絶頂除霊 ! 10巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 12巻レビュー
物語の概要
■ 作品概要
本作は、対象を強制的に絶頂させて除霊する能力「絶頂除霊」を両手に宿す主人公・古屋晴久たちが活躍する退魔活劇シリーズの第11巻である。 第一聖人として欧州祓魔連合に連れ去られた烏丸葵の安否確認と、欧州で新たに発見された最後のサキュバスパーツの除霊のため、晴久たちは渡欧を決意する。要人にとり憑いたパーツの回収には無事に成功したものの、直後に天界の上位神族から「晴久暗殺」の神命が下され、晴久は欧州全土の聖人や精鋭祓魔師たちから命を狙われる絶体絶命の逃走劇に巻き込まれる。さらに、複数の怪異能力を操る最悪級の霊能犯罪者ラピス・フランシュテインが乱入し、強制的な「魂の入れ替わり」を引き起こすなど、かつてない規模の乱戦が欧州の首都で展開される。
■ 主要キャラクター
古屋晴久:絶頂除霊の呪いを両手に宿す少年である。最後のパーツ《サキュバス王の陰核》を吸収するが、直後に欧州祓魔連合から暗殺の標的とされ、仲間たちとともに壮絶な持久戦と逃走戦を繰り広げる。
宗谷美咲:淫魔眼を宿す少女である。晴久たちとともに欧州へ同行し、戦線が崩壊しかけた際には、特殊な刺激を受けることで膨大な霊力を生み出すという宗谷家の秘密を明かして絶望的な状況を支える。
烏丸葵:第一聖人の適合者として欧州へ連れ去られた少女である。禁欲的な生活を強いられるが、上位神族の美少女・セラフィムと合体できることに「心のお●ん●んが大爆発」と狂喜し、ノリノリで第一聖人の座を受け入れる。
ゼパル(朝風春美):晴久の護衛として同行する最年少魔王候補の魔族である。道中で晴久へ悪戯を仕掛けて制裁を受けるなどの暴走もあるが、戦闘では魔力を用いて聖人たちの大規模攻撃を相殺する。
ラピス・フランシュテイン:複数の腐敗した魂を接合されたことで、強制入れ替わりや状態共有など四つの怪異能力を同時に操る国際霊能テロリストである。連合への過去の憎悪から、新たな第一聖人となる烏丸の殺害を企む。
第二聖人ラヴィニス:欧州祓魔連合の暫定トップを務める厳格な女性である。神族からの命令を絶対視し、晴久暗殺の指揮を執って都市封鎖や大規模攻撃を行うが、最終的に晴久による特殊な除霊の制裁を受ける。
■ 物語の特徴
本作は、過激なエロコメディと本格的な異能バトルが融合した作風が特徴である。 第11巻では、主人公を暗殺しようとする欧州祓魔連合の軍勢に対し、かつて敵対したアーネストや鹿島霊子といった凶悪な霊能犯罪者たちが救援に駆けつけるという、熱い共闘展開が描かれる。また、戦闘中に晴久とヒロインたちの魂が強制的に入れ替わる怪異や、宗谷が公開で特殊な霊力補充を行うといったフェティッシュな設定が戦術として組み込まれている点も魅力である。最後には、事態の収束後に欧州側のトップである第二聖人へ「禊ぎ」として絶頂除霊を施すという本作ならではのカタルシスが用意されており、すべてのパーツの力が揃って最終決戦(アザゼル討伐)へと繋がる大きな転換点となる巻となっている。
読んだ本のタイトル
出会ってひと突きで絶頂除霊! 11
著者:赤城大空 氏
イラスト: 魔太郎 氏
出版社:小学館(ガガガ文庫)
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あらすじ・内容
聖人たちとのインモラルバトル、開幕!!
出会ってひと突きで絶頂除霊! 11
第一聖人として欧州に連れ去られてしまった烏丸。さらにかの地で最後のサキュバスパーツが見つかり、晴久たちは渡欧を決意する。道中、ゼパルの暴走があったりしながらも、欧州祓魔連合で再会を果たすのだが――。禁欲を強いられているはずの烏丸は、むしろノリノリ、いやビンビンだった! 「上位神族の美少女セラフィムさまと合体できるとか、心のお●ん●んが大爆発なのだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」――だが、そこに迫る刺客たちの影があった。天界をも股にかけたインモラル・ユーロ・ミッションが幕を開ける!
プロローグ 欧州祓魔連合の暫定トップ、ラヴィニス・イエスタと上位神族ケルビムは、アザゼルによるサキュバス王のパーツ奪取を確認する。アザゼルは封印されたパーツを手に入れ、侵食された自我で他のパーツも奪う行動に出る。ラヴィニスは未知の封印を解き、ケルビムの力でこれを解消しようと決断する。
第一章 烏丸葵の裏事情 退魔学園の生徒、古屋晴久は、クラスメイトの烏丸が欧州祓魔連合の第一聖人として連れ去られたことを知る。混乱するクラスメイトたちと共に、退魔師協会本部へ向かい情報を求めるが、役立つ情報は得られない。一方、烏丸の後見人クリスは烏丸の過去を語り、晴久たちが再会の機会を求め欧州へ向かう決意を固める。
第二章 欧州祓魔連合 晴久たちは欧州祓魔連合本部へ向かい、シーラ・マリアフォールド姫にエスコートされながら街を散策する。シーラ姫との交流を深めつつ、晴久たちは本部でラヴィニスに会い、サキュバス王のパーツ除霊を依頼される。リリーナ殿下がパーツに憑依されていることが判明し、彼女の除霊が急務となる。
第三章 スーサイドスクワッド! 晴久たちは降誕の儀の場に急ぎ、突如現れたアーネスト・ワイルドファングと対峙する。ジェーン・ラヴェイも現れ、晴久たちは多方面からの攻撃に晒される。混乱の最中、敵対者たちとの一時的な協力を経て、セラフィムの力で状況は一時的に収束するが、さらなる戦いが予測される。
エピローグ セラフィムの介入により、欧州祓魔連合は晴久の暗殺計画を中止し、和平に向けた動きが始まる。ラヴィニスは公の場で屈辱的な命令を受け入れ、晴久との間で和解が進む。この事件は欧州と日本の霊能業界における大きな転換点となり、共同の対策が模索される。
感想
シリーズらしい破天荒なギャグと、物語の終盤へ向けたシリアスな展開が絶妙に入り混じった一冊だった。今回も「ここまでやるのか」と驚かされる場面の連続で、最後まで勢いに圧倒されっぱなしだった。
今巻で最も印象に残ったのは、烏丸葵の過去である。
彼女が実は欧州出身であり、第一聖人候補として育てられていたという事実には驚かされた。厳格で禁欲的な環境に耐え切れず、日本へ逃れてきたという経緯には納得させられる一方、日本で自分らしさを見つけていたという設定は本作らしい発想だと感じた。
そんな彼女だからこそ、第一聖人として覚醒する展開には大きな期待があった。
覚醒直後は圧倒的な力を見せつけ、敵対する聖人や犯罪者たちを一瞬で制圧する姿は爽快だった。しかし、その後に明かされる真実によって一気に調子を崩してしまう流れは、まさに烏丸らしいオチで思わず笑ってしまった。
せっかく最強クラスの力を手に入れたにもかかわらず、最後はいつもの調子へ戻ってしまうところが、この作品らしい魅力でもある。
一方で、晴久たちの戦いも見応えがあった。
第二聖人ラヴィニスの策略によって追い詰められる中、怪異の影響で仲間同士の魂と身体が入れ替わる展開は非常に面白い。
立場が変わることで、それぞれが普段は気づかなかった感覚や価値観を知る流れには、新鮮さがあった。ギャグとして笑えるだけでなく、キャラクター同士をより深く理解するきっかけにもなっていたように思う。
中でも印象深かったのは、晴久自身の特殊な体質が改めて明らかになる場面である。
これまで当たり前のように描かれてきた現象にも理由があったことが分かり、シリーズを通して積み重ねてきた設定がここで繋がるのかと感心した。
笑える展開の裏で、物語の根幹に関わる設定もしっかり掘り下げられており、シリーズ終盤らしい読み応えを感じる。
ラストでは、いよいよアザゼルとの決戦が目前まで迫ってきた。
これまで積み重ねてきた伏線が少しずつ収束へ向かい、物語全体が最終局面へ動き始めていることを強く実感する。
今巻は、烏丸というキャラクターの魅力が存分に描かれた一冊だった。同時に、シリーズの核心へ踏み込む重要な巻でもあり、ギャグとシリアスのバランスを最後まで楽しめた。次巻でどのような結末を迎えるのか、期待しながら続きを読み進めたい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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絶頂除霊 ! 10巻レビュー
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考察・解説
第一聖人の誕生
本作の第11巻における最大の転換点である「第一聖人の誕生」は、欧州祓魔連合による主人公・古屋晴久の暗殺計画を阻止し、全面戦争を終結させるための最終手段として描かれた。その詳細な経緯と結末を構成する要素は以下の通りである。
第一聖人候補施設逃亡の過去と最高レベル神族適合率に伴う依り代化
第一聖人は欧州祓魔連合における最上位の存在であるが、長く不在が続いていた。
・晴久のクラスメイトである烏丸葵は、欧州の第一聖人候補施設で育ったものの、極端に禁欲的な生活に耐えられず、後見人の手引きで日本へ逃亡していた。
・しかし、日本の自由でアブノーマルな文化に触れて精神の安定を得た烏丸の気性が、第一聖人に降臨する上位神族セラフィムと歴代最高レベルの適合率を示すこととなる。
・その結果、彼女は新たな第一聖人の依り代として欧州へ連れ戻されることとなった。
地下祭壇霊具破壊窮地と大地絶頂亀裂経由の巨大神木強引儀式成立
欧州祓魔連合の聖人たちから晴久暗殺の追撃を受ける中、事態を収拾するには予定を前倒しして烏丸を第一聖人として覚醒させ、セラフィムの発言権を取り戻すしかなかった。
・烏丸たちは降誕の儀が行われる大聖堂の地下祭壇へたどり着くが、霊能犯罪者ラピスによって儀式に必要な霊具が破壊されていた。
・この窮地を救うため、晴久は地上から大地へ特殊な除霊を施して巨大な亀裂を生み出す。
・その亀裂へ宗谷が夏樹の角を差し込むことで龍脈の力を引き出し、地下祭壇に巨大な神木を成長させ、強引に降臨の儀式を成立させた。
正式第一聖人覚醒と首都全域敵対者一瞬光縄拘束強制停止
儀式が完了すると、烏丸は上位神族セラフィムを完全に受け入れ、正式な第一聖人として覚醒を果たした。
・第一聖人となった彼女の力は絶大であり、全身から人智を超えた霊力が放出される。
・首都全域で戦っていた聖人、精鋭祓魔師、凶悪な霊能犯罪者、さらには悪霊に至るまですべての敵対者が光の縄によって一瞬にして拘束された。
・これにより、街全体を巻き込んだ大規模な乱戦は強制的に停止させられた。
両性的神族性質判明羞恥興奮と烏丸落胆に伴う日本残留決意の幕引き
第一聖人となった烏丸は、事前の約束通り、降臨したセラフィムを光の縄で縛り始めた。
・彼女は美しい女神を縛ることを楽しみにしていたが、宗谷の淫魔眼によって、セラフィムが男性的な性質も併せ持つ両性的な神族であり、むしろ縛られることに興奮を覚える性質であることが判明する。
・理想と全く異なる現実を知った烏丸は深く落胆し、縄の拘束が緩んでしまうほどのショックを受けた。
・結果としてセラフィムが停戦を命じたことで日欧の戦争は回避されたが、烏丸自身は落胆と不満を抱え、欧州での生活を拒絶して日本への残留を決めることとなった。
まとめ
第一聖人の誕生を巡る一連の顛末は、欧州祓魔連合の暴走と晴久暗殺計画という絶対的な危機に対し、最高適合率を持つ烏丸葵の強制覚醒と大地の龍脈を利用した強硬な儀式執行によって全面戦争を終息へと導いた決死の超常儀礼の記録である。霊具破壊という不測の絶望から、大地の絶頂除霊による神木生成、そして首都全域の敵対勢力を一瞬で光縄拘束したプロセスは、第一聖人の持つ圧倒的な権能の凄まじさを示している。最終的に、降臨したセラフィムが両性的な神族で被虐的な性質であったという事実によって烏丸の思惑が外れ、日欧の停戦合意を取り付けながらも彼女自身が落胆の末に日本残留を選択した顛末は、この誕生劇が単なる神聖な救済にとどまらず、神族の特異な本質を浮き彫りにし、晴久たちの防衛網に最強の残留戦力を確保する奇妙な余波をもたらしたことを厳密に証明している。
欧州祓魔連合の暗殺計画
本作の第11巻において展開される「欧州祓魔連合の暗殺計画」は、サキュバス王復活を巡る神魔の争いが主人公・古屋晴久の命を直接狙う事態へと発展した、物語最大の危機である。その詳細な背景と経緯、および結末を構成する要素は以下の通りである。
天界ケルビム派の宿主殺害神命と第二聖人ラヴィニスの絶対盲従実行
暗殺計画は、天界の上位神族から下された神命によるものであった。
・天界上層部であるケルビム派は、アザゼルたちによるサキュバス王復活を確実に阻止するための最終手段を選ぶ。
・主要なパーツの宿主である晴久を殺害し、四つのパーツを一時的に消滅させるという強硬策を決定した。
