どんな本? 『ソードアート・オンライン オルタナティブ グルメ・シーカーズ』は、VRMMO《ソードアート・オンライン(SAO)》の世界を舞台に、料理をテーマとしたスピンオフ作品である。ゲーム初心者の姉弟、ユズとヒナは、VRMMOでの料理体験を目的に《SAO》へログインするが、不運にもゲーム内に閉じ込められてしまう。二人は「アインクラッド攻略には興味ありません! 食堂の開業を目指します!」と宣言し、料理スキルを極めることを決意する。同じく料理好きなプレイヤーたちとともに《食の探求団》というパーティーを結成し、美味な食材やレアな調理器具を求めてクエストをこなしたり、現代日本の料理再現に挑戦したりと、料理に特化した日々を過ごす。やがて、屋台をオープンし、創意工夫を凝らしたメニューで攻略プレイヤーたちの胃袋を掴んでいく。本作は、デスゲームという過酷な状況下でありながら、料理を通じて《SAO》の世界を新たな視点で描いており、グルメ要素と冒険が融合した魅力的な物語となっている。主要キャラクター • ユズ:姉弟の姉であり、現実世界では大手飲食チェーンの社員。料理への情熱を持ち、ゲーム内でも料理スキルを追求する。 • ヒナ:ユズの弟で、高校生。姉とともに料理スキルを磨き、食堂の開業を目指す。 • ロック:現実世界ではグルメレポーターを務める初老の男性。豊富な知識と経験で《食の探求団》をサポートする。 • チェリー:パート兼業主婦で、スーパーの総菜売り場で働いている。家庭的な料理の腕前を活かし、パーティーに貢献する。出版情報 • 出版社:KADOKAWA • 発売日:2024年10月17日 • 判型:B6判 • ページ数:332ページ • ISBN:9784049158281 2024年9月17日からはコミカライズ版も連載中であり、漫画家・可山コロネ氏が作画を担当している。
読んだ本のタイトル ソードアート・オンライン オルタナティブ グルメ・シーカーズ 2 著者:Y. A 氏 イラスト:長浜めぐみ 氏 原案・監修:川原礫 氏
Y.A/長浜 めぐみ/川原 礫 KADOKAWA 2024年10月17日頃
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あらすじ・内容 《SAO》世界でのグルメ探求を描く新スピンオフ、第二層・第三層に到達! VRMMOでの料理を体験してみたかっただけなのに、運悪く《ソードアート・オンライン》に閉じ込められてしまったゲーム初心者の姉弟、ユズとヒナ。同じく料理好きなプレイヤーとともに《食の探求団》を結成し、料理を極めていくことに。 牛がテーマの第二層では、ライバルプレイヤーと牛肉料理対決! 第三層では、エルフ戦争キャンペーン・クエストに挑戦……と思いきや、エルフと一緒にレア食材を採集&料理で後方支援!? SAO攻略より、料理がしたい! そんな料理人プレイヤーのまったりグルメ探求ライフ、第二弾!
ソードアート・オンライン オルタナティブ グルメ・シーカーズ 2
ステーキ戦争とウルバスでの営業 第二層では牛肉を使ったステーキが流行していた。食材の入手が容易で、料理スキルが低くても作りやすい点が人気の理由であった。しかし、見た目で味の差が分かりづらく、質の低い料理でも一定の売り上げが確保できる状況にあった。食の探求団は《ウルバス》を拠点とし、競争の激しい環境で生き残るために、独自のメニュー開発に力を入れていた。《エブリウェア・フードストール》を活用し、新たな商品を展開することで売り上げを伸ばしていく。
新メニュー開発と料理人プレイヤーの課題 ロックは《トレンブリング・オックス》の肉を使った《牛串》を開発し、手軽に食べられるよう工夫した。一方、チェリーは《マリトッツォ風牛乳クリームパン》を考案し、女性プレイヤーに好評を博した。ステーキ以外の料理を提供する店は少なく、競争が激しくなっていた。しかし、戦闘プレイヤーが料理の知識を持たないため、食の探求団の多様なメニューは容易に真似されることはなかった。
ハンバーグ戦争と新たな挑戦 第二層ではハンバーグが流行し、多くの屋台が「牛肉100%」を売りにしていた。しかし、肉の処理技術が未熟なため、筋の多い仕上がりとなり、味にばらつきがあった。優月たちはパン粉や牛脂を適切に配合し、《肉汁ハンバーグ》を完成させる。これにより、食の探求団の屋台には長蛇の列ができた。さらに、チーズを練り込んだ《チーズイン肉汁ハンバーグ》が登場し、圧倒的な人気を獲得する。
グルメギャング団との料理勝負 グルメギャング団が登場し、食の探求団に料理勝負を挑んできた。彼らは最高級の食材を使った《至高のステーキ》で挑むが、優月たちは《牛汁》と《牛モチ麦雑炊》を提供し、満足感で勝負を制する。さらに、売り上げ対決では新たな戦略としてシュラスコ食べ放題を導入し、逆転勝利を収める。これにより、高級食材に頼るだけの料理では勝てないことが証明された。
ダークエルフとの交流と新たな食材 探求団はダークエルフと接触し、《デッドオアアライブマッシュルーム》の識別方法を学ぶ。《翡翠の秘鍵》クエストを通じて補給部隊と関わり、料理を提供することで関係を深めていく。特に、ソンバルト隊長との交流が進み、士気向上のための料理を依頼される。これに応え、《大人のお子様ランチ》を開発し、戦場の食事事情を改善していく。
第三層の突破と新たな料理の挑戦 第三層へ進んだ探求団は、新たな料理の開発に励む。炭酸水を利用したコーラ、モッツァレラチーズを活用したピザなど、新たなメニューが次々と生み出される。グルメギャング団も再び台頭し、ズムフトで料理勝負が繰り広げられる。最終的に、《真・大人のお子様ランチ》が勝利を収め、探求団の料理がズムフトのプレイヤーに広く認知されることとなる。
感想 グルメギャング団の変化 最初はただの嫌味なライバルであったカポネ率いるグルメギャング団が、物語が進むにつれて成長し、真剣に料理に向き合う姿が印象的であった。 特に、カポネが料理の本質を理解し始め、食材や技術を磨いていく様子は興味深かった。
料理勝負の工夫と戦略 単なる食材の質ではなく、調理技術や工夫が重要であることが強調されていた。 《至高のステーキ》に対して《牛汁》で勝利するなど、料理の奥深さが描かれていた点が魅力的であった。 また、戦闘ではなく料理で勝負が決まる展開も新鮮で、グルメ系VRMMO作品としての個性を確立していった。
ダークエルフとの交流がユニーク ダークエルフとの関係が、ただのクエストではなく、料理を通じた文化交流のように描かれていた点が良かった。 彼らが警戒心を解き、料理を通じて信頼を築いていく過程が丁寧に描かれており、戦闘主体のSAOシリーズとは異なる魅力があった。
