を用意した。
- 交渉の決裂と自前出店への転換
- 訪問時に悪質な地上げ屋と誤認され、事情を聞こうとしない近隣職人たちから一方的な怒声と威圧を受けた。
- 冷静な対話を拒み群れて恫喝を繰り返す相手に対し、街を騒がせる不逞の輩と何ら変わらないと評し、強い失望を示した。
- 騒動の中で主体的な態度を見せず店内に引きこもった女性店主の姿勢を受け、現場を任せる経営人材としての資質を欠くと判断した。買収方針を即座に破棄し、自力で新規店舗を立ち上げる計画へと舵を切った。
周囲の観察と本人の心理状態
副支配人のカルムや警備担当のユーダムは、一連の事業展開が困窮した求職者や被害を受けた商会への支援につながっている本質を見抜いていた。これに対し、リョウマ自身はあくまで自己投資や個人的な興味に基づく行動という立場を崩さなかった。過去の境遇や直近の治安悪化への警戒感から、周囲に対して無意識に重層的な防衛線を張り巡らせ、過度に気を引き締め続ける様子も浮き彫りとなった。
まとめ
ギムルの治安悪化という逆境に直面したリョウマは、独自の技術や資源を活用して問題解決と自身の目的を両立させる柔軟な事業構想を展開した。買収交渉の断念に見られるように、相手の主体性や理念を見極める冷静な経営判断を下しつつ、自力での拠点構築や雇用創出へと着実に歩みを進める姿勢を示した。
元課長の末路
神達に拾われた男9の特別書き下ろし短編では、前世の地球において竹林竜馬を執拗に苦しめていた元課長が、竜馬の死去を契機として己の果てしない強欲と短慮から破滅へと突き進む軌跡が克明に描かれた。
会社の不祥事発覚と社葬費用の横領計画
竜馬の過労死を端緒として、勤務先では労働基準法違反をはじめとする数々の不正が露見し、世間から厳しい批判を浴びる事態に発展した。
- 組織の崩壊に伴う保身
- 処分や解雇を恐れた元課長は、自らの退職金や慰謝料の代わりとして金銭を掠め取る腹積もりを固めた。
- 弔慰金への着手
- 会社側が執り行う予定だった竜馬の社葬費用に目をつけ、見積もりの差額を懐に入れる横領を企てた。
竜馬の遺品発見と名刀の窃盗
葬儀の手続きを進める名目で竜馬の居室を捜索した際、天才刀匠として知られた亡父の遺品である日本刀と短刀を目にした。
- 刀剣への魅了と衝動的な窃盗
- 刀身が放つ類まれな美しさに心を奪われ、その場から衝動的に持ち去る凶行に及んだ。
- 資産価値の判明と執着の深化
- 専門的な鑑定を通じて一振りあたり数百万円から一千万円規模の資産価値を有すると知るや、返還の意志を完全に放棄し、異常なまでの所有欲に囚われていった。
葬儀会場での刃傷沙汰と錯乱による逃亡
葬儀の当日、控室において密かに所持していた短刀を取り出して眺めていたところ、社内の関係者に現場を目撃される事態に見舞われた。
- 犯行露見の恐怖による暴発
- 不正の発覚に激昂して半狂乱に陥り、所持していた刃物で同僚を切りつける凶行に及んだ。
- 車両の衝突と暗夜の逃走劇
- 車両に乗り込んで逃亡を図ったものの、車内ラジオから自身の事件が速報として流れたことで動揺し、街路樹に激突した。大破した車を放置し、血痕の付着した喪服姿のまま盗んだ刀を抱えて夜道を走り続けた。
責任転嫁の果てに起きた交通事故
暗闇の中を逃げ惑う最中においても、自身の身に生じた災難をすべて亡き竜馬の責に帰す自己正当化に終始した。
- 他者への逆恨みと精神の混濁
- 自らの過ちを顧みることなく他者を呪い続け、冷静な判断力を完全に失った。
- 通りへの飛び出しと衝突
- 錯乱状態のまま車道へ進入した結果、走行中の車両に跳ね飛ばされて意識を失う結末を迎えた。
余罪の追及と刑事責任
病院の一室で意識を取り戻したものの、全身の打撲や複雑骨折により身動きの取れない重傷を負っていた。
- 警察による余罪の追及
- 意識を失っている間に司直の手による捜査が完了し、複数の重大な犯罪行為が明白となった。
- 追及された主な容疑
- 刀剣類の不法な持ち出しに伴う窃盗罪
- 刃物の不法携帯による銃砲刀剣類所持等取締法違反
- 葬儀場における襲撃行為を対象とした傷害および殺人未遂罪
- 事故後の逃走行為に対する道路交通法違反
- 葬儀費用の横領
- 責任逃れの末に突きつけられた現実
- 元課長は命こそ取り留めたが、治療後には数々の行為について刑事責任を問われることになった。
まとめ
元課長が辿った結末は、亡き部下の尊厳や組織の規律を踏みにじり続けた人物にふさわしい、完全な自業自得の破滅劇となった。生前の竜馬を搾取し続けた元凶に対し、自らの行為によって刑事責任を追及される結末を示した。
登場キャラクター
ジャミール公爵家・関係者
竹林竜馬(リョウマ・タケバヤシ)
異世界へ転生した少年。スライムの研究や店舗経営を行いながら冒険者として活動する。公爵家の人々や仲間と深い信頼関係を築いている。
・所属組織、地位や役職 バンブーフォレスト店主。冒険者(Dランク)。
・物語内での具体的な行動や成果 ファットマ領で温泉掃除を成功させた。地域の活性化を目指して餃子を提案する。マッドスライムの捕獲やスライムレーヨンの開発を成し遂げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ポルコから古代遺跡の貴重な壺を譲り受けた。スカベンジャースライムを活用したゴミ処理場事業を計画する。
エリアリア・ジャミール
ジャミール公爵家の令嬢。王都の学園で魔法や基礎教養に励む。友人たちと良好な関係を築いている。
・所属組織、地位や役職 ジャミール公爵家令嬢。学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果 学園で親しくなった友人4人を実家へ招いた。家族へ友人たちを1人ずつ紹介する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 魔法の授業で優秀な成績を収めている。竜馬から届いた美容用品の試作品を友人たちへ披露した。
ラインハルト・ジャミール
ジャミール公爵家の当主。娘の成長を温かく見守る。領地の安定と発展に向けて思慮深く行動する。
・所属組織、地位や役職 ジャミール公爵家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 娘が連れてきた友人たちを歓待した。学生時代の先輩であるポルコを訪問する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ポルコと連携して真珠の販売や食品の冷凍技術に関する協力関係を築いた。
