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守雨手札が多めのビクトリア

小説「手札が多めのビクトリア 3」感想・ネタバレ

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手札が多めのビクトリア 3の表紙画像(レビュー記事導入用) 守雨

手札が多めのビクトリア2レビュー
手札が多めのビクトリアまとめ
手札が多めのビクトリア4レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 王太子妃の影武者
    2. 工作員の潜入捜査
    3. ノンナの武術修行
    4. 聖フローレン祭り
    5. 貴族社会の社交
    6. 家族の絆と守護
  6. 登場キャラクター
    1. アシュベリー王国 王族
      1. コンラッド
      2. デルフィーヌ
      3. オスカー
      4. ルーカス
      5. 国王
      6. 王妃
      7. セドリック
      8. ベアトリーチェ
    2. アッシャー家
      1. アンナ・ビクトリア・アッシャー(ケイト)
      2. ジェフリー・アッシャー
      3. ノンナ・アッシャー
      4. エドワード・アッシャー
      5. ブライズ・アッシャー
      6. コートニー・アッシャー
      7. ライリー
      8. ルイス
      9. リード
      10. バーサ
      11. 料理人
    3. アンダーソン家
      1. クラーク・アンダーソン
      2. マイケル・アンダーソン
      3. エバ・アンダーソン
    4. アシュベリー王国 王城・軍・騎士団関係者
      1. マイク
      2. チェスター
      3. ミルズ
      4. ウル医師
      5. ルナ(ミア・ハーベル)
      6. スタンレー
      7. マルティス
      8. ブライアン・ウィルクス
      9. コリン・ヘインズ
      10. キャラハン伯爵
      11. 第一騎士団の騎士たち
      12. 第二騎士団の騎士たち
      13. 第三騎士団の男たち(特務隊の男たち)
      14. 王国軍の軍人たち
      15. 反乱側の軍人たち
      16. 警備隊員たち
      17. 使節団の連中
      18. 衛兵たち
    5. アシュベリー王国 城の侍女・使用人
      1. エリー
      2. ニーナ
      3. アンリ
      4. マリン
      5. 上級侍女たち
      6. 下級侍女たち
      7. 城の使用人たち
    6. アシュベリー王国 貴族・関係者
      1. ヨラナ・ヘインズ
      2. スーザン
      3. バーナード・フィッチャー
      4. エリザベス・マグレイ
      5. マグレイ伯爵
      6. オズモンド・ブリッジ伯爵
      7. メイナード
      8. ハドソン侯爵夫人
      9. メイナードの連れの少女
      10. 茶会に参加した令息や令嬢たち
    7. アシュベリー王国 市井の人々・その他
      1. マイルズ
      2. イネス
      3. ダフネ
      4. 修道院の院長
      5. 修道院の女性たち
      6. ロザリー
      7. フレッド
      8. ロザリーを襲っていた男たち
      9. ザハーロ
      10. サンドル古書店の店主
      11. 馬牧場の主
      12. 劇場の客たち
      13. 黒ツグミの客たち
      14. 広場の群衆たち
      15. 火矢を放った男たち
    8. イーガル王国
      1. グレイソン・オルドラン(グンター・バール)
      2. オルドラン公爵
      3. イーガル国王
    9. シェン国
      1. イルカース
      2. ウル医師の従弟
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ 平和な朝 
    2. 第一章 * ビクトリアの平穏な日々 
    3. 幕 間 ★ 女性工作員の迷い 
    4. 第二章 *第三騎士団からの依頼 
    5. 第三章 王城のビクトリアと留守番のノンナ 
    6. 第四章 * たどり着いた真相と聖フローレン祭り 
    7. 第五章 ★線の向こう 
    8. 幕 間 ☆ バーナードとノンナの読書交流 
    9. 第六章 指名 
    10. 第七章 ノンナの話 
    11. エピローグ 
    12. 番外編 マイケル・アンダーソンの推理 
    13. 番外編 マイルズの願い 
    14. 番外編 三人で遠乗り 
  8. 同シリーズ
    1. 手札が多めのビクトリア
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、裏社会から足を洗った凄腕の元工作員が、愛する家族とともに平穏な人生を歩んでいくファンタジー・人生修復物語の第三弾である。アシュベリー王国で夫のジェフリーや娘のノンナと充実した日々を過ごしていたビクトリア(アンナ)は、ある日、暴漢に追われる女性を助ける。その女性は、大きな式典を控える王太子妃デルフィーヌの影武者を務める予定だった特殊任務部隊の工作員であった。怪我を負った彼女に代わり、ビクトリアは自らの意思で影武者の任務を引き受け、一時的に工作員へと復帰する。一方、夫のジェフリーは隣国スバルツ王国との金鉱を巡る軍事衝突を避けるため、使節団として赴くことになる。王家を狙う陰謀と軍の反乱が渦巻く中、ビクトリアは衰えぬ「手札(スキル)」を駆使して王太子妃を守り抜き、娘のノンナもまた母を助けるために密かに戦場へと身を投じる。家族の幸せを守るための、最強の母娘の暗躍が描かれる。

■ 主要キャラクター

  • ビクトリア(アンナ・アッシャー):主人公。ハグル王国の元エース工作員で、現在はアシュベリー王国の子爵夫人。怪我をした後輩工作員を救うため、自ら王太子妃の影武者役を買って出る。圧倒的な観察眼や体術、語学力を駆使して王家を揺るがす陰謀に立ち向かう。
  • ノンナ:ビクトリアとジェフリーの養女。12歳。シェン国で高度な武術を身につけ、並の軍人をはるかに凌ぐ戦闘力を持つ。母を助けたい一心で反乱の起きる王城に忍び込み、誰も殺さずに敵を無力化する活躍を見せる。
  • ジェフリー・アッシャー:ビクトリアの夫。アシュベリー王国の子爵であり、後に軍務副大臣となる。隣国との戦争を回避するため使節団に同行し、冷静な交渉と過去の戦争の教訓を説くことで国を救う。
  • デルフィーヌ:アシュベリー王国の王太子妃。イーガル王国の出身。国と民を思う清廉で強い心を持ち、毒殺未遂や軍の反乱の標的となる。影武者を務めたビクトリアの強さと聡明さに惹かれ、彼女を深く信頼するようになる。
  • エドワード・アッシャー:ジェフリーの兄。表向きは王城の諸制度維持管理部長などだが、裏では国家の特殊任務部隊(第三騎士団)を束ねる実力者。国益と家族を守るため、冷徹なまでに的確な采配を振るう。
  • クラーク・アンダーソン:アンダーソン伯爵家の令息(18歳)。スバルツ語に堪能な文官として使節団に志願し、戦争回避に大きく貢献する。ノンナを守れる男になるため出世を誓い、彼女に婚約を申し込む。

■ 物語の特徴

本作の最大の特徴は、主人公ビクトリアが「愛する者たちを守るため」という強い意志のもと、再び裏社会の技術を駆使して表舞台の裏側で暗躍するスリリングな展開にある。また、12歳に成長した娘ノンナが、母譲りの並外れた戦闘力と機転で大人たちを驚かせ、母娘それぞれの視点から反乱軍との戦いが描かれる痛快なアクションも大きな魅力である。単なる謀略や戦闘の物語にとどまらず、ビクトリアが工作員時代の後悔と向き合いながら、夫ジェフリーや娘ノンナとの深い愛情と絆を再確認していく「人生修復物語」としての人間ドラマが、物語に温かな感動と深みを与えている。

書籍情報

手札が多めのビクトリア3
著者:守雨 氏
イラスト:藤実なんな 氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2024年1月25日
ISBN:9784046832511

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あらすじ・内容

凄腕元工作員は、王太子妃のお気に入り!?
凄腕の元工作員ビクトリアは、ノンナやジェフリーたちと充実した日々を過ごしていた。そんなある日、ビクトリアは暴漢たちに追われる女性を助ける。
なんとその女性は、大きな式典を控えるアシュベリー王国の王太子妃、デルフィーヌの影武者を務める予定の工作員だった。
怪我を負った女性の代わりに、影武者の任務を引き受けることにしたビクトリアは、自らの意志で工作員に復帰する。
一方ジェフリーは、隣国との金鉱を巡る問題の交渉に駆り出される。さらに、ノンナはひょんなことからビクトリアの任務で活躍したり、クラークとの関係を深めたりと大忙し!
衰えない能力を駆使し、幸せのために暗躍するビクトリアの人生修復物語第三弾、開幕! 書籍限定の書き下ろし番外編も3本収録♪

