異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する

小説【いせれべ】異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 8感想・ネタバレ

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する

いせれべ 7巻レビュー
いせれべ 全巻まとめ
いせれべ 9巻レビュー

どんな本?

作家の名前で予備知識無しで買った記憶がある。

「小説家になろう」で「進化の実」を知ったのは作者さんは高校生だったからな・・
文章の書き方が凄く面白くて進化の実を読んでいたが、このタイトルは知らなかった。

この作品の作者さん、美紅さん。
私の印象ではストライクゾーンでは勝負しないタイプだと思ってる。

でもネタのキレは良いので食い付いてしまうw

そう感じている進化の実がアニメ化して、、、

そしてこの「#いせれべ」がアニメ化している。

進化の実の作画と比べると期待出来そう。
というより段違いじゃないか?

モフモフなナイトとアカツキ、ウサギさんが出て来るまで楽しみに待とう。
PVにはしっかり出ている。

シエルまでは行かないかな、、

KADOKAWAanime より共有
KADOKAWAanime より共有

ウサギ師匠!!!声が渋い!

KADOKAWAanime より共有

動くナイトがカワイイ!!!

KADOKAWAanime より共有

アカツキもキュート!

KADOKAWAanime より共有

読んだ本のタイトル

#異世界でチート能力を手にした俺は 、現実世界をも無双する 8 ~レベルアップは人生を変えた~
著者:#美紅 氏
イラスト:#桑島黎音  氏

アニメイト

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

“滅びの神”を圧倒した少年――次は『星』に襲来した大災厄と対峙する。

人類を滅亡の危機に陥れた“滅びの神”を圧倒し、異世界の救世主となった天上優夜。全速力で森羅万象の頂点へと駆け上がっていく優夜に、この世の常識を覆す大災厄が襲い掛かる!
現実世界に帰還した優夜の前に現れたのは、宇宙から降臨した使徒・メルル。故郷の星を救うという使命を抱く彼女の願いに呼応するように、優夜の戦いは全宇宙へと急拡大していく!?
メルルが必要とするエネルギーを求め、異世界で『星の核』へと降り立った優夜。そこに“星の主”の声が響き渡る――。
『懐かしいオーラですね……あの賢者のことを思い出します』
語られる驚愕の真実。そして優夜に究極の力が授けられる!!

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する8 ~レベルアップは人生を変えた~

前巻からのあらすじ

邪が共喰いして一つとなり強大な邪は究極完全態へと進化して。

滅びの神、アヴィスへと変貌したが、、

力があまりにも巨大なため馴染ませるのに時間が掛ってしまう。

そして、クアロを討伐した優夜は蹴聖のウサギ師匠と剣聖のイリスの指導の下修行をしていたが、優夜を結婚相手にと考えているイリスは優夜に家事が出来る事をアピールしたり、疲労困憊な優夜にマッサージしていた。
そして現代ではモデルをしている美羽が父親から早く結婚しろと言われ。

青年実業家と見合いをしろと言うが、彼女はそれが嫌で仕方なかった。

自身には付き合ってる男性がいると父親に言うと父親はその男性に合わせろと言う。
その彼氏役を美羽は優夜にお願いする。

美羽の父親との会談で父親は見合い相手にしようとしていた山野を呼び出し4人で会談をしていたら。

優夜にマウンティングを取ろうと躍起になり自身が経営する外国のカジノに招待してイカサマをしまくるが、優夜は全てのイカサマを回避して膨大な勝ち金を得てしまう。

終いには山野がキレて襲って来たが優夜は全てをノックアウトして一件落着。

そして、異世界ではアヴィスが攻めて来たが、新しい家族のシエルがアヴィスとの戦闘を希望したので任せてみたら、、

アッサリと勝利。
聖のウサギ師匠とイリスがポカーンとして終わる。

感想

新しい家族。

愛らしい小鳥のシエルの活躍で邪の集合体となったアヴィスをあっけなく討伐。

聖と神楽坂達の最大の敵となった邪は居なくなった。

次に現れるのは数万年後らしい。

異世界から召喚された神楽坂は何もしないで御役御免。

聖達も最大の敵は居なくなったが、邪獣は出て来るので対応は必要だと、魔聖などに知らせるために蹴聖のウサギ師匠と剣聖のイリスが告知に動き出す。

そして現代に帰った優夜の家の上空にUFOが現れた。

そのUFOに乗っていた少女、メルルはユウヤの家に最終兵の設計図があるので返却して欲しいと腕に大砲をらしき物を備えて優夜に要求して来た。

優夜は彼女の言ってる事は判るが他の人達はわからない。

だがオーマが先日イジっていた変な道具が怪しいと思っていたがよくわからない。

そんな問答を繰り広げていたら今度はドラゴニア星人と名乗る連中がメルルに襲いかかり優夜の家は半壊。

メルルは反撃をすると家は余計に壊れてしまい。

キレた優夜が聖王威でドラゴニア星人を撃退した後力尽きて気絶。

そんな優夜を見たオーマとシエルが主となってメルルにメンチを切って優夜の家を修繕させるのだが、、

ドラゴニア星人に宇宙船を壊されてしまったメルルは母星に帰る手段が無くなってしまった。

家を直した力で直らないのかと聞くと、最先端の精密機械は直せないとメルルは言う。

そして、また優夜に同居人が増える事になる。

そしてメルルの宇宙船の動力源の魔力が必要だがS級の魔物の魔石では全く足りないとメルルは言う。
そこでオーマが心当たりがあると言うが、そこで条件を出して来た。

地球の家の外に出たいと言う。

だが外見が翼のあるドラゴンなオーマに難しかったが、、
犬猫用の服を着て外に出る事にする。

そうして登校日の後に朝からお出かけする事になった。

そして、登校日に佳織から妹が海外から帰ってくると知らされる。
しかも、佳織の家には脅迫状も来ておりかなり怪しい状態。

そんな話を聞かされて、翌日にオーマを連れて街中を歩く優夜だったが、、
オーマが子供に触られてまくって翻弄される事以外はトラブルは無く。

ただ佳織の妹、佳澄が搭乗している飛行機がハイジャックされてしまう。
それをニュースで知った優夜はオーマにお願いして、飛行機をオーマの背中に着陸させて。

優夜と一緒にいたメルルが機内に入ってハイジャック犯を昏倒させて制圧してしまう。

そして、メルルにオーマに関する記憶を飛行機に乗っていた人たち全員消して貰うが、、
メルルは優夜と自身の記憶を消しておらず。

妹の佳澄から1人の青年がハイジャック犯を倒したと聞かされた佳織は、変わった髪のお姉さんといた超イケメンのお兄さんと聞いて。

メルルと優夜だと気が付く。

ハイジャック犯を倒した優夜はサッサと飛行機を降りて遁走しており青年が何処の誰かわからない状態になってしまった。
後でバレそうだよな、、、

そうして、なんだかんだでオーマの希望を叶えた優夜は大魔境の奥地へ赴くのだが、、
アヴィスの攻撃で大魔境が荒野へと変貌しており。
かなりスムーズに移動出来ていたが、大魔境の魔物グラトニー・ワームが襲って来て優夜とユティ、ナイトで何とか倒す。

そして大魔境の最奥地の大穴の底に星の核があり。
そこの周辺の魔力の結晶をメルルの宇宙船の動力源にする。

その件の大穴を開けたのが賢者さんと言うのが、、
ただ星の核が知りたかったから穴を開けたって、、、

賢者さん、とんでもない人だったのね。。

そして、穴の底に辿り着くと星の守護者が現れて優夜達に襲いかかる。
その守護者もなんとか倒したら。

そうしたらオーマの呼び掛けに現れた星そのもののアルジェーナ。
そのアルジェーナから優夜の祖父、夜之助とアルジェーナが知り合いで、さらに賢者と夜之助が友人だったと知る。
どうやら賢者さんが実験で異世界に行ってしまい。
その先が現代だったらしく。
その賢者さんを助けたのが優夜の祖父、夜之助だったらしい。
その後、元の世界に戻った賢者さんは友人の夜之助を夢といった形で精神体を異世界に連れて来ていたらしい。

そうした新たな事実を知った優夜は星の加護を得て邪の力を使っても暴走しなくなる力を手に入れた。

そんな強力になった優夜の前にドラゴニアせいじんが再度侵攻して来たが、、
苦戦の末、聖と邪の両方の力に目覚めた優夜が撃退。

そして、異世界では神楽坂が優夜と同郷の者であるとバラしてしまい。
それに食い付いた、レクシアとイリスに根掘り葉掘り聞かれてバラしてしまったと優夜に謝るのだが、、

そんな彼等に異星人のメルルが「私たちの星を救ってください」と言う。

今度は異世界じゃ無くて宇宙か、、、

最後までお読み頂きありがとうございます。

アニメイト

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

いせれべ 7巻レビュー
いせれべ 全巻まとめ
いせれべ 9巻レビュー

考察

宝城家への脅迫

宝城家への脅迫事件に関する経緯と顛末について、以下の通り整理する。

脅迫状の到着と宝城家の対応

王星学園の理事長である宝城司の元に、新聞の文字を切り貼りした脅迫状が十通以上届くようになった。
・内容は「危ない目に遭いたくなければ金を用意しろ」「拒めば危害を加える」というものであった。
・司は当初いたずらと考えていたが、執拗な脅迫に加え、海外で企業の社長が裏社会と繋がっていた事件(山野悠馬の件)があったことなどから、背後に大きな組織が絡んでいる可能性を疑い警戒を強めた。
・司は娘の佳織に事情を共有し、彼女の護衛を増やす措置を取った。
・佳織は、以前優夜からもらった、危険を察知すると安全な場所へ転移できる【危機回避の指輪】の存在を思い出しつつ、何事も起こらないことを願っていた。

妹・佳澄の帰国とハイジャック事件の発生

脅迫が続く中、佳織の妹である佳澄が、母親と暮らしている海外から夏休みを利用して日本へ帰国することになった。
・司は危険を理由に帰国を控えるよう伝えていたが、気の強い佳澄は「脅迫状なんかに負けたくない」と帰国を決意し、司も空港に護衛を手配して備えていた。
・しかし、佳澄が乗った日本行きの飛行機は、乗組員などに成りすましていた武装犯たちにハイジャックされてしまった。
・犯人たちは、脅迫状を無視した宝城家に対して、佳澄を人質にして身代金を奪うことを目論んでいた。

優夜による救出と事件の解決

地球でオーマや宇宙人のメルルと共に散歩をしていた優夜は、繁華街の大型ビジョンで流れたニュースにより、宝城家の関係者が乗る飛行機がハイジャックされたことを知った。
・優夜は佳澄を救うため、自らの体を小さくできるアイテムを使った創世竜・オーマの背に乗って雲の上の飛行機まで到達した。
・さらに、メルルの宇宙技術によって機内への入り口を作り出し、優夜は飛行機へ突入した。
・優夜は【魔装】や「聖王威」といった異世界で得た圧倒的な力を解放し、銃を乱射する犯人たちを無傷で制圧して全員を拘束した。

まとめ

結果として、佳澄は無事に解放され、空港で司や佳織との再会を果たした。宝城家を狙った脅迫および誘拐事件は、優夜の迅速な活躍によって無事に解決へと至ったのである。

天山での薬草探索

天山での薬草探索について、以下に解説する。

天山の概要

天山は、【大魔境】ほどではないものの、強力な魔物の生存競争が繰り広げられる危険区域である。しかし、ここでしか採れない多種多様な薬草が群生しているため、危険を顧みず採取に挑む冒険者が後を絶たない。天山で採取できる薬草には、以下のような特筆すべき効果を持つものがある。
・膨大な魔力を得られる
・失った体の一部を再生させる

今回の物語において、天山での薬草探索は「天上優夜への惚れ薬」を目的とした2組のグループによって行われた。目的となったのは、3年に1度しか採取できず、副作用のない理想の惚れ薬の素材となる幻の薬草「ハーラ草」である。

イリスとウサギの探索

『剣聖』イリスと『蹴聖』ウサギは、本来は「邪」が倒されたことを天山に拠点を構える『魔聖』に報告するために訪れていた。しかし、イリスの真の目的は優夜を手に入れるための「惚れ薬」の素材採取であり、彼女は強い競争心を燃やして森を探索していた。

レクシア、ルナ、神楽坂舞の探索

一方、冒険者ギルドで酔った男から「ハーラ草」の情報を聞いたレクシアも、優夜と熱々夫婦になるために採取を決意する。彼女たち一行の行動と状況は以下の通りである。
・地球から召喚された聖女である神楽坂舞に冒険者登録を急がせる
・護衛のルナを伴って天山へ向かう
・森に入った舞は、魔物の魔力が漂う圧迫感に息苦しさを感じる
・ルナのサポートを受けながらC級魔物【チャージ・ボア】を倒し、実戦経験を積む
しかし、探索を続けても肝心のハーラ草は一向に見つからなかった。

遭遇と結末

探索を続けるレクシア一行は、森の中で強い気配を放つイリスとウサギに遭遇する。そこで彼女たちは、以下の衝撃的な事実を知らされることとなる。
・倒すべき敵であった「邪」が優夜たちによってすでに倒されたこと
・優夜が地球という異世界の出身であること

まとめ

レクシアが探していた「ハーラ草」については、イリスがすでに現在の時期に採取できるものをすべて採取し尽くしていたと告げたため、レクシアは薬草を手に入れることができなかった。その後、優夜についての真相を知り、さらに関心を深めた彼女たちは、揃って優夜の住む大魔境の家へと向かうこととなる。

宇宙人の襲来

この事件は、主人公の天上優夜が異世界での激闘を終えて地球で休息しようとした矢先に発生する。地球のみならず宇宙規模のスケールで展開される。

エイメル星人・メルルの来訪と設計図の謎

ある日、優夜の家の空間が歪み、光の柱とともにエイメル星から来た宇宙人の少女「メルル」が突如として降り立つ。
・彼女の目的は、一万年前に祖先が宇宙へ放流した「対天体殲滅兵器」の設計図を回収することであった。
・この設計図は、敵対するドラゴニア星人との星間戦争で敗北の危機にあるエイメル星にとっての最後の希望であり、偶然にも賢者の家の倉庫(優夜の家)に保管されていた。

ドラゴニア星人の最初の襲来

メルルを追って、ドラゴニア星人の部隊が巨大な宇宙船団を率いて地球に襲来する。
・彼らは優夜の家の天井を吹き飛ばし、メルルの宇宙船を破壊して設計図を強奪しようとする。
・家を荒らされ、無関係な街を滅ぼすと豪語するドラゴニア星人に対し、激怒した優夜は「聖王威」を発動して敵の意識を奪い、メルルが最大火力のビームで敵艦隊を殲滅する。
・戦闘後、メルルは高度な宇宙の技術(ナノマシンなど)を用いて壊れた家を修復し、目撃した地球人の記憶やネット上の記録を消去した。

