- 物語の概要
- 書籍情報
- あらすじ・内容
- 感想
- 今までのハジメなら、何とかしてくれると思っていた
- 魔王の正体から始まる嫌な流れ
- ユエを奪われるという最大級の絶望
- エヒトがユエの身体を使ってくるのが最悪すぎる
- 奈落の底より、さらに下へ
- ミュウちゃんが止めに入るのが最高にかっこいい
- 守られてきたミュウが、今度はハジメを救う
- 仲間からボコボコにされて正気に戻るのも、この作品らしい
- あの日とは違う。今のハジメには仲間がいる
- 落ちたのならば、また上がればいい
- 「仲間がいれば無敵」がここで効いてくる
- 懐かしいキャラクターが集まり始めて察する
- それぞれの因縁にも決着の時が近づく
- 胃が痛くなる前半と、ワクワクする後半
- ハジメの本当の強さは「負けた後」にあるのかもしれない
- まとめ|どん底まで落ちた。なら、あとは上がるだけである
物語の概要
■ 作品概要
最後の大迷宮【氷雪洞窟】を攻略し、シュネー雪原を脱出した直後の南雲ハジメ一行を待ち受けていたのは、魔国総大将フリード・バグアー率いる500体の「神の使徒」であった。
フリードは空間魔法のゲート越しに、人質としたミュウ、レミア、そして畑山愛子らクラスメイトの姿を提示し、ハジメらを魔国ガーランドへと誘い出す。
魔王城での謁見中、ユエの叔父を自称する魔王ディンリード(その正体は眷属神アルヴ)の欺瞞をハジメが看破したことで戦闘が勃発する。
しかし、創世神エヒトの降臨により、ユエの肉体はエヒトの依り代として完全に奪取される。
最愛の存在を失い絶望したハジメは、全ての存在を情報レベルで抹消する概念魔法「存在否定」を創造し、敵軍を掃討するが、その精神は虚無へと堕ちかける。
最終的に、人質から解放されたミュウの叱咤によってハジメは人間性を取り戻す。
エヒトが宣言した「3日後の世界滅亡」を阻止し、神域へと連れ去られたユエを奪還するため、ハジメと仲間たちは再起し、最終決戦への準備を開始する。
■ 主要キャラクター
- 南雲ハジメ: 主人公。人質を盾にされ魔王の招待に応じるが、目の前でユエを奪われる。極限の虚無感から昇華魔法を基根とした概念魔法「存在否定」を発現させる。
- ユエ: 吸血姫。叔父の記憶を利用したアルヴの欺瞞に動揺するが、エヒトの降臨により肉体を完全に支配される。魂は消滅しておらず、肉体の深層で抵抗を続けている。
- シア・ハウリア: ハジメの仲間。本能的な勘と身体能力で使徒を圧倒し、絶望に沈んだハジメを物理的に叱咤して再起させる。
- ティオ・クラルス: 竜人族。魂魄魔法で魔王の正体を見抜く。初代竜人の魔力をねじ伏せて真の力を得、禁域解放によって使徒と渡り合う。
- 白崎香織: 再生魔法使い。機能停止状態から愛子の援護で復活。暴走するハジメを説得し、精神的な支えとなる。
- 畑山愛子: 社会科教師。自身の血で魔法陣を描き、魂魄魔法「鎮魂(レクイエム)」を広域発動。エヒトの「神言」による束縛を打破する決定的な役割を果たす。
- ミュウ: ハジメを「パパ」と慕う海人族。人質となるが、暴走するハジメの前に立ち塞がり、その心を救う「勇者」としての役割を果たす。
- フリード・バグアー: 魔国総大将。エヒトを狂信し、ハジメを魔王城へ誘い出す。
- 中村恵里: 亡霊を操る少女。天之河光輝を「縛魂」で隷属させ、ハジメらを追い詰める。
- ディンリード(アルヴ): 魔王。正体はエヒトの眷属神アルヴであり、ユエの過去を利用して彼女を依り代として捧げる準備を整えた。
- エヒト: 創世神。ユエの肉体を乗っ取り、「神言」を駆使してハジメらを圧倒。3日後の世界滅亡を宣言し、神域へ帰還する。
書籍情報
ありふれた職業で世界最強 11
著者:白米良 氏
イラスト:たかやKi 氏
出版社:オーバーラップ
発売日:2020年7月25日
ISBN:978-4-86554-698-9
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あらすじ・内容
――決戦、開始
【氷雪洞窟】を攻略し、ついに全ての神代魔法を手に入れたハジメ。
日本に帰還できる喜びもつかの間、一行を待ち受けていたのは、魔王が遣わした圧倒的戦力。
魔王城へ招待されたハジメ達は、クラスメイトのみならず、ミュウまでも人質に取られたことを知り、従わざるを得ず――。
そこで待ち受けていた魔王はまさかの人物で……!? さらには、動揺したユエが敵の術中に陥れられてしまい……!?
神は嗤う――「最後の遊戯だ」と。
いま、最終決戦の火蓋が切られる。“最強”異世界ファンタジー、第11巻!
感想
いよいよ最終決戦の始まりを告げる巻まで来た。
全ての大迷宮を攻略し、神代魔法を手に入れた。
日本へ帰るための手段も見えてきた。
長かった旅もようやく終わりが見えてきたと思ったところで、待っていたのは魔王側の圧倒的な戦力だった。
しかも人質に取られたのはクラスメイトだけではない。
ミュウまで捕らえられている。
これではハジメも強引に突破することができない。
そして魔王城で待っていたのは、さらに予想外の展開である。
ユエの身体を奪った神エヒト。
ここまで何度も絶望的な状況を力ずくで突破してきたハジメが、今までとは比較にならないほどのどん底へ叩き落とされる。
読んでいて胃が痛くなるような絶望を前菜として叩き込まれ、そこからようやく反撃の準備が始まる。
まさに次巻へ向けた巨大な「溜め」の一冊だった。
今までのハジメなら、何とかしてくれると思っていた
これまでの『ありふれた職業で世界最強』では、どれだけ強い敵が出てきても、
「まあ、ハジメなら何とかするだろう」
という安心感があった。
大迷宮だろうが神の使徒だろうが、ハジメは常識外れの兵器と発想で突破してしまう。
むしろ敵が自信満々で出てくるほど、
「今回はどうやって叩き潰すのだろう」
と楽しみにしていたくらいである。
しかし今回は違う。
敵もハジメのことを理解している。
単純に戦うのではなく、ハジメが無視できない存在を人質にする。
特にミュウを押さえられたのが痛い。
ハジメにとってミュウは、もはや旅の途中で助けた子供ではない。
完全に娘である。
だからこそ、いつものように敵をまとめて吹き飛ばすことができない。
圧倒的な力を持っていても、大切なものが増えれば弱点も増える。
ここまでの旅でハジメが築いてきた人間関係そのものが、敵に利用されてしまうのである。
強くなれば何でも解決できるわけではない。
その現実を突きつけられる展開がかなり苦しかった。
魔王の正体から始まる嫌な流れ
魔王城へ連れて行かれてからも、嫌な流れが続く。
特にユエにとって、過去と向き合わされる展開があまりにも厳しい。
前巻の氷雪洞窟でも、ユエは300年前の記憶を突きつけられていた。
それでもハジメへの想いは揺るがなかった。
過去をやり直せたとしても、もう一度同じ道を選ぶ。
そう言えるほど覚悟を決めていた。
だから、
「もうユエは大丈夫だろう」
と思っていたのである。
ところが敵は、その過去そのものを利用してくる。
ユエにとって最も触れられたくない部分を狙い、心を揺らし、わずかな隙を作る。
そして、その一瞬を逃さない。
このあたりは本当に嫌らしい。
単純な戦闘力ではハジメたちに勝てないからこそ、精神的な傷や人間関係を徹底的に利用してくる。
最終決戦の敵らしい容赦のなさである。
ユエを奪われるという最大級の絶望
そして、とうとうユエが奪われる。
これはハジメにとって、奈落へ落とされたとき以上の絶望だったのではないかと思う。
奈落に落ちたときのハジメは一人だった。
裏切られ、魔物に腕を食われ、生き残るために自分自身を作り変えた。
あそこがハジメという人間の原点である。
しかし今は違う。
ユエがいる。
シアがいる。
ティオがいる。
香織がいる。
雫や鈴たちがいる。
ミュウもいる。
守りたいものが増えた。
帰る場所もできた。
そして何より、奈落で最初に出会い、ここまでずっと一緒に歩いてきたユエがいる。
そのユエを奪われる。
しかも、ただ連れ去られるのではない。
身体そのものをエヒトに乗っ取られるのである。
これはきつい。
ここまでハジメが積み上げてきたものを、一番嫌な方法で壊しにきている。
エヒトがユエの身体を使ってくるのが最悪すぎる
エヒトのやり方が本当に悪趣味である。
ハジメにとって最愛の存在であるユエ。
その身体を奪い、その姿のままハジメを傷つける。
単純に強い敵と戦うより、よほど残酷だ。
ハジメなら普通の敵には容赦しない。
どれほど強くても殺すだけである。
しかし目の前にいるのはユエの身体だ。
壊すことはできない。
殺すことなど論外である。
それでも相手は容赦なく攻撃してくる。
ハジメが得意としてきた、
「敵ならぶっ殺す」
という単純明快な解決方法が使えない。
さらに武器まで奪われ、仲間も次々と押さえ込まれていく。
これまで散々無茶苦茶をしてきたハジメが、一方的に追い詰められていく。
読んでいてかなり苦しい展開だった。
奈落の底より、さらに下へ
ハジメは一度、奈落の底から這い上がった男である。
だから精神的にも強い。
簡単には折れない。
そう思っていた。
しかし今回は折れる。
それも当然なのだと思う。
奈落では、自分が生きるために戦えばよかった。
今回は違う。
ユエを奪われた。
仲間も傷ついた。
自分の作った武器も失った。
手を伸ばしても届かない。
あれほど力を求め続けたのに、最も大切な存在を守れなかった。
奈落の底より、さらに下である。
だからこそ、その後のハジメの暴走も分からなくはない。
エヒトが消えた後、ハジメは完全に自分を見失ってしまう。
敵も味方も関係ない。
目の前にいる存在を消していく。
今までのハジメも敵には容赦がなかったが、そこには明確な線引きがあった。
今回はその線まで消えている。
ここまで壊れたハジメを見るのは珍しい。
ミュウちゃんが止めに入るのが最高にかっこいい
そんなハジメを止めたのがミュウだった。
ここが今巻で一番印象に残った。
ハジメが暴走し、完全に周囲が見えなくなっている。
普通なら近づくだけでも怖い。
実際、とんでもない力を振り回している状態である。
しかしミュウは逃げない。
ハジメの攻撃から怯える親子を守るため、その前へ立つ。
かっこよすぎる。
幼い女の子である。
戦闘能力があるわけでもない。
それでもハジメの前に立てる。
なぜなら、ハジメを信じているからである。
ミュウにとってハジメは「パパ」なのだ。
だから、
「いつもの強いパパに戻って」
と真正面からぶつかっていける。
この場面にはかなりグッときた。
守られてきたミュウが、今度はハジメを救う
考えてみると、ミュウとハジメの関係も大きく変わった。
最初に出会った頃のミュウは、ハジメに助けられる存在だった。
誘拐され、危険な目に遭い、ハジメたちに守られて母親のもとへ帰った。
そこからミュウはハジメを「パパ」と呼ぶようになる。
ずっと守られる側だった。
しかし今巻では逆である。
壊れかけたハジメを、ミュウが止める。
戦闘力では絶対に勝てない。
それでも、ハジメの心には届く。
これは強い。
前巻ではシアや鈴たちの精神的な成長が印象的だったが、今回はミュウの強さが光っていた。
強さとは敵を倒せることだけではない。
大切な人が間違った方向へ進もうとしたとき、怖くても前に立てる。
ミュウは十分に「勇者」だったと思う。
仲間からボコボコにされて正気に戻るのも、この作品らしい
もちろん、ミュウだけですべて解決するわけではない。
ミュウがハジメの心に隙を作り、そこへ仲間たちが容赦なく入ってくる。
特に香織である。
遠慮なく殴る。
そして、
「ユエを取り戻すんじゃないのか」
とハジメを現実へ引き戻す。
シアもティオも雫も加わる。
普通ならかなり重苦しい場面なのだが、仲間たちによってボコボコにされながら正気へ戻っていくのが『ありふれた』らしい。
だが、この場面は単なるギャグではない。
ハジメは一人では戻れなかった。
ここが重要なのだと思う。
あの日とは違う。今のハジメには仲間がいる
奈落へ落ちたとき、ハジメは一人で這い上がった。
誰も助けてくれなかった。
だから自分だけで強くなった。
しかし今回は違う。
ユエを奪われ、奈落以上の絶望へ落ちたハジメを引き上げたのは仲間たちである。
ミュウが止める。
香織が殴る。
シアが支える。
ティオが支える。
雫も声をかける。
それぞれが自分なりの方法でハジメを現実へ連れ戻す。
これまでハジメが助けてきた人たちが、今度はハジメを助ける。
ここが本当に良かった。
ハジメ自身も変わったのだ。
奈落にいた頃なら、他人の言葉など聞かなかったかもしれない。
だが今は、仲間の言葉が届く。
守りたい人が増えたことは弱点になった。
敵にも利用された。
それでも同時に、その人間関係がハジメを救っている。
弱点であり、強さでもある。
この関係性が好きである。
落ちたのならば、また上がればいい
今巻を読んでいて一番感じたのはこれだった。
落ちたのならば、上がればいい。
ハジメは一度それをやっている。
奈落へ落ちた。
腕を失った。
心も壊れかけた。
それでも這い上がった。
今回も同じである。
ただし、前回とは条件が違う。
今度は一人ではない。
奈落のとき以上に深いところへ落ちたのなら、今度は仲間たちと一緒に這い上がればいい。
ユエを奪われた。
なら取り返せばいい。
エヒトに負けた。
なら次は勝てばいい。
武器を壊された。
ならまた作ればいい。
やることは意外なほど単純である。
一度正気に戻ったハジメが再び前を向き始めると、いつもの安心感が戻ってくる。
絶望的な状況なのに、
「今度はエヒトがどういう目に遭うのだろう」
という方向へ気持ちが変わっていくのが面白かった。
後は思い知らせてやるだけである。
「仲間がいれば無敵」がここで効いてくる
ミュウがハジメを励ます場面も好きだった。
ハジメ一人が最強なのではない。
ユエがいる。
シアがいる。
香織がいる。
ティオがいる。
雫たちもいる。
これまで出会ってきた人たちもいる。
仲間がいるから無敵なのである。
これはシリーズ序盤のハジメからすると、かなり大きな変化だと思う。
最初のハジメなら、
「他人なんて信用できない」
となってもおかしくなかった。
実際、奈落へ落ちる原因もクラスメイトの攻撃だった。