道具や調理スキルの重要性 無愛想な鍛冶屋が作った《プロフィシェンツ・キッチンナイフ》のエピソードが印象に残った。 料理の成功には技術だけでなく、道具の質も重要であることが示され、料理人プレイヤーならではの苦労が伝わってきた。
最終的な料理勝負の決着 《真・大人のお子様ランチ》が、ただの派手な料理ではなく、工夫と技術の結晶として描かれていた点が良かった。 最終的に、探求団がズムフトでの地位を確立し、安達食堂復活に向けて一歩前進する展開は、読後感が良かった。
本作は、戦闘ではなく料理を中心にした異色のVRMMO作品であり、プレイヤーたちが生き抜くために試行錯誤する姿が魅力的に描かれていた。 次巻では、第四層での新たな料理探求がどのように展開されるのか、引き続き期待したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
Y.A/長浜 めぐみ/川原 礫 KADOKAWA 2024年10月17日頃
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備忘録 プロローグ 牛肉料理 ステーキ料理の流行とその理由 第二層では、多くの料理人プレイヤーがステーキを提供していた。理由は、牛肉が手に入りやすく、料理スキルの熟練度が低くても作りやすいためである。さらに、パンやスープなどをセットにすることで価格を高く設定できる点も魅力だった。しかし、味の差が見た目では分かりにくいため、料理スキルが低いプレイヤーでも一定の売上を見込める状況だった。新たな拠点《ウルバス》での営業 主人公たちは第一層を脱し、巨大なテーブルマウンテンに築かれた街《ウルバス》を拠点としていた。ここでは料理人プレイヤーが増加し、商売の競争が激化していた。彼らは限定クエストで入手した《エブリウェア・フードストール》を活用し、売り上げを伸ばしていた。一方、他の料理人プレイヤーは屋台を利用していたが、移動の負担が大きいため、戦闘力のない料理人にとっては大きな課題となっていた。新メニュー《牛串》の開発 ロックが新たに開発したのは《トレンブリング・オックス》の肉を使った《牛串》である。彼は、強化した包丁を用いて丁寧に筋切りを施し、食べやすい大きさにカットした。炭火で焼き上げることで、手軽に食べられる料理として提供することにした。肉の硬さは若干残るものの、価格を抑えたことで客の評価は上々であった。デザート《牛乳クリーム》の工夫 チェリーは、新たなデザートとして《牛乳クリーム》を開発した。《トレンブリング・カウ》のミルクが入手困難なため、ゼラチンを活用して生クリームに近い食感を再現し、黒パンに詰め込んだ《マリトッツォ風牛乳クリームパン》を販売した。この商品は、甘い物を求めるプレイヤーたちに好評であり、特に女性プレイヤーや酒を飲めない者たちに人気を博した。料理の多様化と競争の課題 多くの料理人プレイヤーはステーキ以外の料理を提供せず、競争が激化していた。その原因として、彼らが元々戦闘を主体としたプレイヤーであり、料理の知識が乏しいことが挙げられた。一方、主人公たちは現実世界での料理経験を持ち、それを活かして多彩な料理を提供していた。そのため、他のプレイヤーが容易に真似できる状況ではなかった。次なる挑戦と料理の試作 主人公たちは、料理の幅を広げるために新たな牛肉料理の開発を決意した。ステーキに依存しないメニューを考案することで、競争に勝ち抜く戦略を立てていた。また、料理人プレイヤーたちに宣戦布告をしてきた《グルメギャング団》の存在もあり、さらなる発展が求められていた。
第一話 トレンプル・ショートケーキ 夜のウルバスと食の探求 屋台の営業を終えた一行は、《エブリウェア・フードストール》を片付け、常宿へ向かっていた。しかし、リーダーである姉は、突如《トレンブル・ショートケーキ》を食べると宣言し、目的地を変更した。ウルバスの夜は賑わっており、ロックは飲食店の調査をしながら歩いていた。優月は節約を考えていたが、姉の決定には逆らえず、レストランへと向かうことになった。新しい料理のアイデアとショートケーキ 姉は、他の料理人プレイヤーが料理のレパートリーを増やし始めることを警戒し、自分たちも新しい料理を開発する必要があると主張した。そのための「インプット」として、《トレンブル・ショートケーキ》を食べることを決めた。優月はデザートが新しい料理のヒントになるとは思えなかったが、チェリーも賛成し、最終的に一行はレストランへ入ることになった。巨大なショートケーキと試食 レストランのメニューには高価な《トレンブル・ショートケーキ》が載っており、優月は一つをシェアしようと提案したが、姉は人数分を注文した。運ばれてきたケーキは巨大で、生クリームと果物が山のように盛られていた。優月は見た目に圧倒されつつも試食し、甘さが絶妙で食べやすいことを認めた。しかし、量が多く、後半は満腹との戦いとなった。ロックは甘いものが苦手で、ほとんど手をつけられず、彼の分は優月が食べることになった。バフの発見と新たな試み ショートケーキを食べ終えると、《幸運判定ボーナス》のバフが付与されたことが判明した。姉とチェリーはこのバフを活用し、レア食材を使った料理の試作を決定。宿に戻るのではなく、《エブリウェア・フードストール》を展開し、即座に調理を開始した。《焼き小籠包》の成功 今回試作するのは、過去に何度も失敗していた《焼き小籠包》であった。チェリーが生地を作り、姉が猪肉の餡を練り、ゼラチンを使ったスープを封入した。バフの効果もあり、焼き上がった小籠包はスープがたっぷり詰まった理想的な仕上がりとなった。一行はその熱々の味を堪能し、これまでの苦労が報われた瞬間を喜んだ。新たな肉料理の着想 姉は《焼き小籠包》の成功をもとに、新しい肉料理のアイデアを思いついたと宣言した。優月は、ショートケーキではなく小籠包からヒントを得たことに驚きつつも、新たな料理の開発に期待を寄せた。こうして一行は、新たな挑戦へと踏み出したのである。
