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ありふれた職業で世界最強

小説「ありふれた職業で世界最強 8 」感想・ネタバレ

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の表紙画像(レビュー記事導入用) ありふれた職業で世界最強

ありふれた7レビュー
まとめ
ありふれた9レビュー

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  1. どんな本?
  2. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
  3. 読んだ本のタイトル
  4. あらすじ・内容
  5. 感想
          1. 最弱だったウサミミ族が完全におかしくなっている
          2. カムの演説でウサミミ戦闘民族が増殖しそう
          3. 長老にならず「同盟種族」になるのもハウリアらしい
          4. こっちをもっと読みたかった
          5. シアがハジメにとって「特別」になった
          6. ハウリア族の一番の成功例がシアなのかもしれない
          7. そしてハルツィナ大迷宮へ
          8. ゲームだったら面白そうなのだが……
          9. ゴキブリは普通に嫌だ
          10. 理想世界を拒絶する試練
          11. ただ、やっぱり迷宮よりウサミミが気になる
          12. まとめ|大迷宮攻略よりハウリア族のその後が読みたかった
  6. 考察・解説
      1. ストーリー・プロット
        1. 第1幕:飛空艇による凱旋と外交的処理
        2. 第2幕:ハウリア族の進化と社会構造の変革
        3. 第3幕:墓前の認識修正と絆の再定義
        4. 第4幕:王国側の機能不全と遠藤浩介の負債感
        5. 第5幕:空間転移と赤錆色スライムの罠
        6. 第6幕:質的識別試練と猿モドキの挑発
        7. 第7幕:樹海現界の焼却
        8. 第8幕:精神試練「最適化された虚構」の拒絶
        9. 第9幕:感情反転の試練と神代魔法の獲得
      2. 主要な転換点
        1. 概念魔法への到達と「導越の羅針盤」の獲得
        2. ハウリア族の「同盟種族」認定
        3. 精神試練における「理想」の否定
      3. 主人公を中心とした人物関係の変化
      4. 主人公の認識と周囲の評価
      5. クライマックス
      6. 巻末時点の状況
    1. 亜人族の解放と復興
        1. 帝国における亜人奴隷解放
        2. 故郷フェアベルゲンの復興と再会
        3. ハウリア族の変貌と同盟種族の確立
        4. 人間族国家への波及
        5. まとめ
    2. ハルツィナ樹海の攻略
        1. 迷宮の開放条件と試練の主題
        2. 段階的に課される試練と戦闘の推移
          1. 偽者の侵入(赤錆色スライム)
          2. 姿の変質と弱体化(魔物化の試練)
          3. 巨大トレント戦(樹海現界)
          4. 仮初の世界(理想世界による精神誘導)
          5. 感情反転の魔法と異形魔物戦
        3. 最深部ハルツィナの庭園と獲得した成果
          1. 神代魔法「昇華魔法」の修得
          2. 概念魔法への到達と導越の羅針盤の獲得
        4. ハルツィナ樹海攻略の意義
    3. 概念魔法の獲得
        1. 昇華魔法の修得
        2. 概念魔法の定義と発動条件
        3. 導越の羅針盤の獲得と日本帰還への道標
        4. まとめ
    4. 仲間との絆の深化
        1. シアとの絆の成就
        2. ハルツィナ大迷宮の試練と試された信頼
        3. 一行全体の相互理解と決意
        4. 概念魔法の開花と帰還への道筋
        5. まとめ
    5. 魔人族の不穏な動向
        1. 人造兵器・屍獣兵の完成と演習
        2. 神の使徒500体の出撃と多方面展開
        3. 各地へ急襲を仕掛ける神の使徒
        4. まとめ
  7. 登場キャラクター
    1. 日本からの召喚者(生徒・教師)
      1. 南雲ハジメ
      2. 白崎香織
      3. 八重樫雫
      4. 天之河光輝
      5. 坂上龍太郎
      6. 谷口鈴
      7. 園部優花
      8. 畑山愛子
      9. 遠藤浩介
      10. 永山重吾
      11. 野村健太郎
      12. 辻綾子
      13. 吉野真央
      14. 中村恵里
      15. 勇者パーティー
      16. 愛ちゃん護衛隊
    2. 吸血鬼族
      1. ユエ
    3. 兎人族(ハウリア族)
      1. シア・ハウリア
      2. カム・ハウリア(深淵蠢動の闇狩鬼カームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリア)
      3. モナ
      4. ハウリア族
    4. 竜人族(クラルス族)
      1. ティオ・クラルス
    5. 海人族
      1. ミュウ
      2. レミア
    6. ハイリヒ王国・王宮・聖教教会
      1. リリアーナ・S・B・ハイリヒ
      2. ヘリーナ
      3. シモン・L・G・リベラール(シモン・リブ・グリューエン・リベラール)
      4. シビル・L・G・リベラール(シビル・リブ・グリューエン・リベラール)
      5. ルルアリア
      6. ランデル・S・B・ハイリヒ
      7. 近衛騎士
      8. 香織様にご奉仕し隊
    7. ヘルシャー帝国
      1. ガハルド・D・ヘルシャー
      2. バイアス・D・ヘルシャー
      3. 皇族
      4. 帝国兵
    8. 魔人族(ガーランド王国)
      1. フリード・バグアー
      2. 屍獣兵
      3. 神の使徒
    9. 亜人族(ハルツィナ樹海・フェアベルゲン)
      1. アルフレリック・ハイピスト
      2. アルテナ・ハイピスト
      3. レギン
      4. ゼル
      5. マオ
      6. 垂れイヌミミの女性
      7. イヌミミ少年
      8. 長老衆(長老会議)
      9. フェアベルゲン戦士団
      10. フェアベルゲンの住民
    10. 解放者(神代の反逆者)
      1. リューティリス・ハルツィナ
      2. ミレディ・ライセン
  8. 展開まとめ
    1. 第一章 英雄の凱旋
    2. 第二章 ハルツィナ大迷宮
    3. 第三章 希望をこの手に
    4. 第四章 変わりゆく心
    5. エピローグ
    6. 番外編・月刊フェアベルゲン
  9. 同シリーズ
  10. その他フィクション

どんな本?

『ありふれた職業で世界最強』は、白米良氏によるライトノベル作品であり、オーバーラップ文庫から刊行されている。第8巻は2018年4月25日に発売された。

本作は、異世界に召喚された高校生・南雲ハジメが、最弱の職業から最強へと成り上がる物語である。第8巻では、ハジメと仲間たちが新たな迷宮に挑み、さらなる試練や敵と対峙する姿が描かれている。また、彼らの成長や絆の深化も見どころである。

本シリーズは、コミカライズやアニメ化もされており、幅広いメディア展開が行われている。特に、アニメ第2期の第8話「不穏な影」では、愛子が神山の塔に囚われるなど、緊迫した展開が描かれている。

『ありふれた職業で世界最強 8』は、ハジメたちの冒険がさらに深まる重要な巻であり、シリーズファンにとって見逃せない内容となっている。

物語の概要

■ 作品概要

帝国での奴隷解放(ハウリアの乱)を完遂した南雲ハジメ一行が、飛空艇フェルニルを用いてハルツィナ樹海へ帰還する場面から開始される。物語の主軸は、帝国との「誓約の首輪」による奴隷制度廃止の履行証明、ハウリア族の「同盟種族」認定に伴う地位向上、および七大迷宮の一つ「ハルツィナ樹海」の攻略である。ハジメが「最適化された認知上の理想」を拒絶し、「不完全な物理的現実」を選択することで試練を完遂するまでを記述する。

■ 主要キャラクター

  • 南雲ハジメ
  • 立場・所属 :大迷宮攻略者、錬成師。
  • 今巻の役割 :攻略の主導、対帝国交渉の戦術的完遂。
  • 主要アーティファクト :
  • 飛空艇フェルニル :超大型輸送および拠点。
  • 円月輪(えんげつりん) :空間接続(ゲート)機能による遠隔攻撃・物資転送。
  • 鴉型探索機(オルニス) :広域索敵および火力量の調整。
  • 十字ビット(クロスビット) :四点結界による空間遮断防御。
  • 重要な行動 :空間接続を用いた融解タールによる広域焼却。精神試練において「深淵での誓い」を再確認し、理想郷を破壊。
  • ユエ
  • 立場・所属 :吸血姫、ハジメのパートナー。
  • 重要な変化 :大迷宮の環境変化魔法によりゴブリンの姿に変貌。魔法および装備を封じられるが、ハジメにより「魂の質」で即座に識別される。
  • シア・ハウリア
  • 今巻の役割 :母モナの墓前での対話を経て、ハジメが彼女に対し「独占欲を伴う明確な好意」を抱く契機となる。
  • カム・ハウリア
  • 今巻の役割 :ハウリア族長。「最弱」と定義されていた兎人族のドクトリンを、狂信的な戦闘集団(自殺的特攻を含むハウリア流戦闘術)へ完全変質させ、亜人社会における独自の地位を確立する。
  • 天之河光輝
  • 今巻の役割 :勇者。自己のアイデンティティである「神威」への依存と、多層的なアーティファクト戦術を展開するハジメとの実力差に焦燥を募らせる。猿モドキがユエに擬態した姿を見せないよう、ハジメから物理的な目潰しを受ける。
  • リリアーナ・S・B・ハイリヒ
  • 今巻の役割 :王女。帝国との婚姻解消後、フェアベルゲン長老衆との外交協議を終え、王国へ帰還する際にもじもじしていたためハジメによりゲートへ放り込まれて強制転移させられた。この一連の経験が彼女の精神的変容(従来の王女像の崩壊)を引き起こした。

読んだ本のタイトル

ありふれた職業で世界最強 8
著者:白米良 氏
イラスト:たかやKi  氏

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あらすじ・内容

“ハウリアの乱”を終え、フェアベルゲンに降り立ったハジメ一行。
亜人たちが帰郷の歓喜に沸き立つなか、改めてシアとの関係に思いを馳せるハジメ。
――そして、ついに七大迷宮のひとつ【ハルツィナ樹海】の試練に挑む。
しかし出発後、大迷宮の仕掛けでメンバーが偽物と入れ替わってしまい……!?
つぎつぎに襲いかかる凶悪な試練の道中に現れた、無防備な一体のゴブリン。
複数の大迷宮攻略を前提とする高難度の試練に、ハジメが打つ手は果たして――。
「お前の言う通りだった。――“未来は絶対じゃない”」
いま、彼らの紡いだ“絆”が試される。“最強”異世界ファンタジー、第8巻!

