【結論】
評価:★★★★☆(4/5)
シリーズ内での立ち位置:宇宙世紀におけるアムロとシャアの因縁が『逆襲のシャア』で決着した後、その“残響”を描く完結編。ニュータイプ神話の終焉と、理想に殉じた世代の後始末を描く一区切りの物語である。
最大の見どころ:ハサウェイという「次世代の理想主義者」が辿る結末。アムロとシャアの思想対立を引き継いだ青年の選択が、宇宙世紀の現実を突きつける。
注意点:カタルシスよりも余韻と虚無が残る結末。ヒーロー物として読むと重く感じる可能性がある。
【読むべき人】
・アムロとシャアの物語を“思想の決着”まで追いたい人
・宇宙世紀の歴史を一本の流れとして理解したい読者
【合わない人】
・爽快な勝利や希望ある結末を求める人
・モビルスーツ戦闘中心の作品を期待している人
【この記事の価値】
本記事を読むことで、『閃光のハサウェイ』が単なる続編ではなく、「アムロとシャアの物語の後始末」であり、宇宙世紀の一区切りである理由が整理できる。
物語の概要
■ 作品概要
本作は、富野由悠季による小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』全3巻の完結編である。ジャンルはSF・ミリタリードラマであり、宇宙世紀ガンダムシリーズの正統な続編として位置づけられている。 物語は、反地球連邦政府運動「マフティー」のリーダーであるハサウェイ・ノアが、連邦政府の特権階級による地球私物化を阻止するため、アデレートで開催される中央閣僚会議への武力介入を決行するクライマックスを描く。新型モビルスーツ「Ξ(クスィー)ガンダム」と「ペーネロペー」の最終決戦、そして主人公ハサウェイに待ち受ける過酷な運命と、組織と個人の葛藤が重厚な筆致で綴られている。
■ 主要キャラクター
ハサウェイ・ノア(マフティー・ナビーユ・エリン): 本作の主人公。ブライト・ノアの息子であり、反連邦組織マフティーのリーダー。地球の環境保全と特権階級の腐敗是正を掲げ、アデレートでの最終作戦に挑む。
ギギ・アンダルシア: 本作のヒロイン。類稀な予見能力と美貌を持つ謎多き少女。ハサウェイとケネスという敵対する二人の男の間で揺れ動き、物語の結末に深く関わる「勝利の女神」として振る舞う。
ケネス・スレッグ: 連邦軍キルケー部隊の指揮官。ハサウェイとは個人的な友情を感じつつも、軍人としての立場から彼を追い詰めるライバル。冷徹な作戦指揮と人間味あふれる感情を併せ持つ。
レーン・エイム: キルケー部隊の若きパイロット。ペーネロペーに搭乗し、ハサウェイのΞガンダムと激闘を繰り広げる。
ブライト・ノア: ハサウェイの父であり、連邦軍の英雄。息子の正体を知らぬまま、マフティー動乱の後始末に関わることとなり、皮肉で残酷な運命を背負わされる。
■ 物語の特徴
本作の最大の特徴は、従来のガンダム作品に見られる「勧善懲悪」や「希望ある結末」とは一線を画す、極めて現実的かつ悲劇的な結末にある。 特に、テロリズムという手段を選んだ主人公が国家権力という巨大なシステムによって抹殺されるプロセスと、その事実がマスメディアによって歪曲され、父ブライト・ノアが処刑を執行したかのように報じられるラストシーンは、読者に強い衝撃を与える。 また、モビルスーツ戦の描写だけでなく、政治劇や男女の心理描写が緻密であり、ニュータイプになれなかった者たちの苦悩や、「大人のガンダム」としての文学性の高さも大きな魅力である。
書籍情報
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 下
著者:富野 由悠季 氏
出版社:KADOKAWA
レーベル:スニーカー文庫
発売日:1990年4月11日
ISBN:9784044101336
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あらすじ・内容
ブライト・ノアを父に持つ青年ハサウェイは、マフティー・ナビーユ・エリンを名乗り、連邦政府高官の暗殺を続けていた。一方、連邦のケネス大佐は新型MSペーネロペーを入手。さらに少女ギギと同行することでマフティーにプレッシャーをかける。ハサウェイを想ってケネスのもとを離れるギギだが、そこには悲劇が待ち受けていた……。富野由悠季が織りなすオリジナル・ガンダム小説、衝撃のクライマックス!
感想
いきなりギギが連れ去られるという展開に、組織としての杜撰さを感じずにはいられない。これは拉致というより、もはや状況に流された結果のようにも見え、彼女が置かれた立場の危うさが際立っている。その直後、ペーネロペー撃破の報告が届き、戦況は一気に緊迫する。しかし、ケネスがダバオで要請していた航空機の手配について問いただすと、現場の士官たちは「聞いていない」と平然と言い放つ。組織として致命的な断絶があり、責任の所在が曖昧なまま進む不気味さが、物語全体に暗い影を落としているように思えた。
アデレート会議をめぐる攻防では、バリアーの設置が遅れていることが描かれるが、これが結果的にハサウェイを追い詰める罠として機能していくのが皮肉だ。工事が終わらないという現場の事情は理解できるものの、それが政治的な思惑と絡み合い、個人の逃げ道を塞ぐ装置となっていく過程には、やりきれない思いが募る。一方で、マフティーによる犯行予告と閣僚粛清の論理には、感情的に理解できてしまう部分もあった。腐敗した高官たちを目の当たりにすれば、過激な手段もやむなしと思えてしまうのが恐ろしい。しかし、だからといって殺人が許されるわけではなく、正義と倫理の間で心が引き裂かれるような感覚を覚えた。
ハサウェイ自身もまた、クェスの悪夢に苛まれ続けている。初恋の相手を自らの手で殺めてしまった過去は、戦闘の激しさとは別の次元で彼を蝕んでいる。ギギがその執着を指摘したことで二人の関係は決裂し、ハサウェイは彼女を部屋から追い出してしまう。年下の少女を突き放す未熟さと、余裕のなさが露呈した瞬間であり、ここから二人の運命が決定的にすれ違っていくのが切なかった。
アデレート空港への奇襲攻撃は壮絶を極める。メッサーが次々と撃墜され、艦のクルーにも死傷者が出る中、ハサウェイは死ぬ覚悟を決めて突入していく。レーンの成長は見事だが、その代償として払われた犠牲があまりにも大きい。味方のバリアーすら未完成という状況下で、現場が壊れていく感覚だけがリアルに迫ってくる。そんな中で、捕虜の解放とギギへの鍵の譲渡は、ハサウェイが最後まで無関係な人間を巻き込みたくないと考えていたことの証左だろう。ギギが必死に逃げ惑う姿は痛々しく、正しさよりも人間としての線引きを守ろうとするハサウェイの姿勢が、かえって胸を打った。
戦闘は最終的にガンダム対ガンダムの構図となり、ビーム・バリアーによってハサウェイは捕らえられる。空港破壊という目的は達せられたものの、彼は連邦軍の病院に収容され、友であるケネスと再会することになる。当初は尋問を行うはずだったが、上層部の決定により、軍事裁判なしでの翌朝処刑が決まってしまう。しかも、その全責任はケネスに押し付けられ、皮肉なことに後任としてハサウェイの父、ブライト・ノアが着任するという最悪の展開が待っていた。
ケネスはブライトに息子の処刑を目撃させまいと、必死に奔走する。友人を処刑する任務と、組織の面子を守る役割の両方を背負わされた彼の苦悩は計り知れない。閣議決定ではなく現場指揮官の名で処刑を行わせるという連邦政府のやり方は陰湿極まりなく、読んでいて最も胸が悪くなる部分だった。それでもケネスは、ギリギリのところで配慮を見せ、ハサウェイの最期を見届ける。
しかし、その努力すらも無駄にされる結末が待っていた。翌日の新聞には「マフティーの正体はハサウェイ・ノアであり、父ブライト・ノアによって処刑された」という捏造記事が踊る。グッゲンハイム大将によるプロパガンダによって、ブライトは息子を殺した英雄に仕立て上げられ、ケネスたちが守ろうとした真実は闇に葬られた。真実を知るのはごく一部の人間だけであり、世論は作られた物語を消費していくだけだ。
ケネスとギギは逃亡を選び、日本でひっそりと暮らすことを決める。ハサウェイは伝説となり、死してなお美化されていく。一つの時代が終わったという感慨はあるものの、救いのない結末に虚無感が残る。組織の論理に押し潰された個人の悲劇と、それでも続いていく世界の残酷さが、深く心に刻まれる作品だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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登場キャラクター
ハサウェイ・ノア
反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」のリーダーである。地球連邦軍の英雄ブライト・ノアの息子であり、地球の環境を守るために腐敗した連邦政府高官の粛正を行っている。過去にクェス・パラヤを自らの手で殺めたトラウマを抱えており、悪夢にうなされる描写がある。
- 所属組織、地位や役職
- 反地球連邦組織マフティー・リーダー
- 搭乗機:Ξ(クスィー)ガンダム
- 物語内での具体的な行動や成果
- アデレート会議粉砕のため、Ξガンダムを駆り総攻撃を指揮した 。
- 空港設備を破壊し、ペーネロペーと激しい戦闘を繰り広げた 。
- ケネスの仕掛けたビーム・バリアーに捕らえられ、撃墜された 。
- 全身に火傷を負いながらも、処刑までの時間を冷静に過ごした 。
- 最期まで自らの信念を曲げず、ケネスによる銃殺刑を受け入れた 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 処刑後、連邦政府によって「父ブライトが処断した」という虚偽の報道がなされた 。
- 彼の死と報道は、かえって反連邦機運を高める結果となった 。
- 死後、マフティーの名は伝説化し、「正当な預言者の王」として語り継がれる存在となると示唆されている 。
ギギ・アンダルシア
物語のヒロインであり、ハサウェイとケネスの間で揺れ動く少女である。予知めいた勘や幸運をもたらす存在として描かれ、「勝利の女神」とも称される。
- 所属組織、地位や役職
- 民間人(ケネスの愛人という名目で同行)
- 物語内での具体的な行動や成果
- マフティーに一時的に身を寄せていたが、ハサウェイと口論になり部隊を離れた 。
- 捕虜となった連邦兵から逃れる際、鍵を投げ捨てて彼らを撹乱した 。
- ケネスに保護された後、ハサウェイの処刑が行われる屋敷へ向かおうとして制止された 。
- 処刑後、ケネスと共にダバオへ脱出し、日本へ向かった 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 彼女の存在が戦況に影響を与えるとされ、ケネスやレーンから意識されていた 。
- 最終的にはケネスと共に静かに暮らすことを選んだ 。
ケネス・スレッグ
地球連邦軍キルケー部隊の司令官である。ハサウェイとは敵対関係にありながらも、個人的には友情を感じている。軍人としての有能さと、情に厚い人間味を併せ持つ。
- 所属組織、地位や役職
- 地球連邦軍・キルケー部隊司令
- 大佐から准将へ昇進
- 退役後は民間人
- 物語内での具体的な行動や成果
- アデレート防衛戦を指揮し、ビーム・バリアーを用いてΞガンダムを撃墜した 。
- ハサウェイの正体を知り、ブライトに真実を隠すため自ら処刑役を引き受けた 。
- 処刑執行後、ギギと共にダバオへ脱出し、日本への逃避行を選んだ 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- マフティーの乱を鎮圧した功績はあるが、閣僚を多数死なせた責任を取り退役した 。
- 退役にあたり、恩給は大佐待遇に減額された 。
- 連邦政府による情報操作に利用され、友人を処刑した事実に苦悩し号泣した 。
レーン・エイム
キルケー部隊のパイロットであり、ペーネロペーの搭乗者である。若さゆえの未熟さがあるが、実戦を通じて成長していく。
- 所属組織、地位や役職
- 地球連邦軍・中尉
- 後に大尉へ昇進
- 搭乗機:ペーネロペー
- 物語内での具体的な行動や成果
- アデレート防衛戦でΞガンダムと交戦し、激しい空中戦を展開した 。
- 撃墜されたΞガンダムのコックピットを確認し、パイロットの顔を見てハサウェイだと気づいた 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 作戦終了後、大尉に昇進し、部隊を代表してケネスに餞別を渡した 。
- ケネスの指導を受け、敵を深追いせず撤退する判断ができるようになった 。
