小説「公女殿下の家庭教師 8 再臨の流星と東都決着 」感想・ネタバレ

小説「公女殿下の家庭教師 8 再臨の流星と東都決着 」感想・ネタバレ

物語の概要

本作はファンタジーライトノベルである。叛乱が激化する王国を舞台に、規格外家庭教師アレンとその教え子たちが再び立ち上がる物語である。物語は、教え子リディヤが暴走し東都へ向かう中、アレンが孤島から脱出して叛乱に終止符を打つため東都へ赴く一連の戦いを描くもので、東都を決戦の地とした王国動乱編の完結篇をなす。

主要キャラクター

アレン:規格外の能力を持つ家庭教師。教え子たちを導き、叛乱鎮圧へ奔走する。
リディヤ:アレンの教え子。アレンの消息を探るために暴走し東都へ単独で突入する強い意志を持つ公女。

物語の特徴

  • 王国動乱編の集大成:激動の戦乱に決着をつける描写が、緊迫感と戦略性を兼ね備えている。
  • 内面を抉るキャラクター描写:リディヤの“暴走”と闇堕ちしかける葛藤、教え子たちとアレンとの絆の深さが、他作品にはない重層性を持ち込む。
  • 黒幕・聖霊教の影:叛乱鎮圧には成功するが、黒幕勢力の存在が強調され、続編への興味を引く構成になっている。

書籍情報

公女殿下の家庭教師 8 再臨の流星と東都決着
著者:七野りく 氏
イラスト:cura
レーベル:富士見ファンタジア文庫KADOKAWA
発売日:2021年3月19日
ISBN:9784040738536

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あらすじ・内容

僕達の故郷を、何より『家族』を守る為――力を貸してください!
アレンの情報を求め、東都に暴走するリディヤを他の教え子たちが追う中、孤島を脱出したアレンも叛乱に決着をつけるために東都へ。だが東都では叛乱軍の最後の反撃が始まっていて――王国動乱編、決着の場所は東都!

公女殿下の家庭教師8 再臨の流星と東都決着

感想

今巻は、王国動乱編の完結巻。
アレンを求めて暴走するリディヤと、彼女を追う教え子たち。
そして、孤島を脱出し、ついに東都へと向かうアレン。それぞれの思惑が交錯し、物語はクライマックスを迎える。

全体を通して、少し駆け足気味な印象を受けたのは否めない。
特に、敵の言葉に翻弄されたリディヤが正気を取り戻す場面や、アレンとの再会、そして敵を倒しに行く展開は、もう少し丁寧に描かれても良かったのではないだろうか。
リディヤが闇堕ちまでしただけに、その心の機微をより深く掘り下げてほしかったと感じる。

しかしながら、今巻の見どころも多い。
カレンの活躍によって西側が動き出し、ルブフェーラの長距離転移魔法によるオールスター援軍は、胸が熱くなる展開だった。
アレンとリナリアとの邂逅が、今後の物語にどう繋がっていくのかも気になるところだ。
レティシアの言う「八枚の翼」が天使の堕天を思わせ、彼女の危うい一面が垣間見えたのも印象的だった。
アレンとの再会(膝枕)で一旦は落ち着いたものの、彼女が今後どのような影響を及ぼすのか、目が離せない。

アレンが知った過去や、様々な謎も残されており、今後の展開への期待が高まる。
特に、最後の最後で明かされた「聖女」の正体には、本当に驚かされた。
これにより、各ヒロインたちが一気にアレンに対して動き出しそうな予感がする。大活躍だったアレンの処遇がどうなるのかも、非常に気になるところだ。

王国動乱編は、オールスターキャストで、戦闘も友情も描かれ、ひとまずの決着を迎えたと言えるだろう。
しかし、まだまだ謎は残されており、第三部がどのような展開になるのか、今から楽しみでならない。

個人的には、一度日常編を挟んでほしい気持ちもある。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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展開まとめ