ありふれた職業で世界最強 8

感想

前巻で帝国を相手に大暴れしたハウリア族。

かつては「最弱の兎人族」だったはずなのに、いつの間にやら帝城を制圧する特殊部隊みたいになってしまった。

個人的には、今巻もこのウサミミ連中のヒャッハーをもっと見たかった。

しかし物語の中心となるのは、ハルツィナ樹海にある大迷宮の攻略である。

偽物の仲間。

姿を変えられる罠。

大量の魔物。

理想世界への誘惑。

感情の反転。

ギミックとして見るとなかなか面白い。

ゲームだったら楽しそうだ。

だが、小説として読むと……。

個人的には少し微妙だった。

それよりウサミミ連中を出してくれ。

最弱だったウサミミ族が完全におかしくなっている

前巻から続いて印象に残ったのは、やはりハウリア族である。

ハジメに鍛えられた結果、かつての面影がほとんどない。

帝国を屈服させた。

奴隷となっていた亜人たちを解放した。

そして故郷へ凱旋。

昔のハウリア族を知っている亜人たちからすれば、

「誰だお前ら」

状態ではないだろうか。

もともとは戦うことすら苦手だった兎人族である。

それが今では帝国を落とした英雄。

しかもカムたちは、そこで満足していない。

カムの演説でウサミミ戦闘民族が増殖しそう

面白かったのがカムの演説だった。

今回勝ったからといって、永遠に平和が続くわけではない。

また誰かに襲われるかもしれない。

大切な人を守りたいなら、自分たちも戦えるようにならなければならない。

言っていること自体は分かる。

実際、ハウリア族は力がなかったために故郷を追われ、酷い目に遭ってきた。

だから、

「自分たちの未来は自分たちで守る」

という結論に至るのは自然だと思う。

問題は指導者である。

カムである。

あのハウリア族を率いて帝城を落とした男である。

そんな人物の演説を聞いた若い兎人族たちが次々と感化されていく。

待て。

やめろ。

これ以上増やすな。

ハジメまで、自分が生み出してしまった戦闘集団が増殖する可能性に不安を覚えている。

生みの親が引いてどうする。

だが、この流れはもっと見たかった。

最弱と呼ばれていた種族がハジメによって魔改造され、その思想まで周囲へ感染していく。

下手をすると数年後には、

「ハルツィナ樹海のウサミミには手を出すな」

が世界の常識になっていても不思議ではない。

長老にならず「同盟種族」になるのもハウリアらしい

帝国を倒した功績によって、ハウリア族を見る周囲の目も完全に変わった。

長老衆から長老になるよう求められるカム。

普通なら大出世である。

追放されていた一族が故郷へ戻り、そのトップが権力の中枢へ入る。

綺麗な物語なら、ここでめでたしめでたしになりそうだ。

ところがカムは断る。

ハウリア族が戦ったのは亜人族全体のためではない。

自分たちの大切な者を守るため。

だから既存の権力構造にも入らない。

最終的にハウリア族は、フェアベルゲンへ従属しない「同盟種族」という立場になる。

この辺りも面白かった。

虐げられていた側が力を得た途端、既存組織の偉い人になるわけではない。

自分たちで自分たちの立場を作ってしまう。

完全に独立武装勢力である。

ウサミミなのに。

こっちをもっと読みたかった

正直、個人的にはハルツィナ大迷宮より、このハウリア族の続きをもっと読みたかった。

帝国を落としたハウリア族が故郷でどう扱われるのか。

他の兎人族は彼らをどう見るのか。

長老衆との関係はどうなるのか。

若い兎人族までハウリア化したらどうなるのか。

そして何より、

「ハジメに魔改造されたウサミミ族が世界へどこまで影響を与えるのか」

が気になる。

前巻の帝国編がかなりぶっ飛んでいただけに、その後始末だけでも十分面白い。

むしろハウリア族だけで一冊やってほしいくらいだった。

シアがハジメにとって「特別」になった

もちろん、ハウリア族だけではない。

シアとハジメの関係が大きく進んだのも今巻の重要なところである。

シアは母モナの墓へ向かい、自分たちが無事に生き延びたことを報告する。

最弱だった一族は強くなった。

帝国に捕まった仲間たちも救い出した。

そしてシア自身も、ハジメたちと旅を続けてきた。

最初の頃を考えると、本当に遠くまで来たと思う。

最初はハジメに置いていかれないよう必死についてきたシア。

それが今では普通に最前線で戦っている。

ハジメ自身も、いつの間にかシアを手放したくないと思うようになっていた。

ユエだけが特別だったはずのハジメの中に、シアの居場所ができている。

ここは素直に良かった。

シアは本当に諦めなかった。

ハウリア族の一番の成功例がシアなのかもしれない

考えてみると、シア自身もハウリア族の変化を象徴している。

最初は戦闘経験もほとんどない兎人族だった。

未来視という力はあっても、それだけでハジメたちについていけるわけではない。

それでも諦めずについてきた。

そして今では巨大なドリュッケンを振り回して敵を粉砕する。

どうしてこうなった。

父親たちは帝国を制圧。

娘は化け物じみた身体能力で大迷宮を攻略。

やはりハウリア族がおかしくなった最大の原因はハジメではないだろうか。

本人も薄々気づいていそうなのが面白い。

そしてハルツィナ大迷宮へ

後半はハルツィナ大迷宮の攻略が中心となる。

この迷宮のテーマは「絆」。

そのため、単純に強い魔物を倒せば終わりではない。

仲間の偽物が出てくる。

仲間の姿を変えられる。

能力を制限される。

理想の世界を見せられる。

感情まで反転させられる。

「本当に仲間を信じられるのか」

を様々な方法で試してくる。

仕掛けとしてはよく考えられている。

RPGで実際にプレイしたら面白そうだと思う。

仲間が突然別の姿になったり、パーティーが分断されたり、状態異常を受けながら戦ったりする。

攻略方法を考える楽しさがありそうだ。

だが、小説として読んだ場合、個人的には少し微妙だった。

ゲームだったら面白そうなのだが……

理由を考えてみると、試練の多くが「攻略ギミック」として感じられたからかもしれない。

偽物を見抜け。

変身した仲間を見つけろ。

理想世界から脱出しろ。

感情反転に耐えろ。

一つ一つは面白い。

ただ、それが連続すると、

「次はどんな仕掛けかな」

というダンジョン攻略ゲームを見ている感覚が強くなってくる。

自分で操作しているなら楽しいと思う。

何度か失敗して、仕組みを理解して、攻略方法を探す。

ゲームならかなり好きなタイプのダンジョンかもしれない。

しかし小説では、こちらは攻略を見る側である。

しかもハジメたちは既にかなり強い。

結果として、危機感よりも

「今回はこういうギミックなのね」

という感覚が先に来てしまった。

ゴキブリは普通に嫌だ

そんな中でも強烈だったのがゴキブリである。

大量のゴキブリ型魔物。

しかも飛ぶ。

やめろ。

ファンタジー世界にまでゴキブリを持ち込まないでほしい。

巨大なドラゴンより嫌である。

魔王より嫌かもしれない。

さらに感情反転まで加わる。

仲間が嫌いになる。

本来なら嫌悪する魔物を愛おしく感じる。

精神攻撃としては相当に悪趣味である。

ティオみたいな特殊すぎる精神構造の人までいるので、迷宮を作った側も大変そうだ。

理想世界を拒絶する試練

ハジメたちは、それぞれ自分にとって都合のいい理想世界も見せられる。

失ったものが戻ってくる。

苦しかった過去がなくなる。

欲しかったものが最初から手に入っている。

普通なら留まりたくなる。

それでもハジメたちは現実へ戻る。

ここは迷宮のテーマである「絆」が一番分かりやすく出ていた。

今の仲間との関係は、決して綺麗なものだけではない。

喧嘩もする。

面倒なこともある。

思い通りにならない。

それでも、自分に都合よく作られた理想の誰かより、現実にいる面倒くさい仲間を選ぶ。

ハジメらしい選択だった。

ただ、やっぱり迷宮よりウサミミが気になる

大迷宮を攻略したことで、ハジメたちは昇華魔法と導越の羅針盤を手に入れる。

日本へ帰るという目的も、いよいよ現実的になってきた。

物語全体としては非常に重要な巻である。

シアとの関係も進んだ。

光輝の焦りも強くなった。

敵側も動き始めている。

それでも読み終わって一番気になったのは、

「ハウリア族、この後どうなるんだ?」

だった。

若い兎人族までカムに感化されている。

一族は独立した同盟種族になった。

帝国を落とせる戦闘能力まで持っている。

完全に新しい勢力が誕生している。

七大迷宮より怖くないか、このウサミミ連中。

まとめ|大迷宮攻略よりハウリア族のその後が読みたかった

『ありふれた職業で世界最強』8巻は、ハルツィナ大迷宮攻略とシアとの関係の進展が中心となる巻だった。

特にシアがハジメにとって明確な「特別」になったことは大きい。

ずっと諦めずについてきたシアだけに、ようやくここまで来たかという気持ちになる。

一方、大迷宮については個人的には少し微妙だった。

仕掛けは面白い。

絆を試すというテーマも分かる。

ゲームとして遊ぶなら、かなり面白そうである。

ただ、小説として読むと攻略ギミックが続く印象が強く、前巻から続くハウリア族の暴走のほうが気になってしまった。

最弱の兎人族。

 ↓

ハジメに鍛えられる。

 ↓

戦闘民族になる。

 ↓

帝国を落とす。

 ↓

故郷で英雄になる。

 ↓

独立した同盟種族になる。

 ↓

他の若い兎人族まで感化される。

……もう十分だ。

これ以上増えるな。

とは思う。

思うのだが。

やっぱり大迷宮より、こいつらのヒャッハーをもっと読みたかった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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ありふれた7レビュー
まとめ
ありふれた9レビュー

考察・解説

ストーリー・プロット

帝国における一連の動乱を収束させた南雲ハジメ一行は、外交的懸案の処理と亜人社会の構造変革を経て、大迷宮ハルツィナの攻略へと進む。本稿では、帝国の奴隷解放から大迷宮における過酷な認知・精神試練の突破に至るまでの推移を整理する。

第1幕:飛空艇による凱旋と外交的処理

帝国での奴隷解放任務を完了させ、飛空艇フェルニルを用いて大隊移動を行う。ガハルド皇帝との誓約確認を進めるとともに、リリアーナの婚約を白紙化する運びとなる。

  • 帝国と王国間の外交的懸案事項を、圧倒的な戦力的優位によって強制的に整理
  • 事態の解決を受け、次なる拠点となるフェアベルゲンへの入城と事後報告へ移行
第2幕:ハウリア族の進化と社会構造の変革

解放された亜人たちの帰還に伴い、大幅な変貌を遂げたハウリア族の実力が周囲に露呈する。族長カムによる「同盟種族」宣言がなされ、旧来の長老衆が持つ権威を否定した上で、軍事力を背景とした独立権を獲得する。

  • 兎人族に対する認識が「最弱の種族」から「畏怖すべき対象」へと一変
  • 迷宮攻略を目前に控え、各員が休息を取りつつ個人的な動線を整える段階へ入る
第3幕:墓前の認識修正と絆の再定義

母モナへ成果を報告するというシアの宿願を果たすため、墓参りを行う。その過程において、ハジメはシアを単なる同行者にとどめず、明確に庇護し手元に留めるべき対象として再認識する。

  • ハジメ、ユエ、シアの三者間に存在する絆が、より強固なものとして再定義
  • 感情的な整理を完了させ、一行は大迷宮ハルツィナの攻略へ突入
第4幕:王国側の機能不全と遠藤浩介の負債感

メルド団長の死亡および帝国での動乱報告が王都へ届き、帰還した園部優花、愛子、リリアーナらが対応に追われる。その裏で、メルドの死を防げなかった遠藤浩介が強い精神的負債感を抱え込む。

  • 王国内部の組織再編が進む一方、次世代を担う戦力たちの葛藤が表面化
  • 先行部隊が直面する迷宮内部での認知的分離現象へと視点が移る
第5幕:空間転移と赤錆色スライムの罠

大樹ウーア・アルトの起動に伴い、攻略部隊のメンバーが空間転移によって強制的に分散させられる。直後に「赤錆色スライム」が各員への成り済ましを試みるものの、ハジメは本能的な識別能力によって偽物を即座に看破し、排除する。

  • 物理的かつ心理的な分断を強いられた過酷な環境下で迷宮攻略が本格化
  • 姿を変えられてしまった仲間の捜索を開始
第6幕:質的識別試練と猿モドキの挑発

迷宮特有の環境変化魔法により、ユエをはじめとする仲間たちが魔物の姿へと変貌させられる。ゴブリンに変えられたユエを正しく見分ける一方、「猿モドキ」によるユエの偽装や挑発的な模写行為に対し、激昂したハジメは周囲への目潰しを執行した上で一帯を広域制圧する。

  • 視覚情報に惑わされず、対象の「魂の質」を感じ取る識別の確実性を実証
  • 迷宮中核部への進攻を進め、巨大トレントとの戦闘局面へ移行
第7幕:樹海現界の焼却

巨大トレントが実体化し、固有魔法「樹海現界」による圧倒的な物量攻撃を仕掛けてくる。光輝の「神威」による打開策が防がれる中、ハジメは「円月輪」のゲートを展開し、宝物庫から摂氏三千度に達する融解タールを散布して周囲ごと焼き払った。。

  • 敵が有する驚異的な再生能力を絶対的な熱量で飽和させ、物理的障壁を完全排除
  • 物理的な交戦を終え、挑戦者の内面を揺さぶる最終精神試練へ移行
第8幕:精神試練「最適化された虚構」の拒絶

挑戦者自身の記憶を基に構築された「理想の日本」を提示され、高度な認知干渉を受ける。しかし、ハジメは「深淵での誓い」を契機に自己を取り戻し、都合良く作られた虚構のユエを明確に拒絶する。

  • 激しい魔力の解放によって擬似世界そのものを物理的に粉砕
  • 迷宮主の意志により試練突破の判定が下される
第9幕:感情反転の試練と神代魔法の獲得

最深部の空間において、感情を正反対へ反転させる魔法が作用し、仲間同士に激しい憎悪が生じ、不快な魔物が愛おしく知覚される異常事態に陥る。一行は敵であるという理性を優先して攻撃を敢行し、ユエが超広域殲滅魔法によって敵を一掃した。試練を突破した一行は大樹の頂上にあるハルツィナの庭園に到達し、解放者リューティリスから第七の神代魔法「昇華魔法」を修得するとともに、日本への帰還の道標となるアーティファクト「導越の羅針盤」を獲得した。