そこからユエと出会い、シアと出会い、ティオや香織、ミュウたちと関わってきた。
気がつけば、一人で戦う男ではなくなっている。
最強の力だけでは勝てなかった今回だからこそ、この言葉が響いた。
懐かしいキャラクターが集まり始めて察する
そして後半になると、懐かしいキャラクターたちが次々と動き始める。
ここまで読んできた身としては、
「ああ、いよいよクライマックスなんだな」
と嫌でも察する。
これまでハジメたちが旅してきた場所。
そこで出会った人々。
助けた人。
助けられた人。
敵対した相手。
それぞれが最終決戦へ向けて動き始める。
こういう展開には弱い。
長いシリーズだからこそできる総力戦である。
序盤では一つの街、一つの国でしかなかった世界が、ハジメたちの旅によって少しずつつながってきた。
その積み重ねが最後に一つへ集まっていく。
物語が終盤へ入ったことを強く感じさせる展開だった。
それぞれの因縁にも決着の時が近づく
最終決戦というだけあって、ハジメだけが戦うわけではない。
それぞれに因縁の相手がいる。
ここまで積み残してきた問題もある。
単純にエヒトを倒せば全部終わり、という感じではない。
それぞれが自分の戦いへ向かわなければならないのである。
この「総力戦が始まる」感じがたまらない。
RPGで言えば、本当にラスボス前である。
仲間を集める。
装備を整える。
作戦を立てる。
これまで出会った人たちが力を貸してくれる。
そして、それぞれの因縁へ決着をつけに行く。
戦いそのものは次巻へ持ち越される部分が大きい。
だから今巻だけで見ると、かなり「溜め」の色が強い。
しかし長くシリーズを追ってきたからこそ、この準備期間まで楽しいのである。
胃が痛くなる前半と、ワクワクする後半
今巻は前半と後半で読んでいる感覚がかなり違った。
前半はとにかく苦しい。
人質。
魔王城。
ユエの過去。
エヒト。
ユエの身体の乗っ取り。
ハジメたちの敗北。
武器の喪失。
そしてユエとの別離。
これでもかというくらい絶望を積み上げてくる。
正直、胃が痛くなる。
ところがミュウたちによってハジメが正気を取り戻してから、空気が変わる。
絶望が消えたわけではない。
戦力差も大きい。
ユエも戻っていない。
それでも、
「どうやってエヒトをぶっ飛ばすのか」
という話になっていく。
この切り替わりが気持ちよかった。
ハジメの本当の強さは「負けた後」にあるのかもしれない
ハジメは強い。
武器も強い。
発想もおかしい。
戦闘能力も異常である。
しかし今巻を読んでいて感じたのは、ハジメの本当の強さは無敗であることではないということだった。
負けても立ち上がる。
これである。
奈落でも負けた。
今回もエヒトに完全敗北した。
しかし生きている。
だったら終わっていない。
落ちたのなら上がればいい。
奪われたのなら取り返せばいい。
負けたのなら次は勝てばいい。
非常にハジメらしい。
しかも今回は一人ではない。
奈落から始まったハジメの物語が、ここまで来て「仲間と一緒に這い上がる物語」へ変わっている。
そこにシリーズを通した成長を感じた。
まとめ|どん底まで落ちた。なら、あとは上がるだけである
『ありふれた職業で世界最強 11』は、最終決戦前の大きな溜めとなる一冊だった。
ようやく全ての大迷宮を攻略した。
日本へ帰る道も見えた。
これで終わりが近い。
そう思った瞬間に、全部ひっくり返される。
人質を取られ、魔王城へ連れて行かれ、ユエを奪われる。
エヒトによって徹底的に叩き潰され、ハジメは奈落へ落ちたとき以上の絶望を味わう。
読んでいてかなり苦しい。
それでも、一番印象に残ったのは絶望そのものではなかった。
ミュウである。
暴走するハジメの前へ、小さなミュウが立つ。
いつもの強いパパに戻れと叫ぶ。
守られてきた少女が、今度はハジメを守る。
あの場面は本当にかっこよかった。
そしてミュウをきっかけに、シア、香織、ティオ、雫たちがハジメを引き戻す。
奈落のときとは違う。
今のハジメには仲間がいる。
自分がこれまで守ってきた人たちが、今度は自分を支えてくれる。
長く続いてきた旅の積み重ねを感じる場面だった。
さらに懐かしいキャラクターたちも集まり始める。
ここまで来れば察する。
いよいよクライマックスである。
それぞれの因縁。
それぞれの戦い。
そしてハジメにとって最大の目的であるユエ奪還。
相手は神。
一度は完全に敗北した。
だから何だというのだろう。
ハジメは奈落から這い上がった男である。
今回もどん底まで落ちた。
ならば、あとは上がるだけだ。
ユエを取り戻し、エヒトに思い知らせてやればいい。
胃の痛くなるような絶望をこれでもかと叩き込まれたからこそ、反撃への期待も大きくなる。
長かった『ありふれた職業で世界最強』も、ついに総力戦へ。
次巻でハジメたちがどんな反撃を見せるのか。
そして、ハジメは最愛のユエを取り戻せるのか。
ここまで積み上げてきたものが一気に爆発しそうな、最終決戦直前の一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
ストーリー・プロット
①【雪原の対峙と人質の提示】
氷雪洞窟攻略直後のハジメ一行の前に、フリードと500体の使徒が出現。ハジメは強硬突破を図るが、フリードがミュウ、レミア、愛子、そしてクラスメイトらの拘束状況をゲート越しに提示したことで、魔王の「招待」に応じる決断を下す。
②【魔王城への潜入と謁見】
魔国ガーランド・魔王城へ案内された一行は、檻に囚われた人質たちの無事を確認する。ハジメは武装解除を拒否しつつ、魔王との対話に臨む。
③【偽りの再会と叔父の欺瞞】
魔王ディンリードはユエを「アレーティア」と呼び、300年前の封印は彼女を守るためだったと語る。ユエは動揺するが、ハジメはティオの魂魄魔法と魔眼を駆使し、魔王の正体が魂魄レベルで変質した眷属神アルヴであることを看破。先制攻撃によって状況を打開しようとする。
④【神の降臨とユエの喪失】
ハジメは優勢を築きかけるが、エヒトがユエの肉体に直接降臨し、世界の法則を上書きする権能「神言(しんごん)」を行使する。エヒトはユエの視線を利用し、ミュウらの安全を盾にハジメに攻撃の機会を失わせる。結果としてハジメは防御に回らざるを得ず、その隙にユエの肉体は完全に奪取される。
⑤【虚無からの覚醒と存在否定】
「神言」による拘束により窮地に陥る一行だが、愛子が自身の血で魔法陣を描き、魂魄魔法「鎮魂(レクイエム)」を発動したことで精神干渉が打破される。香織、シアらが再起する中、ユエを失った極限の虚無に陥ったハジメが新概念魔法「存在否定」を発動。対象を「存在しない」という情報へ書き換える力でアルヴと使徒を掃討する。
⑥【小さな勇者の介入と反撃の誓い】
敵味方の区別を失い暴走しかけたハジメの前に、ミュウが立ちはだかり、その人間性を呼び戻す。ハジメは正気を取り戻し、ユエの魂が抵抗を続けていることがエヒトの早期撤退を招いた事実(希望)を認識する。一行は3日後に迫る決戦の地、神域への侵攻を誓い、準備を開始する。
主要な転換点
転換点名称,以前の状況,出来事,変化と影響
ミュウ・愛子らの人質発覚,帰還に向けた準備,フリードによる人質提示,ハジメが魔王城への移動を承諾し、敵陣へ足を踏み入れる。
魔王の正体露見,叔父との再会によるユエの動揺,ハジメの看破と狙撃,懐柔策が失敗し、神の勢力との直接戦闘が開始される。
エヒトによる肉体奪取,ハジメ優勢の戦闘状況,ユエへの完全憑依,ハジメが唯一無二のパートナーを失い、精神的虚無に陥る。
ミュウによる精神救済,「存在否定」によるハジメの暴走,ミュウが命懸けで制止,ハジメが人間性を取り戻し、ユエ奪還の目的を再定義する。
主人公を中心とした人物関係の変化
- ハジメ ⇔ ユエ: 信頼関係に基づくパートナーから、神に奪われた「最優先奪還対象」へ。ユエの魂の抵抗がハジメに希望を与え、魂の絆が再確認される。
- ハジメ ⇔ ミュウ: 保護対象としての娘から、ハジメの暴走を止める「精神的な支え(小さな勇者)」へと認識が昇格する。
- ハジメ ⇔ クラスメイト: 以前までの冷淡な態度が緩和され、共通の敵であるエヒト打倒および地球帰還を目指す明確な「協力関係」へと再編される。
主人公の認識と周囲の評価
- ハジメ自身の認識: 「ユエがいない世界には価値がない」と考え、世界そのものの存在意義を消去しようとする極限の依存性と精神的な脆さが露呈。この虚無感が概念魔法「存在否定」の源泉となった。
- 周囲(シア・香織・ミュウ)からの評価: どんな絶望的状況でも最終的には活路を開く「無敵の存在」という絶対的信頼。彼が絶望した際には、周囲が彼を「修正」すべき対象として厳しく律する強固な絆が形成されている。
- 認識の差が現れた場面: ハジメが自分を「手遅れ」と判断して暴走した際、ミュウや香織がそれを拒絶し、身体的打撃や叱咤を伴って彼を現実に引き戻した一連の場面。
クライマックス
玉座の間における最終決戦では、エヒトがユエの肉体を通じて「神言」を行使した。これは単なる魔法ではなく、対象の魂魄に直接命令を下し世界の法則を強制上書きする権能であり、一行を絶望的な無力化へと追い込んだ。ハジメが敗北した直接的要因は、エヒト(ユエ)への攻撃機会を得た際、ユエの瞳が「ミュウとレミアの保護」を優先するよう懇願し、ハジメがそれに応えて防御に回った戦術的選択にある。その後、ハジメは概念魔法「存在否定」を発動。対象を「存在しない」という情報に書き換えることで、使徒やアルヴを消滅させる対抗手段を見せた。最終的にエヒトが去ったのは、肉体内でユエの魂が激しく抵抗を続けており、完全同調のための「調整」が必要になったためである。この抵抗の事実こそが、ハジメに再起の光を与えた。
巻末時点の状況
- ハジメの所在: 魔王城・玉座の間にて、香織と愛子の治療を受け回復中。
- ユエの状況: エヒトに肉体を支配され、神域へ連れ去られた状態。魂は消滅せず抗い続けている。
- 残された時間: エヒトが宣言した世界滅亡(神域からの軍勢降臨)まで残り3日。
- ハジメの所持品: 宝物庫の破壊に伴い、「ドンナー&シュラーク」「オルカン」「大盾」「クロスビット」「ドリュッケン」「黒刀」「双鉄扇」等の主要兵装が全て消滅。ハジメ自身の「義手」も砂塵となり崩壊している。
- 技術的懸念: 再召喚を防止する概念魔法が未完成であり、再錬成の必要性と併せて極めて危機的な戦力状況にある。
- 今後の目標: 神域への侵攻手段を確立し、ユエを奪還、創世神エヒトを打倒すること。
魔王城での人質
最後の大迷宮である氷雪洞窟を攻略した直後、主人公一行を待ち受けていたのは魔国ガーランド勢力が仕掛けた大規模な罠であった。フリードや中村恵里、そして多数の神の使徒により実行された魔王城での人質事件は、仲間や大切な存在を巻き込む苛烈な局面を形成する。拘束の経緯から対峙の様子、そして救出後の展開について整理する。
二つの人質グループと拘束の経緯
魔王城の玉座の間では、標的を分断する形で二重の拘束措置が敷かれた。
- 王国関係者およびクラスメイトの拘束 玉座の間に設置された巨大な檻には、王宮に留まっていた畑山愛子やリリアーナ王女をはじめ、永山重吾、遠藤浩介、園部優花、玉井淳史らが捕らえられた。急襲に対して抵抗を試みた重吾や浩介、優花らは深い手傷を負い、満身創痍の状態で捕縛されるに至った。
- ミュウとレミアの拘束 クラスメイトのみでは脅迫の効果が薄いと判断した敵陣営は、最大の切り札として海人族の少女ミュウとその母レミアを別の檻へ隔離した。主人公と二人の深いつながりに関する情報は、過去の探索記録を把握していた中村恵里によってもたらされた。
圧倒的な敵意と脅迫への対応
空間転移の門を介して人質の姿を提示された主人公は、一切の妥協を排した冷徹な対応を選択した。
- 羅針盤による実在確認と威圧 導越の羅針盤を用いて人質の真偽を確かめた瞬間、周囲の魔獣が恐慌をきたして落下するほどの苛烈な気迫を放った。
- 武装解除の拒絶と殲滅の通告 提示された魔力封じの拘束具を踏み砕いて一蹴し、人質に危害が加えられた場合は相手陣営の全構成員を根絶やしにすると宣告した。人質交換に応じることなく、強硬な姿勢を崩さずに進軍を開始した。
玉座の間における激戦と自力反撃
魔王城へ突入後、予期せぬ神の降臨によって生じた壊滅的な危機に対し、捕らわれていた者たちも結束して反撃に転じた。
- 拘束機構の一時的解除 神への反意を秘めていた魔王側の介入により、使徒の機能が一時的に阻害され、檻の封印が解かれる契機が生じた。
- クラスメイトたちによる連携 優花の指揮のもとで浩介が完全に気配を絶って潜入し、奪われていた香織の双大剣を奪還して雫へ渡すことに成功した。
- 精神的束縛の解除 愛子が自らの血で描いた魔法陣を起点として魂魄魔法を発動し、神言による麻痺状態に苦しむ仲間たちを行動可能な状態へと回復させた。
- 新たな概念魔法の解放 身動きの取れない状況下でミュウに危害が及ぼうとした刹那、激しい怒りと絶望から対象の存在そのものを否定する新たな概念魔法が放たれ、迫る脅威を一瞬で消滅させた。
救出後の影響と役割分担
過酷な危機を脱した一行は、来たるべき最終決戦を見据えて新たな体制を構築した。
- 精神的支柱による沈静化 感情の暴走によって周囲を巻き込みかけた主人公の前にミュウが立ちはだかり、呼びかけを通じて冷静さを取り戻させた。
- 人類連合軍における中核的任務 救出された愛子とリリアーナは民衆の統率や軍全体の象徴的指導者を担い、優花は仲間たちの統括、健太郎は防衛要塞の構築を推進した。
- 後方支援体制の確立 安全な拠点へ退避したミュウとレミアは、生体兵器の遠隔運用や物資の管理を通じて主力部隊を後方から支える役割に就いた。
まとめ
魔王城における人質事件は、敵対勢力の非情な謀略を露呈させるとともに、囚われの身となった者たちの不屈の闘志を引き出す転機となった。危機を乗り越えて築かれた強固な協力体制は、神域へと向かう決戦において不可欠な基盤を形成する。
邪神エヒトの顕現
魔王城における苛烈な謀略の末に引き起こされた邪神エヒトの顕現は、主人公の一行へ壊滅的な打撃を与え、物語の展開を大きく転換させる契機となる。城内で張り巡らされた策動からユエの肉体強奪、絶対的な権能による蹂躙、そして神域への撤退に至る経緯を以下に整理する。
魔王城の罠と顕現への伏線