手札が多めのビクトリア3

感想

前巻では、ビクトリアたちが家族旅行という名目でシビルの森へ向かい、冒険小説に隠された暗号と、歴史から消えた王女の真実を追っていった。

今巻では一転して、王太子妃デルフィーヌを狙う暗殺計画と、王城を巻き込む反乱へ踏み込んでいく。

愛する家族と穏やかな生活を手に入れたはずのビクトリアが、再び裏社会で身につけた技術を使い、王太子妃の影武者を務めることになる。

危険な任務である。

断っても責められない。

それでもビクトリアは、負傷した後輩工作員を見捨てることができず、自分の意思で任務を引き受ける。

本作で印象に残ったのは、ビクトリアが国や命令に従って戦っているのではなく、自分が守りたいものを自分で選んでいることである。

かつての彼女は、組織の命令によって危険な任務へ送り込まれていた。

今の彼女は違う。

家族と離れるつらさも、命を失う可能性も理解したうえで、自分の意思で危険な場所へ向かう。

同じ工作員の技術を使っていても、その意味は大きく変わっていた。

平穏な生活の中に生まれた新しい居場所

物語の序盤では、ビクトリアたちの穏やかな生活が描かれる。

シェン国で学んだ薬の知識を生かし、修道院には軟膏工房が作られている。

そこで働くのは、夫から逃げてきた女性や、生活に困っていた女性たちである。

ビクトリアがかつて任務のために学んだ知識が、今では人の生活を支える仕事になっている。

さらに羊牧場も整備され、ビクトリアは将来、ジェフリーとそこで暮らすことを楽しみにしている。

羊の世話をし、毛糸を紡ぎ、家族のために編み物をする。

かつて国境を越えて逃げ続けていた女性が、老後を過ごす場所まで考えられるようになった。

この変化が嬉しかった。

ただ生き延びるだけではなく、どのように生きたいのかを考えられる。

それは、ビクトリアが本当の意味で平穏を手に入れた証拠なのだと思う。

王太子妃デルフィーヌの閉ざされた人生

今巻で重要な人物となるのが、王太子妃デルフィーヌである。

デルフィーヌは幼い頃から、将来アシュベリー王国の王妃になることを決められていた。

怪我や病気を避けるため、外出や人との交流は制限される。

祭りへ行きたいと願っても、危険だからと許されない。

恋を知ることもなく、絵姿しか知らない王太子コンラッドのもとへ嫁ぐ。

幸い、コンラッドは誠実で優しい人物だった。

二人の間には子供も生まれ、夫婦として穏やかな生活を送っている。

表面だけを見れば、デルフィーヌは何不自由のない幸せな女性に見える。

しかし、彼女の人生には自分で選んだものがほとんどない。

住む国も、結婚相手も、学ぶ内容も、他者との接し方も決められていた。

本人もそれを当然の使命として受け入れている。

それでも、民を救う慈善事業の予算を減らされれば、自分の予算を使うよう求める。

王太子妃として何ができるのかを真剣に考え続けている。

守られて育っただけの弱い女性ではない。

自分に与えられた立場の中で、できる限り人を救おうとする強さを持っている。

自由を奪われた過去を持つビクトリアと、自由を知らないまま王太子妃になったデルフィーヌ。

立場は大きく違うが、二人にはどこか重なる部分があったように感じた。

影武者を務めるはずだった後輩工作員

聖フローレン祭りでは、暗殺の危険があるデルフィーヌの代わりに、女性工作員ミアが影武者を務める予定だった。

しかしミアは潜入任務中に正体を疑われ、激しい暴行を受ける。

逃げようと思えば、もっと早く反撃できた。

それでも、偶然再会した幼なじみが敵の仲間なのか判断できず、彼女を巻き込まないために攻撃へ耐えていた。

幼なじみが無関係だと確信してから反撃し、二人で逃走する。

その結果、顔に大きな怪我を負い、影武者を務められなくなった。

ビクトリアはミアと面会し、その考え方が自分と似ていると感じる。

助けられなかった相手を、一生忘れられない。

自分が任務を断った後にデルフィーヌが殺されれば、ミアは生涯自分を責めるだろう。

だからビクトリアは、ミアのためにも影武者を引き受ける。

ただし、国のために命を捧げるという考えではない。

ミアを後悔から救い、かつて十五歳で亡くした後輩ハンスへの悔いとも向き合うため、自分自身の意思で決断する。

この選択に、ビクトリアの変化が表れていた。

王太子妃の影武者ケイト

影武者を引き受けたビクトリアは、ケイトという名でデルフィーヌ付きの侍女になる。

歩き方。

声の高さ。

話す速度。

笑い方。

視線の向け方。

日常の小さな癖まで観察し、短期間でデルフィーヌを再現していく。

元工作員としての演技力と観察力が、存分に発揮される場面である。

デルフィーヌ本人だけでなく、長年仕えてきた侍女長エリーまで声を聞き間違えるほど完成度が高い。

ただ服装や髪形を似せるだけではない。

その人物がどのように周囲を見て、何を考え、どう体を動かすのかまで理解する。

ビクトリアの変装は、人間観察の積み重ねによって成立している。

派手な特殊能力ではない。

長い訓練と経験があるからこそ可能な技術であり、説得力があった。

一方で、ビクトリアはデルフィーヌを観察するほど、その人柄へ惹かれていく。

王族でありながら民の生活を考え、慈善事業を守ろうとする。

自分の命が狙われていても、王太子妃としての使命から逃げようとはしない。

ビクトリアは、デルフィーヌのような人物にこそ国の上に立ってほしいと率直に伝える。

立場を気にせず、正しいと思ったことを口にする。

その態度が、デルフィーヌにとって新鮮だったのだと思う。

ジェフリーが抱える心配と信頼

ビクトリアが二か月間、家族と連絡を取らず影武者を務めると決めた時、ジェフリーは当然心配する。

妻が危険な任務へ向かう。

しかも、近くで守ることもできない。

ジェフリー自身も警護への参加を望むが、ビクトリアの正体を隠す妨げになるとして認められない。

夫としては非常につらい状況である。

それでも、最終的にはビクトリアの判断を尊重する。

前巻でジェフリーは、ビクトリアの翼を折りたくないと語っていた。

自由に羽ばたく彼女を見ていたい。

その言葉が、本当に試されることになる。

自分が納得できる範囲だけ自由にさせるのではなく、自分が不安になる選択であっても認められるのか。

ノンナからも、父親の言う自由とは、父親が許せる範囲だけのものなのかと問われる。

この言葉は厳しい。

しかし、ジェフリーはビクトリアを所有物ではなく、自分で選択する一人の人間として愛している。

心配しながらも、彼女が決めた道を尊重する。

その姿に、二人の関係の深さを感じた。

母を信じて待とうとするノンナ

ノンナも、ビクトリアが二か月帰らないと聞かされる。

幼い頃に母親から置き去りにされたノンナにとって、大切な人が突然いなくなることは大きな恐怖だったはずである。

それでも、今のノンナは以前とは違う。

寂しい気持ちを受け入れ、母親の選択を応援しようとする。

母親の仕事を知りたいと王城へ潜入しようとするあたりは、相変わらず行動力が高すぎる。

しかし、ヨラナ夫人やエドワードに止められ、最終的にはアッシャー伯爵家で待つことになる。

ただし、完全におとなしく待っているわけではない。

夜になると屋敷から抜け出し、第三騎士団員チェスターと体術の鍛錬を始める。

さらに、教えられていなかった開錠技術まで身につけてしまう。

母親がいない間に、新しい手札を増やしている。

心配するべきなのか、成長を喜ぶべきなのか分からない。

チェスターが後から、開錠を一度も教わっていなかったと知って後悔する場面には、少し笑ってしまった。

毒殺未遂に隠されていた真相

王城では、デルフィーヌの食事へ二度も毒が仕込まれていた。

毒味をしていたエリーが倒れたものの、命は助かっている。

ビクトリアは、毒殺を目的としているなら、二度目も即効性の弱い毒が使われたことに疑問を持つ。

さらに、捨てられていた高級化粧品の空き瓶や、周囲の人間の行動を調べ、真相へ近づいていく。

実際には、エリーは実家の借金を利用され、デルフィーヌへ毒を盛るよう脅されていた。

しかし、幼い頃から仕えてきた主人を殺すことができず、自分で毒を飲んでいた。

デルフィーヌもそれに気づき、猛毒を弱い毒へすり替えるようニーナへ命じていた。

エリーを救いながら、毒殺を命じた黒幕を動かそうとしていたのである。

主従でありながら、互いに相手を守ろうとしている。

エリーはデルフィーヌを殺せない。

デルフィーヌもエリーを罪人として切り捨てられない。

しかし、互いに本心を話すことができないため、命を削るような方法しか選べなかった。

ビクトリアは、エリーへ真実を伝える。

毒殺を実行しても実家は救われず、口封じのため家族も殺されていた可能性が高い。

そして、デルフィーヌは最初から彼女を救おうとしていた。

それを知ったエリーが泣き崩れる場面は切なかった。

誰かを守ろうとして一人で抱え込み、かえって危険な状況へ追い込まれていく。

ビクトリア自身にも覚えがあるからこそ、エリーを責めるだけでは終わらせなかったのだと思う。

聖フローレン祭りで始まる反乱

祭り当日、ビクトリアはデルフィーヌの姿と声を完璧に再現し、王城前の広場へ姿を現す。

民衆の歓声を受けながら、王太子妃として手を振る。

しかし、各所から火矢が放たれ、屋台や建物で火災が起きる。

当初はビクトリアを狙った暗殺かと思われた。

ところが、攻撃は彼女へ向けられていない。

そこでビクトリアは、火災と混乱そのものが陽動だと気づく。

本当の目的は、王城内でデルフィーヌの身柄を拘束することだった。

軍の一部が、デルフィーヌに国王毒殺の疑いがあると主張し、議会の許可もなく動き始める。

同じ軍服を着た人間同士が敵味方へ分かれ、王城内で戦闘が起こる。

誰を信用してよいのか分からない。

ビクトリアは本物のデルフィーヌが逃げる時間を作るため、影武者のまま軍人たちの前へ出る。

狙われている人物の姿をして、自ら危険を引き受ける。

ここからの展開は緊迫感があり、ページをめくる手が止まらなかった。

ドレス姿で戦うビクトリア

王城から脱出する途中、ビクトリアたちは反乱側の軍人に発見される。

第三騎士団と反乱軍が入り乱れる中、ビクトリアも王太子妃のドレス姿で短剣を使い、戦闘へ加わる。

華やかな衣装と、元工作員の鋭い動き。

外見と行動の落差が格好良い。

ただ敵を倒すのではなく、デルフィーヌとして振る舞いながら、周囲に正体を悟られないよう動かなければならない。

さらに戦闘の終盤には、西の森から戻った王国軍が到着する。

反乱側が降伏すると、ビクトリアはデルフィーヌの声で軍人たちの拘束を命じる。

その場にいる人々にとっては、王太子妃自身が反乱を制圧したように見える。

影武者という立場を最後まで利用し、事態を収める展開が痛快だった。

大広間では、夫であるコンラッドから抱きしめられる。

途中で本人ではないと気づかれるが、ビクトリアは周囲へ悟られないよう演技を続けてほしいと頼む。

国王も事情を察し、自然な形で彼女を下がらせる。

ビクトリアの演技力だけでなく、その場にいる人々の判断力も試される場面であった。

王太子妃を守るノンナの戦い

本物のデルフィーヌを守っていたのは、第三騎士団員とノンナだった。

反乱軍と遭遇すると、ノンナは敵の利き腕側の肩や足首を狙い、戦闘能力を奪っていく。

命を取らず、相手を無力化する。

母親から教えられた一線を守りながら、大人の軍人を次々と倒していく。

わずか十二歳とは思えない。

その規格外の戦闘力に、デルフィーヌや第三騎士団員が驚くのも当然である。

さらに若い第三騎士団員ミルズと合流した後も、襲ってきた三人の反乱兵を一人で倒す。

そのうえミルズの短剣術の弱点まで指摘し、後日の鍛錬を約束してしまう。

母親を助けるために強くなった少女が、いつの間にか本職の工作員へ指導する側になっている。

爽快であると同時に、ビクトリアが心配する気持ちも理解できる。

ノンナは強さ、語学力、判断力を持っている。

特殊任務を行う組織から見れば、これほど欲しい人材はいない。

ビクトリアは自分が八歳で組織へ連れていかれ、選択肢のないまま工作員へ育てられた。

だからこそ、ノンナが同じ道へ進むことを恐れている。

人を殺さないという一線

反乱が終わり、母娘は無事に帰宅する。

その夜、ノンナは誰も殺さずにデルフィーヌを守ったとビクトリアへ報告する。

ビクトリアは心から安堵する。

そして、人を殺すことへ慣れてしまえば、魂の一部が戻れなくなると教える。

この言葉が印象に残った。

工作員として生きてきたビクトリアは、必要に迫られて人の命を奪った経験もあるだろう。

生き延びるためだったとしても、何も感じずに済むわけではない。

一度越えた線は、簡単には元へ戻れない。

だからノンナには、可能な限りその線を越えてほしくない。

強くなること自体を否定しているのではない。

力を持つことと、命を奪うことは別である。

相手を止めるだけの技術と判断力を身につけてほしい。

母親が娘へ伝える教えとして、非常に重みがあった。

家族のどちらも失うかもしれない恐怖

ビクトリアが王城で任務を続けている間、ジェフリーは西の森へ向かう使節団へ同行することになる。

金鉱脈をめぐり、スバルツ王国との関係が緊張していた。

交渉が決裂すれば、戦闘へ発展する可能性もある。

一か月ぶりに再会できたと思った直後、夫が別の危険な場所へ向かう。

ビクトリアは、ジェフリーを失えば、ノンナを再び一人にしてしまうと恐れる。

自分も影武者として命を落とすかもしれない。

夫婦のどちらも帰れなければ、ノンナはまた家族を失う。

この恐怖は、工作員時代にはなかったものである。

守りたい家族を持ったからこそ、命を失うことが自分だけの問題ではなくなった。

ジェフリーは、自分が危険な任務へ向かう原因をビクトリアが背負う必要はないと伝える。

さらに、自分たちに何かあれば、エドワード夫妻がノンナを守る。

だから、自分のために姿を消すようなことはせず、生涯一緒に生きるという約束を守ってほしいと語る。

ビクトリアはつらいことが起きると、自分だけが消えることで周囲を守ろうとする。

ジェフリーは、その生き方をもう選ばないでほしいと願っている。

互いに危険な役目を持ちながら、それでも一緒に生き続けることを約束する。

夫婦の覚悟が感じられる場面だった。

クラークが示した未来の約束

ノンナとクラークの関係も、本巻で大きく動く。

クラークは幼い頃からノンナを大切に思っていた。

ノンナが突然姿を消した後も、五年後に戻る可能性を信じて学び続ける。

将来は宰相になるほどの力を持ち、ノンナとビクトリアが二度と逃げなくて済む国を作ろうと考えている。

単に好きな少女と結婚したいだけではない。

彼女たちが安心して暮らせる場所を守るため、自分が力を持とうとしている。

使節団にも自ら志願し、スバルツ語の通訳として戦争回避へ貢献する。

戦闘力ではノンナに及ばない。

しかし、語学や交渉、政治の世界で人を守ろうとしている。

クラークにも、自分にしか使えない手札がある。

無事に帰還したクラークへ、ノンナが勢いよく抱きつき、泣きながら喜ぶ場面は可愛らしかった。

そしてクラークは、ノンナへ正式に婚約を申し込む。

すぐに答えを求めるのではなく、十六歳になってから返事を聞かせてほしいと伝える。

そのうえで、自分の給金で買ったガーネットの首飾りを贈る。

まだ幼さの残る二人である。

それでも、クラークの言葉には一時的な憧れではなく、長い時間をかけて育てた覚悟が感じられた。

今後二人がどのような関係を築いていくのか、楽しみである。

ジェフリーの出世と新たな不安

使節団の交渉では、ジェフリーの言葉が戦争回避へ大きく貢献する。

過去の戦争で多くの兵士が命を落としたこと。

戦争を望む者は、自分や家族を戦場へ送る覚悟を持つべきだということ。

現場で戦った経験を持つジェフリーだからこそ、言葉に重みがある。

その功績もあり、ジェフリーは軍務副大臣へ就任することになる。

さらに将来は軍務大臣へ進むことまで想定されている。

喜ばしい出世に見える。

しかしビクトリアは、素直には喜べない。

義兄エドワードが裏で特殊任務部隊を動かし、ジェフリーが表で軍を動かす立場になる。

アッシャー家へ力が集まりすぎれば、敵も増える。

そしてビクトリア自身も、王太子妃デルフィーヌの話し相手兼語学教師として王家へ近づいていく。

家族を守るために国の力を利用するつもりが、逆に国から必要とされる立場になっている。

便利な駒として使われる危険もある。

黒ツグミのザハーロからも、その点を指摘される。

それでもビクトリアは、家族を守るためなら手駒になる覚悟があると答える。

完全に国から離れて自由に生きる道ではない。

多くの人と関わり、責任を引き受けながら、自分たちの居場所を守る。

ビクトリアが選んだのは、そのような生き方だった。

助けることと信じることの難しさ

本巻では、ノンナと第三騎士団員ミルズが、困っている男女を助ける出来事も描かれる。

二人は悲鳴を聞き、男たちに追われていたロザリーとフレッドを救う。

ところが、フレッドは被害者ではなく、ロザリーの家を狙っていた男たちの仲間だった。

腹痛を装い、ノンナたちを振り回していたのである。

力で相手を倒すことはできても、誰が本当の被害者なのかを見抜くことは難しい。

ノンナは人を助けたいという気持ちから、相手の話を信じて行動した。

その善意自体は間違っていない。

しかし、悪意のある人間は、その善意を利用することもある。

前巻のオーリに続き、助ける側の判断が必ず正しいとは限らないことが描かれている。

ビクトリアは違和感を整理し、フレッドが嘘をついている可能性へすぐに気づく。

ノンナには、戦う力だけでなく、人を見る力も必要になる。

強いだけでは、誰かを正しく救えるとは限らない。

成長したノンナが新しい課題へ直面している点が興味深かった。

王太子妃とビクトリアの新しい関係

事件後、デルフィーヌはビクトリアへ、話し相手兼語学教師になってほしいと頼む。

デルフィーヌは王妃としての教育は受けている。

しかし、庶民の生活や国外の文化、社会の現実をほとんど知らない。

書物だけでは学べないことを、ビクトリアから教わりたいと考える。

ビクトリアは八歳で家族から離れ、工作員として複数の国を見てきた。

貴族にも平民にもなりすまし、街の裏側も王城の内側も知っている。

その経験は、王族にとって得難い知識である。

デルフィーヌは、ただビクトリアの能力を利用したいわけではない。

危険な人生を歩みながら、他者への思いやりを失わなかった彼女に惹かれている。

ビクトリアもまた、デルフィーヌの真摯な願いを受け入れる。

元工作員と未来の王妃。

本来なら交わることのなかった二人が、互いに足りないものを補い合う関係になっていく。

今後の交流も楽しみである。

家族と築いた新しい故郷

ハグル王国から逃げた頃、ビクトリアは誰にも縛られず、一人で生きるつもりだった。

人と関われば、裏切られる。

大切な人を持てば、弱点になる。

そう考えていた。

しかし今では、ジェフリーとノンナがいる。

ヨラナやバーナード、クラーク、エドワード一家、ザハーロ、マイルズなど、多くの人とつながっている。

さらに王家とも関わり、軟膏工房や羊牧場を通して、生活を支える人も増えた。

自由になろうとしてすべてを捨てた女性が、気がつけばアシュベリー王国へ深く根を張っている。

過去のビクトリアであれば、危険が迫れば再び姿を消していただろう。

今の彼女は、持っている手札を使い、家族や居場所を守ろうとする。

逃げないという選択が、必ずしも自由を失うことではない。

大切な人々と共に生きるため、自分で責任を引き受ける。

それもまた、ビクトリアが選んだ自由なのだと思う。

自分で選んだ幸せを守り抜く物語

『手札が多めのビクトリア 3』は、影武者、毒殺未遂、王城反乱、外交交渉と、非常に大きな事件が連続する一冊であった。

ビクトリアがデルフィーヌを完璧に演じ、ドレス姿のまま反乱軍と戦う。

ノンナが王太子妃を守りながら、誰の命も奪わず軍人たちを無力化する。

ジェフリーが使節団の一員として、戦争を回避するため言葉を尽くす。

三人は同じ場所で戦っているわけではない。

それでも、それぞれの手札を使い、大切な人々を守っている。

ビクトリアは戦闘、変装、暗号解読だけでなく、人間の小さな違和感から真実へたどり着く。

ジェフリーは武力を持ちながら、戦争を避けるためにその経験を言葉へ変える。

ノンナは母親から受け継いだ力を使いながら、命を奪わないという一線を守る。

誰か一人だけが最強なのではない。

それぞれが異なる強さを持つ、最強の家族である。

前巻までのビクトリアは、失った人生を少しずつ取り戻していた。

今巻では、ようやく手に入れた幸せを、自分の力で守り抜こうとしている。

危険な任務へ向かうこともある。

国から利用される可能性もある。

娘は成長し、いつか親元を離れていく。

それでも、ビクトリアはもう一人で逃げようとはしない。

自分で選んだ家族と、自分で選んだ故郷で生きていく。

過酷な過去を乗り越えた家族が、それぞれの手札を使って未来を切り開いていく姿に、読後は深い満足感と爽やかな余韻を覚えた。

ビクトリア、ジェフリー、ノンナ、そしてクラーク。

それぞれがどのように成長し、どのような未来を選ぶのか。

これからも、この少し規格外で温かい家族を見守っていきたいと思える一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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手札が多めのビクトリア2レビュー
手札が多めのビクトリアまとめ
手札が多めのビクトリア4レビュー

