小説【いせれべ】異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 1感想・ネタバレ

小説【いせれべ】異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 1感想・ネタバレ

どんな本?

作家の名前で予備知識無しで買った記憶がある。

「小説家になろう」で「進化の実」を知ったのは作者さんは高校生だったからな・・
文章の書き方が凄く面白くて進化の実を読んでいたが、このタイトルは知らなかった。

進化の実がアニメ化して、、、

そしてこの「#いせれべ」がアニメ化するらしい、、

進化の実と比べると期待出来そう。
モフモフなナイトとアカツキ、ウサギさんが出て来るまで楽しみに待とう。
PVにはしっかり出ている。

KADOKAWAanime より共有
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ウサギ師匠!!!声が渋い!

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動くナイトがカワイイ!!!

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アカツキもキュート!

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最初のウツ展開は見ない方が良いかもしれない、、

読んだ本のタイトル

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する ~レベルアップは人生を変えた~(#いせれべ)

著者:#美紅 氏
イラスト:#桑島黎音  氏

アニメイト

あらすじ・内容

少年は、2つの世界を無双する――。

幼い頃から酷い虐めを受けてきた少年・天上優夜。人生に絶望する彼が開いたのは『異世界への扉』だった! 扉の向こうには、凶悪な魔物が蔓延る【大魔境】が広がっており――。
初めて異世界を訪れた者として、チート級の能力を手にした優夜は、魔物たちを次々と討伐し、レベルアップを重ね……最強の身体能力を持った完全無欠な少年へと生まれ変わった!
異世界では魔物から王女を救い、国中で噂の的に……? 現実世界でも女の子たちから猛烈アプローチが始まって……!?
異世界×現実世界。レベルアップした少年は2つの世界を無双していく――。人生逆転ファンタジー開幕!

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する ~レベルアップは人生を変えた~

感想

親からは醜いという理由でネグレクトされ、弟妹の双子は美形で成績は優秀。
でも、彼は醜かった。

そんな彼を唯一可愛がってくれた祖父が亡くなってしまう・・・

祖父が全ての財産と土地を主人公の優夜に相続させてると遺言を残すが。
性根が腐っている優夜の親たちは全てを奪おうと動いたが、それを見越していた祖父からの依頼で彼の知人達が全てを妨害して無事に優夜に相続が完了する。

その腹癒せに、まだ義務教育中の優夜を家から追い出す両親と弟と妹。

優夜は祖父の家で一人暮らしをする。
生活費を稼ぐために、バイトをしながら中学校に通っていたら、、

醜い容姿が災いして、イジメを受けており。
教師が全く無関心なのを良いことに、暴行を受けて客前に立てないほど怪我を負ってしまう。

気絶して気が付いた時は既に無断欠勤扱いとなりクビになり。
他のバイトも怪我のせいでやめてしまう。
そして、やる事が無いから掃除をしていたら。

祖父の遺品の中から異世界に行く扉を発見してしまう。
異世界に行くと出た先が、神に匹敵する魔法が使える賢者が遺した家に出て来て。
優夜は、賢者の後継者となり賢者の遺品の全てを受け継ぐ事になる。

その遺品の中で槍を持っていたら、賢者の住処の結界を殴りまくるオーガがおり。
それに向けて優夜は、賢者の槍を投擲。
するとオーガを貫通して優夜はオーガを討伐してしまう。

それをキッカケに優夜はレベルアップして、この作者さんのお約束のブサイクがイケメン(激痛を伴う)になる。
その後異世界のヒロイン、レクシアが人間だと!!!???www←驚くところそこ?
さらにお姫様だと??

現代の方は後に転校する王星学園の理事長の娘。
佳織がヒロインになるが、彼女は醜い時の優夜の心根を好いているのが好印象。

その後に、イケメンになったおかげで、ファッション雑誌の撮影に現地調達され。
人気上昇中のモデル。
美羽が登場して、彼女が所属している芸能事務所の社長が優夜に芸能界デビューしないかと猛烈に勧誘する。

さらに、優夜の弟妹らが優夜だけが超一流高校に編入されたのがおもしろくない。

それで王星学園にイジメをしていた連中と殴り込みを掛けるのが、、
いや、普通にダメだろ。
高校退学だろうな、、、

いせれべ 2巻

最後までお読み頂きありがとうございます。

展開まとめ

プロローグ

幼少期から続く虐待と孤立

天上優夜は幼少期から継続的ないじめを受けていた。どれほど訴えても状況は改善せず、教師からも優夜が悪いと断じられていた。家庭でも事情は同様であり、双子の弟妹が生まれて以降、両親の愛情は完全に双子へと向けられた。優夜は粗末な食事や衣服を与えられ、洗濯すらされず、自ら公園で服を洗う生活を送っていた。体は食事量に反して太り続けたが、病院に連れて行かれることもなかった。

祖父の存在と遺言

唯一優夜を大切にしたのは祖父であった。祖父は優夜を可愛がり、その扱いに憤慨して周囲へ訴えたが聞き入れられなかった。やがて祖父は亡くなる際、辛くても笑みを忘れず、焦らず自分と向き合えと優夜に言い残した。さらに家と財産を優夜に譲った。両親はそれを奪おうとしたが失敗し、結果として優夜の養育を放棄した。優夜は祖父の家へ移り住み、学費は賄えたものの生活費のためにアルバイトを掛け持ちする日々を送っていた。

高校での暴行と屈辱

ある日、アルバイトへ向かう途中で同級生の荒木武らに連行され、体育館裏で集団暴行を受けた。荒木は不良チームに所属する主犯格であり、優夜を殴打し、全裸にして写真を撮らせた。集まった者たちは嘲笑し、その中には弟の天上陽太と妹の天上空もいた。二人は優夜を兄と認めながらも侮蔑し、荒木の行為を止めなかった。やがて優夜は強烈な一撃を受けて気絶した。

奪われた尊厳と続く日常

目覚めたときには誰もおらず、所持金は奪われ、教科書は破られ、服は泥水をかけられていた。惨めさと悔しさを噛みしめながらも、優夜は涙を堪えた。祖父の言葉を思い出しながらも、これが自分の日常であると痛感していた。

第一章 異世界へ

休暇の始まりと現実逃避の掃除

天上優夜は中学卒業後の短い休みに入り、久々の癒やしの時間を得ていた。だが集団リンチの影響で無断欠勤扱いとなりバイトを失い、傷のせいで別口も切られていた。新しいバイト探しや筋トレを考えつつ、現実から目を逸らすように祖父の家の大掃除へ取りかかった。

鏡の自分を見た崩壊

優夜は洗面台の鏡に映る自分の容姿を直視し、抑えていた感情が溢れ出した。叫びながら鏡を殴り続け、血が出ても止められず、最後はバケツをぶつけて鏡を割った。破片と血を前に、整形もできない貧困と変わらない現実を思い知り、俺はいったい何になりたいんだろう、夢など無意味だと心を沈めていた。

隠し部屋の発見と扉への誘導

苛立ちのまま壁を殴った瞬間、壁が回転して未知の部屋が現れた。優夜は警戒しつつも好奇心に負けて入り、祖父が世界中で収集した品々が並ぶ空間を目撃した。奇妙な感覚に導かれるように奥へ進むと、フクロウの彫刻が施された木製の扉に辿り着き、その扉こそが呼んでいる正体だと確信してノブに手を伸ばした。

異世界の部屋とスキル獲得

扉の先にはログハウス風の室内が広がり、木製家具や剣・斧などの武器が山積みになっていた。直後、半透明の板が出現し、鑑定・忍耐のスキル、扉の主・家の主・異世界人・初めて異世界を訪れた者の称号を獲得したと告げた。優夜は自室に戻って扉の裏を確認したが壁しかなく、異世界へ繋がっている矛盾に困惑した。

鑑定による扉の正体と機能の把握

再表示された情報により扉は異世界への扉であり、繋がる先は固定、破壊不能で、主は機能を操れると判明した。優夜はこれが鑑定の作用だと理解し、スキルと称号の説明を順に確認した。扉の主はメニュー機能を使え、初めて異世界を訪れた者はアイテムボックスも扱えるなど、有利な効果が並んでいた。

メニュー表示とステータスの絶望

メニューには異世界への扉の所有者が天上優夜と表示され、換金・転送・入場制限の機能が示された。換金は物を金に変換し、転送は現在地に扉を出し、入場制限は通行者を指定できる内容だった。さらにステータス確認で優夜の各能力がすべて1であることが判明し、優夜は絶望した。BPは成長時の割り振り点で、異世界人と初来訪の称号により大量に得られると分かり、アイテムボックスは無制限に物を出し入れできる機能だと理解した。

危険の想定と再訪の決意

優夜は扉の先が不法侵入になり得ることや、相手が怒って襲ってくる危険を考えた。だが入場制限で他者は通れず、いざとなれば自宅へ退避できると判断した。優夜は家の主の意味も含め、真相を確かめるため、もう一度あの部屋へ行くことを決めて扉に向かった。

異世界の家の安全確認と周辺環境の確信

天上優夜は扉の先の部屋に再び入り、誰もいないことを確認した。室内のクローゼットには細身の衣類が揃っており、窓の外には森と澄んだ空気が広がっていた。自宅周辺とは明らかに異なる環境から、扉が異世界か地球の別地点へ繋がっている可能性を強めた。

手紙の解読と新スキル獲得

優夜は机上の紙に気づいたが、未知の文字で読めなかった。直後にスキル言語理解を習得し、鑑定により全言語の読み書きが可能になる能力だと理解した。手紙を読み直すと、家の前主は寿命が近く家を手放し、見つけた者へ所有権と家財一式を譲る意図だったと判明した。所有権は魔法で更新され、所有者以外は侵入できない仕組みであり、優夜が家の主となったことの裏付けになった。

魔法への興味と警戒心の解除

手紙の内容から、家が賢者に関わる可能性や、侵入防止がこの世界では成立している事実を知り、優夜は魔法の存在を現実として受け入れ始めた。自分以外が入れないと分かったことで警戒心が薄れ、家の中の物を調べる方向へ意識が切り替わった。