理想の星・地球への本格侵略

しかし、ドラゴニア星人の第三部隊隊長・ドラードは、消えた部隊の痕跡を追って地球へ接近する。
・その際、地球の大気や水質がドラゴニア星人にとって「理想的な環境」であると判明する。
・そのため、彼らは設計図の奪取だけでなく、地球そのものを侵略・征服することを決定した。

亜空間での決戦

ドラゴニア星人の大艦隊は、被害を地球に及ぼさずにエイメル星人を始末するため、優夜たちを地球から「亜空間」へと隔離して総攻撃を仕掛ける。
・敵は使い捨てのクローン兵を数千規模で大量投入して時間稼ぎを行い、旗艦からすべてを消し飛ばす巨大エネルギー砲「轟竜砲」を発射する。
・絶体絶命の危機に対し、優夜は異世界で手に入れたドロップアイテム「暴食の掃除機」を取り出し、規格外の吸引力でエネルギー砲をすべて吸い込むという荒業で防ぎ切る。

異世界組の参戦と決着

自慢の兵器を掃除機に破られ激怒した隊長ドラードが自ら出撃し、優夜たちを追い詰める。
・そこに、優夜の家の留守番をしていた創世竜・オーマの計らいにより、異世界からウサギ師匠(蹴聖)、イリス(剣聖)、レクシア、ルナ、神楽坂舞が援軍として駆けつける。
・異世界の「聖」たちの圧倒的な力によってドラゴニア星人の軍団は次々と倒されていく。
・最終決戦でドラードと対峙した優夜は、星そのものであるアルジェーナから授かった【聖邪開闢】の力(純粋な聖の金色のオーラと、純粋な邪の銀色のオーラ)を覚醒させる。
・この力を乗せた【絶槍】の渾身の一撃がドラードを貫き、ついに撃破する。

まとめ

隊長を失ってパニックに陥ったドラゴニア星人たちは宇宙船で撤退した。亜空間が解除されたことで、地球は無事に救われたのである。

星の核と加護

「星の核」とそこで授けられた「加護」について、以下の通り解説する。

星の核への到達と「星の守護者」

エイメル星人・メルルの宇宙船を動かすための動力源を探すため、優夜たちは創世竜・オーマの案内で【大魔境】の最奥部にある超巨大な穴を訪れる。
・この穴は、かつて賢者が星の核に興味を持ち、人里に影響が出ないよう大魔境の最奥部に開けたものであった。
・オーマの魔法陣でマグマの海が広がる穴の底へ降りると、そこには脈動する超巨大な青白い球体である「星の核」と、その核から溢れ出て結晶化した「エネルギーの結晶」があった。
・エネルギーの結晶を回収しようとした優夜たちの前に、星のエネルギーを奪う者を排除するための「星の守護者(溶岩の巨人)」が現れる。
・優夜はユティやナイトの援護、そしてメルルの解析によるサポートを受け、賢者の武器【世界打ち】で守護者の核を粉砕し撃破した。

星そのもの「アルジェーナ」の意思

守護者との戦闘後、オーマが虚空に呼びかけると、「アルジェーナ」と名乗る柔らかな女性の声が優夜たちの脳裏に直接響き渡る。
・アルジェーナの正体は「今立っている星そのもの」の意思であった。
・アルジェーナはこの星の上で起こる出来事のすべてを把握している。
・世界を守る「聖」の称号を与えているのも彼女であることが明かされた。

星の加護【聖邪開闢】(せいじゃかいびゃく)

アルジェーナは、メルルに宇宙船の動力源となるエネルギーの結晶を譲るとともに、優夜に対しては巨大な球体(星の核)から光を放ち、彼の体へと「星の加護」を与える。これが【聖邪開闢】の力である。
・アルジェーナによれば、星が営みを続けるには正の力(聖)も負の力(邪)も両方必要である。
・しかし、人々は喜びよりも怒りなどの負の感情を強く抱きやすいため、どうしても「邪」の方が強くなってしまう。
・それに対抗するためのシステムが「聖」や聖獣(アカツキなど)であった。

まとめ

この加護を受けた優夜は、自身の中に眠る「聖」と「邪」の力の両方を、一個人としての力ではなく星の力として扱えるようになる。また、単に力が強化されるだけでなく、「邪」の力に取り込まれにくくなり、力を暴走させてしまう危険性がほぼなくなるという重要な効果ももたらされたのである。

いせれべ 7巻レビュー
いせれべ 全巻まとめ
いせれべ 9巻レビュー

展開まとめ

プロローグ

宝城家に届いた脅迫状

王星学園の理事長である宝城司は、執務室で書類を確認しながら仕事をしていた。そこへ秘書が訪れ、その日の手紙を届ける。その中には佳澄からの手紙も含まれていたが、同時に新聞の文字を切り貼りした脅迫状も渡された。

その脅迫状には金銭を用意しなければ危害を加えるという内容が書かれており、すでに十通以上届いていた。司は当初いたずらと考えていたが、回数の多さから無視できない問題だと判断する。さらに海外でも企業の社長が裏社会と繋がっていた事件が起きていることから、背後に大きな組織がいる可能性も考え始めていた。

司は状況を共有するため、娘の佳織を呼び出すことにした。

佳織への事情説明と警戒

司から脅迫状の存在を知らされた佳織は、初めて聞く事実に驚いた。脅迫状には金銭を要求し、拒否すれば危害を加えると書かれていたが、送り主の正体や目的はまったく分からなかった。

司は外出を控えることが最善だと考えたものの現実的ではないため、佳織の護衛を増やして様子を見る方針を伝える。佳織はその指示を受け入れつつ、優夜からもらった危機回避の指輪の存在を思い出していた。この指輪は危険を感じた瞬間、安全な場所へ転移できる力を持つものであった。

ただしその力が人前で発動すれば騒ぎになる可能性があるため、何事も起こらないことを願うしかない状況であった。

佳澄の帰国と家族の思い

重い話の後、司は佳澄から手紙が届いていたことを伝えた。佳澄は佳織の妹であり、母とともに海外で暮らしているため、長期休暇でしか帰国できない存在であった。

手紙によれば、佳澄は夏休みに帰国する予定だった。しかし母は仕事の都合で帰国できないという。佳織は妹と再会できることを喜ぶ一方、現在の状況の中で一人で帰ってくることを心配した。

司も同じ懸念を抱いていたが、佳澄は脅迫状に屈したくないと考えて帰国を決めていた。そのため司は、少しでも安全を確保するため脅迫状の送り主について改めて調査することを決める。宝城家は不穏な状況を抱えながらも、久しぶりの家族との再会を待つことになった。

天山で薬草を探すイリスとウサギ

一方その頃、強力な魔物が生息する厳しい環境である天山では、剣聖イリスと聖の称号を持つウサギが森を移動していた。天山には多くの薬草が群生しており、強力な魔力を得たり身体を再生させるほどの効果を持つものも存在するため、危険を承知で採取に挑む者が後を絶たなかった。

ウサギは邪との争いが自分たち聖ではなく優夜の手によって終結したことに思いを巡らせていた。しかしイリスはその話をほとんど聞いておらず、森に存在する惚れ薬の素材となる薬草を探すことに意識を集中させていた。イリスは優夜を手に入れるため、その薬草をどうしても見つけたいと考えていたのである。

天山には副作用のない理想的な惚れ薬の素材が三年に一度の時期だけ群生する薬草があるとされ、イリスはその情報をもとにこの森に来ていた。周囲には同じ目的で薬草を探す冒険者の姿もあり、イリスは競争心を燃やしていた。

魔聖への報告と二人の移動

イリスたちが天山を訪れた本来の理由は、邪を倒したことを生き残った聖やその弟子たちへ報告することであり、その途中で天山に拠点を置く魔聖にも知らせに向かっていた。ウサギは惚れ薬の事情を知らないまま同行していたが、イリスの落ち着きのない様子に呆れ始める。

ウサギはついに足を止め、薬草探しが目的なら先に済ませるようイリスに告げる。イリスは反発するものの、これから会う魔聖が冗談の通じない人物であることを思い出し、しぶしぶ気持ちを切り替える。

魔聖は天山で薬草や魔法の研究を続けている人物であり、彼らは邪との戦いが終結したという信じがたい報告を伝えなければならなかった。どのような反応が返ってくるのか分からないまま、イリスとウサギはため息をつきつつ再び移動を開始したのであった。

第一章 宇宙人襲来

優夜の家の上空に現れた宇宙船

異世界でイリスたちが動いていた頃、地球では突如として優夜の家の真上に巨大な宇宙船が現れ、大きな騒ぎが起きていた。集まった人々はそれをUFOや撮影ではないかと騒ぎ、警察のヘリコプターまで出動する事態となった。さらに、ドラゴンの紋章を掲げた無数の円盤型宇宙船まで次々に出現し、騒動はいっそう拡大していった。

設計図を巡るメルルの警告とユティの警戒

その頃、優夜は家の中で窮地に立たされていた。異世界で邪との戦いに決着がつき、ようやく落ち着けると思った矢先、エイメル星の宇宙人を名乗るメルルが現れ、優夜の家に大切な兵器の設計図があると告げた。しかも、その設計図にはオーマが何らかの手を加えてしまったらしく、メルルは強く動揺していた。

優夜がメルルを落ち着かせようとした瞬間、メルルは左腕の端末を変形させて砲身のような武器を作り出し、最終警告として設計図を渡すよう迫った。それを見たユティは理由を理解できないまま、優夜が脅されていると判断し、即座に距離を取って弓を構え、メルルを敵とみなして警戒した。

ドラゴニア星人の襲来と家の破壊

ユティとメルルが緊張状態に入った直後、優夜の家の天井が突然吹き飛ばされた。上空には無数の宇宙船が浮かび、そこから光が照射されると、人型の生物たちが降下してきた。彼らはドラゴニア星人であり、ここにエイメル星人の求める設計図があることを把握していた。

ドラゴニア星人は、設計図を渡すようメルルに要求した。メルルが拒否すると、彼らは上空の宇宙船の一つを爆発させ、その破片を優夜の家へ降り注がせた。その結果、メルルの宇宙船も破壊され、メルルは帰還手段を失ったうえで、設計図を渡せば母星まで連れ帰るが、その後で星ごと滅ぼすと脅された。それでもメルルは設計図を渡さないと断言し、戦いが始まった。

メルルの応戦と優夜たちの消火

ドラゴニア星人たちは次々に優夜の家へ突撃し、力ずくで設計図を奪おうとした。これに対しメルルは、この星の人間は無関係だと訴えたが、ドラゴニア星人は地球の生物が滅んでも気に留めないと切り捨てた。そこでメルルは左腕の砲身にエネルギーを集中させ、巨大なビームを放って何人かのドラゴニア星人を消滅させた。

その最中、優夜は降り注いだ宇宙船の破片で家が燃えないよう、水属性魔法で必死に消火を進めた。ナイトたちもそれに協力し、全員で駆け回ったことで、燃え広がる事態は食い止められた。

街を滅ぼそうとする敵と優夜の激怒

戦いが続く中、ドラゴニア星人はメルルをなかなか倒せないことに苛立ち、いっそこの街ごと消し去ると言い出した。メルルはそれを止めようとしたが、ドラゴニア星人は自分たちの星の繁栄のためなら当然だと主張した。

一方で、弓を構えたまま状況を理解できずにいたユティは優夜に声をかけたが、優夜はそれどころではなかった。おじいちゃんの家を荒らされ、この街まで滅ぼすと言われたことで怒りが限界に達し、優夜は空で戦う者たちを睨みつけて激昂した。

聖王威の発動とドラゴニア星人の崩壊

優夜が聖王威を発動すると、その体から黄金の竜のような波動が放たれた。その力は優夜の意思を反映するかのようにドラゴニア星人たちへ襲いかかり、彼らを傷つけることなく次々に意識を失わせていった。

優夜はすでにアヴィスとの戦いで一度聖王威を使っていたため、発動と同時に体力と生命力が激しく削られていった。しかし、思い出の詰まった家を勝手に破壊され、無関係な街の人々まで滅ぼすと口にする相手を許せなかった。オーマはその様子を見て、優夜が初めて邪以外の相手にも聖王威を攻撃として使えるようになったと評した。

次々と仲間が倒れるのを見たドラゴニア星人たちは動揺し、この辺境の星にこのような力を持つ者がいるとは聞いていないと叫びながら撤退を始めた。

メルルの殲滅と優夜の昏倒

逃げ出すドラゴニア星人に対し、メルルは砲身を構えて逃がさないと宣言した。そして今までで最も大きなエネルギーを左腕に集束させ、一気に放った。その一撃は凄まじく、ドラゴニア星人だけでなく、空に浮かぶ宇宙船までもまとめて焼き尽くし、ついには上空にいたすべての敵を消滅させた。

その様子を見届けた優夜は限界に達しており、倒れそうなところをユティに支えられていた。オーマはそんな優夜に、二度その力を使えばどうなるか分かっていたはずだと告げたが、優夜はあいつらがこの街を滅ぼそうとしたのだと途切れ途切れに答えた。するとオーマは今回は自分にも落ち度があるとして、自らの生命力を優夜に分け与えた。温かいものが体内に流れ込むのを感じながら、優夜はそのまま意識を失った。

メルルによる記憶と記録の抹消

優夜が意識を失った後、メルルは空へ向けていた砲身をようやく下ろした。しかし無理をした反動で、しばらくバトルモードが使えなくなったことを自覚した。その後、家の外に集まっていた人々へ目を向けると、非現実的な光景に言葉を失った者や、記録しようとする者たちがいることを確認した。

そこでメルルは、自分や設計図の存在が知られることを防ぐため、端末を操作して特殊な波動を放った。その波動は人々の脳に到達し、宇宙船や宇宙人、そしてメルル自身に関する記憶を消し去った。しかもその影響は地球全域に及び、すでにネット上へ拡散されていた映像や記録までも完全に抹消された。

さらにメルルは、単に情報を消すだけでなく、人々の思考を日常へ戻るよう誘導し、目の前の異変を正しく認識できないようカモフラージュまで施していた。そのため人々は自分がなぜその場にいるのかも曖昧なまま、何事もなかったように日常へ戻っていった。

設計図の回収を急ぐメルルとオーマの追及

記憶と記録の抹消を終えたメルルは、討ち漏らしがなくても再び敵がこの場所を突き止めてくるのは時間の問題だと判断した。そして、もはや穏便に済ませる余裕はないとして、設計図を回収してすぐエイメル星へ戻る決意を固めた。

しかしその直後、メルルは突如として強大な圧力に襲われ、耐えきれず地面へ叩き落とされて膝をついた。そこへオーマが静かに飛来し、その背後にはナイト、アカツキ、シエルの姿もあった。オーマは、設計図を求めていたこと自体には文句はないが、メルルは自分が引き起こした事態を理解しているのかと問いただした。