考察・解説

王太子妃の影武者

王太子妃の影武者任務と陰謀阻止の全貌

『手札が多めのビクトリア 3』における「王太子妃の影武者」は、ビクトリアが愛する家族との平穏な日常を一時的に離れ、かつての「手札」をフル活用して王家を揺るがす陰謀に立ち向かう、本作の最大の山場である。影武者を引き受けた経緯と覚悟、完璧な模倣と王太子妃との信頼関係、毒殺未遂事件の真相解明、聖フローレン祭りでの反乱と死闘、および任務がもたらした未来についての解説は以下の通りである。

工作員ミアの救出と影武者への志願

ある日、ビクトリアは暴漢に追われていた女性ミアを救出した。

・ミアは、聖フローレン祭りでデルフィーヌ王太子妃の影武者を務める予定だった第三騎士団の工作員であったが、重傷を負い任務が不可能になっていた。

・過去の初任務で後輩を死なせてしまった深い後悔を抱えるビクトリアは、ミアに自分のせいで王太子妃が死んだという一生の心の傷を負わせないため、自らの意志で影武者役に志願した。

ケイトとしての潜入と完璧な立ち振る舞い

ケイトと名乗りデルフィーヌ付きの侍女となったビクトリアは、数回の観察だけで彼女の歩き方、口調、笑い方、さらには出身地であるイーガル王国北部の微かな訛りまで完璧に再現してみせた。

・デルフィーヌは、生まれた時から王妃となるべく厳しく制限された環境で育った、国を思う清廉な女性である。

・彼女は、ビクトリアの圧倒的な能力と、王族相手にも怯まずに正しいことを述べる率直さに感銘を受け、深く信頼するようになった。

毒殺未遂事件の裏に隠された真実

当時、デルフィーヌの食事に二度毒が仕込まれ、毒見役の侍女エリーが倒れる事件が起きていた。

・ビクトリアは独自に調査を行い、実家の借金を理由に暗殺を強要されたエリーが、主を殺せず自ら猛毒を飲んだことを見抜いた。

・デルフィーヌ自身がエリーを救うために事前に弱い毒にすり替えていたことも看破した。

・ビクトリアはデルフィーヌから、黒幕がイーガルの反王家派と結託したアシュベリー王国の軍務副大臣ブライアン・ウィルクスであることを聞き出し、第三騎士団と連携してエリーを安全な場所へ保護させた。

聖フローレン祭りでの反乱とドレス姿の死闘

祭り当日、ビクトリアは影武者として民衆の前に立ったが、火矢による陽動に乗じて軍の一部が反乱を起こした。

・反乱軍はデルフィーヌを狙って城内になだれ込んだが、ビクトリアは自ら標的となって敵の前に立ち塞がり、本物のデルフィーヌが隠し通路へ逃げるための時間を稼いだ。

・脱出の際、敵と遭遇したビクトリアは、ドレス姿のままナイフ一本で複数の反乱兵を倒す圧倒的な戦闘力を発揮した。

・その後、王国軍の援軍が到着して反乱は鎮圧され、ビクトリアは最後まで王太子妃を演じきった。

語学講師への就任と王家との絆

騒動の終結後、コンラッド王太子は影武者の正体がビクトリアであることに気づいた。

・デルフィーヌは、過酷な世界を生き抜きながらも清々しい眼差しを持つビクトリアから多くのことを学びたいと強く望んだ。

・王太子もまた、有能なジェフリーを手元に置くために、ビクトリアを王太子妃の「語学講師兼話し相手」に指名した。

・これにより、ビクトリアは王家と直接的な繋がりを持つことになり、愛する家族とともにアシュベリー王国に深く根を張って生きていく決意を新たにした。

まとめ

王太子妃の影武者任務を巡る一連の全貌は、怪我を負った工作員の救出から始まり、完璧な模倣による潜入、毒殺未遂事件の真実の解明、反乱軍とのドレス姿での死闘、そして王太子妃の語学講師就任に至るまで、ビクトリアの卓越したスキルと覚悟が王国の危機を救う軌跡を明瞭に示している。過去の罪悪感や過酷な身分の差という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの高い知性と勇敢な行動によって完璧に確立するに至る、危機突破と信頼獲得の記録である。影武者の受諾から、偽装の遂行、陰謀の解明、戦闘の完遂、そして王家との絆の結実へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

工作員の潜入捜査

工作員の潜入捜査と信念の全貌

『手札が多めのビクトリア 3』において、「工作員の潜入捜査」は物語の根幹をなすサスペンス要素であり、キャラクターたちの信念や情が交錯する重要なテーマとして描かれている。ブリッジ伯爵家での孤独な戦い、王城での完璧な影武者任務、他国からの身分偽装、および潜入捜査における情のジレンマについての解説は以下の通りである。

ブリッジ伯爵家での潜入と情ゆえの危機

第三騎士団の女性工作員ルナは、ミア・ハーベルという偽名を使ってオズモンド・ブリッジ伯爵家に家庭教師兼帳簿係として三年近く潜入していた。

・彼女の目的は、伯爵がアシュベリー王国の連絡網の拠点を隣国ランダル王国へ売っている証拠を掴むことであった。

・王都へ向かう前日に新入りの侍女として同郷の幼なじみイネスが現れ、本名を呼ばれたことで正体を疑われた。

・暴力夫から逃げるために偽名を使ったと咄嗟に誤魔化したものの、伯爵に見抜かれていると直感した。

・工作員の鉄則である身ひとつで逃げろに従おうとしたが、厳重な監視と幼なじみを見捨てられないという情に囚われ、逃亡の機会を逃した。

・王都の倉庫街で捕まり、激しい暴行を受け、王太子妃の影武者という大役を果たせなくなった。

完璧な模倣と情報収集による影武者任務

怪我をしたミアに代わり、ビクトリアはケイトと名乗り、デルフィーヌ王太子妃付きの侍女として王族居住区域へ潜入した。

・わずかな観察でデルフィーヌの歩き方、口調、相槌の打ち方、さらには微かなイーガル王国北部の訛りまで完璧に再現し、周囲を欺いた。

・下級侍女の制服に着替えて食堂へ潜入し、新入りを装って自然に噂話を集めるなど、階級の壁を越えた情報収集を行った。

・ゴミ捨て場にあった化粧水の空き瓶の匂いから違和感を覚え、侍女が不在の隙を突いて部屋を捜索し、毒のすり替えの真相を鮮やかに見抜いた。

他国からの身分偽装と裏目に出た追尾

イーガル王国のオルドラン公爵家五男・グレイソンによる潜入捜査も実行された。

・彼は反王家派からデルフィーヌを守るため、ランダル王国の貴族グンター・バールと身分を偽り、武術好きのセドリック公爵に取り入って王城へ入り込んだ。

・軍人の直感でビクトリアの不審な動きに気づき、買収して手に入れた使用人の制服を着て王族区域へ侵入した。

・彼女を暗殺者と疑って尾行した結果、逆にビクトリアの返り討ちに遭い、縛り上げられてしまった。

潜入を動かす冷徹さと人間的感情の相克

本作の潜入捜査において共通して描かれているのは、情がもたらす危険と救いである。

・ミアは幼なじみを思う情ゆえに大怪我を負う結果となった。

・ビクトリアもまた、ミアに一生の心の傷を負わせたくないという強い情に動かされて、安全な日常を捨てて潜入捜査に飛び込んだ。

・冷徹な計算だけでなく、誰かを守りたいという人間らしい感情が潜入捜査の原動力となっている。

まとめ

工作員の潜入捜査を巡る一連の全貌は、ミアによる伯爵家での情報収集から始まり、ビクトリアによる王城での完璧な変装と毒の真相解明、他国工作員グンターの身分偽装、そして潜入行動の裏に潜む情の相克に至るまで、キャラクターたちが己の技術と信念を注ぎ込んだ諜報戦の軌跡を明瞭に示している。裏切りや監視、冷酷な任務の掟という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を命懸けの潜入技術と誰かを慈しむ強い情熱によって完璧に確立するに至る、諜報と救済の記録である。偽名の潜入から、危機の発生、完璧な模倣、そして情による決断へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

ノンナの武術修行

ノンナの武術修行と更なる進化の全貌

『手札が多めのビクトリア 3』において、12歳に成長したノンナの「武術修行」は、シェン国で習得した高度な武術をベースに、アシュベリー王国の様々な大人たちから新たな実戦技術や知恵を吸収し、さらに進化していく過程として描かれている。チェスターからの裏社会の技術吸収、マイルズから学ぶ軍人の知恵、命を奪わないという強い信念、母親直伝の規格外な馬上技術、および第三騎士団への関心と両親の懸念についての解説は以下の通りである。

チェスターからの裏社会技術の吸い上げ

ビクトリアが影武者の任務で不在の間、エドワードの屋敷に預けられたノンナは、夜な夜な窓から抜け出して第三騎士団の連絡係であるチェスターの家へ通い、体術の鍛錬を行った。

・ノンナのシェン武術は、チェスターが知っている体術とは異なり、柔らかく動きながら急所を狙うため、元工作員の彼をも圧倒した。

・鍛錬の中でチェスターからナイフ投げや、ハンカチを用いて安全に窓ガラスを割り掛け金を外す方法を習得した。

・ビクトリアが意図的に教えていなかった南京錠などの鍵の開錠技術までも習得した。

マイルズによる洞察力と軍人知恵の伝授

羊牧場の責任者として雇われた元軍人のマイルズにも、ノンナは自ら鍛錬を申し込んだ。

・マイルズはノンナの並外れた技術に驚きつつ、長年の軍隊暮らしで身につけた相手の弱点を見抜くコツを伝授した。

・目の動き、重心の動かし方、つま先の向きから相手の得意技や癖を見抜くという実践的な教えを授けた。

・飲み込みの早いノンナは素早く吸収し、自分流にアレンジしていった。

不殺の教えと魂の防衛

圧倒的な戦闘力を身につけているノンナであるが、決して相手の命を奪うことはしない。

・シェン国の師匠からの「人を殺しては相手が更生する機会を奪ってしまう」という教えを守っているためである。

・反乱軍との実戦でも、相手の利き腕の筋肉や足首の腱を正確にナイフで切り、殺さずに無力化した。

・ビクトリアもまた、人を殺すことに慣れれば魂の一部が線の向こう側に残ったままになると語り、一線を越えてほしくないと強く願っており、ノンナもその思いを深く受け止めている。

曲乗りをこなす規格外の馬上技術

番外編では、ビクトリアから教わった馬術の成果も披露された。

・ただ馬を走らせるだけでなく、全速力で走る馬の上で立ち上がり、並走する別の馬へ飛び移って手綱を奪うという曲乗りを平然とこなした。

・かつて騎士団長だったジェフリーも下手したら首の骨を折ると驚愕し、肝を冷やした。

若手騎士との共闘と両親の警戒

王城での反乱の際、ノンナは第三騎士団の若手ミルズと共闘し、彼の短剣術の弱点を的確に指摘した。

・ミルズとさらに鍛錬をする約束を交わしたが、ジェフリーはこれに猛反対し、第三騎士団と関わることを固く禁じた。

・両親、特にビクトリアは、桁外れの強さと言語能力を持つノンナが非情な特殊任務組織に取り込まれ、人の死に慣れてしまうことを何よりも恐れている。

まとめ

ノンナの武術修行を巡る一連の全貌は、チェスターからの裏社会技術の伝授から始まり、マイルズからの軍人的観察眼の獲得、不殺の精神の遵守、規格外の馬上技術の発揮、そして両親による特殊組織からの保護に至るまで、少女が人間としての尊厳を保ちながら強さを深めていく過程を明瞭に示している。過酷な才能の宿命や組織の利用という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を命を尊ぶ強い意志と愛する両親の導きによって完璧に確立するに至る、能力の昇華と成長の記録である。裏技術の吸収から、実戦での不殺、曲乗りの披露、そして一線を越えさせない親心の完遂へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

聖フローレン祭り

聖フローレン祭りにおける暗殺陰謀と影武者作戦の全貌

『手札が多めのビクトリア 3』における「聖フローレン祭り」は、デルフィーヌ王太子妃を狙う反王家派の陰謀が表面化し、ビクトリアが影武者としての真価を発揮する本作最大のクライマックスとなる出来事である。伝統行事と影武者作戦の決行、広場での火矢による襲撃、ノンナの予期せぬ合流、軍の反乱と囮となるビクトリア、および壮絶な乱戦と反乱の鎮圧についての解説は以下の通りである。