エリーゼ・ジャミール
ジャミール公爵家の当主夫人。温和な性格で娘を優しく愛育する。
・所属組織、地位や役職 ジャミール公爵家当主夫人。
・物語内での具体的な行動や成果 訪れた娘の友人たちを優しく出迎えた。竜馬から送られた美容用品の試作品を少女たちへ勧める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 少女たちの宿泊を提案して交流の場を広げた。
ラインバッハ・ジャミール
前公爵であり元貴族。孫娘のエリアリアを深く慈しむ。
・所属組織、地位や役職 ジャミール公爵家前当主。
・物語内での具体的な行動や成果 孫娘の友人であるカナンに祖父の近況を尋ねた。無事に暮らしていると知り安堵の表情を見せる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 かつて神獣と契約した偉大な実績を持つ。
ジャミール家のメイド
公爵邸に仕えるメイド。屋敷の業務を滞りなく進める。
・所属組織、地位や役職 ジャミール公爵家メイド。
・物語内での具体的な行動や成果 来客の訪問をエリアリアたちに知らせた。お茶やお菓子を給仕する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 屋敷の円滑な給仕や接客を支えている。
ファットマ領・関係者
ポルコ・ファットマ
ファットマ領の領主。豪快な食欲を持つ豚人族の伯爵。領民の生活向上や経済の活性化に心を砕く。
・所属組織、地位や役職 ファットマ領領主。伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬に温泉掃除と名物料理の考案を依頼した。祭りで竜馬の餃子提案を絶賛する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 王都でラインハルトと再会して経済的な連携協定を結んだ。
吉兆丸
ポルコに仕える護衛。ドラゴニュートの侍風の男性。寿司や天ぷらを好む。
・所属組織、地位や役職 ファットマ伯爵家護衛。
・物語内での具体的な行動や成果 ポルコの移動に同行して周囲を警戒した。祭りで竜馬が作った和食料理を味わう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 食生活に制限があるものの寿司などの例外を持つ。
大龍山
ポルコの護衛でありスモウの指導役。ドラゴニュートの力士風の男性。
・所属組織、地位や役職 ファットマ伯爵家護衛(スモウ指南役)。ヨコヅナ。
・物語内での具体的な行動や成果 ポルコに同行して周囲の警戒にあたった。祭りで天ぷらや炊き込みご飯を楽しむ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ドラゴニュートの里で最高位のヨコヅナとして認められている。
ポルコの護衛(ドラゴニュートの二人)
ポルコに付き従う吉兆丸と大龍山の二人組。高い戦闘能力を備える。
・所属組織、地位や役職 ファットマ伯爵家護衛集団。
・物語内での具体的な行動や成果 ポルコの身辺警護のために山へ同行した。山頂の温泉で竜馬の作業を見守る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 領主の移動や安全確保を力強く支えている。
ピグー
伯爵家に長年仕える豚人族の男性。温厚な人柄で現場の案内を担当する。
・所属組織、地位や役職 ファットマ伯爵家案内係(使用人)。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬たちを山頂の温泉小屋へ案内した。掃除の実験を見て泡立つ変化に驚く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 先代領主の仕事ぶりや道造りの歴史をよく知る。
豚人族の衛兵
伯爵邸の門前で見張りを務める衛兵。
・所属組織、地位や役職 ファットマ伯爵邸衛兵。
・物語内での具体的な行動や成果 訪れた竜馬たちに丁寧な対応を見せた。すぐに担当のピグーへ連絡を入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 館の安全と出入り管理を維持している。
伯爵家の料理長
伯爵家に仕える豚人族の料理長。専門的な視点から料理を評価する。
・所属組織、地位や役職 ファットマ伯爵家料理長。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬の調理用魔法道具の機能を絶賛した。祭りの現場で竜馬の調理作業を手伝う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 領主の食生活と厨房の統括を担当している。
ラトイン湖(シクム村)の住民・関係者
カイ
シクム村出身の冒険者。地元の事情に精通しており頼りになる。
・所属組織、地位や役職 冒険者パーティー「シクムの桟橋」。
・物語内での具体的な行動や成果 温泉への移動時に小舟の操船を担当した。伐採作業でロープを用いて安全を確保する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 地元の船の扱いや地理に長けている。
シクム村の村長
シクム村をまとめる長老。領主や領民の双方から信頼されている。
・所属組織、地位や役職 シクム村村長。
・物語内での具体的な行動や成果 早着したポルコを丁寧に歓待した。終漁祭の開催と進行を取り仕切る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 村の安全と行事を適切に統括している。
シン
「シクムの桟橋」のリーダー。真面目な性格で仲間の先頭に立つ。
・所属組織、地位や役職 冒険者パーティー「シクムの桟橋」リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果 到着したポルコへ緊張しながら挨拶した。温泉小屋で風呂の状態を確認する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 パーティーの責任者として行動を牽引する。