主要な転換点

概念魔法への到達と「導越の羅針盤」の獲得
  • それ以前:日本への帰還方法や座標の特定手段が未確定であった。
  • 出来事:七大迷宮のうち六つを攻略して昇華魔法を獲得し、七つの神代魔法が揃うことで概念魔法の行使が可能となった。さらに庭園にて望む場所を指し示す「導越の羅針盤」を授与された。
  • 変化:異世界である日本の正確な位置を把握できるようになった。
  • 影響:日本への帰還という一行の最終目標が、確実な実現性を帯びた現実的な計画へと移行した。 ハジメによるシアの受容と恋人関係への進展
  • それ以前:ハジメにとって特別な存在はユエのみであり、シアの好意を拒み続けていた。
  • 出来事:母モナの墓参りやハルツィナ樹海での共闘を経て、ハジメはシアに対する独占欲と愛情を自覚し、夕方の広場で想いを告げて口づけを交わした。
  • 変化:シアがハジメにとってユエに次ぐ特別な存在として正式に迎え入れられた。
  • 影響:パーティー内の関係性がさらに深化し、結束が揺るぎないものとなった。
ハウリア族の「同盟種族」認定
  • それ以前 :追放された罪人または最弱の隠れ里。
  • 出来事 :帝国への勝利という軍事的実績を背景に、カムが既存の長老制を否定。
  • 変化 :独自の土地と権限を持つ対等な同盟組織へ昇格。
  • 影響 :ハウリア流特攻ドクトリンが亜人社会の新たな防衛基盤となる。
精神試練における「理想」の否定
  • それ以前 :ハジメにとっての幸福は「日本への帰還」と「ユエとの安息」の並列。
  • 出来事 :迷宮が提示した「摩擦のない安息」と「現実の厄介な絆」の対比。
  • 変化 :不完全で思い通りにならない現実こそが価値あるものと再定義。
  • 影響 :ハジメの精神性が、単なる生存本能から「現実の肯定」へと深化。

主人公を中心とした人物関係の変化

ハジメ ⇔ シア

  • 開始時 :有用な駒、あるいは精神的緩衝材としての認識。
  • 主な出来事 :母モナの墓参における「独占欲」の自覚。
  • 巻末時 :ユエに次ぐ明確な「好意の対象」としての固定。

ハジメ ⇔ 光輝

  • 開始時 :価値観の相違による不干渉。
  • 主な出来事 :巨大トレント戦での戦術的敗北と、ハジメによる物理的な「目潰し」制裁。
  • 巻末時 :光輝の劣等感と焦燥が臨界点に達し、協力関係の限界が露呈。

主人公の認識と周囲の評価

  • ハジメの自己認識 :徹底した合理主義。しかし深層心理では「思い通りにならない他者(仲間)」との繋がりを何より優先している。
  • 周囲の評価 :
  • 帝国・他者 :情け容赦のない「悪魔」。
  • 勇者一行 :理解不能な戦術と火力を持つ、畏怖と嫉妬の対象。
  • 乖離の証明 :精神試練において、迷宮が用意した「従順で理想的なユエ」を、ハジメが「ただの人形」と断じて破壊した場面に、彼の極めて人間臭い絆への執着が現れている。

クライマックス

  1. 発生原因 :大迷宮ハルツィナ最終試練による認知干渉。
  2. 当初の状況 :日本での平和な日常。ユエが恋人、シアが留学生として存在する停滞した幸福。
  3. 転換トリガー :深淵で交わした「世界を越える」という誓約のフラッシュバック。
  4. 対応 :自己への物理的衝撃(自打)による覚醒。偽物のユエを「現実のユエ以下」と断罪。
  5. 物理的解体 :「限界突破」発動による魔力の過飽和。空間構造そのものを魔力の奔流で粉砕。
  6. 決着 :迷宮の管理者(優しく、性別不明な声)がハジメの「現実の選択」を肯定し、現実空間へ帰還。

巻末時点の状況

  • 物理的状況:大迷宮ハルツィナ樹海を完全攻略し、フェアベルゲンへ帰還して休養と氷雪洞窟への出発準備を完了させた。
  • 戦術的立場:昇華魔法と「導越の羅針盤」を獲得し、概念魔法の領域へ到達。光輝達の同行を認め、最後の大迷宮である氷雪洞窟への突入を控えている。一方、魔王陣営から500体の神の使徒が出撃し、王都、エリセン、ライセン大峡谷への同時急襲が開始された。
  • 心理的状況 :ハジメによる「現実の絆」の肯定により、パーティーの結束が理論値を超えて最大化。

亜人族の解放と復興

シアの父であるカムが率いるハウリア族による過激な奴隷解放騒動と、南雲ハジメたちによる支援を通じた故郷フェアベルゲンの復興を軸に事態が進展する。帝国の制圧から同胞の帰還、そして亜人社会の構造変革に至る一連の流れを以下に整理する。

帝国における亜人奴隷解放
  • カム率いるハウリア族がヘルシャー帝国の帝城を一晩で制圧し、帝都および全土に囚われていた全ての亜人奴隷を解放
  • 皇帝ガハルドに誓約の首輪を装着させ、全奴隷の解放、取締体制の抜本的改革や厳罰化、ハルツィナ樹海への不可侵を強制的に受諾させる措置を執行
  • 解放された数百名に及ぶ亜人を、ハジメの製作した大型飛空艇フェルニルのゴンドラに乗せ、空路を用いて故郷へ送還
故郷フェアベルゲンの復興と再会
  • 生還を諦めかけていた住民と同胞たちが対面を果たし、居住区一帯が歓喜に包まれる
  • 荒廃していた都や大樹に対し、白崎香織が神代魔法の再生魔法を行使して環境を瞬時に復元
  • 奇跡的な復元を目の当たりにした亜人たちの間で、香織を守護女神と仰ぐ崇敬の動きが拡大
  • 森人族族長のアルフレリックをはじめとする長老衆が主導し、炊き出しや備蓄資材の調整、住居の再配分といった受け入れ整備を急行
ハウリア族の変貌と同盟種族の確立
  • 最弱と蔑まれて追放されていた境遇から一転し、帝国を単独で屈服させた軍功により畏怖と敬意を集める存在へと変化
  • 長老の座への就任要請を拒絶し、長老会議に従属しない同盟種族という独自の権能を獲得
  • カムの言動や指導を契機として同種族の若者たちが触発され、戦闘力を備えた集団へと意識を改革
人間族国家への波及
  • 帝国側の制度崩壊を背景に、ハイリヒ王国のリリアーナ王女および新教皇シモンが同調
  • 王国領内における亜人差別の撤廃や奴隷化禁止を見据えた法整備の策定へ着手
まとめ

武力による帝国屈服と大規模な帰還劇を経て、亜人を取り巻く勢力図は根本から塗り替えられる。長年虐げられてきた立場を実力で覆し、人間族国家の制度変革まで誘発した一連の事動は、種族全体の新たな歴史を切り開く転換点となる。

ハルツィナ樹海の攻略

大樹ウーア・アルトに存在するハルツィナ大迷宮は、七大迷宮の中でも仲間との絆や心の強さを試す試練を課す。解放者リューティリス・ハルツィナが遺したこの迷宮の攻略経緯と、獲得した成果を整理する。

迷宮の開放条件と試練の主題

挑戦資格として、オルクス、ライセン、グリューエン、メルジーネなど、他の大迷宮を攻略した証を要求する

石版へ証を配置した上で、ユエが神代魔法である再生魔法(絶象)を行使し、大樹へ生命力を注ぎ込むことで内部への入り口が開く

試練全体の主題として「紡がれた絆」を掲げる

偽者を見抜く洞察力、弱体化や変質を遂げた仲間を受け入れる度量、甘美な理想に逃避しない強靭な精神力、反転した感情を制御する信頼関係を問う構造をとる

段階的に課される試練と戦闘の推移
偽者の侵入(赤錆色スライム)

転移直後、記憶を読み取ったスライム状の魔物がユエ、ティオ、龍太郎の姿へ擬態して隊列に紛れ込む。ハジメは即座に偽物と見破り、躊躇なく銃撃を加えて全滅させる。

姿の変質と弱体化(魔物化の試練)

本物のユエたちは隔離され、能力や装備を剥奪された上で魔物の姿へと変貌させられる。

・ユエは魔法や発声を奪われた無力なゴブリンへと変えられるが、ハジメは即座に本人と識別し、アーティファクトの念話石を渡して意思疎通を図る

・ティオはゴブリン、龍太郎はオーガへ変えられるが、仲間たちは姿や能力の変化に惑わされず保護と共闘を継続する

・ユエの姿に擬態して挑発を試みた猿型の魔物に対し、激怒したハジメは火炎タールやクラスター爆弾を用いて一帯を焼き払う(光輝へその姿を見せないよう、事前に目潰しを執行する)

巨大トレント戦(樹海現界)

無数の樹木を生成・操作する固有魔法「樹海現界」を展開する巨大トレントに対し、光輝の放つ神威は阻まれる。ハジメは円月輪のゲートを介して摂氏三千度の灼熱タールを投下し、周囲の森林ごとトレントを消滅させる。

仮初の世界(理想世界による精神誘導)

琥珀状の棺に捕らわれた一行は、各人が望む平和で甘美な偽りの理想世界を見せられる。

・ハジメは召喚されず日本で仲間たちと平穏に暮らす光景を提示されるが、奈落の底でユエと交わした誓いを想起する

・都合よく作られた人形ではなく、苦難を共に乗り越えた現実の仲間こそを選ぶと決意し、限界突破を発動して仮想世界を破壊する

・シア、ユエ、ティオ、香織、雫も自力で虚構を破って脱出し、脱出不能に陥っていた光輝らは香織の分解魔法により救出される

感情反転の魔法と異形魔物戦

最深部の地下空間において、無数のゴキブリ型魔物と神の使徒を模した人型魔物が現れ、挑戦者の感情を正反対へ反転させる魔法が作用する。

・強い絆で結ばれた仲間同士に強烈な殺意と嫌悪が生じ、不快な魔物が愛おしい存在として知覚される異常事態に陥る

・一行は敵であるという理性を優先して攻撃を敢行する

・ユエが重力、炎、魂魄魔法を融合させた超広域殲滅魔法「神罰之焰」を発動し、味方を無傷に保ったまま空間内の敵を一掃する

最深部ハルツィナの庭園と獲得した成果

試練をすべて退けた一行は、大樹の頂上に広がるハルツィナの庭園へ到達する。

神代魔法「昇華魔法」の修得

あらゆる能力、技能、既存の神代魔法を上位の段階へ引き上げる第七の神代魔法を獲得する。

概念魔法への到達と導越の羅針盤の獲得

七つの神代魔法を揃え、極限の意志を込めることで世界の理を改変する「概念魔法」の行使が可能となる。

庭園の石版より、解放者たちが概念魔法によって創り出したアーティファクト「導越の羅針盤」を授与される。

この羅針盤は持ち主が強く望む対象の所在や異世界・日本へ正確に道を示す機能を備えており、日本への帰還を実現するための決定的な指針となる。

ハルツィナ樹海攻略の意義

ハルツィナ樹海の攻略は、一行の結束を揺るぎないものへ昇華させると同時に、悲願である故郷への帰還を果たすための重要な神代魔法とアーティファクトを手中に収める重大な転換点となる。

概念魔法の獲得

ハジメたちが七大迷宮の一つであるハルツィナ樹海を攻略し、悲願とする日本への帰還を実現するための決定的な鍵を手に入れる重要な節目を整理する。

昇華魔法の修得

ハジメたちは樹海の過酷な試練を仲間との絆によって突破し、最深部にあたるハルツィナの庭園へ到達した。

・偽者の侵入、弱体化や変質、理想世界の誘惑、感情反転といった幾重もの難関を乗り越えた

・森人族の解放者であるリューティリス・ハルツィナの映像を通じて、七つ目の神代魔法である昇華魔法を獲得した

・この魔法は、あらゆる能力や技能、既存の神代魔法の段階を一段上の状態へと進化させる効力を持つ

概念魔法の定義と発動条件

七つの神代魔法が揃う過程で、それらを超越した上位の力に関する詳細が判明した。

・生成、重力、空間、再生、魂魄、変成、昇華のすべてが揃って融合することにより、神代魔法を超えた神の御業たる概念魔法へ至る

・知識の転写や理論の理解のみでは修得できず、行使者の極限の意志を通じて様々な概念を現世へ顕現させる特性を持つ

導越の羅針盤の獲得と日本帰還への道標

庭園に設置された石版を通じて、帰還への道を切り開く特別な遺物が授与された。

・解放者七名によって生み出された三つの概念魔法のうち、一つを込めて作成されたアーティファクトである導越の羅針盤を受け取った

・望んだ場所を指し示すという概念が込められており、対象の居場所のみならず、異世界である日本の正確な位置へと導く能力を秘める

・羅針盤の入手と概念魔法の開拓に伴い、一行が目指す日本への帰還は確実な実現性を帯びた目標へと移行した

まとめ

ハルツィナ樹海の踏破によって獲得した昇華魔法と導越の羅針盤は、一行の戦力を飛躍的に引き上げるとともに、旅の最終目的である故郷への帰還を果たすための確固たる指針を形成した。

仲間との絆の深化

ヘルシャー帝国における亜人奴隷解放からハルツィナ樹海の大迷宮攻略に至る過程を通じ、南雲ハジメと仲間たちの関係性はより確固たる段階へと進展を見せる。戦力的な連携にとどまらず、相互の信頼や存在理由をめぐる精神的な結びつきが多角的に深まりゆく様子が提示される。