伝統行事の開催と暗殺警戒下での影武者出陣

聖フローレン祭りは、王太子妃が広場で開催を宣言するという、百五十年も続く伝統ある行事である。

・平民のための楽しみとして王都や各地の有名店の屋台が並び、広場には数千人の民衆が集まる。

・事前に王太子妃の食事に毒が仕込まれる事件が起きており、祭りの場で暗殺される危険性があった。

・ビクトリアが金髪のカツラとネット付き帽子を身につけ、影武者として民衆の前に立つこととなった。

火矢による襲撃と陽動作戦の即座の看破

祭り当日、ビクトリアが広場に姿を現して民衆の歓声に応えていると、屋台の主に扮した男たちが一斉に火矢を放った。

・火矢は広場の屋台や飾りを燃え上がらせ、密集していた群衆はパニックに陥って逃げ惑った。

・火矢が直接ビクトリアを狙っていなかったことから、彼女はこの襲撃が本命の攻撃ではなく、警備を分散させるための陽動作戦であると瞬時に見抜いた。

逃走波を逆走するノンナの電撃合流

マイクに背中を押されて城へ避難する途中、ビクトリアは逃げ惑う人々の波とは逆に、燃えていない屋台の屋根や大木の枝を飛び移りながら向かってくるノンナを発見した。

・ノンナは祭りを見に来ていたが、母の危機を察知して合流してきた。

・ビクトリアは思いがけない娘の登場に苛立ちながらも、共に城内へと駆け込んだ。

軍の反乱発生と王太子妃退避のための囮行動

広場での騒ぎの隙を突き、城内では軍の一部が反乱を起こしていた。

・彼らは王太子妃に国王陛下毒殺計画の疑いありというでっち上げの理由で、議会の許可なくデルフィーヌの身柄を拘束しようとしていた。

・ビクトリアは、本物のデルフィーヌを隠し通路から逃がす時間を稼ぐため、自ら反乱軍の前に姿を現した。

・影武者として堂々と彼らと対峙して囮の役目を果たした。

城壁内隠し通路での死闘と反乱の完全鎮圧

その後、ビクトリアたちは第三騎士団や軍人たちと共に城壁内の隠し通路を通って温室へ脱出したが、そこで反乱軍に見つかってしまった。

・ビクトリアはドレス姿のまま短剣を抜いて乱戦に身を投じた。

・圧倒的な数の王国軍が引き返してきて援軍として駆けつけたことで、反乱軍は戦意を喪失して降伏し、事態は無事に鎮圧された。

まとめ

聖フローレン祭りでの事件を巡る一連の全貌は、伝統行事での影武者出陣から始まり、陽動の火矢攻撃の看破、ノンナの戦場への合流、反乱軍に対する囮行動、そして隠し通路での死闘と反乱鎮圧に至るまで、ビクトリアの圧倒的な戦闘力と冷静な判断力を明瞭に示している。政治的陰謀や武力による襲撃という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権をビクトリアの果断な行動と母娘の強い絆によって完璧に確立するに至る、陰謀打倒と危機突破の記録である。影武者の決行から、陽動の破砕、娘との共闘、囮の遂行、そして事態の沈静化へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

貴族社会の社交

貴族社会の社交とアッシャー家の選択の全貌

『手札が多めのビクトリア 3』における「貴族社会の社交」は、単なる華やかな交友の場としてだけでなく、権力や思惑が交錯する場であり、同時にビクトリアたちが愛する家族とアシュベリー王国で生きていくための新たな戦場として描かれている。権力と利益に群がる貴族たちの思惑、ビクトリアの慎重な立ち回り、ノンナの社交界デビューとダーツの会、およびこの国に根を張るための覚悟についての解説は以下の通りである。

権力と実益に群がる打算的な関係構築

貴族社会の社交は、実益や人脈作りと密接に結びついている。

・ジェフリーが王太子の信任を得て軍務副大臣に内定し、ビクトリアもデルフィーヌ王太子妃の話し相手兼語学講師に指名された。

・王族のお気に入りとなったアッシャー家には、打算や関係構築を狙う貴族たちからお茶会や夜会の招待状が山のように届くようになった。

・エリザベスの父であるマグレイ伯爵が、ビクトリアの始めたアッシャー軟膏工房に高価な看板を無償で贈ってきたエピソードも、評判の薬を手に入れるための商売上の計算であることが示されている。

・ヨラナ前伯爵夫人がノンナに諭した「望みのものをただで手に入れようとすれば、かえって対価は高くつく」という言葉は、まさにこうした貴族社会の基本ルールを表している。

設定を活かした慎重な社交戦略

これまで「病弱で引きこもりがち」という設定で社交を避けてきたビクトリアであるが、王太子妃の指名を受けた以上、完全に社交を避けることはできなくなった。

・急に活発に動いて過去を疑われないよう、彼女はシェン国から帰国したら体調が回復したという口実を使いながら、少しずつ招待に応じている。

・夜会でも印象の薄い田舎出身の妻を完璧に演じて目立たないよう努めている。

・高まる夫と自身の地位により、否応なく社交界の波に巻き込まれていくこととなった。

洗練されたマナーと圧倒的実力による独自の交友拡大

12歳に成長したノンナも、幼なじみのクラークのエスコートを受けながら積極的にお茶会へ参加するようになった。

・クラークの「貴族の知り合いは多いほうがいい」という助言に従って交流を広げた。

・あるお茶会で自慢げな令息からダーツ勝負を挑まれた。

・幼い頃から石当てやナイフ投げで遊んできたノンナは圧倒的な実力で圧勝し、これをきっかけにノンナを囲むダーツの会が結成された。

・家の中では砕けた口調のノンナであるが、社交の場ではビクトリアから教わった洗練された淑女のマナーを完璧に実践しており、若手貴族たちの間で独自の人間関係を築き始めている。

家族を守り抜くための強い覚悟と定住への選択

かつてハグル王国を逃げ出した頃のビクトリアは、誰にも縛られずひっそりと生きるつもりであった。

・現在では面倒な貴族の社交も避けずに向き合っている。

・ジェフリーの立場を支え、ノンナの未来を守るためである。

・ビクトリアは「家族を守るためなら、私は誰かの手駒になる覚悟はある」と語った。

・アシュベリー王国の貴族社会に深く根を下ろし、どんな手札を使ってでも愛する者たちとの幸せな生活を守り抜くという強い決意を固めている。

まとめ

貴族社会の社交を巡る一連の全貌は、利益と権力が交錯するお茶会や夜会の実情から始まり、ビクトリアによる慎重な立ち回り、ノンナの社交界での台頭とダーツの会の発足、そして家族を守るための覚悟の確立に至るまで、一家がアシュベリー王国で生きていくための足場を固める過程を明瞭に示している。過去の逃亡生活や他人の思惑という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの洗練された社交術と大切な者を護る強い意志によって完璧に確立するに至る、生存戦略と定住の記録である。思惑の交錯から、慎重な対応、独自の居場所の獲得、そして強固な覚悟の受容へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

家族の絆と守護

家族の絆と守護の全貌

『手札が多めのビクトリア 3』における「家族の絆と守護」は、過酷な過去を持つ元エース工作員のビクトリア(アンナ)が、夫ジェフリーや娘ノンナと築いた平穏な日常を守り抜くための強い覚悟と、互いを深く思いやる愛情として描かれている。ビクトリアの覚悟と手駒になる決意、ジェフリーの深い愛情と理解、ノンナの成長と母を守る決意、クラークの決意、および互いを思いやるゆえのすれ違いと対話についての解説は以下の通りである。

定住への覚悟と家族のための社交受容

ビクトリアは、ハグル王国を出た頃は誰にも縛られずに生きるつもりであったが、現在ではこの国に根を張り、家族のために生きることが自身の幸せであると強く実感している。

・「ノンナを守るためなら、私は誰かの手駒になる覚悟はあるわ」と語った。

・ジェフリーが軍務副大臣に就任したり、自身が王太子妃の語学講師に指名されたことによる厄介な貴族の社交にも逃げずに出向いている。

・すべては家族の未来を守るためという強い意志に基づいている。

身分や地位を超越した深い愛情と尊重

ジェフリーは、ビクトリアが影武者の依頼を引き受ける際、最終的には彼女の意思を尊重して許可した。

・スバルツ王国との交渉へ使節団として向かう際、ビクトリアが自分を責めないように言葉をかけた。

・「俺のためだといって、この先いきなり姿を消すのもやめてほしい」「俺の前からいなくなることは絶対に許さない。君は俺と生涯共に生きると約束してくれただろう?」と伝えた。

・「君のためなら爵位なんてどうでもいい。貴族の身分を捨てることだって迷わないよ」と語るほど、ビクトリアとノンナの存在を何よりも大切にしている。

母を守るための鍛錬と精神的成長

12歳になったノンナは、シェン国などで学んだ高度な武術を駆使し、聖フローレン祭りでの反乱時には、誰も殺さないという教えを守りながらデルフィーヌ王太子妃を護衛した。

・「私は強くなってお母さんを守りたかっただけだよ」と本音を打ち明けており、母への深い愛情から自らを鍛え上げてきた。

・母が二ヶ月間仕事に出ることに対し、難色を示す父ジェフリーに「お父さんが許せるところまでなら自由にしてもいいよって意味だったの?」と問いかけた。

・母の望む生き方を応援するよう諭すなど、精神的にも大きく成長している。

二度と逃げ回らせないための権力獲得の誓い

ノンナの幼なじみであるクラークもまた、二人を守るための決意を固めている。

・スバルツ王国との交渉において通訳に志願し、その正確な通訳と知識で戦争回避に大きく貢献した。

・無事に帰還した彼はノンナに正式に婚約を申し込んだ。

・「私とお母さんが二度と逃げ回らないで済むよう、守りたい」「そのために出世して権力を持つ」と決意を語り、未来の家族として二人を守る覚悟を見せている。

言葉の不全による葛藤と対話による深化

家族を大切に思うあまり、時には言葉が足りずにすれ違うこともあった。

・ジェフリーがノンナと第三騎士団のミルズとの関わりを厳しく禁じた際、友人を自分で選びたいノンナは反発して無断で外出してしまった。

・その後の対話で、ビクトリアは「ノンナがハグルの組織や第三騎士団に取り込まれ、人の死に慣れていくのを想像しただけで、私は自分を許せなくなる」という真意を伝えた。

・娘を過酷な世界に入らせたくないという深い親心を明かした。

・ノンナも自分の気持ちを素直に話し、ビクトリアは「三人とも言葉が足りなかったわね。これからは、ちゃんと言葉にして伝えるわ」と約束し、家族の絆をさらに深めた。

まとめ

家族の絆と守護を巡る一連の全貌は、定住に向けたビクトリアの強い覚悟から始まり、ジェフリーの無償の愛情、ノンナの母を守る強い決意、クラークの権力獲得への誓い、そして対話を通じた家族感情の深化に至るまで、互いを慈しむ人々が強力な結束を築くプロセスを明瞭に示している。過去の逃亡生活や外部の過酷な環境という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの深い愛情と誠実な言葉の交わし合いによって完璧に確立するに至る、守護と対話の記録である。覚悟の受容から、愛情の開露、能力の磨錬、未来への誓い、そして絆の深化へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

手札が多めのビクトリア2レビュー
手札が多めのビクトリアまとめ
手札が多めのビクトリア4レビュー

登場キャラクター

アシュベリー王国 王族

コンラッド

穏やかで慈悲深い性格である。妻のデルフィーヌを大切にしている。ジェフリーに絶大な信頼を置く。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・王太子。
・物語内での具体的な行動や成果
 ジェフリーを軍務副大臣に指名した。反乱鎮圧後、影武者の正体に気づきつつも隠し通した。デルフィーヌとアンナが親しくなるよう取り計らった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ジェフリーを軍務副大臣から将来の軍務大臣にする流れを作った。

デルフィーヌ

清廉で思慮深い性格である。国と民を思う強い心を持つ。アンナの聡明さと強さに惹かれる。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・王太子妃。イーガル王国出身。
・物語内での具体的な行動や成果
 自身の毒殺計画を逆手に取り、エリーを救うために毒をすり替えさせた。反乱時には隠し通路から脱出し、無事に保護された。アンナを語学講師兼話し相手に指名した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王妃となる使命感を持ち、アンナから庶民の知識を学んで人として成長しようとしている。

オスカー

デルフィーヌとコンラッドの長男である。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 家族での朝食の席で両親と会話をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ルーカス

デルフィーヌとコンラッドの次男である。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の王子。
・物語内での具体的な行動や成果
 家族での朝食の席で両親と会話をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

国王

国の安全と安定を重視する。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 軍の反乱鎮圧後、エドワードに次期宰相を打診した。エドワードが辞退しヘインズ総務大臣を推薦したため、それを受け入れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

王妃

病弱であると噂されている。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・王妃。ランダル王国出身。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

セドリック

武術に強い関心を持つ。妻のベアトリーチェと仲が良い。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 アンナの正体を察し、体術の鍛錬を求めた。ノンナと対戦して敗北し、アンナの正体を秘密にすると約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ベアトリーチェ

セドリックの妻である。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の公爵夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
 デルフィーヌとの昼食会で、グンターが王都に滞在する予定であることを伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アッシャー家

アンナ・ビクトリア・アッシャー(ケイト)

家族を深く愛し、守ろうとする意思を持つ。冷静な判断力と高い戦闘技術を備える。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー子爵夫人。元ハグル王国エース工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 負傷したミアの代わりにデルフィーヌの影武者を務めた。軍の反乱時に囮となって時間を稼ぎ、反乱兵と戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 デルフィーヌの語学講師兼話し相手に指名され、王家と関わりを持つことになった。

ジェフリー・アッシャー

妻と娘を深く愛している。誠実で冷静な性格である。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・アッシャー子爵。のちに軍務副大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
 スバルツ王国との使節団に同行し、過去の戦争の教訓を説いて戦争回避に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 コンラッドの強い意向で軍務副大臣に任命された。将来は軍務大臣に昇格する予定である。

ノンナ・アッシャー

明るく活発な少女である。母を守るために強くなりたいと願っている。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー子爵家の令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
 夜間に屋敷を抜け出してチェスターと鍛錬を重ねた。反乱時に王城でデルフィーヌを護衛し、軍人を殺さずに制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 令息たちとのダーツ勝負に圧勝し、自身を囲むダーツの会が結成された。

エドワード・アッシャー

頭脳明晰で冷徹な判断を下す。国と家族を守ることを優先する。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の伯爵。諸制度維持管理部長。第三騎士団(特殊任務部隊)の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアを影武者に起用した。次期宰相の打診を辞退し、コリン・ヘインズを推薦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 表向きの役職に留まりつつ、裏から国を動かす影響力を持つ。

ブライズ・アッシャー

穏やかで優しい性格である。義母の世話を献身的に行う。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー伯爵夫人。エドワードの妻。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアの夜会用のドレス選びに付き添った。ビクトリアの不在中、ノンナを預かって世話をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

コートニー・アッシャー

過去の辛い経験から心を病んでいた。ノンナとの交流で回復していく。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー伯爵家の前当主夫人。ジェフリーとエドワードの母。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノンナと羽枕ボールを投げ合う遊びを毎日続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 杖をついて歩けるまでに回復し、会話も滑らかになった。

ライリー

剣術と体術に優れる。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー子爵家の護衛。のちに第三騎士団の工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 アンナとノンナの外出を護衛した。エドワードの指示でフルードホテルに潜入し、グンターを監視した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ルイス

剣術と短剣の扱いに優れる。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー子爵家の護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
 アンナとノンナの外出を護衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

リード

真面目に職務を果たす。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー子爵家の馬係。
・物語内での具体的な行動や成果
 アンダーソン家やチェスターの家へ手紙を届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

バーサ

主人の様子に気を配る。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー子爵家の侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
 ジェフリーの帰還の知らせをビクトリアに伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

料理人

美味しい料理を作る。

・所属組織、地位や役職
 アッシャー子爵家の料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
 影武者の任務を終えて帰宅したビクトリアにご馳走を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アンダーソン家