狡猾に仕組まれた罠と心理的な揺さぶりにより、一行の防衛体制は徐々に切り崩されていく。
- 魔国ガーランドを統べる魔王の実体は、神エヒトの眷属神であるアルヴが担う
- かつてユエの叔父であった元宰相ディンリードの肉体を奪ったアルヴが、親愛の情を装って接近し精神的な動揺を誘う
- 奇襲に伴う混乱の最中、天空より降り注いだ白銀の光柱がユエを捉えて拘束状態に置く
ユエの肉体強奪と降臨の瞬間
救出の安堵を突く形で、最も過酷な惨劇が発生する。
- 光柱からユエを救い出し抱き留めた直後、その細腕による手刀がハジメの腹部を貫通
- 攻撃を加えた主は本人ではなく、彼女の肉体を最上の器として掌握し現界を果たした創世神エヒト自身
- 三百年前から標的に定めていた完全な肉体を奪い去り、ついに真の降臨を完了
絶対的な権能と圧倒的絶望
ユエの肉体を得たエヒトは、発した言葉そのものが強制力を帯びる神言や神代魔法を駆使し、瞬く間に一行を戦闘不能へと追い込む。
- 一行の完全無力化 絶対の命令を下す神言により、ハジメ、シア、ティオを行動不能へ陥れる。 機能停止を命じる言葉をもって香織が纏う使徒の肉体を奪い、完全な静止状態へ追い込む。 空間の十字架を突き立ててハジメを血の海へ拘束し、精神的麻痺と死の錯覚を付与して雫、龍太郎、鈴の意識を粉砕する。
- 装備と対抗手段の破滅 空間転移を通じてハジメやシアが携える宝物庫の指輪を強奪し、内部の収蔵品ごと握り潰して灰燼に帰す。 愛用の銃器や義手をはじめとする武装群をことごとく粉砕し、反撃の手段を徹底的に剥奪する。 地球へ渡り新たな遊戯を始める野望を口にし、決死の錬成で抗戦を試みる抵抗を圧倒的な力で退ける。
ユエの抵抗と神域への撤退
全滅の危機に瀕する中、肉体の奥底に残る強固な意志が敵の行動を阻害する。
- 五天龍を放ち止めを刺そうとするエヒトに対し、深層から響くユエの思念が身体制御と魔力操作を乱す
- 魂の抵抗を察知したエヒトは、肉体の完全な定着を図るため天空の門を経て神域への一時引き返しを選択
- 狂喜する信徒や使徒を引き連れて神域へ昇天し、ハジメの前には最愛の存在を取り戻すための残り三日という猶予のみが残される
まとめ
すべてを喪失した絶望の果てに突きつけられた短い猶予は、残された者たちを再起へと駆り立てる契機となる。世界の存亡と大切な絆の奪還を懸け、散り散りとなった戦力を結集した人類連合軍による神域侵攻作戦へと戦局は大きく動いていく。
ユエの肉体奪還
物語におけるユエの肉体奪還は、主人公一行が総力を結集して挑む最終決戦の核心となる。魔王城での敗北から神域への侵攻に至る経緯と、奪還へ向けた具体的な方策を以下に整理する。
肉体強奪と3日間の猶予
魔王城の玉座の間において、創世神エヒトはユエの肉体を器として奪い現界を果たす。絶対的な権能で一行を壊滅状態に追い込んだものの、肉体の深層からユエ自身の魂が激しく抗い、魔力制御を乱す事態が生じる。
- エヒトは肉体を完全に掌握するため、神門を通って神域へ一時撤退
- ユエの魂が完全に抑え込まれるまでの3日間が、肉体を取り戻すための絶対的な制限時間となる
絶望からの再起と信義
最愛の存在を奪われた激怒と絶望から、ハジメは存在そのものを否定する新たな概念魔法を発現させて敵勢力を滅ぼす一方、虚無の淵へと沈みかける。
- ミュウの屈託のない笑顔や、香織の叱咤によって正気を取り戻す
- ユエが今も敵の内側で抵抗を続けているという確信を抱き、奪還への闘志を再燃させる
肉体奪還のための装備と開発体制
一行はオルクス大迷宮の最深部に位置する隠れ家へ拠点を移し、対抗装備の開発を急行する。
- 時間拡張と自動生産体制 再生魔法と限界突破を組み合わせ、空間内の時間を10倍に引き延ばすアーティファクトを製作。猶予期間の中で、地上戦用の兵装や専用装備を全自動で大量生産する拠点を構築する。
- 対神言防護具の配備 精神へ干渉する魔法でノイズを生じさせ、絶対命令の効力を魂へ到達する前に拡散・無力化する防護装備を運用。
- 神殺しの概念兵器 解放者たちが遺した概念魔法の短剣を確保。対象の肉体や本来の魂を傷つけることなく、憑依した神の魂のみへ作用する特性を備え、ユエを救出するための切り札となる。
神門突破と神域侵攻戦の開幕
地上では全種族を結集した人類連合軍を組織し、各国の主導者による指揮のもとで迎撃体制を確立する。
- 神山上空に開かれた門に対し、衛星兵器や集束光線、大爆破を伴う各種兵装を一斉に行使して迎撃部隊を粉砕
- 転移用の鍵や空間を貫く矢を撃ち込み、閉ざされた空間の亀裂をこじ開ける
- 主力部隊を率いて上空の扉へ突入し、肉体の奪還と神の打倒を目指して神域へ進軍する
まとめ
過酷な敗北から立ち上がった一行は、短期間で対抗手段を整え、未曾有の神域侵攻作戦へと打って出る。絶望的な状況下にあっても互いを信じ抜く意志が、世界の命運を分ける最終決戦の推進力となる。
人類連合軍の結成
創世神エヒトによる世界の崩壊計画に対抗し、地上を守り抜くため、あらゆる種族や国家が一丸となって人類連合軍を結成する。魔王城での惨劇からわずか三日という限られた猶予の中で、総力を結集して築き上げられた防衛体制の全貌を以下に記す。
結成の経緯と目的
- 魔王城において邪神エヒトがユエの肉体を奪って降臨した際、三日後に神域から無限の軍勢を召喚し、自然やあらゆる生命を根絶やしにした上で異世界へ侵攻する計画が明かされる。
- 神山上空に開く神門から襲来する使徒や魔物の大軍勢を地上で食い止め、別動隊が神域へ突入してユエの奪還とエヒト討伐を果たすため、二正面作戦の防衛基盤として全勢力を統合した連合軍を設立する。
主導者と役割分担
- 南雲ハジメ(創設と武装強化) 連合軍の創設を発案し、極限の錬成技術と時間を引き延ばすアーティファクトを組み合わせた自動兵器工廠を構築する。大量の神話級兵装、対空兵器、重火器を製造して全軍へ配備する。
- リリアーナ王女(総司令官) 若年ながら連合軍の総司令官に就任する。参謀陣の補佐を受けつつ、自ら民衆や将兵へ語りかけて指揮を執り、不退転の覚悟で前線を統率する。
- 畑山愛子(象徴・旗頭) 多様な勢力を結束させる最高の精神的支柱として、豊穣の女神の名のもとに演説を敢行する。魂魄魔法による意識誘導も併用し、将兵一人ひとりを神の戦士や勇者として位置づけ、爆発的な士気の高揚を促す。
- 園部優花(地球組統括リーダー) 極限状況下で発揮された統率力と胆力を評価され、クラスメイトたちや遊撃戦力の統率、精神的支援を担う。
準備体制と導入技術
- 再生魔法を活用して魔王城での敵の告白や惨状を記録映像として再現し、帝国、フェアベルゲン、アンカジ、フューレン、冒険者ギルドなどの各勢力へ提示することで、滅亡の危機と神の裏切りを周知させる。
- 高速移動を可能にする浮遊板で使節や伝令が各地へ飛び、各拠点に空間転移の門を配備することで、短期間のうちに世界各地の兵力や物資を王都へ集中させる。
- 決戦の舞台となる王都前の平野において、土術師の野村健太郎が職人陣や専用装備と連携し、防護壁や巨大高射砲塔を備えた陣地要塞を三日間で急造する。
- 戦火に巻き込まれる王都の一般住民は、空間転移の門を用いて安全な帝国の帝都へ事前退避させ、被害の極小化を図る。
戦力構成と多種族の結集
- 約五十万規模の国軍および兵士 ハイリヒ王国軍、ヘルシャー帝国軍、アンカジ公国軍、商業都市フューレンの支援物資部隊、聖教教会の神殿騎士団、冒険者ギルドが境界を越えて合流する。
- 亜人族部隊 指揮系統を人間の正規軍と統合せず、長老衆の統率下で遊撃部隊として展開する。強力な超長距離対物ライフルを支給されたハウリア族の狙撃部隊は、数千メートル離れた位置から使徒を狙撃して進軍を阻む多大な戦果を挙げる。
- 竜人族部隊 五百年にわたる隠忍自重を経て、族長アドゥル率いる全竜人族が竜化を果たして飛来し、上空における中核戦力として参戦する。
まとめ
かつて対立や差別、孤立を繰り返してきた各種族や諸国家は、一人の少年が旅路の中で結んできた縁と信頼を契機に、初めて同一の旗のもとへ集う。理不尽な神の脅威に立ち向かう人々の強靭な意志と結束は、種族の垣根を取り払い、世界の命運を懸けた人類総力戦へと昇華していく。
神域への強行突入
地上で結成された人類連合軍が使徒の大軍勢を相手に迎撃戦を展開する裏で、南雲ハジメたちは最愛のユエ奪還と邪神エヒト討伐を目指して神域への強行突入を決行する。高度8,000メートル上空に浮かぶ神門を突破し、決戦の地へ足を踏み入れるまでの経緯を整理する。
突入作戦の概要と陣容
地上で五十万の兵士が神門から降り注ぐ敵軍と対峙する中、精鋭部隊が上空の神門へ直接乗り込む二正面作戦を展開する。
- 神域突入部隊:南雲ハジメ、シア・ハウリア、ティオ・クラルス、八重樫雫、谷口鈴、坂上龍太郎の6名
- 地上防衛部隊:白崎香織(使徒の肉体における機能停止リスク軽減および拠点防衛)、ミュウ、レミア、畑山愛子、リリアーナ王女ら
高度8,000mへの飛翔と地上支援
突入部隊はスカイボードへ搭乗し、多色の魔力光を曳きながら上空の神門を目指して急速に上昇する。
- 5,000メートル下空からの狙撃支援 高度5,000メートル付近で立ち塞がる使徒の挟撃に対し、地上要塞の屋上に陣取るハウリア狙撃部隊が電磁加速式超長距離対物狙撃ライフルを発射する。スコープの遠見と先読を駆使し、超長距離から的確な精密射撃で使徒の急所を撃ち抜いて進路を切り開く。
- 地上要塞からの対空弾幕 リリアーナの指揮のもと、防衛要塞の対空火器から無数のミサイルが一斉に解き放たれ、使徒の集結行動を阻害する。
神門到達と防衛戦
高度8,000メートル上空の黒い境界に到達するものの、門からは無数の使徒が溢れ出て妨害を試みる。ハジメが突破口を穿つ間、同行者たちは防衛陣を形成して時間を稼ぐ。
- シアは新兵装ヴィレドリュッケンの連射機構を駆使し、炸裂弾の弾幕を形成する
- 雫は黒刀を用いて降り注ぐ銀羽の掃射を引きつけ、神速の太刀筋で迎撃する
- ティオ、鈴、龍太郎は広範囲の息吹や複合最上級結界の聖絶を展開し、全方位から迫る攻撃を遮断する
二つの神器による境界開通
神門には他者の侵入を拒絶する強固な防壁が施されており、通常の手段では通行を許さない。
- 劣化版クリスタルキーの突貫 短剣状に錬成した劣化版クリスタルキーを構え、境界へ体当たりするように突き立てる。激しい反発を受け、短剣の刀身に亀裂が走る。
- 劣化版界越の矢による追撃 生じた亀裂に対し、ライセン大迷宮で入手していた概念魔法具である劣化版界越の矢を重ねて強引に打ち込む。
- ゲートの開通 全身全霊の魔力を注ぎ込み、ユエの名を叫びながら短剣を強く捻り上げる。黒い境界が激しく波打ち、真紅の光を放つ楕円形の転移ゲートが出現する。
神域侵攻戦の開幕
号令に応じた仲間たち全員が、開かれた真紅の光の中へ一斉に突入を果たす。通過した直後に短剣と矢は砕け散り、ゲートが完全に閉塞したため、後続の使徒による追撃は遮断される。この突破を目撃した地上の将兵は大歓声を上げ、地上での防衛戦と神域での最終決戦が同時に幕を開ける。
まとめ
地上の支援射撃と仲間の決死の援護を背に、ハジメたちは絶対的な防壁を打ち破って神域への道を切り開く。退路を断って飛び込んだ先で、奪われた最愛の存在を取り戻し、世界を弄ぶ神へ引導を渡すための最後の戦いが始まる。
登場キャラクター
日本からの召喚者・地球関係者
南雲ハジメ
奈落から生還した錬成師の男子生徒。ユエを深く愛し仲間を守るため敵を容赦なく撃滅する。ユエやシアたちと固い絆で結ばれる。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。錬成師。「金」ランク冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城でユエを奪われたのち概念魔法を発動してアルヴを消滅させた。オルクス大迷宮でアワークリスタルを完成させて兵器を大量生産した。オレストレスやバルスヒュベリオンを起動して神山を崩壊させ神の使徒を掃討した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 限界突破の特殊派生である真匠を修得した。人類連合軍の最高戦力として神域侵攻戦を牽引する。
白崎香織
治癒師の女子生徒。ハジメに好意を寄せつつ雫の恋心を温かく見守る。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。治癒師。「神の使徒」の肉体。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で再生魔法を駆使して倒れた仲間たちを治療した。暴走するハジメを拳で殴って正気に戻した。昇華魔法の禁域解放を発動して神の使徒を撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 変装用アーティファクトで黒髪の姿へ変化した。ハジメの要請を受けて地上残留部隊の要を務める。
八重樫雫
八重樫流剣術の跡取りを務める女子生徒。ハジメへの恋心を自覚して自分に素直に生きる決意を固める。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。剣士。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で屍獣兵や使徒と交戦した。ガハルドを説得するためヘルシャー帝国へ赴き戦力の提供を取り付けた。神門前で禁域解放を発動して使徒の攻撃を斬り払った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメへの好意を公言して神域突入組へ参加した。
天之河光輝
勇者の男子生徒。恵里の魂魄魔法により意識を誘導される。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。勇者。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で恵里の言葉に従いハジメや雫たちと対立した。恵里とともに神域へ連れ去られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 恵里に隷属させられた状態でエヒト側へ渡った。