ブライト・ノア
地球連邦軍の英雄であり、ハサウェイの父である。実直な軍人であり、ニュータイプの部下を持った経験から連邦政府に警戒されている。
- 所属組織、地位や役職
- 地球連邦軍・大佐
- 第13独立艦隊司令(ラー・カイラム艦長)
- 南太平洋管区司令(ケネスの後任)
- 物語内での具体的な行動や成果
- マフティー動乱の鎮圧支援のため、ラー・カイラムで地球に降下した 。
- アデレートでケネスから業務を引き継ぎ、後任の司令官となった 。
- 処刑されたマフティーが自分の息子であることは知らぬまま、その最期を見届けた 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- マフティー処刑後、連邦政府の報道により「息子を処断した英雄」として祭り上げられた 。
- 真相を知らぬまま退役し、妻とレストランを開くことを夢見ている 。
ガウマン・ノビル
マフティーのパイロットである。ベテランであり、ハサウェイを補佐する良き理解者である。
- 所属組織、地位や役職
- 反地球連邦組織マフティー・パイロット
- 搭乗機:メッサー
- 物語内での具体的な行動や成果
- アデレート攻撃に参加し、ペーネロペーと交戦して足止めを行った 。
- 機体を撃墜されながらも脱出し、最後まで戦い抜く姿勢を見せた 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- ハサウェイに対し、ギギとの関係について助言するなど、精神的な支えとなった 。
エメラルダ・ズービン
マフティーの女性パイロットである。恋人のレイモンドと共に作戦に参加する。
- 所属組織、地位や役職
- 反地球連邦組織マフティー・パイロット
- 搭乗機:メッサー
- 物語内での具体的な行動や成果
- アデレートへの第二波攻撃に参加したが、ペーネロペーの迎撃を受け撃墜された 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 作戦前にレイモンドと抱擁を交わし、覚悟を決めて出撃したが、帰らぬ人となった 。
レイモンド・ケイン
マフティーのメンバーであり、ギャルセゾンのキャプテンを務める。
- 所属組織、地位や役職
- 反地球連邦組織マフティー・ギャルセゾンキャプテン
- 物語内での具体的な行動や成果
- ギギや捕虜を自機に乗せて作戦に参加した 。
- 恋人のエメラルダを失った後も、彼女の仇討ちを胸に戦い続けた 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- ハサウェイの指示に従い、捕虜とギギを森で解放した 。
メジナウム・グッゲンハイム
地球連邦軍の参謀本部幕僚長官であり、大将である。
- 所属組織、地位や役職
- 地球連邦軍参謀本部・幕僚長官(大将)
- 物語内での具体的な行動や成果
- ケネスの退役を受理し、交換条件としてマフティーの処刑指揮を命じた 。
- マフティーの正体がハサウェイであることを知りながら、ブライトに息子を処刑させないための配慮としてケネスに汚れ役を押し付けた 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 新聞報道においては、ブライトが自ら息子を処断したという談話の発表者として名前が使われた 。
ハンドリー・ヨクサン
地球連邦政府の刑事警察機構長官である。
- 所属組織、地位や役職
- 地球連邦政府・刑事警察機構長官
- 物語内での具体的な行動や成果
- アデレートの爆撃で負傷したが生還し、ケネスと防衛体制について協議した 。
- ケネスに対し、職務を全うすることの重要性を説いた 。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 多くの閣僚が死亡する中、生き残った政府高官として事後処理に関わった。
登場したモビルスーツ
Ξ(クスィー)ガンダム(搭乗者:ハサウェイ・ノア/マフティー・ナビーユ・エリン)
- 識別番号:記述なし(文書内では「ガンダム」「ガンダムもどき」「ヨガンダム」等と呼称)
- 活躍:
- マフティーの主力機としてアデレート空港への襲撃を敢行する。
- ミノフスキー・クラフトを用い、常識を覆すマッハ2近い速度で低空侵入し、空港施設およびフェスティバル・センターへのミサイル攻撃を行う。
- 迎撃に出たペーネロペーと激しい空中戦(巴戦)を展開し、ファンネル・ミサイルやビーム・サーベルで交戦する。
- 最終的にケネス・スレッグの策であるビーム・バリアーの罠に誘導され、高出力のバリアーに捕らえられて機能停止・撃墜される。
- 戦闘後は空港南端に鹵獲状態で鎮座し、ブライト・ノアによる検分を受ける。
ペーネロペー(搭乗者:レーン・エイム)
- 識別番号:記述なし
- 活躍:
- キルケー部隊の主力機としてアデレート防衛の任に就く。
- 第一波攻撃の際、武器庫の誘爆に巻き込まれ機体が倒れるトラブルに見舞われるが、強引に離陸して迎撃に向かう。
- マフティーのメッサー(ドメステ機)を撃墜するが、ガウマン機との交戦で右脚装甲を損傷する。
- 再攻撃に備え、フライング・フォーム用の外装パーツを一部外して機動性を高めた状態で出撃し、Ξガンダムと互角以上のドッグファイトを繰り広げる。
- Ξガンダムを南側のバリアー設置ラインへ追い込む誘導役を果たし、撃墜後はコックピットを確認してパイロットを拘束する。
メッサー(搭乗者:ガウマン・ノビル、エメラルダ・ズービン、フェンサー、ゴルフ、ドメステ 等)
- 識別番号:Me-2R
- 活躍:
- マフティー側の量産型モビルスーツとして多数が作戦に参加する。
- ガウマン機:ペーネロペーと交戦し、ファンネル・ミサイルを回避して肉薄、右脚に損傷を与える戦果を挙げるが、最終的に撃墜され脱出する。
- エメラルダ機:第二波攻撃に参加するが、ペーネロペーの迎撃を受け撃墜される。
- フェンサー機:フェスティバル・センターへの対地攻撃を行うが、敵弾幕に捕まり撃墜され、地上で大爆発を起こす。
- ゴルフ機:フェンサー機の僚機として戦い、ケッサリアを一機撃墜するも、空港上空で集中砲火を浴びて爆散する。
- ドメステ機:第一波攻撃でペーネロペーのミサイルにより撃破される。
グスタフ・カール(搭乗者:レーンの僚機、連邦軍パイロット)
- 識別番号:FD-03
- 活躍:
- 連邦軍の量産型モビルスーツとしてアデレートの地上および空中防衛を行う。
- ペーネロペーに随伴して発進し、マフティー軍と交戦する。
- Ξガンダムの奇襲により、第一前衛の2機が瞬時に撃墜されるなど多数の被害を出すが、数による弾幕でメッサー部隊を迎撃し、撃破する成果も挙げる。
関連機体
ケッサリア(運用:地球連邦軍・キルケー部隊)
- 識別番号:BJ-K232
- 活躍:
- 連邦軍のベース・ジャバー(サブ・フライト・システム)として、グスタフ・カールの輸送や空中戦の支援を行う。
- アデレート周辺の偵察任務や、マフティー軍迎撃のために展開する。
- マフティーの攻撃で撃墜される機体がある一方、メッサー(フェンサー機、ゴルフ機)への攻撃を行い撃墜に貢献する。
ギャルセゾン(運用:マフティー)
- 識別番号:記述なし
- 活躍:
- マフティー側のベース・ジャバーとして、メッサーの輸送や前線への展開を担う。
- 一部の機体はミサイル等の武器弾薬を搭載し、対地攻撃や支援爆撃を行う。
- レイモンド・ケインの機体(1ギャルセゾン)は、捕虜となったキンバレー・ヘイマンらやギギ・アンダルシアを乗せて作戦に参加し、山中で彼らを解放する役割を果たす。
- 作戦中、ケッサリアや対空砲火によって撃墜される機体も出る。
ビッグ・キャリアー(運用:地球連邦軍→民間チャーター)
- 識別番号:記述なし
- 活躍:
- アデレートの滑走路が応急復旧した後、ダバオから資材輸送のために飛来した大型輸送機。
- 退役したケネスとギギを乗せ、ダバオへと移送する手段として使用される。
気象観測用ジェット機(運用:民間)
- 識別番号:記述なし
- 活躍:
- ダバオの民間空港から日本(ニホン)へ向かうためにケネスが手配した機体。
- 気象観測用のバルーンを飛ばす名目で飛行しており、隙間風の入る粗末なキャビンでケネスとギギを台湾まで運ぶ。
ラー・カイラム(運用:地球連邦軍・第13独立艦隊)
- 識別番号:記述なし
- 活躍:
- ブライト・ノアが艦長を務める宇宙戦艦。
- マフティー動乱に際して地球軌道から大気圏突入を行い、ミノフスキー・クラフトとビーム・バリアーを展開して太平洋上空へ降下する。
- アデレート近海に着水し、事後処理の拠点となる。
出来事一覧
1 ローカル ブロードキャスト
ギギ・アンダルシアの拉致と部隊全滅の判明
- 当事者: マフティー(ガンダムもどき) vs キルケー部隊(ギギ同道部隊)
- 発生理由: マフティー側による襲撃およびギギの連れ去り。
- 結果: 部隊は全滅し、ギギは拉致された。また、ペーネロペーも撃破されたとの報告がなされた。
欧州地区からの増援に関する口論
- 当事者: ケネス・スレッグ大佐(准将) vs 参謀本部からの派遣士官たち
- 発生理由: ケネスがダバオで要請していた欧州地区の航空機投入が手配されておらず、士官たちが「聞いていない」と返答したため。
- 結果: 士官たちは責任逃れの態度をとり、ケネスは彼らが役に立たないと判断した。
バリアー設営の遅延
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs メインザー中佐、ケスタルギーノ大尉
- 発生理由: 電力回線の設営に時間がかかり、朝までに完了すべきバリアー設営が終わっていなかったため。
- 結果: ケネスが叱責し、夜になる前にテストを行うよう命令した。
マフティーによる戦線布告放送
- 当事者: マフティー・ナビーユ・エリン(ハサウェイ・ノア) vs 地球連邦政府閣僚および会議参加者
- 発生理由: アデレート会議で進行中の「地球保全地区についての連邦政府調査権の修正(居住者の強制退去等)」等の法案成立を阻止し、閣僚の粛正を宣言するため。
- 結果: テレビ電波がジャックされ、閣僚や関係者に動揺が走った。ケネスは声の主がハサウェイであると確信した。
放送発信源の強行偵察
- 当事者: キルケー部隊(ケッサリア、モビルスーツ) vs マフティー側のトレーラー
- 発生理由: ジャックされた電波の発信場所を特定し、マフティーを確保するため。
- 結果: 発信源のトレーラー2台を発見したが無人であった。ケネスは自爆装置を警戒しつつ調査を命じた。
議長との今後の方針協議
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs 中央議会議長
- 発生理由: マフティーが放送で「アデレートからの退避」を警告したことを受け、会議の開催可否や防衛体制について判断が必要になったため。
- 結果: 議長は連邦政府の威信を保つため会議の中止を拒否。ケネスは防衛体制の説明のため会議場へ向かうことになった。
2 カモフラージュ アグレッシブ
議会での防衛対策とバリアー設営に関する紛糾
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs オノレ・バレストリエーリ代議員
- 発生理由: バレストリエーリ代議員が東側山岳地帯からの攻撃の可能性や、バリアーの完成がマフティーの勧告期限に間に合わないことを激しく追及したため。
- 結果: ケネスは代議員に対して不穏分子掃討への協力を求める発言で牽制しつつ、バリアー設営の監督を理由に議場からの退席を許可された。
ストーン・ウォールにおける機体爆発
- 当事者: 所属不明のモビルスーツ(マフティー軍と推定)
- 発生理由: 核融合エンジンの爆発事故、または意図的な自爆(詳細は調査中)。
- 結果: ケネスはこれを敵軍の事故(良い徴候)として議会に報告し、安心させた。現場からは機体の破片が多数発見された。
法務省役人との口論
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs 法務省の役人(縁なし眼鏡の男)
- 発生理由: 役人がマフティーの自滅について安易な推測を述べ、さらに軍機であるバリアーの詳細について尋ねたため。
- 結果: ケネスはバリアーについて「ノーコメント」と突き放し、不快感を露わにしてその場を立ち去った。
スペンサー湾沖での物体自爆
- 当事者: 所属不明機(数機)
- 発生理由: 追跡中に海上で水柱が上がり、自爆したと見られるため。