クラーク・アンダーソン

真面目で努力家である。ノンナに好意を寄せている。

・所属組織、地位や役職
 アンダーソン伯爵家の令息。外国語を扱う文官。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノンナを歌劇や茶会へエスコートした。スバルツ王国との交渉に使節団として同行し、正確な通訳で戦争回避に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 出世してノンナとアンナを守る決意を固め、ノンナに婚約を申し込んだ。

マイケル・アンダーソン

情報通である。ビクトリアの過去について独自に推測を巡らせる。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・外務大臣。アンダーソン伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 ジェフリーに軍務副大臣への就任が内定したことを伝えた。ビクトリアがランダル大公から逃げてきたのだと勘違いした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

エバ・アンダーソン

世話好きで明るい性格である。ノンナを将来の家族として歓迎している。

・所属組織、地位や役職
 アンダーソン伯爵夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ジェフリーの軍務副大臣内定を喜んで伝えた。クラークとノンナの交際を応援している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アシュベリー王国 王城・軍・騎士団関係者

マイク

実務的で感情を表に出さない。

・所属組織、地位や役職
 第三騎士団の工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアにデルフィーヌの影武者を依頼した。反乱時にビクトリアを誘導し、彼女が影武者としての役割を果たせるよう補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

チェスター

ノンナの才能に興味を持ち、指導を楽しむ。

・所属組織、地位や役職
 第三騎士団の連絡係。元工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアからの情報をマイクへ伝達した。毎晩抜け出してくるノンナと体術の鍛錬を行い、開錠の技術を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ミルズ

最年少の工作員である。ノンナの強さに興味を抱く。

・所属組織、地位や役職
 第三騎士団の工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 反乱時にノンナを連れて城内を移動した。ノンナと一緒に南区の裏路地で困っていた男女を助けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ウル医師

親孝行である。

・所属組織、地位や役職
 第三騎士団担当の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
 親を安心させるためシェン国への帰国を決めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 後任として従弟を呼ぶ手配をした。

ルナ(ミア・ハーベル)

情に厚く、幼なじみを見捨てられない。

・所属組織、地位や役職
 第三騎士団の工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 オズモンド・ブリッジ伯爵家に潜入していた。幼なじみを人質に取られ、無実を確かめてから反撃して逃走したが、重傷を負って影武者の任務を辞退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

スタンレー

長年の心労で体調を崩している。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の宰相。
・物語内での具体的な行動や成果
 デルフィーヌを守るため、エドワードに警備の指揮を依頼した。軍の反乱の責任を取り、宰相を辞任した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 宰相の職を退いた。

マルティス

疲労している。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・軍務大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
 軍の反乱を防げなかった責任を認め、軍務大臣を辞任した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 軍務大臣の職を退いた。

ブライアン・ウィルクス

反王家派とつながりを持つ。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・軍務副大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
 イーガルの反王家派と結託し、デルフィーヌの殺害を企てた。軍の反乱の首謀者となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 国家反逆罪と王太子妃殺害計画の罪で処刑されることになった。

コリン・ヘインズ

素行に問題がなく、聡明である。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・総務大臣。ヘインズ伯爵。ヨラナの息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 慈善事業の予算半減についてデルフィーヌに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エドワードの推薦により、次期宰相に任命された。

キャラハン伯爵

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国・軍部の三番目の地位。伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 マルティスの辞任に伴い、五年間限定で軍務大臣に昇格することになった。

第一騎士団の騎士たち

王族の護衛を担う。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の第一騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果
 聖フローレン祭りで影武者のビクトリアを護衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

第二騎士団の騎士たち

王都の治安を守る。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の第二騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果
 聖フローレン祭りで火矢を放った男たちを捜索した。フレッドとその一味を捕らえ、ロザリーを救出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

第三騎士団の男たち(特務隊の男たち)

高い戦闘力と情報網を持つ。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の特殊任務部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 反乱時にデルフィーヌを隠し通路から逃がした。ビクトリアを護衛し、反乱軍と戦闘を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

王国軍の軍人たち

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の軍人。
・物語内での具体的な行動や成果
 西の森から引き返し、王城での反乱を鎮圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

反乱側の軍人たち

・所属組織、地位や役職
 反乱を起こしたアシュベリー王国の軍人。
・物語内での具体的な行動や成果
 デルフィーヌを拘束しようと王城内で反乱を起こし、ビクトリアや特務隊と戦闘になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 王国軍に鎮圧され、逮捕された。

警備隊員たち

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の警備隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 女性を追っていた男たちを捕縛したビクトリアとノンナから事情を聞いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

使節団の連中

・所属組織、地位や役職
 スバルツ王国との交渉に向かった使節団。
・物語内での具体的な行動や成果
 戦争回避のためスバルツ王国と交渉を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

衛兵たち

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王城の衛兵。
・物語内での具体的な行動や成果
 王城内の通路やドアを警備していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アシュベリー王国 城の侍女・使用人

エリー

寡黙で真面目である。デルフィーヌを敬愛している。

・所属組織、地位や役職
 デルフィーヌ付きの侍女長。
・物語内での具体的な行動や成果
 実家の借金を理由に毒殺を強要されたが、実行できずに自ら毒を飲んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 病気療養を理由に退職し、遠方の第三騎士団員の家で保護されることになった。

ニーナ

毒に詳しい。

・所属組織、地位や役職
 デルフィーヌ付きの侍女。イーガル王国派の工作員。
・物語内での具体的な行動や成果
 デルフィーヌの指示で、エリーが飲む予定だった猛毒を弱い毒にすり替えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アンリ

・所属組織、地位や役職
 デルフィーヌの衣装係。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

マリン

・所属組織、地位や役職
 王城の下級侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
 ゴミ捨て場でデルフィーヌの化粧水の空き瓶を拾い、馬油を入れて使っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

上級侍女たち

・所属組織、地位や役職
 王城の上級侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

下級侍女たち

・所属組織、地位や役職
 王城の下級侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
 食堂で賑やかに会話をし、ケイトの潜入調査の情報源となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

城の使用人たち

・所属組織、地位や役職
 王城の使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
 反乱の際、小部屋に固まって身を潜めていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アシュベリー王国 貴族・関係者

ヨラナ・ヘインズ

気が強く優しい。アンナを娘のように思っている。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の前伯爵夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアの幸せを喜び、羊牧場を見学した。城で働きたいというノンナを説得して止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

スーザン

・所属組織、地位や役職
 ヨラナ・ヘインズに仕える侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

バーナード・フィッチャー

学問に熱心である。ノンナを可愛い孫のように思っている。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の歴史学者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノンナにイーガル王国の古い物語を贈った。ノンナと感想文を交換し、冒険小説を読む楽しみを取り戻した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

エリザベス・マグレイ

大人びた雰囲気を持つ。ノンナの親友である。

・所属組織、地位や役職
 マグレイ伯爵家の令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノンナと共にアッシャー軟膏工房の名付けに関わった。クラークの帰還を待つノンナを慰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

マグレイ伯爵

商売上手である。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の伯爵。エリザベスの父。
・物語内での具体的な行動や成果
 アッシャー軟膏工房に高価な看板を無償で贈った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

オズモンド・ブリッジ伯爵

抜け目がない。裏の仕事に関与している。

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
 アシュベリーの連絡網の拠点をランダル王国へ売っていた。ミア(ルナ)の嘘を信じたふりをして、倉庫街で彼女を捕らえた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

メイナード

頭脳明晰で乗馬を好む。令嬢たちから人気がある。

・所属組織、地位や役職
 グローヴ侯爵家の嫡男。
・物語内での具体的な行動や成果
 劇場でノンナに声をかけ、自分の父親の地位を自慢した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ハドソン侯爵夫人

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の侯爵夫人。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

メイナードの連れの少女

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の貴族令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
 劇場でノンナにきつい眼差しを向けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

茶会に参加した令息や令嬢たち

・所属組織、地位や役職
 アシュベリー王国の貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノンナとのダーツ勝負に敗れ、ノンナを囲むダーツの会を結成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

アシュベリー王国 市井の人々・その他

マイルズ

温厚で面倒見が良い。ビクトリアを陰ながら支えようとする。

・所属組織、地位や役職
 退役軍人。羊牧場の責任者。
・物語内での具体的な行動や成果
 羊牧場に就職し、ビクトリアと再会した。ノンナの鍛錬相手となり、相手の弱点を見抜くコツを教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

イネス

無邪気で人を疑わない。

・所属組織、地位や役職
 オズモンド・ブリッジ伯爵家の侍女。ルナ(ミア)の幼なじみ。
・物語内での具体的な行動や成果
 伯爵の前でルナの本名を呼び、彼女の正体が露見する原因を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ダフネ

迫力がある。着る人の魅力を引き出すことにこだわる。

・所属組織、地位や役職
 ドレスショップの経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアの夜会用のドレスをデザインし、仕立てた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

修道院の院長

誠実である。

・所属組織、地位や役職
 南区の修道院の院長。
・物語内での具体的な行動や成果
 軟膏工房で働く女性たちを推薦し、牧場の責任者としてマイルズを雇った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

修道院の女性たち

・所属組織、地位や役職
 南区の修道院で暮らす女性たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 軟膏工房での作業や羊牧場での羊の世話に従事した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

ロザリー

裕福な農家の娘である。

・所属組織、地位や役職
 フィッテ村の村長の娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 借金を抱えるフレッドと駆け落ちしようとした。ノンナたちに助けられた後、男たちに軟禁された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 第二騎士団によって救出された。

フレッド

金目当てで行動する。

・所属組織、地位や役職
 借金を抱える男。
・物語内での具体的な行動や成果
 ロザリーの家のお金を狙い、仲間と結託して彼女を騙した。ノンナたちに助けられた後、怪我を装って王都へ引き返させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 第二騎士団に逮捕された。

ロザリーを襲っていた男たち

・所属組織、地位や役職
 フレッドの仲間。
・物語内での具体的な行動や成果
 フレッドを殴るふりをしてロザリーを騙した。ノンナとミルズに倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 第二騎士団に逮捕された。

ザハーロ

口は悪いが面倒見が良い。ビクトリアを仲間だと思っている。

・所属組織、地位や役職
 酒場「黒ツグミ」の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアが倒した男たちを縛り上げる手伝いをした。ヘクターからビクトリアを守ると約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

サンドル古書店の店主

・所属組織、地位や役職
 王都の古書店店主。
・物語内での具体的な行動や成果
 店を訪れたビクトリアたちを笑顔で迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

馬牧場の主

・所属組織、地位や役職
 馬牧場の経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビクトリアたちの曲乗りを見て感心した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

劇場の客たち

・所属組織、地位や役職
 劇場を訪れた人々。
・物語内での具体的な行動や成果
 馬車から降りるノンナの美しさに目を留めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

黒ツグミの客たち

・所属組織、地位や役職
 酒場「黒ツグミ」の客。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

広場の群衆たち

・所属組織、地位や役職
 聖フローレン祭りに参加した人々。
・物語内での具体的な行動や成果
 広場に現れたデルフィーヌ(ビクトリア)に歓声を上げた。火矢による騒ぎでパニックに陥り逃げ惑った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

火矢を放った男たち

・所属組織、地位や役職
 屋台の主に扮した男たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 広場の屋台や飾りに火矢を放ち、騒動を起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

イーガル王国

グレイソン・オルドラン(グンター・バール)

直感を信じて行動する。軍人らしい真面目さを持つ。

・所属組織、地位や役職
 イーガル王国のオルドラン公爵家五男。軍人。
・物語内での具体的な行動や成果
 グンター・バールと名乗り、セドリックに取り入って王城に潜入した。デルフィーヌを守ろうとしてケイトを尾行し、返り討ちにあって捕縛された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 コンラッドに影武者の正体を漏らしてしまい、デルフィーヌから叱責された。

オルドラン公爵

王家派の筆頭である。

・所属組織、地位や役職
 イーガル王国の公爵。イーガル国王の弟。グレイソンの父。
・物語内での具体的な行動や成果
 息子のグレイソンに、身分を偽ってデルフィーヌを守るよう命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項はない。

イーガル国王

・所属組織、地位や役職
 イーガル王国の国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高齢で体調が悪化している。

シェン国

イルカース

・所属組織、地位や役職
 シェン国の種製造販売エンローカム家の息子。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アシュベリー王国へ渡り、エドワードの屋敷に滞在することになった。

ウル医師の従弟

・所属組織、地位や役職
 シェン国の医師。
・物語内での具体的な行動や成果
 物語内で直接の行動は描かれていない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ウル医師の後任としてアシュベリー王国で働くことになった。

手札が多めのビクトリア2レビュー
手札が多めのビクトリアまとめ
手札が多めのビクトリア4レビュー

展開まとめ

プロローグ 平和な朝 

王太子一家の朝

王城では、コンラッド王太子とデルフィーヌ王太子妃が、二人の息子オスカーとルーカスを交えて穏やかな朝食を取っていた。結婚から十二年が過ぎても夫婦仲は良く、デルフィーヌは慈善事業や貴族夫人との交流に努めながら、恵まれた暮らしを送っていた。

将来の王妃

デルフィーヌはイーガル王国の侯爵家に生まれ、三歳でコンラッドの婚約者に選ばれた。将来のアシュベリー王妃として期待されたため、病気や怪我を避ける目的で接する者を制限され、外出も許されない環境で大切に育てられた。

閉ざされた暮らし

九歳のデルフィーヌは街を歩きたいと願ったが、顔に傷を負う危険を理由に退けられた。聡明で従順だった彼女は諦め、将来の王妃に必要な知識と礼儀を身につけながら、閉塞的な生活の中でも周囲を思いやる穏やかな少女へ成長した。

侍女エリー

デルフィーヌは侍女のエリーを気に入り、常にそばに置くことを望んだ。エリーは寡黙で誠実に仕え、後に実家が子爵家へ昇格するほど重用された。デルフィーヌにとって、エリーは心を許せる大切な存在となった。

知らされなかった祭り

祭りに憧れるデルフィーヌに対し、エリーは危険で粗末な場所だと説明した。本当は安全で楽しい行事だったが、決して参加を許されないデルフィーヌを苦しませないために嘘をついたのである。それ以降、デルフィーヌは祭りへ行きたいとは言わなくなった。

恋を知らない花嫁

美しく成長したデルフィーヌは夜会で注目を集めたが、王太子の婚約者であるため若い男性は近づけなかった。恋を知ることなく十七歳で祖国を離れ、絵姿しか知らないコンラッドのもとへ嫁いだ。親兄弟との別れを悲しみながらも、教えに従って人前では笑顔を保った。

コンラッドとの出会い

コンラッドは到着したデルフィーヌを笑顔で迎え、自ら王城を案内した。華やかな容姿だけでなく、聡明で優しく、婚姻の儀式でも彼女の体調を気遣った。デルフィーヌは彼となら王太子妃としての役目を果たせると安堵し、エリーも良縁を喜んだ。