第二話 ハンバーグに必要なもの ハンバーグの流行と料理人たちの苦悩 ウルバスのメインストリートには料理人プレイヤーたちの屋台が並び、かつてはステーキ一色であったが、売り上げが分散したため、新たなメニューとしてハンバーグが登場した。しかし、どの屋台も「牛肉100パーセント使用」と謳っており、結果的に差別化には失敗していた。第二層が「牛エリア」と呼ばれるほど牛型モンスターが多いため、牛肉の希少性は低く、安価な肉を加工するための苦肉の策としてハンバーグが選ばれたようであった。調理の困難さと屋台の問題点 ハンバーグのミンチ作りには手間がかかり、特に料理スキル熟練度の低いプレイヤーにとっては難易度が高かった。調理台にキッチンナイフをセットし、オート加工でミンチにすることは可能であったが、硬く筋の多い肉の処理には高度なスキルが求められた。実際、プレイヤーたちは頻繁にナイフを補修する必要があり、耐久度がゼロになりナイフを消滅させる者もいた。ハンドミルサーのない環境では、ハンバーグ作り自体が非常に厳しい状況であった。試食とハンバーグの問題点 偵察のため、優月とチェリーはいくつかの屋台を巡った。どの屋台もハンバーグを提供していたが、ミンチ肉に必要なパン粉やタマネギを省略しているものが多く、焼き加減もバラつきがあった。中には焦がしてしまったものや、生焼けのまま提供されているものもあった。調理の難しさから、ハンバーグの出来はプレイヤーごとに大きく異なり、どの店も完成度の低いものを提供していた。新たなハンバーグの開発 他店の偵察を終えた優月とチェリーは、姉とロックと共に自分たちの屋台で新メニューとしてハンバーグの試作を開始した。市場で仕入れた牛脂を加えることで肉の旨味を補強し、よりジューシーな仕上がりを目指した。パン粉やタマネギを適切に加え、フライパンで焼き固めた後、オーブンでじっくり火を通した。肉汁溢れるハンバーグの完成 完成したハンバーグを切ると、中からたっぷりの肉汁が溢れ出した。他の屋台で提供されていたものとは一線を画し、柔らかくジューシーな食感であった。これまでの試作を活かし、成功した《肉汁ハンバーグ》を新メニューとして販売することが決定された。ロックが手書きのメニューを作成し、「新メニュー! 肉汁ハンバーグ」と大きく掲げた。爆発的な人気と他の料理人たちの反応 昼食時、冒険者たちがメインストリートに戻ってくると、どの屋台もハンバーグを提供していたにもかかわらず、肉汁ハンバーグを売る優月たちの屋台に行列ができた。かつて他の屋台のハンバーグを試したプレイヤーたちは、パサついたり筋が残っていたりするハンバーグに不満を抱いており、「肉汁が出るハンバーグ」に強く惹かれたようであった。さらなる工夫と競争の激化 姉とチェリーは、ハンバーグのトッピングとして目玉焼きを追加し、さらにウルバスで仕入れたチーズをハンバーグに練り込んだ《チーズイン肉汁ハンバーグ》を開発した。切ると肉汁と共にとろけたチーズが流れ出し、プレイヤーたちは大興奮した。ハンバーグとチーズ、目玉焼きの組み合わせは非常に人気を博し、高価格でも多くのプレイヤーが購入した。新たな脅威《グルメギャング団》 優月たちの肉汁ハンバーグが大成功を収めるなか、陰では《グルメギャング団》と名乗る料理人プレイヤーたちが新メニューの準備を進めていた。彼らは、明日から自分たちが一番人気を獲得すると宣言し、食の探求団に対抗する構えを見せていた。競争の激化は避けられず、新たな展開が待ち受けていることは明白であった。
第三話 デュエルではなく、料理勝負を挑まれる グルメギャング団の挑戦 肉汁ハンバーグの人気が続く中、グルメギャング団のカポネたちが再び姿を見せ、料理勝負を申し込んだ。しかし、優月たちは商売に忙しく、勝負を受ける余裕がなかった。姉のヒナも「売り上げを競うことこそが料理人プレイヤーの勝負」と断言し、勝負を受ける必要はないと判断した。グルメギャング団は不満を示したが、優月たちはあくまで商売を優先し、彼らの申し出を拒否した。グルメギャング団のステーキ それでもカポネたちは、食の探求団を超える料理を提供するべく準備を進めていた。彼らは高ランクの調理器具を揃え、希少な牛肉を手に入れ、料理スキル熟練度を上げていた。そして、シンプルながら上質なステーキを完成させ、優月たちに試食を勧めた。ナイフが滑らかに入るほど柔らかく、濃厚な旨味と上品な脂の甘さが広がるそのステーキは、これまで食べたどの肉よりも美味しかった。カポネは「料理は食材の質がすべて」と豪語し、最高の食材とスキルこそが料理の本質だと宣言した。新たなライバルの脅威 翌日、グルメギャング団は《至高のステーキ》を販売し、冒険者たちの注目を集めた。高級な肉を使用したステーキは絶賛され、優月たちの屋台の売り上げは大幅に減少した。さらに、カポネは「《エブリウェア・フードストール》を譲るべきだ」とまで言い出したが、ヒナは即座に拒否した。常連客たちもグルメギャング団の要求を不当だと批判し、料理の種類が豊富な食の探求団の屋台の価値を擁護した。カポネの過去と戦略 その夜、優月たちはケインたちと合流し、グルメギャング団についての情報を集めた。カポネは、洋食レストランの名門「三方亭」の創業家の孫であったが、仕事をせずゲームばかりしていたという。彼は《SAO》の攻略を目指したものの、第一層のボス戦を前に挫折し、新たな生き方として料理人プレイを選んだ。カポネは、現実では料理の腕はなかったものの、高品質な食材と効率的なスキル習得で、ゲーム内ではトップの料理人を目指していた。料理勝負の決断 グルメギャング団の成功により、優月たちの屋台の売り上げはさらに落ち込んでいた。そんな中、カポネは再び料理勝負を持ちかけ、《エブリウェア・フードストール》を賭けるよう要求した。しかし、ヒナは即座に拒否し、ロックも「公平な賭けにならない」と異議を唱えた。カポネたちは全財産を賭けると主張したが、それでも対価としては釣り合わなかった。 ところが、挑発に乗せられたヒナは突如として勝負を受けると宣言した。優月たちは驚きつつも、新たな料理を考案し、グルメギャング団のステーキに対抗することを決意した。ヒナは「優月がたまに作る料理を再現すれば勝てる」と自信を見せたが、その料理が本当に勝てるのかは未知数であった。料理勝負の行方は、まだ見えなかった。