伝説級武器の鑑定と契約者の異常

優夜は武器の中から剣を手に取ったが重さに振り回された。鑑定の結果、その剣は全剣という頂点の剣であり、非売品で契約者が天上優夜と表示されていた。優夜は賢者の所持品の規格外さと、自分がいつの間にか契約者になっている事実に衝撃を受けた。

敷地の範囲確認と剣術スキル習得

優夜は玄関から外へ出て、庭や畑を含む敷地の広さを確認した。メッセージにより柵の内側までが所有地であり、そこも他者が侵入できないと知った。安心して剣を振ろうとするが、実際は剣に振り回されるだけで終わった。それでも直後に剣術:1を習得し、熟練度が1で最高10だと説明された。

武器遊びの連鎖と全武術スキルの統合

優夜は他の武器でも試し、鑑定すると絶槍、死鎌、無限の籠手、無弓などいずれも非売品で契約者が天上優夜と表示される危険級の品ばかりだった。触れて遊ぶだけで槍術や鎌術、格闘術など多数の武術スキルが増殖し、ステータスは低いままスキル欄だけが膨張した。条件達成のメッセージにより全武術スキルが統合され、真武術:1を習得した。鑑定では、あらゆる武器と格闘術を修めた者が到達する境地で、全てを使いこなせるとされたが、優夜は実感との乖離に困惑したまま、規格外のスキル獲得を受け入れるしかなかった。

アイテムボックスの実用化と現実への帰還

天上優夜は外に散らかした武器を片付けるため、アイテムボックスを試した。心中で唱えると黒い空間が出現し、意思で出現と消滅を制御できた。ボールペンで出し入れを確認した後、武器を次々と収納して片付けた。地球側でも取り出せると分かり、優夜は扉をくぐって祖父の隠し部屋へ戻り、出来事が夢ではないと実感して疲弊した。

買い出し中の遭遇と介入の決断

昼時に空腹を覚えた優夜は、冷蔵庫が空であるため近所へ買い出しに出た。コンビニ前で同年代の少女が派手な男たちに執拗に絡まれ、腕を掴まれている場面に遭遇した。周囲は見て見ぬふりをしていたが、祖父なら助けると考えた優夜は恐怖を抱えながらも介入し、少女が嫌がっていると告げた。

暴行と忍耐の発動感覚

男たちは少女を放して優夜を囲み、顔を殴って倒した後も蹴り続けた。だが警察が来た気配で男たちは焦って逃走した。優夜は強い痛みを受けながらも意識を保っており、これまでより耐えられていることに違和感を覚え、忍耐のスキルが地球でも働いている可能性を考えた。

少女との短い交流と警察の対応

少女は駆け寄って救急車を呼ぼうとしたが、優夜は大丈夫だと断り、距離を取った。そこへ警察官が到着し、少女が経緯を説明した結果、被害者は優夜のみと整理され大事にはならなかった。警察官は少女を送ることになり、優夜にも送迎を申し出たが、優夜は買い物があるとして断った。去り際に少女は礼を述べ、必ずお礼をすると伝えたが、優夜は会話に慣れておらず、少女の顔もまともに見られないまま別れた。

帰宅までの買い物と余韻

優夜は少女の人柄に心を動かされ、幸せになってほしいと感じた。その後、コンビニだけでなくスーパーで食材を買い足し、再びコンビニにも寄ってから自宅へ帰った。

異世界の庭での違和感と悪寒

天上優夜は昼食と掃除を終えると、再び扉の向こうへ向かい、庭の広さと異世界にいる事実を噛みしめていた。鑑定の説明から神の存在まで連想していた最中、凄まじい悪寒に襲われ、呼吸が乱れながら敷地入口へ視線を向けた。

ブラッディ・オーガの出現と絶望的ステータス

柵の外に現れたのは赤黒い皮膚と牙を持つ巨体の魔物であり、優夜を強者の視線で射竦めていた。優夜が鑑定すると相手はブラッディ・オーガで、レベル300、攻撃力と防御力が5000など桁違いの数値だった。優夜は自分がオール1である現実との落差に混乱し、恐怖で腰を抜かした。

結界の防衛性能と攻撃のエスカレート

ブラッディ・オーガは突進したが、見えない壁に阻まれて敷地へ侵入できなかった。拳で壁を叩き続けても効果はなく、さらに木を引き抜いて投げつけたが、それすら弾き返された。外からの直接攻撃も間接攻撃も無効化されると理解した優夜は、脅威が及ばないと分かりつつも精神的圧迫を感じ続けた。

内側からの攻撃検証と絶槍の選択

優夜は内側から外へ攻撃した場合はどうなるのかという疑問を抱き、アイテムボックスから絶槍を取り出した。無弓は引けないため選べず、絶槍なら目標を定めて手から離せば必ず命中し戻ってくる性質を、以前の鑑定と試行で把握していた。恐怖で感覚が麻痺した優夜は、生物へ武器を投げる行為を自分に許し、投擲を決意した。

絶槍の貫通と初めての討伐

優夜がよろめきながら投げた絶槍は、力とは無関係に瞬時に到達し、ブラッディ・オーガの体を貫いた。魔物は胸に穴を開けて倒れ、やがて光の粒子となって消滅した。優夜は生存の実感と、生物を殺した実感が混ざり合い、へたり込み乾いた笑みを浮かべたが、手応えが薄かったこともあり想像ほどの衝撃は受けなかった。

戦利品の発見とレベルアップ通知

呆然としていると、魔物が消えた場所に物が落ちていることに気づいた。しかし腰が抜け膝も笑って動けず、そのまま立ち尽くした。直後にメッセージが現れ、レベルが上がったと告げられた優夜は、再び呆然とした。

レベルアップの確認と異常な成長

天上優夜はレベルが上がったという通知に呆然としたが、レベル1でレベル300を倒した結果だと納得した。討伐できた要因は絶槍の性能にあると推測し、その危険さを再認識した。ステータスを確認すると、レベルは100へ跳ね上がり、魔力・攻撃力・防御力・俊敏力・知力が大幅に増加し、BPも10000に達していたため、上昇幅の異常さに困惑した。

ドロップアイテム回収と鑑定

震える足で討伐地点へ向かった優夜は、宝石のような魔石、牙、赤黒い鎧一式を見つけて回収した。鑑定の結果、牙は血戦鬼の大牙で加工用素材となり、魔石はBランクで高価になり得る鉱石であった。鎧は血戦鬼の胴鎧・籠手・腰鎧・脚甲で、強靭な素材で傷つきにくく、攻撃力や俊敏力への補正が付く装備品だった。だがサイズが合わず、用途も不明なため扱いに迷った。

BP配分の方針と娯楽化する感覚

優夜はBPを振り分けることを決め、魔法を使えないため魔力よりも攻撃力や防御力を重視しようと考えた。さらに努力で上げにくい運に価値を見出し、状況がゲーム的な娯楽へ変わりつつある自分を自覚した。結果として魔力と知力は抑え、攻撃・防御・俊敏を大きく伸ばし、運にも多く割り振ってBPを使い切ったが、体感的な変化はほとんど感じられなかった。

換金機能の提示と金銭化の実行

帰還しようと扉へ近づいた際、換金可能アイテムの通知が出現した。優夜は使い道のない牙と魔石を換金対象に選び、装備品は将来の可能性を考えて除外した。換金の結果、血戦鬼の大牙が50万円、魔石Bが100万円として合計150万円になり、紙の束として1万円札が出現したため優夜は衝撃を受けた。

偽札検証と鑑定結果による確信

優夜は偽札を疑って確認し、さらに鑑定で調べると、地球の経済が混乱しないよう札番号などの情報を操作して生成された正真正銘の札束だと説明された。理解は追いつかなかったが、生活が逼迫している現実から利益を受け取る決断をし、現金と鎧類をアイテムボックスへ収納した。優夜は最後に大きな驚きを抱えたまま、ふらつきながら自宅へ戻った。

第二章 レベルアップの恩恵

レベルアップ後に起きた肉体の激変

天上優夜はその夜、突然体に異常な熱と激痛を感じて目を覚ました。全身の骨格や筋肉、神経、さらには遺伝子そのものが作り変えられるような激痛が続き、声もまともに出せない状態となった。あまりの苦痛に耐えきれず、優夜はそのまま意識を失った。

完全に変貌した肉体への困惑

翌朝目覚めると、昨夜の痛みは完全に消え、体は驚くほど軽くなっていた。さらにズボンが落ちたことで自分の体を確認すると、かつての肥満体は消え、六つに割れた腹筋を持つ引き締まった肉体へと変化していた。肌の荒れやニキビも消え、髪も健康な状態になっていた。視線の高さも変わっており、全身が根本的に変化していることを実感した優夜は、これがレベルアップによる恩恵だと理解した。

新たな問題と衣服不足の危機

しかし体型が劇的に変わったことで、これまで着ていた服はすべてサイズが合わなくなり、特にズボンや下着はまったく着用できない状態となった。制服も含めて現実世界の衣服が使用不能となり、外出や生活に支障が出る深刻な問題に直面した優夜は、解決策を探して異世界の家にあったクローゼットの存在を思い出した。

異世界の装備品の入手とその異常な性能

異世界のクローゼットにはシャツやズボン、下着、靴下、革靴が収納されていた。鑑定によってロイヤルシルクのシャツとズボンは装着者の体型に自動適応し、体温調整、汚れ防止、自動修復といった機能を持つ装備品であることが判明した。さらに龍神の革靴は地形の影響を受けず、疲労や靴擦れを防ぎ、サイズも自動調整される性能を持っていた。これらはすべて契約者として優夜に紐づけられていた。

外出可能な環境の回復

優夜はロイヤルシルクの服と龍神の革靴を身に着けることで、現在の肉体に完全に適合した装備を手に入れた。これにより衣服不足という問題は解決され、快適な状態で外出できる環境が整った。レベルアップによる肉体強化と異世界の装備の恩恵によって、優夜の生活は大きく変わり始めたのであった。

畑と装備の調査

天上優夜は異世界の家に慣れつつも好奇心が勝り、敷地内の畑を確認した。畑には草と野菜が整然と植えられており、近くには水の入った銀色のジョウロが置かれていた。鑑定の結果、それは水が無限に湧き出し、植物を蘇生させるだけでなく飲めば疲労回復と魔力増加まで起こす【無限のジョウロ】であった。優夜はこの家の前所有者である賢者の異常さを再認識しつつ、畑作物の正体を調べる流れへ進んだ。