- 結果: ケネスは、先立つストーン・ウォールの爆発と合わせ、これらの一連の「事故」がマフティーによるカモフラージュ(陽動)であると推測した。
3 ディファレント プレース
ハサウェイの悪夢
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs クェス・パラヤ(夢の中の幻影)
- 発生理由: ハサウェイが過去のトラウマ(クェスを殺めてしまったこと)に苛まれ、夢の中でクェスに責められたため。
- 結果: ハサウェイは肉体が崩壊する感覚に陥ったが、現実のギギの手のぬくもりで目を覚ました。
テント内での会話と亀裂
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs ギギ・アンダルシア
- 発生理由: ハサウェイがうなされていたのをギギが介抱したが、会話の中でギギが「生き方は色々ある」「邪魔しているんだね」と述べ、ハサウェイのテロ行為やクェスへの執着について指摘したため。
- 結果: ハサウェイは図星を突かれて不愉快になり、「朝になったら僕の前から消えろ」とギギを突き放した。
ギギの退出と歩哨による尋問
- 当事者: ギギ・アンダルシア vs 歩哨(チャング・ヘイ、ベッチー)
- 発生理由: ハサウェイに追い出されたギギがテントを出て歩き出したところを、歩哨に見咎められたため。
- 結果: ギギは「追い出された」と説明。チャングがハサウェイに確認し、ギギはレイモンドたちの元へ預けられることになった。
レイモンドたちへの引き渡し
- 当事者: ギギ・アンダルシア vs エメラルダ・ズービン、レイモンド・ケイン
- 発生理由: ハサウェイとの喧嘩で居場所をなくしたギギが、レイモンドたちの元へ連れてこられたため。
- 結果: エメラルダは呆れつつも受け入れ、レイモンドは暖かいギャルセゾンのブリッジへ行くよう促した。
4 イン ザ モーニング
マフティー側の総攻撃開始決定
- 当事者: マフティー・ナビーユ・エリン(ハサウェイ・ノア) vs マフティー軍メンバー(ガウマン、エメラルダ、マサム等)
- 発生理由: ハサウェイが外部の協力者(クワック・サルヴァー)から、閣僚会議が予定通り開催されるとの連絡を受けたため。
- 結果: 予定通りの総攻撃(戦闘開始)が決定され、各員へ伝達された。
バリアーへの不安に関する議論
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs エメラルダ・ズービン、レイモンド・ケインら
- 発生理由: 敵の「ビーム・バリアー」に関する詳細情報(出力、配備状態、完了の有無)がなく、作戦の大きな不安要素となっていたため。
- 結果: 確たる情報は得られないまま、ハサウェイは「やるしかない」と結論付け、ギャルセゾン部隊にはバリアー設置が予想される空域を避けるよう指示した。
ギギと捕虜の扱いについての確認
- 当事者: レイモンド・ケイン vs ハサウェイ・ノア
- 発生理由: レイモンドが、キンバレー・ヘイマンら捕虜の釈放と、ギギ・アンダルシアの扱い(捕虜同様とするか)についてハサウェイに最終確認を求めたため。
- 結果: ハサウェイはギギも捕虜と同様に扱うよう冷淡に指示。レイモンドはハサウェイの態度にムッとしつつも了承した。
エメラルダとレイモンドの別れ
- 当事者: エメラルダ・ズービン vs レイモンド・ケイン
- 発生理由: 出撃前の短い時間での今生の別れ(かもしれない状況)として。
- 結果: 二人は愛を確かめ合う濃厚なキスをし、イラム・マサムに促されてそれぞれの機体へ乗り込んだ。
ギギとレイモンドの会話
- 当事者: ギギ・アンダルシア vs レイモンド・ケイン
- 発生理由: ギギがレイモンド機に同乗することになり、レイモンドがハサウェイの冷たい態度をフォローしつつ、戦闘への同行を告げたため。
- 結果: ギギは自身の立場(スパイ嫌疑や厄介払い)を受け入れつつ、レイモンドの気遣いに感謝した。レイモンドはギギを「運を呼ぶ」存在として同乗を歓迎した。
捕虜たちの絶望
- 当事者: キンバレー・ヘイマン vs 副官
- 発生理由: レイモンドから「戦況によっては釈放するが、撃墜されたら死ぬ」と通告され、副官がケネスによる救出の可能性を口にしたため。
- 結果: キンバレーは運命を悲観し、疲れ果てて反応も示さなかった。
5 タッチ アンド ゴー
ハサウェイとガウマンの会話
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs ガウマン・ノビル
- 発生理由: 作戦行動中の接触通信において、ガウマンがハサウェイの精神状態を気遣い、ギギとの関係(追い出したことや男女の仲)について言及したため。
- 結果: ガウマンは「ギギとやる(性行為をする)ことだけを考えろ」と卑俗ながらも励まし、ハサウェイはその単純な助言によって気が楽になり、前向きな気持ちを取り戻した。
マフティーによるアデレート空港奇襲攻撃
- 当事者: マフティー(Ξガンダム) vs キルケー部隊(ケネス・スレッグら)
- 発生理由: マフティーがミノフスキー粒子散布による攪乱と、常識外の超音速侵入によって、防備が手薄(バリアー未完成、油断)なアデレート空港を急襲したため。
- 結果: Ξガンダムは空港にミサイルを撃ち込み離脱。倉庫群や整備エリアで誘爆が発生し、甚大な被害を与えたが、モビルスーツのメインエンジン直撃などの致命的な壊滅は免れた(ケネスはハサウェイの手加減を感じた)。ケネスらは退避を余儀なくされた。
6 ピンポイント ディフェンス
ペーネロペーの不完全な発進
- 当事者: レーン・エイム vs マフティー軍(間接的)
- 発生理由: マフティーによる奇襲で武器庫の誘爆が始まり、直立状態だったペーネロペーが爆風で倒れたため。また、機体のフライト・フォーム可変機構に異状が生じていた。
- 結果: レーンは機体を立て直し、味方ミサイルの誘爆や煙を抜けながら強引に発進させたが、機体に振動が残る状態となった。
マフティー軍第二波によるフェスティバル・センター攻撃とレーンの迎撃
- 当事者: レーン・エイム(ペーネロペー) vs ガウマン・ノビル(メッサー)、他マフティー軍メッサー部隊
- 発生理由: フェスティバル・センター(会議場)を爆撃したマフティー軍に対し、レーンが追撃・迎撃を行ったため。
- 結果: レーンはミサイルでメッサー1機(ドメステ機)を撃墜。しかし、爆風と機体不調、および空港での新たな爆発に気を取られた隙を突かれ、ガウマンに肉薄されて右足装甲を損傷した。ガウマンらは離脱に成功した。
エメラルダ隊への攻撃とΞガンダムの介入
- 当事者: レーン・エイム(ペーネロペー) vs エメラルダ・ズービン(メッサー)、ハサウェイ・ノア(Ξガンダム)
- 発生理由: 続いて侵攻してきたエメラルダ隊に対し、レーンがファンネル・ミサイルやビーム・ライフルで攻撃を加えたため。
- 結果: レーンはエメラルダ機を含むメッサーを攻撃し、1機を撃墜(文脈上エメラルダ機への被弾描写があるが撃墜かは不明確、別のメッサーが撃墜された描写あり)。その後、Ξガンダムが再出現して味方の撤退を支援(牽制)したため、弾薬を使い果たし機体不調のレーンは深追いを避けて空港へ帰投した。ハサウェイ側もペーネロペーとの決戦は避け、味方の収容を優先して撤退した。
7 ゲット アヘッド
レーン・エイムへの戦果報告と指導
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs レーン・エイム中尉
- 発生理由: レーンの戦闘結果(ペーネロペーによる撃墜数)と、深追いせずに撤退した判断についてケネスが評価・指導するため。
- 結果: ケネスはレーンの撤退判断と4機の撃墜戦果(本人の認識は3機)を称賛した。レーンは以前より殊勝な態度を見せ、ギギ・アンダルシアの存在と戦況の関連についてケネスと思いを共有した。
ケネスとハンドリー・ヨクサン長官の会談
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs ハンドリー・ヨクサン刑事警察機構長官
- 発生理由: マフティーによる爆撃で多数の閣僚が死傷し、ヨクサン長官も負傷した状況下で、今後の防衛体制や責任問題について協議するため。
- 結果:
- ヨクサン長官は防空体制の不備(バリアー未稼働)を皮肉交じりに指摘し、更迭をちらつかせたが、ケネスは開き直りつつ第二波への対策(バリアー回線確保)を報告した。
- 二人はマフティーによる攻撃の可能性や、ギギがマフティー側にいることで運が向こうに味方しているという「ゲン担ぎ」の話をした。
- ヨクサン長官は、爆撃直前に問題の法案が可決されていたことを明かし、ケネスはそれに憤慨しつつも、マフティー関係者の検挙や、捕らえた不審者を人間の盾(バリアー)として利用するアイデアについて皮肉を交わした。
8 アンダー ザ フォリスト
ガウマンとカウッサリアの口論
- 当事者: ガウマン・ノビル vs カウッサリア・ゲース
- 発生理由: マフティー軍の損害についてカウッサリアが感情的になり、ギギがキルケー部隊に通報したせいだと非難したため。ガウマンは冷静さを求めた。
- 結果: ガウマンはカウッサリアを諭し、エメラルダを失ったレイモンドを気遣うよう指示した。カウッサリアは涙声になりながらも矛を収めた。
ハサウェイとガウマンの会話
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs ガウマン・ノビル
- 発生理由: ガウマンが、捕虜(キンバレーら)やギギを解放せずに利用すべきだと進言したのに対し、ハサウェイが「特攻の覚悟」で巻き添えにしたくないと反論したため。
- 結果: ハサウェイは「生き証人として残す方が有利」と理屈をつけつつ、特攻発言を訂正して必ず生還すると約束し、ガウマンを安心させた。
ギギと捕虜たちの逃走劇
- 当事者: ギギ・アンダルシア vs キンバレー・ヘイマンら捕虜グループ
- 発生理由: 解放された森の中で、手錠をかけられたままのキンバレーたちが、鍵を持っているはずのギギを執拗に追いかけ、迫ったため。
- 結果: ギギは恐怖を感じて逃走し、「マフティーにこうしろと言われた」と嘘をついて鍵が入った革袋を遠くの藪へ投げ捨てた。捕虜たちが鍵を探しに向かった隙に、ギギはその場から逃げ延びた。
9 アゲィン
ケネスと統合本部大将らの合流
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs メジナウム・グッゲンハイム大将、リチャード・クレッシェンド大将
- 発生理由: マフティーの再攻撃に備え、トップの将軍たちが司令センターで「観戦」するために現れたため。
- 結果: ケネスは彼らを丁重に迎え入れつつも、実戦指揮を知らない彼らを内心で冷ややかに見ていた。将軍たちは安全な場所から高みの見物を決め込んだ。
レーン・エイムへの出撃命令と指導
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs レーン・エイム中尉
- 発生理由: マフティーの再侵攻が予測される南側へペーネロペーを配置し、迎撃させるため。
- 結果: ケネスはレーンに対し、フライト・フォーム用パーツを外した状態での迎撃と、バリアーを利用するよう指示。レーンは素直に応じ、やる気を見せて出撃した。
バリアー作動への準備
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs メインザー中佐
- 発生理由: ガンダムを確実に撃破するため、通常以上の出力をバリアーに集中させる必要があったため。
- 結果: ケネスは発振器が焼き切れるほどの出力をS18ラインに集中させるよう命じ、メインザー中佐はそれを了承して準備を進めた。
マフティー軍の再侵攻と交戦開始
- 当事者: マフティー軍(Ξガンダム、ギャルセゾン隊) vs キルケー部隊(ペーネロペー、グスタフ・カール隊)
- 発生理由: マフティー軍がアデレートへ再攻撃を仕掛け、南側から侵入したため。
- 結果: Ξガンダムが先行していたグスタフ・カール2機を瞬時に撃墜。続いてギャルセゾン隊も攻撃に参加し、キルケー部隊側もベース・ジャバー1機を撃墜するなど激しい戦闘状態に入った。ケネスは将軍たちに危機感を煽りつつ指揮を執った。
10 ビー ディファーティト
ガンダムによるアデレート空港爆撃とペーネロペーの迎撃
- 当事者: ハサウェイ・ノア(Ξガンダム) vs レーン・エイム(ペーネロペー)
