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2027年 冬異世界転生騒動記高見梁川

小説「異世界転生騒動記11」感想・ネタバレ

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異世界転生騒動記11の表紙画像(レビュー記事導入用) 2027年 冬

騒動記10レビュー
まとめ
騒動記12レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
      1. 主要登場人物
        1. バルド・アントリム・コルネリアス
        2. シルク
        3. アウグスト
        4. ヴァレリー
        5. ラミリーズ
        6. サツキ
        7. オルテン
        8. ウラカ
        9. ホセ
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
      1. 重傷のバルドが反撃開始!公国を内側から崩した男の思惑
        1. 重傷のバルド。それでも戦争は進んでいく
        2. 公国を追い詰めるのは敵軍だけではない
        3. 公国を裏切るヴァレリー。いったい何を考えているのか
        4. 公国貴族への三つの選択肢が現実的だった
        5. 公都ミリアーナを占領。それでも簡単には終わらない
      2. まとめ|公国を倒したのは軍事力だけではなかった
  5. 考察・解説
      1. ストーリー・プロット
        1. 第1幕:ベルナルディ暗殺とバルドの生還
        2. 第2幕:海上決戦と公国海軍の壊滅
        3. 第3幕:公国内部の離反とマウリッツの偽装帰順
        4. 第4幕:王国軍の総反撃とモレッティ城攻略
        5. 第5幕:降伏貴族の選別とミリアーナへの進軍
        6. 第6幕:ミリアーナ市街戦とラミリーズ対オルテン
        7. 第7幕:ヴァレリーの最期と新たなトリストヴィー
      2. 主要な転換点
        1. 転換点:ベルナルディ公太子の暗殺
        2. 転換点:公国・アンサラー連合艦隊の敗北
        3. 転換点:アウグストによるマウリッツの謀略看破
        4. 転換点:モレッティ城とシルヴァ軍の壊滅
        5. 転換点:オルテンによるミリアーナ市街への誘引
        6. 転換点:ラミリーズによるオルテン撃破
        7. 転換点:ヴァレリーの死とバルドの宣戦布告
      3. バルドを中心とした人物関係の変化
        1. シルク
        2. アウグスト
        3. ヴァレリー
      4. 主人公の認識と周囲の評価
        1. 主人公自身の認識
        2. 周囲からの評価
        3. 認識の差が現れた場面
      5. 公国軍の壊滅
        1. マルマラ海海戦での公国海軍の完全壊滅
        2. 東方モレッティ領の惨敗と参謀シルヴァの討死
        3. 偏った経済封鎖とフィオレンティーナ侯処刑による内部崩壊
        4. 公都ミリアーナ決戦とオルテン大将軍の討死
        5. 公国体制の幕引きと終焉
      6. ヴァレリーの謀略
      7. 王国軍の進軍
        1. マルベリー出陣演説と軍勢配置 
        2. 東方戦線:モレッティ領攻略の電撃戦 
        3. 中央進軍と公国貴族層の解体 
        4. 公都ミリアーナ包囲と最終決戦 
      8. オルテンの最期
        1. 乾坤一擲の付け入りの罠 
        2. 宿命のライバル・ラミリーズとの一騎打ち
        3. 決着と膝搦め 
        4. 託された誓いと死に様 
        5. 公国軍の完全壊滅 
      9. ヴァレリーの死
  6. 登場キャラクター
    1. トリストヴィー王国・バルド陣営
      1. バルド・コルネリアス(バルド・セヴァーン・コルネリアス / バルド・アントリム・コルネリアス)
      2. マゴット・コルネリアス(銀光マゴット)
      3. イグニス・コルネリアス
      4. シルク・ランドルフ
      5. ラミリーズ
      6. カメオ・トランシン
      7. ブルックス・アーバイン
      8. アウグスト・ガリバルディ
      9. ゴドフリート
    2. トリストヴィー公国
      1. ジャック・アマーディオ・トリストヴィー(大公ジャック)
      2. ベルナルディ・アマーディオ・トリストヴィー(公太子ベルナルディ)
      3. ヴァレリー・オスト(オスト伯爵ヴァレリー / オスト侯爵ヴァレリー / ベネート・ガリバルディ)
      4. バティスタ・オスト
      5. カリラ・バスク(オストの影刃)
      6. オルテン
      7. シルヴァ(シルヴァベルルスコーニ)
      8. スピノザ・フィオレンティーナ(フィオレンティーナ侯爵スピノザ)
      9. マウリッツ・フィオレンティーナ
      10. モンテッラ
      11. ヴァステッド(ナポリー伯ヴァステッド)
      12. バーンズ(モレッティ伯爵バーンズ)
      13. モートン子爵バルバロ
      14. チョリニョーラ男爵ピエリ
      15. マルティン(フェラーラ伯マルティン)
      16. プラート伯
      17. チェーザレ
      18. ボニファティオ・グランドーニ
      19. コンティネッリ子爵
      20. ロッシ男爵
    3. トリストヴィー海運ギルド・商業勢力
      1. バルバリーノ
      2. マクモナス
    4. ガルトレイク王国・猫耳族
      1. サツキカゲツ(サツキ / 巫女姫)
      2. サクヤカゲツ(サクヤ)
      3. ハヤミ
    5. ノルトランド帝国・犬耳族
      1. ジーナ(ジーナ・ビョルク / ヘルシングの雷鳴)
      2. ギッツェ・マンネルハイム
      3. イズン・マンネルハイム
      4. ヴィクトール・パザロフ
    6. サンファン王国・マジョルカ王国・マウリシア王国
      1. ホセ・リベリアーノ(ホセ海軍卿)
      2. ウラカ・デ・パルマ(漆黒の暴風 / パルマ伯爵)
      3. テレサ(サンファン王太子妃テレサ)
      4. フランコ(サンファン王太子フランコ)
      5. グリムル
      6. レイチェル(レイチェル・エジンバラ)
      7. セリーナ・サバラン
    7. アンサラー王国
      1. ミハイル・カラシニコフ
      2. パーシバル
      3. ドミトリー
    8. エウロパ教団
      1. 教皇
      2. ロワノール大司教
      3. ガハラッド大司教
      4. マルギス大司教
      5. マーテル・ブラインド(マーテル司教)
      6. ロッホサイド・バーガッシェン(ロッホサイド司教)
    9. 地球の人物・前世・歴史的言及人物
      1. 岡左内定俊(岡左内)
      2. 岡雅晴
      3. 蒲生氏郷
      4. 黒田長政
      5. 森長可(鬼武蔵)
    10. 登場が明確に確認できる集団
      1. 王国軍(バルド陣営 / 王国正規軍 / 王国機動大隊 / アントリム辺境伯軍)
      2. ランドルフ侯爵軍
      3. ノルトランド犬耳族騎兵部隊(獣人兵団 / 獣人騎兵)
      4. ガルトレイク猫耳族部隊
      5. トリストヴィー公国軍(近衛騎士団 / 宮廷魔法士団 / 近海艦隊 / 公国第一艦隊)
      6. トリストヴィー海運ギルド艦隊
      7. マジョルカ王国艦隊
      8. サンファン王国艦隊
      9. アンサラー王国支援艦隊
      10. エウロパ教団(特別矯正部 / 円卓の大司教会議 / 近衛兵)
      11. オスト家暗殺部隊(ヴァレリーの諜報部隊 / スイーパー)
      12. 反大公勢力(マウリッツ同盟軍 / フィオレンティーナ同盟軍)
  7. 展開まとめ
    1. 第一章
    2. 第二章 落日の公国
    3. 第三章 未来への進軍
    4. 第四章 公都燃ゆ

物語の概要

■ 作品概要

コンティネッリ攻防戦後、バルドは棒火矢の爆撃から生還したものの重傷を負い、マルベリーで療養することになった。
その間にトリストヴィー公国ではベルナルディ公太子とバティスタが殺害され、ヴァレリーが宰相へ就任する。
一方、海上ではウラカ、ホセ、バルバリーノの連合艦隊が公国・アンサラー連合艦隊と決戦し、公国海軍を事実上壊滅させた。
軍事的敗北と平民弾圧によって公国内部の離反が進む中、バルドは二万の王国軍を率いて総反撃を開始する。東方ではサツキとラミリーズがモレッティ城とシルヴァ軍を破り、王国軍は公都ミリアーナを包囲した。
最後の市街戦では王門を再び封じられるが、ラミリーズがオルテンを討ち取り、大公ジャックも捕縛される。
玉座の間ではヴァレリーが最後の謀略を実行し、アウグストに討たれた。バルドは新たなトリストヴィーの国王として、エウロパ教団との戦いを宣言する。

■ 主要キャラクター

主要登場人物

バルド・アントリム・コルネリアス
  • 立場・所属:トリストヴィー王国側を率いる王太子。獣人の血を引き、王門を使用できる。
  • 主人公との関係:主人公本人。
  • この巻での主な役割:重傷から復帰した後、公国攻略の総指揮を執り、二万の王国軍を三方面へ展開してミリアーナへ進軍した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:ミハイル戦で死にかけた経験から、指揮官として生き残る責任を改めて自覚した。マウリッツの襲撃からアウグストを守り、ミリアーナ攻略後はヴァレリーの意図を理解したうえで、その死を受け入れた。巻末では自らをトリストヴィー国王と位置づけ、エウロパ教団との対決を宣言した。
シルク
  • 立場・所属:ランドルフ侯爵家の令嬢。ランドルフ侯爵軍を率いる。
  • 主人公との関係:バルドの婚約者となる立場にあり、この巻では互いの愛情を明確に確認した。
  • この巻での主な役割:重傷を負ったバルドを看病し、その後は中央軍でバルドとともに公都攻略へ参加した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:ミリアーナ包囲中にバルドから愛を告げられ、二人は口づけを交わした。市街戦ではランドルフ侯爵軍を率いて、王門を封じられたバルドを守った。
アウグスト
  • 立場・所属:マルベリー七元老の若き議長。ヴァレリーとイズンの息子。
  • 主人公との関係:バルド陣営の政務・情報面を支える重要人物。
  • この巻での主な役割:重傷を負ったバルドの治療体制を整え、公国から投降してきたマウリッツの行動がヴァレリーの仕掛けた罠だと見抜いた。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:父ヴァレリーの思考を理解することでマウリッツの謀略を阻止し、最終的には玉座の間でバルドを襲おうとした父を自らの剣で討った。
ヴァレリー
  • 立場・所属:オスト侯爵。ベルナルディ死後にトリストヴィー公国宰相へ就任した。
  • 主人公との関係:公国側の敵対者でありながら、バルドへ旧体制を終わらせる役割を求めていた。
  • この巻での主な役割:ベルナルディや息子バティスタの死まで利用して公国中枢へ復帰し、貴族の離反やマウリッツの偽装帰順などを仕掛け、バルドが人間の悪意へ対処できるか試した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:最終局面ではジャックを捕縛し、自ら聖遺物を使ってバルドを襲撃した。アウグストに討たれた後、バルドが自分の執念を理解していたことを知り、後事を託して死亡した。
ラミリーズ
  • 立場・所属:王国軍の将軍。
  • 主人公との関係:バルドから一方面の軍を任される主要指揮官。
  • この巻での主な役割:サツキとともに東方攻略を担当し、モレッティ城を利用してシルヴァ軍を罠へ誘い込んだ。ミリアーナではオルテンと最後の決闘を行った。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:かつての親友オルテンを、自身がバルドとの戦いで学んだ膝搦めによって破り、その最期を看取った。
サツキ
  • 立場・所属:猫耳族の王門所有者。ガルトレイクから到着した猫耳族兵二千を指揮した。
  • 主人公との関係:バルドを支える獣人側の主要人物。
  • この巻での主な役割:ラミリーズとともに東方方面軍を担当し、猫耳族の身体能力を生かしてモレッティ城を夜襲した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:城壁を突破して守備隊を制圧し、モレッティ伯爵を生け捕りにした。その後、城を利用した罠によってシルヴァ軍撃破へ貢献した。
オルテン
  • 立場・所属:トリストヴィー公国大将軍兼元帥。
  • 主人公との関係:バルド率いる王国軍と最後まで戦う公国軍の最高指揮官。
  • この巻での主な役割:ベルナルディ暗殺後に公都へ呼び戻され、公国軍を再編してミリアーナ防衛を担当した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:影武者と煙幕を利用して王国軍を市街へ誘い込み、ヴァレリーや教団の王門封じと連携してバルドを討とうとした。最後はラミリーズとの決闘に敗れて死亡した。
ウラカ
  • 立場・所属:マジョルカ王国海軍卿。ラ・マンチャ号を旗艦とする艦隊を率いる。
  • 主人公との関係:バルド陣営に協力する海上戦力の主要指揮官。
  • この巻での主な役割:ホセ、バルバリーノと連携し、公国・アンサラー連合艦隊との決戦へ参加した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:ホセの煙幕を利用して敵の棒火矢をかわし、操船技術によって至近距離へ接近して火炎放射器による攻撃を成功させた。
ホセ
  • 立場・所属:サンファン王国海軍卿。
  • 主人公との関係:バルド側を海上から支援する指揮官。
  • この巻での主な役割:リガ奇襲後にウラカと合流し、敵の棒火矢へ対抗するため泥炭と油脂を利用した煙幕作戦を考案した。
  • この巻で起きた重要な変化や行動:煙幕によって棒火矢の射程優位を無効化し、ウラカと連携してアンサラー艦隊を壊滅させた。