プロローグ

各地からの撤退と王都での会議

王都にて、諸都市から部隊の撤退が相次ぎ報告された。中央駅の物資混乱は収束傾向にあり、王都と東都を繋ぐ列車運行は遅延していた。夜半、オルグレン公爵家の大会議室には次々と伝令が訪れ、状況は混沌としていた。グレック・オルグレンは、これらの撤退は戦略的「転進」であると強調し、諸将の称賛を浴びた。彼は王都制圧という実績を誇り、戦後には大公位すら視野に入れていた。

東方侯爵家との交渉と兵站問題

グレックは右腕レーモン・ディスペンサー伯爵と共に東方二侯爵家との連携を模索していたが、返答は得られなかった。ただし、食糧供給再開の報告を受け、喜びを露わにした。王都周辺の進出計画は、敵の妨害やトレット家の流言によって兵站が不安定となり、中断を余儀なくされた。中小商人の協力や両侯爵領からの食糧搬入により、住民の不満の鎮静を目指していた。

ザド・ベルジックの報告と一蹴

そこへ騎士ベルジック子爵が駆け込み、西方諸都市の陥落とルブフェーラ公爵家の動きを報告した。彼は飛竜や巨人、ドワーフの突入と古き軍旗を目撃したと主張したが、証拠は無く、グレックにより虚言として一蹴された。子爵は退室を命じられ、軍紀を乱す者として排除された。

戦意高揚と西方情勢の軽視

グレックは西方の動きは誤情報と断じ、敵はあくまで北方ハワードと南方リンスターであると明言した。部下達は彼の号令に万歳を叫び、戦意は高揚した。グレックはこの戦局に勝利を確信し、西方の到着遅延を天候の影響と捉えた。

エルンスト・フォスの苦悩と脅迫

一方、王都の物資担当である商人エルンスト・フォスは疲弊しきっていた。レーモン伯とルパード元伯は彼を訪ね、娘フェリシアの解放をほのめかしつつも、協力の継続を強要した。フォスは過去に脅迫され、娘の身を案じて叛乱軍への協力を強いられていた。

裏切りの宣告と収奪の全貌

伯爵達は「仕事」の完了を宣言し、フォスが処罰対象になることを告げた。彼が詰め寄ると、ルパードは剣を抜いて威嚇した。その場でルブフェーラ公爵家の動き、ハワードとリンスターの接近、さらにクロムとガードナー両侯爵家の離反が伝えられ、フォスは衝撃を受けた。伯爵は王宮禁書庫などからの物資搬出が成功したことに満足を示した。

フォスの転送と魔の意図

フォスは娘の解放を嘆願したが、代わりにララノア共和国への同行を命じられた。レーモン伯の正体が「使徒イブシヌル」であることが明かされ、彼は王国に混乱をもたらし、東都の掌握すら視野に入れていた。フォスは魔法陣に沈みながら、彼らの深い企図に巻き込まれていった。

第1章

フーハ市制圧と南方軍の進軍

リンスター公爵夫人リサはフーハ市を掌握し、住民慰撫と兵站補充を指示した。南方諸家連合軍はアヴァシーク平原で叛乱軍を撃破後、王都を目指して順調に北上していた。公爵家令嬢リイネは、ハワード軍との合流を確信しつつ、従僕リリーらと前進を急いだである。

情報将校ケレニッサの急報

偵察から帰還したケレニッサは、ハワード軍の北方制圧とルブフェーラ公爵家による西方奪還を報告した。夫人は三公会談に備え、軍を再編して王都攻略の最終準備を命じた。一方、精神的に追い詰められた剣姫リディヤの安否が緊迫の課題となったであった。

リディヤの動揺と軍議の暗雲

リディヤは捕虜となったアレンの情報を求めて錯乱し、妹リイネや従者たちを不安にさせた。母リサは娘を南都へ退避させる決定を下したが、リディヤは命令を振り切り単騎で王都へ向かった。リイネは追跡を決意し、リリーやメイド隊と出発したである。

三公会談と西方諸家の参戦

王都西方丘ではリンスター公リアム、ハワード公ワルター、ルブフェーラ公子レオが合流し、王都総攻撃を協議した。さらに英雄レティシアが現れ、古き誓約履行のため即時進軍を主張した。会談は王都包囲軍の統一行動を決定づけたであった。