第四話 料理勝負開始! 料理勝負への準備 ヒナは、優月が過去に余った食材で作った料理で勝負すると決めていた。しかし、その料理は賄い料理の印象が強く、対抗策として適切か疑問が残った。それでもヒナは自信を見せ、優月は仕込みを開始した。料理は時間がかかるため、勝負前日から仕込みを行い、正確な味の再現に努めた。料理勝負の開幕 料理勝負当日、ウルバスの広場にはグルメギャング団の常連客や食の探求団の支持者、さらには興味を持ったプレイヤーたちが集まった。戦闘優先のプレイヤーたちは、料理勝負に関心を示さず立ち去ったが、勝負の観戦者は十分に集まっていた。ゲーム内に料理勝負のシステムは存在せず、多数決で勝敗を決めることとなった。 そこへ突如「マイク」と名乗るプレイヤーが現れ、司会を務めると申し出た。彼はラジオDJや声優の経験があり、料理勝負を盛り上げることを得意としていた。ヒナは、勝負を通じて食の探求団の知名度を高める狙いがあったため、マイクの申し出を歓迎した。こうして、料理勝負は大々的なイベントとして進行することとなった。グルメギャング団のステーキ ジャンケンで先攻を選んだグルメギャング団は、自信満々に《至高のステーキ》を提供した。選ばれた審査員たちは、その肉の柔らかさ、旨味、脂の甘さを絶賛した。使用した牛肉は高レアリティのものであり、筋がなく食感も良好で、まさに最高級の一品だった。カポネたちは勝利を確信し、優月たちに棄権を促した。食の探求団の牛汁 次に食の探求団が提供したのは《牛汁》だった。これは、筋の多い牛肉を長時間煮込み、旨味を引き出したスープであり、牛骨から取った出汁と骨髄が味の決め手となっていた。審査員たちは、予想外の深い味わいに驚き、次々に口へ運んだ。さらに、食べ終えた後の汁にモチ麦を加えて煮込み、《牛モチ麦雑炊》として提供した。これにより、最後まで料理の旨味を余すことなく楽しむことができ、審査員たちは完食した。勝敗の決定と敗因分析 審査員の投票と観客の支持を合わせた結果、食の探求団が圧倒的な票差で勝利を収めた。カポネたちは納得できず異議を唱えたが、マイクが公正な集計を再確認し、結果は変わらなかった。 ケインは、グルメギャング団の敗因を指摘した。彼らのステーキは確かに美味しかったが、改良を加えず、付け合わせにも工夫がなかった。一方、食の探求団の牛汁は、下処理や調理過程で丁寧な工夫が施され、満足感を提供する要素が多かった。さらに、審査員たちはグルメギャング団のステーキをすでに食べた経験があり、初めて食べる牛汁の新鮮な美味しさに魅了された。結果として、料理の満足感が勝敗を分けたのだった。料理勝負の影響 敗北を認めたカポネたちは、約束通り所持金や高レアリティの食材を提供し、悔しさを滲ませながら立ち去った。食の探求団はこれらを活用し、新たな料理を開発することを決意した。 勝負の影響は大きく、観戦していたプレイヤーたちが屋台に殺到し、牛汁や新たなステーキが飛ぶように売れた。ヒナは、料理勝負自体が最高の宣伝になったことに満足していた。マイクも司会業の腕を存分に発揮し、次回の料理勝負があればまた駆けつけると宣言した。こうして、食の探求団は料理勝負に勝利し、さらなる発展を遂げることとなった。
第五話 売り上げ勝負 料理勝負の再戦と特別クエスト 再び挑まれた料理勝負 食の探求団が料理を販売していると、再びカポネたちが勝負を挑んできた。彼らはこれまでの対決とは異なり、特別クエストでの勝負を提案した。目的は第二層で入手できる最高級の調理器具セットであり、その情報を掴んだカポネたちは、探求団に対して共にクエストに挑むことを求めた。調理器具職人の工房 ウルバスの下町には、腕の良い職人が営む工房があった。工房の店内には高品質な調理器具が並び、探求団の面々は興味を示したが、それらは通常販売されておらず、特別クエストの報酬でのみ入手可能であった。このクエストは料理スキルを持つ二組のパーティーが競い合い、勝者だけが調理器具セットを手にする形式となっていた。売り上げ勝負の開始 勝負の舞台は、レストラン「金の匙亭」と食堂「双葉亭」。双葉亭の跡取りレックと、高級レストランを継ぐバスターが、ミーアとの結婚を賭けた売り上げ対決に挑んでいた。探求団は双葉亭を、カポネたちは金の匙亭を支援することになった。売り上げで勝敗が決まるため、カポネたちは金の匙亭のコース料理を半額にし、さらに高級食材を導入する戦略をとった。昼の営業と予想外の展開 昼間の営業では、双葉亭は地元の常連客に支えられ、リーズナブルな価格で人気を集めた。一方、金の匙亭は半額セールにより普段よりも多くの客を呼び込んだが、期待ほどの客足にはならなかった。それでも単価の違いから、売り上げではグルメギャング団が優勢であった。夜の営業と逆転の戦略 探求団は夜の営業で大きな一手を打った。新たに「シュラスコ食べ放題」を導入し、プレイヤーの興味を引いた。焼きたての肉を提供し、サイドメニューを自由に選べる形式は、手間を減らしつつ高単価の提供を可能にした。結果、双葉亭には長蛇の列ができ、食の探求団が売り上げを急速に伸ばした。グルメギャング団の苦境 カポネたちは急遽、豪華食材を使用したフルコースを高額で提供する戦略に切り替えたが、それが裏目に出た。客足が減少し、売り上げの差を縮めるどころか、逆に差が広がってしまった。勝負の決着と報酬 三日間にわたる売り上げ対決の結果、食の探求団が逆転勝利を収めた。レックは正式にミーアと結婚を認められ、豪華調理器具セットが報酬として贈られた。敗北したカポネたちは悔しさをにじませながらも、次の勝負を誓い去っていった。戦略の違いと今後 勝因は双葉亭の柔軟性と、食の探求団の経営戦略にあった。固定観念に縛られた金の匙亭とは異なり、双葉亭は短期間の勝負に適した施策を打ち出せたのである。これを機に、探求団はさらに飲食業の可能性を模索しながら、次なる挑戦へと歩みを進めていった。
第六話 自家醸造酢と手作りモッツッレラチーズ 酒造りと試飲の失敗 ロックは宿の室内で醸造壺を取り出し、ようやく完成した酒に期待を寄せていた。ゲーム内では現実よりも短期間で酒造りが可能であり、彼は一ヵ月間の醸造に成功した。しかし、試飲すると酒は酢へと変化しており、彼の努力は無駄になった。ゲームのシステム上、低レアリティの素材では長期間の醸造に耐えられず、酒ではなく酢になってしまうことが明らかになった。酢の活用と新たな挑戦 大量の酢をどう処理するかが新たな問題となった。チェリーと姉はピクルスや酢豚、南蛮漬けなどの料理への活用を提案し、さらにはモッツァレラチーズの製造にも利用できることを思いついた。ロックと優月は酢の保存のために空き瓶を購入し、新たに酒造りを始めることにした。モッツァレラチーズ作りと温度計の必要性 宿の台所を借り、モッツァレラチーズの試作を開始した。しかし、温度管理がうまくいかず、チーズ作りに失敗する。正確な温度調整が必要であり、温度計が必須であると判断された。ブンセンの工房を訪ねると、温度計の製作には「レック鳥のプニプニ」という素材が必要であることが判明した。レック鳥の探索と温度計の完成 情報収集の結果、レック鳥はウルバス近くの廃鉱山に生息していることがわかった。護衛を依頼しながら廃鉱山へ向かい、探索の末にレック鳥を発見・討伐し、必要な素材を入手する。ブンセンの手により温度計が完成し、これによりチーズ作りの精度が向上した。チーズ作りの再挑戦と追加の道具 温度計を用いた結果、チーズの分離には成功したが、成形段階で失敗した。原因は熱湯の中での成形に適した防護手袋がないことだった。ブンセンに相談し、ジャイアント・スラッグの粘液を素材とする「ミューカスグローブ」を製作。これを使用することでチーズ作りが成功し、モッツァレラチーズの生産が可能となった。イタリア料理の試作と屋台のリニューアル チーズを活用し、ピザ、カプレーゼ、チーズハットグなどの料理を次々と試作。屋台のメニューをイタリア料理中心にリニューアルし、販売を開始した。さらに、ロックの失敗作である酢を用いた果実酢ドリンクも新たな商品として提供され、女性客を中心に人気を博した。飲食店の発展と次なる課題 リニューアル後、屋台は繁盛し、多くのプレイヤーが訪れるようになった。ロックの酒造りも再挑戦され、より良い酒の開発を目指している。一方で、ピザと相性の良いコーラの提供を目指し、炭酸水の確保が新たな課題として浮上した。こうして食の探求団は、さらなる料理の発展に向けて動き出した。