その言葉でメルルが周囲を見渡すと、そこには瓦礫の山となった優夜の家が広がっていた。ナイトたちも強い圧力をかけながらメルルに迫り、普段温厚なナイトまで唸り声を上げていた。逃げ場を失ったメルルに対し、オーマはこの惨状を招いたのが誰なのかを示したうえで、やるべきことは分かっているはずだと告げた。追い詰められたメルルは、もはや頷くことしかできなかった。

レガル国で過ごす三人と距離の変化

メルルとドラゴニア星人が地球で争っていた頃、異世界ではレガル国に残っていたレクシア、神楽坂舞、ルナが街を歩いていた。レクシアは舞の手を引いて先へ進もうとし、舞はそれに戸惑いながらも付き従っていた。ルナはそんな二人の様子を見て、レクシアは一度こうなると手が付けられないと呆れていた。

やがてレクシアは、舞に対して敬語をやめて普通に接するよう求めた。舞は相手が王女であることから簡単には応じられなかったが、レクシアは舞が口調を変えるまで動こうとしなかった。ルナも、公の場でなければ普通に接してよいと後押ししたため、舞はついに折れ、レクシアとルナを対等に呼ぶことを受け入れた。これによって三人の距離はさらに近づいた。

舞の冒険者登録という提案

舞が口調を改めた後、レクシアは目的地を明かした。それは舞に冒険者登録をさせることであった。レクシアは、舞には聖女としての特別な力があるのだから冒険者になれると考えていた。

舞は魔物退治や護衛などを行う冒険者の説明を受けても、自分に務まるのか不安を隠せなかった。しかしルナは、舞が邪獣と戦うだけでなく、今後訪れるはずの邪との戦いに備えるうえでも、魔物との戦闘経験は役立つと考え、冒険者になることに賛成した。レガル国側も、舞をこの世界の事情で召喚したことから比較的自由を認めており、ルナたちが同行する限り問題はない状況であった。

この時の三人は、優夜たちがすでに邪の究極完全態であるアヴィスを倒していたことをまだ知らず、来るべき決戦に備えて動いていた。

冒険者ギルドで知ったハーラ草の存在

三人は目的地である冒険者ギルドに到着した。ギルド内は多くの冒険者で賑わっており、ルナはその人の多さを不思議に思った。すると、酔った男がルナに声をかけ、その理由を教えた。ここから遠くない天山で、三年に一度しか採取できない貴重な薬草ハーラ草が採れる時期であり、多くの冒険者がそれを求めているのだという。

その説明を聞いたレクシアは激しく反応した。ハーラ草は、副作用のない理想の惚れ薬を作るために必要な素材の一つであり、三年に一度しか採取できないうえ、めったに群生しない幻の薬草であった。レクシアはそれを知ると、舞に早く冒険者登録を済ませるよう急かし、今すぐ取りに行こうと決めた。

酔った男は危険区域である天山に女だけで向かうつもりかと横から口を挟んだが、レクシアはうるさいと一蹴した。そして危険だと聞かされてもなお、レクシアは大魔境よりましだと考えていたため、天山行きをまったく諦めなかった。舞が危険性を理由にためらっても、ルナが魔物への対応を引き受けたことで、舞は不安を抱えつつも冒険者登録を済ませることになった。

天山への突入と舞の戦闘参加

冒険者登録を終えた三人は、その日のうちにハーラ草が群生しているという天山の入口までたどり着いた。そこへ着くまでにルナは次々に襲ってくる魔物を処理しており、すでに疲労していた。舞は今日でなければならないのかと尋ねたが、レクシアは今すぐ惚れ薬を作るために必要だとして譲らなかった。

森の中に足を踏み入れると、大魔境を経験しているレクシアとルナには比較的穏やかに感じられたが、舞には魔物の魔力が漂う圧迫感が強く感じられ、息苦しさを覚えた。そんな中、ルナが異変を察知して足を止めると、茂みから牙を持つチャージ・ボアが飛び出してきた。

ルナはその動きを封じ、舞に攻撃を任せた。舞はこの世界に来た当初、邪獣にすら攻撃することをためらっていたが、邪の被害に遭う人々を見て、自分が戦わなければならないと考えるようになっていた。そのため、ルナの援護を受けながら剣を振り下ろし、レクシアの小さな援護も加わって、ついにチャージ・ボアを倒した。戦闘後、舞は武器を使う戦いにはまだ慣れないと感じつつも、自分が頑張ればこの世界の人々を救えるのだと改めて覚悟を固めていた。

優夜への想いとハーラ草探しの長期化

チャージ・ボアを倒した後も、三人はハーラ草を探して森を進んだ。探索の途中、レクシアは舞に、同じ世界の人間である優夜がどのような人物なのかを尋ねた。しかし舞は神社で一度会った程度であり、詳しいことは知らなかった。

それでもレクシアは、ミステリアスなところもよいと受け取り、ますます優夜への想いを強めた。そして惚れ薬を作るためにも、何としてもハーラ草を見つけなければならないと意気込んだ。だが薬草はなかなか見つからず、時間だけが過ぎていった。

レクシアが惚れ薬さえあれば優夜とあんなことやこんなこともできると熱弁すると、ルナは一度は否定しながらも、すぐに探す気になった。こうして三人は目的の薬草を求めて探索を続けた。

イリスとウサギの登場

探索の最中、ルナは強い気配を感じ取り、それがレクシアへ近づいていることを察知して警告した。やがてその正体が姿を現すと、それは剣聖イリスと蹴聖であるウサギであった。

レクシアは、なぜ二人がここにいるのかと驚きながら尋ねた。するとウサギは、ちょうどよいからお前たちにも伝えておく必要があると言い、特に舞へ向けて、お前の役目は終わったと告げた。突然そう言われた舞には意味が分からず、イリスが代わりに説明することになった。

舞は異世界から召喚された聖女であり、その役目は邪を倒すためのものであった。しかし、その邪はすでに倒されて存在しないのだと、イリスは明かした。

邪の消滅と優夜の功績の発覚

イリスの説明を聞いた舞は呆然とし、アヴィスの強さを知っているレクシアたちも信じられない様子を見せた。レクシアは、あの恐ろしい存在を誰が倒したのかと問い、最初はイリスたちが倒したのではないかと考えた。

しかしイリスは、邪を倒したのは優夜であり、正確には優夜の家族だと答えた。そして現場を直接見ていた自分とウサギの口から、優夜がいつの間にか新たに家族にしていた青い鳥と、ナイト、アカツキの三匹で邪を倒していたことが語られた。これを聞いたレクシアたちは衝撃を受けたが、ウサギまでもが本当に馬鹿げた話だと認めたことで、それが事実だと理解した。

その中でレクシアは、やはり優夜はこの世界の人間とは違うのだと改めて感嘆したが、舞は地球人全員があのような存在だと思われては困るとして、優夜が同じ地球出身であるものの、決して普通ではないと強く否定した。

優夜の出自とイリスの決断

イリスとウサギが興味を示したため、舞は優夜が自分と同じ地球出身であり、この世界と地球を行き来する力を持っていることを説明した。これによりイリスは、優夜がこの世界の住人ではなかったことを知って混乱した。だが同時に、優夜が二つの世界を行き来できるのならば、最後にどちらの世界に留まるのかという不安も抱くようになった。

その考えを巡らせた末、イリスは突然、今から優夜の家へ話を聞きに行くと決めた。レクシアもまた優夜に聞きたいことがあるとして同行を希望した。ルナは、大魔境へ向かうのにオーウェンたちがいない状況を心配したが、イリスたちがいるなら安全だと認めざるを得なかった。

ハーラ草の行方と優夜の家への出発

ここでウサギは、魔聖へ邪の件を伝えるという本来の目的や、イリスがここで何かを探していたことを思い出させようとした。するとイリスは、邪がすでにいない以上、その報告は急ぐ必要がないと切り捨て、しかも探していた物はすべて手に入ったと明かした。

イリスが腰の鞄から取り出した草を見て、レクシアはそれが自分の求めていたハーラ草だと気づいた。イリスは、今の時期に採取できる分はすべて自分が採り尽くしたと告げ、レクシアに諦めるよう言った。レクシアは悔しがったが、大魔境へ連れて行ってもらえなくなることを避けるため、それ以上は言えなかった。

その後、イリスは改めて優夜の家へ向かうことを宣言し、ウサギもあとでどうなっても自分は手伝わないと言いつつ、優夜のことが気になるため同行することになった。こうして一行は、優夜の家へ向かって動き始めたのであった。

第二章 それぞれの思惑

母艦で連絡途絶を問題視するドラコ三世

その頃、宇宙では竜のような形をした巨大な宇宙船が漂っていた。その船は、メルルを襲ったドラゴニア星人の母艦であった。艦内では、一人のドラゴニア星人が定時連絡の時間になっても報告が来ないことに不機嫌さをあらわにしていた。

その人物は他のドラゴニア星人とは異なる豪華な衣装をまとい、王のような威厳を漂わせていた。彼こそがドラゴニア星人を束ねる支配者、ドラコ三世であった。集められていた歴戦の戦士たちは、誰一人としてその問いにすぐ答えることができなかった。

ドラコ三世の圧力と第三部隊への追及

ドラコ三世は、宇宙ではわずかな連絡の遅れが死につながる事態を招くと常々告げてきたはずだと述べ、答えを求めた。その瞬間、場にいたドラゴニア星人たちは凄まじい圧力に襲われ、立っていられず跪いた。

ドラコ三世は、今回連絡が途絶えたのが第三部隊直属の小隊であったことを確認し、その理由を問いただした。視線を向けられた第三部隊の隊長ドラードは、自分たちも状況を把握できていないと答えた。彼らは連絡が来ないことを不審に思い、さまざまな方法で通信を試みたが、応答がないのではなく、そもそも通信自体が繋がらなかったのであった。

地球と設計図の存在の判明

ドラードの説明を受けたドラコ三世は、圧力を弱めながら、それはドラゴニアの兵士がやられたということかと確認した。さらに、兵士たちがどこへ向かっていたのかを問い、ドラードは第983宇宙の地球という辺境の星であると答えた。

その理由は、エイメル星人が開発した兵器の設計図らしき電磁波をその星で感知したからであった。ドラコ三世は、忌々しいエイメル星人の殲滅兵器に関する話だと理解し、それならば設計図はきちんと回収できたのかと問うた。しかしドラードは、そこから連絡が途絶えたため、それも確認できていないと答えるしかなかった。

可能性を見逃さないドラコ三世の判断

ドラコ三世は、辺境の星に自分たちへ対抗できる存在がいる可能性を示されたことに不快感を示した。ドラードはあくまで可能性の話であり、ドラゴニアの兵より優れた者などいるはずがないと述べたが、ドラコ三世はその考えを退けた。

ドラコ三世は、自分たちが最強であり続けるためには、どれほど小さな可能性でも見逃してはならず、油断してはならないと命じた。こうして、地球に何らかの異変が起きている可能性を、正式に警戒すべき対象として扱うことになった。

地球調査と征服の命令

そのうえでドラコ三世はドラードに対し、地球へ赴いて消えた部隊の痕跡を探るよう命じた。さらに、その星が多少なりとも利用価値を持つのであれば、征服しても構わないと許可を与えた。ただし、復興に手間がかかるのを避けるため、攻撃で星を破壊しすぎないよう釘を刺した。

ドラードはその命令を受け入れ、その場を下がるとすぐ部下たちを呼び寄せた。そして王から許可が出たこと、久しぶりの侵略であることを告げ、出発の準備が整っていることを確認した。ドラコ三世の前では萎縮していたドラードであったが、本来は宇宙屈指の実力者であり、その顔には獰猛な笑みが浮かんでいた。部下たちもそれに応じて笑みを見せ、新たな動きが始まったのであった。

第三章 オーマの願い

優夜の目覚めと修復された家

優夜が目を覚ますと、そばにはユティとナイトたちがいた。体を起こそうとしても力が入らなかったが、近くで寝ていたオーマが、聖王威で消費した生命力は戻ったものの体力は消耗したままだと説明し、しばらく休むよう告げた。

そこで優夜は、ドラゴニア星人との戦いで家の天井が吹き飛んだことを思い出し、慌てて周囲を見回した。だが目の前には、何事もなかったかのように元通りになった、いつもの家があった。優夜が困惑していると、オーマは家の修復はそこの小娘にやらせたと告げ、その視線の先には正座したメルルがいた。

メルルの謝罪と家の復元

メルルは優夜に対し、自分の目的を急ぐあまり大切なものを傷つけてしまったと謝罪し、詫びとして自分の持つナノマシンで家を完璧に復元したと説明した。突然の土下座に優夜は慌てたが、家を元に戻してもらったならもう気にしないと伝え、メルルに顔を上げるよう促した。

その後、優夜は改めて自分の名を名乗り、ナイト、アカツキ、シエル、オーマ、ユティを家族として紹介した。ユティは言葉の内容こそ分からなかったが、自分が紹介されていると察して頭を下げた。メルルは優夜やユティには普通に応じた一方で、ナイトたちを見ると怯えたように体を強張らせていた。

帰還手段を失ったメルルの事情

優夜が設計図をすぐ渡せると申し出ると、メルルは設計図を受け取ってもエイメル星へ帰れなくなったと明かした。ドラゴニア星人の攻撃によって宇宙船が破壊され、外装はナノマシンで修復できても、エンジン破壊の際に燃料エネルギーが流出して消えてしまったためであった。

優夜は仲間への連絡手段を尋ねたが、メルルは先ほどの戦闘で端末を酷使しすぎたため、この星一つの情報操作はできても、宇宙を越えて通信することはできなくなったと答えた。さらに地球には宇宙船の動力として使える魔力が存在しないため、状況は本格的に行き詰まっていた。

異世界で求める素材を探す方針

優夜は自分に魔力があることから助けになれないかと考えたが、メルルは必要なのは魔力そのものだけではなく、それを貯蓄できる装置であり、そのための物質が地球には存在しないと説明した。二人が行き詰まっていると、オーマが地球にないのであれば異世界へ取りに行けばよいと口を開いた。

優夜はその言葉に気づかされ、異世界にある魔石なら使えるかもしれないと考えた。すぐにメルルを異世界への扉のある物置部屋まで案内すると、メルルはその場所に満ちる異常な力に圧倒され、個人どころか一つの惑星や宇宙が放つ量を超えていると驚愕した。さらに異世界への扉そのものも、材質も動力源も不明で理解を超えた存在だと認識し、その部屋に渦巻く力をエネルギー換算すると、軽く数万の宇宙が消し飛ぶほどだとまで告げた。