坂上龍太郎
光輝の親友を務める男子生徒。光輝を正気に戻す決意を固める。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。拳士。
・物語内での具体的な行動や成果 愛子の魂魄魔法で正気を取り戻し屍獣兵と交戦した。フェアベルゲンを訪問して亜人族の協力を取り付けた。神門前で銃器を用いて使徒を迎撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 オルクス大迷宮で変成魔法の習得を果たした。
谷口鈴
明るい結界師の女子生徒。恵里との対話と決着を目指す。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。結界師。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で愛子の魂魄魔法を受けて立ち上がり結界を展開した。奈落の八十階層で特異な蹴りウサギを従魔にした。神門前で聖絶を発動してハジメを全方位から防護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 従魔術を駆使する結界師として成長を深めた。
畑山愛子
生徒たちの安全を最優先に考える女性教師。作農師の天職を持つ。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。教諭。作農師。豊穣の女神。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城の檻から魂魄魔法の鎮魂を放ち雫たちの精神麻痺を解除した。王都の演説で兵士たちの士気を最高潮へ高めた。ハジメから託された宝珠でバルスヒュベリオンを操作した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 人類連合軍を結束させる象徴として現人神の地位を確立した。
遠藤浩介
気配を消す能力に長けた男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で気配を完全に遮断して潜入した。使徒から香織の双大剣を奪還して雫へ手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 王宮での無力感を克服して救援の起点を作った。
中村恵里
降霊術師の女子生徒。光輝に異常な執着を示す。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。降霊術師。
・物語内での具体的な行動や成果 ハジメの娘情報をフリードへ提供して人質作戦を支援した。魂魄魔法の縛魂を光輝へ施して意識を制御した。光輝を伴って神域へ昇天した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 魔王の力で分解の魔法と灰色の翼を獲得した。
永山重吾
永山パーティーのリーダーを務める男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城の襲撃に対して抵抗を試みた。香織の肉体を確保するため行動した。要塞周辺で前衛として魔物と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 負傷から回復して前線防衛に貢献した。
園部優花
クラスメイトの統括役を務める女子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。投術師。地球組統括リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で愛子や浩介へ連携を持ちかけて反撃の機会を作った。投術を用いて重吾や浩介の戦闘を支援した。ハジメから地球組の指揮役に指名された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 窮地でのリーダーシップを買われて地球組のリーダーに就任した。
玉井淳史
永山パーティーの男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で使徒の襲撃を受けて負傷した。回復後に要塞の防衛戦に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 愛子の治療を受けて戦線へ復帰した。
宮崎奈々
香織の友人の女子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。氷術師。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で優花の作戦を支援して合図を送った。要塞防衛戦で氷槍の弾幕を放ち魔物を迎撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 護衛隊のメンバーとして遊撃部隊に加わった。
菅原妙子
香織の友人の女子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で使徒の攻撃から愛子を体当たりで救出した。優花の指揮に従い戦闘を補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 愛子の護衛として要塞防衛に寄与した。
野村健太郎
土属性魔法に長けた男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。土術師。
・物語内での具体的な行動や成果 要塞前の戦闘で石化魔法を連続で行使した。ハジメの指示を受け王都の職人と三日城要塞を建設した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 最高位の土術師として防衛要塞の建設指揮を担当した。
仁村明人
永山パーティーの男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。幻術師。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で傷を負いつつ救出を待った。要塞前の戦闘で認識阻害魔法を用いて魔物の同士討ちを誘発した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 幻術を用いて後方支援を担当した。
相川昇
永山パーティーの男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で拘束されて負傷した。要塞前の防衛戦で重吾たちとともに戦闘へ参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 治療を受けたのち前線で防衛に当たった。
辻綾子
永山パーティーの治癒師を務める女子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。治癒師。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で浩介が連れてきたシアを即座に回復させた。要塞前でリリアーナの治療を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 後方支援の回復役として味方を支えた。
吉野真央
永山パーティーの女子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。付与術師。
・物語内での具体的な行動や成果 要塞前で聖絶を展開するリリアーナを魔法で補佐した。ハジメの行動に感心を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 付与術を用いて結界の維持を後押しした。
斎藤良樹
王宮に留まっていた男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。炎術師。
・物語内での具体的な行動や成果 ハジメから帰還手段の現状を聞いて騒ぎ立てた。ハジメの一喝を受けておとなしく着席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 第三円卓でハジメの演説を傾聴した。
中野信治
王宮に留まっていた男子生徒。
・所属組織、地位や役職 日本からの召喚者。風術師。
・物語内での具体的な行動や成果 ハジメへ即時帰還を要求して詰め寄った。ハジメの叱咤を受けて自らの甘さを思い知らされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメの説得を通じて現実を受け入れた。
勇者パーティー
生徒たちが結成した戦闘部隊。
・所属組織、地位や役職 生徒たちの戦闘組織。
・物語内での具体的な行動や成果 シュネー雪原脱出直後に敵軍の包囲を受けた。魔王城の玉座の間で囚われの身となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメの救出行動により全員が解放された。
吸血鬼族・アヴァタール王国
ユエ(アレーティア・ガルディエ・ウェスペリティオ・アヴァタール)
ハジメの最愛の恋人。吸血鬼族の元女王。
・所属組織、地位や役職 元アヴァタール王国女王。ハジメのパートナー。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で叔父ディンリードの姿をしたアルヴと対面して激動した。ハジメの言葉で正気を取り戻し愛を再確認した。エヒトに肉体を奪われるも魂で抵抗して魔力制御を乱させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 肉体をエヒトに占領されて神域へ連れ去られた。
ディンリード・ガルディア・ウェスペリティオ・アヴァタール
ユエの叔父。かつてアヴァタール王国の宰相を務めた。
・所属組織、地位や役職 アヴァタール王国元宰相。王弟(故人)。
・物語内での具体的な行動や成果 三百年前にユエを暗殺から守るため封印を施した。死に際に自らの知識と肉体を消去して抵抗した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 死後に肉体をアルヴへ利用された。
兎人族(ハウリア族)
シア・ハウリア
未来視の固有魔法を持つ兎人族の少女。ハジメに深い好意を寄せる。
・所属組織、地位や役職 兎人族ハウリア族。ハジメの仲間。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城でアルヴを連撃で吹き飛ばした。浩介の手で救出されて使徒を打倒した。ライセン大迷宮でミレディから魂殻や神越の短剣を受領した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 新兵器ヴィレドリュッケンを携えて神域へ突入した。
カム・ハウリア
ハウリア族の族長。シアの父親。
・所属組織、地位や役職 ハウリア族族長。
・物語内での具体的な行動や成果 ハジメの要請を受けて一族を鼓舞した。人類連合軍の軍議へ出席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 一族を率いて王都前線へ出陣した。
バルトフェルド・ハウリア
ハウリア族の十歳の少年。狙撃の才能を持つ。
・所属組織、地位や役職 ハウリア族狙撃兵。
・物語内での具体的な行動や成果 屋上から対物ライフルを構えて狙撃を行った。五千メートル下空から使徒の頭部を正確に撃ち抜いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメたちの神域突入において露払いを成功させた。
ハウリア族(ハウリア狙撃部隊)
ハジメの訓練により狂戦士化した兎人族の一族。
・所属組織、地位や役職 兎人族の部族。
・物語内での具体的な行動や成果 ハジメからの要請に歓喜して集結した。超長距離対物ライフルを用いて遠方から使徒を牽制した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 遊撃部隊として地上の戦闘で成果を上げた。
竜人族(クラルス族)
ティオ・クラルス
竜人族の姫。風と黒炎の魔法を操る。高潔な精神を持つ。
・所属組織、地位や役職 竜人族クラルス族の姫。ハジメの仲間。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城で竜化してハジメを攻撃から防護した。黒竜の里へ戻り初代クラルスの竜鱗の狂気をねじ伏せた。神門前で積層黒鱗を展開して使徒の砲撃に耐え抜いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 全竜人族を率いて人類連合軍へ参戦した。
アドゥル・クラルス
竜人族の族長。ティオの祖父。
・所属組織、地位や役職 竜人族族長。
・物語内での具体的な行動や成果 ティオを霊廟へ案内して初代の竜鱗を伝えた。全竜人族を率いて王都平原へ飛来した。ハジメと対面してティオの未来を託した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 連合軍の軍議で龍の長として信頼を得た。
ヴェンリ・コルテー
ティオの乳母を務める女性。瑠璃色の髪を持つ。
・所属組織、地位や役職 竜人族。ティオの従者。
・物語内での具体的な行動や成果 孤島の岸壁でティオの無事を祈り続けた。帰還したティオに魔力を譲渡して介護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ティオの変化に困惑しつつ仕えた。
カルトゥス・クラルス
竜人族の最古参の老人。
・所属組織、地位や役職 竜人族長老。
・物語内での具体的な行動や成果 ティオの魔力をいち早く察知した。ハジメが錬成師であることを確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 長老としてアドゥルを補佐した。