第七話 炭酸泉への道と強敵 炭酸水の探索と必要性 炭酸水の確保は、コーラの再現だけでなく、ソーダやジンジャーエールの販売、さらには酒の割材としても有用であった。特に炭酸飲料と料理をセットにした販売戦略は客単価を向上させると考えられた。姉とチェリーはクリームソーダの提供も視野に入れ、炭酸水の情報収集を開始した。 街の商店を探したが、炭酸水メーカーのようなアイテムは見つからなかった。そこで、炭酸泉の存在を期待し、街の入り口で帰還したプレイヤーから情報を得ようと試みた。スポーツドリンクを無料で配布し、情報提供の見返りとする戦略を取ったものの、その日は収穫がなかった。しかし、数日後、炭酸泉らしき泉を発見したという情報がもたらされた。炭酸泉への道と障害 炭酸泉は岩山の麓に湧いているが、その場所へ行くには強力なモンスター《トレンブリング・カウ》との遭遇が避けられなかった。この巨大な雌牛型モンスターは戦闘能力の低い探求団では対応できないため、討伐は困難であった。一方で、このモンスターが落とすミルクは生クリームの原料として非常に魅力的であり、コスト削減にもつながる可能性があった。しかし、戦力不足により自力での討伐は断念することになった。ケインたちの協力と戦闘の様子 ちょうどその頃、ケインたちはフロアボス攻略には参加せず、別の活動を模索していた。彼らは《トレンブリング・カウ》の討伐を引き受け、その代わりに得たミルクを食の探求団に卸すことを提案した。こうして、探求団はケインたちに護衛されながら炭酸泉へと向かうこととなった。 道中には牛型モンスターが多数生息しており、探求団の戦闘力では太刀打ちできなかったが、ケインたちの護衛により無事に進むことができた。やがて《トレンブリング・カウ》と遭遇し、ケインたちは連携を駆使して討伐を成功させた。探求団はその戦いを見守ることしかできなかったが、彼らの実力を目の当たりにし、戦力差を痛感することとなった。炭酸泉の採取とコーラの完成 無事にミルクを確保し、探求団は目的の炭酸泉へと向かった。岩山の麓には透明な水を湛えた泉があり、水面には微細な泡が立ち上っていた。用意していた空き瓶を使い、炭酸水を採取することに成功した。 その場でクラフトコーラの原液と炭酸水を混ぜ合わせ、試飲を行ったところ、十分に再現度の高いコーラが完成した。ケインたちにも振る舞われ、その味は好評を博した。さらに、ミルクをホイップした生クリームを加えたアレンジも提案され、コーラフロートの実現も視野に入ることとなった。フロアボス討伐と新たな展開 炭酸水を確保し、コーラの製造に成功した矢先、第二層のフロアボスが討伐されたとの報せが届いた。これにより、第三層への道が開かれた。探求団は急ぎウルバスへ戻り、食材や調味料を補充して移動の準備を整えた。すぐには転移門が開かれないため、待機しつつ準備を進めた。新メニューの開発と屋台の盛況 転移門が開かれ、探求団は第三層の主街区《ズムフト》へと移動した。恒例となった「フロア突破記念セール」を実施し、新メニューの販売を開始した。新たに開発されたメニューは、ハンバーガー、フライドポテト、オニオンフライ、ジンジャーエール、コーラなど、ファストフードを意識した品揃えであった。 これにより、懐かしさを求めるプレイヤーたちが集まり、屋台は大繁盛となった。セットメニューの導入が功を奏し、売上も大幅に向上した。第三層は森林エリアであり、新たな食材の発見と料理の開発が期待された。探求団は次なる挑戦として、さらに食の探求を進めることを決意した。
第八話 ダークエルフは知ってる? ズムフトでの商売と課題 第三層の主街区ズムフトで《エブリウェア・フードストール》を開き、料理を販売していた。転移門が開いて二日が経ち、観光目的のプレイヤーも訪れるようになり、売り上げは順調であった。しかし、料理の質が向上するにつれ、食器の貧相さが目立ち始め、新調する必要があると判断された。さらに、食材の調達にも限界があり、第三層で採れる新しい食材を取り入れるため、探索が必要となった。探索の計画と協力者の登場 新しい料理の開発には、現地の食材を手に入れることが不可欠だった。しかし、探求団の戦闘力では単独での食材採集が難しく、プレイヤーの協力が必要であった。ちょうどその頃、常連客であるケインたちが訪れ、彼らの協力を得ることになった。彼らには新メニューの試食を提供することで、探索の手助けをしてもらうという関係が成立していた。森の探索と初めての戦闘 翌日、探求団はケインたちと共にズムフト周辺の森を探索した。森の規模は大きく、巨木がそびえ立つ幻想的な景観が広がっていた。探索を進めるうちに《リトル・グラスホッパー》が出現し、ケインたちはこれを鮮やかに討伐した。その後も植物型モンスター《トレント・サプリング》が現れ、探求団も戦闘に挑戦。戦いは苦戦しながらも成功し、少しずつ戦闘経験を積むことができた。鹿肉の確保と新メニュー開発 探索の途中で《フォレスト・ディアー》が出現し、鹿肉の確保を試みた。戦闘の指導を受けながら、探求団は慎重に戦い、無事に鹿肉を入手した。この肉を活用し、ステーキやジャーキーなどの新メニュー開発を進めることとなった。さらに、クレソンに似た野草も発見され、付け合わせの食材としての可能性が見出された。キノコの発見と試食の危険性 探索を続けるうちに、朽ちた巨木に生えているキノコを発見した。これを採取し、ズムフトに戻って調理を試みた。キノコ鍋やソテーなど、様々な料理を作り、試食してみたところ、味は非常に良く、香りも豊かであった。しかし、ある特定のキノコ《デッドオアアライブマッシュルーム》には問題があった。このキノコは極めて美味であったが、一定の確率で食べた者のHPが減少することが判明した。見た目では毒の有無を判別できず、安全に提供することが困難であった。グルメギャング団の参入と失敗 その後、グルメギャング団が現れ、《デッドオアアライブマッシュルーム》を安全に調理できると宣伝し、屋台を開いた。彼らは森エルフから毒の見分け方を教わったと主張したが、実際には完全に見分けられるわけではなく、一部の客のHPが減る被害が発生した。これにより、グルメギャング団の商売はすぐに破綻し、彼らは信用を失うこととなった。ダークエルフへの期待と新たな探索 グルメギャング団の方法が完全でなかったことから、探求団は別の手段を模索することにした。姉は森エルフではなく、ダークエルフならば別の視点からキノコの判別方法を知っているかもしれないと考え、彼らの野営地を探すことを提案した。こうして、探求団はダークエルフの補給部隊を見つけるため、新たな探索へと向かうこととなった。