設計図の回収と魔石の不足

優夜は倉庫の奥から設計図と思われる立方体の物体を取り出してメルルへ渡した。メルルは、これほどの力が渦巻く場所に雑に保管されていたため、詳細な場所を特定できなかったのだと納得した。

さらに優夜は、異世界の魔物を倒した際に得られる魔石が魔力の塊ではないかと考え、アイテムボックスからS級の魔物由来と思われる魔石を一つ取り出して見せた。メルルは端末で調べたうえで、確かに魔力は含まれているものの、燃料として使うには全然足りないと判断した。優夜は解決の糸口が見えたと思ったところで再び壁にぶつかり、より高位の魔物の存在を思い浮かべながらも、自分にはそれ以上の魔石がないことを痛感した。

オーマが示した新たな目的地

魔石が足りないと判明しても、オーマは動じることなく、ならば別のものを取りに行くしかないと告げた。ユウヤやユティがその意味を理解できずにいると、オーマはSS級やEX級の魔物を狙うつもりはなく、自分の知る確実に手に入るものがあると説明した。ただし、その場所は少々面倒であり、優夜の修行にもなると付け加えた。

優夜は、アヴィスを倒したあともまだ修行が続くことに嫌な予感を覚えた。オーマは、本来なら教えることはない場所だが主のためだから特別に教えると言い、そこは賢者以外に行き来した者も、たどり着ける実力を持つ者もいなかった場所だと語った。優夜は不安を募らせたが、オーマはそこへ行かなければメルルが故郷の星へ帰れないと指摘し、優夜は反論しきれなかった。

登校日の都合とオーマの交渉

メルルの宇宙船を動かすためのエネルギー体がある場所へは、すぐにでも行きたいところであったが、翌日は夏休み中の登校日であり、提出する宿題もあったため、優夜は学校を休めなかった。宿題自体はすでに終えていたが、登校日が終わってからオーマに案内してもらうことになった。

その流れの中で、オーマは自分には何の得もないから、もしメルルのためにエネルギー体が欲しいのであれば、自分の願いを一つ聞けと持ちかけた。そしてその願いとして、地球の家の外へ自分を連れて行けと要求した。予想外の望みに優夜たちは固まったが、オーマはナイトたちやユティ、メルルばかりが地球を満喫できて、自分だけ家で留守番なのはずるいと子どものように駄々をこね始めた。

オーマの外出希望と見た目の問題

オーマは、自分だけが家の中で寝て過ごす毎日では以前と何も変わらないと不満を述べた。優夜も本心ではオーマに地球を見て回ってほしいと思っていたが、オーマの見た目はどう見てもドラゴンであり、そのまま外を歩かせるわけにはいかなかった。

優夜が一番の問題は翼を含めた見た目だと説明すると、オーマは創世竜なのだからドラゴンで当然だと返した。優夜は、翼さえ隠せれば誤魔化せるかもしれないと考えつき、準備のため外へ出た。そして向かったのは、以前ナイトの首輪を買ったペットショップであった。

ペット用の服を着せられるオーマ

三十分後、優夜はオーマの姿を誤魔化すためのものを買って戻った。それはペット用の小さな服であった。優夜は、これなら翼を隠せるはずだと考えて差し出したが、オーマはなぜ自分がこんなものを着なければならないのか、それもペット用とは何事かと激しく反発した。

しかし優夜は、堂々と地球を歩きたいのであればこれ以外に案がないと説得した。姿隠しの外套や鞄に入って運ぶ方法もあるが、それでは好きに楽しめないと指摘すると、オーマは悩みながらも受け入れざるを得なかった。優夜は暴れるオーマを抱えて無理やり服を着せ、ピンク色で背中にハートマークのあるパーカー姿にした。オーマは創世竜たる自分がこのような格好になるとはと屈辱を訴えたが、優夜は似合っていると感じていた。一方でナイトとユティは困惑し、アカツキは笑い、シエルは好意的な反応を見せた。

外出の条件とメルルの協力

服を着せられたオーマは、この格好なら地球を出歩けるのかと確認した。優夜は、見た目の問題はそれで何とかなるかもしれないが、外で喋らないこと、魔法を使わないこと、暴れないこと、空を飛ばないことなど、いくつか注意点があると伝えた。するとオーマは、それで駄目だと言われるなら、エネルギー体のある場所へ案内しないとまで言い出した。

そのやり取りを見ていたメルルは、自分のために案内してもらうのであれば、本来多用すべきではないが、もし地球でオーマの正体が露見した時は、自分の端末で地球上の記録をすべて消すと申し出た。優夜はその技術の凄さに改めて驚きつつも、その協力によってオーマの散歩がより安全になると考えた。

地球への外出計画と最初の買い出し

こうしてオーマと出かけること自体は決まったが、今すぐ実行することはできなかった。翌日は登校日であり準備も必要であったうえ、せっかくなら朝から出かけたいと考えたからである。ひとまずその日は夕食の用意をすることになり、オーマがカレーを食べたいと言い出したため、材料の買い出しに行く話になった。

その際、メルルも地球に興味を示したため、オーマより一足先に、メルルが地球の家の外を歩くことになった。オーマはその時も駄々をこねたが、スーパーへ連れていくのは難しかったため、今回は家で留守番をすることになった。

メルルの外見が周囲の注目を集める

天上優夜とともに外出したメルルは、地球人とは明らかに異なる姿をしていた。特に光る髪は夜の街では目立ち、多くの通行人から視線を向けられていた。優夜はその様子を気にして目立っているのではないかと尋ねたが、メルルはどこが目立つのか理解していない様子であった。

優夜が髪が光っていることを指摘すると、メルルはそれはエイメル星では普通の現象だと説明した。逆に地球人が光っていない理由を尋ねられ、優夜は答えられず戸惑うことになった。

佳織との遭遇と護衛の存在

スーパーへ向かう途中、優夜は佳織と出会った。佳織の周囲には物々しい雰囲気を纏った女性たちが付き従っており、優夜が理由を尋ねると、父が最近は物騒だからと護衛を増やしたと説明した。

佳織はその話題に一瞬暗い表情を見せたものの、すぐに曖昧な笑みで話を続けた。さらに佳織はメルルの存在に気づき、その女性がこの世界の人間ではないのではないかと察した。優夜は苦笑いしながら、メルルは地球人でも異世界の人間でもなく宇宙人であると説明した。予想外の答えに佳織は驚いたが、優夜は買い物を急ぐため挨拶をしてその場を後にした。

その後、佳織は優夜の交友関係が宇宙まで広がったことに驚きつつ呟いたが、その言葉は優夜には届かなかった。護衛の女性から脅迫状の件もあるため戻るよう促されると、佳織は用事が済んだことを理由に帰ることを決め、妹の佳澄の無事を案じていた。

カレーを囲む食事とメルルの反応

買い物を終えて帰宅した後、天上優夜はカレーを作り、メルルやユティ、オーマたちと食事を共にした。メルルは料理を口にすると非常に美味しいと感想を述べ、地球は辺境の星でありながら素晴らしい場所だと評価した。

ユティも言葉が分からなくても美味しいことは理解できると伝え、オーマもこの世界の料理は刺激的だと述べておかわりを求めた。優夜はその様子を見ながら、今日の出来事を振り返っていた。

メルルの滞在と生活の確認

異世界へ行くのは明後日になったため、メルルの滞在について考える必要があった。本来であれば宇宙船で生活できたはずだったが、ドラゴニア星人の攻撃によってエンジンが壊れ、機能が使えなくなったため、故郷へ帰るまで優夜の家で過ごすことになった。

優夜の家は一人暮らしには広く部屋も余っていたため、滞在自体に問題はなかった。優夜は食事や睡眠の習慣が地球人と違うのではないかと心配していたが、メルルは普通に食事をとることができ、睡眠も布団で行う習慣があると分かった。そのため、ドロップアイテムの極楽布団を使えば問題なく眠れると考えられた。

宇宙の食事事情と地球の料理

食事をしながら優夜は、メルルが普段どのようなものを食べているのか尋ねた。メルルは、この星で例えるならブロック状の栄養食品やサプリメントに近いものを食べていると説明した。

それらは味よりも栄養素やカロリーを満たすことを目的とした食事であり、必要な栄養はすべてそれで補えるという。優夜は宇宙の食事に少し期待していたものの、その説明を聞いて少し残念に感じた。

科学技術が進歩した結果、食事は栄養補給の効率を重視した形へ変化しているのだと考えつつ、優夜はメルルに遠慮せずカレーを食べるよう勧めた。メルルは嬉しそうに食事を続け、優夜は日本の食品の美味しさを改めて実感していた。

第四章 はじめての散歩

登校日に集まった友人たちとの再会

翌日、天上優夜が登校日のため王星学園へ向かうと、友人たちはいつも通り元気に挨拶を交わした。席に着いた優夜のもとには亮と慎吾がやって来て、それぞれ夏休みの過ごし方を話した。亮は祖母の家や親戚の集まりに顔を出していたと語り、慎吾はゲーム部の活動や夏アニメを楽しんでいたと話した。

そこへ楓、凜、雪音も加わり、優夜の席の周囲は賑やかになった。優夜は、以前の自分にはなかった、学校で誰かと近況を語り合う時間の楽しさを改めて感じていた。一方で、邪との戦いが終わって平和に過ごせるかと思えば、今度は宇宙の騒動に巻き込まれている現状も思い返していた。

佳織との会話と誤解の広がり

その場に佳織も顔を出し、皆に挨拶をしたあと、こっそり優夜にメルルのことを尋ねた。優夜は、メルルはまだ自宅におり、宇宙船が直るまでは自分の家で寝泊まりすることになると説明したうえで、オーマが宇宙船の燃料になりそうなものの在り処を知っているため、解決まであと少しだろうと話した。

しかし二人がこそこそ話している様子に楓たちが気づき、凜が内緒で付き合っているのではないかとからかうと、楓はそれを真に受けて動揺した。優夜と佳織は慌てて否定し、優夜はただ知り合いが家に泊まっていて、そのことを話していただけだと説明した。楓はそれを聞いて強く安堵したが、今度は雪音がその泊まっている相手は誰なのかと問い、再び話題が膨らんだ。

ユティの話題と佳織の妹の帰国

優夜はうまく誤魔化せず、一時的にユティのような形で家にいる相手だと説明した。すると亮や慎吾は、ユティが転校初日から中等部で話題になり、今では高等部でも人気があることを教えた。優夜はそのことを知らず驚いたが、皆に受け入れられていると知って安心した。

話題を変えるために優夜が皆の近況を尋ねると、佳織は明日、海外にいる妹が帰ってくることを嬉しそうに明かした。母が海外で働いているため、妹はそのもとで学校に通っているのだという。楓たちはその家庭環境に感心したが、佳織は父や母ほどではないと謙遜しつつ、海外で頑張る妹に姉として負けていられないと語った。

脅迫状の存在と佳織の不安

妹の帰国を喜んでいた佳織であったが、すぐに表情を曇らせた。そして最近、父宛に脅迫状が何枚も届いており、金を払わなければ娘の命はないと書かれていたことを明かした。そのため、最近は護衛の数も増やしているのだという。

佳織は、本当なら妹には帰ってきてほしくないが、妹自身が脅迫に負けたくないと考えて帰国を決めていると話した。空港には父が護衛を用意しているため、到着までは大丈夫だと思うとしつつも、不安を隠せない様子であった。それでも妹に会えること自体は本当に楽しみにしており、皆がそれぞれの近況を話し終えたころ、ホームルームの時間が近づいたため、それぞれ席へ戻っていった。

オーマとの散歩の始まり

登校日の翌日、約束通り天上優夜は朝からオーマと一緒に地球の外出をすることになった。ナイトたちも含めて全員で出かける案もあったが、今回はオーマが地球を堪能できるようにと、ほかの面々は家で留守番をすることになった。ユティは友人と遊ぶ約束があり、メルルは地球の観察をしたいと望んだため、外出するのは優夜、オーマ、メルルの三人となった。

出発前、優夜はオーマに外では喋ってはいけないと念を押した。するとオーマは、口を使わずとも会話できるよう、優夜とメルルに脳内で直接語りかける魔法をかけた。優夜はそれなら会話できると納得したが、自分たちまで黙ったまま歩いていたら周囲に不自然に見えると気づき、オーマと話す時だけ脳内で会話することにした。

メルルの服装変更と宇宙技術への驚き

外へ出ると、優夜はやはりメルルの服装が目立つことを気にした。優夜が服を変えられないかと頼むと、メルルは自分の装備は宇宙でも最新鋭だと述べつつも、周囲の衣服のデータを収集して対応することにした。

メルルが腕の端末を操作すると、服が光り出し、見ていた人々の記憶は削除すると平然と言った。優夜はその技術に恐怖を覚えたが、やがてメルルの服は普通の女性が着ていそうな衣服へと変化した。メルルは地球のネットワークから情報を集め、ナノマシンがその情報通りに服装を変えたのだと説明したうえで、記憶操作技術に悪影響はないと補足した。優夜はその説明を受けて安堵しつつも、宇宙の技術力の高さに改めて圧倒されていた。

地球と宇宙の文明や災害の違い

服装の問題がひとまず片付くと、オーマは待ちきれない様子で先へ進み始めた。周囲の景色を見ながら、オーマは地球の建築様式や服装が異世界とは違うことに興味を示した。優夜は、日本では地震が多いため耐震性の高い建物が多いと説明したが、オーマには地震という概念がなく、初めて知る災害として受け止めていた。メルルもまた、地球特有の災害として興味を示した。

その流れでメルルは、自分たちの星では星嵐と呼ばれる災害が定期的に起こると説明した。それは宇宙に漂う小惑星が螺旋状に高速回転しながら通り過ぎる災害であり、優夜はその規模の大きさに戦慄した。さらに道路を走る自動車を見たオーマが、魔力を感じない動力に驚くと、優夜はガソリンという燃料を使っていると説明した。メルルはそれを原始的なエネルギー資源と評し、自分たちの文明では星の光や魔力の利用が主流だと語った。

オーマが地球を面白いと感じた理由

天上優夜は、そこまで文明が進んだ星や宇宙船よりも、なぜオーマが地球に興味を持つのか不思議に思い、そのことを脳内で尋ねた。するとオーマは、メルルの星の文明は自分の想像が追いつかないほど発達しており、その技術は神の領域に近いと評した。実際、メルルは自分たちの星には病死という概念がなく、地球人の寿命も千年は延ばせると語った。

それに対してオーマは、そこまでいくともはや面白みがないと感じていた。一方で地球の文明は、自分の想像がちょうど追いつく程度であり、一つ一つの物がとても面白いのだと説明した。優夜には完全には理解できなかったが、地球の不便さや原始性こそが、二人にとっては興味深いものになっているのだと感じていた。