伝説級の回復草とステータス強化野菜

まず草を鑑定すると、それは欠損や失明すら治癒し、傷病を完治させる【完治草】であり、しかも採取時に自動で種を残すため栽培が容易という伝説級の植物だった。続けて畑の野菜も鑑定した結果、攻撃力を上げる【超カトマト】、防御力と精神耐性を強化する【無敵かぼちゃ】、知力と思考能力を伸ばす【叡智の大根】、俊敏力と反射神経を強化する【神速ジャガイモ】であると判明した。優夜はこの畑が食費節約どころか恒常的な強化手段になり得ると理解し、食べる選択肢を現実的に捉え始めた。

ヘルスライム出現と精神の変化

畑の確認中、優夜はブラッディ・オーガと同種の威圧感を察知し、黒いスライム状の魔物を発見した。鑑定すると【ヘルスライム】で、レベル200・魔力と防御が突出した危険個体であった。だが優夜は昨日ほどの恐怖に支配されず、精神構造そのものが変化したような感覚を覚える。ヘルスライムは敷地内に侵入できず体当たりを繰り返したため、優夜は敷地外の探索には戦闘が避けられないと考え、迎撃を決断した。

レベルアップによる身体能力の実感と討伐

優夜は【絶槍】を取り出し、以前と違って片手で普通に扱えることに気づいた。試しに振ると完全ではないが扱える水準に達しており、レベルアップの恩恵が筋力に直結していると理解する。さらに躊躇いなく投擲を行うと、槍は予想以上の速度で飛翔し、ヘルスライムの胴体を貫通して消滅させた。優夜は自分の強化が、主観の認識を超えるレベルで進んでいることを痛感した。

ドロップ回収とレア首飾りの装備

優夜は敷地外へ出る危険を警戒しつつドロップを回収し、鑑定で【ヘルスライムの核】、【ヘルスライムゼリー(コーヒー味)】、【魔石:C】を得たと把握した。さらにアクセサリーとして【黒月の首飾り】を入手し、夜間のステータス上昇と太陽光を魔力へ変換して常時回復する効果を持つレアドロップだと判明した。初のレア品として優夜は首飾りを装備し、外見の変化も含めて新しい自分を受け入れ始める。

追加レベルアップと新スキルの獲得

首飾り装備直後、優夜は「レベルが上がりました」と表示され、スキル【気配察知】を習得した。前夜の激痛を再び味わう不安を抱えつつも、気配察知が敷地外での回収や探索の危険を減らす実用スキルであることを理解し、一定の満足を得た。ステータスはレベル150へ上昇し、攻防俊敏が3500、魔力と知力が2000、BPは5000となった。

BP再配分と運への投資

優夜はBPを再配分し、今回は魔力と知力には振らず、攻撃・防御・俊敏を4500へ引き上げ、運を6500まで伸ばした。レアドロップ入手をきっかけに、運がドロップ運へ影響すると直感したためであり、強化の方向性が「生存」と「獲得効率」に寄っていく。朝から畑の発見と魔物討伐、成長が連続したため、優夜は昼になった段階で一度現実世界側の家へ戻る判断を下した。

換金の継続と金銭感覚の揺らぎ

天上優夜は帰宅のタイミングで換金メッセージを受け取り、【魔石:C】と【ヘルスライムの核】を換金した。結果は【ヘルスライムの核】50万円、【魔石:C】50万円で合計100万円となり、これで二日間の累計は250万円に達した。急激な資金増加に眩暈を覚えつつも、優夜は現実世界の家で昼食を取る行動へ移った。

異世界食材の調理とステータス上昇

優夜は畑の食材と【無限のジョウロ】の聖浄水を使い、「超カトマトのサラダ」「無敵かぼちゃと叡智の大根の煮つけ」「神速ジャガイモの肉じゃが」を作って食べた。味は地球の野菜と大差ないと思っていたが、実際は驚くほど美味く、食材自体の質の高さを確信する。食後にステータスを確認すると、魔力と知力が2500、攻防俊敏が5000、運が7000へ上昇しており、各能力が500ずつ増加していた。さらにスキル欄に【料理:1】が追加され、異世界食材の摂取が能力上昇とスキル獲得に直結する反則性が明確になった。

古本屋での武術書探索と直感的な選別

優夜は武器を扱える筋力を得たことで、武術を体系的に学ぶ必要性を感じ、図書館では視線が辛いという理由から人の少ない古本屋へ向かった。店内の武術棚には剣術だけでなく槍術・杖術・鎖鎌術、さらには暗殺術まで幅広い本が揃っていた。全てを買う現実性はないため迷うが、いくつかの本が本能的に選ぶべき対象として目に留まる。優夜はそれを【真武術】の影響と推測しつつ、深追いせず数冊を購入して帰宅した。

読書による成長と新スキル獲得、再発する代償

帰宅後、優夜は夕食まで、さらに夕食後も購入した本を読み続け、結果として【速読】のスキルを習得し、買った本を読み切ってしまった。実戦は翌日に回す判断をして入浴し就寝するが、眠りに落ちた直後、再びレベルアップ時と同種の激痛に襲われ、意識を失う展開で章が締まる。

第三章異世界人

称号の効果の再認識と成長速度の異常性

異世界に来て一週間が経過し、天上優夜は自分の称号とスキルが想像以上の効果を持つことを実感した。特に【異世界人】はレベルやスキルレベルの上昇を加速させているらしく、さらに【初めて異世界を訪れた者】はレベルアップ時に得られるBPが桁違いに多いという形で成長を決定づけていた。優夜は賢者の遺産も大きいが、それ以上に称号が“強くなる土台”として機能していると結論づけた。

スキルの現実世界適用と生活面での恩恵

優夜は【鑑定】により買い物で鮮度の良い食材を選別でき、【言語理解】で外国語の読み書きや会話まで可能となり、現実世界でも日常的な利得が生じていると確認した。一方で、畑のステータス上昇食材は一定値を超えると上昇が止まり、無限強化ではないことも把握した。ただし効果が頭打ちになっても味は変わらず、優夜は状況を受け入れていた。

訓練でのスキルレベル上昇と精神面の変化

優夜は古本屋で得た知識を手がかりに武器の訓練を続け、魔物を倒さずとも行動によって【真武術】がレベル2へ上がることを確認した。体感の変化は僅かだが、武器操作のキレが増したように感じている。こうした成長と並行して、高校入学が迫る現実に憂鬱を抱え、同じ中学の人間関係が続く環境での生活を強く不安視した。

外の探索を決意し、装備を整える

制服の買い替えで外出しつつ、優夜は異世界の家の周辺探索を決意した。危険は理解しているが、恐怖より好奇心が勝ち、以前の自分にはなかった冒険心が芽生えたことを肯定的に捉えた。装備として【血戦鬼の胴鎧】【血戦鬼の籠手】などを身につけ、回復手段として【完治草】も携行し、【絶槍】を手に敷地外へ踏み出した。

幻想的な森と初の“自力”戦闘

森の景色は柵内から見た時以上に鮮やかで、未知の植物や発光する花が点在していた。優夜は【気配察知】で生物の存在を掴み、【鑑定】で相手が【ゴブリン・エリート】だと判明する。敵対かどうか迷い、争いを避けようと退くが、枝を踏んで位置が露見し、ゴブリンに襲撃される。

槍術の実践と殺傷への順応

優夜は攻撃を見切って回避し、敵対を確信したうえで槍を構え直した。購入した本の方針に従い、構えよりも“捻りを伴う突き”を意識して全身で突くと、【絶槍】に螺旋状の風が纏い、ゴブリンの額を貫通させた。風の威力で頭部は抉り取られ、ゴブリンは血飛沫を残して光の粒子となり消滅した。優夜は命を奪った実感と重みを理解しつつ、殺さなければ殺されるという現実に心身が順応し始めていることを自覚した。

戦果確認と探索継続

ドロップは【魔石:D】【上級小鬼の牙】【上級小鬼の皮】で、用途は不明なまま全て【アイテムボックス】へ収納した。鎧が動作を妨げない点も確認し、戦闘を避けたかった当初の考えとは裏腹に、実戦で得られた検証結果を価値あるものとして受け止めた。レベルアップは発生しなかったが、武術が通用する手応えを得た優夜は探索を続行した。

王女レクシアの逃走と追跡者の包囲

森の中を、淡い白の上質なドレスを纏った少女レクシア・フォン・アルセリアが必死に逃げていた。裸足で足場の悪い森を走った結果、木の根に躓いて転倒し、フードで顔を隠した集団に取り囲まれる。レクシアは自分がアルセリア王国第一王女だと名乗って狼藉を糾弾するが、襲撃者はそれを承知で嘲笑し、彼女の出自を理由に「邪魔だ」と断じた。

出生の背景と王宮内での孤立

レクシアは国王と“奴隷のハイエルフ”との間に生まれた子であり、母は人間ではない。国王は母を妾として寵愛し、レクシアを大切に育てたが、母は出産後に亡くなった。成長したレクシアは高い魔力を持ち、その暴走で第一王子を負傷させた過去がある。王子は治癒したものの、この事件を契機に妃と王子派閥の貴族から疎まれ、国王の目が届かない場所で嫌がらせを受け続けた。襲撃者はその事情を突きつけ、護衛の死まで示唆して精神的に追い詰めた。

襲撃者の魔法攻撃とレクシアの絶望

襲撃者の一人は土の塊を生み出す魔法でレクシアを攻撃し、レクシアは回避したものの衝撃で大きなダメージを負う。痛みで蹲り、人生を振り返って涙をこぼしたレクシアに対し、襲撃者は魔物を警戒しつつ「とっとと死ね」と殺害に移ろうとした。

ゴブリン・ジェネラルの乱入と惨殺

その瞬間、ゴブリン・ジェネラルが出現し、襲撃者へ襲いかかった。金色の瞳と焦げ茶の肌、上質な鎧を纏い、身長ほどの巨大な剣を振るう個体であり、襲撃者たちは反撃の間もなく肉塊へ変わり全滅した。血と肉片が飛び散る中、レクシアは恐怖で体が動かず、ゴブリン・ジェネラルがこちらへ向ける殺意を前に、生きる意志そのものが折れていった。