シアとの絆の成就

旅の端緒においては同行を強く望む立場にあったシア・ハウリアだが、過酷な激戦や故郷での再会を経て、ハジメの中でかけがえのない位置を占めるようになる。

・亡き母の墓前への参拝を経て、ハジメはシアへ揺るぎない情を明言し、特別な存在として迎え入れる

・長年の想いを結実させたシアに対し、正妻の位置にあるユエは抱擁をもって温かく祝福を示す

・香織やティオら他の仲間も、各々の心情を抱えつつシアの献身を評価し、真摯に受け入れる姿勢を示す

ハルツィナ大迷宮の試練と試された信頼

大迷宮の内部では、仲間同士の正真の結びつきを検証する精神的な難関が相次いで課される。

・記憶を模倣してユエに擬態したスライム状の魔物を、ハジメは直感的に見破り即座に銃撃で排除する

・ユエやティオらが姿を変えられ無力化された状況下でも、仲間は見捨てることなく連携を保ち続ける

・平穏な日常を模した甘美な幻影の世界に囚われながらも、過酷な現実を共に歩んできた絆を重視し、自らの意志で虚構を粉砕する

・仲間への情が殺意へ反転する過酷な空間においても理性を優先し、敵対勢力を的確に殲滅して難局を打破する

一行全体の相互理解と決意

試練の走破は、主要な同行者のみならず同行するクラスメイトたちにも大きな内面的成長を促す契機となる。

・八重樫雫の実力と精神性を高く評価したハジメは、卓越した技術を用いて彼女の武器を強化する

・過去の挫折に苦悩していた光輝や鈴らも弱さと向き合い、決着をつける覚悟を固めて同行を継続する意思を示す

概念魔法の開花と帰還への道筋

七つの神代魔法を完全に揃えた結果、世界の理に干渉する概念魔法の行使が可能となる。

・第七の神代魔法である昇華魔法を獲得し、極限の意志を通じて概念を具現化する領域へと到達する

・望む座標を正確に示すアーティファクトの入手により、日本への帰還という長年の目的は現実的な計画へと移行する

まとめ

ハルツィナ樹海の踏破は、仲間同士の心情を確かめ合い、不可分な結びつきを築き上げる決定的な契機となる。精神的な試練を乗り越えて手にした新たな力と指針は、一行を悲願の達成へと着実に前進させる力強い足がかりとなる。

魔人族の不穏な動向

主人公一行がハルツィナ樹海の大迷宮を突破し日本帰還への道標を固める陰で、魔国ガーランドを中心とする敵対勢力もまた大規模な侵略計画を推し進めている。魔人族と狂神陣営が準備を進める戦力の実態、ならびに各地へ向けられた包囲網の動向を以下に整理する。

人造兵器・屍獣兵の完成と演習

魔王城外縁の演習施設において、フリード・バグアーと中村恵里の手により生み出された異形の死兵集団である屍獣兵が訓練を重ねている。

  • 錬成の手順
  • 王都侵攻戦で命を落としたハイリヒ王国騎士団の遺骸を素体とし、フリードが魔物由来の爪牙や身体機能を付加し、恵里が降霊術と独自魔法「縛魂」を用いて魂を拘束して傀儡へと作り変えている。
  • 戦闘能力と性質
  • 亜人族特有の身体能力と人間族の魔法行使力を併せ持ち、苦痛や死への恐怖を一切抱かず、自己の意志を奪われた状態で命尽きるまで殲滅行動を遂行する狂戦士として仕上がっている。
神の使徒500体の出撃と多方面展開

狂神エヒトから魔王陣営へ供与された500体に及ぶ神の使徒が魔王城を離れ、各地へ潜行を開始している。

  • 別働隊を狙う作戦意図
  • 使徒の動向を問われたフリードは、主要な標的であるハジメ自身が最終迷宮である氷雪洞窟へ向かう間隙を突き、周囲の縁者や関係拠点を同時多発的に襲撃・拘束する手筈を進めている旨を明かしている。
各地へ急襲を仕掛ける神の使徒

主人公と深い関わりを持つ主要拠点に対し、神の使徒が突如として飛来する光景が展開する。

  • ハイリヒ王国王都
  • 園部優花らが復興活動や孤児への慰問を行う中、過去の戦闘で崩壊したはずの神山上空より、白銀の光を放つ神の使徒が市街地めがけて急降下を開始する。
  • ライセン大峡谷
  • 大迷宮の最深部より外界を監視していたミレディ・ライセンの小型ゴーレムが、天蓋に現れた銀色の輝きを感知し、時代の転換点と旅路の終焉を静かに予見する。
  • 海上都市エリセン
  • 海辺で穏やかな日常を過ごしていたレミアとミュウの頭上に、太陽光を背負い銀翼を広げた無機質な瞳の神の使徒が降臨する。
まとめ

フリードと恵里は、意思なき戦闘兵器へと変貌を遂げた屍獣兵と圧倒的物量を誇る神の使徒を連携させ、各地に点在する重要人物を人質として封じる包囲作戦を完了させている。決戦の火蓋は目前に迫り、主要勢力のすべてを巻き込む未曾有の動乱へと移行していく。

ありふれた7レビュー
まとめ
ありふれた9レビュー

登場キャラクター

日本からの召喚者(生徒・教師)

南雲ハジメ

奈落から生還した錬成師の男子生徒。仲間を守る強い意志を持ち敵には容赦ない姿勢を見せる。飛空艇フェルニルを製造して空の移動を可能にした。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。錬成師。「金」ランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果  飛空艇フェルニルを操縦して亜人たちを樹海へ送り届けた。ハルツィナ大迷宮の試練を突破する。導越の羅針盤を獲得した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  シアを「特別」と認めた。雫の黒刀を魔改造する。昇華魔法を修得した。

白崎香織

ハジメに想いを寄せる治癒師の女子生徒。周囲への深い献身性を持つ。ノイントの強靭な肉体で活動を続ける。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。治癒師。

・物語内での具体的な行動や成果  再生魔法絶象を行使した。荒廃したフェアベルゲンの樹木を一瞬で修復する。ハルツィナ大迷宮の試練を乗り越えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  フェアベルゲンの住民から守護女神として崇められた。

八重樫雫

香織の親友を務める剣士の女子生徒。責任感が強く周囲を気遣う。ポニーテールを特徴とする。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。剣士。

・物語内での具体的な行動や成果  早朝から一人で素振りの鍛錬を行なった。ハルツィナ大迷宮の試練を自力で耐え抜く。ハジメから強化された黒刀を受け取った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメから深い信頼を寄せられた。

天之河光輝

勇者の男子生徒。強い正義感を掲げる。ハジメへの劣等感や苦悩を深める。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。天職は勇者。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルに乗船して樹海へ移動した。巨大トレント戦で切り札の神威を発動する。大迷宮の試練で琥珀に囚われた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメとの実力差に直面した。自らの未熟さを痛感する。

坂上龍太郎

光輝の親友を務める拳士の男子生徒。豪快な性格で前衛を務める。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。拳士。

・物語内での具体的な行動や成果  大迷宮内でオーガの姿に変質させられた。同じオーガと殴り合いを展開する。ハジメたちの手で救出された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  正座で雫から説教を受けた。

谷口鈴

明るい雰囲気を作る結界師の女子生徒。恵里の裏切りに強い傷を抱える。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。結界師。

・物語内での具体的な行動や成果  蜂モドキの襲撃に対して障壁を展開した。琥珀に囚われて恵里の夢を見る。ハジメに次の大迷宮同行を直訴した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  恵里と再会して対話する決意を固めた。

園部優花

愛ちゃん護衛隊に属する女子生徒。投術師の天職を持つ。王都の警備や復興支援にあたる。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。愛ちゃん護衛隊。投術師。

・物語内での具体的な行動や成果  王都の教会で身内を失った子供たちを集めた。ナイフ数十本を用いた大道芸を披露する。新教皇シモンの護衛隊長を務めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  生徒たちの精神的な支えとなった。王国上層部から頼られる存在へ変化した。

畑山愛子

生徒たちを命懸けで守ろうとする女性教師。豊穣の女神と称される。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。教諭。作農師。

・物語内での具体的な行動や成果  王宮で優花と会話を交わした。優花からの悩み相談に応じる。シモンと面識を持ち対話を行なった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメへの個人的な想いに思い悩む。

遠藤浩介

影が非常に薄い男子生徒。気配遮断に優れる。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。斥候。

・物語内での具体的な行動や成果  王都侵攻の際に身を挺して仲間の地上脱出に貢献した。メルドの死に自分を責めて落ち込む。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  深刻に落ち込むことで周囲から存在を認識された。

永山重吾

重闘士の男子生徒。永山パーティーを率いる。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。重闘士。

・物語内での具体的な行動や成果  食堂で浩介の存在感について健太郎と議論した。ハジメの行動に対して驚きを見せる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王都で仲間と共に過ごした。

野村健太郎

土術師の男子生徒。重吾の親友を務める。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。土術師。

・物語内での具体的な行動や成果  重吾と共に浩介の過去のエピソードを語った。リリアーナからの報告を聞く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王都での生活を維持した。

辻綾子

永山パーティーの治癒役を務める女子生徒。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。治癒師。

・物語内での具体的な行動や成果  食堂で優花たちと食事を共にした。浩介の影の薄さを心配する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王都の復興を見守った。

吉野真央

永山パーティーの付与術師を務める女子生徒。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。付与術師。

・物語内での具体的な行動や成果  綾子と共に浩介の観察結果を語り合った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  仲間と共に行動した。

中村恵里

降霊術師の女子生徒。光輝へ異常な執着を示す。魔人族側につく。

・所属組織、地位や役職  日本からの召喚者。降霊術師。

・物語内での具体的な行動や成果  王国騎士団の遺体に縛魂の魔法を行使した。フリードと協力して屍獣兵を作り上げる。魔王城のテラスでフリードと会話した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  屍獣兵の部隊を率いてハジメたちとの再会を待望する。

勇者パーティー

光輝を中心に結成された主力部隊。

・所属組織、地位や役職  生徒たちの戦闘部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルで樹海へ移動した。ハルツィナ大迷宮の攻略に挑戦する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメたちの支援を受けつつ試練に挑んだ。

愛ちゃん護衛隊

愛子を守る意思を持つ生徒たちの集団。

・所属組織、地位や役職  愛子の護衛組織。

・物語内での具体的な行動や成果  王都に留まり街の巡回や復興支援を行なった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王都の混乱防止に貢献した。

吸血鬼族

ユエ

ハジメのパートナーを務める吸血鬼の姫。圧倒的な魔法能力を誇る。

・所属組織、地位や役職  元吸血鬼族の王。ハジメのパートナー。

・物語内での具体的な行動や成果  大樹の幹に再生魔法を行使して入口を開いた。ハルツィナ大迷宮の試練でゴブリンに変質させられる。最深部で超広域魔法神罰之焰を発動した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  神罰之焰により空間内の敵を一挙に消滅させた。ハジメへの変わらぬ愛情を示す。

兎人族(ハウリア族)

シア・ハウリア

未来視の固有魔法を持つ兎人族の少女。ハジメを深く慕う。

・所属組織、地位や役職  兎人族ハウリア族。ハジメの仲間。

・物語内での具体的な行動や成果  ドリュッケンと剣玉を振るい半人型を粉砕した。試練の理想世界を己の意志で打ち破る。アルテナに対してプロレス技をかけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメから「特別」な存在として認められた。

カム・ハウリア(深淵蠢動の闇狩鬼カームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリア)

ハウリア族の族長。シアの父親を務める。ハジメをボスと仰ぐ。

・所属組織、地位や役職  ハウリア族族長。

・物語内での具体的な行動や成果  ハウリアの乱を率いて帝城を落とした。フェアベルゲン長老衆からの長老辞退を宣言する。同盟種族の地位を獲得した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  一族を率いて帝国を屈服させた。ハジメとシアの二人きりの時間を作る。

モナ

シアの亡き母親。若い頃に没した。

・所属組織、地位や役職  兎人族。

・物語内での具体的な行動や成果  第8巻本編では樹海の奥の大木の下に埋葬されている墓として登場した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  シアとハジメの会話の中で存在が語られた。

ハウリア族

ハジメに鍛え上げられた戦闘部族。

・所属組織、地位や役職  兎人族の部族。

・物語内での具体的な行動や成果  帝城を制圧して全亜人奴隷を解放させた。フェアベルゲンの広場で集団整列と演説を行なう。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  長老会議の決定により同盟種族へ昇格した。

竜人族(クラルス族)

ティオ・クラルス

竜人族の姫。黒髪の美女。強い被虐趣味を持つ。

・所属組織、地位や役職  竜人族クラルス族の姫。ハジメの仲間。

・物語内での具体的な行動や成果  大迷宮でゴブリンの姿に変質させられた。暴行を受けて快感を覚える。感情反転の試練を強い意志で耐え抜いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  長きを生きる者として仲間へ助言を与えた。