書籍情報

異世界転生騒動記 11
著者:高見梁川 氏
イラスト:りりんら  氏
出版社:アルファポリス
発売日:2017年11月3日

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あらすじ・内容

三人の魂が合体!累計30万部突破の大人気ファンタジー戦記、第11巻!

異世界マウリシア王国に生まれた貴族の少年、バルド・コルネリアス。なんとその身体の中には、バルドとしての自我に加え、守銭奴戦国武将・岡左内と、ケモ耳大好きなオタク高校生・岡雅晴の魂が共存していた――。 トリストヴィーの支配権を巡るパワーバランスがバルド陣営有利へと傾き、長きにわたる内戦はいよいよ最終局面を迎えつつあった。兵力に勝る公国軍の相次ぐ敗北に、動揺を隠せない公国貴族たち。さらに動乱の黒幕ヴァレリーの策謀によって、庶民の公国への反感は日増しに高まり、公太子の暗殺事件までもが発生する。内部から崩壊を始めた公国に対し、好機と見て全戦力で出陣するバルド連合軍――未来を懸けた決戦が始まろうとしていた!

異世界転生騒動記11

感想

重傷のバルドが反撃開始!公国を内側から崩した男の思惑

今回印象に残ったのは、公国が外から攻められるだけでなく、内側からも崩れていく展開である。

前巻の戦いで重傷を負ったバルド。すぐに戦線を拡大できる状況ではないが、その間も戦争は止まっていない。

公国貴族たちへの切り崩しが進み、海上では公国艦隊が敗北する。そして、公国の内部には、自国を裏切りながら別の目的に向かって動く男までいる。

最後にはバルドが公都ミリアーナを占領するのだが、そこへ至る過程を読んでいると、戦場で勝つだけでは国を倒せないのだと感じた。

重傷のバルド。それでも戦争は進んでいく

前巻でミハイルを倒したバルドだったが、その直後にエウロパ教団の攻撃を受けて重傷を負ってしまう。

何とか生き延びたものの、マルベリーへ運ばれて療養することになる。

さすがのバルドも、今回はすぐに戦場へ復帰できない。

ただ、本人が動けなくても、周囲の人間たちはそれぞれの役割を果たしている。

海上ではホセとウラカが公国艦隊を相手に戦い、経済面ではセリーナたちが公国への物資供給を利用して揺さぶりをかける。

さらに公国貴族たちも、戦況が悪化するにつれて自分たちの生き残りを考え始める。

これまでのバルドは、自ら戦場に立って状況を変える場面が印象的だった。

しかし今回は、バルドが動けない間にも、これまで築いてきた人脈や戦力が機能していることが興味深かった。

一人で何もかも解決するのではなく、周囲が動くことで戦争が進んでいく。

バルドの勢力が、以前よりも大きくなっていることを感じる展開だった。

公国を追い詰めるのは敵軍だけではない

今回、特に気になったのが公国の内部事情である。

公太子ベルナルディは平民への弾圧を強め、その結果、家族や故郷を失った騎士によって殺害されてしまう。

さらに大公ジャックは、跡継ぎを失ったことで弾圧を激化させる。

いや、そこでさらに弾圧を強めたら、ますます反発されるのではないか。

読んでいて、そう思わずにはいられなかった。

戦争に負けそうだから国民をまとめるのではなく、恐怖によって押さえつけようとする。

その結果、貴族たちまで自分の身を守る方法を探し始めるのだから、国としては相当に厳しい状況である。

しかも、公国海軍の主力まで失われてしまう。

外からの軍事的な圧力に加えて、内部の不信感も大きくなっていく。

公国はバルドに倒される前から、自分たちの行動によって崩れ始めていたのではないか。

そんな印象を受けた。

公国を裏切るヴァレリー。いったい何を考えているのか

今回、バルド以上に気になった人物がヴァレリーである。

息子バティスタを失いながらも、その出来事を利用して大公の信頼を得て、宰相にまで上り詰める。

さらに公国の貴族たちを利用し、裏切りや粛清につながる工作を進めていく。

表向きは大公に仕えているのに、実際には公国の旧体制を終わらせようとしている。

この男、いったいどこまで計算しているのだろうか。

特に印象的だったのは、マウリッツを利用した工作が息子アウグストに見破られた場面である。

普通なら計画の失敗を悔しがりそうなものだが、ヴァレリーは息子が自分の策を見抜いたことに満足している。

ここで、単純に敵を陥れたいだけの人物ではないことが見えてくる。

最終的には、ヴァレリー自身がバルドを襲撃し、アウグストの剣によって命を落とす。

自分が死ぬことまで含めて、旧体制を終わらせるつもりだったというのだから、何とも複雑である。

しかも、その直後には妻イズンまで後を追ってしまう。

公国が滅びるという大きな出来事の裏で、一つの家族も終わりを迎えてしまった。

アウグストにとっては、父の計画を見抜き、最後には自らの手で父を討つことになったわけである。

国の未来のためとはいえ、ずいぶん重い役割を背負わされたものだと感じた。

公国貴族への三つの選択肢が現実的だった

療養を終えたバルドは、二万の将兵を率いて公都ミリアーナへの進軍を開始する。

ここからは、いよいよ反撃が本格化する。

サツキたちによるモレッティ城への夜襲や、ラミリーズによる公国軍の撃破など、戦闘面でも見どころが続く。

ただ、個人的に興味深かったのは、公国貴族たちへの対応である。

バルドは降伏を求める貴族に対し、領地を没収されて新たな立場で働くか、財産の一部を持って国外へ亡命するか、それとも戦うかという三つの選択肢を示す。

降伏したからといって、これまでの地位や領地がそのまま保証されるわけではない。

かといって、すべての貴族を処刑するわけでもない。

このあたりは、戦争に勝った後の統治まで考えた対応なのだろう。

特に、平民への弾圧が続いていた公国で、これまでの貴族の特権をそのまま認めてしまえば、何のために戦ったのか分からなくなる。

戦場で勝つことと、その後に国を治めることは別問題である。

今回のバルドは、その両方に向き合っているように感じた。

公都ミリアーナを占領。それでも簡単には終わらない

王国軍はついに公都ミリアーナを包囲する。

しかし、オルテンも簡単には敗れない。

影武者を利用して王国軍を市街へ誘い込み、放火によって退路を断ち、さらにエウロパ教団の聖遺物でバルドの王門を封じる。

ここまで追い詰められた状況でも、オルテンは最後まで戦おうとする。

そのオルテンを討ち取るのが、旧知のラミリーズという展開も印象に残った。

そして大将軍を失ったジャック大公は逃亡を図るが、待ち構えていたヴァレリーに捕らえられてしまう。

最後まで大公に仕えているように見えた男が、大公自身を捕縛する。

何とも皮肉な結末である。

こうしてバルドは公都を占領し、トリストヴィー公国との戦いは大きな区切りを迎える。

ただし、ここで物語そのものが終わるわけではない。

エウロパ教団はこれまでもバルドの命を狙い、王門を封じる聖遺物を戦場へ持ち込んでいた。

公国との戦争が終わっても、こちらとの対立は残っている。

むしろ、次は教団との戦いが本格化するのだろうか。

まとめ|公国を倒したのは軍事力だけではなかった

『異世界転生騒動記11』は、重傷を負ったバルドの療養から始まり、公都ミリアーナの占領までが描かれる一巻だった。

今回読んでいて感じたのは、国が滅びるときは、外からの攻撃だけでなく、内部の問題も大きく関わっているということである。

平民への弾圧を強める大公、保身に走る貴族たち、そして自国の旧体制を終わらせようとするヴァレリー。

バルドが軍を進める以前から、公国はさまざまな問題を抱えていた。

その一方で、バルド側は本人が重傷で動けない間も、海軍や商人、各部隊がそれぞれ動いていた。

この対比が興味深かった。

そして、最後まで気になったのはヴァレリーである。

自分の命だけでなく、息子に父を討たせるところまで計画に含めていたのだとしたら、何ともやりきれない。

公国を占領して一つの戦争は終わった。

しかし、エウロパ教団との対立はまだ残っている。

バルドが次にどのような戦いを始めるのか。公国を手に入れた後の展開も気になるところである。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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騒動記10レビュー
まとめ
騒動記12レビュー

考察・解説

ストーリー・プロット

第1幕:ベルナルディ暗殺とバルドの生還

コンティネッリへオルテンとミハイルが出陣した後、公都ではベルナルディ公太子が反抗する平民への処刑を拡大していた。公国への反抗を連座制で抑え込もうとし、その結果として数千人が処刑されていた。

その犠牲者の中には、マルベリーの戦いで公国軍として戦った平民出身の騎士の故郷も含まれていた。騎士は両親や幼なじみまで殺され、その首が公都に晒されたことを知り、ベルナルディへの復讐を決意する。偶然バティスタの護衛としてベルナルディの私邸へ入る機会を得ると、警護が薄くなった隙にバティスタとベルナルディを斬殺した。

息子を失った大公ジャックは平民へのさらなる報復を命じる。そこへヴァレリーが現れ、自身も息子バティスタを失った立場を利用してジャックの信頼を得た。ヴァレリーはオスト侯爵へ陞爵し、宰相に就任する。

一方、ミハイルを討った直後に棒火矢の爆撃を受けたバルドは、爆発の瞬間に身体を限界まで強化し、フリクションゼロで減速せずに離脱していた。岩へ激突して多数の骨折を負ったものの生還し、ギッツェに救出される。その際、教団が残した王門封じの聖遺物も回収された。