周囲の視線とオーマの反応

散歩を続ける中で、やはりオーマの姿は人々の目を引いた。通行人たちは、雑誌に出ていた人物ではないかと優夜に気づく者もいれば、オーマをオオトカゲのような珍しいペットだと受け取る者もいた。優夜は、それならばまだ受け入れやすい反応だと感じ、嫌悪感を向けられていないことに安堵した。

しかしその中の一人が、街中にペットを連れてくるなと不快そうに呟くと、オーマは即座に目つきを鋭くし、その相手へ圧力をかけようとした。優夜は慌てて、今はトカゲという設定なのだからここで暴れては駄目だと脳内で必死に止めた。オーマは不満を見せながらも、今回だけは我慢すると応じたが、先ほど発言した男性は少しだけ間に合わなかった圧力のせいで顔を青くし、足早に立ち去っていった。

子供たちとのふれあい

その後も視線を集めながら歩いていると、散歩中の保育園児たちがオーマに気づき、トカゲだと声を上げながら集まってきた。子供たちは恐れることなく、かっこいい、大きいと口々に言いながらオーマを囲んだ。先生は申し訳なさそうに謝ったが、優夜は問題ないと答えた。

やがて子供たちは触ってもよいかと尋ね、優夜は脳内でオーマに許可を求めた。最初は渋ったオーマも、目を輝かせて期待する子供たちの視線に押され、ほどほどならよいと折れた。優夜が先生に伝えると、子供たちは順番に優しく触り始めた。体の感触に驚いたり、恐竜みたいだと喜んだりする子供たちに対し、オーマは尾や角を乱暴に触られて慌てつつも、強く拒むことはしなかった。

ひとしきり触れて満足した子供たちは笑顔で別れの挨拶をし、先生も何度も礼を述べた。子供たちと別れた後、オーマはぐったりと寝そべり、子供たちは恐れを知らないと漏らした。しかし同時に、無駄に年を重ねた醜い人間と違い、子供は純粋でよいとも認めた。少し休んだあと、オーマは気を取り直して再び歩き始め、優夜とメルルもその後を追っていった。

散歩の途中で続いた注目と記憶の処理

保育園の子供たちと別れた後も、オーマに声をかける人は多かった。中には爬虫類に詳しい者もおり、明らかに地球の生き物ではないオーマに熱心に質問を重ねる者もいたが、そうした相手にはメルルの端末でオーマに関する記憶を消して対応した。放置すれば新種発見などと騒ぎになりかねなかったため、優夜にとっては助かる対応であった。

カフェでの休憩とケーキの時間

その後、優夜たちは近くのカフェで休憩を取った。オーマがケーキを欲しがったため、優夜はケーキを買って目の前に置いたが、さすがに食べている姿を見せるのは問題があると考え、この時だけはオーマに姿隠しの外套を着せた。周囲からは、地面に置かれたケーキが勝手に消えていくように見える状態であった。

姿を隠さなければならないことに不満を漏らしつつも、オーマはケーキを美味しそうに食べた。メルルもまた、その味を高く評価しつつ、栄養補給という観点では非効率で、食べすぎれば健康を害しそうだと分析した。優夜は二人が喜んでいる様子を見て安堵した。

人の多い場所を望んだオーマ

休憩中、優夜がこの後どこへ行きたいか尋ねると、オーマは人間が多く集まる場所がよいと答えた。優夜は、人混みを嫌いそうな印象と異なる返答に驚いたが、オーマは騒がしい場所が好きなのではなく、この世界で人が多く集まる場所には、また何か楽しいものがあると考えたからだと説明した。

優夜はその考えに納得し、本人の望み通り人の多い場所へ向かうことにした。本来であれば遊園地や動物園、水族館なども候補にできたが、家からは遠く、園内でオーマを連れて回れるかも分からなかったため、今回は繁華街へ向かうことになった。

繁華街で驚いた地球の賑わい

繁華街へ着くと、オーマは人の多さに驚き、祭りでもやっているのかと尋ねた。優夜が毎日こんな感じだと答えると、オーマはさらに驚き、なぜこれほど人が多いのか理解できない様子であった。

その中でオーマが興味を示したのは、ビルの壁に埋め込まれた大型ビジョンであった。優夜はそれを大型ビジョンだと説明し、オーマは地球にそのようなものがあるのかと感心した。するとメルルは、もう少し技術が進歩すればホログラムになると補足したが、オーマは楽しんでいる最中に水を差すなと不機嫌になったため、メルルは気まずそうに視線を逸らした。

大型ビジョンのニュースと宝城家への危機

その後、オーマはビジョンで繰り返し流れていたハイジャックという言葉の意味を優夜に尋ねた。優夜が視線を向けると、そこでは日本に向かう飛行機の一機がハイジャックされたという緊急速報が流れていた。さらに、その飛行機には宝城家の関係者が搭乗しており、犯人が宝城家に身代金を要求していることも報じられていた。

優夜はその内容を聞き、今日帰国するはずだった佳織の妹が乗っている可能性に気づいて青ざめた。オーマにハイジャックとは飛行機を犯罪者が乗っ取ることだと説明したうえで、その飛行機に佳織の家族が乗っているらしいと告げると、何をぐだぐだ考えているのだ、行けばよいではないかと返された。優夜がどうやって空に行くのかと戸惑うと、オーマはここに誰がいると思っているのかと笑い、地球の空を堪能しようではないかと告げた。

飛行機内で脅される佳澄

一方その頃、飛行機の中では宝城佳澄がハイジャック犯の一人を睨みつけていた。佳澄は佳織とは対照的に活発な印象を持つ少女であったが、目の前の犯人たちは目出し帽を被り、銃で武装していた。犯人は、宝城家に脅迫状を送っても無視されたため、佳澄を誘拐して身代金を得るつもりだと語った。

佳澄は簡単にいくわけがないと反発したが、犯人たちは金を受け取ったあとに返すとは言っていないと話し、佳澄を好きにしていいと口にする者まで現れた。佳澄は恐怖で身を硬くしながらも、父や姉に会いたくて帰国を決めたことを思い返し、助けが来ることを祈り続けた。

窓の外に現れた優夜とメルル

極限状態の中で佳澄が窓の外を見ると、そこには飛行機に並ぶように立つ青年と女性の姿があった。佳澄は空の上で人が立っているという状況に混乱したが、その青年が苦笑しながら手を振ってきたため、つられて手を振り返した。

その直後、飛行機は大きく揺れた。操縦席から来た犯人が、操縦が利かないうえに飛行機が着陸したようにその場から動かないと報告すると、犯人たちは慌てて窓際へ集まり、暗い紫色の異様な地面のようなものを見て動揺した。さらに、乗客を黙らせに向かった犯人の一人が吹き飛ばされて戻ってきたことで、機内は混乱に包まれた。そこへ佳澄の前に近づいてきたのが、先ほど窓の外にいた優夜であった。

オーマの提案と飛行機への接近

時間を少し遡ると、優夜たちは繁華街から近くの公園へ移動していた。飛行機へ向かう方法として、オーマは本来の大きさに戻り、その背に優夜たちを乗せて飛行機の下まで向かう案を示した。優夜はそれではオーマの存在が露見すると悩んだが、オーマはメルルの機械で人間の記憶を消せるのだから問題ないとした。

さらにオーマは、自分が小さくなっているのは大小変化の丸薬の効果であり、その力で元の姿以上に巨大化することもできるため、飛行機そのものを背に載せられると説明した。風圧で飛行機が吹き飛ばないよう、魔法で固定もできると語り、創世竜としての力を誇った。優夜が感心すると、オーマは満足げに笑った。

巨大化したオーマと空への移動

オーマはペット用の服を脱ぎ、その場でどんどん巨大化していった。周囲の人々は、突然現れた巨大なドラゴンのような存在に驚き、写真や動画を撮り始めたが、メルルが端末で近くにいた者たちの記憶を削除したため、やがて皆は虚ろな様子になっていった。

優夜とメルルがオーマの背に乗ると、オーマは次の瞬間にはすでに雲の上まで到達していた。衝撃もなく一瞬で上昇したことに、優夜もメルルも驚愕した。やがて前方に一機の飛行機が見え、オーマはその真横へと静かに並んだ。優夜が窓の中を確認すると、目出し帽を被り銃を持つ男たちが見えたため、この飛行機で間違いないと判断した。

飛行機を背に載せるオーマと侵入方法の確保

優夜の確認を受けたオーマは、さらに巨大化して島のような姿になると、飛行機の真下へ移動し、その背に飛行機を載せた。続けて束縛魔法を使い、飛行機を背中に固定した。これで飛行機の安全は確保されたが、優夜はここで、どうやって中へ入るのかという問題に気づいた。

単純に扉を壊せば気圧などの影響で乗客が危険にさらされる可能性があったため、優夜は侵入方法に悩んだ。するとメルルが端末を操作し、搭乗口に渦のようなものを出現させた。そこを通れば中に入れると説明されたため、優夜は感謝しながら飛行機の中へ入った。

機内突入と佳澄の救出

機内に入った優夜とメルルは、通路の向こうから現れた犯人の一人を見つけた。犯人が銃を構えながら何かを言いかけた瞬間、優夜は一瞬で距離を詰めて掌底を叩き込み、その男を壁ごと吹き飛ばした。男が突っ込んだ先には、他の犯人たちと一人の少女がいた。その少女こそ佳澄であり、佳澄は窓の外で見た青年だと気づいて優夜を指さした。

犯人たちはすぐに佳澄を引き寄せ、銃を突き付けながら、動けばこの女を撃つと脅した。すると優夜は魔装、邪、聖王威のすべての力を解放し、一瞬で佳澄を人質にしていた男へ接近した。そのまま男を弾き飛ばし、佳澄を抱きかかえて救い出した。佳澄は呆然としていたが、やがて自分が助けられたことに気づき、顔を赤らめながら頷いた。優夜は佳織に雰囲気が似ていると感じ、つい佳織の名前を口にしかけたため、佳澄は姉を知っているのかと驚いたが、優夜はごまかしつつメルルに佳澄を任せた。

犯人たちの乱射と優夜の制圧

人質を失い仲間も倒されたことで、犯人たちは混乱した。首領格の男は計画が失敗した以上、身代金などどうでもよいとして、乗客ごと全員を道連れにしようと命じた。犯人たちはマシンガンのような銃を構え、乗客や機体の損傷も気にせず無差別に乱射を始めた。

しかし、魔装も邪も聖王威も解放した状態の優夜にとって、その銃弾は非常に遅く見えていた。優夜は飛んでくる弾丸をすべて丁寧に回収し、周囲に被害が出ないよう処理した。弾を撃ち尽くした犯人たちは、自分たちの攻撃で乗客も機体も傷ついていないことに青ざめたが、優夜は回収した銃弾をその場に捨てると、次々と犯人たちを昏倒させ、操縦室にいた者も含めて全員の拘束に成功した。

救出後の後始末と予想外の報道

飛行機の安全が確保されると、優夜はすぐにメルルとともにオーマのもとへ戻り、その場を後にした。優夜は、オーマに関する記憶を乗客たちから消してほしいとメルルに頼み、後始末も済ませた。オーマは空の旅を予想以上に楽しんでいたため、そのまま帰宅し、優夜は家で休むことにした。

しかしその後、友人と遊びに行っていたユティが帰宅し、今日飛行機に乗っていたのかと優夜に尋ねた。ニュースでは、ハイジャックされた飛行機をたった一人の青年が解決したと報じられており、皆が大混乱していたという。優夜はここで、メルルが消したのはオーマに関する記憶だけであり、自分やメルルについての記録は消していなかったことに気づいた。すぐに消してほしいと頼んだが、メルルは出来事から時間が経ちすぎると記憶や記録の削除は難しいと説明したため、優夜は衝撃を受けた。とはいえ、優夜の顔をはっきり見た者は犯人たちと佳澄くらいだと考え、大事にならないことを願うしかなかった。

空港での再会と宝城家の安堵

一方、空港へ無事たどり着いた佳澄のもとには、父の司と姉の佳織が駆け寄った。司は佳澄を強く抱きしめ、無事で本当によかったと安堵した。佳澄も心配をかけたことを謝り、ようやく緊張を解いた。

司が、ハイジャック犯を倒した青年のことを尋ねると、佳澄は目を輝かせながら、すごく格好いい青年と変わった髪の女性が突然現れ、その青年が一瞬で犯人を倒したのだと語った。司は現実味のない話に唸るしかなかったが、佳織は変わった髪の女性という言葉から優夜を思い浮かべていた。さらに佳澄が、あのお兄さんにまた会いたいと夢見心地に口にすると、佳織は思わず反応したものの、すぐにごまかして佳澄の無事を喜んだ。佳澄は照れくさそうに笑いながら佳織に抱きつき、ただいまと告げた。こうして、優夜の働きによって宝城家の平穏は守られたのであった。

第五章 星の核

更地となった大魔境の進行

翌朝、朝食を終えた天上優夜たちはすぐに出発し、オーマの先導で荒野を歩いていた。そこは転移先でも別の場所でもなく、家を出てすぐの場所であった。もともと優夜たちの住む場所は大魔境の奥地にあたり、かつては黒堅樹が生い茂り、強力な魔物も多数存在していた。しかしアヴィスとの戦闘によって、賢者の家より奥の森はすべて消し飛び、広大だった大魔境は更地になっていた。

足元から蘇る黒堅樹

歩いている途中、優夜が足裏に違和感を覚えて足を動かした瞬間、それまで足を置いていた地面から樹が天を貫く勢いで生えてきた。驚いて場所を変えても同じ現象が繰り返され、移動する先々で地面を裂くように樹が生え、瞬く間に立派な黒堅樹へと成長していった。

ユティやメルルもこの異常な成長速度に驚いたが、オーマは、大魔境には世界一の魔力が漂っており、そこに育つ植物の生命力も尋常ではないと説明した。黒堅樹たちは邪の攻撃で一度消し飛んだものの、地中に種を残し、少しの刺激で復活できるよう備えていたのであり、優夜たちの足による衝撃がそのきっかけになったのだと明かした。

足元から現れたグラトニー・ワーム

黒堅樹の異常な復活に困惑していると、オーマは魔物もまだ完全にはいなくなっていないと告げた。その直後、優夜たちは足元から強い気配を感じ取り、すぐに飛び退いた。すると先ほどまで立っていた地面を突き破るように、巨大な魔物が飛び出してきた。

それはグラトニー・ワームであった。目のような部分はないものの、人を十数人は簡単に呑み込みそうな巨大な口に、びっしり並んだ牙を持ち、ヌメヌメした巨大なミミズのような外見をしていた。優夜が鑑別を使うと、レベル5、魔力2000、攻撃力100000、防御力5000、俊敏力1000、知力10000、運1000という数値が示され、その攻撃力の高さに優夜は驚愕した。