海人族

ミュウ

ハジメをパパと慕う海人族の幼女。

・所属組織、地位や役職  海人族の子供。

・物語内での具体的な行動や成果  エリセンの海辺でレミアと一緒に魚の串焼きを食べた。上空に現れた神の使徒を見上げる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  平穏な日常の中でハジメたちの帰りを待った。

レミア

ミュウの母親。強い母性を持つ。

・所属組織、地位や役職  海人族の女性。

・物語内での具体的な行動や成果  エリセンの桟橋でミュウと和やかに過ごした。空に現れた不審な存在を視認する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ミュウと共に平穏に暮らしていた。

ハイリヒ王国・王宮・聖教教会

リリアーナ・S・B・ハイリヒ

ハイリヒ王国の王女。ハジメに淡い想いを寄せる。

・所属組織、地位や役職  ハイリヒ王国王女。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルに乗船してガハルドの宣誓に立ち会った。バイアスとの婚約白紙を確認する。ハジメのゲートで王宮食堂へ送り返された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王国における亜人差別や奴隷制廃止の法整備を誓った。

ヘリーナ

リリアーナの専属侍女。

・所属組織、地位や役職  ハイリヒ王国侍女。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルに同乗してリリアーナを補佐した。王宮へ戻った後に王妃への報告へ向かう。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  リリアーナの側近を務めた。

シモン・L・G・リベラール(シモン・リブ・グリューエン・リベラール)

聖教教会の新教皇。柔軟な考えを持つ老男性。

・所属組織、地位や役職  聖教教会教皇。

・物語内での具体的な行動や成果  王都の教会で慰問を行なった。優花を連れ出して子供たちの前に引きあわせる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  前教皇イシュタルの没後に教会の再建を担った。

シビル・L・G・リベラール(シビル・リブ・グリューエン・リベラール)

シモンの孫娘。

・所属組織、地位や役職  聖教教会の聖職者。

・物語内での具体的な行動や成果  走って逃げ回る祖父シモンを追いかけた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  祖父の補佐にあたった。

ルルアリア

ハイリヒ王国の王妃。

・所属組織、地位や役職  ハイリヒ王国王妃。

・物語内での具体的な行動や成果  ヘリーナから報告を受けて緊急会議を招集した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王宮で国政の指揮をとった。

ランデル・S・B・ハイリヒ

ハイリヒ王国の王子。十歳。

・所属組織、地位や役職  ハイリヒ王国王子。

・物語内での具体的な行動や成果  姉リリアーナの初恋の兆候を知り動揺した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王国の次期指導者としての立場にある。

近衛騎士

リリアーナを護衛する騎士たち。

・所属組織、地位や役職  ハイリヒ王国近衛騎士団。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルに同乗して警備を務めた。ハジメの強烈な態度を目撃する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王宮の護衛を担当した。

香織様にご奉仕し隊

香織を熱狂的に崇める民衆組織。

・所属組織、地位や役職  香織のファンクラブ組織。

・物語内での具体的な行動や成果  第8巻本編では会話の中で存在や隊長の噂が言及された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  香織との再会を願っている。

ヘルシャー帝国

ガハルド・D・ヘルシャー

ヘルシャー帝国の皇帝。実力至上主義者。

・所属組織、地位や役職  ヘルシャー帝国皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルに同乗してフェアベルゲンへ向かった。誓約の首輪を装着して全奴隷の解放を遵守する。長老衆の前で自説を主張した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメのゲートによって帝城へ強制送還された。

バイアス・D・ヘルシャー

元ヘルシャー帝国皇太子。

・所属組織、地位や役職  元帝国皇太子。

・物語内での具体的な行動や成果  第8巻本編ではカムに首を刎ねられて死亡した事実が会話で語られた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  死亡に伴いリリアーナとの婚約が破談となった。

皇族

ヘルシャー帝国の皇族たち。

・所属組織、地位や役職  帝国の特権階級。

・物語内での具体的な行動や成果  誓約の首輪を外そうとした一人が発狂して絶命した。残りのメンバーは厳罰体制の周知へ追われる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  首輪の呪いにより法的処罰の執行を余儀なくされた。

帝国兵

ヘルシャー帝国の軍兵たち。

・所属組織、地位や役職  ヘルシャー帝国軍。

・物語内での具体的な行動や成果  帝都以外の町での奴隷解放手続きにあたった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  奴隷解放に伴う混乱の抑止に努めた。

魔人族(ガーランド王国)

フリード・バグアー

魔人族の将軍。神代魔法を行使する。

・所属組織、地位や役職  魔国ガーランド将軍。

・物語内での具体的な行動や成果  訓練場で屍獣兵の育成状況を確認した。恵里と会話して神の使徒500体の配置計画を語る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメの関係者を狙う同時多発襲撃の作戦を開始した。

屍獣兵

元王国騎士団の遺体から作られた人造兵士。

・所属組織、地位や役職  恵里とフリードが率いる軍隊。

・物語内での具体的な行動や成果  魔物並みの身体能力と魔法行使力を備えて訓練を行なった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  死を感じない傀儡兵として完成した。

神の使徒

神エヒトの命を受ける無機質な銀髪碧眼の女性型存在。

・所属組織、地位や役職  神の使徒。

・物語内での具体的な行動や成果  500体が魔王城から出撃した。王都やライセン大峡谷やエリセンの上空へ同時に降臨する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメの関係者たちを拘束・急襲するために行動を開始した。

亜人族(ハルツィナ樹海・フェアベルゲン)

アルフレリック・ハイピスト

森人族の族長。フェアベルゲン長老衆の最古参を務める。

・所属組織、地位や役職  フェアベルゲン長老衆(森人族族長)。

・物語内での具体的な行動や成果  帰還した同胞たちの受け入れ体制を指揮した。カムに長老の座を提案する。同盟種族の設立を承認した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  フェアベルゲンの復興を先頭に立って推進した。

アルテナ・ハイピスト

アルフレリックの孫娘。森人族の少女。

・所属組織、地位や役職  森人族のお姫様。十六歳。

・物語内での具体的な行動や成果  帰還後に備蓄状況の確認や補佐を務めた。ハジメに好意を寄せて手を取ろうとする。シアから各種プロレス技を掛けられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  シアと奇妙な対抗意識と友情を築いた。

レギン

熊人族の戦士。

・所属組織、地位や役職  熊人族の戦士。

・物語内での具体的な行動や成果  カムの報告に正座で耳を傾けた。トラウマから震えを見せる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハウリア族の恐ろしさを痛感した。

ゼル

虎人族の族長。

・所属組織、地位や役職  フェアベルゲン長老衆(虎人族族長)。

・物語内での具体的な行動や成果  広場でガハルドと対面して強い殺意を向けた。アルフレリックに制止される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ガハルドへの怒りを抱えつつ同盟を見届けた。

マオ

翼人族の族長。情報誌の編集長を務める。

・所属組織、地位や役職  フェアベルゲン長老衆(翼人族族長)。月刊フェアベルゲン編集長。

・物語内での具体的な行動や成果  復興を記念して「月刊フェアベルゲン」を再編発行した。誇張交じりの記事を執筆する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  都内で高い人気を誇る情報誌を発行した。

垂れイヌミミの女性

フェアベルゲンに住む亜人の女性。

・所属組織、地位や役職  フェアベルゲンの住民。

・物語内での具体的な行動や成果  ゴンドラから降りてきた息子の名を叫んだ。無事に帰還した息子ときつく抱き合う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  再会の喜びを涙と共に分かち合った。

イヌミミ少年

帝都で光輝が気にかけていた亜人の少年。

・所属組織、地位や役職  元亜人奴隷。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルから降りて母親の元へ駆け寄った。涙を流して母親と再会する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  無事に故郷へ帰還した。

長老衆(長老会議)

フェアベルゲンの最高意思決定機関。

・所属組織、地位や役職  亜人族の指導者層。

・物語内での具体的な行動や成果  ハウリア族の追放取り消しを決定した。ハウリア族を同盟種族として承認する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  伝統的な六種族の枠組みを超えた判断を下した。

フェアベルゲン戦士団

フェアベルゲンの防衛を担う戦士たち。

・所属組織、地位や役職  亜人族の防衛組織。

・物語内での具体的な行動や成果  フェルニルの降下に対して武器を構えて身構えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  都の警備にあたった。

フェアベルゲンの住民

フェアベルゲンに暮らす亜人たち。

・所属組織、地位や役職  都の一般住民。

・物語内での具体的な行動や成果  香織の再生魔法を目撃して跪き歓声を上げた。帰還した同胞たちと無事を喜び合う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  香織を守護女神として信仰した。

解放者(神代の反逆者)

リューティリス・ハルツィナ

ハルツィナ樹海を創設した古代の解放者。森人族の女性。

・所属組織、地位や役職  解放者。ハルツィナ樹海創設者。

・物語内での具体的な行動や成果  庭園の映像体として現れてハジメたちに語りかけた。昇華魔法を伝授する。導越の羅針盤を授けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  概念魔法への到達方法を伝えた。

ミレディ・ライセン

ライセン大迷宮の創設者。

・所属組織、地位や役職  解放者。

・物語内での具体的な行動や成果  小さなゴーレムを通じて上空の神の使徒を目撃した。旅の終わりについて呟く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ハジメたちの試練の結末を遠くから見守った。

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まとめ
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展開まとめ

第一章 英雄の凱旋

フェルニルでの帰還

カム率いるハウリア族は帝城を陥落させ、帝都の奴隷を解放していた。ハジメは数千人の亜人を飛空艇フェルニルに乗せ、ハルツィナ樹海へ向かった。ゲートを使えば一瞬で移動できたが、巨大な飛空艇で亜人を帰還させることで、奴隷解放が神の意思であるというハジメの筋書きを帝国民へ印象づける狙いもあった。

大量の亜人を運ぶためハジメは多量の魔力を消耗していたが、ユエ、シア、香織に囲まれて休んでいたため、ガハルドからは傲慢な態度に見えていた。ガハルドはフェルニルを欲しがり、金や娘のトレイシーまで交換条件に持ち出したが、ハジメは拒絶した。

リリアーナの婚約白紙

ガハルドは、誓約の首輪によって皇族全員が奴隷制度廃止などの約定を守らなければ死ぬ立場となり、帝国内の改革や奴隷解放への対応に追われていると説明した。そのため、リリアーナを帝国皇族へ嫁がせる話も白紙となっていた。

自由になったリリアーナをガハルドがハジメへ勧めると、彼女は激しく動揺した。しかしハジメは王女という地位にもリリアーナ自身にも関心を示さず、自分が本当に欲しいものは既に腕の中にあるとして、ユエとシアを抱き寄せた。ユエとシアは喜んだ一方、香織とティオは自分達も含まれているのかと不満を訴えた。

女性陣の対決

ユエは自分とシアを勝者、香織とティオを敗者と呼んで挑発した。香織とティオも応戦し、雫、鈴、リリアーナまで巻き込んだ対決へ発展した。ユエ側にはシアが加わり、女性陣は艦橋を出て戦い始めた。

ハジメは彼女達の争いを日常的なやり取りとして放置した。やがて激しい戦いが終わる頃、フェルニルはハルツィナ樹海へ到着した。

フェアベルゲンの受け入れ準備

フェアベルゲンでは、アルフレリックを中心に数千人の帰還者を受け入れる準備が進められていた。先行して戻ったカムは、帝国から奴隷を解放した事実を長老衆へ伝えていたが、当初は誰も信じなかった。

ゼルがカムを疑って掴みかかろうとした際には、ハウリア族が一瞬で長老会議を制圧していた。その圧倒的な実力により、長老達はハウリア族なら帝城を落とせた可能性があると認めざるを得なくなっていた。

アルテナとカムの思惑

帝国から救出されたアルテナも、帰還する同胞のために祖父アルフレリックを手伝っていた。彼女がハジメを意識していることを察したアルフレリックは心配したが、カムは逆にそれを利用しようとした。

カムは、ハジメの特別な存在は既に決まっており、その座に最も近いのは娘のシアだとアルテナを挑発した。アルテナはシアに劣るつもりはないと対抗心を燃やした。カムは、アルテナを刺激することでシアとハジメの関係を進展させる起爆剤にしようと考えていた。

奴隷たちの故郷への帰還

夜になり、フェルニルがフェアベルゲン上空へ到着した。突然のサーチライトと巨大な船体に住民達は新たな敵の襲来を疑ったが、ゴンドラから最初に兎人族の少女が姿を現し、続いて解放された亜人達が次々と降り立った。

帰還者と住民達は、もう二度と会えないと思っていた家族や友人、恋人との再会を果たした。帝都で光輝が気にかけていた少年も母親と再会し、抱き合って涙を流した。それをきっかけに各所で再会の歓声が上がり、フェアベルゲン全体が大きな喜びに包まれた。