・欧州祓魔連合の暫定トップである第二聖人ラヴィニスは、神族からの命令を絶対視していた。
・そのため、人間側の理屈や日本との全面戦争のリスクを無視し、この暗殺指令を忠実に実行に移す。
陰核除霊消耗夜の数百人光矢急襲と首都防衛反転の都市封鎖結界展開
最後のパーツであるサキュバス王の陰核の除霊を終え、晴久が消耗している夜が暗殺の決行タイミングに選ばれた。
・数百人を超える祓魔師と複数の聖人が晴久の宿泊するホテルを包囲し、無数の光の矢で急襲する。
・たまたま同室にいたシーラ姫と第三聖人アイギスの介入によって晴久たちは間一髪で脱出する。
・しかしラヴィニスは、欧州連合首都の巨大防衛結界の性質を反転させ、瞬間移動すら不可能な都市封鎖結界を展開して彼らを完全に閉じ込めた。
神眼本物見破り浄化白炎退路遮断と菊乃辰姫裏回し脱獄凶悪犯救援突破
封鎖された都市内で、晴久たちは絶望的な逃走戦を強いられる。
・宗谷の霊力補充と楓の変身術を駆使して大量の影武者を生み出し、持久戦と撹乱を試みる。
・しかし、ラヴィニスが発動したケルビムの神眼によって本物を見破られ、天を覆うほどの浄化の白炎や炎の多重結界によって退路を完全に断たれてしまう。
・全滅を覚悟して正面突破を試みた晴久たちの前に、アーネスト・ワイルドファングや鹿島霊子、橋姫鏡巳といった凶悪な霊能犯罪者たちが救援に駆けつけた。
・これは、暗殺計画を事前に察知していた日本の十二師天である葛乃葉菊乃や辰姫が、表向きは脱獄という形をとって裏から送り込んだ援軍であった。
・彼女たちの介入によって、晴久たちは包囲網を脱することに成功した。
大地絶頂除霊神木支援の降臨儀式成立と烏丸光縄一斉拘束停電終結
暗殺計画を根本から止めるための解決策は、欧州祓魔連合のトップである第一聖人を誕生させ、地上での発言権を取り戻すことであった。
・第一聖人に降臨する予定の上位神族セラフィムは、ケルビム派とは対立する穏健派であり、暗殺指令に反対していたためである。
・晴久の大地への除霊と夏樹の神木の支援によって強引に降臨の儀式が成立し、烏丸葵が正式に第一聖人として覚醒する。
・烏丸が首都全域の敵対者を光の縄で一斉に拘束し、セラフィムが停戦と暗殺中止を命じた。
・神意の転換を理解したラヴィニスたちも戦意を収め、欧州祓魔連合による暗殺騒動はついに終結を迎えた。
まとめ
欧州祓魔連合の暗殺計画を巡る一連の顛末は、神族上層部の独断による冷徹な宿主抹殺命令に対し、日欧の枠組みを超えた霊能犯罪者たちの電撃的な救援と、第一聖人の強制降臨という超常的な政治決断によって全面戦争を回避した極限の防衛戦の記録である。都市封鎖結界や神眼の白炎による徹底的な包囲網から、十二師天の隠密作戦による援軍投入、そして大地の絶頂除霊による儀式成立を経て首都全域の敵対者を無力化したプロセスは、晴久たちの生き残りに向けた執念と戦術的連携の高さを示している。最終的に、穏健派神族セラフィムの権威によって暗殺指令を取り消させ、第二聖人の暴走を抑え込んで事態を完全収束に導いた顛末は、どれほど絶対的な神命を背景とした国家規模の急襲であっても、本質を見抜いた戦力の再配置と強固な絆に裏付けられた儀礼の執行によって打破され、破滅寸前の均衡が完璧に防衛されることを厳密に証明している。
最後のパーツ回収
本作の第11巻において描かれる「最後のパーツ回収」は、物語の最終決戦に向けた重要なミッションであると同時に、欧州祓魔連合による主人公・古屋晴久の暗殺計画を作動させるための巧妙な罠でもあった。その詳細な背景と戦闘の経緯、および回収後の影響を構成する要素は以下の通りである。
暗殺神命実行のための陰核封印密か解放とリリーナ取り憑きに伴う晴久緊急依頼
欧州祓魔連合には、大神族アザゼルすら見つけることができなかった最後のパーツ《サキュバス王の陰核》が隠されていた。
・第二聖人ラヴィニスは、天界から下された晴久暗殺の神命を確実に実行するため、代々の第二聖人のみに伝わるこの強力なパーツの封印を自らの手で密かに解き放つ。
・解放されたパーツは、ロマリア王国の王族であり祓魔師でもあるリリーナ・ドッペリンに取り憑いた。
・ラヴィニスは封印補修中にパーツが逃げ出したと偽り、宿主を殺さずに除霊できる晴久に緊急の依頼を出す。
・晴久たちは、第一聖人として連れ去られた烏丸葵と面会する目的もあり、この依頼を引き受けて欧州へと向かった。
リリーナ逃走淫魔化と陰核一瞬時間停止重ね掛けに伴う欧州式退魔術圧倒
地下施設で保護されていたリリーナであるが、連合の結界を破って逃走する。
・彼女はかつて第一聖人候補の首位でありながら選ばれず、最下位だった烏丸が選ばれたことに強い怒りを抱いており、パーツの力を受け入れて淫魔化し、鬱憤を晴らそうとしていた。
・最後のパーツ《サキュバス王の陰核》の能力は時間停止であった。
・この能力はパーツ保持者には効かず、停止した相手に致命傷は与えられないという制約があったが、リリーナは一瞬の時間停止を重ね掛けする。
・鍛え抜かれた欧州式の退魔術や高い身体能力と組み合わせて晴久たちを圧倒した。
特殊接触停止状態解除と大量影武者包囲および願望表出羞恥打破の急所除霊
時間停止された世界の中で動ける晴久と宗谷美咲は、衣服を少し外すという特殊な接触によって文鳥桜と葛乃葉楓の停止状態を解除し、反撃に転じた。
・宗谷の高速式神と楓の変身術を組み合わせた大量の影武者で包囲すると、追い詰められたリリーナは他者の秘めた願望を強制的に口にさせる厄介な怪異を放つ。
・しかし、これまで数々の異常事態を経験してきた晴久たちは羞恥に耐えて連携を取り戻した。
・最後は晴久が急所へ特殊な除霊を叩き込んでリリーナを無力化し、最後のパーツを吸収した。
ミホト出力一時低下の弱体化隙突く暗殺網展開と太平洋上サキュバスの穴位置看破
最後のパーツを吸収したことで、晴久の両腕に宿る少女霊ミホトの出力が一時的に低下してしまう。
・しかし、これこそがラヴィニスの真の狙いであった。
・晴久が弱体化したこの隙を好機と判断したラヴィニスは、その日の深夜に数百人の祓魔師と聖人たちを動員し、晴久暗殺の包囲網を展開する。
・パーツ回収は、かつてない規模の逃走戦の引き金となった。
・その後、エピローグにて《陰核》の吸収が完全に完了したことで晴久は失われていた記憶を取り戻す。
・これにより、すべてのパーツを完全消滅させることができる《サキュバスの穴》の正確な位置である太平洋上のエネルギー集積地を思い出すに至った。
まとめ
最後のパーツ回収を巡る一連の顛末は、天界の神命を受けた第二聖人の冷徹な罠により、宿主の怒りを利用した時間停止の猛威を潜り抜けながらも、戦略的な弱体化を突かれて大規模な暗殺包囲網へと引きずり込まれた過酷な迎撃の記録である。時間停止の重ね掛けや精神汚染型の願望暴露怪異に対し、接触による解除と影武者の連携、そして確実な急所への除霊執行をもってリリーナを無力化したプロセスは、晴久たちの高い戦闘対応力と状況の緊迫性を示している。最終的に、ミホトの出力低下を好機としたラヴィニスの電撃的な深夜強襲を誘発し、未曾有の逃走戦へと直結したものの、《陰核》の完全吸収を経て晴久が記憶を取り戻し、完全消滅の祭壇たる《サキュバスの穴》の太平洋上座標を完全に看破した顛末は、この回収任務が敵の用意した絶望的な暗殺の罠であったと同時に、すべての呪いに終止符を打つ最終決戦の地を切り開くための絶対的な突破口となったことを厳密に証明している。
上位神族セラフィム降臨
本作の第11巻において描かれる「上位神族セラフィムの降臨」は、欧州祓魔連合による主人公・古屋晴久の暗殺計画を阻止し、日欧の全面戦争を終結させるための最大の鍵となるイベントである。その詳細な背景と降臨の経緯、およびセラフィムの抱える秘密を構成する要素は以下の通りである。
天界ケルビム派暗殺指令に対する穏健派セラフィムの反対と第一聖人地上発言権奪還作戦
欧州祓魔連合の暫定トップである第二聖人ラヴィニスたちは、天界の上位神族ケルビムの命令により晴久の暗殺を目論んでいた。
・しかし、天界全体が暗殺を支持していたわけではなく、第一聖人に降臨する予定の上位神族セラフィムは日欧の協力を重視する穏健派であり、暗殺指令に反対していた。
・晴久たちは、セラフィムを依り代である烏丸葵へ降臨させ、第一聖人としての地上での発言権を取り戻させる。
・これにより、欧州祓魔連合に停戦を命じてもらうという作戦に打って出た。
聖錐破壊窮地に対する大地絶頂除霊と夏樹角経由の地下巨大神木強引儀式成立
降臨の儀式を行うため、一行はセントグレア大聖堂の地下祭壇へ向かうが、霊能犯罪者ラピスによって儀式に必要な霊具である聖錐が破壊されていた。
・この窮地を脱するため、晴久は地上から大地へ特殊な除霊を施して巨大な地割れを起こす。
・その亀裂へ宗谷美咲が夏樹の角を差し込み、日本にいる夏樹と紅葉姫が全力で神力を注ぐことで、龍脈のエネルギーを吸収した巨大な神木を地下祭壇に成長させた。
・この神木を通じて膨大な霊力を供給し、シーラ姫の執行によって強引に降臨の儀式を成立させる。
歴代最高級適合の第一聖人覚醒と首都全域敵対者正確選別光縄拘束強制停止
大聖堂から噴き上がった神聖な霊力とともに、上位神族セラフィムが降臨した。
・セラフィムは、烏丸との相性が歴代でも最高級であると告げ、自分を受け入れて争いを終わらせるよう求める。
・烏丸がそれを受け入れて正式な第一聖人として覚醒した瞬間、全身から人智を超えた霊力が放出された。
・セラフィムの力による光の縄は、首都全域で戦っていた聖人、精鋭祓魔師、凶悪な犯罪者、悪霊など、敵対者だけを正確に選別して一瞬で拘束する。
・これにより、街全体を巻き込んだ大規模な乱戦を強制的に停止させた。
・神意 of 転換を理解したケルビムとラヴィニスも戦意を収め、暗殺騒動は終結へ向かう。
両性的神族露出マゾヒスティック性質判明と第二聖人ラヴィニス絶頂除霊制裁提案
第一聖人となった烏丸は、事前の約束通り、降臨したセラフィムを光の縄で縛り始めた。
・彼女は美しい女神を自分の思い通りに縛ることを楽しみにしていたが、宗谷の淫魔眼によって、セラフィムが男性的な性質も併せ持つ両性的な神族であることが判明する。
・さらにセラフィムは烏丸との容姿や嗜好の相性の良さを喜び、むしろ縛られることに興奮するというマゾヒスティックな性質を持っていた。
・理想と全く異なるアブノーマルな現実を知った烏丸は深く落胆し、そのショックで拘束が緩んだ結果、ラピスの逃亡を許してしまう。
・その後、セラフィムは欧州祓魔連合へ正式に停戦と日本への敵対禁止を命じた。
・さらに、過度に禁欲的な価値観を改めさせるための禊ぎとして、責任者であるラヴィニスに対し、晴久による特殊な除霊を受けさせるという型破りな制裁を提案し、事態の事後処理を主導した。
まとめ
上位神族セラフィムの降臨を巡る一連の顛末は、天界上層部の強硬派がもたらした暗殺の危機に対し、変則的な大地への絶頂除霊と大局を見据えた神族の強制降臨によって日欧の全面衝突を回避した驚天動地の防衛劇の記録である。儀式用霊具の破壊という窮地から、龍脈の力を注いだ神木生成により儀式を強行し、首都全域の敵対勢力を光の縄で一斉拘束したプロセスは、セラフィムの絶対的な霊威と晴久たちの並外れた突破力を示している。最終的に、降臨した最高位の神族が両性的な被虐属性を持つというアブノーマルな真実によって烏丸を絶望させ、ラピスの逃亡を許す余波を残しながらも、ラヴィニスへの絶頂除霊を禊ぎとして命じて停戦を完全決定づけた顛末は、どれほど強固な宗教的妄執を背景とした国家規模の軍事行動であっても、本質を突いた超常技術の執行と神意の掌握によって打破され、混迷を極めた国際秩序が瀬戸際で完璧に奪還されることを厳密に証明している。
サキュバス王復活阻止作戦
本作の第11巻のエピローグにおいて明かされた「サキュバス王復活阻止作戦(突入作戦)」は、これまで敵の襲撃を受ける側だった主人公・古屋晴久たちが、ついにアザゼルたちを討ち果たすために攻勢へと転じる、物語の最終決戦に向けた重要な展開である。その作戦立案に至るまでの詳細な経緯と判明した事実は以下の通りである。
陰核吸収完了による記憶回帰と太平洋上サキュバスの穴正確位置特定
晴久が最後のパーツであるサキュバス王の陰核の吸収を完了したことで、彼の両腕に宿る少女霊ミホトは失われていた記憶を完全に取り戻した。
・これにより、すべてのパーツを完全に消滅させることができる最大の鍵となるサキュバスの穴の正確な位置が判明する。
・そこはサキュバス王を復活させることも可能な二面性を持つ場所であった。
・具体的な位置は日本から東へ進んだ太平洋上のエネルギー集積地であり、サキュバスパーツが長い年月をかけて蓄積した莫大なエネルギーが眠る場所であった。
烏丸葵セラフィム大規模霊視と魔王候補パイモン管轄次元の狭間拠点看破