冒険者パーティー「シクムの桟橋」
シクム村出身の5人組冒険者集団。チームワークに優れる。
・所属組織、地位や役職 冒険者パーティー。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬の温泉掃除の作業を手伝った。削り落としや塗布の作業に協力する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 報酬の分配を受け取り買い物を楽しんだ。
セイン
「シクムの桟橋」の冒険者。素早い動きを見せる。
・所属組織、地位や役職 冒険者パーティー「シクムの桟橋」。
・物語内での具体的な行動や成果 山道で足を滑らせて転びそうになった。周囲から心配の声を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 山道での移動で慎重な行動を学んだ。
ペイロン
「シクムの桟橋」の冒険者。冷えた体を気遣う。
・所属組織、地位や役職 冒険者パーティー「シクムの桟橋」。
・物語内での具体的な行動や成果 港へ到着した際に屋台での食事を提案した。温泉小屋の荒れた様子を見て率直な感想を漏らす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 旅の途中での体調管理に配慮を見せた。
浜辺の交通整理の男性
港の桟橋で船の案内を行う男性。
・所属組織、地位や役職 港の交通整理員。
・物語内での具体的な行動や成果 手に持った旗を振って小舟へ合図を出した。カイが操縦する船を空いていた桟橋へ誘導する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 混雑する港の船の行き交いをスムーズに整えている。
ケイたちのお兄さん
港の近くで煮込み料理の屋台を営む男性。
・所属組織、地位や役職 屋台店主。
・物語内での具体的な行動や成果 訪れた竜馬や弟たちに温かい煮込み料理を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 港近くの屋台街で自慢の料理を振る舞う。
ケイ
「シクムの桟橋」の冒険者。カイの弟。
・所属組織、地位や役職 冒険者パーティー「シクムの桟橋」。
・物語内での具体的な行動や成果 温泉小屋の狭さや外観に驚きを見せた。竹の伐採作業後に竜馬へ話しかける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 竜馬の魔法や作業速度に感嘆した。
シクム村の村人たち
シクム村で生活を営む住民集団。助け合いの精神を持つ。
・所属組織、地位や役職 シクム村住民集団。
・物語内での具体的な行動や成果 終漁祭に集まり料理を楽しんだ。自作の餃子を焼き上げてポルコへ振る舞う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 出立する竜馬を総出であたたかく見送った。
村のお婆さん
孫に助けられながら暮らす高齢女性。
・所属組織、地位や役職 シクム村住民。
・物語内での具体的な行動や成果 孫に付き添われてポルコの前へ進み出た。温かいホラススープの水餃子を献上する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自分の年齢や食べやすさに配慮した料理を振る舞った。
村のお婆さんのお孫さん
祖母を優しく手助けする子供。
・所属組織、地位や役職 シクム村の子供。
・物語内での具体的な行動や成果 歩行が難しい祖母の体を隣で支えた。ポルコの元まで一緒に付き添う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 年老いた家族を思いやる行動を見せた。
村の漁師の男性
体格が良い漁師。妻想いな性格を持つ。
・所属組織、地位や役職 シクム村漁師。
・物語内での具体的な行動や成果 身重の妻のために作った焼き餃子をポルコへ差し出した。緊張しながら料理の説明を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 普段は料理をしないものの家族のために腕を振るった。
恰幅のいい女性
料理の腕前に自信を持つ村の女性。
・所属組織、地位や役職 シクム村住民。
・物語内での具体的な行動や成果 ヌマエビとハスの根を入れた餃子をポルコへ提供した。食感の良さで高い評価を得る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 地元の食材料理で存在感を示した。
ニキ
元気いっぱいな村の少年。竜馬を兄のように慕う。
・所属組織、地位や役職 シクム村の子供。
・物語内での具体的な行動や成果 森でマッドスライムの捕獲を手助けした。自分の湿光石を記念として竜馬に贈る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 秘密基地を村の近くへ移し父親とツリーハウスを作る約束を交わした。
メイ
カイとケイの姉。気さくな人柄を持つ。
・所属組織、地位や役職 シクム村住民。
・物語内での具体的な行動や成果 祭りの調理場で不足した食材を竜馬へ届けた。出立の際にお弁当を渡して見送る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 村の厨房や作業場で頼りになる働きを見せる。
ホイ
カイたちの父親。無口な漁師。
・所属組織、地位や役職 シクム村漁師。
・物語内での具体的な行動や成果 出立する竜馬に道中の安全に気を付けるよう声をかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベテラン漁師として無口ながら温かく見守る。
カイとケイのお母さん(おふくろさん)
家庭を支える温かい母親。
・所属組織、地位や役職 シクム村住民。
・物語内での具体的な行動や成果 出発する竜馬へ自家製のお弁当を手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 心のこもった料理で滞在中の竜馬を支えた。