第九話 翡翠の秘鍵クエストを受けてみるが、クリアするとは言ってない エルフとの接触を求めて 探求団は、キノコの毒の有無を見分ける方法を学ぶため、森のエルフまたはダークエルフと接触する必要があった。商売を休み、ズムフトの町を出て森の奥へと進んだが、なかなかエルフと遭遇できなかった。探索の途中で食材を発見しながらも、戦闘力が向上したことで《フォレスト・ディアー》を討伐することができた。しかし、その日は結局エルフに会えず、エルフと接触するには《翡翠の秘鍵》クエストを開始する必要があると判明した。《翡翠の秘鍵》クエストの開始 夜、ケインたちと夕食を共にしながら、エルフと接触するには《翡翠の秘鍵》クエストを進めるのが最適であると知った。クエストには多くの戦闘が含まれるため、戦闘が苦手な探求団にとっては不安が残った。しかし、ケインたちがクエストに挑戦することを決め、探求団も同行することになった。森エルフとダークエルフの戦闘に巻き込まれる 翌朝、ケインたちに導かれ森の奥へと進むと、金属音と叫び声が響き渡った。そこでは森エルフとダークエルフが激しく剣を交えていた。ケインたちはダークエルフ側に協力することを決め、探求団は指示に従い、戦闘では防御に専念することになった。森エルフの騎士は圧倒的な戦闘力を持ち、探求団のHPはみるみる減少していったが、やがて両陣営の騎士が相討ちとなり、戦闘が終了した。ダークエルフの野営地へ向かう 倒れたダークエルフの騎士から《翡翠の秘鍵》を託され、探求団は南にあるダークエルフの野営地へ向かうことになった。移動中、ケインたちから野営地はパーティーごとに生成されるインスタンス・マップであり、他のプレイヤーと接触することはないと説明を受けた。そのため、商売の機会が制限されることが判明し、探求団はダークエルフを相手に料理を売る計画を立てた。ダークエルフの野営地での苦戦 野営地に到着すると、ダークエルフの衛兵たちに警戒されながらも、《翡翠の秘鍵》を提示することで中へ入ることができた。ケインたちはクエストを進めるため別行動を取り、探求団は《エブリウェア・フードストール》を開いた。しかし、ダークエルフたちは警戒心を抱いており、誰も料理を買いに来なかった。そこで、彼らの警戒を解くため、大鍋で野菜カレーを作ることにした。ミケアとの出会いと新たなクエスト カレーの香りが広がるも、ダークエルフたちは依然として警戒していた。ようやく一人の女性ダークエルフ、ミケアが近づいてきた。彼女は補給物資の管理をしているソンバルト隊長の秘書であり、隊長が左遷されたことでダークエルフの中で軽視されていると明かした。その瞬間、探求団のウインドウに『左遷騎士たちとの交流と、野営地の食事事情を改善せよ』という新たなクエストが表示された。倉庫への移動と新たな展開 ミケアは探求団に対し、野営地の中央ではなく、補給部隊がいる倉庫の近くで商売をすることを提案した。警戒心の強いダークエルフたちには、補給部隊の信頼を得る方が効果的だと考えられた。探求団はこの提案を受け入れ、料理の提供を続けるため、倉庫へと移動することになった。
第十話 エルフはきっと知っている!レアキノコの謎 ダークエルフたちの警戒が解ける 探求団は、ミケアの案内で野営地の端にある倉庫群へと屋台を移動した。これにより、補給部隊のダークエルフたちが気軽に利用するようになり、ようやく警戒が解けた。特に野菜カレーやスイーツは大人気となり、屋台は短期間で定着した。食材は森で手に入り、食材費はソンバルト隊長が負担するため、利益は出ないものの料理スキル熟練度を上げる良い機会となった。探求団は戦闘には向かないため、《翡翠の秘鍵》クエストの攻略はケインたちに任せ、料理関連のクエストに集中することにした。未知のクエストの発見 エルフ戦争キャンペーンクエストは長期にわたり、第三層から第九層まで続くが、探求団は特にクエストクリアを目指していなかった。しかし、料理スキルを活かした新たなクエストを発見し、他のプレイヤーには知られていないレアな展開になっている可能性があった。エルフ関連クエストで料理系のものがあるとは予想外であり、ベータテストでも発見されなかっただろうと考えられた。探求団は、戦闘を苦手とする代わりに、料理を通じて貢献することを決意した。ダークエルフの酒と立ち飲み屋の構想 ロックは野営地でダークエルフの果実酒を入手し、機嫌を良くしていた。これをきっかけに、週に一、二回、短時間営業の立ち飲み屋を開く構想を語った。ソードフォーの面々も興味を示し、オープンを楽しみにしていた。ダークエルフの酒を扱うことで価格はやや高くなるが、独自のメニューを提供できる可能性があった。新たな食材の発見 その日、ミケアが料理を持ち帰るために現れ、《シケット・スパイダーの脚玉子炒め》を注文した。これに興味を示したケインは、その食材が食べられることに驚いた。脚の身と卵をラードで炒めると「カニ玉」のようになり、美味しく仕上がるという。探求団は、海の幸が手に入りにくい環境で似た味を探し、モンスターのドロップ品を有効活用していた。通常のプレイヤーは蜘蛛型モンスターの食材を敬遠するが、料理人プレイヤーにとっては貴重な資源だった。ソンバルト隊長との交流 ミケアは探求団の料理を評価し、ソンバルト隊長も食事を楽しみにしていると伝えた。ケインは、探求団がダークエルフと親しくしていることに驚いた。これまでに接触したダークエルフたちは冷淡な態度だったが、補給部隊は前線とは異なり、警戒心が薄いと考えられた。翌日、ついにソンバルト隊長本人が屋台を訪れ、料理を直接味わうことになった。彼の関心を引いたことで、探求団のクエストがさらに進展することになった。