正式に第一聖人となった烏丸葵と、降臨した上位神族セラフィムが大規模な霊視を行った結果、大神族アザゼルたちの拠点が突き止められた。
・そこは天界、魔界、地上のいずれにも属さない次元の狭間であった。
・その領域は魔王候補パイモンの管轄領域であることが判明する。
・魔族のゼパルは、生真面目なパイモンが魔族の将来や繁栄を目的としてアザゼルと結託していても不自然ではないと分析し、この霊視結果を支持した。
極秘情報日欧上層部共有とサキュバス王復活勢力一挙壊滅の突入作戦準備
サキュバスの穴の位置と、アザゼルたちの根城に関するこれらの極秘情報は、即座に日本の退魔師協会と欧州祓魔連合の双方の上層部へ共有された。
・暗殺騒動を乗り越えて日欧の協力体制がセラフィムの命によって強固になった。
・これまで敵の襲撃を耐え凌ぐだけだった晴久たちは、自ら敵の拠点へ直接攻め込む決断を下す。
・サキュバス王復活を企む勢力を一挙に壊滅させるための突入作戦の準備を進めることとなった。
・これにより、物語はサキュバス王のパーツを巡る神、魔、人の三つ巴の総力戦、すなわち次巻以降の真の最終決戦へと繋がっていくことになる。
まとめ
サキュバス王復活阻止作戦を巡る一連の顛末は、最後のパーツ完全吸収による記憶の回復と最高位の霊視能力によって敵の核心的座標をすべて暴き出し、防衛から電撃的な強襲へと戦術の舵を切った最終決戦への絶対的なプロローグの記録である。消滅の祭壇たるサキュバスの穴の太平洋上座標の特定や、次元の狭間に隠されたパイモン管轄の拠点を看破したプロセスは、晴久たちの情報戦における優位と日欧の強固な連携体制の確立を示している。最終的に、神、魔、人の全勢力が交錯する極限の総力戦に向けて、アザゼルら復活派を根絶するための具体的な「突入作戦」が決定づけられた顛末は、この作戦立案が単なる一時的な逆襲の試みにとどまらず、これまでのすべての因縁に終止符を打ち、世界の命運を懸けた最終決戦の火蓋を切るための絶対的な布石となったことを厳密に証明している。
絶頂除霊 ! 10巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 12巻レビュー
登場キャラクター
都立退魔学園
古屋晴久
サキュバスのパーツを宿す少年である。最後のパーツを除霊するため、仲間とともに欧州へ向かった。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。パーツ保持者。
・物語内での具体的な行動や成果
リリーナから最後のパーツを除霊した。欧州の精鋭部隊や聖人たちによる暗殺の包囲網から逃走を図った。特殊な除霊を用いて大地の亀裂を作り、第一聖人降誕の儀を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
最後のパーツを吸収して記憶を取り戻した。《サキュバスの穴》の正確な位置を思い出した。
小林
晴久のクラスメイトである。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
新学期の教室で、晴久から烏丸に関する事情を聞いた。晴久の話を冗談だと思っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
宗谷美咲
淫魔眼を持つ少女である。烏丸を貴重な仲間だと考えている。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
欧州で晴久とともにリリーナの時間停止に対抗した。特殊な刺激を受けて膨大な霊力を生み出し、大量の影武者を作り出した。大地の亀裂へ夏樹の角を差し込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
怪異によって晴久と魂が入れ替わった。
文鳥桜
晴久の仲間である。晴久と同じ《福音の家》で育った。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
欧州でリリーナとの戦闘へ加わり、術式妨害を行った。拘束した相手から霊力を奪う術式を応用し、宗谷の余剰霊力を楓へ渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
怪異によって晴久と魂が入れ替わった。
葛乃葉楓
変身術を得意とする少女である。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
宗谷の式神を晴久たちの姿へ変え、大量の影武者を生み出した。狐尾の一部を黒糸へ変化させる新たな変身術でラピスを攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
怪異によって晴久と魂が入れ替わった。
烏丸葵
腹部に聖痕を隠し持っていた少女である。欧州の第一聖人候補施設で育ち、日本へ逃亡していた。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。欧州祓魔連合の第一聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
第一聖人の依り代として欧州へ連れ去られた。セラフィムを完全に受け入れて正式な第一聖人となり、首都全域の敵対者を光の縄で拘束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
第一聖人として覚醒した。事件後は欧州での生活を拒み、日本へ残留することとなった。
烏丸の関係者
烏丸クリス
烏丸葵の後見人である。烏丸にとって姉のような立場の人物である。
・所属組織、地位や役職
退魔師。
・物語内での具体的な行動や成果
第一聖人候補の施設から幼い烏丸を連れ出し、日本へ逃亡した。晴久たちへ烏丸の安否確認を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
日本の娯楽へ深く傾倒している。独自に日本語を覚えた。
退魔師協会・十二師天
皇夏樹
十二師天の一人である。天人降ろしの筆頭を務める。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
日本から通信で晴久たちへ奇策を伝えた。紅葉姫とともに神力を注ぎ、地下祭壇へ至る巨大な神木を成長させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
葛乃葉菊乃
十二師天の一人である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
欧州祓魔連合からの緊急依頼を晴久たちへ伝えた。晴久暗殺計画を事前に察知し、霊能犯罪者を脱獄の形で欧州へ送り込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
辰姫
十二師天の一人である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
セラフィムから暗殺計画を止めるよう緊急の伝令を受けた。霊能犯罪者を欧州へ送り込む作戦へ協力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
欧州祓魔連合・王族
ラヴィニス・イエスタ
欧州祓魔連合の暫定トップを務める厳格な女性である。神の意向を絶対視している。
・所属組織、地位や役職
欧州祓魔連合・第二聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
暗殺命令を果たすため、封印されていた強力なパーツを解放した。神眼で影武者を見破り、浄化の白炎で晴久たちを攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
禊ぎとして晴久から特殊な除霊を受けた。
護衛艦隊の乗組員・祓魔師たち
欧州へ向かう晴久たちの送迎を担当した人々である。
・所属組織、地位や役職
欧州祓魔連合の祓魔師。
・物語内での具体的な行動や成果
偽装を防ぐため晴久の身分確認を行った。淫魔眼を持つ宗谷を専用区画へ隔離した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シーラ姫
アルメリア王国の王族である。晴久を英雄として慕っている。
・所属組織、地位や役職
アルメリア王国の王女。マリアフォールド王家の血筋。
・物語内での具体的な行動や成果
晴久たちの欧州案内を引き受けた。深夜に晴久の客室へ忍び込んで求婚した。神木の霊力を制御し、セラフィム降臨の儀を開始した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アイギス
シーラ姫に付き従う女性である。マリアフォールド王家への忠義を優先している。
・所属組織、地位や役職
欧州祓魔連合・第三聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
シーラ姫の客室侵入を支援した。晴久への暗殺攻撃へ割って入り、周囲を凍結させて脱出口を作った。入れ替わりを封じる結界を展開した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神族ラファエルを宿している。
リリーナ・ドッペリン
ロマリア王国の王族である。第一聖人に選ばれなかったことへ怒りを抱いている。
・所属組織、地位や役職
ロマリア王国の王位継承権十位。欧州祓魔連合の祓魔師。
・物語内での具体的な行動や成果
最後のパーツへ取り憑かれ、地下施設から逃走した。時間停止能力や怨望を暴く怪異を使って晴久たちを圧倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後は第一聖人の影武者を務めることとなった。
第五聖人
欧州祓魔連合の聖人である。
・所属組織、地位や役職
欧州祓魔連合・第五聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
第六聖人とともに無数の光矢による広範囲攻撃を放った。イザベルに運ばれて晴久たちへ迫った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
烏丸の光の縄によって拘束された。
第六聖人
欧州祓魔連合の聖人である。
・所属組織、地位や役職
欧州祓魔連合・第六聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
第五聖人とともに巨大な岩塊による広範囲攻撃を放った。イザベルに運ばれて晴久たちへ迫った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
烏丸の光の縄によって拘束された。
イザベル
空を飛ぶ能力を持つ女性である。
・所属組織、地位や役職
欧州祓魔連合・第七聖人。
・物語内での具体的な行動や成果
空から光の羽を放ち、宗谷の式神を破壊した。第五聖人や第六聖人を戦線へ運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
烏丸の光の縄によって拘束された。
霊能犯罪組織・テロリスト・犯罪者
ラピス・フランシュテイン
腐敗した四人の魂を接合された実験体である。世界最悪級の犯罪者として知られている。
・所属組織、地位や役職
国際霊能テロリスト。
・物語内での具体的な行動や成果
強制入れ替わり、状態共有、負傷による霊力回復、触手の四つの怪異能力を同時に操った。大聖堂の聖錐を破壊して降誕の儀を妨害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
晴久の特殊な除霊を受けた後、ジェーンとともに逃亡した。
ジェーン・ラヴェイ
晴久へ強い執着を抱く霊能犯罪者である。
・所属組織、地位や役職
霊能犯罪者。
・物語内での具体的な行動や成果
烏丸の護衛部隊へ襲いかかり、多重結界を破壊した。ラピスを抱えて首都から逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アーネスト・ワイルドファング
狼の遠吠えで相手の理性を乱す霊能犯罪者である。
・所属組織、地位や役職
霊能犯罪者。
・物語内での具体的な行動や成果
収監先から脱獄した形で欧州へ現れた。アンチマジックミラー号で追撃部隊へ突入し、晴久たちを包囲網から逃がした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
鹿島霊子
大量の悪霊を操る霊能犯罪者である。
・所属組織、地位や役職
霊能犯罪者。
・物語内での具体的な行動や成果