天上優夜の介入とレクシアの気絶

ゴブリン・ジェネラルがレクシアの目前で剣を振り上げた瞬間、飛来した何かが攻撃を阻み、続く衝撃でゴブリン・ジェネラルは吹き飛ばされた。乱入者は艶やかな黒髪と夜空のような瞳を持つ、上品で異国的な雰囲気の青年であり、焦った様子で「大丈夫か」と駆け寄った。状況は依然として絶望的であるが、レクシアはその姿を見た瞬間に不思議な安心感を覚え、緊張が切れたことでその場で気絶した。

探索の進展と現在の戦力

ゴブリン・エリート戦から数日が経ち、探索は大きく進んだ。途中で便利なスキルを得たことで帰路の目印が不要となり、戦闘経験の蓄積で技術とレベルも伸びた。ドロップ品の換金も重なり、所持金は合計1000万円に到達していた。現在の天上優夜はレベル200に達し、攻撃・防御・俊敏はいずれも7000、知力4500、魔力5000という高水準に成長していた。加えて《地図》《見切り》《弱点看破》《同化》など戦闘と探索に直結するスキルを獲得し、探索の難度が体感で下がっていた。

変化の定着と高校への焦燥

かつてレベルアップのたびに伴っていた就寝中の激痛や異音は、最近になって消えた。優夜は体の構造が完成した可能性を推測しつつ、筋力などの伸び自体は続いているため、成長の停止ではないと捉えた。一方で高校生活の開始が迫り、地獄のような日々の再来と、異世界探索の時間が削られることが大きな苦痛となっていたため、意識的に学校のことを思考から追い出し、日課化した探索へ没入した。

森での異変とゴブリン・ジェネラルの発見

森を歩きながら、奇妙なキノコや木の実を鑑定して回収し、換金や食用に回す生活が定着していた。過去には【オーク・エリート】由来の肉も食用にしており、異世界は優夜にとって食料庫でもあった。そんな探索中、激しい衝撃音が聞こえ、慎重に接近すると血まみれの【ゴブリン・ジェネラル】が立っており、周囲には肉片が散乱していた。鑑定結果はレベル200で、攻撃力9000が突出して高く、優夜は危険性を見て様子見で離脱しようとした。

少女の存在と咄嗟の救出

撤退の途中、ゴブリン・ジェネラルの進行方向に同年代の少女が座り込んでいるのを発見した。上等なドレス姿で、森にいる理由は不明だったが、目の前で剣を振り上げられたため、優夜は即座に【絶槍】を投擲して攻撃を止め、さらに全力疾走からの飛び蹴りで相手の剣ごと吹き飛ばした。槍を回収して少女へ駆け寄り「大丈夫か」と声をかけた瞬間、少女は驚いた表情のまま気絶し、優夜は生存を確認して安堵した。

ゴブリン・ジェネラルとの正面戦闘と初手の後退

直後、ゴブリン・ジェネラルの威圧と殺気が優夜へ向けられる。両者は間合いを測ったが、先に仕掛けたのはゴブリン側で、大地を砕く踏み込みからの横薙ぎが放たれた。優夜は本能的に防御を避け、気絶した少女を抱えて距離を取り、安全な位置に寝かせてから自ら突撃する。しかし一撃は容易く受け止められ、逆に剣の反動で吹き飛ばされ、木に着地して態勢を立て直すことになった。優夜は打ち合いでは勝てないと判断し、不意打ちと手持ち装備の併用へ切り替えた。

棒高跳び機動と三段攻撃による撃破

優夜は木を足場に突進し、相手の剣がバットのように振られるタイミングを見て、直前で【絶槍】を地面に突き立て急停止する。空振りを誘発したのち、槍を支点に棒高跳びの要領で跳躍し、上空から【無弓】で不可視の矢を放った。ゴブリン・ジェネラルは巨大剣でこれを防いだが、その隙に優夜は別の木を足場にして戻ってきた【絶槍】を投擲し、さらに投擲と同時進行で自分も突撃していた。最後の一撃として右手の【全剣】を叩き込み、相手の体を真っ二つにして撃破した。ゴブリン・ジェネラルは倒れ、光の粒子となって消滅した。

戦闘後の困惑とレベルアップ通知

勝利を確認した優夜は、なお気絶したままの少女へ視線を向け、どう扱うべきか本気で困惑する。そこへ「レベルが上がりました」というメッセージが表示され、優夜は状況の重さと噛み合わない事務的な通知に、投げやりな反応を返した。

戦場の処理と迫る気配

天上優夜はゴブリン・ジェネラルのドロップアイテムを素早く回収し、気絶している少女へ近づいた。場違いなほど上質なドレスを纏った少女を前に対応を考えていると、複数の人間が近づいてくる気配とともに「レクシア様」という声が聞こえた。周囲には血と肉片が散乱しており、この状況で出会えば誤解は避けられないと判断した優夜は、茂みに身を隠し《同化》を発動した。

騎士団の到着と現場確認

やがて鎧を纏った兵士たちが到着し、その中には黒いマントを羽織った中年騎士もいた。彼らは凄惨な現場に絶句しつつ厳重に警戒を敷き、やがて倒れている少女を発見する。「レクシア様」と呼ばれた少女の安否を確認すると、兵士の一人が淡い白光を放つ回復魔法を施した。優夜は初めて目にする治癒魔法に内心で興奮しながらも、事態の推移を静観する。

レクシアの無事と撤退判断

回復魔法により傷は癒え、レクシアは気絶しているだけと判明した。兵士たちは安堵しつつも、現場の危険性を考慮し長居は不味いと判断する。中年騎士の指示のもと、レクシアを抱き上げ迅速に帰還を開始した。

初めての異世界人との邂逅の余韻

騎士団が去った後、優夜はようやく緊張を解いた。会話は交わせなかったものの、これが優夜にとって初めての異世界の人間との接触であった。騒然とした出来事の末、少女が無事に保護されたことを確認し、優夜は胸を撫で下ろした。

第四章 人生の変化

入学式直前の現状と成長の実感

入学式当日まで、天上優夜は異世界での探索とドロップアイテムの換金に専念していた。生活はほぼ自給自足で成り立ち、所持金は増え続けているが、高額ゆえに【アイテムボックス】から迂闊に出せない状態である。レベルは233に到達し、各能力値は軒並み上昇、《真武術》は実戦レベルで活用可能となった。ゴブリン・ジェネラルから得たAランク魔石は500万円という高額であり、自身の成長を数字でも実感していた。

視線の変化と教室での衝撃

憂鬱な気分のまま新制服で登校すると、周囲から明らかに以前とは異なる視線を向けられる。これまでの蔑みや暴力はなく、むしろ驚きや好奇の視線が集中していた。掲示板前では人波が自然と割れ、教室でも同様だった。虐めの主犯格である荒木でさえ、優夜を転校生と勘違いするほど容姿が変貌しており、「あのクソ豚野郎なわけがない」と否定する。優夜が本人だと名乗ると、教室中が唖然とし、騒然とする中で教師の入室によりその場は収まった。

鏡に映る別人の自分

昼休み、人気のないトイレで鏡を見た優夜は、そこに映る自分の顔に絶句する。ニキビだらけだった肌は滑らかに整い、薄毛だった頭には艶やかな髪が生え揃い、肥満体型も解消され、顔立ちはシャープで整っていた。過去の面影はほぼ消え失せ、コンプレックスの塊だった容姿が一変している。これがレベルアップの恩恵だと理解しつつも、現実味のない変化に戸惑いながらも、素直な喜びが込み上げる。

平穏な一週間と学習面での変化

その後の一週間、荒木を含め誰一人として優夜に絡む者はいなかった。皆遠巻きに眺めるのみで、かつての日常は訪れない。さらに《言語理解》の効果により英語授業が容易になり、学習面でも明確な変化を実感する。暴力や嘲笑のない日々は、優夜にとって異例の平穏であった。

休日と新たな課題

迎えた休日、優夜は新たな問題に直面する。現在の体型に合う私服は異世界由来の一着のみであり、日用品も不足している。かつては街に出れば蔑視や暴力の対象だったため外出を避けてきたが、ネット注文もできない以上、自ら買い物に出るしかない。財布には5万円を入れ、服選びに戸惑いながらも、まずは日用品を優先して購入する決意を固めた。人生の変化は、容姿や力だけでなく、日常の選択にも及び始めていた。

ショッピングモールでの視線の変化

天上優夜は日用品の買い足しを終え、ショッピングモール内を歩いていた。かつては人目を避け俯いて歩いていたが、容姿が変わった今は前を向いて歩けている。しかし周囲から向けられるのは蔑みではなく、驚きや賞賛の視線であった。芸能人やモデルと勘違いする声まで聞こえ、見知らぬ女性たちから遊びに誘われる。優夜は動揺しつつも丁重に断り、以前とは正反対の反応に戸惑いながらその場を離れた。

服選びへの戸惑い

買い物の目的は日用品だけでなく私服の新調でもあったが、メンズフロアには多種多様なブランドが並び、何を選べばいいか分からない。現在の服装は白のワイシャツと黒のズボン、上質な革靴、そして異世界で入手した黒月の首飾りという極めてシンプルな装いである。素材の質は高いが、流行やコーディネートとは無縁であり、優夜は自分のセンスの無さを自覚していた。

撮影現場の騒動

館内で怒鳴り声が響き、優夜が視線を向けると撮影現場らしき一角でトラブルが起きていた。ド派手なピンクのシャツを着た筋骨隆々の男性が、遅刻した関係者を厳しく叱責している。傍らには茶髪で整った容姿の女性がおり、周囲には機材やスタッフが集まっていた。どうやらファッション誌の撮影らしく、当初は男性モデルとのカップル演出を予定していたが、男性側の不手際で計画が崩れた様子である。