シクム村の子供たち
村で元気に過ごす子供たちの集団。
・所属組織、地位や役職 シクム村の子供集団。
・物語内での具体的な行動や成果 広場に集まって終漁祭を楽しんだ。出立する竜馬に大声で別れを告げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 元気な歓声で村の雰囲気を明るく賑やかした。
神界(神々)
セーレリプタ
水場と漁業の神。拘束された状態で他神から審問を受ける。
・所属組織、地位や役職 神界。水場と漁業の神。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬の魂に刻まれた地球の神の不審な痕跡を暴露した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 余計な発言によりウィリエリスから長時間の説教を受ける。
キリルエル
戦の女神。姐御肌な言動を見せる。
・所属組織、地位や役職 神界。戦の女神。
・物語内での具体的な行動や成果 セーレリプタへ直接行動の理由を問い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 神界の規律を守る立場から追求を行った。
フェルノベリア
魔法と学問の神。厳格な態度を崩さない。
・所属組織、地位や役職 神界。魔法と学問の神。
・物語内での具体的な行動や成果 禁忌を犯したセーレリプタを冷徹に追究した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 厳しい姿勢で神々のルールの厳守を主張する。
ガイン
創造神。神々の審問を取り仕切る。
・所属組織、地位や役職 神界。創造神。
・物語内での具体的な行動や成果 セーレリプタの隠し事を見抜いて追究した。処分決定のための協議を誘導する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 審問の進行役として中心的な役割を果たした。
ウィリエリス
大地と豊穣の女神。優しくも怒ると厳しい。
・所属組織、地位や役職 神界。大地と豊穣の女神。
・物語内での具体的な行動や成果 セーレリプタの反省のない言動に激怒した。居残って延々と説教を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 竜馬の保護者的な立場から毅然と対処した。
グリンプ
農耕の神。ウィリエリスの夫。
・所属組織、地位や役職 神界。農耕の神。
・物語内での具体的な行動や成果 怒る妻のウィリエリスをなだめようと試みた。セーレリプタの過去の発言を指摘する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 訛りのある言葉で場の状況を落ち着かせた。
テクン
酒と職人の神。手厳しい発言を行う。
・所属組織、地位や役職 神界。酒と職人の神。
・物語内での具体的な行動や成果 審問の開始を他神へ提案した。セーレリプタの反省度の低さを指摘する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 サバサバした口調で意見を述べた。
ルルティア
愛の女神。竜馬の転生を担当した。
・所属組織、地位や役職 神界。愛の女神。
・物語内での具体的な行動や成果 地球の神が竜馬へ与えた酷い仕打ちを聞き怒りを顕わにした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 竜馬の幸せを深く願う姿勢を見せた。
クフォ
生命の神。お酒と楽しい話題を好む。
・所属組織、地位や役職 神界。生命の神。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬が鉱山で暴れた後の訓練エピソードを思い出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 竜馬の過去の行動について記憶を共有した。
王都・女子学院関係者(エリアリアの友人たち)
カナン・シューザー
魔法道具職人を目指す少女。公爵家訪問に強い緊張を見せる。
・所属組織、地位や役職 王都の女子学院生徒。
・物語内での具体的な行動や成果 公爵家の人々の前で緊張しながら自己紹介をした。祖父が元気に魔法道具を作っていると伝える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 緊張で犬の耳と尾が常に反応していた。
ミシェル・フーク・ヴェントゥーノ
伯爵家の令嬢。魔法陣学に深い知識を持つ。
・所属組織、地位や役職 王都の女子学院生徒。伯爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果 実習で土魔法を用いてトイレや風呂を設置した。エリアリアの持つ珍しいスライムに言及する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 興味がある分野に集中する性格を持つ。
リエラ・クリフォード
男爵家の末娘。真面目で礼儀正しい性格を持つ。
・所属組織、地位や役職 王都の女子学院生徒。男爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果 立派な敬礼とともに公爵家当主へ挨拶した。実習でカナンとともに前衛を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 真面目な姿勢で班の安全確保に貢献している。
ミヤビ・サイオンジ
ピオロの娘。関西弁で喋る落ち着いた性格の少女。
・所属組織、地位や役職 王都の女子学院生徒。サイオンジ商会令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果 公爵家の人々へ丁寧に挨拶を交わした。実習時に無茶な要求をしてくる他貴族との交渉を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 現実的な判断力で班の交渉役を務める。
ギムルの街・警備隊・商業関係者(バンブーフォレスト・モーガン商会・他)