第2幕:海上決戦と公国海軍の壊滅

バルドがマルベリーで療養する間、公国内では王国側の諜報網がヴァレリー配下によって次々と寸断された。情報員カメオの前には「オストの影刃」カリラが現れ、バルドへ「悪意が足りぬ。我が悪意を見るがよい」というヴァレリーの伝言を託した。

同じ頃、海上ではリガを失った公国海軍が決戦を急いでいた。フェデリーゴ率いる公国第一艦隊はパーシバル率いるアンサラー艦隊と合流し、ウラカ、ホセ、バルバリーノの連合艦隊と対峙する。敵側は射程の長い棒火矢を持ち、通常の接近では王国側が一方的に攻撃される状況だった。

これに対しホセは泥炭と油脂を燃やして海上に濃密な煙幕を作り、棒火矢の照準を妨害した。ウラカはラ・マンチャ号で煙幕から飛び出し、敵の棒火矢を一斉に自分へ撃たせたうえで急旋回して回避する。直後にマジョルカ艦隊が至近距離へ突入し、火炎放射器でアンサラー艦隊を焼いた。続いてサンファン艦隊も攻撃し、アンサラー側は四隻を残すのみとなった。

公国艦隊はパーシバルを逃がすため殿を務める。フェデリーゴは公国艦隊を率いてウラカたちを阻止し、パーシバルはドミトリーの進言を受けて撤退した。最後まで戦ったフェデリーゴと公国海軍主力は壊滅し、公国は海上戦力の大半を失った。

第3幕:公国内部の離反とマウリッツの偽装帰順

海軍壊滅によって公国の敗色が強まると、中部のナポリー伯ヴァステッドは自領を守る方法を探し始めた。そこへヴァレリー配下の商人マクモナスが接近し、内務卿フィオレンティーナ侯スピノザが王国と内通しているという情報を流した。

ナポリー伯がフィオレンティーナ侯へ助力を求めると、侯の執事からバルドの署名が入った領地安堵状を渡される。しかし、この書状を利用して動いたナポリー伯はヴァレリー配下に捕らえられ、公都へ連行された。ジャックの前でナポリー伯がフィオレンティーナ侯を告発すると、侯は公国敗北後にジャックを安全に逃がすため王国との交渉を試みていたことを明かす。だが、ジャックは裏切りと受け取り、両者の処刑を命じた。

父フィオレンティーナ侯の死を知ったマウリッツは反旗を翻し、ブレダ城を焼いて兵二千三百と脱出した。その後、王国側へ投降し、父の仇を討つため先鋒を務めたいと申し出る。

しかしアウグストは、この帰順がヴァレリーの仕掛けた罠であると見抜いた。マウリッツから兵の指揮権を取り上げると告げると、計画を潰されたマウリッツは隠し武器でアウグストを襲う。バルドは王門を発動させ、アウグストへ刃が届く前にマウリッツを斬り伏せた。同行した兵も武装解除され、ヴァレリーの工作は失敗した。

第4幕:王国軍の総反撃とモレッティ城攻略

公国軍の敗北と内部崩壊を受け、バルドは約二万の王国軍をマルベリーへ集結させ、総反撃を開始した。西方沿岸部にはギッツェ率いる犬耳族騎兵、中央にはバルドとシルクの本隊、東方にはラミリーズとサツキ率いる猫耳族を配置する。ブルックスの王国機動大隊は中央方面の遊撃を担当した。

公国側には四万を超える陸軍が残っていたが、平民兵の士気は低下していた。オルテンは公都守備を維持しながら各方面へ対処するため、参謀シルヴァに八千を与えて東方のモレッティ領へ派遣する。

その前にサツキ率いる猫耳族は夜間にモレッティ城へ接近した。猫耳族は城壁を直接駆け上がって内部へ侵入し、サツキは王門を解放して守備兵を突破する。守備隊長を倒した後、モレッティ伯爵を生け捕りにして城を制圧した。

翌日、到着したシルヴァ軍に対し、王国側は捕虜となったモレッティ伯爵を利用して城内へ誘い込んだ。四千が入城したところで跳ね橋を上げ、部隊を分断する。ラミリーズと猫耳族が城内の兵を攻撃し、城外に残った四千もサツキたちに奇襲された。脱出しようとしたシルヴァはラミリーズの射手による弩の一斉射撃を受けて死亡し、東方軍は崩壊した。

第5幕:降伏貴族の選別とミリアーナへの進軍

各地で王国軍の勝利が続くと、公国貴族の間では降伏を求める動きが増加した。しかし、その中には公国による平民虐殺へ加担した者や、状況が不利になったためだけに寝返ろうとする者も多かった。

バルドは降伏した貴族を無条件では受け入れなかった。領地を失ったうえで能力に応じた立場から王国へ仕える、馬車三台分までの財産を持って国外へ亡命する、その場で敵として戦うという三つの選択肢を提示する。多くの貴族は国外亡命を選び、一部の若い貴族は領地を捨てて王国へ仕える道を選んだ。

その一方、公都ではジャックの統治がさらに不安定となり、処刑命令が繰り返されていた。ヴァレリーはエウロパ教団のロッホサイド司教と接触し、公国の敗北が避けられない状況を示したうえで、教団が保有する王門封じの聖遺物を引き出す。

王国軍はそのまま公都ミリアーナへ進み、三方向から包囲した。包囲中、シルクは母の故郷であるミリアーナを見ながらバルドと話し、バルドから愛を告げられる。二人はこれまでの出会いと歩みを確認し、口づけを交わした。

第6幕:ミリアーナ市街戦とラミリーズ対オルテン

長期包囲に耐えられなくなったジャックの要求を受け、オルテンは公国軍を城外へ出した。ただし正面から決戦するのではなく、王国軍を市街へ誘い込むことを目的としていた。

公国軍は刺激臭を発する煙幕で獣人の嗅覚を一時的に封じた。さらにオルテンに似た影武者が矢を受けて退却したように見せかけ、王国軍に追撃させる。ラミリーズは影武者と見抜いていたが、バルドは罠ごと突破して早期決着を図り、市内へ入った。

中央公園広場まで王国軍が進んだところで、公国軍の精鋭が反撃を開始する。ヴァレリー配下は市内各所へ放火して退路と部隊間の連携を妨害し、エウロパ教団の聖遺物によってバルドとジーナの王門も封じた。公国軍の狙いは軍全体ではなくバルドの首であり、シルク率いるランドルフ侯爵軍が盾となってこれを防いだ。

乱戦の中で、ラミリーズとオルテンは直接対決する。二人は長年互いの手の内を知っており、戦いは拮抗した。しかしラミリーズには、以前バルドとの戦いで受けた組打術・膝搦めという新たな手段があった。ラミリーズはオルテンの軸足を崩して倒し、その胸へ剣を突き立てた。致命傷を負ったオルテンは親友ラミリーズに言葉を残し、死亡した。

第7幕:ヴァレリーの最期と新たなトリストヴィー

オルテンの戦死によって公都防衛は崩壊した。ジャックは財宝を抱え、寝室の隠し通路から逃亡しようとする。しかし通路の先にはヴァレリーとカリラの部隊が待ち構えており、護衛を排除してジャックを捕らえた。

制圧された玉座の間へ、ヴァレリーは捕らえたジャックを連れて現れる。そこでヴァレリーは獣人の血を引くバルドの即位を阻止するという名目を掲げ、教団から得た聖遺物のマントを使用して王門を封じ、自ら小剣でバルドを襲撃した。

カリラが周囲の護衛を妨害する中、ヴァレリーの胸を背後から貫いたのはアウグストだった。ヴァレリーは息子に討たれたことを、自分の予想を超えた成長として受け入れる。

バルドは倒れたヴァレリーへ、その執念を褒めることはできないが理解したと伝え、曾祖父ヴィクトールの墓の隣へ葬ると告げた。ヴァレリーは、バルドとアウグストの間に自分がかつて築けなかった主従の信頼が存在することを知り、二人へ未来を託して死亡した。

その後、イズンは夫ヴァレリーの遺体へ寄り添い、彼が残した小剣で自らの心臓を貫いて死亡した。両親を失ったアウグストを前に、バルドは自らを新たなトリストヴィー国王と位置づけ、即位を認めないエウロパ教団と戦い抜き、世界を変えると宣言した。

主要な転換点

転換点:ベルナルディ公太子の暗殺
  • それ以前の状況: ベルナルディは公国の後継者として平民弾圧を拡大し、反抗を連座制で抑え込んでいた。
  • 出来事: 家族と幼なじみを殺された平民出身の騎士がベルナルディの私邸へ入り、バティスタとベルナルディを殺害した。
  • 変化: ジャックは唯一の息子を失い、統治判断をさらに苛烈なものへ変えた。同時にヴァレリーが公国中枢へ復帰する機会が生じた。
  • 次への影響: ヴァレリーが宰相、オルテンが大将軍兼元帥となり、公国の最終体制が形成された。
転換点:公国・アンサラー連合艦隊の敗北
  • それ以前の状況: 公国はリガを失ったものの、アンサラー王国の援軍と棒火矢によって海上戦力を維持していた。
  • 出来事: ホセの煙幕とウラカの操船、火炎放射器を組み合わせた攻撃によってアンサラー艦隊が壊滅し、フェデリーゴ率いる公国艦隊も殿軍となって全滅した。
  • 変化: 公国は主要な海上戦力を失い、軍事的な敗色が決定的に強まった。
  • 次への影響: 公国貴族の離反と生き残りを模索する動きが加速した。
転換点:アウグストによるマウリッツの謀略看破
  • それ以前の状況: 公国からの離反者が増え、王国側は投降者を受け入れる場面が増えていた。
  • 出来事: 父を処刑されたマウリッツが兵二千三百を率いて王国へ投降したが、アウグストがヴァレリーによる偽装帰順だと見抜いた。
  • 変化: マウリッツは正体を現してアウグストを襲ったが、バルドに討たれた。
  • 次への影響: バルド陣営は単純な軍事力だけでなく、投降者の内部工作にも警戒する必要があることが明確になった。
転換点:モレッティ城とシルヴァ軍の壊滅
  • それ以前の状況: 公国にはなお四万を超える陸軍が残り、東方にはシルヴァの八千が派遣されていた。
  • 出来事: サツキがモレッティ城を先に制圧し、翌日到着したシルヴァ軍を城内外へ分断してラミリーズとともに撃破した。
  • 変化: 東方の公国軍が崩壊し、王国軍の公都への進路が開いた。
  • 次への影響: 公国貴族の降伏が増加し、王国軍はミリアーナ包囲へ進んだ。
転換点:オルテンによるミリアーナ市街への誘引
  • それ以前の状況: 王国軍は公都を包囲していたが、市街を正面から攻略する必要はなかった。
  • 出来事: オルテンが影武者と煙幕を使って敗走を装い、王国軍を市内へ誘い込んだ。
  • 変化: 市街の放火と王門封じによって王国軍は分断され、バルド自身が公国精鋭の攻撃対象となった。
  • 次への影響: 戦いは軍同士の攻防から、バルドと公国中枢の直接対決へ移った。
転換点:ラミリーズによるオルテン撃破
  • それ以前の状況: オルテンは公国軍を率いる最後の中心的な軍事指揮官として抵抗を続けていた。
  • 出来事: ラミリーズがバルドから学んだ膝搦めを使い、かつての親友オルテンへ致命傷を与えた。
  • 変化: 公国軍は最高指揮官を失い、ミリアーナ防衛は崩壊した。
  • 次への影響: ジャックは逃亡を図り、王国軍は公国中枢を制圧する段階へ入った。
転換点:ヴァレリーの死とバルドの宣戦布告
  • それ以前の状況: ヴァレリーは公国を内部から崩壊させながら、最後まで表向きはバルドの敵として行動していた。
  • 出来事: 玉座の間でバルドを襲ったヴァレリーを、息子アウグストが討った。
  • 変化: バルドはヴァレリーの執念と目的を理解し、旧公国を終わらせた責任を引き受ける立場となった。
  • 次への影響: バルドはトリストヴィー国王として、王門と自身の即位を敵視するエウロパ教団との戦いを宣言した。