王都司令部の崩壊と四面包囲

叛乱軍司令グレックは北・南・東・西の四公爵軍に包囲され、動揺を隠せなかった。そこへ単身突入したリディヤが炎翼で防衛線を突破し、司令部を壊滅寸前に追い込んだ。グレックがアレンの死を嘘で告げたことで、彼女は八翼へ覚醒し制御不能となったである。

地下聖霊教会での対峙

リディヤは地下教会でグレックを捕縛するも、駆け付けたリイネとリリーを斬り伏せる勢いを見せた。母リサと勇者アリスが到着し説得を試みたが、リディヤは逃走し東都へ向かった。リイネはティナ、エリーらと再起を誓い、姉の救出とアレン奪還を決意したであった。

花賢チセの提案と戦略魔法

半妖精族の大魔法士チセは戦略転移魔法の発動を宣言し、各軍から術者を招集した。レティシアとリサは協力を承認し、東都への迅速展開を図った。ティナはアレンの教えを胸に、リディヤ救出と先生の解放を使命として受け入れたである。

同盟軍の出撃と次章への布石

王都制圧を目指す三公連合軍は包囲を縮め、リディヤ追撃隊はチセの魔法準備を進めた。王国全土を巻き込む決戦と、剣姫救済の二重目標が重なり、諸勢力は東都と王都へ動き出した。激化する戦局の行方は次章へ持ち越されたのであった。

第2章

魔剣と極致魔法の試練

アレンはリナリア・エーテルハートとの模擬戦に臨んだ。炎属性の極致魔法『火焙鳥』を操る彼女に対し、アレンは耐炎魔法と風魔法を併用して回避行動を取りながら、光や氷、水の魔法で応戦した。しかし、リナリアは彼の攻撃を同等の威力と数の光弾で完全に迎撃し、歴史上でも伝説級の魔法士【双天】としての実力を示した。

封印された短剣の獲得

戦いの中でアレンは、魔力の篭った短剣を見出し、それを抜くことに成功した。この短剣はリナリアの弟妹が彼女に贈ったもので、臆病者には抜けない仕掛けが施されていた。短剣は氷・水・風・光・闇の属性を併せ持ち、その魔力はリナリアの炎魔剣『真朱』に匹敵するとされた。

最終試練と秘呪『緑波』

リナリアは自身が創造した植物属性の禁忌魔法『緑波』を発動。空間全体を森と化しながらも、アレンは魔力と機転で対応。『氷光鷹』などの極致魔法を発動し、短剣を投擲する戦術も試みたが、リナリアの力には及ばなかった。彼女の本気の一撃を受けて意識を失うも、命は救われた。

過去の記憶と告白

意識を取り戻したアレンは、リナリアから五百年前の戦乱の時代やエーテルハート家、魔女という種族の存在、そして義弟との想い出を聞く。リナリアは大精霊アトラの守護を担い続けてきた経緯と、大陸に封じられた力に関わる重大な情報を語った。

リナリアの託宣と別れ

リナリアは自身が封印によりこの場から離れられなかったこと、そしてアトラを託せる者を待っていたことを明かし、アレンへその役目を委ねた。リナリアは最後に指輪を託し、魔剣『等派』と魔杖『銀華』を遺した。そして光に包まれながら、過去の亡霊としての役目を終えた。

指輪の魔力と呪印の緩和

リナリアが残した指輪は、アレンの呪印による侵食を抑制する効果があった。また、神域内では呪いが鈍化し、魔法的探知も可能にする仕掛けが施されていた。彼女は去り際に、アレンが強すぎる女難の相を持つことを忠告した。

アトラとの再出発

目覚めたアレンは、寝ているアトラを確認し、旅の再開を決意。リナリアが遺した衣服と装備を携えて、新たな扉を開いた。彼とアトラは神域の内部を進み、四英海の塔へ帰還する。

聖霊教とララノア共和国の関与

脱出直後、アレン達はララノア軍と聖霊教異端審問官、聖霊騎士達の待ち伏せを受けた。アレンは短剣と魔杖の力で迎撃し、敵軍を四英海へ沈める。物的証拠として魔銃と聖霊教の印を回収した。