ひったくりの男
白昼堂々ひったくりを起こした悪党。
・所属組織、地位や役職 犯罪者。
・物語内での具体的な行動や成果 警備員に追われて逃走した。取り押さえられた際にナイフで警備員の顔を刺して抵抗する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 後続の警備員に取り押さえられて捕獲された。
ギムルの警備隊員たち
ギムル市内の治安維持に当たる隊員集団。
・所属組織、地位や役職 ギムル警備隊。
・物語内での具体的な行動や成果 逃走するひったくりを連携して追い詰めた。増員されて連日事件の対応にあたる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 過剰な人口流入により多忙を極めている。
負傷した警備隊員
ひったくりの男を捕獲する際に顔を刺された隊員。
・所属組織、地位や役職 ギムル警備隊員。
・物語内での具体的な行動や成果 犯人の抵抗を受けて顔から出血した。竜馬のハイヒールにより傷を瞬時に完治させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 治療を受けたのちにすぐ職務へ復帰した。
真面目な警備隊員
負傷した同僚のそばにいた警備員。
・所属組織、地位や役職 ギムル警備隊員。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬に大声を上げた非礼を誠実に詫びた。街で労働者が溢れて治安が悪化している状況を解説する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 過酷な勤務の中でも市民への礼節を重んじる。
カルム・ノーラッド(カルム)
バンブーフォレストの副支配人。冷静な判断力を持つ。
・所属組織、地位や役職 バンブーフォレスト副支配人。
・物語内での具体的な行動や成果 治安悪化に備えてユーダムを警備員に採用した。買収交渉の資料作りや書類仕事を1日で仕上げる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 実質的な店舗経営の責任者として手腕を振るう。
ユーダム
腕試しで国中を旅する金髪の格闘家。金髪で軽い雰囲気を醸し出す。
・所属組織、地位や役職 バンブーフォレスト臨時警備員。
・物語内での具体的な行動や成果 絡まれていたシェルマを救出した。買収交渉の同行者として身の回りの護衛を務める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 鋭い観察眼で竜馬の精神的な張り詰めに気づいた。
シェルマ
バンブーフォレストの料理人。温かい料理を作る。
・所属組織、地位や役職 バンブーフォレスト料理人。
・物語内での具体的な行動や成果 買い出し中に男たちに絡まれたがユーダムに助けられた。従業員のために美味しい朝食を用意する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 店舗の食卓と厨房を支えている。
モーガン商会前の護衛(傭兵団の男たち)
放火事件を受けて王都から雇われた傭兵集団。
・所属組織、地位や役職 モーガン商会護衛傭兵団。
・物語内での具体的な行動や成果 放火跡が残る店舗の前で警戒に当たった。訪問した竜馬の要件を丁寧に進言する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 荒々しい外見ながら優れた人当たりと交渉能力を備える。
セルジュ・モーガン
モーガン商会の会頭。商才に長ける。
・所属組織、地位や役職 モーガン商会会頭。
・物語内での具体的な行動や成果 放火被害に遭いながらも迅速に警戒態勢を整えた。竜馬が持参した真珠やスライムレーヨンの価値を高く評価する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 竜馬の新事業構想やゴミ処理場建設に向けて商業ギルドと連携を深める。
ジェーン
バンブーフォレストの従業員。
・所属組織、地位や役職 バンブーフォレスト店員。
・物語内での具体的な行動や成果 早朝の食堂にやってきて竜馬の姿に驚きを見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 元気よく挨拶を交わし毎日の業務に勤しむ。
洗濯屋前に集まった男たち
職人街の洗濯屋の前に角材を持って集まった集団。
・所属組織、地位や役職 職人街の住民集団。
・物語内での具体的な行動や成果 買収に訪れた竜馬たちを悪徳な地上げ屋と勘違いして取り囲んだ。荒々しい態度で威圧する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 強引な地上げ被害への過剰な恐怖から警戒を強めていた。
集団のリーダー格の男性
職人街の男たちを引っ張る男性。激昂しやすい。
・所属組織、地位や役職 職人街の男たちのリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果 竜馬たちの説明を聞かずに地上げ屋と決めつけて大声を上げた。女店主を守る姿勢を強調する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 話を聞こうとせず過剰な敵意を露わにした。
洗濯屋の女店主
亡くなった夫の店舗を守る女性。
・所属組織、地位や役職 洗濯屋店主。
・物語内での具体的な行動や成果 集まった男たちと竜馬のやりとりを扉の隙間から覗き込んだ。言葉を発することなく店奥へ退く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 周囲の支援に依存し自発的な決断を見せなかった。
前世(地球)関係者(特別書き下ろし)
元課長
竜馬の前世での上司。強欲で自己中心的な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職 元システム会社開発3課課長。
・物語内での具体的な行動や成果 社葬代金の差額を横領しようと企てた。アパートから名刀を盗み出し葬儀場で部下を斬りつけて逃走する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 車にはねられたのち逮捕され複数の罪で厳しく追究された。