香織を崇める亜人たち

フェルニルを直接フェアベルゲンへ降ろしたため、ハジメは周囲の木々を折ってしまった。そこで香織が再生魔法の絶象を使い、破損した木々を元通りにした。

その光景を見た亜人達は香織を守護女神として崇め始めた。香織は必死にやめさせようとしたが、以前から彼女の力を目撃していた亜人達の信仰はさらに強まった。

英雄となったハウリア族

アルフレリックはハジメへ亜人解放の礼を述べたが、ハジメは帝国を倒したのはハウリア族だと訂正した。アルフレリックがハウリア族の勝利を住民達へ明言すると、かつて最弱と蔑まれ、追放までされた彼らに敬意と畏怖の視線が集まった。

父カムの姿を見たシアは誇らしさに胸を熱くした。ユエはそっとシアの手を握り、ハジメもカムの隣に立って皆の視線を受けてくるよう勧めた。しかしカムは娘に気づかないまま演説を始め、シアは結局ハジメのもとへ戻って慰められた。

兎人族への決起演説

カムは兎人族に対し、今回帝国に勝っても永遠の平和が保証されたわけではなく、再び未来を脅かされる可能性があると訴えた。そして大切な者を守り、搾取される境遇を変えたいなら自ら戦えと呼びかけた。

同じ兎人族であるハウリア族が帝国を倒した事実を示し、決意さえあれば兎人族も強くなれると説いたカムは、力を望む者をハウリア族へ迎えると宣言した。若い兎人族達は強く心を動かされ、カムは新たな戦力を得られると喜んだ。ハジメは、自分が生み出した戦闘集団がさらに増殖する可能性に今更ながら不安を覚えた。

シアとアルテナ

アルテナがハジメの手を取って案内しようとすると、シアがその手を叩き落とした。カムの挑発によって対抗心を持っていたアルテナも退かず、二人は笑顔のまま張り合った。

事情を察したハジメはカムへ殺気を向けた後、自分からシアの手を取った。シアは満面の笑みでハジメの腕を抱え、アルテナは落胆した。旅を共にして信頼を築いたシアと、ほとんど接点のないアルテナでは、最初から比較になっていなかった。

ガハルドと長老衆の対立

広間ではガハルドが帝国の敗北と誓約内容を長老衆へ正式に伝えた。長老達は帝国による長年の迫害からガハルドへ強い憎悪を向けたが、彼は自分が敬意を払うのは強者だけであり、帝国を倒したハウリア族には敬意を払っても、戦わなかった亜人族全体へ頭を下げるつもりはないと断言した。

険悪な空気となったところで、ハジメはガハルドの役目は証人になることだけだとして会談を打ち切った。長年積み重なった価値観の違いや憎悪が短い話し合いで解決するものではないと考え、ガハルドをゲートから帝城へ強制的に送り返した。そのあまりに雑な扱いによって、長老達の怒りも多少収まった。

リリアーナの王国との交渉

ハジメはリリアーナも王国へ送り返そうとしたが、彼女はフェアベルゲンと王国の今後について話す仕事が残っていると主張した。王国でも亜人差別は根深く、今後の関係を整理する必要があったため、リリアーナは長老衆との話し合いを続けることになった。

一方、ハジメはリリアーナの好意に気づいていたが、応える意思がない以上、中途半端な期待を持たせないため意図的に冷たい態度を取っていた。

ハウリア族の独立

アルフレリックはハウリア族の追放処分を撤回し、カムへ長老の座を与えようとした。しかしカムは即座に拒絶した。ハウリア族が戦ったのは亜人族全体のためではなく、あくまで兎人族の未来を守るためであり、他の亜人族まで守るつもりはないと明言した。

さらに、フェアベルゲンが今回の勝利を自分達のものと錯覚して人間族との戦争を始めたり、ハウリア族やハジメを利用しようとした場合には、長老衆に対しても刃を向けると警告した。

アルフレリックは妥協案として、ハウリア族をフェアベルゲンに属さない対等な一種族と認め、長老会議への参加資格を持つ同盟種族とすることを提案した。カムもこれを受け入れ、さらに大樹周辺と南方一帯をハウリア族の領域として使うと一方的に宣言した。こうしてハウリア族はフェアベルゲンから事実上独立した立場を獲得した。

フェアベルゲンでの休息

ハジメ達はアルフレリックの申し出を受け、フェアベルゲンに滞在することになった。光輝、龍太郎、雫、鈴は帰還を祝う祭りへ出かけ、香織は自分を崇める者達から逃れるため変装して町を歩いた。

リリアーナも王国へ戻ることになったが、ゲートの前でもじもじしていたため、ハジメに再び投げ込まれた。彼女はせめて女の子として扱ってほしいと叫びながら王国へ帰還した。

シアを気遣う仲間たち

深夜になってもシアが戻らない中、カムがハジメの部屋を訪れ、同行してほしいと頼んだ。事情を察したユエは香織とティオを鬼ごっこへ誘い、三人で部屋を離れた。香織とティオも意図を理解した上でシアへ時間を譲った。

カムはハジメをハウリア族のかつての集落へ案内し、そこで一人佇むシアのもとへ送り届けると、そのまま立ち去った。

モナ・ハウリアの墓前

シアが見つめていた大木は、亡き母モナ・ハウリアの墓であった。モナは病弱ながら強い心を持ち、家族を守れる英雄になりたいと願っていた女性だった。その願いを受け継いだシアは、母へハジメを大切な人として紹介し、自分達ハウリア族が英雄になったことを報告した。

ハジメはモナに対し、シアが自分とユエの旅や心、生き方に彩りを与えてくれたと語り、この世にシアを産んでくれたことへ感謝した。その言葉を聞いたシアは涙を堪えながら、ハジメにもこれまでの全てへの感謝を伝えた。

シアの恩返し

シアは一族を救い、自分を旅へ連れて行き、国まで敵に回してくれたハジメへ形のある恩返しをしたいと望んだ。しかしハジメは、シアがいつも通り笑っていればいいと答えた。

シアは自分がハジメ達から貰ってばかりだと納得せず、自分の体まで恩返しに使おうとしたが、ハジメは応じなかった。最終的にシアは、これまで以上に旅で役立つことでハジメとユエへ恩を返していくと決めた。

月下のシアとハジメ

シアは母が気に入っていた大木の頂上へハジメを連れていった。そこでは濃霧の上に月光が降り注ぎ、白い雲海が宝石のように輝く珍しい光景が広がっていた。

ハジメは月光に照らされたシアを見つめながら、ガハルドの前でユエと共にシアを無意識に抱き寄せたことを思い返した。ユエが唯一の特別な存在であることに変わりはなかったが、シアも既に無意識に手放したくないと思うほど大きな存在になっていた。ハジメはその気持ちを自覚し、これまで懸命についてきたシアへ相応の態度を取るべきだと考えた。

ハジメはシアに膝枕を頼み、シアは喜んで受け入れた。二人は月と霧が作り出す幻想的な景色の中で寄り添い、穏やかな時間を過ごした。

園部優花と畑山愛子

一方、ハイリヒ王国では園部優花が復興や王都の警備に奔走し、生徒達だけでなく王国上層部からも頼られる存在となっていた。優花は新教皇シモンに連れられて身内を亡くした子供達を慰問した際、かける言葉が見つからず、ナイフのジャグリングを披露していた。子供達はその超絶技巧に夢中となり、一時的に悲しみを忘れていた。

優花は愛子と食堂へ向かう途中、互いにシモンへ悩みを相談した話をした。愛子はハジメに関する自分の悩みを悟られまいとして取り乱し、逆に優花の相談内容を聞こうとした。優花はハジメへの恩返しとして、地球へ帰ったら実家の洋食を食べさせたいと考えていることを明かしたが、愛子は男女関係の話と勘違いしてさらに動揺した。

遠藤浩介の苦悩

食堂では永山重吾達が遠藤浩介について話していた。浩介はメルドの死を知って以来、深く落ち込んでいた。大迷宮で仲間達を逃がすため騎士達が犠牲となった後、浩介は生還したメルドを強く慕っていたが、彼が殺される直前に会った最後の人物でもあった。

浩介はその時のメルドの異変に気づきながら何もできなかったことから、自分なら救えたのではないかと責め続けていた。普段は仲間から存在を忘れられるほど影が薄い浩介が、落ち込んだことで逆に存在感を増していたため、重吾達は事態を深刻に受け止めていた。

投げ帰されたリリアーナ

優花達が浩介について話していると、食堂に設置されたゲートからリリアーナが頭から飛び込んできた。続いてヘリーナと近衛騎士達まで投げ込まれ、王女一行は散々な姿で帰還した。

リリアーナは食事を取りながら、帝国でハウリア族が成し遂げた奴隷解放や自身の婚約が白紙になったことを説明した。王国でも亜人差別と奴隷化をなくし、帝国の奴隷制度廃止を抜け道から崩されないよう対応する必要があると考えた。

リリアーナの想い

優花がハジメに染まりすぎないよう注意すると、リリアーナは頬を染めた。追及された彼女はハジメに特別な感情などないと否定したが、バイアスから助けられたこと、代わりのドレスを褒められたこと、共に踊ったこと、自分にとって最悪の事態だけは起こさせないと約束されたことを次々と語った。

本人はハジメへの不満を並べているつもりだったが、その内容から彼女の想いは優花達に明白となった。緊急会議でもリリアーナの感情は隠しきれず、母ルルアリアは娘の初恋にはしゃぎ、弟ランデルは香織だけでなく姉までハジメに惹かれたことに激怒した。

第二章 ハルツィナ大迷宮

ハルツィナ樹海の大迷宮

大樹ウーア・アルトへの出発

フェアベルゲン到着から三日後、大樹周辺の霧が薄くなる日を迎え、ハジメ達はハルツィナ樹海の真の大迷宮へ向かった。道中では大迷宮へ初挑戦する光輝、龍太郎、鈴、雫が樹海の魔物との戦闘を担当し、香織もノイントの身体を使いこなすため実戦訓練を続けた。香織は銀羽や大剣を扱えるまでに成長していたが、本人はユエやシアに及ばないことを気にしていた。

やがて一行は大樹ウーア・アルトへ到着した。ハジメは石版へオルクス、ライセン、グリューエン、メルジーネの大迷宮攻略の証をはめ込み、ユエが再生魔法を使った。枯れていた大樹は生命力を取り戻して緑に覆われ、幹に巨大な洞が開いた。

大迷宮への転移

ハジメ達が洞へ入ると入口が閉じ、足元に現れた魔法陣によって別の樹海へ転移させられた。そこには進路を示すものがなく、光輝が先頭に立って探索を始めようとした。

しかしハジメは同行者に違和感を覚え、突然ユエ、ティオ、龍太郎をボーラで拘束した。さらにユエへ銃口を向け、肩を撃った。血が流れなかったことから、目の前のユエが偽物であることが明らかになった。

ハジメは偽ユエを問い詰めた後、その頭部を撃ち抜いた。偽ユエは赤錆色のスライムへ戻り、ティオと龍太郎も同様の存在であった。ハジメは、転移の際に本物の三人が別の場所へ飛ばされ、記憶を与えられたスライムが彼らへ成り済ましたと推測した。

偽物を見抜いたハジメ

鈴達は本物と見分けがつかなかったが、ハジメは偽ユエを見た瞬間に自分の知るユエではないと気づいていた。ティオと龍太郎については、偽物の存在を認識した後に魔眼石で違和感を見抜いていた。

シアは自分の偽物でもすぐに見抜けるかと尋ね、香織も答えを期待した。しかしハジメは即座には無理だろうと答え、二人を落胆させた。実際にはシアなら分かると考えていたものの、香織の反応を恐れて口にはしなかった。

蜂モドキの大群

探索を続けた一行は、巨大な蜂に似た魔物の大群と遭遇した。蜂モドキは極めて高い回避能力を持ち、毒針を連射して襲いかかった。鈴はその異様な姿に動揺したものの、雫に助けられて結界を展開し、光輝と雫を援護した。

しかし蜂モドキは数が多いうえに俊敏であり、光輝の攻撃を容易に回避した。鈴の障壁も毒針によって次々と破壊され、雫も一体ずつなら倒せても群れ全体を抑えられなかった。光輝は強力な攻撃でまとめて倒そうとしたが、大迷宮の魔物の強さと連携に苦戦した。

一方、シアは広範囲への衝撃波で蜂モドキを粉砕し、香織も追尾する銀羽によって次々と撃墜した。大迷宮で鍛えられてきたハジメ達と、これから攻略へ挑む光輝達との実力差が表れていた。

光輝の焦り

光輝は仲間を守ろうとして前へ出る一方、自分達より圧倒的に強いハジメ達を強く意識していた。大迷宮を攻略して神代魔法を得れば自分達もハジメに追いつき、天職の差を考えればさらに強くなれると期待していた。

しかし実際の戦闘では、樹海の魔物を相手に余裕を失っていた。ハジメ達が容易に敵を処理する姿を目の当たりにするほど、光輝の中ではハジメとの実力差に対する焦りが強まっていった。