バルドを中心とした人物関係の変化

シルク
  • 開始時: シルクは重傷を負ったバルドを看病し、彼の回復を強く気にかけていた。
  • 主な出来事: 王国軍の総反撃では中央軍をともに率い、ミリアーナ包囲中にはバルドがシルクへ明確に愛を告げた。二人は互いの気持ちを確認して口づけを交わした。
  • 巻末時: 政治・軍事面でバルドを支えるだけでなく、互いに愛情を明確に言葉と行動で確認した関係となった。
アウグスト
  • 開始時: アウグストはマルベリー側の政務と情報活動を支える人物であり、バルドから重要な役割を任されていた。
  • 主な出来事: アウグストは父ヴァレリーの思考を読み、マウリッツの偽装投降を見破った。襲撃された際にはバルドが即座にマウリッツを斬り、「必要な人材」としてアウグストを守った。
  • 巻末時: アウグストは父ヴァレリーを自ら討った。ヴァレリー自身も、バルドとアウグストの間には自分が主君との間で築けなかった信頼関係があると認識して死亡した。
ヴァレリー
  • 開始時: ヴァレリーは公国宰相としてバルドと敵対し、諜報網の破壊や内部工作を進めていた。
  • 主な出来事: ヴァレリーはマウリッツの偽装帰順や王門封じなどを通じ、バルドが人間の悪意へ対応できるかを試し続けた。最後は自らバルドを襲撃し、アウグストに討たれた。
  • 巻末時: バルドはヴァレリーの手段を肯定しなかったが、その執念と目的を理解した。ヴァレリーも、バルドとアウグストなら未来を託せると認識して死亡した。

主人公の認識と周囲の評価

主人公自身の認識

バルドはミハイル戦で重傷を負ったことについて、死に瀕するようでは一国を預かる指揮官として失格だと自覚していた。その一方、相討ちを避けて生き延びるため無謀な行動を選んだ結果として生存できたことも認めている。

前巻で左内から言われた「死ぬ覚悟に勝つには、より強い生きる覚悟で臨まなければならない」という考えを、この巻では自分自身の経験として理解していた。個人として敵と戦うだけではなく、王として生き残り、兵や国を率いることを自分の責任として捉えるようになっている。

周囲からの評価

ギッツェをはじめとする獣人たちは、バルドを自分たちの王として見ており、爆撃によって死亡した可能性が生じた際には、王国軍そのものが崩壊しかねないほど強くその存在へ依存していた。

公国から投降した貴族たちは、当初は若く獣人の血を引くバルドを軽視していた者もいたが、直接対面すると王太子という肩書だけではなく、バルド個人が持つ武力と威圧感を認識していた。

ヴァレリーはバルドを王として高く評価する一方、英雄であるがゆえに他人の悪意を軽く見ていることを弱点として警戒していた。そのため、自身の謀略を通して悪意への対処を学ばせようとしていた。

認識の差が現れた場面

バルド自身はミハイル戦後、自分が死にかけたことを指揮官としての失態と捉えていた。しかしギッツェら獣人にとってバルドは軍を率いる一指揮官以上の存在であり、彼が死亡すれば獣人兵団や王国軍そのものが成立しなくなるほど中心的な王として認識されていた。

また、バルドは軍事力で公国を破ることには対応していたが、ヴァレリーはそれだけでは新しい国を治められないと考えていた。マウリッツの事件では、バルドではなくアウグストが偽装帰順を見破ったことで、軍事的な強さとは別に、人間の悪意を見抜く人材がバルドの周囲に必要であることが具体的に示された。

巻末では、バルドがヴァレリーの目的を理解していたことが明らかになった。ヴァレリーは最後まで自らを悪役として処理させるつもりだったが、バルドはその行為を肯定することなく、彼が背負ってきた執念だけは理解していた。これによりヴァレリーは、バルドとアウグストへ新しいトリストヴィーを託せると判断して生涯を終えた。

公国軍の壊滅

異世界転生騒動記第11巻では、トリストヴィー公国軍が海洋戦力の完全喪失、地方要衝での大敗と将官の戦死、貴族層の内部崩壊、そして公都決戦での総大将の討死という一連のプロセスを経て、完全に壊滅・解体される様子が描かれている。本稿では、その崩壊に至る主な経緯と構造について解説する。

マルマラ海海戦での公国海軍の完全壊滅

リガ軍港の喪失に続き、公国海軍に残された最後の主力である第一艦隊は、アンサラー王国支援艦隊と共にマルベリー連合艦隊との最終決戦に挑んだ。しかし、敵が展開した濃密な煙幕と神業的な操船術、至近距離からの火炎放射器の猛威により、連合艦隊は壊滅的な打撃を受けた。フェデリーゴ提督は敗色が濃厚となる中、アンサラー艦隊を本国へ反転脱出させるための全軍の盾となって壮絶な戦死を遂げた。これにより公国海軍というシーパワーは完全に消滅し、海上からの補給や救援の道が途絶えることとなった。

東方モレッティ領の惨敗と参謀シルヴァの討死

大将軍オルテンの命を受け、参謀シルヴァ将軍率いる8000の精鋭部隊が要衝モレッティ領へ進軍した。しかし、到着前にサツキ率いる猫耳族とラミリーズ率いるアントリム軍による隠密性の高い夜襲を受け、モレッティ城は瞬く間に落城していた。事情を知らず城内に入った公国軍4000は分断され、狭い空間を活かした猫耳族の立体機動によって一方的に蹂躙された。さらに城外の4000も突撃を受けて大パニックに陥り四散した。シルヴァはオルテンへ脅威を伝えるべく背を見せて逃走を図ったが、ラミリーズの指示した弩の一斉射撃を浴びて倒れ、東方戦線の公国軍は一機で壊滅した。

偏った経済封鎖とフィオレンティーナ侯処刑による内部崩壊

相次ぐ大敗に加え、ダウディンググループによる意図的な経済封鎖によって領地の疲弊と疑心暗鬼が公国全土へ拡大した。さらに、公国最高の忠臣であったフィオレンティーナ侯スピノザが大公ジャックの猜疑心によって処刑されたことで、国内貴族の動揺は決定的なものとなった。跡を継いだマウリッツの反旗や、雪崩を打った貴族たちの降伏・国外亡命により、公国の統治機構と地方支配網は内側から完全に瓦解した。

公都ミリアーナ決戦とオルテン大将軍の討死

バルド率いる2万の王国軍が公都ミリアーナを包囲する中、大公ジャックの狂乱を受けた大将軍オルテンは乾坤一擲の決戦を敢行した。オルテンは影武者を用いてバルド軍を城内へ誘い込み、中央公園広場にて市街地の放火と聖遺物を併用した突撃を仕掛け、局地的な優勢を作り出した。しかし、最前線で親友ラミリーズとの一騎打ちに臨んだオルテンは、バルド直伝の体術を交えた剣技の前に破れ、胸を刺されて戦死した。公国軍の精神的支柱であったオルテンの死により、組織的抵抗は完全に潰走へと変わった。

公国体制の幕引きと終焉

オルテンの討死を知った大公ジャックは財宝を抱えて隠し通路から逃亡を図ったが、宰相ヴァレリーと暗殺部隊に捕縛された。制圧された玉座の間にてバルドがトリストヴィーの新たな支配者として君臨し、ヴァレリーらの死と共にトリストヴィー公国は完全に滅亡と解体を迎えた。

ヴァレリーの謀略

『異世界転生騒動記11』において描かれるオスト伯ヴァレリーの謀略は、自らを劇薬と化して旧弊なトリストヴィー公国とその貴族体制を根底から解体し、新時代を担う英雄バルドへ無垢な土地を遺すための、壮大かつ冷徹な自滅的暗闘である。

ヴァレリーの行動の根底には、かつて亡き親友ヴィクトール・パザロフと共に描いた旧態依然とした貴族社会と腐敗体制の打倒という理想が存在した。彼はバルドという本物の英雄の登場を見届けたことで、自らが最大の悪意を一身に背負い、不平貴族や大公ジャックらを道連れに絶滅させることで、バルドに過去の泥を一切持ち込ませない正統で無垢な国家を渡すことを決意した。

公国政権の掌握において、ヴァレリーは公太子ベルナルディに過酷な平民弾圧を推し進めさせ、家族を失った騎士の怨嗟と復讐心を誘発することで、ベルナルディおよび自身の息子バティスタの暗殺へと誘導した。さらに、即死したバティスタの死を公太子を守るための挺身として大公ジャックに吹き込み、息子の死すら冷酷に利用してジャックの絶大な信頼を獲得し、オスト侯爵への陞爵と公国宰相の全権を手に入れた。

忠臣の抹殺と貴族層の自滅では、かつてパザロフ家に仕えた手先を使い、公国最高の忠臣である内務卿フィオレンティーナ侯が裏で王国と接近しているかのような罠を仕掛けた。物資供給の意図的な偏りと貴族たちの不満や嫉妬を煽ることで、大公ジャックの猜疑心を破滅的に暴走させ、フィオレンティーナ侯の処刑を断行させて公国内部を壊滅的な疑心暗鬼へ落としこんだ。また、父を失った息子マウリッツをバルドへの偽りの投降刺客として送り込み、貴族層全体の不信感を確定させようと企んだが、これは実子アウグストの手で見破られ失敗に終わった。

エウロパ教団の引きずり出しと最期の幕引きにおいて、ヴァレリーは教団のロッホサイド司教から聖遺物を引き出し、教団をバルドとの対立構造へ決定的に引きずり出した。公都ミリアーナの攻防戦では自ら市街地に放火して乱戦を作り出し、脱出通路から密かに逃亡を図った大公ジャックを捕縛して玉座の間でバルドに引き渡した。最後は獣人の即位を認めない教団の狂信者という最後の大悪役を演じて聖遺物のマントを起動し、バルドに襲いかかることで実子アウグストに自らを斬らせる道を選んだ。

臨終の際、バルドから曾祖父ヴィクトールの墓の隣に葬ると耳元で告げられ、自身の手法を理解し乗り越えた息子アウグストとバルドの器量に晴れ晴れとした満足の笑みを浮かべて息絶え、妻イズンも後を追って殉死した。このように、ヴァレリーの謀略は自らの命を投げ出すことによって旧体制を完膚なきまでに葬り去り、新しい秩序の礎を築くための緻密かつ悲壮な計算に基づいていた。

王国軍の進軍

『異世界転生騒動記11』において描かれる王国軍の進軍は、圧倒的な士気と緻密な多角攻勢、そして公国側の内部崩壊を誘発する見事な政治および軍事戦略によって繰り広げられる。