伝説級の魔物との対峙

メルルは、この星の生物が地球とはまったく異なる遺伝子情報を持つうえ、一生命体がこれほどの力を保有していることに驚いていた。優夜がメルルに戦えるか確認すると、メルルはまだ端末のバトルモードが使えないと答えたため、優夜はアカツキにメルルの護衛を任せた。シエルも前に出ようとしたが、オーマはそれでは優夜の修行にならないとして止めた。

その中でユティは、グラトニー・ワームが伝説の魔物であり、七大罪の一つを冠する存在だと説明した。動きは遅そうだが確実に狙われており、どのような攻撃手段を持つか分からないため、逃げるのは難しいと判断した。オーマも、森が消し飛んで餌がなくなったことで空腹だったのだろうと述べ、倒さなければ食われると告げた。優夜は逃げるのは無理だと悟り、ユティとナイトとともに戦うことを決めた。

全剣の不発と絶槍への切り替え

優夜が全剣を取り出してグラトニー・ワームへ斬りかかると、その武器を見たメルルは驚きを隠せなかった。オーマは、それは賢者が遺した武器だと説明し、メルルはそのような代物を一個人が作ったこと自体が信じられないと反応した。メルルにとって、優夜の持つ武器と優夜の家の物置部屋だけが、端末を使わずともとんでもないと感じられる存在であった。

しかし、その全剣でさえグラトニー・ワームの皮膚には刃が立たず、優夜は斬ることができなかった。オーマは、グラトニー・ワームは魔力こそ少ないからS級扱いだが、実力だけで見れば魔物の中でも最上位クラスであり、伊達に七大罪の名を冠していないと説明した。そして同じような魔物がこの世界にはあと六種類存在すると語り、メルルをさらに驚かせた。

全剣が通じないと分かると、優夜はすぐにそれを収納し、今度は絶槍を取り出した。その武器を見たメルルは、あれほどの力を内包した武器が一つではないことに愕然とし、宇宙規模の常識が通じないと感じて眩暈を覚えた。

優夜の力とメルルの救出

オーマは、すごいのは賢者の武器だけではなく、優夜にも賢者と似た気配があり、その潜在能力は自分にも計り知れないと語った。ちょうどその時、優夜は魔装を展開し、さらに自身の中に眠る邪の力も解放して、グラトニー・ワームを圧倒し始めた。

だが、追い詰められたグラトニー・ワームは最後の足掻きとして巨体を激しくうねらせて暴れ、その余波で打ち出された石礫がメルルの方へ飛んだ。バトルモードが使えず完全に油断していたメルルは避けきれなかったが、その瞬間、優夜が一瞬でメルルのもとへ駆けつけ、その体を抱きかかえて救い出した。優夜は自分の力不足で危険が及んだことを詫びつつ、メルルの無事を確認すると、今度こそ倒すと告げて、メルルを安全な場所へ下ろし再びグラトニー・ワームへ向かっていった。

その光景を前に、メルルは呆然とするしかなかった。オーマは得意げに、これで優夜のすごさが分かっただろうと笑ったが、メルルは何も言えなかった。

グラトニー・ワーム撃破後の疲労と戦果確認

グラトニー・ワームを倒し終えた天上優夜は、その場にしゃがみ込むほど疲弊していた。傷は負っていなかったが、攻撃力十万の相手に一撃も受けられないと意識し続けたことで、精神的な消耗が非常に大きかった。しかも、暴食の名の通り、グラトニー・ワームはあらゆるものを喰らい、それを圧縮して超高速で吐き出すため、近距離でも遠距離でも脅威であった。それほどの強敵を倒したにもかかわらず、優夜のレベルは上がらなかった。

戦闘後、オーマはあれくらいの相手はさっさと倒せと評しつつも、日頃の修行の成果が出ているのも事実だから多少は自分を褒めるべきだと告げた。その一方で、未熟なのは変わらないとも言ったため、優夜はどう受け取ればよいのか分からず困惑した。

ドロップアイテムの確認と暴食の掃除機

優夜は落ちているドロップアイテムを鑑別した。手に入ったのは暴食蠕虫の皮膚、魔石S、そして暴食の掃除機であった。皮膚は常に粘液を分泌しており非常に柔らかく、切断が困難な素材であった。魔石はSランクであり、グラトニー・ワームの強さから考えると意外でもあった。

なかでも優夜の注意を引いたのは暴食の掃除機であった。それは所有者がゴミだと認識したものだけを無制限に吸い込み、それをエネルギーへ変換するコードレス掃除機であった。生体は吸い込めず、非常に軽く、吸引力の変わらないただ一つの掃除機と説明されていた。優夜はその存在感に驚きつつも、掃除が楽になると前向きに受け止め、アイテムボックスへ収納した。

大魔境最奥部に現れた巨大な穴

休憩を終えると、オーマは再び先頭に立って進み始めた。やがて、優夜たちの前に唐突に巨大な穴が現れた。その穴は直径が把握できないほど広く、下を覗き込んでも真っ暗な空間が広がっているだけであった。

オーマは、そこが大魔境の最奥部であり、今回の目的地でもあると説明した。ただし正確には、その穴の奥底が目的地であった。さらにオーマは、この穴は星の核へと繋がる場所だと告げた。優夜にはすぐにイメージが追いつかなかったが、メルルはその意味を理解し、星の心臓と同義である核にこんなむき出しの穴から辿り着けるなどあり得ないと強く動揺した。

穴の成り立ちと賢者の行為

オーマは、本来この場所はむき出しではなく、邪の影響で露出しているだけだと説明した。もともと人が容易に辿り着ける場所ではなく、大魔境の最奥部だからこそ守られていたのである。

さらに優夜が、なぜここに穴が開いているのかと尋ねると、昔、賢者がこの星の核に興味を示し、人里に迷惑をかけないよう大魔境最奥部を選んで、星の中心まで続く穴を開けたのだとオーマは明かした。優夜は、興味本位でそのようなことをした賢者の規格外ぶりに驚くしかなかった。

核そのものではなく溢れた結晶を狙う方針

メルルは、まさか宇宙船の動力に星の核そのものを使うつもりなのかと慌てて問い質した。核を失えば星が滅ぶためである。だがオーマは、さすがにそんなことはしないし、この星自身がそれを許さないだろうと答えた。

オーマの目的は、核そのものではなく、核の周囲に核から溢れ出たエネルギーが結晶化して転がっているはずなので、それを利用することにあった。詳しい仕組みは説明されなかったが、そこにメルルの宇宙船を動かせるだけの素材があることは確かであった。

穴を降りるための魔法陣と保護魔法

優夜は、穴の底へどうやって降りるのか、また星の中心へ向かうなら非常に熱いのではないかと不安を口にした。オーマは、熱については自分の魔法で保護すると述べ、さらに衣類まで含めて保護するから溶岩に浸かっても問題ないと告げた。優夜はさすがに試す気にはなれなかった。

そのうえでオーマは、穴を安全に降りるには正しい手順が必要だと説明した。そして穴の縁に近づくと、膨大な魔力を放ち、穴の上に魔法陣を出現させた。一定量の魔力を注ぎ込むことで、星の中心まで安全に降りられる魔法陣が現れるのだという。優夜たちは青白い光に包まれ、熱や溶岩への耐性と衣類の保護を得たあと、順に魔法陣へ乗り込んだ。

地下への降下と溶岩海の到達

魔法陣はゆっくりと下降を始めた。優夜にはそれがまるでエレベーターのように感じられたが、進む先は真っ暗な闇であり、不気味さもあった。やがて魔法陣自体が青白く光り出し、暗闇の中でも周囲が見えるようになった。

さらに進むと、景色は一変し、明るく光るマグマのようなものが見え始めた。オーマは、もうそろそろだからいつでも戦闘できるよう構えておけと告げた。その直後、優夜たちは最終地点と思われる場所へ到着した。そこは溶岩の海の真っただ中であり、事前の魔法がなければ蒸発していたであろう過酷な環境であった。

エネルギー結晶と星の核の出現

周囲を見渡したメルルは、青白い鉱石の存在に気づき、優夜にも見るよう促した。よく見ると、溶岩の海の先に青白く光る鉱物がいくつも露出していた。メルルは、それがこの星の核からあふれ出したエネルギーが結晶化したものであり、直接核に影響するものではないが、それでも膨大なエネルギーを秘めていると説明した。そして、それを使えば宇宙船は間違いなく動くと断言した。

その直後、オーマはさらに別の方向を見るよう促した。そこには、超巨大な青白い球体が宙に浮き、黄色いラインを脈動させながら回転していた。オーマは、それこそがこの星の核だと告げた。優夜、ユティ、メルルはいずれも、その球体から感じ取れる圧倒的な力に言葉を失った。

採掘直前に現れた星の守護者

目的の結晶が見つかり、優夜が採掘に取りかかろうとした瞬間、周囲が激しく振動し始めた。オーマは、やはりただではくれないかと呟き、今から現れるのは星の守護者だと告げた。

その言葉通り、周囲のマグマが噴き上がり、採掘しようとしていたエネルギー結晶までもが光りながら浮かび上がった。マグマは次第に集束して巨大な塊となり、それらがさらに融合して、ついには周囲のエネルギー結晶も取り込んだ溶岩の巨人へと変貌した。その巨人は、今まで見てきたどの魔物よりも強大な気配を放ち、叫び声だけで星そのものが揺れるような衝撃を生み出した。

守護者の正体と戦闘開始

優夜は、その巨人が一体何なのかと叫んだが、オーマはあっさりと、それがこの星のエネルギーを奪いに来た不届き者を駆除するための星の守護者だと説明した。しかも、それを倒しても星には何の影響もなく、どうせ時間が経てば復活するのだから全力で戦え、さもなくば死ぬぞと告げた。

優夜は、ようやくアヴィスを倒して平穏が戻ったと思っていたのに、なぜまたこんな危険な相手と戦わなければならないのかと嘆いた。それでも、ここで引くことはできず、ユティ、ナイト、シエルに声をかけた。しかしシエルはまたもオーマに止められ、グラトニー・ワーム戦と同様に、優夜、ユティ、ナイトの三人で戦うことになった。

初撃の失敗と守護者の再生能力

優夜はすぐに絶槍を取り出し、万槍穿を放って守護者を攻撃した。だが溶岩の巨人はその直前に身をかがめると、巨体に似合わぬ勢いで跳び上がってその攻撃を回避した。そこへ、飛ぶことを予測していたユティの矢が頂点に達した瞬間を狙って突き刺さり、溶岩の鎧の一部を破砕した。

しかし、破損した部分にはすぐ周囲の溶岩が集まって元通りになった。さらに巨人は壁に張り付き、そこから優夜たちへ飛びかかってきた。ナイトが隙を突いて圧縮した水の弾を撃ち込み、一瞬黒い岩肌が見えたものの、それもすぐ炎に覆われて元に戻った。

全剣による切断と増殖する腕

優夜は今度は全剣を取り出し、魔装と邪の力を重ねたうえで天聖斬を放った。その一撃は巨人の腕を斬り飛ばすほどの威力を見せたが、守護者はそれでも平然と動き続けた。さらに斬り飛ばされた腕は、周囲の溶岩を取り込んで自律する新たな腕となり、優夜たちへ襲いかかってきた。

攻撃するたびに相手の戦力が増えるという状況に、優夜は絶望感を抱いた。鑑別を使って弱点を探ろうとしたものの、星の守護者はレベルや各種数値がすべて計測不能であり、シエルと同じく強すぎて数値化できない存在であることが判明しただけであった。

メルルの解析と時間稼ぎの戦い

その時、メルルが端末を操作し始め、巨人の弱点を探すと申し出た。動いている以上、どこかに心臓となる部位があるはずであり、それを調べるには少し時間がかかるという。優夜はその間、ユティとナイトに協力を求め、できる限り相手を刺激しないよう時間を稼ぐ方針を立てた。

ユティの予知に従いながら、優夜たちは守護者の攻撃をかわし続けた。攻撃できないまま耐え続ける戦いは、優夜にとってこれまでにない厳しさであった。そんな中、巨人は両腕を地面に叩きつけ、巨大な地割れを生じさせ、そこからマグマを噴き上げた。さらにそのマグマは、一つの意思を持つように炎の大蛇となり、巨人と連携して襲いかかってきた。

炎の大蛇への対処と弱点の判明

メルルのもとでは、アカツキが聖域を展開し、シエルの青い炎が彼女たちを守っていたため無事であった。一方、戦場では炎の大蛇が新たな脅威となったが、ユティはその大蛇は攻撃しても問題ないと見抜いた。ナイトが圧縮した水弾を当てると、大蛇は熱を失って黒ずんだ岩となり、そのまま崩壊した。

優夜も万槍穿で炎の大蛇を破壊しつつ、巨人の攻撃をしのいだ。そしてついにメルルが解析を終え、巨人の弱点は胸の中心にある結晶であり、そこに取り込んだエネルギー結晶があると突き止めた。ただし胸部装甲は非常に厚く、中途半端な攻撃ではすぐ再生し、場合によっては腕のように分裂する可能性もあるため、一撃で装甲を吹き飛ばす必要があると伝えた。

総攻撃と守護者の撃破

優夜は、その無茶な条件に苦笑しつつも、自分にしかできないと覚悟を決めた。ユティとナイトは、優夜が攻撃できるよう自分たちが補助すると即座に判断し、それぞれの攻撃で巨人の注意を引いた。優夜は魔装と三神歩法を駆使して懐へ潜り込み、巨人がそれに気づいて潰そうとした瞬間、ユティが最大奥義の彗星を放ち、ナイトも魔装を展開した爪で腕を斬り裂き、隙を作った。

その隙に優夜は飛び上がり、イリス直伝の天聖斬で巨人を頭上から斬り裂いた。この一撃で胸部装甲を剥がすことには成功したが、内部の結晶は無傷であった。しかも、周囲の溶岩が再び結晶へまとわりつこうとし始めたため、ユティとナイトは慌ててそれを止めようとした。

だが、その時すでに優夜は全剣から世界打ちへ持ち替えていた。魔装と邪の力を最大限に使い、世界と同質量の一撃をむき出しになった結晶へ叩き込むと、凄まじい破裂音とともに結晶は粉砕された。エネルギー源を失った守護者は、そのまま崩れ落ちて完全に沈黙した。

戦闘後の評価と響いた新たな声

勝利した優夜は、その場に座り込んで終わったと叫んだ。今回の戦いはアヴィスとは異なる種類の絶望を伴うものであり、星の守護者という相手にどう戦えばよいのか分からないまま挑んだ戦いであった。それでも勝てたのは、ユティとナイトの援護、そしてメルルの解析があったからであった。

疲れ切った優夜たちのもとへオーマが近づき、勝てない相手と戦わせたりはしないと笑った。優夜はその言葉に半信半疑であったが、オーマはさらに、そろそろお前も声を聞かせてもよいのではないかと虚空へ向かって呼びかけた。そして、星の中心まで来れば優夜たちにもその声は届くだろうと言い、アルジェーナと名を呼んだ。