仲間を捜す探索

ハジメ達は偽物と入れ替わっていたユエ、ティオ、龍太郎との合流を急いだ。樹海では魔物が次々と襲ってきたが、ハジメ、シア、香織を中心に撃退しながら進んだ。

ハジメはユエ達なら簡単には倒されないと考えていたものの、大迷宮が記憶や仲間関係まで利用してくる場所だと分かった以上、油断せず探索を続けた。光輝達もはぐれた龍太郎を案じながら同行した。

樹海を焼くハジメ

探索が進む中、ハジメは樹海の魔物に激怒し、ロケットやミサイル、クラスター爆弾まで投入して周囲を徹底的に爆撃した。シアと香織は止めようとしたものの、怒りに満ちたハジメを前にすぐ引き下がった。

攻撃によって樹海は業火に包まれ、巨大なトレントを含む魔物達が焼き払われた。火は周囲の木々へ延焼しかけたが、香織が水属性魔法を使って消火した。ハジメはユエ達と合流できた以上、樹海そのものを焼き払っても構わないと考えていたが、香織やシアから呆れられた。

ハジメ達と光輝達の差

大迷宮を進む中で、光輝達は自分達が苦戦する魔物をハジメ達が容易に倒す姿を繰り返し目にした。香織もノイントの身体を急速に使いこなし、以前とは比較にならない戦闘能力を身につけていた。

光輝はハジメとの差を強く意識するようになった。これまで多くのものを持っていた光輝にとって、自分より圧倒的な力を持ち、仲間からも絶対的な信頼を寄せられるハジメの存在は無視できないものとなっていた。

ハジメは光輝の内面に生じつつある感情を察していたが、それ以上踏み込まず、ユエ達との合流と大迷宮攻略を優先した。

第三章 希望をこの手に

ハルツィナ樹海の大迷宮

大迷宮の試練

その後も大迷宮は、単純な戦闘力だけでは突破できない試練を次々と仕掛けた。魔物は数と特殊能力を利用して一行を追い込み、ハジメ達は敵の性質や試練の意図を見極めながら進んだ。

光輝達は大迷宮の過酷さに苦戦しながらも戦い続けたが、既に複数の大迷宮を攻略してきたハジメ達との差は大きかった。光輝はその現実を目の当たりにし、ハジメへの対抗意識をさらに強めていった。

ゴキブリの大群

地下空間では、飛行するゴキブリのような魔物が圧倒的な数で襲来した。鈴は強い嫌悪と恐怖を抱きながら聖絶を展開したが、障壁の外側は瞬く間に黒い群れで埋め尽くされた。いくら倒しても勢いが衰えないため、単純な殲滅では突破できない状況となった。

ハジメ達は、この試練が神の使徒を思わせる数の暴力を再現し、大群そのものではなく、それを生み出す大本を叩く必要性を教えるものだと推測した。しかしハジメは用意された攻略方法に従う必要はないとして、ユエと共に正面から突破する道を選んだ。

ユエの五天龍

追い詰められた状況でユエは、炎、雷、氷、風、土と重力を組み合わせた最上級魔法を次々と放った。嵐龍、蒼龍、雷龍、氷龍、石龍からなる五天龍が敵の群れを蹂躙し、大規模な攻撃によって戦況を覆した。

ハジメとユエは大迷宮側の想定を超える力で試練を突破していった。二人にとって大迷宮が定めた攻略手順は絶対ではなく、自分達の力で仕組みそのものを打ち破ることも攻略方法の一つであった。

理想世界の罠

さらに一行は精神へ直接干渉する試練を受け、それぞれが望んでいた理想の世界を見せられた。ハジメは異世界へ召喚されず、平穏な日常の中でユエやシア達と暮らす世界を体験した。ユエは過去の国が滅びず、裏切りもなく、ハジメを夫として多くの子供と暮らす世界を見ていた。

それらは過去の苦痛をなかったことにし、現在得た大切な存在まで組み込んだ幸福な世界であった。しかしハジメとユエは仮初の幸福を拒み、現実へ戻った。目覚めた二人は互いが本物であることを感覚的に確信し、現実で築いた関係こそ自分達にとって大切なものであることを再認識した。

シアの選んだ現実

シアが見たのは、亡くなった母モナを含め、家族が誰一人欠けることなく暮らしている世界であった。そこではハジメやユエとも早くから出会い、シアは守られるだけで幸せに暮らすことができた。

しかしシアは、弱いまま守られている自分を受け入れなかった。現在の自分を否定せず、痛みや苦しみがあってもハジメやユエと並んで歩く道を選び、理想世界から脱出した。ハジメは戻ってきたシアを抱き寄せて迎え、その成長と自分へ向けられた想いに強い感情を抱いた。

ティオの帰還

ティオも理想世界から脱出したが、目覚めるなり夢の中のハジメによる折檻が生温かったと叫んだ。本物のハジメから発砲され、踏みつけられたティオは、それこそ自分の知るハジメであると歓喜した。

大迷宮が用意した理想世界でさえティオの嗜好には対応できず、ハジメ達は呆れながらも彼女の帰還を迎えた。

現実を選ぶ仲間たち

理想世界の試練は、それぞれが失ったものや心の奥で望んでいた幸福を利用するものであった。それでもハジメ達は、過去の苦痛や喪失まで含めて現在の自分が形作られていることを受け入れ、仮初の幸福より現実を選んだ。

仲間達も次々と夢から戻り、大迷宮の試練を乗り越えていった。精神そのものへ干渉する力はユエやティオですら事前に察知できないほど強力であり、一行はリューティリス・ハルツィナが用意した試練の危険性を改めて認識した。

リューティリス・ハルツィナ

数々の試練を突破した一行は、最奥にある石版へ到達した。石版が輝き、水路を流れる若草色の魔力によって巨大な魔法陣が形成されると、攻略者の記憶を精査する感覚とともに新たな神代魔法の知識が刻み込まれた。

その直後、石版の木が人の顔へと変化し、大迷宮を作った解放者リューティリス・ハルツィナが姿を現した。彼女はハジメ達が複数の大迷宮と自身の試練を乗り越えたことを認め、攻略を祝福した。

第四章 変わりゆく心

雫を乱すハジメへの感情

ハルツィナ大迷宮から帰還した翌朝、雫はフェアベルゲンの森で一人、夜明け前から黒刀を振るっていた。大迷宮で見せられた理想世界や感情反転の試練を思い返すたびにハジメの姿が浮かび、自分が彼へ抱いている感情を友情だと言い聞かせても集中できなかったためである。長時間の鍛錬で疲労した雫は、ようやく大迷宮の異常な環境が信頼を一時的に変化させただけだと結論づけ、平静を取り戻した。

そこへ自己鍛錬の場所を探していたハジメが現れた。雫は突然の登場に激しく動揺しながらも平静を装ったが、ハジメから挙動不審を指摘された。さらにハジメが黒刀を強化するため近づくと過剰に距離を取り、自分でも制御できない反応を見せた。

強化された黒刀

ハジメは昇華魔法を利用して雫の黒刀を改造した。作業を見守るうちに雫は、紅色の魔力光の中で真剣に錬成するハジメの姿に見惚れ、徹夜の疲労もあって眠りかけた。完成後、ハジメは黒刀に電撃を流して雫を起こし、彼女の憤りをよそに新たな能力を説明した。

黒刀には重力魔法、空間魔法、再生魔法、魂魄魔法などが付与され、雷華や爪閃も強化されていた。さらに認証機能を利用することで、発動状態なら長い詠唱を必要とせず、思考や短い言葉だけで最大限の能力を引き出せるようになった。剣戟中に詠唱する余裕がない雫に合わせた改造であり、黒刀は聖剣を上回るほど強力な武器となった。

最後の大迷宮への備え

ハジメが黒刀を強化したのは、最後の大迷宮であるシュネー雪原の氷雪洞窟を攻略した後、魔人族や神の使徒が妨害してくる可能性を警戒したためであった。昇華魔法によってアーティファクト作製能力も向上したため、ハジメは雫だけでなく光輝達の武具も強化し、自分達が不在でも戦える戦力を整えようとしていた。

雫はハジメ達だけで氷雪洞窟へ向かうのかと尋ねた。ハジメは雫一人なら同行させても構わないと口にし、人柄と実力の両面で、自分達以外では雫を最も信頼していると告げた。雫はその言葉に喜びを感じたが、光輝達には雫が必要であり、彼女を連れていけば彼らが暴走しかねないという理由から、実際に同行させるつもりはなかった。

ハジメの自己鍛錬

雫は疲れていながらもその場を離れ難く感じ、ハジメの鍛錬を見学した。ハジメは多数の円月輪に備わる転移機能を利用し、自ら撃った弾丸を四方八方から自身へ転移させ、それを回避、迎撃する訓練を始めた。

やがて円月輪はハジメを球状に取り囲み、狭い空間を電磁加速された弾丸が飛び交った。ハジメは最小限の動きで弾丸をかわし、逸らし、撃ち落としていった。雫は紅い光に包まれたその光景を美しいと感じながら見つめ、安心したように眠りへ落ちた。

磔にされた雫

昼頃、雫は香織の部屋で目を覚ました。眠った雫をハジメが運んできたと聞き、一瞬期待を抱いたものの、実際には重力石の制御訓練を兼ねて十字架へ磔にした状態で浮かせて運ばれていた。雫はあまりの扱いに怒りを募らせ、ハジメに抱いていた熱も一気に冷めた。

その頃、階下ではシアとアルテナの騒動が続いていた。ハジメへ世話を焼こうとするアルテナを警戒したシアは、彼女にプロレス技をかけて追い払おうとしていた。しかしアルテナは屈するどころか、その遠慮のない扱いを楽しんでいるように見え、周囲を困惑させていた。

シアへの特別な想い

騒動を見かねたハジメはシアを抱き寄せ、アルテナをライバルとして心配する必要はないと告げた。ユエがハジメにとって絶対的な存在であるように、シアもアルテナとは比べられない特別な存在となっており、何かあればシアを優先すると明言した。

シアは長く抱いていた不安を吹き飛ばされ、喜びのあまり硬直した。一方、ハジメはアルテナの関心が自分だけではなく、むしろシアに向けられていると指摘した。

アルテナの求めた友達

アルテナはシアに敵意を抱いていたのではなく、遠慮なく接してくれる友達を求めていた。フェアベルゲンの姫として幼い頃から敬われてきたアルテナには、対等に感情をぶつけ合える友人がいなかった。シアから容赦なく関節技をかけられたことで初めて対等に扱われたと感じ、彼女と親友になりたいと願っていたのである。

事情を知ったシアはアルテナと友達になることを受け入れた。しかしアルテナは、さらに恥ずかしく痛い技をかけて遊んでほしいと頼み始めた。シアは彼女を変態だと恐れ、フェアベルゲンの街へ逃走したが、アルテナは嬉々としてその後を追った。

香織とティオへの本心

シアへの態度が明確に変化したことで、香織はハジメに理由を問いただした。ハジメは、シアを他の男へ渡したくないという独占欲を自覚し、ユエの助言を受けて相応の態度を取ることにしたと説明した。ユエに向ける激しい恋愛感情とは異なるものの、シアを愛しいと思う静かで柔らかな感情があり、単なる親愛以上の存在になっていた。

香織は嫉妬しながらも、大切な友人であるシアの願いが叶ったことを喜んだ。そしてシアがハジメの心へ近づけたのなら、自分にも可能性があると考え、改めて想いを貫く決意を示した。ユエはそんな香織を挑発し、二人はいつものように取っ組み合いを始めた。ティオも自分を受け入れるよう迫ったが、ハジメに拒絶されること自体を喜んだ。

その様子を見ていた雫は、香織やシアがハジメに大切にされることを意識し、自分もそこへ加わる可能性を無意識に考えながら、必死にその感情を否定した。

シアへの告白

夕方、アルテナから逃げ回って疲れ果てたシアは、広場でハジメと二人きりになった。ハジメはシアの耳を優しく撫で、穏やかな時間を過ごした後、昼間の言葉について確かめようとするシアを抱き寄せた。

ハジメは、かつてシアが告げた未来は絶対ではないという言葉が正しかったと認めた。そしてシアが愛しく、誰にも渡したくないと告げ、彼女を自分の特別な存在として受け入れた。長く想い続けてきたシアは歓喜し、自分はハジメの特別だと答えた。二人は互いを抱き締め、初めて唇を重ねた。

ユエとシアの絆

二人の様子は、光輝、龍太郎、鈴、雫、香織、ユエ、ティオに最初から見られていた。シアは羞恥に震えたが、ハジメは隠す必要はないと平然としていた。

ユエはシアを抱き締め、よく頑張ったと祝福した。シアにとってユエは、ハジメとの関係を認めてくれた存在であると同時に、旅の中で築いた姉妹や親友のような大切な相手であった。シアは感極まって泣きながらユエへ感謝を伝えた。