死霊の群れを率いて戦場へ乱入した。土御門雅の実験体を解放し、欧州祓魔連合の追撃を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
橋姫鏡巳
大型車両を操る霊能犯罪者である。
・所属組織、地位や役職
霊能犯罪者。
・物語内での具体的な行動や成果
アンチマジックミラー号を運転して戦場へ突入した。炎の多重結界を破壊して晴久たちを救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
魔族
ゼパル
魔王候補の魔族である。晴久たちの護衛として欧州へ同行した。
・所属組織、地位や役職
次期魔王候補。
・物語内での具体的な行動や成果
飛行艦の中で晴久へ悪戯を仕掛け、制裁を受けた。魔力を用いて聖人たちの広範囲攻撃を相殺した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンドロマリウス
橋姫鏡巳と行動を共にする魔族である。
・所属組織、地位や役職
魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
アンチマジックミラー号に乗って戦場へ突入した。炎の多重結界を破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
神族
ケルビム
天界の上層部に属する神族である。ラヴィニスへ指示を出している。
・所属組織、地位や役職
上位神族。
・物語内での具体的な行動や成果
ラヴィニスへ封印解除を命じた。神眼を通じて影武者を見破った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
第一聖人の誕生後、晴久暗殺の命令を取り下げた。
紅葉姫
日本にいる神族である。
・所属組織、地位や役職
神族。
・物語内での具体的な行動や成果
夏樹とともに大地の亀裂へ神力を注いだ。地下祭壇の神木を成長させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
セラフィム
日欧の協力を重視する穏健派の神族である。両性的な性質を持つ。
・所属組織、地位や役職
上位神族。
・物語内での具体的な行動や成果
烏丸の身体へ降臨し、欧州祓魔連合へ停戦を命じた。ラヴィニスに対する特殊な除霊を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
光の縄で縛られることに興奮する性質が判明した。
怪異・精霊
ミホト
晴久の両手に宿る少女霊である。
・所属組織、地位や役職
怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
時間停止の解除方法を提案した。大地の揺れを制御して亀裂を地下祭壇へ導いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
最後のパーツを吸収して完全な記憶を取り戻した。
悪霊
鹿島霊子によって使役される死霊の群れである。
・所属組織、地位や役職
怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
統率された動きで祓魔師たちへ襲いかかった。欧州祓魔連合の陣形を大きく乱した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
実験体の怪異霊
土御門雅の研究施設から提供された存在である。
・所属組織、地位や役職
怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
鹿島霊子によって解放された。追撃部隊の足止めを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
呪詛精霊
ラピスの腐敗した魂から生み出される存在である。
・所属組織、地位や役職
怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
晴久たちを襲撃して霊装車のタイヤを破壊した。地下祭壇へ配置され、降誕の儀を妨害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
絶頂除霊 ! 10巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 12巻レビュー
展開まとめ
プロローグ
封印された最後のパーツ
アザゼルによる奪取
欧州祓魔連合の第二聖人ラヴィニスは、上位神族ケルビムから、連合が封印していた二つのパーツを奪ったのがアザゼルであると聞いた。
アザゼルは偶然手にしたパーツによって自我を侵食され、欧州祓魔連合が保管していたパーツまで奪ったと天界では見られていた。
第二聖人だけが知る封印
欧州には、アザゼルにも発見されなかった別のパーツが残されていた。
その場所は代々ケルビムを降ろす第二聖人だけに伝えられ、数あるパーツの中でも特に強い力を持つ部位が厳重に封印されていた。
神命による封印解除
ラヴィニスは地下深くにある封印へ到達し、ケルビムの力を使って結界を解除した。
ケルビムは最後に確認したが、ラヴィニスは神の意向に疑問を抱かなかった。晴久暗殺の命令を確実に果たすため、封じられていた強力なパーツを解放した。
第一章 烏丸葵の裏事情
烏丸葵と第一聖人の疑惑
烏丸不在の教室
新学期の教室で、晴久は処女懐胎事件の疲労と、烏丸が第一聖人として欧州へ連れ去られた出来事に混乱していた。
小林たちへ事情を話したものの、あまりに荒唐無稽なため晴久の冗談だと思われた。しかし烏丸とは連絡がつかず、授業が始まっても姿を現さなかった。
欧州祓魔連合の混乱
放課後、晴久たちは退魔師協会本部を訪れ、楓から調査結果を聞いた。
欧州祓魔連合も烏丸の件で混乱しており、連合本部へ連れていかれた彼女の安全は保証されているものの、それ以外の情報は得られなかった。宗谷は烏丸が戻れない可能性を心配したが、桜とともに何かの間違いだと言い聞かせた。
夏樹の動揺
そこへ十二師天の樹夏樹が駆けつけ、烏丸が第一聖人という話の真相を晴久へ問い詰めた。
夏樹は、烏丸のような変質者が高潔な天人降ろしの筆頭では、天人降ろし全体の品位に関わると憤った。宗谷たちは、夏樹が晴久へ不自然に接近していると警戒し、口論になった。
否定された可能性
晴久から連れ去られた経緯を聞いた夏樹は、烏丸が第一聖人である可能性を改めて否定した。
第一聖人ほどの要人が欧州から逃亡し、日本の学校へ護衛もなく通い続けることは現実的ではなかった。欧州祓魔連合や日本の協会上層部が、事情をまったく把握していない点も不自然であった。
烏丸の不可解な過去
晴久は、烏丸が腹部の聖痕を隠すように更衣室や浴場を避けていたことを思い出した。
第二聖人との通話や辰姫の降臨を避けたこと、特殊な怪異世界へ侵入できたこと、獣化しても理性を失わなかったことも、第一聖人ほどの力や加護があれば説明できた。第七聖人と遭遇した際の動揺からも、烏丸本人には何らかの心当たりがあるように思われた。
地方遠征からの来訪者
晴久たちが答えを出せずにいると、傷だらけの車が協会本部前へ飛び込んできた。
車から現れた長い黒髪の女性は、地方遠征から急いで戻ったと叫びながら本部へ走ったが、長時間の運転で足が痺れており、持っていた紙袋をぶちまけて転倒した。
烏丸の過去と欧州行き
烏丸クリスの来訪
協会本部前へ駆け込んできた女性は、烏丸の後見人である烏丸クリスであった。
クリスは幼い烏丸とともに欧州から日本へ逃れて以来、姉のような立場で彼女を支えていた。第七聖人に連れ去られた経緯を聞き、烏丸が第一聖人として扱われている現実を受け入れた。
第一聖人候補の施設
欧州では長く第一聖人が生まれず、祓魔連合は適性を持つ子供百人を集めて候補者として教育していた。
烏丸もその一人であったが、霊能力や適性は最下位に近く、潔癖な生活にも馴染めなかった。性的な事柄を徹底的に禁じる教育によって衰弱し、やがて幻覚を見るほど追い詰められた。
欧州からの脱出
施設は秘術の秘匿と体面を理由に、候補者の途中離脱を認めていなかった。
クリスは烏丸を救うため、警備の隙を突いて施設から連れ出した。二人は追手をかわして日本へ逃れ、退魔師として暮らし始めた。
養父との縁
日本で二人を助けたのは、晴久と桜が育った《福音の家》を営んでいた神父であった。
神父は帰化や退魔師として働くための支援を行っていた。晴久たちは、養父が烏丸たちの恩人でもあったという意外な繋がりを知った。
日本での回復
欧州の厳格な生活から解放された烏丸は、日本の自由な環境で元気を取り戻した。
クリスも日本の娯楽へ深く傾倒し、独自に日本語を覚えていた。クリスは多少放任しすぎたと認めつつも、烏丸が退魔学園で生き生きと過ごしていたことを喜んでいた。
後から判明した適性
クリスは、烏丸が日本へ逃れたあと、上位神族セラフィムによって第一聖人の依り代に指名された可能性を語った。
人間側の適性検査は先入観に左右されており、実際の神族との相性を正しく測れていなかったと考えられた。連合が第一聖人を行方不明と発表していたのも、烏丸の逃亡を隠すためであった可能性が高かった。
クリスの願い
烏丸が本当に第一聖人となれば、欧州祓魔連合の象徴として日本へ戻ることは困難であった。
クリスは、せめて烏丸が無事かどうかを確かめてほしいと晴久たちへ頼んだ。晴久たちも仲間として烏丸を心配しており、面会の方法を探そうとした。
最後のパーツ
そこへ葛乃葉菊乃が現れ、欧州祓魔連合から緊急依頼が届いたと告げた。
欧州の要人が最後のサキュバス王パーツに取り憑かれ、宿主を殺さず除霊できる晴久が求められていた。依頼先は烏丸が連れていかれた連合本部の街であり、パーツ回収と烏丸への面会を同時に果たせる機会となった。
宗谷の入国条件
淫魔眼を持つ宗谷は、欧州で入国を拒まれる可能性があった。
宗谷は、自分の同行と烏丸への面会を依頼受諾の条件にすると主張した。欧州側は監視と行動制限を条件に受け入れ、晴久たちは全員で欧州へ向かうことになった。
ラピスとジェーン
欧州では、ラピスが第一聖人の発見を知り、まだ力を得ていない烏丸を狙おうとしていた。
その傍らでは、弱体化したジェーンも晴久との再会を待ち望んでいた。二人はそれぞれの執着を抱え、晴久たちの到着を待っていた。
辰姫への伝令
日本では、激務から休んでいた辰姫のもとへ、セラフィムから緊急の伝令が届いた。
その内容は地上で大きな争いを招きかねないほど異常なものであった。辰姫は真偽を確かめるため、欧州との連携を探っていた菊乃の関係者へ接触しようと動き始めた。
第二章 欧州祓魔連合
欧州への出発とシーラ姫の出迎え
二日間の渡航準備
晴久たちは、パーツ保持者である晴久と宗谷に加え、魔族のゼパルも同行するため、入国手続きが整うまで二日間待機した。
その間に欧州での除霊へ向けた準備を進め、受け入れ態勢が整うと、欧州祓魔連合が派遣した海空両用の高速機動艦で出発することになった。
弩級護衛艦隊の迎え
軍港には、複数の護衛艦を伴う巨大な飛行艦が到着していた。
一般人をテロへ巻き込まず、欧州連合首都まで最短で移動するための措置であった。晴久と桜は大規模な送迎に圧倒されたが、宗谷と楓は比較的落ち着いて受け入れていた。
晴久の身分確認
搭乗前、欧州の祓魔師たちは成り代わりを防ぐため、晴久固有の能力による本人確認を求めた。
晴久は用意された生物や物品へ特殊な力を使い、偽装不能な能力を証明した。屈辱的な確認を終えた一行は、クリスと夏樹に見送られて飛行艦へ乗り込んだ。
宗谷の隔離区画
艦内は高級ホテルのような設備を備えていたが、淫魔眼を持つ宗谷は乗組員の情報を見ないよう専用区画へ隔離された。
宗谷の式神にも行動範囲が設定され、区域外で使用すれば警報が鳴る仕組みとなっていた。晴久たちも男女別の部屋へ分かれ、長時間の飛行に備えて休むことにした。
ゼパルの悪戯
眠れずにいた宗谷のもとへ、晴久の端末を使ったゼパルから映像通話が入った。
ゼパルは眠る晴久の隣へ潜り込み、宗谷の反応を楽しむため悪戯を仕掛けた。宗谷は激しく動揺したが、ゼパルは途中で切り上げようとした。
眠った晴久の反応
寝返りを打った晴久は、無意識のままゼパルを抱き寄せた。
晴久には過去の精神世界で身につけた経験が深層心理に残っており、本人の意識がないままゼパルへ特殊な接触を続けた。ゼパルも予想外の反応に動揺し、宗谷は映像越しに怒りを募らせた。
宗谷の強制介入
事態が限界へ近づくと、宗谷は晴久に仕込んでいた護符を起動し、強力な式神で二人を引き離した。
艦内に警報が鳴り響き、晴久も目を覚ました。その後、事情を知った桜と楓も加わり、ゼパルは三人から厳しい制裁を受けた。
欧州の軍港
出発から約十時間後、一行は敵襲を受けることなく欧州連合首都近郊の軍港へ到着した。