第十一話 左遷騎士ソンバルトは、戦いより美味しい物を食べたい ダークエルフたちへの料理提供 探求団は、補給部隊の騎士ソンバルト隊長と秘書のミケアのおかげで、野営地での料理活動を続けていた。儲けはほぼなかったが、赤字にはならず、料理スキル熟練度も順調に上昇していた。階層が上がるにつれて食材のレアリティも高まり、料理の難易度も増すため、今のうちに技術を磨くことが重要だった。調理器具の更新も怠らず、着実に準備を進めていた。ソンバルト隊長の食事習慣 ソンバルト隊長はかつてエリート騎士だったが、補給部隊へ左遷され、現在は倉庫と補給ルートの管理を担っていた。にもかかわらず、仕事よりも屋台で食事を楽しむ姿が目立ち、毎日のように甘いものを注文していた。彼の姿勢に、補給部隊の見習い騎士マルクは不満を抱いていた。マルクは前線で戦うことを望んでいたが、ソンバルト隊長は「衣食住の確保も重要な任務である」と諭した。《デッドオアアライブマッシュルーム》の見分け方の習得 探求団は、ソンバルト隊長に《デッドオアアライブマッシュルーム》の毒アリと毒ナシの見分け方を教わるため、クエストを受けた。翌日、彼らは森へ向かい、途中でモンスターとの戦闘をこなしながらキノコを採取した。ついにキノコの群生地を発見し、野営地へ持ち帰ると、ソンバルト隊長はデアキンという調理責任者を紹介した。食材鑑定スキルの取得 デアキンはキノコの見分け方を教えたが、ダークエルフたちは子供の頃から自然に識別できており、彼らにとっては当たり前の知識だった。探求団は目視では違いが判別できなかったが、新たに《食材鑑定》スキルを取得すると、微細な違いが見えるようになった。これにより、完全に毒の有無を見分けられるようになり、《デッドオアアライブマッシュルーム》の安全な利用が可能になった。新たな料理と野営地の兵士たちへの提供 デアキンは、兵士たちに《デッドオアアライブマッシュルーム》料理を提供したいと考え、探求団に調理の協力を求めた。彼らは快諾し、大鍋でスープや焼きキノコ、キノコカレーなどを作り、ダークエルフの兵士たちに振る舞った。料理の評判は上々で、探求団は新たな料理の可能性を広げた。ケインたちへの振る舞いと今後の展望 翌日、探求団は《デッドオアアライブマッシュルーム》を使った料理をケインたちにも振る舞った。料理の美味しさに彼らは感動し、ソンバルト隊長も再び食事を楽しんでいた。こうして、探求団はダークエルフたちとの関係を深めつつ、新たな料理の開発に意欲を見せた。今後も野営地での活動を続け、さらに珍しい食材や料理を探求していくこととなった。
第十二話 秘薬【エルフの雫】の材料を集める! ソードフォーのクエスト失敗 ケインたちはエルフ戦争キャンペーン・クエストの第六章《潜入》に挑んでいたが、森エルフの野営地から《命令書》を奪取する途中で同行していたダークエルフたちとはぐれてしまい、クエストの進行が不可能になった。やり直しもできず、彼らは野営地へ戻ることとなった。クエストの仕様なのか、見落としがあったのかは不明だったが、落胆した彼らは、提供された食事で気を取り直した。《エルフの雫》の材料集めの依頼 ソンバルト隊長は探求団に、《エルフの雫》の材料集めを手伝うよう依頼した。この秘薬はダークエルフたちの強化に必要であり、特に北の森エルフの動きが不穏であることから、準備が急務とされていた。探求団は料理人プレイヤーとして戦闘に向いていなかったが、採集や運搬の手伝いを頼まれたため、協力することを決めた。クエストが発生し、彼らはケインたちと共に材料集めに向かった。《フォレストハニー》の採集 材料の一つである《フォレストハニー》は、森の奥にある《蜜の大樹》の樹液を発酵させたものだった。採集の過程で、ソンバルト隊長たちの戦闘技術の高さを目の当たりにし、探求団はその実力に驚かされた。彼らが圧倒的な力でモンスターを討伐するため、探求団が戦闘で経験値を得る機会はほとんどなかったが、彼らの配慮でわずかに経験値を獲得することができた。樹液の採取は順調に進み、探求団は《蜜の大樹に巣くう幼虫》という珍しい食材も手に入れた。《モンキー・スピリッツ》の入手と大猿との戦い 《エルフの雫》のもう一つの重要な材料《モンキー・スピリッツ》は、森の猿《フォレスト・モンキー》が作る天然発酵酒だった。しかし、これを入手するには群れを統率する巨大な《キングオブ・フォレスト・モンキー》との決闘に勝たねばならなかった。ソンバルト隊長は驚異的な速さで大猿に一撃を与え、見事勝利を収めた。探求団はこの戦闘を目視できるほどの力を持っておらず、その圧倒的な実力を実感することとなった。秘薬の完成と新たなクエスト 集めた《フォレストハニー》と《モンキー・スピリッツ》を用い、ソンバルト隊長は《エルフの雫》の製造に成功した。探求団はクエスト達成の報酬を受け取ったが、この秘薬は人間には効果が強すぎるため、彼らが使用することはできなかった。一方で、ケインたちは戦闘に備え、再び本ルートに戻る機会を探していた。戦闘前の料理作り ダークエルフたちは間もなく森エルフの攻撃を受ける可能性が高く、ソンバルト隊長は探求団に「士気を高める料理」の提供を求めた。通常の食事ではなく、戦闘前に適した特別な料理を作る必要があった。探求団はその要望を受け、戦場に向かうダークエルフたちのための献立を考案し、新たなクエストに挑むこととなった。
第十三話 大人のお子様ランチと防衛戦 《大人のお子様ランチ》の発案 料理を工夫しながら士気を上げるため、一行は《大人のお子様ランチ》の作成を決定した。多様な料理を一皿にまとめることで、食事の満足感と楽しさを提供しようと考えたのである。ロックは大人向けのお子様ランチの存在を知っており、味やボリュームを調整すれば、大人でも楽しめると提案した。調理スキルの熟練度向上も視野に入れ、作戦会議を開始した。料理の選定と調理開始 過去に作った料理をもとにアレンジし、チーズ入りハンバーグやカレーピラフ、クリームコロッケなどを組み合わせたメニューが決定した。また、見た目の完成度を高めるため、ダークエルフの国《リュースラ王国》の旗を添えることになった。一行は必要な食材を確認し、調理に取りかかった。ゲームシステムを活用しながら調理を進め、ついに《大人のお子様ランチ》が完成した。試食と評価の厳しさ 完成した料理をソンバルト隊長に提供したが、味は良いものの「勝てる気がしない」との評価を受けた。料理のクオリティ向上が必要だと考え、一行はレアリティの高い食材や調理器具の強化を検討することにした。料理の品質向上は、単なる食材の調達ではなく、調理器具の性能向上も不可欠であった。新たなキッチンナイフの入手 より精度の高い調理を行うため、《プロフィシェンツ・キッチンナイフ》を作成することになった。旧ナイフを素材に戻し、新たなナイフを作るため鍛冶師を訪れた。