香織とティオも自分達の番だと意気込み、ハジメはあまり誘惑しないでほしいと漏らした。シアを受け入れたことで、ユエがいることを理由に他の女性を拒むことはできなくなり、ハジメ自身も香織やティオを大切に思っているため、今後も同じように線を引き続けられるか分からなくなっていた。

鈴の決意

その場で鈴は、次の大迷宮である氷雪洞窟へ自分も連れていってほしいとハジメに頼んだ。鈴は恵里ともう一度会って話すことを望んでおり、そのために大迷宮で力を得た後、魔人族の国ガーランドへ向かう覚悟を決めていた。さらに恵里を連れ戻せた場合には、一緒に日本へ帰してほしいと懇願した。

ハジメにとって恵里は香織を殺した原因の一人であり、既に敵でしかなかった。そのため協力する意思はなかったが、香織本人の視線もあり、即座には拒絶できなかった。

光輝達の同行

光輝も、恵里の目的が自分である以上、彼女と向き合う必要があるとして同行を求めた。同時に、ハルツィナ大迷宮で神代魔法を得られなかったことへの強い悔しさを露わにし、次こそは自分も力を手にすると訴えた。雫は神代魔法を得た自分と比較して暗い感情を抱く光輝の姿に危うさを感じた。

龍太郎も鈴を一人で行かせるわけにはいかないと同行を望み、雫も仲間達のためにハジメへ頭を下げた。ハジメはユエ達に意思を確認したうえで、恵里が少しでも敵意を示せば射殺するという条件を付け、光輝達を氷雪洞窟へ同行させることを認めた。

旅の先にある未来

以前なら拒絶していた頼みを受け入れたことで、ハジメは自分が甘くなったのか、それとも心に余裕が生まれたのかと考えた。ユエはどちらであってもハジメが強くなったことに変わりはないと告げ、自分がハジメを守り、ハジメが自分を守れば最強だと、奈落を出た頃の言葉を返した。

シア、香織、ティオもそれぞれハジメ達を守ると宣言した。旅の終わりが近づく中、ハジメは彼女達と共にいる限り自分達は無敵だと感じた。

ハジメは大迷宮攻略後にはミュウを迎えに行き、地球を見せる約束を果たそうと考えた。さらにカム達やティオの家族、日本で待つ両親についても思いを巡らせた。旅の終わりが見えても考えることは増えていたが、その表情は穏やかであり、寄り添うユエ達と共に、ハジメはこれから訪れる未来へ思いを向けた。

エピローグ

屍獣兵

魔人族の国ガーランドの魔王城では、獣の特徴と高い身体能力を持ちながら魔法も操る異様な兵士達が訓練していた。彼らは一様に意思を感じさせない虚ろな目をしており、その正体は元王国騎士団の遺体から作られた屍獣兵であった。

屍獣兵は、フリードが遺体に魔物の特性を取り込ませ、恵里が降霊術と縛魂によって魂を縛ることで生み出した恵里の私兵団であった。死も痛みも恐れず肉体が滅びるまで戦う兵士となった彼らを、フリードは戦力として認めながらも哀れみ、死者の魂まで弄ぶ恵里に嫌悪を抱いた。しかし、自らも製造に協力した以上は同類であると自嘲した。

神の使徒と招待客

恵里は、それまで魔王城にいた五百体もの神の使徒が姿を消したことをフリードに尋ねた。圧倒的な数の神の使徒を目にした恵里は、神に逆らうことなど不可能であり、自分の選択は間違っていなかったと確信していた。

フリードは、神の使徒達が招待客を迎えに向かい、まずメイン以外の客を連れてくるのだと明かした。その意味を理解した恵里は、間もなく始まるパーティーと再会を楽しみにし、狂気に満ちた笑い声を魔王城に響かせた。

王都に降る銀の輝き

ハイリヒ王国の王都では、優花が子供達を相手に恒例となったナイフの大道芸を披露していた。神山を背に最後の一本を高く投げ上げた優花は、その上空から何か輝くものが降りてくることに気が付いた。

ミレディ・ライセンの予感

ライセン大峡谷の大迷宮入口上空にも銀の輝きが現れた。迷宮最奥から外の様子を確認していたミレディ・ライセンは、ついに何かが始まったことを察した。

小さなゴーレムに重なるように魂の幻影を現したミレディは、普段のふざけた態度を見せず、長かった自分の旅もようやく終わるのかもしれないと静かに天を仰いだ。

エリセンに現れた銀翼

遥か西の海にあるエリセンでは、レミアが海で遊ぶミュウを呼び戻し、二人で昼食を取っていた。ミュウは、シアやハジメと出会った日に初めて食べた思い出の串焼きを嬉しそうに頬張った。

その最中、周囲の男達が空に誰かいることに気付いた。レミアとミュウが見上げると、太陽を背に銀の翼を広げた者が浮かび、無機質な瞳で二人を見下ろしていた。

番外編・月刊フェアベルゲン

氷雪洞窟への出発準備

樹海の大迷宮攻略後、ハジメ達はフェアベルゲンで休養し、翌日に最後の大迷宮である氷雪洞窟へ出発するため打ち合わせを行った。ハジメはフェルニルによってシュネー雪原を短時間で突破できても、本来経験すべきものを見落とす可能性があると鈴達を戒めた。樹海の大迷宮攻略に失敗した光輝達も気を引き締めた。

そこへシアが現れ、翼人族が発行を再開した情報誌【月刊 フェアベルゲン 再編版第一号】を持ち込んだ。魔人族や帝国との戦いで多くの犠牲を出したフェアベルゲンでは、明るい話題を届ける情報誌を復活させ、その第一号でハジメ達を取り上げていた。

男色家にされた光輝

最初に目についた記事では、光輝が亜人女性達からの誘いを断り、ハジメへ熱い視線を向けていたことから、ハジメへ秘めた想いを抱いていると解釈されていた。

光輝はハジメより強くなるという決意の視線だったと必死に否定したが、ユエとシアはハジメを狙っていると警戒した。雫の仲裁で騒ぎは収まったものの、既に情報誌が発行されているため、光輝はフェアベルゲンで男色家と思われている可能性に打ちのめされた。

シア姫のラブロマンス

第一号の特集は、ハウリア族族長の娘であるシアを姫として扱い、ハジメとの恋愛を紹介する内容であった。記事では、樹海を追放されたシアが苦難を乗り越え、運命の相手であるハジメと結ばれた物語として取り上げられていた。シア自身も取材で出会いを運命的に語っていたが、実際にはハジメから雷光を受けたり、肘鉄を食らったりした出来事を美化していた。

シア自身も取材で出会いを運命的に語っていたが、実際にはハジメから纏雷を受けたり、肘鉄を食らったりした出来事を美化していた。さらにハジメが長老達へ、シアは自分の運命の相手だと宣言したことになっていたが、これはシアが話を盛ったものだった。

記事はさらに、シアがユエに勝利してハジメ唯一の存在になり、ユエが身を引いたと勝手に解釈していた。事実を歪められたユエは編集長のマオに怒りを向け、香織達が止める事態となった。

シアからユエへの想い

記事には、シアが仲間達へ抱く本心もそのまま掲載されていた。シアにとってユエは姉のような存在であり、戦いの師匠であり、初めてできた友達でもあった。今の自分があるのはユエのおかげであり、ユエを脅かす存在ならハジメであっても許さないと語っていた。

その言葉を読んだユエは照れながらも、シアへ温かな眼差しを向けた。一方のシアは、自分の率直な言葉がそのまま掲載されていることに耐えられず、円卓に突っ伏した。

香織への尊敬

シアは当初、ユエや自分と比較して悩み続ける香織を鬱陶しく感じていた。しかし、香織が神山で魂だけになっても仲間と共に戦う力を求め、実際に肉体まで変えた姿を見て評価を改めていた。

嫉妬や劣等感を抱えながらも前へ進み続けた香織を、自分より強い女性だと認め、憧れるほど好きだと語っていた。さらに二度と香織を倒れさせず、自分が守ると宣言していた。その本心を知った香織は感激し、隣にいるシアを強く抱き締めた。

ティオへの信頼

ティオについて、シアは変態だと容赦なく評した一方、その本質を高く評価していた。いつも少し離れた場所から仲間を見守り、冷静に心を砕いているティオこそ、ハジメが最も頼りにしている存在なのではないかと考えていた。

シア自身も、ティオが傍にいるだけで安心でき、亡き母モナに似たところがあるため大好きだと明かしていた。さらにティオの変態性はハジメに原因があるとして、ハジメに責任を取るよう求めていた。

ハジメは戸惑いながらも、ティオを変態だからという理由で拒絶することはなく、実際に頼りにしており、傍にいれば安心すると告げた。ティオはその言葉を静かに受け止め、喜びを隠しきれなかった。

鈴と雫への眼差し

光輝と龍太郎についてはほとんど興味がないとしたシアだったが、鈴については、ユエとシア、香織と雫の姿を寂しそうに眺めていたことに気付いていた。その理由も察しており、鈴が折れることなく次の旅への同行を願ったことを喜び、頑張ろうとする彼女を好ましく思っていた。

雫については、さっぱりして見えて実際には物事をこじらせやすく、香織を支えているようで自分の方が香織を頼っていると評していた。仲間達を肉食動物に例えるなら、雫だけは草食動物のような可愛らしさがあると語り、雫を激しく動揺させた。

シアが大切にする未来

シアは最後に、自分が最も大切にしているものは未来だと語っていた。占術師であるシアにとって未来の予想は当たるものではなく、自ら努力して当てるものであり、頑張れば素敵な未来へ進めると考えていた。

本心を誌面で晒されたシアは羞恥に耐えられなくなったが、自分だけが恥ずかしい思いをすることに納得せず、仲間達の記事も読むことにした。

ハジメの二つ名

次の記事ではカムが自らの二つ名を名乗り、さらにハジメの二つ名まで語ろうとしていた。ハジメは即座に銃を撃ち、全員を制止すると、該当部分を雑誌から破り取って焼却した。

しかし情報誌は既に発行されており、ハジメの武勇伝と恥ずかしい二つ名がフェアベルゲン中へ広まっている可能性は高かった。シアも一族の記事が出回っていることを思い、再び円卓へ突っ伏した。

ユエと香織の関係

続く資格者達の人間関係を扱った記事では、ユエと香織の関係が取り上げられた。二人は取材中も互いを罵り合っていたが、その表情は楽しそうであり、それぞれが相手との時間を大切にしていると分析されていた。

さらに香織は、自分を崇拝する者からユエへの闇討ちを提案された際、ユエは大切な友達だから手を出せば許さないと激怒していたことまで明かされた。二人は互いを好きではないと言い張ったものの、揃って照れを隠せなかった。

ユエとティオの関係

記事は、ユエがティオへ深い敬意と好意を抱いていることにも触れていた。ユエは普段ティオの変態性に呆れていたが、変わらず傍にいてくれることへ安心感を抱いていた。

ティオからその本心を指摘されたユエは否定しながらも、羞恥に耐えられず円卓へ突っ伏した。一方、雫のコメントは真面目すぎて面白くないという理由だけで割愛され、雫も別の意味で落ち込んだ。

ティオにとっての奇跡

ティオは取材で、ユエ達をライバルではなく奇跡だと表現していた。奈落から這い上がったハジメ、三百年の封印から解放されたユエ、この時代で唯一魔力を持って生まれた兎人族のシア、神の使徒の肉体を手に入れた香織が出会い、共に旅をしていること自体が奇跡であると考えていた。

ティオは自分がその奇跡の中にいられることを幸せだと語っていた。改めて仲間達の前でその言葉を読まれたティオは、普段の余裕を失って恥ずかしさに身悶えた。

ユエが望むハジメの未来

最後に掲載されていたのはユエの言葉であった。ユエは、ハジメに奈落から連れ出してもらったことで生きる意味を得て、親友や憧れ、喧嘩友達とも出会えたと語っていた。そして、これからも自分はハジメから多くの大切なものを受け取るのだろうと考えていた。

だからこそユエは、ハジメにも人や物を問わず、たくさんの大切なものを得てほしいと願っていた。旅が終わった時、数多くの大切なものに囲まれ、日の当たる場所で笑うハジメを見たいという願いが、シアを受け入れた理由にもつながっていた。

その本心を初めて知ったハジメは、激しく照れて円卓に突っ伏した。ユエ、シア、香織、ティオも既に同じ状態であり、仲間達の率直な想いを知った一同は、気恥ずかしさと嬉しさからしばらく顔を上げられなかった。

月刊フェアベルゲンの大人気

【月刊 フェアベルゲン 再編版第一号】は亜人女性を中心に爆発的な人気を得て、重版を繰り返した。特にシアとハジメの物語は、苦難を乗り越えて想いを叶えたシンデレラストーリーとして憧れを集めた。

やがてシアの物語はフェアベルゲンを代表する童話や物語として書籍化され、後世まで語り継がれることになった。

ありふれた7レビュー
まとめ
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