グリフォンの導きと東都への帰還

アトラの力により野生のグリフォンが現れ、アレン達は空路で東都を目指す。指輪の光が示す方角へ飛び立ち、再び戦乱の収束とアトラの守護のために動き出した。アレンはリナリアの遺志を胸に刻み、再会を約束しつつ、彼女から託された責務を果たす決意を固めた。

第3章

王都陥落の報告と動揺する東都陣営

東都に布陣するグラント・オルグレン公爵は、王都が一夜にして陥落したとの報を受け、激しく動揺した。報告者ベルジック子爵によれば、敵はハワード、リンスター、ルブフェーラの三公爵を主軸に、王都周辺を制圧後、東都との連絡を遮断しつつ一斉に侵攻してきたという。これにより、グレック公子は行方不明となり、王都駐留軍は潰走した。

グラントの決意とグレゴリーの進言

恐慌に陥る中、三弟グレゴリーが現れ、王都陥落後も東都の防衛に希望はあると進言した。彼は大間の攻略を提案し、聖霊騎士団の再召集を目指す作戦を立てた。グラントはこれを了承し、老大騎士ヘイデンとハークレイらに命を下した。

大間防衛線の準備と旧友たちの帰還

リチャード・リンスターは大間で傷の治療を受けつつ、魔道具や自警団の働きで防衛線を整備した。近衛騎士ベルトランらの奇跡的生還が報告され、アレンの自己犠牲による救出が語られる。リチャードはアレンの救出とリディヤの正気回復を誓った。

オルグレン家の奇襲と戦闘の勃発

ヘイデン、ハークレイ、ザニの三名がグリフォンによって強行渡河を敢行し、戦闘が開始された。戦端はステラ、カレンらによって支えられ、極致魔法を交えた激戦が繰り広げられた。敵の魔法障壁や地形操作をものともせず、精鋭たちは渡河の阻止に成功した。

戦局を変える転移魔法と後続部隊の到着

半妖精族チャ・グレンビシーが開発した大規模転移魔法『散花ダ星』により、後続部隊が次々と戦場へ転移してきた。リサ・リンスター、レティシア・ルブフェーラら歴戦の強者が参戦し、圧倒的戦力で戦局を一変させた。

老騎士たちの真意と最後の戦い

ヘイデンとハークレイは、オルグレン家の乱が王国内の聖霊教勢力を暴くための「餌」であったこと、そしてギド・オルグレン公が真の忠臣であることを明かした。二人は全ての責任を負う形で最期の戦いに臨み、リサおよびレティシアと正面からぶつかった。

グラントの敗走とギルの対決

グラントは敗走し、誰にも助けられず東都をさまよった末、屋敷で末弟ギルと対峙した。ギルは兄の暴挙とアレンへの裏切りに怒りを燃やし、極致魔法で圧倒する。ギルの告白により、グラントらはギド公の計略により利用されていたことが明らかとなる。

グレゴリーの暗躍とアレンの行方

グレゴリー・オルグレンはアレンを『鍵』と称し、実験体として捉えていた事実を告げた。ギルは雷属性の極致魔法と秘伝を用いてグレゴリーを追い詰めるが、敵の転移魔法により逃走される。

暴走するリディヤと破壊の激突

リディヤはアレンの死を信じ、感情を暴走させて異形の力を纏い、『剣姫』として覚醒する。黒騎士との凄絶な魔法戦が勃発し、ギルも戦闘に巻き込まれ水路に沈む。絶望の中でコノハに救われたギルは、最後の意志をつなぐ。

第4章

戦後の混乱と統制

大橋の戦闘が終結した直後、大間周辺は炎上と瓦礫で溢れたが、各勢力は協力して橋の応急修復や市街の消火、負傷者救護を進めたである。リンスター家のリチャードは将兵再編を完了させ、戦死者の名簿作成を命じ、東都防衛の意思を示したである。

救護活動と新たな合流

戦後処理のさなか、竜人族イーゴンに救われたギル・オルグレンと獣人少女コノハが運び込まれたである。レティシアとリサは彼らを治療しつつ、王都へ急行したリディヤ一行の安否を案じたである。

