最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうかシリーズ
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか

舞踏会で第二王子カイルが一方的に婚約破棄を宣言し、スカーレット・エル・ヴァンディミオンは根拠なき中傷に晒された。彼女は長年抑え込んできた怒りを爆発させ、テレネッツァを殴打し、続いて王党派の有力貴族たちに制裁を加えた結果、「鮮血姫」と呼ばれる事態を招いたのである。
幼少期からの理不尽な扱いと学院で鍛えた才知が背景にあり、第一王子ジュリアスは彼女の本性を見抜いて介入した。舞踏会事件の背後には宰相ゴドウィンの陰謀があり、奴隷売買や暗殺計画が露呈する。スカーレットは獣人の少年ナナカを救い、ジュリアスと連携して奴隷オークションに潜入、最終的にゴドウィンを暴き出すに至った。
事件後は腐敗した貴族の粛清と制度改革が進み、スカーレットは療養と日常を取り戻す一方で、ジュリアスとの関係は公的にも私的にも深まっていった。
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか 2

スカーレットは加護酷使の療養を名目に温泉旅行を願い出たが、真意は聖女ディアナの聖地巡礼への極秘同行である。王都の聖教区ではパルミア教の横暴と異端審問官の挑発に対し、門を破って制圧し、守護騎士団の護送でディアナと再会した。巡礼は三百年来の結界を浄める儀であり、力を失ったディアナを支える決意が示された。式典では空砲騒擾が発生し、本部急襲で教徒を拘束するも、以後の道中で“なんでも治す聖女”を装うテレネッツァ(魅了の加護)と再遭遇する。スノーウィンドでは領主を抱き込む偽装劇を粉砕し、潜伏していた異端審問官ディオスの人質策により一時退却を余儀なくされた。やがてスカーレットは自らが真の浄化役=時を巻き戻す加護の担い手であることを兄に明かし、各地の大聖石を浄化した。南方では大聖石破壊を図るテレネッツァを急襲し、魅了下のジュリアスを“英雄譚”の加護で覚醒させて無効化、懐中時計で敵加護を吸収して決着した。帰還後は教皇サルゴンの断罪が進み、スカーレットは突撃で自爆を阻止する。政治改革は前進し、ディアナは贖罪と成長を誓い、ジュリアスは想いを深める。拳で道を開きつつ國と巡礼を守る物語である。
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか 3

王宮秘密調査室は一段落し、室長レオナルドは静穏を得るが、妹スカーレットが向かったアグニ山で山賊とパルミア残党が動く報告を受け、第一王子ジュリアスと現地へ向かう決意を固めるのである。
回想として、スカーレットは婚約破棄騒動と奴隷市急襲、聖地巡礼の混乱を拳で収めた経緯が示される。休暇に入った彼女はナナカと険路のハイキングへ。不可視化の魔道具を操る異端審問官バロックを“拳圧”で撃破し、逃散する賊を追って商隊現場でヴァンキッシュ竜騎兵と再会する。第一皇子アルフレイムは求婚と協力を申し出、拠点同時急襲に同行となった。
拠点戦では異端審問官イザベラの追尾魔鞭を無力化し一撃で沈め、潰走する賊を非致死で制圧する。さらに最奥では《鬼謀》ミシェランと《聖痕》アヴェリンを看破と速撃で排除し、アルフレイムとは「力を暴虐に向けぬ」との誓約付き限定協調へ収束したのである。
後日、ジュリアスとレオナルドが合流し状況は終息するが、称賛は過熱し縁談火花も散る。
一方、邸では飛竜レックスが人化し謎の不調に陥る。治癒も遡行も決め手を欠き、スカーレットは招待状を頼りにヴァンキッシュ行きを選ぶ。女神パルミアは凋落を告げ、加護と魔道具の失効を宣言し、テレネッツァの再起は瓦解した。
国境検問の軋轢は紅天竜騎兵団の介入で突破され、帝都ファフニールで皇帝バーンと謁見となる。後継争いの緊張が露わになり、皇帝の吐血も波紋を広げた。業火宮に招かれたスカーレットは“外部の花嫁”として女たちの奇襲を受けるが、五感加速と拳を掲げ「力で正義を示す」と宣言して応戦に入るのである。
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか 4

黒竜姫ヘカーテは人を拒む存在であったが、野心を示した第一皇子アルフレイムに“魂の誓い”で翼を貸すに至る。業火宮ではスカーレットが侍女衆の挑発を力でねじ伏せ、敬意を集めるに到った。彼女は低地病のレックス治療を誓い、三通の書状から軍師将軍ヴァルガヌスの招きにまず応じるが、女蔑視と利己的勧誘を断罪して決別する。晩餐で第二皇子フランメと会い、直後に夜の炎帝殿へ招致される。地下修練場で拳皇バーンと一戦交えるも、飛竜ルクの吐息で加護が消え決闘は中断となった。時を同じくして調査室のシグルドはヴァルガヌスと近衛長イフリーテの皇帝暗殺計画を掴み、直後にバーン崩御と遺言で“後継はフランメ”が発表される。ヴァルガヌスは業火宮接収を強行するが、ヘカーテとスカーレット、侍女衆の奮戦により撃退された。続く詰所戦ではヴァルガヌスが“寵愛破断”の結界で加護を無効化し、矢の雨でアルフレイムが致命傷を負うに至る。窮地で恩師グラハールが現れて刻印を除去し、スカーレットは遡行でアルフレイムを救命する。ヘカーテは結界と毒矢の出所にルク絡みの疑念を抱き、ジュリアスはフランメを奪還して帰還するが、その手並みに利用の影も差すのである。
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか 5

スカーレットは低地病のレックスを案じつつも命を繋ぐ秘術「心臓の誓い」を拒み、ヴァンキッシュ内乱の収束とヴァルガヌス討伐に与する決意を固める。民衆蜂起と紅天竜騎兵団の合流で皇宮突入が加速し、皇帝バーンの死後に浮上した黒幕は少年ルクであった。彼は魅了と加護遮断で政争と暗殺を操った始祖竜ロキの化身であり、宝物庫を巡る一連の疑惑の張本人である。炎帝殿前の激突は総力戦となり、ヘカーテの拘束、四騎士とジュリアスの合成魔法、アルフレイムの「竜帝の腕輪」召集をもってしても決め手を欠いたが、スカーレットは黒衣の男ダンテから一時的に授かった魔眼で結界を破り、逆鱗を看破して渾身の一撃を通すに至る。ロキはなお再生するも、時の神クロノワが時牢に封印し、代償としてスカーレットの全加護は剝奪されたのである。
帰国後、同盟はフランメの統治手腕とアルフレイムの共同統治提案で前進し、スカーレットは加護奪還を最優先課題と位置づける。王都の祝祭では刺客集団“蠍”に急襲されるが、ヘカーテの竜魔晶石と魔眼制御で圧倒し、国家機密漏洩の影を残した。ジュリアスは人前で距離を取りつつも私的には愛を告白し、魔大陸行きと加護回復の航路を示す。直後に辺境襲撃と失踪の急報が届き、スカーレットは力を失いながらも「拳で道を開く」本懐を貫くべく次の戦場へ向かう構えである。
その他フィクション

Share this content:
コメントを残す