突如の抜擢

急遽、一般男性を起用する案が浮上し、スタッフが周囲を見渡した末、優夜に目を留めた。「そこの君」と声をかけられ、振り向いた優夜に一同は言葉を失う。やがて筋骨隆々の男性が勢いよく近づき、優夜の両手を掴んで撮影協力を求めた。突然の展開に、優夜は呆然としたまま返答に詰まるのだった。

突然のモデル体験と混乱

天上優夜は買い物に来たはずのショッピングモールで、急遽ファッション誌の撮影に参加することになった。相手は人気モデルの美羽であり、カメラマン光の指示は細かく厳しい。流し目や笑顔など高度な表情を求められるが、優夜には要領が掴めず、緊張で表情が硬くなる。衣装も白のドレープシャツに黒のカーディガン、ワインレッドのスキニーパンツという普段とは異なる装いで、服そのものに慣れず戸惑いが増していた。

周囲の注目とさらなる緊張

撮影は一般客の多いモール内で行われており、優夜と美羽は遠巻きに見守られている。美羽の知名度も相まって視線は集中し、優夜の存在にも注目が集まる。そんな中、カメラマンの指示で美羽が優夜の腕に絡みつき、さらには首に抱きつくポーズまで求められる。異性と密着する経験のない優夜は動揺を隠せず、身体も表情も硬直してしまう。

プロ意識に触れた瞬間

当惑する優夜とは対照的に、美羽は一切躊躇なく自然な表情で撮影に臨んでいた。その真剣な姿を見て、優夜は自分の動揺を抑え、撮影に集中しようと意識を切り替える。しかし慣れない接触や緊張から完全には落ち着けず、いったん休憩を挟むことになった。

休憩中の対話と心の変化

ベンチで休む優夜の隣に美羽が座り、会話を交わす。優夜は短時間でもモデル業の大変さを実感したと素直に伝える。美羽はそれを慣れの問題だと笑い、光の厳しさも業界では有名だと明かす。さらに、美羽は焦らず自分のペースで自信を持つこと、何事も楽しむことが大切だと優夜に語りかけた。

「楽しむ」という選択

これまで生きることに必死で、楽しむ余裕などなかった優夜にとって、その言葉は新鮮だった。異世界の扉を見つけて以降、自分の人生は確実に変わっている。楽しんでもいいのかと問いかける優夜に、美羽は迷いなく肯定する。その優しい笑顔に、優夜も自然と笑みを浮かべた。その瞬間、遠くから光の奇声が響くが、優夜はそれに気づかぬまま、新たな心境の変化を自覚していた。

撮影終了と報酬の贈り物

休憩後、撮影は再開されることなく終了した。光は満足げに労いの言葉をかけ、報酬の代わりとして大量の衣服が入った紙袋を天上優夜に手渡す。素人である優夜に金銭を渡すのは事務所的に難しいという判断であり、体型に合わせて厳選した服だと説明する。遠慮する優夜に対し、働いた者には報酬が発生するのが社会の常識だと諭し、受け取らせた。

美羽との別れと不穏な来訪者

美羽は改めて礼を述べ、優夜も今回の経験が糧になると感謝を伝える。和やかな雰囲気の中、一人の金髪の男性が遅れて現れる。彼こそ本来美羽と撮影するはずだった男性モデルであった。軽薄な態度で美羽に絡み、肩に手を回す様子に困惑が広がる。

対立と暴力の発生

優夜は美羽が困っていると感じ、男性に距離を取るよう穏やかに告げる。しかし男性は激昂し、優夜を罵倒した挙句、突然殴りかかる。だが異世界で鍛えた身体能力を持つ優夜にとって、その動きは遅く見えた。飛んできた拳を受け止め、そのまま腕を捻り上げて地面に組み伏せる。男性はボクシング経験を誇るが、優夜の前では意味を成さなかった。

証拠と失墜

光は一部始終を録画していたことを明かし、暴力行為は芸能生命の終わりであり犯罪でもあると告げる。証拠を突きつけられた男性は抵抗を諦め、スタッフに連行された。芸能界の厳しさが露わになる瞬間であった。

感謝と余韻

騒動後、優夜は美羽の無事を確認する。美羽は以前から男性にしつこく付きまとわれていたと明かし、助けられたことに深く感謝する。互いに再会を約束し、優夜はその場を後にする。突然のモデル体験と騒動は予想外であったが、結果として貴重な経験と新たな自信を得る出来事となった。芸能界の裏側に触れた一日でもあった。

撮影後に語られる優夜の存在感

天上優夜が去った後、光とスタッフたちは彼の存在感について語り合う。素人とは思えない容姿と万人を魅了する色気、そしてスタイルの良さは、長年芸能界に身を置く光でさえ見たことがないほどだった。モデルとしてはぎこちなさが残るものの、それすら雰囲気として昇華されていた。ファッション誌の撮影である以上、本来は服が主役であるはずだが、優夜は服の魅力を引き上げながらも自身が強烈な印象を残していた。

休憩中の一枚と新たな表情

写真データを確認する中で、休憩中に談笑する優夜と美羽の自然な一枚が目に留まる。それは恋人同士のような空気を自然に切り取った写真であり、光はそれをメインに据えると決める。写真の中の優夜は圧倒的な魅力を放ち、美羽自身もその姿に頬を染める。光はその変化に気づき、今の感情を忘れないよう助言する。今回の撮影は関わった全員にとって特別な経験となった。

日常への回帰と憂鬱

翌日、優夜は自宅で古い家電や映らないテレビを見て、生活の不便さを実感する。学校も再開し、再び日常へ戻らねばならない現実に気が重くなる。生活費を得るには異世界で魔物を倒す必要があり、むしろそちらの方が気楽だとさえ感じていた。

弟妹との対峙

登校途中、弟の天上陽太と妹の天上空に呼び止められる。二人は優夜の容姿が激変したという噂を確かめに来たのだった。整形だと決めつけ嘲笑し、努力や変化を紛い物だと貶める。優夜は反論せず、異世界のことも明かさないと決意する。祖父をも侮辱してきた二人に、真実を教える理由はなかった。

王星学園の少女との再会

騒ぎの最中、一台のリムジンが到着し、執事服の女性と上品な少女が現れる。少女は王星学園の制服を身にまとい、圧倒的な存在感を放っていた。優夜は彼女が以前コンビニで助けた少女であることを思い出す。少女は礼を述べ、優夜の名を調べて訪ねてきたと明かす。

思いがけない誘い

少女は穏やかな笑顔で本題を切り出す。そして天上優夜に告げる。「王星学園に来ませんか」と。エリート街道を歩む名門校からの突然の誘いに、優夜は言葉を失うのだった。

編入提案の真意と名乗り

天上優夜は「王星学園に来ませんか」という提案を理解できず呆然とする。少女は宝城佳織と名乗り、王星学園の生徒会役員であると明かす。優夜が事情を尋ねると、執事服の女性が説明し、佳織の父が王星学園の理事長であり、優夜が佳織を悪漢から守った話を聞いて学園へ招きたい意向だと伝える。優夜は「守った」と言えるような活躍ではなかったと内心で思うが、佳織は見て見ぬふりが多い中で優夜だけが動いた事実を強調し、感謝を率直に伝える。

優夜の自己否定と陽太の横槍

佳織は改めて返答を求めるが、優夜は自分に学力などの取り柄がなく、編入できるはずがないと辞退しようとする。その瞬間、弟の天上陽太が割り込み、自分たちを入学させろと要求する。妹の天上空も便乗し、成績や運動面の実績を並べ立てる。

佳織の即答と拒絶理由

佳織は陽太の言葉を遮り、「お断りします」と即答する。陽太と空が理由を問うと、佳織は優夜を侮蔑する者を入学させたいと思うかと断じ、さらに「日ごろの行いは調査済み」と告げる。執事の女性が補足し、優夜を招待するにあたり周辺調査を行った結果、陽太と空が優夜だけでなく他の生徒にも過激ないじめをしていたこと、加えて複数の生徒や教師までがいじめに関与していたことが判明したと淡々と報告する。

証拠の提示と“必要十分”の論理

空が証拠を求めると、執事の女性は証拠はあると明言しつつ、重要なのは王星学園が優夜を招きたいという目的であり、入学させたくないという結論に至った点だと切り捨てる。情報を外部に流す意図はないとしながらも、内申には影響し得ると釘を刺し、陽太と空は反論不能となる。

王星学園の方針と陽太たちの絶望

佳織は王星学園の入学・編入は学力より人間性を重視すると語る。普段から善い行いをしていれば学力は努力で補えるが、人間性に問題がある者は不可能だと言い切る。陽太と空は王星学園を目指していた節があり、理事長の娘から不可能と断言されたことで絶望する。

優夜への再提示と強制力のある“招待”

佳織は優夜に向き直り、先ほどの理由から優夜の編入には問題がないと優しく告げる。まず学園へ同行し、理事長と面談したうえで決めればよいと提案し、リムジンへ促す。執事の女性は、教師についてはすでに懲戒免職になっているとさらりと付け加え、優夜は情報収集力と実行速度に戦慄する。佳織は陽太たちに「ごきげんよう」と礼を述べ、優夜はそのまま王星学園へ向かうことになる。

去った後の騒然

天上優夜と宝城佳織たちが去ったあと、現場にはざわめきが広がった。王星学園の生徒と執事の女性が放つ気品や存在感に、周囲の生徒たちは圧倒される。佳織の美しさ、執事の洗練された所作、そして優夜の変貌した容姿までもが話題となり、その場は一種の興奮状態に包まれた。

公然の拒絶と嘲笑

一方で、王星学園から入学を拒否された天上陽太と天上空にも視線が集まる。事情を知らぬまま、結果だけを見た周囲は軽口を叩き、どこか他人事のように評する。その言葉は二人の自尊心を容赦なく刺激した。

陽太と空の憤怒

顔を真っ赤にした陽太と空は、屈辱に震えながら怒りを露わにする。理事長の娘から公然と拒絶された事実は、二人の誇りを深く傷つけた。陽太は去っていくリムジンの方向を睨みつけ、「絶対に後悔させてやる」と低く呟く。その言葉は雑踏に紛れながらも、確かな怨念を帯びていた。