巨大な湖を利用した内陸港には飛行艦が並び、晴久たちは異国へ来た実感を深めた。一方で晴久は、眠っている間に何があったのか知らされず、宗谷とゼパルの不穏な様子に戸惑っていた。
シーラ姫との再会
港で一行を迎えたのは、白い正装と仮面を身につけた銀髪の女性であった。
その正体は、かつて晴久たちに救われたシーラ姫であった。シーラは恩返しとして、欧州滞在中の晴久たちを自ら案内すると告げた。
欧州祓魔連合本部への到着
シーラ姫との再会
軍港で晴久たちを出迎えたのは、アルメリア王国のシーラ姫であった。
シーラ姫は第一聖人降誕の儀へ参列するため、すでに欧州連合首都へ滞在していた。晴久たちの到着を知り、予定を変えて自ら迎えに来ていた。
第一聖人降誕の儀
新たな聖人を生み出す儀式には、天人降ろしの力を高める能力を受け継ぐマリアフォールド王家の者が参列する決まりであった。
長く不在だった第一聖人が誕生する可能性が高まったことで、シーラ姫も儀式へ招かれていた。晴久は、烏丸が本当に第一聖人となる可能性がさらに高まったと感じた。
欧州連合首都の案内
晴久たちは第三聖人アイギスが運転する霊能装甲車へ乗り、シーラ姫の案内で欧州連合首都を進んだ。
街には歴史ある建物や祓魔師の修練場が並び、強力な結界によって守られていた。第一聖人降誕の儀は、龍脈の力を利用できるセントグレア大聖堂の地下大神殿で行われる予定であった。
シーラ姫への確認
シーラ姫が晴久へ親しげに接する様子を見た宗谷たちは、ジェーンによる成り代わりを警戒した。
宗谷は淫魔眼で本人確認を行ったが、シーラ姫の精神状態は極めて潔白であり、成り代わりではないと判明した。晴久たちは謝罪し、再び街の案内を受けた。
第二聖人ラヴィニス
欧州祓魔連合本部へ到着した一行は、暫定トップを務める第二聖人ラヴィニス・イエスタと対面した。
ラヴィニスは突然の依頼に応じた晴久たちへ深く感謝した。パーツに取り憑かれた要人を救えなければ、自分たちの手で処分するほかなかったためである。
リリーナ・ドッペリン
パーツに取り憑かれた人物は、ロマリア王国の王族リリーナ・ドッペリンであった。
リリーナは王位継承権十位であり、王族でありながら一人の祓魔師として連合本部に勤務していた。晴久は、気弱そうな彼女を一刻も早く救いたいと考えた。
封印から逃れたパーツ
最後のパーツは新たに出現したものではなく、欧州祓魔連合が長年秘匿していたものであった。
古くなった封印を補修している最中、パーツが隙を突いて逃れ、リリーナへ取り憑いた。ラヴィニスは自らの失態だと認めたが、本部の結界によって暴走前にリリーナを地下封印場へ保護していた。
除霊までの待機
リリーナの自我はまだ侵食されておらず、容態も安定していた。
ラヴィニスは再び隙を突かれないよう、除霊用の結界を万全に整える時間を求めた。晴久たちは了承し、遅くとも夕方には除霊を開始することとなった。
烏丸との面会
除霊まで時間が空いたため、晴久たちは先に烏丸の様子を確認することにした。
ラヴィニスは烏丸を第一聖人として扱いながら面会を許可し、晴久たちは連れ去られた仲間のもとへ向かうこととなった。
第一聖人との再会と時間停止
シーラ姫との別行動
烏丸のもとへ向かう途中、シーラ姫は幼い頃に第一聖人候補施設で烏丸を見かけていたと明かした。
しかし現在の烏丸は第一聖人として扱われていたため、シーラ姫は事前の約束なしに面会することを控えた。ゼパルも上級魔族であることを理由に同席を禁じられ、別室で待機することになった。
宗谷と烏丸の関係
厳重な警護を見た晴久は、烏丸が窮屈な生活を強いられているのではないかと心配した。
宗谷は、淫魔眼を気にせず最初から接してくれた烏丸が貴重な仲間であると語り、元気に過ごしているかを真剣に案じていた。
元気すぎる烏丸
特別室へ入った晴久たちが目にしたのは、上位神族セラフィムの写真を眺めながら騒ぎ続ける烏丸であった。
烏丸は、明後日の儀式で美しいセラフィムを宿せることや、第一聖人の権力を使えることへ興奮していた。晴久たちは心配したことを後悔し、護衛の聖人たちも露骨に困惑していた。
セラフィムとの高い適合率
護衛の聖人は、烏丸とセラフィムの適合率が歴代第一聖人を上回るほど高く、神託でも依り代に指名されていると説明した。
明後日の降誕の儀が成功すれば、烏丸はほぼ確実に第一聖人へ即位する見込みであった。
リリーナの逃走
烏丸との再会中、連合本部に緊急警報が鳴り響いた。
地下で保護されていたリリーナが結界を破って逃走したのである。護衛の聖人たちは烏丸を守るためその場に残り、晴久たちは地下へ向かった。
停止した世界
階段を駆け下りる途中、警報や足音、人々の気配が一斉に消えた。
桜と楓は空中で静止し、周囲の時間そのものが止まっていた。ミホトは、最後のパーツが《サキュバス王の陰核》であり、その能力が時間停止だと思い出した。
時間停止の制約
時間停止はパーツ保持者には効かず、停止中の生物へ致命的な危害を加えることもできなかった。
そのため晴久と宗谷は動くことができ、宗谷の式神も影響を受けなかった。二人は桜と楓を式神に守らせ、上階へ向かう何者かを追った。
淫魔化したリリーナ
晴久たちが烏丸の部屋へ戻ると、淫魔化したリリーナが聖人たちの結界を破ろうとしていた。
リリーナは完全に理性を失っておらず、晴久たちとも普通に会話した。彼女はパーツの力を自ら受け入れ、時間停止能力を自在に使っていた。
第一聖人候補の怨恨
リリーナも烏丸と同じ第一聖人候補施設で育ち、霊能力と素行の両方で首位だった。
長年厳しい生活を耐えたにもかかわらず第一聖人になれず、最下位だった烏丸が選ばれたことへ強い怒りを抱いていた。時間停止能力を得たリリーナは、これまで抑圧してきた鬱憤を晴らそうとしていた。
晴久たちへの襲撃
リリーナは、侵食が進む前に存分に暴れ、その後で除霊してもらえばよいと考えていた。
時間停止中に動ける晴久たちを邪魔者と見なし、強大な身体能力で襲撃した。突進だけで床や壁を破壊し、停止した世界の中で戦闘が始まった。
時間停止の解除とリリーナの奥の手
重ね掛けされた時間停止
晴久と宗谷は、淫魔化したリリーナを力ずくで除霊しようとした。
リリーナは鍛え抜かれた欧州式の退魔術と高い身体能力を組み合わせて抵抗した。晴久たちは優勢に戦ったが、リリーナは《陰核》へ強い刺激を与え、パーツ保持者の耐性すら一瞬だけ貫く時間停止を重ね掛けした。
回避不能の連続攻撃
強化された時間停止は一秒にも満たなかったが、高速戦闘では十分な効果を発揮した。
リリーナは停止中に晴久の周囲へ結界を配置し、解除直後に逃げ場を塞いで攻撃した。晴久はミホトの防御と宗谷の式神で耐えたものの、連続攻撃を受けて劣勢に追い込まれた。
戦力増強の方法
ミホトは一度撤退し、時間停止された者を解放して味方を増やす作戦を提案した。
停止した者には通常の攻撃では干渉できなかったが、特殊な接触を行えば解除できた。晴久の《手》とミホトの補助があれば、衣服の一部を外す程度でも解除できる可能性があった。
聖人たちへの監視
リリーナは晴久たちの狙いを察し、烏丸と複数の聖人が集まる部屋へ戻って待ち構えた。
第二聖人ラヴィニスやゼパルも近くで停止しており、晴久たちは最大戦力を解放できなかった。そのため、リリーナの警戒から外れていた桜と楓を先に救うことにした。
桜と楓の解放
晴久は宗谷に見守られながら、停止していた桜と楓の下着を外した。
ミホトの補助によって二人の時間停止は解除されたが、晴久は事情を説明する前に下着を手にしたまま近づいてしまった。激しく誤解されたものの、宗谷の説明によってどうにか納得を得た。
影武者による包囲
桜と楓を加えた晴久たちは、再びリリーナへ挑んだ。
宗谷が大量の高速式神を召喚し、楓がそれらを晴久とミホトの姿へ変身させた。見分けのつかない影武者が四方から迫り、桜も術式妨害でリリーナの退魔術を乱した。
追い詰められたリリーナ
リリーナは時間停止と身体能力で影武者を破壊したが、宗谷が即座に補充した。
晴久たちは実戦で培った連携によって、時間停止の隙を補いながらリリーナを確実に追い詰めた。
ドッペリン家の異能
劣勢となったリリーナは、ドッペリン家に伝わる異能を発動した。
その能力は、触れた相手の能力や性質を複製するものであった。リリーナは第一聖人候補から外されたあと、欧州祓魔連合への復讐に備え、かつて聖人たちを追い詰めた強力な怪異をコピーして保存していたのである。
最後のパーツ回収と夜の訪問者
願望を暴く怪異
リリーナが複製していた怪異は、攻撃や術式を使うたびに本人の秘めた願望を強制的に口にさせる能力であった。
晴久、宗谷、桜、楓は突然の暴露に動揺し、連携を大きく乱された。さらにリリーナの時間停止も重なり、一時は攻撃を受け続ける状況となった。
修羅場で得た耐性
晴久たちは羞恥に苦しみながらも、これまで経験してきた異常事態に比べれば耐えられると割り切った。
晴久が五感強化で動きを読み、ミホトへ指示を送り、宗谷と楓が影武者を補充した。桜も術式妨害を続け、短時間で元の連携を取り戻した。
リリーナの除霊
切り札が通じず動揺したリリーナへ、晴久とミホトが一気に接近した。
晴久はリリーナの急所へ特殊な除霊を施し、抵抗する暇を与えず無力化した。リリーナから最後のパーツが分離して晴久へ吸収されると、止まっていた時間も再び動き出した。
暗殺計画の進行
事件後、第二聖人ラヴィニスは晴久の状態を部下から報告させた。
最後のパーツを吸収した影響で、ミホトの出力は低下していた。ラヴィニスはその隙を好機と判断し、天命に従って晴久をその夜に暗殺するよう部下へ命じた。
シーラ姫の決意
一方、シーラ姫も晴久たちが近く帰国する可能性を考え、今夜中に計画を実行すると決めた。
晴久と再び会える機会はほとんどなく、これが最後になる可能性もあった。第三聖人アイギスは、晴久が相手として極めて優れていると認め、シーラ姫を支援することにした。
最高級ホテルでの宿泊
晴久たちは除霊後の検査を終え、第一聖人降誕の儀へ参列する要人向けの最高級ホテルへ案内された。
宗谷とゼパルは淫魔眼と魔族であることを理由に別の宿へ隔離され、晴久は桜や楓とも別の豪華な客室へ通された。最後のパーツの吸収には時間がかかり、ミホトの力も弱まっていたため、厳重な警護は都合がよかった。
深夜のシーラ姫
晴久が眠りについたあと、薄い寝間着姿のシーラ姫が客室へ忍び込んだ。
晴久は変身や成り代わりを疑ったが、シーラ姫は第三聖人アイギスの助力で結界と警護を抜けたと説明した。彼女は、晴久と二人きりになれる唯一の機会を使い、親睦を深めるために訪れたのである。
シーラ姫の求婚と神命の襲撃
第三聖人の協力
シーラ姫は第三聖人アイギスの助力を得て、晴久の客室へ密かに侵入していた。
アイギスは見張りの結界をすり抜け、晴久が一人で眠っているように気配を偽装していた。シーラ姫は朝まで誰にも気づかれないと告げ、晴久と同じベッドへ潜り込んだ。
王族としての求婚
晴久が軽率な行動を止めようとすると、シーラ姫は王族にとって重要な責務は後継者を残すことだと語った。
彼女は、日本の退魔師協会中枢や第一聖人候補と繋がりを持ち、数々の事件を解決した晴久こそ伴侶にふさわしいと考えていた。アルメリア王国でも晴久はシーラ姫を救った英雄として知られ、婚姻を支持する準備まで進められていた。
シーラ姫の想い
シーラ姫は政治的な利益だけでなく、晴久本人を心から慕っていると告白した。
晴久の同意を得るため、一晩かけて説得すると決意し、彼の腕へ抱きついた。慣れない接触に動揺しながらも、シーラ姫は晴久へ何度も口づけ、次第に冷静さを失っていった。
晴久の警戒
晴久は事態が露見すれば双方が破滅しかねないと考え、騒ぎを起こさずシーラ姫を止めようとした。
周囲の見張りを確認するため《角》で五感を強化すると、客室の外に十人を超える気配が潜んでいることへ気づいた。
ベッドへの奇襲
晴久は不穏な動きを察知し、シーラ姫を抱えてベッドから飛び退いた。
直後、先ほどまで二人がいた場所へ高密度の霊力が撃ち込まれ、ベッドが破壊された。室内へ踏み込んできたのは、客室を守っていた聖人や祓魔師たちであった。
神命による暗殺
襲撃者たちはシーラ姫が室内にいることを知らず、危うく彼女まで巻き込んだことに動揺した。
しかし彼らは神命を優先し、多少シーラ姫を傷つけても晴久を殺すと決断した。神聖な結界で逃げ道を塞ぎ、無数の光の矢を放った。
アイギスの介入
第三聖人アイギスが攻撃へ割って入り、シーラ姫を巻き込んで晴久を殺そうとする者たちを止めた。
アイギスは、自分の細工した結界を下位の聖人たちが突破できたことから、より上位の聖人による加護があると察した。
最上階からの脱出
アイギスが攻撃を防いだ隙に、晴久とミホトはシーラ姫を抱えて脱出を図った。
晴久は客室の窓を破り、封鎖する物理結界を特殊な力で弱体化させた。三人は追撃を避けるため、ホテル最上階から屋外へ飛び降りた。
第三章 スーサイドスクワッド!