リスタス・クラルス
藍色の髪を持つ竜人の青年。ティオに憧れを抱く。
・所属組織、地位や役職 竜人族の戦士。
・物語内での具体的な行動や成果 王都でハジメへ詰め寄りティオへの態度を糾弾した。ティオの変貌にショックを受けて昏倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメへの敵意を示しつつ戦参した。
アロイス・クラルス
深緑の髪を持つ嵐竜の竜人。
・所属組織、地位や役職 竜人族。ティオの婚約者候補筆頭。
・物語内での具体的な行動や成果 ティオの帰還を喜んだものの変貌ぶりに絶望した。正気を失い現実逃避を起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 戦士として連合軍に参加した。
竜人族
隠れ里で雌伏の時を過ごしてきた古代種族。
・所属組織、地位や役職 竜人族の部族。
・物語内での具体的な行動や成果 アドゥルとティオの号令を受けて全族が竜化した。ゲートを抜けて王都平原へ参戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 500年の時を経て表舞台へ復帰した。
海人族
ミュウ
ハジメをパパと慕う海人族の幼女。
・所属組織、地位や役職 海人族の子供。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城の檻に捕らわれるも不屈の態度を保持した。概念魔法で荒れるハジメの前に立ち塞がり叫んで正気へ戻した。生体ゴーレムの専用機を与えられて隠れ家を護衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメの精神的崩壊を阻止した存在となった。
レミア
ミュウの母親。
・所属組織、地位や役職 海人族。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城でミュウとともに人質となった。オルクス最奥の隠れ家でハジメたちの身の回りを世話した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメの隠れ家で連絡役や料理を担当した。
ハイリヒ王国・聖教教会
リリアーナ・S・B・ハイリヒ
ハイリヒ王国の王女。高い政治手腕と度胸を持つ。
・所属組織、地位や役職 ハイリヒ王国王女。人類連合軍総司令官。
・物語内での具体的な行動や成果 魔王城でアルヴへ質問を投げかけて時間稼ぎを行った。民衆へ自ら呼びかけて避難と参戦を主導した。砦の総司令部で映像画面を確認しながら全軍の指揮を執った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 14歳にして人類連合軍の総司令官に就任した。
クゼリー・レイル
ハイリヒ王国の女性騎士団長。
・所属組織、地位や役職 王国騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果 リリアーナの背後を護衛した。軍議や作戦の遂行を補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 王国の騎士たちを統率した。
シモン・L・G・リベラール
聖教教会の教皇。
・所属組織、地位や役職 聖教教会教皇。
・物語内での具体的な行動や成果 竜人族が味方である旨を各地へ布告した。軍議でハジメの存在を評価した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 新教皇として教会の変革を主導した。
シビル・L・G・リベラール
シモン教皇の孫娘。
・所属組織、地位や役職 聖教教会助祭。
・物語内での具体的な行動や成果 軍議で不適切な発言をした祖父の後頭部を打撃した。シモン教皇を補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 教皇の側近として活動した。
デビッド・ザーラー
神殿騎士団の団長。
・所属組織、地位や役職 神殿騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果 愛子親衛隊を自称して活動した。軍議に出席して前線の配置を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 神殿騎士団を率いて出陣した。
王国兵士・騎士団
ハイリヒ王国の防衛戦力。
・所属組織、地位や役職 王国の軍隊。
・物語内での具体的な行動や成果 リリアーナの演説を受けて士気を高めた。要塞の建設や防衛陣地の構築に従事した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメ支給の重火器を装備して迎撃に当たった。
ヘルシャー帝国
ガハルド・D・ヘルシャー
ヘルシャー帝国の皇帝。豪放磊落な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職 ヘルシャー帝国皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果 雫の交渉に応じて帝国軍を王国へ派兵した。王国民の帝都避難を受け入れた。前線で自ら直属部隊を率いて出撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 人類連合軍の前線大将として兵士たちを鼓舞した。
帝国軍
ヘルシャー帝国の精鋭部隊。
・所属組織、地位や役職 帝国の軍隊。
・物語内での具体的な行動や成果 王都平原へ移動して陣地を設営した。要塞前線で迎撃体制を整えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 王国軍と連携して連合軍の前衛を担った。
森人族・亜人族(フェアベルゲン)
アルフレリック・ハイピスト
フェアベルゲンの長老衆の筆頭。
・所属組織、地位や役職 フェアベルゲン長老衆筆頭。
・物語内での具体的な行動や成果 龍太郎の訪問を受けて真実の映像を確認した。亜人族の戦士団を王国へ派遣した。孫娘の行動に苦悩して胃薬を服用した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 亜人族の参戦を決断して指揮を執った。
アルテナ・ハイピスト
アルフレリックの孫娘。森人族の元代表。
・所属組織、地位や役職 森人族。
・物語内での具体的な行動や成果 カムの側近として軍議へ出席した。シアを追いかけて親友としての接触を試みた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 シアに対して異常な情熱を示す存在となった。
マオ・ハイピスト
フェアベルゲンの長老の一人。新聞編集長。
・所属組織、地位や役職 長老。月刊フェアベルゲン編集長。
・物語内での具体的な行動や成果 砦の屋上でハジメへ単独取材を申し込んだ。ハジメから即座に拒絶された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 戦後を見据えた記事企画を立案した。
ギル
フェアベルゲンの第二警備隊隊長から昇進した男。
・所属組織、地位や役職 フェアベルゲン戦士長。
・物語内での具体的な行動や成果 マオに同行してハジメの元へ挨拶に訪れた。ハジメとの過去の縁を感謝した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 冷徹な対応を評価されて戦士長へ昇進した。
レギン
熊人族の戦士。
・所属組織、地位や役職 熊人族の戦士。
・物語内での具体的な行動や成果 ギルとともにハジメの元へやってきた。シアの姿を見て過去のトラウマから頭を抱えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハウリア族への恐怖を保持したまま参戦した。
フェアベルゲン戦士団
亜人族の戦闘集団。
・所属組織、地位や役職 亜人族の軍勢。
・物語内での具体的な行動や成果 長老衆の指揮のもとゲートを通過した。王国平原で遊撃部隊として配置された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 人間族と共闘して前線へ参戦した。
商業都市フューレン・アンカジ公国・冒険者ギルド
ランズィ・F・ゼンゲン
アンカジ公国の領主。
・所属組織、地位や役職 アンカジ公国領主。
・物語内での具体的な行動や成果 映像を確認して公国軍の派遣を決定した。軍議でハジメへ恩返しと協力を誓った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 公国軍を率いて自ら参戦した。
バルス・ラプタ
冒険者ギルドのギルドマスター。
・所属組織、地位や役職 冒険者ギルド総本部マスター。
・物語内での具体的な行動や成果 ギルド員へ参戦を呼びかけた。軍議でクリスタベルの立場を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 冒険者全体の指揮を担当した。
キャサリン・ウォーカー
ギルドの伝説的な元秘書長。
・所属組織、地位や役職 冒険者ギルド秘書長。
・物語内での具体的な行動や成果 現場へ復帰してバルスを補佐した。ハジメの成長に感慨を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 秘書長として全事務を統括した。
クリスタベル
服飾店を営む元金ランク冒険者。筋肉質な体躯を持つ。
・所属組織、地位や役職 元金ランク冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果 冒険者最強の戦力として軍議へ出席した。ハジメへ過激なアピールを行って困惑させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 冒険者側の最高戦力として出陣した。
グレイル・クデタ
フューレンの代表を務める伯爵。
・所属組織、地位や役職 フューレン代表。王国伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果 ハジメへの支援を約束して物資の調達を指揮した。息子のウィルとともに軍議へ出席した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 フューレンの物資調達の総指揮を執った。
ウィル・クデタ
グレイルの三男。
・所属組織、地位や役職 クデタ伯爵家三男。
・物語内での具体的な行動や成果 志願して前線の支援に参加した。ハジメから授かった言葉を胸に戦う意志を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 前線の支援要員として活動した。
イルワ・チャング
フューレンの冒険者ギルド支部長。
・所属組織、地位や役職 フューレンギルド支部長。
・物語内での具体的な行動や成果 ハジメとの過去のやり取りを回想した。軍議でハジメの評価を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ギルドの現地指揮を執った。
モットー・ユンケル
ユンケル商会の会長。
・所属組織、地位や役職 ユンケル商会会長。
・物語内での具体的な行動や成果 砦の屋上を訪れて戦後の商売支援をハジメへ持ちかけた。全商品を無料解放して物資を提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 商会を挙げて連合軍の物資を支援した。
サミーア・ユンケル
モットーの孫娘。十七歳。
・所属組織、地位や役職 ユンケル商会。
・物語内での具体的な行動や成果 モットーに伴われてハジメの元へ挨拶に訪れた。ハジメの秘書役を志願した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 シアと香織によって制止された。
魔人族(ガーランド王国)
フリード・バグアー
魔人族の最高司令官。
・所属組織、地位や役職 魔国軍総大将。
・物語内での具体的な行動や成果 使徒五百体を率いてシュネー雪原出口でハジメたちを包囲した。人質を提示して魔王城への召喚を強行した。シアの戦槌攻撃を受けて頭部を床に打ち付けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 神域へエヒトとともに昇天した。
白竜ウラノス
フリードの騎竜。
・所属組織、地位や役職 フリードの乗騎。
・物語内での具体的な行動や成果 フリードを乗せて空中からハジメたちを見下ろした。テラスから空へ飛び去った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 魔国軍の飛行戦力として動いた。
魔人族(兵士・市民)
魔国の住民たち。
・所属組織、地位や役職 ガーランド王国の住民。
・物語内での具体的な行動や成果 エヒトの降臨を大歓声で迎えた。残された兵士たちがハジメに襲いかかるも返り討ちに遭った。生存者が降伏してハジメに拘束された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメの手で兵士が全滅させられた。
解放者(神代の反逆者)
ミレディ・ライセン
ライセン大迷宮の創設者。ゴーレムに魂を宿す。
・所属組織、地位や役職 解放者。ライセン大迷宮主。
・物語内での具体的な行動や成果 襲撃してきた使徒を返り討ちにさせて撃破した。訪れたシアに魂殻や神越の短剣を譲渡した。決戦時にゴーレム騎士団を率いて出撃することを約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 終着点となる最終決戦へ向けて準備を整えた。
ゴーレム騎士団
ミレディが従える機械の軍勢。
・所属組織、地位や役職 ライセン大迷宮の戦力。