第五章 王星学園

王星学園への到着

天上優夜は状況を整理できぬまま、王星学園の校門前へ到着する。そこに広がっていたのは、学校とは思えぬほど壮麗な門構えと、宮殿のような校舎、そして広大な敷地であった。圧倒的な規模と格式に、優夜は現実感を失いながらも宝城佳織に導かれ、校内へ足を踏み入れる。

理事長室での対面

理事長室に通された優夜は、王星学園理事長・宝城司と対面する。司は娘を助けたことに礼を述べ、優夜の行動を誇るべきものだと評価する。優夜は恐縮しつつも感謝を受け入れる。佳織は敬称を外してほしいと求め、司も同意するなど、和やかな雰囲気の中で話は進む。

編入提案の本題

司は改めて、優夜に王星学園への編入を提案する。授業料などは気にする必要はなく、娘を救ってくれた礼も兼ねていると明言する。優夜は自分のような取り柄のない人間が通ってよいのかと不安を口にする。

理事長の教育観

司は「天才」の定義を問い、短時間で正解や努力の方法を見つけられる者だと語る。しかし、それ以外は努力によって誰もが成長できるとし、若いうちから自分の可能性を決めつける必要はないと諭す。王星学園は若者に多様な経験を積ませるための場であり、自分を卑下する必要はないと優夜を励ます。その言葉は、これまで否定され続けてきた優夜の胸に深く響く。

体験入学という提案

即決を求めるのではなく、まず一日体験してから判断すればよいと司は提案する。戸惑う優夜の前に、理事長室へ白衣姿の女性が現れる。気だるげな雰囲気を纏うが、実は科学分野の権威であり、生徒からの信頼も厚い教師であると紹介される。

新たな一歩

不安を抱えつつも、優夜はその女性のクラスで一日体験入学をすることになる。圧倒的な環境と新たな出会いの中で、優夜の王星学園での一日が始まろうとしていた。

担任教師の連絡と教室の空気

白衣の女性教師はホームルーム直後に追加連絡があるとして着席を命じ、体験入学者をこのクラスで受け持つと告げた。転入が珍しい学園でもあり教室は即座にざわつき、性別を問う声が飛ぶ。教師が「男」と答えると、男子は落胆、女子は興奮し、すぐに全体が期待で盛り上がる。教師は「度肝を抜かれるな」と意味深に釘を刺し、優夜を入室させた。

天上優夜の入室と“硬直”

優夜は佳織とはクラスが違うため途中で別れ、教師に連れられて教室前へ向かう。自己紹介の内容に悩み、緊張しながら教室に入ると、クラス全員が目を丸くして呆然と固まった。優夜は黒板前で名乗り、体験入学で参加する旨を丁寧に述べるが、反応が返らず泣きそうになる。教師が笑いながら場を動かし、窓際最後列の席を指示してようやく空気が戻り始める。

氷堂雪音との隣席と学園の自由さ

優夜は隣の女子生徒・氷堂雪音に挨拶し、教科書もないため見せてもらう形で授業に参加する。氷堂は青いメッシュ入りのショートカット、チョーカー、着崩した制服という装いで、校則の厳しい優夜の学校とは文化が違うことを印象づける。見た目はクールで話しかけにくいが、実際は優しく、優夜は礼を述べる。

授業の質と距離感の衝撃

体験した授業は、同じ範囲でも分かりやすさが段違いで、漫画やゲームの例えなど工夫が多く、優夜は授業を「楽しい」と感じる。さらに教師と生徒の距離感が絶妙で、馴れ合いではなく線引きが成立している点に驚く。午前授業を終え、昼休みに入る。

昼休みの質問攻めと五十嵐亮のフォロー

昼休みになると、生徒たちは純粋な好奇心から優夜へ質問攻めを始める。出身校、習い事、部活、恋人の有無、芸能人かどうかまで飛び、優夜はどう返せばよいか困惑する。そこで男子生徒の五十嵐亮が割って入り、優夜が困っていること、昼飯前であることを指摘して場を収める。亮は爽やかな雰囲気のイケメンで、優夜に対して自然体で距離を詰め、食堂へ案内すると申し出る。

倉田慎吾との合流と“サブカルの橋渡し”

亮は友人として倉田慎吾を連れてくる。慎吾は眼鏡の気弱そうな印象で、優夜は近しい空気を感じる。スポーツマン風の亮とインドアに見える慎吾の組み合わせは意外だが、亮が慎吾からアニメや特撮のおすすめを教わっていることで関係性が明らかになる。亮は優夜にもアニメ視聴の有無を尋ね、友好的な輪が形成され始める。

王星学園の食堂と“格の違い”

亮に案内された食堂は、一般的な学食とは別物の広さと洒落た内装で、喫茶店のテラスのような丸テーブルが並び、生徒が談笑しながら食事していた。さらにメニューは和洋中に加えて各国料理、宗教別メニューまで揃い、慎吾の説明では三ツ星店経験のシェフが作っているという。価格は基本500円で統一され、経済的に厳しい生徒向けには内容お任せの「学生日替わりランチ」が無料で用意されていた。

昼食の選択と優夜の衝撃

亮は蟹のトマトクリームパスタ、慎吾はトンカツ定食を選び、優夜は「500円なら高そうなものを」と黒毛和牛ハンバーグ定食を選ぶ。実食すると、肉汁と食感の完成度に言葉を失うほどの美味さで、優夜は学園の設備だけでなく“食”の水準でも常識が崩れる体験をする。食堂では周囲の生徒が優夜に注目し、制服の違い以上に外見が目を引いている空気も漂うが、優夜自身はその理由を自覚しきれずにいた。

部活観の違いと“自由の根拠”

談笑の中で亮は部活の話題を出し、優夜は部費も生活も厳しく部活経験がないと明かす。見た目がスポーツマンの亮も帰宅部だが、実際は中学でサッカー経験があり、入学後は「色々な経験をしたい」と助っ人として複数の部活に参加して成果も出しているという。慎吾はゲーム部所属で、王星学園では休み時間のスマホやゲーム使用が許可されていた。ただし生徒は授業中に弄らず信頼を裏切らないため、自由が制度として成立しているのだと慎吾が説明し、優夜は“生徒を信じる運用”そのものに感嘆する。

対等な扱いと“内面を見られる”実感

昼食後も優夜は多くの生徒と話し、誰もが優夜を一人の人間として対等に扱ってくれることを実感する。見た目の変化も影響している可能性はあるが、それ以上に相手が内面を見て認めてくれている感覚があり、優夜にとっては過去の扱いと対照的な経験になった。

理事長面談と入学の決断

放課後、優夜は理事長室で宝城司に体験の感想を伝え、授業や設備以上に「生徒が楽しそうで、輝いていた」ことが印象的だと述べる。現校では「だるい」「帰りたい」が常態化しているが、王星学園では少なくとも優夜の耳には届かず、学校を心から楽しむ空気があった。さらに、虐められていた自分を受け入れてくれたことが決定打となり、優夜は通いたい気持ちを強める。一方で「自分に価値があるのか」と迷うが、理事長は価値は他人が一方的に決めるものでもなく、自分で見出せるものでもあると語り、見つからないなら学園で見つければよいと背中を押す。優夜はその言葉を受け止め、王星学園への正式入学を申し出て受理される。

入学決定後の呼び止め

制服などを受け取り理事長室を出た優夜の前に、鞄を持った宝城佳織が現れる。佳織は入学の意思を確認し、優夜も「まだ自信はないが通いたい」と率直に答える。佳織は理事長への用事ではなく、優夜本人に用事があると告げる。

学園周辺の案内の申し出と佳織の本音

佳織は、優夜の通学方向が王星学園と逆で周辺に詳しくないはずだと見抜き、案内したいと申し出る。優夜はこれ以上の厚意を受け取ることに躊躇するが、佳織は「私が優夜さんと遊びたいから」という理由を提示し、家柄や父の立場の影響で同年代の男子と親しく遊べない寂しさを明かす。優夜もまた「女の子と遊んだことがない」と打ち明け、佳織の案内を受けることを決める。

学園周辺の街並みと“目”での識別

放課後の通りは車両禁止で、喫茶店や飲食店が立ち並び、他校の生徒も集まる賑やかなエリアだった。優夜が「見た目が大きく変わったのに、なぜ自分だと分かったのか」を問うと、佳織は「目が同じだった」と答え、外見よりも“まっすぐで優しい目”が変わらないことを根拠にしたと語る。その言葉は優夜に「自分自身を見てくれている」感覚を与え、喜びにつながる。

クレープ屋での手つなぎと周囲の視線

佳織は評判のクレープ店を見つけ、優夜の手を引いて列に並ぶ。周囲の女性客は二人を“美男美女”として目の保養扱いし、仲の良さを「尊い」と囁く。佳織は手をつないでいたことに気づいて慌てて謝り、優夜も赤面して手を離すが、佳織は「父以外の男性と手をつないだのは初めて」と告げる。優夜は嫌われていないことに安堵し、同時に申し訳なさと嬉しさが混ざる。

初めてのクレープと“間接キス”の連鎖

佳織はイチゴ生クリーム、優夜はブルーベリー生クリームを選び、ベンチで食べて二人同時に「美味しい」と感動する。佳織は一口分けようとして優夜の口元へ差し出し、優夜は反射的に食べてしまう。直後、佳織も“間接キス”に気づき顔を真っ赤にして視線を逸らすが、「嫌ではない」と言い切る。動転した優夜は勢いで自分のクレープも差し出し、佳織はさらに赤くなりながらも小さく「もらいます」と受け入れる。

帰路の緊張と“青春”の外側

その後の記憶は曖昧なほど、二人は緊張しっぱなしになる。佳織の迎えの車に優夜も同乗して家まで送られるが、車内でもまともに顔を見て会話できないままだった。同行していた執事服の女性は、生温かく優しい視線で二人を見守る。さらに周囲の客たちも、二人を「青春」「可愛い」「尊い」と温かく語っていたが、当人たちは最後まで気づかないまま終わる。

休みの日の判断と異世界行き

王星学園への通学開始はまだで、前の高校の手続きは完了しているため、優夜は休みになっていた。日常に特段の変化がないことを確認し、最近行けていなかった異世界へ久しぶりに向かうことを決める。