葬儀会社に勤める大学時代の友人
元課長の大学時代の友人。お人好しな性格を持つ。
・所属組織、地位や役職 葬儀会社社員。
・物語内での具体的な行動や成果 元課長からの相談を受けて安い葬儀プランを提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 事情を知らずに元課長に都合よく利用された。
田淵一雄(田淵)
竜馬の前世での後輩社員。
・所属組織、地位や役職 システム会社開発3課社員。
・物語内での具体的な行動や成果 元課長を竜馬のアパートへ案内した。大家さんと下でお茶を飲みながら談笑する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 生前の竜馬と最も親しい後輩であった。
アパートの大家
竜馬が住んでいたアパートの家主。無愛想な老人。
・所属組織、地位や役職 アパート大家。
・物語内での具体的な行動や成果 アパートへやってきた元課長へ冷たい視線を向けた。田淵へお茶やお菓子を振る舞う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 竜馬の生前を優しく見守っていた。
倉敷
コネ入社組の社員。身勝手な行動が多い。
・所属組織、地位や役職 システム会社社員(コネ入社組)。
・物語内での具体的な行動や成果 葬儀場で短刀を眺めていた元課長へ声をかけた。名刀の価値を元課長へ語る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 追いつめられた元課長に斬りつけられて負傷した。
コネ入社組の部下たち
社内で屯する怠惰な社員集団。
・所属組織、地位や役職 システム会社社員(コネ入社組)。
・物語内での具体的な行動や成果 葬儀場の控室付近で屯していた。逃走を図る元課長に突き飛ばされて倒れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 社内の不祥事や騒動に巻き込まれた。
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展開まとめ
6章18話 ファットマ領の領主
ポルコ伯爵との面会
マッドサラマンダー討伐に参加していたリョウマたちは、予定より早くシクム村を訪れた領主ポルコ・ファットマ伯爵と昼食を共にした。ポルコは村の防衛に協力した冒険者たちをねぎらい、特に大きな功績を挙げたリョウマにも感謝を伝えた。
ラインハルトの紹介状
リョウマがラインハルトから預かった紹介状を渡すと、ポルコはその内容に驚いた。そこにはリョウマの能力を高く評価し、困っていたら助けてほしいという依頼に加え、彼を自分の領地へ引き抜かないよう求める言葉が記されていた。
ポルコはラインハルトの学生時代の先輩であり、偉大な父と比較される悩みを共有した親しい友人だった。さらに、セムロイド一座が広めた麦茶の賢者の話から、リョウマがその人物であることも知った。
領主からの二つの依頼
ポルコは領地の経済を活性化させるため、魚以外の名物料理を考えてほしいと依頼した。さらに、亡き父が愛用していた山頂付近の温泉小屋に、通常の掃除では落とせない汚れがあるため、その清掃も頼んだ。小屋を父の形見として大切にしていたポルコは、成功報酬として小金貨十枚を提示し、リョウマは依頼を引き受けた。
6章19話 温泉掃除(前編)
山頂の温泉小屋
リョウマはシクムの桟橋の仲間たちと湖を渡り、領主が用意した案内人と共に温泉小屋へ向かった。道中ではヤドネズミが冬支度を始めており、マッドサラマンダーの漁期が終わりに近づいていることを知った。
温泉の汚れと清掃方法
温泉には長年の沈着物が固まり、通常の清掃では取り除けない状態になっていた。リョウマはスカベンジャースライムに浴槽の湯や落ち葉を処理させ、アシッドスライムの酸とスティッキースライムの粘着液を利用して清掃用の薬剤を作った。
汚れの主成分が炭酸カルシウムであることを利用し、酸の強さと粘度を調整した三種類の薬剤を完成させた。
6章20話 温泉掃除(後編)
ポルコ伯爵の訪問
リョウマたちが薬剤を塗布して昼食を取っていると、清掃の成果が気になったポルコが護衛を連れて山を訪れた。リョウマは薬剤によって沈着物が溶け始めていることを説明し、清掃を続けた。
先代領主の功績
リョウマは先代領主が私財を投じて道路整備を進め、自ら現場で働いていたことを知った。また、温泉小屋に飾られた手書きの地図には、領内の泥湯を結ぶ道路構想が含まれていた。先代領主は道路整備の先に、領地を温泉地として発展させることも考えていた可能性があった。
温泉の清掃完了
リョウマは高圧洗浄魔法と清掃用薬剤を組み合わせ、仲間やスライムたちの協力を得て固まった沈着物を除去した。薬剤によって汚れがもろくなったため、工具による除去も容易になり、温泉の清掃は無事に完了した。
6章21話 違和感の正体と偶然のひらめき
温泉の復旧と竹林の伐採
清掃を終えた温泉を見たポルコとピグーは、かつての姿を取り戻したことを喜んだ。リョウマはさらに、露天風呂からの眺めを遮っていた竹林を整備することにした。仲間と協力して竹を伐採し、周囲の景観を改善した。
温泉小屋の方角と先代の墓
作業中、リョウマは温泉小屋から湖が見えないことに違和感を覚えた。先代領主が小屋を建てた場所や向きについて考えるうちに、先代の墓が領地を見渡せる場所に造られていることを知った。先代が領地と領民を大切にしていたことを踏まえ、リョウマは名物料理の依頼に対する新たな発想を得た。
6章22話 スライムの実験とリョウマの推測
清掃報酬とパールスライムの研究
温泉掃除の報酬を受け取ったリョウマは、作業を手伝った仲間たちにも謝礼を渡した。その後、酸性粘液を使って貝殻を溶かす実験を行い、パールスライムの進化に貝殻の真珠層が関係している可能性を考えた。
真珠の価値と領地の事情
リョウマは真珠を利用した商売について考えたが、ファットマ領の政治的な立場に不安を覚えた。ポルコは領民に慕われる領主である一方、周辺貴族から嫌がらせを受けていた。食料や兵力にも余裕がない領地で高価な真珠を生産すれば、外部から狙われる危険があった。
