映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」感想・ネタバレ

映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」感想・ネタバレ

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 2部の表紙画像(レビュー記事導入用)

物語の概要

■ 作品概要

本作は、2021年に公開された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の続編となる劇場版第2部(2026年1月30日公開)である。 宇宙世紀0105年、腐敗した地球連邦政府に対する反政府組織「マフティー」のリーダー、ハサウェイ・ノアの戦いを描く。

第1部のダバオ脱出後、ハサウェイ達は協力者を求めてオーストラリア北部の拠点「オエンベリ」へと向かう。しかし、現地では連邦軍のキンバレー部隊による、民間人を巻き込んだ凄惨な掃討作戦が行われていた。 一方、ハサウェイのライバルであるケネス・スレッグ大佐は、対マフティー特殊部隊「キルケー部隊」を新たに編成し、執拗な追撃を開始する。 副題の「キルケー(ギリシャ神話の魔女)」が示す通り、ヒロインであるギギ・アンダルシアの不可解な魅力と行動が、ハサウェイとケネス、二人の男の運命を翻弄していく様が物語の軸となる。

■ 主要キャラクター

ハサウェイ・ノア(マフティー・ナビーユ・エリン): かつての英雄ブライト・ノアの息子であり、反地球連邦政府組織マフティーのリーダー。 オエンベリの惨状を目の当たりにし、連邦の腐敗に対する怒りを新たにする。ギギに対し、かつて救えなかった少女(クェス・パラヤ)の面影を重ねて苦悩しながらも、アデレート会議粉砕のため、クスィーガンダムを駆り戦場へ立つ。

ギギ・アンダルシア: 透き通るような美貌と予知めいた洞察力を持つ謎の少女。 香港でパトロンと決別した後、敵であるケネスの元へ身を寄せる。「勝利の女神」としてキルケー部隊に崇められる一方で、ハサウェイへの執着も見せる。その無垢で残酷な振る舞いが、戦場の行方を左右する。

ケネス・スレッグ: 地球連邦軍大佐であり、対マフティー特殊部隊「キルケー部隊」の司令官。 ハサウェイの正体に感づきつつも、連邦の秩序を守る軍人として彼を追い詰める。ギギに魅了され、彼女を手元に置くことで部隊の士気を高めるリアリストである。

レーン・エイム: キルケー部隊の若きエースパイロット。 本作では、ペーネロペーの代わりに試験運用機「アリュゼウス(量産型νガンダム搭載機)」に搭乗する。ウルル(エアーズロック)での戦闘において、ハサウェイのトラウマを刺激する「ガンダム」の姿で彼を追い詰める。(複数いる場合は同形式で列挙する)

■ 物語の特徴

1. 原作小説からの大胆な再構成と「if」の排除:
中盤の山場である「オエンベリの虐殺」を真正面から描き、戦争の悲惨さとハサウェイの義憤を強調している。また、原作では不在であったレーン・エイムをウルル戦に投入し、映画オリジナルのMS戦を展開することで、映像作品としてのエンターテインメント性を高めている。

2. 過去のトラウマを刺激する新機体「アリュゼウス」:
本作最大のサプライズとして、レーンが搭乗する新機体「TX-ff104 アリュゼウス」が登場する。この機体は中核に「量産型νガンダム」を据えており、戦闘中にその姿が露見することで、ハサウェイ(および観客)に『逆襲のシャア』の記憶とトラウマを強烈にフラッシュバックさせる演出がなされている。

3. 異例のエンディングテーマ起用:
エンディングテーマに、伝説的ロックバンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」の『Sweet Child O’ Mine』を起用。 「愛しい子(Sweet Child)」という歌詞が、ハサウェイから見たギギ(あるいは失われた純粋な過去)への想いと重なり、激しい戦闘の後に訪れる切ない余韻を決定づけている。これはガンダム映画史上初の試みであり、本作の「大人の映画」としての性格を象徴している。

映画情報

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』公式サイト
STAFF&CAST

あらすじ・内容

 U.C.0105、シャアの反乱から12年――。圧政を強いる地球連邦政府に対し政府閣僚の暗殺という方法で抵抗を開始した「マフティー」。そのリーダーの正体は、一年戦争をアムロ・レイと共に戦ったブライトの息子、ハサウェイ・ノアであった。 不思議な力を示す少女ギギ・アンダルシアにかつてのトラウマを思い出すハサウェイ。彼女の言葉に翻弄されながらもマフティーとしての目的、アデレード会議襲撃の準備を進めるが……。 連邦軍のケネス・スレッグは自ら立案したアデレード会議の支掩作戦とマフティー殲滅の準備をする中、刑事警察機構のハンドリー・ヨクサンから密約を持ちかけられる。 そして、ハサウェイ、ケネス、それぞれが目的のために動く一方で、ギギもまた自分の役割のためにホンコンへと旅立つ。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』

感想

 映画の幕開けは、あまりにも残酷で、生々しい映像から始まった。
 冒頭、オエンベリでの虐殺シーンの映像を撮り、そのデータを宇宙へと上げようとする試み。
カメラを拾うようなカットが何度も繰り返され、撮影していた者たちさえもが、なす術(すべ)なく戦火にのみ込まれていく。
その視点は、まるで観客である私たち自身が、その場に放り出されたかのような錯覚を覚えさせるものであった。