マルベリー出陣演説と軍勢配置 

バルドはマルベリーの城壁にて、集結した約2万の将兵を前に出陣の演説を行い、全軍の士気を絶頂に高めた。軍勢はそれぞれの特性に応じて3方向に配置される。

  • 西方沿岸部では、ギッツェ率いるノルトランド犬耳族騎兵が一撃離脱の機動力を生かして楔を打ち込む。
  • 中央では、バルド自らとシルクが率いる本隊が進軍して兵站構築と住民慰撫を行い、ブルックス率いる機動大隊が強襲偵察を担当する。
  • 東方沿岸部では、サツキ率いるガルトレイク猫耳族とラミリーズ率いるアントリム軍が制圧へ向かう。
東方戦線:モレッティ領攻略の電撃戦 

東方を進軍したサツキとラミリーズの部隊は、猫耳族特有の無音行軍と垂直な城壁を駆け上がる身体能力を生かし、要衝モレッティ城へ深夜の隠密奇襲を敢行した。王門を開放したサツキが守備隊を一瞬で無力化し、領主を生け捕りにして瞬く間に城を制圧する。 翌日、モレッティ領の救援に訪れた公国軍参謀シルヴァ将軍率いる8,000の精鋭に対し、ラミリーズは城内に4,000を引き入れて跳ね橋を上げ、部隊を完全に分断した。狭い城内で猫耳族が壁や天井を使った立体機動で公国軍を圧倒し、城外の残余も突撃によって潰走させる。逃亡を図ったシルヴァもラミリーズの指示した弩の一斉射撃を浴びて討死し、東方戦線の公国軍は全滅した。

中央進軍と公国貴族層の解体 

バルドの本隊が中央を進軍するにつれ、公国貴族による平民虐殺や戦況の悪化に絶望した貴族たちが続々と降伏を求めて押し寄せた。 バルドは集まった貴族たちに対し、以下の3つの選択肢を提示する。

  • 死ぬ気で働き手柄を立てる(ただし領地は没収)
  • 馬車3台分の財産を持って国外へ亡命する(残る資産は没収)
  • ここで敵対して決着をつける 大半の貴族が国外亡命を選んだことで公国の地方支配網は内側から崩壊し、残された平民たちは解放者であるバルドの進軍を歓呼の声で迎え入れた。
公都ミリアーナ包囲と最終決戦 

三方向から攻め上がった王国軍は、公都ミリアーナを包囲陣で追い詰めた。大公ジャックの焦りから撃って出てきた公国軍の反撃を利用して城門内へ突入し、市街地での大火や聖遺物による王門封じの罠を突破する。 中央公園広場にてラミリーズが公国の大将軍オルテンを破ったことで公国軍の組織的抵抗は終わりを迎え、王国軍の進軍はトリストヴィー王国の完全再興という結末へと到達した。

オルテンの最期

トリストヴィー公国の大将軍オルテンの最期は、異世界転生騒動記11における公都ミリアーナ決戦のクライマックスであり、かつての親友ラミリーズとの宿命の一騎打ちとして描かれている。

乾坤一擲の付け入りの罠 

自暴自棄となった大公ジャックの焦燥に押されたオルテンは、敗色濃厚な戦局を覆すべく公都ミリアーナでの最終決戦を敢行した。 オルテンは自らに似せた影武者を立てて一旦城門を出撃し、負傷撤退を装うことで、ラミリーズ率いる王国軍を城内の中央公園広場へと誘導した。さらに市街地の分断や聖遺物と連動させ、精鋭部隊とともに局地的な奇襲を仕掛けた。

宿命のライバル・ラミリーズとの一騎打ち

 中央公園広場で待ち構えていたのは、騎士学校時代からの親友でありライバルであったラミリーズであった。 二人はかつての勝敗や青春時代の記憶について軽口を叩き合いながら、互いの技量と癖を知り尽くした激しい打ち合いを繰り広げた。

決着と膝搦め 

互いに一歩も引かない死闘の中、オルテンが回転連撃に備えて軸足に力を込めた瞬間、足元の土壌が沈み体勢が崩れた。 その隙を逃さず、ラミリーズはバルド直伝の体術である組打術膝搦めを繰り出してオルテンの足を絡め取って崩し、そのまま体重を乗せた剣で胸深くを貫いた。

託された誓いと死に様 

致命傷を負ったオルテンは血を吐きながら、どこで俺は間違ってしまったのかなと悔恨を漏らした。ラミリーズが、騎士ではない責任を背負ってしまった、貴様の人のよさゆえにと優しく返すと、オルテンは俺が果たせなかった誓いをお前に託す、さらばだ、友よと言い残し、親友の腕の中で静かに呼吸を引き取った。

公国軍の完全壊滅 

公国軍の唯一の絶対的支柱であったオルテンが戦死したことで、残された公国兵の士気は完全に崩壊し、組織的抵抗は終わりを告げた。オルテンの討死を知った大公ジャックは戦意を完全に失い、隠し通路からの逃亡へと走ることになった。

オルテンの壮絶な最期と親友同士の決着は、長きにわたったトリストヴィー公国の軍事的抵抗に終止符を打つ決定的な転換点となった。

ヴァレリーの死

異世界転生騒動記11において描かれるヴァレリーの死は、自らを旧体制の悪意の集大成と化して旧弊な公国を完全に解体し、英雄バルドに無垢な王国を渡すための壮絶な自滅劇の完結を意味している。

謀略の集大成と大公ジャックの捕縛 ヴァレリーの真の目的は亡き親友ヴィクトール・パザロフと共に誓った腐敗した旧貴族体制の打倒であり、自らが全ての泥を被って滅びることでバルドに一切の禍根を残さないまっさらな土地を遺すことだった。公都ミリアーナが包囲され敗色濃厚となった大公ジャックが寝室の隠し通路から財宝を抱えて見苦しく逃亡しようとした際、ヴァレリーは配下の暗殺部隊を用いて護衛を即座に排除し大公を生け捕りにした。そして自ら制圧した宮殿の玉座の間へ大公を引き立て、新王として玉座に座るバルドと対面した。

最後の大悪役の演技と聖遺物の起動 玉座の間でバルドの器量を絶賛したヴァレリーは旧体制の泥を拭い去る最後の役を完遂するため、エウロパ教団の狂信者という最後の大悪役を演じ始めた。ヴァレリーは獣人の血を引く者をトリストヴィーの王とするわけにはいかないと叫び、教団から脅し取っていた聖遺物を起動して、腕のブレスレットを変形させた小剣を手にバルドへ突撃した。バルド側の護衛が制圧へ動こうとした際には老従者が身を挺して立ち塞がり、主君の最期の舞台を整えた。

息子アウグストによる引導とバルドの言葉 突進するヴァレリーの胸を貫いたのは、バルドの側近として立っていた実の息子アウグストの剣だった。アウグストの手で討たれるという想定外の結末に対し、ヴァレリーは息子の大きな成長と自立を誇らしく感じ笑みを浮かべた。さらに倒れゆくヴァレリーに対し、バルドは聖遺物を剥ぎ取るフリをして身をかがめ、卿の執念褒めることはできないが理解はした、曾祖父ヴィクトールの墓の隣に葬るからあの世での言い訳を考えておけと耳元で静かに告げた。

晴れ晴れとした最期と妻イズンの殉死 バルドの言葉とアウグストの行動によって、ヴァレリーは自身の手法や覚悟がすべて理解され超えられていたこと、そしてバルドと息子の間に揺るぎない信頼関係が築かれていることを悟った。長年にわたる孤独で陰惨な戦いから解き放たれたヴァレリーは皮肉ではない心からの晴れ晴れとした満足の笑顔を浮かべながら静かに息絶えた。直後、妻イズンが広間へ姿を現し夫が握りしめていた小剣を手に取り自らの心臓を貫いてヴァレリーの後を追った。

このようにしてトリストヴィー公国は旧体制の残滓をすべて拭い去り、新たな王国の礎が築かれることになった。

騒動記10レビュー
まとめ
騒動記12レビュー

登場キャラクター

トリストヴィー王国・バルド陣営

バルド・コルネリアス(バルド・セヴァーン・コルネリアス / バルド・アントリム・コルネリアス)

主人公でありトリストヴィー王国の第一位王位継承者を務める。前世と前々世の記憶を併せ持ち、理不尽に立ち向かう強い意志を掲げる。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー王国・第一位王位継承者。アントリム辺境伯。

・物語内での具体的な行動や成果  重傷から回復して二万の全軍へ出陣の演説を行う。公都包囲戦で魔法士の楼閣へ槍を投擲して粉砕する。聖遺物に王門を封じられつつも公都制圧を完遂する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  トリストヴィーの新たな支配者として君臨する。エウロパ教団への宣戦布告を宣言する。

マゴット・コルネリアス(銀光マゴット)

主人公の母親を務める。野性の勘と並外れた身体能力を備える。

・所属組織、地位や役職  コルネリアス辺境伯家・当主夫人。元トリストヴィー王女。

・物語内での具体的な行動や成果  バルドの回想の中で血脈のつながりや高い直感を持つ存在として言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルドの血統のルーツとして影響を残す。

イグニス・コルネリアス

主人公の父親を務める。

・所属組織、地位や役職  コルネリアス伯爵家・当主。伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果  女性への手ほどきや指導法に関してバルドから感謝される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  伯爵家当主として本国を守る。

シルク・ランドルフ

ランドルフ侯爵家の令嬢を務める。主人公を深く愛し自ら軍を率いて支える。

・所属組織、地位や役職  ランドルフ侯爵家・令嬢。バルドの婚約者。

・物語内での具体的な行動や成果  中央を進軍して兵站構築と住民慰撫を担当する。公都包囲の夜にバルドから愛の告白を受けて口づけを交わす。決戦時に自軍を率いてバルドの盾となる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  正妻としての絆を確固たるものへ深める。

ラミリーズ

アントリム軍の総指揮官を務める。老練な用兵家であり武人としての誇りを持つ。

・所属組織、地位や役職  アントリム辺境伯軍・大将軍。

・物語内での具体的な行動や成果  東方戦線で猫耳族とともにモレッティ城を奪取する。城内へ引き入れたシルヴァ軍を分断して射撃で撃破する。中央公園広場で宿敵オルテンを膝搦めで打ち破る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  親友オルテンの最期を看取り誓いを引き継ぐ。

カメオ・トランシン

老練な情報員を務める。

・所属組織、地位や役職  王国情報部・情報員。

・物語内での具体的な行動や成果  公国内の通信網遮断を受けて機密文書と無線設備を破壊する。現れた暗殺者カリラからヴァレリーの伝言を託される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  命を賭した判断で秘匿技術の流出を防ぐ。

ブルックス・アーバイン

機動大隊の指揮官を務める。慎重さと胆力を兼ね備える。

・所属組織、地位や役職  王国軍・機動大隊指揮官。男爵。

・物語内での具体的な行動や成果  騎兵部隊を率いて中央の強襲偵察を担当する。亡命を求めて現れたマウリッツの部隊を捕捉して拘束する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルドの側近として男爵へ昇進を果たす。

アウグスト・ガリバルディ

海運ギルドの最高指導者を務める。冷徹な洞察力で父ヴァレリーの陰謀を追及する。

・所属組織、地位や役職  海運ギルド・第二十四代元老院議長。

・物語内での具体的な行動や成果  マウリッツの降伏をヴァレリーの罠と見抜く。襲いかかったマウリッツの胸を刺して倒す。玉座の間で突進する父ヴァレリーを自らの剣で貫く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ギルド最高指導者として新王国を支える。

ゴドフリート

亡命貴族を務める。現実の厳しさを知り成長を見せる。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー亡命貴族。

・物語内での具体的な行動や成果  降伏を望むプラート伯に対し貴族の特権意識の無意味さを冷たく諭す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  自立した意識を持ち生き抜く姿勢を示す。