- 発生理由: ハサウェイが空港破壊という「とどめ」を刺す任務を遂行するため侵攻し、それを阻止すべくレーンが迎撃した。
- 結果: ペーネロペーの迎撃にも関わらず、ガンダムのミサイルは空港ビルに直撃し破壊した。その後、両機は激しい空中戦(巴戦)に突入した。
ガウマン隊・レイモンド隊の壊滅
- 当事者: ガウマン・ノビル(フェンサー機)、ゴルフ機 vs キルケー部隊(ケッサリア、グスタフ・カール隊)
- 発生理由: マフティー軍の残存戦力がフェスティバル・センターへの攻撃を試みたが、キルケー部隊の厚い弾幕に阻まれた。
- 結果: フェンサー機(ガウマン)は撃墜され地上で爆発、周囲に甚大な被害を出した。僚機のゴルフ機もケッサリアに撃墜され、空中で大爆発を起こした。
ビーム・バリアーによるΞガンダムの捕獲・撃墜
- 当事者: ハサウェイ・ノア(Ξガンダム) vs ケネス・スレッグ准将(指揮)、レーン・エイム(誘導)
- 発生理由: ケネスの作戦により、レーンがガンダムを南側のバリアー設置ラインへ誘導し、待ち伏せていたバリアーを作動させた。
- 結果: ガンダムは高出力のビーム・バリアーに包まれ、機体機能が停止・硬直して落下した。ハサウェイは電気ショックと衝撃で意識を失い、全身を焼かれたような状態となった。
レーンによるパイロット確認と衝撃
- 当事者: レーン・エイム vs ハサウェイ・ノア(意識不明)
- 発生理由: 撃墜したガンダムのパイロットを確認するため、レーンがコックピットを開けた。
- 結果: レーンはパイロットの顔を見て、以前キルケー部隊で見かけた人物(ハサウェイ)であることに気づき、ケネスとの関係性を疑って動揺・暗澹たる気持ちになった。
11 ウィリ ウィリー
ハサウェイとケネスの会話(病室)
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs ケネス・スレッグ准将
- 発生理由: 撃墜され重傷を負い、連邦軍病院に収容されたハサウェイをケネスが見舞い、状況確認を行ったため。
- 結果:
- ハサウェイは全身火傷と打撲を負っていたが意識を取り戻した。
- ケネスは、アデレート周辺のバリアー設置やガンダムの状況(空港に放置、パイロットが電気ショックを受けたことなど)を説明した。
- ケネスは尋問を行うと言いつつ、実際は尋問なしでの処刑が決まっていることを隠し、ハサウェイを安心させた。
- ギギやキンバレーも無事収容されたことを伝え、ハサウェイは安堵して眠りについた。
ケネスの辞任とマフティー処刑決定
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs 連邦政府・統合本部
- 発生理由: マフティーを殲滅できず多数の閣僚を死なせた責任を取るため、また尋問なしの処刑という組織のやり方に嫌気が差したため、ケネスが辞表を提出。
- 結果: 辞表は受理される方向だが、その前にマフティー(ハサウェイ)の処刑指揮を執ることが条件とされた。マフティーの処刑は翌日早朝、軍事裁判なしで、ケネスの責任下で行われることが内定した。
ケネスとブライト・ノアの対面
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs ブライト・ノア大佐
- 発生理由: ブライトが後任として着任し、挨拶に訪れたため。
- 結果:
- ケネスは「処刑対象の父親」であるブライトとの対面に激しい動揺と心理的障壁を感じた。
- ブライトは息子がマフティーであることを知らず、ケネスもそれを告げられなかった。
- ケネスはブライトに対し、彼が「ニュータイプの人質」として軍に飼い殺しにされているという噂を伝え、話題をそらしつつ彼を早々に送り出した。
グッゲンハイム大将による処刑命令の伝達
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs メジナウム・グッゲンハイム大将
- 発生理由: 辞表の受理と今後の手続き、およびマフティーの処置について通達するため。
- 結果:
- ケネスの退役は認められたが、恩給は減額(大佐待遇)となった。
- 退役の条件として、翌朝のマフティー処刑を指揮することを命じられた。
- 処刑命令は閣議決定ではなく、あくまで現場指揮官であるケネス(太平洋地区軍管区司令)の名前で行うよう指示され、全責任を押し付けられた。後任のブライトに息子を処刑させる事態は回避されたが、ケネスが汚名を被ることになった。
12 ビフォー ザ ディ
ケネスとグッゲンハイム大将の会話
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs メジナウム・グッゲンハイム大将
- 発生理由: マフティー(ハサウェイ)の処刑執行にあたり、ケネスがマフティーの正体(ブライト・ノアの息子であること)を将軍に明かすべきか迷った末に告白したため。
- 結果:
- ケネスはマフティーの正体がハサウェイ・ノアであることを明かした。
- グッゲンハイム大将は驚いたが、ケネスが即日退役していたらブライトが実子を処刑する悲劇が起きていたことを指摘し、「神の加護」だとしてケネスに処刑執行の任務を改めて命じた。
- ケネスは任務終了後の退役と地球居住の希望を伝え、将軍はそれを了承した(後に合法的な許可も下りた)。
ブライトとクレッシェンド大将の会話
- 当事者: ブライト・ノア大佐 vs リチャード・クレッシェンド大将
- 発生理由: ブライトが退役を希望していたにもかかわらず、アデレートでの後任(3ヶ月限定)を命じられたことについて確認するため。
- 結果:
- クレッシェンド大将は、アデレート周辺の不安は排除されており、ブライトの任務は再建支援と骨休め程度だと説明。
- 将軍はブライトに対し、近くにいる息子(ハサウェイ)に会いに行ったり、家族を地球に呼んだりする許可も出すと好意的に提案した(皮肉にも息子は処刑対象だが、ブライトも将軍もその時点で会話上は繋がっていない)。
- ブライトは将軍の提案を受け入れ、アデレートでの任務に就くことを了承した。
ブライトによるΞガンダムの検分
- 当事者: ブライト・ノア大佐 vs メカニック・マン
- 発生理由: ブライトがアデレート空港に到着し、鎮座しているΞガンダム(息子が乗っていた機体とは知らず)を直接確認したため。
- 結果:
- ブライトは機体の作りからアナハイム・エレクトロニクス製だと看破したが、公式には製造元不明とされていることに「大人の事情」を感じた。
- コックピットを覗き込んだが、そこに息子が乗っていたとは想像もしなかった。
- メカニック・マンの「不穏分子がガンダムの名を使うのは許せない」という意見に対し、ブライトは「歴代ガンダムのパイロットは皆反骨精神を持っていた」と述べ、ガンダムが破壊されてもその精神は残ると語った。
13 シューティング
銃殺刑の宣告とハサウェイの受容
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs 軍士官(中佐、少佐)
- 発生理由: マフティーの処刑が今夕正式に決定され、明朝4時50分に執行されることを通達するため。
- 結果: ハサウェイは士官たちの嘘(処刑阻止に尽力した等)を見抜きつつも、冷静に宣告を受け入れた。絞首刑の検討があったかという問いに対し、一部の閣僚が要望していた事実を知らされた。動揺はなく、むしろプレッシャーから解放されたような軽さを感じた。
看護師たちとの最後の交流
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs ヘレナ・マクガバン(看護婦長)、マルガリータ(看護婦)
- 発生理由: 処刑前夜のハサウェイに対し、看護師たちが遺書作成の提案や食事の希望を聞くなど、慈悲深い態度で接したため。
- 結果:
- ハサウェイは遺書は書かないかもしれないがワープロを借り、黄色いリンゴを希望した。
- アデレート破壊への謝罪に対し、ヘレナは攻撃勧告のおかげで市民が助かったと慰めた。
- マルガリータはリンゴを剥きながら涙を流し、ハサウェイの死を悼んだ。
- ヘレナの協力で立つ練習を行い、激痛に耐えて自身の足で立つ感覚を取り戻し、処刑への準備を整えた。
ギギとケネスの対峙
- 当事者: ギギ・アンダルシア vs ケネス・スレッグ准将
- 発生理由: ギギがハサウェイの処刑が行われる屋敷へ向かい、そこでブライト・ノア(ハサウェイの父)を目撃したため、錯乱してケネスに詰め寄った。
- 結果:
- ギギはブライトを見てハサウェイだと錯覚し、なぜ父親がいるのかと動揺した。
- ケネスはギギを制止し、ブライトは息子がマフティーだと知らないこと、自分が処刑を引き受けたのはブライトに息子を殺させないためであることを告げた。
- ケネスは「男の仕事だ」と言い放ち、ギギを追い返した。ギギは絶望し、走り去った。
ハサウェイの処刑執行
- 当事者: ハサウェイ・ノア vs ケネス・スレッグ准将、処刑隊
- 発生理由: マフティー・ナビーユ・エリンとしての処刑命令が執行されるため。
- 結果:
- ハサウェイは処刑台の前に立ち、最期の言葉として「人類の健やかな精神が地球を守ると信じている」「マフティーは過ちを粛正し続ける」と述べた。
- ケネスはハサウェイに目隠しをし、「好きだぜ」「いつまでも友達だ」と告げ、ハサウェイも感謝を伝えた。
- ケネスの合図で銃殺刑が執行された。ハサウェイは絶叫をこらえ、ケネスが迅速に執行したことで最期を迎えた。
14 アフター ザット
ハサウェイの処刑完了と遺体確認
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs ブライト・ノア大佐(事情を知らず)
- 発生理由: マフティー(ハサウェイ)の処刑が完了し、遺体が柩に納められた直後、ブライトがケネスを出迎えに現れたため。
- 結果: ケネスはブライトがハサウェイの顔を見ていないか焦ったが、ブライトはあくまでマフティーとしての処刑を見届けるつもりでいただけで、息子の死には気づいていなかった。ケネスは検分書にサインし、ブライトに遺体の埋葬を参謀本部に要請するよう託した。
業務引き継ぎの完了と別れ
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs ブライト・ノア大佐
- 発生理由: ケネスの退役に伴い、後任のブライトへ業務を引き継ぐため。
- 結果: ブライトの希望で早朝から引き継ぎを行い、ケネスはブライトのハサウェイと瓜二つの瞳を見て涙をにじませつつ、最後の握手を交わして別れた。
キルケー部隊との別れとダバオへの移動
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs レーン・エイム大尉およびキルケー部隊員
- 発生理由: ケネスがアデレートを去るにあたり、部下たちが整列して見送りを行ったため。
- 結果: レーンたちはケネスへの感謝とカンパによるプレゼントを贈り、ケネスは愛用していた乗馬鞭をレーンに渡して別れを告げた。その後、ケネスとギギは民間人としてダバオへ向かった。
ケネスの慟哭
- 当事者: ケネス・スレッグ准将 vs ギギ・アンダルシア
- 発生理由: 全てが終わり、ホテルで二人きりになった際、ギギがケネスの苦労を労う言葉をかけたため。
- 結果: ギギの「ご苦労だったと思うと何も言えない」という言葉を聞いたケネスは、これまで抑え込んでいた感情が決壊し、友人を処刑した辛さと悲しみに耐えきれず、部屋で声を上げて泣き崩れた。
15 マランビジー
マフティー処刑報道と真相暴露
- 当事者: ケネス・スレッグ vs ギギ・アンダルシア、連邦政府・参謀本部(記事の仕掛け人として)
- 発生理由: 翌朝の新聞で「マフティーの正体はハサウェイ・ノアであり、父ブライト・ノア大佐の手によって処刑された」という記事が大々的に報じられたため。
- 結果:
- ケネスは、自分がグッゲンハイム大将に正体を明かしたことが利用され、ブライトが息子を処刑したという「美談」かつ「恫喝」の捏造記事が仕組まれたと悟り、愕然とした。
- 記事では、ブライトが苦衷の決断で息子を処刑したという談話まで捏造されていた。
- ケネスは連邦政府のやり方に絶望し、ギギと共に身の危険を感じて直ちにダバオを脱出することを決意した。
ダバオ脱出と日本への逃避行
- 当事者: ケネス・スレッグ、ギギ・アンダルシア vs (追手・監視の目)
- 発生理由: 捏造記事により自分たちが消される危険性を感じ、ほとぼりを冷ますために逃亡するため。