天命による晴久暗殺
最上階からの着地
晴久とミホトは、シーラ姫を抱えたままホテル最上階から飛び降り、隣の建物の外壁へ腕を突き立てて落下の勢いを弱めた。
無事に地上へ着くと、騒ぎを察知した宗谷、桜、楓、ゼパルが駆けつけた。晴久は護衛の聖人たちから命を狙われたと説明したが、寝間着姿のシーラ姫が一緒にいるため、宗谷たちは別の疑いを抱いた。
第三聖人の証言
第三聖人アイギスが現れ、襲撃はシーラ姫の行動を知った者による制裁ではないと証言した。
襲撃者たちはシーラ姫の存在を知らず、彼女まで巻き込む攻撃を放っていた。また、アイギスが細工した結界を突破していたことから、より上位の加護を受けた計画的な襲撃である可能性が高かった。
祓魔師軍勢の包囲
ホテルの周囲には、数百人を超える祓魔師と複数の聖人が配置されていた。
彼らは晴久だけへ強い殺意を向けており、偶発的な暴走ではなく、事前に準備された包囲網であることが明らかとなった。その指揮を執っていたのは、欧州祓魔連合の第二聖人ラヴィニスであった。
天界からの抹殺命令
シーラ姫は晴久が欧州の要請へ応じてパーツを除霊した恩人であり、日本との戦争を招くと警告した。
しかしラヴィニスは、晴久の抹殺が上位神族から直接下された天命であると明かした。晴久を殺して四つのパーツを一時的に消滅させれば、アザゼルたちによるサキュバス王復活を阻止できるという理屈であった。
神命への盲従
晴久たちは、日欧の争乱を招いてまで暗殺を実行する理由へ疑問を呈した。
だがラヴィニスは、人間には理解できない神々の深い意図があるとし、天命へ疑問を抱くこと自体が傲慢だと断じた。晴久は説得を諦め、宗谷たちとともに抵抗する決意を固めた。
都市封鎖結界
ラヴィニスは、欧州連合首都を守る巨大防衛結界の性質を反転させ、内部の晴久たちを逃がさない封鎖へ作り替えた。
結界は地中や瞬間移動まで封じる多重構造であり、晴久の能力でも短時間で突破することは困難であった。さらに聖人と精鋭祓魔師たちが強大な術式を準備し、一行を追い詰めた。
シーラ姫とアイギスの反抗
シーラ姫は、自分まで一緒に逃げれば晴久たちが誘拐犯として扱われると考え、その場へ残って追手を食い止めると決めた。
第三聖人アイギスも、欧州祓魔連合よりマリアフォールド王家への忠義を優先した。宿す神族ラファエルの力で周囲を凍結し、包囲網に脱出口を作った。
欧州連合首都からの逃走
晴久たちはシーラ姫たちの援護を受け、包囲網を突破した。
しかし街全体が封鎖され、外部との通信も遮断されていた。晴久たちは救援を呼べないまま、静まり返った欧州連合首都を全速力で逃走した。
聖人部隊の追撃
二人の聖人が率いる精鋭部隊が、西洋式神や霊装車を使って晴久たちへ追いついた。
追手は高度な連携と神聖な加護による防御力を備えており、楓たちの攻撃にも耐えた。このまま足止めされれば後続に包囲されるため、晴久は特殊な除霊を使う決断を下した。
追撃部隊の無力化
晴久は五感強化で敵の動きを読み、桜の術式妨害とミホトの力を組み合わせて追手へ接近した。
晴久の特殊な除霊を受けた祓魔師たちは、神聖な防御や治療術式を無視して次々と戦闘不能になった。その力へ追手は嫌悪を示したが、宗谷と桜は晴久の命を守るため使用を続けるよう促した。
晴久たちは追撃部隊の数を減らし、包囲から逃れようと走り続けた。
影武者と霊力補充
聖人たちの大規模攻撃
第五聖人と第六聖人は、無数の光矢と巨大な岩塊を組み合わせた広範囲攻撃を放った。
晴久たちは防御を試みたが、ゼパルが魔力で攻撃を相殺した。ゼパルは神族を宿す聖人へ直接攻撃できない契約を負っていたものの、相手の術式を打ち消すことは可能であった。
都市結界への対抗策
晴久は、ゼパルならば時間をかけることで都市を覆う多重結界を解除できる可能性があると気づいた。
一行は結界の端を目指すことに決め、宗谷の式神と楓の変身術を組み合わせて、自分たちを精巧に再現した影武者を大量に生み出した。
偽情報による撹乱
影武者となった宗谷たちは、聖人たちの秘密を見抜いたように装い、根拠のない醜聞を街中へ広めた。
性的な噂が致命的になり得る欧州の文化と、淫魔眼を持つ宗谷の存在によって祓魔師たちは混乱した。晴久たちはその隙に追跡をかわし、結界の端へ進んだ。
宗谷の霊力枯渇
影武者は精鋭祓魔師や聖人たちに次々と破壊され、宗谷は補充のため大量の式神を召喚し続けた。
広範囲で多数の式神を操る負担は大きく、宗谷の霊力は急速に枯渇した。影武者が減ると追手は本物の一行へ迫り、このままではゼパルが結界を解除する時間を作れない状況となった。
宗谷家の秘密
追い詰められた宗谷は、相性のよい人式神から特殊な刺激を受けることで、膨大な霊力を生み出せる宗谷家の秘密を仲間へ明かした。
桜たちは当初信じなかったが、晴久が宗谷の指へ特殊な方法で触れると、枯れかけていた霊力が急速に回復したため、その性質が事実だと理解した。
公開された霊力補充
晴久は追手が迫るなか、宗谷の霊力を効率よく回復させるため刺激を調整した。
仲間たちに見られている緊張も影響し、宗谷からは予想以上の霊力が溢れた。そこから霊級格の高い式神が大量に生まれ、追撃部隊を押し返した。
影武者軍団の再編
回復した宗谷は速度特化の式神を次々と召喚し、楓がそれらを晴久たちの姿へ変化させた。
大量の影武者は再び各方面へ散り、聖人たちに関する偽情報を叫びながら追手を撹乱した。晴久たちはその中へ紛れ込み、第八聖人率いる部隊を振り切った。
桜の霊力譲渡術
桜は、拘束した相手から霊力を奪うために修得していた術式を応用し、宗谷の余剰霊力を楓へ渡した。
楓も力を取り戻し、精度の高い影武者を継続して生み出せるようになった。宗谷が生み出した霊力を桜や楓、ミホトへ分配できることで、一行の継戦能力は大きく向上した。
持久戦への希望
天人降ろしは強大な出力を持つ一方で、長時間の戦闘には向いていなかった。
晴久たちは宗谷の霊力補充と桜の譲渡術を利用すれば、圧倒的な数を誇る欧州祓魔連合を相手にしても持久戦へ持ち込める可能性があると考えた。
第二聖人の神眼と包囲戦
影武者による混乱
晴久たちは宗谷の霊力補充と桜の譲渡術を活用し、楓の変身術で精巧な影武者を大量に生み出した。
影武者は聖人たちへの偽情報を広めながら街中へ散り、欧州祓魔連合の精鋭部隊を大混乱に陥れた。神族の霊視でも本物を判別できず、晴久たちは結界の縁へ近づいていった。
ラヴィニスの神眼
第三聖人アイギスとシーラ姫を制圧した第二聖人ラヴィニスが、追撃部隊の指揮へ戻った。
ラヴィニスはケルビムの力を顕現させ、無数の目を持つ翼で街全体を観察した。霊力だけでなく表情や動作、進行方向まで分析し、影武者の中から晴久たちの位置を正確に見抜いた。
天を覆う白炎
ラヴィニスは燃える剣を掲げ、天まで届くほど巨大な浄化の白炎を晴久たちへ振り下ろした。
晴久たちはゼパルの魔力を中心に、宗谷の式神や仲間たちの結界を重ねて防御した。全員無事だったものの、周囲の街区は丸ごと消滅し、隠れる場所も影武者も失われた。
第七聖人の急襲
晴久たちが影武者を作り直そうとすると、第七聖人イザベルが空から光の羽を放ち、式神を次々と撃ち抜いた。
イザベルは自らの高速機動で追撃部隊まで運び、第五聖人や第六聖人を含む多数の祓魔師が一斉に晴久たちへ迫った。
逃走の阻止
ゼパルは暴風で仲間を運ぼうとしたが、神族を宿すイザベルが進路へ割り込み、契約上攻撃できない弱点を利用して妨害した。
晴久も空中戦を挑んだが、パーツ処理で弱っているミホトでは機動力に優れるイザベルを捉えられなかった。その間に追撃部隊が集結し、逃げ道を塞いだ。
炎の多重結界
ラヴィニスは他の聖人たちの力も借り、更地となった区域全体を覆う炎の多重結界を展開した。
祓魔師たちは結界の内側へ次々と入り、晴久たちは再び完全に包囲された。街全体の封鎖結界も残っており、逃走はほぼ不可能となった。
楓の身代わり案
楓は晴久へ変身して囮となり、仲間だけでも逃がそうと提案した。
しかし晴久は、楓を確実に死なせる作戦を強く拒絶した。仲間を犠牲にして生き延びるくらいなら全員で戦うと決め、楓にも自分を責めるなと告げた。
総力戦の決意
逃げ道を失った晴久たちは、包囲する欧州祓魔連合を正面から突破する覚悟を固めた。
宗谷は大量の式神を展開し、楓はそれらを祓魔師へ変身させて敵陣を撹乱した。桜は術式妨害で援護し、ゼパルは聖人たちの大規模攻撃を相殺するため魔力を蓄えた。
晴久の突撃
晴久は五感強化とミホトの力を限界まで引き上げ、敵の弾幕へ正面から突入した。
遠距離攻撃をかいくぐって祓魔師たちへ接近し、特殊な除霊で次々と戦闘不能にした。凄惨な光景に敵の連携が乱れ、晴久はその隙を突いて包囲陣の内部を駆け回った。
凶悪犯たちの救援
聖人たちの継戦能力
晴久は、継戦能力に乏しい聖人たちを消耗させるため、敵陣へ突入して攻撃を誘い続けた。
しかし欧州祓魔連合は、長年蓄積した天人降ろしの運用技術によって弱点を補っていた。大技を連発したラヴィニスを含め、聖人たちの力は衰えるどころかさらに増していった。
晴久たちの分断
聖人たちは晴久の持久戦狙いを見抜き、攻撃の出力を引き上げた。
宗谷、桜、楓、ゼパルへの攻撃も激化し、互いに援護し合っていた晴久たちは分断された。晴久は一人で集中攻撃を受け、完全敗北を悟りながらも、仲間へ攻撃が向かないよう最後まで敵を引きつけようとした。
狼の遠吠え
晴久が捨て身で敵陣へ突入しようとした瞬間、都市結界が揺らぎ、狼の遠吠えが戦場へ響いた。
その声を受けた祓魔師たちの一部は理性を乱され、隊列を崩した。混乱する部隊を蹴散らして現れたのは、収監されているはずの霊能犯罪者アーネスト・ワイルドファングであった。
鹿島霊子の死霊軍勢
アーネストに続き、鹿島霊子が大量の悪霊を率いて戦場へ乱入した。
統率された死霊の群れは祓魔師たちへ襲いかかり、欧州祓魔連合の陣形を大きく乱した。晴久たちは、かつて敵対した犯罪者たちが自分たちを救援している状況に困惑した。
アンチマジックミラー号
戦場には、無数の悪霊と人形を吐き出す鏡張りの大型車両も突入した。
車両は聖人の大規模攻撃を反射し、祓魔師たちを吹き飛ばした。操っていたのは橋姫鏡巳と魔族アンドロマリウスであり、二人も次元監獄へ収監されていたはずであった。
包囲網からの救出
アーネストと鹿島霊子は晴久たちを強引に車両へ運び込んだ。
アンドロマリウスとアンチマジックミラー号は炎の多重結界を破壊し、悪霊たちが追撃部隊を妨害した。ラヴィニスが追跡を命じたものの、部隊は混乱から立て直せず、晴久たちは包囲網を脱した。
凶悪犯への警戒
晴久たちは命を救われたものの、救援者たちを信用できなかった。
彼女たちはアザゼルの配下としてサキュバス王復活を狙っていたため、複数のパーツを持つ晴久を守ったのも利害の一致にすぎない可能性があった。一行は警戒を解かず、救援の目的と脱獄の経緯を問いただした。
夏樹からの通信
アーネストは説明を避け、神聖な力を宿す枝を晴久たちへ示した。
その枝から聞こえてきたのは、日本にいるはずの樹夏樹の声であった。通信を遮断された都市内部にもかかわらず、天人降ろしの力を介して連絡が繋がり、夏樹が欧州で起きている事態を把握していることが判明した。
犯罪者たちの救援と第一聖人降臨作戦
菊乃の救援策
夏樹に代わって通信へ現れた菊乃は、辰姫とともに晴久暗殺計画の情報を事前に掴んでいたと明かした。
しかし十二師天を正式な援軍として欧州へ送れば全面戦争へ発展しかねなかったため、菊乃たちは収監中の霊能犯罪者が偶然脱獄した形を取り、晴久たちの救援へ向かわせていた。小日向静香のワープ能力や辰姫の力も利用され、アーネストたちは短時間で欧州へ送り込まれていた。
犯罪者たちへの報酬
アーネストたちが命懸けで協力した理由は、晴久から定期的に特殊な除霊を受けるという報酬であった。