トリストヴィー公国

ジャック・アマーディオ・トリストヴィー(大公ジャック)

トリストヴィー公国の君主を務める。疑心暗鬼に囚われて狂乱に陥る。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー公国・大公。

・物語内での具体的な行動や成果  息子の死を受けて全土の平民殺戮を命じる。忠臣フィオレンティーナ侯の処刑を決定する。敗色濃厚となり隠し通路から逃亡を図るがヴァレリーに捕縛される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  玉座の間へ連行され完全に没落する。

ベルナルディ・アマーディオ・トリストヴィー(公太子ベルナルディ)

大公の息子を務める。残虐な平民抑圧を行う。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー公国・公太子(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  見せしめとして数千の平民を殺害する。私邸にて復讐に燃える騎士の襲撃を受け討ち取られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  暗殺により公国の継承構造を崩壊させる。

ヴァレリー・オスト(オスト伯爵ヴァレリー / オスト侯爵ヴァレリー / ベネート・ガリバルディ)

公国の暗部を支配する黒幕を務める。旧体制の完全解体を画策する。

・所属組織、地位や役職  公国宰相。オスト侯爵。

・物語内での具体的な行動や成果  息子の死を利用して宰相の全権を得る。フィオレンティーナ侯を陥れて処刑へ追い込む。逃亡する大公を捕らえて玉座の間でアウグストに自らを斬らせて息絶える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  新時代のため自ら最後の大悪役を演じて散る。

バティスタ・オスト

ヴァレリーの息子を務める。

・所属組織、地位や役職  オスト伯爵家・嫡男(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  ベルナルディの私邸で復讐の騎士により一刀のもとに斬り捨てられる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  死後に父の謀略の道具として利用される。

カリラ・バスク(オストの影刃)

ヴァレリーに仕える暗殺者を務める。無双の密偵技術を誇る。

・所属組織、地位や役職  オスト家暗殺部隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  カメオの前に現れてヴァレリーの伝言を託す。ナポリー伯らを誘拐して公都へ搬送する。玉座の間で身を挺して護衛を止め戦死する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  最期まで主君への忠誠を全うする。

オルテン

公国の大将軍を務める。武人としての熱い魂を保持する。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー公国軍・大将軍兼元帥(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  影武者を立てて王国軍を公都中央公園へ誘導する。市街放火と聖遺物を併用して奇襲を仕掛ける。ラミリーズとの一騎打ちで膝搦めを受けて討ち死にする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  公国軍最後の絶対的支柱として散る。

シルヴァ(シルヴァベルルスコーニ)

オルテンの参謀を務める。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー公国軍・将軍(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  八千を率いて東方モレッティ領へ出撃する。ラミリーズの仕掛けた分断罠に落ちてモレッティ城内で敗北する。逃亡中に弩の一斉射撃を浴びて絶命する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  公国東方軍の壊滅とともに戦死する。

スピノザ・フィオレンティーナ(フィオレンティーナ侯爵スピノザ)

内務卿を務める公国最高の忠臣である。

・所属組織、地位や役職  内務卿。フィオレンティーナ侯爵(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  大公救済のため敗戦時の無抵抗亡命交渉を秘かに進める。ヴァレリーの罠とナポリー伯の告発により捕縛される。大公の不信を買って斬首される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  処刑によって公国貴族層の離反を決定づける。

マウリッツ・フィオレンティーナ

スピノザの息子を務める。高い才能を持つ。

・所属組織、地位や役職  フィオレンティーナ侯爵家・当主(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  父の処刑を受けて反大公勢力を結集する。城を焼いて地下通路から王国へ逃亡する。バルド暗殺を試みるが返り討ちにあい討ち死にする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴァレリーの暗殺謀略の囮として散る。

モンテッラ

フィオレンティーナ家の執事を務める。

・所属組織、地位や役職  フィオレンティーナ家執事。

・物語内での具体的な行動や成果  ナポリー伯にホセの使者到来を吹き込む。バルドの偽造安堵状を渡してナポリー伯の暗躍を誘発する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴァレリーの工作員として仕え裏で動く。

ヴァステッド(ナポリー伯ヴァステッド)

中部沿岸の領主を務める。保身のために奔走する。

・所属組織、地位や役職  ナポリー伯爵家・当主(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  マクモナスやモンテッラの誘導を受けて公国離反を企てる。カリラに拉致されて謁見の間でフィオレンティーナ侯を告発する。大公の命で斬首される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  疑心暗鬼の犠牲となり命を落とす。

バーンズ(モレッティ伯爵バーンズ)

要衝モレッティ領の領主を務める。

・所属組織、地位や役職  モレッティ伯爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果  猫耳族の夜襲を受けて二千の守備兵を一瞬で破られる。サツキに後頭部を殴られて昏倒し生け捕りにされる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  城と領地を失い捕虜となる。

モートン子爵バルバロ

若き公国貴族を務める。

・所属組織、地位や役職  モートン子爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果  特権に固執する父親を隠居させる。バルドの前に膝を折って忠誠を誓う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  領地没収を受け入れて新王国へ残る。

チョリニョーラ男爵ピエリ

公都で官僚を務めた若き貴族である。

・所属組織、地位や役職  チョリニョーラ男爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果  バルドへ帰順して行政実務の支援を申し出る。公都内部の下級官僚の離反状況を報告する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  新王国の実務官僚として登用される。

マルティン(フェラーラ伯マルティン)

公国の最長老格貴族を務める。

・所属組織、地位や役職  フェラーラ伯爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果  降伏貴族の代表としてバルドに統治の協力を主張する。過去の裏切りを指摘されて返答に詰まる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  特権維持の思惑を打ち砕かれる。

プラート伯

公国の貴族を務める。

・所属組織、地位や役職  プラート伯爵家・当主。

・物語内での具体的な行動や成果  ゴドフリートへ庇護と仲介を乞う。バルドから三つの選択肢を提示され怯える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  国外亡命を余儀なくされる。

チェーザレ

公国の大将軍を務めた。

・所属組織、地位や役職  元公国大将軍(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  生前に有能な将官を蹴落とした事実が語られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  公国の人材不足の原因として名が出る。

ボニファティオ・グランドーニ

公国の老提督を務めた。

・所属組織、地位や役職  元公国海軍卿(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  リガ軍港防衛戦で戦死した偉業がフェデリーゴやホセから回想される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  公国海軍の精神的象徴として語られる。

コンティネッリ子爵

かつての最前線領主を務めた。

・所属組織、地位や役職  コンティネッリ子爵家当主(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  見せしめとして一族が処分された歴史例として語られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  公国側の恐怖政治の例となる。

ロッシ男爵

コンティネッリ領を継承した貴族を務める。

・所属組織、地位や役職  ロッシ男爵家当主。

・物語内での具体的な行動や成果  平民虐殺に関与した人物として言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルドからの処罰対象とされる。

トリストヴィー海運ギルド・商業勢力

バルバリーノ

「海狼」と称される提督を務める。

・所属組織、地位や役職  海運ギルド・提督。

・物語内での具体的な行動や成果  ギルド艦隊を率いて公国第一艦隊に接舷攻撃を仕掛ける。フェデリーゴの死に長年のライバルとしての哀愁を深める。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  マルマラ海の制海権を完全確保する。

マクモナス

ヴァレリー配下の商人を務める。

・所属組織、地位や役職  ダミー商会商人。

・物語内での具体的な行動や成果  ナポリー伯に接近してフィオレンティーナ侯の偽裏切り情報を吹き込む。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴァレリーの謀略の手先として機能する。

ガルトレイク王国・猫耳族

サツキカゲツ(サツキ / 巫女姫)

猫耳族の巫女姫を務める。無双の身体能力と王門の力を誇る。

・所属組織、地位や役職  ガルトレイク王国・氏族カゲツの巫女姫。

・物語内での具体的な行動や成果  マルベリーで病床のバルドを甲斐甲斐しく看病する。モレッティ城へ無音侵入して守備兵を一方的に粉砕する。モレッティ伯を捕縛して城を陥落させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルドへの恋心を深めて参戦する。

サクヤカゲツ(サクヤ)

サツキの母親を務める。

・所属組織、地位や役職  ガルトレイク王国・獣神殿巫女頭。

・物語内での具体的な行動や成果  指揮官の無力化戦術をサツキに教えていた事実が語られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  娘の戦術的思考に影響を与える。

ハヤミ

猫耳族のリーダー格を務める。

・所属組織、地位や役職  ガルトレイク派遣部隊長。

・物語内での具体的な行動や成果  二千の猫耳族を率いて参戦する。サツキをバルドの嫁に立てようと声を張り上げる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  猫耳族の精鋭を鼓舞して戦う。

ノルトランド帝国・犬耳族

ジーナ(ジーナ・ビョルク / ヘルシングの雷鳴)

司祭長を務める。圧倒的な武威と知識を持つ。

・所属組織、地位や役職  エレブルー獣神殿・司祭長。

・物語内での具体的な行動や成果  病床のバルドを尿瓶でからかう。公都決戦で王門を封じられつつも高い戦闘力で魔法士を葬る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルドの曾祖母として陣営を支える。

ギッツェ・マンネルハイム

騎兵総監を務める。

・所属組織、地位や役職  ノルトランド帝国・騎兵総監。伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果  爆撃を受けたバルドを救出し白銀の聖遺物を回収する。犬耳騎兵を率いて西方を進撃する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  主君への深い忠誠を貫く。

イズン・マンネルハイム

ヴァレリーの妻を務める。深い愛を秘める。

・所属組織、地位や役職  ガリバルディ家当主夫人。

・物語内での具体的な行動や成果  夫ヴァレリーの非道と覚悟を受け入れる。玉座の間で夫の遺体に重なり自らの心臓を突き刺して絶命する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  夫への添い遂げを完遂して散る。

ヴィクトール・パザロフ

ジーナの若き日の恋人を務めた。

・所属組織、地位や役職  パザロフ伯爵家・当主(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  ヴァレリーの臨終の際の回想に登場する。バルドの存在を通じて昔日の理想が語られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴァレリーの行動の根源として宿る。

サンファン王国・マジョルカ王国・マウリシア王国

ホセ・リベリアーノ(ホセ海軍卿)

サンファンの智将を務める。

・所属組織、地位や役職  サンファン王国・海軍卿。

・物語内での具体的な行動や成果  濃密な泥炭煙幕を展開して棒火矢の射程を封じる。至近距離からの火炎放射でアンサラー艦隊を撃滅する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  海戦の歴史を変える戦術を確立する。

ウラカ・デ・パルマ(漆黒の暴風 / パルマ伯爵)

マジョルカの海軍卿を務める。

・所属組織、地位や役職  マジョルカ王国・海軍卿。女伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果  ラ・マンチャ号で神業の旋回を行い数百の棒火矢を回避する。アンサラー艦隊に火炎放射を叩き込む。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  南洋無双の操船術を見せつける。

テレサ(サンファン王太子妃テレサ)

サンファンの王太子妃を務める。

・所属組織、地位や役職  サンファン王国・王太子妃。

・物語内での具体的な行動や成果  セリーナやレイチェルと歓談して外交の要を務める。モルネア王国での店設立を要請する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  フランコを支える外交の中心へ成長する。

フランコ(サンファン王太子フランコ)

サンファンの王太子を務める。

・所属組織、地位や役職  サンファン王国・王太子(摂政)。

・物語内での具体的な行動や成果  テレサとの仲睦まじい夫婦生活について言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  摂政として国政を司る。