・物語内での具体的な行動や成果 ミレディとともに大迷宮を防衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 地上決戦の支援戦力として投入が決定した。
神・神の眷属・神の使徒
創世神エヒト(エヒトルジュエ)
トータスを支配する悪しき創世神。
・所属組織、地位や役職 創世神。
・物語内での具体的な行動や成果 ユエの肉体を強奪して現界を果たした。神言や絶対命令を放ちハジメたちを一瞬で無力化した。ユエの魂の抵抗を受けて掌握のため神域へ一度後退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ユエの肉体を得て三日後の世界全滅を宣言した。
眷属神アルヴ(アルヴヘイト)
エヒトの眷属神。ディンリードの肉体に宿る。
・所属組織、地位や役職 眷属神。魔王。
・物語内での具体的な行動や成果 ディンリードの振りをしてユエを欺こうと試みた。ハジメから銃撃を受けて失敗した。ハジメの概念魔法により四肢と体を削られて消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメの概念魔法によって完全消滅を喫した。
神の使徒
銀髪銀翼の神の兵士たち。
・所属組織、地位や役職 神の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果 五百体が集結してハジメたちを包囲した。魔王城でハジメたちの攻撃を受けて損壊した。ハジメの概念魔法や香織の分解魔法により多数が消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 神門から無限の軍勢として降臨した。
大迷宮の魔物・従魔・兵器
イナバ(蹴りウサギ)
奈落の神水を摂取して進化を遂げた蹴りウサギ。
・所属組織、地位や役職 鈴の従魔。
・物語内での具体的な行動や成果 八十階層で爪熊を倒して階層を下った。鈴と雇用契約を結びハジメから命名された。シアと激しい打撃戦を展開した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 知性と高い戦闘力を備えた従魔となった。
灰竜
魔国が従える飛行魔物。
・所属組織、地位や役職 魔国の戦力。
・物語内での具体的な行動や成果 シュネー雪原出口で上空を埋め尽くした。ハジメの鬼気を受けて発狂して落ちた。魔王城で香織へブレスの集中砲撃を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 使徒とともに包囲網を形成した。
屍獣兵(屍獣兵団)
恵里が降霊術で操る騎士たちの遺体。
・所属組織、地位や役職 恵里の傀儡兵。
・物語内での具体的な行動や成果 亜人の特徴を加えられて修復された。魔王城で雫たちへ襲いかかった。鈴の召喚魔物と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 恵里の手先として前線へ投入された。
キメラ
オルクス大迷宮の魔物を元に強化された個体。
・所属組織、地位や役職 強化魔物。
・物語内での具体的な行動や成果 高速治癒の固有魔法を備えて登場した。魔王城で香織たちへ群がり籠城戦を強いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 香織の分解砲撃によって多数が消滅した。
大鷲
魔人族が移動に使用する巨大な鳥型魔物。
・所属組織、地位や役職 魔人族の乗騎。
・物語内での具体的な行動や成果 魔人族を乗せて神門へ向けて飛行した。ハジメの存在否定の鎖により細切れにされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ハジメの突進を受けて全滅した。
生体ゴーレム(大罪戦隊デモンレンジャー)
ハジメが生成魔法と変成魔法で創造した多脚ゴーレム。
・所属組織、地位や役職 ミュウの専用機。隠れ家警備兵器。
・物語内での具体的な行動や成果 八本の多脚と六本の腕を備えて完成した。ミュウの指示で七体が決めポーズを披露した。エヒトの映像を激しく踏みつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ミュウの感応石と指輪で遠隔操作される護衛兵器となった。
連合組織
人類連合軍
全種族・全国家が結集した防衛組織。
・所属組織、地位や役職 全種族連合軍。
・物語内での具体的な行動や成果 ハイリヒ王都前の平原に五十万の兵が集結した。愛子とガハルドの演説を受けて大歓声を上げた。ハジメの神山崩しを目撃して士気を爆発させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 歴史上初めて人間、亜人、竜人が一つに結集した組織となった。
展開まとめ
第一章 魔王の招待
雪原脱出と包囲
ハジメ達が氷雪洞窟を攻略してシュネー雪原を脱出した直後、上空を覆い尽くす灰竜の群れと五百体の神の使徒、そしてフリードと異様な姿へ変貌した恵里が立ち塞がった。敵軍は交戦ではなく魔王城への招待を名目に現れ、背後の猛吹雪へ逃げ込む一時撤退の道も封じられる。フリードは魔王が神の依り代であると主張し、神への拝謁に応じるよう求めたものの、狂信に染まったその態度にハジメ達が応じる様子はなかった。
歪んだ再会
対話を求めて必死に呼びかける鈴に対し、恵里は冷徹な視線を向けて一蹴した。恵里は魔王の力で得た分解の魔法を誇示し、光輝と二人きりで生きるためなら邪魔者をすべて排除すると語って自らの歪んだ執着を露わにする。そのあまりに破綻した様子に、光輝や雫達は言葉を失い動揺を深めていった。
交戦の構えと人質の開示
拒否権はないと迫るフリードに対し、罠に応じる気のないハジメは即座に銃を構えて戦意を高めた。ユエや仲間達も同調して迎撃の構えを取ったため、フリードは空間魔法のゲートを開いて魔王城の様子を映し出す。そこには巨大な檻に捕らえられ、負傷して倒れ伏す愛子やリリアーナ、そしてクラスメイト達の姿があった。
有効な切り札
仲間を人質に取られて憤る光輝達の動揺をよそに、ハジメは容赦なく銃撃を放ち、人質を盾にした脅しに屈せず敵を殲滅してから乗り込む姿勢を示した。しかしフリードは更なる人質として、玉座の反対側に捕らわれたミュウとレミアの姿をゲート越しに見せつける。羅針盤で本物であると確認したハジメは、周囲の竜を狂乱させるほどの圧倒的な殺意を放ち、情報を流した恵里を鋭く射抜いた。
フリードの要求とハジメの脅迫
フリードから返答を迫られたハジメは、クリスタルキーによる魔王城への転移では救出のタイムラグが生じてミュウ達を守りきれないと判断し、罠を承知で魔王の招待を受ける道を選んだ。背後の光輝に対して身の振り方を決めておくよう告げ、仲間達と救出の優先順位を打ち合わせる中、フリードは武装解除と魔力封じの枷を要求する。しかしハジメは手錠を踏み躙って要求を一蹴し、人質に危害を加えれば魔人族を根絶やしにすると宣告した。フリードが気圧され使徒エーアストが制止に入ったことで武装解除は撤回され、一行は開かれたゲートへと足を踏み入れた。
魔王城の玉座の間
広大なテラスから城内へ進む道中、光輝にすがりつく恵里を鈴が呼び止めるも完全に無視された。一行はやがて重厚な扉を抜けて玉座の間に到着し、捕らわれていた愛子達やミュウ、レミアの無事を確認する。再会を喜ぶ声が響く中、玉座の背後の壁を透過して初老の男が現れた。エヒトの眷属神アルヴを名乗る魔国の王を目にしたユエは、かつて自分を裏切って封印したはずの叔父ディンリードの面影を見出し、激しい動揺を露わにした。
魔王の反逆宣言
親愛の情を向けて語りかける魔王に対し、使徒やフリード達が不審を抱いた瞬間、魔王は閃光を放って使徒五十体とフリード、恵里をことごとく無力化した。さらに玉座の間に監視を欺く結界を張った魔王は、自らがかつてのアヴァタール王国元宰相ディンリードであり、神に反逆する者であると名乗り出る。激高したユエは叔父の生存を否定して雷龍を放ち、ハジメも電磁加速弾で追撃したものの、魔王の強固な障壁に阻まれた。魔王は自身がかつて神代の変成魔法と生成魔法を修め、肉体を変質させて寿命を延ばしていた事実を語り、なおも穏やかに姪へと語りかけた。
叔父の弁明とユエの動揺
ディンリードは、自らの中に神エヒトの眷属神アルヴの魂が宿り、一つの体に二つの魂が存在していると説明した。神への反逆の機会を窺う中でユエの突出した才能がエヒト陣営に目を付けられ、暗殺を防いで将来の切り札として隠匿するためにやむなく幽閉したのだと明かす。さらにディンリードは、人質を捕らえたのはハジメ達と対面して保護するためであったと弁解し、檻を開放した。神を打倒するため共に戦おうと両手を広げて歩み寄る叔父の姿に、幼少期の温かな記憶を刺激されたユエの心は激しく揺れ動き、次第に信じる方へと傾いていった。
ハジメの強襲と救出行動
ユエを迎える言葉を紡ごうとした瞬間にハジメの銃撃が放たれ、ディンリードの頭部が撃ち抜かれて仰向けに倒れ込んだ。思考停止する周囲をよそに、ハジメは倒れたディンリードの四肢や心臓を追撃して拘束具を投げつけ、連動したシアが戦槌でフリードの頭部を叩き潰し、香織は無力化されていた五十体の使徒の核を穿つ。恵里を狙うハジメに鈴が必死にしがみついて制止したため、ハジメは恵里の拘束にとどめ、雫達にその監視を命じた。シアがミュウとレミアを保護し、香織が重傷の愛子達を再生魔法で癒す中、ハジメはクリスタルキーを用意して地球への退避準備を指示した。
偽りの看破と恋人への怒り
ハジメは、本当に愛していたなら三百年も放置するはずがなく、反逆の同志集めも不自然であると指摘し、ディンリードの話の矛盾を突いた。ユエも最初の光で記憶を読み取られたのだと気づき、ティオも魔眼と竜眼の観察から相手の魂が異様な単一の寄生虫のような存在であり、血縁者ではないと証言する。さらにハジメが、ユエの昔の名を連呼して抱擁しようとしたことへの強烈な嫉妬と怒りを爆発させたことで、ユエは完全に正気を取り戻してハジメへの深い愛情を示し、場には安堵が広がった。
ディンリードの復活
一同が態勢を立て直そうとした矢先、ディンリードの魂を縛ろうとしていたティオが突如吹き飛ばされ、柱を粉砕して重傷を負った。ハジメは即座に銃撃を加えたものの、展開された強固な障壁に弾丸を阻まれてしまう。致死級の傷を完全に修復して立ち上がったディンリードは、先ほどまでの温情を捨て去り、人間の心理を読み違えていたと侮蔑混じりの嘲笑を浮かべながら冷酷に語りかけた。
邪神の挑発と呪詛
アルヴはディンリードの肉体を奪った事実を認め、死に際のディンリードが遺した怨嗟の言葉を突きつけてユエの動揺を誘った。憎悪に染まった叔父の幻影と言葉に胸を貫かれたユエは、激しい精神的動揺から一瞬の隙を生じさせてしまう。
敵陣営の同時奇襲
動揺したユエに対し、虚空から現れた無傷の恵里が意識を断絶させる闇魔法を放ち、アルヴが障壁で拘束した。同時に洗脳された光輝が雫達を吹き飛ばし、フリードがハジメへ空間爆砕を放ち、使徒達が香織達を強襲する。ユエの強い眼差しを受け取ったハジメはミュウとレミアの防衛を最優先し、自らの身と大盾で二人を衝撃から守り抜いたものの、その間にユエは神代魔法でも傷つかない白銀の光柱へと呑み込まれた。
各所の防衛戦
アルヴの合図とともに増援の使徒、強化された魔物の群れ、屍獣兵団が出現した。香織は銀翼を展開して丸腰の愛子達を包み込み、灰竜のブレスと魔物の猛攻を耐え忍ぶ籠城戦を強いられる。一方、恵里の術で意識を誘導された光輝と使役された兵士達に追い詰められた雫達は、意識を取り戻した鈴が展開した障壁と召喚魔物によって窮地を脱し、迎撃態勢を整えた。
使徒の突破とティオの救援
ハジメとシアは卓越した連携と装備を駆使し、立ち塞がる使徒達を撃退しながらユエのもとへ着実に前進した。包囲網を突破され焦燥を募らせたフリードとアルヴが強力な追撃を放ったものの、竜化したティオが間へ割り込んで身を挺して阻む。
ティオの決死の盾
ティオは竜化して黒鱗と風の障壁を張り巡らせ、アルヴとフリードの猛攻を一身に引き受けた。自身の黒鱗を砕かれながらも極大のブレスと炎や風の魔法を放ち、アルヴ達や使徒の群れを釘付けにしてハジメ達を先へ進ませる。
シアの足止めと光柱への到達
シアが足を止めて武器を乱舞させ、局所的な嵐となって追撃の使徒を食い止めた。ハジメは兵装を放ちながら単身で駆け抜け、苦痛と焦燥に苛まれるユエのもとへ到達する。パイルバンカーに昇華魔法を注いで最大威力の杭を放ち、義手の振動破砕を叩き込むことで、傷一つ付かなかった光柱を粉砕した。
エヒトの顕現と致命傷
散乱する光の粒子の中から飛び出してきたユエをハジメが抱き留めた直後、ユエの手刀がハジメの腹部を貫通した。ユエの肉体を奪った創世神エヒトは神言を用いてハジメの身体の自由を完全に奪い、手刀を引き抜いて大量に出血させる。ハジメは覇潰を発動させて神言の拘束を力ずくで破り飛び退いたものの、放った銃弾は届かず、エヒトが放った桁違いの雷撃魔法に呑み込まれた。
仲間達の壊滅
エヒトは四方からの空間爆砕でハジメの骨を砕き、救援に向かおうとしたシア、香織、ティオを神言の重圧と石造りの巨狼で無力化した。さらに香織の機能を停止させ、ハジメの背に空間の十字架を突き立てて血の海へ縫い付ける。加勢を試みた雫、龍太郎、鈴も感覚を奪う神言によって崩れ落ち、ハジメ達の陣営は完全に制圧された。
兵装の消滅
エヒトはハジメやシア達の宝物庫を空間転移で奪い取り、握り潰して内部の物品ごと光の塵へと変えた。さらにハジメが手掛けた主要なアーティファクト群や義手をも粉々に消滅させ、ハジメからすべての武具を奪い去っていく。
即時付与の錬成と神命
満身創痍のハジメは床を錬成して拘束からの脱出を図り、神言で鎮められようとも命を削るように魔力を練り上げた。限界を突破して神代魔法を即時付与する新たな錬成を発動させ、空間を割断する剣や重力球を次々と生み出したものの、エヒトが発したさらなる神言によって即席の武具も真紅の魔力も霧散させられた。
五天龍の展開とユエの抵抗