森の奥地探索の準備

異世界の家と庭に変化はなく、優夜は血戦鬼の鎧一式を身に着けて行動を開始する。これまで未探索だった家の裏側、森の奥地へ進む方針を立て、回復薬を準備し【地図】があるため迷わないと判断する。進行方向は森がより鬱蒼としており、【気配察知】と自前の警戒で慎重に進む。

デビルベアー発見と戦闘決断

反応を捉えた優夜は【同化】で接近し、真紅の毛皮と三本角を持つ巨大な熊型魔物が別の魔物を食っている場面を確認する。【鑑定】で相手が【デビルベアー】であること、レベル450・攻撃力10500など高ステータスを把握し、特に攻撃力が1万を超えている点を脅威と見る。それでも「いずれ戦う相手」であり、奥地の強さの基準を得る目的もあって襲撃を決める。

無弓の奇襲と近接戦の崩壊

優夜は【無弓】を取り出し、見えない矢を生成して狙撃し、左目を射抜いて先制する。デビルベアーは激痛で叫びつつも即座に射線から優夜の位置を割り出して睨みつけ、隠密優位が崩れる。優夜は【絶槍】で接近して斬り込むが、デビルベアーは強靭な爪で正面から打ち合い、攻撃力差で優夜は吹き飛ばされる。優夜は空中で体勢を整え、着地して距離を取る。

炎魔法の解禁とジリ貧の認識

デビルベアーは口から灼熱の炎を噴出し、さらに炎の塊も撃ち出してくる。これまでの魔物が魔法を使わなかったため、優夜は強い驚きと警戒を覚える。接近すれば魔法の餌食になると判断し、回避を続けるが、このままでは魔力切れか体力切れの勝負になり、格上ゆえ自分が先に尽きる可能性が高いと見積もる。

絶槍投擲のフェイントと接近突破

優夜は炎の射程ギリギリでバックステップし、意表を突いて【絶槍】を投擲する。デビルベアーは炎で落とせないと判断し、爪で対処しようとして炎を止めざるを得なくなる。優夜はその“一瞬の隙”を逃さず一気に距離を詰める。

蹴りで体勢崩し→無限の籠手で決着

接近したデビルベアーが爪で切り裂こうとするが、優夜は退けば再接近できないと判断し、腕へ渾身の蹴りを叩き込んで弾き、体勢を崩す。懐に潜り込み【無限の籠手】を装着した拳で土手腹へ全力の一撃を入れる。【無限の籠手】の効果で同威力の攻撃が同一点に繰り返し発生し、防御や撥ね返しができないデビルベアーは連撃を受け続け、血反吐を吐きながら吹き飛んで墜落し死亡する。優夜は拳を天に突き上げ、勝利を確信する。

デビルベアーのドロップアイテム

優夜は討伐後、ドロップ品を確認する。【悪熊の紅毛】は炎耐性を持つ毛皮、【悪熊の肉】は煮込むと柔らかくなる食材、【悪熊の血液】は炎耐性を得られるほか魔道具素材や出汁にも使えるという特性を持っていた。血液も「食えるなら使う」と実利で受け止め、すべてを【アイテムボックス】へ収納する。

魔石とレアドロップ“炎のギター”

追加で【魔石:A】と、レアドロップ【炎のギター】を獲得する。魔石がAランクであることから、デビルベアーは高レベルのAランク魔物と推測する一方、Sランクの存在を想像して警戒を深める。炎のギターは演奏で高揚をもたらし、熟達すれば炎を操れると記されている。魔法とは別系統らしく、優夜は困惑しつつも初心者向け教本を買って練習する発想に至る。

レベルアップと成長の確認

討伐によりレベルが235へ上昇し、BP200を獲得。【真武術】も上がる。BPは運へ全振りし8600に到達。各スキルや称号を確認し、格上との戦闘が大きな成長をもたらす一方で危険も伴うと再認識する。確認を終え、さらに森の奥へ進む決意を固める。

地球側で広がる“正体不明の逸材”

一方、地球ではショッピングモール撮影の写真が業界内で拡散していた。売れ始めたモデル美羽と、著名カメラマン光が関わったことで注目度は高く、写真に写る優夜の正体を巡って各事務所がスカウトに動き出す。しかし美羽と光は個人情報を守り、名前は伏せられたままだった。

まだ届かぬ波

優夜本人は世間の動きを知らず、日用品補充以外は引きこもり気味で、異世界探索に没頭している。だが、業界の関心は確実に高まっており、優夜の存在が公に知られるのは時間の問題となっていた。

第六章 新生活

王星学園への初登校

天上優夜は理事長の計らいにより、手続きの負担なく王星学園へ通うことになった。教科書や体操服は翌日渡される予定で、この日は借り物と見学で対応することになる。登校中から視線を集めるが、本人は制服が似合っていないのではと不安を覚えていた。

理事長・司との再会

理事長室を訪れた優夜は、司から制服が似合っていると告げられる。自信を持つべきだと諭されつつ、困った際は娘の佳織にも頼るよう伝えられる。温かい支援に感謝し、優夜は新たな学園生活への一歩を踏み出す。

クラスでの受け入れ

教室では亮と慎吾が笑顔で迎え、優夜は素直に感動する。隣席の氷堂雪音に教科書を借りる許可をもらい、円滑に授業へ参加する。過去の扱いとの違いに胸が熱くなりながらも、新しい環境に順応していく。

体育の時間と亮の実力

午後の体育はサッカーだったが、優夜は見学となる。亮は圧倒的な技術で複数人を抜き去り、存在感を示す。女子の応援で男子の士気が上がる中、風間楓と会話しながら試合を見守る。

突発的な危機と無意識の跳躍

金髪の生徒が放った強烈なシュートが観戦中の女子へ向かう。楓を庇う位置に立った優夜は、無意識のうちにジャンピングボレーでボールを蹴り返し、逆にゴールを決めてしまう。異世界で鍛えた身体能力が自然に発揮された瞬間であった。

称賛と戸惑い

楓をはじめ女子たちは無事を喜び、優夜の動きに驚愕する。亮からは部活動参加を勧められるが、優夜は帰宅部だと答える。楓が筋肉を確かめようと触れてくる場面では、無防備さに戸惑いながらも和やかな空気が流れる。

一ノ瀬晶という存在

誤ってシュートを放った一ノ瀬晶は華麗な土下座で謝罪し、独特な口調で自己紹介する。「王星学園の貴公子」を自称する晶は癖が強いが悪意はなく、亮もそれを保証する。

優夜は個性豊かな同級生たちに囲まれ、前の高校では考えられなかった日常を実感する。王星学園での新生活は、確実に彼の世界を広げ始めていた。

更衣室で広がる優夜の噂

体育を終えた風間楓たちは更衣室へ向かい、そこで次の授業準備中の宝城佳織と遭遇した。楓は興奮気味に、サッカーのボールが自分に向かった場面で天上優夜が超人的な動きで蹴り返し、そのままゴールまで決めた出来事を語る。氷堂雪音も「漫画やアニメみたいな動き」と追認し、周囲の女子も「王子様みたい」と口々に称賛した。

佳織は、優夜がクラスに馴染めていると分かって安堵する一方、楓の「彼女いるのかな」という軽口に思わず動揺し、安心してしまった自分の感情の正体が分からず困惑する。楓たちが授業へ急いで去った後、佳織は未知の感情を抱えたまま立ち尽くす。

アルセリア王国での失敗報告

場面は異世界・アルセリア王国の王都モントレスへ移る。王城の一室で、ある男がフードの人物から「レクシアが無事帰還したが襲撃は失敗した」と報告を受ける。失敗の理由は襲撃地点が【大魔境】で、刺客が深追いした末に死亡したためだという。

男は激昂し、正体が漏れた可能性を疑ってフードの人物を威圧する。現時点で露見はしていないとされるが、警戒が強まるのは避けられないと男は判断し、「次に失敗すれば用はない」と冷酷に通告する。フードの人物は闇に溶けるように退場し、男は「汚れた血」への憎悪とレクシア抹殺の執念を独りごちる。

レクシアの記憶と“黒髪黒目の青年”

レクシアは王城の自室で療養しており、騎士オーウェンが見舞いに訪れる。襲撃犯の正体は掴めず、国王も動けない状況だと共有された後、オーウェンは【大魔境】で何が起きたのかを改めて問い直す。

レクシアは当初、刺客を倒したのはゴブリン・ジェネラルだと説明するが、オーウェンは「現場にゴブリン・ジェネラルの痕跡がない」ことを不審に思っていた。そこでレクシアは、朧げな記憶の中に「自分と同年代くらいの男に助けられた」可能性を思い出す。オーウェンは、気配察知でレクシアの近くに別の気配が一瞬存在し、直後に綺麗に消えた事実を明かし、その青年の存在を現実味のあるものとして受け止める。

レクシアは相手の特徴を「綺麗な黒髪黒目」「異国の貴族のよう」と語り、オーウェンは国内では珍しい特徴ゆえ、状況次第では厄介になり得ると警戒を強める。

再訪を決めるレクシア

レクシアは助けられた礼を言うため、もう一度会いたいと考えるようになる。そして結論として「【大魔境】へ再び向かう」と宣言する。オーウェンは刺客再来や大魔境の危険性、国王が許可しない可能性を挙げて必死に止めるが、レクシアは「王族として直接礼を言いたい」と譲らない。

最終的にレクシアは国王へ直談判するため動き出し、オーウェンは止めきれないまま同行する流れとなった。

雑誌発売で“謎の美少年”が拡散する

優夜が美羽と撮影した写真が掲載されたファッション誌【CutieBeauty】が発売され、読者の間で「美羽の隣の男の子は誰だ」と話題が爆発した。撮影場所が近所のショッピングモールだと推測され、同年代の高校生ではないか、同じ学校なら羨ましい、といった憶測が飛び交い、優夜に“ファン”を名乗る声まで出始めた。

その熱は『王星学園』内部にも波及し、優夜を知る生徒が「噂の編入生」として話を広げ、体育で見せた超人的な動きまでセットで語られていく。

美羽と光の側でも“売れすぎ”が判明する

美羽とカメラマンの光の間でも雑誌の売れ行きが話題になる。注文が殺到し、光は「ここまで売れたのは初めて」と驚く。光は冗談めかして美羽に「今のうちに優夜にアタックしたら」と勧めるが、美羽は「彼女がいるはず」と尻込みしつつも、優夜への意識が揺れる。