グリムル

テレサの護衛を務める。

・所属組織、地位や役職  王室護衛騎士。

・物語内での具体的な行動や成果  暴走するテレサをひょいと摘み上げて制裁を加える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  護衛として冷徹に立ち回る。

レイチェル(レイチェル・エジンバラ)

サバラン商会の顧問を務めた。

・所属組織、地位や役職  元マウリシア第二王女。

・物語内での具体的な行動や成果  閨技の知識を口にしてセリーナやテレサを驚かせる。セリーナとともに経済封鎖を仕掛ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルド陣営の商業を支える。

セリーナ・サバラン

ダウディンググループを率いる商業の天才である。

・所属組織、地位や役職  コルネリアス商会・会頭。バルドの婚約者。

・物語内での具体的な行動や成果  公国貴族へ不均衡な物資供給を行い内情を乱させる。多国籍企業ネットワークを全大陸へ拡大させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  大陸全体の経済をコントロールする。

アンサラー王国

ミハイル・カラシニコフ

右将軍を務めた。

・所属組織、地位や役職  アンサラー王国・右将軍(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  バルドとの手合わせや戦死の事実が振り返られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  圧倒的な脅威として回想される。

パーシバル

支援艦隊の司令官を務める。

・所属組織、地位や役職  アンサラー王国海軍・支援艦隊司令官。提督。

・物語内での具体的な行動や成果  煙幕と火炎放射の奇襲を受けて艦隊を過半失う。フェデリーゴの殿軍によって救われ雪辱を誓って本国へ反転脱出する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  敗戦の教訓を持ち帰る。

ドミトリー

パーシバルの艦長を務める。

・所属組織、地位や役職  アンサラー王国海軍・艦長。

・物語内での具体的な行動や成果  勘を信じて棒火矢の発射を進言する。パーシバルへ反転脱出を進言して命を救う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  熟練の船乗りとして司令官を支える。

エウロパ教団

教皇

教団の最高指導者を務める。

・所属組織、地位や役職  エウロパ教団・教皇。

・物語内での具体的な行動や成果  バルドの即位拒否を断言する。聖戦の発動を視野に入れて新たな聖遺物の投入を決意する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  世界の秘密を背負いバルド抹殺を狙う。

ロワノール大司教

円卓の最長老を務める。

・所属組織、地位や役職  円卓会議・最長老(大司教)。

・物語内での具体的な行動や成果  大司教たちの争いを仲裁する。教皇へ聖戦の発動可能性を問いかける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  円卓会議の重鎮として機能する。

ガハラッド大司教

内務を統括する。

・所属組織、地位や役職  特別矯正部統括大司教。

・物語内での具体的な行動や成果  マーテルの失敗に対し特別矯正部の立場を弁護する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  教団の内務を取り仕切る。

マルギス大司教

大司教を務める。

・所属組織、地位や役職  円卓会議大司教。

・物語内での具体的な行動や成果  公国の敗北と聖遺物の喪失について激しく憤慨する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  教団の威信低下を懸念する。

マーテル・ブラインド(マーテル司教)

特別矯正部の司教を務めた。

・所属組織、地位や役職  特別矯正部司教(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  戦場で爆死した過去の経緯が教団幹部から語られる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  失態として言及される。

ロッホサイド・バーガッシェン(ロッホサイド司教)

マーテルの後任を務める。

・所属組織、地位や役職  特別矯正部司教。

・物語内での具体的な行動や成果  山荘でヴァレリーと密会する。暗殺計画の合意とともに聖遺物のマントを渡す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  教団の裏工作を担当する。

地球の人物・前世・歴史的言及人物

岡左内定俊(岡左内)

バルドの前々世である戦国武将を務める。

・所属組織、地位や役職  会津上杉家家臣(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  「死ぬる覚悟に勝つにはより強い生きる覚悟で」の言葉がバルドに回想される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルドの武術と死生観に宿る。

岡雅晴

バルドの前世である高校生を務める。

・所属組織、地位や役職  現代日本の高校生(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  無線通信網の知識の基礎となる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  現代技術の着想源となる。

蒲生氏郷

日本の戦国大名を務めた。

・所属組織、地位や役職  戦国大名(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  戦場で弾丸を受けなかった天運の武将例として挙げられる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  歴史的言及例となる。

黒田長政

日本の戦国大名を務めた。

・所属組織、地位や役職  戦国大名(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  先頭で指揮しつつ傷を負わなかった例として引かれる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  武将の運の例となる。

森長可(鬼武蔵)

日本の戦国武将を務めた。

・所属組織、地位や役職  戦国武将(故人)。

・物語内での具体的な行動や成果  銃撃を顔面に受けて即死した戦場例として出される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  不運な戦死の例として語られる。

登場が明確に確認できる集団

王国軍(バルド陣営 / 王国正規軍 / 王国機動大隊 / アントリム辺境伯軍)

バルドが率いる全軍を務める。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー王国正規軍。

・物語内での具体的な行動や成果  二万の兵で進軍を開始する。公都ミリアーナを包囲してオルテン率いる精鋭を打ち破り公国を解体する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  新たな国家の基盤として君臨する。

ランドルフ侯爵軍

シルクが率いる軍勢を務める。

・所属組織、地位や役職  ランドルフ侯爵家正規軍。

・物語内での具体的な行動や成果  中央を進軍して兵站を構築する。公都決戦でバルドの盾となり防衛線を死守する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  王国の主力として動く。

ノルトランド犬耳族騎兵部隊(獣人兵団 / 獣人騎兵)

ギッツェが率いる精鋭騎兵を務める。

・所属組織、地位や役職  ノルトランド帝国獣人部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  西方沿岸部を進撃して一撃離脱を行う。公都戦で棒火矢の刺激臭を受けつつ突撃する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  圧倒的な機動力を誇る。

ガルトレイク猫耳族部隊

サツキとハヤミが率いる部隊を務める。

・所属組織、地位や役職  ガルトレイク王国獣人部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  二千が参加してモレッティ城へ無音侵入する。立体機動でシルヴァの公国軍八千を全滅させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  三次元戦闘の無双の強さを見せる。

トリストヴィー公国軍(近衛騎士団 / 宮廷魔法士団 / 近海艦隊 / 公国第一艦隊)

公国の正規軍勢を務める。

・所属組織、地位や役職  トリストヴィー公国正規軍。

・物語内での具体的な行動や成果  第一艦隊はマルマラ海で全滅する。東方軍八千はモレッティで壊滅する。ミリアーナの近衛騎士団は玉座の間まで死闘を行い全滅する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  公国の滅亡とともに解体される。

トリストヴィー海運ギルド艦隊

バルバリーノが率いる艦隊を務める。

・所属組織、地位や役職  海運ギルド専属海軍。

・物語内での具体的な行動や成果  マジョルカ・サンファン艦隊とともに公国第一艦隊を追い詰め完勝する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  マルマラ海の制海権を完全に確保する。

マジョルカ王国艦隊

ウラカが率いる精鋭艦隊を務める。

・所属組織、地位や役職  マジョルカ王国正規海軍。

・物語内での具体的な行動や成果  急旋回機動で棒火矢を回避する。火炎放射器でアンサラー艦隊を焼き尽くす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  海上戦闘の圧倒的実力を示す。

サンファン王国艦隊

ホセが率いる主力艦隊を務める。

・所属組織、地位や役職  サンファン王国正規海軍。

・物語内での具体的な行動や成果  濃密な泥炭煙幕を展開して敵の射程を封じる。至近距離からの火炎放射で大打撃を与える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  煙幕戦術を成功させる。

アンサラー王国支援艦隊

パーシバルが率いた支援艦隊を務める。

・所属組織、地位や役職  アンサラー王国正規海軍。

・物語内での具体的な行動や成果  煙幕と火炎放射により九割の艦を失う。残存四隻で反転し本国へ脱出する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  大打撃を受けて撤退する。

エウロパ教団(特別矯正部 / 円卓の大司教会議 / 近衛兵)

教皇らが率いる宗教暗部勢力を務める。

・所属組織、地位や役職  全大陸宗教勢力。

・物語内での具体的な行動や成果  ロッホサイドを通じてヴァレリーへ聖遺物を渡す。バルドの即位拒否を決定する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  バルドとの全面対決へ向かう。

オスト家暗殺部隊(ヴァレリーの諜報部隊 / スイーパー)

カリラが率いる暗殺部隊を務める。

・所属組織、地位や役職  ヴァレリー直属暗殺部隊。

・物語内での具体的な行動や成果  ナポリー伯らを誘拐する。公都で大火を引き起こす。玉座の間で近衛騎士団を背後から始末する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴァレリーの最後の舞台を整えて散る。

反大公勢力(マウリッツ同盟軍 / フィオレンティーナ同盟軍)

マウリッツが結集した貴族部隊を務めた。

・所属組織、地位や役職  公国内反乱軍(故人集団)。

・物語内での具体的な行動や成果  ブレダ城を脱出して王国へ降伏する。マウリッツの討死後に武装解除されて収容される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項  ヴァレリーの謀略により収容・解体される。

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騒動記10レビュー
まとめ
騒動記12レビュー

展開まとめ

第一章

ベルナルディによる平民弾圧と近衛騎士の絶望

オルテンとミハイルの出陣後、公太子ベルナルディは公国の身分制度を誇示し、反抗を封じるために苛烈な平民狩りを推し進めた。オスト伯ヴァレリーの息子バティスタを腹心に据え、ベルナルディは自身の権力掌握を確信していた。しかし、マルベリーの戦いで手柄を立てて故郷へ戻ろうとしていた平民出身の騎士は、自身の村がベルナルディ率いる近衛騎士団に皆殺しにされ、愛する幼なじみや家族の首が公都の広場に晒されている光景を目撃した。すべてを失った騎士は公太子への復讐を誓った。

公太子暗殺とヴァレリーの宰相就任

私邸にて護衛を遠ざけていたベルナルディとバティスタのもとへ、復讐に燃える騎士が乱入した。バティスタは一刀のもとに斬り捨てられ、命乞いをするベルナルディもまた刃に倒れた。唯一の跡継ぎを失った大公ジャックは狂乱し、全土の平民に対するさらなる大虐殺を命じた。そこへヴァレリーが現れ、息子バティスタの死を盾にして巧みに大公の信頼を勝ち取り、オスト侯爵への陞爵とともに宰相の地位を手に入れた。オルテンが大将軍兼元帥に任じられて挙国一致体制が敷かれたものの、公国の民心は急速に離れていった。

爆風からの生還と聖遺物の回収

ミハイルとの一騎討ちに勝利した直後、教団兵による棒火矢の爆撃を受けたバルドは、摩擦係数をゼロにする魔法フリクションゼロを駆使して超高速で離脱し、重傷を負いながらも岩陰で生き延びた。駆けつけたギッツェはバルドを救出し、その場に落ちていた教団の聖遺物である謎の白銀の円柱を回収した。意識を失ったバルドはマルベリーへと搬送された。

諜報網の寸断とヴァレリーからの伝言

マルベリーへの帰還後、バルドが築いた公国内の無線通信網や情報網が次々と遮断された。老練な情報員カメオが機密書類や設備を破棄した直後、オスト伯配下の凄腕暗殺者カリラが現れた。カリラはカメオを見逃す見返りとして、バルドの強さには悪意が足りず、我が悪意を見るがよいというヴァレリーからの伝言を託した。