満ち足りた結婚生活

デルフィーヌはコンラッドとの間に二人の息子を授かり、夫婦の間には長年争いも起こらなかった。優しい夫と楽しげな息子たちを眺めながら、自分は思い描いたとおりの幸福な人生を歩んでいると感じていた。

第一章 * ビクトリアの平穏な日々 

歌劇への誘い

クラークはノンナを恋愛歌劇へ連れていった。幼い頃に結婚を申し込んだ思い出や、突然ノンナが姿を消した後、エドワードに五年後の帰国を知らされて必死に勉強した日々を振り返った。約束を解消されても諦めず、改めて関係を築こうと考えていた。

クラークの決意

劇場で周囲の男性がノンナへ注目すると、クラークは冷たい視線で牽制した。将来は宰相となるほどの力を身につけ、ノンナとアンナを守るという決意を誰にも明かさず抱いていた。

歌劇への感想

ノンナは歌劇を楽しんだものの、女性が危機に何もできず、自分を愛する男性へ威張る姿には納得しなかった。自分なら好意を向けてくれたことへ感謝し、ジェフリーへ常に感謝を伝えるアンナのようになりたいと語った。

メイナードとの遭遇

劇場で侯爵家嫡男メイナードから声をかけられたが、ノンナはよそ行きの笑顔を見せるだけだった。菓子店では、父が財務大臣だと繰り返すメイナードより、家柄を自慢しないクラークの方が格好よいと伝えた。クラークは次の外出を約束し、帰宅後も将来の目標へ向けて勉強を続けた。

軟膏工房と羊牧場

アンナは護衛のライリーとルイスを伴い、修道院に完成した軟膏工房を確認した。夫から逃げた女性など十人を雇うことを決めた後、羊舎や作業場が完成した牧場を訪れた。アンナはノンナを育てた後、ジェフリーと牧場で暮らす未来を楽しみにしていた。

夜会への懸念

牧場を訪れたマイクは、王太子主催の夜会へジェフリー夫妻が招かれ、アンナと面識のあるセドリック公爵も参加すると伝えた。別人を装うことは難しいため、夜会前に面会して秘密を守るよう依頼する案が示された。

ノンナの対戦案

アンナとジェフリーが対処に悩むと、ノンナは自分がセドリックと戦うと提案した。ジェフリーは、ノンナに勝てた場合のみアンナが体術指導を行うという条件を出す作戦を立てた。

セドリックとの取引

セドリックはすでにアンナの正体を察していたが、王族には知らせていなかった。その代わりに体術の鍛錬を求めたため、ジェフリーは第三騎士団員にも勝ったノンナとの対戦を提案し、興味を引くことに成功した。

ノンナの勝利

ノンナはシェン武術の素早い動きでセドリックを圧倒し、怪我を負わせないよう手加減しながら勝利した。セドリックは敗北を認め、アンナの正体を国王や王太子へ明かさないと約束した。元からジェフリーが大切にするアンナを守りたいとも考えていた。

アッシャー軟膏工房

稼働を始めた工房は、ノンナとエリザベスの提案でアッシャー軟膏工房と名づけられた。マグレイ伯爵から豪華な看板が贈られ、十人の女性が白いエプロンを着けて働き始めた。アンナは自分の知識が人の役に立つ現在を感慨深く受け止めた。

夜会の装い

初めての王家主催の夜会に備え、ブライズと仕立屋のダフネがアンナのドレスを選んだ。目立ちたくないアンナの希望は退けられ、細い体形を際立たせる暗いえんじ色の華やかな衣装が用意された。

王城での演技

夜会では功績を称えられるジェフリーへ多くの貴族が集まった。アンナは平民出身で気弱な子爵夫人を演じ、王太子コンラッドとの面会でも緊張した様子を貫いた。セドリックも約束を守り、初対面のふりをした。

グンターへの疑念

セドリックが連れてきたランダル王国出身のグンターに、アンナは過去に会った記憶を感じた。踊りながら身元を探ったが、グンターは難しいステップでアンナの力量を試し、公爵領について細かな質問を重ねた。アンナも質問を返し、正体を隠し通した。

エドワードの情報収集

エドワードは自然な会話の中で、グンターの入国時期や滞在先、従者、セドリックとの出会いを聞き出した。グンターは街の乱闘で三人を倒したところをセドリックに見込まれたと説明したが、アンナはその偶然が仕組まれた可能性を疑った。

グンターの調査

アンナは夜会後、チェスターへグンターの身体的特徴や言葉遣い、剣だこやペンだこまで詳しく報告した。情報はマイクとエドワードへ伝わり、ランダル王国での照会とホテルへの潜入調査が始まった。エドワードは、疑惑が確定するまでセドリックには知らせないと判断した。

スバルツ王国の動き

エドワードは宰相スタンレーへ、スバルツ王国の軍に影響力を持つ貴族たちが活発に動き、金鉱脈に近い西の森付近で軍事演習を続けていると報告した。金鉱脈を狙った動きである可能性が浮上した。

王太子妃への毒

デルフィーヌ王太子妃の食事には二度毒が仕込まれ、毒味役が倒れていた。次の王太子妃を送り込む順番にあるスバルツ王国が関与している可能性も疑われたが、確証はなかった。

聖フローレン祭りの警護

二か月後の聖フローレン祭りでは、デルフィーヌが民衆の前へ姿を現す予定だった。暗殺の危険に備え、エドワードが騎士団とは別系統の警備を指揮し、デルフィーヌに似たルナを影武者として使うことになった。

幕 間 ★ 女性工作員の迷い 

伯爵家への潜入

ルナはミア・ハーベルと名乗り、三年近くオズモンド・ブリッジ伯爵家で家庭教師兼帳簿係として働いていた。伯爵の信頼を得ながら調査を続け、彼がランダル王国へアシュベリー王国の連絡網の拠点を売っている可能性を突き止めていた。

王都行きの決定

伯爵は頻繁にランダル王国と接触しており、連絡網の拠点が変更されるたびに使用人を送り出していた。王都では取引相手と直接会う予定があり、ルナは相手の特徴と犯罪の証拠をつかめば任務を終えられると考えた。

イネスとの再会

王都へ出発する前日、新入り侍女のイネスが伯爵の部屋へ現れた。彼女はルナの故郷の友人であり、ミアを見た瞬間に本名を呼んだため、潜入中の身元が露見した。

偽りの身の上

ルナは暴力を振るう夫から逃げた離婚者であり、身を守るため名前を変えたと即座に説明した。伯爵は納得したように見えたが、ルナは嘘を見抜かれたと直感し、護衛を呼ばれる前に逃亡することを決めた。

封じられた逃げ道

夜になると庭には多数の護衛が配置され、部屋の外にも人の気配があった。窓からも廊下からも逃げられず、ルナは王都への移動中に機会を探すことにした。

監視下の旅

翌朝、伯爵の馬車は武装した護衛に囲まれて出発し、入ったばかりのイネスまで同行した。伯爵はイネスから故郷を聞き出し、ルナが名前だけでなく出身地も偽っていたことを確かめた。

倉庫街の罠

一週間後に王都へ着くと、イネスは先にどこかへ向かわされ、伯爵はルナを倉庫街へ連れていった。ルナは罠を察しながらもイネスを見捨てられず、倉庫へ入った直後に頭から袋をかぶせられ、後頭部を殴られて意識を失った。

第二章 *第三騎士団からの依頼 

羊牧場の見学

ビクトリアとノンナはヨラナを羊牧場へ案内した。牧場には井戸や羊舎が整い、修道院から来た五人の女性が五十頭の羊を世話していた。ヨラナは、ビクトリアが夫や身分、牧場や工房を得て幸せになったことを喜び、娘のように思っていた彼女をもう心配せずに済むと安堵した。

逃げる女性たち

三人がサンドル古書店を訪れると、二人の女性が男たちに追われて店の前を走り抜けた。ビクトリアとノンナはヨラナを店内に残して追跡し、ノンナが女性たちを保護する一方、ビクトリアは男たちを路地へ誘導して足止めした。

追跡者の制圧

ノンナは屋根から飛び降りて一人を倒し、先に追いついた二人も制圧していた。母娘は三人を縛り、通りかかったザハーロの協力を得て警備隊へ引き渡した。追われていた金髪の女性は顔を激しく殴られていたが、冷静さを失わず事情聴取と治療を受けた。

ノンナの武術

ノンナは警備隊に自分が男たちを倒したと正直に話したため、詰所で事情を聞かれた。ビクトリアもヨラナへ経緯を説明し、ノンナがシェン国で五年間武術を学んだことを明かした。ジェフリーは娘が実戦で成功を重ね、自信を持ちすぎる時期に入ったことを警戒した。

影武者の負傷

マイクは緊急にアッシャー家を訪れ、救出された女性が特殊任務部隊の隊員であり、聖フローレン祭りでデルフィーヌ王太子妃の影武者を務める予定だったと明かした。片目の視力が戻るか不明となったため、代役としてビクトリアへ協力を求めようとしていた。

ミアの潜入任務

負傷した女性ミアは、潜入先で偶然再会した幼なじみに本名を呼ばれ、正体を疑われた。幼なじみを人質に取られた後も、彼女が敵の手先ではないことを確かめるまで反撃せず、激しい暴行に耐えた。無実を確信してから相手を倒し、二人で逃走したが、影武者を務められない怪我を負った。

影武者の決断

ビクトリアはミアと面会し、彼女の判断に自分と通じるものを感じた。依頼を断ってデルフィーヌに何か起これば、ミアが一生自分を責めると考え、自分自身のために代役を引き受けると決めた。ジェフリーは警備への参加を求めたが、正体を隠す妨げになるため退けられた。

ケイトの誕生

ビクトリアは王城でデルフィーヌと面会し、影武者としての技量を試された。毒への耐性、体術や短剣、複数言語の能力を答え、隠れて監視していた者の存在も見抜いた。デルフィーヌは彼女を自分付きの侍女とし、ケイトという名で二か月間そばに置くことを決めた。

王太子妃の使命

デルフィーヌは、イーガル王国とアシュベリー王国の平和を支える使命があるため、命の危険があっても王太子妃を続けると語った。政治の表舞台に立つ男性とは別の立場で国に尽くす覚悟を示し、身を守る力をビクトリアに求めた。

帰還への誓い

ビクトリアは家族への手紙も控え、影武者の任務へ専念することにした。ミアを後悔から救い、十五歳で亡くした後輩ハンスへの悔いにも向き合うため、かつてのエース工作員へ戻る覚悟を固めた。二か月後、必ずジェフリーとノンナのもとへ生きて帰ると誓った。

ノンナの問い

ジェフリーから母が二か月帰らないと聞いたノンナは寂しさを受け入れ、母の選択を応援するよう父へ求めた。さらに、ジェフリーが約束した自由とは、彼が許せる範囲だけのものなのかと問い、ビクトリアが望む生き方を認めるべきだと伝えた。

城への潜入計画

ノンナは母の仕事を確かめようと、少年のような姿に着替えて屋敷を抜け出し、ヨラナへ城で働けるよう頼んだ。ヨラナは周囲へ迷惑をかける危険を説明して止め、代わりにビクトリアの仕事を調べると約束した。

ノンナの預かり先

ヨラナから事情を知らされたエドワードは、ノンナが勝手に城へ入り込む危険を避けるため、自邸で二か月預かることにした。ジェフリーは驚いたが、ブライズや母の話し相手になると説明し、ノンナも猫のアシュとベリーを連れて滞在することを承諾した。

エドワードの選択

王家の近くまで敵が入り込み、宰相も対応しきれない状況の中、影武者に適した女性工作員はほとんど残っていなかった。長期潜入中の者を呼び戻すこともできず、予算削減で特殊任務部隊の余裕もなかった。エドワードは弟一家への情より国の利益を優先し、ビクトリアを使う決断を下したことを、心の中でジェフリーとビクトリアへ謝った。

第三章 王城のビクトリアと留守番のノンナ 

王太子妃の観察

ケイトはデルフィーヌの侍女として公務に付き添い、歩き方や口調、笑い方、細かな癖まで記憶した。朝の会話をすぐに再現してみせると、デルフィーヌはその観察力と演技力に驚いた。

慈善事業の予算

デルフィーヌは総務大臣コリンから、軍備増強のため慈善事業の予算が半減したと聞いた。飢える民を救うため自分の予算を使うよう求め、王族でありながら思うように民を助けられないことへ無力感を抱いた。ケイトは、清廉なデルフィーヌにこそ国の頂点にいてほしいと伝え、信頼を深めた。

影武者の完成度

ケイトは祭りで着るドレスを試着し、デルフィーヌとほぼ同じ体格であることを確認された。さらに声と口調を完璧にまねたため、侍女長エリーは本人と聞き違えるほどの技量に驚き、恐れさえ感じた。

毒入りの食事

エリーは幼い頃からデルフィーヌに仕え、王太子妃の食事を自ら毒見していた。二度の毒入り事件でも、事前に耐性をつけていたため生き延びたが、デルフィーヌは彼女が倒れた際に初めて取り乱して泣いていた。

城内の調査

ケイトは休憩時間を使い、厨房から王族の食堂まで料理が運ばれる経路を調べた。しかし現在の厳重な警備では、衛兵に見つからず毒を混入できる場所はなかった。下級侍女に変装して食堂へ通い、噂話から手がかりを探し続けた。

高級化粧品の小瓶

二週間後、下級侍女がゴミ捨て場で高級化粧品の空き瓶を拾ったと話した。ケイトはその侍女の部屋へ忍び込み、瓶の中身と蓋の匂いを確認した。侍女たちが早く戻ったためベッドの下に隠れ、二人が眠るまで二時間待って脱出した。

母からの手紙

マイクはビクトリアから預かった手紙をノンナへ届けた。安全な場所で働いており、帰宅後に一緒に鍛錬すると書かれていたため、ノンナは喜んだ。マイクは、母を心配して城へ入ろうとした彼女がいい子にしていると言うのを無言で受け流した。

コートニーとの遊び

ノンナはコートニーと、言葉の共通点を答えながらボールを投げ合う遊びをしていた。コートニーはノンナと遊ぶようになって身体と頭を使い、夜もよく眠れるようになった。マイクは、ビクトリアが遊びの中でノンナを鍛えていたことを知り、彼女を教官に迎えたいと改めて考えた。

グンターの正体

グンター・バールの正体は、イーガル王国のオルドラン公爵家五男グレイソンであった。反王家派がデルフィーヌを殺害し、両国の連携を崩そうとしているため、父からランダル貴族を装って彼女を守るよう命じられていた。

城への潜入

グンターはセドリックの友人として王城へ出入りしながら、デルフィーヌ付きの侍女へ接触しようとした。毒殺の危険が迫る中、使用人の制服を買い取って王族区域へ侵入し、侍女姿のケイトを暗殺者と疑って尾行した。