その直後、相変わらずだと応える柔らかな女性の声が、優夜たちの脳裏へ直接響き渡ったのであった。

第六章 驚愕の真実

星そのものだったアルジェーナの正体

突然響いた女性の声に、その場にいた全員が驚き、声の主を探して周囲を見渡した。とくにメルルは、この状況を極めて異常なものとして受け止め、星の声が聞こえるという事実から、この星が原始宇宙時代から存在しているのだと認識していた。

そんな中、オーマは探しても見つからないと笑い、今自分たちが立っているこの星そのものがアルジェーナなのだと明かした。優夜たちはその事実に絶句したが、アルジェーナはさらにオーマをからかうように、相変わらず人を小馬鹿にするところも変わらないと語りかけた。

アルジェーナとオーマの関係

アルジェーナは、オーマがゼノヴィスにやられたことまで持ち出して揶揄した。オーマは、ゼノヴィスだけは特別だと反論し、自分が他に負けることはないと強がった。

優夜たちが状況についていけず困惑していると、アルジェーナは優夜へ直接声をかけた。そして優夜の名を知っていることや、懐かしい気配を感じることを語り始めた。優夜がどうして自分の名を知っているのかと驚くと、アルジェーナは星の上で起こる出来事のすべてを把握していると説明した。

夜之助と賢者の関係

アルジェーナは、優夜の祖父である天上夜之助の名を口にした。優夜は、自分の祖父を知っていることに驚愕したが、アルジェーナは夜之助をよく知っていると穏やかに告げた。

ただし、アルジェーナは夜之助と直接会ったわけではなかった。夜之助は優夜のように肉体ごとこの世界に来たのではなく、ゼノヴィスの魔法によって、夢という形で精神体のみこの世界へ招かれていたからである。ここでオーマは、ゼノヴィスとは賢者のことであると補足し、優夜は初めて賢者の名を知ることになった。

異世界と地球を繋いだ賢者の行動

アルジェーナは、ゼノヴィスがかつて魔法の実験に失敗し、偶然に優夜たちの住む世界へ渡ったことを明かした。その先でゼノヴィスは夜之助と出会ったのである。さらに、この世界と優夜の世界では本来時間の流れが異なっており、ゼノヴィスは世界を渡るだけでなく、時間すら超えて夜之助に会っていた。

その後、本来は繋がるはずのなかった二つの世界は、ゼノヴィスの死後数百年を経て、現在優夜が住む家に現れた扉によって繋がった。正確には、その家は昔のゼノヴィスの家であり、その扉の出現によって二つの世界の時間の流れも繋がったのだとアルジェーナは説明した。

夜之助を招いた理由と究極魔法

アルジェーナによれば、ゼノヴィスは一度戻ってきたあと、もう一度夜之助のいる世界へ行こうとして究極魔法を創り上げていた。しかしその魔法は非常に危険で、下手をすれば両世界を破滅させるおそれがあったため、ゼノヴィスは完成させた魔法を公表も行使もせず、夜之助の精神体だけをこの星へ招くことに決めた。

その方法であれば、夜之助は精神体であるため、この世界の魔物から攻撃を受けても傷つかないうえ、優夜の住む世界はこの世界より危険が少ないと考えられていた。こうして、ゼノヴィスと夜之助の交流は続いていたのである。

夜之助の死と長命の者たちの感傷

アルジェーナは、夜之助が元気にしているかと優夜に尋ねた。優夜は答えに詰まったが、アルジェーナは心を読んだのか、時が経つのは早いものだと静かに呟いた。オーマも、優夜の祖父は知らないが、友を失うことには慣れないと応じた。

二人の間には、長い時を生きてきた者同士のしんみりとした空気が流れた。優夜は、オーマとアルジェーナが生まれた時から存在し、数多の命の終わりを見てきたのだと感じていた。

神と賢者の異常性

優夜が神の存在について尋ねると、アルジェーナは神は確かにいるが、自分たちより上の次元に存在しており、自分たちが認識できることはなく、神々もまた自分たちを気にかけてはいないと答えた。そもそも自分たちは神に作られたのではなく、無から生まれた存在であるため、本来接点はないという。

しかしゼノヴィスだけは、その次元の壁すら越えてしまったため、神々の方から接触してきたのだとアルジェーナは語った。さらにゼノヴィスは非常に面白い人間であり、何でもできるくせに唯一、人間と関わることを苦手としていたとも振り返った。

孤独だったアルジェーナとオーマへの願い

アルジェーナは、このままだとずっと話し続けてしまうと自嘲気味に語ったうえで、自分と会話できる者はここまで辿り着ける実力を持つ者に限られており、オーマも顔を出さないため、話し相手がいなくて寂しいのだと打ち明けた。

それに対してオーマは、どこにどう顔を出すかは自分の自由だとしつつも、今は近くに住んでいるのだから、気が向けば顔を出してやると返した。その言葉にアルジェーナは満足したようで、長話はここまでにすると話を切り替えた。

メルルへの結晶の譲渡

アルジェーナはメルルに声をかけ、ここにあるエネルギーの結晶を好きなだけ持っていってよいと告げた。メルルがあまりにもあっさり許可されたことに呆けていると、優夜たちが倒した溶岩の巨人の残骸、正確には砕けたエネルギーの結晶が光り始めた。

それらは空中に浮かび上がって一つに合体し、強い光が収まったあとには、一つにまとまった結晶となっていた。アルジェーナは、優夜たちが巨人を倒したことに変わりはなく、この結晶を持ち帰ることに問題はないが、先ほどの状態では運びにくかったため、一つにまとめたのだと説明した。

優夜に与えられた星の加護

さらにアルジェーナは、優夜には別のものを渡すと告げた。するとこの空間にあった巨大な球体が激しい光を放ち、その光は集束して優夜の体へと入り込んだ。オーマは、その様子を見てずいぶんと奮発するなと反応した。

アルジェーナは、優夜に星の加護を与えたのだと明かした。その名は聖邪開闢であり、この星における聖と邪の争いに深く関わる力であった。アルジェーナは、この星では正の力も負の力も両方が必要であり、どちらかが欠ければ人々も存在できないと語った。そのうえで、人は喜びより怒りの感情を強く抱きやすいため、邪の方がどうしても強くなりがちであり、それに対抗するために聖という仕組みや、アカツキのような聖獣を用意したのだと説明した。

聖邪開闢がもたらす変化

アルジェーナは、この星では聖と邪の力が他の星以上に強く影響し合っているため、その加護を受けた優夜は、自身の中に眠る聖と邪の力の両方を、一個人の力ではなく星の力として扱えるようになると告げた。さらに、それに伴って強くなるだけでなく、邪に取り込まれにくくなり、暴走の危険もほとんどなくなると補足した。

優夜はこれ以上強くなってどうするのかと戸惑ったが、その時、自身の中にいるクロが慌てた様子で、急に自分の力がとんでもなく強まった気がすると話しかけてきた。優夜が、星から加護をもらって強化されただけだと説明すると、クロはそれはそれでどういう状況だと叫びつつも、邪に呑み込まれそうな話ではないと分かって安堵した。優夜が心配してくれていたのかと尋ねると、クロは強く否定しながらも、再び奥へ引っ込んでいった。

別れの言葉と帰還の準備

アルジェーナは、優夜が自身の邪の力と対等に向き合えていることを認め、その心があれば自分の加護も使いこなせるだろうと告げた。そして、自分のやるべきことを見定めて進みなさいと優夜たちに言い残し、あとはオーマに任せると伝えた。

やがてアルジェーナの声は消え、しばらくその場は感傷的な空気に包まれた。しかしオーマは、用は済んだのだからさっさと帰るぞ、自分は腹が減ったといつもの調子で声をかけた。そして元々の目的は結晶を取りに来ることだったのだから、それを忘れるなと念を押した。

結晶の回収と聞き取れなかった言葉

メルルは、本来なら亜空間転送技術で結晶を回収できるが、今はそこに回すだけの余力がないと説明した。そこで優夜は、自分のアイテムボックスで運ぶことを提案し、メルルもそれを受け入れた。優夜は役に立てることを喜びつつ、結晶をアイテムボックスへ収納した。

こうして優夜たちは穴の底から脱出することになった。その背後で、アルジェーナは彼は数多の世界を越えていくのだろうと小さく呟いていたが、その言葉を優夜が聞き取ることはなかった。

第七章 急襲

地球を理想の星と断定したドラゴニア星人

優夜たちが穴の底から帰還している頃、宇宙ではドラゴニア星人の第三部隊が地球へ迫っていた。旗艦の操縦室では、地球を映した巨大なホログラムの前で、隊長ドラードが消えた部隊の痕跡を確認していた。部下の報告により、先に派遣した部隊が確かに地球を訪れていたことは判明したが、その船の信号は観測できなかった。そのためドラードは、地球にはドラゴニア星人に対抗しうる存在がいる可能性を認識した。

その一方で、地球の環境調査も並行して行われていた。すると部下は、地球こそが大気成分、水質、地質、気温のすべてにおいてドラゴニア星人に最適な、理想の星であると報告した。さらに銀河系内に外敵もおらず、唯一の懸念である太陽の寿命すら自分たちの技術で対処可能だと判断されたことで、ドラードはこの星を侵略対象として強く意識した。

エイメル星人の残留と侵略の決断

続いて部下は、地球のある地点にエイメル星人の電磁波を観測したと報告した。本来なら、設計図を狙っていたエイメル星人はすでに逃げていてもおかしくない状況であったが、何らかの事情で地球から出られないのだとドラードは推測した。

理想の星である地球に、獲物であるエイメル星人が殲滅兵器を持ったまま残っているという状況を知ったドラードは、これ以上ない好機だと判断した。そして、まずは地球人ではなくエイメル星人を狙うよう命じ、戦闘によって地球を壊しすぎないよう、エイメル星人のいる地点を地球から亜空間へ隔離するよう指示した。こうして第三部隊は、地球侵略と設計図奪取を同時に進めることを決定した。

宇宙船修復と地球帰還の準備

一方、アルジェーナのもとから戻った優夜たちは、昼食後すぐにメルルの宇宙船修復に取りかかった。地球には作業場所がないため、宇宙船を異世界へ持ち込み、更地となった大魔境で作業を進めることになった。オーマは家に戻って昼食を食べると、そのまま眠ってしまったが、優夜たちやナイトたちは、メルルの宇宙船や技術に強い関心を示していた。

メルルは端末を操作するだけで宇宙船を手のひらサイズに縮小し、再び元の大きさへ戻したうえ、ナノマシンで機体調整を進めていった。その光景は、優夜やユティにとって驚異的であり、宇宙の技術力の高さを実感させるものであった。やがてエネルギーの結晶を装填し終えたメルルは、宇宙船は問題なく出発できそうだと告げた。さらに計測の結果、エイメル星へ向かうには異世界より地球からの方が近いと分かったため、もう一度地球へ戻りたいと申し出た。

隔離された地球とドラゴニア艦隊の出現

優夜が了承し、メルルとともに地球の家へ戻って外へ出ると、そこにはいつもの街の景色ではなく、不気味で何もない異様な空間が広がっていた。様々な色が混じり合ったようなその空間の一部が歪むと、ドラゴンの紋章を掲げた大量の宇宙船が姿を現した。その中心には、この前の襲撃時よりはるかに大きい、ドラゴンのような形をした旗艦が浮かんでいた。

さらに、その旗艦から声が響き、優夜たちのいる場所は地球から亜空間へ隔離されたので逃げ場はないと告げられた。メルルが睨みつけると、旗艦からホログラムが投影され、そこに現れたのはドラゴニア星第三部隊隊長ドラードであった。メルルの説明によれば、前回の襲撃者たちは下級兵士に過ぎず、部隊長であるドラードはそれより遥かに高い能力を持ち、率いる兵士たちの練度も比較にならないほど高い存在であった。

防壁の展開と最初の反撃

優夜がどうにか逃げられないかと問うと、メルルは、この亜空間を解除するには展開元であるドラードの旗艦を落とすしかないと説明した。その状況の中、ナイトたちもまた空の宇宙船群を見上げ、戦闘態勢を整えていた。ユティも相手を敵と確認したうえで、自分の矢で船に傷を与えられる自信はないと率直に述べた。

そこでメルルは、宇宙船の防衛機構を優夜の家全体へ展開し、シャボン玉のような膜で家を包み込んだ。星のエネルギーを利用して何とか維持しているため長時間はもたないが、少しの間なら家を気にせず戦える状態となった。その直後、ドラードの指示で宇宙船の砲身にエネルギーが集中し始めたため、優夜は絶槍を取り出し、魔装と邪の力を展開したうえで昇竜穿を放った。アルジェーナから授かった聖邪開闢の力によって、その攻撃は白と黒の光が混じり合った巨大な竜となり、数隻の宇宙船を呑み込んだ。

仲間たちの猛攻とドラゴニア兵の降下

優夜の一撃に続き、ユティは死彗星を放ち、一条の光となった矢で宇宙船の装甲を貫通し、心臓部を破壊して一機を爆発させた。ナイトも魔装を展開して宇宙船へ肉迫し、魔力を纏った爪で一機を容易く切り裂いた。アカツキは巨大化して宇宙船群へ突撃し、体当たりで次々と叩き落とした。シエルも青い炎を纏って宇宙船へ突っ込み、一機ずつ破壊していった。シエルの存在は宇宙人であるドラードから見ても特異であり、驚きをもって見られていた。

このままでは危険だと判断したドラードは、宇宙船から兵士たちを直接降下させた。この前と同じように大量のドラゴニア星人兵士が空から降りてきて、その数は軽く千を超えていた。優夜はその数に圧倒されたが、メルルは、兵士たちが降下したことで宇宙船側は味方を巻き込まないため砲撃できなくなったと指摘した。

クローン兵による時間稼ぎ

優夜は万槍穿を用いて多数の兵士に対処したが、相手の数は一向に減らないように見えた。そこでメルルは、彼らが生体兵器、すなわちクローン技術によって生み出された兵士なのだと見抜いた。ドラゴニア星人は宇宙船内でクローン兵を次々と生成し、質より量を優先して戦場へ投入していたのである。

ただしクローン兵の戦闘力自体は精鋭には遠く及ばず、生成にもエネルギーを消費するため無限ではなかった。それでも、このような戦法を取る意図にメルルは違和感を覚えた。そしてすぐに、これは味方を巻き込まないためではなく、時間稼ぎのために砲撃を控えていたのだと悟った。