エヒトはハジメを絶望の果てに葬るため、周囲の魔力を奪う五体の天龍を展開し、仲間達とハジメを標的に定めた。ハジメが必死に呼びかけ続けると、ユエの意識が体内から抵抗を示してエヒトの肉体と魔力の制御を乱す。エヒトは悪夢を想起させる神言でユエの意識を抑え込んだものの、身体の完全な掌握には調整が必要であると判断し、アルヴに後を任せてフリードや恵里と共に神域へ撤退することを決めた。
不屈のハジメ
撤退を告げるエヒトに対し、背中の十字架を砕いたハジメが血塗れの身体で立ち上がり、魔力を練り直して立ち塞がった。
使徒たちの制圧とシアの突撃
使徒たちは立ち上がったハジメに飛びかかり、床へ組み敷いて容赦のない殴打を加えた。ハジメが抗う余力を失う中、シアは神言による束縛を己の気迫で打破し、拘束していた巨狼を粉砕してユエの奪還へ向けて突進する。しかし、迎撃に入ったフリードの強力な空間爆砕魔法によって前進を阻まれ、直後に放たれたアルヴの魔力弾をまともに受けて吹き飛ばされた。柱と壁を粉砕して倒れたシアは、全身から血を流して昏倒した。
神域の門とエヒトの宣告
動けない仲間たちを尻目に、エヒトは天井を円状に消滅させて外へと続く吹き抜けを作り出した。上空には白銀に輝く巨大な渦が出現し、神域へと通じる門が開かれる。宙へ浮き上がったエヒトは、三日後に世界中の人間を殲滅する最後の遊戯を開始すると告げ、地球への侵略も予告した。必死に手を伸ばすハジメに対し、使徒やアルヴはさらなる拘束を重ね、衣服の魔法陣を分解して抵抗の芽を完全に摘み取っていく。
天上の昇天とユエの喪失
恵里は洗脳した光輝を抱きかかえ、雫たちの制止を退けて連れ去った。エヒトが両手を広げると、魔都に満ちる魔人族や魔物、屍獣兵や使徒の大群は狂喜の歓声とともに空の渦へ昇っていく。エヒトはハジメを暇潰しの駒と見下して嘲笑を残し、ユエの身体を奪ったまま天空の彼方へと姿を消した。残されたハジメの絶叫が虚しく響き渡る中、伸ばした手は何も掴むことができなかった。
第二章 小さな勇者
優花の決意と浩介の潜入
動かないハジメを見下ろして侮辱するアルヴに対し、恩義を返したい優花は敵の警戒が自分達に向いていない隙を突いた。優花は愛子に耳打ちして連携を取り、無力感に苛まれていた浩介を説得して自らの役割を果たすよう促す。託された思いを背負った浩介は気配を完全に遮断し、密かに行動を開始した。
リリアーナの時間稼ぎと愛子の鎮魂
時間稼ぎのために進み出たリリアーナに対し、アルヴは三日後に神の軍勢で世界を滅ぼし、万物の魔力を奪って異世界へ渡る計画を語った。敵の注意が引きつけられている間に、愛子は自らの血で描いた魔法陣から魂魄魔法の鎮魂を放ち、精神的な束縛を受けていた雫や鈴、龍太郎を解放する。
シアの反撃とアルヴの迎撃
気配を消して接近した浩介は使徒から香織の双大剣を奪い取り、雫へ一本を投げ渡した。浩介に救出され治療を受けていたシアが即座に割り込んで使徒を退け、香織を拘束していた巨狼を粉砕してアルヴへ突進する。シアは猛烈な連撃で障壁を破り、強烈な蹴りでアルヴを玉座ごと吹き飛ばした。
雫とティオの奮戦
禁域解放を発動した雫とティオは、ハジメを救出するため使徒との戦闘に突入した。雫は八重樫流の体術を駆使して使徒を翻弄し、ティオは黒鱗の肉体とブレスで盾となって道を切り開き、鈴も遠隔から障壁で援護を加える。しかし使徒達の連携と猛烈な砲撃によって距離を戻され、二人は次第に追い詰められていった。
生徒達の防衛戦と香織の復活
一方、香織を目覚めさせようとする愛子を守るため、優花や重吾達は残存魔力や血の魔法陣を駆使してキメラの群れと交戦していた。しかし使徒の急襲によってリリアーナの結界が粉砕され、愛子達は絶体絶命の危機に陥る。優花が決死の覚悟で割り込もうとした瞬間、意識を取り戻した香織が反撃の閃光を放ち、使徒を吹き飛ばして周囲の魔物を殲滅した。
使徒二体の撃破
香織は満身創痍の雫とティオの救援へ向かい、昇華魔法で白菫色に輝く閃光を放って使徒の砲撃を押し返し、一体を完全に消滅させた。さらに雫が捨て身の特攻で敵の注意を引きつけた隙を突き、背後へ回り込んだティオが黒炎と黒鱗を纏った竜爪で使徒の核を貫く。連携により二体の使徒を葬り去ったものの、直後にアルヴが瀕死のシアを拘束した姿を現した。
神言による制圧とミュウの危機
アルヴは神言を響かせて香織達の身体を硬直させ、雷の嵐にシアを投げ込んで四人を一挙に無力化した。魔人族の収容完了を目前にしたアルヴは、一同の魔力をエヒトへの献上品とする大魔法陣を起動する。さらにゲートを開いてミュウとレミアを引き寄せ、動けないハジメに見せつけるようにミュウの処刑を執行しようとした。
概念魔法の解放と使徒の全滅
使徒に髪を掴まれて顔を上げたハジメの瞳には漆黒の虚無が宿っており、その異様さに恐怖したアルヴは使徒へ即座の殺害を命じた。しかしその瞬間、ハジメから溢れ出た赤黒い魔力とともに、すべての存在を否定する概念魔法が解き放たれる。床から生じた不可視の鎖が拘束していた使徒達を瞬時に切り刻んで消滅させ、アルヴの右腕をも塵へと変えた。ティオの合図を受けた香織が床を分解して愛子達を階下へ落とし仲間達を保護する中、玉座の間を埋め尽くした赤黒い鎖は残る使徒と魔物をことごとく消滅させ、アルヴの退路を完全に断った。
アルヴの消滅
一人取り残されたアルヴは、ミュウを人質にして脱出しようと殲滅級の雷撃を放った。しかしハジメの鎖によって両手足を瞬時に切断され、床へ叩きつけられる。激痛と恐怖に錯乱したアルヴは命乞いを重ねたものの、ハジメは容赦なく球状の鎖の檻を収縮させ、神であるアルヴを塵も残さず削り消した。
閉ざされた神門
アルヴを葬ったハジメは、呼び止める香織やティオの声を無視し、空に浮かぶ白銀の神門へ向けて飛び出した。立ち塞がる魔人族の兵士を大鷲ごと切り捨てて門へ突撃したものの、神門は拒むように波打つだけで道を開かない。魔人達の猛攻を浴びながら体当たりを繰り返すハジメをティオが黒鱗で庇った直後、神門は完全に消失した。脱力したハジメを抱え、ティオは香織達が待つ玉座の間へと帰還した。
魔人族の虐殺
玉座の間へ戻ったハジメは限界突破による魔力流出を止めず、呼びかけにも応じなかった。そこへ取り残されていた魔人族の兵士や市民が大鷲と共に降り立ち、異教徒の処分を口にする。ハジメは即座に存在否定の鎖を振るい、大鷲と兵士達を瞬く間に解体した。恐怖した魔人達が両膝をついて降伏を示したものの、ハジメは手を緩めず、背後から市民達をも次々と切断していく。
ミュウの制止
怯える親子に刃が向いた瞬間、ミュウが二人の前に立ちふさがった。冷徹に退去を命じるハジメに対し、ミュウは退くことを拒み、不敵な笑みを浮かべていつもの強いパパに戻るよう叫ぶ。ハジメが気圧されてわずかに顔をしかめた隙を突き、香織が強烈な拳でハジメを殴り飛ばした。
正気の奪還
香織はユエ奪還を諦めたのかと厳しく問いかけ、ハジメの心を揺さぶった。シア、ティオ、雫からも制裁を受け、ミュウの存在を前にしたハジメは自らの過ちを認めて存在否定の鎖を消滅させる。香織とユエ奪還の決意を交わしたハジメは全員に謝罪し、ミュウに感謝を伝えた。直後に飛び込んできたミュウの全力の抱擁ダイブを受け止めきれずにハジメは後ろへ倒れて後頭部を強打し、そのまま昏倒して心肺停止に陥ったことで仲間達は大混乱に包まれた。
第三章 神よりタチの悪い煽動家
死線からの覚醒
深い倦怠感と暗闇の中で呼び声を聞いたハジメは、温かい光を感じて意識を取り戻した。目を覚ますと、涙を浮かべるミュウ、シア、香織、ティオ、雫が覗き込んでいる。ハジメの肉体は一度心臓が停止し、魂魄が肉体を離れるほどの危機的状況に陥っていたが、香織の再生魔法とティオの魂魄魔法、さらに愛子の魂を癒す魔法の連携によって蘇生を果たした。深手を負いながらも命を救われた事実を知ったハジメは、心配をかけた仲間達や愛子に深く感謝した。
信頼と新たな決意
シアはハジメを失う恐怖から弱々しく拳を当て、雫はどんな窮地でも生き残るという信頼を捨てないよう微笑みながら求めた。仲間達にとっての自らの命の重さを自覚したハジメは、かつてユエと始めた旅路を振り返り、自制を失った己の弱さを省みる。二度と敵にも自分にも敗北しないと誓ったハジメは、最愛のユエを取り戻すべく決意を新たにした。
ミュウの告白と励まし
自分が抱きついたせいでハジメが死にかけたと思い込み、泣き腫らした目で謝罪するミュウに対し、ハジメは優しく手を差し伸べて制止してくれたことへの感謝を伝えた。レミアもまた娘を誇らしく見守り、ハジメと穏やかな言葉を交わす。和やかな空気の中、ミュウはユエの分までハジメを元気づけようと頬に口づけを施し、かつてユエから教わった仲間がいれば無敵であるという言葉を誇らしげに伝えた。ミュウの曇りのない信頼に触れたシア達も迷いを振り払い、ユエ奪還への闘志を抱き直した。
床石の錬成と生存者への尋問
立ち上がったハジメは僅かな真紅の光を放って錬成を発動し、床の石材から鋭利な石刀を作り出した。武器を携えたハジメは、玉座の間に残されていた魔人族の生き残り達の前に立ち塞がり、神域や神門に関する情報の開示を冷徹に要求する。息子を庇う魔人族の男は、神域が楽園であること以外は何も知らず、神門の開閉についても使徒任せであったと必死に弁明した。ティオの観察によって男の証言に偽りがないと確認したハジメは、一般市民からこれ以上の情報を得ることは不可能であると判断した。
魔人達の拘束
ハジメは真紅の魔力で床を隆起させ、残された魔人族の足元を固定して大人しく待機させた。命を奪われずに済んだ魔人達は安堵し、目の前で凄惨な光景が繰り返されずに済んだクラスメイト達も胸を撫で下ろす。
円卓の設置と状況の整理
ハジメは玉座の間に三つの円卓を錬成し、全員を着席させて今後の対策会議を始めた。ユエの肉体がエヒトに乗っ取られたものの、ユエの魂の抵抗により完全掌握には最低三日かかること、そして三日後には神山へ使徒の大軍勢が降臨して世界の魔力を奪い地球へ転移しようとしている事実が共有される。
帰還の手段と優先順位
愛子から地球への帰還手段を問われたハジメは、帰還用のアーティファクトであるクリスタルキーが宝物庫ごと消滅したため再製作にはユエの協力が不可欠であると説明した。早く帰りたい一心で騒ぎ立てる生徒達に対し、ハジメは自らの最優先事項がユエの奪還と神の抹殺であることを突きつけ、現実を直視するよう一喝する。
神門突破の方針と不撓不屈の闘志
ハジメは自力で劣化版のクリスタルキーを創り、神門をこじ開けて神域へ突入する方針を示した。絶望的な戦力差に心を折られかけていた鈴が勝算を問い質すと、ハジメは奈落の底から這い上がってきた自らの過去を語り、生き残った以上は必ず神を狩ると宣言する。その強靭な意志に触れた鈴、龍太郎、雫は奮起し、恵里や光輝との決着をつけるべく神域突入への同行を誓った。
人類連合軍の構想
決戦時に最初の標的となる王国の防衛をリリアーナから懇願されたハジメは、各国の戦力を結集した人類連合軍の創設とアーティファクトによる武装強化を提案した。シュネー雪原の地中に隠しておいた予備のゲートキー等を回収し、高速移動アーティファクトを用いて各地へゲートを設置することで、短期間での兵力集中を可能にする計画を明かす。
各国の説得と愛子の動員
使徒を敵として戦うことへの疑念を払拭するため、ハジメは再生魔法で魔王城の真実を映像記録として再現し、各地で縁を結んできた要人達へ提示して協力を取り付ける策を示した。さらに各国の結束を確固たるものにする仕上げとして、ハジメは愛子に対して豊穣の女神としての影響力を利用した民衆の扇動を要請した。
愛子とリリアーナの決意
ハジメは烏合の衆となる戦力を束ねる強力な旗頭として、豊穣の女神である愛子の存在が不可欠であると説いた。愛子は呼び方を巡って逡巡した末に先生を抜いた呼び方を求め、ハジメから名前で依頼されると奮起して民衆の扇動を引き受けた。続いてリリアーナも対抗するように自己主張し、自らの愛称をハジメに呼ばせて民衆を動かす役割を誓った。二人の振る舞いによって絶望に沈んでいた場は和らぎ、クラスメイト達の表情にも明るさが戻った。
決戦に向けた役割分担
ハジメは三日後の神域突入によるユエ奪還を最優先事項と定め、決戦までの行動計画を伝えた。自身は香織やミュウ、レミアを伴ってオルクスの最奥へ向かい、アーティファクトの大量生産に専念する方針を示す。シアにはミレディの協力を仰ぐためライセン大迷宮への再訪を命じ、ティオには黒竜の里へ帰還して決戦の時を告げる役目を託した。さらに雫にはガハルドを説得して帝国戦力を王都へ送る交渉役を指示し、愛子とリリアーナには王都での兵力集結と住民避難の指揮を割り振る。
蹴りウサギとの再会と雇用
鈴と龍太郎は、奈落の八十階層で知性を備えた特異な蹴りウサギと遭遇し、従魔として連れ帰った。そのウサギはかつてハジメが残した神水を摂取して進化を遂げ、階層主の爪熊を撃破してハジメを追ってきた個体であった。ウサギはハジメから「イナバ」と命名されて正式に雇用契約を結び、ハジメの唯一のウサギを自負してシアと激しい打撃戦を繰り広げた。
クラスメイト達への指示
平原での防衛戦に備え、ハジメは土術師である健太郎に職人達と連携した要塞の建築を命じた。続いてハジメは極限状況で反撃の起点を作った優花を仲間達の統括役に指名し、周囲の強い賛同と過去の信頼を背負った優花は重責を受け入れる。他の生徒達にも適材適所で任務を割り振った後、鈴と龍太郎には樹海の亜人族を説得して王都へ戦力を送った後、オルクス大迷宮で奈落の魔物を従えて戦力を増強するよう伝えた。
ハジメの激励と決起
全任務の伝達を終えたハジメは、神や使徒も殺害可能であり人は超常の存在を討てると力説した。大義や世界のためではなく、故郷への帰還や生存といった個々の理由のために戦い生き残るよう叫び、全員で生還を果たした暁には地球への帰還を果たすと約束する。不撓不屈の闘志に満ちたハジメの言葉に触れた一同は熱情を滾らせ、勝利を期する叫びを玉座の間に響かせた。
第四章決戦前に
封印の部屋での再会
魔王城の決起から丸一日が経過し、ハジメ達は素材や身体の回収を終えてオルクス最奥の隠れ家へ入っていた。素材採集を終えた香織は、かつてユエが封印されていた部屋へ向かい、佇んでいたハジメと合流する。二人はユエとの出会いを振り返り、必ず彼女を取り戻す誓いを交わした。
香織の地上残留
ハジメはエヒトによる使徒ボディへの機能停止の懸念や、地上に残るミュウ達の護衛、さらには人類軍の支援を理由に、香織へ地上に残るよう求めた。香織は同行できない悔しさを滲ませつつも、帰還の場所を守るために残留を承諾する。ハジメは以前の暴走を止めてくれた香織への感謝と特別な想いを伝え、二人は絆を確かめ合った。