グンターの捕縛

尾行に気づいたケイトは暗い小部屋へ誘い込み、グンターを失神させて拘束した。マイクへ引き渡して調査させた結果、彼がデルフィーヌを守るために動いていたことが判明し、毒殺未遂への関与は否定された。

エリーへの疑念

マイクの調査で、エリーの実家が多額の借金を抱え、反王家派につけ込まれた可能性が浮上した。しかしエリー自身が二度も毒を口にして生き延びている点は不自然だった。ケイトは、毒殺が目的なら二度目も即効性の弱い毒を使う理由がないと考え、周辺人物の再調査を求めた。

牧場での未来

久しぶりの任務に神経を張り詰めながらも、ケイトは引退後を考え始めた。ジェフリーと羊牧場で暮らし、毛糸を紡ぎ、ノンナや将来の家族のために編み物をする未来を思い描いた。デルフィーヌの家庭を守るため、影武者の役目を必ず果たすと決意した。

夜の脱出

ノンナはアッシャー伯爵家で穏やかに暮らす一方、夜になると窓から抜け出していた。エドワードはその行動を把握しており、第三騎士団の連絡係チェスターに監視と鍛錬相手を命じていた。

チェスターとの出会い

初めて接触した夜、ノンナはチェスターを敵だと疑い、背後から首へ紐をかけて制圧した。チェスターがマイクの仲間であると確認すると警戒を解き、その後は毎晩のように彼の家で体術の鍛錬を行った。

新たな師弟関係

チェスターは予測不能で急所を狙うノンナの武術に刺激を受け、退屈だった日々を楽しむようになった。ノンナも次第に心を許し、彼へ開錠方法を教えてほしいと頼んだ。

開錠の技術

チェスターはビクトリアから習った技術を復習したいのだと思い込み、ノンナへ開錠を教えた。普通の鍵なら容易に開けられるようになった後、実は一度も教わっていなかったと判明した。チェスターは後悔しながらも、ノンナへさらに技術を伝えたい誘惑を感じていた。

第四章 * たどり着いた真相と聖フローレン祭り 

反王家派の暗躍

マイクはグレイソンへの尋問から、イーガル国王の病状悪化に伴って王位争いが始まり、反王家派がアシュベリーの援軍を阻むためデルフィーヌの殺害を急いでいると伝えた。ビクトリアも毒殺未遂の経緯を推理し、エリーが自ら毒を飲み、ニーナが猛毒を弱い毒へすり替えたと見抜いた。

ニーナの正体

ビクトリアは、ニーナが時折見せたイーガル北部の訛りから、王家派がデルフィーヌを守るため送り込んだ人物だと判断した。マイクは推測が正しいと認め、ビクトリアへエリーとニーナを死なせずに事態を収めるよう任せた。

夫婦の再会

マイクの計らいでジェフリーが訪れ、夫婦は一か月ぶりに再会した。しかしジェフリーは、スバルツ軍が集結する西の森へ向かう使節団に同行すると告げた。交渉が決裂すれば戦闘になる恐れもあり、ビクトリアは夫を失い、ノンナを再び独りにする可能性に怯えた。

生還の約束

ジェフリーは、自分が危険にさらされる原因をビクトリアが背負う必要はないと諭し、必ず戻ると約束した。さらに二人に何かあった場合はエドワード夫妻がノンナを守ると伝え、夫のために姿を消さず、生涯共に生きるという約束を守るよう求めた。

毒殺未遂の真相

ビクトリアは化粧水の空き瓶を証拠に、デルフィーヌがニーナへ命じてエリーの猛毒をすり替えさせたと追及した。デルフィーヌは、エリーが自分を殺せず、自ら毒を飲むと予想して救おうとしたことを認めた。毒見役が二度倒れれば第三騎士団も動くと考え、暗殺を命じた者を捕らえようとしていたのである。

軍務副大臣の名

デルフィーヌは、イーガルの反王家派と結びついている人物として、アシュベリーの軍務副大臣ブライアン・ウィルクスの名を明かした。自分だけでなく息子たちも狙われる可能性を指摘されたことで、第三騎士団へ情報を渡し、ビクトリアへ家族とエリーを救うよう頼んだ。

エリーの救出

ビクトリアはエリーへ、毒殺を実行しても実家は救われず、むしろ家族全員が処刑や口封じの対象になった可能性を伝えた。さらにデルフィーヌが猛毒をすり替えて彼女を救ったと明かすと、エリーは泣き崩れた。第三騎士団の取り調べ後、エリーは病気による退職とされ、重要な証人として遠方へ保護された。

聖フローレン祭り

祭り当日、ビクトリアはデルフィーヌの姿と声を再現し、影武者として王城前広場へ出た。群衆が歓声を上げる中、屋台に紛れた男たちが各所へ火矢を放ち、火災と混乱を引き起こした。狙いがビクトリアではないことから、彼女は騒ぎが陽動だと察した。

ノンナの合流

城へ退避する途中、ビクトリアは混乱する群衆と屋台の上を進んでくるノンナを発見した。問い質す余裕もなく共に城へ入り、マイクの案内で第三騎士団が守るデルフィーヌと合流した。ビクトリアは影武者を続け、ノンナにはデルフィーヌと共に逃げ、自分の生存を最優先にするよう命じた。

軍の反乱

軍の一部は、デルフィーヌが国王毒殺を企てたという疑いを掲げ、議会の許可なく身柄を拘束しようとしていた。城内の軍は敵味方に分かれ、同じ制服のため判別も困難だった。ビクトリアは本物のデルフィーヌを逃がす時間を稼ぐため、影武者として軍人たちの前に姿を現した。

王城からの脱出

ビクトリアを囲む第三騎士団と軍人たちは、城壁内の隠し通路から温室へ抜けた。途中で反乱側に発見され、敵味方が入り乱れる戦闘となったが、ビクトリアもドレス姿のまま短剣で応戦した。西の森から戻った王国軍が到着すると、反乱側は降伏し、ビクトリアはデルフィーヌとして反乱軍の拘束を命じた。

影武者の帰還

大広間でコンラッドに抱きしめられたビクトリアは、彼が途中で別人だと気づくと、周囲には悟られないよう演技を続けるよう頼んだ。国王も事情を察して彼女を休ませる形を取り、ビクトリアは侍女服へ戻ると、本物のデルフィーヌとノンナを捜しに向かった。

ノンナの戦闘

デルフィーヌを護衛していたノンナは、逃走経路で反乱軍と遭遇すると、敵の利き腕側の肩や足首を狙って戦闘能力を奪った。殺害を避けながら軍人たちを次々に無力化したため、デルフィーヌと第三騎士団員たちはその技量に驚いた。

デルフィーヌの保護

一行は屋根裏や城壁内の避難路を通り、使用人区画から外へ脱出した。戻ってきた王国軍と合流したことでデルフィーヌの安全は確保され、第三騎士団とノンナは護衛任務から離れた。

ミルズとの共闘

母を捜すノンナには、若い第三騎士団員ミルズが付き添った。途中で三人の反乱兵に襲われたが、ノンナが全員を無力化し、ミルズの短剣術の弱点まで指摘した。ミルズはノンナの正体を知らないまま、後日の鍛錬を約束した。

母娘の再会

ノンナは西棟でビクトリアを見つけ、無事を喜んで抱きついた。ビクトリアはノンナがミルズを守ったと聞いて驚きながらも、反乱鎮圧を確認して影武者の任務を終えた。王城には平穏が戻り、反乱の首謀者と加担した軍人たちは裁きを受けることになった。

第五章 ★線の向こう 

母娘の帰宅

ビクトリアとノンナは第三騎士団の馬車で帰宅し、仕事の終了と互いの無事をバーサへ伝えた。ノンナは広場で別れたエリザベスや、世話になったブライズへ連絡するよう頼み、二人は久しぶりの我が家に安堵した。しかしジェフリーは使節団に同行したままであり、ビクトリアの不安は消えなかった。

命を奪わない教え

その夜、ノンナはデルフィーヌの影武者を務めるビクトリアが格好よかったと語り、自分も誰も殺さずに妃殿下を守ったと明かした。ビクトリアは安堵し、人を殺すことへ慣れれば魂の一部が戻れなくなると教え、ノンナには決してその一線を越えてほしくないと伝えた。ノンナは不安に沈む母を慰め、二人は寄り添って眠った。

ブライズの不安

翌日、ブライズから相談を受けたビクトリアは、エドワードが反乱後も帰宅せず、連絡もないと知らされた。夫の安否を案じるブライズに共感し、侍女服を返却する用事もあったため、王城でエドワードの様子を確かめると約束した。

第三騎士団の拠点

王城でエドワードの無事を確認したビクトリアは、北棟の諸制度維持管理部へ迷い込んだ。そこには鍛えられた若い男たちばかりが集まり、反乱時にノンナと行動した第三騎士団員ミルズも出入りしていた。資料管理部や修繕部を含む複数の部署が第三騎士団の拠点であり、三部門を率いるエドワードこそ特殊任務部隊の長ではないかと推測した。

エドワードの秘密

エドワードはビクトリアが自分の立場へ気づいたと察したが、部下には何を尋ねられても知らないと答えるよう命じた。シェン国への派遣も影武者への起用も自分の判断であり、真実を知ればジェフリーは激怒すると理解していた。それでも国と家族を守るために必要な最善の判断だったと考えていた。

次期宰相の選定

国王たちとの会議で、軍務大臣と宰相が反乱の責任や体調不良を理由に辞任を申し出た。エドワードは次期宰相への就任を求められたが、特殊任務部隊を率いる立場と政界の軋轢を理由に拒否した。代わりにヨラナの息子コリン・ヘインズを推薦し、国王は彼を新たな宰相に決めた。

使節団への祈り

ジェフリーだけでなく、スバルツ語に堪能なクラークも志願して使節団へ同行していると判明した。ノンナは衝撃を受けたが、エリザベスから邪魔をせずに待つことが最善だと諭された。ビクトリアも西の空へ向かい、二人が無事に帰ることを願った。

軟膏工房と羊牧場

不安に沈み続けることをやめようとしたビクトリアは修道院を訪れ、軟膏工房が女性たちの仕事として順調に稼働している姿を見た。羊牧場にも足を運ぶと、新たな責任者としてマイルズが働いていた。彼はビクトリアを監視するためではなく、羊飼いの家に育った経験を生かして職に就いていた。

マイルズとの再会

かつて監視役だったマイルズは、ビクトリアが自分を疑って逃亡したことを気にかけていた。二人は過去を語り合い、ビクトリアはジェフリーの身を案じる弱音を漏らした。マイルズは国力差を考えればスバルツも戦争は選ばず、交渉で条件を引き出そうとしているだけだと励ました。

帰還の知らせ

マイルズは最後の一秒まで人生を楽しむと語り、ビクトリアにも不安だけに囚われないよう促した。帰宅したビクトリアは、ジェフリーが近く戻るという手紙が届いたと知らされた。ビクトリアとノンナは抱き合って涙を流し、エリザベスも共に喜んだ。ビクトリアは、波乱に満ちた人生でも、生きていれば幸福な日を迎えられると実感した。

幕 間 ☆ バーナードとノンナの読書交流 

バーナードからの贈り物

バーナードは、イーガル王国の古い物語をノンナへ贈った。可愛い孫のように思っているとは言えず、イーガル語の習得に役立つからだと説明した。ビクトリアは、バーナードがノンナを喜ばせたかったのだと伝え、好意は言葉にして返すよう勧めた。

ノンナの感想文

ノンナは贈られた本を何度も読み、自分が物語の人物だったらどうするかを感想として手紙に書いた。バーナードは二人が帰った直後に手紙を繰り返し読み、未来と可能性に満ちた子供の存在を喜んだ。

バーナードの変化

エバは、ビクトリアとノンナが通うようになってから、バーナードが人間らしい心の潤いを取り戻したと語った。バーナードはその後もノンナに読ませたい本を贈り、ノンナが感想を返す交流を大切な楽しみにしていた。

デル・ドルガーの貸し出し

ノンナはバーナードへ『地獄からの使者デル・ドルガー』を勧め、一巻を貸した。バーナードは意外にも最後まで読み、よく書かれていると評価したため、ノンナは大喜びした。二人は物語の感想を語り合い、続巻も一冊ずつ貸し借りすることになった。

冒険小説の記憶

長く学術書や歴史書ばかり読んできたバーナードは、かつて冒険小説が好きだったことを思い出した。シリーズを自分で買い揃えるのではなく、ノンナが一冊ずつ持ってくる時間を楽しみにしながら、次に彼女へ贈る本を選ぶようになった。

第六章 指名 

使節団の帰還

使節団が王都へ戻り、ジェフリーも夜遅く無事に帰宅した。ビクトリアとノンナは彼を抱きしめて安堵した。交渉は戦争に至らず、スバルツの文化や言い回しに通じたクラークの正確な通訳が、双方を冷静な話し合いへ導いていた。

コートニーの回復

一家はノンナを預かった礼を伝えるため、エドワードの屋敷を訪れた。ノンナとの遊びで身体と頭を動かしていたコートニーは、杖を使って歩けるまでに回復し、会話も滑らかになっていた。ジェフリーは母の変化を喜び、ブライズもノンナの働きに感謝した。

クラークとの再会

アンダーソン家を訪れると、ノンナはクラークへ駆け寄り、その勢いのまま抱きついた。クラークの無事を確かめると安心して泣き出し、戦争にならず帰ってきてくれたことを喜んだ。

戦争回避の功績

使節団では金鉱をめぐって一触即発となったが、ジェフリーは過去の戦争で多くの兵が亡くなったことを語り、戦いを望む者は自分と家族を戦場へ送る覚悟を持つべきだと諭した。最終的には森の民へ敬意を示す名目でスバルツへ金を渡し、戦争は回避された。

軍務副大臣の内定

軍務大臣と副大臣の後任人事が進み、ジェフリーには軍務副大臣の役職が与えられる見通しとなった。五年後には軍務大臣へ昇る流れまで想定されていたため、彼は強く困惑した。ビクトリアも、特殊任務部隊を陰で動かすエドワードと、軍部を率いることになるジェフリーへ権力が集中する状況を警戒した。

クラークの求婚

クラークはノンナへ正式に婚約を申し込み、返事は十六歳になってからでよいと伝えた。彼は国を平和で安全な場所にし、ノンナとビクトリアが二度と逃げずに済むよう守るため、出世して力を得ると決意していた。ノンナはその思いを受け止め、彼が自分の給金で買ったガーネット付きの首飾りを大切に受け取った。

羊牧場の再会

翌日、ノンナとビクトリアは羊牧場を訪れ、責任者となったマイルズと再会した。マイルズは第三騎士団の手配で自分が選ばれた可能性を疑い、組織がビクトリアとノンナを守るため水面下で動いているのではないかと語った。