リョウマは、十分な防衛力を持たない状態で新たな富を生み出すことは、かえって領地に災いを招くと考え、慎重になる必要を感じていた。
6章23話 村の祭りと名物料理の提案
シクム村の祭り
シクム村では漁期の終わりを迎え、村人たちが集まって祭りを開いた。招待されたポルコも護衛と共に参加し、村の料理を楽しんだ。リョウマは調理用魔法道具を用意し、村人たちと協力してさまざまな料理を振る舞った。
餃子による地域活性化
リョウマは名物料理の候補として餃子を提案した。肉や野菜を包む餃子は、皮の材料や具材、調理方法、タレを変えることで多様な味を生み出せた。
村人たちも地元の食材を使った餃子を作り、ポルコに振る舞った。リョウマは領内の各地域で独自の餃子を作り、土地ごとの味の違いを楽しめる名物にすることを提案した。さらに、街道沿いの休憩施設で販売する方法や、見た目で敬遠される食材を具材に利用する案も示した。
ポルコは料理そのものだけでなく、販売方法や地域経済への効果まで考えた提案を高く評価した。
アッシュスライムと灰干し料理
リョウマは、村の灰を大量に食べて進化したアッシュスライムを利用し、魚の灰干しを試していた。ニキがその話を持ち出したことで、ポルコたちも料理に興味を示した。
リョウマは村で食用にされていなかった魚を調理し、灰干しや揚げ物として振る舞った。料理は好評だったが、毒を持つと考えられてきた魚を食べることには、村人たちの間に強い抵抗も残っていた。
6章24話 祭りの後の願いと忠告
料理の報酬と竹の譲渡
祭りが終わり、ポルコを見送る際、リョウマは名物料理の提案に対する報酬について相談した。リョウマは温泉小屋の近くに生えていた竹や、領内の名産品である焼き物に関心を示した。
また、村で食べられていなかった魚について、調理や観察の記録をポルコに渡した。これらの魚が安全に利用できれば、新たな食材として役立つ可能性があった。
ラインハルトへの協力と貴族社会への警戒
ポルコはリョウマに、ラインハルトの力になってほしいと頼んだ。ラインハルトは優秀である一方、悩みを一人で抱え込みやすい性格であり、信頼できる協力者が必要だった。
さらにポルコは、貴族社会には利害や派閥争いがあり、リョウマの知識や能力を悪用しようとする者もいると忠告した。リョウマはラインハルトの領地の状況を心配し、帰還予定を早めることも考え始めた。
6章25話 あわただしい出立
マッドスライムの捕獲
シクム村を離れる前、リョウマはニキと共にマッドスライムを探した。セーレリプタから教わった泥魔法を使うと、泥に同化していたスライムが次々と姿を現した。
リョウマは多数のマッドスライムを捕獲し、その能力を確認した。泥への同化や保湿といった特徴を持つスライムを、新たな研究対象として迎え入れた。
ニキの秘密基地
ニキは以前の家出騒動を反省し、両親が安心できるよう秘密基地を村の近くに造り直すことを決めていた。リョウマは新しい基地の構想について相談に乗り、木を利用した建築や盆栽の考え方を教えた。
ニキは父親と協力して基地を完成させ、リョウマが再び村を訪れた時に見せることを約束した。
シクム村との別れ
出発するリョウマのもとには大勢の村人が集まり、感謝や別れの言葉を伝えた。世話になった人々から弁当も渡され、リョウマは温かな見送りを受けた。
リョウマは再訪を約束し、にぎやかな村を後にした。
6章26話 閑話神々の裁判とセーレリブ夕の真意
セーレリプタへの審問
神界では九柱の神々が集まり、リョウマに対して強引な調査を行ったセーレリプタの処分を協議した。神が人間の精神に干渉することは禁忌に近く、セーレリプタの行動は問題視された。
セーレリプタはリョウマの持つ能力や精神状態に危険を感じ、調査を進めたと説明した。
地球の神による干渉
セーレリプタは、リョウマの前世に地球の神が干渉していたことを明かした。その影響によってリョウマは不幸な経験を重ね、人格形成にも大きな影響を受けていた。
リョウマは他人に優しく自分に厳しい一方、自分自身の価値を極端に低く見積もる傾向があった。セーレリプタは、その精神状態が将来の危険につながる可能性を懸念していた。
セーレリプタの思惑
セーレリプタは、リョウマが人間社会から離れて暮らせる場所を用意することも考えていた。しかし、その発想にはリョウマを守ろうとする思いだけでなく、極限状態に置かれた生命への興味も含まれていた。
神々はセーレリプタの説明を聞いた後、処分を決めるため別室へ移動した。残されたセーレリプタは、ウィリエリスから長時間にわたる説教を受けることになった。
6章27話 閑話エリアリアの友達紹介
エリアリアの友人たち
王都のジャミール公爵家では、エリアリアが学園で親しくなったカナン、ミシェル、リエラ、ミヤビを家族に紹介した。
四人は公爵家の人々との面会に緊張していたが、ラインハルトやエリーゼ、ラインバッハは温かく迎え入れた。家族は学園生活や友人たちの目標について話を聞き、エリアリアが良い友人に恵まれたことを喜んだ。
リョウマとのつながり
会話の中ではリョウマの話題も出た。エリアリアが使役する珍しいスライムや、リョウマの知識と技術について友人たちが語り、ジャミール家との関係も紹介された。
ラインハルトは、リョウマが昔の友人ポルコと出会ったことをきっかけに、疎遠になっていた友人を訪ねるつもりだと明かした。
エリアリアの友情
ラインハルトは娘に、心から信頼できる友人を大切にしてほしいと伝えた。エリアリアは目の前の四人とリョウマを、そのような友人として大切に思っていると答えた。
その後、エリーゼは少女たちを宿泊に誘い、リョウマが送った美容用品の試作品を試すことも提案した。少女たちの交流は夜遅くまで続いた。
6章28話 閑話・ラインハルトとポルコ
旧友との再会
ラインハルトは王都に滞在していたポルコの屋敷を訪れた。二人は学生時代に親しくしていたものの、卒業後は疎遠になっていた。
久しぶりの再会にはぎこちなさもあったが、学生時代の思い出や家族の話を交わすうちに、かつての親しい関係を取り戻していった。
リョウマをめぐる相談
二人の話題は、ファットマ領で活躍したリョウマにも及んだ。ポルコはリョウマの能力や人柄を高く評価しており、ラインハルトも彼を大切な協力者として考えていた。
さらに、真珠の価値や販売に関する問題も話し合われた。高価な商品を扱うには政治的な調整が必要であり、貴族同士の関係や国王の意向も重要になっていた。