 物語の前半、ヴァリアント艦内での描写も、息が詰まるような緊張感に満ちている。
 仲間たちが訓練に励む横で、ハサウェイは奇襲作戦を練る。
休息を勧めるケリアが、薬やカレーを差し出すが、ハサウェイは背を向けたまま、ベッドに横たわってしまう。
背後で響く彼女の咀嚼(そしゃく)音にさえ、彼は苛立ちを募らせていた。
 二人の心が決定的に離れてしまったと感じたのは、その後のことだ。
ケリアが髪を剃り上げ、坊主頭になって現れたシーンには言葉を失った。
それはもはや、ハサウェイへの決別であり、彼女なりの「出家」だったのかもしれない。

CHARACTERケリア・デース

ジュリアがTシャツも着ずに整備をする異様な空気感も含め、艦内はどこか狂気を帯びていた。

そしてΞ(クスィー)ガンダムで出撃して海中へと潜ると。
OP『Snooze』が流れる。

Snooze

ハサウェイの心理か?
いや、ケリアか?

 オエンベリでの惨劇は、目を背けたくなるほど重い。地下収容所で唯一生き残った女性も、結局は心と体を壊され、亡くなってしまう。
キンバレーを捕らえ、ファビオたちと共闘関係を結んでも、ハサウェイの心に救いはない。
 一方で、ギギ・アンダルシアの行動は謎めいている。
香港で伯爵のために立ち回った後、「死に行くのかも」と言い残して敵であるケネスの元へ走る。
植物観察官への電話でハサウェイにアデレードと告げるなど、その行動原理も読めない。
メイス・フラゥワーに何を囁(ささや)いたのか、彼女が去った後、ギギは部隊の「女神」として君臨していく。

 そして、圧巻だったのはエアーズロックでの戦闘である。  そこでハサウェイが対峙したのは、因縁の相手、レーン・エイムだった。
彼が乗っていたのはペーネロペーではなく、訓練用の機体アリュゼウスだった。
戦闘の最中、損傷のせいかパーツが外れ、中から現れたのは旧式となり訓練用になってる「RX-94 量産型νガンダム」。
その姿は、ハサウェイにとってアムロ・レイの記憶、そして『シャアの反乱』のトラウマそのものだったに違いない。
 過去の幻覚(アムロの叱責)に苛(さいな)まれながら、レーンをビームサーベルで焼き殺す寸前まで追い込むハサウェイ。

その狂気を止めたのは、自ら人質へと名乗り出たギギだった。
その応答でハサウェイに軽く扱われて苛立つギギは歳相応に見えた。

 ガンダムの手からコックピットへと滑り込むギギ。
ハサウェイに導かれるまま、二人は口づけを交わす。
だが、ハサウェイの意識はコックピットに戻るための腰のワイヤーに行っていた。
それは愛というより、互いの傷を舐め合うような、痛々しいほどに美しいシーンだった。
 物語はギギが拉致されたと報告を受け、アデレードのバリア装置を見上げるケネスの姿で幕を閉じる。
そしてエンドロールで流れたのは、まさかのガンズ・アンド・ローゼズ『Sweet Child O’ Mine』。

Sweet Child O’ Mine

 なぜ「Child(子供)」なのかと一瞬驚いたが、これは「愛しい人」へ向けた曲なのだと後で知る。
汚れてしまった大人の世界で、ギギだけが持つ無垢(むく)な残酷さと、ハサウェイが失ってしまった「純粋さ」への憧れって事なのか?
それとも13歳で亡くなったクェス・パラヤの事なんだろうか?

 特に、2番の歌詞が深く刺さった。
「青空のような瞳に、雨の気配を感じる」という一節は、ギギの美しさと、その奥にある悲劇を予感させるようだ。  
そして何より、曲の後半で繰り返される問いかけ――「Where do we go now?(俺たちは今、何処へ行くのか?)」。
 ハサウェイにはもう帰る場所がない。
英雄の息子としての顔も捨て、愛する者ともすれ違い、マフティーとして破滅へ向かうしかない。
「俺は何処に行くのだろう?」という彼の迷いと絶望が、あのシャウトと完全に重なって聞こえた。
あの印象的なギターリフは、ハサウェイのやり場のない哀しみを代弁しているようで、胸に深く刺さる幕切れであった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

登場キャラクター公式サイト

登場メカ公式サイト

ガンダム シリーズ

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 2部の表紙画像(レビュー記事導入用)
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 上の表紙画像(レビュー記事導入用)
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 上
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 中の表紙画像(レビュー記事導入用)
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 中
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 下の表紙画像(レビュー記事導入用)
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 下

機動戦士ガンダム

機動戦士ガンダム 1のハサウェイ 上の表紙画像(レビュー記事導入用)
機動戦士ガンダムⅠ
機動戦士ガンダム 2のハサウェイ 上の表紙画像(レビュー記事導入用)
機動戦士ガンダムⅡ
機動戦士ガンダム 3のハサウェイ 上の表紙画像(レビュー記事導入用)
機動戦士ガンダムⅢ

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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