ダークエルフの鍛冶師は寡黙ながら確かな腕を持っており、鍛冶工程の末、試行回数10の高性能なナイフを完成させた。これにより、料理の精度と成功率が飛躍的に向上した。料理の再挑戦と合格の獲得 強化されたナイフと高品質の食材を用い、《大人のお子様ランチ》を再び作成した。ソンバルト隊長は試食し、前回よりも格段に向上したと絶賛。さらに、ダークエルフたちの士気を上げるため、大量生産が決定された。食事によって戦闘前の気力を充実させることが目的であり、デアキン率いる調理班の協力を得て、大量の料理を作成することとなった。戦闘準備と倉庫防衛 森エルフの襲撃が迫るなか、一行は食料を守るため倉庫群の防衛を任された。直接戦闘には不向きなため、防御に徹することを決意した。戦闘が始まり、ソンバルト隊長は圧倒的な強さを見せつけるが、敵の放火により倉庫群のテントが炎上。一行は消火活動に奔走し、食料を守るため奮闘した。戦闘の終結と勝利 森エルフたちの襲撃が終わり、戦闘はダークエルフ側の勝利に終わった。一行の《大人のお子様ランチ》は士気向上に貢献し、ソンバルト隊長から感謝の言葉を受けた。戦いの経験を通じ、料理の重要性を改めて実感し、ズムフトへ戻ることを決意した。ズムフトへの帰還と新たな目標 ズムフトに戻った後、料理の新メニューを開発し、さらなる資金を得ることを目指した。料理スキルの向上、新たな調理器具の強化、エルフとの交流を経て得た知識を生かし、一行は料理人としての道をさらに進めることを決意したのである。
第十四話 真のトップ料理人プレイヤー グルメギャング団の台頭 ズムフトの町でグルメギャング団は料理販売を本格化させ、現在ではナンバーワン料理人プレイヤーと称されるまでに成長していた。森林の環境を活かし、キノコや鹿肉を用いた料理を提供することで、多くのプレイヤーから支持を集めていた。高額な初期投資も惜しまず、他の料理人プレイヤーを大きく引き離していた。彼らは過去の敗北を糧にし、料理の改良を続けた結果、食の探求団を超えたという自負を持っていた。食の探求団の帰還と対決の予兆 ズムフトへ帰還した食の探求団は、グルメギャング団の躍進を目の当たりにした。彼らの屋台は大人気となり、料理の質も向上していた。グルメギャング団のリーダーであるカポネは、食の探求団が戦闘主体のクエストに時間を費やし、料理の腕を鈍らせたと考えた。そして、過去の敗北を払拭するため、食の探求団に料理勝負を挑んだ。カポネの執念は強く、彼らが料理人プレイヤーのトップであることを証明しようとしていた。料理勝負の開始 料理勝負は、観客が有料で料理を食べ、投票する形式で行われることになった。これにより、試合の公平性を保ちながら、財政的な負担を軽減できる仕組みが整えられた。食の探求団は、森エルフとの戦いで得た経験を活かし、《デッドオアアライブマッシュルーム》を用いた料理と、《大人のお子様ランチ》を改良した《真・大人のお子様ランチ》を提供することを決定した。これにより、グルメギャング団との差別化を図る作戦をとった。グルメギャング団の奮闘 グルメギャング団は、改良を重ねた鹿肉ステーキとキノコソースをメインに据えたメニューを提供した。サラダやパンも強化され、より完成度の高い料理が揃えられていた。観客の反応は上々で、多くのプレイヤーが彼らの料理を絶賛した。これまでの努力が実を結び、投票箱には次々と票が投じられ、勝利を確信するほどの勢いを見せていた。《真・大人のお子様ランチ》の圧倒的な支持 一方、食の探求団は時間をかけて《真・大人のお子様ランチ》を完成させた。チーズ入りハンバーグ、クリームコロッケ、カレーピラフ、手打ちミートパスタなど、多彩な料理が一皿にまとめられ、視覚的にも魅力的な仕上がりとなった。さらに、デザートやスープにも《デッドオアアライブマッシュルーム》を活用し、その味の違いを際立たせた。この料理の登場により、観客の関心は一気に食の探求団へと向かい、売れ行きはグルメギャング団を圧倒した。勝敗の決着と今後の展望 最終的に、観客の投票により食の探求団の勝利が決定した。新たに開発された料理の人気と、多様なメニューの工夫が勝因となった。グルメギャング団は悔しさを滲ませつつも、さらなる努力を誓った。一方、食の探求団はこの勝利を機に、ズムフトでの料理販売を再開する決意を固めた。こうして、両者の競争は新たな段階へと進み、ズムフトの料理市場はさらに活気づくこととなった。
エピローグ 第四層への道! 第三層突破と半額セールの開始 ズムフトにて《真・大人のお子様ランチ》の販売が成功を収めるなか、攻略集団が第三層のフロアボスを討伐し、第四層への転移門が開かれるとの報が届いた。ケインたちがその情報を伝えに現れたが、すでに《真・大人のお子様ランチ》が売り切れていたことに落胆する様子を見せた。食の探求団は、早めに店を閉めた後、準備を整えて転移門を通過し、恒例の「階層突破記念! 料理半額祭り」を開始した。半額セールの展開と料理の進化 セールでは、ハンバーグ、ピザ、ミートスパゲッティ、《デッドオアアライブマッシュルーム》料理など、これまでの料理をすべて半額で販売した。《真・大人のお子様ランチ》はすぐに売り切れ、他の料理も多くのプレイヤーに購入されることで、料理スキル熟練度がさらに向上した。客の間では、「以前の料理よりも美味しくなっている」という声が上がり、その理由として、《モンキー・スピリッツ》が隠し味として加えられたことが明かされた。《モンキー・スピリッツ》の活用と戦略 《モンキー・スピリッツ》は、ソンバルト隊長から譲り受けた特別な調味料であり、料理の味を深める効果を持っていた。しかし、グルメギャング団との料理勝負では使用されず、今回の半額セールで初めて活用された。姉のヒナは、《デッドオアアライブマッシュルーム》を切り札とした前回の勝負では、この調味料を温存し、半額セールでその効果を最大限に発揮することで、食の探求団の料理の美味しさを広く知らしめる戦略を立てていた。グルメギャング団の後追いと食の探求団の優勢 食の探求団の半額セールの成功を受け、グルメギャング団をはじめとする他の料理人プレイヤーたちも同様のセールを開始した。しかし、食の探求団がいち早く展開したことで、他の屋台には客が集まりにくく、知名度向上にはつながらなかった。カポネは悔しさを滲ませながらも、料理スキル熟練度の向上を理由に続けることを決意した。食の探求団は、これからもグルメギャング団との競争が続くことを覚悟し、最終的にはSAO内で安達食堂を再開するという目標を改めて心に誓った。
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