ノンナの新しい技術

ノンナはチェスターからナイフ投げと開錠を教わったと明かした。ビクトリアは、開錠だけは意図的に教えていなかったと知って警戒し、力を悪事に使えば、その力が自分を滅ぼすと諭した。さらにマイルズとも鍛錬する約束を交わしたため、ビクトリアは娘が第三騎士団へ取り込まれる可能性を恐れた。

黒ツグミの助言

ビクトリアは黒ツグミを訪れ、ザハーロへジェフリーの昇進と自分の不安を語った。ザハーロは、彼女が再び便利な駒として使われる危険を指摘したが、ビクトリアは家族を守るためなら手駒になる覚悟があると答えた。ザハーロは彼女を同じ境遇を生き抜いた仲間と考え、必要なら力を貸すと約束した。

夫婦に与えられた役目

深夜に帰宅したジェフリーは、軍務副大臣への就任が決まったと告げた。さらにビクトリアにもデルフィーヌの話し相手兼語学教師の役目が与えられていた。二人は爵位返上も選択肢に入れながら、共に乗り越えることを決めた。

ミルズとの約束

ノンナがミルズとも鍛錬したいと頼むと、ジェフリーは第三騎士団との関係を禁じた。ノンナは素直に従ったように見えたが、翌日、羊牧場を早く出たまま消息を絶った。ビクトリアはチェスターへ確認を頼み、休暇中のミルズも行方がわからないと知った。

ノンナの失踪

夕方を過ぎてもノンナは戻らず、ビクトリアは警備隊や騎士団への通報を控えながら王都を捜し続けた。ジェフリーも帰宅後に事情を知り、強い怒りと不安を抱いた。夜遅く、服を刃物で切られたノンナがミルズと共に帰宅し、悪人を倒して困っていた人を助けていたと説明した。

食い違う事情

ビクトリアとジェフリーは、ノンナとミルズから出来事を順に聞いた。しかし二人の話には不自然な点がいくつもあり、夫妻は彼らが何か大きな勘違いをしている可能性に気づいた。

第七章 ノンナの話 

ミルズとの約束

ノンナは、ミルズから届いた手紙で休暇の日を知らされた。しかしジェフリーから第三騎士団との関わりを禁じられたため、納得できないまま一度は従う返事をした。友人は自分で選ぶと決めたノンナは、マイルズとの鍛錬後に迎えの馬車を待たず、ミルズとの待ち合わせ場所へ向かった。

南区での寄り道

ミルズも上司へ報告せず、ノンナとの鍛錬に出かけていた。二人は南区の店で食事を楽しみ、裏路地を通って鍛錬場所へ向かった。その途中、女性の悲鳴と複数の男の声を聞いたノンナは、放置できないと訴え、ミルズと建物へ侵入した。

ロザリーとフレッド

二人は男たちを倒し、ロザリーと恋人のフレッドを救出した。追ってきたナイフ持ちの男たちも制圧すると、ロザリーは駆け落ちをやめ、父に結婚とフレッドの借金について頼むと決めた。ノンナたちは二人を故郷のフィッテ村まで送り届けることになった。

偽りの負傷

移動中にフレッドが腹痛を訴えたため、一行は王都へ引き返し、診察を受けられる病院を探し続けた。夜遅く帰宅したノンナの話を聞いたビクトリアは、重傷者が走って逃げた後に普通に歩いていた点を不審に思い、フレッドが男たちの仲間で、裕福なロザリーの家を狙っていた可能性を指摘した。

ロザリーの救出

ジェフリーは第二騎士団へ連絡し、翌朝にはフレッドと仲間たちが捕らえられ、軟禁されていたロザリーも救出された。ビクトリアの推測どおり、フレッドは男たちと通じていたのである。

ノンナへの恐れ

ビクトリアは、ノンナが強さと言語能力を備えたことで、特殊任務を行う組織にとって欲しい人材になっていると説明した。自身が八歳で選択肢もなく組織へ入れられた経験から、ノンナが人の死に慣れる道へ進むことを恐れていたのである。ノンナも、ジェフリーの命令に腹を立てながら気持ちを伝えなかったことを謝り、三人の言葉が足りなかったと理解した。

グンターの失言

王城へ招かれたビクトリアは、デルフィーヌからグンターの正体がグレイソン・オルドランであると知らされた。グレイソンは反乱鎮圧後のビクトリアを影武者だと見抜き、コンラッドへ貴族夫人が務めていたと漏らしていた。その結果、コンラッドはビクトリアをデルフィーヌの話し相手兼語学教師に選んでいた。

デルフィーヌの願い

デルフィーヌは約束を守れなかったことを詫びつつ、世間を知らない自分が王妃としてだけでなく、一人の国民や母親として成長するため、ビクトリアの知識と経験を借りたいと頼んだ。ビクトリアはその真摯な願いに心を動かされ、役目を引き受けた。

広がる貴族社会

ジェフリーが軍務副大臣となり、ビクトリアも王太子妃に近い存在になったことで、一家には再び多くの招待状が届いた。三人は病弱という従来の設定を崩さないよう少しずつ交流を広げ、ノンナもクラークの助言を受けながら積極的に茶会へ参加した。

ダーツの会

ノンナは茶会で自慢げな令息に挑まれ、ダーツで圧勝した。ほかの参加者にも勝ち続けた結果、ノンナを囲むダーツの会が作られた。ビクトリアは手札を見せすぎたことを気にしつつ、ナイフ投げではないことを確かめ、ダーツなら許容した。

ノンナとクラーク

クラークは、外ではノンナが立派な淑女として振る舞い、礼儀も一度で覚えるとビクトリアへ伝えた。彼は変わらずノンナの案内役を務め、二人は親しい交際を続けていた。エバたちもノンナを将来の家族として歓迎していた。

新たな来訪者

第三騎士団を支えるウル医師はシェン国への帰国を決め、後任として従弟を呼ぶことになった。さらにエンローカム家のイルカースもアシュベリーへ来ると知ったエドワードは、寂しがる妻と母のため、自邸で彼を預かることを決めた。

根を張った暮らし

ビクトリアはデルフィーヌとの語学講義、ジェフリーは軍務副大臣の仕事、ノンナはクラークと茶会へ出かける日々を送った。ビクトリア自身も羊牧場で毛刈りや染色を楽しみ、ジェフリーの瞳の色の毛糸でセーターを編もうとしていた。

新たな故郷

ハグルを出た頃、ビクトリアは誰にも縛られず生きるつもりだった。しかしノンナやジェフリー、多くの人々と出会い、王家とも関わりながら、アシュベリーに深く根を張っていた。普通とは言えない人生であっても、家族と過ごす日々に満足し、これからも家族を守るためなら持てる力を迷わず使うと決めていた。

エピローグ 

デルフィーヌ王太子妃の胸の内

父からの秘密の手紙

デルフィーヌには、母国の父から身を案じる秘密の手紙が届いていた。誰に読まれるかわからないため、差出人も宛名も記されておらず、読み終えるたびに暖炉で燃やしていた。王国軍に守られながら、その一部から命を狙われた経験により、王城の私室すら完全に安心できる場所ではなくなっていた。

決められた人生

デルフィーヌは生まれた時からアシュベリー王国の王妃になると定められ、その道を疑わず歩んできた。夫のコンラッドは温厚で誠実であり、結婚後も彼女を大切にしていたため、自分には何も欠けていない幸福な人生だと考えていた。

眩しい女性

そんなデルフィーヌに強い衝撃を与えたのが、影武者を務めたビクトリアであった。ビクトリアは短時間の観察だけで彼女の歩き方や話し方を再現し、王太子妃を前にしても怯まず、誤りを正面から指摘した。さらに軍人たちを倒しながら全力で守ったため、デルフィーヌはその強さと清々しい眼差しに惹かれ、もっと話したいと願った。

コンラッドの配慮

反乱後、コンラッドはデルフィーヌがビクトリアとの再会を望んでいると知り、人目につかない形で会えるようジェフリーに頼むと約束した。自分も将来国王となった際、忖度せず意見を述べるジェフリーを手放したくないと語り、デルフィーヌもまた、正しいことを正しいと言えるビクトリアを近くに望んだ。

語学講師との時間

やがてビクトリアはデルフィーヌの語学講師兼話し相手となった。彼女は各国の庶民の暮らしや実体験を語り、その話は書物以上に楽しく学びの多いものだった。デルフィーヌは、八歳から家族を養うため過酷な仕事に就いていたと聞き、苦しい人生を経ても真っ直ぐな心を失わなかったビクトリアを得難い人物だと感じた。

深まる信頼

コンラッドから、ビクトリアが母国との関係を断ち、アシュベリーの子供を引き取って大切に育てていると聞いたデルフィーヌは、その生き方にも彼女らしさを感じた。ビクトリアから教わる庶民的な知識を思い出して笑うことも増え、二人の時間はデルフィーヌに新たな楽しみをもたらした。

守るための力

デルフィーヌは、複雑な事情を抱えるビクトリアを害する者から守りたいと考えるようになった。王太子妃として、そして未来の王妃として、彼女を守れるだけの力を身につけなければならないと決意していた。

番外編 マイケル・アンダーソンの推理 

クラークとノンナの縁談

エバは、ノンナの参加する茶会へ必ずクラークが付き添っていると知り、二人の婚約を望んだ。ジェフリーが子爵となり、ノンナも家柄に問題のない令嬢となったうえ、複雑な貴族関係を持たない点もアンダーソン家には好都合だと考えていた。

ビクトリアの身元調査

マイケルは、クラークの将来の相手となるかもしれないノンナの母親に興味を持ち、ビクトリアの過去を独自に調べていた。彼女がランダル王国の市民として正式に入国した記録は見つかったが、それ以前の暮らしや、彼女へ執着したとされる要人については何も判明しなかった。

ランダル大公への疑惑

マイケルは、女性関係の噂が絶えないランダル王国の大公を思い出し、ビクトリアは彼に見初められて逃げたのではないかと推測した。高位貴族の家で働いていたため所作が上品で、家庭教師や子守りを務めていたから語学や文化に詳しいのだと考えれば、すべて説明できると思い込んだ。

マイケルの勘違い

マイケルは、ビクトリアが大公の使用人として働き、しつこく迫られた末にアシュベリーへ逃れ、さらにシェン国へ身を隠したのだと結論づけた。実際にはハグル王国の特殊工作員だったとは想像もせず、彼女を守る必要があると考えながら、この推測をエバやクラークにも話さず胸の内にしまっていた。

番外編 マイルズの願い 

マイルズの後悔

退役後のマイルズは第三騎士団から、ビクトリアとノンナを見守る仕事を依頼された。ビクトリアが元工作員ではないかと察し、そのことを匂わせた結果、彼女はノンナを連れて姿を消した。マイルズは自分の軽率さが逃亡を招いたと考え、置き手紙を前に絶望するジェフリーの姿を忘れられずにいた。

羊牧場の求人

五年半後、無為な生活を変えようと職業紹介所へ通ったマイルズは、羊牧場の責任者を募集する求人を見つけた。採用後、牧場の持ち主が銀髪の元騎士団長と、その妻アンナ、十二歳の娘だと聞き、ビクトリアとノンナが生きていると確信した。

安堵の祝杯

ビクトリアがジェフリーと結婚し、ノンナと共に幸せに暮らしていると知ったマイルズは、長年抱えていた後悔から解放された。妻を亡くし、息子とも疎遠になっていた彼は、退役後に自分の存在意義を失っていたが、今度こそビクトリアたちの力になろうと決めた。

五年ぶりの再会

羊牧場で再会したビクトリアは以前より明るく幸せそうであり、ノンナも美しい少女へ成長していた。マイルズは二人の無事を心から喜び、ビクトリアの正体を探ることはやめ、第三騎士団が守る相手なら国に害はないと考えた。

ノンナとの鍛錬

ビクトリアから許可を得たノンナは、マイルズへ鍛錬相手を頼んだ。マイルズは自分が再び信頼されたことを嬉しく思い、ノンナの高い戦闘技術に驚いた。彼女を孫のように可愛がりながら、軍人生活で培った知識をすべて教えようと決めた。

相手を見抜く技術

マイルズは、目線や重心、つま先の向きから相手の得意技や弱点を読み取る方法をノンナへ教えた。考えずとも判断できるまで繰り返し試すよう促すと、ノンナは素早く吸収し、自分なりに応用していった。

新たな生きがい

ノンナの成長を支える日々は、マイルズに再び張り合いを与えた。彼は老いを理由に立ち止まることをやめ、朝を待ち遠しく思うほど、牧場での仕事とノンナとの鍛錬を楽しむようになった。

番外編 三人で遠乗り 

家族での遠乗り

軍務副大臣となったジェフリーが多忙な日々を送る中、ビクトリアは茶会や夜会に疲れ、ノンナを誘って遠乗りへ出かけることにした。ノンナはジェフリーにも同行を頼み、自分と母の馬上技術を見てほしいと伝えた。ジェフリーは仕事を前倒しで片づけ、丸一日を空けた。

母娘の曲乗り

三人が広大な馬牧場へ着くと、ビクトリアとノンナは全速力で馬を走らせた。ノンナは立ち乗りのままビクトリアの馬へ飛び移り、続いてビクトリアもノンナの馬へ移った。二人は並走する馬の間を何度も行き来し、互いの手綱を受け取って走り続けた。

ジェフリーの驚き

初めて母娘の技術を見たジェフリーは、危険な動きに息をのみながら見守った。牧場主も、女性でこれほどの技術を持つ者は珍しいと感心した。ジェフリーは、ビクトリアが普通の子供時代を知らず、命の危険と隣り合わせの中で身につけた技術を、自然なこととしてノンナへ教えていたのだと悟った。

三人の疾走

ノンナは誇らしげに感想を求め、ビクトリアは少し恥ずかしそうにしていた。ジェフリーが二人の技術を称えると、ビクトリアは今度は三人で走ろうと誘った。ジェフリーも愛馬を駆り、その日は日が傾くまで家族三人で思い切り馬を走らせた。

惚れ直した一日

帰宅後、護衛たちはビクトリアとノンナが何をしていたのか尋ねたが、ジェフリーは聞かない方がよいと答えた。夕食で母娘が楽しそうに語り合う中、ジェフリーは自分の知らないビクトリアの特技がまだ多くあるのだろうと考えた。呆れているのかと問われると、今日は改めて惚れ直したと答え、ノンナはいつものやり取りだと受け流した。

手札が多めのビクトリア2レビュー
手札が多めのビクトリアまとめ
手札が多めのビクトリア4レビュー

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手札が多めのビクトリア

手札が多めのビクトリア 1の表紙画像(レビュー記事導入用)
手札が多めのビクトリア 1
手札が多めのビクトリア 2の表紙画像(レビュー記事導入用)
手札が多めのビクトリア 2
手札が多めのビクトリア 3の表紙画像(レビュー記事導入用)
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