- 結果:
- ケネスはギギを愛人に仕立て上げる形で、気象観測用ジェット機などを乗り継ぎ、ハサウェイの母方の故郷である日本へ向かった。
- 機中で、マフティー側からの反論や世論の反発が起きていることを知り、連邦政府の目論見が裏目に出ていることを確認した。
ケネスとギギの今後についての会話
- 当事者: ケネス・スレッグ vs ギギ・アンダルシア
- 発生理由: 逃避行の中で、これからの生き方や目的について語り合ったため。
- 結果:
- ギギは日本で静かに暮らす(死ぬ)つもりだと述べた。
- ケネスは、いつか次のマフティー(シャアやハサウェイのような存在)が復活するような組織を作るかもしれないと語り、その前に元妻(メイス)に謝りに行くと冗談めかした。
- 二人はハサウェイの伝説化(マフティー・ナビーユ・エリン=正当な預言者の王)を予感しつつも、今はまだ残された者たちの悲しみという現実の中にいた。
展開まとめ
1 ローカル ブロードキャスト
アデレート会議と連邦政府の思惑
オーストラリア南部の都市アデレートは、旧世紀の面影を残す街並みと近代建築が共存する地であり、地球連邦政府はその象徴性と実用性から中央閣僚会議の開催地として選定していた。地球浄化作戦を主導するため、全閣僚が集結し、キルケー部隊を中心とした厳重な警備体制が敷かれた。ケネス・スレッグ大佐は准将に昇進し、現地防衛の指揮を任された。
ギギ拉致とケネスの動揺
会議準備の最中、ギギ・アンダルシアがマフティーに拉致されたとの報告が入り、ケネスは個人的な感情と指揮官としての責任の狭間で動揺した。拉致に用いられた機体がガンダム型であることから、マフティーの戦力と意図への警戒が強まった。
防衛体制の混乱と内部不信
バリアー設営や偵察体制は遅れ、参謀本部との連携不足や官僚的対応が露呈した。ケネスは苛立ちを募らせつつも、マフティー掃討による軍功獲得を視野に入れ、戦力の立て直しを急いだ。一方、現場のパイロットたちは独自に功績を上げようと士気を保っていた。
マフティーの戦宣布告放送
その日の午後、アデレート唯一の放送網にマフティー・ナビーユ・エリンの声明が割り込んだ。ハサウェイ・ノアは、連邦政府が地球汚染を助長し、特権階級のための法案を通そうとしていると糾弾し、会議中止を求めたうえで二時間後の粛正を予告した。この放送は閣僚や高官たちにも視聴され、緊張が走った。
ケネスの判断と会議への出席
ケネスは放送内容の一部に理解を示しつつも、軍としての立場を崩さず、放送を止めずに情報収集を優先した。連邦議会議長からの要請を受け、ケネスは防衛責任者としてフェスティバル・センターへ向かい、アデレート防衛と会議継続について説明する立場に立たされた。
2 カモフラージュ アグレッシブ
議会での証言と不毛な追及
ケネスは、偵察状況から長距離ミサイル攻撃の可能性は低いと証言し、マフティーの放送は情報戦としてこちらを混乱させる意図だと位置づけた。しかしオノレ・バレストリエーリ代議員は、東方からの侵攻や陽動の可能性を執拗に問い、ケネスは万全論を突きつけられて苛立ちを募らせ、失言に近い応酬へ追い込まれた。
バリアー未完成と緊急連絡
議長はバリアー設営の進捗を確認し、完成が今夜から翌早朝になると知って動揺した。そこへメインザー中佐から連絡が入り、ストーン・ウォール方面で核融合エンジンらしき爆発とミノフスキー粒子散布の痕跡が観測され、所属不明のモビルスーツが爆発した可能性が報告された。ケネスはこれを議場で共有し、マフティー側の事故という推測を示して退席した。
官僚との応酬と黒幕への示唆
退席後、法務省の役人はマフティー自滅かどうかを気にし、条文作りの負担を嘆いた。ケネスは安易な結論を拒みつつ、官僚組織内の最良質で短気な人物がマフティーの黒幕クワック・サルヴァーだと断じ、黒幕を突き止めれば組織も改善し時間も得られると皮肉を込めて示唆した。役人がバリアーの内情を探ろうとすると、ケネスは軍機として遮断した。
新たな海上事案と作戦の違和感
ケネスが総合警備本部へ戻ると、スペンサー湾沖で所属不明機が発見され、自爆したような水柱が観測されたとの報告が入った。続いてストーン・ウォール爆発現場からはトレーラーやモビルスーツ破片が多数見つかった。メインザー中佐は、放送直後にマフティーが総攻撃を準備していたが事故で破綻し、逃れた機体が洋上で自爆したという筋立てを提示した。
陽動疑惑とケネスの推理
ケネスは、その筋立てが整いすぎている点を警戒し、これら一連の爆発が陽動か本当の事故かで迷った。マフティーが閣僚暗殺を狙うなら東方からの攻撃も可能だが、モビルスーツ戦に固執していると見て、こちらの目を西へ向けさせる意図を疑った。さらにハサウェイの過去の手並みや、ギギとの関わりを思い起こし、ダミー作戦の巧妙さから、ストーン・ウォールやカンガルー島沖の爆発自体がカモフラージュである可能性を強めた。
暫定結論と不透明な戦況
レーン・エイム中尉側からも破片発見が報告され、参謀本部派遣の士官たちはマフティー消滅を結論づけかけた。海上爆発の実態確認には海軍不在のため手間がかかり、確証は得られないまま、ケネスは議長へ「管轄外のモビルスーツらしきものが爆発した」事実のみを伝えた。議長は危機が去ったと笑い、翌日以降も閣僚会議をアデレートで続行すると決めたが、ケネスはハサウェイの計略に乗せられ、攻撃の時と場所が読めなくなった現実を痛感していた。
3 ディファレント プレース
悪夢からの覚醒
ハサウェイは、クェス・パラヤに責め立てられる悪夢を見て苦痛を覚え、肉体が崩壊して空虚だけが残る感覚に追い込まれていた。やがて一点の暖かさを実在の原点として捉え、目覚めると手首に絡む手とギギ・アンダルシアの声によって現実へ引き戻された。
テント内の看病と価値観の衝突
ギギは薬と水を用意し、うなされていたハサウェイを気遣った。ハサウェイは自分の行動が過去や弱さから逃げるためではなく、地球中心の体制に潜む毒を可視化し、人類に根源的問題を認識させるためだと語った。ギギは暴力が血を噴かせるだけで終わると指摘し、個人の感情や家庭的な平和を否定する理屈に反発したため、両者の溝が深まった。
決裂と追放の宣告
ギギは自分が邪魔者だと感じ、ハサウェイの言葉の端々から、彼が危険回避のために距離を取ろうとしていると受け取った。ハサウェイは苛立ちを抑えられず、朝になったら自分の前から消えろと告げ、ギギはその一言が希望であることを認めざるを得なくなった。
基地外への退去と戦力の実相
ギギはバッグを持ってテントを出て、洞穴に隠されたクスィー・ガンダムやベース・ジャバー、メカニックのテント群を目にした。洞穴には戦闘小隊ごとにメッサーとギャルセゾンが分散配置されており、此前の事故を仕掛けるために一機ずつ自爆させた後でも、マフティーはなお大きな戦力を維持していた。
歩哨の尋問と疑念の共有
移動中のギギは歩哨に呼び止められ、敵への内通を疑われたが、ハサウェイの協力者として連れて来られた経緯が半ば信じられていながらも疑念が残る現実を受け入れた。歩哨はハサウェイに確認を取るため仲間を呼び、チャング・ヘイとベッチーが現れて状況を収拾した。
仲間の受け止めと作戦の順調さ
ベッチーは、ギギが来てから作戦が順調すぎるほど進んだと語り、電波ジャック用トレーラー搬送隊の脱出成功や、ストーン・ウォールでの爆発、ダミー機撃墜がうまくいった経緯を述べた。ギギはそれを彼らの力量とマフティーの力によるものだと返し、チャングは今日で決着がつくまで大人しくしていろと促した。
収容先の決定と周囲の反応
ギギはレイモンドに預けられることになり、エメラルダ・ズービンは、今朝くらいハサウェイを静かにしておけと辛辣に注意した。レイモンド・ケインはギギにギャルセゾンのブリッジの方が暖いと告げ、ギギは自分が捕虜のように扱われている感覚を抱えたまま、雲間から差す朝の光を見上げていた。
4 イン ザ モーニング
連絡網の発動と作戦決定
旧フリーウェイに残された電話回線は、マフティーにとって重要な通信手段となっていた。午前七時、公衆電話の四回コールによって合図が成立し、クワック・サルヴァーから中央閣僚会議が定刻通り開催されるとの連絡が伝えられた。これを受け、マフティーは予定通り総攻撃を実行する判断を固めた。
最終ブリーフィングと不安要素
洞穴に集まった戦闘員たちに対し、ハサウェイは今回の作戦が陽動によって成功条件を整えたことを説明した。攻撃目標はフェスティバル・センターのみであり、会議開始から三十分以内に攻撃できれば粛正は完遂できるとされた。一方で、郊外線に設置されているとされるバリアーの性能や完成状況が不明である点が、唯一の不安材料として残った。
時間合わせと出撃準備
電波妨害を避けるため、作戦の時間合わせは有線電話と人手によって行われた。戦闘ゼロ時間は午前八時と定められ、三十分後に各機が発進する計画であった。各小隊は複数の行動段階を想定し、状況変化への対応を確認した。
ギギの扱いと仲間内の葛藤
レイモンドはギギ・アンダルシアの扱いについて疑問を呈し、捕虜同然の対応に違和感を示したが、ハサウェイは同様に扱うよう指示した。レイモンドはハサウェイの覚悟を理解しつつも、その冷淡さに複雑な感情を抱いた。エメラルダは、ハサウェイが任務に徹してギギを遠ざけたのだと受け止めていた。
出撃直前の別れと決意
発進準備の最中、エメラルダとレイモンドは短い抱擁を交わし、死と隣り合わせの作戦に臨む覚悟を確かめ合った。やがて号令がかかり、両者はそれぞれの持ち場へ戻った。
ギャルセゾン発進と捕虜の同行
レイモンドのギャルセゾンには、ギギとキンバレー・ヘイマン以下の捕虜が搭載されていた。戦況次第では釈放もあり得ると告げられたが、撃墜されればそれまでだという現実も示された。やがて洞穴からの発進が始まり、沖合をクスィー・ガンダムが先行して進む中、アデレートへの決戦が幕を開けた。
5 タッチ アンド ゴー
マフティー側:編隊の構成と通信手段
アンクシャス湾の洞穴から、ギャルセゾン6機が発進した。うち4機は2機ずつメッサーを搭載し、残る2機は第二波用の武器弾薬を搭載していた。先導はヨガンダム(クスィー)が単機で担い、アデレートまでは直線約400km、迂回を含めて約30分の行程であった。ギャルセゾンは搭載時に音速を出せない弱点があるため、先行した支援要員が想定空域へミノフスキー粒子を散布し、敵の探知・追尾能力を落とす段取りであった。連絡員は民生電話と簡易暗号で作戦推移を連絡し合った。
ハサウェイとガウマン:接触通信とギギの処遇
ハサウェイは左翼の4ギャルセゾン上空に接近し、メッサー2号機のガウマン・ノビルと機体接触による近距離回線を開いた。ガウマンは補給成功や新人の訓練を背景に部隊運用を整えたことを語りつつ、ハサウェイの精神状態を見抜き、ギギの件を揺さぶった。ハサウェイは「スパイ疑惑を払拭できなかった」として距離を置いたと答えたが、ガウマンは逆だと笑い、作戦後にギギと向き合えばよいと露悪的に背中を押した。この短い応酬が、ハサウェイの緊張をいくぶん解いた。
ハサウェイ側:自己点検と“正当化”への不安
ハサウェイは加速しつつ、電波ジャック放送の事前通告が「テロを正当化したい欲」から出たのではないかと自省した。仲間が暗殺の嫌悪感から「せめて正義に近づけたい」と支持してくれたことも理解しつつ、ギギの反応を冷淡と感じたことが距離を広げ、今朝の衝突につながったと整理した。チャングが「追い出すのは危険」と言ったため、レイモンドに預けたのが実態であり、問題は保留にせざるを得なかった。
キルケー部隊:散布報告と“侵攻方位不明”の恐怖
一方アデレートでは、バリアー設営が遅れたまま緊張が続いていた。そこへ各所でミノフスキー粒子散布が報告され、参謀本部派遣士官たちは「四方から侵攻する」と青ざめた。散布で侵攻方位を特定させないのは初歩の手段であり、ケッサリア発進が命じられた。
クスィーの突入:常識外の速度と空港への一撃
「散布後、十数分で侵攻」という常識を覆し、クスィーはヨーク半島を越えて西の海上80km付近からマッハ2近い速度で侵入した。大気中では通常のミノフスキー・クラフトでは音速突破が困難であるはずなのに、それ以上の速度であったため、ケネスは新型だと直感した。防空ミサイルはホーミングが効かず、十分な弾幕も張れなかった。クスィーは空港を射程に入れたところで急減速し、搭載ミサイルを叩き込み、再加速して通過した。
空港被害と誘爆:指揮系統の麻痺
ミサイル直撃で整備・補給エリアの倉庫群が炎上し、備蓄弾薬・ミサイルの誘爆が連鎖した。爆圧でガラスが割れ、大型ディスプレーも破損し、廊下は混乱した。グスタフ・カールには脚部直撃で横転する機体も出たが、核融合炉級の致命的直撃は免れたように描写され、ケネスは「手加減されたのでは」と錯覚するほどであった。通信回線は死に、待避壕移動が叫ばれる中、ケネスはペーネロペーとレーンの動向も気にかけながら総合警備本部を駆け出した。