錬成の進化と新たな派生
香織から無詠唱での錬成について尋ねられたハジメは、極限状態で目覚めた想像構成と、才覚の上限値を引き上げる限界突破の特殊派生である真匠について説明した。自らの錬成技術がオスカーを超えたと確信したハジメは、魔力耐性の高い封印石を完璧に錬成し、余すことなく宝物庫へ収める。
石柱の発見と映像記録
封印石の直下の床にヴァンドゥル・シュネーの紋様を見つけたハジメは、氷雪洞窟攻略の証であるペンダントをはめ込み、せり上がった石柱から水晶玉を取り出した。魔力を流すと深い愛と懺悔に満ちた過去の映像記録が再生され、ハジメは香織にその水晶玉を預け、ユエに見せるべきものとして託す。
隠れ家への帰還と各国の動向
オスカー邸へ戻った二人はミュウとレミアの出迎えを受け、ハジメは直ちに工房での作業に移る方針を伝えた。レミアからは、雫による帝国の説得成功、リリアーナ指揮下での住民避難と要塞建設の進展、さらに愛子の演説や新教皇の宣言が功を奏して連合軍の結成が順調に進んでいる旨が報告される。
アワークリスタルの創造
オスカー邸の工房に入ったハジメは、時間的制約を解消すべく香織に協力を求めた。ハジメの生成魔法と香織の再生魔法の奥義を組み合わせることで、空間内の時間を十倍に引き延ばす水晶柱アワークリスタルを完成させる。
自動兵器工廠の稼働
工房内の時間を引き延ばしたハジメは、オスカーを超えるべく工房全体を立体的な魔法陣で覆い尽くし、兵器工廠へと作り替えた。素材の高品質化から複製錬成、王国への自動搬出までを一貫して行う製造ラインを確立し、基本装備の大量生産を開始する。
ミュウ専用機の錬成
ハジメは作業の合間に、拠点の防衛を兼ねて機械と魔物素材を融合させた八本足と六本腕を持つ多脚型生体ゴーレムを錬成した。魂魄認証を施した操作用の指輪をミュウへ手渡し、警備役を託す。
切り札の完成と昏倒
作業に集中したハジメは神結晶と秘匿していた鉱石を用い、自らを削るような錬成によって切り札の作成を成し遂げた。しかし限界を超えた負担により血溜まりの中で倒れ込み、発見したレミアと急遽戻った香織の治癒によって一命を取り留める。
湯舟での団欒
無茶を咎められたハジメは三人によって工房から連れ出され、強制的に風呂場へと放り込まれた。後から飛び込んできたミュウに叱られつつも、ユエ奪還後の遊びの約束を交わして心の痛みを和らげる。さらに後から合流した香織やレミアの温かな気遣いに触れ、ハジメは再び仲間達と共に前を向く活力を取り戻した。
入浴と親子の時間
ハジメはミュウの髪を洗いながら、年下をからかうレミアの様子に苦笑した。不憫な役回りを引き受ける香織を案じつつ、親子として過ごす穏やかな時間に心を落ち着かせていく。
シアの帰還と解放者の助力
一日が経過した頃、ライセン大迷宮へ向かっていたシアが工房へ帰還した。シアは侵入した使徒を難なく返り討ちにしたミレディ・ライセンの健在を伝え、決戦時にゴーレム騎士団を率いて出陣する約束を取り付けたと報告する。
対神装備の受領
シアはミレディから強奪したアーティファクトをハジメへ手渡した。神言の精神干渉を妨害する魂殻と、神域への突破口となる界越の矢の劣化版、さらに解放者達の強烈な殺意のみで編み出された神越の短剣がハジメの手元に揃う。
相棒の更新と大罪戦隊
ハジメから新調された戦槌ヴィレドリュッケンを受け取ったシアは歓喜した。そこへ七体の生体ゴーレムを引き連れたミュウが現れ、大悪魔の名を持つゴーレム達が息の合った決めポーズを披露する。ゴーレム達がエヒトの映像を激しく踏みつける姿を確認したハジメ達は、敵の侵食ではないと判断した。
決戦直前の誓い
決戦の前夜、工房内で最終調整を進めるハジメとシアは、ユエ奪還のタイムリミットが迫っている現実を再認識した。シアはユエを救えないなら玉砕も辞さない覚悟を告げてハジメにも同道を求め、ハジメは共に生きるか死ぬかの二者択一であると応じて不退転の決意を交わす。
隠れ家からの出陣
ハジメとシアは、ユエ奪還に向けて工房を出発した。エントランスでは待機を命じられたミュウとレミアが見送り、二人は地上へ出られない代わりに生体ゴーレムを遠隔操作して支援する役目を担う。ハジメ達はミュウ達と再会の約束を交わし、大迷宮の最深部から出陣した。
地上要塞の視察
ゲートを抜けたハジメとシアを雫が出迎え、ガハルドからの求愛に辟易していた雫は牽制のためにハジメへ密着して歩き出した。照明アーティファクトで白昼のように照らされた平原には堅固な砦が築かれており、土属性魔法で建設に貢献した健太郎や回復役の綾子が成果を報告する。周囲の兵士達が畏敬の眼差しを向ける中、ハジメ達は要人が待つ会議室へ向かった。
会議室への合流
会議室には愛子やリリアーナを筆頭に、ガハルド皇帝やアルフレリック長老、カム、引退した元金ランク冒険者のクリスタベルら各勢力の代表が集結していた。女性二人を伴って現れたハジメに対し、愛子やガハルドが憤慨して室内は騒然となる。クリスタベルの過剰な求愛に圧倒されて体調を崩しかけたハジメは、愛子の魂魄魔法によって平静を取り戻した。
連合軍の体制確認
ランズィの進行により各勢力の配置が確認され、ハジメ達が神域へ突入する裏で、亜人族や愛子達の地球組は遊撃部隊として動く方針が共有された。絶望的な使徒との戦いで士気を維持するため、国民から絶大な支持を集めるリリアーナが総司令官を務める。リリアーナの決死の訴えと愛子の演説によって兵士や民衆が狂熱的な戦意を抱いている実態が明かされ、ガハルド達はその影響力に戦慄した。
結束する人類連合
聖戦の宣言と各国の承認は人々に強い危機意識と連帯感を植え付け、短期間で強力な連合軍を結成させた。ハジメは地上の戦力に確信を抱き、死を覚悟して距離を縮めてくる愛子やリリアーナの態度に苦笑する。シモン教皇の促しを受け、ランズィは神の目論みを挫くために戦い生き残ることこそがハジメへの恩返しであると告げ、キャサリンやイルワ、グレイルもハジメとの過去の縁を振り返りながら全面的支援を約束した。
ウィルの誓いとハジメの激励
志願して前線へやってきたウィルは、かつてハジメから授かった生き残る意味を掴むため未来へ向けて戦う意志を示した。ガハルドやアルフレリック達も地上戦の完遂を力強く誓い合い、熱気に包まれる軍議の場でハジメは人の強さを説く。神を気取る俗物を打ち倒す覚悟を語り、人間を舐めるなと告げて各国の重鎮達を鼓舞した。
竜人族の来援
転移陣から竜人族が到着した報を受け、ハジメ達は出迎えのため砦の外へ出向いた。平原の中央に降り立ったティオは人化してハジメへ飛び込んだものの、いつものゴム弾で撃墜されて歓喜の喘ぎ声を上げる。直後にティオの合図で上空の竜達が咆哮を轟かせ、六体の竜が人の姿へ戻ると、兵士達から大歓声が湧き上がった。
族長アドゥルの挨拶
竜人族の長であるアドゥル・クラルスは、他者を圧倒する威厳を保ちながらも驕ることなく各国の長へ参戦を告げ、穏やかな挨拶で兵士達の士気を一段と引き上げた。ティオの常軌を逸した言動との落差に仲間達が呆れる中、アドゥルはハジメの揺るぎない眼差しに関心を抱く。
ティオの正体と青年の告発
藍色の髪を持つ竜人の青年リスタスが詰め寄り、ティオを姫と呼んだことで、仲間達はティオが旧王族の姫であった事実を再認識した。ハジメ達がティオを姫と呼んでからかい倒す中、激昂したリスタスはかつて聡明で誇り高かった姫が変態へ変貌したのはハジメによる虐待のせいだと糾弾し、周囲の者達も深く頷く。
祖父の洞察と男達の嫉妬
アドゥルはリスタスを窘め、ティオの瞳を見れば真の絆と慕情に偽りがないことは明白であると諭した。さらにアドゥルは、リスタスや他の竜人男性達がティオへの好意からハジメへ八つ当たりしている事実を暴く。ティオが故郷で求婚者達から深く愛されていた実態を知ったハジメは、その変態的な姿を見てもなお変わらぬ男達の情熱に感心を示し、アドゥルはハジメと対面した。
アドゥルとの対面
ハジメは竜人族の長であるアドゥル・クラルスと対面し、ティオの祖父に対する礼儀として改まった態度と言葉遣いを見せた。周囲のクラスメイト達が普段との違いに動揺する中、アドゥルはティオが心から笑えている現状を喜び、孫娘を受け入れてくれたことへの感謝を伝える。その上でアドゥルは、ユエが最愛であると即答するハジメに対し、命を懸ける戦いを前にティオへの本心を示すよう求めた。
ハジメの宣言と家族の承認
ハジメはティオを引き寄せて抱き寄せ、ユエが最愛でありながらもティオを深く愛しており決して手放さないと公言した。さらに文句があるなら力づくで奪ってみせろと竜人達へ告げる。アドゥルはその理不尽な物言いに魔王の姿を重ねて笑い声を上げ、ティオの満ち足りた表情を見届けて孫娘をハジメへ託した。ティオから真意を問われたハジメは、生き残る前提の上で身内へ誠意を示したかったのだと伝えた。
砦の屋上での来客
砦の屋上で決戦の時を待つハジメの元へ、商人モットーが孫娘を連れて戦後の商売を提案しに現れたが、シアと香織に阻まれた。続いて亜人族のギル戦士長が戦後の関係進展を願って挨拶に訪れ、同行したマオ長老が不穏な取材企画を持ち込んでハジメに拒絶される。さらに雫を追ってきた熱狂的な女性騎士やエセ記者への対応をハジメがハウリア族に命じるなど、神殿騎士団や漢女軍団、竜人達を含む多種多様な来客が押し寄せた。離れた場所からその様子を眺めていた優花達は、ハジメの持つ人を惹きつける資質を再認識し、勝利への信頼を深め合った。
空の崩壊と開戦の兆し
夜明けを迎え、昇った太陽が完全に姿を現した瞬間、ハジメは敵の到来を察知して目を開いた。直後に世界は赤黒い禍々しい色に染まり、太陽は黒い点へと変貌を遂げる。鳴動する大気と震える大地の中、神山の上空に巨大な亀裂が走り、世界を巻き込む決戦が幕を開けた。
第五章 自重なしの開戦無双
開戦の宣言と神の軍勢
総司令官リリアーナの号令によって連合軍が戦闘態勢を整える中、神山上空の亀裂が砕け散り、黒い瘴気を放つ神門が出現した。神門からは山頂を埋め尽くすほどの魔物の大群が降り注ぎ、続いて無数の使徒が水平に射出される。砦の総司令部で状況を把握したリリアーナは、突出するガハルドへ自制を促しつつ、各国の指揮官達へ念話を通じて覚悟を伝えた。
豊穣の女神の鼓舞
砦の屋上に立った愛子は、エヒトの名を騙る邪神から世界を守るため全軍を鼓舞し、戦場に集う兵士一人一人が神の戦士であり勇者であると宣言した。勝利を掴み取るよう呼びかける愛子の演説に応え、五十万の兵士達は一斉に大地を踏み鳴らして雄叫びを上げ、戦場全体の士気は最高潮に達する。
神山崩し
愛子の合図を受けて上空へ浮上したハジメは、掲げた宝珠を介して、衛星アーティファクト「オレストレス」による超質量隕石落としを発動した。超高高度から落下する大質量の金属塊が数百発単位で降り注ぎ、標高八千メートルの神山を黒く染めていた魔物の群れごと粉砕していく。連合軍が大結界で衝撃を耐え凌ぐ中、人為的な天変地異によって霊峰が崩壊した光景を目の当たりにした兵士達は、更なる歓喜と闘志を沸き立たせた。
太陽光兵器による殲滅
崩壊に動揺する使徒達へ向け、ハジメは七機のバルス・ヒュペリオンから太陽光集束レーザーを照射し、防壁ごと多数の使徒を消滅させた。接近を図る残存勢力に対しては多角攻撃機ミラービットを展開し、空間を埋め尽くす反射レーザーの檻で使徒達を撃墜する。さらに集束太陽光爆弾ロゼ・ヘリオスを投下して太陽フレアのような大爆発を引き起こし、迫り来る使徒の軍勢を一挙に一掃した。
決戦前の別れ
ガハルドが全軍へ迎撃態勢の維持を命じる中、地上へ戻ったハジメはレーザーの操作宝珠を愛子へ託した。黒髪に変装した香織と留守を託す約束を交わし、リリアーナやカム、遠藤達と念話を通じて言葉を交わしたハジメは、シアやティオ、雫、鈴、龍太郎と共にスカイボードで上空へ飛び立つ。
神門への強行突入
ハジメは電磁加速式ガトリングパイルバンカーを掃射して迎撃の使徒を撃ち砕き、地上からの長距離狙撃や対空砲火の援護を受けて神門へ到達した。仲間達が四方からの猛攻を食い止める中、ハジメは劣化版クリスタルキーを神門の境界へ突き立てる。押し寄せる物量により仲間達が負傷していく極限状況において、ハジメは劣化版界越の矢を亀裂へ重ねて突き刺し、神域へと続く扉をこじ開けて一同と共に突入を果たした。
番外編 その日、全竜人族が泣いた
ヴェンリの迎えと帰還
ヴェンリは孤島の岸壁でティオの無事を祈る中、カルトゥスが感知した魔力を頼りに飛翔した。接近したヴェンリは、流線型の美しいラインを持つスマートな姿へ変化したティオと再会を果たす。ヴェンリから魔力譲渡を受けたティオは、驚くヴェンリを背中に乗せて圧倒的な速度で孤島へ帰還した。
族長への報告
孤島に到着したティオは、出迎えた同胞達の前で疲弊しつつも祖父である族長のアドゥル・クラルスと向き合った。ティオは人類存亡の危機と神による世界滅亡の計画が迫っていることを告げ、アドゥルはその気迫を感じ取って全同胞に戦いの準備を命じる。
過去の映像の公開
ティオはステータスプレートに似た白いカードを掲げ、神代の魔法でハジメ達が経験した死闘の映像を里の者達に再現した。ハジメが使徒を単身で打ち破った事実や神の軍勢との戦いが映し出される中、移動速度を上げるためにティオがハジメから鞭で叩かれるプライベートな映像も誤って流れてしまい、同胞達に大きな衝撃を与えてしまう。
墓地での対話と初代の竜鱗
ティオは両親の眠る墓地で旅の成果を報告し、後を追ってきたアドゥルに心境を語った。アドゥルはティオの成長を認め、歴代の竜人達が秘匿してきた初代クラルスの竜鱗が眠る霊廟へ案内する。初代の強い怨嗟を放つ竜鱗に触れたティオは、強大な魔力の奔流と対峙することになった。
初代との対決と出陣
初代の竜鱗から放たれる狂気に飲まれかけたティオは、禁域解放を発動して不退転の意志で初代の魔力と言い争うように対話した。一日半に及ぶせめぎ合いの末に初代の魔力をねじ伏せたティオは、竜人族を率いる真の力を手に入れる。決戦の時を迎えたティオは、同胞達を従えてゲートを抜け、ハジメの待つ大陸へと旅立った。
同シリーズ
その他フィクション

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