オルグレン屋敷の惨状

リディヤらが到着した屋敷は炎上しており、暴走したリディヤは捕虜のグラントを処刑しようとしたである。勇者アリスが介入し、ステラ・ティナらの連携でリディヤを制圧、正気を取り戻させたである。

針海の復活と東都総力戦

逃亡中のグレゴリーと聖霊教使徒レフは、禁断の蘇生術と大精霊〈石蛇〉の力を使い、古代魔獣〈針海〉を強制再生させたである。怪物は東都へ侵攻を開始し、近衛騎士団・獣人自警団・流星旅団・各公爵家連合軍が結界と砲撃で足止めを図ったである。

各陣営の奮闘

巨人ドルムルの投岩、ドワーフ長レイグの罠、竜人長イーゴンの突撃、メイド隊の強襲により六首が切断されたが、〈針海〉は再生と石化攻撃で抵抗を続けたである。大間の戦略結界と勇者アリスの白雷が発動し、怪物の動きを封じたである。

大魔法《閃雷》の発動

アレンは重傷を押してリディヤ・ティナと魔力を融合し、精霊アトラの遺した大魔法《閃雷》を解放したである。三人の協力による純白の雷光は〈針海〉を貫き、大橋から東都外縁までを焼き払い、怪物を完全消滅させたである。

終戦と再会

戦闘後、アレンは命を削った代償として倒れたが、リディヤとティナに支えられ、母エリンとの再会を果たしたである。東都軍は捕虜となった旧オルグレン勢も含め一致団結し、街と大樹を守り抜いたである。精霊たちはアレンを〈鍵〉と認め、呪縛解放への希望を託したである。

エピローグ

病室での静かな時間とリディヤの不安

東都最大の病院でアレンは療養していた。リディヤは常に寄り添い、離れることを拒んでいたが、アンナに促されて一時的に病室を離れることを了承した。アレンとリディヤは互いの想いを確かめ合い、今後は共に在ることを約束した。

アリスとの再会と静かな対話

その後、アリスが現れ、王都で買った焼き菓子をアレンに手渡した。アリスはアレンの働きを称える一方で、彼の過剰な自己犠牲を諫めた。また、八大精霊の残る三柱「海鰐」「月猫」「冥狼」の名を伝え、世界の根幹に触れる存在として、自身の使命を果たすべく去っていった。

ティナとの絆の確認

ティナが病室に現れ、自責の念を吐露したが、アレンは彼女の頑張りを認めつつ、自分もまた未熟であることを述べた。精霊に関する知識不足を認め、今後とも共に歩むことを誓った。ティナはアレンの言葉に安堵し、共に努力する意志を示した。

仲間たちとの再会と日常の回復

ステラ、リイネ、エリー、カレンらが病室に訪れ、日常の空気が戻り始めた。リディヤとティナは言い争いを演じながらも、互いへの信頼を示し、アレンを中心とした絆が再確認された。アレンは自身の居場所に戻れたことを実感し、穏やかな時間を取り戻していた。

聖霊教内部の動向と新たな布石

場面は聖霊教の総本山へと移り、使徒イーディスとイブシヌルが聖女の前に参じた。教皇は敗北を悔い、報告を続けたが、聖女は必要な物資や人物を確保済みであることを明かし、関係者への労いと謝意を示した。次の目的地は水都であるとされ、使徒たちはその命を受けた。

聖女の本性と真意の表出

聖霊教の聖女は禁書や古書、さらには血痕の付いたノートを確認しながら、喜悦と狂気を交えて独白した。すべては彼女の計画通りに進んでおり、『雷狐』の出現も含めて王国の混乱を利用していた。彼女は己の正体を明かし、アレンへの執着と憎悪を含んだ期待を囁いた。

世界への宣戦と獣の覚醒

最後に聖女は己のフードを脱ぎ、獣耳と尻尾を晒し、その右手には『石蛇』の紋章が輝いていた。彼女は世界の再構築を企てる者として覚醒し、姉に語りかけながら「星」であるアレンの失墜を予告した。世界は新たな脅威の胎動を内包しながら、次なる局面を迎えようとしていた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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