6 ピンポイント ディフェンス
ペーネロペー発進時の混乱
レーン・エイム中尉は、ペーネロペー発進準備中に隣接する武器庫の直撃と誘爆に巻き込まれた。接近戦を想定してモビルスーツ形態のまま直立していたことが災いし、機体は倒壊、レーン自身もコックピット内で負傷する。宇宙での実績とは裏腹に、地上での不運が彼に機体への不信感を抱かせた。
レーンの内面と敵意
レーンは、マフティーの放送に登場したシルエットの青年に強い反感を抱いていた。公的組織の重圧を知らない民間人が、正義を語ることへの嫌悪である。若く優秀なパイロットであるがゆえに、組織そのものを疑う視点は持たず、敵を「個人」として捉える思考にとらわれていた。
緊急離陸と異常な侵攻速度
誘爆が続く空港で、レーンはペーネロペーを強引に離陸させ、先行するグスタフ・カールに追随した。空襲から一分も経たぬうちに、敵影はすでに視界から消えており、モビルスーツが音速を超えた可能性に思い至る。レーンは、ヨガンダムの機体が光に包まれていたことから、ビーム・バリアーによる音速突破を直感した。
防衛側の判断と焦燥
第二波がどこから来るのかを警戒しつつ、レーンは白兵戦に持ち込めば勝機はあると判断した。しかし、防衛線が容易に突破された現実に疑問を抱き、その混乱の中でギギ・アンダルシアの存在を思い出す。彼女が「運」を左右するという噂を否定しつつも、部隊全体の不調を完全には説明できなかった。
市街戦と最初の撃破
フェスティバル・センター上空では、市街戦規定を無視した迎撃が行われた。レーンはミサイルでマフティーのメッサー1機を撃破するが、爆圧と自身の加速過多により体勢を崩し、敵を郊外に追い出す好機を逃した。自らの未熟さを痛感する瞬間であった。
ガウマン隊との交戦
ガウマン・ノビルは、僚機を逃がすためにペーネロペーへ正面から突撃した。ビーム弾幕とファンネル・ミサイルが交錯する中、レーンは一瞬の集中欠如から右脚装甲を損傷する。誘爆と離脱が重なり、第一波のマフティー部隊は間合いを取って撤退した。
第二波の到来と損失
直後、エメラルダ率いる第二波が空港とフェスティバル・センターを再攻撃した。レーンは残存ファンネルで迎撃し、先頭機を撃墜するが、それがエメラルダ機であるとは知らなかった。再び核融合エンジン爆発が発生し、戦場は混沌に包まれる。
統制された撤退と両者の判断
三機のメッサーがペーネロペーに迫る中、レーンは冷静に後退を選択した。一方、ハサウェイは最強の敵であるペーネロペー追撃を断念し、味方撤退を妨げるグスタフ・カールへの牽制に専念した。両者とも、パイロットとしてだけでなく、指揮判断を優先した結果であった。
迷信と現実の交差
ミサイルを使い切ったレーンは、損壊した空港に降下し、「ギギがマフティーの守護神になったのではないか」とつぶやく。迷信を否定しながらも、事実を形づくる要素としての信心や偶然の力を、わずかに認め始めていた。全閣僚が集う議場が容易に爆撃された現実を前に、レーンは不確かなものの中にも人間の知恵があるのではないかと、静かに思い至るのであった。
7 ゲット アヘッド
レーンへの評価と実戦の本質
ケネス・スレッグは、レーン・エイムが撤退を選択した判断を高く評価した。交戦して敵機を撃墜するだけが戦闘ではなく、意志をもって生き延びる行動こそが実戦であると説き、結果としてペーネロペーが四機を撃墜していた事実を伝えた。レーンは戸惑いながらも、その評価を受け止め、指揮官としてのケネスの視野の広さを実感した。
ギギの存在と“運”への疑念
レーンは、ギギ・アンダルシアが近くにいる時といない時で、戦況の結果が不思議と一致しているように感じている胸中を吐露した。ケネスは偶然だと一蹴しつつも、その感覚を完全には否定しなかった。レーンは、ギギをそばに置いていた理由をようやく理解した気がしたが、それが迷信であることも同時に認めようとしていた。
ヨクサン長官の生還と防衛責任
刑事警察機構長官ハンドリー・ヨクサンは負傷しながらも生還し、地下施設でケネスと対面した。閣僚の半数が死亡した現実を前に、両者は感情を抑え、防空体制の再構築を最優先課題とした。バリアー回線は確保され、第二波は阻止可能だと判断される一方、双方とも時間不足が最大の敗因であったと認識していた。
迷信と大局観の交錯
ケネスは、ギギを“ゲン担ぎ”として部隊の近くに置いていた事実を語った。ヨクサンはそれをロマンチックに過ぎると評しつつも、偶然や小さな要素が大局に影響を与える可能性を否定しなかった。理屈だけでは割り切れない現実を、二人は暗黙の了解として共有した。
法案成立と連邦政府への失望
爆撃直前に例の法案が可決されていた事実が明かされ、ケネスは強い憤りを覚えた。地球移住が官僚と政府に支配される現状に疑問を呈するが、ヨクサンはそれでも職務を全うするしかないと語った。この体質こそが、マフティーのような存在を生む土壌であると、ケネスは内心で理解していた。
再戦への意志と自尊心
ケネスは、これほどの一撃を受けて退くだけでは済まされないと考え、軍人としてマフティーに一矢報いる決意を固めた。その自負心の強さこそが彼の原動力であり、同時に人生を不器用にしてきた要因でもあった。
地球降下するラー・カイラム
その頃、地球軌道には第十三独立艦隊が到達し、ラー・カイラムを含む三隻は大気圏突入を開始していた。艦長ブライト・ノアは、地球を前にしながら、南の島にいる息子ハサウェイの身を案じていた。ビーム・バリアーを展開した艦隊は、太平洋上空へと静かに降下し、新たな局面への移行を予感させていた。
8 アンダー ザ フォリスト
山中での再集結と次の爆撃準備
ケネスとヨクサン長官が地下で対応を協議する一方、ハサウェイ率いるマフティー残存戦力は、アデレート南東約50キロの山間に集結していた。樹木が密生し、ガンダムが着陸しても機体を隠せる地形であり、敵の想定外の近距離で合流する狙いであった。ハサウェイは補給役のファビオ・リベラと会い、湖や湾への逃走ルート、内陸潜伏からの脱出など、離脱計画を確認した。ファビオは損害の大きさを指摘するが、ハサウェイは「想定内」と受け止め、各個離脱でロドイセヤへ戻る方針を示した。
偽装離脱と再攻撃の意図
ファビオ一行は野菜運搬のトレーラーに偽装して離脱を開始した。ハサウェイは、彼らや周辺潜伏の連絡員を安全に逃がすため、もう一度アデレートを爆撃する必要を自覚していた。ガンダムは頭部バルーンのカメラで周囲のギャルセゾンとメッサーの状況を確認し、残存戦力が限られた状態で再攻撃に向けたミサイル補給が進められた。
損耗と疑心による亀裂
ガウマンは戦果を確信しつつ「ギギを追い出さなくてよかった」と口にしたが、カウッサリア・ゲースはエメラルダ戦死と戦力半減を理由に激昂し、ギギがキルケー側へ通報していると疑った。ガウマンは、今は怒りをぶつける局面ではなく、レイモンドの士気維持が必要だと叱咤した。部隊内では「運」や「疑惑」が損耗の痛みを増幅させ、感情の置き場がギギへ向かう危うさが露呈した。
捕虜釈放とギギとの断絶
ハサウェイはゴルフ機を介してレイモンドに捕虜の釈放を命じ、キンバレー・ヘイマンら捕虜が森へ降ろされた。続いてギギも林へ入っていく姿が見えた。ハサウェイは別れの言葉を交わしたい衝動を抑えるため、反射的に高度を上げて距離を取った。ギギはガンダムを気に留める様子を見せず、それがハサウェイには冷淡に映ったが、「また会える」という不確かな期待を自らに言い聞かせ、機体を西へ向けた。
ガウマンの進言とハサウェイの政治判断
ガウマンは、捕虜とギギを残す判断が敗北主義ではないかと疑い、特攻めいた覚悟を案じた。ハサウェイは、捕虜を巻き添えにしないこと、ギャルセゾンを軽くする必要を理由に挙げつつ、キンバレーを無傷で釈放することで「拷問なし」の証人にし、連邦側の虚偽を封じる政治効果を狙うと説明した。ギギを残すことはケネスへの牽制でもあるとし、作戦後も戦いが続く前提で布石を打った。最終的に「特攻」を訂正し、必ず離脱する意思を示してガウマンを安堵させた。
再侵入へ、失われた者の影を背負って
出撃直前、メッサー搭載ギャルセゾンは五機、単独二機が稼働可能な残存戦力であった。ガンダムは最大出力で先行し、ガウマンは一時落下しながらもギャルセゾンへ復帰した。レイモンドは意気消沈せず、編隊飛行の安定からも復讐心を燃料に戦う気配がうかがえた。一方ガウマンは、自分が死んでも本気で泣く者がいない現実に怯えを覚え、だからこそ生き抜く決意を固めた。
ギギの逃走と「鍵」の投擲
ギギは、捕虜となったヘイマンら四人に追われながら山道を駆け上がった。レイモンドから預けられた革袋には五つの鍵があり、捕虜たちはそれを解錠の鍵だと信じて執拗に迫った。ギギは「自分も拉致された側だ」と嘘を重ね、舗装跡のある旧道へ飛び出して逃走を続けた。追跡を振り切るため、ギギは革袋を掲げて叫び、鍵束を林の中へ投げ捨てた。捕虜の若い三人が音の方向へ向かった隙に、ギギは振り返らず走り去った。
アデレートへ向かう衝動と不穏な車列
ギギは、別れたはずのハサウェイの安否を確かめねば、その後の生き方を決められないと感じ、ホンコンで得られたはずの快適な生活を捨てた自分の選択を背負って走った。やがて下りてくる車列の気配に身を隠すが、想像以上の規模で、二十台を超える車が隊列を成して通過した。電気自動車中心で音が小さく、民間車両に見えても搭乗者の多くは軍服で、敗残兵の群れのように煤けていた。マフティー第一撃で敗れた者たちであり、この先も同様の車列が続く予感が、ギギの進路をいっそう不安定なものにした。
9 アゲィン
長官退避と地下司令部の顔ぶれ
調査局のゲイス・H・ヒューゲスト部長が車両準備を報告し、負傷したヨクサン長官を迎えに来た。長官は生存閣僚の退避を促されつつも深刻視せず、ケネスに弱い微笑を見せて地下から移動した。ケネスは、長官の側近くにいたヒューゲストが出世するだろうと見立てながら見送った直後、司令センターへ戻った。そこには統合本部のメジナウム・グッゲンハイム大将、リチャード・クレッシェンド大将らが参謀本部スタッフを伴い到着しており、実戦指揮を「観戦」する立場で上段席に陣取った。
迎撃配置の意図とペーネロペーの再調整
戦術ディスプレーにはグスタフ・カールとケッサリアの配置が示され、南方に偏っていた。アデレート真南は山脈が海へ落ちる緩斜面の緑地帯で、旧市街は樹木の陰影でしか判別できない。ケネスはマフティー再侵攻はこの方位と読んでいた。出遅れているペーネロペーは空港に留まり、フライング・フォーム関連パーツを外して調整中であった。整備要員が欠けていたため時間を要したが、間もなく完了する見込みであった。
レーンへの指示と“成長”の確認
モニターにレーン・エイムが映り、ケネスは「北に展開しているよう見せる」欺瞞の下、レーンに南方潜伏でガンダム迎撃を命じた。支援はグスタフ・カール二機のみであったが、レーンは受諾しつつ、外装を外したペーネロペーに「うすら寒い」感覚を漏らし、同時に「ガンダムとちゃんとやってみたい」と戦意を示した。ケネスは、退避の判断とバリアー活用の要点を再確認し、レーンがパイロットとして仕上がりつつあると感じ取った。
発進の映像とケネスの複雑な胸中
ペーネロペーと随伴のグスタフ・カール二機が滑走路を疾走し、煤と瓦礫を蹴散らして発進した。フライング・フォーム維持用の散布パーツを外した機体は軽快に見え、白兵戦での能力発揮が期待できる描写であった。だがケネスの内心は単純ではなかった。マフティーがここで「止め」を打ってくれれば迎撃・殲滅が容易になり、再起を遅らせられる。反対に撤収されれば、奇襲が“不穏分子の絶対的勝利”として宣伝され、長期的な不安定を招く。その読みを踏まえ、ケネスは“隙を作って再攻撃を誘う”形で迎撃準備を進めていた。
バリアー運用の決断
バリアー電力供給は予定通り進んでいたが、ケネスはガンダムを確実に殺すため、通常の倍の出力確保を要求していた。警報が鳴ると、レーン隊はまだ防衛線を越えたばかりだった。ケネスは検索や計算を打ち切らせ、S18ラインへ電力を集中させるよう命じた。一度の発振で発振器が焼け切れるほどの危険出力であると確認されても、ケネスは勝利優先を断言した。
接敵の急展開と第一撃の損耗
南空域の拡大映像にペーネロペーとグスタフ・カール、そして突進するガンダムが識別された直後、第一前衛のグスタフ・カール二機が撃墜されたとの報が入った。ディスプレーに戦闘の全貌は映らず、現場の速さだけが伝わる。ケネスは北方配置のケッサリアを南へ回すよう命じ、地下センターの緊張は一気に上がった。チェッカー要員は次々に撃墜報告を重ね、ガンダムの脅威が数字として積み上がった。