菊乃は公的な取引ではないと白を切りながらも、救援後には晴久が個人的な礼として応じる必要があると認めた。晴久は困惑しながらも、無事に逃げ切れた場合は約束を果たすと承諾した。
辰姫の解決策
辰姫は、天界全体が晴久暗殺を支持しているわけではないと説明した。
暗殺を止めるよう日本側へ知らせたのは、第一聖人へ降りる上位神族セラフィム本人であった。セラフィムは日欧の協力を重視する穏健派であり、現在欧州で主導権を握るケルビム派とは対立していた。
セラフィム降臨の必要性
セラフィムが烏丸へ降臨すれば、第一聖人として地上での発言権を取り戻し、欧州祓魔連合へ停戦を命じられる状況であった。
晴久たちは都市から脱出しても追跡され続ける可能性が高いため、騒動を確実に終わらせるには予定を前倒しして第一聖人を誕生させるしかないと判断した。
土御門雅の支援
再編された欧州祓魔連合の追撃部隊が迫ると、鹿島霊子は強力な怪異霊を解放した。
それらは土御門雅が秘匿していた研究施設から提供された実験体であった。雅も今回の救援へ協力し、アーネストたちは彼女の霊具を用いて追手を引き受けた。
凶悪犯たちとの分離
アーネストたちは晴久たちを逃がすため、アンチマジックミラー号で追撃部隊へ突入した。
晴久たちは夏樹の神木を通信手段として受け取り、宗谷の式神と楓の変身術で影武者を作りながら、烏丸を保護する施設へ向かった。
烏丸の居場所
菊乃から得た情報と晴久の五感強化により、一行は烏丸を隠す高等結界を見破った。
烏丸は祓魔連合本部とは別の堅牢な施設で保護されており、内部では禁欲生活への不満を護衛へ訴えていた。
厳重な警護
烏丸の周囲には三人の聖人と十数名の精鋭祓魔師が配置され、第一聖人候補として厳重に守られていた。
晴久たちは楓の変身術で護衛を欺くことも考えたが、ラヴィニスの霊視で本物と特定した追撃部隊が到着したため、密かに烏丸を連れ出す作戦は困難となった。
ジェーンの乱入と入れ替わった晴久たち
ジェーン・ラヴェイの襲来
晴久たちが烏丸の護衛部隊と戦おうとした直前、ジェーン・ラヴェイが現れて追手を一撃で吹き飛ばした。
ジェーンは晴久を救うのではなく、自分のもとへ連れ去るために動いていた。晴久たちは最悪の敵の乱入に警戒したが、宗谷はその執着を利用する作戦を思いついた。
ジェーンを利用した突破
晴久は上半身をさらし、ジェーンの注意を自分へ引きつけた。
ジェーンが晴久へ突進すると、ゼパルが抱きついて晴久とともに回避した。嫉妬に激昂したジェーンが放った強大な魔力弾は、烏丸を守る施設と三人の聖人が築いた多重結界をまとめて破壊した。
烏丸の奪取
晴久は破壊された施設へ飛び込み、事情を説明する間もなく烏丸を抱えて連れ出した。
護衛の聖人たちは晴久を攻撃しようとしたが、追いついたジェーンが妨害した。晴久はその隙に烏丸を抱えて施設から離脱した。
ジェーンと神の軍勢
ゼパルは晴久たちを逃がすため、ジェーンとレヴィアタンを足止めした。
そこへラヴィニスをはじめとする聖人と祓魔師の軍勢が集結した。晴久を狙う彼らへジェーンが激昂して突撃し、ゼパルも戦線が拮抗するよう妨害へ加わった。
大聖堂への移動
晴久、宗谷、桜、楓、烏丸は奪った霊装車へ乗り込み、第一聖人降誕の儀が行われるセントグレア大聖堂を目指した。
烏丸は突然の状況に呆れながらも、セラフィムを早く宿せるなら構わないと受け入れた。晴久たちは追手がジェーンたちへ引きつけられている間に、月明かりに照らされた大聖堂へ急いだ。
突然の身体交換
大聖堂へ近づいたところで、晴久は目眩と浮遊感に襲われ、自分の身体へ異変が起きたことに気づいた。
晴久の意識は宗谷の身体へ移り、ミホトもそのまま両腕へ同化していた。一方、宗谷は晴久の身体へ入っており、二人は互いの身体が完全に入れ替わったと理解して悲鳴をあげた。
第四章 淫魔の性戦
連続する魂の入れ替わり
美咲との完全交換
大聖堂へ向かう霊装車の中で、晴久と美咲の魂が完全に入れ替わった。
桜と楓の霊視でも魂と霊力の質が交換されていると確認され、ミホトやパーツの力も晴久の魂に伴って美咲の身体へ移っていた。
身体に残る強い衝動
美咲の身体へ入った晴久は、慣れない体格や感覚だけでなく、内側から湧き上がる強烈な衝動に翻弄された。
一方、美咲は晴久の身体へ入ったことで、ミホトに情欲を吸収され続けた肉体の虚無に直面し、魂が抜けたように呆然とした。
呪詛精霊の襲撃
混乱する一行へ、強力な呪詛精霊が次々と襲いかかった。
晴久は美咲の身体でもパーツ能力を使えたが、他人の身体への遠慮や感覚の違いによって動きが鈍った。さらに身体に残る衝動で集中力も乱され、普段どおりには戦えなかった。
突然の回帰
晴久と美咲の魂は戦闘中に突然元へ戻った。
近接戦闘中だった美咲は呪詛精霊の目前へ放り出されたが、素早く防御式神を展開して攻撃を防いだ。晴久も直後に割って入り、どうにか窮地を脱した。
桜との入れ替わり
次に晴久と桜の魂が交換された。
晴久は桜の鍛えられた身体を比較的動かしやすいと感じたが、そこにも強い情動が宿っていた。桜も晴久の身体に残る活力の乏しさへ驚き、二人の集中力は大きく乱された。
体臭への反応
晴久は桜と背中合わせで戦おうとしたが、自分の身体から漂う匂いを桜の身体で感じた途端、激しい衝動に襲われて動けなくなった。
その隙に呪詛精霊が押し寄せ、宗谷や楓たちが戦線を支えた。晴久はミホトに身体を動かしてもらい、どうにか戦闘へ復帰した。
楓との入れ替わり
桜との交換が解除された直後、今度は晴久と楓が入れ替わった。
楓の身体は多数の呪詛精霊に囲まれており、晴久は全方位への対応に苦しんだ。晴久の身体へ入った楓が救援へ駆けつけたものの、慣れない狐尾の操作で勢いを誤り、自分の身体へ抱きつく形になった。
戦線の崩壊
連続する入れ替わりと精神的な動揺によって、一行の連携は限界へ達した。
大半の呪詛精霊は退けたが、最後の一体が結界を破って霊装車のタイヤを破壊した。車両は激しく横転し、楓が狐尾で全員を救出して辛うじて無傷で脱出した。
隠された身体感覚
事故後、桜は入れ替わっている間に晴久が何を感じていたのか問いただした。
晴久は、美咲、桜、楓の身体に残っていた強い情動へ振り回されていた事実を隠し、何もなかったと答えた。
ラピスの襲撃と複数の怪異能力
大聖堂までの距離
霊装車を失った晴久たちは、セントグレア大聖堂まで徒歩で急ぐことになった。
呪詛精霊はほぼ退けたものの、入れ替わりを引き起こした敵が近くに残っている可能性は高く、一行は警戒を強めた。
ラピス・フランシュテイン
建物の上から姿を現したのは、国際霊能テロリストのラピス・フランシュテインであった。
彼女は入れ替わりの怪異と呪詛精霊を晴久たちへ仕掛けた張本人であり、かつて相馬家本家を壊滅させた世界最悪級の犯罪者でもあった。
烏丸への殺意
晴久が逃亡を妨害する理由を問うと、ラピスは晴久に死なれると困る一方、第一聖人の誕生も望んでいないと明かした。
さらに彼女は個人的な理由から第一聖人を殺したいと告げ、妖刀で烏丸の眉間を狙った。晴久が間一髪で攻撃を防ぐと、ラピスは大量の呪詛精霊を烏丸へ差し向けた。
烏丸の護衛陣形
宗谷と桜は烏丸の護衛へ回り、晴久と楓がラピスを攻めることになった。
この配置なら入れ替わりが再び起きても対応しやすく、楓は狐火と狐尾で呪詛精霊を押さえながらラピスへ接近した。
楓の新たな変身術
楓は狐尾の一部を細い黒糸へ変化させ、相手の意識外から攻撃した。
二本は呪詛精霊に防がれたが、残る一本がラピスへ直撃し、建物の壁まで吹き飛ばした。楓は手応えの弱さに違和感を抱いた。
痛みで回復する怪異
重傷を負ったラピスは苦しむどころか恍惚とした笑みを浮かべ、消耗していた霊力を一瞬で回復させた。
彼女は受けた痛みや負傷を霊力へ変換する怪異能力を持っていた。入れ替わりとは別の怪異が発現したことで、晴久たちは警戒を強めた。
傷の状態共有
直後、晴久、宗谷、桜、楓、烏丸の全員がラピスと同じ胸部の傷と痛みに襲われた。
ラピスは、土御門雅へ貸していたものより強力な本来の状態共有能力によって、自分が受けた傷を一方的に周囲へ広げていた。
四つ目の怪異能力
ラピスは自分の能力が三つだけではないと明かし、背中から高速の触手を生やした。
楓を狙った攻撃を晴久が庇い、壁へ叩きつけられた。ラピスは自身の傷だけを共有し、晴久たちが受けた傷は自分へ返らない状態で戦いを楽しんでいた。
腐敗した複数の魂
晴久たちは、ラピスが入れ替わり、痛みによる霊力回復、状態共有、触手という複数の怪異能力を同時に操っていることへ驚愕した。
本来、一人に複数の怪異が同時発症することは不可能であった。それにもかかわらず、ラピスからは複数の怪異の気配と、異常なまでに腐敗した魂の状態が感じられていた。
ラピスの過去と第一聖人護送
腐敗した魂
ラピスの魂は長期間放置された怪異のように深く腐敗し、その余波だけで規格外の呪詛精霊を次々と生み出していた。
晴久が人間なのかと疑うと、ラピスは激昂して触手による攻撃を集中させ、自分が複数の怪異を保有できる理由と第一聖人を憎む理由を明かし始めた。
接合された四人の魂
ラピスが幽体離脱すると、その魂は本人を含む四人の人間を無理に接合した異形の姿をしていた。
彼女は過去の聖人の魂を再生し、生きた人間へ移植して第一聖人を作ろうとした者たちの実験体であった。通常なら拒絶反応で死亡するところを生き残り、異なる人格と嗜好を持つ複数の魂が一つの肉体へ共存する存在となっていた。
複数の怪異能力
それぞれの人格は満たされない欲望から別々の怪異を発症していた。
主人格が状態共有を残留能力として得たことで、他の人格が怪異化しても全体が暴走せず、強制入れ替わり、状態共有、負傷による霊力回復、触手という四つの能力を同時に使用できていた。
第一聖人への憎悪
ラピスを実験体にした者たちは、すでに欧州祓魔連合によって粛清されていた。
しかしラピスは、実験を生んだ土壌が連合全体にあり、自分が成功していれば第一聖人として利用されていたと考えていた。そのため新たな第一聖人候補である烏丸を殺し、連合が求め続けた存在を台無しにしようとしていた。
状態共有への対策
晴久は、ラピスへ通常の攻撃を加えれば傷が仲間へ共有され、同時に彼女の霊力まで回復すると整理した。
特殊な除霊なら倒せる可能性があったが、その影響が宗谷へ共有されれば、宗谷が生み出す膨大な霊力で身体を損なう危険があった。晴久は宗谷と烏丸を先に逃がし、状態共有の範囲外で戦う方針を立てた。
烏丸との入れ替わり
宗谷が烏丸を連れて離脱しようとすると、伏せられていた呪詛精霊が進路を塞いだ。
さらにラピスは晴久と烏丸の魂を入れ替えた。戦闘力のない烏丸が前線へ置かれたため、晴久は烏丸の身体で戦線へ戻らざるを得ず、二人を逃がそうとするたびに同じ状況を繰り返された。
第三聖人たちの帰還
打開策を失いかけたところで、ラピスの触手と呪詛精霊が冷気によって凍結した。
現れたのは、拘束を逃れてきた第三聖人アイギスとシーラ姫であった。二人は凶悪犯の乱入で警備が薄くなった隙に脱出し、祓魔連合上層部の治癒護符も持ち出して晴久たちを回復させた。
降誕の儀の担い手
シーラ姫は、晴久たちが烏丸を正式な第一聖人にすることで騒動を止めようとしていると見抜いていた。
彼女は何度も聖人降誕の儀へ立ち会い、必要なら自ら執行できる教育も受けていた。そのため烏丸を大聖堂へ送り、降臨の儀を行う役目を引き受けた。
入れ替わり封じの結界
消耗していたアイギスは、ラピスと戦い続けるよりも烏丸とシーラ姫の護送を優先した。
彼女は欧州で繰り返されたラピスの事件に備えて作られた、入れ替わりを一時的に封じる試作結界を展開した。その隙に宗谷が速度特化の式神を加速させ、烏丸、シーラ姫、アイギスをラピスの能力圏外へ運び出した。