優夜本人の知らないところで、世間と業界の注目が一気に膨らんでいった。

登校中に握手要求、優夜は恐怖で逃走する

翌日、登校する優夜は女子の視線を異常に集め、「雑誌の人じゃない?」と騒がれる。中には拝む生徒まで現れ、握手や写真撮影を求めて人が押し寄せる。優夜は状況を理解できず、勘違いだと断って恐怖を感じながら逃げるように校舎へ向かった。

廊下でもひそひそ話が止まず、本人は「チャックでも開いてるのか」と確認するほど混乱する。

楓が雑誌を突きつけ、原因が判明する

教室で風間楓が雑誌を持ち込み、見開きの写真が優夜だと指摘する。写真はベンチで美羽と談笑している自然な笑顔の場面が大きく使われており、優夜は「会話中に撮られたのか」と納得する。

楓はさらに、美羽が抱きついている写真を示して「付き合ってるの?」と踏み込み、優夜が全力で否定すると、楓は安堵した様子を見せる。以後、教室内でも優夜への視線と噂が止まらなくなる。

テレビでも特集され、優夜は完全に固まる

亮と慎吾が「テレビで取り上げられてた」と告げ、動画サイトのニュース映像を見せる。そこでは「美羽と写る一般人の男性は誰か」「オーラや気品が新人どころか一般人と思えない」と持ち上げられていた。

優夜はようやく今朝の握手騒動の理由を理解するが、それでも「なぜ自分なんかで」と自己評価の低さを露わにする。

友人たちの“自己肯定”の後押し

優夜は、外見が変わっても過去の記憶が焼き付いており、自分を好きになれないと内心を整理する。亮は真剣に「お前がお前を認めないでどうする」と叱咤し、楓は素直に自信を持てと背中を押す。慎吾も「自分も分かる」と寄り添い、優夜は学園の温かさに心が温まっていく。

第七章 勇気の一歩

揺らぐ自信と、窓の外の異変

優夜は授業中も「自信を持っていい」という亮たちの言葉が頭から離れず、集中できずにいた。窓の外で体育をする佳織を見つけ、目が合って手を振り返した直後、グラウンドが騒然となる。派手な男たちがバイクで侵入し、釘バットなどを手に授業中の生徒を取り囲み、教師に暴力を振るう状況へ発展した。

襲撃者は【レッドオーガ】、そして陽太・空の姿

生徒が窓際に押し寄せる中、襲撃者のマークが不良グループ【レッドオーガ】だと判明する。優夜は前の高校で自分を虐めていた荒木の所属先だと悟り、さらに陽太と空、荒木ら虐めの面々が現場にいることを目撃して凍りつく。佳織は毅然として用件を問うが、返答したのは陽太であり、人質を盾に学園を滅茶苦茶にし、佳織を攫う意図を示した。

恐怖のフラッシュバックと、優夜の決断

佳織に男たちが迫る一方で、優夜は過去の虐めの記憶が蘇り震えて動けなくなる。亮たちは優夜の異変を心配するが、その優しさが逆に優夜の自己嫌悪を刺激した。優夜は「体は強くなったのに心が弱い」ことを恥じ、昔の自分、祖父、そして異世界への申し訳なさを噛みしめる。胸を張れる自分でいたいと決めた瞬間、優夜は窓から飛び降りてグラウンドへ着地し、佳織のもとへ向かった。

荒木たちの暴力が“脅威にならない”現実

荒木は優夜を囲ませ金属バットで頭を狙うが、優夜には攻撃が遅く感じられ、素直に避け続ける。荒木らの乱暴な振り回しは当たらず、位置取りで同士討ちまで誘発される。恐怖心が消え、優夜は異世界で培った「周囲を利用して有利に動く」感覚を地上でも適用できると実感していく。

巨漢投入、筋力の“非常識”が露呈する

苛立ったリーダー格は、相撲界から追放されたという凶暴な巨漢を投入する。巨漢の平手や体当たりを優夜は止め、受け止め、軽く払うだけで反動を起こさせる。さらに優夜は巨漢を持ち上げ、片手で弄ぶほどの差を見せ、制御を失った拍子に巨漢は遠くへ飛び気絶する。優夜自身も「地球でここまで非常識な強さになっていたのか」と唖然とする。

直接の暴力を避けつつ制圧、警察到着

優夜は不用意に手を出せば問題になると考え、不良同士をぶつける形で数を減らす。ついにリーダー格の筋肉質な男が出てきて高速の殴打・蹴り・組み技を仕掛けるが、優夜は受け流し続け、対人戦の駆け引きを観察して“学ぶ”余裕すら見せる。土で視界を奪われた隙に強打を狙われるも、優夜は背負い投げで叩きつけ、腕を極めて拘束したところへ警察が到着し、不良たちは次々連行された。

暴走したリーダーが陽太を殺そうとし、優夜が止める

拘束されかけたリーダー格が力任せに抜け出し、計画のせいで破滅したと陽太に責任を押し付けて首を絞めようとする。警察も混乱で手が回らず、空も気迫に萎縮する。優夜は咄嗟に男の腕を掴んで陽太から引き剥がし、陽太に「弟だから」と声をかける。なおも男が突撃すると、優夜は腹への蹴りと追撃の回し蹴りで気絶させ、校舎から歓声が上がった。

“許してはいない”が、見捨てない

佳織は無事だったが緊張が切れて崩れそうになり、優夜が支える。陽太と空は沈んだ表情で謝罪し、優夜は「許したわけじゃない」と明言しつつ、それでも家族が困っていれば助けるのが自分だと語る。泣き崩れる陽太と涙ぐむ空は警察に連れて行かれ、佳織は優夜の選択を気遣う。優夜は「これが俺だから」と受け止め、佳織は「あなたは私のヒーロー」と告げ、優夜は動けたことを心の底から肯定するに至った。

事件の収束と処分の差

騒ぎはすぐに収まり、不良たちは警察に拘束されて連行された。原因は、陽太と空が「王星学園」に入学できないと知り逆上したことにあった。【レッドオーガ】の面々は素行不良で退学のうえ少年院送りとなったが、陽太と空は佳織にも一定の責任があるとして退学は免れた。ただし内申や成績には大きく影響する見込みとなった。

理事長の対応と、佳織への謝意

事件当時、理事長は仕事で不在だったが、解決直後に戻り、佳織が再び危険な目に遭ったと知って強く感謝を示した。マスコミ対応も理事長の手回しで大きな問題にはならず、優夜は「通わせてもらっているだけで十分」と恐縮するばかりであった。

翌日の不安と、教室の反応

優夜は、自分が人を蹴り飛ばし投げ飛ばした事実から、皆に恐怖の目で見られるのではないかと登校を怖がっていた。だが教室に入ると、亮たちは怪我の有無を心配し、他のクラスメイトも笑顔で称賛し、無傷で圧勝したことや四階から飛び降りたこと、巨漢を片手で持ち上げたことに驚きつつ温かく受け入れた。さらに各運動部から勧誘まで飛び出し、優夜への接し方は終始明るく優しいままであった。

優しさの実感と、人生の転換

優夜は「怖がられる」と決めつけていた自分の見立てが外れ、皆の温かさに救われる。異世界だけが心を安らかにする場所だと思い込んでいたが、レベルアップを経て現実でも優しい人々と出会えたのだと理解し、「みんな、ありがとう」と感謝を伝える。レベルアップは、優夜の環境と心の在り方そのものを変えた出来事として確信される。

エピローグ

芸能界の動き――“社長”の狙い

都内のオフィスビルの一室。机いっぱいに並べられた優夜の写真を前に、事務所の社長が不敵に笑う。
「これほどの逸材、放っておくわけがない」と断言し、部下の黒沢に優夜への接触を命じる。

同席していた光と美羽は困惑する。二人は優夜の情報を隠そうとしたが、ついに見抜かれていた。
美羽は優夜の意思を尊重すべきだと控えめに主張するが、社長は「芸能界に入れるチャンスを断る者などいない」と自信満々に言い切る。
優夜は、知らぬ間に芸能界の争奪戦の渦中へと足を踏み入れようとしていた。

アルセリア王国の噂――【大魔境】へ再び

一方、アルセリア王国では別の噂が流れていた。
レクシアが再び【大魔境】へ向かうというのだ。

危険地帯であり、冒険者すら近づかない場所。
それにもかかわらず、「そこに住む人物に会いに行く」という話が広まり、兵士たちは信じられないとざわつく。

優夜の存在は、異世界でも確実に噂となり始めていた。

再び異世界へ――優夜の修行

陽太たちの事件からしばらくして、優夜は再び異世界へ向かう。
森の探索を続けながら、さらなる力を求めて修行を重ねる。

遭遇したブラッディ・オーガを、【全剣】で一刀両断。
かつては遭遇しただけで死んでいたであろう魔物を、今では積極的に狩る存在へと変わっていた。

ゴブリン・エリートの群れと再会

【気配察知】が多数の反応を捉える。
向かった先では、四体のゴブリン・エリートと兵士たちが交戦していた。

優夜は【同化】で接近し、一体を瞬時に首刎ね。
続けて心臓を貫き、斬撃を流れるようにつなげて三体を撃破する。
最後の一体は中年騎士がとどめを刺した。

兵士たちは驚愕し、中年騎士は感謝を告げる。
「レクシア様の言っていた人物か?」という囁きが広がる中、優夜は戸惑う。

再会、そして衝撃の一言

兵士たちの間から現れたのは、かつてゴブリン・ジェネラルに襲われていた少女――レクシア。

綺麗な姿に戻った彼女は優夜を見つけると、目を見開き、駆け寄り、そして――

「結婚してください!」

突然の求婚に、優夜は完全に思考停止する。

地球では芸能界が動き、
異世界では王女が動く。

優夜を巡る物語は、さらに大きく動き始めていた。

アニメ

OP

逆転劇(月詠み)
KADOKAWAanime より共有

ED

ハチミツ(スガ シカオ)
KADOKAWAanime より共有

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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