小説「虚構推理短編集 岩永琴子の密室 (6)」感想・ネタバレ

小説「虚構推理短編集 岩永琴子の密室 (6)」感想・ネタバレ

どんな本?

巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。
人の身ながら、妖怪からもめ事の仲裁や解決を頼まれる『知恵の神』となった岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べたことにより、異能の力を手に入れた大学院生の九郎が、この怪異に立ち向かう。その方法とは、合理的な虚構の推理で都市伝説を滅する荒技で!?
驚きたければこれを読め――本格ミステリ大賞受賞の傑作推理!

虚構推理

読んだ本のタイトル

#虚構推理短編集 岩永琴子の密室
著者:#城平京 氏
イラスト:#片瀬茶柴  氏

あらすじ・内容

一代で飛島家を政財界の華に押し上げた女傑・飛島龍子は常に黒いベールを纏っている。その孫・椿の前に現れはじめた使用人の幽霊が黙示する、老女の驚愕の過去とは──「飛島家の殺人」

 あっけなく解決した首吊り自殺偽装殺人事件の裏には、ささや
かで儚い恋物語が存在して──「かくてあらかじめ失われ……」

 九郎と琴子が開く《密室》の中身は救済か、それとも破滅か。

虚構推理短編集 岩永琴子の密室

感想

このくらい短編集の方が面白いと思う6巻。
この本を読了した今。
密室と聞くと笑ってしまう。
ヤバい。
サスペンス劇場とかで深刻な顔をしてる役者さんの画面を見たら爆笑してしまうかもしれないw

今日は絶対にその手のテレビは見ないぞ。
って最近、テレビ見てないやw

みだりに扉を開けるなかれ

完全犯罪にするために、妻を殺した後にトリックを使って密室を演出し。
目撃者にしようとした娘を迎えに外出。
帰宅したら、密室になっていたハズの部屋のドアが開いている。
それに大いに驚愕する殺人犯の夫。

実は殺された妻の霊が怨念で密室を解除するために鍵を開けたらしい。
そして、それに驚愕した夫の顔をたまたま妖が目撃し。
その顔があまりにもツボに入ったらしく。
他の妖にも言いふらした結果、、

密室殺人をすると妖が密室を破壊して普通の殺人事件になるホラーが多発するようになった。

余裕で現場に帰って来た犯人が、愕然とした顔をみて喝采を上げる妖達。。

趣味が悪いが、完全犯罪を暴露するというならアリかな?
でも、あまりにも数が多くなったので、岩永のおひいさまが禁止を言い渡すが、、
なかなか止まらない。

鉄板前の眠り姫

半分趣味のような小さいお好み焼き屋さんをしてた父親が亡くなり。
そのお好み焼き屋さんを次男が継いだ。
常連客のために一所懸命にお好み焼きを作る次男に、常連客も絆されて店は何とか継続出来ていた。

そんな時に、父親が亡くなったと知った長男が実家に帰って来て。
自身の分前を寄越せと言って来た。

ても、店の名義も財産も全て次男の名義に変わっており。
長男に渡す物は鐚一文も無い。
それに逆上した長男はナイフを持って、次男に襲い掛かり。
揉み合った結果。
長男が刺されて死亡。

次男は営業時間が終わり、店を閉めたら自首しようとしていたら、閉店間際に妖に相談された岩永のおひいさまが入店。
彼に自首しても情状酌量で無罪になると言おうとしたら、、

雨の日だったのが祟り、悪癖が発動してお好み焼きを食べてる途中で寝てしまう。
それを妖を経由して知った九郎が迷いなく、お好み焼き屋に入り。
岩永を回収しようとしたが、店主の次男が訝しんで。
自身の家に他殺体がある事を厭わずに、警察に連絡しようとする。

かくてあらかじめ失われ

妖の密室殺人を破綻させる遊びが流行。
その中で、密室殺人を破綻させたのに犯人「計画通り」と喜んだから妖達は大慌て。
岩永のおひいさまに相談する事になる。

勝手に動いて現場を引っ掻き回す妖。
それに翻弄される岩永と密室殺人の被害者の家族達。

その家族に関係する幼馴染の男子の性癖にも、、
その道はダメだ!!
その沼にハマったら社会的に、、、

九郎スマヌ!!!ww

なかなかに複雑怪奇な関係と思惑が混ざって面白い。

怪談・血まみれパイロン

亡くなったが、まだこの世に未練のある噺家。
妖や幽霊のための寄席がしたいと思ったが、自身の持ってるネタは妖や幽霊を小馬鹿にしたりするモノばかりだったので、岩永のお姫様に相談してみた。

そこで出て来たのが「怪談・血まみれのパイロン」だった。
話はほぼ実話。
酔った大学生が交差点に入ろうとしたら、パイロンが突然現れて驚いて止まった直後。
信号無視した暴走車が通り過ぎて行った。

本来ならパイロンに感謝してもおかしくないのに、酔っ払っていた彼はパイロンに八つ当たりをしてしまった。

そこから毎晩、彼の部屋の扉をノックする血まみれのパイロンが現れるようになったのだが、、

あまり信心深くない彼は祟りだと思わず。
タヌキの悪戯だと思っていた。
実際にタヌキの悪戯だったのだが、、
あまりにも毎晩するモノだから、懲らしめてやろうと罠を張り。
タヌキを捕まえたまでは良かったが、、
タヌキは助けたのにこの仕打ちは酷いと抗議する。
それそうだと平謝りして、色々とお菓子でもてなした彼は、、
タヌキを気に入り、さらにお礼もしたいから。
また会おうと言ったら、タヌキは待ち合わせの場所に寂れた神社を指定した。

そして、神社に行ったら、、
タヌキの両親がおり、タヌキの特徴を言ったら交通事故で亡くなった息子だと言う怪談が出来上がった。

ネタと実話の相違点はタヌキの生死だけ。

飛島家の殺人

とあるかつての名家の昔の殺人事件の話。
その家に永年仕えて、最近亡くなった使用人さんが、いつまでも喪に服してベールを被っている奥方が気の毒で、奥方の心が軽くなり、喪に服さなくても良いようにして欲しいと。

夜な夜な名家当主の子と孫の夢枕に立つようになってしまった。

それに動いた親娘2人だったが、、
なかなか解らない。

それなら幽霊になってから知ったおひさまに相談してみると言って、その使用人さんは夢枕から消えた。

そして後日、お姫様から連絡があり。
雨降る公園の四阿で待ち合わせたら、、
中学生くらいの子が寝ていた。

ちなみに亡くなった使用人はお姫様に言ったらもう解決した物と安心して成仏。

そこから始まる昔の殺人事件の話。
奥方の旦那と長年自身を支えてくれた側仕えの女性との不倫。
その女性を殺したのは誰か?
旦那が何故その後に事故に遭って亡くなったのか、、

結局は真相は判らず。
依頼人も既に成仏してるので、そのままにして終了。

いや、知らない方が良いのかもしれない。
だって奥方は喪に服して顔を隠しているベールの下でほくそ笑んでるかも知れないのだから、、

そんな感じの終わり方だった。
こんな終わり方も良い。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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