7章1話 ギムルの変化
ギムルの治安悪化
ファットマ領から約一か月ぶりにギムルへ戻ったリョウマは、街の雰囲気が変わっていることに気づいた。鉱山開発に伴う労働者の流入が予想を上回り、仕事に就けない者が増えていたためである。
街では犯罪や争いが相次ぎ、警備隊は人員を増やしても対応に追われていた。リョウマは犯人の逮捕現場で負傷した警備隊員を回復魔法で治療し、街の現状を聞いた。
洗濯屋への帰還
リョウマが洗濯屋へ戻ると、新たに警備に加わったユーダムと出会った。各地を旅して武術の腕を磨いていたユーダムは、街で絡まれていた料理人シェルマを助けたことが縁で雇われていた。
カルムからは従業員が無事であることを聞いたが、モーガン商会が放火被害に遭ったことも知らされた。リョウマは店の状況を確かめた後、セルジュのもとへ向かうことにした。
7章2話 セルジュと相談、 そして閃き
モーガン商会への訪問
リョウマは放火の跡が残るモーガン商会を訪れ、セルジュの無事を確かめた。セルジュによれば、ギムルには仕事を求める労働者が大量に流入し、詐欺的な手口で人を送り込む業者まで現れていた。治安の悪化には外部の貴族が関わっている可能性もあった。
ファットマ領の土産と新素材
リョウマは旅先で仕入れた品物をセルジュに見せ、買い取りを依頼した。ポルコから贈られた壺には古代遺跡の出土品とみられる価値があり、さらに進化したスライムが作った糸も紹介した。
その糸は絹に似た性質を持つ新素材であり、セルジュは商品化の可能性を考えた。続いてリョウマがパールスライムの作った真珠を見せると、その高い価値から慎重な取り扱いが必要になった。
労働者の雇用と新事業
リョウマは街にあふれる求職者を、新事業に必要な人材として活用できると考えた。以前から構想していたスカベンジャースライムによるごみ処理や、新素材の生産などを進めれば、新たな雇用を生み出せる可能性があった。
リョウマ自身も研究や鍛錬に時間を使うため、仕事を他人に任せる体制を整えようとしていた。
7章3話 カルムの心配(前編)
新事業と従業員たちの反応
リョウマは洗濯屋の従業員たちに、新たな事業計画について説明した。保存食や野営用品の研究も、将来シュルス大樹海へ戻るための準備として考えていた。
しかし、カルムたちは個人の準備としては規模が大きすぎると感じていた。リョウマは自分への投資だと説明したが、周囲は街の雇用問題を解決する効果もあると受け止めていた。
競合店の買収計画
リョウマは洗濯屋の競合店について調べ、生き残っている店舗の買収を検討した。クリーナースライムを使わない店の多くは競争に敗れていたが、営業を続けている店も存在した。
カルムと相談し、買収後の管理体制や相手方への説明を準備することになった。リョウマは必要な書類仕事を進め、事業の拡大に向けて動き始めた。
ユーダムの違和感
ユーダムはリョウマの態度に、どこか張り詰めたものを感じていた。カルムはリョウマの発想力や行動力を理解していたものの、その指摘が気にかかった。
一方、モーガン商会の放火事件による損害は大きく、街の混乱は新事業にも影響する問題となっていた。
7章4話 カルムの心配(後編)
新たなスライムの進化
ギムルへ戻ったリョウマは、ファットマ領で集めた大量の餌によってスライムの進化が続いていることをカルムに説明した。ミズグモを食べたスティッキースライムからは、営巣や捕縛のスキルを持つスパイダースライムと、甲殻成形のスキルを持つクラストスライムが誕生していた。リョウマは新種の特徴を楽しそうに語ったが、カルムは仕事への影響を考え、届いていた買収交渉の返事へ話題を移した。
リョウマの自己防衛
カルムは、リョウマが従業員や店舗の安全確保には多大な労力を費やす一方、自分自身の危険には無頓着であることを心配していた。
リョウマは防具や動きやすい服装についても考えていたが、カルムには、彼が常に危険を想定して行動しているように見えた。
買収交渉と住民の反発
競合店との交渉を進めようとしたリョウマたちは、街の人々から強い警戒と反発を受けた。住民の中には、商人が人を騙して財産を奪うと決めつける者もいた。
リョウマは正式な商談であることを説明したが、相手の態度に厳しく反応した。その様子は、普段なら理不尽な言葉も受け流すリョウマを知るカルムたちにとって意外なものだった。
カルムの不安
リョウマは、店員や客に危害が及べば全力で対処すると宣言した。さらに、自分が危険への備えを十分にしているかどうか、常に考えていることを明かした。
カルムはリョウマの言動から、過去の経験が現在の行動に影響している可能性を感じた。しかし、何が彼をそこまで警戒させているのかは分からず、心配を深めた。
特別書き下ろし・元課長の末路
竹林の死後と葬儀の準備
竹林の死後、元課長は葬儀の準備に関わることになった。彼は葬儀会社に勤める大学時代の友人を頼り、費用を抑えながら見栄えのする葬儀を行おうとした。
その過程で竹林の家を訪れ、仏壇や遺品を調べることになった。
刀との遭遇
元課長は竹林の遺品から美しい刀と短刀を見つけ、その魅力に強く引きつけられた。刀は著名な刀鍛冶に関係する品であり、元課長は衝動的に持ち出してしまった。
その後、刀への執着はさらに強まり、手元から離すことに不安を覚えるようになった。
葬儀場での凶行
元課長は竹林の葬儀に関わる中で、会社の不祥事や自分の立場に対する不満を募らせていた。やがて葬儀場で刀を使って人を斬りつけ、現場から逃走した。
逃走中には交通事故も起こし、車を捨てて刀を抱えたまま逃げ続けた。
元課長の転落
元課長は、かつて順調だった自分の人生が竹林と出会ってから崩れたと考えていた。仕事の失敗や家庭の崩壊を竹林のせいにし、彼に怒りをぶつけることで不満を晴らしていた。
竹林が死ねば幸運な生活を取り戻せると思っていたが、現実には犯罪を重ね、逃げ場を失っていた。
逮捕と人生の終焉
逃走中の元課長は車にはねられ、意識を失った。しかし一週間後、病院で目を覚まし、命に別状はないことを知らされた。
その間に刀の窃盗や銃刀法違反、葬儀場での傷害・殺人未遂、交通違反、横領などの容疑が追及されていた。
元課長は治療後に刑事責任を問われる立場となり、かつての生活へ戻る道を失った。
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