“後続”の出現とマフティー編成の推定
ケネスはガンダムの後続を問う。南南東、さらに別角度にも「アンノウン(所属不明)」反応が現れ、数は六、八以上と報告された。機種判別ではモビルスーツが三〜四、他にベース・ジャバー等が混在していると推定された。アンノウン撃墜、敵ベース・ジャバー撃墜と戦果報告も入るが、防衛線突破やケッサリア迎撃遅延など、戦線は混乱し始めた。
地響きと将軍たちの動揺
司令センターが地響きで揺れ、ケネスは“手慣れた速さ”に感心した。空港再爆撃が来れば周辺被害も連鎖する。クレッシェンド大将は、ガンダムより前に別機が地上攻撃した可能性を指摘し、ケネスはギャルセゾンによるものと見立てた。将軍たちは核融合炉爆発の恐怖を口にし、局面を“観戦”していた者としての脆さを露呈した。
司令官の叱責と“ここも安全ではない”の共有
ケネスは、使えるカメラを総動員して敵影を捕捉するよう怒鳴りつけ、対応が遅れればこのシェルターへモビルスーツが突入し得ると警告した。これは背後の将軍たちに、ここも絶対安全ではないという現実を叩き込む効果を持った。ケネスは、瞬間で決着し、その結果が局面を反転させる戦闘を“ギャンブル”になぞらえ、素人じみた不安に引きずられず、勝ち札を取り切ることを優先して指揮を続けた。
10 ビー ディファーティト
予定の撤収計画と合流遅延の代償
マフティー側は、アデレート空港とフェスティバル・センターに「とどめ」を刺して退避する段取りであった。だが残存ギャルセゾンとメッサーがフリンダース山脈東側で合流するのに手間取り、そのしわ寄せでキンバレーとギギを放出する判断に至った。本来は、予定時刻通りに合流できていれば、1ギャルセゾンは周辺遊弋とメッサー収容に専念し、第二波が中止になるのは「残存がギャルセゾン1+メッサー2の一単位になった場合」に限られる、という設計であった。ガンダムは第二波でも空港へ二撃を加える苛酷任務を背負っており、途中協議なしで二~三段のプランに従って行動する取り決めであった。
“隙”と判断しての侵攻開始、そして初動損耗
ハサウェイは山脈越えの偵察で、キルケー部隊ケッサリアが北に展開していると見て、侵攻空域の掃討へ一気に踏み込んだ。ケネス側の「作為的な隙」ほどの余裕はなくとも、ハサウェイには隙に見え、作戦は順当に進む感触であった。バリアーは作動しないと断定するしかなかったが、緑地帯に何もないはずはないという警戒は当然であり、その結果がグスタフ・カール三機撃墜という形で現れた。ハサウェイは空港へミサイルを発射するが、飛翔中に複数の火球へと変じ、迎撃が発生したことを悟った。
空港攻撃の継続とペーネロペーの俊敏化
南下中のレーン(ペーネロペー)がガンダムのミサイル攻撃を阻止する一方、東寄りから侵攻したレイモンドらのギャルセゾンが空港・フェスティバル・センター空域へ入り、地下壕の将軍たちを不安にさせた。ハサウェイはペーネロペーを誘い出すため高度を取り、空港を背に直線上へ置いてミサイルを撃つ。威嚇と空港爆破を兼ねた一撃であり、ペーネロペーの狙撃は一発しか落とせず、残りが空港に吸い込まれて直撃した。レーンのペーネロペーは余剰装甲を外した分だけ以前より俊敏であったが、姿勢制御バーニアが完全でない兆候もあり、前戦の損傷が右脚に残っている事情が示された。
ファンネル戦から白兵戦へ、両者の“同等”
ファンネルが射出され、ガンダムに集中するが、ハサウェイはビーム・ライフル乱射とサーベルの拡散で阻止する。ハサウェイはペーネロペーの攻撃が以前と違うと感じる一方、機動性はガンダムが上と見た。両機はビーム・サーベルを激突させ、巴戦のように回り込みながら、ファンネル同士も迎撃し合い、閃光と爆光が空を走った。ハサウェイは「力がある」と確信し、潜在力は同等かガンダムが上と見極め、レーンの名を叫びつつファンネル斉射で一点集中を狙う。しかしペーネロペーも同系統のファンネルで迎え撃ち、相互撃破の応酬となった。
メッサー側の被害拡大と核融合炉爆発の連鎖
ガウマン以下のメッサーが残弾発射のため回頭した瞬間、最後尾がケッサリア三機の集中攻撃を受け撃墜され、核融合炉爆発で直下の海が沸騰し白い壁になった。ガウマンはその中でもフェスティバル・センターへ対地ミサイルを叩き込み離脱を図るが、北展開のケッサリアとグスタフ・カール二機が弾幕を張る。フェンサー機は黒煙を楯にミサイル投下へ固執し、グスタフ・カールの餌食となって落下・爆発し、その爆発は周辺に退避していた人々の悲劇を倍加させ、アデレートの半分が灼熱に覆われ、爆風は周辺森林を舐めるように荒れた。
ゴルフ機の一矢と、空港での再爆発
ゴルフ機は爆圧に翻弄されつつも機体を制御し、間近のケッサリアへ照準を取り撃ち抜いて溜飲を下げた。だが次に対地ミサイルの投入を企図し、空港へ戻る途中で複数のビームを受け、空港ビルの爆発光の中で巨大な閃光へと変じた。再度の核融合炉爆発であり、もはや高い建造物が残っていないかのような光景となった。地下壕のケネスは、味方機が場所を考えずに攻撃したことに激怒し、震動で天井パネルが外れて埃が舞い、空気がむせ返る臭いに満ちた。
バリアー稼働、誘導成功、そして“最悪の一撃”
ケネスはバリアーの稼働可否を問い、回線が地下埋設で装置自体も小型なため稼働可能と判明する。市中監視カメラはほぼ全滅し、限られたモニターでガンダム追跡に集中する中、ペーネロペーがガンダムを南の防衛線へ追い上げているように見えた。ハサウェイは装甲がズタズタのペーネロペーの激しさにレーンの勢いを見て取り、もう一度攻めて逆襲と考える。ハサウェイはサーベルでペーネロペーのビーム・ライフルを切断・爆発させ、ペーネロペーは市街側へ後退し高度を落とす。ハサウェイは追撃して致命打を与えるはずだったが、そこで地上設置のビーム・バリアーがガンダムを包み、ハサウェイの感覚は白い閃光と破裂感で断絶した。ペーネロペーは数百メートル離れてそれを目撃し、ガンダムは機能を止めて落下、斜めに倒れた樹木をクッションに地へ落ちた。
レーンの制圧行動と“顔の認識”
レーンは即座に上空へ降下し、エネルギー・チューブ部を焼き、バーニアも溶解させてガンダムのビーム使用と機動を封じた。脚を地に噛ませ姿勢固定し、ロープでハッチへ降りて緊急開放レバーを操作、三重ハッチを開けて拳銃でコックピットを覗いた。内部は焼け焦げた臭いがし、スーツ姿のパイロットはうなだれ、ヘルメットを上げると皮膚が焼けただれた青年の顔が現れた。放送で見た顔に似ているという観念がよぎる一方、レーンは「どこかで会ったことがある」と感じ、キルケー部隊で見た顔だと思い当たって戸惑う。もしこれがマフティーなら、という疑念が生じるが、ケネスが協力者であるという結論は到底飲み込めず、レーンは暗澹とした重い心を抱えた。上空には静寂が戻り、暑さと小鳥の声が戦闘の断絶を際立たせた。
11 ウィリ ウィリー
昏睡からの断続的回復
ハサウェイは、全身を覆うむずかゆさと白い光の中で意識を断続的に取り戻していったが、焦燥で覚醒し切ることはなく、眠りへ滑り込む状態を繰り返した。場所はアデレートではなく、南東に十数キロ下ったゴールワ郊外のコテージ改装病院であり、連邦軍管理下の隔離室であった。見舞いの少女の記憶も曖昧で、ギギらしさだけが夢の輪郭として残ったが、現実に再会できるはずがないという諦念が、記憶をさらに夢へ押しやった。
覚醒とケネスの対面、水と情報の交換
本格的に目覚めたハサウェイの視界に、ケネス・スレッグが現れた。ハサウェイは声が思うように出ず、五体の有無を確認するが、全身火傷と打撲は軽少、心臓にもダメージがあると告げられる。バリアー出力を集中させてもパイロットを殺しきれなかった点は、機体側の防御システムの優秀さに帰せられた。ハサウェイは水を求め、ケネスが吸飲みで飲ませる。喉を通る水の心地よさが、意識の現実性を確かなものにした。
ビーム・バリアーの実際とガンダムの扱い
ケネスは地上設置のビーム・バリアー運用の苦労を語り、ハサウェイの陽動で陸戦部隊が安心してしまった点を認めた。ガンダムはアデレート空港に置きっぱなしで修理に時間がかかる見込みであり、コックピット・バリアーは作動したが、コアと装甲の距離が近すぎてパイロットが痺れたという。レーンは敗北を認め、経験になったと述べていると伝えられ、ハサウェイは「パイロット養成要員か」と自嘲しつつも、撃墜から四日経過という時間感覚を掴んで気持ちが軽くなる。
クワック・サルヴァーの所在不明と“尋問”の虚構
ケネスは「クワック・サルヴァーとは誰か」と問い、率先退避者の監視を命じたが発見できなかったと語る。ハサウェイも会っていないと返す。ケネスは身体が楽になったら正式に尋問すると言うが、それは虚偽であり、臨時閣僚会議で「尋問なし」が決まっていた。尋問がないことは即ち処刑を意味し、ケネスはそれに激怒して統合本部へ辞任願いを提出した。責任を取って退職する主旨にして受理されるよう整え、責任所在の明確化を好む官僚機構に利用される形となった。
ギギの扱いと面会遮断の現実
ケネスはギギが見舞いに来たが気づかなかったかと確認し、周囲がうるさいので職権でホンコンへ戻したと語るが、これも実情を隠す言い方であった。現実にはギギはまだ近くにいるが、軍病院の最重要収容者であるマフティーに自由面会など許されず、退官願い提出後のケネスには連れてくる裁量が失われていた。キンバレーも回収されたが、元気すぎて始末に負えないと語られる。ハサウェイは気掛かりを一通り把握したことで安堵し、疲労が噴き出して眠りに落ちる。
ケネスの憂鬱と“終息”の後に残る火種
ケネスは、ガンダム撃墜でマフティーの活動が終息し、アデレート周辺の不穏な動きが消えた一方、荷担者が地下へ潜伏して捜索が厄介になると見て憂鬱になる。生き残った閣僚は後任選定と委任状収集を迅速に進め、中央議会を成立させ、掃討作戦の協議を開始した。ゴールワの臨時会議では、マフティー・ナビーユ・エリンの処刑が決定され、体調が戻り自力で立てれば即刻処刑という流れが固まっていく。軍事裁判は形式として語られるが、形式すら省かれる可能性が出てきた。
ブライト来訪と“父”の壁
ケネスが司令本部へ戻ると、秘書フランシンからブライト・ノアが来訪中と告げられる。ブライトはハサウェイの父であるが、マフティーがハサウェイだとは知らない。ケネスは面会を前に動揺し、息子に会って父に会うという状況の重さを実感する。ブライトは辞職願いの真偽を問うが、ケネスは「閣僚の大半を殺した責任」として辞任を当然視しつつも、ブライトは受理されないと返す。会話の中でケネスは、今自分が語っている“マフティー”が目の前の父の息子であるという事実にぶつかり、言葉の重さに眩暈を覚える。協議自体は掃討戦継続要請など実務に収束するが、ケネスの疲労は戦闘指揮以上となる。
退役受理の報告と処刑実施命令の押し付け
参謀本部のグッゲンハイム大将が訪れ、ケネスの退役願いは受理されると告げる。ただし免責分の減俸として退役後の恩給は一級下げ、大佐資格相当になるとされる。さらに「ケリをつけてから」、すなわちマフティー処刑までが条件と明言され、ケネスは愕然とする。後任はブライト・ノアで、ブライトは三か月の暫定配置の後に交代させるという。処刑は翌早朝、見せしめと反撃抑止のために急ぐ方針であり、軍事裁判は反逆者には臨機応変だと切り捨てられる。決定的だったのは、処刑の汚名を閣議は負わず、実施命令は太平洋地区軍管区司令であるケネス名義で出すという点である。ケネスは天を仰ぎつつも、父親が息子を処刑するよりは穏当だと割り切るしかない局面に追い込まれる。
12 ビフォー ザ ディ
ケネスの告白と将軍の現実主義
ケネスはグッゲンハイム大将に、捕らえた「今のマフティー」は組織の一員であって“マフティーそのもの”ではないと切り出す。将軍はその点を当然視し、正体には興味がないと明言する一方、閣僚暗殺に対して報復を示さねば人心への影響が大きいと強調する。ケネスは追い詰められた弱気を自覚しながらも告白を止められず、正体はハサウェイ・ノアだと打ち明ける。将軍は父ブライトが知っているかを確認し、もし即日退役にしていたら父が子を銃殺する光景になったと述べ、結果としてケネスに執行を担わせる判断を“神のご加護”とさえ位置づける。
処刑執行の固定とケネスの退路封鎖
将軍は「任務だよ」と言い切り、ケネスは反抗すれば執行がブライト側に回ると理解して沈黙する。業務引継ぎはブライトと行う前提で整理され、任務終了後はこの地を離れてよいと告げられるが、ケネスは温厚な言葉を信用しない。自分が潜在的な不穏分子と見なされる可能性を感じ取るからである。だが後日、官僚機構の手違いか意図か、ケネスとギギが合法的な地球居住許可を得るという“妙な結果”が出ることが示され、後の伏線として残る。