ラピスへの足止め
烏丸たちの離脱後、晴久、桜、楓はラピスを足止めするため戦場へ残った。
宗谷は式神を遠隔操作して援護を続け、桜は呪詛精霊が護送組へ向かわないよう防ぎ、楓は第一聖人が誕生するまで無理に勝とうとせず時間を稼ぐ方針を示した。
聖錐の破壊と大地の絶頂
大聖堂への突入
宗谷は式神に烏丸、シーラ姫、アイギスを乗せ、セントグレア大聖堂へ突入した。
追ってくる呪詛精霊を式神とアイギスの剣で退けながら、神族降臨の祭壇へ続く地下通路を進んだ。しかし重要施設であるにもかかわらず衛兵が一人もおらず、シーラ姫たちは不審を抱いた。
破壊された聖錐
一行が地下聖堂へ到着すると、龍脈から神族降臨に必要な霊力を吸い上げる霊具《聖錐》が破壊されていた。
予備の保管場所もわからないうえ、祭壇の奥からは新たな呪詛精霊が現れた。消耗したアイギスと宗谷は、烏丸とシーラ姫を守りながら戦わざるを得なくなった。
ラピスの仕込み
宗谷から報告を受けた晴久たちは、ラピスが事前に大聖堂へ侵入し、《聖錐》を破壊して呪詛精霊を配置していたと知った。
本来なら容易に復旧できる程度の妨害であったが、欧州祓魔連合との戦闘が続く現状では致命的であった。ラピスは晴久たちをその場へ縫い止め、烏丸の死を待とうとしていた。
夏樹の奇策
打開策を失いかけた晴久へ、神木を通じて夏樹が一か八かの作戦を伝えた。
成功率は低く、晴久たちだけでなく夏樹と紅葉姫も全力を尽くす必要があった。それでも他に手段がないため、晴久、宗谷、桜、楓は即座に作戦を受け入れた。
ラピスの連撃
作戦を察したラピスは猛攻を強め、晴久を触手で何度も吹き飛ばした。
晴久は傷だらけとなり、街灯へつかまって辛うじて体勢を立て直した。ラピスは晴久が戦えないと判断し、大聖堂へ向かおうとした。
折れた街灯の目印
晴久がつかんでいた街灯は、宗谷が変身札で姿を変えた式神であった。
宗谷は予備の式神を上空へ散開させ、石畳の下にある巨大な快楽媚孔を探索していた。未来の光まで視認できる力を利用し、大規模な地震を起こせる地点を見つけ、街灯を目印として晴久へ知らせていた。
大地への一撃
晴久はラピスの攻撃を利用して目標地点まで吹き飛ばされ、砕けた石畳から露出した地面へ特殊な除霊を行った。
欧州首都の地盤が大きく揺れ、建物の倒壊や地割れが発生した。ミホトは揺れを精密に制御し、大聖堂の地下祭壇よりさらに深い場所まで亀裂を伸ばした。
地下へ届いた亀裂
大地の裂け目が地下祭壇へ到達すると、大聖堂から第一聖人とは異なる神聖な気配が噴き上がった。
異変を止めようとするラピスへ、晴久、桜、楓が全力で襲いかかり、進路を封じた。初めて焦りを露わにするラピスを前に、宗谷は夏樹の指示を受け、地下へ届いた亀裂を利用する次の役目へ動き出した。
第一聖人の誕生と戦闘の終結
龍脈へ伸びる神木
晴久が作った地割れへ宗谷が夏樹の角を差し込むと、遠く日本にいる夏樹と紅葉姫が全力で神力を注いだ。
角から伸びた根は砕かれた岩盤を抜け、地下深くの龍脈へ接近した。限界寸前まで力を振り絞った結果、根は龍脈の霊的エネルギーを吸収し、巨大な神木へ成長した。
地下祭壇の防壁
龍脈の力を得た神木は、地下祭壇を覆う強固な壁となって呪詛精霊を押し返した。
アイギスが残る敵を防ぐ間に、シーラ姫は神木を通じて供給される膨大な霊力を制御し、セラフィム降臨の儀を開始した。
儀式後の沈黙
大聖堂から最上位の降臨儀式を示す神聖な霊力が噴き上がり、晴久は烏丸が第一聖人になるよう叫んだ。
しかし儀式の力が収束しても大聖堂から報告はなく、宗谷の式神も沈黙した。晴久たちは失敗を疑い、ラピスも烏丸が第一聖人ではなかったと判断した。
セラフィムの降臨
直後、烏丸の絶叫とともに街全体を揺るがすほどの霊力が放出された。
地下祭壇には、欧州を束ねる上位神族セラフィムが降臨していた。その神威はシーラ姫やアイギスさえ即座に跪くほど強大で、周囲の呪詛精霊も動きを止めた。
第一聖人への要請
セラフィムは、烏丸との相性が歴代でも最高級であると告げ、自分を受け入れて第一聖人となり、争いを終わらせるよう求めた。
烏丸は第一聖人になった後もセラフィムへ特殊な要求をしてよいか確認した。セラフィムは戸惑いながらも、それが烏丸の力を引き出すために必要なら受け入れると答えた。
烏丸の覚醒
セラフィムの返答に歓喜した烏丸は、その身へ上位神族を完全に受け入れた。
烏丸の全身から人智を超えた霊力が噴き上がり、正式な第一聖人が誕生した。
首都を覆う拘束術
その頃、ラヴィニスたちはジェーンやゼパル、凶悪犯たちとの戦闘を続けていた。
大聖堂からセラフィムの神力が広がると、欧州連合首都で戦っていた聖人、祓魔師、犯罪者、悪霊のすべてが光の縄に拘束された。ジェーンとゼパルさえ即座には脱出できず、街全体の戦闘が強制的に停止した。
神意の転換
ラヴィニスに宿るケルビムは、セラフィムと第一聖人の誕生によって暗殺命令が終わったと理解した。
ラヴィニスも拘束術が本物のセラフィムによるものだと認め、天界の意向が変わったとして戦意を消した。晴久は、烏丸が首都全域の乱戦を一瞬で制圧した事実に呆然とした。
第一聖人の覚醒と長い夜の終幕
選別された拘束術
烏丸が放った拘束術は、首都全域で戦う者の中から敵対者だけを正確に選別していた。
聖人や精鋭祓魔師、凶悪な霊能犯罪者、悪霊までが強固な光の縄に捕らえられた一方、晴久、桜、楓や一般人は拘束されなかった。ラピスも触手や呪詛精霊ごと完全に動きを封じられ、戦いの勝敗は決した。
ラピスへの特殊な除霊
ラピスは状態共有で拘束を広げようとしたが、光の縄は霊能力まで抑制していた。
拘束が長く続かない可能性を警戒した晴久は、抵抗できない相手への攻撃をためらいながらも、ラピスへ特殊な除霊を施した。ラピスは激しい反応を示して動けなくなり、晴久たちはその姿を上着で隠した。
第一聖人となった烏丸
宗谷、シーラ姫、アイギスが戻り、その隣にはセラフィムを宿して膨大な神威を放つ烏丸がいた。
普段の言動との落差は大きかったものの、烏丸が正式な第一聖人として覚醒したことは明らかであった。夏樹も遠隔でその姿を確認し、複雑な反応を示した。
烏丸とセラフィムの約束
烏丸は騒動が収まると、約束どおりセラフィムを光の縄で縛り始めた。
晴久は止めようとしたが、セラフィム自身も羞恥を感じながらその状況を受け入れ、むしろ興奮していた。宗谷の淫魔眼によって、セラフィムが男性的な性質も持つ両性的な神族であり、拘束を好んでいることが判明した。
烏丸の失望
セラフィムは烏丸との霊的相性だけでなく、容姿や嗜好まで合っていると喜び、今後も縛られることを望んだ。
理想と異なる事実を知った烏丸は大きく落胆し、その感情に連動してセラフィムや首都の戦闘員を拘束していた光の縄が弱まった。
ラピスの脱出
拘束が緩んだ隙を突き、ラピスは触手を使って光の縄から脱出した。
晴久の除霊を受けても怪異が残っていたことから、複数の人格のうち一つにしか効果が及ばなかった可能性が考えられた。晴久たちは再び捕らえようとしたが、そこへジェーンが現れた。
ジェーンとの逃亡
聖人たちとの戦闘で傷ついていたジェーンは、第一聖人が誕生した首都で戦い続けることを避け、ラピスを抱えて逃走した。
晴久は追おうとしたが、同じく消耗して戻ったゼパルに止められた。ジェーンにはなお都市結界を突破して逃げる力が残っており、疲弊した状態で追えば危険であると判断された。
暗殺騒動の終結
晴久たちは逃亡したジェーンたちへの警戒を続けながら、拘束された欧州祓魔連合への対応へ移った。
セラフィムが地上での発言権を取り戻したことで、晴久暗殺の中止を正式に命じることが可能となった。晴久たちは騒ぎ続ける烏丸とセラフィムを落ち着かせ、欧州祓魔連合との戦争を終結させた。
異国の地で続いた長い夜は、ようやく終わりを迎えた。
エピローグ
暗殺騒動の決着と最終作戦
セラフィムの停戦命令
セラフィムは欧州連合首都全域へ、晴久の暗殺中止と日本への敵対禁止を命じた。
その言葉を受けた欧州祓魔連合は即座に武装を解除し、晴久へ戦意を向ける者はいなくなった。激戦の続いていた首都は、ようやく静けさを取り戻した。
聖人たちの謝罪
戦闘後、ラヴィニスをはじめとする聖人たちは晴久へ深く謝罪した。
神族の命令を絶対視する彼女たちは態度を完全に改めたが、宗谷、桜、楓、夏樹は、直前まで晴久を殺そうとしていた者たちの変わり身に強い怒りを示した。
制裁を巡る協議
今回の事件は日欧戦争へ発展しかねない重大事であり、晴久個人が許して終わらせられる問題ではなかった。
菊乃たちは欧州側の戦力を削る賠償や処罰では、今後の対アザゼル戦に不利益が生じると判断した。適切な制裁を考える中、セラフィムがラヴィニスへの特殊な除霊を提案した。
ラヴィニスへの禊ぎ
セラフィムは、欧州の過度に禁欲的な価値観を少しずつ改めるためにも、責任者であるラヴィニスが意識を変えるべきだと告げた。
菊乃や宗谷たちも心理的な罰として妥当だと認め、ケルビムも上位神族の命令に従った。ラヴィニスは激しく動揺しながらも制裁を受け入れた。
第二聖人の失態
晴久はミホトへ両腕の操作を任せ、ラヴィニスへ特殊な除霊を施した。
厳格なラヴィニスは大勢の女性聖人の前で激しい反応を示し、威厳を大きく損なった。こうして欧州祓魔連合との事件には、一応の決着がつけられた。
烏丸の日本残留
後処理では、正式な第一聖人となった烏丸の扱いが大きな問題となった。
烏丸自身が欧州での生活を強く拒み、セラフィムも宿主の精神状態を考慮して日本滞在を認めた。さらに烏丸が聖人たちへの問題行動を繰り返しかねないことから、欧州祓魔連合側も日本残留を望んだ。
リリーナの影武者
第一聖人不在による欧州の混乱を防ぐため、リリーナが烏丸の神威を模倣し、表向きの第一聖人を務めることになった。
その模倣は見せかけではなく、セラフィムと疑似的につながることで神意を伝え、強力な術式も使用できるものであった。必要なら烏丸やセラフィムが解除できるため、暴走の危険も抑えられていた。
夢に現れた記憶
日本へ帰還した晴久は、治療と検査を終えて眠りについた際、パーツに残された記憶を夢として見た。
そこでは誰かがソーニャへ逃げるよう呼びかけ、災厄に耐える絶対的な力を授けたと告げていた。その声はミホトに似ており、晴久の意識へ強く残った。
陰核の吸収完了
目覚めた晴久へ、ミホトは〈サキュバス王の陰核〉の吸収が完了したと伝えた。
その影響で失われていた記憶を取り戻し、すべてのパーツを完全消滅させられる〈サキュバスの穴〉の位置を思い出していた。
太平洋のエネルギー集積地
〈サキュバスの穴〉は、日本から東へ進んだ太平洋上に存在していた。
そこにはサキュバスパーツが長い年月をかけて蓄積した莫大なエネルギーが集められており、それを使えばサキュバス王の復活とパーツの完全破壊のどちらも可能であった。
アザゼルの根城
第一聖人となった烏丸とセラフィムは、大規模な霊視によってアザゼルたちの拠点を突き止めた。
その場所は天界、魔界、地上のいずれにも属さない次元の狭間であり、アンドロマリウスやジェーンたちが出入りした痕跡も確認された。
パイモンの領域
霊視された座標は、魔王候補パイモンの管轄に属していた。
ゼパルは、生真面目なパイモンなら魔族の将来を目的としてアザゼルと協力していても不自然ではないと判断し、セラフィムの霊視結果を支持した。
突入作戦の準備
〈サキュバスの穴〉とアザゼルたちの根城に関する情報は、日欧双方の上層部へ共有された。
これまで襲撃を受け続けてきた晴久たちは、今度は自ら敵の拠点へ攻め込み、サキュバス王復活を企む勢力を一挙に壊滅させるための突入作戦を進めることになった。
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