轟竜砲の発射準備と追い詰められる優夜たち

メルルが旗艦を見上げると、そこにはひと際巨大な砲身へ膨大なエネルギーが蓄積されていた。その攻撃はメルルの展開したバリアでも防げず、宇宙船も優夜の家も無事では済まない威力であった。ホログラム上のドラードは、設計図もろともこの場のすべてを塵にすると宣言し、自らの技術の粋である轟竜砲を誇示した。

メルルは、設計図を求めていたのではないかと抗議したが、ドラードは設計図が宇宙最硬のコスモニウムの石箱に収められていることを把握していたため、この砲撃で破壊されることはないと見切っていた。優夜たちは旗艦へ辿り着こうにも、群がるクローン兵が邪魔をして前進できず、まさにドラードの思惑通り追い詰められていた。

暴食の掃除機による轟竜砲の無力化

ついに轟竜砲が放たれ、圧縮された超巨大なエネルギーが優夜たちへ迫った。優夜やユティたち自身は回避できるかもしれなかったが、その場に残る優夜の家は確実に吹き飛ぶ状況であった。必死に対処法を考えた優夜は、そこで一つのアイテムを思い出した。

優夜は意を決して暴食の掃除機を取り出し、迫り来るエネルギー砲へ向けて起動した。すると、普通のコードレスクリーナーにしか見えないその掃除機は、轟音を上げながら真正面からビームを吸い込み始めた。そしてついには、轟竜砲のすべてを完全に吸いきってしまった。ドラードは、自分たちの技術の結晶が辺境の星の掃除機に敗れた事実に激しく取り乱した。

ドラード自らの出撃

轟竜砲を防がれたドラードは激怒し、旗艦の一部を開いて自ら姿を現した。右腕を掲げると、そこからビーム状の槍を展開し、明らかに高い技量を感じさせる構えで優夜たちに突きつけた。そして、クローン兵程度で殺せると思っていたが予想以上にあがいてくれた以上、自分が直接殺すと宣言した。

その瞬間、ドラードから放たれる殺気は圧倒的な力を噴き出し、青いドラゴンのようなオーラとなって彼の全身を包み込んだ。そしてドラードは、神速の一撃をもって優夜たちへ襲いかかった。

来客を察知したオーマの行動

その頃、優夜の家で眠っていたオーマは、異世界側の賢者の家に誰かが来たことを察知して片目を開いた。本来なら対応すべき優夜たちはドラゴニア星人と戦っていたが、オーマは宇宙には面倒な連中が多いと欠伸混じりに呟いた。

さらに、優夜が轟竜砲を自力で防いだことも家の中から感じ取っていた。オーマは、自分が防いでもよかったが優夜が自分で対処できたのならそれでよいと考えつつ、異世界側に誰が来たのかを気配から察し、面白いことになってきたと笑った。そして、ここで少し手を貸してやらなければ、自分が創世竜であることを優夜にまた忘れられるかもしれないと考え、異世界への扉がある物置部屋へ向かっていった。

優夜の家を訪れた異世界組

同じ頃、異世界側ではレクシアたちが優夜の家を訪れていた。何度か来たことのある場所であったが、家の先に広がっていたはずの大魔境が綺麗に消し飛び、更地になっている光景にルナは唖然とした。イリスは、それが邪の究極完全態であるアヴィスの一撃によるものだと説明したが、ルナはそれほどの攻撃を受けながら、なぜこの家だけが無事なのか理解できなかった。イリスとウサギも、その理由は分からないままであった。

一方、初めてこの場所を訪れた舞は、優夜がこれほど危険な場所に住んでいることや、自分が本来戦うはずだった敵が一撃で森を更地にする存在だったことを知り、ようやく戦いの規模の大きさを実感して呆然としていた。

留守と思われた家とオーマの出現

レクシアは真っ先に家の前まで駆け寄ったが、優夜の気配を感じ取れず不思議がった。ルナは、約束もなく来たのだから留守でもおかしくないと指摘し、レクシアも落胆した。優夜が異世界側で留守なのか、地球側へ戻っていて留守なのかで意味は違ったが、ひとまず本人がいないのではどうしようもないため、帰ろうとした。

その時、ちょうどいいところに来たなと声がかかり、振り向いたレクシアたちの前に、ニヤリと笑うオーマが現れた。

ドラードの反撃とシエルの拘束

一方その頃、地球側では優夜がドラードの一撃を絶槍で受け止めていた。しかしその衝撃は重く、優夜は吹き飛ばされてしまった。ドラードは、少しは期待していたが所詮はこの程度かと冷たく言い放った。

そこへシエルがドラードへ突撃したが、ドラードは軽く腕を振るだけで、シエルの周囲に不思議な檻を出現させ、その中へ閉じ込めた。それは万有引力を利用した檻であり、中に入った者は中央へ引き戻されるため、内側からは決して壊せないものであった。ドラードは、シエルの力は見たことがないため、このまま持ち帰って研究すると告げた。

全力を解放した優夜と苦戦する状況

優夜はシエルを助けるため、聖王威、邪の力、魔装のすべてを解放してドラードへ襲いかかった。ドラードは優夜の猛攻を辛うじてしのぎつつも、体に少なくない傷を負った。そこへユティ、メルル、ナイトも援護に入り、一斉に攻撃を重ねたが、ドラードは気力を振り絞ってそれらを防いでいった。

優夜はさらに全剣へ持ち替え、天聖斬を全力で放った。しかしドラードは腕をクロスさせて障壁を展開し、その攻撃を正面から防ぎ切った。満身創痍ではあったものの、ドラードはなお立ち続けていた。一方の優夜は、聖王威の反動による激しい疲労で膝をついてしまった。

本物の精鋭兵と絶望的な状況

ドラードが勝負あったと判断して号令を下すと、その背後には大量のドラゴニア星人の軍団が集まってきた。それはこれまでのクローン兵とは違い、鍛え抜かれた本物の兵士たちであった。ナイトとユティも、あの数はさすがに厳しいと感じていた。

ドラードは、このままシエルを持ち帰ると宣言した。優夜は必死に体を動かしてシエルを助けに向かおうとしたが、聖王威の反動で思うように動けなかった。このままでは自分たちもドラゴニア星人の精鋭兵に殺されてしまうという、完全な窮地に追い込まれていた。

扉の通過許可と援軍の到着

そんな中、優夜の目の前に扉の通過許可を求めるメッセージが突然現れた。意味が分からないまま優夜が反射的に許可すると、その直後に二つの斬撃がドラゴニア星人の軍団へ襲いかかった。聞き覚えのある声とともに現れたのは、イリスとウサギであった。

優夜は、なぜ二人がここにいるのかと驚いた。イリスは、可愛い弟子が困っているのだから助けに来るのは当然だと語ったが、ウサギはそれを否定し、自分たちがここへ来られたのは創世竜が招き入れたからだと説明した。優夜が家の方を見ると、玄関ではオーマが片目だけ開けてニヤリと笑っていた。

異世界組の合流とシエルの救出

その直後、シエルを閉じ込めていた檻が宙を飛んで優夜の方へ戻ってきた。優夜がそれを受け止めると、そこには細い糸が巻き付いており、ルナの仕業だと分かった。さらにルナに続いて、レクシア、舞も現れた。舞は、ここは本当に日本どころか地球ですらないようだと困惑していた。

優夜が状況説明に迷っていると、ウサギは話は後だとして、目の前の連中は優夜の敵かと確認した。優夜が肯定すると、ウサギはちょうどいい、持て余していた力で借りを返すと告げ、イリスもまた、優夜の敵は自分の敵でもあるのだから一緒に戦うと申し出た。優夜はようやく動けるまで回復すると、まずシエルを檻から解放し、敵に狙われている以上戦わせることはできないと判断して、レクシアに預けた。

イリスとウサギの圧倒的な戦力

シエルを下げた優夜は、改めてウサギとイリスに力を貸してほしいと頼んだ。二人は即座に応じると、そのままドラゴニア星人の兵士の群れへ飛び込んでいった。ドラードは、たかが二、三人増えたところで何も変わらないと兵士たちに命じたが、二人の表情に焦りはなかった。

イリスは剣を低く構え、天旋を放った。その斬撃は竜巻となって兵士たちを巻き込み、次々と切り刻んでいった。ウサギもまた壊れたキックフラッシュを放ち、圧縮された一撃で兵士たちを一気に貫き、その余波は宇宙船にまで届いた。メルルはその光景を見て、あれほど屈強なドラゴニア星人たちをいとも簡単に倒す二人の実力に呆然とした。ドラードもまた、何者なのかと驚きを隠せなかった。

全剣の本来の力とドラードの動揺

他の兵士たちを異世界組やメルルたちに任せ、優夜はドラードへ斬りかかった。ドラードは再び腕をクロスさせて障壁を展開し、前と同じように優夜の全剣を受け止めようとした。しかし今度は、その障壁は全剣によって簡単に切り裂かれた。

天聖斬は聖の力によって生み出した光の剣身で攻撃する技だったが、今の優夜は賢者の武器である全剣そのものの、何でも斬れる本来の力を使っていた。そのためドラードの障壁は耐えられなかったのである。ドラードはすぐに距離を取ったものの、先ほどとは状況が違うことに混乱し、なぜ弱っている優夜の攻撃が防げないのかと動揺を見せた。

連続攻撃と聖邪開闢の発現

優夜は改めてドラードに、お前はここで倒すと告げた。ドラードは怒りを爆発させ、地球も設計図もすべてドラゴニア星のものになると叫びながら突撃した。しかし、その槍の攻撃は最初ほどの冴えがなくなっていた。

優夜は螺旋斬、無双乱舞、薄明斬と、イリスが使っていた剣聖の技を次々に放った。ドラードはそれらをなんとか捌いて反撃してきたが、優夜は攻撃の最中に全剣から絶槍へ一瞬で持ち替えた。剣への対応に意識を向けていたドラードは、その切り替えに即応できなかった。

その時、優夜の体から突如として金色と銀色のオーラが溢れ出した。金色は聖の、銀色はクロやアヴィス以上に純粋な邪の力であり、優夜はそれがアルジェーナから授かった聖邪開闢の力の発現だと悟った。

ドラードの敗北と亜空間の解除

ドラードは優夜の異変に驚愕したが、その隙を逃さず、優夜は渾身の一撃を放った。ドラードは防ごうとしたものの、絶槍はあらゆるものを貫き、そのままドラード自身をも貫いた。ドラードは青い血を吐き出し、自分が負けるはずがないと呻きながら倒れ伏した。

その瞬間、周囲は一瞬静まり返った。隊長が倒されたことに気づいたドラゴニア星人たちはたちまち動揺し、すぐに旗艦へ報告しろ、隊長を回収しろ、亜空間を解除して撤退するぞと叫びながら、次々に宇宙船へ逃げ込んでいった。やがてすべての宇宙船が消え去ると、それと同時にこの異様な空間も歪み、周囲は元の地球の景色へと戻ったのであった。

エピローグ

異世界組が優夜の家に集まった理由

ドラゴニア星人たちを退けた直後、謎の空間が解除され、天上優夜たちは見慣れた街並みに戻った。そのため、剣を持った者や姫のような格好の者たちが周囲に見られて騒ぎにならないよう、慌てて家の中へ引き返した。

家の中で全員が興味深そうに周囲を見回す中、優夜はどうして自分の家に来たのかを尋ねた。すると神楽坂舞が、自分が優夜と同じ世界の人間であることをレクシアたちに話してしまったのだと明かした。さらに、冒険者ギルドで聞いた惚れ薬の素材を探しに向かった天山でイリスたちと出会い、そこでも優夜が同じ世界の人間であることを話したため、皆で優夜に会いに来る流れになったのだと説明した。

優夜は事情を理解したが、その中に含まれていた惚れ薬という言葉が気になった。舞が何かを言いかけた瞬間、レクシアとイリスが慌ててその口を塞ぎ、王女命令や師匠としての体面を理由に口止めしたため、優夜は詳しい事情を聞けないままとなった。

異世界人である優夜への確認

その後、イリスは優夜が本当に異世界人だったのかと改めて確認した。優夜が頷くと、イリスは別に黙っていたこと自体は問題ではなく、自分たちもレガル国で聖女や勇者召喚の話を聞くまで、異世界などおとぎ話のようなものだと思っていたと語った。

ウサギも、先ほど一瞬だけ見えた外の世界は自分たちの知る世界とはまるで違っていたと認めた。その一方で、優夜が特殊な存在であることはこの世界でも変わらないだろうと指摘した。イリスもまた、家の外に出たほんの短い間に周囲の気配を探った結果、優夜ほど強い気配を放つ者は見当たらなかったと述べた。

休養を優先したウサギの判断

しばらく家の中を見回していたウサギは、色々と聞きたいことはあるが、今日はもう帰るべきだと告げた。イリスとレクシアは驚いて理由を尋ねたが、ウサギは、優夜の様子を見る限り多少の休養が必要であり、そんなことも分からないのかと返した。

ルナも、彼らが到着した時の優夜は満身創痍だったと認めた。レクシアとイリスは不満そうであったが、ウサギは今回のことも含めていずれ説明してもらうことになるのだから、今生の別れでもないと諭した。優夜もそれに同意し、レクシアとイリスは渋々ながら帰ることを受け入れた。

メルルの救援要請

皆が扉のある物置部屋へ向かおうとしたその時、これまで黙って話を聞いていたメルルが声を上げた。メルルの言葉は優夜にしか理解できなかったが、場にいた全員はその様子に足を止めた。

そしてメルルは、言葉が通じない相手に向けてなお、自分たちと自分たちの星を助けてほしいと訴えた。その願いは、優夜だけでなく、その場にいた全員へ向けられたものであった。

いせれべ 7巻レビュー
いせれべ 全巻まとめ
いせれべ 9巻レビュー

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 一覧

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双するの表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双するの表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する2の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する2の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する3の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する3の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 4の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 4の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する5の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する5の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 6の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 6の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 7の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 7の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 8の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 8の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 9の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 9の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 10の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 10の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 11の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 11の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する12の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 12の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 13の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 13の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 14の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 14の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 15の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 15の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 16の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 16の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 17の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 17の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 18の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 18の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する19の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 19の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する20の表紙画像(レビュー記事導入用)
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 20の表紙。
あらすじと考察は本文で詳しく解説。

その他フィクション

e9ca32232aa7c4eb96b8bd1ff309e79e 小説【いせれべ】異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する16感想・ネタバレ
フィクション ( Novel ) あいうえお順

PV

KADOKAWAanime より共有
KADOKAWAanime より共有

ウサギ師匠!!!声が渋い!

KADOKAWAanime より共有

動くナイトがカワイイ!!

KADOKAWAanime より共有

アカツキもキュート!

KADOKAWAanime より共有

OP

逆転劇(月詠み)
KADOKAWAanime より共有

ED

ハチミツ(スガ シカオ)

KADOKAWAanime より共有

Share this content:

コメント

タイトルとURLをコピーしました