ブライト側の“骨休み”ムードと処刑の時間
場面はブライトへ移り、クレッシェンド大将から三か月の配置(暫定)を受け入れる流れが語られる。戦闘が激化していれば三か月作戦の想定だったのだから、今は不安がだいたい排除され、あとは「ケネス大佐が翌日に処刑を済ませれば仕事が減る」という建付けになる。大将は家族の地球降下許可まで口にし、釣りの偵察に出るなど、上層部は急速に日常へ戻っていく。ブライトは「戦闘がないことが心を軽くする」感慨を抱くが、処刑は早朝5時とされ、後任として立ち会うべきだと考えてアデレートへ向かう決断をする。副艦レーゲンは几帳面すぎると呆れるが、ブライトは引継ぎの礼として准将の顔を見る必要を優先する。
アデレート空港のヨガンダム視察
夕方、真赤に染まる空の下でブライトは、空港南端の被害が比較的少ない場所に鎮座するヨガンダムの前に立つ。遠目には見ていたが、近距離で観察するのは初めてである。機体はガンダムの名を継ぐ容姿を持ちながら、かつてより“いかつい”印象で、装甲は薄く焼けただれたように見えるが本質的ダメージは少ない。左右に水平に開いたマニピュレーターが十字架を背負ったように見え、手の焼損が痛々しい。半開きのコックピット、実視ディスプレーのひび割れなどを確認しつつ、ブライトは製造元をアナハイムと断じるが、公式には物証がなく不明とされていると説明され、「それが大人の世界」と切り捨てる。
“ガンダム”という名への見方
随伴のメカニックが「不穏分子がガンダム名を使うのは許せない」と憤るのに対し、ブライトは否定せず、歴代ガンダムの搭乗者は連邦軍側でも反骨の精神を持っていたと語る。さらにガンダムは最後に首がなくなる、焼ける、バラバラになるなど破滅的な末路を辿りがちだが、反骨精神は機体が失われても残ると述べ、名称そのものを単純な正邪で裁かない姿勢を示す。ブライトは、このコックピットに息子が座っていた可能性など想像もしないまま、煤まみれの“ガンダムの顔”を見上げ続ける。
13 シューティング
処刑通告とハサウェイの受容
ハサウェイは病室で、翌早朝の銃殺刑を告げられる。士官たちは「回復を待った」「即刻処刑の要求を阻止してきた」と説明し、キルケー部隊(ケネス)からの伝言として健闘への敬意と、ケネスが准将へ昇進した旨を伝える。ハサウェイは大半を虚言と受け止めるが、処刑そのものには動揺しない。活動開始時点から捕縛後の結末を覚悟しており、むしろ長く背負ってきた圧迫が消える軽さを感じる。
看護婦たちの配慮と“最後の夜”の準備
看護婦長ヘレナは遺書用にワープロを勧め、ハサウェイは書かないつもりだと言いつつも置いておくよう頼む。さらに黄色いリンゴを所望し、ヘレナは准将の好意があれば用意できるだろうと請け合う。マルガリータはワープロと紙、封筒、万年筆まで整えて置き、涙をこぼして去る。ハサウェイは感傷に流されまいと天井を睨み、死を迎える自己暗示のように言葉を反復する。夕食は流動食のままで、翌朝は日本式のシンプルなおかゆを希望する。
“立つ練習”とリンゴの到着
夜、ケネスからリンゴが届く。ハサウェイは朝に立つ必要があるとして、ヘレナに介助を頼み立つ練習を行う。火傷と包帯の痛みが全身を突き上げるが、銃殺で長く立つ必要はないと自分に言い聞かせ、短時間でも立つことに成功する。マルガリータがリンゴの皮を剥き食べさせるが、期待した歯ざわりではなく、彼女は「やっと皮膚が戻りそうなのに」と泣く。ハサウェイは家族への負い目や、自身の歩みを「ニュータイプに憧れて無理に近づこうとした結果」と曖昧に総括し、整理しきれない思考のまま夜を越える。
ギギの隔離と夜明けの衝動
一方ギギは、ケネスの屋敷の隣家に“監禁に近い形”で泊め置かれ、救急バンの跡を残しながら眠れず夜を過ごす。処刑場所が宿舎から近い屋敷の庭だと知らされ、四時半を過ぎて外へ出る。警備兵に止められても「准将に会うだけ」と言い、処刑の屋敷へ向かう。到着すると、軍用ワゴンから降りた士官を見て、ハサウェイ本人と錯覚する。兵の呼称でそれがブライト・ノア大佐だと分かるが、声や雰囲気がハサウェイに重なり、ギギは動揺して膝が抜ける。
ケネスの制止と“父に知らせない”意図
屋敷からケネスが飛び出し、ギギを強く押さえて「これ以上入るな」と警告する。ギギが「父の前で殺すのか」と爆発すると、ケネスは口を塞ぎ、ブライトはマフティー=ハサウェイを知らず、処刑を見せない努力をしていると説明する。ケネスが執行を引き受けたのも、ブライトに正体を知らせないためだと断言し、「最後ぐらい静かにさせてやれ」と突き放す。ギギは泣きながら走り去り、すれ違ったワゴンにハサウェイが載っているとは気づかない。
裏庭の処刑場とケネスの執行
ワゴンは裏庭へ入り、湖を背に一本の柱が立つスポットライトの中心へベッドごとハサウェイを据える。逆光の中でケネスは身元を確認し、参謀本部命令による処刑執行を宣言する。士官たちがハサウェイを立たせ、手錠で柱に固定する。十数名の士官と牧師が立ち会うが硬直しており、ブライトは屋敷内待機とされ現場には出されない。ハサウェイはマフティーとしての言葉を述べ、過ちを粛正し続ける旨を語る。牧師の懺悔問いには、関わってくれた人々への感謝を返す。
友誼の確認と銃声
ケネスは目隠しを施し、手首の具合を気遣い、「ハサ、好きだぜ」と告げる。ハサウェイは礼を返し、互いを友だと確認する。ケネスが距離を取り、躊躇を最小にするよう鞭を振り下ろして号令を出す。「射てーっ!」銃声は、遠ざかったギギには届かなかった。ギギは理由も確かめられないまま、夜明けの道を泣きながら走り続ける。
14 アフター ザット
処刑直後の静けさと“終わった”実感
照明が落とされ、湖と空が朝の青に染まり、水鳥の群れが弧を描いて飛ぶ。ハサウェイの遺体は柩に納められ、兵が蓋を閉じる。ケネスは、それが済むと背を向ける。恐れていたほどの取り乱しもなく任務は完了し、終わってしまえば呆気ないという感覚だけが残る。
ブライトとの再会と“正体”の隠蔽
ケネスは屋敷へ戻る途中、湖側の窓に近づくブライトの姿を見て身構えるが、ブライトは同僚の仕事を観察するような表情で、ハサウェイと気づいた気配はない。ブライトは銃声を聞き、処刑が終わったと判断して居間へ出てくる。ケネスは「堂々としていた」とマフティーの最期を事務的に報告し、柩の蓋が釘で固定されたことを確認してから、ようやく“近づかれても大丈夫だ”と安堵する。
遺体処理と記録の冷酷さ
玄関口で医師と牧師に止められ、検分書への署名を求められる。書類にはハサウェイの実名はない。火葬後の扱いを執行官に問うても曖昧で、ケネスは敵であっても立派に戦ったのだから埋葬を要請しろと命じる。さらにブライトにも参謀本部へ働きかけるよう頼み、ブライトは同意する。ケネスは“ハサウェイは書類の上でどうなるのか”という感覚的な違和を抱えたまま、手続きが機械的に終わっていく現実を見送る。
除隊後の話と“息子の面影”
車まで並んで歩く中、ブライトは任務後にロンデニオンで妻とレストランをやるつもりだと語る。引き継ぎ会議の開始時刻も前倒しになり、ブライトの几帳面さとマメさが際立つ。ケネスは、その気質がハサウェイにも通じると実感し、握手の際に、ハサウェイと瓜二つに見える瞳を見て涙を滲ませる。
ギギの拘束とケネスの苛立ち
司令部に戻ったケネスはギギに電話し、昼に出発すると告げる。ギギは短く「いいよ」と答えるだけで、ケネスは彼女が自分の苦労を想像せず、処刑した事実だけを責めているように見えて不快になる。護衛に“ギギを外へ出すな”と命じ、ギギは実質的に自由を奪われたまま同行する。
アデレート経由の離脱と部隊の餞別
アデレート空港は瓦礫が残りつつも滑走路が応急復旧され、ダバオからのビッグ・キャリアーが到着している。ケネスは生き残ったキルケー部隊の将兵から敬礼を受け、レーン・エイム大尉の挨拶とカンパによる贈り物を受け取る。ケネスは礼を述べ、指揮に用いた乗馬鞭をレーンへ渡して区切りをつける。ここから先、ケネスとギギはダバオ以降“完全に民間人”として軍の傘下を離れることになる。
ダバオ到着後の警戒と偽名宿泊
夜半のダバオで、出迎えの士官たちは儀礼的でありながら、ギギには蔑視とは違う“硬質な警戒”が感じられる。ホテルは爆撃の影響で確保が難しく、ケネスは民間ロビーでリムジンを手配し、背後を何度も気にしながら小さなホテル(ミラブ・ホテル)を押さえる。運転手に“この辺で降ろしたことにしてくれ”と現金を渡し、二部屋を偽名で借りる。
ギギの一言とケネスの崩壊
部屋へ送った後、ケネスはギギに「なぜ怒っている」と問う。ギギは「大佐がご苦労だったと思うと、なんもいえない」とだけ告げて扉を閉める。その言葉で、ケネスの内側に押し込めていた感情が決壊する。狭いシングルルームでベッドに倒れ込み、友人を処刑した自分の立場の重さをようやく自覚し、声を上げて泣き続ける。
15 マランビジー
暴露記事の衝撃と“父が執行した”偽装
ケネスは泣き疲れて倒れ込んだまま眠っていたが、ギギが朝刊を突き出し「ハサウェイがマフティーだと書いてある」と告げて叩き起こす。見出しには処刑の断行と“地球連邦軍士官の息子だったマフティー”という暴露が並び、小見出しにはブライト・ノアの名がある。記事本文は、処刑の責任者をブライトにすり替え、“父が息子を銃殺した”という形で世論に示す構成になっていた。
グッゲンハイムの談話とケネスの自責
記事は、ブライトが「アデレート到着後に息子の正体を知り、軍人の使命として自ら処断した」とする談話を掲載し、参謀本部は“あくまでノア大佐の強い希望で止められなかった”と補足する。談話の名義がメジナウム・グッゲンハイム大将であると知り、ケネスは“自分が正体を告げたこと”が起点になったと悟る。結果として、事実の隠蔽ではなく、より残酷な“象徴劇”として利用された。
逃走の決断と“愛人設定”
ギギは「捏造でも家族はどうなる」と怯える。ケネスは即座に電話を入れ、「ダバオから一番遠い便」を探す。ここに留まれば口封じされても不思議ではないと判断し、周囲の目を誤魔化すため、ギギを愛人として連れ歩く形が最善だと腹を括る。行き先は日本で、二枚の航空券を確保する。
気象観測機での脱出と“世論は逆に動く”予測
民間空港から気象観測用ジェットに乗り、隙間風の入る小さなキャビンでダバオを離脱する。ケネスは、連邦政府が“蹂躙された被害者”として同情を買う狙いでも、むしろ逆効果になると読む。父に息子を処刑させるという図は、政府と軍への嫌悪を増幅し、マフティー支持を刺激する可能性が高いという見立てである。
ブライトの“逃げ道”と証明不能性
ギギがブライトの今後を案じると、ケネスは冷徹に推測する。ブライトは新聞で初めて知った形にされ、調査しても証拠は残っておらず当惑のまま退役に追い込まれる。さらに軍は「マフティー側のリークだ」と主張して逃げ切れる、とケネスは言う。ギギはその現実的な理屈に衝撃を受け、善意でブライトを守ろうとしたケネス自身の行為も、もはや“正しさ”を保証しない領域に落ちたことを感じ取る。
台湾経由と反論記事の拡散
台湾・台東で別便に乗り継ぎ、パイロットから夕刊ファックス(ロール紙)を受け取る。そこには、マフティー側の反論として“ハサウェイはニュータイプで、地球再生に配慮しない政策への抗議だった”“父に執行させるのは非人道”という論旨が並ぶ。各社が連邦政府の性急な処理を批判し、“なぜアデレートが爆撃されたか”へ論点が移り始めていることが示される。ケネスは、パイロットが自分たちを逃亡したマフティー残党と疑っている可能性にも触れる。
日本行きの意味とギギの感情
ギギは、日本がハサウェイの母方の出身地であることを知り、“友達の国に行ける”という感覚に救いを見出す。一方で「そこで死ぬ」と言い切るほど、喪失の痛みは深い。ケネスは、強い者に惹かれてきた自分が、傷ついた生身を庇護したい側へ変化していることを自覚する。
“次のマフティー”という構想と未だ消えない現実
ケネスは、連邦政府が崩れて新体制ができても組織の悪癖は繰り返すと見て、“次のマフティーを作る用意”という皮肉混じりの構想を語る。シャア、ハサウェイ、アムロのような存在が百年後に復活するような“対抗の形”を夢想する一方、ギギの内面では、ハサウェイの名がやがて“枯れない水道”マランビジーのように伝説化していく未来像が浮かぶ。だが現時点で残るのは、父の苦悩、母の悲痛、妹の絶望、そしてギギとケネス自身の生々しい痛みであり、体温の記憶が消えるまで辛い時間が続く、という余韻で閉じる。
ガンダム シリーズ
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
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