マルベリーでの療養と乙女たちの衝突

頭部や全身の骨折を負って病床にあったバルドは、シルクから過剰なまでの手厚い看病を受けた。そこへ稽古を終えたサツキが駆け込み、世話の権利を巡って二人は口論を始めた。現れたジーナが尿瓶を持ち出してバルドをからかい、乙女たちが競い合う騒動へと発展した。

海洋決戦への布石と公国海軍の苦境

海上では、ウラカが公国の商船を襲撃して通商破壊を続けていた。リガ奇襲を成功させたサンファン海軍卿ホセがウラカと合流し、公国側が保有する棒火矢への警戒を促した。一方、根拠地リガを失った公国第一艦隊司令官フェデリーゴは、パーシバル率いるアンサラー王国支援艦隊と合流したものの、主導権を奪われた屈辱と棒火矢頼みの戦術に複雑な思いを抱いていた。

煙幕作戦と至近距離からの火炎放射

パーシバルとフェデリーゴの連合艦隊に対し、ホセは泥炭と油脂を用いた特殊な煙幕を展開して視界を奪い、棒火矢のアウトレンジ攻撃を封じた。煙を突き抜けて突入したウラカのラ・マンチャ号は、神業の旋回機動で棒火矢の斉射を回避した。直後に肉薄したマジョルカ艦隊とサンファン艦隊が至近距離から火炎放射を浴びせ、アンサラー艦隊の過半を焼き尽くした。

フェデリーゴの殿軍とパーシバルの脱出

残存艦がわずか四隻となったパーシバルは、燃え盛る味方を盾にして特攻を試みた。これを見たフェデリーゴは、アンサラー艦隊を逃がすために公国艦隊を率いてウラカ艦隊の前に割り込んだ。フェデリーゴの意図を察したドミトリーの進言を受け、パーシバルは雪辱を誓って反転離脱を選んだ。海運ギルドのバルバリーノが公国艦隊に食らいつく中、フェデリーゴは全軍の盾となって壮絶に戦死し、公国海軍の主力は壊滅した。

第二章 落日の公国

ナポリー伯の動揺とマクモナスの誘導

マルマラ海での敗戦により、公国中部の要衝を預かるナポリー伯ヴァステッドは生き残りを模索し始めた。かつて平民虐殺に加担した負い目から王国への単独投降を躊躇していたナポリー伯に対し、ヴァレリーの配下である商人マクモナスが接近した。マクモナスは内務卿フィオレンティーナ侯スピノザが裏で王国と通じているという噂を吹き込み、内偵を煽った。

コルネリアス商会の躍進と経済封鎖の余波

サンファン王国の離宮では、セリーナとレイチェルがテレサと歓談していた。セリーナたちはダウディンググループのネットワークを駆使し、公国への物資供給を意図的に偏らせる経済工作を進めていた。忠誠心の高い貴族の領地にのみ高価な物資を流し、周囲の困窮と嫉妬を煽ることで公国内の疑心暗鬼を深めさせた。

フィオレンティーナ侯の告発と処刑

ナポリー伯はフィオレンティーナ侯の屋敷を訪ねて王国との仲介を懇願したが一喝され、面会後に執事モンテッラからバルドの偽造安堵状を渡された。ナポリー伯が寝返りを画策して動いたところをカリラ率いる暗殺部隊に拉致され、公都へ連行された。大公ジャックの面前でナポリー伯から裏切りを告発されたフィオレンティーナ侯は、海軍壊滅によって公国の勝機が消えた現実を説き、敗戦時に大公を安全に逃がすための裏工作であったと明かした。しかし、親友にまで見限られたと感じたジャックは激怒し、フィオレンティーナ侯とナポリー伯らの処刑を命じた。

ブレダ城の脱出とマウリッツの偽りの帰順

父の不当な処刑を知ったマウリッツは反旗を翻したものの、オルテン率いる公国軍に城を包囲された。マウリッツは城に火を放ち、地下通路を使って手勢二千三百とともに王国領へ脱出した。迎撃に出たブルックスの部隊に投降したマウリッツは、父の仇を討つため先鋒を務めたいとバルドへ申し出た。

マウリッツの真意と返り討ち

マルベリーの公邸でマウリッツを迎えた王国陣営だったが、アウグストはこれがヴァレリーの仕組んだ罠であると見抜いた。自らを囮にバルド軍の内部へ潜り込み、致命的な痛打を与える謀略を暴かれたマウリッツは、隠し持っていた針のような剣でアウグストへ襲いかかった。しかし、王門を発動させたバルドによって瞬時に斬り伏せられ、同行した兵士たちも武装解除された。

第三章 未来への進軍

父子の知恵比べとヴァレリーの満足

カリラからマウリッツの失敗を聞かされたヴァレリーは、息子アウグストが自らの底意地の悪い策を見抜いたことに満足し、笑みを浮かべた。自らの死をもって旧体制の悪意を一掃し、まっさらなトリストヴィーをバルドに渡すという決意を再確認しながら、ヴァレリーはカリラと穏やかな夜を過ごした。

王国軍の総反撃と進軍開始

マルベリーの城壁にて、バルドは集結した二万の将兵を前に出陣の演説を行った。理不尽に耐える時代を終わらせ、新たな未来を勝ち取るという宣言に、犬耳族や猫耳族、平民兵士たちの士気は頂点に達した。西方をギッツェの犬耳族騎兵、中央をバルドとシルクの本隊、東方をサツキの猫耳族とラミリーズが担当し、公都ミリアーナへ向けた進軍が開始された。

公国軍の出撃とモレッティ伯爵の恐怖

大公ジャックから公都守備を厳命されたオルテンは、身軽な王国軍に対処するため、参謀シルヴァに八千の兵を与えて東方のモレッティ領へ派遣した。一方、要衝を守るモレッティ伯爵バーンズは、援軍を待ちながら籠城の準備を進めていたが、援軍到着の前に王国軍の襲撃を受けることとなった。

猫耳族の夜襲とモレッティ城の陥落

深夜、サツキ率いる猫耳族は足音ひとつ立てずにモレッティ城へ接近し、驚異的な身体能力で城壁を駆け上がった。寝静まっていた城内はパニックに陥り、王門を解放したサツキによって守備兵は次々と薙ぎ倒された。サツキは城の奥へ侵入して守備隊長を一瞬で葬り、命乞いをするモレッティ伯爵を気絶させて生け捕りにし、城を瞬く間に制圧した。

シルヴァの分断とラミリーズの罠

翌日、モレッティ城へ到着したシルヴァは、城門から出迎えたモレッティ伯爵の案内で四千の兵を城内へ入れた。しかし、直後に跳ね橋が引き上げられて部隊は分断された。テラスに現れたラミリーズの号令とともに猫耳族が頭上から襲いかかり、狭い城内で公国軍を蹂躙した。跳ね橋を確保して脱出しようとするシルヴァの前にラミリーズが立ちはだかり、バルドから学んだ膝搦めの体術でシルヴァの隊列を崩した。

シルヴァの最期

外で待機していた残る四千の公国軍も、城から飛び出してきたサツキと猫耳族の奇襲を受けて壊走していた。背後から敗走する味方の姿を見せつけられて動揺したシルヴァは、敵の脅威をオルテンに伝えるべく城外へ逃亡を図った。しかし、背後を見抜いていたラミリーズの射手たちから弩の一斉射撃を浴び、矢に貫かれて絶命した。

亡命貴族の選別と三つの選択肢

各方面での快進撃と公国貴族の平民虐殺を受け、バルドの元へ多くの公国貴族が降伏を願い出てきた。かつて名門の誇りに執着していたゴドフリートは、平民虐殺に関与した貴族に居場所はないと冷徹に告げた。バルドは集まった貴族たちに対し、領地没収の上で働きに応じた地位を与えるか、馬車三台分の財産を持って国外亡命するか、ここで敵対して決着をつけるかという三つの選択肢を突きつけた。大半の貴族は国外逃亡を選んだが、一部の若き貴族は領地を捨ててバルドへの忠誠を誓った。

エウロパ教団の新たな介入

公都の防衛ラインが急速に縮小する中、大公ジャックは狂乱して家臣や平民への処刑を命じた。不在にしていたヴァレリーはエウロパ教団の司教ロッホサイドと密会し、公国の敗北が確実である現実を突きつけた。ヴァレリーは聖戦の発動を恐れる教団から新たな王門封じの聖遺物を引き出すため、自らがバルドを至近距離で暗殺する狂気の計画を持ちかけた。

第四章 公都燃ゆ

ミリアーナ包囲と夜の誓い

王国軍は公都ミリアーナを三方向から包囲した。月夜の下で母の故郷を見つめるシルクに対し、背後から現れたバルドはこれまでの歩みを振り返り、運命の巡り合わせに感謝しながら愛を告白した。二人は固い絆を確かめ合い、口づけを交わした。

オルテンの偽装出撃と市街への誘引

大公ジャックの癇癪に押されたオルテンは、出撃を決意した。公国軍は刺激臭を放つ煙幕の棒火矢を用いて獣人部隊の嗅覚を麻痺させ、進軍を開始した。前線で矢を受けたオルテンが退却したように見せかけたため、ラミリーズ率いる王国軍は付け入りを狙って一気にミリアーナの城門内へなだれ込んだ。しかし、退却したのは影武者であり、本物のオルテンは精鋭とともに中央公園広場で待ち構えていた。

ミリアーナの大火と王門の再封印

中央公園広場に突入したバルドとジーナに対し、ヴァレリーの配下が市内各所に放火して退路を断ち、教団から持ち込まれた聖遺物によって王門を再び封じた。死兵と化した公国の精鋭が襲いかかる中、シルク率いるランドルフ軍が必死にバルドを護衛した。

親友の決闘とオルテンの死

乱戦の中、ラミリーズとオルテンによる最後の決闘が始まった。互いの手の内を知り尽くした激しい打ち合いの末、ラミリーズはバルド直伝の膝搦めを繰り出し、バランスを崩したオルテンの胸へ剣を突き刺した。オルテンは親友に看取られながら、果たせなかった誓いをラミリーズに託して息を引き取った。

ジャック大公の捕縛とヴァレリーの真意

大将軍の戦死を知った大公ジャックは、財宝を抱えて寝室の隠し通路から逃亡を図った。しかし、通路の先で待ち構えていたヴァレリーと暗殺部隊によって護衛は排除され、大公は生け捕りにされた。ヴァレリーはすべてが自身の描いた筋書きであったことを嘲笑し、大公を玉座の間へと引き立てた。

玉座の間の対決とヴァレリーの幕引き

制圧された玉座の間にて、バルドは捕縛された大公を連れて現れたヴァレリーを迎えた。ヴァレリーは獣人の即位を阻止する名目で聖遺物のマントを起動し、隠し持った小剣でバルドへ襲いかかった。カリラが身を挺して護衛を止める中、ヴァレリーの胸を貫いたのは実の息子アウグストの剣であった。バルドは倒れゆくヴァレリーに対し、その執念を理解したと告げ、曾祖父ヴィクトールの墓の隣に葬ると耳元で囁いた。ヴァレリーはすべてが託されたことを悟り、満足げに息を引き取った。

イズンの殉死と教団への宣戦布告

広間へ姿を現したイズンは、冷たくなった夫ヴァレリーの遺体に寄り添い、その小剣で自らの心臓を貫いて後を追った。両親を見送ったアウグストの前で、バルドは世界を変えるためにエウロパ教団と戦い抜く覚悟を高らかに宣言し、新たな時代の幕開けを告げた。

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